アスファルト付着防止剤の小分け装置
【課題】一定の濃度に希釈されたアスファルト付着防止剤を手軽に供給することのできるアスファルト付着防止剤の小分け装置を提供する。
【解決手段】アスファルト付着防止剤の原液L1を水Wで希釈して所定濃度の希釈液L2を得るための小分け装置1に関する。前記原液L1を貯留するタンク37と、水道水Wの水圧を所定圧に減圧する減圧弁12と、前記減圧弁12で減圧された水道水Wが流れている流路Lに前記タンク37からの原液L1を混入させて混合することで所定濃度の希釈液L2を生成する混合装置16と、前記混合装置16から吐出された希釈液L2の給液量を計量する計量手段17,34と、前記希釈液L2を吐出するノズル19と、前記希釈液L2が前記ノズル19から吐出されるのを停止させる開閉弁14とを備えている。
【解決手段】アスファルト付着防止剤の原液L1を水Wで希釈して所定濃度の希釈液L2を得るための小分け装置1に関する。前記原液L1を貯留するタンク37と、水道水Wの水圧を所定圧に減圧する減圧弁12と、前記減圧弁12で減圧された水道水Wが流れている流路Lに前記タンク37からの原液L1を混入させて混合することで所定濃度の希釈液L2を生成する混合装置16と、前記混合装置16から吐出された希釈液L2の給液量を計量する計量手段17,34と、前記希釈液L2を吐出するノズル19と、前記希釈液L2が前記ノズル19から吐出されるのを停止させる開閉弁14とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト付着防止剤の小分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトをダンプカーなどで配送する場合や、道路に圧設する場合などにおいて、アスファルトがダンプカーの荷台や圧設用機器に付着するのを防止するためにアスファルト付着防止剤が用いられている。
かかるアスファルト付着防止剤は、環境保全の観点から植物油や食用油をベースとしたものが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特表平10−506942号(要約)
【特許文献2】特開2000−73011(要約)
【特許文献3】特開2006−299174(要約)
【0003】
前記アスファルト付着防止剤は、原液をそのまま使用するには濃度が高すぎるので、たとえば水などで所定の濃度に希釈されて用いられる。そのため、前記付着防止剤は必要な時に必要な量だけ一定の濃度に希釈され供給されることが望ましい。
しかし、これまで、前記アスファルト付着防止剤を必要に応じて、その都度小分けして供給する装置がなかった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、一定の濃度に希釈されたアスファルト付着防止剤を手軽に供給することのできるアスファルト付着防止剤の小分け装置を提供することである。
【発明の開示】
【0005】
本発明のアスファルト付着防止剤の小分け装置は、アスファルト付着防止剤の原液を水で希釈して所定濃度の希釈液を得るための小分け装置であって、前記原液を貯留するタンクと、水道水の水圧を所定圧に減圧する減圧弁と、前記減圧弁で減圧された水道水が流れている流路に前記タンクからの原液を混入させて混合することで所定濃度の希釈液を生成する混合装置と、前記混合装置から吐出された希釈液の給液量を計量する計量手段と、前記希釈液を吐出するノズルと、前記希釈液が前記ノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えている。
【0006】
本発明によれば、混合装置によりアスファルト付着防止剤の原液と水道水とが一定の濃度に混合された希釈液を生成し、ノズルから該希釈液を供給することができる。
また、前記混合装置から吐出された希釈液の供給量を計量する計量手段と、前記希釈液がノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えているので、所定量の希釈液を供給することができる。
【0007】
なお、“ノズル”とは、筒口からなる吐出口のことをいい、アスファルト付着防止剤が供給される容器の供給口に合う大きさに設定される。
【0008】
本発明の好適な実施例においては、前記減圧弁から混合装置に至る流路に水の流量を調整する流量調整弁を更に設ける。
かかる態様によれば、流量調整弁を用いて水の流量を一定に調整することにより、水と原液との混合精度を向上させることができる。
【0009】
本発明において、前記開閉弁が前記減圧弁から前記混合装置に至る流路に設けられているのが好ましい。
水道水の水圧によってアスファルト付着防止剤の原液が吸い上げられる方式の混合装置を採用した場合には、混合装置の上流で水道水の遮断を行うことにより、前記混合装置にウォータハンマによる水圧が作用するのを防止し得ると共に、正確な混合比のアスファルト付着防止剤を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記ノズルと前記混合装置との間に更に弁が設けられているのが好ましい。
本態様によれば、ノズルから希釈液が垂れるのを防止できる。
前記「弁」としては、逆止弁や、ノズルにアスファルト付着防止剤の供給・停止を行う操作弁を設けることができる。
【0011】
本発明の好ましい例においては、前記計量手段により計量された希釈液の給液量が予め設定された所定量となったときに前記開閉弁を閉止して前記ノズルから吐出される希釈液を所定量とする制御手段を更に備えている。
希釈液の必要な量は、希釈液を使う前に分かっていることが多く、その場合、所定量の希釈液を小分けすることができる。
【0012】
本発明において、前記ノズルから吐出される希釈液の量を予め設定する設定手段と、前記計量手段により計量された希釈液の量が前記設定手段により予め設定された設定量となったときに前記開閉弁を閉止する制御手段とを備えていてもよい。
この場合、設定手段により必要量を予め自在に設定することができ、至便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施例1:
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1〜図5は実施例1を示す。
小分け装置1の概要:
図1に示す小分け装置1は、たとえば、アスファルトの出荷場などに設置される。
図1に示すように、アスファルト付着防止剤の小分け装置1は、給液部10および設定・管理部20を備えている。給液部10には、容器Cにアスファルト付着防止剤の希釈液L2を供給するためのホースHが設けられている。前記ホースHの先端部には、ノズル19が設けられている。
【0014】
希釈液L2を容器Cに供給するには、ホースHのノズル19を該容器Cの注入口に差し込んだ後、設定・管理部20に所定の操作を行うと、原液が水で希釈され、水と原液とが所定の割合で混合された希釈液L2が容器C内に所定量供給される。
【0015】
機器構成:
流路Lの構成;
図2に示すように、前記給液部10は、水道配管に接続された導入弁11、減圧弁12、圧力計13、開閉弁14、流量調整弁15、混合装置16、原液を貯留するタンク37、計測部17、ホースH、逆止弁18およびノズル19を備えている。
【0016】
前記導入弁11は、水道配管から供給される水道水Wの小分け装置1内への導入および停止を行う。
減圧弁12は、前記水道水Wの水圧を減圧する。
圧力計13は、前記減圧された水道水Wの水圧を測定する。
開閉弁14は、たとえば、電磁弁からなり、下流への水道水Wの供給ないし停止を行う。
流量調整弁15は、水道水Wの流量を一定に調整するものであり、該流量調整弁15を調整することにより、水道水Wの流量を所望する流量に設定することが可能である。
【0017】
混合装置16;
混合装置16は、前記水道水Wの流量に対応するアスファルト付着防止剤の原液L1をタンク37から吸い上げ、前記水道水Wと原液L1とを混合し、原液L1が水道水Wによって希釈された希釈液である希釈液L2を生成する。
なお、前記混合装置16を作業者が手動で設定することにより、水道水Wと原液L1との混合比を変更することができる。
【0018】
前記混合装置16としては、電力を使用せず、水道水Wの水圧によって原液L1を吸い上げる樹脂製の比例式液量計を用いることができる。前記混合装置16としては、たとえば、ドサトロン・インターナショナル:DOSATRON INTERNATIONAL(登録商標)社の比例式液量計(モデル番号DI16)などを採用することができる。かかる混合装置16は、ボディが樹脂で形成されており、耐圧性があまり高くないが、開閉弁14の下流に設けられているので開閉弁14により流路の流れが急激に止まっても、混合装置16のボディがウォータハンマにより損傷するおそれがない。
【0019】
混合装置16の作動原理;
前記混合装置16は、図7Aに示すように、送られてきた水道水Wがピストン100を押し、希釈液L2を排出する。同時に、配合ピストン103が原液L1を吸入し、混合部102に送り込む。一方、吸入バルブ104が上限位置で図示しないアクチュエータの切り替えにより開き、図7Bに示すように、吐出バルブ101が閉まる。
その後、ピストン100が下がり、希釈液L2の一部が混合部102に注入される。その後、図7Aに示すように、ピストン100の下限位置で、吐出バルブ101が開き、吸入バルブ104が閉まり、前述した混合サイクルが繰り返される。
【0020】
計測部17は、該計測部17内を通る希釈液L2の流れを検出すると、計測信号を給液制御部30に送信する。計測部17としては、たとえば、流量計や流速計を用いることができる。
図1に示すように、逆止弁18およびノズル19は、ホースHの先端に設けられている。
【0021】
制御の構成;
給液部10には、たとえば、マイクロコンピュータからなる給液制御部30が設けられている。給液制御部30には、開閉弁14、計測部17、レベルセンサ36、給液量表示器38および給液スイッチ39などが接続されている。
【0022】
給液量表示器38は、たとえば、7セグメントのLCD(Liquid Crystal Display)などを用いることができる。給液量表示器38には、給液中において、前記ノズル19から給液された希釈液L2の給液量が随時表示される。
【0023】
給液スイッチ39は、給液を開始するためのON/OFFスイッチである。設定・管理部20において、給液量等の所定の設定が行われた後、給液スイッチ39がONされると、ノズル19から希釈液L2が吐出される。
給液制御部30は、通信インターフェイス22を介して設定・管理部20に接続されている。
【0024】
前記給液制御部30は、第1CPU31および第1メモリ35を備えている。
前記第1CPU31には、開閉弁制御手段32、残量検出手段33および積算手段34などが設けられている。
【0025】
開閉弁制御手段32は、前記給液スイッチ39がON/OFFされると、開閉弁14に開弁信号または閉弁信号を送信する。開閉弁14は、開閉弁制御手段32から開弁信号を受信すると開弁される。一方、開閉弁14は開閉弁制御手段32から閉弁信号を受信すると閉弁される。
【0026】
残量検出手段33は、レベルセンサ36が検出した原液L1の上端レベルに対応するレベル信号を受信し、当該レベル信号に基づきタンク37内の原液L1の残量を算出する。残量検出手段33の算出した残量に基づき、設定・管理部20の管理制御部21が原液L1の残量が所定量を下回ったと判別した場合には、スピーカ26から警報を鳴らすと共に、設定・管理部20の設定量表示器23にその旨の表示を行い給液が禁止される。
【0027】
積算手段34は、計測部17から前記計測信号を受信すると、当該計測信号に基づき、計測部17内を通る流量を積算し、給液量を算出する。したがって、計測部17および積算手段34は、希釈液L2の給液量を計量する計量手段を構成している。第1CPU31は、前記給液量に基づき、前述のように、給液量表示器38に給液量を表示させる。
【0028】
設定・管理部20;
設定・管理部20は、たとえば、マイクロコンピュータからなる管理制御部21を備えている。管理制御部21は、第2CPU21aおよび第2メモリ21bを備えている。
管理制御部21には、前記通信インターフェイス22、設定量表示器23、キーボード24、管理スイッチ25、スピーカ26、プリンタ27およびカードリーダ28などが接続されている。
【0029】
設定量表示器23は、たとえば、液晶表示器からなり、図4A〜図5Cに示す表示画面が表示される。
キーボード24は、種々の入力を受け付けると共に、前記ノズル19から吐出される希釈液L2の設定量を設定する設定手段を構成している。
プリンタ27は、たとえば、サーマルプリンタやカッタなどを備えており、伝票発行口27A(図3)から給液伝票などの発行を行う。前記給液伝票には、たとえば、給液量、給液年月日、給液者名などが印字される。
カードリーダ28は、カード投入口28Aから挿入(投入)された給液カードのカード情報を読み取り、読み取ったカード情報を設定・管理部20に送信する。前記カード情報としては、カード所有者のID番号などが記憶されている。管理制御部21は、当該カード情報に基づき、当該カードが使用可能であるか否かの判別を行う。なお、前記カードとしては、磁気カードやICカードなどを用いることができる。
【0030】
図1の小分け装置1の正面には、図3に示すように、給液部10に対応する給液量表示器38、給液スイッチ39、逆止弁18およびノズル19と、設定・管理部20に対応する設定量表示器23、キーボード24、管理スイッチ25、スピーカ26、プリンタ27およびカードリーダ28が設けられている。
【0031】
給液方法:
図4Aに示すように、小分け装置1の待機状態において、設定量表示器23には、「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0032】
給液者が図3のカードリーダ28のカード投入口28Aにカードを挿入すると、図2のカードリーダ28が当該カードに記録されたカード情報を読み取り、カード情報を管理制御部21に送信する。
設定・管理部20は、当該カード情報に基づき、該カードが使用可能であれば、図4Bに示すように、設定量表示器23に、「給液量を設定してください」という給液が可能であるという表示を行う。
【0033】
つぎに、給液者は、図3のキーボード24を用いて、これから給液を行う希釈液L2の設定量を入力する。給液者が前記設定量を入力した後、所定の操作を行うと、設定・管理部20が、図4Cに示すように、設定量表示器23に、設定量と給液方法を表示させる。なお、使用される容器Cの種類に応じて、2L,4L,10L,18L,20Lなど複数種類の設定量を予め表示させ、給液者がこれらから給液を行う容器Cに対応する設定量を選択できるようにしてもよい。
一方、設定・管理部20は、当該設定量を給液制御部30に送信する。
【0034】
その後、給液者が図1に示す容器Cにノズル19を挿入し、給液スイッチ39をONすると、給液量表示器38に表示している前回の給液量をゼロに戻し、開閉弁制御手段32が開閉弁14に開弁信号を送信し、開閉弁14が開弁される。
【0035】
開閉弁14が開弁されると、水道水Wが流量調整弁15を通り混合装置16に導入される。混合装置16は、前記水道水Wの流量に対応する原液L1をタンク37から吸い上げ、水道水Wと原液L1とを一定の割合で混合した希釈液L2を計測部17に送る。
【0036】
計測部17は、該計測部17内を通る希釈液L2の流れを検出すると、計測信号を給液制御部30に送信する。積算手段34は、計測部17から計測信号を受信すると、当該計測信号に基づき、計測部17内を通る流量を積算して給液量を算出する。算出された給液量は給液量表示器38にリアルタイムに表示される。
【0037】
前記給液が続けられ、第1CPU31が、積算手段34が算出した給液量と、前記設定・管理部20から受信した設定量とが一致したと判断すると、開閉弁制御手段32が開閉弁14に閉弁信号を送信し、開閉弁14が閉弁される。こうして、所望の量の希釈液L2を数値設定するだけの簡単な操作で確実に得ることができる。
【0038】
その後、第1CPU31が、図5Aに示す設定量表示器23に、容器からノズルを抜いて給液スイッチ39をOFFにする旨の表示を行わせる。
給液者は、容器からノズルを抜き、給液スイッチ39をOFFにする。
【0039】
管理制御部21は、プリンタ27に、給液伝票を発行させた後、図5Bに示すように、設定量表示器23に「伝票を取ってください」という表示を行わせる。
【0040】
その後、管理制御部21は、図5Cに示す初期画面を設定量表示器23に表示させる。
【0041】
なお、前記カードに磁気カードやICカードを用いることにより、カード毎の給液の記録を保存して各種集計を行うようにしてもよい。
たとえば、1回ごとに精算を行うようにしてもよいし、カード毎の給液記録を集計して、たとえば、月末締めでの掛け売りを行うようにしてもよい。
また、設定・管理部20が給液毎に給液量を積算することにより、給液の日報や月報の管理を行うようにしてもよい。
【0042】
なお、図6に示すように容器Cに、たとえば、容器Cの種類毎にRFID(Radio Frequency Identification)タグTrを貼付し、小分け装置1に設けたRFIDリーダ50を用いることにより、当該容器の容量を前記RFIDタグから非接触で読み出すようにすれば、給液者が給液量を入力することなく、当該容器Cの大きさに合った適切な液量を供給することができる。
【0043】
また、ノズル19に操作弁を設けることにより、給液者が該操作弁を開くことで給液が開始されるようにしてもよい。
【0044】
実施例2:
ここで、季節やアスファルトの種類によって、原液L1と水道水Wとの混合比の異なるアスファルト付着防止剤を用いる場合がある。かかる場合には、図11Aに示すように、設定・管理部20に隣接する同一の筐体内に前記混合比の異なるアスファルト付着防止剤の希釈液L2が供給されるホースH、逆止弁18およびノズル19を複数個設けてもよい。
【0045】
図8〜図10、及び図11Aは実施例2を示す。
図8に示すように、小分け装置1には2系統の第1および第2流路10A,10Bが設けられている。
前記流路10A,10Bには、開閉弁14、流量調整弁15、混合装置16a(16b)、計測部17、逆止弁18およびノズル19がそれぞれ設けられている。
【0046】
前記混合装置16a,16bは、それぞれ異なる希釈量に設定されている。たとえば、一方の混合装置16aは水道水Wに対する原液L1の希釈率が10%(希釈倍率10倍)に設定されており、他方の混合装置16bは前記希釈率が5%(希釈倍率20倍)に設定されている。
図11Aに示すキーボード24には、希釈倍率に対応する設定ボタンが設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
給液方法:
図9Aに示すように、小分け装置1(図11A)の待機状態において、設定量表示器23には、「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0048】
給液者が図11Aのカードリーダ28のカード投入口28Aにカードを挿入すると、設定量表示器23に希望する希釈倍率を選択する旨の表示(図9B)がなされる。
給液者がキーボード24の希釈倍率設定ボタンを押すと、図9Cに示すように、設定量表示器23に希釈倍率(20倍)が表示されると共に、「給液量を設定してください」と表示される。
【0049】
つぎに、給液者は、図11Aのキーボード24を用いて、これから給液を行う希釈液L2の設定量を入力する。給液者が前記設定量を入力した後、所定の操作を行うと、設定量表示器23に図9Dに示す画面が表示される。
たとえば、図11A(図8)の左側の第1流路10Aが10倍希釈、右側の第2流路10Bが20倍希釈に設定されている場合、前記設定量表示器23には、「容器にノズルを入れて右側の給液スイッチをONにしてください」と表示される。
【0050】
給液者が図11A(図8)の右側のノズル19を容器Cに入れた後、給液スイッチ39をONにすると、給液量表示器38に表示している前回の給液量をゼロに戻し、図8の第2流路10Bの開閉弁14が開き、給液が開始されると共に、給液量表示器38に給液量がリアルタイムに表示される。
給液量が前記設定量に達すると、開閉弁14が閉じて給液が停止される。
【0051】
その後、図10Aに示すように、設定量表示器23に、ノズル19を容器Cから抜いて給液スイッチ39をOFFにする旨の表示がなされる。
給液者が、容器Cからノズル19を抜き、給液スイッチ39をOFFに設定すると、図11Aのプリンタ27の伝票発行口27Aから給液伝票が発行され、図10Bに示すように、当該給液伝票を取る旨の表示がなされる。
【0052】
その後、図10Cに示すように、設定量表示器23に「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0053】
なお、前述の図11Aの変形例として図11Bおよび図12に示すように、設定・管理部20の左右の筐体に実施例1の給液部10を配設して、希釈倍率の異なる希釈液L2が供給されるホースH、逆止弁18およびノズル19を設けてもよい。
【0054】
また、図13に示すように、設定・管理部20に隣接する一の給液部10内のタンク37に第1および第2混合装置16a,16bおよび分岐弁51を設けてもよい。かかる構成によれば、一方のノズル19Aからは、第1混合装置16aによって混合される希釈液L2が吐出される。他方のノズル19Bからは、第1混合装置16aにより生成された希釈液L2に第2混合装置16bにより更に原液L1が混合されることにより、ノズル19Aから吐出される希釈液よりも原液L1の濃度の濃い希釈液L2が吐出される。
なお、分岐弁は希釈液を吐出するノズルに応じて図示しない給液制御部から切り替え制御を行ってもよい。
【0055】
これらの変形例のその他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、アスファルト付着防止剤の小分け装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略斜視図である。
【図2】小分け装置を示す概略構成図である。
【図3】小分け装置を示す概略正面図である。
【図4】設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図5】設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図6】変形例を示す一部破断した小分け装置の概略斜視図である。
【図7】混合装置の動作原理を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施例2にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の実施例2にかかる設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図10】本発明の実施例2にかかる設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図11】図11Aは本発明の実施例2にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略正面図、図11Bは変形例を示す小分け装置の概略正面図である。
【図12】変形例を示す小分け装置の概略斜視図である。
【図13】変形例を示す給液部の流路を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1:小分け装置
11:手動開閉弁
12:減圧弁
14:開閉弁
15:流量調整弁
16,16a,16b:混合装置
17:計測部(計量手段の一部)
18:逆止弁
19:ノズル
30:給液制御部
34:積算手段(計量手段の一部)
37:タンク
L:流路
L2:付着防止剤
L1:原液
W:水道水
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト付着防止剤の小分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトをダンプカーなどで配送する場合や、道路に圧設する場合などにおいて、アスファルトがダンプカーの荷台や圧設用機器に付着するのを防止するためにアスファルト付着防止剤が用いられている。
かかるアスファルト付着防止剤は、環境保全の観点から植物油や食用油をベースとしたものが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特表平10−506942号(要約)
【特許文献2】特開2000−73011(要約)
【特許文献3】特開2006−299174(要約)
【0003】
前記アスファルト付着防止剤は、原液をそのまま使用するには濃度が高すぎるので、たとえば水などで所定の濃度に希釈されて用いられる。そのため、前記付着防止剤は必要な時に必要な量だけ一定の濃度に希釈され供給されることが望ましい。
しかし、これまで、前記アスファルト付着防止剤を必要に応じて、その都度小分けして供給する装置がなかった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、一定の濃度に希釈されたアスファルト付着防止剤を手軽に供給することのできるアスファルト付着防止剤の小分け装置を提供することである。
【発明の開示】
【0005】
本発明のアスファルト付着防止剤の小分け装置は、アスファルト付着防止剤の原液を水で希釈して所定濃度の希釈液を得るための小分け装置であって、前記原液を貯留するタンクと、水道水の水圧を所定圧に減圧する減圧弁と、前記減圧弁で減圧された水道水が流れている流路に前記タンクからの原液を混入させて混合することで所定濃度の希釈液を生成する混合装置と、前記混合装置から吐出された希釈液の給液量を計量する計量手段と、前記希釈液を吐出するノズルと、前記希釈液が前記ノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えている。
【0006】
本発明によれば、混合装置によりアスファルト付着防止剤の原液と水道水とが一定の濃度に混合された希釈液を生成し、ノズルから該希釈液を供給することができる。
また、前記混合装置から吐出された希釈液の供給量を計量する計量手段と、前記希釈液がノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えているので、所定量の希釈液を供給することができる。
【0007】
なお、“ノズル”とは、筒口からなる吐出口のことをいい、アスファルト付着防止剤が供給される容器の供給口に合う大きさに設定される。
【0008】
本発明の好適な実施例においては、前記減圧弁から混合装置に至る流路に水の流量を調整する流量調整弁を更に設ける。
かかる態様によれば、流量調整弁を用いて水の流量を一定に調整することにより、水と原液との混合精度を向上させることができる。
【0009】
本発明において、前記開閉弁が前記減圧弁から前記混合装置に至る流路に設けられているのが好ましい。
水道水の水圧によってアスファルト付着防止剤の原液が吸い上げられる方式の混合装置を採用した場合には、混合装置の上流で水道水の遮断を行うことにより、前記混合装置にウォータハンマによる水圧が作用するのを防止し得ると共に、正確な混合比のアスファルト付着防止剤を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記ノズルと前記混合装置との間に更に弁が設けられているのが好ましい。
本態様によれば、ノズルから希釈液が垂れるのを防止できる。
前記「弁」としては、逆止弁や、ノズルにアスファルト付着防止剤の供給・停止を行う操作弁を設けることができる。
【0011】
本発明の好ましい例においては、前記計量手段により計量された希釈液の給液量が予め設定された所定量となったときに前記開閉弁を閉止して前記ノズルから吐出される希釈液を所定量とする制御手段を更に備えている。
希釈液の必要な量は、希釈液を使う前に分かっていることが多く、その場合、所定量の希釈液を小分けすることができる。
【0012】
本発明において、前記ノズルから吐出される希釈液の量を予め設定する設定手段と、前記計量手段により計量された希釈液の量が前記設定手段により予め設定された設定量となったときに前記開閉弁を閉止する制御手段とを備えていてもよい。
この場合、設定手段により必要量を予め自在に設定することができ、至便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施例1:
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1〜図5は実施例1を示す。
小分け装置1の概要:
図1に示す小分け装置1は、たとえば、アスファルトの出荷場などに設置される。
図1に示すように、アスファルト付着防止剤の小分け装置1は、給液部10および設定・管理部20を備えている。給液部10には、容器Cにアスファルト付着防止剤の希釈液L2を供給するためのホースHが設けられている。前記ホースHの先端部には、ノズル19が設けられている。
【0014】
希釈液L2を容器Cに供給するには、ホースHのノズル19を該容器Cの注入口に差し込んだ後、設定・管理部20に所定の操作を行うと、原液が水で希釈され、水と原液とが所定の割合で混合された希釈液L2が容器C内に所定量供給される。
【0015】
機器構成:
流路Lの構成;
図2に示すように、前記給液部10は、水道配管に接続された導入弁11、減圧弁12、圧力計13、開閉弁14、流量調整弁15、混合装置16、原液を貯留するタンク37、計測部17、ホースH、逆止弁18およびノズル19を備えている。
【0016】
前記導入弁11は、水道配管から供給される水道水Wの小分け装置1内への導入および停止を行う。
減圧弁12は、前記水道水Wの水圧を減圧する。
圧力計13は、前記減圧された水道水Wの水圧を測定する。
開閉弁14は、たとえば、電磁弁からなり、下流への水道水Wの供給ないし停止を行う。
流量調整弁15は、水道水Wの流量を一定に調整するものであり、該流量調整弁15を調整することにより、水道水Wの流量を所望する流量に設定することが可能である。
【0017】
混合装置16;
混合装置16は、前記水道水Wの流量に対応するアスファルト付着防止剤の原液L1をタンク37から吸い上げ、前記水道水Wと原液L1とを混合し、原液L1が水道水Wによって希釈された希釈液である希釈液L2を生成する。
なお、前記混合装置16を作業者が手動で設定することにより、水道水Wと原液L1との混合比を変更することができる。
【0018】
前記混合装置16としては、電力を使用せず、水道水Wの水圧によって原液L1を吸い上げる樹脂製の比例式液量計を用いることができる。前記混合装置16としては、たとえば、ドサトロン・インターナショナル:DOSATRON INTERNATIONAL(登録商標)社の比例式液量計(モデル番号DI16)などを採用することができる。かかる混合装置16は、ボディが樹脂で形成されており、耐圧性があまり高くないが、開閉弁14の下流に設けられているので開閉弁14により流路の流れが急激に止まっても、混合装置16のボディがウォータハンマにより損傷するおそれがない。
【0019】
混合装置16の作動原理;
前記混合装置16は、図7Aに示すように、送られてきた水道水Wがピストン100を押し、希釈液L2を排出する。同時に、配合ピストン103が原液L1を吸入し、混合部102に送り込む。一方、吸入バルブ104が上限位置で図示しないアクチュエータの切り替えにより開き、図7Bに示すように、吐出バルブ101が閉まる。
その後、ピストン100が下がり、希釈液L2の一部が混合部102に注入される。その後、図7Aに示すように、ピストン100の下限位置で、吐出バルブ101が開き、吸入バルブ104が閉まり、前述した混合サイクルが繰り返される。
【0020】
計測部17は、該計測部17内を通る希釈液L2の流れを検出すると、計測信号を給液制御部30に送信する。計測部17としては、たとえば、流量計や流速計を用いることができる。
図1に示すように、逆止弁18およびノズル19は、ホースHの先端に設けられている。
【0021】
制御の構成;
給液部10には、たとえば、マイクロコンピュータからなる給液制御部30が設けられている。給液制御部30には、開閉弁14、計測部17、レベルセンサ36、給液量表示器38および給液スイッチ39などが接続されている。
【0022】
給液量表示器38は、たとえば、7セグメントのLCD(Liquid Crystal Display)などを用いることができる。給液量表示器38には、給液中において、前記ノズル19から給液された希釈液L2の給液量が随時表示される。
【0023】
給液スイッチ39は、給液を開始するためのON/OFFスイッチである。設定・管理部20において、給液量等の所定の設定が行われた後、給液スイッチ39がONされると、ノズル19から希釈液L2が吐出される。
給液制御部30は、通信インターフェイス22を介して設定・管理部20に接続されている。
【0024】
前記給液制御部30は、第1CPU31および第1メモリ35を備えている。
前記第1CPU31には、開閉弁制御手段32、残量検出手段33および積算手段34などが設けられている。
【0025】
開閉弁制御手段32は、前記給液スイッチ39がON/OFFされると、開閉弁14に開弁信号または閉弁信号を送信する。開閉弁14は、開閉弁制御手段32から開弁信号を受信すると開弁される。一方、開閉弁14は開閉弁制御手段32から閉弁信号を受信すると閉弁される。
【0026】
残量検出手段33は、レベルセンサ36が検出した原液L1の上端レベルに対応するレベル信号を受信し、当該レベル信号に基づきタンク37内の原液L1の残量を算出する。残量検出手段33の算出した残量に基づき、設定・管理部20の管理制御部21が原液L1の残量が所定量を下回ったと判別した場合には、スピーカ26から警報を鳴らすと共に、設定・管理部20の設定量表示器23にその旨の表示を行い給液が禁止される。
【0027】
積算手段34は、計測部17から前記計測信号を受信すると、当該計測信号に基づき、計測部17内を通る流量を積算し、給液量を算出する。したがって、計測部17および積算手段34は、希釈液L2の給液量を計量する計量手段を構成している。第1CPU31は、前記給液量に基づき、前述のように、給液量表示器38に給液量を表示させる。
【0028】
設定・管理部20;
設定・管理部20は、たとえば、マイクロコンピュータからなる管理制御部21を備えている。管理制御部21は、第2CPU21aおよび第2メモリ21bを備えている。
管理制御部21には、前記通信インターフェイス22、設定量表示器23、キーボード24、管理スイッチ25、スピーカ26、プリンタ27およびカードリーダ28などが接続されている。
【0029】
設定量表示器23は、たとえば、液晶表示器からなり、図4A〜図5Cに示す表示画面が表示される。
キーボード24は、種々の入力を受け付けると共に、前記ノズル19から吐出される希釈液L2の設定量を設定する設定手段を構成している。
プリンタ27は、たとえば、サーマルプリンタやカッタなどを備えており、伝票発行口27A(図3)から給液伝票などの発行を行う。前記給液伝票には、たとえば、給液量、給液年月日、給液者名などが印字される。
カードリーダ28は、カード投入口28Aから挿入(投入)された給液カードのカード情報を読み取り、読み取ったカード情報を設定・管理部20に送信する。前記カード情報としては、カード所有者のID番号などが記憶されている。管理制御部21は、当該カード情報に基づき、当該カードが使用可能であるか否かの判別を行う。なお、前記カードとしては、磁気カードやICカードなどを用いることができる。
【0030】
図1の小分け装置1の正面には、図3に示すように、給液部10に対応する給液量表示器38、給液スイッチ39、逆止弁18およびノズル19と、設定・管理部20に対応する設定量表示器23、キーボード24、管理スイッチ25、スピーカ26、プリンタ27およびカードリーダ28が設けられている。
【0031】
給液方法:
図4Aに示すように、小分け装置1の待機状態において、設定量表示器23には、「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0032】
給液者が図3のカードリーダ28のカード投入口28Aにカードを挿入すると、図2のカードリーダ28が当該カードに記録されたカード情報を読み取り、カード情報を管理制御部21に送信する。
設定・管理部20は、当該カード情報に基づき、該カードが使用可能であれば、図4Bに示すように、設定量表示器23に、「給液量を設定してください」という給液が可能であるという表示を行う。
【0033】
つぎに、給液者は、図3のキーボード24を用いて、これから給液を行う希釈液L2の設定量を入力する。給液者が前記設定量を入力した後、所定の操作を行うと、設定・管理部20が、図4Cに示すように、設定量表示器23に、設定量と給液方法を表示させる。なお、使用される容器Cの種類に応じて、2L,4L,10L,18L,20Lなど複数種類の設定量を予め表示させ、給液者がこれらから給液を行う容器Cに対応する設定量を選択できるようにしてもよい。
一方、設定・管理部20は、当該設定量を給液制御部30に送信する。
【0034】
その後、給液者が図1に示す容器Cにノズル19を挿入し、給液スイッチ39をONすると、給液量表示器38に表示している前回の給液量をゼロに戻し、開閉弁制御手段32が開閉弁14に開弁信号を送信し、開閉弁14が開弁される。
【0035】
開閉弁14が開弁されると、水道水Wが流量調整弁15を通り混合装置16に導入される。混合装置16は、前記水道水Wの流量に対応する原液L1をタンク37から吸い上げ、水道水Wと原液L1とを一定の割合で混合した希釈液L2を計測部17に送る。
【0036】
計測部17は、該計測部17内を通る希釈液L2の流れを検出すると、計測信号を給液制御部30に送信する。積算手段34は、計測部17から計測信号を受信すると、当該計測信号に基づき、計測部17内を通る流量を積算して給液量を算出する。算出された給液量は給液量表示器38にリアルタイムに表示される。
【0037】
前記給液が続けられ、第1CPU31が、積算手段34が算出した給液量と、前記設定・管理部20から受信した設定量とが一致したと判断すると、開閉弁制御手段32が開閉弁14に閉弁信号を送信し、開閉弁14が閉弁される。こうして、所望の量の希釈液L2を数値設定するだけの簡単な操作で確実に得ることができる。
【0038】
その後、第1CPU31が、図5Aに示す設定量表示器23に、容器からノズルを抜いて給液スイッチ39をOFFにする旨の表示を行わせる。
給液者は、容器からノズルを抜き、給液スイッチ39をOFFにする。
【0039】
管理制御部21は、プリンタ27に、給液伝票を発行させた後、図5Bに示すように、設定量表示器23に「伝票を取ってください」という表示を行わせる。
【0040】
その後、管理制御部21は、図5Cに示す初期画面を設定量表示器23に表示させる。
【0041】
なお、前記カードに磁気カードやICカードを用いることにより、カード毎の給液の記録を保存して各種集計を行うようにしてもよい。
たとえば、1回ごとに精算を行うようにしてもよいし、カード毎の給液記録を集計して、たとえば、月末締めでの掛け売りを行うようにしてもよい。
また、設定・管理部20が給液毎に給液量を積算することにより、給液の日報や月報の管理を行うようにしてもよい。
【0042】
なお、図6に示すように容器Cに、たとえば、容器Cの種類毎にRFID(Radio Frequency Identification)タグTrを貼付し、小分け装置1に設けたRFIDリーダ50を用いることにより、当該容器の容量を前記RFIDタグから非接触で読み出すようにすれば、給液者が給液量を入力することなく、当該容器Cの大きさに合った適切な液量を供給することができる。
【0043】
また、ノズル19に操作弁を設けることにより、給液者が該操作弁を開くことで給液が開始されるようにしてもよい。
【0044】
実施例2:
ここで、季節やアスファルトの種類によって、原液L1と水道水Wとの混合比の異なるアスファルト付着防止剤を用いる場合がある。かかる場合には、図11Aに示すように、設定・管理部20に隣接する同一の筐体内に前記混合比の異なるアスファルト付着防止剤の希釈液L2が供給されるホースH、逆止弁18およびノズル19を複数個設けてもよい。
【0045】
図8〜図10、及び図11Aは実施例2を示す。
図8に示すように、小分け装置1には2系統の第1および第2流路10A,10Bが設けられている。
前記流路10A,10Bには、開閉弁14、流量調整弁15、混合装置16a(16b)、計測部17、逆止弁18およびノズル19がそれぞれ設けられている。
【0046】
前記混合装置16a,16bは、それぞれ異なる希釈量に設定されている。たとえば、一方の混合装置16aは水道水Wに対する原液L1の希釈率が10%(希釈倍率10倍)に設定されており、他方の混合装置16bは前記希釈率が5%(希釈倍率20倍)に設定されている。
図11Aに示すキーボード24には、希釈倍率に対応する設定ボタンが設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
給液方法:
図9Aに示すように、小分け装置1(図11A)の待機状態において、設定量表示器23には、「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0048】
給液者が図11Aのカードリーダ28のカード投入口28Aにカードを挿入すると、設定量表示器23に希望する希釈倍率を選択する旨の表示(図9B)がなされる。
給液者がキーボード24の希釈倍率設定ボタンを押すと、図9Cに示すように、設定量表示器23に希釈倍率(20倍)が表示されると共に、「給液量を設定してください」と表示される。
【0049】
つぎに、給液者は、図11Aのキーボード24を用いて、これから給液を行う希釈液L2の設定量を入力する。給液者が前記設定量を入力した後、所定の操作を行うと、設定量表示器23に図9Dに示す画面が表示される。
たとえば、図11A(図8)の左側の第1流路10Aが10倍希釈、右側の第2流路10Bが20倍希釈に設定されている場合、前記設定量表示器23には、「容器にノズルを入れて右側の給液スイッチをONにしてください」と表示される。
【0050】
給液者が図11A(図8)の右側のノズル19を容器Cに入れた後、給液スイッチ39をONにすると、給液量表示器38に表示している前回の給液量をゼロに戻し、図8の第2流路10Bの開閉弁14が開き、給液が開始されると共に、給液量表示器38に給液量がリアルタイムに表示される。
給液量が前記設定量に達すると、開閉弁14が閉じて給液が停止される。
【0051】
その後、図10Aに示すように、設定量表示器23に、ノズル19を容器Cから抜いて給液スイッチ39をOFFにする旨の表示がなされる。
給液者が、容器Cからノズル19を抜き、給液スイッチ39をOFFに設定すると、図11Aのプリンタ27の伝票発行口27Aから給液伝票が発行され、図10Bに示すように、当該給液伝票を取る旨の表示がなされる。
【0052】
その後、図10Cに示すように、設定量表示器23に「カードを読ませてください」という初期画面が表示される。
【0053】
なお、前述の図11Aの変形例として図11Bおよび図12に示すように、設定・管理部20の左右の筐体に実施例1の給液部10を配設して、希釈倍率の異なる希釈液L2が供給されるホースH、逆止弁18およびノズル19を設けてもよい。
【0054】
また、図13に示すように、設定・管理部20に隣接する一の給液部10内のタンク37に第1および第2混合装置16a,16bおよび分岐弁51を設けてもよい。かかる構成によれば、一方のノズル19Aからは、第1混合装置16aによって混合される希釈液L2が吐出される。他方のノズル19Bからは、第1混合装置16aにより生成された希釈液L2に第2混合装置16bにより更に原液L1が混合されることにより、ノズル19Aから吐出される希釈液よりも原液L1の濃度の濃い希釈液L2が吐出される。
なお、分岐弁は希釈液を吐出するノズルに応じて図示しない給液制御部から切り替え制御を行ってもよい。
【0055】
これらの変形例のその他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、アスファルト付着防止剤の小分け装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略斜視図である。
【図2】小分け装置を示す概略構成図である。
【図3】小分け装置を示す概略正面図である。
【図4】設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図5】設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図6】変形例を示す一部破断した小分け装置の概略斜視図である。
【図7】混合装置の動作原理を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施例2にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の実施例2にかかる設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図10】本発明の実施例2にかかる設定量表示器の表示画面を示す概略正面図である。
【図11】図11Aは本発明の実施例2にかかるアスファルト付着防止剤の小分け装置を示す概略正面図、図11Bは変形例を示す小分け装置の概略正面図である。
【図12】変形例を示す小分け装置の概略斜視図である。
【図13】変形例を示す給液部の流路を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1:小分け装置
11:手動開閉弁
12:減圧弁
14:開閉弁
15:流量調整弁
16,16a,16b:混合装置
17:計測部(計量手段の一部)
18:逆止弁
19:ノズル
30:給液制御部
34:積算手段(計量手段の一部)
37:タンク
L:流路
L2:付着防止剤
L1:原液
W:水道水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト付着防止剤の原液を水で希釈して所定濃度の希釈液を得るための小分け装置であって、
前記原液を貯留するタンクと、
水道水の水圧を所定圧に減圧する減圧弁と、
前記減圧弁で減圧された水道水が流れている流路に前記タンクからの原液を混入させて混合することで所定濃度の希釈液を生成する混合装置と、
前記混合装置から吐出された希釈液の給液量を計量する計量手段と、
前記希釈液を吐出するノズルと、
前記希釈液が前記ノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項2】
請求項1において、前記減圧弁から混合装置に至る流路に水の流量を調整する流量調整弁が更に設けられたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記開閉弁が前記減圧弁から前記混合装置に至る流路に設けられているアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項4】
請求項3において、前記ノズルと前記混合装置との間に更に弁が設けられたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記計量手段により計量された希釈液の給液量が予め設定された所定量となったときに前記開閉弁を閉止して前記ノズルから吐出される希釈液を所定量とする制御手段を更に備えたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項1】
アスファルト付着防止剤の原液を水で希釈して所定濃度の希釈液を得るための小分け装置であって、
前記原液を貯留するタンクと、
水道水の水圧を所定圧に減圧する減圧弁と、
前記減圧弁で減圧された水道水が流れている流路に前記タンクからの原液を混入させて混合することで所定濃度の希釈液を生成する混合装置と、
前記混合装置から吐出された希釈液の給液量を計量する計量手段と、
前記希釈液を吐出するノズルと、
前記希釈液が前記ノズルから吐出されるのを停止させる開閉弁とを備えたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項2】
請求項1において、前記減圧弁から混合装置に至る流路に水の流量を調整する流量調整弁が更に設けられたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記開閉弁が前記減圧弁から前記混合装置に至る流路に設けられているアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項4】
請求項3において、前記ノズルと前記混合装置との間に更に弁が設けられたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記計量手段により計量された希釈液の給液量が予め設定された所定量となったときに前記開閉弁を閉止して前記ノズルから吐出される希釈液を所定量とする制御手段を更に備えたアスファルト付着防止剤の小分け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−136765(P2009−136765A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315550(P2007−315550)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
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