説明

アスファルト合材の製造方法及び製造装置

【課題】 リサイクルプラントのみ設置された工場において、設備費をできるだけ低廉にして新規合材を混入したアスファルト合材も製造可能としたアスファルト合材の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 リサイクルプラント16に併設して、アスファルトプラント1より運搬してくる新規合材を受け入れる新規合材受入設備17を設置する。そして新規合材受入設備17の貯蔵ビン40a、40b、40cに新規合材を一旦貯蔵しておき、新規合材と再生合材とを混合した合材出荷時には、貯蔵ビン40a、40b、40cのいずれかのビンから新規合材を払い出して下位の計量槽42にて所定量計量し、ミキサ43に投入すると共に、貯蔵サイロ24から再生廃材を所定量払い出してベルトコンベヤ49を介してミキサ43に供給し、必要に応じて添加剤を所定量添加して所望ののアスファルト合材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト合材を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)の再利用を図るために、廃材を加熱し、この加熱再生した廃材(以下「再生合材」という)を新規骨材に所定割合で混入してアスファルト合材を製造することが行われている。そのため、廃材を加熱して再生する再生合材製造プラント(以下「リサイクルプラント」という)と、新規骨材を加熱してアスファルト合材を製造する新規合材製造プラント(以下「アスファルトプラント」という)とを同一敷地内に併設し、リサイクルプラントにて製造した再生合材をアスファルトプラントのプラント本体部に搭載したミキサに所定量づつ供給してアスファルトを添加しながら混合し、再生合材を混入した所望配合のアスファルト合材を製造することが一般に行われている(特許文献1)。
【0003】
ところで、アスファルト合材は、通常は160℃前後に加熱されており、これを運搬車にて舗装現場まで運搬していくのであるが、運搬時間の経過と共にアスファルト合材の温度が低下するために運搬可能な距離の制限があって、一つのプラント工場からアスファルト合材を供給することが可能な地域範囲というものがある。このため、供給不能な地域にアスファルト合材を供給するもう一つのプラント工場を設置し、供給地域を拡大していくようなことが行われる。
【特許文献1】実開平6−63606号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記のように新規なアスファルト合材(以下「新規合材」という)を製造するアスファルトプラントと再生合材を製造するリサイクルプラントを両方を備えたフル装備のプラント工場を設置していくとなると、多額の設備費を要するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑み、リサイクルプラントのみ設置された工場において、設備費をできるだけ低廉にして新規合材を混入したアスファルト合材も製造可能としたアスファルト合材の製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のアスファルト合材製造装置は、再生合材を製造するリサイクルプラントに併設して、アスファルトプラントより運搬してくる新規合材を受け入れて貯蔵する貯蔵ビンと、該貯蔵ビンの下位に配設した計量槽と、該計量槽の下位に配設したミキサと、該ミキサ内に向けて添加剤を供給する添加剤供給装置とを配設すると共に、リサイクルプラントにて製造した再生合材を前記ミキサへと移送する移送手段とを配設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、再生合材を製造するリサイクルプラントに併設して、アスファルトプラントより運搬してくる新規合材を受け入れて貯蔵する貯蔵ビンと、該貯蔵ビンの下位に配設した計量槽と、該計量槽の下位に配設したミキサと、該ミキサ内に向けて添加剤を供給する添加剤供給装置とを配設すると共に、リサイクルプラントにて製造した再生合材を前記ミキサへと移送する移送手段とを配設したので、リサイクルプラントと同一敷地内にアスファルトプラントを併設するのではなく、アスファルトプラントから運搬してくる新規合材を受け入れる新規合材受入設備及びその他の付属設備のみを設置したことで設備費が低廉となり、かつ再生合材と新規合材とを混合したアスファルト合材も製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によれば、再生合材を製造するリサイクルプラントに併設して、離れて設置したアスファルトプラントより運搬してくる新規合材を受け入れる新規合材受入設備を設置している。新規合材受入設備は新規合材を貯蔵する加熱保温構造の貯蔵ビンを備えると共に、前記貯蔵ビンの下位には、新規合材を計量・混合するための計量槽、ミキサを配設している。また、前記ミキサ内に適宜の添加剤を供給する添加剤供給装置を配設し、更に、リサイクルプラントにて製造した再生合材を前記ミキサへと移送する移送手段を配設している。
【0009】
そして、リサイクルプラント工場において新規合材を混ぜたアスファルト合材を製造するときには、先ず、新規合材を製造するアスファルトプラントにて製造した新規合材を運搬車にてリサイクルプラント工場へと運搬し、新規合材受入設備の貯蔵ビンに一旦貯蔵しておく。そして、出荷時に、貯蔵ビンより新規合材を払い出し、所定量計量後、ミキサに投入すると共に、リサイクルプラントにて製造した再生合材を前記ミキサに投入し、必要に応じて所定量の添加剤を投入しながら混合することによって所定のアスファルト合材を製造する。
【0010】
このように、リサイクルプラント工場には、離れて設置したアスファルトプラントより新規合材を搬入するので、新規合材を受け入れる新規合材受入設備、及びその他の必要な付帯設備のみを設置するだけであり、新規合材を製造するための加熱乾燥装置等が不要であって、設備費が低廉となって容易に増設が可能であり、またリサイクルプラント工場では再生合材は勿論、新規合材も、また新規合材と再生合材を混合したアスファルト合材も出荷できて好都合となる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図中の1は新規合材供給基地となる公知のアスファルトプラントであって、新規骨材を加熱乾燥するドライヤ2、該ドライヤ2から飛散する粉塵を捕捉する集塵装置(図示せず)、加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体3、及びその他の付帯設備で構成されている。
【0013】
前記ドライヤ2は内周部に多数の掻き上げ羽根を周設した円筒状のドラムを回転自在に傾斜支持し、骨材ホッパ4からベルトコンベヤ5を介して供給される新規骨材を掻き上げ羽根で掻き上げて落下させながらドラム内を転動流下させる間にバーナ6より送り込む熱風と接触させて新規骨材を所望温度まで加熱昇温した後、バケットエレベータ7を介してプラント本体3へ供給している。
【0014】
前記プラント本体3はバケットエレベータ7より供給される加熱骨材を粒径別に篩い分ける振動篩8を具備した貯蔵ビン9、石粉エレベータ10より供給される石粉を貯蔵する石粉貯蔵ビン11、それら貯蔵ビン下位に配設した骨材計量槽12、石粉計量槽13、アスファルト計量槽14、及びミキサ15等で構成されている。
【0015】
16は新規合材供給基地となるアスファルトプラント1から離れた所に設置される再生合材製造プラントである公知のリサイクルプラントであり、このリサイクルプラント16にはアスファルトプラント1から運搬されてくる新規合材を受け入れて貯蔵するための新規合材受入設備17を設置している。
【0016】
前記リサイクルプラント16は、廃材を貯蔵する廃材ホッパ18、該廃材ホッパ18から供給される廃材を加熱乾燥するドライヤ19、該ドライヤ19から飛散する粉塵を捕捉する集塵装置(図示せず)、ドライヤ19から排出される再生合材を受け入れるミキサ20、該ミキサ20に投入された再生合材にアスファルトや添加剤を供給するアスファルト供給装置21及び添加剤供給装置22、ミキサ20から排出される再生合材を搬送するスキップエレベータ23、及び再生合材を貯蔵する貯蔵サイロ24等で構成されている。
【0017】
前記ドライヤ19は内周部に多数の掻き上げ羽根を周設した円筒状のドラムを回転自在に傾斜支持し、廃材ホッパ18からベルトコンベヤ25を介して供給される廃材を掻き上げ羽根で掻き上げて落下させながらドラム内を転動流下させる間にバーナ26より送り込む熱風と接触させて廃材を所望温度まで加熱昇温した後、ミキサ20へ所定量ずつ排出している。
【0018】
前記ミキサ20内に向けてアスファルト、添加剤を供給するためのアスファルト供給装置21及び添加剤供給装置22は、アスファルトや添加剤をそれぞれを貯蔵するアスファルトタンク27、添加剤タンク28を備え、ポンプ29、30を介してそれぞれの計量槽31、32に供給し、所定のタイミングにてポンプ33、34を駆動してミキサ20に供給するようにしている。ミキサ20にてアスファルトや添加剤を添加して混合調整された再生合材はスキップエレベータ23の移送用バケット35に払い出され、該移送用バケット35の往復走行によって貯蔵サイロ24に貯蔵される。
【0019】
リサイクルプラント16側部近くに併設される新規合材受入設備17は、アスファルトプラント1から供給される新規合材を受け入れる加熱保温構造の受入ホッパ36を備え、該受入ホッパ36にて受け入れた新規合材はスクリューコンベヤ37にてスキップエレベータ38の移送用バケット39に所定量払い出され、移送用バケット39にて加熱保温構造とした適宜数の貯蔵ビン40a、40b、40cの上位に移送され、移動トロリ41によって所定の貯蔵ビンに投入されて貯蔵される。
【0020】
前記貯蔵ビン40a、40b、40cの下位には各貯蔵ビン間を移動する計量槽42、更にその下位にミキサ43が配設されている。また、ミキサ43内に向けて添加剤を供給するために添加剤供給装置44が配設されており、添加剤タンク45内の添加剤をポンプ46によって計量槽47へと供給して所定量計量し、計量槽47の排出側のポンプ48の駆動によって添加剤をミキサ43内に向けて供給するようになっている。また、リサイクルプラント16の再生合材の貯蔵サイロ24にて貯蔵した再生合材をミキサ43へと移送するベルトコンベヤ49などの適宜の移送手段を配設し、新規合材に再生合材を混入できるようにしている。
【0021】
次に、リサイクルプラント16にて再生合材と新規合材を混合したアスファルト合材を製造する方法について述べる。先ず、新規合材供給基地となるアスファルトプラント1においてリサイクルプラント16の工場向けの新規合材を製造する必要がある。この場合、骨材ホッパ4より所望の新規骨材を切り出し、ドライヤ2にて加熱し、バケットエレベータ7によってプラント本体3上部に持ち上げ、振動篩8により篩い分けして骨材貯蔵ビン9に貯蔵していく。そして、合材出荷指令により、骨材貯蔵ビン9から所望粒径の加熱骨材を払い出し、骨材計量槽12で計量するとともに、石粉計量槽13やアスファルト計量槽14にて石粉やアスファルトを所定量計量後、ミキサ15に順次投入して混合調整し、所望配合のアスファルト合材を製造する。
【0022】
製造された新規合材は、待機した運搬車に積み込んでリサイクルプラント16の工場へと運搬される。リサイクルプラント16側に運搬されてきた新規合材は、受入ホッパ36に投入されてスクリューコンベヤ37によって切り出されてスキップエレベータ38の移送用バケット39に積み込まれ、貯蔵ビン40a、40b、40c上部へと移送され、移動トロリ41によって新規合材の種類に応じて所定の貯蔵ビンへと供給されて一旦貯蔵される。
【0023】
また、リサイクルプラント16では、廃材ホッパ18より所望の廃材を切り出し、ドライヤ19にて加熱し、加熱した再生合材をミキサ20に所定量づつ投入すると共に、必要に応じてアスファルト供給装置21や添加剤供給装置22からアスファルトや添加剤を適宜投入して混合調整し、スキップエレベータ23の移送用バケット35に積み込み、貯蔵サイロ24へと供給して貯蔵する。
【0024】
そして、新規合材と再生合材とを混合したアスファルト合材の出荷要請があれば、貯蔵ビン40a、40b、40cのいずれかのビンから新規合材を払い出して計量槽42にて所定量計量し、ミキサ43に投入すると共に、貯蔵サイロ24から再生合材を所定量払い出してベルトコンベヤ49によってミキサ43に供給し、必要に応じて計量槽47にて所定量計量した添加剤をミキサ43内に添加して混合調整して所望のアスファルト合材を製造する。
【0025】
なお、前記では、新規合材と再生合材とを混合したアスファルトを出荷する例を説明したが、新規合材受入設備17にて100%新規合材を出荷することも可能であり、またリサイクルプラント16では100%再生合材を出荷できることは勿論である。
【0026】
このように、リサイクルプラント16に併設して新規合材受入設備17を設置し、リサイクルプラント16から離れたアスファルトプラント1から運搬された新規合材を受け入れて貯蔵するようにすれば、リサイクルプラント16には新規骨材を加熱乾燥する装置等が不要となり、設備費が低廉となり、また設置スペースも少なく済むので容易に増設が可能である。また、リサイクルトプラント工場では再生合材は勿論、新規合材も、また新規合材と再生合材を混合したアスファルト合材も製造できて好都合となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るアスファルト合材製造方法の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るアスファルト合材製造装置の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1…アスファルトプラント 16…リサイクルプラント
17…新規合材受入設備 19…ドライヤ
20…ミキサ 21…アスファルト供給装置
22…添加剤供給装置 23…スキップエレベータ
24…貯蔵サイロ 36…受入ホッパ
38…スキップエレベータ 40a、40b、40c…貯蔵ビン
41…移動トロリ 42…計量槽
43…ミキサ 44…添加剤供給装置
47…計量槽(添加剤) 49…ベルトコンベヤ(移送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトプラントにて製造した新規合材を運搬車にてアスファルトプラントと離れて設置した新規合材受入設備を備えたリサイクルプラントに運搬し、新規合材受入設備の貯蔵ビンに一旦貯蔵し、合材出荷時には、貯蔵ビンより新規合材を所定量計量してミキサに投入すると共に、リサイクルプラントにて製造した再生合材を所定割合で混入して所定のアスファルト合材を製造することを特徴とするアスファルト合材の製造方法。
【請求項2】
再生合材を製造するリサイクルプラントに併設して、アスファルトプラントより運搬してくる新規合材を受け入れて貯蔵する貯蔵ビンと、該貯蔵ビンの下位に配設した計量槽と、該計量槽の下位に配設したミキサと、該ミキサ内に向けて添加剤を供給する添加剤供給装置と、リサイクルプラントにて製造した再生合材を前記ミキサへと移送する移送手段とを配設したことを特徴とするアスファルト合材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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