説明

アセタールアミドを含むポリマー架橋性組成物

アミドアセタール基を含むポリマー組成物はアミドアセタール基を加水分解することにより架橋され、形成されるヒドロキシル基および/またはアミン官能基は反応して組成物を架橋させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミドアセタール基を含むポリマー組成物であって、アミドアセタール基を加水分解し、その後、形成されるヒドロキシル基および/またはアミン官能基を反応させてポリマー組成物を架橋させることにより架橋されるポリマー組成物について記載するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの架橋(硬化)は、エレクトロニクスのために用いられるような、例えば、エラストマー、コーティングおよび熱硬化性材料において有用である重要な商業活動である。いつおよびどんな条件下で架橋が起きるかを制御することは通常は決定的に重要である。なぜなら、一旦ポリマーが架橋すると、ポリマーは通常は「加工可能」ではない、すなわち、ポリマーは再成形できないからである。コーティングおよび電子用途などの幾つかの用途において、エレクトロニクスなどの敏感な装置を汚染しないように、および/またはコーティングの場合のように環境を汚染しないように、ポリマーの架橋中またはポリマーの架橋後に、より低い分子量の化合物が揮発しないことが望ましいか、または必須でさえある場合がある。
【0003】
硬化中に揮発性化合物の生成を避けるために多くの方法が見出されてきた。例えば、エポキシ基とヒドロキシル基などの他の基との反応がこの結果を達成しうるが、原料を混合した後で制御するのは時によって難しい。更に、より高い温度がこの運転のために必要とされる場合がある。特に周囲条件に近い条件下でしばしば硬化されなければならず、そして硬化の前に長期間にわたってしばしば安定でなければならないコーティングにおいてこれらの種類の問題を避けるために、スピロオルトエステルの使用などの他の解決策が見出されてきた。例えば特許文献1を参照すること。しかし、ポリマーを架橋する新規方法および/または改善された方法が必要とされている。
【0004】
コーティングに関して、ベースコート−クリアコート系が自動車仕上塗りとして過去10年の間に広く受け入れられてきた。全体的な外観、トップコートの透明性、および耐劣化性を改善するために、継続的な努力がこうしたコーティング系に向けられてきた。更なる努力が低揮発性有機分(VOC)を有するコーティング組成物の開発に向けられてきた。適用後に優れた性能特性を提供するコーティング配合物が必要とされ続けている。
【0005】
自動車ボディへの窪み傷などの損傷を修理する際に、損傷面内および損傷面周囲の元来のコーティングは、典型的には機械的手段によってサンダーで取られるか、または研磨で取られる。時によっては、元来のコーティングは自動車ボディの一部から、または自動車ボディ全体から剥ぎ取られて、下にある剥き出しの金属を露出させる。損傷を修理した後、修理された表面は、可搬式または固定式の低コスト塗装用カバー内で好ましくは低VOCコーティング組成物で被覆され、低VOCコーティング組成物は大気に排出されて、環境的に安全な方式で適用されたばかりのペイントコーティングから有機溶媒を除去する。典型的には、適用されたばかりのペイントの乾燥および硬化はこれらのカバー内で行われる。更に、前述した乾燥工程および硬化工程はカバー内で行って、湿ったペイントが空気中の埃または他の異物を引き寄せることも妨げる。
【0006】
これらのペイントカバーが典型的に狭い自動車ボディペイント修理工場の相当なフロアスペースを占めるので、これらの工場は可能な限り速くこれらのペイントを乾燥させ硬化させることを望む。より高価なカバーには、適用されたばかりのペイントを加速された速度で硬化させるためにカバーの内部に配置された従来型熱ランプなどの熱源を設けること
が多い。従って、工場のフロアスペースのより費用効果に優れた使用を提供するとともに溶媒系コーティング組成物からの湿ったコーティングから生じる火災の危険を最少化するために、優れた性能特性をなお提供しつつ周囲条件下で硬化する低VOC速硬性コーティング配合物が必要とされ続けている。
【0007】
アミドアセタールは、特許文献2で開示されたように、例えばポリイソシアネートとの共重合の際に用いられてきた。しかし、アミドアセタール基の加水分解を介したアミドアセタール含有組成物の架橋を記載している参考文献は全くない。本発明は、VOC放出物による潜在的問題を引き起こさずに迅速に乾燥し硬化するアミドアセタール系コーティング組成物を提供する。
【0008】
【特許文献1】国際公開第9731073号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,721,767号明細書
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、
(a)
(i)第1のポリマーの分子に結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミン基と反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤は該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミン基と反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第2の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる組成物に関する。
【0010】
(a)
(i)第1のポリマーの分子に結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤が該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)水、および
(iv)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(v)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーが該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)水、および
(iv)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(v)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒を含んでなる第2の組成物も本明細書において開示される。
【0011】
非架橋形態のポリマー組成物を水にさらして、該ポリマー組成物を架橋させることを含んでなる該ポリマー組成物の第1の架橋方法であって、但し、該ポリマー組成物が、
(a)
(i)第1のポリマーに結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤は該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)該ヒドロキシル基または第二アミンと該第2の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる方法も本明細書において開示される。
【0012】
本発明は、
(A)ポリマーコーティング組成物を非架橋形態で基材に適用し、
(B)非架橋形態の該ポリマーコーティング組成物を水にさらし、そして
(C)非架橋形態の該ポリマーコーティング組成物を架橋させる
ことを含んでなる架橋されたコーティングの第2の形成方法であって、但し、該ポリマー組成物が、
(a)
(i)第1のポリマーに結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤が該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、および
(iv)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(v)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーが該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、および
(iii)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる方法にも関連する。
【0013】
発明の詳細な記述
本明細書におけるポリマーは、約100〜約100,000の数平均分子量を有するエンティティ(entities)を意味する。好ましくは、ポリマーの数平均分子量は約100〜約3000である。
【0014】
本明細書におけるオリゴマーは、約3000未満の数平均分子量を有するポリマーを意味する。
【0015】
本明細書におけるアミドアセタール基は以下の式の基を意味する。
【0016】
【化1】

【0017】
式中、R4149は独立して水素、C〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキニル基、C〜C20アリール基、C〜C20アルキルエステル基またはC〜C20アラルキル基を表し、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアラルキルはそれぞれハロ、アルコキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルコキシシランおよびアミドアセタール(二官能性)ならびにカルバモイルよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基を有してもよい。
【0018】
無傷のアミドアセタール基は、加水分解などの所望のあらゆる反応が起きる少なくとも前にスピロ基の2個の環がなお存在することを意味する。
【0019】
アミドアセタールは、ナトリウム系触媒による以下の反応で示したように適切なジアルコールアミン(「ジオール」中にも存在しうる例えば他の一切のヒドロキシアルキル基を含まない)とニトリルとの反応によって製造することが可能である。
【0020】
【化2】

【0021】
あるいは、アミドアセタールは、以下の反応において例として示したようにジアルコールアミドとジアルキルカーボネートとの反応によっても製造することが可能である。
【0022】
【化3】

【0023】
本明細書における架橋性組成物において、アミドアセタール基は幾つかの形態(以下参照)を取って存在し、架橋反応は、水がこれらの基に接触して、これらの基を加水分解する時に開始させることが可能である。水は、純粋形態の水、水分、湿潤空気、湿潤ガスまたはガスの混合物、あるいは水が均質混合物または不均質混合物中に存在しうる他の一切の水性または非水性媒体を意味する。こうした媒体は液体状または気体状であってもよい。
【0024】
アミドアセタールを単純に加水分解する時、アミノヒドロキシエステルが形成され、その後、それは、以下で例示するようにアミドジオールに転化する。アミノヒドロキシエステルおよびアミドジオールは、アミノヒドロキシエステルのアミドジオールへの転化の反応を時間、温度、pHおよび反応混合物中に存在するウレタン形成用触媒によって制御できる時に同時に存在する。アミドジオールの利点は、架橋剤と反応する前にアミドジオールが最終製品において最少黄変を示すことである。架橋剤との迅速な反応は、製品中のアミン官能基の黄変を避ける。これらの加水分解生成物の両方は、二重反応部位の存在のゆえに架橋剤である。アミノヒドロキシエステルの場合、反応部位は第二アミン基とヒドロキシル基である。アミドジオールの場合、反応性基はヒドロキシルまたはジオールである。
【0025】
【化4】

【0026】
この反応において、比較的揮発性の低分子量製品を生成しないことに留意されたい。これらの反応が酸触媒作用を受けうるので、アミドアセタールの開環の多少は単純開環でなくてカチオン重合につながりうる。本明細書において好ましくは、存在するアミドアセタールの主要なモル部分は単純に開環することが可能であり、重合しない。より好ましくは、少なくとも約75モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%は単純に開環することが可能であり、重合しない。重合は高温で一般に起きる。
【0027】
本明細書における第1の組成物および第2の組成物中に、そして第1のプロセスおよび第2のプロセスにおいて用いられる材料中に、(a)(i)および(b)(ii)におけるアミドアセタール基を様々な方法によって含めることが可能である。一例において、[(b)(ii)における]アミドアセタールを「モノマー」化合物として含めることが可能であり、この「モノマー」化合物を加水分解することが可能であり、従って、反応性ヒドロキシル基を提供する。
【0028】
あるいは、アミドアセタール基は、[(a)(i)における](おそらくは低分子量)ポリマーの一部であってもよい。例えば、(まだ加水分解されてなかった)ジヒドロキシアミドアセタールは、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)などの過剰のジイソシアネートと反応して、イソシアネート末端化「プレポリマー」を形成することが可能であり、イソシアネート末端化「プレポリマー」は水にさらされるとアミドアセタールの加水分解を受け、ヒドロキシル基を形成し、それは、残りのイソシアネート基と反応してポリマーを架橋させる。アミドアセタールがイソシアネートの水との反応より速くしばしば加水分解するので、これは、このタイプのポリマーに関する架橋反応の主要モードであると考えられる。エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオールなどの他のジオールも形成される(プレ)ポリマーに向け共重合することが可能である。イソシアネート含有(プレ)ポリマーのこのタイプにおいて、アミドアセタール基は、形成されたポリマーの(分岐上でない)主鎖の(少なくとも加水分解前)部分である。
【0029】
アミドアセタールについて、ヒドロキシルまたは第二アミンと反応し得る官能基を有する架橋剤または第2のポリマーの例は次の通りである。
【0030】
【化5】

【0031】
式中、R60はヒドロカルビル構造である。
【0032】
適するポリイソシアネートの例には、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造単位を有するポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート2モルとエチレングリコールなどのジオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレチジオン、イソホロンジイソシアネートのウレチジオンまたはイソホロンジイソシアネート、トリメチロールプロパンとメタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネートの付加体を含む芳香族、脂肪族または脂環式のジ−、トリ−またはテトラ−イソシアネートが挙げられる。
【0033】
適するポリイソシアネートの追加の例には、1,2−プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、オメガ,オメガ−ジプロピルエーテルジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、トランス−ビニリデンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、キシレンジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−ジメチル−2,4−ビス(2−イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、4,4’−ジイソシアナトジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、3,3−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、ジイソシアナトナフタレン、イソシアヌレート構造単位を有するポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート2モルとエチレングリコールなどのジオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルと水1モルの付加体(「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)Nという商標でペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル・コーポレーション(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA))から入手できる)、トリメチロールプロパン1モルとトルエンジイソシアネート3モルの付加体(「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)Lという商標でバイエル・コーポレーション(Bayer Corporation)から入手できる)、トリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルの付加体、1,3,5−トリイソシアナトベンゼンおよび2,
4,6−トリイソシアナトトルエンなどの化合物、ならびにペンタエリトリトール1モルとトルエンジイソシアネート4モルの付加体が挙げられる。
【0034】
(a)(i)における第1のポリマーは無傷(加水分解前)のアミドアセタール基を含み、架橋剤はヒドロキシル基または第二アミン基と反応する第1の官能基を含む。架橋剤は、MDI、TDI、HMDIまたはIPDIなどのジイソシアネートなどのモノマー化合物またはエポキシ樹脂であってもよいか、または第1の官能基を含むポリマーであってもよい。例えば、架橋剤は、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートまたはグリシジル(メタ)アクリレートから誘導された反復単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーであってもよい。(a)(i)および(a)(ii)が同じポリマーにおいて「組み合わされる」、すなわち、単一ポリマーが(a)(i)と(a)(ii)の両方として機能することも可能である。例えば、アミドアセタールを2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートまたはグリシジル(メタ)アクリレートおよび場合により他の共重合性モノマーと共重合することが可能である。単一ポリマーが水分にさらされる時、おそらくアミドアセタール基は加水分解し、アミノヒドロキシ基を形成し(この基は前に示したヒドロキシル基に最終的に転化する)、それは次にイソシアネート基、無水カルボン酸基、メラミン基、シラン基またはエポキシド基のどれでも存在する基と反応する。この(a)(i)および(a)(ii)は単一ポリマーとして組み合わせてもよいか、または2種以上の物質であってもよい。
【0035】
似たように、(b)(ii)は、1個もしくはそれ以上のアミドアセタール基、より好ましくは1個のアミドアセタール基を含むモノマー化合物であってもよい。
【0036】
本発明の好ましい1実施形態において、ヒドロキシルまたは第二アミンと反応し得る第2の官能基を有する第2のポリマーは、3000未満の数平均分子量を有する。この第2のポリマーのために好ましい官能基はイソシアネートである。
【0037】
ここで用いられるヒドロキシルまたは第二アミンと反応し得る官能基を有する架橋剤または第2のポリマーの特定の例はバイエル(Bayer)製の「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300化合物である。「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300の理想的構造を次に示す(五量体、六量体およびより高い分子量の物質も存在することが可能である)。
【0038】
【化6】

【0039】
アミドアセタールは分岐の一部としてポリマー中に存在してもよい。例えば、モノヒドロキシルアミドアセタールはエステル化によって(メタ)アクリレートエステルに転化し
てもよく、以下の得られた(メタ)アクリルエステルは、(メタ)アクリレートおよびスチレンなどの他のラジカル共重合性モノマーとラジカル共重合することが可能である。類似の変形は当業者に対して明らかであろう。
【0040】
【化7】

【0041】
ヒドロキシル基または第二アミン基と反応する第1の官能基または第2の官能基を有する材料も(a)(ii)または(b)(i)としてこれらの成分中におよびこれらの成分を用いるプロセス中に存在する。この反応は、架橋反応のために選択された条件下で行われるべきである。これらの条件は、周囲条件あるいは加熱条件または反応を進めるように刺激するために用いてもよい他の条件であってもよい。好ましくは、ヒドロキシル基または第二アミン基との反応は、空気中に通常見られるもの(CO、水など)を除き、一切の揮発性低分子量化合物をもたらすべきでない。ヒドロキシル基または第二アミン基と反応する典型的な基には、イソシアネート(イソシアヌレートトリマーを含む)、エポキシド、無水カルボン酸(特にポリマーの一部であるもの)、メラミンおよびシランが挙げられる。イソシアネート、メラミンおよびシランはコーティングのために特に好ましい。
【0042】
本明細書における組成物のいずれにおいても、ポリマー材料は比較的低い分子量から比較的高い分子量まで及んでもよい。架橋前に組成物の粘度を低く保つとともに溶媒の必要性を避けるか、または最少化するためにポリマー材料が比較的低い分子量であることが好ましい。
【0043】
本明細書における第2の組成物は水を含む。水が組成物中に存在するアミドアセタール基に接触するにつれて、アミドアセタール基は加水分解し始め、最後に組成物の架橋につながることが理解されるべきである。これは、基本的に本明細書における第1のプロセスおよび第2のプロセスにおいて起きることである。水を様々な方法で導入してもよい。例えば、特にコーティングの場合、水は、空気からの吸収によって未架橋コーティングまたは架橋コーティング(架橋が起きつつある間に)に導入してもよい。これは、(湿り)空気にさらされるまで安定である未架橋コーティング組成物を製造するために非常に便利である。あるいは、水は、架橋を行おうとする直前に(コーティングのための)混合ヘッドまたは吹き付け混合ヘッド内で混合してもよい。これは、より厚い部分への水分の拡散がより長くかかる電子カプセル材料などのより厚い架橋品を製造するために特に有用である。水の導入は、架橋が起きる前にポリマー架橋部品の最終形状を形成できる時点にあることが可能である。
【0044】
組成物およびプロセス中に場合により存在してもよい他の材料は1種もしくはそれ以上の溶媒を含む(溶媒としてのみ機能するものである)。これらは、好ましくは、第1の官能基または第2の官能基および/またはアミドアセタールのいずれかと反応し得るヒドロキシルあるいは第一アミンまたは第二アミンなどの基を含まない。アミドアセタールの加水分解のための1種もしくはそれ以上の触媒は存在してもよい。これらは、典型的にはブレンステッド酸であるが、これらの酸は、存在しうるアミドアセタールおよび/またはエ
ポキシドの実質的にカチオン性の開環重合を引き起こすほどには強くないのがよい。アミドアセタール基の実質的にカチオン性の開環重合が起きる場合、これは、組成物の早期架橋にしばしばつながりうる。同じ注意は、ヒドロキシル基またはアミノヒドロキシ基と第1の官能基または第2の官能基との反応に触媒作用を及ぼす存在しうるいかなる触媒についても言明することができる。これらの触媒が何であってよいかは、存在する第1の官能基または第2の官能基が何であるかによって異なる。こうした触媒は当該技術分野で知られている。
【0045】
ポリイソシアネートのために適する触媒の幾つかには、1種もしくはそれ以上の錫化合物、第三アミンまたはそれらの組み合わせ、および1種もしくはそれ以上の前述した酸触媒を挙げることが可能である。適する錫化合物には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸第一錫およびジブチル錫酸化物が挙げられる。ジブチル錫ジラウレートは好ましい。適する第三アミンには、トリエチレンジアミンが挙げられる。使用できる1種の市販触媒は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム・ノースアメリカ(Elf−AtoChem North America,Inc.(Philadelphia,PA))によって販売されている「ファストキャット(Fastcat)(登録商標)4202ジブチル錫ジラウレートである。当業者が触媒の活性を遮断するために酢酸またはこうした弱酸を使用できることは認められる。
【0046】
本組成物および本組成物を架橋させるプロセスは、カプセル材料、シーラントおよびコーティングとして有用である。それらは、コーティング、特に交通用(自動車用)コーティングおよび工業用コーティングとして有用である。交通用コーティングとして、それらは、OEM(相手先ブランド供給業者)コーティングと自動車塗換コーティングの両方として有用である。それらは、プライマーコーティングとしても有用な場合がある。それらは、しばしば周囲条件下で硬化してハードコーティングを強化し、いわゆるベースコートとクリアコートの自動車コーティングの一方または両方として用いてもよい。これは、交通車両の再塗装のためにそれらをその分野で特に有用にする。カプセル材料およびシーラントにおける本材料およびプロセスの利点は、アミドアセタールを架橋反応で用いる時、得られた製品が収縮しないか、または典型的な架橋反応において普通である程度に収縮することである。これは、架橋された材料によって満たされるべきいかなる体積も架橋中の収縮のゆえに空隙が存在する可能性が低くて、より確実に満たされることを意味する。
【0047】
本明細書に記載されたプロセスにおいて用いられる組成物および材料をどう利用するかに関して、こうした組成物および材料は、こうした利用において従来通り用いられる他の材料を含有してもよい。例えば、カプセル材料およびシーラントとして用いるために、組成物は充填剤、顔料および/または酸化防止剤を含有してもよい。
【0048】
コーティングに関して、無数の他の原料が存在してもよく、それらの幾つかを以下で記載する。(a)(ii)または(b)(i)として機能してよいか、あるいは(a)(ii)または(b)(i)として機能してよい基以外の官能基を有するか、または不活性のいずれかである他のポリマー(特に低分子量のポリマー、「官能化オリゴマー」)が特に存在してもよい。
【0049】
コーティングの成分または潜在的な架橋剤として使用できる官能化オリゴマーの代表的なものは以下のものである。
【0050】
酸オリゴマー:ペンタエリトリトール、ヘキサンジオールおよびトリメチロールプロパンなどの多官能性アルコールとヘキサヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの環式モノマー無水物との反応生成物。
【0051】
ヒドロキシルオリゴマー:ブチレンオキシドおよびプロピレンオキシドなどの1官能性エポキシドと更に反応させた上の酸オリゴマー。
【0052】
酸無水物オリゴマー:ケテンと更に反応させた上の酸オリゴマー。
【0053】
シランオリゴマー:イソシアナトプロピルトリメトキシシランと更に反応させた上のヒドロキシルオリゴマー。
【0054】
エポキシオリゴマー:チバ・ガイギー(Ciba Geigy)製の「アラルダイト(Araldite)」(登録商標)CY−184などのシクロヘキサンジカルボン酸のジグリシジルエステル、およびユニオンカーバイド(Union Carbide)製のERL(登録商標)−4221などの脂環式エポキシドなど。
【0055】
アルジミンオリゴマー:イソブチルアルデヒドとイソホロンジアミンなどのジアミンとの反応生成物など。
【0056】
ケチミンオリゴマー:メチルイソブチルケトンとイソホロンジアミンなどのジアミンとの反応生成物。
【0057】
メラミンオリゴマー:サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)製の「サイメル(CYMEL)」(登録商標)1168などの市販されているメラミン。
【0058】
AB−官能化オリゴマー:上の酸オリゴマーと当量を基準にして50%のブチレンオキシドなどの1官能性エポキシとの更なる反応によって製造される酸/ヒドロキシル官能性オリゴマーまたは上述したヒドロキシルオリゴマーと酸オリゴマーのブレンドあるいは上述した任意の他のブレンド。
【0059】
CD−官能化架橋剤−ジキシ・ケミカル(Dixie Chemical)製の「ソルビトール(Sorbitol)DCE−358(登録商標)のポリグリシジルエーテルなどのエポキシ/ヒドロキシル官能性架橋剤または上述したヒドロキシルオリゴマーとエポキシ架橋剤のブレンドあるいは上述した任意の他のブレンド。
【0060】
本発明の組成物は、非環式オリゴマー、すなわち直鎖または芳香族である非環式オリゴマーの結合剤を更に含んでもよい。こうした非環式オリゴマーは、上述したような酸オリゴマー中の例えば、無水コハク酸誘導部分または無水フタル酸誘導部分を含むことが可能である。
【0061】
好ましい官能化オリゴマーは、約3000を超えない重量平均分子量を有し、多分散性は約1.5を超えない。より好ましいオリゴマーは約2,500を超えない分子量および約1.4を超えない多分散性を有し、最も好ましいオリゴマーは、約2,200を超えない分子量および約1.25を超えない多分散性を有する。典型的には、組成物は、コーティング中の(i)および(ii)の全重量を基準にして約20〜約80重量%の官能化オリゴマーを含んでなる。好ましくは、組成物は、コーティング中の(i)および(ii)の全重量を基準にして約30〜約70重量%の官能化オリゴマーを含んでなる。より好ましくは、組成物は、コーティング中の(i)および(ii)の全重量を基準にして約40〜約60重量%の官能化オリゴマーを含んでなる。他の添加剤は、イソフェロンジアミンなどのジアミンとジエチルマレエートなどのジアルキルマレエートの反応生成物であるポリアスパラギン酸エステルも含む。
【0062】
コーティング組成物は、少なくとも1種の溶媒に溶解させた高固形物コーティング系に向けて配合してもよい。溶媒は通常は有機である。好ましい溶媒には、石油ナフサまたはキシレンなどの炭化水素、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンまたはアセトンなどのケトン、酢酸ブチルまたは酢酸ヘキシルなどのエステル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステルが挙げられる。
【0063】
コーティング組成物は、改善された外観、耐サグ性、流動および平滑化などのために、3,000を上回る重量平均分子量のアクリルポリマーまたはエトナ・プロダクト(Etna Product Inc.)製のSCD(登録商標)−1040などの従来のポリエステルの結合剤を含有することも可能である。アクリルポリマーは、アクリレート、メタクリレートおよびスチレンなどの典型的なモノマーならびにヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレートまたはガンマメタクリリルプロピルトリメトキシシランなどの官能性モノマーからなることが可能である。
【0064】
コーティング組成物は、粒子が立体安定化として知られている安定化によって安定化されている有機媒体に分散させたポリマー粒子である分散アクリル成分の結合剤も含有することも可能である。以後、立体バリアによって覆われた分散相または分散粒子を「高分子ポリマー」または「コア」と呼ぶ。このコアに結合された安定剤形成用立体バリアを「マクロモノマー鎖」または「アーム」と呼ぶ。
【0065】
分散ポリマーは、分散ポリマーの重量を基準にして約10〜90重量%、好ましくは50〜80重量%の約50,000〜500,000の重量平均分子量を有する高分子量コアを含む。好ましい平均粒度は0.1〜0.5マイクロメートルである。コアに結合されたアームは分散ポリマーの約10〜90重量%、好ましくは10〜59重量%を構成し、約1,000〜30,000、好ましくは1,000〜10,000の重量平均分子量を有する。分散ポリマーの高分子コアは、場合によりエチレン系不飽和モノマーと共重合させた重合済みアクリルモノマーよりなる。適するモノマーには、スチレン、アルキルアクリレートまたはメタクリレート、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはシラン含有モノマーが挙げられる。メチルメタクリレートのようなモノマーは、高Tg(ガラス転移温度)分散ポリマーに寄与するのに対して、ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートのような「軟化性」モノマーは低Tg分散ポリマーに寄与する。場合による他のモノマーは、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートあるいはアクリロニトリルである。場合により、高分子コアは、アリルメタクリレートなどのジアクリレートまたはジメタクリレートの使用を通して、またはヒドロキシル部分と多官能性イソシアネートとのポスト反応を通して架橋させることが可能である。コアに結合された高分子アームは、定着および/または架橋のためにアルキル基中に1〜12個の炭素原子を各々が有するアルキルメタクリレート、アルキルアクリレート、およびグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートあるいはエチレン系不飽和モノカルボン酸の重合済みモノマーを含むことが可能である。典型的には有用なヒドロキシ含有モノマーは、上述したようなヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートである。
【0066】
コーティング組成物は、顔料、安定剤、レオロジー調整剤、流動剤、強化剤および充填剤などの従来の添加剤を含有することも可能である。こうした追加の添加剤は、もちろん、コーティング組成物の意図した用途に応じて異なる。組成物をクリアコーティングとして意図する場合、充填剤、顔料および硬化コーティングの透明性に悪影響を及ぼす他の添加剤を含めない。
【0067】
コーティング組成物は、吹き付け、静電吹き付け、ロール被覆、ディッピングまたはブラシ掛けなどの従来の技術によって基材に典型的に適用する。上述したように、大気の水
分はコーティングに「拡散」するとともに硬化を引き起こしうるか、または別法としてコーティングを適用する直前に、混合吹き付けヘッドのようにコーティングを適切な量の水と混合する。これらの後者の条件下で、コーティングが架橋する前にコーティングを適用することが重要である。本配合物は、自動車および他の車両のボデイパーツなどの屋外物品のためのクリアコーティングとして特に有用である。基材は、本組成物による被覆の前にプライマーおよび/またはカラーコートあるいは他の表面配合物で一般に製造される。
【0068】
コーティング組成物の層は、30分〜24時間の範囲内、好ましくは30分〜3時間の範囲内で周囲条件下で硬化されて、所望のコーティング特性を有するコーティングを基材上に形成する。実際の硬化時間が適用された層の厚さおよび硬化速度を促進するための被覆基材上の空気の連続流動を助けるファンなどの追加のいずれかの機械的補助具に応じて異なることは理解される。必要ならば、硬化速度は、一般に約60℃〜150℃の範囲内の温度で約15〜90分にわたり被覆済み基材を焼き付けることにより更に加速してもよい。前述した焼き付け工程は、OEM(相手先ブランド供給業者)条件下で特に有用である。
【0069】
実施例および実験において、以下の略語を用いる。
【0070】
NMR−核磁気共鳴イメージング
RB−丸底
RT−室温
THF−テトラヒドロフラン
TLC−薄層クロマトグラフィ
【実施例】
【0071】
実験
実験1:アミドアセタールの製造
実施例1
1−アザ−(3,5,7−トリメチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた2リットルフラスコ内に、ジイソプロパノールアミン(881.69g、6.67モル)、アセトニトリル(681.9g、15.86モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(16.27g、0.71モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約68時間にわたり80℃に加熱した。
【0072】
反応混合物を室温に冷却した。過剰のアセトニトリルを減圧(約5トル〜約40トル)下で除去した。反応粗原料の真空分留は、異性体の混合物として約2.3トルの真空で約69℃〜約72℃で沸騰する425.59gの製品、1−アザ−(3,5,7−トリメチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(収率40.89%)をもたらした。
【0073】
実施例2
1−アザ−(3,7−ジメチル−5−ブチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた2リットルフラスコ内に、ジイソプロパノールアミン(541.8g、4.07モル)、バレロニトリル(850g、10.24モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(15.0g、0.65モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約68時間にわたり80℃に加熱した。
【0074】
反応混合物を室温に冷却した。過剰のバレロニトリルを減圧(約5トル〜約40トル)下で除去した。反応粗原料の真空分留は、異性体の混合物として約2.4トルの真空で約90℃〜約97℃で沸騰する99.23gの製品、1−アザ−(3,7−ジメチル−5−ブチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(収率11.8%)をもたらした。NMR分析によると、少量のジイソプロパノールアミンで若干汚染された製品が示された。この材料を純度が似ていた第2の反応からの製品(約100g)と組み合わせた。こうした得られた製品の真空分留は、約0.48トルの真空で約70℃〜約72℃で沸騰する所望の材料、1−アザ−(3,7−ジメチル−5−ブチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンをもたらした。
【0075】
実施例3
1−アザ−(5−メチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させたガラスフラスコ内に、ジエタノールアミン(177.0g、1.68モル)、アセトニトリル(167.8g、3.90モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.80g、0.035モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約24時間にわたり80℃に加熱した。
【0076】
その後、反応混合物を室温に冷却した。過剰のアセトニトリルを減圧(約5トル〜約40トル)で除去した。反応粗原料の真空分留は、約5.5トルの真空で約60℃で沸騰する74.19gの製品、1−アザ−(5−メチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(収率34.14%)をもたらした。
【0077】
実施例4
1−アザ−(5−ブチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させたフラスコ内に、ジエタノールアミン(187g、1.78モル)、バレロニトリル(278.68g、3.36モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(2.00g、0.086モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約68時間にわたり80℃に加熱した。
【0078】
その後、反応混合物を室温に冷却した。過剰のバレロニトリルを減圧(約5トル〜約40トル)で除去した。反応粗原料の真空分留は、約2.3トルの真空で約85℃〜約90℃で沸騰する69.73gの製品、1−アザ−(5−ブチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(収率22.91%)をもたらした。
【0079】
実施例5
1−アザ−(3,7−ジメチル−5−n−ウンデシル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させたフラスコ内に、ジイソプロパノールアミン(292.86g、2.20モル)、ウンデシルシアニド(500g、2.76モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(5.41g、0.23モル)を添加した。得られた混合物を窒素下に置き、約68時間にわたり100℃に加熱した。
【0080】
反応混合物を室温に冷却し、真空分留装置を取り付けた。1.00トルでの145〜156℃の間で沸騰する留分を集めた(185.56g)。NMR(陽子および炭素)によると、この留分が少量の出発材料ジイソプロパノールアミンを有する所望の材料を含むことが示された。この留分を再び真空分留し、1〜0.85トルで135〜145℃で沸騰
する所望の材料(168.2g)をもたらした。
【0081】
実施例6
1−アザ−(5−ペンタンニトリル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1Lフラスコ内に、ジエタノールアミン(291.24g、2.77モル)、アジポニトリル(300.00g、2.77モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(4.56g、0.198モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約180時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空分留を続けた。約10ミリトルの真空で約90℃〜約110℃で沸騰する172.0gの製品、1−アザ−(5−ペンタンニトリル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(GC/MSの結果によると、アジポニトリルアミドアセタールの合計53.77%が粗混合物中にあったことが示されている)を得た。
【0082】
実施例7
以下で示すようにTVCH−CNによる(1−アザ−(TVCH−CN)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン)の製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた250mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(40.0g、0.38モル)、TVCH−CN(80.00g、0.42モル)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.175g、7.6ミリモル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約118時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、作業を真空分留により続けた。約10ミリトルの真空で約90℃〜約110℃で沸騰する29.5gの製品、(1−アザ−(TVCH−CN)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン)(GC/MSの結果によると、32.52%の合計が示されている)を得た。
【0083】
【化8】

【0084】
実施例8
1−アザ−(5−シクロオクタン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1Lフラスコ内に、ジエタノールアミン(189.25g、1.8モル)、シクロオクタンニトリル(274.0g、2.0モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.92g、0.040モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約140時間にわたり120℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空分留を
続けた。約10ミリトルの真空で約80℃〜約100℃で沸騰する19.7gの製品、1−アザ−(5−シクロオクタン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(1−アザ−(5−シクロオクタン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの10%のGC/MSによる転化率)を得た。
【0085】
実施例9
3,8−および4,8−ジシアノトリシクロ[5.2.1.0]デカンの1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン製品の製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた500mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(76.2g、0.725モル)、3,8−および4,8−ジシアノトリシクロ[5.2.1.0]デカン(161.9g、0.869モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.333g、0.0145モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約305時間にわたり110℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、真空分留によって精製した。約10ミリトルの真空で約100℃〜約120℃で沸騰する18.6gの製品、3,8−および4,8−ジシアノトリシクロ[5.2.1.0]デカンジニトリルモノアミドアセタール(3,8−および4,8−ジシアノトリシクロ[5.2.1.0]デカンのモノアミドアセタールへの42.5%のGC/MSによる転化率)を得た。
【0086】
実施例10
1−アザ−(3−(トリス−エトキシ−シリル)−プロパン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた500mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(78.3g、0.745モル)、トリエトキシプロピオニトリル(180.0g、0.828モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(1.17g、0.051モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で100℃で約328時間にわたり90℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、石油エーテル抽出を続けた。石油エーテルを真空で除去し、真空分留を介して製品を単離した。約10ミリトルの真空で約90℃〜約110℃で沸騰する14.1gの製品(35.3%のGC/MSによる転化率)を得た。
【0087】
実施例11
シアノ−トリシクロ[5.2.1.0]デカンの1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン製品の製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた250mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(58.7g、0.558モル)、シアノトリシクロ[5.2.1.0]デカン(100.0g、0.620モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.898g、0.039モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約141時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空分留を続けた。約10ミリトルの真空で約90℃〜約110℃で沸騰する、シアノトリシクロ[5.2.1.0]デカンの1.2gの1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン製品を単離した(6.5%のGC/MSによる転化率)。
【0088】
実施例12
1−アザ−(3−フェニル−プロパン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた250mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(43.11g、0.410モル)、3−フェニル−プロパンニトリル(59.75g、0.456モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄され
た金属ナトリウム(0.67g、0.029モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約144時間にわたり90℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、製品とジエタノールアミンの混合物を真空分留によって分離した。製品をジエタノールアミン相から分離した後に単離した。約10ミリトルの真空で約80℃〜約100℃で沸騰する32.7gの製品(50.8%のGC/MSによる転化率)を得た。
【0089】
実施例13
1−アザ−(3−(3−シクロヘキセン)プロパン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた50mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(11.14g、0.106モル)、3−(3−シクロヘキセニル)−プロパンニトリル(15.95g、0.118モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.17g、7.0ミリモル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約144時間にわたり90℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空分留によって作業した。分液漏斗を用いて製品をジエタノールアミンに富むカットから単離した。約10ミリトルの真空で約80℃〜約100℃で沸騰する6.3gの製品(GC/MS分析:38.6%)を得た。
【0090】
実施例14
(MGNからの)1−アザ−(4−メチル−ブタンニトリル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1000mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(267.27g、2.54モル)、2−メチルグルタロニトリル(308.27g、2.85モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(4.09g、0.178モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約67時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、真空分留によって精製した。約10ミリトルの真空で約90℃〜約110℃で沸騰する88.2gの製品、1−アザ−(4−メチル−ブタンニトリル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン(GC/MS分析:58.0%)を得た。
【0091】
実施例15
1−アザ−(パーフルオロアルキル(C〜C))−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた25mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(1.0g、9.51ミリモル)、一般構造CF(CFCHCHCNのパーフルオロニトリル(n=5〜13)の混合物であって、56%がn=7である混合物(4.8g、9.51ミリモル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.017g、0.75ミリモル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約139時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却した。GC/MSの結果によると、34.2%の1−アザ−(パーフルオロアルキル(C〜C))−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンが示された。
【0092】
実施例16
アジポニトリルのビス−アザ−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン誘導体の製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1Lフラスコ内に、ジエタノールアミン(291.24g、2.77モル)、アジポニトリル(300.00g、2.77モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(4.56g、0.198モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約180時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空蒸留によ
って精製した。GC/MSの結果によると、6.25%のビス−アザ−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンが示さされた。
【0093】
実施例17
以下に示すTVCH−(CN)を用いる、TVCH−(CN)から誘導されたモノ−、ジ−、トリ−(アザ−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン)の混合物の製造
【0094】
【化9】

【0095】
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた250mlフラスコ内に、ジエタノールアミン(129.0g、1.23モル)、TVCH−(CN)(100.0g、0.41モル)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(1.98g、0.086モル)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気下で約288時間にわたり130℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その後、真空分留を続けた。GC/MSの結果によると、TVCH−(CN)から誘導された10%を上回るモノ−、ジ−、トリ−(アザ−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン)を粗混合物中で得たことが示されている。
【0096】
実施例18
1−アザ−(2−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1L丸底フラスコ内で、ジエタノールアミン(2.21モル、235.13g)、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル(2.31モル、275.00g)、ヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.23モル、5.31g)を組み合わせた。得られた混合物を窒素下で180時間にわたり100℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却した。1−アザ−(2−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンが生成し、GC/MSによる収率は25%であった。過剰の5−ノルボルネン−2−カルボニトリルを真空蒸留(10ミリトル、70〜80℃の間で沸騰する)によって除去した。その後、ジエタノールアミンと所望の製品の混合物を蒸留した。製品を石油エーテルでジエタノールアミンから抽出した。石油エーテルの真空除去後に製品を純度98%で単離した。
【0097】
実施例19
1−アザ−(3−(トリス−メトキシ−シリル)−プロパン)−4,6−ジオキサビシク
ロ[3,3,0]オクタンの製造
スターラーおよびリフラックスコンデンサが装着され炉で乾燥させた1L丸底フラスコ内で、ジエタノールアミン(0.24モル、24.50g)、2−シアノエチルトリメトキシシラン(0.29モル、50.00g)およびヘキサンによりオイルフリーで洗浄された金属ナトリウム(0.02モル、0.43g)を組み合わせた。得られた混合物を窒素下で60時間にわたり95℃に加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却した。1−アザ−(3−(トリス−メトキシ−シリル)−プロパン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンが生成し、GC/MSによる収率は18%であった。2−シアノエチルトリメトキシシランおよび製品を石油エーテルを用いて混合物から抽出した。石油エーテルを真空で除去し、残りを5〜10ミリトル下で真空蒸留した。2−シアノエチルトリメトキシシランを蒸留し、純度89%で製品をもたらした。
【0098】
実験2:膜の製造
150μmのドローダウンブレードを用いて「ウニプリム(Uniprim)」(ED−5000)TPO(熱ポリオレフィン)上にクリアコートを引き落とした。
【0099】
膜の硬度
「フィッシャースコープ(Fisherscope)」硬度試験機(モデルHM100V)を用いてコーティングのミクロ硬度を測定した。試験機を一連の50の1秒工程において傾斜させた100mNの最大力に関して設定した。硬度はN/mmで記録した。膜の硬度はコーティング膜が研磨されるべく用意が整っている時の指標である。
【0100】
膨潤比
膨潤比は膜の架橋密度および早期硬化特性の目安である。(TPOから除去された)自由膜の膨潤比は塩化メチレン中での膨潤によって決定した。自由膜をアルミニウムフォイルの2層間に入れ、LADDパンチを用いて直径約3.5mmのディスクを膜から打ち抜いた。アルミニウムフォイルを自由膜のいずれかの側から取り除いた。10倍の倍率およびフィラーレンズを有する顕微鏡を用いて、膜の非膨潤直径(D)を測定した。塩化メチレン4滴を膜に添加した。膜を放置して数秒にわたって膨潤させ、その後、ガラススライドを膜の上に置いた。膨潤直径(D)を測定した。その後、膨潤比を次のように計算した。
膨潤比=(D/(D
【0101】
コーティング配合物の実施例
実施例1
ガラスバイアル内で、5.08gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー;ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル・エージー(Bayer AG(Pittsburgh,PA)))および実験1の実施例1で製造された1.75gの1−アザ−(3,5,7−トリメチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンを添加し、得られた混合物を均質溶液が生じるまで振とうした。この溶液にジブチル錫ジラウレート(0.13gの0.59M溶液)(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)(PGMEA))を触媒として添加した。混合後、4−エチルベンゼンスルホン酸(0.10gの1M溶液)PGMEAを添加した。混合後、得られた溶液をガラスプレート上に注いで、コーティングを形成した。3時間後、得られたコーティングは不粘着性のように思われた。7日後、不粘着性コーティングは、149N/mmのミクロ硬度測定値を示した。
【0102】
実施例2
実施例1の上の組成物のアリコート(4.00g)をバイアルに入れた。プロピレング
リコールメチルエーテルアセテート(0.45g)をバイアルに添加した。溶液を振とうし、その後、ガラスプレート上に注いだ。20時間後、クリアハードコーティングを得た。7日後、142N/mmのミクロ硬度を有するコーティングを得た。
【0103】
実施例3
5.00gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)(ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル・エージー(Bayer AG(Pittsburgh,PA))から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)(0.60g)および実験1の実施例1で製造された1.88gの1−アザ−(3,5,7−トリメチル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンをガラスバイアルに添加した。得られた混合物を均質溶液が生じるまで振とうした。この溶液にジブチル錫ジラウレート((PGMEA)中の0.10gの0.59M溶液)を添加した。混合後、4−エチルベンゼンスルホン酸(0.18gの1M溶液)(PGMEA)を添加した。混合後、得られた溶液をガラスプレート上に注いで、コーティングを形成した。3時間後、コーティングを不粘着性にさせた。7日後、自由コーティングは、73N/mmのミクロ硬度測定値を与えた。
【0104】
実施例4
ガラス容器内で、実験1の実施例1のオルトアミド14.66gを3.81gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル中の2.26gの2%ジブチル錫ジラウレート溶液およびキシレン中の1.15gの10%BYK(登録商標)306(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中の流動添加剤、コネチカット州ウォリングフォードのBYK・ケミー(BYK−Chemie(Wallingford,CT))から入手できる)溶液と組み合わせた。これに、30.53gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)(ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル・エージー(Bayer AG(Pittsburgh,PA))から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)および7.58gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶液38.11gを添加した。この混合物を攪拌し、その後、1.00gの「ナキュア(Nacure)(登録商標)XP−221(イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、米国コネチカット州ノーウォークのキング・インダストリーズ(King Industries(Norwalk,CT))から入手できる)を混合物に添加し、攪拌した。混合物を引き落として厚さ約2ミル(約50μm)のコーティングをもたらした。これらのコーティングを60℃で30分にわたり焼き付けた。24時間後、コーティングは144N/mmのミクロ硬度および1.84の膨潤比を示した。
【0105】
実施例5
ガラス容器内で、実験1の実施例1のオルトアミド11.40gを2.17gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル中の2.29gの2%ジブチル錫ジラウレート溶液およびキシレン中の1.17gの10%BYK(登録商標)306溶液と組み合わせた。これに、18.67gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)BA Z4470(バイエル(Bayer)から入手できるIPDIイソシアヌレートトリマー)、21.35gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)および2.96gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶液42.97gを添加した。この混合物を攪拌した。0.65gの「ナキュア(Nacure)(登録商標)XP−221(イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、米国コネチカット州ノーウォークのキング・インダストリーズ(King
Industries(Norwalk,CT))から入手できる)を添加し、混合物
を攪拌した。混合物を引き落として厚さ約2ミル(約50μm)のコーティングをもたらした。これらのコーティングを60℃で30分にわたり焼き付けた。24時間後、コーティングは145N/mmのミクロ硬度および1.97の膨潤比を実証した。
【0106】
実施例6
ガラス容器内で、実験1の実施例6で製造された1−アザ−(5−ペンタンニトリル)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンのオルトアミド12.02gを2.68gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル中の5.69gの2%ジブチル錫ジラウレート溶液およびキシレン中の1.16gの10%BYK(登録商標)306溶液と組み合わせた。これに、4.56gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)BA Z4470(バイエル(Bayer)から入手できるIPDIイソシアヌレートトリマー)、28.74gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)および5.16gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶液38.46gを添加した。この混合物を攪拌した。0.65gの「ナキュア(Nacure)(登録商標)XP−221(イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、米国コネチカット州ノーウォークのキング・インダストリーズ(King Industries(Norwalk,CT))から入手できる)を添加し、混合物を攪拌した。混合物を引き落として厚さ約2ミル(約50μm)のコーティングをもたらした。これらのコーティングを60℃で30分にわたり焼き付けた。24時間後、コーティングは18N/mmのミクロ硬度および1.65の膨潤比を示した。
【0107】
実施例7
ガラス容器内で、実験1の実施例7で製造された15.33gのTVCHモノニトリルアミドアセタール(1−アザ−(TVCH−CN)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン)を2.24gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル中の5.69gの2%ジブチル錫ジラウレート溶液およびキシレン中の1.16gの10%BYK(登録商標)306溶液と組み合わせた。これに、4.22gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)BA Z4470(バイエル(Bayer)から入手できるIPDIイソシアヌレートトリマー)、26.59gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)および4.78gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶液35.59gを添加した。この混合物を攪拌した。0.65gの「ナキュア(Nacure)(登録商標)XP−221(イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、米国コネチカット州ノーウォークのキング・インダストリーズ(King Industries(Norwalk,CT))から入手できる)を添加し、混合物を攪拌した。混合物を引き落として厚さ約2ミル(約50μm)のコーティングをもたらした。これらのコーティングを60℃で30分にわたり焼き付けた。24時間後、コーティングは72N/mmのミクロ硬度および1.65の膨潤比を示した。
【0108】
実施例8
ガラス容器内で、実験1の実施例8で製造された13.29gの1−アザ−(5−シクロオクタン)−4,6−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタンを2.70gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル中の5.69gの2%ジブチル錫ジラウレート溶液およびキシレン中の1.16gの10%BYK(登録商標)306溶液と組み合わせた。これに、4.41gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)BA Z4470(バイエル(Bayer)から入手できるIPDIイソシアヌレートトリマー)、27.77gの「デスモジュール(Desmodur)」(登録商標)3300(バイエル(Bayer)から入手できるヘキサメチレンジイソシアネート
トリマー)および4.99gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶液37.17gを添加した。この混合物を攪拌した。0.65gの「ナキュア(Nacure)(登録商標)XP−221(イソプロパノール中のドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液、米国コネチカット州ノーウォークのキング・インダストリーズ(King Industries(Norwalk,CT))から入手できる)を添加し、混合物を攪拌した。混合物を引き落として厚さ約2ミル(約50μm)のコーティングをもたらした。これらのコーティングを60℃で30分にわたり焼き付けた。24時間後、コーティングは68N/mmのミクロ硬度および1.63の膨潤比を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)第1のポリマーの分子に結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤は該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第2の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる組成物。
【請求項2】
(a)
(i)第1のポリマーの分子に結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤が該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)水、および
(iv)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(v)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)水、および
(iv)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(v)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる組成物。
【請求項3】
非架橋形態のポリマー組成物を水にさらして、該ポリマー組成物を架橋させることを含んでなる該ポリマー組成物の架橋方法であって、但し、該ポリマー組成物が、
(a)
(i)第1のポリマーに結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤は該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、
(iii)場合により、少なくとも1種の溶媒、および
(iv)該ヒドロキシル基または第二アミンと該第2の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる方法。
【請求項4】
(A)ポリマーコーティング組成物を非架橋形態で基材に適用し、
(B)非架橋形態の該ポリマーコーティング組成物を水にさらし、そして
(C)非架橋形態の該ポリマーコーティング組成物を架橋させる
ことを含んでなる架橋されたコーティングの形成方法であって、但し、該ポリマー組成物が、
(a)
(i)第1のポリマーに結合された少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を有する第1のポリマー、
(ii)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第1の官能基を含む架橋剤であって、但し、該架橋剤が該架橋剤の分子当たり平均で少なくとも2個の第1の官能基を有する架橋剤、および
(iii)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
ならびに
(b)
(i)ヒドロキシル基または第二アミンと反応する第2の官能基を有する第2のポリマーであって、但し、該第2のポリマーは該第2のポリマーの分子当たり平均で少なくとも2個の第2の官能基を有する第2のポリマー、
(ii)少なくとも1個の無傷のアミドアセタール基を含む化合物、および
(iii)場合により、少なくとも1種もしくはそれ以上の溶媒、
(iv)場合により、該ヒドロキシル基または第二アミンと該第1の官能基との反応のための少なくとも1種の第1の触媒、および場合により、該アミドアセタール基の加水分解のための少なくとも1種の第2の触媒
を含んでなる方法。
【請求項5】
水と反応して架橋されたポリマー材料を形成する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
水と反応して架橋されたポリマー材料を形成する請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
コーティング組成物である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
コーティング組成物である請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
ヒドロキシル基または第二アミンと反応し得る官能基がイソシアネートである請求項7または8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
組成物が、顔料、安定剤、レオロジー調整剤、流動剤、強化剤、充填剤およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される添加剤を更に含んでなる請求項7または8に記載の組成物。
【請求項11】
添加剤が顔料である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、官能化オリゴマー、ポリアスパラギン酸エステル、非環式オリゴマーの結合剤、アクリルポリマーの結合剤、ポリエステル、分散アクリル成分の結合剤およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される材料を更に含んでなる請求項7または8に記載の組成物。
【請求項13】
請求項7または8に記載のコーティング組成物で被覆された基材。
【請求項14】
架橋される請求項3に記載の方法の生成物。
【請求項15】
架橋される請求項4に記載の方法の生成物。
【請求項16】
コーティングである請求項3に記載の生成物。
【請求項17】
第2のポリマーの数平均分子量が約3000未満である請求項7または8に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
第2のポリマーがイソシアネート官能基を有する請求項17に記載のコーティング組成物。

【公表番号】特表2006−522212(P2006−522212A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510085(P2006−510085)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/011677
【国際公開番号】WO2004/090056
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】