説明

アゼチジン誘導体を調製する方法

工業生産用にN−(1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−イル)−N−フェニルメチルスルホンアミドのアゼチジン誘導体を合成するための新しい方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の化学式(I)
【0002】
【化1】

(式中;
R、R’、およびR’’は互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表し;
R’’’は、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはペルフルオロアルキル基、または場合により一つ以上のR’’基で置換されているアリール基を表す。)
をもつ、N−(1−ベンゾヒドリルアゼチジン−3−イル)−N−フェニルメチルスルホンアミド型のアゼチジン誘導体を調製する方法に関する。
【0003】
本発明に係る化学式(I)の化合物を合成する方法は、以下の段階
【0004】
【化2】

a)化学式(VIII)のケトンを、溶媒の存在下または非存在下、酸性もしくは塩基性の触媒の存在下または非存在下、0℃から150℃までの間の温度で3―アミノ―1,2−プロパンジオールと縮合する段階;
b)段階a)で得られた、場合により単離されていない、化学式(VII)のジオールイミン(imine diol)を、溶媒中にて金属触媒の存在下、ホウ化水素ガスまたは水素ガスにより還元し、化学式(VI)のジオールアミンを生成させる段階;
c)段階b)で得られた、場合により単離されていない、化学式(VI)のジオールアミンを、−78℃から40℃間の温度にて、溶媒、および場合により共溶媒の中で、塩基の存在下、スルホン化剤によって活性化し、場合により単離されていない、化学式(V)のスルホン酸エステルを生成させる段階;
d)段階c)で得られた、場合により単離されていない、化学式(V)のスルホン酸エステルを、溶媒中にて、塩基の存在下または非存在下、0℃から130℃までの間で加熱することにより環状化して、化学式(IV)のアゼチジノールを形成させ、場合により塩の形態で単離する段階;
e)段階d)で得られた化学式(IV)のアゼチジノールを、塩基の存在下、溶媒中において、−78℃から+40℃までの間の温度にて、スルホン化剤の作用によって化学式(II)のスルホン酸塩に変換する段階;
f)段階e)で得られたスルホン酸塩を、塩基の存在下、段階e)で使用された溶媒と同一の溶媒中において、化学式(III)のスルホンアミドと縮合し、化学式(I)の化合物を生成させる段階、
を含むことを特徴とする。
【0005】
化学式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII)において、R、R’およびR’’は、互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表し;R’’’は、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはペルフルオロアルキル基、または場合により一つ以上のR’’基で置換されているアリール基を表し;および、R1はメチル基、CF基、C基、C17基、またはメチル基、ハロ基、もしくはニトロ基によって場合により置換されているフェニル基を表している。
【背景技術】
【0006】
文献WO01/64634には、こうした生成物を取得するための一般的な到達経路、および、特に、不活性溶媒中でアミノ誘導体およびエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンから化学式(IV)のアゼチジノールを合成したことが記載されている。工業規模でこのような反応物質を使用することは、これらを扱う人々の健康を損なう危険性があるため、極めて制限されたものとなっている。さらに、これらの微量の残存量を定量化すると非常に低量になる。その結果、この種の反応物質を使用しない別の方法を確立することが重要となる。本発明は、大規模生産するための効率を維持しつつ、上記したような反応物質の使用を排除することを可能とするものである。
【0007】
特許出願WO01/64634には、化学式(I)の生成物を取得するための一般的な到達経路、および、特に、ジオキサンなどの不活性溶媒中、CsCOの存在下、反応混合液の還流温度にて、スルホン酸塩およびスルホンアミドの縮合による合成が記載されている。文献WO01/64634に記載されているように、化学式(I)の化合物を合成するための操作条件は、取扱者の労働衛生および安全の観点からも、CsCOおよびジオキサンなどの反応物質の微量残留物という観点からも、工業規模に置き換えることはできない。この新規の方法は、安全性に関して顕著な向上をもたらし、また、二つの段階で一つの溶媒を使用することにより合成段階を簡略化する。本方法を工業生産に適合させるために、シリカクロマトグラフィーによる中間化合物および最終生成物の精製段階および単離段階をなくし、この代わりに結晶化作用が行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第01/64634号
【発明の概要】
【0009】
段階e)およびf)は、同一溶媒中において、相間移動剤を用いることなく行われる。合成条件は大量生産に適合するものでなければならず、微量の残留溶媒は無視できるはずである。さらに、段階e)およびf)において同一溶媒を使用できることが分かっている。
【0010】
これら二つの段階の制約に適合する溶媒の中で操作を行うが、驚くべきことに、メチルイソブチルケトンまたはメチルエチルケトンなど、ケトン型の溶媒が適合することが分かっている。
【0011】
化学式(I)の化合物は、化学式(II)のスルホン酸塩を化学式(III)(式中、R、R’、R’’、R’’’、およびR1は上記で定義されたとおりである。)のスルホンアミドと縮合させた後に得られる。化学式(I)の化合物の生成は、例えば炭酸カリウムのような塩基の存在下、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンなど溶媒中において、80℃から118℃までの間の温度にて、化学式(III)のスルホンアミドを、化学式(II)のスルホン酸塩に、(III)/(II)のモル比が1から1.3になるよう添加して行う。また、この縮合段階においては、触媒が存在しない方が不純物の低減が促進されることも分かっている。
【0012】
R1が上記で定義された通りである化学式(II)のスルホン酸塩は、RおよびR’が上記で定義された通りである化学式(IV)のアゼチジノールから、スルホン化剤と反応させた後に得られる。この反応は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、または1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの塩基の存在下で行う。この反応は、−78℃から+40℃までの間で行う。
【0013】
R’’およびR’’’が上記で定義された通りである化学式(III)のスルホンアミドは、THF(テトラヒドロフラン)などの溶媒、またはMiBuK(メチルイソブチルケトン)もしくはMEK(メチルエチルケトン)などケトン、およびトリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの塩基の存在下において、3,5−ジフルオロアニリンから得られる。
【0014】
RおよびR’が上記で定義された通りである化学式(IV)のアゼチジノールは、RおよびR’が互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表し、R’’’が1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはペルフルオロアルキル基、または一つ以上のR’’基によって場合により置換されているアリール基を表す化学式(V)の、場合により単離されてないスルホン酸エステル誘導体から得られる。
【0015】
【化3】

【0016】
化学式(IV)のアゼチジノールは、溶媒中、塩基の存在下または非存在下において、0℃から130℃までの温度、例えば40℃から110℃までの間の温度で化学式(V)のスルホン酸エステルを加熱することによって生成される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「溶媒」という用語は、トルエン、キシレン、もしくはクロロベンゼンなどの芳香族溶媒、THF(テトラヒドロフラン)、DME(ジメトキシエタン)、MTBE(メチルtert−ブチルエーテル)、もしくはジオキサンなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、もしくは1,2−ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン類、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAC(ジメチルアセトアミド)、もしくはNMP(N−メチルピロリドン)などのアミド類、ならびにメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノールなどのアルコール類を意味するものである。
【0018】
「塩基」という用語は、アミン類(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはセシウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物、またはリン酸塩を意味するものである。
【0019】
別の実施形態は、無機塩基、特にNaHCO(炭酸水素ナトリウム)またはNaCO(炭酸ナトリウム)の存在下、80℃の高温条件下で、トルエン中にて操作を行うことである。
【0020】
化学式(IV)の誘導体は、HX塩の形態で単離・精製することができ、XはCl、Br、またはBFである。
【0021】
RおよびR’が上記で定義された通りである化学式(V)の誘導体は、RおよびR’が互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表している化学式(VI)のジオールアミンから合成される。
【0022】
【化4】

【0023】
化学式(V)のスルホン酸エステルは、塩基の存在下、溶媒中において、−78℃から+40℃までの間の温度、例えば−30℃から20℃までの間の温度にて、スルホン化剤をジオールアミン(VI)に添加することによって生成される。4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの置換ピリジンを、触媒量(化学式(VI)のアミンに対して1モル%から100モル%)添加することも可能である。
【0024】
「スルホン化剤」という用語は、アルキル(メチル、エチル、トリフルオロメチルなど)ハロゲン化スルホニル(フッ化物、塩化物、臭化物)またはアリール(フェニル、パラメチルフェニルなど)ハロゲン化スルホニル(フッ化物、塩化物、臭化物)、または対応するスルホン酸無水物を意味するものである。スルホン化剤は、ジオールアミン(VI)に対して1当量から3.5当量までの比率で用いられる。
【0025】
「塩基」という用語は、アミン(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンなど)、ピリジン(非置換型またはアルキル基置換型)、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはセシウムというアルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物、またはリン酸塩などを意味するものである。
【0026】
単独または併用して使用することが可能な溶媒は、トルエン、キシレン、塩素、もしくはピリジンなどの芳香族溶媒、THF、DME、MTBE、もしくはジオキサンなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、もしくは1,2−ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、アセトンもしくメチルイソブチルケトンなどのケトン類、DMF、DMAC、もしくはNMPなどのアミド類がある。
【0027】
別の実施形態は、場合によりトルエンを含有するピリジン中において、パラトルエンスルホニルクロリドの存在下、−20℃から20℃までの間の温度で操作を行うことである。
【0028】
別の実施形態は、トルエン中において、パラトルエンスルホニルクロリドの存在下において、ピリジン:トルエン比が1:1から1:4までの範囲にあるピリジンなどの共溶媒の存在下、−30℃から20℃までの温度にて操作を行うことである。
【0029】
RおよびR’が上記で定義された通りである化学式(VI)のジオールアミン誘導体は、RおよびR’が互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表している化学式(VII)のジオールイミンであって、場合により単離されていないものからの還元によって得られる。
【0030】
【化5】

【0031】
用いられる還元剤は、ホウ化水素、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カルシウム、および水素化ホウ素亜鉛など;ボラン錯体(ボラン−THF、ボラン−硫化ジメチル、アミン−ボラン);または金属触媒の存在下におけるハロゲンガス(活性炭担持パラジウム、ラネーニッケル)であり得る。イミン(VII)に対して1当量から10当量までの比率で還元剤を使用する。用いられる還元剤との適合性に応じて、使用できる可能性のある溶媒は、トルエン、キシレン、もしくはクロロベンゼンなどの芳香族溶媒、THF、DME、MTBE、もしくはジオキサンなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、もしくは1,2−ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノールなどのアルコール類、または水である。
【0032】
別の実施形態は、NaBHの存在下、水/エタノール混合液中において、60℃にて還元を行うことである。
【0033】
化学式(VII)のジオールイミン誘導体は、3―アミノ―1,2−プロパンジオール、および化学式(VIII)(式中、RおよびR’が互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキル基が1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表している。)のケトンから合成する。
【0034】
【化6】

【0035】
化学式(VII)のジオールイミンは、溶媒の存在下または非存在下、0℃から150℃までの間の温度にて、場合により、酸性もしくは塩基性の触媒または脱水剤が存在する中で加熱することにより生成される。媒体の脱水は、場合により、共沸蒸留によって行うことができる。使用できる可能性のある溶媒は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、もしくはトリフルオロメチルベンゼンなどの芳香族溶媒、THF、DME、MTBE、もしくはジオキサンなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、もしくは1,2−ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどエステル類、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノールなどのアルコール類である。酸性もしくは塩基性の触媒は、ケトンに対して1モル%から100モル%までの比率で用いられる。
【0036】
「酸性触媒」という用語は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロホスフィン酸、硫酸、スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、またはトリフルオロメタンスルホン酸など、樹脂担持スルホン酸、カルボン酸、例えば、シュウ酸またはギ酸など、ルイス酸、例えば、三フッ化ホウ素エーテルまたは希土類トリフラートなどを意味するものである。
【0037】
「脱水剤」という用語は、硫酸マグネシウムもしくは硫酸ナトリウムを意味するか、または分子篩を用いることを意味するものである。
【0038】
「塩基」という用語は、リチウム、ナトリウム、カリウム、もしくはセシウムというアルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物、もしくはリン酸塩を意味するものである。3―アミノプロパン―1,2−ジオールは、ケトンに対して1当量から10当量の比率で使用される。
【0039】
別の実施形態は、パラトルエンスルホン酸を29%含有する酸性触媒により、キシレン中において140℃で操作を行うことである。
【0040】
文献WO01/64634との関連で、この新たな方法は、工業生産に適合した方法とするために、安全面における向上を提供し、および、中間生成物または最終生成物を精製および単離する段階を、特に、これらを取り扱う者に有害な反応物質の使用を排除することによって簡略化する。
【0041】
一例として、下記の反応段階図に、各段階に用いられる反応物質が非限定的に図示されている。この段階図において、RおよびR’は、パラ配位の塩素原子を表し、R’’はフッ素原子を表し、R’’’およびR1はメチル基を表している。
【0042】
従来の条件(ディーン・スターク装置におけるパラトルエンスルホン酸29%を含有する酸性触媒)下で(4,4’)−ジクロロベンゾフェノンと3―アミノプロパン―1,2−ジオールを反応させることによって、所望のイミンを実質的な定量的収率で得ることが可能となる。この生成物は単離されていないが、エタノール/水混合液中において、60℃にて、NaBHの作用を介して直接還元すると、2段階について収率90%で対応するアミノジオールが得られる。
【0043】
【化7】

【0044】
アミノジオールは、単離せずに次の段階で使用することもできるが、トルエンから、またはトルエン含有溶媒混合液から結晶化することにより単離することができる。用いられる溶媒としては、ヘプタン、シクロヘキサン、またはメチルシクロヘキサンを挙げることができる。
【0045】
アミノジオールを、ピリジン/トルエン(1/1から1/4までの)混合液中、パラトルエンスルホニルクロリドの存在下に置き、まず−15℃で、次に温度を約20℃まで上げると、単離されていないが、無機塩基(NaHCO)の存在下、高温状態(80℃)に4時間おくとトルエン中で直接環化されるモノトシラート中間体が化学選択的に生成される。
【0046】
有機相を水で洗浄した後、生成物を臭化水素酸塩の形態に結晶化させて精製すると、4段階について全収率63%で1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール臭化水素酸塩が得られる。
【0047】
1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールの臭化水素酸塩、塩酸塩、およびテトラフルオロホウ酸塩の合成実験の項
段階1および2
4,4’−ジクロロベンゾフェノン50g、キシレン500ml、およびエタノール78.5ml中に3−アミノプロパン−1,2−ジオール54.5gを含有する溶液を、温度20±2℃にて、機械的撹拌装置および温度探針を備えた1.5リットル反応容器内に導入し、窒素雰囲気下に設置する。次に、このように得られた溶液を、カラム先端の温度が140±2℃になるまで加熱して蒸留することにより、エタノールを除去する。この次に、反応塊(reaction mass)の温度を約60±2℃に戻した後、体積が500mlになるようキシレンを添加する。次に、パラトルエンスルホン酸10.97gを添加し、その後、反応塊の温度を140±2℃まで上げ、同時に、定容量蒸留を13時間行う。次に、3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオールを含有する反応塊を蒸留により3.25容量まで濃縮してから、温度を約20±2℃に戻す。次に、EtOH250mlを添加し、その後、溶液を60±2℃にしてから、水素化ホウ素ナトリウム溶液(水素化ホウ素ナトリウム8g、32%苛性ソーダ0.850ml、および脱塩水150mlから即時調製された溶液)151ml(生成物1モルに対して1モル)で約60分以上かけて処理する。3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオールは、蒸留および洗浄後に、場合により単離することができることは理解される。
【0048】
得られた溶液を60±2℃にて5時間撹拌し続ける。次に、反応塊を20±2℃に戻してから、2Nの塩酸387mlで約60分かけて20°/22℃にて処理する。次に、反応媒体を2時間撹拌し続ける。次に、反応塊を102℃になるまで加熱し、同時に溶媒を蒸留してから、60±2℃に戻す。キシレン250mlを添加し、同時に反応媒体を冷やし続ける。反応媒体が20±2℃になったところで、pH値を8から9にするのに十分な量(即ち、約150ml)の2N水酸化ナトリウムを添加する。水相を沈降によって分離し、有機相を、撹拌しながら、脱塩水700mlで処理し、その後、約10分かけて、十分な量(即ち、約160ml)の2NのHClで処理して、pH値を1から2の間にする。水相を、沈降によって分離して回収した後、トルエン400mlを添加し、その後、混合液を、撹拌しながら、約10分かけて、十分な量(即ち、約190ml)の2N水酸化ナトリウムで処理して、pH値を10から11までの間にし、同時に媒体の温度を約20±2℃に保つ。30分間撹拌した後、有機相を沈降によって分離し、水相をトルエン100mlで抽出する。有機相を一つにまとめて、脱塩水200mlで洗浄し、沈降によって分離する。この操作をさらに2回繰り返す。次に、このようにして得られたトルエン相を、約400mlのトルエンを定容量および大気圧で蒸留することにより脱水する。このようにして、3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオールのトルエン溶液510gが得られる。この溶液を次の段階でそのまま使用する。
【0049】
3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオールは、前記トルエン溶液を50℃で2容量に濃縮してから、2倍容のシクロメチルシクロヘキサンを添加し、0℃まで冷却することによって単離することができる。生成物を回転式脱水機にかけ、シクロメチルシクロヘキサンで0℃にて洗浄し、40℃で完全に乾燥する。収率は86%である。
【0050】
HPLCによる不純物の総量:0.4%m/m
【0051】
特性:
500MHzにおけるH−NMRスペクトル:温度303Kにて2.50ppmで参照されたDMSO−d6:2.33−2.40(m,2H)、2.51(m,1H)、3.32(m,2H)、3.58(m,1H)、4.44(t,J=5.4Hz,1H)、4.58(d,4.9Hz,1H)、4.83(s,1H)、7.35(d,J=8.3Hz,4H)、7.42(d,J=8.3Hz,4H)。
【0052】
500MHzにおける13C−NMRスペクトル:温度303Kにて39.5ppmで参照されたDMSO−d6:51.0、64.4、64.9、70.4、128.3、128.8、131.2、143.2。
【0053】
質量スペクトル:m/z=325Da(M+°).
【0054】
IRスペクトル:KBr 3331cm−1;2909cm−1;2829cm−1;1595cm−1;1489cm−1;1410cm−1;1088cm−1;1014cm−1;813cm−1;530cm−1;504cm−1
【0055】
段階3および4
上記したように調製された、3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール44.17gを含有するトルエン溶液400mlを、機械的撹拌装置および温度探針を備えた1.5リットル反応容器内、窒素雰囲気下に入れた後、ピリジン100mlで処理する。このようにして得られた溶液を−7±2℃まで冷却した後、パラトルエンスルホニルクロリド27.2gで約5分かけて少量ずつ処理する。添加後、反応媒体を、−7±2℃で約1時間撹拌し、約1時間かけて約20±2℃に戻して、約18時間約20±2℃にて撹拌する。次に、反応媒体を脱塩水200mlで洗浄し、有機相を沈降によって分離してから、脱塩水100mlを添加し、37%のHClを添加して、反応媒体のpHを約3にする。この反応塊を約10分間撹拌し、有機相を沈降によって分離して回収した後、脱塩水100mlで洗浄する。この反応塊を約10分間攪拌し、有機相を沈降によって分離して回収した後、十分な量の5%NaHCO水溶液で洗浄して、pH値を5よりも高くする。この反応塊を約10分間撹拌し、有機相を沈降によって分離して回収した後、脱塩水200mlで洗浄する。この反応塊を約10分間撹拌し、4−トルエンスルホン酸の3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピルエステルを含有する有機相を沈降によって分離して回収した後、NaHCO17.1gで処理する。反応媒体を79±2℃の温度域まで加熱し、この温度で約4時間放置する。反応塊の温度を約20±2℃まで戻し、塊を脱塩水250mlで3回洗浄する。次に、臭化水素酸の48%水溶液約16mlを、このようにして得られたトルエン溶液に1時間かけて添加する。この懸濁液を約1時間、20±2℃に保ち、その後、固形物を濾別し、トルエン200mlで3回洗浄した後、約20mbarの真空下、48±2℃にて15時間乾燥させる。
【0056】
4−トルエンスルホン酸の3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピルエステルは単離することもできることは理解される。
【0057】
このようにして、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール臭化水素酸塩31.5gが、収率60%で得られる。
【0058】
特性
500MHzにおけるH−NMRスペクトル:温度303Kにて2.50ppmで参照されたDMSO−d6:3.80−4.30(m,4H)、4.50(m,0.7H)、4.63(m,0.3H)、5.99(m,1H)、6.24(m,1H)、7.50−7.65(m,8H)、10.07(m,0.7H)、11.41(m,0.3H)。
【0059】
質量スペクトル:m/z=307Da(M+°).
【0060】
IRスペクトル:KBr 3342cm−1;2901cm−1;2787cm−1;2630cm−1;2589cm−1;2423cm−1;1600cm−1;1495cm−1;1425cm−1;1140cm−1;1093cm−1;1014cm−1;815cm−1;533cm−1;504cm−1
【0061】
別の手順は、HCl水溶液を、上記のようにして得られた1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールのトルエン溶液の中に流し込むことによって、塩酸塩の形態で生成物を単離することである。
【0062】
このようにして、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール塩酸塩が得られる。
【0063】
上記したように調製および単離された3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール50gを、機械的撹拌装置および温度探針を備えた1リットル反応容器内、窒素圧下に置いた後、ピリジン150mlおよびトルエン150mlで処理する。このようにして得られた溶液を−15±2℃まで冷却した後、約5分かけて、ピリジン125mlおよびトルエン125mlに溶解したパラトルエンスルホニルクロリド73gで少量ずつ処理する。添加後、反応媒体を−15±2℃にて約3時間撹拌し、約1時間かけて約20±2℃に戻してから、反応媒体を脱塩水225mlで洗浄し、有機相を沈降によって分離してから、ジクロロメタン250mlを添加する。次に、この有機相を、2分の1に希釈した37%のHCl410mlを添加して洗浄する。反応塊を約10分間撹拌し、有機相を沈降によって分離して回収した後、脱塩水100mlで洗浄してから、十分な量のNaHCOの5%水溶液で洗浄してpH値を5よりも高くする。4−トルエンスルホン酸の3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピルエステルを含有する有機相を275mlに濃縮した後、トルエンを添加して定容量で蒸留してジクロロメタンを除去してから、NaHCO19.3gで処理する。反応媒体を79±2℃の温度域まで加熱し、この温度で約4時間放置する。次に、反応塊の温度を約20±2℃まで戻し、塊を脱塩水250mlで洗浄する。次に、12N塩酸溶液13.5mlを、このように得られたトルエン溶液に、約1時間かけて添加する。この懸濁液を約5時間、20±2℃に保ち、その後、固形物を濾別し、トルエン100mlで3回洗浄した後、約20mbarの真空下で48±2℃にて15時間乾燥させる。
【0064】
このようにして、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール塩酸塩43.1gが収率81.7%で得られる。
【0065】
特性
400MHzにおけるH−NMRスペクトル:温度303Kにて2.50ppmで参照された(DMSO−d6):3.70−4.20(m,4H);4.47(m,0.8H);4.68(m,0.2H);5.97(m,1H);6.34(広帯域m,1H);7.50(d,J=8.5Hz,4H);7.62から7.77まで(m,4H);12.35(広帯域m,0.2H);12.5(広帯域m,0.2H)。
【0066】
質量スペクトル:m/z=307(M)。
【0067】
IRスペクトル:KBr 3289cm−1;2753cm−1;2583cm−1;2448cm−1;1596cm−1;1495cm−1;1458cm−1;1425cm−1;1142cm−1;1091cm−1;1014cm−1;815cm−1;801cm−1および534cm−1
【0068】
別の手順は、HBFの50%水溶液を、上記のようにして得られた1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールのトルエン溶液の中に約1時間かけて流し込むことによって、テトラフルオロホウ酸塩の形態で生成物を単離することである。この懸濁液を、20±2℃で約1時間放置した後、固形物を濾別して、トルエン200mlで3回洗浄した後、約20mbarの真空下で48±2℃にて15時間乾燥させる。
【0069】
このようにして、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールのテトラフルオロホウ酸塩が得られる。
【0070】
400MHzにおけるH−NMRスペクトル:温度303Kにて2.50ppmで参照された(DMSO−d6):3.85(m,2H);4.25(m,2H);4.50(m,0.6H);4.58(m,0.4H);5.87(m,1H);6.20(超広帯域m,1H);7.51(d,J=9.0Hz,4H);7.55(d,J=9.0Hz,4H);10.7(広帯域m,0.6H);11.35(広帯域m,0.4H)。
【0071】
IRスペクトル:KBr 3528cm−1;3202cm−1;2937cm−1;2785cm−1;2620cm−1;1597cm−1;1496cm−1;1142cm−1;1093cm−1;1061cm−1;1038cm−1;1013cm−1;803cm−1および530cm−1
【0072】
質量スペクトル:m/z=307(M−H)
【0073】
段階5
1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール臭化水素酸塩40g(102mmol)、次に、メチルイソブチルケトン(MIBK)320mlを、20±2℃にて、滴下漏斗、機械的撹拌装置、および温度探針を備えた1.5リットル反応容器内に導入して、窒素雰囲気下に置く。この混合液を30分間撹拌してから、トリエチルアミン44mlを20分間かけて添加し、同時に温度を−5℃に低下させる。前記漏斗をメチルイソブチルケトン40mlで濯ぐ。媒体を−10±2℃まで冷却し、メタンスルホニルクロリド(12ml、153mmol)を約30分かけて滴加し、同時に温度を−10°±2℃に保つ。白色の懸濁液を、−12°±2℃にて1時間撹拌し続ける。全混合液を20°±2℃に戻してから、1時間撹拌する。炭酸水素ナトリウム50g/lを含有する溶液160mlを約10分かけて添加する。有機相が清澄になり、水相は濁る。30分間撹拌し続けた後、沈降によって全体を分離し、有機相を、炭酸水素ナトリウム50g/lを含有する溶液80mlで2回洗浄する。清澄な二つの相が得られる。水相を取り除いた後、MIBK中のメシル酸アゼチジノール溶液400mlを回収し、この溶液をそのまま次の段階に使用する。
【0074】
段階6
N−(3,5−ジフルオロフェニル)メチルスルホンアミド21.37g(105mmol)、次に、無水炭酸カリウム42.4gを、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−イルスルホン酸メチルを含有するメチルイソブチルケトン溶液400mlに添加する。全混合液を105℃の温度にて還流し、この温度で4時間撹拌する。次に、30分かけて温度を25℃に戻し、メチルイソブチルケトン200ml、その後、水200mlを添加する。この混合液を15分間撹拌する。媒体を沈降によって分離し、有機相を、水200mlで15分間洗浄する。再び、沈降によって全体を分離させる。
【0075】
次に、MIBK約500mlを、約23mbarの真空下および温度約24℃±2℃で撹拌して、蒸留により濃縮する。25℃±2℃にて、媒体にイソプロパノール480mlを添加して、N−{1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−イル}−N−(3,5−ジフルオロフェニル)メチル−スルホンアミドを沈殿させる。約15分かけて温度を−3℃に低下させ、14時間この温度で撹拌を行う。
【0076】
次に、懸濁液を焼結ガラスで濾過する。反応容器を、3℃にてイソプロパノール80mlで2回洗浄し、得られた固形物を、回収されたイソプロパノール画分を用いて洗浄する。
【0077】
乾燥前の塊53.94gが得られる。約40mbarの真空下、温度40℃にて、24時間乾燥させると、N−{1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−イル}−N−(3,5−ジフルオロフェニル)メチルスルホンアミド39.34gが、即ち収率77.4%で得られる。
【0078】
上記実施例(段階5および6)に記載された条件は、1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール塩酸塩から出発する条件と同じ条件で適用され、その結果、N−{1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−イル}−N−(3,5−ジフルオロフェニル)メチルスルホンアミドが収率76.7%で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.以下の段階
【化1】

a)化学式(VIII)のケトンを、溶媒の存在下または非存在下、酸性もしくは塩基性の触媒の存在下または非存在下、0℃から150℃までの間の温度で3―アミノ―1,2−プロパンジオールと縮合する段階;
b)段階a)で得られた、場合により単離されていない、化学式(VII)のジオールイミンを、溶媒中にて金属触媒の存在下、ホウ化水素ガスまたは水素ガスにより還元し、化学式(VI)のジオールアミンを生成させる段階;
c)段階b)で得られた、場合により単離されていない、化学式(VI)のジオールアミンを、−78℃から40℃間の温度にて、溶媒、および場合により共溶媒の中で、塩基の存在下、スルホン化剤によって活性化し、場合により単離されていない、化学式(V)のスルホン酸エステルを生成させる段階;
d)段階c)で得られた、場合により単離されていない、化学式(V)のスルホン酸エステルを、溶媒中にて、塩基の存在下または非存在下、0℃から130℃までの間で加熱することにより環状化して、化学式(IV)のアゼチジノールを形成させ、場合により塩の形態で単離する段階;
e)段階d)で得られた化学式(IV)のアゼチジノールを、塩基の存在下、溶媒中において、−78℃から+40℃までの間の温度にて、スルホン化剤の作用によって化学式(II)のスルホン酸塩に変換する段階;
f)段階e)で得られたスルホン酸塩を、塩基の存在下、段階e)で使用された溶媒と同一の溶媒中において、化学式(III)のスルホンアミドと縮合し、化学式(I)の化合物を生成させる段階;
(ただし、化学式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(III)において、R、R’およびR’’は、互いに独立して、一つ以上の水素基、ハロゲン(Cl、F、Br、I)基、シアノ基、またはニトロ基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、アルキルが1から6個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐状のアルキルカルボン酸基、またはトリフルオロメチル基もしくはトリフルオロメトキシ基を表し;R’’’は、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはペルフルオロアルキル基、または場合により一つ以上のR’’基で置換されているアリール基を表し;および、R1はメチル基、CF基、C基、C17基、またはメチル基、ハロ基、もしくはニトロ基によって場合により置換されているフェニル基を表している。)
を含むことを特徴とする、化学式(I)のアゼチジン誘導体を合成する方法。
【請求項2】
段階a)において、溶媒がキシレンであり、触媒がパラトルエンスルホン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項3】
段階d)において、溶媒がトルエンまたはキシレンであり、塩基がNaHCOまたはNaCOであり、温度が0℃から130℃、好ましくは40℃から110℃までの間であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項4】
段階c)において、溶媒が、−78℃から+40℃まで、好ましくは−30℃と+20℃までの間の温度にて、トルエンをパラトルエンスルホニルクロリドと共に場合により含有するピリジンである、請求項1に記載の合成法。
【請求項5】
段階c)において、溶媒および共溶媒が、−30℃から+20℃までの間の温度にて、パラトルエンスルホニルクロリドとともに4:1の比率のトルエンおよびピリジンであることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項6】
段階b)において、アルカリ金属ホウ水素化物がNaBHであり、溶媒が60℃において水/エタノール混合液であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項7】
段階d)から得られる生成物が1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール臭化水素酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項8】
段階d)から得られる生成物が1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール塩酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項9】
段階d)から得られる生成物が1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールのテトラフルオロホウ酸であることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項10】
段階a)から得られる生成物が3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオールであることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項11】
段階b)から得られる生成物が3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}プロパン−1,2−ジオールであることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項12】
段階c)から得られる生成物が4−トルエンスルホン酸の3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピルエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の合成法。
【請求項13】
3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチレン]アミノ}プロパン−1,2−ジオール;3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}プロパン−1,2−ジオール;4−トルエンスルホン酸の3−{[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピルエステル。
【請求項14】
1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オール塩酸塩;1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−オールのテトラフルオロホウ酸。

【公表番号】特表2011−506409(P2011−506409A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537488(P2010−537488)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001728
【国際公開番号】WO2009/103883
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】