説明

アタッチメント及び望遠鏡

【課題】目当ての機能を有し、携帯し易く、カメラを簡単に望遠鏡に接続することができるアタッチメントを提供する。
【解決手段】アタッチメント部品3内にその中心軸方向へ移動可能かつ中心軸回りに回転可能に目当て環5を収容する。アタッチメント部品3と目当て環5との間に操作環7を中心軸周りに回転可能に配置するとともに、その一部をアタッチメント部品3から突出させる。操作環7の回転を目当て環5に伝達して目当て環5をアタッチメント部品3の中心軸方向へ移動させるカム機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は望遠鏡にカメラを装着するためのアタッチメント及びそれを備えた望遠鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイピース本体とアイカップ内筒とピンとカバーリングとアイカップ外筒兼用望遠鏡側アダプターとからなるアイカップ兼望遠鏡側アダプタ付きアイピースが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
アイピース本体はほぼ円筒状である。アイピース本体は、中間部と、この中間部の光入射側に設けられた係止部と、中間部のアイレンズ側に設けられた小外径部とを有する。中間部の小外径部側には雄ねじが形成されている。係止部は望遠鏡に連結される。
【0004】
アイカップ内筒は、前部と、この前部より外径が大きい後部とを有する。後部の内径は前部の内径に等しい。前部には目切りゴムが装着される。後部にはカム溝が形成されている。後部はアイピース本体の小外径部の外周面に装着される。
【0005】
ピンはアイピース本体の小外径部に固定され、アイカップ内筒のカム溝に挿入されている。
【0006】
カバーリングの内周面には雌ねじが形成されている。この雌ねじをアイピース本体の中間部の雄ねじにねじ込むことによってカバーリングはアイピース本体に取り付けられ、カム溝とピンとを隠す。カバーリングの外径はアイピース本体の中間部の外径に等しい。
【0007】
アイカップ外筒兼望遠鏡側アダプターはアイカップ内筒の前部に装着された目切りゴムを外した状態でアイピース本体及びアイカップ内筒に装着され、止めねじによってアイピース本体及びアイカップ内筒に固定される。
【0008】
アイカップ内筒を回転させると、カム溝内をピンが相対的に移動し、アイカップ内筒がアイピース本体に保持されたレンズの光軸方向へ移動する。
【0009】
上述のアイカップ兼望遠鏡側アダプタ付きアイピースを用いてカメラを望遠鏡に装着するには、アイカップ内筒の前部に装着された目切りゴムを外し、アイカップ外筒兼望遠鏡側アダプターをアイピース本体及びアイカップ内筒に装着し、止めねじで固定する。
【0010】
その後、カメラに装着されたカメラ側アダプタをアイカップ望遠鏡側アダプタに装着する。
【特許文献1】特開2006−126586号公報(段落0019〜0024、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、従来のアイカップ兼望遠鏡側アダプタ付きアイピースでは、望遠鏡で観察するだけでなく、望遠鏡にカメラを装着して写真撮影をする予定がある場合に、アイピース本体等とは別部品のアイカップ外筒兼望遠鏡側アダプターを携帯する必要があり、持ち運ぶのが面倒であり、また、カメラを望遠鏡に装着するときにアイピース本体等にアイカップ外筒兼望遠鏡側アダプターを装着する必要があり、その作業が面倒であった。
【0012】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、目当ての機能を有し、携帯し易く、カメラを簡単に望遠鏡に接続することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するため請求項1の発明のアタッチメントは、カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、このアタッチメント部品内にその中心軸方向へ移動可能に収容された目当て環とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明のアタッチメントは、カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、このアタッチメント部品内にその中心軸方向へ移動可能かつ前記中心軸回りに回転可能に収容され、一端部が前記アタッチメント部品から突出した繰出し環と、前記中心軸周りの前記繰出し環の回転を前記繰出し環の前記中心軸方向への動きに変換する運動変換手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明のアタッチメントは、接眼レンズ鏡筒の外周面を取り囲むように前記接眼レンズ鏡筒の外周面に回転可能に装着され、カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、前記アタッチメント部品の回転運動を前記アタッチメント部品のその中心軸方向への動きに変換する運動変換手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、目当ての機能を有し、携帯し易く、カメラを簡単に望遠鏡に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1はこの発明の第1の実施形態に係るアタッチメントの縦断面を示す概念図、図2は図1に示すアタッチメントの伝達手段を説明するための概念図、図3は図1に示すアタッチメントの横断面を示す概念図、図4Aは図1に示すアタッチメントの目当て環が押し込まれた状態を示す側面図、図4Bは同アタッチメントの目当てゴムが突出した状態を示す側面図、図4Cは同アタッチメントの目当て環が更に突出した状態を示す側面図、図5は図1に示すアタッチメントによって望遠鏡にカメラを装着した状態の断面を示す概念図である。図4B、図4C中のハッチングで示した部分は目当てゴム13である。
【0019】
図1〜3に示すように、アタッチメント1はアタッチメント部品3と目当て環5と操作環7と固定環9とピン11とを備えている。アタッチメント部品3、目当て環5、操作環7及び固定環9は金属製である。アタッチメント1は望遠鏡20の接眼レンズ鏡筒21の外周面に装着されている。
【0020】
望遠鏡20の接眼レンズ鏡筒21は鏡筒本体22とレンズ保持筒23で構成されている。鏡筒本体22はほぼ円筒状であり、その後端部(カメラ41側の端部)にフランジ部22aを有する。フランジ部22aの内周面には雌ねじ22bが形成されている。
【0021】
レンズ保持筒23は小径部23aと大径部23bと連結部23cとを有する。小径部23aは有底円筒状であり、その前端部(望遠鏡20の対物レンズ(図示せず)側の端部)には開口23dが形成されている。小径部23aの外周面には雄ねじ23eが形成されている。大径部23bは小径部23aの後端部(カメラ側の端部)に連結部23cを介して連結されている。大径部23bの内周面には雌ねじ23fが形成され、大径部23bの外周面には雄ねじ23gが形成されている。レンズ保持筒23の雄ねじ23eを鏡筒本体22の雌ねじ22bに螺合することによって、レンズ保持筒23が鏡筒本体22に固定され、一体化されている。
【0022】
レンズ保持筒23内には第1、第2支持筒24,25が配置されている。第1支持筒24は有底円筒状であり、その前端部には開口24aが形成されている。第1支持筒24はレンズ15を支持している。第2支持筒25は有底円筒状であり、その後端部には開口25aが形成されている。第2の支持筒25は開口25aの周縁部でレンズ16を支持するとともに、レンズ15に接触している。
【0023】
レンズ15はレンズ押え26によって押えられる。レンズ押え26はほぼ有底円筒状であり、その後端部には凹部26aが形成されているとともに、開口26bが形成されている。また、レンズ押えの26の後端部の外周面にはフランジ部26cが形成されている。レンズ押さえ26の前端部の外周面には雄ねじ26dが形成されている。
【0024】
アタッチメント部品3は大径部3aと小径部3bと結合部3cとを有している。大径部3aは円筒状であり、大径部3aの前端部の内周面には環状突起3dが形成されている。小径部3bは円筒状であり、小径部3bは大径部3aの後端部に連結部3cを介して連結されている。
【0025】
目当て環5はほぼ円筒状である。目当て環5の前端部には3つの挿入孔5aが周方向へ等間隔に形成されている。挿入孔5aにはそれぞれピン11の軸部11bが挿入されている。目当て環5の後端部には環状溝5bが形成されている。環状溝5bに目当てゴム13の環状突起13aを嵌合させることによって、目当て環5に目当てゴム13が装着されている。目当て環5は固定環9の外周面に摺動可能に装着されている。
【0026】
操作環7はほぼ円筒状である。操作環7には直線状溝7aが形成されている。操作環7の後端部の外周面にはフランジ部7bが形成されている。フランジ部7bはアタッチメント部品3の小径部3bの後端面に当接する。操作環7の前端部の内周面には環状突起7cが形成されている。操作環7は目当て環5の外周面に摺動可能に装着されている。
【0027】
固定環9はほぼ円筒状である。固定環9にはカム溝9aが形成されている。固定環9の内周面には雌ねじ9bが形成されている。また、固定環9の前端部の外周面には第1のフランジ部9cと第2のフランジ部9dが形成されている。第1のフランジ部9cの外径は第2のフランジ部9dの外径よりも小さい。第1のフランジ部9cと第2のフランジ部9dとは一体である。
【0028】
ピン11の頭部11aは操作環7の直線状溝7aに挿入され、ピン11の軸部11bは固定環9のカム溝9aに挿入される。アタッチメント1を径方向から見たとき、ピン11は直線状溝7aとカム溝9aの交点に位置する。
【0029】
ピン11と直線状溝7aとカム溝9aとで、操作環7に加えられた力を目当て環5に伝達して目当て環5をアタッチメント部品3の中心軸方向(レンズ15,16の光軸方向と一致する)へ移動させる伝達手段が構成されている。
【0030】
アタッチメント1を接眼レンズ鏡筒21に装着するには以下のようにする。
【0031】
予め、レンズ保持筒23内に、第1支持筒24とレンズ15と第2の支持筒25とレンズ16とを収容しておく。
【0032】
次に、固定環9の外周面に目当て環5を装着し、目当て環5の外周面に操作環7を装着し、操作環7の外周面にアタッチメント部品3を装着した状態で、固定環9の雌ねじ9bをレンズ保持筒23の雄ねじ23gにねじ込み、固定環9の前端面を鏡筒本体22のフランジ部22aに付き当てる。この状態で、レンズ押え26の雄ねじ26dをレンズ保持筒23の雌ねじ23fにねじ込むと、固定筒9は鏡筒本体22のフランジ部22aとレンズ押え26のフランジ部26cとで挟まれ、正確に位置決めされる。
【0033】
固定筒9が固定されると、アタッチメント部品3の環状突起3dは固定環9の第1フランジ部9cと鏡筒本体22のフランジ部22aとの間に配置される。その結果、アタッチメント部品3はレンズ15,16の光軸方向へ動くことはできないが、光軸回りへ回転することができる。
【0034】
また、固定筒9が固定されると、操作環7の環状突起7cは固定環9の第2フランジ部9dと鏡筒本体22のフランジ部22aとの間に配置される。その結果、操作環7は光軸方向へは動くことができないが、光軸回りへ回転することができる。
【0035】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0036】
操作環7が図4Aに示す状態であるとき、ピン11は固定環9のカム溝9aの一端部9a−1上に位置し(図2参照)、また、目当て環5の凸部5dが固定環9に形成された凹部9e−1に嵌合し(図3参照)、操作環7が軽くロックされた状態にあり、目当て環5は操作環7内に完全に収容されている。この状態は望遠鏡にカメラを装着するときの状態である。
【0037】
操作環7に周方向へやや強く力を加えると、凸部5dが凹部9e−1から抜け、操作環7が回転する。操作環7が回転すると、ピン11は固定環9のカム溝9aに案内されて、カム溝9aの中間部9a−2に達する。このとき、目当て環5のアーム5cの凸部5dは固定環9に形成された凹部9e−2に入り、操作環7が軽くロックされる。このときのピン11の動きに応じて目当て環5は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図4Bに示すように、目当て環5の後端部に装着した目当てゴム13が操作環7から突出する。この状態は眼鏡をかけて望遠鏡20を使用するのに適する。
【0038】
図4Bに示す状態から、操作環7に回転力を加えると、凸部5dが凹部9e−2から抜け、操作環7が回転可能となる。操作環7が回転すると、ピン11がカム溝9aの中間部9a−2からカム溝9aの他端部9a−3まで移動する。このときのピン11の動きに応じて目当て環5は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図4Cに示すように、目当て環5が操作環7から更に突出する。この状態は裸眼で望遠鏡20を使用するのに適する。
【0039】
図5に示すように、望遠鏡20にカメラ41を装着するには、カメラブラケット42を用いる。
【0040】
カメラブラケット42は小径部42aとフランジ部42bと中間径部42cと大径部42dとを有する。
【0041】
小径部42aはカメラ41のボディ411の前面に形成された凸部411asに嵌合する。
【0042】
フランジ部42bは小径部42aと中間径部42cとの間に介在する。フランジ部42bの下部にはカメラ固定板42eが固定されている。カメラ41は取付ねじ412によってカメラ固定板42eに取り付けられている。
【0043】
フランジ部42bの上部にはレリーズ板42fが固定されている。レリーズ板42fにはレリーズ44が取り付けられている。
【0044】
中間径部42cの内周面には環状突起42gが形成されている。環状突起42gは操作環7の後端面に突き当たる。これにより、望遠鏡20のレンズ15,16とカメラ41の対物レンズ413との間隔αが正確に決められる。間隔αはカメラ41の光学的特性に重要な値であり、このαの値が不正確であると、写真の四隅が暗くなる、いわゆるケラレの問題が生じる。
【0045】
大径部42dには周方向へ等間隔に3つの固定ねじ43が取り付けられてる。3つの固定ねじ43をアタッチメント部品3の小径部3bに押し付けることによってカメラブラケット42がアタッチメント1に固定される。その結果、望遠鏡20にカメラ41が接続される。
【0046】
この実施形態によれば、カメラ41を望遠鏡20に固定するために、望遠鏡20から部品を外し、その代わりに他の特別な部品を取り付けるような作業が必要でない。したがって、特別な部品を携帯する煩わしさが無く、簡単にカメラ41を望遠鏡20に接続することができる。
【0047】
また、カメラブラケット42をアタッチメント1から外し、カメラを装着しない状態での視察を行うに際して操作環7を回せば、目当て環5を突出させることができ、目とレンズ15,16との間隔を適正に保つことができる。
【0048】
図6は図1に示すアタッチメントの変形例の断面を示す概念図である。
【0049】
第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0050】
この変形例と第1の実施形態とは、アタッチメント部品103とカメラブラケット142との結合構造の点で異なる。
【0051】
この変形例では、アタッチメント部品103として一定の外径を有する円筒体を採用し、その外周面に雄ねじ103eを形成した。
【0052】
カメラブラケット142の内周面には雄ねじ103eと螺合する雌ねじ142hを形成した。
【0053】
アタッチメント部品103の雄ねじ103eをカメラブラケット142の雌ねじ142hに螺合することにより、アタッチメント101とカメラブラケット142とが結合される。
【0054】
この変形例によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、固定ねじ43が不要となるので、外観上有効である。
【0055】
図7は図1に示すアタッチメントの他の変形例の断面を示す概念図である。
【0056】
第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0057】
この変形例と第1の実施形態とは、アタッチメント部品1103とカメラブラケット1142との結合構造の点で異なる。
【0058】
この変形例では、アタッチメント部品1103として一定の外径を有する円筒体を採用し、その外周面とカメラブラケット1142の内周面とを接触させた。
【0059】
カメラブラケット1142の前端部の外周面には雄ねじ1142iが形成されている。雄ねじ1142iに固定リング1145の内周面に形成された雌ねじ1145aを螺合させることによって、カメラブラケット1142の前端部に固定リング1145が固定される。その結果、カメラブラケット1142のフランジ部42gが操作環7に付き当てられ、固定リング1145の環状突起1145bが鏡筒本体22のフランジ部22aに付き当てられ、カメラブラケット1142がアタッチメント1101に固定される。
【0060】
この変形例によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、カメラと望遠鏡との固定をより強固なものにすることができる。
【0061】
図8はこの発明の第2の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図、図9Aは図8に示すアタッチメントの目当て環が引っ込んだ状態を示す側面図、図9Bは同アタッチメントの目当てゴムが突出した状態を示す側面図、図9Cは同アタッチメントの目当て環が突出した状態を示す側面図である。
【0062】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0063】
第2の実施形態は第1操作環207と第2操作環208とを有する。
【0064】
アタッチメント部品203の後端側に大径部203aが形成され、前端側に小径部203bが形成されている。大径部203aは目当て環5の後端部を覆うようにカメラの方へ延びている。大径部203aの外周面には環状溝203gが形成されている。
【0065】
第1操作環207は円筒状であり、アタッチメント部品203と目当て環5との間に摺動可能に配置されている。第1操作環207にはカム溝207aが形成されている。
【0066】
第2操作環208はほぼリング状であり、アタッチメント部品203の小径部203bに回転可能に配置されている。第2操作環208はピン12によって第1操作環207に連結されている。したがって、第2操作環208を回転させると、第1操作環207も回転する。
【0067】
固定環209には直線状溝209aが形成されている。直線状溝209aはレンズ15,16の光軸方向へ延びている。
【0068】
ピン11の頭部11aは第1の操作環207のカム溝207aに挿入され、ピン11の軸部11bは固定環209の直線状溝209aに挿入されている。
【0069】
図9Aに示される第2操作環208を回転させると、第1操作環207も回転し、ピン11の頭部11aはカム溝207aに沿って相対移動する。このとき、ピン11の頭部11aはカム溝207aから周方向の力と光軸方向の力を受けるが、固定環209の直線状溝209aによってピン11の軸部11bの周方向の動きが規制されるので、ピン11は光軸方向へ移動する。その結果、ピン11によって目当て環5が光軸方向へ動き、図9Bに示すように目当てゴム13がアタッチメント部品203から突出する。
【0070】
更に、第2操作環208を回転させると、ピン11が更に光軸方向へ移動し、図9Cに示すように、目立て環5の後端部がアタッチメント部品203から突出する。第2操作環8を回転させたとき、目当て環5は光軸回りへ回転しない。
【0071】
第2の実施形態は第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、目立て環5が光軸方向へ移動するときに目当て環5が光軸回りへ回転しないので、例えば、目当て環5の後端面を人の顔面のカーブにフィットする曲面にすることができる。
【0072】
図10はこの発明の第3の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図、図11Aは図10に示すアタッチメントの繰出し環が引っ込んだ状態を示す側面図、図11Bは同アタッチメントの繰出し環がやや繰り出した状態を示す側面図、図11Cは同アタッチメントの繰出し環が最も繰り出した状態を示す側面図である。
【0073】
第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0074】
図10に示すように、アタッチメント301はアタッチメント部品303と繰出し環306と固定環309とピン311とを備えている。アタッチメント301は接眼レンズ鏡筒21の外周面に装着されている。
【0075】
アタッチメント部品303は大径部303aと小径部303bとを有している。大径部3aの前端部の内周面には環状突起303dが形成されている。小径部303bは大径部303aの後端部に連結されている。
【0076】
繰出し環306はほぼ円筒状であり、金属製である。繰出し環306は第1の実施形態の目当て環5と操作環7の機能を有する。繰出し環306の前端部には3つの孔306aが周方向へ等間隔に形成されている。繰出し環306の後端部には大径部306cが形成されている。大径部306cの外径はアタッチメント部品303の内径よりも大きい。大径部306cには目当てゴム313が装着されている。繰出し環306の後端面には環状突起306dが形成されている。環状突起306dは目当てゴム313によって覆われない。大径部306cを除き、繰出し環306はアタッチメント部品303と固定環309との間に摺動可能に配置されている。
【0077】
固定環309は円筒状であり、カム溝309aが形成されている。また、固定環9の前端部の外周面にはフランジ部309cが形成されている。
【0078】
ピン311の頭部311aは孔306aに保持され、ピン311の軸部311bは孔306aを介して、固定環309のカム溝309aに挿入される。
【0079】
ピン311とカム溝309aとで、アタッチメント部品303の中心軸(レンズ15,16の光軸に一致する)周りの繰出し環306の回転を繰出し環306のアタッチメント部品303の中心軸方向への動きに変換する運動変換手段が構成される。
【0080】
アタッチメント301を接眼レンズ鏡筒21に装着するには以下のようにする。
【0081】
予め、レンズ保持筒23内に、第1支持筒24とレンズ15と第2の支持筒25とレンズ15を配置する。
【0082】
次に、固定環309の外周面に繰出し環306を装着し、繰出し環306の外周面にアタッチメント部品303を装着した状態で、固定環309の雌ねじ9bをレンズ保持筒23の雄ねじ23gにねじ込み、固定環309の前端面を鏡筒本体22のフランジ部22aに付き当てる。この状態で、レンズ押え26の雄ねじ26dをレンズ保持筒23の雌ねじ23fにねじ込むと、固定筒309は鏡筒本体22のフランジ部22aとレンズ押え26のフランジ部26cとで挟まれ、正確に位置決めされる。
【0083】
固定筒309が固定されると、アタッチメント部品303の環状突起303dは固定環309のフランジ部309cと鏡筒本体22のフランジ部22aとの間に配置される。その結果、アタッチメント部品303はレンズ15,16の光軸方向へ動くことはできないが、光軸回りへ回転することができる。
【0084】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0085】
図11Aに示す状態は望遠鏡にカメラを装着するときの状態である。図11Aに示す状態で、目当てゴム313を摘んで繰出し環306に回転力を加えると、繰出し環306が回転する。繰出し環306が回転すると、ピン311の軸部311bは固定環309のカム溝309aに案内される。このときのピン311の動きに応じて繰出し環306は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図11Bに示すように、目当てゴム313がアタッチメント部品303からやや離れ、繰出し環306の一部が露出する。この状態は眼鏡をかけて望遠鏡20を使用するのに適する。
【0086】
図11Bに示す状態から、目当てゴム313を摘んで繰出し環306に回転力を加えると、ピン311がカム溝309aの一端まで移動する。このときのピン311の動きに応じて繰出し環306は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図11Cに示すように、繰出し環306がアタッチメント部品303から大きく突出する。この状態は裸眼で望遠鏡20を使用するのに適する。
【0087】
図11Aに示す状態でカメラブラケット42(図5参照)をアタッチメント301に装着すると、カメラブラケット42のフランジ部42gは目当てゴム313に突き当たらずに、繰出し環306の環状突起306d(図10参照)に突き当たるので、レンズ16と対物レンズ413との間隔αが正確に決まる。
【0088】
第3の実施形態は第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0089】
図12はこの発明の第4の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図、図13Aは図12に示すアタッチメントの繰出し環が引き込んだ状態を示す側面図、図13Bは同アタッチメントの繰出し環がやや繰り出した状態を示す側面図、図13Cは同アタッチメントの繰出し環が最も繰り出した状態を示す側面図である。
【0090】
第4の実施形態は第3の実施形態とほぼ同じ構成であるので、第1、3の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第3の実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0091】
第3の実施形態の固定環309にはカム溝309aが形成されているが、第4の実施形態の固定環409には直線状溝409aが形成されている。直線状溝409aはピン311をレンズ15,16の光軸方向へ案内する。
【0092】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0093】
図13Aに示す状態で、目当てゴム313を摘んで繰出し環306にレンズ15,16の光軸方向の力を加えると、繰出し環6が光軸方向へ移動する。このとき、固定環409の直線状溝409aはピン311を光軸方向へ案内する。その結果、図13Bに示すように、目当てゴム313が光軸方向に沿って移動し、アタッチメント部品303からやや離れ、繰出し環6の一部が露出する。
【0094】
図13Bに示す状態から、目当てゴム313を摘んで繰出し環306を光軸方向へ引っ張ると、ピン311が直線状溝409aの一端まで移動して止まり、ピン311が止まると繰出し環306も止まる。その結果、図13Cに示すように、繰出し環306がアタッチメント部品303から大きく突出する。
【0095】
第4の実施形態は第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0096】
図14はこの発明の第5の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図、図15Aは図14に示すアタッチメントのアタッチメント部品が引っ込んだ状態を示す側面図、図15Bは同アタッチメントのアタッチメント部品が少し突出した状態を示す側面図、図15Cは同アタッチメントのアタッチメント部品が最も突出した状態を示す側面図である。
【0097】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、主な相違部分についてだけ説明する。
【0098】
図14に示すように、アタッチメント501はアタッチメント部品503とカム環506とねじ511とを備えている。アタッチメント501は接眼レンズ鏡筒521の外周面に装着されている。
【0099】
接眼レンズ鏡筒521はフランジ部521aとレンズ保持部521bとを有する。
【0100】
レンズ保持部521bは小径部521cと大径部521dとを有する。大径部521dの内周面には雌ねじ521eが形成され、大径部521dの外周面にはねじ孔521fが形成されている。
【0101】
レンズ保持部521d内には、第1、第2支持筒24,25、レンズ15及びレンズ16が配置されている。
【0102】
レンズ15,16を押さえ付けるレンズ押え526はほぼ有底円筒状であり、その後端部には凹部526aが形成されているとともに、開口526bが形成されている。また、レンズ押え526の後端部の外周面にはフランジ部526cが形成されている。レンズ押さえ26の前端部の外周面には雄ねじ526dが形成されている。フランジ部526cには環状切欠526eが形成されている。
【0103】
アタッチメント部品503の外周面には環状溝503aが形成されている。アタッチメント部品503の前端部の内周面には環状突起503bが形成されている。環状突起503bはカム環506の前端面と当接する。アタッチメント部品503は第1の実施形態の目当て環5及び操作環7の機能と同様の機能を有する。
【0104】
カム環506は円筒状である。カム環506にはカム溝506aが形成されている。カム環506の後端部の内周面には環状突起506bが形成されている。環状突起506bはレンズ押え526の環状切欠526eに収まる。カム環506はアタッチメント部品503と一体化されている。
【0105】
ねじ511は頭部511aとねじ部511bとを有する。ねじ511のねじ部511bをねじ孔521fに螺合している。ねじ511の頭部511aはカム環506のカム溝506aに摺動可能に挿入されている。
【0106】
ねじ511とカム環506とでアタッチメント部品503の回転運動をアタッチメント部品503のその中心軸方向(レンズ15,16の光軸方向に一致)への動きに変換する運動変換手段が構成されている。
【0107】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0108】
図15Aに示す状態で、アタッチメント部品503を摘んでアタッチメント部品503にその周方向の力を加えると、アタッチメント部品503が回転する。アタッチメント部品503が回転すると、ねじ511はカム溝506a内を相対的に移動する。ねじ511のカム溝506a内の相対的な動きに応じてアタッチメント部品303は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図15Bに示すように、アタッチメント501がフランジ部521aからやや離れる。
【0109】
図15Bに示す状態から、アタッチメント部品503を回転させると、ねじ511が相対的にカム溝506aの一端まで移動する。このときのねじ511の相対的な動きに応じてアタッチメント部品503は光軸回りへ回転しながら、光軸方向へ移動する。その結果、図15Cに示すように、フランジ部521aからアタッチメント部品503が大きく離れる。
【0110】
第5の実施形態は第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1はこの発明の第1の実施形態に係るアタッチメントの縦断面を示す概念図である。
【図2】図2は図1に示すアタッチメントの伝達手段を説明するための概念図である。
【図3】図3は図1に示すアタッチメントの横断面を示す概念図である。
【図4A】図4Aは図1に示すアタッチメントの目当て環が押し込まれた状態を示す側面図である。
【図4B】図4Bは同アタッチメントの目当てゴムが突出した状態を示す側面図である。
【図4C】図4Cは同アタッチメントの目当て環が更に突出した状態を示す側面図である。
【図5】図5は図1に示すアタッチメントによって望遠鏡にカメラを装着した状態の断面を示す概念図である。
【図6】図6は図1に示すアタッチメントの変形例の断面を示す概念図である。
【図7】図7は図1に示すアタッチメントの他の変形例の断面を示す概念図である。
【図8】図8はこの発明の第2の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図である。
【図9A】図9Aは図8に示すアタッチメントの目当て環が引っ込んだ状態を示す側面図である。
【図9B】図9Bは同アタッチメントの目当てゴムが突出した状態を示す側面図である。
【図9C】図9Cは同アタッチメントの目当て環が突出した状態を示す側面図である。
【図10】図10はこの発明の第3の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図である。
【図11A】図11Aは図10に示すアタッチメントの繰出し環が引っ込んだ状態を示す側面図である。
【図11B】図11Bは同アタッチメントの繰出し環がやや繰り出した状態を示す側面図である。
【図11C】図11Cは同アタッチメントの繰出し環が最も繰り出した状態を示す側面図である。
【図12】図12はこの発明の第4の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図である。
【図13A】図13Aは図12に示すアタッチメントの繰出し環が引き込んだ状態を示す側面図である。
【図13B】図13Bは同アタッチメントの繰出し環がやや繰り出した状態を示す側面図である。
【図13C】図13Cは同アタッチメントの繰出し環が最も繰り出した状態を示す側面図である。
【図14】図14はこの発明の第5の実施形態の係るアタッチメントの断面を示す断面図である。
【図15A】図15Aは図14に示すアタッチメントのアタッチメント部品が引っ込んだ状態を示す側面図である。
【図15B】図15Bは同アタッチメントのアタッチメント部品が少し突出した状態を示す側面図である。
【図15C】図15Cは同アタッチメントのアタッチメント部品が最も突出した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0112】
1,101,1101,201,301,401,501:アタッチメント、3,103,1103,203,303,403,503:アタッチメント部品、5:目当て環、306:繰出し環、506:カム環、7,207,208:操作環、9,209,309,409:固定環、9a,207a,309a,506a:カム溝、7a,209a,409a:直線状溝、11,311,511:ピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、
このアタッチメント部品内にその中心軸方向へ移動可能に収容された目当て環と
を備えることを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
力を受けることによって前記アタッチメント部品に対して移動可能な操作環と、
前記操作環に加えられた力を前記目当て環に伝達して前記目当て環を前記中心軸方向へ移動させる伝達手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、
このアタッチメント部品内にその中心軸方向へ移動可能かつ前記中心軸回りに回転可能に収容され、一端部が前記アタッチメント部品から突出した繰出し環と、
前記中心軸周りの前記繰出し環の回転を前記繰出し環の前記中心軸方向への動きに変換する運動変換手段と
を備えることを特徴とするアタッチメント。
【請求項4】
前記目当て環の一端部が前記アタッチメント部品から突出した繰出し環を備えることを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項5】
接眼レンズ鏡筒の外周面を取り囲むように前記接眼レンズ鏡筒の外周面に回転可能に装着され、カメラを装着するブラケットが装着される筒状のアタッチメント部品と、
前記アタッチメント部品の回転運動を前記アタッチメント部品のその中心軸方向への動きに変換する運動変換手段と
を備えることを特徴とするアタッチメント。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のアタッチメントを備えていることを特徴とする望遠鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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