説明

アダプター、カメラシステム、および、アダプター制御プログラム

【課題】レンズ交換式のカメラシステムにおいて、様々な種類の光学系を適切に機能させることができるアダプターを提供する。
【解決手段】アダプターは、カメラボディと通信可能であり、焦点調節を行うフォーカスレンズを含む焦点調節機構を備えた交換レンズと通信可能であるアダプター制御部を有し、前記アダプター制御部は、前記焦点検出部の検出結果に応じて前記カメラボディで生成された前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信し、前記第1の制御指令を前記第2の制御指令に変換し、前記第2の制御指令を前記交換レンズに対して送信するとともに、前記交換レンズから供給される前記フォーカスレンズの移動情報に応じた前記フォーカスレンズの第1位置情報は、前記カメラボディに送信されないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプター、カメラシステム、および、アダプター制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラボディとカメラボディに着脱可能な交換レンズとを備えるレンズ交換式のカメラシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
このレンズ交換式のカメラシステムにおいては、カメラボディに装着される交換レンズを変更することにより、様々な種類の光学系を介しての撮像が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−275890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デジタル方式のカメラシステムにおいては、従来よりもカメラボディのサイズが小型化された新しいレンズ交換式のカメラシステムが開発されている。
しかしながら、この新しいレンズ交換式のカメラシステムのカメラボディには、既存のカメラシステムの交換レンズを装着させて機能させることができない場合がある。
ところで、既存の交換レンズは、一般に広く普及している。そのため、新しいレンズ交換式のカメラシステムにおいて、様々な種類の光学系を介しての撮像を可能にするためには、既存の交換レンズも装着させて機能させることができるようになることが望まれている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、レンズ交換式のカメラシステムにおいて、様々な種類の光学系を適切に機能させることができるアダプター、カメラシステム、および、アダプター制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明は、焦点検出を行う焦点検出部を備えたカメラボディを着脱可能な第1マウント部と、前記第1マウント部とは別に設けられており、焦点調節を行うフォーカスレンズを含む焦点調節機構を備えた交換レンズを着脱可能な第2マウント部と、前記カメラボディと通信可能であり、前記交換レンズと通信可能である前記アダプター制御部とを有し、前記アダプター制御部は、前記焦点検出部の検出結果に応じて前記カメラボディで生成された前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信し、前記第1の制御指令を前記第2の制御指令に変換し、前記第2の制御指令を、前記第2の制御指令を前記交換レンズに対して送信するとともに、前記交換レンズから供給される前記フォーカスレンズの移動情報に応じた前記フォーカスレンズの第1位置情報は、前記カメラボディに送信されないことを特徴とするアダプターである。
【0007】
また、本発明は、上記記載のアダプターと、前記第1マウント部に装着される前記カメラボディと、前記第2マウント部に装着される前記交換レンズと、を備えることを特徴とするカメラシステムである。
【0008】
また、本発明は、焦点検出を行う焦点検出部を備えたカメラボディを着脱可能な第1マウント部と、前記第1マウント部とは別に設けられており、焦点調節を行うフォーカスレンズを含む焦点調節機構を備えた交換レンズを着脱可能な第2マウント部と、を備えるアダプターに設けられているアダプター制御部の動作を制御するアダプター制御プログラムであって、前記焦点検出部の検出結果に応じて前記カメラボディで生成された前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信するステップと、前記第1の制御指令を前記第2の制御指令に変換するステップと、前記第2の制御指令を前記交換レンズに対して送信するステップと、を有しており、前記交換レンズから供給される前記フォーカスレンズの移動情報に応じた前記フォーカスレンズの第1位置情報は、前記カメラボディに送信されないことを特徴とするアダプター制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、レンズ交換式のカメラシステムにおいて、様々な種類の光学系を適切に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態によるカメラシステムの構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態によるアダプターの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】本実施形態によるカメラシステムの構成の第1の例を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態によるカメラシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態によるAF制御の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態による交換レンズに係る処理の状態遷移の概要を示すフローチャートである。
【図7】レンズ定常処理におけるコマンドデータ通信の通信シーケンスの一例を示す図である。
【図8】AF制御における交換レンズに対する制御量の変換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<カメラシステムの構成の説明>
図1は、この発明の一実施形態によるカメラシステム1の構成を示す斜視図である。
図1に示すカメラシステム1は、レンズ交換式のカメラシステムであり、カメラボディ100と、交換レンズ200と、カメラボディ100と交換レンズ200との間に設けられ、カメラボディ100と交換レンズ200とに対してそれぞれ着脱可能に固定されるアダプター300と、を備えている。
この図において、アダプター300は、カメラボディ100に装着されている。また、交換レンズ200は、アダプター300を介してカメラボディ100に装着されている。
【0012】
このカメラシステム1において、カメラボディ100が備えているレンズマウントであるカメラボディ側マウント101の仕様と、交換レンズ200が備えているレンズマウントであるレンズ側マウント201の仕様とは、互いに異なる仕様である。例えば、カメラボディ側マウント101の仕様とレンズ側マウント201の仕様とでは、マウント形状の仕様、電気的に接続される接続端子の仕様が互いに異なる。また、該接続端子を介して通信される通信規格や通信データの種類等も互いに異なる。そのため、交換レンズ200をカメラボディ100に直接装着することはできない。
そこで、アダプター300は、カメラボディ100と交換レンズ200とを間接的に装着可能にするマウントアダプターとして構成されている。さらに、アダプター300は、互いに異なる通信規格や通信データの種類を持つカメラボディ100と交換レンズ200との間で、それら通信規格等を変更することなく、両者間の通信を可能とするように構成されている。
また、カメラボディ100は、電源釦131と、レリーズ釦132と、背面操作部133と、表示部150と、を備えている。
電源釦131は、カメラボディ100における主電源のオンとオフとを切り替えるための操作部材である。
レリーズ釦132は、撮影処理開始の指示を受け付ける操作部材である。例えば、レリーズ釦132は、半押しされた状態(半押し状態、例えば、焦点調整、露出調整等を受け付ける状態)と全押しされた状態(全押し状態、例えば、露光開始の指示を受け付ける状態)との2種類の撮影処理開始の指示を受け付ける。
背面操作部133は、カメラボディ100の筐体面のうちカメラボディ側マウント101を備えている面と反対面である背面に設けられている。背面操作部133は、例えば、動作モードの選択釦(例えば、モードダイヤル)、または、各種設定条件の選択釦(例えば、メニュー釦や上下左右選択釦)等の操作部材を含んで構成されている。
表示部150は、背面操作部133と同様に背面に設けられており、撮影された画像、または、各種設定条件を選択させるメニュー画面等を表示する。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含んで構成されている。
【0013】
図2は、本実施形態によるアダプター300の構成の一例を示す斜視図である。
アダプター300は、カメラボディ100を着脱可能な第1マウント部と、第1マウント部とは別に設けられており、交換レンズ200を着脱可能な第2マウント部と、を備えている。
例えば図2に示すように、アダプター300は、カメラボディ100が備えているカメラボディ側マウント101に着脱可能な第1マウント301(第1マウント部)と、交換レンズ200が備えているレンズ側マウント201に着脱可能な第2マウント302(第2マウント部)と、を備えている。
なお、第1マウント301の近傍には、カメラボディ側マウント101の近傍に設けられている複数の電気的な接続端子のそれぞれに対応する、複数の電気的な接続端子(マウント接点)が設けられて入る。これにより、アダプター300は、カメラボディ100に装着されると、これら複数の接続端子を介して、カメラボディ100と電気的に接続される。
また、第2マウント302の近傍には、レンズ側マウント201の近傍に設けられている複数の電気的な接続端子のそれぞれに対応する複数の電気的な接続端子を備えている。これにより、アダプター300は、交換レンズ200に装着されると、これら複数の接続端子を介して交換レンズ200と電気的に接続される。
【0014】
また、アダプター300は、アダプター300を三脚に取り付け可能とするための三脚座305と、レンズ着脱釦306と、絞り連動レバー350と、を備えている。
レンズ着脱釦306は、交換レンズ200が装着されることに応じて機械的にロックされるロック機構のロックを解除するための釦である。つまり、レンズ着脱釦306は、ユーザが、アダプター300に装着されている交換レンズ200を取り外す際に操作する操作部材である。
【0015】
絞り連動レバー350(絞り連動機構部)は、交換レンズ200の絞りによる絞り開口径(絞りによる絞り込み量、開口サイズ、開口率、絞り値)を変化させる複数の絞り羽根を含む絞り機構251(図3参照)を変位させるためのレバーとしてアダプター300に備えられている。絞り連動レバー350の位置が、アダプター300の内周に沿った方向に移動することで、交換レンズ200の絞りの開口径が変化するよう構成されている。
すなわち、絞り連動レバー350は、交換レンズ200が備えている絞り機構251(絞り)の絞り値に応じた位置に移動する。
【0016】
<カメラシステムのブロック構成の説明>
次に、図3を参照して、カメラシステム1のブロック構成について説明する。
図3は、本実施形態によるカメラシステム1の構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、カメラボディ100と交換レンズ200とは、アダプター300を介して装着されている。また、カメラボディ100、交換レンズ200、およびアダプター300がそれぞれ備える接続端子を介して、互いに電気的に接続されている。
【0017】
まず、カメラシステム1の構成の概略を説明する。
カメラボディ100は、接続部101sを含むカメラボディ側マウント101を備えている。アダプター300は、接続部301sを含む第1マウント301と、接続部302sを含む第2マウント302と、を備えている。交換レンズ200は、接続部201sを含むレンズ側マウント201を備えている。
【0018】
カメラボディ100とアダプター300とは、カメラボディ側マウント101および第1マウント301を介して装着(物理的に接続)されており、また接続部101sおよび接続部301sを介して電気的に接続されている。接続部101sと接続部301sはそれぞれ、互いに電気的に接続される12個の接続端子(端子Ta1〜Ta12と、端子Tb1〜Tb12)を備えており、この接続端子を介してカメラボディ100とアダプター300との間で給電(電圧の供給)および信号の授受(通信)が行われる。
なお、信号の授受(通信)は、カメラボディ100が備えているカメラ制御部110とアダプター300が備えているアダプター制御部310との間で行われる。
【0019】
また、交換レンズ200とアダプター300とは、レンズ側マウント201および第2マウント302を介して装着(物理的に接続)されており、また接続部201sおよび接続部302sを介して電気的に接続されている。接続部201sと接続部302sはそれぞれ、互いに電気的に接続される9個の接続端子(端子Tc1〜Tc9と、端子Td1〜Td9と)を備えており、この接続端子を介して交換レンズ200とアダプター300との間で給電(電圧の供給)および信号の授受(通信)が行われる。
なお、信号の授受(通信)は、交換レンズ200が備えているレンズ制御部210とアダプター300が備えているアダプター制御部310との間で行われる。
【0020】
(カメラボディの構成)
次に、カメラボディ100の構成について説明する。
カメラボディ100は、カメラ制御部110と、カメラ電源部120と、スイッチ125と、バッテリー部190Bと、接続部101s(端子Ta1〜Ta12)とを備えている。
接続部101sは、アダプター300が備えている接続部301sの12個の接続端子(端子Tb1〜Tb12)と互いに接続される接続端子として、端子Ta1〜Ta12の12個の接続端子を備えている。
なお、アダプター300の構成については後で詳細に説明する。
【0021】
バッテリー部190Bは、バッテリー190を収納する。
バッテリー190は、カメラボディ100、交換レンズ200およびアダプター300に電圧を供給する。例えば、バッテリー190は、リチウムイオン2次電池またはニッケル水素2次電池等である。なお、バッテリー190は、アルカリ電池等の1次電池であってもよい。また、カメラボディ100は、バッテリー190から電圧が供給される構成に限られず、外部の直流電源(例えば、交流電源から直流電源に変換して電圧を供給するACアダプター等)から電圧が供給されてもよい。
【0022】
カメラ電源部120は、バッテリー190から供給される電圧をカメラボディ100、またはカメラボディ100に接続されるカメラアクセサリーに供給できるようバッテリー電圧を変換する。例えば、カメラ電源部120は、バッテリー電圧を変換することで、カメラボディ100が備えている制御系回路(主にカメラ制御部110)に電圧を供給する電源Vcc0と、カメラ電源部120は、接続部101sに接続されるアダプター300に電圧を供給する第1電源系統である電源Vcc1とに分ける。この電源Vcc1の電圧は、アダプター300が備えている制御系回路(主にアダプター制御部310)に供給される。以下、この電源Vcc1を、制御系電源Vcc1と称する。
【0023】
また、カメラ電源部120は、カメラ制御部110の制御により、制御系電源Vcc1による電圧の供給状態と供給停止状態とを切り替える。さらに、カメラ電源部120は、カメラ制御部110の制御により、供給可能な電力(電力量、給電量)を制御する。例えば、カメラ電源部120は、カメラシステム1において撮影処理を実行可能な程度に供給可能な電力(電力量、給電量)が多い状態(通常給電状態)と、撮影処理を実行不可能な程度に供給可能な電力(電力量、給電量)が少ない状態(小給電状態)とを切り替える。
なお、制御系電源Vcc1の電圧は、端子Ta3と端子Tb3を介してアダプター制御部310に供給される。
【0024】
また、バッテリー190の正極端子と端子Ta2とが、バッテリー部190Bとスイッチ125を介して接続されている。これにより、上述した第1電源系統である電源Vcc1とは別に、バッテリー190から第2電源系統である電源PWRが生成され、その電源PWRからの電圧がアダプター電源部320に供給される。電源PWRの電圧は、端子Ta2と端子Tb2とを介してアダプター電源部320に供給される。なお、バッテリー190に代えて、外部の直流電源から電源PWRの電圧が供給されてもよい。また、電源PWRは、制御系電源Vcc1に比べて供給可能な電力が大きい電源系統である。以下、この電源PWRを、パワー系電源PWRと称する。
【0025】
また、パワー系電源PWRに対応するグランド(GND)であるパワー系グランドPGNDは、パワー系電源PWRの電圧が供給される各部および端子Ta1に接続されている。一方、制御系電源Vcc1に対応するグランドである制御系グランドSGNDは、端子Ta12に接続されている。また、パワー系グランドPGNDと制御系グランドSGNDは、バッテリー部190Bを介してそれぞれバッテリー190の負極端子と同電位のグランドになっている。
なお、制御系グランドSGNDは、電源Vcc0に対応するグランドでもあり、制御系グランドSGNDがカメラ制御部110のグランド端子に接続されている。
【0026】
スイッチ125は、カメラ制御部110の制御により、導通状態と遮断状態(非導通状態)とを切り替える。すなわち、スイッチ125は、カメラ制御部110の制御により、パワー系電源PWRの電圧を、端子Ta2に対して供給するか否かを切り替える。
【0027】
カメラ制御部110は、カメラ電源制御部111と、第1カメラ通信部112と、第2カメラ通信部113と、を備えている。カメラ制御部110は、カメラボディ100が備えている各部を制御するとともに、接続部101sを介して接続されるアダプター300のアダプター制御部310との間で第1データ通信系D1bと第2データ通信系D2bとの2系統の通信を行う。
【0028】
カメラ電源制御部111は、カメラボディ100の状態、または、第1カメラ通信部112もしくは第2カメラ通信部113による通信状態に基づいて、カメラ電源部120およびスイッチ125を制御する。
なお、第1カメラ通信部112および第2カメラ通信部113はそれぞれ、第1データ通信系D1bと第2データ通信系D2bとの2系統の通信を、独立に実行する。
【0029】
第1データ通信系D1bは、シリアルインターフェース方式の全二重通信による通信系である。第1カメラ通信部112は、第1データ通信系D1bとして、信号RDY、CLK1、DATAB、DATALの4種類の信号の授受(通信)を行う。
信号RDYは、第1カメラ通信部112に対して通信可否を通知する信号である。この信号RDYは、後述する第1アダプター通信部312から第1カメラ通信部112に対して、端子Ta4を介して送信(出力)される。信号CLK1は、シリアル通信用のクロック信号である。このクロック信号CLK1は、第1カメラ通信部112から第1アダプター通信部312に対して、端子Ta5を介して送信(出力)される。信号DATABは、第1カメラ通信部112から第1アダプター通信部312に対して、端子Ta6を介して出力される、カメラボディ100に関するデータ信号である。信号DATALは、第1アダプター通信部312から第1カメラ通信部112に対して出力される、交換レンズ200に関するデータ信号である。第1カメラ通信部112は信号DATALを、端子Ta7を介して受信する。
【0030】
第2データ通信系D2bは、シリアルインターフェース方式であって、カメラボディ100に対してデータが送信される単方向通信による通信系である。第2カメラ通信部113は、信号HREQ、HANS、HCLK、HDATAの4種類の信号の授受(通信)を行う。
信号HREQは、第2カメラ通信部113からの通信要求を示す信号であり、第2カメラ通信部113が、後述する第2アダプター通信部313に対して、端子Tb8を介して送信(出力)する。信号HANSは、第2カメラ通信部113への通信応答を示す信号であり、第2アダプター通信部313から第2カメラ通信部113に対して、端子Tb9を介して送信される。信号HCLKは、シリアル通信用のクロック信号である。このクロック信号HCLKは、第2カメラ通信部113から第2アダプター通信部313に対して、端子Tb10を介して送信(出力)される。信号HDATAは、第2アダプター通信部313から第2カメラ通信部113に対して、端子Tb11を介して送信されるレンズのデータ信号である。
【0031】
なお、第1データ通信系D1b、および第2データ通信系D2bでの通信内容は、後で詳述する。
【0032】
(交換レンズの構成)
次に、交換レンズ200の構成について説明する。
交換レンズ200は、接続部201s(端子Td1〜Td9)と、レンズ制御部210と、光学系220と、光学系駆動部230とを備えている。
光学系220を介して入射した被写体光(光学像)は、アダプター300を介してカメラボディ100が備えている周知の撮影素子(不図示)の受光面に導かれる。
光学系220は、レンズ221と、焦点調整用レンズ(以下、フォーカスレンズと称す)222と、光学像の像ぶれ補正用(防振用)レンズ(以下、VR(Vibration Reduction)レンズと称す)223と、絞りユニット250と、を備えている。
【0033】
絞りユニット250は、複数の絞り羽根を含む絞り機構251と、絞り機構251を機械的に操作する絞りレバー252とを備えている。したがって、交換レンズ200の絞り開口径は、絞りレバー252が絞り機構251を機械的に操作することで変化する。また、図3に記載のカメラシステム1における交換レンズ200は、絞り機構251を駆動するアクチュエータ等の動力源を内蔵しないレンズであり、アダプター300の絞り連動レバー350によって絞りレバー252を介して絞り機構251が駆動されるレンズである。
【0034】
光学系駆動部230は、AF(Auto Focus)駆動部231と、AFエンコーダ232と、VR駆動部235と、を備えている。
AF駆動部231は、レンズ制御部210の制御によりフォーカスレンズ222を駆動させる。また、AFエンコーダ232は、フォーカスレンズ222の位置を検出してレンズ制御部210に検出結果を供給する。
VR駆動部235は、レンズ制御部210の制御によりVRレンズ223を駆動させる。
なお、交換レンズ200は、ユーザに手動操作されることによってフォーカスレンズ222の位置を移動させるフォーカスリングを備えている構成としてもよい。
【0035】
接続部201sは、アダプター300が備えている接続部302sの9個の接続端子(端子Tc1〜Tc9)と互いに接続される接続端子として、9個の接続端子Td1〜Td9を備えている。
光学系駆動部230の電圧が供給される電源Vpは、端子Td2を介して供給される。以下、この電源Vpをレンズ駆動系電源Vpと称する。レンズ駆動系電源Vpはアダプター300を介してパワー系電源PWRから供給される。
例えば、AF駆動部231が備えているフォーカスレンズ222を駆動するアクチュエータ、およびVRレンズ223を駆動するアクチュエータ等のように消費電力が多い光学系駆動部230に、この端子Td2からレンズ駆動系電源Vpの電圧が供給される。また、レンズ駆動系電源Vpに対応するグランドであるパワー系グランドPGNDは、光学系駆動部230のグランド端子および端子Td1に接続されている。
【0036】
レンズ制御部210の電圧が供給される電源Vcは、端子Td3に接続されている。以下、この電源Vcをレンズ制御系電源Vcと称する。レンズ制御系電源Vcはアダプター300を介してパワー系電源PWRから供給される。
光学系駆動部230と比べて消費電力が少ないレンズ制御部210を含む制御系回路等に、この端子Td3を介してレンズ制御系電源Vcの電圧が供給される。また、レンズ制御系電源Vcに対応するグランドである制御系グランドSGNDは、レンズ制御部210のグランド端子および端子Td9に接続されている。
すなわち、パワー系グランドPGNDと制御系グランドSGNDとは、交換レンズ200において互いに接続されておらず、2系統のグランドに分離されている。
【0037】
レンズ制御部210は、光学系制御部211と、第1レンズ通信部212と、第2レンズ通信部213と、を備えている。レンズ制御部210は、光学系駆動部230を制御するとともに、接続部201sを介して接続されるアダプター300のアダプター制御部310との間で第1データ通信系D1Lと第2データ通信系D2Lとの2系統の通信を制御する。
【0038】
光学系制御部211は、光学系駆動部230を制御する。例えば、光学系制御部211は、アダプター300との通信状態に応じて、光学系駆動部230を初期化する。また、光学系制御部211は、アダプター300を介したカメラ制御部110の制御に応じて、フォーカスレンズ222またはVRレンズ223等の駆動要素を駆動するよう、光学系駆動部230を制御する。また、光学系制御部211は、光学系駆動部230から供給される光学系(駆動要素)220に関する情報(例えば、AFエンコーダ232に検出されたフォーカスレンズ222の位置等の情報)を取得する。
【0039】
第1レンズ通信部212および第2レンズ通信部213は、それぞれ第1データ通信系D1Lと第2データ通信系D2Lとの2系統の通信を独立したタイミングで実行する。
第1データ通信系D1Lは、シリアルインターフェース方式の半二重通信による通信系である。第1レンズ通信部212は、第1データ通信系D1Lとして、信号R/W、CLK2、DATAの3種類の信号の通信を実行する。
信号R/Wは、後述するデータ信号の通信方向を示すリード/ライト信号であるが、レンズ側とアダプター間のハンドシェイクを行う信号として利用され、端子Td4を介して、後述する第1アダプター通信部312と第1レンズ通信部212との間で送受信される。信号CLK2は、シリアル通信用のクロック信号であり、第1アダプター通信部312から第1レンズ通信部212に対して、端子Td5を介して送信(出力)される。信号DATAは、第1アダプター通信部312と第1レンズ通信部212との間で、端子Td6を介して送受信されるデータ信号である。
【0040】
第2データ通信系D2Lは、パルス通信方式であって、交換レンズ200からパルス信号が出力される単方向通信による通信系である。第2レンズ通信部213は、第2データ通信系D2Lとして、信号HLP1、HLP2の2種類のパルス信号を送信する。
信号HLP1は、端子Td7を介して後述する第2アダプター通信部313に送信されるパルス信号である。信号HLP2は、第2レンズ通信部213から第2アダプター通信部313に対して、端子Td8を介して出力されるパルス信号である。これらのパルス信号HLP1、HLP2は、AFエンコーダ232から出力される信号に応じたパルス信号である。
【0041】
なお、第1データ通信系D1L、および第2データ通信系D2Lにて通信される通信内容は、後で詳述する。
【0042】
(アダプターの構成)
次に、アダプター300の構成について説明する。
アダプター300は、アダプター制御部310と、アダプター電源部320と、絞り連動レバー駆動部330(絞り連動機構駆動部)と、接続部301s(端子Tb1〜Tb12)と、接続部302s(端子Tc1〜Tc9)と、絞り連動レバー350と、を備えている。
【0043】
接続部301sは、カメラボディ100側の既述の12個の接続端子Ta1〜Ta12と互いに接続される、12個の接続端子Tb1〜Tb12を備えている。アダプター300とカメラボディ100とが接続部301sおよび接続部101sを介して接続されることにより、接続部301sの端子Tb1〜Tb12のそれぞれの端子は、接続部101sの端子Ta1〜Ta12のそれぞれ対応する接続端子と電気的に接続する。
【0044】
また、接続部302sは、交換レンズ200側の既述の9個の接続端子(端子Td1〜Td9)と互いに接続される、9個の接続端子Tc1〜Tc9を備えている。アダプター300と交換レンズ200とが、接続部302sおよび接続部201sを介して接続されることにより、接続部302sの端子Tc1〜Tc9のそれぞれの端子は、接続部201sの端子Td1〜Td9のそれぞれ対応する接続端子と接続する。
【0045】
端子Tb2は端子Ta2に接続され、端子Tb3は端子Ta3に接続される。これにより、カメラボディ100から、端子Ta2を介して端子Tb2にパワー系電源PWRの電圧が供給され、端子Ta3を介して端子Tb3に制御系電源Vcc1の電圧が供給される。これにより、アダプター電源部320には、カメラボディ100から端子Ta2および端子Tb2を介してパワー系電源PWRの電圧が供給される。
一方、アダプター制御部310には、カメラボディ100から端子Ta3および端子Tb3を介して制御系電源Vcc1の電圧が供給される。
【0046】
このように、アダプター300には、カメラボディ100から制御系電源Vcc1の電圧(第1電源系統の電圧)と、制御系電源Vcc1と比べて供給可能な電力が大きいパワー系電源PWRの電圧(第2電源系統の電圧)の両方が供給される。アダプター電源部320に供給されたパワー系電源PWRの電圧は、交換レンズ200に電圧を供給するレンズ系電源系統として、レンズ駆動系電源Vp(第3電源系統)とレンズ制御系電源Vc(第4電源系統)とに分けられる(変換される)。例えば、アダプター電源部320は、カメラボディ100から供給されたパワー系電源PWRから、交換レンズ200に対して給電するレンズ駆動系電源Vpおよびレンズ制御系電源Vcの供給電圧を生成する。
なお、レンズ駆動系電源Vpから供給される電圧は、レンズ制御系電源Vcから供給される電圧よりも大きい。また、レンズ駆動系電源Vpから供給される負荷における消費電力が、レンズ制御系電源Vcから供給される負荷における消費電力に比べて多いとしてもよい。
【0047】
さらに、アダプター電源部320に供給されたパワー系電源PWRからは、上述したレンズ駆動系電源Vpとレンズ制御系電源Vcとは別に、絞り連動レバー駆動部330に電圧を供給する電源Vm(第5電源系統)も生成される(分けられる)。以下、この電源Vmを絞り駆動用電源Vmと称する。そして、アダプター電源部320は、生成した絞り駆動用電源Vmの電圧を絞り連動レバー駆動部330に供給する。
【0048】
なお、アダプター電源部320により変換された電源系それぞれの接続は、以下のようになっている。
端子Tc2は、アダプター電源部320のレンズ駆動系電源Vp出力端子(レンズ駆動系電源Vpの電圧を出力する端子)に接続されている。また、端子Tc3は、アダプター電源部320のレンズ制御系電源Vc出力端子(レンズ制御系電源Vcの電圧を出力する端子)に接続されている。これにより、アダプター電源部320は、端子Tc2にレンズ駆動系電源Vpの電圧を供給し、端子Tc3にレンズ制御系電源Vcの電圧を供給する。
また、アダプター電源部320は、レンズ駆動系電源Vpの電圧を端子Tc2および端子Td2を介して交換レンズ200の光学系駆動部230に供給する。
また、アダプター電源部320は、レンズ制御系電源Vcの電圧を端子Tc3および端子Td3を介して交換レンズ200のレンズ制御部210に供給する。
【0049】
また、端子Tb1は、カメラボディ100の端子Ta1に接続されている。これにより、パワー系グランドPGNDは、端子Ta1を介して端子Tb1に接続されている。また、端子Tb1と端子Tc1とは、アダプター300内でパワー系グランドPGNDとして接続されている。さらに、端子Tc1は、交換レンズ200の端子Td1に接続されている。これにより、パワー系グランドPGNDは、レンズ駆動系電源Vpに対応するグランドとして、端子Tc1を介して端子Td1に接続されている。なお、パワー系グランドPGNDは、アダプター電源部320および絞り連動レバー駆動部330等のグランドとしても接続されている。
【0050】
また、端子Tb12は、カメラボディ100の端子Ta12に接続されている。これにより、制御系グランドSGNDは、端子Ta12を介して端子Tb12に接続されている。また、端子Tb12と端子Tc9とは、アダプター300内で制御系グランドSGNDとして接続されている。さらに、端子Tc9は、交換レンズ200の端子Td9に接続されている。これにより、制御系グランドSGNDは、レンズ制御系電源Vcに対応するグランドとして、端子Tc9を介して端子Td9に接続されている。また、制御系グランドSGNDは、アダプター制御部310のグランドとしても接続されている。
【0051】
絞り連動レバー駆動部330は、アダプター制御部310の制御により絞り連動レバー350の位置を移動させる。絞り連動レバー駆動部330は、絞り連動レバー350を移動させることにより、交換レンズ200の絞り機構251を絞りレバー252を介して変位させる。また、絞り連動レバー駆動部330は、絞り連動レバー350の位置を検出して、該検出結果をアダプター制御部310に出力する。
【0052】
アダプター制御部310は、アダプター電源制御部311と、第1アダプター通信部312と、第2アダプター通信部313と、絞り制御部314と、を備えている。また、アダプター制御部310は、カメラ制御部110との周期的な通信により制御されて、アダプター300が備えている各部において行われる処理を制御するとともに、レンズ制御部210と周期的な通信を行う。例えば、アダプター制御部310は、カメラ制御部110との間で、定常的な周期的通信を実行する。また、アダプター制御部310は、レンズ制御部210との間でも、定常的な周期的通信を実行する。
また、アダプター制御部310は、カメラ制御部110からの撮影処理を制御するための通信に基づいて、絞り連動レバー駆動部330の制御をするとともに、交換レンズ200の光学系駆動部230を制御するためにレンズ制御部210との通信を行う。
アダプター電源制御部311は、カメラ制御部110またはレンズ制御部210との通信結果、またはアダプター300の状態等に応じて、アダプター電源部320を制御する。
【0053】
絞り制御部314は、カメラ制御部110またはレンズ制御部210との通信結果に応じて、絞り連動レバー駆動部330を制御する。
【0054】
第1アダプター通信部312は、第1カメラ通信部112との間で第1データ通信系D1bの通信を実行し、第1レンズ通信部212との間で第1データ通信系D1Lの通信を実行する。
具体的には、第1アダプター通信部312は、互いに異なる通信規格である第1データ通信系D1bと第1データ通信系D1Lとの通信を中継する。例えば、第1アダプター通信部312は、シリアルインターフェース方式の全二重通信である第1データ通信系D1bの通信規格(第1の通信規格)により第1カメラ通信部112から受信したデータを、シリアルインターフェース方式の半二重通信であるデータ通信系D1Lの通信規格(第2の通信規格)のデータに変換して第1レンズ通信部212へ送信する。一方、第1アダプター通信部312は、シリアルインターフェース方式の半二重通信であるデータ通信系D1Lの通信規格(第2の通信規格)により第1レンズ通信部212から受信したデータを、シリアルインターフェース方式の全二重通信であるデータ通信系D1bの通信規格(第1の通信規格)のデータに変換して第1カメラ通信部112へ送信する。
また、第1アダプター通信部312は、互いに異なる周期で通信される第1データ通信系D1bと第1データ通信系D1Lとの通信を中継する。
また、第1アダプター通信部312は、第1データ通信系D1bと第1データ通信系D1Lとにおいて送受信されるデータのフォーマットの整合性をとるための変換処理をする。
なお、アダプター制御部310は、例えば、記憶部(不図示)を備えている。第1アダプター通信部312は、受信したデータ、および変換したデータ等に基づいて生成したデータを該記憶部に一時的に記憶させる。そして、第1アダプター通信部312は、生成したデータを該記憶部から読み出して送信する。
【0055】
第1アダプター通信部312と第1カメラ通信部112とは、信号RDY、CLK1、DATAB、DATALの4種類の信号線を介して第1データ通信系D1bの通信を実行する。端子Tb4は、信号RDYの信号線を介して第1アダプター通信部312に接続されている。また、端子Tb5は信号CLK1の信号線、端子Tb6は信号DATABの信号線、および端子Tb7は信号DATALの信号線、を介してそれぞれ第1アダプター通信部312に接続されている。そして、端子Tb4は、カメラボディ100の端子Ta4に接続されており、端子Tb5は端子Ta5に、端子Tb6は端子Ta6に、端子Tb7は端子Ta7に、それぞれ接続されている。
つまり、第1データ通信系D1bの通信を行う信号RDY、CLK1、DATAB、DATALの4種類の信号線は、端子Tb4〜Tb7と端子Ta4〜Ta7とを介して第1アダプター通信部312と第1カメラ通信部112との間で接続されている。
【0056】
一方、第1アダプター通信部312と第1レンズ通信部212とは、信号R/W、CLK2、DATAの3種類の信号線を介して第1データ通信系D1Lの通信を実行する。端子Tc4は、信号R/Wの信号線を介して第1アダプター通信部312に接続されている。また、端子Tc5は信号CLK2の信号線、端子Tc6は信号DATAの信号線を介して第1アダプター通信部312に接続されている。そして、端子Tc4は、交換レンズ200の端子Td4に接続されており、端子Tc5は端子Td5に、端子Tc6は端子Td6に、それぞれ接続されている。
つまり、第1データ通信系D1Lの通信を行う信号R/W、CLK2、DATAの3種類の信号線は、端子Tc4〜Tc6と端子Td4〜Td6とを介して第1アダプター通信部312と第1レンズ通信部212との間で接続されている。
【0057】
このように、第1アダプター通信部312を介して第1カメラ通信部112と第1レンズ通信部212との間において、第1データ通信系D1bの通信および第1データ通信系D1Lの通信が行われる。この第1データ通信系D1bの通信および第1データ通信系D1Lの通信においては、第1カメラ通信部112と第1レンズ通信部212との間で、第1アダプター通信部312を介して、例えば、光学系220の情報、制御指示等の要求コマンド、および要求コマンドに対する応答データ等が通信される。ここで、この第1データ通信系D1bおよび第1データ通信系D1Lにおける通信を「コマンドデータ通信」と称する。
なお、光学系220の情報とは、光学系220の種類を示す情報(光学系220の仕様、機能、光学特性等を示す情報)、または光学系220の駆動状態を示す情報等である。
【0058】
以上述べたように、アダプター制御部310内の第1アダプター通信部312は、カメラ制御部110の第1カメラ通信部112から出力されるカメラ制御指令を受信する機能(換言すれば第1受信部)と、第1受信部での受信内容に応じて、交換レンズ200の駆動要素を駆動制御するためのレンズ制御指令を交換レンズ200の第1レンズ通信部212に対して送信する機能(換言すれば第1送信部)と、駆動要素の駆動状態を示す状態情報を交換レンズ200の第1レンズ通信部212から受信する機能(換言すれば第2受信部)と、第2受信部での受信内容に基づいて、駆動要素の駆動状態を示す状態情報をカメラボディ100の第1カメラ通信部112に対して送信する機能(換言すれば第2送信部)と、を有する。
また、本実施形態に示す第1アダプター通信部312は、上記の通信機能に加え、第2アダプター通信部313から通知される監視結果を受信する機能を有する。第1アダプター通信部312による第2アダプター通信部313を制御する処理の詳細は後述する。
【0059】
第2アダプター通信部313は、第2レンズ通信部213からデータ通信系D2L(第4の通信規格)のパルス信号を受信する。しかし第2アダプター通信部313は、そのパルス信号に基づく通信を、第2カメラ通信部113との間でデータ通信系D2b(第3の通信規格)を介して実行しないように構成されている。これは、第2アダプター通信部313は、データ通信系D2Lのパルス信号に含まれる情報に基づいて、データ通信系D2bの通信規格(第3の通信規格)に合わせた情報を生成しないよう制御するからである。これによって、データ通信系D2b(第3の通信規格)を介してアダプター側からカメラ側に送信すべきデータが存在しないことになるので、この通信が実行されないようになっている。また、第2アダプター通信部313は、データ通信系D2Lのパルス信号に含まれる情報に基づいて、交換レンズ200における動作状態を監視する。第2アダプター通信部313は、このパルス信号に含まれる情報に基づいて交換レンズ200の動作状態を監視した結果、期待する状態と異なると判定した場合には、第1アダプター通信部312に対して交換レンズ200の動作状態に異常がある旨を通知する。
【0060】
第2アダプター通信部313と第2カメラ通信部113とは、信号HREQ、HANS、HCLK、HDATAの4種類の信号線を介して第2データ通信系D2bの通信を実行する。端子Tb8は、信号HREQの信号線を介して第2アダプター通信部313に接続されている。また、端子Tb9は信号HANSの信号線、端子Tb10は信号HCLKの信号線、および端子Tb11は信号HDATAの信号線、を介してそれぞれ第2アダプター通信部313に接続されている。そして、端子Tb8は、カメラボディ100の端子Ta8に接続されており、端子Tb9は端子Ta9に、端子Tb10は端子Ta10に、端子Tb11は端子Ta11に、それぞれ接続されている。
つまり、第2データ通信系D2bの通信を行う信号HREQ、HANS、HCLK、HDATAの4種類の信号線は、端子Tb8〜Tb11と端子Ta8〜Ta11とを介して第2アダプター通信部313と第2カメラ通信部113との間で接続されている。
【0061】
一方、第2アダプター通信部313と第2レンズ通信部213とは、信号HLP1、HLP2の2種類の信号線を介して第2データ通信系D2Lの通信を実行する。端子Tc7は、信号HLP1の信号線を介して第2アダプター通信部313に接続されている。また、端子Tc8は信号HLP2の信号線を介して第2アダプター通信部313に接続されている。そして、端子Tc7は、交換レンズ200の端子Td7に接続されており、端子Tc8は端子Td8に接続されている。
つまり、第2データ通信系D2Lの通信を行う信号HLP1、HLP2の2種類の信号線は、端子Tc7〜Tc8と端子Td7〜Td8とを介して第2アダプター通信部313と第2レンズ通信部213との間で接続されている。
【0062】
このように、第2アダプター通信部313を介して第2カメラ通信部113と第2レンズ通信部213との間において、第2データ通信系D2bの通信および第2データ通信系D2Lの通信が行われる。この第2データ通信系D2bの通信および第2データ通信系D2Lの通信においては、第2カメラ通信部113の通信要求信号に基づいて、第2アダプター通信部313を介して第2レンズ通信部213から、例えば、フォーカスレンズ222の位置を示すデータ等が通信される。ここで、この第2データ通信系D2bおよび第2データ通信系D2Lにおける通信を「ホットライン通信」と称する。
【0063】
<カメラシステムの機能ブロック構成の説明>
次に図4を参照して、カメラシステム1の機能ブロック構成について説明する。
図4は、カメラシステムの機能ブロック図の一例である。図4は、図3に示したカメラシステム1を機能面に着目して表した機能ブロック図である。なお、図4において、図3の各部に対応する部分には同一の符号を付すとともに、その説明の一部又は全部を省略する。また、図4では図面上の見易さの観点から、図3に示した構成から一部の構成の図示を省略し(ただし図3に図示されている構成自体は図4に図示したカメラシステム1も備える)。且つ図3には図示されていない構成の図示を追記している。
【0064】
図4に示すように、カメラシステム1は、カメラボディ100と、交換レンズ200と、アダプター300とを備える。以下の説明では、まずこのカメラシステム1を構成する各装置(カメラボディ100、交換レンズ200、アダプター300)毎の構成の説明をして、その後で各制御(信号の流れ等)の説明をする。
(交換レンズの構成)
交換レンズ200は、接続部201sを含むレンズ側マウント201、ズーム操作環202、レンズ制御部(CPU)210、光学系220、および、光学系駆動部230を備える。光学系220は、絞り羽根を含む絞り機構(絞りユニット、絞り)251を備える。
ズーム操作環202は、焦点距離を変化させるために交換レンズ200の筐体に回転可能に配された環状の操作受付部である。即ち、ユーザがズーム操作環202を操作した場合(回転させた場合)、当該操作に応じて光学系220内のズームレンズの光軸方向の位置が移動し、当該移動に応じて焦点距離(ズーム状態)が変化する。
【0065】
レンズ制御部210は、その内部に設けられた不揮発性メモリーに、像面移動係数kを記憶している。この「像面移動係数」とは、交換レンズ200毎に記憶されている固有の情報であって、「フォーカスレンズ222(図3)の移動量Dと、その移動量に応じて変位する被写体像の結像位置の移動量(結像位置の変化量、像面移動量)dとの関係を示す情報k(=d/D)」であって、これ自体は周知の情報である。レンズ制御部210は、この像面移動係数kの情報を、焦点距離毎に複数(k1〜kn)記憶している。
そしてレンズ制御部210は、この像面移動係数kをアダプター300に送信可能である。またこの像面移動係数kは、アダプター300を介してカメラボディ100にも送信可能である。つまりレンズ制御部210は、交換レンズ200において、その送信時点で設定されている焦点距離に応じた像面移動係数kを、アダプター300およびカメラボディ100に送信する。
なお、この像面移動係数kは、カメラボディ100で生成される「フォーカス駆動指令1」(第1指令情報)、およびそのフォーカス駆動指令1を受けてアダプター300で生成される「フォーカス駆動指令2」(第2指令情報)の、各生成時に利用される。
交換レンズ200からアダプター300への像面移動係数kの情報送信処理、および、アダプター300から送信されたフォーカス駆動指令2の情報受信処理は、上述した「コマンドデータ通信」によって行われる。すなわちこれら情報の送信、受信処理は、第1レンズ通信部212(図3)によって行われる。
なおレンズ制御部210では、アダプター300から受信した上述のフォーカス駆動指令2に基づいて、その駆動指令値をAF駆動部231(モーター等)の駆動量(回転数)に変換する変換演算を行う。レンズ制御部210は、この変換演算した駆動量で、AF駆動部231を駆動させる。
【0066】
光学系駆動部230は、AF駆動部231(図3)とAFエンコーダ232(図3)を備える。
AF駆動部231は、上述した如きレンズ制御部210の制御(変換演算した駆動量)に基づいて、光軸方向における前後何れか(フォーカス制御コマンドにおいて指定されている方向)に、フォーカスレンズ222(図3)を駆動する。
AFエンコーダ232は、フォーカスレンズ222の移動に伴って、レンズ制御部210にパルス信号を供給する。AFエンコーダ232は、AFエンコーダ232が備えるエンコーダの仕様により2つの異なる態様がある。AFエンコーダ232の態様が2つの態様のうち何れであるか否かは、交換レンズ200のレンズ種別情報(種別情報)により識別できる。
例えば、一方の態様によるAFエンコーダ232は、一相パルスエンコーダを備えるものである。AFエンコーダ232が一相パルスエンコーダを備える場合、AFエンコーダ232は、フォーカスレンズ222の移動に伴って一相のパルス信号を出力する。このパルス信号がフォーカスレンズの移動量(位置情報)を示す情報となる
ただし、この一相パルスエンコーダから出力される信号では、フォーカスレンズ222の移動方向を検出できない。
【0067】
他方の態様によるAFエンコーダ232は、二相パルスエンコーダを備えるものである。AFエンコーダ232が二相パルスエンコーダを備える場合、AFエンコーダ232は、フォーカスレンズ222の移動に伴って、お互いの位相が90度分ずれた二相のパルス信号を出力する。この二相のパルス信号がフォーカスレンズの移動量と移動方向(換言すればフォーカスレンズ222の位置情報)を示す情報となる。
上述のようにAFエンコーダ232によって生成されたパルス信号(一相パルス信号または二相パルス信号)は、第2レンズ通信部213(図3)を介して、データ通信系D2L(図3)のホットライン通信によりアダプター300に伝送される。
【0068】
(アダプターの構成)
アダプター300は、接続部301sを含む第1マウント301、接続部302sを含む第2マウント302、アダプター制御部(CPU)310、および、絞り連動レバー駆動部330を備える。
アダプター制御部(CPU)310は、第1アダプター通信部312(図3)、第2アダプター通信部313(図3)、絞り制御部314(図3)を備える。
第1アダプター通信部312は、既述したように、カメラボディ100の第1カメラ通信部112との間での通信(第1の通信規格)、および交換レンズ200の第1レンズ通信部212との間での通信(第2の通信規格)とによるコマンドデータ通信を行うものである。このコマンドデータ通信によって、第1アダプター通信部312は、交換レンズ200から、上述の第2の通信規格で定義されている上記の像面移動係数の情報を取得する。この取得した像面移動係数の情報は、アダプター制御部310内の不揮発性メモリーに記憶される。そして第1アダプター通信部312は、この像面移動係数の情報を、上述の第1の通信規格に適合する情報(状態)に変換処理して、第1カメラ通信部112に送信する。この変換処理は、通信する対象毎(通信する情報毎、換言すれば通信する情報の種類毎)に予めアダプター制御部310内で定められている所定の変換式を用いることによって行われる。
また第1アダプター通信部312は、第1カメラ通信部112から出力された上述の「フォーカス駆動指令1」(第1指令情報)を受信するとともに、その受信したフォーカス駆動指令1を上述の第2の通信規格に適合する「フォーカス駆動指令2」(第2指令情報)に変換して、第1レンズ通信部212に送信する。
【0069】
ここで、アダプター制御部310で行われる、フォーカス駆動指令1をフォーカス駆動指令2に変換する処理について詳述する。フォーカス駆動指令1(第1指令情報)には、フォーカスレンズ222の駆動方向(光軸の前方向または後方向の何れか)を示す情報と、駆動量の情報とが含まれている。このフォーカス駆動指令1に含まれる駆動量の情報とは、カメラボディ100と同じ仕様のレンズマウントを持つ交換レンズのAF駆動部(モータ)に対する駆動量と同義であるパルス数の情報である。一方、カメラボディ100とはマウント仕様および通信規格の点で異なっている交換レンズ200が受け入れ可能なフォーカス駆動指令2は、フォーカスレンズ222の駆動量を(パルス数ではなく)像面移動量で表す情報と、駆動方向の情報とを含むものである。このため、アダプター制御部310は、フォーカス駆動指令1で表現されている「パルス数」を「像面移動量(結像位置の変化量)」に変換するための変換処理(変換演算)、および前述の駆動方向を示す情報を第2の通信規格に適合した情報に変換する処理を行う。なおアダプター制御部310は、パルス数を像面移動量に変換する変換演算を行う場合には、既述のようにアダプター制御部310内の不揮発性メモリーに記憶しておいた像面移動係数の情報(既述したように交換レンズから取得していた像面移動係数の情報/通信規格上、情報の規格は異なるが、カメラボディ100に送信したのと同じ数値内容の情報)を用いて行う。
【0070】
一方、第2アダプター通信部313は、既述したように、カメラボディ100の第2カメラ通信部113との間での通信(第3の通信規格)を行うものである。このホットライン通信によって、第2アダプター通信部313は、交換レンズ200から、上述の第4の通信規格で定義されているデータ通信系D2Lを介して、フォーカスレンズ222の位置に関する、AFエンコーダ232からのパルス信号(ホットラインパルス信号)を受信する。第2アダプター通信部313は、その受信したホットラインパルス信号を検出する。ただし、第2アダプター通信部313は、その受信(計数)したパルス信号に基づいて、フォーカスレンズ222の位置を示す位置情報(シリアル通信データ、以下、「生成位置情報」という)を生成しない。また、第2アダプター通信部313は、生成されることのない生成位置情報をカメラ制御部110に対して送らない。
要するに、第2アダプター通信部313は、交換レンズ200から供給されるフォーカスレンズ222の移動情報(ホットラインパルス信号)に基づいた位置情報(第1位置情報)をカメラボディ100に送信する情報として生成しないものである。
なお第2アダプター通信部313において、処理能力に余裕がある場合などには、その受信したホットラインパルス信号を検出したり、さらにはそのホットラインパルス信号のパルス数を計数したりしても構わない。それによりフォーカスレンズ222の位置を検出してアダプター内での何らかの制御(例えば、アダプター300がレンズ200に対して出力した駆動指令のとおりにレンズ200が動作しているか否かの確認要)に用いてもよい。しかしこの場合であっても、その生成した位置情報をカメラボディ100に送ることはない。
【0071】
また、第1アダプター通信部312は、交換レンズ200から取得したレンズ種別情報を、第1の通信規格に適合する情報(状態)に変換した上で、カメラボディ100に送信する。
なお第1アダプター通信部312は、既述したフォーカス駆動指令2のような、オートフォーカス制御(処理)を行う制御情報(制御指令)を交換レンズ200に送信する。第1アダプター通信部312が交換レンズ200に送る制御指令には、オートフォーカス処理を実行又は停止させる制御指令が含まれる。
第1アダプター通信部312は、オートフォーカス処理を実行又は停止させる制御指令を交換レンズ200に送る。第1アダプター通信部312は、カメラボディ100の動作モードがオートフォーカス処理を行う状態に遷移すること(例えばレリーズ釦132(図1参照)が半押し操作されたこと)に応じて、オートフォーカス処理を実行させる制御指令を交換レンズ200に送る。
また、第1アダプター通信部312が交換レンズ200に送信する制御指令には、フォーカスレンズ222の位置情報(一相または二相パルス信号)を送出させたり停止させたりする制御指令が含まれる。例えばカメラボディ100の動作モードが手動フォーカスモードに設定されていれば、第1アダプター通信部312は交換レンズ200に対して、上記エンコーダ232からの一相または二相パルス信号をアダプター300へ出力させることを禁止させる制御指令を出力する。このような禁止を示す制御指令を受けると、レンズ制御部210では、例えば上記エンコーダ232のパルス信号のラインをハイインピーダンスに設定制御することで、一相または二相パルス信号を出力不能に制御する。
【0072】
(カメラボディの構成)
カメラボディ100は、接続部101sを含むカメラボディ側マウント101、シャッター102、信号処理部103、AFセンサ106、カメラ制御部(CPU)110、操作受付部130、画像処理部140、表示部150、記憶部160、バッファメモリ部170、および、媒体制御部180を備える。
【0073】
カメラ制御部110は、バス199を介して、各部を制御する。バス199は、各部を接続し、各部から出力された画像データ、制御信号等を転送する。
【0074】
シャッター102は、交換レンズ200(光学系200)からアダプター300を介してカメラボディ100内に到達する被写体光束の、信号処理部103側への通過、または、遮断(信号処理部103側への通過の規制)を行う。
【0075】
信号処理部103は、例えばCMOSなどの撮像素子104、および、AD変換部105を備え、被写体光束により形成された光学像に基づく画像データを生成する。例えば、撮像素子104は、受光面(撮像面)に結像した光学像を電気信号に変換して、AD変換部105に出力する。AD変換部105は、撮像素子104から出力された電気信号をデジタル信号に変換して、バッファメモリ部170に出力する。
【0076】
AFセンサ106は、交換レンズ200(光学系200)からアダプター300を介してカメラボディ100内に到達する光学像における位相差を検出するセンサである。交換レンズ200(光学系200)からアダプター300を介してカメラボディ100内に到達する光学像は、例えば、ハーフミラー(非図示)を介して、AFセンサ106に到達し、位相差が検出される。AFセンサ106の検出値は、カメラ制御部110によるオートフォーカス(位相差に基づく判定方式)の合焦判定、および、交換レンズ200内のフォーカスレンズ222(AFレンズ)を合焦状態となる位置に移動させる移動量(デフォーカス量)の検出等に用いられる。
なお、図4では、AFセンサ106と撮像素子104とを別体としているが、AFセンサ106と撮像素子104とを一体化(例えば、撮像素子104の一部をAFセンサ106にも流用する形態)してもよい。一例として、撮像素子104の出力(画像信号)に基づいてコントラスト評価値を算出し、そのコントラスト評価値に基づいてAFを行う周知のコントラストAFを行うように、AFセンサ106を構成しても良い。或いは、例えば特開2009−94881号公報等で周知の、撮像素子104の一部の画素を、(画像信号素子の代わりに)位相差検出素子に置き換えた撮像素子を使用し、この撮像素子内の位相差検出素子の出力に基づいて位相差AFを行うように構成しても良い。一体化した場合には、ハーフミラーは不要となる。
【0077】
操作受付部130は、ユーザからの指示操作を受け付ける。操作受付部130は、カメラボディ100の筐体に配された電源釦131(図1参照)、レリーズ釦132(図1参照)、背面操作部133(図1参照。例えば、十字キー、OKキー)の操作による操作情報(操作入力)、および、表示部150に表示された操作画面上のアイコン、選択項目、OK釦等の押下等による操作情報を受け付ける。操作受付部130は、受け付けた操作情報をカメラ制御部110に出力する。
レリーズ釦132は、ユーザの操作を検出し、検出した操作による半押し状態と全押し状態の2つの状態を示す状態信号をカメラ制御部110に供給する。
背面操作部133は、ユーザの操作を検出し、検出した操作による各種設定を行う情報を検出し、検出した情報をカメラ制御部110に供給する。
【0078】
表示部150は、例えば、筐体の背面(図1の斜視図においてアダプター300の着脱側と反対側)に配した液晶ディスプレイである。表示部150は、種々の情報(例えば、画像データ、操作画面等)を表示する。
【0079】
記憶部160は、種々の情報(例えば、参照情報、生成情報)を記憶する領域である。具体的には、記憶部160には、各種モードの選択条件/制限条件、合焦判定基準、撮像条件(例えば、プログラム線図)、画像処理条件、表示制御条件、画像データなどが記憶される。
【0080】
バッファメモリ部170は、信号処理部103(AD変換部105)から出力されたデジタル信号を一時的に記憶する領域である。
【0081】
画像処理部140は、バッファメモリ部170に記憶されているデジタル信号から画像データを生成する。画像処理部140によって生成される画像データには、操作受付部130を介して撮影指示を受け付けた際に生成される撮像画像データのほか、上記撮像指示を受け付けていない状態において連続的に得られるスルー画像データ(以下、スルー画とも称する)も含まれる。
【0082】
なお、画像処理部140によって生成された撮像画像データは、記憶部160または記憶媒体400に記憶される。また、画像処理部140によって生成されたスルー画は表示部150に出力される。また、画像処理部140によって生成されたスルー画は、カメラ制御部110によるオートフォーカス(例えば、コントラスト方式に基づく判定方式)における合焦判定に用いられる。
【0083】
また、画像処理部140は、記憶部160に記憶されている画像処理条件に基づいて、記憶部160に記憶されている撮像画像データに対して画像処理を実行する。
【0084】
媒体制御部180は、着脱可能な記憶媒体400(例えば、メモリーカード)への情報(例えば、撮像画像データ)の書込み、記憶媒体400からの情報の読み出し、または、記憶媒体400に記憶されている情報の消去等を制御する。
【0085】
記憶媒体400は、カメラボディ100に対して着脱可能に接続される外部の記憶部である。記憶媒体400には、例えば、撮影画像データが記憶される。
【0086】
<AF制御の制御系の説明>
次に、図5を参照して、カメラシステム1におけるAF制御の制御系について説明する。
図5は、AF制御の制御系を示すブロック図である。この図に示される構成においては、AF制御系の主たる構成を中心に示すものであり、カメラボディ100、交換レンズ200、アダプター300における通信処理に関する構成を省略して示している。
【0087】
図5(a)は、検出したフォーカスレンズ222の位置を検出した結果に基づいて、合焦状態を制御するAF制御の制御系の構成を示す。
上述のように交換レンズ200においては、アダプター300を介して供給される制御量に応じて、AF駆動部231がフォーカスレンズ222(AFレンズ)を駆動する。AF駆動部231によって駆動されることにより、フォーカスレンズ222が移動する。フォーカスレンズ222は、所定の位置に配置されることにより、AF処理の対象とする被写体の像が基準とする撮像面上に合焦するように制御されている。
例えば、位相差方式のAF処理を行う場合について説明する。
AFセンサ106(104)は、検出した被写体の像に基づいて合焦状態を検出する。カメラ制御部110が備えるAF処理部114は、AFセンサ106によって検出された像に基づいて、AFセンサ106が合焦状態を検出した時点のフォーカスレンズ222の位置によるデフォーカス量を検出する。AF処理部114は、検出したデフォーカス量に基づいて、対象とする被写体を合焦させる位置(目標制御位置)までフォーカスレンズ222を移動させる目標制御位置情報(目標制御量)を生成する。
【0088】
また、フォーカスレンズ222の位置は、AFエンコーダ232により検出される。
AFエンコーダ232によって検出されたフォーカスレンズ222の位置の情報は、パルス信号によりアダプター制御部310(第2アダプター通信部313)に供給され、第2アダプター通信部313において位置情報として変換される。第2アダプター通信部313において変換された位置情報は、カメラ制御部110に供給される。
カメラ制御部110に供給されたフォーカスレンズ222の位置情報は、カメラ制御部110が備える補正部115による演算処理により、上記の目標制御位置情報(目標制御量)を補正する補正量を生成する。目標制御位置情報(目標制御量)は、上記のとおりAF処理部114によって生成され、フォーカスレンズ222を移動させる目標位置に応じた情報(目標制御量)である。補正部115は、生成した補正量により、フォーカスレンズ222を移動させる目標制御位置情報(目標制御量)を補正した制御量を生成する。この補正した制御量は、カメラボディ100からアダプター300に供給される制御量と等価である。
【0089】
アダプター制御部310において第1アダプター通信部312は、カメラボディ100から供給された制御量を、所定の変換係数によりフォーカスレンズ222を移動させる移動量に変換して、交換レンズ200に供給する。
そして、AF駆動部212が、上記のように、フォーカスレンズ222を移動させる移動量に基づいて、フォーカスレンズ222を移動させる。
例えば、このような制御系によるフィードバック制御を行うことにより、フォーカスレンズ222の位置を目標制御位置に近づけて、所定の合焦状態に達するまでのAF制御の処理時間を短縮させている。
【0090】
ところで、交換レンズ200の特性や、アダプター300を介してカメラボディ100から交換レンズ200を制御する制御構成の特性により、所定の合焦状態に達するまでに制御系が不安定な状態になる場合がある。このような場合として、例えば、フォーカスレンズ222の位置が目標制御位置の近傍にありながら、その時点の制御量が過大となった場合に、目標制御位置を跳び越した位置まで、フォーカスレンズ222が移動してしまう場合が想定される。例えば、検出されたフォーカスレンズ222の位置情報と目標制御位置情報との制御誤差が所定の値を越えている場合、生成される制御量が目標制御位置に到達させるのに必要とされる量より過大となる場合が生じうる。
【0091】
上記のような、所定の合焦状態に達するまでに制御系が不安定な状態になる場合を回避する構成について説明する。
図5(b)は、検出したフォーカスレンズ222の位置に応じた補正を行わずに合焦状態を制御するAF制御の制御系の構成を示す。図5(a)との相違点を中心に説明する。
この図5(b)に示されるAF制御の制御系においては、アダプター制御部310(第2アダプター通信部313)は、交換レンズ200のAFエンコーダ232によって検出されたホットラインパルス信号を検出するが、カメラ制御部110に対して位置情報を提供するものではない。
【0092】
具体的には、第2アダプター通信部313は、交換レンズ200におけるAFエンコーダ232によって検出されたフォーカスレンズ222の位置の情報が、交換レンズ200からパルス信号(ホットラインパルス信号)としてアダプター300に出力されている場合であっても、そのパルス信号に応じたフォーカスレンズ222の位置の情報を生成しない。それゆえ、第2アダプター通信部313は、フォーカスレンズ222の位置の情報(第2位置情報)を生成しないことにより、カメラ制御部110に送信する位置情報がない。その結果、カメラ制御部110は、第2アダプター通信部313からフォーカスレンズ222の位置の情報(第2位置情報)を得ることができない。カメラ制御部110は、第2アダプター通信部313からフォーカスレンズ222の位置の情報(第2位置情報)が得られた場合(図5(a)参照)には、その位置情報に基づいて目標制御位置情報(目標制御量)を補正する補正量を生成することができるが、本実施形態に示すアダプター300は、フォーカスレンズ222の位置の情報(第2位置情報)をカメラボディ100に送信しないため、カメラボディ100において上記の補正量は生成されない。
ただし、このように構成されたカメラシステム1であっても、カメラ制御部110において、AFセンサ106によって検出された像に基づいて、フォーカスレンズ222を移動させる目標制御位置情報(目標制御量)を生成されるのでAF制御を行うことができる。しかし、所定の合焦状態に達するまでに制御系が不安定な状態になる状況を回避するためには、アダプター300において工夫をする必要がある。そこで本実施形態のアダプター制御部310では、カメラ制御部から受信した上述の制御量(フォーカスレンズ222を移動させる目標制御量であって、上述のフォーカス駆動指令1)が所定量よりも多い場合には、その制御量をアダプター300内で上述の変換処理(上述のフォーカス駆動指令2に変換処理)をした後で、そのまま交換レンズ200に送信する。一方、カメラ制御部から受信した制御量(フォーカス駆動指令1)が所定量未満の場合には、目標位置まであと僅かであるので、その制御量をそのままアダプター内で変換処理して交換レンズに伝えるのではなく、変換された制御量のうち、フォーカス駆動指令2として所定の制御量(僅かな制御量)ずつ交換レンズに伝える。すなわち、フォーカスレンズ222が目標位置まであと僅かな位置まで移動されている場合には、そこから先のフォーカスレンズ222の移動は少量ずつの駆動指示にして、ゆっくりフォーカスレンズ222を駆動させるようにする。このようにアダプター制御部310において、交換レンズ200に出力するレンズ駆動制御量を工夫することによって、上述のフィードバック制御機能の有無に関わらず、制御系が不安定な状態になる状況を回避でき、安定的な合焦制御を行うことができる。
なお(フォーカス駆動指令1)が所定量未満の場合には、変換処理をすることなく、予めアダプター制御部310内で用意していた微小の所定駆動量(固定値)をフォーカス駆動指令2として交換レンズに出力するようにしても良い。
【0093】
上記のように、カメラシステム1におけるAF処理においては、検出したフォーカスレンズ222の位置に応じた補正を行わずに合焦状態を制御することができる。
AF制御において、図5(b)に示したように、検出したフォーカスレンズ222の位置の情報をカメラ制御部110にフィードバックさせなくても、フォーカスレンズ222の位置が制御されることにより、AFセンサ106において合焦状態を検出することができる。カメラ制御部110においては、AFセンサ106により検出された情報に基づいてAF制御を行うことができる。このように、フォーカスレンズを駆動する制御量を、検出したフォーカスレンズ222の位置の情報に基づいて補正することができなくなるが、基本的なAF制御を行うことができる。
【0094】
<状態遷移の説明>
次に、本実施形態による処理について説明する。
まず、図6を参照して本実施形態による状態遷移の概要について説明する。
図6は、本実施形態による交換レンズに係る処理の状態遷移の概要を示すフローチャートである。
【0095】
まず、カメラボディ100に対して、カメラボディ100の主電源がオンされた場合、または、カメラボディ100の主電源がオンされている状態において、アダプター300が装着された場合、アダプター300は、カメラボディ100の制御により、「レンズ起動処理」を実行する(ステップS100)。
ここで、「レンズ起動処理」とは、例えば、カメラボディ100のカメラボディ側マウント101に対する着脱判定処理、アダプター300およびアダプター300に装着されている交換レンズ200の初期化処理、各電源系統の給電制御処理、等である。また、例えば、このレンズ起動処理において、カメラボディ100は、カメラボディ100にアダプター300を介して装着されている交換レンズ200の種類や仕様(機能)の情報を取得する。
【0096】
ステップS100においてレンズ起動処理が完了すると、アダプター300は、カメラボディ100の制御により、「レンズ定常処理」に遷移する(ステップS200)。
「レンズ定常処理」とは、例えば、レンズ起動処理が完了した後の撮影処理が可能な状態である。このレンズ定常処理において、カメラボディ100は、例えば、アダプター300を介して装着されている交換レンズ200の装着状態の検出と光学系の情報の取得とを所定周期で行う「定常通信」を実行する。このレンズ定常処理については図7を用いて後述する。
【0097】
次に、カメラボディ100またはアダプター300は、レンズ定常処理中において割り込み要求が生じたか否かを判定する(ステップS300)。ステップS300において、割り込み要求がないと判定された場合、アダプター300は、カメラボディ100の制御により、レンズ定常処理を継続する。一方、ステップS300において、割り込み要求があると判定された場合、カメラボディ100またはアダプター300は、要求された割り込み処理に遷移する(ステップS400)。ここで、割り込み処理とは、例えば、レリーズ操作による撮影開始処理、電源瞬断時の処理、低消費電力モードへの移行または電源オフによる電源遮断処理等である。これらの処理についても後述する。
【0098】
(レンズ定常処理におけるコマンドデータ通信の説明)
次に、レンズ定常処理(図6のステップS200)において実行されるコマンドデータ通信について説明する。
図7は、レンズ定常処理におけるコマンドデータ通信の通信シーケンスの一例を示す図である。
この図7は、交換レンズ200(CPUレンズ)とカメラボディ100とがアダプター300を介して接続されているカメラシステム1を例としてコマンドデータ通信の一例を示している。アダプター制御部310は、カメラ制御部110との間で、定常的に周期的通信を実行可能であり、この周期的通信を実行することにより、カメラ制御部110からの要求に応じて、レンズ制御部210から取得したレンズ情報(光学系220の情報等)をカメラ制御部110に送信する。
【0099】
例えば、図7に示す「レンズ定常処理」において、第1アダプター通信部312は、周期Tf(第1の通信周期)で交換レンズ200が備えるレンズ制御部210との間で通信する第1定期通信と、周期Tm(第2の通信周期)でカメラボディ100が備えているカメラ制御部110と通信する第2定期通信とを非同期の関係で実行する。
第1アダプター通信部312は、周期Tf(例えば、64msec毎の周期)で、第1データ通信系D1Lの通信(第1定期通信)を第1レンズ通信部212と実行する(ステップS2010、S2020)。
ここで、このレンズ定常処理における第1データ通信系D1Lの通信(第1定期通信)を「レンズ定常通信」と称する。このレンズ定常通信により、第1アダプター通信部312は、第1レンズ通信部212からレンズ情報(光学系220の情報等(第1情報))を取得する。
【0100】
また、第1アダプター通信部312は、ステップS2010において取得したレンズ情報に基づいて、第1カメラ通信部112へ送信するレンズ情報(光学系220の情報等(第2情報))を生成する(ステップS2015)。例えば、第1アダプター通信部312は、ステップS2010において取得したレンズ情報(光学系220の情報等)のデータを、第1データ通信系D1bの通信規格に適合するようにデータ変換して、第1カメラ通信部112へ送信する情報を生成する。
同様に、第1アダプター通信部312は、ステップS2020において取得したレンズ情報(光学系220の情報等)に基づいて、第1カメラ通信部112へ送信する情報をデータ変換して生成する(ステップS2025)。
すなわち、第1アダプター通信部312は、レンズ定常通信の通信タイミング(周期Tfの通信タイミング)に応じて、第1カメラ通信部112へ送信するレンズ情報(光学系220の情報等)を生成する。
【0101】
上述の第1データ通信系D1Lの通信に対して、第1アダプター通信部312は、第1データ通信系D1Lでの交換レンズ200との間の通信(第1定期通信)周期Tfとは非同期な周期Tm(例えば、16msec毎の周期)で、第1データ通信系D1bの通信(第2定期通信)を第1カメラ通信部112と実行する(ステップS1010、S1015、S1020、S1025)。この通信周期Tmは、通信周期Tfよりも高速な通信周期である。
ここで、このレンズ定常処理における第1データ通信系D1bの通信(第2定期通信)を「定常通信」と称する。この定常通信には、レンズ着脱検出処理(レンズ着脱検出)と、定常データ通信処理(以下、「定常データ通信」)とが含まれている。
各ステップのレンズ着脱検出処理は、第1カメラ通信部112からのレンズ着脱検出指示コマンドに応じて、第1アダプター通信部312が検出結果を応答する処理である。第1アダプター通信部312は、第1レンズ通信部212からレンズ定常通信の応答があるか否かに基づいて、交換レンズ200の着脱を検出し、検出結果を第1カメラ通信部112に送信する。
【0102】
各ステップの定常データ通信は、第1アダプター通信部312が生成したレンズ情報(光学系220の情報等)を、第1カメラ通信部112が取得する通信処理である。すなわち、定常データ通信において、第1カメラ通信部112は、第1アダプター通信部312に対して、レンズ情報(光学系220の情報等)の送信を要求する要求コマンドを送信し、それを受けた第1アダプター通信部312からの応答(アダプターからカメラ側への送信)によって、アダプター300を介した交換レンズ200からのレンズ情報(光学系220の情報等)の受信(取得)処理を行う。この要求コマンドは定常データ通信において定期的に送信されるため、第1カメラ通信部112は、この定常データ通信のたびに、レンズ情報の取得(受信)動作を繰り返し行う。
例えば、第1カメラ通信部112は、ステップS1010の定常データ通信により、第1アダプター通信部312がステップS2010のレンズ定常通信の前に取得したレンズ情報(光学系220の情報等/第1情報)に基づいて生成したレンズ情報(第2情報)を取得する。また、第1カメラ通信部112は、ステップS1015、S1020の定常データ通信により、第1アダプター通信部312がステップS2010のレンズ定常通信において取得したレンズ情報(光学系220の情報等/第1情報)に基づいて生成したレンズ情報(第2情報)を取得する。また、第1カメラ通信部112は、ステップS1025の定常データ通信により、第1アダプター通信部312がステップS2020のレンズ定常通信において取得したレンズ情報(光学系220の情報等)に基づいて生成したレンズ情報を取得する。
すなわち、第1アダプター通信部312は、上記のように生成したレンズ情報を、定常データ通信の周期Tmで第1カメラ通信部112に送信する(応答する)。
【0103】
このように、コマンドデータ通信において、アダプター制御部310は、周期Tfのレンズ定常通信により取得した交換レンズ200からのレンズ情報(光学系220の情報等/第1情報)に基づいて、カメラ制御部110に送信するレンズ情報(第2情報)を生成する。また、アダプター制御部310は、生成したレンズ情報(第2情報)を、周期Tmの定常データ通信によりカメラ制御部110に送信する。
これにより、アダプター制御部310は、周期Tfのレンズ定常通信により取得して生成したレンズ情報を、周期Tfに対して非同期の関係にある周期Tmの定常データ通信によりカメラ制御部110に滞りなく確実に送信することができる。
よって、アダプター制御部310は、カメラ制御部110と通信することにより、カメラ制御部110からの要求に応じて、レンズ制御部210から取得したレンズ情報をカメラ制御部110に滞りなく送信することができる。
【0104】
なお、図7を用いて、レンズ定常通信の通信タイミング(周期Tfの通信タイミング)に応じて、第1カメラ通信部112へ送信するレンズ情報(光学系220の情報等)を、第1アダプター通信部312が生成する処理を説明したが、これに限られるものではない。例えば、第1アダプター通信部312は、定常データ通信の通信タイミング(周期Tmの通信タイミング)に応じて、第1カメラ通信部112へ送信するレンズ情報(光学系220の情報等)を生成してもよい。
これにより、アダプター制御部310は、周期Tfのレンズ定常通信により取得したレンズ情報(光学系220の情報等)から、周期Tfに対して非同期の関係にある周期Tmのタイミングに応じてカメラ制御部110に送信するレンズ情報を生成し、生成したレンズ情報を定常データ通信によりカメラ制御部110に送信することができる。
【0105】
また、図7を用いて、第1アダプター通信部312は、レンズ制御部210との通信の周期Tfと、カメラ制御部110との通信の周期Tmとが、非同期の関係にある処理について説明したが、周期Tfと周期Tmとが、同期の関係にある処理としてもよい。
【0106】
(オートフォーカス制御におけるコマンドデータ通信とオートフォーカス処理の説明)
次に、オートフォーカス処理を例にしてコマンドデータ通信を説明する。
カメラ制御部110は、操作受付部130から供給されるレリーズ釦132の状態信号を検出し、レリーズ釦半押し状態とレリーズ釦全押し状態を検出する。例えば、レリーズ釦半押し状態が、撮像を行わせる準備状態を示し、レリーズ釦全押し状態が、撮像開始を示す。
カメラ制御部110は、レリーズ釦132から供給される状態信号により、レリーズ釦半押し状態を検出している場合には、動作状態(動作モード)を、オートフォーカス制御(オートフォーカス処理)を行う状態にする。
カメラ制御部110は、このオートフォーカス制御を行うにあたって、まず上述のホットラインデータ通信(通信系D1L、D1b)によって、交換レンズ200から、アダプター300を介して、既述した像面移動係数kの情報(既述の如くアダプター300にて第1の通信規格に適合する情報(状態)に変換された像面移動係数情報)を受信する。そしてカメラ制御部110では、上述のAFセンサ106(撮像素子104と一体構成されている場合も含む)からの出力に基づいて算出されたピントズレ量(位相差AFの場合はデフォーカス量、コントラストAFの場合はコントラスト値)に基づいて、上述のフォーカス駆動指令1(第1指令情報)を生成する。カメラ制御部110は、このフォーカス駆動指令1(パルス数、駆動方向)を生成する際に、交換レンズ200から受信しておいた像面移動係数kを使用する。具体的には、ピントズレ量をパルス数に変換演算する際に、この像面移動係数kを使用して算出する。
【0107】
なおこの像面移動係数kの情報は、当初は「交換レンズ200−アダプター300−カメラボディ100」間の最初の授受(通信)によってカメラボディ100に受信されてカメラ制御部内のメモリーに記憶される。その後(カメラが電源オン中)は、「交換レンズ200−アダプター300−カメラボディ100」間の定常通信(周期的な通信)によって、カメラボディ100に受信される。カメラ制御部110では、定常通信で像面移動係数kの情報を受信するたびに、メモリー内の像面移動係数kを更新して記憶する。このためカメラ制御部110は、フォーカス駆動指令1を生成する際には、その時点で更新されている像面移動係数kを用いて上記生成を行う。この点(更新した像面移動係数kが変換演算に使用される点)については、既述したアダプター制御部310で行う変換演算(像面移動係数kを用いた変換演算)の場合も同等である。
【0108】
そしてカメラ制御部110は、この生成したフォーカス駆動指令1に基づくオートフォーカス処理を光学系駆動部230のAF駆動部231に行わせるために、このフォーカス駆動指令1を、第1データ通信系D1b(コマンドデータ通信)を介してアダプター300に送信する。
このフォーカス駆動指令1を受けたアダプター制御部310は、第1アダプター通信部312にオートフォーカス処理(前述したフォーカス駆動指令2の生成など)を行わせる。また、カメラ制御部110は、第1アダプター通信部312に送った制御指令により、第1アダプター通信部312を介して第2アダプター通信部313にオートフォーカス処理(交換レンズ200のAFエンコーダ232から出力されたパルス信号から位置情報を生成する処理)を行わせる状態にするように制御する。
【0109】
或いは、カメラ制御部110は、レリーズ釦132から供給される状態信号により、レリーズ釦半押し状態の解除を検出した場合には、動作状態(動作モード)を、オートフォーカス処理を修了させる状態にする。オートフォーカス処理を修了させる状態にする制御では、オートフォーカス処理を行わせるように制御した各制御対象に、オートフォーカス処理の開始時と同様に、カメラ制御部110からの制御指令がそれぞれ送られる。
【0110】
或いは、カメラ制御部110は、レリーズ釦132から供給される状態信号により、レリーズ釦全押し状態を検出した場合には、撮像処理を行わせる状態にする。この撮像処理を行わせる状態においては、カメラ制御部110は、オートフォーカス処理の結果を保持させるように各部を制御する。
このように、カメラシステム1において、オートフォーカス処理が、コマンドデータ通信を用いて制御されている。
ここで、図8を参照して、コマンドデータ通信を用いたフォーカスレンズ222の駆動量の制御の一例を説明する。
図8は、AF制御における交換レンズに対する制御量の変換処理を示すフローチャートである。この図に示される処理は、アダプター制御部310の第1アダプター通信部312において行われる処理を示している。
アダプター制御部310は、「フォーカス駆動指令1(第1の制御指令)」に応じて、以下に示す処理により、受信した「フォーカス駆動指令1」から、第1制御量に基づいて生成される第2制御量を含む「フォーカス駆動指令2(第2の制御指令)」に変換する。
なお、以下の処理に先立ち、カメラボディ100において、AFセンサ106(焦点検出部)の検出結果に応じた「フォーカス駆動指令1(第1制御量を含む第1の制御指令)」が生成され、生成された「フォーカス駆動指令1」がアダプター制御部310に対して周期的に供給されるものとする。
また、以下に示す処理において、アダプター制御部310は、「フォーカス駆動指令1」に応じて、第1制御量よりも制御量が少ない(制御量を低減させた)第2制御量を生成する場合がある。
【0111】
まず、アダプター制御部310は、AFセンサ106(焦点検出部)の検出結果に応じた「フォーカス駆動指令1(第1制御量を含む第1の制御指令)」を、カメラボディ100から受信する(ステップS1910)。
アダプター制御部310は、「フォーカス駆動指令1(第1の制御指令)」に基づいて、第1制御量が、予め定められた所定の判定閾値を満たすか否かを判定する(ステップS1915)。
ステップS1915における判定の結果、第1制御量が所定の判定閾値に満たないと判定された場合(所定の制御量未満であると判定された場合)(ステップS1915:No)、アダプター制御部310は、第1制御量よりも制御量が少ない(第1制御量を低減させた)第2制御量を生成する(ステップS1920)。
【0112】
一方、ステップS1915における判定の結果、第1制御量が所定の判定閾値を満たすと判定された場合(ステップS1915:Yes)、アダプター制御部310は、第1制御量と同じ制御量の第2制御量を生成する(ステップS1930)。アダプター制御部310は、生成した第2制御量を含む「フォーカス駆動指令2(第2の制御指令)」を生成し(ステップS1940)、交換レンズに送信する(ステップS1950)。上記のコマンドデータ通信の処理において、アダプター制御部310は、「フォーカス駆動指令1」を第1の通信規格に基づいて通信し、「フォーカス駆動指令2」を第2の通信規格に基づいて通信する。
【0113】
なお、上記のステップS1920における処理において、アダプター制御部310は、第1制御量が定められた判定閾値に満たないと判定された場合に、第1制御量より低減させた予め定められる所定の値の第2制御量を生成してもよい。
【0114】
このように、アダプター制御部310は、「フォーカス駆動指令1」によって示される第1制御量、つまりフォーカスレンズ222を移動させる駆動量に応じて、第1制御量より低減させた第2制御量を生成して、低減させた第2制御量に基づいて交換レンズ200を制御する場合がある。フォーカスレンズ222を移動させる駆動量を低減させることにより、フォーカスレンズ222をゆっくり移動させることができ、特にフォーカスレンズ222の単位時間当たりの駆動量が比較的少ない場合などに安定して制御することができる。
【0115】
ここで、ホットライン通信によって、交換レンズ200のフォーカスレンズ222のレンズ動作をカメラボディ100まで伝える処理について、さらに詳細に説明する。
【0116】
<ホットライン通信の説明>
前述のとおり、本実施形態における「ホットライン通信」とは、交換レンズ200からアダプター300を経由してカメラボディ100までの間の通信を示す。ホットライン通信は、アダプター300とカメラボディ100との間で、第3の通信規格に従って通信を行う「第2データ通信系D2b」と、交換レンズ200とアダプター300との間で、第3の通信規格とは異なる第4の通信規格に従って通信を行う「データ通信系D2L」とにより構成される。
【0117】
(第2データ通信系D2bのホットライン通信)
第1アダプター通信部312は、第2アダプター通信部313を制御して、端子Tb8〜Tb11、すなわち信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDATを介して、第2カメラ通信部113へレンズ位置データを送信させる。なお、本実施形態において、第2アダプター通信部313と第2カメラ通信部113との間で行われる通信を「第2データ通信系D2bのホットライン通信」と称する。
ただし、第2アダプター通信部313は、ホットラインパルス信号に基づいてカメラボディ100に送る位置情報を生成しない。それゆえ、本実施形態においては、「第2データ通信系D2bのホットライン通信」によって、アダプター制御部310を介してカメラ制御部110に提供されるフォーカスレンズ222の位置を示す情報はない。
【0118】
(第2データ通信系D2Lのホットライン通信)
第2アダプター通信部313は、第2レンズ通信部213から供給されるホットラインパルス信号を受信する。なお、本実施形態において、第2アダプター通信部313と第2レンズ通信部213との間で行われる通信を「第2データ通信系D2Lのホットライン通信」と称する。第2レンズ通信部213から供給されるホットラインパルス信号は、AFエンコーダ232において生成されたパルス信号であり、フォーカスレンズ222の位置を示す情報を含む。
【0119】
ところで、AF制御におけるホットライン通信は、オートフォーカス制御の制御対象であるフォーカスレンズ222の位置情報を、カメラ制御部110にフィードバックするための帰還路を形成するための通信を提供するものである。ただし、本実施形態に示す形態によれば、カメラ制御部110からの制御により、交換レンズ200が備えているフォーカスレンズ222の位置を制御することができても、フォーカスレンズ222の位置情報をカメラ制御部110にフィードバックするための帰還路を利用できないものとなる。
【0120】
このように、本実施形態によれば、アダプター300は、フォーカスレンズ222の位置情報を生成することなく、また、カメラボディ100に通知(送信)することなく、AF制御を行うことができる。そして本実施形態のアダプター300は、フォーカスレンズ222の位置情報を生成する構成や、その生成した位置情報をカメラボディ100に通知する構成が不要になるので、アダプター300の回路構成を簡略化でき、小型化、省電力化、および低コスト化を図ることができる。また本実施形態のアダプター300は、特性の異なる交換レンズに対してもAF制御を安定に行うことができることから、様々な種類の交換レンズを適切に機能させることができる。
【0121】
さらに、アダプター制御部310は、上記のようにフォーカスレンズ222を駆動させることにより、フォーカスレンズ222をゆっくりと移動させることができ、AF制御を安定に行うことが可能となる。
【0122】
また、アダプター制御部310は、AFセンサ106(焦点検出部)の検出結果に応じた第1制御量を含む第1の制御指令を、カメラボディ100から受信し、第1の制御指令に応じて、第1の制御指令から、第1制御量に基づいて生成される第2制御量を含む前記第2の制御指令に変換する。これにより、アダプター300を介して通信する際に、アダプター制御部310は、カメラボディ100から供給される制御量(第1制御量)から変換した第2の制御量を生成することにより、交換レンズ200に供給する制御量(第2の制御量)を調整することができる。アダプター300は、フォーカスレンズ222の位置情報を生成することなく、また、カメラボディ100に通知することなく、AF制御を行う場合であっても、交換レンズ200に適した制御量を交換レンズ200に供給することが可能になることから、アダプター300は、特性の異なる交換レンズに対してもAF制御を安定に行うことが可能となる。
【0123】
また、アダプター制御部310は、第1の制御指令に応じて、第1制御量よりも制御量が少ない(第1制御量より低減させた)第2制御量を生成する。例えば、アダプター制御部310は、第1制御量が所定の判定閾値に満たないと判定された場合に、第1制御量よりも制御量が少ない第2制御量を生成する。または、アダプター制御部310は、第1制御量が所定の判定閾値に満たないと判定された場合に、第1制御量よりも制御量が少ない所定量を、第2制御量として生成する。
このように、アダプター制御部310は、第1制御量よりも制御量が少ない(第1制御量より低減させた)第2制御量を供給することにより、第1制御量に応じて制御系の特性を調節することができる。上記の場合、第1制御量よりも制御量が少ない第2制御量を制御対象である交換レンズ200に対してアダプター制御部310を介して供給することにより、制御系のループゲインを第1制御量に応じて適応的に低減させることが可能となる。これにより、アダプター制御部310は、過度な制御量を交換レンズ200に供給することなく制御することが可能となる。
【0124】
また、アダプター制御部310は、第1制御量が所定の判定閾値を満たすと判定された場合に、第1制御量と同じ制御量の第2制御量を生成する。
このように、アダプター制御部310は、第1制御量と同じ制御量の第2制御量を供給して交換レンズ200を制御することにより、第1制御量に応じて制御系の特性を調節することができる。上記のように、制御系のループゲインを第1制御量に応じて適応的に制御することにより、アダプター制御部310は、過度な制御量を交換レンズ200に供給することなく制御することが可能となる。
【0125】
また、アダプター制御部310は、生成した第2制御量を含む第2の制御指令を生成し、交換レンズに送信する。上記の通信において、アダプター制御部310は、第1の制御指令を第1の通信規格に基づいて通信し、第2の制御指令が第2の通信規格に基づいて通信する。
これにより、カメラボディ100と交換レンズ200との間で通信規格が異なる場合であっても、アダプター300を介して接続することにより、カメラボディ100と交換レンズ200との間で通信が可能となる。これにより、アダプター300は、この通信(コマンドデータ通信)により、カメラボディ100から交換レンズ200を制御することが可能となることから、様々な種類の交換レンズを適切に機能させることができるようになる。
【0126】
また、上述のカメラ制御部110、レンズ制御部210、またはアダプター制御部310それぞれの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の各部の処理をそれぞれ行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0127】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0128】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 カメラシステム、100 カメラボディ、106 AFセンサ、110 カメラ制御部、200 交換レンズ、220 光学系、230 光学系駆動部、300 アダプター、301 第1マウント(第1マウント部)、302 第2マウント(第2マウント部)、310 アダプター制御部、312 第1アダプター通信部、313 第2アダプター通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点検出を行う焦点検出部を備えたカメラボディを着脱可能な第1マウント部と、
前記第1マウント部とは別に設けられており、焦点調節を行うフォーカスレンズを含む焦点調節機構を備えた交換レンズを着脱可能な第2マウント部と、
前記カメラボディと通信可能であり、前記交換レンズと通信可能であるアダプター制御部と
を有し、
前記アダプター制御部は、
前記焦点検出部の検出結果に応じて前記カメラボディで生成された前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信し、
前記第1の制御指令を前記第2の制御指令に変換し、
前記第2の制御指令を前記交換レンズに対して送信するとともに、
前記交換レンズから供給される前記フォーカスレンズの移動情報に応じた前記フォーカスレンズの第1位置情報は、前記カメラボディに送信されない
ことを特徴とするアダプター。
【請求項2】
前記アダプター制御部は、
前記フォーカスレンズの移動情報に基づく前記第1位置情報の生成を実行しない
ことを特徴とする請求項1に記載のアダプター。
【請求項3】
前記アダプター制御部は、
前記焦点検出部の検出結果に応じた第1制御量を含む前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信し、
前記第1の制御指令に応じて、前記第1の制御指令から、前記第1制御量に基づいて生成される第2制御量を含む前記第2の制御指令に変換する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアダプター。
【請求項4】
前記アダプター制御部は、
前記第1の制御指令に応じて、前記第1制御量よりも制御量が少ない前記第2制御量を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載のアダプター。
【請求項5】
前記アダプター制御部は、
前記第1制御量が所定の判定閾値に満たないと判定された場合に、前記第1制御量よりも制御量が少ない前記第2制御量を生成する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のアダプター。
【請求項6】
前記アダプター制御部は、
前記第1制御量が前記所定の判定閾値に満たないと判定された場合に、前記第1制御量よりも制御量が少ない所定量を、前記第2制御量として生成する
ことを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項に記載のアダプター。
【請求項7】
前記アダプター制御部は、
前記第1制御量が前記所定の判定閾値を満たすと判定された場合に、前記第1制御量と同じ制御量の前記第2制御量を生成する
ことを特徴とする請求項3から請求項6の何れか一項に記載のアダプター。
【請求項8】
前記アダプター制御部は、
前記第2制御量を含む前記第2の制御指令を前記交換レンズに送信する
ことを特徴とする請求項3から請求項7の何れか一項に記載のアダプター。
【請求項9】
前記アダプター制御部は、
前記第1の制御指令を第1の通信規格に基づいて通信し、
前記第2の制御指令が第2の通信規格に基づいて通信する
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載のアダプター。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載のアダプターと、
前記第1マウント部に装着された前記カメラボディと、
前記第2マウント部に装着された前記交換レンズと、
を備えることを特徴とするカメラシステム。
【請求項11】
焦点検出を行う焦点検出部を備えたカメラボディを着脱可能な第1マウント部と、前記第1マウント部とは別に設けられており、焦点調節を行うフォーカスレンズを含む焦点調節機構を備えた交換レンズを着脱可能な第2マウント部と、を備えるアダプターに設けられているアダプター制御部の動作を制御するアダプター制御プログラムであって、
前記焦点検出部の検出結果に応じて前記カメラボディで生成された前記第1の制御指令を、前記カメラボディから受信するステップと、
前記第1の制御指令を前記第2の制御指令に変換するステップと、
前記第2の制御指令を前記交換レンズに対して送信するステップと、
を有しており、
前記交換レンズから供給される前記フォーカスレンズの移動情報に応じた前記フォーカスレンズの第1位置情報は、前記カメラボディに送信されない
ことを特徴とするアダプター制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68647(P2013−68647A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204972(P2011−204972)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】