説明

アニオン交換ポリマー電解質

【課題】アニオン交換ポリマー電解質であって、グアニジン塩基、及び該塩基と該ポリマーとの間のカチオン安定スペーサー部分を有する前記アニオン交換ポリマー電解質を提供する。
【解決手段】ポリマー核、スペーサーA、及びグアニジン塩基から成る化学化合物を含有する固形アニオン交換ポリマー電解質及び組成物であって、
前記化学化合物は、適する溶媒中に均質分散され、且つ、下記構造:
【化1】


〔式中、
i)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化2】


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
ii)R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有し;及び
iii)前記組成物は、膜電極一体構造用に適する、
前記電解質又は組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願との関連
本願は、2009年9月14日付けで出願され、その全体が本願明細書に組み込まれている、米国特許出願第61/242247号の優先権の利益を特許請求している。
連邦権利の陳述
アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国エネルギー部門(United States Department of Energy)と、ロス アラモス ナショナル ラボラトリー(Los Alamos National Laboratory)の営業のためのロス アラモス ナショナル セキュリティ社(Los Alamos National Security,LLC)との間の契約番号DE−AC52−06NA25396に基づき本発明における権利を有する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、グアニジン塩基を有するアニオン交換ポリマー電解質に、並びに、当該アニオン交換ポリマー電解質を含有する燃料電池用の液体組成物及び膜に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
イオン交換ポリマー電解質及び液体媒体中のその分散液は、燃料電池及び他の電気化学的用途の必須部分である。燃料電池において、電気化学反応は酸性又はアルカリ性媒体中のいずれかで起きる。酸性環境中においては、プロトン交換膜は、比較的低温(25ないし100℃)での適切な寿命及び良好な伝導性を両立することが必要とされる。燃料電池及び電解質はプロトン交換膜を用いるが、アルカリ燃料電池はアニオン伝導性ポリマー電解質を必要とする。アルカリ性環境中においては、酸素還元反応の効率は、酸性条件におけるよりもずっと高く、そのため、貴金属触媒とは対照的に、低コストの、豊富な電気触媒の使用が可能となっている。
【0004】
伝統的には、アルカリ燃料電池は、電解質として、およそ30%の標準的な濃度を有する水酸化カリウム水溶液を用いる。主要な操作制約としては、二酸化炭素が炭酸塩沈澱物を形成してしまうために、酸化剤供給流中の二酸化炭素が低濃度である必要性である。この課題を解決するための1つの手段は、固形アニオン伝導性膜の使用である。そのような膜をベースとしたアルカリ燃料電池系は、液体電解質循環の不要、低腐食性、並びに、差圧及び系設計の簡素化を適用する性能のような、望ましい特性の固形電解質を使用している。
【0005】
アルカリ燃料電池の分野における重要な課題は、
i)アルカリ媒体中での良好な電解質安定性、
ii)高いアニオン伝導性、及び
iii)良好な加工性
を有するアニオン交換ポリマー電解質が現在不足していることである。
【0006】
理論により限定されることを望まなければ、アニオン交換ポリマー電解質の低安定性は、高い塩基性条件でのポリマー電解質の急速な加水分解による。その分解過程は、カチオン官能基近傍の電子取出分子によって加速されてしまう。カチオン交換ポリマー電解質と比較してアニオン交換ポリマー電解質のより低いイオン伝導性は、プロトンのそれよりも低い水酸化物イオンの拡散係数、並びに、交換部位の濃度を低下させるアニオン交換ポリマー電解質中のより大きな寸法のカチオン基に依存する。アルキルアンモニウムカチオンをベースとしたアニオン交換ポリマー電解質の低い加工性は、それらの低い溶解度による。アルキルアンモニウムカチオンをベースとした(及び他のカチオンをベースとした)アニオン交換ポリマー電解質は、ポリマーの−CHCl部分の塩素原子置換によって合成され得る。ポリマー電解質のカチオン形態は塩素原子置換を介して直接合成されるため、生じたカチオン官能化ポリマー電解質は、溶解度が限定される。この限定された溶解度が、アルカリ燃料電池の成果の重大な阻害因子となってしまう。
【0007】
従来技術によって、アニオン交換ポリマー電解質の安定性が、スルホニウム、ホスファゼニウム(phosphazenium)、ホスファゼン及びグアニジニウムのような、高塩基性の且つ嵩高なカチオンを導入することによって改良され得る、ということが教示されている。しかしながら、カチオン官能性は、炭化水素をベースとしたポリマー骨格に直接に付随しており、このことが、合成するための技術的な課題となっている。さらには、フッ素の電子放出特性が嵩高なカチオンの安定性を弱める傾向にあるために、直接結合した高塩基性カチオンを有するフッ素化ポリマー電解質の安定性は疑問である。しかしながら、高いガス透過性に貢献すると理解されるため、ポリマー電解質のフッ素化は望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、現在のところ利用できるアニオン交換ポリマー電解質よりも高いpHでの化学分解に対してより安定であり、改良されたアニオン伝導性を有し、且つ、加工性を改良することとなる分散媒体中でのより良好な溶解性を有する、アニオン伝導性ポリマー電解質が必要とされている。さらには、前述のアニオン伝導性ポリマー電解質を有する高性能固形アニオン交換膜燃料電池の製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の概要
本発明は、アニオン交換ポリマー電解質であって、グアニジン塩基、及び該塩基と該ポリマーとの間のカチオン安定スペーサー部分を有する前記アニオン交換ポリマー電解質を提供することによって、前述の必要性に合致する。このことは、フッ素原子の不利な電子取出性能を弱めながら、ポリマーの望ましいフッ素化を可能としている。
【0010】
以下、本発明の幾つか限定されない態様を記載する。
【0011】
本発明の一の態様に従うと、
下記構造:
【化1】

〔式中、
i)Arは、
【化2】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、F又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す)を表し;
ii)X、Y、Zは、独立して、直接結合、O、S、SO
【化3】

を表し、
iii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化4】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサー表し;
iv)Gは、下記構造:
【化5】

(式中、R、R10、R11、R12、又はR13のうちの少なくとも1つは水素原子を表すとともに、水素原子でない基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、若しくは、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子から成る群より選択されるハライドを有する非環式ヘテロ原子基を表す)を有するグアニジン塩基を表す〕
を有するポリマー核を有する、固形アニオン交換ポリマー電解質が提供される。
【0012】
本発明の別の態様に従うと、下記構造:
【化6】

{式中、
i)R14、R15はCFを表すか;又は、R14がCFを表すとともにR15がCHを表すか;又は、R14がCHを表すとともにR15がCHFを表し;及び
ii)R16はCH又はCFを表し;
iii)R17はCH又はCFを表し;
iv)Aは、構造O、S、SO、−NH−、N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化7】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
v)Gは、下記構造:
【化8】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有するポリマー核を有する、固形アニオン交換ポリマー電解質が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様に従うと、
【化9】

{式中、
i)n及びmは1ないし50であり、及びpは1ないし10であり;
ii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化10】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
iii)Gは、下記構造:
【化11】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有する固形アニオン交換ポリマー電解質が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様に従うと、化学化合物から成る組成物であって、前記化学化合物が、ポリマー核、スペーサーA、及びグアニジン塩基から成り、
前記化学化合物は、適する溶媒中に均質分散され、且つ、下記構造:
【化12】

〔式中、
i)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化13】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
ii)R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有し;及び
iii)前記組成物は、膜電極一体構造用に適する、組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な記載
本発明は、固形アニオン交換ポリマー電解質に、それらの液体媒体中の分散液に、並びに、固形アニオン交換ポリマー電解質を有する膜及び膜電極一体構造に関し、前記固形アニオン交換ポリマー電解質は、ポリマー核、グアニジン塩基、及びそれらの間のカチオン安定化スペーサーを有する、下記構造:
【化14】

〔式中、
Aは、前記ポリマー主鎖と前記グアニジン塩基との間に位置するカチオン安定化スペーサーであって、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化15】

(式中、R、R、R及びRは、独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)
を有し;
、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基及び/又は下記構造:
【化16】

を表す〕を有する。
【0016】
他の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13のうちの少なくとも1つが水素原子を表すとともに、水素原子でない基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、若しくは、ハライド(X)(ここで、Xは、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子から成る群より選択される)を有する非環式ヘテロ原子基を表し得る。一の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13全てが水素原子を表す。水素化グアニジンは、アニオン交換ポリマー電解質において優れた安定性という利点を有している。他の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13全てがCHを表す。
【0017】
本発明の一の態様に従うと、固形アニオン交換ポリマー電解質は、下記構造:
【化17】

〔式中、
i)Arは、
【化18】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、F又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す)を表し;
ii)X、Y、Zは、それぞれ独立して、直接結合、O、S、SO
【化19】

を表し、
iii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化20】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
iv)Gは、下記構造:
【化21】

(式中、R、R10、R11、R12、又はR13のうちの少なくとも1つが水素原子を表すとともに、水素原子でない基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、若しくは、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子から成る群より選択されるハライドを有する非環式ヘテロ原子基を表す。)を有するグアニジン塩基を表す。〕
を有するポリマー核を有する。一の態様において、R、R10、R11、R12、又はR13は全て水素原子を表す。
【0018】
一の態様において、R、R、R及びRは、フッ素原子を表す。一の態様において、X、Y及びZは、SOを表す。一の態様において、Aは、CO(Ph)(式中、Phはフェニル部分を表す)を表し、及び、R、R、R及びRは、水素原子を表す。
【0019】
本発明の他の態様に従うと、
下記構造:
【化22】

{式中、
i)R14、R15はCFを表すか;又は、R14がCFを表すとともにR15がCHを表すか;又は、R14がCHを表すとともにR15がCHFを表し;及び
ii)R16はCH又はCFを表し;
iii)R17はCH又はCFを表し;
iv)Aは、構造O、S、SO、−NH−、N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化23】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
v)Gは、下記構造:
【化24】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有するポリマー核を有する、固形アニオン交換ポリマー電解質が提供される。
【0020】
一の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13は全て、−CHを表す。又は、R、R10、R11、R12及びR13は全て、−Hを表す。一の態様においては、R14、R15及びR16は全て、CFを表す。他の態様において、R、R、R及びRは、水素原子を表す。
【0021】
本発明のさらに別の態様に従うと、固形アニオン交換ポリマー電解質は、
a)下記構造:
【化25】

{式中、
i)n及びmは1ないし50であり、及びpは1ないし10であり;
ii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化26】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
iii)Gは、下記構造:
【化27】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有するポリマー核を有する。
【0022】
一の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13全てが水素原子を表す。別の態様においては、R、R10、R11、R12及びR13全てが−CHを表す。一の態様においては、AはCOPh(式中、Phはフェニル部分を表す)を表す。他の態様においては、R、R、R及びRが水素原子を表す。
【0023】
本発明のグアニジン塩基を有するアニオン交換ポリマー電解質は、従来のアルキルアンモニウム塩基のアニオン交換ポリマー電解質の状態と比較して、顕著に安定であり、高い伝導性であり、高いガス透過性であり、及び良好な加工性を有する。
【0024】
理論により限定されることを望まなければ、アニオン交換ポリマー電解質の分解は、脱離反応(E2)又は求核置換(S2)反応を介して生じる。E2反応は、0又は180°の2面角を有するβ−水素を有するカチオン官能基において生じる。本発明のグアニジン塩基を有するアニオン交換ポリマー電解質は、β−水素も、0若しくは180°の2面角も有しておらず、このことが、E2分解の可能性を大きく低減させ得る。S2反応の速度は、脱離基の塩基性に強く依存する。一般に、脱離基の塩基性が弱くなる程(pKaが高くなる程)、その脱離能力が大きくなる。グアニジン塩基のpKa値は、トリアルキルアミンよりもおよそ5桁も大きく、このことはずっと高い安定性を示唆する。S2反応速度に影響する他の要因は、カチオン官能基の電子密度である。1,4−ジアザビシクロ−オクタン(DABCO)の場合においては、pKa値は、アルキルアンモニウムのそれよりも低いが、イオン化されていない窒素原子が、その不対電子をイオン化された窒素原子に供与し、これによって、カチオン基を安定化し得る。グアニジン塩基はまた、官能基を大きく安定化する高い電子密度及び共鳴構造をも有している。グアニジン塩基の安定性は、電子を供与する(カチオンを安定化する)スペーサー基を導入することによって、さらに改良され得る。電子供与スペーサー基の導入によって、高いガス透過性を有するフッ素化ポリマー系が用いられ得る。本発明のアニオン交換ポリマー電解質のアニオン伝導性は優れている。グアニジン塩基のモル体積は、ジアザ(1,3)ビシクロ[5.4.0]ウンデカン(DBU)、ベルケイド塩基(Verkade base)及びシュバインガーホスファゼン塩基(Schwesinger phosphazene base)のような、他の高塩基官能性と比較して、相当に小さい。グアニジン塩基のこの相当に小さい体積は、カチオン官能基の中で減少し、このことがアニオン伝導性を改良する。アルキルアンモニウムをベースとしたアニオン交換ポリマー電解質と比較してより高い伝導性はまた、グアニジン塩基のカチオンが非局在化され、3つのイオン交換部位を与えるその共鳴構造に依存する。共鳴構造は、従来のアルキルアンモニウム塩基は1つの窒素原子しか有しないが3つの窒素原子がアニオン伝導に寄与するという点で、安定性のみならず、良好な伝導性をも与える。
【0025】
本発明のアニオン交換ポリマー電解質はまた、優れた加工性を有している。アニオン交換ポリマー電解質とは異なり、グアニジン塩基アニオン交換ポリマー電解質は、中性形態を介して合成され、そしてその後イオン化され得る。グアニジン塩基で官能化されたポリマー電解質のスキーム1中の中性形態(I)は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、及びn−メチルm−ピロリドンのような非プロトン性溶媒、及びグリセロールのようなプロトン性溶媒中で、高温にて、比較的良好な溶解性(又は分散性)を有している。さらにイオン化形態(II)及び(III)もまた、数種の非プロトン性溶媒中に溶解する(又は分散する)。液体媒体中にポリマー電解質を分散させる性能は、多用途性及び加工性をもたらす。本発明のアニオン交換ポリマー電解質の良好な分散特性によって、プロトン交換膜燃料電池の従来の加工方法の状態が使用され得、このことがアルカリアニオン交換膜燃料電池のそれと比較してずっと有利となる。
【化28】

【0026】
本発明は、液体媒体中の、ポリマー、アニオン伝導性膜、及びポリマー分散液に関する。本発明の官能化されたアニオン交換ポリマー電解質は、全てがパーフルオロ化された、部分的にパーフルオロ化された、及び多環芳香族のポリマーから合成され得る。或いは、合成は、最初にモノマーを官能化し、その後の直接重合によって行われ得る。モノマーの直接重合は、ポリマー構造に対してより正確な制御を可能にするという利点を有するが、ポリマー変性は、より単純且つより経済的であるという利点を有している。以降、我々は、本願請求項に係る、ポリマー変性及びモノマーからの直接重合から材料を得るための合成手順及び製造方法の1つの限定されない例を提供する。
【0027】
臭化メチル化したポリマーを用いた合成
本発明のアニオン交換ポリマー電解質は、臭化メチル化ポリマーとグアニジン塩基との反応によって、合成され得る(スキーム2)。
【化29】

【0028】
スルホニルハライドポリマー前駆体を用いた合成
本発明のアニオン交換ポリマー電解質は、パーフルオロ化スルホン酸又はスルホン化炭化水素をベースとしたポリマーに対する前駆体を用いて合成され得る。スキーム3は、グリニヤール反応のような既知手順を用いることによる、グアニジン塩基を有する官能化されたパーフルオロ化ポリマーの例を示す。ここで、グアニジン塩基は、直接に−CH基に結合されている。スキーム2とは対照的に、β−水素の無いことがポリマー安定性を改良し得る。
【化30】

【0029】
より単純且つ経済的な方法は、フッ化スルホニルポリマーと、グアニジン塩基との直接反応を介してである。グアニジン塩基で官能化されたパーフルオロ化された及び炭化水素をベースとしたポリマーを合成する2つの例は、スキーム4に描写される。
【化31】

【0030】
スペーサーを用いた合成
本発明のアニオン交換ポリマー電解質は、パーフルオロ化フッ化スルホニル又はカルボン酸ベースのポリマーに対する前駆体及びスペーサーを用いることによって合成され得る。スキーム5は、スペーサー及びグアニジン塩基を有する官能化されたパーフルオロ化ポリマーの例を示す。ここで、グアニジン塩基は、前述の構造の1つを有するスペーサーに結合されている。
【化32】

【0031】
直接重合を用いた合成
官能化されたポリマー電解質はまた、スキーム6に示すように、官能化モノマーとグアニジン塩基(アニオン交換単位)と市販のモノマーとの直接重合によって、合成され得る。
【化33】

{式中、
Dは、F、Cl、Br、又はIのようなハライドを表し、
Gは、前述の構造の1つを有するグアニジン塩基を表し、
mは1ないし8であり、
i)Ar及びArは、下記構造:
【化34】

〔式中、
Dは、ハライド(例えば、F、Cl、Br、I)、−OH、−SH、又は−NHを表し;Zは、直接結合又は−SO−、−C(=O)−、又は−P(=O)(アリール)−、又は−C(CX−(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表す)を表し;RないしRは、それぞれ独立して、H、1ないし10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、若しくはアラルキル基、又は4ないし20個の炭素原子を有するヘテロ環式基を表し得;及びRないしRは、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH=CH−、又は−CH=CH−CH−CH−を一緒に形成し得る〕を有するモノマーを有する}。
【0032】
最終的に得られるアニオン交換ポリマー電解質を形成するポリマー構造のために、前述の化合物に加えて、当業者に既知の他の適した化合物が使用され得る。プラスチックベースの、放射線グラフトされた、及びフルオロカーボンポリマーを操作することは、アニオン交換膜の優れた機械的特性を生じさせる。反応物のより高い透過性及び触媒に対する不活性のため、電極材用としてフルオロカーボンポリマーは好ましい。フッ化スルホニルポリマーとグアニジン塩基との直接反応を用いたフルオロカーボンポリマーは、より経済的である。ポリマー電解質のアニオン交換基の数は、特に限定されないが、一の態様においては、およそ0.2meq/gないしおよそ5.0meq/g、或いは、およそ0.5meq/gないしおよそ3.0meq/gのイオン交換能(IEC)が、優れた伝導性及び機械的特性のために好ましい。
【0033】
膜の製造
グアニジン塩基で官能化されたアニオン交換膜は、溶液流延法、押出、ブレードメソッド(blade method)、スピンコーティング、溶融加工等を包含する当業者に既知である種々の方法で製造され得る。最終的な本発明のポリマー膜の厚さは、およそ5μmないしおよそ150μm、或いは、およそ10μmないし100μmであり得る。
【0034】
グアニジン塩基で官能化されたポリマー電解質は、有機基材又は無機基材中で、充填材として使用され得る。グアニジンベースで官能化されたアニオン交換ポリマー電解質が多孔構造を含浸することによって製造される場合、該基材は、織布又は不織布のような、種々の適した基材のいずれか1つであり得る。或いは、多孔膜が使用され得る。
【0035】
分散製造
中性の及びイオン化された形態のグアニジン塩基で官能化されたポリマーは、プロトン若しくは非プロトン溶媒又は分散媒体中にたやすく溶解又は分散され得る。適した液体媒体の幾つかの例は、水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第二ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、1,2,4−ブタントリオール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びそれらの組み合わせを包含する。一の態様においては、溶媒としては、プロトン溶媒中でプロトンが供与されると、液体媒体中で溶解又は分散が一層困難である中和形態からイオン化形態に転換してしまうため、非プロトン溶媒が有利である。さらには、高温加工(およそ>200℃)での水をベースとしたプロトン溶媒中では、加水分解が起きてしまう。一の態様において、非プロトン溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。別の態様において、溶媒はアルコールである。一の態様においては、溶媒は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第二ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、プロパン−1,2,3−オリオール、1,2,4−ブタントリオール、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるアルコールである。
【0036】
液体媒体中のポリマー電解質の濃度は特に限定されず、溶媒の種類、電極触媒中の使用料、粘度、透過性等のような、当業者である種々の要因に依存する。一の態様においては、ポリマー電解質の濃度は、およそ0.1%ないしおよそ20%であり、或いは、およそ0.5%ないし10%であり、ここで、%は、組成物の質量の百分率としてのポリマーの質量を表す。
【0037】
膜電極一体構造の製造
本発明の他の局面は、本発明に従うグアニジン塩基で官能化されたポリマー膜及び分散液を含有する膜電極一体構造(MEA)、並びに該膜電極一体構造を製造する方法を提供する。
【0038】
触媒インクは、ポリマー電解質分散液及び触媒から作製され得る。用語“触媒”は、電極に配合した場合に、電気化学的反応を促進するという触媒を意味するものとして当業者に良く理解されるであろう。例えば、触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、セリウム、チタン、バナジウム、オスミウム、金、銀、ニッケル、コバルト、マンガンより選択され得るか、或いは、卑金属又は酸化卑金属、熱分解された(若しくはされていない)マクロサイル(macrocyle)、スピネル、パイロクロア、ペロブスカイト型の酸化物、又は、好ましくは炭素のような伝導性基材上に支持されたこれら金属の1種以上を含有する合金又は混合物であり得る。微粒子炭素、炭素ナノチューブのような、種々の型の炭素、ナノチューブ/ペロブスカイト複合体が電極材として使用され得る。
【0039】
ポリマー電解質分散液は、通常は、例えば、米国特許第5998057号(コスカニー(Koschany)他)及び米国特許出願第2010/0183804号(キム(Kim)他)に記載される製造方法を用いて、電極を作製するために加工され得るとともに耐久性のある膜電極一体構造(MEA)の製造を可能にするアニオン交換膜を分散させることによって、製造される。膜への触媒インクの直接塗布、転写、噴霧塗布、スクリーン印刷、ロール塗布、ホットプレス等のような、当業者に既知の他の既知の方法もまた用いられ得る。これら製造方法を用いると、膜と電極との間に、非常に安定性のある且つ耐久性のある接触面が、架橋反応なくして得られ得る。
【実施例】
【0040】
実施例
以下、本発明の種々の態様を示す幾つかの限定のない実施例を記載する。全ての実施例において、“当量”(EW)とは、カチオン当りの分子量を、即ち、ポリマーのアニオン交換能の逆数値を意味し、また、HClの1当量を中和するのに必要とされるカチオン形態のポリマーの質量を意味するものと理解される。実施例1ないし4は、安定化スペーサーを有する、グアニジン塩基で官能化されたパーフルオロ化アニオン交換ポリマー電解質の合成を記載する。
【0041】
実施例1
パーフルオロ化ポリマー前駆体(フィルム厚:25μm、カルボン酸形態、EW1100)を、室温にて24時間、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)溶液を用いて処理した。該パーフルオロ化ポリマー前駆体(TBA形態)を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で4−フルオロアニリンを用いて、130℃にて24時間処理した。生じたポリマーを、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。75℃の真空オーブン下で該ポリマーを乾燥した後、該ポリマーを、沸騰温度でNaOH(0.5M)溶液及び純水を用いて洗浄した。
テトラメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、DMF中の硫酸ジメチル(DMS)を用いて、90℃にて24時間、さらに処理した。ペンタメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーが得られた。グアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、1M NaOHを用いてさらに処理し、続いて水を用いて洗浄した。
【0042】
実施例2
パーフルオロ化ポリマー前駆体(フィルム厚:25μm、カルボン酸形態、EW1100)を、室温にて24時間、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)溶液を用いて処理した。パーフルオロ化ポリマー前駆体(TBA形態)を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で4−フルオロアニリンを用いて、130℃にて24時間処理した。生じたポリマーを、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。75℃の真空オーブン下で該ポリマーを乾燥した後、該ポリマーを、沸騰温度で1M NaOH(0.5M)溶液及び純水を用いて洗浄した。
テトラメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、DMF中の臭化アリルを用いて、90℃にて24時間、さらに処理した。官能化されたパーフルオロ化ポリマーが得られた。グアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、1M NaOHを用いてさらに処理し、続いて水を用いて洗浄した。
【0043】
実施例3
パーフルオロ化ポリマー前駆体(フィルム厚:25μm、カルボン酸形態、EW1100)を、室温にて24時間、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)溶液を用いて処理した。パーフルオロ化ポリマー前駆体(TBA形態)を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、トリフェニルホスファイト、及びLiClを用いて、100℃にて5時間及び130℃にて24時間処理した。生じたポリマーを、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。75℃の真空オーブン下で該ポリマーを乾燥した後、該ポリマーを、沸騰温度でNaOH(0.5M)溶液及び純水を用いて洗浄した。
テトラメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、DMF中で硫酸ジメチル(DMS)を用いて、90℃にて24時間、さらに処理した。ペンタメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーが得られた。グアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、1M NaOHを用いてさらに処理し、続いて水を用いて洗浄した。
【0044】
実施例4
パーフルオロ化ポリマー前駆体(フィルム厚:25μm、カルボン酸形態、EW1100)を、室温にて24時間、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)を用いて処理した。パーフルオロ化ポリマー前駆体(TBA+形態)を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、トリフェニルホスファイト、及びLiClを用いて、100℃にて5時間及び130℃にて24時間処理した。生じたポリマーを、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。75℃の真空オーブン下で該ポリマーを乾燥した後、該ポリマーを、沸騰温度でNaOH(0.5M)溶液及び純水を用いて洗浄した。
テトラメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、DMF中の臭化アリルを用いて、90℃にて24時間、さらに処理した。官能化されたパーフルオロ化ポリマーが得られた。実施例6からのグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、1M NaOHを用いて処理し、続いて水を用いて洗浄した。
【0045】
比較例1:安定化スペーサーを有していない、グアニジン塩基で官能化されたパーフルオロ化アニオン交換ポリマー電解質の合成
パーフルオロ化ポリマー前駆体(フィルム厚:25μm、フッ化スルホニル形態、EW1100)を、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。水を用いて洗浄した後、該膜を、75℃の真空プレート下に乾燥した。FT−IRにより、C=Nによる吸収が1525ないし1580cm−1にて観察され、且つ、C−NMRにより、C=N及びN−CHが162及び39.5ppmにてそれぞれ観察された。テトラメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、DMF中の硫酸ジメチル(DMS)を用いて、90℃にて24時間、さらに処理した。ペンタメチルグアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーが得られた。グアニジンで官能化されたパーフルオロ化ポリマーを、1M NaOHを用いて沸騰温度にて4時間さらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0046】
比較例2:他の塩基で官能化されたアニオン交換膜の合成
トリメチルアミン、トリエチルアミン及び1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン(DABCO)で官能化されたアニオン交換ポリマー電解質を製造した。13C NMRにより9及び45ppmにて、トリエチルアミン中の−CH及び−CHNのCピークがそれぞれ観察された。13C NMRにより、DABCO中のCHNのCピークが45ppmにて観察された。しかしながら、1M NaOH中にて10時間、該膜を浸した後、膜の分解が観察された。
【0047】
実施例5ないし11は、グアニジン塩基で官能化された炭化水素系アニオン交換ポリマー電解質の合成について記載する。
【0048】
実施例5
デカフルオロビフェニル及びメチルヒドロキノンから、フッ素化された多芳香族ポリマーを合成した。合成されたポリマーを、N−ブロモスクシンイミド及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて臭素化した。臭素化したポリマーを、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中でペンタメチルグアニジンを用いて、90℃にて24時間処理した。75℃の真空プレート下にて膜を乾燥した。FT−IRにより、CN及びCHによる吸収が1620cm−1及び1400にて、それぞれ観察された。
グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、1M NaOHを用いて沸騰温度にて4時間処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0049】
実施例6
4−フルオロベンゾイルクロリドを用いて、変性されたポリスルホン(PSU)を合成した。PSUを、無水THF中に溶解した。ブチルリチウム及び4−フルオロベンゾイルクロリドを、−78℃にて溶液に添加した。変性されたPSUを、130℃にてDMF中でTMGと反応させた。膜を75℃の真空プレート下にて乾燥した。テトラメチルグアニジンで官能化されたPSUポリマーを、DMF中で90℃にて24時間、硫酸ジメチル(DMS)を用いてさらに処理した。FT−IRにより、CN及びCHによる吸収が1620cm−1及び1400にて、それぞれ観察された。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHを用いてさらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0050】
実施例7
4−フルオロベンゾイルクロリドを用いて、変性されたポリスルホン(PSU)を合成した。無水THF中にPSUを溶解した。ブチルリチウム及び4−フルオロベンゾイルクロリドを−78℃にて溶液に添加した。変性されたPSUを、130℃にてDMF中でTMGと反応させた。75℃の真空プレート下で膜を乾燥した。テトラメチルグアニジンで官能化されたPSUポリマーを、90℃にて24時間、DMF中で臭化アリルを用いてさらに処理した。FT−IRにより、CN及びCHによる吸収が1600cm−1及び1400にて、それぞれ観察された。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHを用いてさらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0051】
実施例8
ジメチルスルホキシド(DMSO)中で90℃にて、デカフルオロビフェニル及び4,4−スルホニルジフェノールからフッ素化スルホンポリマーを合成した。変性されたフッ素化スルホンポリマーを、4−フルオロベンゾイルクロリドを用いて合成した。該フッ素化スルホンポリマーを、無水THF中に溶解した。ブチルリチウム及び4−フルオロベンゾイルクロリドを、−78℃にて溶液に添加した。変性されたフッ素化スルホンポリマーを、130℃にてDMF中でTMGと反応させた。
テトラメチルグアニジンで官能化されたフッ素化スルホンポリマーを、90℃にて24時間、DMF中で硫酸ジメチル(DMS)とさらに反応させた。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHとさらに反応させ、その後水を用いて洗浄した。
【0052】
実施例9
フッ素化スルホンポリマーを、90℃にてジメチルスルホキシド(DMSO)中で、デカフルオロビフェニル及び4,4−スルホニルジフェニルから合成した。変性されたフッ素化スルホンポリマーを、4−フルオロベンゾイルクロリドを用いて合成した。フッ素化されたスルホンポリマーを、無水THF中に溶解した。ブチルリチウム及び4−フルオロベンゾイルクロリドを、−78℃にて溶液に添加した。変性されたフッ素化スルホンポリマーを、130℃にてDMF中でTMGと反応させた。
テトラメチルグアニジンで官能化されたスルホンポリマーを、90℃にて24時間、DMF中で臭化アリルを用いてさらに処理した。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHを用いてさらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0053】
実施例10
ジフルオロジフェニルスルホン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−((4−フルオロフェニル)チオ)フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン)(4−フルオロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(F3FAP)、4−フルオロチオフェノール(FTP)及びフェノールから合成された3FBPTモノマー)から、活性化フッ素基を有するポリ(アリーレンエーテルスルホン)ポリマーを合成した。典型的な酸化手順の後、変性されたポリマースルホンポリマーを、130℃にてDMAc中でTMGと反応させた。
テトラメチルグアニジンで官能化されたフッ素化スルホンポリマーを、90℃にて24時間、DMF中で硫酸ジメチル(DMS)を用いてさらに処理した。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHを用いてさらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0054】
実施例11
ジフルオロジフェニルスルホン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−((4−フルオロフェニル)チオ)フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン)(4−フルオロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(F3FAP)、4−フルオロチオフェノール(FTP)及びフェノールから合成された3FBPTモノマー)から、活性化フッ素基を有するポリ(アリーレンエーテルスルホン)ポリマーを合成した。典型的な酸化手順の後、変性されたポリマースルホンポリマーを、130℃にてDMAc中で、TMGと反応させた。
テトラメチルグアニジンで官能化されたフッ素化スルホンポリマーを、90℃にて24時間、DMF中で、臭化アリルを用いてさらに処理した。グアニジンで官能化された炭化水素ポリマーを、沸騰温度にて4時間、1M NaOHを用いてさらに処理し、その後水を用いて洗浄した。
【0055】
表1は、実施例1ないし11並びに比較例1及び2の、1M NaOH中での加水分解安定性を示している。
【表1】

【0056】
本発明の詳細な記載で引用される全ての文献は、関連部分において参照により明細書に組み込まれており;いかなる文献の引用も、本発明に関連した従来技術であるという自白と解釈されるべきでない。本願明細書中の用語のいずれかの意味又は定義が、参照により本願明細書に組み込まれている文献中の同様の用語のいずれかの意味又は定義と不一致である場合においては、その意味又は定義は、本願明細書中の用語が優先されるべきである。
本発明の特定の態様が示されそして記載されているが、本発明の精神及び目的から逸脱することなく、種々の他の変化及び改変が為され得ることは、当業者に明らかである。それ故、本発明の目的内であるすべてのそのような変化及び改変が特許請求の範囲に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造:
【化1】

〔式中、
i)Arは、
【化2】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、F又は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す)を表し;
ii)X、Y、Zは、それぞれ独立して、直接結合、O、S、
【化3】

、SOを表し、
iii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化4】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサー表し;
iv)Gは、下記構造:
【化5】

(式中、R、R10、R11、R12、又はR13のうちの少なくとも1つが水素原子を表すとともに、水素原子でない基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、若しくは、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子から成る群より選択されるハライドを有する非環式ヘテロ原子基を表す)を有するグアニジン塩基を表す〕
を有するポリマー核を有する固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項2】
Arはパーフルオロ化フェニル部分を表す、請求項1に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項3】
X、Y及びZはSOを表す、請求項1に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項4】
、R、R及びRはHを表す、請求項1に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項5】
AはCO−Phを表す、請求項1に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項6】
、R10、R11、R12及びR13は水素原子を表す、請求項1に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項7】
下記構造:
【化6】

{式中、
i)R14、R15はCFを表すか;又は、R14がCFを表すとともにR15がCHを表すか;又は、R14がCHを表すとともにR15がCHFを表し;及び
ii)R16はCH又はCFを表し;
iii)R17はCH又はCFを表し;
iv)Aは、構造O、S、SO、−NH−、N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化7】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
v)Gは、下記構造:
【化8】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有するポリマー核を有する固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項8】
14、R15及びR16がCFを表すとともにR17がCFを表す、請求項7に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項9】
、R、R及びRはHを表す、請求項7に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項10】
、R10、R11、R12又はR13はCHを表す、請求項7に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項11】
a)下記構造:
【化9】

{式中、
i)n及びmは1ないし50であり、及びpは1ないし10であり;
ii)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化10】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
iii)Gは、下記構造:
【化11】

〔式中、R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有するグアニジン塩基を表す}
を有するポリマー核を有する、固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項12】
AはCO−Phを表す、請求項11に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項13】
、R、R及びRはHを表す、請求項11に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項14】
、R10、R11、R12、及びR13はCHを表す、請求項11に記載の固形アニオン交換ポリマー電解質。
【請求項15】
ポリマー核、スペーサーA、及びグアニジン塩基から成る化学化合物を含有する組成物であって、
前記化学化合物は、適する溶媒中に均質分散され、且つ、下記構造:
【化12】

〔式中、
i)Aは、構造O、S、SO、−NH−、−N(CH(式中、nは1ないし10である)、−(CHCH−(式中、nは1ないし10である)、SO−Ph、CO−Ph、
【化13】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、−H、−NH、F、Cl、Br、CN、又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、又はそれらのいずれの組み合わせをも表す)を有するスペーサーを表し;
ii)R、R10、R11、R12、又はR13は、それぞれ独立して、−H、−CH、−NH、−NO、−CHCH(式中、nは1ないし6である)、HC=O−、CHC=O−、NHC=O−、−CHCOOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−C(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−CH−(COOH)−CH−COOH、−CH−CH(O−CHCH、−(C=S)−NH、−(C=NH)−N−(CHCH(式中、nは0ないし6である)、−NH−(C=S)−SH、−CH−(C=O)−O−C(CH、−O−(CH−CH−(NH)−COOH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH=CH(式中、nは1ないし6である)、−(CH−CH−CN(式中、nは1ないし6である)、芳香族基、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、メチルベンジル基、窒素原子で置換されたベンジル基若しくはフェニル基、ハライド、若しくはハライドで置換されたメチル基を表す〕を有し;及び
iii)前記組成物は、膜電極一体構造用に適する、
組成物。
【請求項16】
AはCO−Phを表す、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
、R10、R11、R12、又はR13がCHを表す、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
Gは
【化14】

を表す、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
Gは、
【化15】

を表す、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
溶媒は非プロトン性溶媒である、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
溶媒はアルコールである、請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
アルコールは、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第二ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、1,2,4−ブタントリオール、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
組成物は、触媒をさらに含有する、請求項15に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−504681(P2013−504681A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529734(P2012−529734)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/002486
【国際公開番号】WO2011/031325
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(507128229)ロス アラモス ナショナル セキュリティ,リミテッド ライアビリテイ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】