アニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システム
【課題】基板及び基板表面に形成された薄膜のうち、薄膜をより高温に加熱することができるアニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システムを提供する。
【解決手段】基板K及び基板K表面に形成された薄膜Hに電磁波を照射して加熱し、薄膜Hをアニールするアニール装置1において、所与の薄膜Hの膜厚及び抵抗率に基づいて、基板K及び薄膜Hに照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、算出手段が算出した周波数の電磁波を基板K及び薄膜Hに照射する電磁波供給手段とを備える。
【解決手段】基板K及び基板K表面に形成された薄膜Hに電磁波を照射して加熱し、薄膜Hをアニールするアニール装置1において、所与の薄膜Hの膜厚及び抵抗率に基づいて、基板K及び薄膜Hに照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、算出手段が算出した周波数の電磁波を基板K及び薄膜Hに照射する電磁波供給手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面の薄膜をアニールするアニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に薄膜を形成した後、電気伝導度等の膜特性向上のために、薄膜はアニールされる。例えば、特許文献1には、メンテナンス性を低下させずに効率的に発光素子を冷却することができるアニール装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−295953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板材料によっては、基板のガラス転移点が薄膜のアニール温度よりも低い場合があり、かかる場合基板に変形が生じ、薄膜が基板から剥離してしまうことがある。そのため、基板材料は薄膜のアニール温度よりも高いガラス転移点を有するものに限定される。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、基板及び基板表面に形成された薄膜のうち、薄膜をより高温に加熱することができるアニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係るアニール装置は、基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール装置において、所与の前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、該算出手段が算出した周波数の電磁波を前記基板及び薄膜に照射する電磁波供給手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願に係るアニール装置は、前記算出手段は、前記薄膜に対する電磁波の浸透深さが該薄膜の膜厚に対応するように、電磁波の周波数を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本願に係るアニール装置は、前記電磁波供給手段は、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本願に係るアニール装置は、前記基板を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本願に係るアニール方法は、基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール方法において、前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出し、算出した周波数の電磁波を用いて、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱することを特徴とする。
【0011】
本願に係るアニール方法は、前記基板は有機材料からなることを特徴とする。
【0012】
本願に係るアニール方法は、前記基板を冷却することを特徴とする。
【0013】
本願に係る薄膜基板製造システムは、巻き出しロールに巻かれた可撓性を有する基板を巻き出し、巻き取りロールに巻き取る移送の過程で、該基板表面に薄膜を形成する成膜装置を設けた薄膜基板製造システムにおいて、前記成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする前述のアニール装置と、該アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する物性測定装置とを含むことを特徴とする。
【0014】
本願に係る薄膜基板製造システムは、前記物性測定装置から信号を受信し、前記成膜装置の動作を制御する制御装置を含み、前記成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、前記巻き出しロール及び巻き取りロールの間の移送路に沿って配置され、前記物性測定装置は、所定の信号を前記制御装置に送信する送信手段を有し、前記制御装置は、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記成膜装置の動作を停止する手段を有することを特徴とする。
【0015】
本願に係る薄膜基板製造システムは、前記制御装置は、前記アニール装置のアニール条件を設定するようにしてあり、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記アニール装置のアニール条件を変更する手段を有することを特徴とする。
【0016】
本願に係る薄膜基板製造システムは、任意の移送速度で、前記基板を巻き出しロールから巻き出して移送し、該基板表面に薄膜が形成された薄膜基板を巻き取りロールに巻き取る基板移送手段を含み、前記制御装置は、前記基板移送手段の移送速度を制御するようにしてあり、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記基板移送手段の移送速度を変更する手段を有することを特徴とする。
【0017】
本願に係るアニール装置にあっては、算出手段は与えられた薄膜の膜厚及び薄膜の抵抗率に基づいて、基板及び基板表面に形成された薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する。電磁波供給手段は、算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射する。
【0018】
本願に係るアニール装置にあっては、算出手段は基板表面に形成された薄膜に対する電磁波の浸透深さが薄膜の膜厚に対応するように、薄膜の膜厚及び薄膜の抵抗率に基づいて、電磁波の周波数を算出する。
【0019】
本願に係るアニール装置にあっては、電磁波供給手段は、算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射し、基板よりも薄膜をより高温に加熱する。
【0020】
本願に係るアニール装置にあっては、冷却手段は基板を冷却する。
【0021】
本願に係るアニール方法にあっては、基板表面に形成された薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する。算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射して、基板よりも薄膜をより高温に加熱する。
【0022】
本願に係るアニール方法にあっては、電磁波が照射される基板は有機材料からなる。
【0023】
本願に係るアニール方法にあっては、基板を冷却しながら、基板及び薄膜に電磁波を照射する。
【0024】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、成膜装置、アニール装置及び物性測定装置を含む。成膜装置は可撓性を有する基板表面に薄膜を形成する。アニール装置は、成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする前述のアニール装置である。物性測定装置は、アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する。
【0025】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、物性測定装置から信号を受信し、成膜装置の動作を制御する制御装置を含む。成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、巻き出しロールと巻き取りロールとの間の移送路に沿って配置される。物性測定装置は、所定の信号を制御装置へ送信する。制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、成膜装置の動作を停止する。
【0026】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、制御装置は、アニール装置のアニール条件を設定する。制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、アニール装置のアニール条件を変更する。
【0027】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、基板を移送する基板移送手段を含む。基板移送手段の移送速度を制御する制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、基板移送手段の移送速度を変更する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基板及び基板表面に形成された薄膜のうち、薄膜をより高温に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1に係るアニール装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るコンピュータのブロック図である。
【図3】PEDOT:PSSの誘電損の周波数特性を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係るアニール装置のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係るアニール装置のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る薄膜基板製造システムのブロック図である。
【図7】実施の形態2に係るアニール装置のブロック図である。
【図8】実施の形態2に係るコンピュータのブロック図である。
【図9】実施の形態2に係るコンピュータの制御部が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態3に係るアニール装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0031】
実施の形態1
実施の形態1は、基板表面に形成された薄膜を電磁波の誘導加熱によりアニールするアニール装置に関する。試料に照射する電磁波の周波数として、基板表面の薄膜を選択的に加熱する周波数を算出する。そして、算出した周波数の電磁波を用いて、薄膜のアニールが行われる。
【0032】
図1は、実施の形態1に係るアニール装置1のブロック図である。実施の形態1に係るアニール装置1は、処理容器2、ガス導入機構3、排気機構4、載置台5、放射温度計6、熱電変換素子制御部7、電磁波供給部8及びコンピュータ9を含む。なお、アニール装置1は、コンピュータ9を外付けにすることにより、コンピュータ9を含まなくてもよい。
【0033】
処理容器2は、例えばアルミニウムにより直方体状に形成されており、接地されている。処理容器2の天井部は開口されており、この開口部にはシール部材21を介して、天板22が気密に設けられている。天板22の材料は、例えば石英、窒化アルミニウム等である。
なお、処理容器2の形状は、上部が開口された直方体状に限らず、円柱状又は箱状であってもよい。
【0034】
処理容器2の側壁には、開口23が設けられると共に、試料Sの基板K及び薄膜Hを処理容器2内部に搬入出する際に開口23を開閉するゲートバルブ24が設けられている。
処理容器2底部の周縁部には、排気機構4と接続される排気口25が設けられている。
【0035】
ガス導入機構3は、処理容器2の側壁を貫通する2本のガスノズル31A、31Bからなり、図示しないガス供給源から処理に必要なガスを処理容器2に供給する。ここでのガスは、例えばアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや窒素等である。
なお、ガスノズル31A、31Bの本数は、2本に限るものではなく、適宜増減してもよい。
【0036】
排気機構4は、排気が流通する排気通路41、排気圧力を制御する圧力制御弁42及び処理容器2内部の雰囲気を排出する排気ポンプ43を含む。排気ポンプ43は、排気通路41、圧力制御弁42を介して、処理容器2内部の雰囲気を、真空を含む減圧程度まで排気することができる。
【0037】
載置台5は、処理容器2の底部に形成された開口に、シール部材26を介在させて気密に取り付けられている。載置台5は接地されている。
載置台5は、載置台本体51、熱電変換素子52及び載置板53を含む。載置台本体51の上に熱電変換素子52が、熱電変換素子52の上に載置板53が配置される。載置板53の上には、アニール対象の薄膜Hが形成された基板Kが載置するように構成されている。
【0038】
放射温度計6は、放射温度計本体61と光ファイバ62とを含み、載置板53の温度を測定する。放射温度計6が測定した載置板53の温度は、コンピュータ9に送信される。載置板53の温度を受信したコンピュータ9は、載置板53及び薄膜Hの間の温度勾配を考慮して、載置板53の温度を薄膜Hの温度に変換する。
【0039】
載置台本体51には、上面から下面までを上下方向に貫通する貫通孔511が形成されており、貫通孔511には光ファイバ62が気密に挿通されている。光ファイバ62は、載置板53の下面直下から載置台本体51の下面を突き抜けて下方へ延び、処理容器2外部に設けられた放射温度計本体61と接続されている。光ファイバ62に載置板53からの輻射光を取り入れることにより、放射温度計6は、載置板53の温度を測定することができるように構成されている。
なお、処理容器2の側壁を貫通する貫通孔を設け、貫通孔に気密に挿通された直接薄膜Hからの輻射光を光ファイバに取り入れてもよい。これにより、薄膜Hの温度の直接測定が可能となる。
【0040】
熱電変換素子52は、基板Kを冷却する板状の冷却手段であり、例えばペルチェ素子が用いられる。ペルチェ素子は、ペルチェ効果を利用した板状の半導体素子であり、直流電流を流すことにより一面で発熱が起こり、他面で吸熱が起こる。ここでは、基板Kに近い熱電変換素子52の上側面で吸熱を起こし、基板Kを冷却する。他方、熱電変換素子52の下側面では発熱が起こる。
【0041】
熱電変換素子52は、処理容器2の外部に設けられた熱電変換素子制御部7とリード線71を介して電気的に接続されている。熱電変換素子制御部7は、アニール時に熱電変換素子52に供給する電流の方向と大きさとを制御する。熱電変換素子制御部7が熱電変換素子52に流す電流の方向を逆にすることにより、熱電変換素子52は基板Kを加熱する加熱手段にもなり得る。
【0042】
熱電変換素子52の下側面と対向する載置台本体51の上部には、冷媒流路512が載置台本体51上面と略平行な面に沿って形成されている。冷媒流路512は、冷媒導入管513と冷媒排出管514とを介して、冷媒を供給する冷媒循環器515に接続されている。冷媒循環器515が動作することにより、アニール時に冷媒が冷媒流路512を流通循環し、熱電変換素子52の下側面で発熱した熱を冷媒が奪うように構成されている。これにより、熱電変換素子52の冷却効率が向上する。
なお、熱電変換素子52を除き、基板Kを冷却する冷却手段は、冷媒循環器515による冷媒循環だけでもよい。また、基板Kを冷却する冷却手段は、放熱器でもよい。
なお、冷媒流路512に高温の温媒を流通循環させることも可能である。
【0043】
載置板53は、例えば酸化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ゲルマニウム、シリコン等の材料から製作される。
なお、載置台5に載置板53を設けず、熱電変換素子52の上に、直接基板Kが載置するように構成してもよい。
【0044】
電磁波供給部8は、処理容器2の天板22の上方に設けられている。
電磁波供給部8は、電磁波発生源81、導波管82及び入射アンテナ83を含む。導波管82の一端は電磁波発生源81と接続され、導波管82の他端は入射アンテナ83と接続されている。
【0045】
電磁波発生源81は、例えばジャイロトロン又はマグネトロンを用いることができる。ジャイロトロンは概ねミリ波からサブミリ波にかけての電磁波を発生する。マグネトロンは概ねセンチ波の電磁波を発生する。電磁波発生源81は、発生した電磁波を導波管82に出力する。
【0046】
導波管82は、電磁波発生源81で発生した電磁波を入射アンテナ83に伝搬させる金属製の管であり、円形又は矩形の断面形状を有す。
【0047】
入射アンテナ83は、天板22の上面に設けられた板であり、例えば表面が銀メッキされた銅板又はアルミニウム板である。入射アンテナ83には、図示しない複数の鏡面反射レンズや反射ミラーが設けられており、導波管82から導かれた電磁波を処理容器2の処理空間に向けて反射して導入できるように構成されている。
なお、入射アンテナ83は、処理容器2の側面に設けられていてもよい。
【0048】
コンピュータ9は、アニール装置1全体の動作を制御する。
図2は、実施の形態1に係るコンピュータ9のブロック図である。
コンピュータ9は、制御部91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、通信部94、操作部95、表示部96、外部インタフェース97及びタイマ98を含む。
【0049】
ROM92の内部には、各種プログラムが記憶されている。これらのプログラムの1つは、例えば制御部91に、薄膜Hに対して照射する電磁波の周波数として、最も適切な周波数を算出させる。
【0050】
制御部91は、ROM92からプログラムを読み込み、各種処理を実行する。例えば、制御部91は、ガス導入機構3が処理容器2に導入するガスの供給及びガスの流量を制御する。制御部91は、電磁波供給部8が発生する電磁波及び電磁波供給部8への供給電力を制御する。また、制御部91は、放射温度計6からの信号に基づき、アニール温度を制御する。
【0051】
RAM93は、作業用の変数、測定データ等を一時的に記録する。
通信部94は、アニール装置1の各構成部から送信される信号又はデータを受信する。また、通信部94は、制御部91の命令をアニール装置1の各構成部へ送信する。
【0052】
操作部95は、キーボード、マウス等の入力機器を含み、ユーザは操作部95及び通信部94を介してコンピュータ9を操作する。ユーザは操作部95を介してアニール装置1を操作することができる。表示部96は、通信部94及び操作部95を介して入力されたデータ、制御部91が実行した計算結果等を表示する。
【0053】
外部インタフェース97は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬型記録媒体1Aと情報のやり取りをするインタフェースである。また、外部インタフェース97はインターネット等の通信網Nに接続することができるインタフェースでもある。
タイマ98は、計時を信号として制御部91に送信する。
【0054】
実施の形態1に係るアニール装置1を動作させるための各種プログラムは、外部インタフェース97に可搬型記録媒体1Aを読み取らせて、RAM93に記録してもよい。また、当該各種プログラムは、外部インタフェース97及びインターネット等の通信網Nを介して接続される他のサーバコンピュータ(図示せず)からダウンロードすることも可能である。
【0055】
薄膜Hに対して照射する電磁波の周波数を算出するプログラムは、アニール対象の薄膜Hの厚さを浸透深さとして電磁波の周波数を算出するものである。浸透深さとは、電磁波が垂直に導電性の均質媒質に入射し、当該媒質内を指数関数的に減衰しながら伝搬する場合、電磁波強度が入射強度の1/e(約37%)に減衰するときの深度のことである。
浸透深さは式(1)で示される。
【0056】
【数1】
【0057】
ただし、δは浸透深さ、ρは抵抗率、μは比透磁率、fは電磁波の周波数である。
μは非磁性材の場合、μ=1となる。実施の形態1で扱う膜材料は非磁性材なので、μは1に固定される。
【0058】
実施の形態1で対象とする基板Kは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)等である。これらのプラスチック基板材料のガラス転移点は、夫々100、155、145℃である。ここでは、PET基板を用いる。
【0059】
実施の形態1で対象とする薄膜Hは、例えばPEDOT:PSSである。PEDOT:PSSのアニール温度は約200℃であり、PETのガラス転移点よりも高い。そのため、従来のランプ等によるアニール方法でPEDOT:PSSの薄膜Hをアニールした場合、PET基板に変形が生じる。
【0060】
しかしながら、センチ波、ミリ波、サブミリ波の電磁波に対するPET基板の浸透深さは、薄膜Hの浸透深さに比べて遙かに深い。そこで、PET基板をほとんど透過し、PEDOT:PSSの薄膜Hを膜厚の深さまでしか透過しない電磁波の周波数を算出する。具体的には、式(1)の浸透深さに膜厚を、抵抗率に薄膜Hの抵抗率を代入して周波数を算出する。得られた周波数の電磁波がミリ波又はサブミリ波である場合、電磁波発生源81にジャイロトンを搭載したアニール装置1を使用する。得られた周波数の電磁波がセンチ波である場合、電磁波発生源81にマグネトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
【0061】
なお、電磁波の周波数を算出するに際し、薄膜Hの膜厚と浸透深さとを等しいものと想定した。しかし例えば、薄膜Hの厚さを浸透深さの90%、110%等、適宜変更してもよく、薄膜Hの厚さと浸透深さとは等しい場合に限られない。
【0062】
次に、実施の形態1に係るアニール装置1の動作について、説明する。
表1は、2種類のPEDOT:PSS膜について、周波数を算出した一例である。
【0063】
【表1】
【0064】
Aは、膜厚として11247nm、抵抗率5.0×10-3Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。Bは、膜厚として1125nm、抵抗率5.0×10-3Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1013Hzである。
【0065】
コンピュータ9に、操作部95から薄膜Hの膜厚及び抵抗率を代入する。
表1のAの場合、制御部91は、測定に好ましい周波数として、100GHz(ギガヘルツ)を算出する。100GHzはミリ波の周波数に該当するため、ユーザは予め算出しておいた概算の周波数から、電磁波発生源81にジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
表1のBの場合、制御部91は、測定に好ましい周波数として、10THz(テラヘルツ)を算出する。10THzはサブミリ波の周波数に該当するため、ユーザは予め算出しておいた概算の周波数から、電磁波発生源81にジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
【0066】
図3は、PEDOT:PSSの誘電損の周波数特性を示す説明図である。縦軸は誘電損であり、横軸は周波数である。電磁波の吸収エネルギーは、比誘電率と誘電正接との積である誘電損に比例する。図3に示すようにPEDOT:PSSの場合、誘電損の極大値は100GHz前後にある。従って、表1のAの場合のように、PEDOT:PSS薄膜の厚さを11μmに設定した場合、算出される周波数は100GHzとなり、最も効率のよいアニール処理を施すことができる。一方で、PET基板は、100GHz前後の電磁波が照射されても、浸透深さが深いためにほとんど加熱されず、PET基板の温度はガラス転移点を超えない。
【0067】
以下、表1のAの場合について説明する。
ゲートバルブ24を開き、PEDOT:PSSの薄膜Hが形成されたPET基板を、図示しない搬送手段により載置板53上に載置する。ゲートバルブ24を閉じ、処理容器2を密閉する。操作部95からアニール対象の薄膜Hの厚さ及び抵抗率をコンピュータ9に入力する。制御部91は、薄膜Hの厚さ及び抵抗率に基づいて、電磁波の周波数を算出する。
【0068】
制御部91は、算出値に基づいて、電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数を100GHzに設定する。制御部91は、電磁波発生源81が発生する電磁波の強度を設定する。制御部91は、アニール時間及び処理圧力を設定する。制御部91は、排気機構4により処理容器2内部を排気すると共に、ガス導入機構3のガスノズル31A、31Bから不活性ガス等を処理容器2内部へ導入する。
【0069】
制御部91は、アニール処理を開始する。すなわち、制御部91は、電磁波発生源81に設定した周波数の電磁波を発生させる。制御部91は、冷媒循環器515を作動させ、載置台本体51を冷却すると共に、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52により基板Kを冷却する。制御部91は、放射温度計6を介してアニール温度の制御を開始する。アニール温度の制御は、電磁波の強度を調整することにより行われる。
【0070】
電磁波発生源81が発生した電磁波は、導波管82を介して入射アンテナ83に導かれる。入射アンテナ83に導かれた電磁波は、入射アンテナ83により反射されて処理容器2内に供給される。処理容器2内に供給された電磁波は、薄膜H及び基板Kに照射される。
【0071】
制御部91は、アニール時間が終了したと判断した場合、電磁波発生源81の駆動を停止する。制御部91は、アニール温度の制御を停止する。制御部91は、薄膜Hの冷却を待って、ガス導入機構3による不活性ガス等の導入を停止する。制御部91は、排気機構4による排気を停止する。制御部91は、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52への電流供給を停止する。制御部91は、冷媒循環器515を停止する。すなわち、制御部91は、基板Kの冷却を停止する。
【0072】
ゲートバルブ24を開き、図示しない搬送手段により載置板53上の試料を処理容器2外部へ取り出す。ゲートバルブ24を閉じ、処理容器2を密閉する。
【0073】
図4及び図5は、実施の形態1に係るアニール装置1のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
制御部91は、薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率を受け付ける(ステップS101)。制御部91は、受け付けた薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出する(ステップS102)。制御部91は、算出した周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する(ステップS103)。制御部91は、電磁波発生源81が発生する電磁波の強度を設定する(ステップS104)。制御部91は、アニール時間を設定する(ステップS105)。制御部91は、処理圧力を設定する(ステップS106)。
【0074】
制御部91は、処理容器2内部を排気する(ステップS107)。制御部91は、ガスノズル31A、31Bから不活性ガス等を処理容器2内部へ導入する(ステップS108)。制御部91は、電磁波発生源81に電磁波を発生させる(ステップS109)。制御部91は、冷媒循環器515を作動させ、載置台本体51を冷却すると共に、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52により基板Kの冷却を開始する(ステップS110)。制御部91は、アニール温度の制御を開始する(ステップS111)。
【0075】
制御部91は、アニール時間が経過したか否かタイマ98に基づいて判断する(ステップS112)。制御部91は、アニール時間が経過していないと判断した場合(ステップS112:NO)、制御をステップS112へ戻す。制御部91は、アニール時間が経過したと判断した場合(ステップS112:YES)、電磁波発生源81による電磁波の発生を停止する(ステップS113)。制御部91は、アニール温度の制御を停止する(ステップS114)。制御部91は、ガス導入機構3による不活性ガス等の導入を停止する(ステップS115)。制御部91は、排気機構4による排気を停止する(ステップS116)。制御部91は、基板Kの冷却を停止し(ステップS117)、処理を終了する。
【0076】
なお、ステップS101では、制御部91は、薄膜Hの抵抗率を受け付ける。しかし、各種材料の抵抗率を予めROM92に記録しておき、制御部91はROM92から薄膜Hの抵抗率を読み込んでもよい。かかる場合、制御部91は、ステップS101で薄膜Hの材料を受け付け、受け付けた薄膜Hの材料に基づいてROM92から薄膜Hの抵抗率を読み込む。
【0077】
なお、ステップS102では、制御部91は、受け付けた薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出する。しかし、ユーザが薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出し、制御部91はユーザから周波数の入力を受け付ける形態でもよい。かかる場合、ステップS101及びステップS102における制御部91の処理は、周波数を受け付ける処理になる。ステップS103では、制御部91は、受け付けた周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する。
【0078】
表2は、無機導電性材料及び半導体材料について、浸透深さを試算した一例である。
【0079】
【表2】
【0080】
Cの銀は、膜厚として1948nm、抵抗率1.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Dの銀は、膜厚として195nm、抵抗率1.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Eの銅は、膜厚として2012nm、抵抗率1.6×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Fの銅は、膜厚として201nm、抵抗率1.6×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Gのアルミニウムは、膜厚として2515nm、抵抗率2.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Hのアルミニウムは、膜厚として252nm、抵抗率2.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Jのシリコンは、膜厚として5030nm、抵抗率1.0×10-1Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1013Hzである。
【0081】
表2のC、E、Gの場合、電磁波発生源81にセンチ波の電磁波を照射するマグネトロンを搭載したアニール装置1を使用する。表2のD、F、H、Jの場合、電磁波発生源81にミリ波及びサブミリ波の電磁波を照射するジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
また、夫々の薄膜Hの膜厚及び抵抗率に応じて、表2に示した周波数の電磁波を選択してアニール処理を施す。このように、膜材料の違いに応じた電磁波の周波数を選択することで、基板Kの温度をガラス転移点以上の温度にすることなく、薄膜Hを選択的に加熱することができる。
【0082】
実施の形態1に係るアニール装置1によれば、基板K及び薄膜Hのうち、薄膜Hをより高温で選択的に加熱することができる。
薄膜Hの厚さが電磁波の浸透深さに該当する周波数のセンチ波、ミリ波又はサブミリ波(周波数は3GHz〜50THzに該当)を基板K及び薄膜Hに照射することにより、基板Kをほとんど加熱することなく、薄膜Hを選択的に加熱することができる。
廉価な多くの有機材料基板は、有機導電性膜材料のアニール温度よりも低いガラス転移点を有す。そのため、実施の形態1に係るアニール装置1によれば、有機材料基板の変形を起こさずに有機導電性膜材料の薄膜Hのアニール処理が可能となり、有機デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0083】
実施の形態1に係るアニール装置1によれば、熱電変換素子52及び冷媒循環器515により基板Kの温度上昇を抑えることができる。
電磁波が基板Kにほとんど吸収されない場合であっても、アニール時間が長引くほど、薄膜Hから基板Kへ熱が流れ、基板Kの温度は上昇する。しかし、熱電変換素子52及び冷媒循環器515により基板Kを冷却することにより、熱平衡の過渡状態を長引かせることができる。電気伝導度等の膜特性はアニール温度が高く、アニール時間が長いほど向上するので、基板Kの冷却は膜特性向上に寄与する。
【0084】
実施の形態2
実施の形態2は、可撓性を有す基板Kの上に薄膜Hを形成するロールツーロール製造ラインに、成膜装置、アニール装置及び物性測定装置を組み込んだ薄膜基板製造システムに関する。
【0085】
実施の形態2で対象とする基板Kは、例えばフィルム状のPET基板、PEN基板等である。
実施の形態2で対象とする薄膜Hは、例えばPEDOT:PSS、シリルエチン置換ペンタセン、ポリ(3−アルキルチオフェン)等の薄膜Hである。
【0086】
図6は、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100のブロック図である。
薄膜基板製造システム100は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10、物性測定装置13及びコンピュータ90を含む。
成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13は、この順に基板移送部11による移送ラインの上流から下流へ配置されている。
【0087】
基板移送部11は、巻き出しロール111、巻き取りロール112及び基板Kを移送する移送ロール113、114を含む。基板移送部11は、巻き出しロール111に巻かれた基板Kを、適切な張力及び速度で巻き出し、成膜装置12及びアニール装置10により形成された薄膜基板を巻き取りロール112に巻き取る。移送ロール113、114は、回転駆動により基板Kを上流から下流へ移送する。基板移送部11の動作は、連続的又は不連続的である。
なお、基板移送部11は、巻き出しロール111及び巻き取りロール112を含まなくてもよい。かかる場合、巻き出しロール111及び巻き取りロール112を回転する回転駆動部を別途用意する。
【0088】
図6には、移送ロール113、114が2本描かれているが、移送ロール113、114の数は一例であり、適宜増減することができる。なお、基板移送部11は、基板Kの移送能率を向上するために、基板Kを移送ロール113、114との間で夫々挟む複数の押さえロールを含んでもよい。
図6では、基板移送部11は基板Kの幅方向を水平方向に保持して、基板Kを水平方向に移送している。しかし、基板移送部11は基板Kの幅方向を鉛直方向に保持して、基板Kを鉛直方向に移送してもよい。
【0089】
成膜装置12は、例えば印刷により基板K表面に膜パターンを形成するパターン形成装置である。印刷によるパターン形成の対象は、ソース・ドレイン印刷、半導体印刷、ゲート印刷等を含む。なお、成膜装置12は、ガスから材料を基板K上に堆積させるCVD装置、PVD装置等であってもよい。
【0090】
アニール装置10は、ロールツーロール方式に対応している点が実施の形態1に係るアニール装置1と異なる。
図7は、実施の形態2に係るアニール装置10のブロック図である。ここでは、アニール装置10について、実施の形態1に係るアニール装置1と異なる部分について説明する。
【0091】
アニール装置10は、開口23及びゲートバルブ24を含まない。
処理容器2の側壁の対向位置には、アニール前の基板K及び薄膜Hを搬入する搬入口27と、アニール後の基板K及び薄膜Hを搬出する搬出口28とが開口されている。搬入口27及び搬出口28は、夫々基板Kの幅よりも長いスリット状をなし、略同じ高さに設けられている。
搬入口27及び搬出口28には、夫々シャッタ27A、28Aが設けられている。シャッタ27A、28Aは、基板移送部11が基板Kの移送を停止し、基板K及び薄膜Hに電磁波が照射される場合、処理容器2内部の電磁波及びガスが外部へ漏れないようにシールドする。シャッタ27A、28Aは、夫々軟らかい金属、例えばインジウム、銅等から形成されており、基板移送部11が基板Kの移送を停止した場合、基板Kを圧接する。
【0092】
物性測定装置13は、テラヘルツ分光装置、膜厚測定装置及び赤外分光装置を含む。テラヘルツ分光装置は、薄膜Hに対するテラヘルツ波の透過率又は反射率を測定する。膜厚測定装置は、薄膜Hの厚さを測定し、測定した薄膜Hの厚さをテラヘルツ分光装置に送信する。テラヘルツ分光装置は、膜厚測定装置から薄膜Hの厚さを受信する。赤外分光装置は、薄膜Hに対する赤外域の反射率を測定し、測定した赤外域の反射率をテラヘルツ分光装置に送信する。テラヘルツ分光装置は、赤外分光装置から薄膜Hに対する赤外域の反射率を受信する。
【0093】
テラヘルツ分光装置は、テラヘルツ波の透過率又は反射率、薄膜Hの厚さ、赤外域の反射率に基づいて、薄膜Hの複素屈折率、複素誘電率、複素電気伝導度、キャリア移動度等の物性値を算出する。物性測定装置13又はテラヘルツ分光装置は、算出された薄膜Hの物性値をコンピュータ90に送信する。
【0094】
図8は、実施の形態2に係るコンピュータ90のブロック図である。
コンピュータ90の構成は、実施の形態1に係るアニール装置1に含まれるコンピュータ9の構成と同様である。なお、コンピュータ90は、アニール装置10に含まれるコンピュータ9で代用してもよい。
コンピュータ90は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13と電気的に接続されており、これら装置を制御する。
【0095】
次に、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100の動作について説明する。
まず、薄膜基板製造システム100を動作させる準備として、予めアニール装置10の電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数をコンピュータ90に設定する。
【0096】
コンピュータ90に、操作部950から薄膜Hの抵抗率及び膜厚を入力する。コンピュータ90の制御部910は、取得した薄膜Hの抵抗率及び膜厚をアニール装置10のコンピュータ9に送信する。コンピュータ9は、薄膜Hの抵抗率及び膜厚を受信し、アニールに好適な電磁波の周波数を算出する。コンピュータ90は、算出した周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する。
【0097】
基板Kのロールを巻き出しロール111に取り付け、薄膜基板製造システム100の動作を開始させる。
【0098】
図9は、実施の形態2に係るコンピュータ90の制御部910が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
制御部910は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を開始する(ステップS201)。その具体的な内容は、以下の通りである。
制御部910は、基板移送部11を動作させ、基板Kをロールツーロール生産ラインに巻き出す。制御部910は、成膜装置12を動作させて、基板K表面にパターンを印刷させる。制御部910は、コンピュータ9を介して、アニール装置10に成膜装置12が形成した薄膜Hをアニールさせる。制御部910は、物性測定装置13にアニール装置10がアニールした薄膜Hの物性を測定させる。制御部910は、製造した薄膜基板を巻き取りロール112に巻き取らせる。
【0099】
物性測定装置13は、測定した物性値をコンピュータ90に送信する。
制御部910は、物性測定装置13から薄膜Hの物性値を取得する(ステップS202)。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内か否か判断する(ステップS203)。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内であると判断した場合(ステップS203:YES)、ステップS201に制御を戻す。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内にないと判断した場合(ステップS203:NO)、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を停止する(ステップS204)。
制御部910は、以上のステップをマルチタスクで連続的に実行する。
基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を停止した場合、ユーザは巻き取りロール112から製造規格外の薄膜基板を取り外す。
【0100】
制御部910は、ユーザからの指示待ち状態となる。ユーザは薄膜基板の製造を再開するか否かをコンピュータ90に指示する。制御部910は、ユーザからの指示を受け付け、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を再開するか否か判断する(ステップS205)。制御部910は、動作を再開する場合(ステップS205:YES)、成膜装置12に成膜条件を変更させるか、又はアニール装置10にアニール条件を変更させ(ステップS206)、ステップS201に処理を戻す。ここでの成膜条件の変更は、例えばレジスト条件、プリント速度等のパターン形成条件を変更することである。ここでのアニール条件の変更は、例えば電磁波の強度を所定値だけ大きい値に設定することである。あるいは、アニール条件の変更は、アニール時間を変更することである。制御部910は、動作を再開しない場合(ステップS205:NO)、処理を終了する。
【0101】
実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100によれば、ロールツーロール方式により薄膜基板を連続的に製造することができる。また、ロールツーロール製造ラインに物性測定装置13を組み込むことにより、製造中の薄膜基板の品質が製造規格から外れている場合、製造ラインを停止することができる。これにより、歩留りの向上を図ることができる。
【0102】
実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100によれば、製造中の薄膜基板の品質が製造規格から外れている場合、短時間で薄膜基板の製造条件を最適化した後、製造を再開することができる。薄膜基板の製造条件を最適化することは、例えば電磁波の強度を変更することである。実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100は、かかるフィードバック機能を有しているため、薄膜基板の生産効率を向上させることができる。
【0103】
本実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0104】
実施の形態3
実施の形態3は、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100のアニール装置10を、他のアニール装置に置き換えた形態に関する。
【0105】
図10は、実施の形態3に係るアニール装置20のブロック図である。
実施の形態3に係るアニール装置20は、実施の形態2に係るアニール装置10の載置台5を含まず、代わりに載置ロール50を含む。
また、実施の形態3に係るアニール装置20は、放射温度計6の光ファイバ62が基板Kからの輻射光を受ける点で、実施の形態2のアニール装置10と異なる。
【0106】
載置ロール50は、円柱状又は楕円柱状をなし、処理容器2の底部に形成された開口に、一部嵌入するように取り付けられている。載置ロール50は、図示しない様式で接地されている。載置ロール50は、軸の周りを回転するように構成されており、側面と接する基板Kを移送する機能と基板Kを冷却する機能とがある。
基板移送部11が基板Kの移送を停止し、基板K及び薄膜Hに電磁波が照射される場合、図示しないシャッタが載置ロール50と処理容器2底部との間の隙間を閉鎖するように構成されている。当該シャッタは、軟らかい金属、例えばインジウム、銅等から形成され、基板移送部11が基板Kの移送を停止した場合、載置ロール50の一部及び処理容器2底部の一部を圧接する。当該シャッタは、基板移送部11が基板Kの移送を再開した場合、載置ロール50と処理容器2底部との間の隙間を開放する。
【0107】
載置ロール50は、載置ロール本体510、熱電変換素子520及び載置ロール板530を含む。円柱状の載置ロール本体510の外側面に複数の熱電変換素子520が、熱電変換素子520の外側面に円筒状の載置ロール板530が、夫々取り巻くように配置されている。基板Kは、載置ロール板530の最上位の位置に載置する。
【0108】
熱電変換素子520の内側面と対向する載置台本体510の縁部には、冷媒流路512が載置台本体510外側面と略平行な円筒状の面に沿って形成されている。冷媒流路512は、冷媒導入管513と冷媒排出管514とを介して、冷媒を供給する冷媒循環器515に接続されている。冷媒循環器515が動作することにより、アニール時に冷媒が冷媒流路512を流通循環し、熱電変換素子520の内側面で発熱した熱を冷媒が奪うように構成されている。これにより、熱電変換素子520の冷却効率が向上する。
なお、冷媒流路512に温媒を流通循環させることも可能である。
【0109】
載置ロール板530は、例えば酸化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ゲルマニウム、シリコン等の材料から製作される。
なお、載置ロール50に載置ロール板530を設けず、熱電変換素子520の外側面上に、直接基板Kが載置するように構成してもよい。
【0110】
処理容器2の底部には、貫通孔29が形成されており、貫通孔29には光ファイバ62が気密に挿通されている。光ファイバ62は貫通孔29を介して底部を貫通し、その一端は放射温度計本体61と接続されている。光ファイバ62の他端は基板Kの直下まで上方へ延び、基板Kからの輻射光を取り入れる。
このように、アニール装置20の放射温度計6は、基板Kの温度を測定する。放射温度計6が測定した基板Kの温度は、アニール装置20のコンピュータ9に信号として送信される。コンピュータ9は、放射温度計6からの信号を受信し、基板Kの温度を薄膜Hの温度に換算する。
【0111】
実施の形態3に係るアニール装置20によれば、載置ロール50がロール状の形状をなし、回転して基板Kを移送するため、ロールツーロール方式に対応したスムーズな基板Kの移動が可能である。これにより、薄膜基板製造システム100は薄膜基板を効率的に連続生産することができる。載置ロール50は、基板Kを冷却する熱電変換素子520及び冷媒流路512を備えているため、基板Kを冷却することにより、薄膜Hの選択的加熱に寄与する。
【0112】
本実施の形態3は以上の如きであり、その他は実施の形態1又は実施の形態2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0113】
1 アニール装置
8 電磁波供給部
81 電磁波発生源
82 導波管
83 入射アンテナ
91 制御部
K 基板
H 薄膜
S 試料
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面の薄膜をアニールするアニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に薄膜を形成した後、電気伝導度等の膜特性向上のために、薄膜はアニールされる。例えば、特許文献1には、メンテナンス性を低下させずに効率的に発光素子を冷却することができるアニール装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−295953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板材料によっては、基板のガラス転移点が薄膜のアニール温度よりも低い場合があり、かかる場合基板に変形が生じ、薄膜が基板から剥離してしまうことがある。そのため、基板材料は薄膜のアニール温度よりも高いガラス転移点を有するものに限定される。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、基板及び基板表面に形成された薄膜のうち、薄膜をより高温に加熱することができるアニール装置、アニール方法及び薄膜基板製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係るアニール装置は、基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール装置において、所与の前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、該算出手段が算出した周波数の電磁波を前記基板及び薄膜に照射する電磁波供給手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願に係るアニール装置は、前記算出手段は、前記薄膜に対する電磁波の浸透深さが該薄膜の膜厚に対応するように、電磁波の周波数を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本願に係るアニール装置は、前記電磁波供給手段は、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本願に係るアニール装置は、前記基板を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本願に係るアニール方法は、基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール方法において、前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出し、算出した周波数の電磁波を用いて、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱することを特徴とする。
【0011】
本願に係るアニール方法は、前記基板は有機材料からなることを特徴とする。
【0012】
本願に係るアニール方法は、前記基板を冷却することを特徴とする。
【0013】
本願に係る薄膜基板製造システムは、巻き出しロールに巻かれた可撓性を有する基板を巻き出し、巻き取りロールに巻き取る移送の過程で、該基板表面に薄膜を形成する成膜装置を設けた薄膜基板製造システムにおいて、前記成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする前述のアニール装置と、該アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する物性測定装置とを含むことを特徴とする。
【0014】
本願に係る薄膜基板製造システムは、前記物性測定装置から信号を受信し、前記成膜装置の動作を制御する制御装置を含み、前記成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、前記巻き出しロール及び巻き取りロールの間の移送路に沿って配置され、前記物性測定装置は、所定の信号を前記制御装置に送信する送信手段を有し、前記制御装置は、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記成膜装置の動作を停止する手段を有することを特徴とする。
【0015】
本願に係る薄膜基板製造システムは、前記制御装置は、前記アニール装置のアニール条件を設定するようにしてあり、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記アニール装置のアニール条件を変更する手段を有することを特徴とする。
【0016】
本願に係る薄膜基板製造システムは、任意の移送速度で、前記基板を巻き出しロールから巻き出して移送し、該基板表面に薄膜が形成された薄膜基板を巻き取りロールに巻き取る基板移送手段を含み、前記制御装置は、前記基板移送手段の移送速度を制御するようにしてあり、前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記基板移送手段の移送速度を変更する手段を有することを特徴とする。
【0017】
本願に係るアニール装置にあっては、算出手段は与えられた薄膜の膜厚及び薄膜の抵抗率に基づいて、基板及び基板表面に形成された薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する。電磁波供給手段は、算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射する。
【0018】
本願に係るアニール装置にあっては、算出手段は基板表面に形成された薄膜に対する電磁波の浸透深さが薄膜の膜厚に対応するように、薄膜の膜厚及び薄膜の抵抗率に基づいて、電磁波の周波数を算出する。
【0019】
本願に係るアニール装置にあっては、電磁波供給手段は、算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射し、基板よりも薄膜をより高温に加熱する。
【0020】
本願に係るアニール装置にあっては、冷却手段は基板を冷却する。
【0021】
本願に係るアニール方法にあっては、基板表面に形成された薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する。算出した周波数の電磁波を基板及び薄膜に照射して、基板よりも薄膜をより高温に加熱する。
【0022】
本願に係るアニール方法にあっては、電磁波が照射される基板は有機材料からなる。
【0023】
本願に係るアニール方法にあっては、基板を冷却しながら、基板及び薄膜に電磁波を照射する。
【0024】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、成膜装置、アニール装置及び物性測定装置を含む。成膜装置は可撓性を有する基板表面に薄膜を形成する。アニール装置は、成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする前述のアニール装置である。物性測定装置は、アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する。
【0025】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、物性測定装置から信号を受信し、成膜装置の動作を制御する制御装置を含む。成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、巻き出しロールと巻き取りロールとの間の移送路に沿って配置される。物性測定装置は、所定の信号を制御装置へ送信する。制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、成膜装置の動作を停止する。
【0026】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、制御装置は、アニール装置のアニール条件を設定する。制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、アニール装置のアニール条件を変更する。
【0027】
本願に係る薄膜基板製造システムにあっては、基板を移送する基板移送手段を含む。基板移送手段の移送速度を制御する制御装置は、物性測定装置が送信した所定の信号を受信した場合、基板移送手段の移送速度を変更する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基板及び基板表面に形成された薄膜のうち、薄膜をより高温に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1に係るアニール装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るコンピュータのブロック図である。
【図3】PEDOT:PSSの誘電損の周波数特性を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係るアニール装置のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係るアニール装置のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る薄膜基板製造システムのブロック図である。
【図7】実施の形態2に係るアニール装置のブロック図である。
【図8】実施の形態2に係るコンピュータのブロック図である。
【図9】実施の形態2に係るコンピュータの制御部が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態3に係るアニール装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0031】
実施の形態1
実施の形態1は、基板表面に形成された薄膜を電磁波の誘導加熱によりアニールするアニール装置に関する。試料に照射する電磁波の周波数として、基板表面の薄膜を選択的に加熱する周波数を算出する。そして、算出した周波数の電磁波を用いて、薄膜のアニールが行われる。
【0032】
図1は、実施の形態1に係るアニール装置1のブロック図である。実施の形態1に係るアニール装置1は、処理容器2、ガス導入機構3、排気機構4、載置台5、放射温度計6、熱電変換素子制御部7、電磁波供給部8及びコンピュータ9を含む。なお、アニール装置1は、コンピュータ9を外付けにすることにより、コンピュータ9を含まなくてもよい。
【0033】
処理容器2は、例えばアルミニウムにより直方体状に形成されており、接地されている。処理容器2の天井部は開口されており、この開口部にはシール部材21を介して、天板22が気密に設けられている。天板22の材料は、例えば石英、窒化アルミニウム等である。
なお、処理容器2の形状は、上部が開口された直方体状に限らず、円柱状又は箱状であってもよい。
【0034】
処理容器2の側壁には、開口23が設けられると共に、試料Sの基板K及び薄膜Hを処理容器2内部に搬入出する際に開口23を開閉するゲートバルブ24が設けられている。
処理容器2底部の周縁部には、排気機構4と接続される排気口25が設けられている。
【0035】
ガス導入機構3は、処理容器2の側壁を貫通する2本のガスノズル31A、31Bからなり、図示しないガス供給源から処理に必要なガスを処理容器2に供給する。ここでのガスは、例えばアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや窒素等である。
なお、ガスノズル31A、31Bの本数は、2本に限るものではなく、適宜増減してもよい。
【0036】
排気機構4は、排気が流通する排気通路41、排気圧力を制御する圧力制御弁42及び処理容器2内部の雰囲気を排出する排気ポンプ43を含む。排気ポンプ43は、排気通路41、圧力制御弁42を介して、処理容器2内部の雰囲気を、真空を含む減圧程度まで排気することができる。
【0037】
載置台5は、処理容器2の底部に形成された開口に、シール部材26を介在させて気密に取り付けられている。載置台5は接地されている。
載置台5は、載置台本体51、熱電変換素子52及び載置板53を含む。載置台本体51の上に熱電変換素子52が、熱電変換素子52の上に載置板53が配置される。載置板53の上には、アニール対象の薄膜Hが形成された基板Kが載置するように構成されている。
【0038】
放射温度計6は、放射温度計本体61と光ファイバ62とを含み、載置板53の温度を測定する。放射温度計6が測定した載置板53の温度は、コンピュータ9に送信される。載置板53の温度を受信したコンピュータ9は、載置板53及び薄膜Hの間の温度勾配を考慮して、載置板53の温度を薄膜Hの温度に変換する。
【0039】
載置台本体51には、上面から下面までを上下方向に貫通する貫通孔511が形成されており、貫通孔511には光ファイバ62が気密に挿通されている。光ファイバ62は、載置板53の下面直下から載置台本体51の下面を突き抜けて下方へ延び、処理容器2外部に設けられた放射温度計本体61と接続されている。光ファイバ62に載置板53からの輻射光を取り入れることにより、放射温度計6は、載置板53の温度を測定することができるように構成されている。
なお、処理容器2の側壁を貫通する貫通孔を設け、貫通孔に気密に挿通された直接薄膜Hからの輻射光を光ファイバに取り入れてもよい。これにより、薄膜Hの温度の直接測定が可能となる。
【0040】
熱電変換素子52は、基板Kを冷却する板状の冷却手段であり、例えばペルチェ素子が用いられる。ペルチェ素子は、ペルチェ効果を利用した板状の半導体素子であり、直流電流を流すことにより一面で発熱が起こり、他面で吸熱が起こる。ここでは、基板Kに近い熱電変換素子52の上側面で吸熱を起こし、基板Kを冷却する。他方、熱電変換素子52の下側面では発熱が起こる。
【0041】
熱電変換素子52は、処理容器2の外部に設けられた熱電変換素子制御部7とリード線71を介して電気的に接続されている。熱電変換素子制御部7は、アニール時に熱電変換素子52に供給する電流の方向と大きさとを制御する。熱電変換素子制御部7が熱電変換素子52に流す電流の方向を逆にすることにより、熱電変換素子52は基板Kを加熱する加熱手段にもなり得る。
【0042】
熱電変換素子52の下側面と対向する載置台本体51の上部には、冷媒流路512が載置台本体51上面と略平行な面に沿って形成されている。冷媒流路512は、冷媒導入管513と冷媒排出管514とを介して、冷媒を供給する冷媒循環器515に接続されている。冷媒循環器515が動作することにより、アニール時に冷媒が冷媒流路512を流通循環し、熱電変換素子52の下側面で発熱した熱を冷媒が奪うように構成されている。これにより、熱電変換素子52の冷却効率が向上する。
なお、熱電変換素子52を除き、基板Kを冷却する冷却手段は、冷媒循環器515による冷媒循環だけでもよい。また、基板Kを冷却する冷却手段は、放熱器でもよい。
なお、冷媒流路512に高温の温媒を流通循環させることも可能である。
【0043】
載置板53は、例えば酸化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ゲルマニウム、シリコン等の材料から製作される。
なお、載置台5に載置板53を設けず、熱電変換素子52の上に、直接基板Kが載置するように構成してもよい。
【0044】
電磁波供給部8は、処理容器2の天板22の上方に設けられている。
電磁波供給部8は、電磁波発生源81、導波管82及び入射アンテナ83を含む。導波管82の一端は電磁波発生源81と接続され、導波管82の他端は入射アンテナ83と接続されている。
【0045】
電磁波発生源81は、例えばジャイロトロン又はマグネトロンを用いることができる。ジャイロトロンは概ねミリ波からサブミリ波にかけての電磁波を発生する。マグネトロンは概ねセンチ波の電磁波を発生する。電磁波発生源81は、発生した電磁波を導波管82に出力する。
【0046】
導波管82は、電磁波発生源81で発生した電磁波を入射アンテナ83に伝搬させる金属製の管であり、円形又は矩形の断面形状を有す。
【0047】
入射アンテナ83は、天板22の上面に設けられた板であり、例えば表面が銀メッキされた銅板又はアルミニウム板である。入射アンテナ83には、図示しない複数の鏡面反射レンズや反射ミラーが設けられており、導波管82から導かれた電磁波を処理容器2の処理空間に向けて反射して導入できるように構成されている。
なお、入射アンテナ83は、処理容器2の側面に設けられていてもよい。
【0048】
コンピュータ9は、アニール装置1全体の動作を制御する。
図2は、実施の形態1に係るコンピュータ9のブロック図である。
コンピュータ9は、制御部91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、通信部94、操作部95、表示部96、外部インタフェース97及びタイマ98を含む。
【0049】
ROM92の内部には、各種プログラムが記憶されている。これらのプログラムの1つは、例えば制御部91に、薄膜Hに対して照射する電磁波の周波数として、最も適切な周波数を算出させる。
【0050】
制御部91は、ROM92からプログラムを読み込み、各種処理を実行する。例えば、制御部91は、ガス導入機構3が処理容器2に導入するガスの供給及びガスの流量を制御する。制御部91は、電磁波供給部8が発生する電磁波及び電磁波供給部8への供給電力を制御する。また、制御部91は、放射温度計6からの信号に基づき、アニール温度を制御する。
【0051】
RAM93は、作業用の変数、測定データ等を一時的に記録する。
通信部94は、アニール装置1の各構成部から送信される信号又はデータを受信する。また、通信部94は、制御部91の命令をアニール装置1の各構成部へ送信する。
【0052】
操作部95は、キーボード、マウス等の入力機器を含み、ユーザは操作部95及び通信部94を介してコンピュータ9を操作する。ユーザは操作部95を介してアニール装置1を操作することができる。表示部96は、通信部94及び操作部95を介して入力されたデータ、制御部91が実行した計算結果等を表示する。
【0053】
外部インタフェース97は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬型記録媒体1Aと情報のやり取りをするインタフェースである。また、外部インタフェース97はインターネット等の通信網Nに接続することができるインタフェースでもある。
タイマ98は、計時を信号として制御部91に送信する。
【0054】
実施の形態1に係るアニール装置1を動作させるための各種プログラムは、外部インタフェース97に可搬型記録媒体1Aを読み取らせて、RAM93に記録してもよい。また、当該各種プログラムは、外部インタフェース97及びインターネット等の通信網Nを介して接続される他のサーバコンピュータ(図示せず)からダウンロードすることも可能である。
【0055】
薄膜Hに対して照射する電磁波の周波数を算出するプログラムは、アニール対象の薄膜Hの厚さを浸透深さとして電磁波の周波数を算出するものである。浸透深さとは、電磁波が垂直に導電性の均質媒質に入射し、当該媒質内を指数関数的に減衰しながら伝搬する場合、電磁波強度が入射強度の1/e(約37%)に減衰するときの深度のことである。
浸透深さは式(1)で示される。
【0056】
【数1】
【0057】
ただし、δは浸透深さ、ρは抵抗率、μは比透磁率、fは電磁波の周波数である。
μは非磁性材の場合、μ=1となる。実施の形態1で扱う膜材料は非磁性材なので、μは1に固定される。
【0058】
実施の形態1で対象とする基板Kは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)等である。これらのプラスチック基板材料のガラス転移点は、夫々100、155、145℃である。ここでは、PET基板を用いる。
【0059】
実施の形態1で対象とする薄膜Hは、例えばPEDOT:PSSである。PEDOT:PSSのアニール温度は約200℃であり、PETのガラス転移点よりも高い。そのため、従来のランプ等によるアニール方法でPEDOT:PSSの薄膜Hをアニールした場合、PET基板に変形が生じる。
【0060】
しかしながら、センチ波、ミリ波、サブミリ波の電磁波に対するPET基板の浸透深さは、薄膜Hの浸透深さに比べて遙かに深い。そこで、PET基板をほとんど透過し、PEDOT:PSSの薄膜Hを膜厚の深さまでしか透過しない電磁波の周波数を算出する。具体的には、式(1)の浸透深さに膜厚を、抵抗率に薄膜Hの抵抗率を代入して周波数を算出する。得られた周波数の電磁波がミリ波又はサブミリ波である場合、電磁波発生源81にジャイロトンを搭載したアニール装置1を使用する。得られた周波数の電磁波がセンチ波である場合、電磁波発生源81にマグネトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
【0061】
なお、電磁波の周波数を算出するに際し、薄膜Hの膜厚と浸透深さとを等しいものと想定した。しかし例えば、薄膜Hの厚さを浸透深さの90%、110%等、適宜変更してもよく、薄膜Hの厚さと浸透深さとは等しい場合に限られない。
【0062】
次に、実施の形態1に係るアニール装置1の動作について、説明する。
表1は、2種類のPEDOT:PSS膜について、周波数を算出した一例である。
【0063】
【表1】
【0064】
Aは、膜厚として11247nm、抵抗率5.0×10-3Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。Bは、膜厚として1125nm、抵抗率5.0×10-3Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1013Hzである。
【0065】
コンピュータ9に、操作部95から薄膜Hの膜厚及び抵抗率を代入する。
表1のAの場合、制御部91は、測定に好ましい周波数として、100GHz(ギガヘルツ)を算出する。100GHzはミリ波の周波数に該当するため、ユーザは予め算出しておいた概算の周波数から、電磁波発生源81にジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
表1のBの場合、制御部91は、測定に好ましい周波数として、10THz(テラヘルツ)を算出する。10THzはサブミリ波の周波数に該当するため、ユーザは予め算出しておいた概算の周波数から、電磁波発生源81にジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
【0066】
図3は、PEDOT:PSSの誘電損の周波数特性を示す説明図である。縦軸は誘電損であり、横軸は周波数である。電磁波の吸収エネルギーは、比誘電率と誘電正接との積である誘電損に比例する。図3に示すようにPEDOT:PSSの場合、誘電損の極大値は100GHz前後にある。従って、表1のAの場合のように、PEDOT:PSS薄膜の厚さを11μmに設定した場合、算出される周波数は100GHzとなり、最も効率のよいアニール処理を施すことができる。一方で、PET基板は、100GHz前後の電磁波が照射されても、浸透深さが深いためにほとんど加熱されず、PET基板の温度はガラス転移点を超えない。
【0067】
以下、表1のAの場合について説明する。
ゲートバルブ24を開き、PEDOT:PSSの薄膜Hが形成されたPET基板を、図示しない搬送手段により載置板53上に載置する。ゲートバルブ24を閉じ、処理容器2を密閉する。操作部95からアニール対象の薄膜Hの厚さ及び抵抗率をコンピュータ9に入力する。制御部91は、薄膜Hの厚さ及び抵抗率に基づいて、電磁波の周波数を算出する。
【0068】
制御部91は、算出値に基づいて、電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数を100GHzに設定する。制御部91は、電磁波発生源81が発生する電磁波の強度を設定する。制御部91は、アニール時間及び処理圧力を設定する。制御部91は、排気機構4により処理容器2内部を排気すると共に、ガス導入機構3のガスノズル31A、31Bから不活性ガス等を処理容器2内部へ導入する。
【0069】
制御部91は、アニール処理を開始する。すなわち、制御部91は、電磁波発生源81に設定した周波数の電磁波を発生させる。制御部91は、冷媒循環器515を作動させ、載置台本体51を冷却すると共に、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52により基板Kを冷却する。制御部91は、放射温度計6を介してアニール温度の制御を開始する。アニール温度の制御は、電磁波の強度を調整することにより行われる。
【0070】
電磁波発生源81が発生した電磁波は、導波管82を介して入射アンテナ83に導かれる。入射アンテナ83に導かれた電磁波は、入射アンテナ83により反射されて処理容器2内に供給される。処理容器2内に供給された電磁波は、薄膜H及び基板Kに照射される。
【0071】
制御部91は、アニール時間が終了したと判断した場合、電磁波発生源81の駆動を停止する。制御部91は、アニール温度の制御を停止する。制御部91は、薄膜Hの冷却を待って、ガス導入機構3による不活性ガス等の導入を停止する。制御部91は、排気機構4による排気を停止する。制御部91は、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52への電流供給を停止する。制御部91は、冷媒循環器515を停止する。すなわち、制御部91は、基板Kの冷却を停止する。
【0072】
ゲートバルブ24を開き、図示しない搬送手段により載置板53上の試料を処理容器2外部へ取り出す。ゲートバルブ24を閉じ、処理容器2を密閉する。
【0073】
図4及び図5は、実施の形態1に係るアニール装置1のアニール処理の手順を示すフローチャートである。
制御部91は、薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率を受け付ける(ステップS101)。制御部91は、受け付けた薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出する(ステップS102)。制御部91は、算出した周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する(ステップS103)。制御部91は、電磁波発生源81が発生する電磁波の強度を設定する(ステップS104)。制御部91は、アニール時間を設定する(ステップS105)。制御部91は、処理圧力を設定する(ステップS106)。
【0074】
制御部91は、処理容器2内部を排気する(ステップS107)。制御部91は、ガスノズル31A、31Bから不活性ガス等を処理容器2内部へ導入する(ステップS108)。制御部91は、電磁波発生源81に電磁波を発生させる(ステップS109)。制御部91は、冷媒循環器515を作動させ、載置台本体51を冷却すると共に、熱電変換素子制御部7を介して熱電変換素子52により基板Kの冷却を開始する(ステップS110)。制御部91は、アニール温度の制御を開始する(ステップS111)。
【0075】
制御部91は、アニール時間が経過したか否かタイマ98に基づいて判断する(ステップS112)。制御部91は、アニール時間が経過していないと判断した場合(ステップS112:NO)、制御をステップS112へ戻す。制御部91は、アニール時間が経過したと判断した場合(ステップS112:YES)、電磁波発生源81による電磁波の発生を停止する(ステップS113)。制御部91は、アニール温度の制御を停止する(ステップS114)。制御部91は、ガス導入機構3による不活性ガス等の導入を停止する(ステップS115)。制御部91は、排気機構4による排気を停止する(ステップS116)。制御部91は、基板Kの冷却を停止し(ステップS117)、処理を終了する。
【0076】
なお、ステップS101では、制御部91は、薄膜Hの抵抗率を受け付ける。しかし、各種材料の抵抗率を予めROM92に記録しておき、制御部91はROM92から薄膜Hの抵抗率を読み込んでもよい。かかる場合、制御部91は、ステップS101で薄膜Hの材料を受け付け、受け付けた薄膜Hの材料に基づいてROM92から薄膜Hの抵抗率を読み込む。
【0077】
なお、ステップS102では、制御部91は、受け付けた薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出する。しかし、ユーザが薄膜Hの膜厚及び薄膜Hの抵抗率に基づいて、式(1)より試料に照射する電磁波の周波数を算出し、制御部91はユーザから周波数の入力を受け付ける形態でもよい。かかる場合、ステップS101及びステップS102における制御部91の処理は、周波数を受け付ける処理になる。ステップS103では、制御部91は、受け付けた周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する。
【0078】
表2は、無機導電性材料及び半導体材料について、浸透深さを試算した一例である。
【0079】
【表2】
【0080】
Cの銀は、膜厚として1948nm、抵抗率1.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Dの銀は、膜厚として195nm、抵抗率1.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Eの銅は、膜厚として2012nm、抵抗率1.6×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Fの銅は、膜厚として201nm、抵抗率1.6×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Gのアルミニウムは、膜厚として2515nm、抵抗率2.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×10 9Hzである。Hのアルミニウムは、膜厚として252nm、抵抗率2.5×10-6Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1011Hzである。
Jのシリコンは、膜厚として5030nm、抵抗率1.0×10-1Ωcmを選択した場合の例であり、周波数は1.0×1013Hzである。
【0081】
表2のC、E、Gの場合、電磁波発生源81にセンチ波の電磁波を照射するマグネトロンを搭載したアニール装置1を使用する。表2のD、F、H、Jの場合、電磁波発生源81にミリ波及びサブミリ波の電磁波を照射するジャイロトロンを搭載したアニール装置1を使用する。
また、夫々の薄膜Hの膜厚及び抵抗率に応じて、表2に示した周波数の電磁波を選択してアニール処理を施す。このように、膜材料の違いに応じた電磁波の周波数を選択することで、基板Kの温度をガラス転移点以上の温度にすることなく、薄膜Hを選択的に加熱することができる。
【0082】
実施の形態1に係るアニール装置1によれば、基板K及び薄膜Hのうち、薄膜Hをより高温で選択的に加熱することができる。
薄膜Hの厚さが電磁波の浸透深さに該当する周波数のセンチ波、ミリ波又はサブミリ波(周波数は3GHz〜50THzに該当)を基板K及び薄膜Hに照射することにより、基板Kをほとんど加熱することなく、薄膜Hを選択的に加熱することができる。
廉価な多くの有機材料基板は、有機導電性膜材料のアニール温度よりも低いガラス転移点を有す。そのため、実施の形態1に係るアニール装置1によれば、有機材料基板の変形を起こさずに有機導電性膜材料の薄膜Hのアニール処理が可能となり、有機デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0083】
実施の形態1に係るアニール装置1によれば、熱電変換素子52及び冷媒循環器515により基板Kの温度上昇を抑えることができる。
電磁波が基板Kにほとんど吸収されない場合であっても、アニール時間が長引くほど、薄膜Hから基板Kへ熱が流れ、基板Kの温度は上昇する。しかし、熱電変換素子52及び冷媒循環器515により基板Kを冷却することにより、熱平衡の過渡状態を長引かせることができる。電気伝導度等の膜特性はアニール温度が高く、アニール時間が長いほど向上するので、基板Kの冷却は膜特性向上に寄与する。
【0084】
実施の形態2
実施の形態2は、可撓性を有す基板Kの上に薄膜Hを形成するロールツーロール製造ラインに、成膜装置、アニール装置及び物性測定装置を組み込んだ薄膜基板製造システムに関する。
【0085】
実施の形態2で対象とする基板Kは、例えばフィルム状のPET基板、PEN基板等である。
実施の形態2で対象とする薄膜Hは、例えばPEDOT:PSS、シリルエチン置換ペンタセン、ポリ(3−アルキルチオフェン)等の薄膜Hである。
【0086】
図6は、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100のブロック図である。
薄膜基板製造システム100は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10、物性測定装置13及びコンピュータ90を含む。
成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13は、この順に基板移送部11による移送ラインの上流から下流へ配置されている。
【0087】
基板移送部11は、巻き出しロール111、巻き取りロール112及び基板Kを移送する移送ロール113、114を含む。基板移送部11は、巻き出しロール111に巻かれた基板Kを、適切な張力及び速度で巻き出し、成膜装置12及びアニール装置10により形成された薄膜基板を巻き取りロール112に巻き取る。移送ロール113、114は、回転駆動により基板Kを上流から下流へ移送する。基板移送部11の動作は、連続的又は不連続的である。
なお、基板移送部11は、巻き出しロール111及び巻き取りロール112を含まなくてもよい。かかる場合、巻き出しロール111及び巻き取りロール112を回転する回転駆動部を別途用意する。
【0088】
図6には、移送ロール113、114が2本描かれているが、移送ロール113、114の数は一例であり、適宜増減することができる。なお、基板移送部11は、基板Kの移送能率を向上するために、基板Kを移送ロール113、114との間で夫々挟む複数の押さえロールを含んでもよい。
図6では、基板移送部11は基板Kの幅方向を水平方向に保持して、基板Kを水平方向に移送している。しかし、基板移送部11は基板Kの幅方向を鉛直方向に保持して、基板Kを鉛直方向に移送してもよい。
【0089】
成膜装置12は、例えば印刷により基板K表面に膜パターンを形成するパターン形成装置である。印刷によるパターン形成の対象は、ソース・ドレイン印刷、半導体印刷、ゲート印刷等を含む。なお、成膜装置12は、ガスから材料を基板K上に堆積させるCVD装置、PVD装置等であってもよい。
【0090】
アニール装置10は、ロールツーロール方式に対応している点が実施の形態1に係るアニール装置1と異なる。
図7は、実施の形態2に係るアニール装置10のブロック図である。ここでは、アニール装置10について、実施の形態1に係るアニール装置1と異なる部分について説明する。
【0091】
アニール装置10は、開口23及びゲートバルブ24を含まない。
処理容器2の側壁の対向位置には、アニール前の基板K及び薄膜Hを搬入する搬入口27と、アニール後の基板K及び薄膜Hを搬出する搬出口28とが開口されている。搬入口27及び搬出口28は、夫々基板Kの幅よりも長いスリット状をなし、略同じ高さに設けられている。
搬入口27及び搬出口28には、夫々シャッタ27A、28Aが設けられている。シャッタ27A、28Aは、基板移送部11が基板Kの移送を停止し、基板K及び薄膜Hに電磁波が照射される場合、処理容器2内部の電磁波及びガスが外部へ漏れないようにシールドする。シャッタ27A、28Aは、夫々軟らかい金属、例えばインジウム、銅等から形成されており、基板移送部11が基板Kの移送を停止した場合、基板Kを圧接する。
【0092】
物性測定装置13は、テラヘルツ分光装置、膜厚測定装置及び赤外分光装置を含む。テラヘルツ分光装置は、薄膜Hに対するテラヘルツ波の透過率又は反射率を測定する。膜厚測定装置は、薄膜Hの厚さを測定し、測定した薄膜Hの厚さをテラヘルツ分光装置に送信する。テラヘルツ分光装置は、膜厚測定装置から薄膜Hの厚さを受信する。赤外分光装置は、薄膜Hに対する赤外域の反射率を測定し、測定した赤外域の反射率をテラヘルツ分光装置に送信する。テラヘルツ分光装置は、赤外分光装置から薄膜Hに対する赤外域の反射率を受信する。
【0093】
テラヘルツ分光装置は、テラヘルツ波の透過率又は反射率、薄膜Hの厚さ、赤外域の反射率に基づいて、薄膜Hの複素屈折率、複素誘電率、複素電気伝導度、キャリア移動度等の物性値を算出する。物性測定装置13又はテラヘルツ分光装置は、算出された薄膜Hの物性値をコンピュータ90に送信する。
【0094】
図8は、実施の形態2に係るコンピュータ90のブロック図である。
コンピュータ90の構成は、実施の形態1に係るアニール装置1に含まれるコンピュータ9の構成と同様である。なお、コンピュータ90は、アニール装置10に含まれるコンピュータ9で代用してもよい。
コンピュータ90は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13と電気的に接続されており、これら装置を制御する。
【0095】
次に、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100の動作について説明する。
まず、薄膜基板製造システム100を動作させる準備として、予めアニール装置10の電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数をコンピュータ90に設定する。
【0096】
コンピュータ90に、操作部950から薄膜Hの抵抗率及び膜厚を入力する。コンピュータ90の制御部910は、取得した薄膜Hの抵抗率及び膜厚をアニール装置10のコンピュータ9に送信する。コンピュータ9は、薄膜Hの抵抗率及び膜厚を受信し、アニールに好適な電磁波の周波数を算出する。コンピュータ90は、算出した周波数を電磁波発生源81が発生する電磁波の周波数に設定する。
【0097】
基板Kのロールを巻き出しロール111に取り付け、薄膜基板製造システム100の動作を開始させる。
【0098】
図9は、実施の形態2に係るコンピュータ90の制御部910が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
制御部910は、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を開始する(ステップS201)。その具体的な内容は、以下の通りである。
制御部910は、基板移送部11を動作させ、基板Kをロールツーロール生産ラインに巻き出す。制御部910は、成膜装置12を動作させて、基板K表面にパターンを印刷させる。制御部910は、コンピュータ9を介して、アニール装置10に成膜装置12が形成した薄膜Hをアニールさせる。制御部910は、物性測定装置13にアニール装置10がアニールした薄膜Hの物性を測定させる。制御部910は、製造した薄膜基板を巻き取りロール112に巻き取らせる。
【0099】
物性測定装置13は、測定した物性値をコンピュータ90に送信する。
制御部910は、物性測定装置13から薄膜Hの物性値を取得する(ステップS202)。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内か否か判断する(ステップS203)。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内であると判断した場合(ステップS203:YES)、ステップS201に制御を戻す。制御部910は、薄膜Hの物性値が製造規格の範囲内にないと判断した場合(ステップS203:NO)、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を停止する(ステップS204)。
制御部910は、以上のステップをマルチタスクで連続的に実行する。
基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を停止した場合、ユーザは巻き取りロール112から製造規格外の薄膜基板を取り外す。
【0100】
制御部910は、ユーザからの指示待ち状態となる。ユーザは薄膜基板の製造を再開するか否かをコンピュータ90に指示する。制御部910は、ユーザからの指示を受け付け、基板移送部11、成膜装置12、アニール装置10及び物性測定装置13の動作を再開するか否か判断する(ステップS205)。制御部910は、動作を再開する場合(ステップS205:YES)、成膜装置12に成膜条件を変更させるか、又はアニール装置10にアニール条件を変更させ(ステップS206)、ステップS201に処理を戻す。ここでの成膜条件の変更は、例えばレジスト条件、プリント速度等のパターン形成条件を変更することである。ここでのアニール条件の変更は、例えば電磁波の強度を所定値だけ大きい値に設定することである。あるいは、アニール条件の変更は、アニール時間を変更することである。制御部910は、動作を再開しない場合(ステップS205:NO)、処理を終了する。
【0101】
実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100によれば、ロールツーロール方式により薄膜基板を連続的に製造することができる。また、ロールツーロール製造ラインに物性測定装置13を組み込むことにより、製造中の薄膜基板の品質が製造規格から外れている場合、製造ラインを停止することができる。これにより、歩留りの向上を図ることができる。
【0102】
実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100によれば、製造中の薄膜基板の品質が製造規格から外れている場合、短時間で薄膜基板の製造条件を最適化した後、製造を再開することができる。薄膜基板の製造条件を最適化することは、例えば電磁波の強度を変更することである。実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100は、かかるフィードバック機能を有しているため、薄膜基板の生産効率を向上させることができる。
【0103】
本実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0104】
実施の形態3
実施の形態3は、実施の形態2に係る薄膜基板製造システム100のアニール装置10を、他のアニール装置に置き換えた形態に関する。
【0105】
図10は、実施の形態3に係るアニール装置20のブロック図である。
実施の形態3に係るアニール装置20は、実施の形態2に係るアニール装置10の載置台5を含まず、代わりに載置ロール50を含む。
また、実施の形態3に係るアニール装置20は、放射温度計6の光ファイバ62が基板Kからの輻射光を受ける点で、実施の形態2のアニール装置10と異なる。
【0106】
載置ロール50は、円柱状又は楕円柱状をなし、処理容器2の底部に形成された開口に、一部嵌入するように取り付けられている。載置ロール50は、図示しない様式で接地されている。載置ロール50は、軸の周りを回転するように構成されており、側面と接する基板Kを移送する機能と基板Kを冷却する機能とがある。
基板移送部11が基板Kの移送を停止し、基板K及び薄膜Hに電磁波が照射される場合、図示しないシャッタが載置ロール50と処理容器2底部との間の隙間を閉鎖するように構成されている。当該シャッタは、軟らかい金属、例えばインジウム、銅等から形成され、基板移送部11が基板Kの移送を停止した場合、載置ロール50の一部及び処理容器2底部の一部を圧接する。当該シャッタは、基板移送部11が基板Kの移送を再開した場合、載置ロール50と処理容器2底部との間の隙間を開放する。
【0107】
載置ロール50は、載置ロール本体510、熱電変換素子520及び載置ロール板530を含む。円柱状の載置ロール本体510の外側面に複数の熱電変換素子520が、熱電変換素子520の外側面に円筒状の載置ロール板530が、夫々取り巻くように配置されている。基板Kは、載置ロール板530の最上位の位置に載置する。
【0108】
熱電変換素子520の内側面と対向する載置台本体510の縁部には、冷媒流路512が載置台本体510外側面と略平行な円筒状の面に沿って形成されている。冷媒流路512は、冷媒導入管513と冷媒排出管514とを介して、冷媒を供給する冷媒循環器515に接続されている。冷媒循環器515が動作することにより、アニール時に冷媒が冷媒流路512を流通循環し、熱電変換素子520の内側面で発熱した熱を冷媒が奪うように構成されている。これにより、熱電変換素子520の冷却効率が向上する。
なお、冷媒流路512に温媒を流通循環させることも可能である。
【0109】
載置ロール板530は、例えば酸化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ゲルマニウム、シリコン等の材料から製作される。
なお、載置ロール50に載置ロール板530を設けず、熱電変換素子520の外側面上に、直接基板Kが載置するように構成してもよい。
【0110】
処理容器2の底部には、貫通孔29が形成されており、貫通孔29には光ファイバ62が気密に挿通されている。光ファイバ62は貫通孔29を介して底部を貫通し、その一端は放射温度計本体61と接続されている。光ファイバ62の他端は基板Kの直下まで上方へ延び、基板Kからの輻射光を取り入れる。
このように、アニール装置20の放射温度計6は、基板Kの温度を測定する。放射温度計6が測定した基板Kの温度は、アニール装置20のコンピュータ9に信号として送信される。コンピュータ9は、放射温度計6からの信号を受信し、基板Kの温度を薄膜Hの温度に換算する。
【0111】
実施の形態3に係るアニール装置20によれば、載置ロール50がロール状の形状をなし、回転して基板Kを移送するため、ロールツーロール方式に対応したスムーズな基板Kの移動が可能である。これにより、薄膜基板製造システム100は薄膜基板を効率的に連続生産することができる。載置ロール50は、基板Kを冷却する熱電変換素子520及び冷媒流路512を備えているため、基板Kを冷却することにより、薄膜Hの選択的加熱に寄与する。
【0112】
本実施の形態3は以上の如きであり、その他は実施の形態1又は実施の形態2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0113】
1 アニール装置
8 電磁波供給部
81 電磁波発生源
82 導波管
83 入射アンテナ
91 制御部
K 基板
H 薄膜
S 試料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール装置において、
所与の前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した周波数の電磁波を前記基板及び薄膜に照射する電磁波供給手段と
を備える
ことを特徴とするアニール装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
前記薄膜に対する電磁波の浸透深さが該薄膜の膜厚に対応するように、電磁波の周波数を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載のアニール装置。
【請求項3】
前記電磁波供給手段は、
前記基板よりも薄膜をより高温に加熱するようにしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアニール装置。
【請求項4】
前記基板を冷却する冷却手段
を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のアニール装置。
【請求項5】
基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール方法において、
前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出し、
算出した周波数の電磁波を用いて、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱する
ことを特徴とするアニール方法。
【請求項6】
前記基板は有機材料からなる
ことを特徴とする請求項5に記載のアニール方法。
【請求項7】
前記基板を冷却する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアニール方法。
【請求項8】
巻き出しロールに巻かれた可撓性を有する基板を巻き出し、巻き取りロールに巻き取る移送の過程で、該基板表面に薄膜を形成する成膜装置を設けた薄膜基板製造システムにおいて、
前記成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアニール装置と、
該アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する物性測定装置と
を含むことを特徴とする薄膜基板製造システム。
【請求項9】
前記物性測定装置から信号を受信し、前記成膜装置の動作を制御する制御装置
を含み、
前記成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、前記巻き出しロール及び巻き取りロールの間の移送路に沿って配置され、
前記物性測定装置は、
所定の信号を前記制御装置に送信する送信手段
を有し、
前記制御装置は、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記成膜装置の動作を停止する手段
を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の薄膜基板製造システム。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記アニール装置のアニール条件を設定するようにしてあり、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記アニール装置のアニール条件を変更する手段
を有する
ことを特徴とする請求項9に記載の薄膜基板製造システム。
【請求項11】
任意の移送速度で、前記基板を巻き出しロールから巻き出して移送し、該基板表面に薄膜が形成された薄膜基板を巻き取りロールに巻き取る基板移送手段
を含み、
前記制御装置は、
前記基板移送手段の移送速度を制御するようにしてあり、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記基板移送手段の移送速度を変更する手段
を有する
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の薄膜基板製造システム。
【請求項1】
基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール装置において、
所与の前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した周波数の電磁波を前記基板及び薄膜に照射する電磁波供給手段と
を備える
ことを特徴とするアニール装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
前記薄膜に対する電磁波の浸透深さが該薄膜の膜厚に対応するように、電磁波の周波数を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載のアニール装置。
【請求項3】
前記電磁波供給手段は、
前記基板よりも薄膜をより高温に加熱するようにしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアニール装置。
【請求項4】
前記基板を冷却する冷却手段
を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のアニール装置。
【請求項5】
基板及び該基板表面に形成された薄膜に電磁波を照射して加熱し、該薄膜をアニールするアニール方法において、
前記薄膜の膜厚及び抵抗率に基づいて、前記基板及び薄膜に照射する電磁波の周波数を算出し、
算出した周波数の電磁波を用いて、前記基板よりも薄膜をより高温に加熱する
ことを特徴とするアニール方法。
【請求項6】
前記基板は有機材料からなる
ことを特徴とする請求項5に記載のアニール方法。
【請求項7】
前記基板を冷却する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアニール方法。
【請求項8】
巻き出しロールに巻かれた可撓性を有する基板を巻き出し、巻き取りロールに巻き取る移送の過程で、該基板表面に薄膜を形成する成膜装置を設けた薄膜基板製造システムにおいて、
前記成膜装置が形成した薄膜を任意のアニール条件でアニールする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアニール装置と、
該アニール装置がアニールした薄膜の物性を測定する物性測定装置と
を含むことを特徴とする薄膜基板製造システム。
【請求項9】
前記物性測定装置から信号を受信し、前記成膜装置の動作を制御する制御装置
を含み、
前記成膜装置、アニール装置及び物性測定装置は、前記巻き出しロール及び巻き取りロールの間の移送路に沿って配置され、
前記物性測定装置は、
所定の信号を前記制御装置に送信する送信手段
を有し、
前記制御装置は、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記成膜装置の動作を停止する手段
を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の薄膜基板製造システム。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記アニール装置のアニール条件を設定するようにしてあり、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記アニール装置のアニール条件を変更する手段
を有する
ことを特徴とする請求項9に記載の薄膜基板製造システム。
【請求項11】
任意の移送速度で、前記基板を巻き出しロールから巻き出して移送し、該基板表面に薄膜が形成された薄膜基板を巻き取りロールに巻き取る基板移送手段
を含み、
前記制御装置は、
前記基板移送手段の移送速度を制御するようにしてあり、
前記物性測定装置の送信手段が送信した前記所定の信号を受信した場合、前記基板移送手段の移送速度を変更する手段
を有する
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の薄膜基板製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−181689(P2011−181689A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44547(P2010−44547)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
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