説明

アミトラズ組成物

本発明は、ヒドロキシル基非含有溶媒混合物を含む安定した組成物を提供し、この溶媒混合物は、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを、必要に応じてジメチルスルホキシド、オイカリプトールおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルと共に含み;ならびに各々有効量のアミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物(例えば、R−28153)を含む。上記組成物は、寄生虫駆除剤の混合物の高濃度を可能の単回適用とし、恒温動物における寄生虫の感染および寄生を処置および制御するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミトラズ組成物に関し、より詳細には、ヒドロキシル基非含有の溶媒混合物中のアミトラズ組成物、それらを使用するための方法、およびそれらを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
アミトラズは、他の化学分類のマダニ駆除剤(ixodicide)に耐性であるマダニ(tick)の系統に対して有効な、有益な獣医学産物である。アミトラズはまた、毛およびウールに対し、全ての段階の寄生性マダニを制御するのに十分な、持続性を有している。アミトラズの特有の駆除作用により、宿主動物からマダニの口器を即座に引っ込めさせ、宿主動物から剥がし落とす。効果的な外部寄生虫制御および内部寄生虫制御と組み合わせた効果的なマダニ制御が、健康な農業用動物(agronomic animal)および家畜(domestic animal)の飼育、繁殖、収容において非常に望ましい。あいにくアミトラズは、反応性のヒドロキシル基(例えば、アルコール、グリコール、水など)を有する溶媒の存在下では化学的に不安定である。この性質は、ヒドロキシル基含有溶媒中のアミトラズの不安定性とヒドロキシル基非含有溶媒中の多くの寄生虫駆除剤の不溶性との組み合せに起因して、アミトラズを含む獣医学的組成物、そして特にアミトラズおよび少なくとも1つの更なる寄生虫駆除剤を含む獣医学的組成物の開発を制限してきた。
【0003】
動物に使用するためのアミトラズ含有組成物の調合に対するさらなる問題は、動物に適用する際のこの調合物の美容的な受容可能性および非刺激性である。当然ながら、受容可能な調合物は、十分に適用が容易で、その動物の外見を損なうことなく妥当な時間内で乾燥し、動物の被毛に優しく、動物の皮膚に対して非刺激性であり、かつ動物の通常の活動(例えば、太陽および水への曝露)を通してこの動物に対する有効性を維持しなければならない。動物が塗布部をなめることを避けるように適用され得るために、受容可能な調合物はまた、十分に少ない容量で動物に適用され得なければならない。頻繁な再適用の必要性を避けるために、この組成物が、少なくとも十分な活性の持続期間を有する活性成分を調合物中に提供することが最も望ましい。
【0004】
したがって、アミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物を含む局所用殺寄生虫性獣医学的組成物であって、安定しており、各々の活性成分の十分に高い濃度を可能とする組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0005】
同様に、適用と適用との間に少なくとも1ヶ月の間隔を与える組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
本発明の別の目的は、動物(特に恒温動物)における外部寄生虫の感染または寄生の予防、処置、および制御のための方法を提供することである。
【0007】
本発明の更なる特徴は、提供される組成物が、広い範囲の寄生虫に対し、長期にわたる改善された効力を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的および特徴は、本明細書中以下に提示される詳細な説明からより明白となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを含むヒドロキシル基非含有溶媒混合物中に、有効量の各アミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物を含む組成物を提供する。好ましい組成物において、ヒドロキシル基非含有溶媒混合物は、更に:ジメチルスルホキシド;オイカリプトール;および酢酸1−エトキシ−2−プロピルを含む。
【0010】
また、寄生虫の感染および寄生の処置および制御のための方法、ならびに局所用の獣医学的殺寄生虫性組成物の調製のためのプロセスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
多くの局所用獣医学的組成物は、宿主動物への有効かつ持続性の保護、ならびに流出(run−off)または動物がなめることによるこの組成物の損失を避けるために十分に少ない容量での投与を確実にするために、比較的高濃度の活性成分を必要とする。そのような組成物の動物の首元への典型的な「スポットオン(spot−on)」塗布は、動物が塗布された組成物を除去するのを困難にするために役立つが、比較的少い容量が適用される必要がある。しばしば、活性なヒドロキシル基(例えば、水、アルコール、グリコールなど)を含む極性の高い溶媒が、動物の皮膚、皮および/または毛との適合性、ならびに比較的高濃度の活性物を溶解させる能力に起因して、そのような組成物を調製するために利用される。活性成分の1つとしてアミトラズを含む局所用の獣医学的組成物は、他の殺寄生性活性物に耐性であるマダニを含む多種多様なマダニに対する有効かつ持続的なアミトラズの活性ゆえに、非常に望ましい。これまで、アミトラズおよび更なる殺寄生虫性化合物を含む獣医学的組成物は、ヒドロキシル基含有溶媒の存在下におけるアミトラズの不安定性により制限されていた。
【0012】
驚くことに、ここで、アミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物は、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンのヒドロキシル基非含有溶媒の組み合せをキャリアとして、必要に応じて、ジメチルスルホキシド、オイカリプトールおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルとさらに組み合わせて使用することにより、安定した局所用の非刺激性組成物中に調合され得ることが見出されている。したがって、本発明は、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを、必要に応じてジメチルスルホキシド、オイカリプトールおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルと共に含むヒドロキシル基非含有溶媒混合物;ならびに各々有効量のアミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物を含む局所用獣医学的殺寄生虫性組成物を提供する。
【0013】
本発明の組成物に適した溶媒混合物は、約2%〜30%w/v、好ましくは、約5%〜25%w/vのN,N−ジエチル−m−トルアミド;約2%〜30%w/v、好ましくは約5%〜25%のジメチルスルホキシド;約2%〜30%w/v、好ましくは約5%〜25%w/vのオイカリプトール;約2%〜40%w/v、好ましくは約10%〜30%w/vのγ−ヘキサラクトン、および約2%〜40%w/v、好ましくは約15%〜35%w/vの酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含むヒドロキシル基非含有溶媒混合物を含む。
【0014】
アミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物の有効量は、組成物全体の30%w/vまでの高さにもなり得る。例えばアミトラズは、約10%〜30%w/vで、好ましくは13%〜20%w/vで存在し得、更なる殺寄生虫性化合物は、約10%〜30%w/vで、好ましくは13〜20%で存在し得る。更なる殺寄生虫性化合物の有効量は、化合物の効力、適用の方法、宿主動物、標的寄生虫、寄生の程度などに従って変動し得る。10%未満の有効量の更なる殺寄生虫性化合物が、本発明の組成物に適し得ることが理解される。例えばこの組成物が、ポアオン(pour−on)、スプレーまたは大型動物(例えば、ブタ、ヒツジ、ウマまたはウシ)における使用に適した任意の局所投与の形態で投与される場合、約3%〜9%w/v、好ましくは5%〜7%w/vの量のアミトラズが適切であり得、約3%〜9%w/v、好ましくは5%〜7%w/vの量の更なる殺寄生虫性化合物が適切であり得る。
【0015】
ヒドロキシル基非含有溶媒の例としては:N,N−ジエチル−m−トルアミド、γ−ヘキサラクトン、ジメチルスルホキシド、オイカリプトール、D−リモネンもしくは類似のテルペン、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、二酢酸プロピレングリコール、酢酸エチレングリコールブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸ベンジル、ジメチルホルムアミド、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、2,6−ジメチル−4−へプタノン、ジプロイピレングリコールジメチルエーテル、酢酸ヘプチル、酢酸2−ブトキシエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリルピロリドン、メチルブタノン、メチルペンタノン、エチレングリコールのアルキルエーテル、γ−ブチロラクトン、安息香酸ベンジルなどが挙げられ、好ましくは、N,N−ジエチル−m−トルアミド、γ−ヘキサラクトン、ジメチルスルホキシド、オイカリプトール、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、またはそれらの混合物である。
【0016】
本発明の組成物における使用に適した代表的な殺寄生虫性化合物は:キチン合成インヒビター(ベンゾイルフェニル尿素(例えば、ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、テフルベンズロン、ノバルロン(novaluron)、フルアズロン(fluazuron)など)を含む);幼若ホルモン模倣物(例えば、メトプレン、ヒドロプレン(hydroprene)、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブなど);ピレスロイド殺虫剤(例えば、ペルメトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリンなど);フェニルピラゾール殺虫剤(例えば、フィプロニル(fipronil));有機リン酸系殺虫剤(例えば、クロロフェンビンホス、ジアジノン、マラチオン、テルブホスなど);オキシムカルバメート殺虫剤;アベルメクチン(avermectin)(例えば、アバメクチン、ドラメクチン(doramectin)、イベルメクチン、セラメクチン(selamectin)またはエプリノメクチン(eprinomectin));イミダクロプリド;ミルベマイシン(milbemycin)(例えば、モキシデクチンまたはミルベマイシンオキシム);セミカルバゾン(例えば、エンドクスカルブ(endoxcarb)またはR−28153、好ましくはR−28153(メタフルミゾン(metaflumizone)とも呼ばれる))などである。R−28153は、その殺寄生虫活性の相補的様式ならびにヒドロキシル基非含有溶媒との化学的適合性、およびヒドロキシル基非含有溶媒中の溶解性に起因して、アミトラズとの使用に特に好ましい。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、用語R−28153は、化合物2−[2−(4−シアノフェニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−ヒドラジンカルボキサミドを表す。R−28153およびその調製のための方法は、米国特許第5,543,573号に記載されている。R−28153の動物保健用途は、米国特許公開番号US2004−0116419号A1に記載されている。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「w/w」は、重量/重量を表し、用語「w/v」は、重量/容量を表し、そして用語「mg/kg」は、体重1キログラム当たりのミリグラムを表す。
【0019】
好都合に、本発明の安定した局所用殺寄生虫性獣医学的組成物は、活性成分の高濃度を可能とし、宿主動物の皮膚/皮/毛への刺激を示さない。したがって、本発明は、動物(特に恒温動物)における外部寄生虫の感染または寄生の処置および制御のための方法を提供し、この方法は、典型的に、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを;必要に応じてジメチルスルホキシド;オイカリプトール;および酢酸1−メトキシ−2−プロピルと共に含むヒドロキシル基非含有溶媒混合物;ならびに各々の有効量のアミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物を含む組成物を、その動物に局所的に投与する工程を包含する。
【0020】
本発明の方法における使用に適した局所投与の例としては、スポットオン(spot−on)、ポアオン(pour−on)、浸漬(dip)、洗浄液、シャンプー、泡状体、ゲル、ローション、または液状の獣医学的組成物を局所的に塗布する任意の従来的な手段が挙げられる。この局所様式または投与は、宿主動物の種および大きさにより変化する。一例として、イヌまたはネコなどのペット動物(companion animal)に対しては、スポットオン、シャンプーまたは洗浄液が適し得、最も好ましくは、スポットオンが適し得る。ウシ、ウマまたはヒツジなどの大型農業用動物に対しては、ポアオンまたはスプレーが適し得、最も好ましくは、ポアオンが適し得る。
【0021】
本発明の組成物および方法を使用した処置に適した高温動物としては:ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、ミンク、チンチラ、アライグマ、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、イヌ、ネコなどが挙げられ、好ましくは、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマまたはヒツジである。
【0022】
本発明の方法による処置に適した外部寄生虫の感染または寄生としては、ノミ、マダニ(tick)、シラミ、ダニ(mite)またはハエが挙げられ、好ましくは、ノミまたはマダニである。
【0023】
実際の実施においては、本発明の組成物を、宿主動物の体重1kg当たりの活性成分mgの用量率(dose rate)で投与し得る。本発明の方法における使用に適した用量率は、投与の様式、宿主動物の種および健康状態、標的寄生虫、感染または寄生の程度、繁殖習性、更なる殺寄生虫性化合物の有効性などに応じて変動する。一般に、少なくとも20mg/kgのアミトラズの用量が適しており、更なる殺寄生虫性化合物がR−28153である場合、少なくとも1.0mg/kgのR−28153が適し、好ましくは、20〜45mg/kgのアミトラズおよび20〜45mg/kgのR−28153が適する。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、約0.1〜100mg/kg、好ましくは、約1.0〜50mg/kgの用量率のアミトラズが適し得、約0.1〜100mg/kg、好ましくは、約1.0〜50mg/kgの用量率の更なる殺寄生虫性化合物(例えば、R−2813)が適し得る。そのような用量は、ブタ、ウシ、ウマまたはヒツジなどの大型動物に特に適用可能であり得る。
【0025】
本発明はまた、局所用の獣医学的殺寄生虫性組成物の調製のためのプロセスを提供し、このプロセスは、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを、必要に応じてジメチルスルホキシド、オイカリプトールおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルと混合して、ヒドロキシル基非含有溶媒混合物を形成する工程;ならびにこの溶媒混合物を、アミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生性化合物で処理して均質な溶液を形成し、必要に応じてこの溶液を固形脱水剤に通す工程を包含する。
【0026】
本発明のプロセスにおける使用に適した殺寄生虫性化合物は、キチン合成インヒビター(ベンゾイルフェニル尿素(例えば、ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、テフルベンズロン、ノバルロン、フルアズロンなど)を含む);幼若ホルモン模倣物(例えば、メトプレン、ヒドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカーブなど);ピレスロイド殺虫剤(例えば、ペルメトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリンなど);フェニルピラゾール殺虫剤(例えば、フィプロニル);有機リン酸系殺虫剤(例えば、クロロフェンビンホス、ジアジノン、マラチオン、テルブホスなど);オキシムカルバメート殺虫剤;アベルメクチン(例えば、アバメクチン、ドラメクチン、イベルメクチン、セラメクチンまたはエプリノメクチン);イミダクロプリド;ミベルマイシン(例えば、モキシデクチンまたはミルベマイシンオキシム);セミカルバゾン(例えば、エンドクスカーブまたはR−28153)などであり得、好ましくは、R−28153である。
【0027】
本発明のプロセスにおける使用に適した固形脱水剤としては、溶液から微量の水を吸収し、除去するのに有用な任意の従来的な固形試薬、例えば、シリカゲル、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、木炭、分子篩などが挙げられ、好ましくは、分子篩であり、より好ましくは、4Å分子篩である。
【0028】
本発明のより明確な理解のために、本明細書中以下に、以下の実施例を提示する。これらの実施例は、単に例示に過ぎず、決して本発明の範囲または根底にある原則を制限するものとは理解されない。実際、本発明の種々の改変が、本明細書中に示され記載される改変に加え、以下に提示される実施例および上記の説明から当業者に明らかとなる。そのような改変もまた、別添の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【実施例1】
【0029】
(殺外部寄生虫性組成物の調製)
【0030】
【化1】

(調製の方法)
以下の溶媒を、攪拌しながら25℃にてジャケット付き容器へと連続的に導入する:N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルスルホキシド、オイカリプトール、酢酸1−メトキシ−2−プロピルおよびγ−ヘキサラクトン。この溶媒混合物を、R−28153およびアミトラズでゆっくりと処理し;溶解が完了するまで攪拌を続ける。得られた溶液を、活性化4/分子篩の層(bed)に通す。
【実施例2】
【0031】
(殺外部寄生虫性組成物の調製)
上記の実施例1に記載される手順と本質的に同じ手順を使用して、以下に示す組成物を調製する。
【0032】
【化2】

【実施例3】
【0033】
(殺外部寄生虫性組成物の調製)
上記の実施例1に記載される手順と本質的に同じ手順を使用して、以下に示す組成物を調製する。
【0034】
【化3】

【実施例4】
【0035】
(テスト組成物Bの効力評価)
この評価において、16匹のイヌそれぞれに、100匹の絶食させた成ノミ(Ctenocephalides felis)および50匹の成クリイロコイタママダニ(Rhipicephalus sanguineus)を寄生させる。各イヌを調査して、ノミについては寄生後24時間、そしてマダニについては寄生後48時間に行った検査およびコーミング(combing)により、ノミおよびマダニを保持する能力について評価する。これらのイヌをノミの数によってブロック化し(blocked)、2つの処置群のうちの1つに無作為に割り当てる。処置の2日前に、各イヌに、50匹の成クリイロコイタママダニおよび50匹の成アメリカイヌカクママダニ(Dermacentor variablis)を寄生させる。処置の1日前に、各イヌに、100匹のノミを寄生させる。テスト化合物Bを、20mg/kgの用量率のアミトラズおよび20mg/kgのR−28153を、一方のグループのイヌの肩甲骨と肩甲骨との間の皮膚上の1点に塗布する。他方のグループは、処置しない。処置後1日目に、イヌ上の生きているノミおよびマダニを計数してノックダウン効力について調査する。処置後2日目に、これらのイヌを調査してコーミングし、生きているノミおよびマダニを計数し、除去する。続いてこれらのイヌに、ノミおよび両種のマダニを再寄生させ、1週間間隔で調査し、コーミング計数(comb count)する。テスト組成物の効力を、非処置のイヌと比較して決定し、非処置の対照動物に対する昆虫数の相乗平均の百分率として記録する。得られたデータを以下の表1で示す。ここでDATは、処置後の日数を表す。
【0036】
【化4】

上記のデータから分かるように、本発明の組成物は安定しており、長期にわたり効力を有する。
【実施例5】
【0037】
(テスト組成物EおよびFの効力の評価)
この評価において、ブタを、対照群と処置群とに分ける。これらの対照(非処置)群および処置群を、別個に収容する。各処置群を、1.0mg/kg、15mg/kg、30mg/kgおよび50mg/kgの用量(すなわち、各テスト化合物について4種の用量率から成る合計8種の処置群)を得るのに十分なテスト組成物で処置する。各処置群に対し、テスト化合物を、ブタの背にかける(poured on)。ハエの計数を、0日目、処置後7日目およびその後1週間ごとに、全ての群に対して実施する。テスト組成物の効力を、非処置のブタと比較して決定し、非処置の対照動物に対するハエの数の相乗平均の百分率として記録する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺寄生虫性組成物であって、ヒドロキシル基非含有溶媒混合物中にアミトラズおよび少なくとも1つの更なる殺寄生虫性化合物を含み、該ヒドロキシル基非含有溶媒混合物は、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトン、ならびに必要に応じてジメチルスルホキシド、オイカリプトールおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルのうちの1つ以上を含む、殺寄生虫性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、前記溶媒混合物が、約2%〜30%w/vのN,N−ジエチル−m−トルアミド;2%〜30%w/vのジメチルスルホキシド;2%〜30%w/vのオイカリプトール;2%〜40%w/vのγ−ヘキサラクトン、および2%〜40%w/vの酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、前記溶媒混合物が、約5%〜25%w/vのN,N−ジエチル−m−トルアミド;5%〜25%w/vのジメチルスルホキシド;5%〜25%w/vのオイカリプトール;10%〜30%w/vのγ−ヘキサラクトン;および15%〜35%w/vの酢酸1−メトキシ−2−プロピルを含む、組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物であって、前記更なる殺寄生虫性化合物が、R−28153である、組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物であって、前記更なる殺寄生虫性化合物が、ベンゾイルフェニル尿素;幼若ホルモン模倣物;ピレスロイド;有機リン酸類;セミカルバゾン、フィプロニル;イミダクロプリド;イベルメクチン;またはモキシデクチンである、組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、約10%〜30%w/vのアミトラズ、および約10%〜30%w/vのR−28153を含む、組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、約3%〜9%w/vのアミトラズ、および約3%〜9%w/vのR−28153を含む、組成物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、約13%〜20%w/vのアミトラズ、および約13%〜20%w/vのR−28153を含む、組成物。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、有効量が、約5%〜7%w/vのアミトラズ、および約5%〜7%w/vのR−28153である、組成物。
【請求項10】
恒温動物における外部寄生虫の感染または寄生の処置および制御のための方法であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を、該動物に局所的に投与する工程を包含する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記組成物が、スポットオン、ポアオン、浸漬、洗浄液、シャンプー、スプレー、泡状体、ゲルまたはローションとして投与される、方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の方法であって、前記動物が、イヌ;ネコ;ブタ;ウシ;ウマ;およびヒツジからなる群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法であって、前記外部寄生虫の感染または寄生が、ノミ、マダニ、シラミ、ダニまたはハエにより引き起こされる、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物の調製のためのプロセスであって:N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびγ−ヘキサラクトンを、必要に応じてオイカリプトール、ジメチルスルホキシドおよび酢酸1−メトキシ−2−プロピルのうちの1つ以上と混合して溶媒混合物を形成する工程;ならびに該溶媒混合物をアミトラズおよび更なる殺寄生虫性化合物で処理して均質な溶液を形成し、必要に応じて該溶液を固形脱水剤に通す工程を包含する、プロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスであって、前記更なる殺寄生虫性化化合物が、R−28153である、プロセス。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載のプロセスであって、前記固形脱水剤が、4Å分子篩である、プロセス。

【公表番号】特表2008−515912(P2008−515912A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535835(P2007−535835)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/036121
【国際公開番号】WO2006/042099
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(502161704)ワイス (51)
【Fターム(参考)】