説明

アミド化合物

【課題】 新規なアミド化合物を提供する。
【解決手段】 本発明は、下記一般式(I)で表されるアミド化合物である。
【化1】



(式中、Rは、水素、スルホニル基を示し、Rは、置換基を有していてもよいビシクロアルキル基、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。RとRは、結合して環を形成していてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアミド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性物質および機能性物質は、不斉炭素原子を持ったキラル分子であるものが多い。また、光学活性なアミド化合物は、各種医薬化合物の中間体として有用な物質である。したがって、新規な不斉炭素原子を持ったキラル分子を合成することは、極めて重要であり、種々の新規な不斉炭素原子を持ったキラル分子を合成することが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光学活性なN−アセチルオキサゾリジノンとベンズアルデヒドとの反応により光学活性な2−ハロゲノ−3−ヒドロキシル−3−フェニル−プロパン酸アミドを合成する方法が記載されている。
【特許文献1】特開平10−7668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、不斉化学合成では、高温で反応させなければならないなどの問題がある。
【0005】
すなわち、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、新規なアミド化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0007】
本発明は、下記一般式(I)で表されるアミド化合物である。
【化1】


(式中、Rは、水素、スルホニル基を示し、Rは、置換基を有していてもよいビシクロアルキル基、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。RとRは、結合して環を形成していてもよい。)
【0008】
前記アミド化合物は、下記一般式(II)で表されるアミド化合物であってもよい。
【化2】


(式中、Rは、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。)
【0009】
【発明の効果】
【0010】
本発明は、生理活性物質または機能性物質としての可能性を有する新規なアミド化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のアミド化合物は、下記式(I)で表される化合物である。
【化3】

【0013】
[R
は、水素、スルホニル基を示す。
【0014】
[R
は、置換基を有していてもよいビシクロアルキル基、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示す。
【0015】
ビシクロアルキル基は、具体的には炭素数4〜10のビシクロアルキル基をいい、例えば、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、ビシクロ[2.2.0]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[3.3.0]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などが挙げられる。これらのビシクロアルキル基は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基などの炭素数1〜10のアルキル基、アリール基などで置換されていてもよい。
【0016】
置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基は、2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基のヒドロキシル基と、エステル結合を形成するものでエステルが形成されているものであってもよい。ヒドロキシル基と、エステル結合を形成するものとは、カルボン酸RCOOH(Rは、アリール基、炭素数1〜10のアルキル基、置換ベンゼン誘導体、置換へテロ芳香族誘導体である)、酸塩化物RCOCl(Rは、アリール基、炭素数1〜10のアルキル基、置換ベンゼン誘導体、置換へテロ芳香族誘導体である)を示す。具体的には、2−ヒドロキシ安息香酸、2−アセト安息香酸、2−ジフェニルフォスフィノ安息香酸、ピコリン酸などがあげられる。
【0017】
また、RとRとは、結合して環を形成していてもよい。
【0018】
[R
は、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。具体的には、化学式(I)に示すように、アミド結合を形成できるカルボン酸RCOOH(Rは、アリール基、炭素数1〜10のアルキル基、置換ベンゼン誘導体、置換へテロ芳香族誘導体である)、酸塩化物RCOCl(Rは、アリール基、炭素数1〜10のアルキル基、置換ベンゼン誘導体、置換へテロ芳香族誘導体である)を示す。具体的には、2−ヒドロキシ安息香酸、2−アセト安息香酸、2−ジフェニルフォスフィノ安息香酸、ピコリン酸などがあげられる。
【0019】
[アミド化合物の製造]
本発明のアミド化合物は、例えば以下のようにして製造される。
【0020】
上記カルボン酸RCOOHまたは酸塩化物RCOClを、塩化メチレンなどの有機溶媒に溶解する。使用できる有機溶媒としては、塩化メチレンに限られず、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジクロロエタンなどの公知の有機溶媒が挙げられる。
【0021】
上記溶液を0℃に保ったものに、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」という)、求核触媒としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(以下、「DMAP」という)、光学活性アミン類(例えば、ノルエフェドリン、カンファースルタムなど)を加え、攪拌する。この混合液を室温でさらに2時間攪拌する。
【0022】
ノルエフェドリンを出発物質に用いると、下記一般式(II)で表されるアミド化合物が得られる。
【化4】


(式中、Rは、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。)
【0023】
反応終了後、塩化メチレンなどの有機溶媒で希釈し、飽和塩化アンモニウムで洗浄する。洗浄後の液を塩化メチレンなどの有機溶媒で抽出し、下層を得る。得られた下層を、芒硝などの乾燥剤を用いて乾燥させる。得られた下層は、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィーにより目的物を分取する。展開溶媒の種類、混合比などは、得られるアミド化合物により異なる。また、クロマトグラフの回数は、1回に限らず、複数回行ってもよい。
【0024】
上記のカルボン酸RCOOH、酸塩化物RCOCl、有機溶媒、DCC、DMAP、光学活性アミン類の配合比を変えることで、同一の化合物を用いても、異なるアミド化合物を得ることができる。
【0025】
上記反応により得られるアミド化合物としては、例えばピコリン酸−1−フェニル−2−[(ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]プロピルエステル、2−ジフェニルホスファニル−安息香酸−2−(2−ジフェニルホスファニル−1−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル、酢酸−2−(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチルカルバモイル)−フェニルエステル、2−アセトキシ安息香酸−2−(2−アセトキシ−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル、ピコリン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチル)−アミド、2−[(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチルアミノ)−(2−ヒドロキシフェニル)−メトキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)ベンズアミド、2−ヒドロキシ安息香酸−2−(2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル、2−ヒドロキシ安息香酸−2−(2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル、(10,10−ジメチル−3,3−ジオキソ−3l6−チア−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ−4−イル)−ピリジン−2−イル−メタノンなどが挙げられる。
【0026】
本発明のアミド化合物は、魚毒などの生理活性を有する。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0028】
[合成例1]
ピコリン酸−1−フェニル−2−[(ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]プロピルエステル(Pyridine−2−carboxylic acid 1−phenyl−2−[(pyridine−2−carbonyl)−amino]−propyl ester)の合成
塩化メチレン(27.81ml)にピコリン酸0.89g(7.28mmol)(2.2モル当量:ノルエフェドリン)を加え、攪拌した。この溶液を氷浴上で0℃に保ちながら、DCC1.50g(7.28mmol)、ノルエフェドリン0.50g(3.31mmol)、DMAP0.089g(0.73mmol)を加えた。ノルエフェドリンの添加量は、ピコリン酸がノルエフェドリンの2.2モル当量になる量であった。この溶液を、氷浴上で、攪拌した。攪拌後、溶液を氷浴からはずし、室温で、2時間攪拌した。得られた反応生成物を含む混合液を塩化メチレンで3倍に希釈した後、飽和塩化アンモニウムで洗浄した。洗浄後の反応生成物を含む混合液を塩化メチレンで3回抽出した。抽出下層を芒硝を用いて乾燥した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(カラム450mm×φ25mm、シリカゲル60g)で分離し、合成例1のアミド化合物(以下に「サンプル1」という)を0.5mg(収量:37.8%)を得た。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(1:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.4であり、融点は73.3℃であった。
分子量:361.39;FT−IR υmax/cm−1:3316(N−H)、1680(C=O)、1632(−NHCO);比旋光度[α](c,solv.):−15.20(CHCl);H−NMR δ(CDCl):1.16(d,3H),4.48−4.52(m,1H),6.22(br,1H),7.27(s,5H),7.34−8.54(m,9H).
【化5】

【0029】
[合成例2]
2−ジフェニルホスファニル−安息香酸−2−(2−ジフェニルホスファニル−1−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル(2−Diphenylphosphanyl−benzoic acid 2−(2−diphenylphosphanyl−benzoylamino)−1−phenyl−propyl ester)の合成
ピコリン酸の代わりに、2−ジフェニルフォスフィノ−サリチル酸を用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例2のアミド化合物(以下に「サンプル2」という)を0.31g(収量:64.5%)を得た。本実施例では、2−ジフェニルフォスフィノ−サリチル酸0.459g(1.45mmol)(2.2モル当量:ノルエフェドリン)を塩化メチレン(6.6ml)に溶解した。また、ノルエフェドリンは、0.1g(0.661mmol)、DCC0.300g(1.45mmol)、DMAP0.008g(0.066mmol)を用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(2:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.524であり、融点は93.5℃であった。
分子量:727;FT−IR υmax/cm−1:3700−3100(−OH)、1720,1660(−NH−CO−)、1510(−COO−);比旋光度[α](c,solv.):0.135(CHCl3);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=0.89(d,J=6.585/Hz,3H),4.45(s,1H),6.06(d,J=3.170/Hz,1H),6.97−7.64(m,39H);13H−NMR:6.71,8.10,14.2,49.7,62.9,67.1,89.1,78.8,126.2,127.8,128.2,128.3,128.5,128.6(×3),128.7,128.8,128.9,129.4,130.2,130.4,131.2,133.4,133.6(×2),133.7,133.8,134.0,134.4,134.7,137.3,166.3.

【化6】

【0030】
[合成例3]
(10,10−ジメチル−3,3−ジオキソ−3l6−チア−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.01,5]デカ−4−イル)−ピリジン−2−イル−メタノン((10,10−Dimethyl−3,3−dioxo−3l6−thia−4−aza−tricyclo[5.2.1.01,5]dec−4−yl)−pyridin−2−yl−methanone)の合成
ノルエフェドリンの代わりにカンファースルタムを用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例3のアミド化合物(以下に「サンプル3」という)を1.498g(収量:64.6%)を得た。本実施例では、ピコリン酸0.31g(2.55mmol)(1.1モル当量:カンファースルタム)を塩化メチレン(23ml)に溶解した。また、カンファースルタムは、0.50g(2.32mmol)、DCC0.53g(2.55mmol)、DMAP0.03g(0.23mmol)を用いた。さらに、氷浴後の反応は、反応中に、薄層クロマトグラフ(ヘキサン・酢酸エチル混液3:2、Rf=0.3)を行い、カンファースルタムが反応し終わるまで行った。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(3:2(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.3であり、融点は220.3℃であった。
分子量:320.32;比旋光度[α](c,solv.):2.5(CHCl3);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=1.01(S,3H),1.31(s,3H),1.60−1.97(m,7H),3.42−3.57(m,3H),7.45−8.71(m,4H);13H−NMR:19.9,21.8,26.1,26.2,39.1,47.7,47.7,53.3,66.6,124.5,126.4,136.7,148.7,151.1,166.9

【化7】


[合成例4]
(10,10−ジメチル−3,3−ジオキソ3l6−チア−4−アザトリシクロ[5.2.1.01,5]デカ−4−イル)−(2−フェニルフォスファニル−フェニル)−メタノン((10,10−Dimethyl−3,3−dioxo−3l6−thia−4−aza−tricyclo[5.2.1.01,5]dec−4−yl)−(2−diphenylphosphanyl−phenyl)−methanone)の合成
ピコリン酸の代わりに2−ジフェニルホスフィノ サリチル酸を用い、ノルエフェドリンの代わりにカンファースルタムを用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例4のアミド化合物(以下に「サンプル4」という)を0.48g(収量:41.04%)を得た。本実施例では、2−ジフェニルフォスフィノ サリチル酸(純度97%)0.80g(2.61mmol)(1.1モル当量:カンファースルタム)を塩化メチレン(23ml)に溶解した。また、カンファースルタムは、0.50g(2.32mmol)、DCC0.53g(2.55mmol)、DMAP0.028g(0.23mmol)を用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(4:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.28であり、融点は149.7℃であった。
分子量:503.59;FT−IR υmax/cm−1:2957(C6H6),1734(C=O),1677(CO−N=),1337,1297(SO2),746,698(C6H6);比旋光度[α](c,solv.):120.70(CHCl3);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=0.99(s,3H),1.34(s,3H),1.48(t,J=9.02/Hz,2H),1.85−1.96(m,1H),2.10(q,J=7.15/Hz,2H),2.26(dd,J=3.78,12.13/Hz,2H),3.49(s,2H),4.22(dd,J=7.56/Hz,1H),7.17−7.20(m,1H),7.24−7.34(m,10H),7.40(ddd,J=5.00,7.44/Hz,2H),7.56−7.59(m,1H);13H−NMR:19.9,21.4,26.5,33.0,38.2,45.0,47.8,48.3,53.4,65.6,128.3(×7),128.9,130.9,133.3(×5),135.1(×2),140.2,140.5,169.0;FAB−MS m/z=28,73,147,221,281,355,429,503(M

【化8】

【0031】
[合成例5]
酢酸−2−(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチルカルバモイル)−フェニルエステル(Acetic acid 2−(2−hydroxy−1−methyl−2−phenyl−ethylcarbamoyl)−phenyl ester)の合成
ピコリン酸の代わりにアセチルサリチル酸を用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例5のアミド化合物(以下に「サンプル5」という)を0.43g(収量:41.4%)を得た。本実施例では、アセチルサリチル酸0.659g(7.28mmol)(1.1モル当量:ノルエフェドリン)を塩化メチレン(150ml)に溶解した。また、ノルエフェドリンは、0.510g(3.31mmol)、DCC0.752g(7.28mmol)、DMAP0.041g(0.0331mmol)を用いた。また、精製用のシリカゲルは、100g用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(2:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.210であり、融点は66.5℃であった。
分子量:313;FT−IR υmax/cm−1:3315(OH),3064−2854(ベンゼン),1765(−CO−),1640(−NH−CO−);比旋光度[α](c,solv.):28.755(CHCl3);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=1.06−1.04(d,J=6.829/Hz,3H),2.03(s,1H),2.23(s,3H),4.08−4.13(q,J=7.073/Hz,1H),4.94(d,J=2.923/Hz,1H),7.25−7.64(m,9H),7.77−7.96(m,1H);13H−NMR:14.04,20.9,51.29,75.72,123.07,126.11,126.26,126.33,127.47,127.75,128.22,128.49,129.85,131.90,140.76,147.89,165.79,169.07

【化9】

【0032】
[合成例6]
2−アセトキシ安息香酸−2−(2−アセトキシ−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル(2−Acetoxy−benzoic acid 2−(2−acetoxy−benzoylamino)−1−phenyl−propyl ester)の合成
ピコリン酸の代わりにアセチルサリチル酸を用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例6のアミド化合物(以下に「サンプル6」という)を0.51g(収量:31.24%)を得た。本実施例では、アセチルサリチル酸1.312g(7.28mmol)(2.2モル当量:ノルエフェドリン)を塩化メチレン(150ml)に溶解した。また、ノルエフェドリンは、0.510g(3.31mmol)、DCC1.504g(7.28mmol)、DMAP0.082g(0.662mmol)を用いた。また、精製用のシリカゲルは、100g用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(2:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.25であり、融点は44.2℃であった。
分子量:493;FT−IR υmax/cm−1:3323(OH),3065,2938(ベンゼン),1744(−CO−),1657(−NH−CO−);比旋光度[α](c,solv.):−5.10(CHCl3、1mol/l);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=0.90−0.92(d,J=6.585/Hz,3H),1.13,1.15(d,J=6.829/Hz,3H),2.15(s,3H),2.21(s,3H),4.53−4.63(m,1H),5.83,5.84(d,J=3.902/Hz,1H),5.93,5.92(d,J=3.658/Hz,1H),5.83−8.24(m,13H);13H−NMR:15.21,20.86,21.02,48.89,77.22,121.88−151.21

【化10】

【0033】
[合成例7]
ピコリン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチル)−アミド(Pyridine−2−carboxylic acid (2−hydroxy−1−methyl−2−phenyl−ethyl)−amide)の合成
ピコリン酸、ノルエフェドリン、DCC、DMAPの使用量を変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例7のアミド化合物(以下に「サンプル7」という)を0.08g(収量:9.43%)を得た。本実施例では、ピコリン酸0.45g(3.64mmol)(1.1モル当量:ノルエフェドリン)を塩化メチレン(150ml)に溶解した。また、ノルエフェドリンは、0.510g(3.31mmol)、DCC0.752g(3.64mmol)、DMAP0.041g(0.331mmol)を用いた。また、精製用のシリカゲルは、100g用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(2:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、Rf=0.21であり、融点は71.1℃であった。
分子量:256;FT−IR υmax/cm−1:3327,3287(OH),3061−2854(ベンゼン),1650(−NH−CO−);比旋光度[α](c,solv.):−24.10(CHCl3、1mol/l);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=1.13,1.15(d,J=6.829/Hz,3H),4.15−4.22(m,1H),4.99,5.00(d,J=2.927/Hz,1H),7.23−8.57(m,11H);13H−NMR:14.27,51.13,76.41,122.28,122.92,125.10,126.18,126.34,127.42,128.10,137.33,140.82,148.06,149.58,164.60

【化11】

【0034】
[合成例8]
2−[(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニル−エチルアミノ)−(2−ヒドロキシフェニル)−メトキシ安息香酸(2−[(2−Hydroxy−1−methyl−2−phenyl−ethylamino)−(2−hydroxy−phenyl)−methoxy]−benzoic acid)、
2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)ベンズアミド(2−Hydroxy−N−(2−hydroxy−1−methyl−2−phenyl−ethyl)−benzamide)、
2−ヒドロキシ安息香酸−2−(2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−1−フェニル−プロピルエステル(2−Hydroxy−benzoic acid 2−(2−hydroxy−benzoylamino)−1−phenyl−propyl ester)の合成
ピコリン酸の代わりにアセチルサリチル酸を用いた以外は、合成例1と同様にして、合成例8のアミド化合物(以下に「サンプル8A」、「サンプル8B」、「サンプル8C」という)の3種類のアミド化合物を得た。それぞれの収率は、サンプル8A:0.07g(収量:5.38%)、サンプル8B:0.10g(収量:11.16%)、サンプル8C:0.19g(収量:14.68%)であった。本実施例では、アセチルサリチル酸1.50g(3.62mmol)(1.1モル当量:ノルエフェドリン)を塩化メチレン(23ml)に溶解した。また、ノルエフェドリンは、0.510g(3.31mmol)、DCC0.75g(3.63mmol)、DMAP0.040g(0.33mmol)を用いた。得られたアミド化合物は、ヘキサン・酢酸エチル混液(4:1(体積比))で、シルカゲル薄層クロマトグラムを行ったところ、サンプル8A:Rf=0.39、サンプル8B:Rf=0.25、サンプル8C:Rf=0.11であった。
サンプル8A:
分子量:393.43;FT−IR υmax/cm−1:3357(NH),2929,2855(ベンゼン),1677,1643,1609(−CO−),754,700(ベンゼン);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=1.31(dd,J=21.34,6.83/Hz,3H),2.04(s,1H)、2.25(s,1H)、3.30(dd,1H),4.08−4.24(m,1H),4.81(t,1H),6.22(d,J=2.93/Hz,1H),6.83(t,J=7.19/Hz,1H),6.90−7.05(m,1H),7.23−7.60(m,10H),7.99(d,J=7.81/Hz,1H),10.52(s,1H);13H−NMR:15.2,49.0,78.3(×2),111.8,112.2,113.7,117.9,118.8,119.5,125.2,126.3(×2),128.7,128.8(×2),129.8,134.4,136.1,136.3

【化12】


サンプル8B:
分子量:271.31;FT−IR υmax/cm−1:3360(NH),1637(−CO−),1592(N−H),809(N−H),753,751(ベンゼン);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=1.05(d,J=6.83/Hz,3H),4.44(t,J=6.83/Hz,1H),4.90(d,J=2.93/Hz,1H),6.75(t,J=7.56/Hz,1H),6.86(d,J=6.59/Hz,1H),6.92(d,J=8.29/Hz,1H),7.25−7.37(m,7H);13H−NMR:13.8,50.7,75.8,114.3,118.4,118.8,125.9,126.1(×2),127.7,128.3(×2),134.2,140.5,161.2,169.8

【化13】


サンプル8C:
分子量:391.41;FT−IR υmax/cm−1:3327(NH),2930,2852(ベンゼン),1692,1629(−CO−),752,700(ベンゼン);H−NMR(400MHz,CDCl,TMS内標) δ=0.87(d,J=6.83/Hz,3H),4.36(q,J=6.34/Hz,1H),4.78(dd,J=2.68,8.05/Hz,2H),6.59(dd,J=8.05,18.53/Hz,1H),6.92(m,1H),6.95(d,J=8.54/Hz,1H),7.01(d,J=8.29/Hz,1H),7.09(d,J=8.05/Hz,1H),7.19−7.55(m,7H),7.71(t,J=8.05/Hz,1H),7.82(d,J=7.56/Hz,1H),7.96(dd,J=1.46,8.05/Hz,1H);13H−NMR:13.9,51.2,76.0,111.6,117.7,117.9,119.7,123.0,124.3,126.1(×2),127.0,127.6,128.3(×2),130.2,132.2,136.9,140.6,162.1,162.2,165.5,168.4


【化14】

【0035】
(実験例)
水道水200mlと、上記得られた各サンプル(サンプル1〜7、8A、8B、8C、9)20mgをエタノール0.5mlに溶解させたものとを、300ml容のビーかで混合し、濃度100ml/Lの水溶液を作成した。この中に、ヒメダカ7尾を入れ、水温19−27℃、照明12−16時間の条件下で、餌をやらず、96時間それぞれのサンプルに暴露させた。暴露開始時、暴露開始後3時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間経過時のめだかの様子を観察し、水温、pHを計測した。また、濃度が100ml/Lで致死が早いものについては、濃度を50ml/Lにして再実験をした。事件した各サンプルとその濃度の関係については、表1に、結果を表2−4に示す。
【表1】



【表2】

【表3】

【表4】

【0036】
以上の結果から、本発明のアミド化合物は、程度の差はあるが魚毒活性を有することがわかった。また、サンプル8A、8B、8C、6は、顕著な魚毒活性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるアミド化合物。
【化1】


(式中、Rは、水素、スルホニル基を示し、Rは、置換基を有していてもよいビシクロアルキル基、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。RとRは、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項2】
前記アミド化合物が、下記一般式(II)で表されるアミド化合物。
【化2】


(式中、Rは、置換基を有していてもよい2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい芳香族アシル基を示す。)

【公開番号】特開2008−106010(P2008−106010A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291636(P2006−291636)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】