アミノリン脂質に結合する治療結合体を用いる癌処置方法

【課題】腫瘍介入における使用のための、アミノリン脂質により標的される診断
構築物または治療構築物を提供すること。
【解決手段】アミノリン脂質(例えば、ホスファチジルセリンおよびホスファチ
ジルエタノールアミン)が、腫瘍血管の管腔表面の特異的で、接近可能であり、
かつ安定なマーカーであるという驚くべき発見が開示される。従って、本発明は
、腫瘍介入における使用のための、アミノリン脂質により標的される診断構築物
または治療構築物を提供する。治療剤(毒素および凝固因子を含む)を腫瘍血管
の安定に発現されたアミノリン脂質に特異的に送達し、それにより血栓、壊死、
および腫瘍後退を誘導する方法と同様に、アミノリン脂質に結合する抗体−治療
剤結合体および構築物が、特に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、第1の仮出願番号第60/092,672号(1998年7月13
日出願)、および第2の仮出願番号第60/110,608号(1998年12
月2日出願)に対して優先権を主張し、これらの出願の内容全体および図面は、
断りなく本明細書中で参考として援用される。米国政府は、National
Institutes of Healthからの助成金番号1RO1CA74
951−01および5RO1CA54168−05に準じて、本発明における権
利を所有する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、一般的に血管および腫瘍生物学の分野に関する。より詳細には、本
発明は、アミノリン脂質(例えば、ホスファチジルセリンおよびホスファチジル
エタノールアミン)が、利用しやすく、安定した、かつ特異的な腫瘍血管系のマ
ーカーであるという、驚くべき知見を具体化する。従って、本発明は、毒素およ
び凝固剤を腫瘍血管に送達する際の使用のために、ならびに血栓症および腫瘍後
退を誘導するためにアミノリン脂質に結合する治療構築物および治療結合体を提
供する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連分野の説明)
化学療法剤に対する腫瘍細胞の耐性は、臨床腫瘍学において重要な問題を提示
する。実際、これは、化学療法の分野における確実な進展にもかかわらず、最も
蔓延した形態のヒトの癌の多くがなお、有効な化学療法の介入に抵抗する主な理
由の1つである。
【0004】
腫瘍処置レジメにおいて見られる重要な問題とは、「全細胞の殺傷」を所望す
ることである。これは、より有効な処置レジメは、いわゆる「クローン原性」悪
性細胞(すなわち、治療により除去され得る任意の腫瘍塊を制御せず増殖させ、
そして置換する能力を有する細胞)の全細胞の殺傷により接近することを意味す
る。全細胞の殺傷に接近する処置の開発の目標に起因して、特定の型の腫瘍は、
他のものより治療に敏感に反応している。例えば、柔組織腫瘍(例えば、リンパ
腫)ならびに血液および血液形成器官の腫瘍(例えば、白血病)は、一般的に固
形腫瘍(例えば、癌腫)を有するものより、化学療法治療に、より反応性である

【0005】
柔軟でかつ血液に基づく腫瘍の化学療法に対する感受性についての1つの理由
sは、リンパ腫細胞および白血病細胞の化学療法介入へのより大きな利用可能性
である。簡単に言えば、大部分の化学療法剤は、柔腫瘍および血液に基づく腫瘍
よりも固形腫瘍塊の全ての細胞に達することがよりずっと困難である。それ故、
全細胞の殺傷はずっとより困難である。化学療法剤の用量を増大させることは、
最も頻繁に、毒素の副作用をもたらし、これは、一般に従来の抗腫瘍剤の効果を
制限する。
【0006】
別の腫瘍処置の戦略は、「イムノトキシン」の使用であり、これは、抗腫瘍細
胞抗体を使用して、毒素を腫瘍細胞に送達する。しかし、上記の化学療法アプロ
ーチと共通して、イムノトキシン治療はまた、重大な欠陥に悩まされる。例えば、抗原ネガティブ細胞または抗原欠損細胞が生存し得、そして腫瘍を増殖させる
かさらなる転移をもたらし得る。また、固形腫瘍の処置において、腫瘍塊は、一
般的に、抗体およびイムノトキシンのサイズの分子に対して非透過性である。物
理的拡散距離および腫瘍内の間隙圧の両方は、これらの治療の型に対して有意な
制限である。
【0007】
より近年の戦略は、固形腫瘍の血管系を標的とすることである。腫瘍細胞それ
自体よりはむしろ腫瘍の血管を標的とすることは、耐性腫瘍細胞の発生を導きそ
うにもないこと、および標的化された細胞が容易に利用可能であることにおいて
、確かな利点を有する。さらに、多くの腫瘍細胞が、それらの酸素および栄養の
ための単一血管に依存するため、血管の破壊は、抗腫瘍効果の増幅を導く(De
nekamp、1990)。模範的な血管標的戦略は、米国特許第5,855,
866号および同第5, 号(米国出願第08/350,212号
、特許証発行料金支払い済)に記載され、ここには、特に抗細胞性薬剤および毒
素の、腫瘍血管系のタンパク質マーカーへの標的化送達を記載する。
【0008】
血管標的アプローチの別の有効なバージョンは、腫瘍血管系内で発現されるか
または吸着されるタンパク質マーカーに対して凝固因子を標的とすることである
(Huangら、1997;米国特許第5,877,289号、同第5,
号および同第5, 号(米国出願番号第08/487,4
27号および米国出願番号第08/482,369号、特許証発行料金支払い済
))。毒素よりもむしろ凝固剤の腫瘍血管系への送達は、免疫原性の減少および
毒素の副作用のさらに低い危険性の利点をさらに有する。米国特許第5,877
,289号に開示されるように、そのような腫瘍特異的トロンボゲンすなわち「
コアグリガンド」における使用のための好ましい凝固因子は、ヒト凝固誘導性タ
ンパク質、組織因子(TF)の短縮型バージョンである。TFは、血液凝固の主
な開始因子である(Rufら、1991;Edgingtonら、1991;R
ufおよびEdgington、1994)。そのようなコアグリガンドを用い
た腫瘍保有マウスの処置は、多くの動物において有意な腫瘍壊死そしてさらに完
全な腫瘍後退をもたらす(Huangら、1997;米国特許第5,877,2
89号、同第5, 号および同第5, 号(米国出願
番号第08/487,427号および米国出願番号第08/482,369号;
特許証発行料金支払い済))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
治療剤(例えば、抗細胞性薬剤)、毒素、および凝固因子の、腫瘍血管のタン
パク質マーカーへの特異的送達は、腫瘍処置プロトコルにおいて重要な進展を示
すが、さらなる血管標的治療のための余地がなお存在する。インビボでの特異的
腫瘍血管破壊を可能にするさらなる安定な標的の同定は、標的選択肢の数を増大
するのに当然有益である。より詳細には、治療剤を腫瘍血管内皮細胞膜のさらに
近くに送達するための標的剤の開発は、重要な進展を示す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、腫瘍血管系の画像化および破壊のための新規の組成物および方法を
提供することによって先行技術の必要性に取り組む。本発明は、一部、アミノリ
ン脂質膜成分(例えば、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノール
アミン)が腫瘍血管系の利用しやすく、安定したマーカーであるという知見に基
づく。従って、本発明は、治療剤に作動可能に接続されるアミノリン脂質に対する結合リガンドおよび抗体、ならびに腫瘍血管内皮細胞膜の実表面への診断剤お
よび治療剤の特異的送達における構築物の使用方法を提供する。
【0011】
本発明の重要な局面は、治療剤は、腫瘍血管内皮細胞膜と密接に接触して送達
され得、標的細胞への迅速な侵入またはエフェクター細胞、凝集カスケードの成
分などとの迅速な会合のいずれかを可能にする。本発明の特定の驚くべき特徴は
、アミノリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン(PS))の、腫瘍血管内皮
細胞の表面への転移が、少なくとも細胞損傷とは関係なく有意な部分、およびア
ポトーシス機構または細胞死の機構において、生じるという発見が挙げられる。
従って、この環境におけるPS表面発現は、細胞死の結果でなく、それが即時の
細胞破壊を誘発するのでもない。
【0012】
形態学的にインタクトな腫瘍関連血管内皮細胞における十分に安定したPS発
現の発見は、本発明の標的化の性質にとって重要である。腫瘍血管内皮の外側表
面へのPSの転移が、死亡細胞中でのみ生じる場合、またはPS転移が避け難い
細胞死を誘発する場合、PSの発現は、一過性であると予期され、そしてPSは
、治療介入のための良好な候補標的ではないようである。驚くべきことに、本発
明は、有意に安定したPSの発現が、腫瘍環境における生存可能な内皮細胞にお
いて生じ、従って、豊富な標的化の機会を提供する。
【0013】
従って、本発明は、選択された診断剤および治療剤を腫瘍または腫瘍内血管系
に送達するための方法を提供し、この方法は、血管新生化腫瘍を有する動物に、
生物学的有効量の結合リガンド(これは、血管新生化腫瘍の血管または腫瘍内血
管の管腔表面上で、アミノリン脂質に結合する標的剤、好ましくはホスファチジ
ルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合する標的剤に作動可能に
接続された、選択された診断剤または治療剤を含む)を投与する工程を包含する

【0014】
本発明の方法は、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞を殺傷、もしくは特異的に殺
傷する方法を提供し、そしてこの方法は、血管新生化腫瘍を有する動物または患
者に、生物学的有効量の少なくとも第1の薬学的組成物を投与する工程を包含し
、ここで、この薬学的組成物は、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面上で
、アミノリン脂質に結合する標的剤、好ましくはホスファチジルセリンまたはホ
スファチジルエタノールアミンに結合する標的剤に作動可能に接続された、選択
された治療剤を含む結合リガンドを含む。
【0015】
従って、本発明の「結合リガンド」は、「アミノリン脂質結合リガンド」、「
治療用アミノリン脂質結合リガンド構築物」、「アミノリン脂質標的化治療剤(
therapeutic agent)」、「アミノリン脂質標的化治療剤(t
herapeutic)」、「アミノリン脂質標的化治療剤構築物」、または「
治療用アミノリン脂質標的化剤構築物」である。簡単に言うと、これらの薬剤は
、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面上で発現される、アミノリン脂質、
好ましくはホスファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合
する選択された治療剤と標的化剤、抗体、結合タンパク質もしくはそれらの活性
フラグメントとの結合体または他の作動可能な会合をいう簡潔な方法として、そ
のような用語が使用されることを理解した状態で、本明細書中で「結合リガンド
」または「治療剤−標的化剤構築物」といわれる。
【0016】
「生物学的有効量」は、腫瘍もしくは腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面で発現さ
れるアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンもしくはホスファチジルエタノールアミンに結合する際、正常な血管の内皮細胞とは対照的に、腫瘍また
は腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部、および好ましくは有意な部分を特異的
に殺傷するのに有効な、治療剤−標的化剤構築物の量である。このように、それ
は、治療剤−標的化剤構築物の「内皮細胞殺傷量」または「腫瘍血管内皮細胞殺
傷量」である。
【0017】
本願全体を通して使用される場合、用語「a」および「an」は、例えば、上
限がその後特に規定される場合を除き、参照される成分または工程の「少なくと
も1つ」、「少なくとも第1の」、「1以上」または「複数」を意味するという
意味で使用される。従って、「治療剤標的化構築物」は、「少なくとも第1の治
療剤標的化構築物」である。任意の単一因子の量として、実施可能な限定および
パラメーターの組み合わせは、本発明の開示に照らして当業者に公知である。
【0018】
「a」および「an」の用語はまた、特に規定される場合を除き、引用される
方法における「少なくとも1つの」、「少なくとも第1の」、「1以上の」また
は「複数の」工程を意味するために使用される。これは、処置方法における投与
工程に特に関する。従って、本発明とともに異なる用量で使用され得るだけでな
く、異なる数の用量(例えば、注射)(複数回までの注射)が使用され得る。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「アミノリン脂質」とは、その構造内に少なく
とも第1の第1級アミノ基を含むリン脂質を意味する。好ましくは、用語「アミ
ノリン脂質」は、哺乳動物の細胞膜中に天然に存在する第1級アミノ基含有リン
脂質をいうために使用される。しかし、このことは、この用語がまた、それにも
かかわらず本発明において、例えば、哺乳動物の形質膜のアミノリン脂質に結合
する抗アミノリン脂質抗体(「交叉反応性抗体」)の産生における免疫原として
使用する、天然に存在しないかまたは合成のアミノリン脂質に拡大するので、用
語「アミノリン脂質」の意味に限定しない。米国特許第5,767,298号(
これは本明細書中で参考として援用される)のアミノリン脂質は、適切な例であ
る。
【0020】
哺乳動物生物系において見出される顕著なアミノリン脂質は、負に荷電したホ
スファチジルセリン(「PS」)および中性または両性イオン性のホスファチジ
ルエタノールアミン(「PE」)であり、従って、これらは、本発明による標的
化のための好ましいアミノリン脂質である。しかし、アミノリン脂質が腫瘍血管
内皮細胞の管腔表面上で発現され、利用しやすく、または複合化される限り、本
発明は、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンの標的化
に限定せず、そして任意の他のアミノリン脂質標的が使用され得る(White
ら、1978;本明細書中で参考として援用される)。
【0021】
全てのアミノリン脂質に基づく成分、ホスファチジルセリンに基づく成分、お
よびホスファチジルエタノールアミンに基づく成分が、関与する脂肪酸鎖の型と
は無関係の本発明の標的として含まれ、これらの成分は、短鎖、中間鎖または長
鎖の脂肪酸を有する型、ならびに飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、および多価不飽和
脂肪鎖酸を有する型を含む。本発明の使用のために、抗体を惹起するのに好まし
い組成物は、C18の脂肪酸、より好ましくはC18:1である脂肪酸を有する
アミノリン脂質であり得る(Levyら、1990;本明細書中で参考として援
用される)。それらが腫瘍血管内皮細胞において利用しやすい程度まで、2つよ
りもむしろ1つのみの脂肪酸(溶解(lyso)誘導体)を有するアミノリン脂
質分解産物はまた、標的化され得る(Qamarら、1990;本明細書中で参
考として援用される)。
【0022】
潜在的なアミノリン脂質標的の別の群には、例えば、ホスファチド誘導体(p
hosphatidal derivative)(プラスマロゲン)、例えば
、ホスファチダルセリン(phosphatidalserine)およびホス
ファチダルエタノールアミン(phosphatidalethanolami
ne)(エステル結合を与えるアシル基よりもむしろエタノール結合を与えるア
ルケニル基を有する)が含まれる。実際、本発明による治療介入のための標的は
、窒素性塩基を含み、そして腫瘍血管内皮細胞(ホスファチジルコリン(「PC
」)を含む)の管腔標的上に存在し、発現し、転移し、提示されたか、またはそ
うでなければ検出可能な形態で複合体化した、任意の実質的に脂質ベースの成分
を含む。グリセロールを含まない脂質はまた、適切な標的(例えば、スフィンゴ
シンに基づくスフィンゴリピドおよび誘導体)を形成し得る。
【0023】
標的可能な成分の群における脂質の範囲を含む生物学的基礎は、一部、固有の
脂質−タンパク質複合体を形成する膜環境において組み合わさっている脂質とタ
ンパク質の、観察される生物学的現象とともに存在する。そのような脂質−タン
パク質複合体は、例えば、β2−糖タンパク質I、プロトロンビン、キニノーゲ
ンおよびプレカリクレインのようなタンパク質と、抗原性および免疫原性の形態
の脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミンおよ
びホスファチジルコリン)にわたる。従って、タンパク質およびポリペプチドが
1つ以上の遊離の第1級アミノ基を有し得る場合、有効な「アミノリン脂質標的
」の範囲は、最も厳密な意味においてアミノリン脂質でない脂質成分からインビ
ボで形成され得ることが意図される。それでもやはり、脂質および第1級アミノ
基を含む全てのこのような標的可能な複合体は、本発明の範囲内の「アミノリン
脂質」を構築する。
【0024】
本発明の方法はまた、腫瘍血管系内で、血流を停止させるか、または特異的に
血流を停止させるよう作用する。これは、血管新生化腫瘍を有する動物または患
者に、少なくとも1用量の、少なくとも第1の薬学的組成物を投与する工程によ
り達成され、ここで、この薬学的組成物は、凝固誘導量または血管閉塞量の、少
なくとも第1の細胞傷害性薬剤または凝固剤(これらは、腫瘍血管系の管腔表面
に転移したアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンまたはホスファチ
ジルエタノールアミンに結合する標的化剤に作動可能に接続される)を含む。
【0025】
「凝固誘導量」または「血管閉塞量」とは、腫瘍もしくは腫瘍内血管内皮細胞
の管腔表面に転移されるアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンもし
くはホスファチジルエタノールアミンに結合する際、正常な血管とは対照的に、
腫瘍または腫瘍内血管の少なくとも一部、および好ましくは有意な部分での凝固
、ならびにそれゆえそれらの閉塞を特異的に促進するのに有効な、治療剤−標的
化剤構築物の量である。従って、「血管閉塞量」は、機能的有効量であり、血管
の幅を広げるのに十分な治療剤−標的化剤構築物の物理的質量ではない。
【0026】
腫瘍血管系を破壊または特異的に破壊するための方法が、提供される。この方
法は、血管新生化腫瘍を有する動物または患者に、1以上の用量の、少なくとも
第1の薬学的組成物を投与する工程を含み、ここで、この薬学的組成物は、腫瘍
破壊量の少なくとも第1の閉塞剤または破壊剤(これらは、腫瘍もしくは腫瘍内
血管系の管腔表面に提示されるアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリ
ンもしくはホスファチジルエタノールアミンに結合する標的化剤に作動可能に接
続される)を含む。「腫瘍破壊量」は、腫瘍もしくは腫瘍内血管の血管内皮細胞
の管腔表面で提示されるアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合する際、正常な血管の内皮細胞とは対
照的に、腫瘍または腫瘍内血管の少なくとも一部、および好ましくは有意な部分
を特異的に破壊または閉塞するのに有効な、治療剤−標的化剤構築物の量である

【0027】
本発明は、癌および固形腫瘍を処置するための方法をさらに含み、この方法は
、血管新生化腫瘍を有する動物または患者に、腫瘍壊死誘導量の少なくとも第1
の薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここで、この薬学的組成物は、血管新
生化腫瘍の血管もしくは腫瘍内血管の管腔表面上でアミノリン脂質、好ましくは
ホスファチジルセリンもしくはホスファチジルエタノールアミンに結合する標的
化剤に作動可能に接続された、少なくとも第1の治療剤または壊死剤を含む。「
腫瘍壊死誘導量」とは、腫瘍もしくは腫瘍内血管の血管内皮細胞の管腔表面で複
合体化したアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンもしくはホスファ
チジルエタノールアミンに結合するが、一方、正常な、健常組織において有害な
副作用がほとんど作用しない際に、腫瘍の少なくとも一部、および好ましくは有
意な部分において、出血性壊死を特異的に誘導するのに有効な、治療剤−標的化
剤構築物の量である。
【0028】
従って、本発明の方法は、血管新生化腫瘍を有する動物または患者を処置する
ための方法として要約され得、この方法は、この動物または患者に、少なくとも
第1の薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含し、ここでこの薬学的組
成物は、血管新生化腫瘍の血液輸送管の管腔表面に存在し、発現され、転移され
、提示され、または複合体化したアミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセ
リンもしくはホスファチジルエタノールアミンに結合する、少なくとも第1の治
療剤−標的化剤構築物を含む。
【0029】
本発明の本質はまた、腫瘍血管系の画像化および/または破壊における使用の
ため、ならびにヒト腫瘍の診断および/または処置のための、医薬の調製におけ
る使用のために、少なくとも第1の診断用の治療剤−標的化剤構築物、または好
ましくは治療剤−標的化剤構築物(好ましくはホスファチジルセリンもしくはホ
スファチジルエタノールアミンに結合する)を含む組成物として規定され得る。
これはまた、血管新生化腫瘍の血液輸送管の管腔表面に存在し、発現され、転移
され、提示され、または複合体化したアミノリン脂質、好ましくはホスファチジ
ルセリンもしくはホスファチジルエタノールアミンへの結合の際の使用のため、
ならびに腫瘍血管系の画像形成の際の使用のためおよび/または腫瘍血管系破壊
を誘導する際の使用ため、ならびにヒト腫瘍の診断および/または処置のための
医薬を調製における使用のために、少なくとも第1の診断剤−標的化剤構築物、
または好ましくは治療剤−標的化剤構築物を含む組成物として規定され得る。
【0030】
本発明の方法、医薬および使用において、1つの利点として、診断剤−標的化
剤構築物または治療剤−標的化剤構築物、好ましくホスファチジルセリンもしく
はホスファチジルエタノールアミンに結合するそれらの、動物または患者の全身
的循環への供給が、腫瘍血管表面膜自体への選択的なまたは特異的な局在化をも
たらすが、この膜からより離れたいくつかのタンパク質複合体への局在化をもた
らさないという事実に依存する。従って、本発明は、先行技術の方法および抗血
管剤のより密接な細胞の接触を提供する。
【0031】
本発明の文脈では、用語「血管化された腫瘍」は、最も好ましくは、血管形成
した、悪性腫瘍、固形腫瘍または「癌」を意味する。本発明は、特に、少なくと
もほぼ中間サイズの血管化腫瘍の処置において、および大血管化腫瘍の処置において−−これは、決して本発明に対する制限ではないが−−有利である。したが
って、本発明は、アミノリン脂質ポジティブ血管、好ましくは、ホスファチジル
セリンポジティブ血管および/またはホスファチジルエタノールアミンポジティ
ブ血管を示す任意の腫瘍の処置で用いられ得る。
【0032】
好適な実施態様では、本発明によって処置されるべき腫瘍は、殺傷有効数のア
ミノリン脂質ポジティブ血管を示す。本明細書で用いられるとき、「殺傷有効数
のアミノリン脂質ポジティブ血管」は、腫瘍内の血管の総数の少なくとも約3%
が、アミノリン脂質発現、好ましくは、ホスファチジルセリンおよび/またはホ
スファチジルエタノールアミン発現についてポジティブであることを意味する。
好ましくは、腫瘍内の血管の総数の、少なくとも約5%、少なくとも約8%、ま
たは少なくとも約10%またはその程度が、アミノリン脂質発現についてポジテ
ィブである。正常組織内の血管の性質である、アミノリン脂質ネガティブ、特に
PS−ネガティブである場合、この腫瘍血管は、投与された抗体に対して溜(s
ink)として作用する。さらに、腫瘍血管の最小数のみの破壊は、腫瘍細胞死
の広く拡散した血栓症、壊死および雪崩を引き起こし得るので、有効な治療介入
のために、腫瘍血管のすべての、または大多数でさえの抗体局在化は必要ではな
い。
【0033】
しかし、より好ましい実施態様では、本発明により処置されるべき腫瘍は、有
意な数のアミノリン脂質ポジティブ血管を示す。本明細書で用いられる「有意な
数のアミノリン脂質ポジティブ血管」は、腫瘍内の血管の総数の少なくとも約1
0〜12%が、アミノリン脂質発現、好ましくは、ホスファチジルセリンおよび
/またはホスファチジルエタノールアミン発現についてポジティブであることを
意味する。さらにより好ましくは、アミノリン脂質を発現する腫瘍血管のこの%
は、腫瘍内の血管の総数の、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なく
とも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、または少なくとも約80%もしくはその程度であり、血
管の少なくとも約90%または、少なくとも約95%まで、およびそれさえも含
む。
【0034】
本発明における使用のための「治療的に有効な量」は、選択された動物または
患者への投与に際し、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部分を特異
的に殺傷するために;腫瘍または腫瘍内血管の少なくとも一部分における凝固を
特異的に促進するために;腫瘍の血液輸送血管の少なくとも一部分を特異的に閉
塞または破壊するために;腫瘍の少なくとも一部分における壊死を特異的に誘導
するために;および/または腫瘍後退または緩解を誘導するために有効な、治療
剤−標的剤構築物、好ましくはPS−またはPE−結合構築物の量である。この
ような効果は、正常、健常組織中の血管内皮細胞にはほとんどもしくは全く結合
せず、またはほとんどもしくは全くそれを殺傷せず;健常、正常組織では血管の
閉塞または破壊における凝固はほとんどもしくは全くなく;そして動物または患
者の正常、健常組織に対して無視し得るか、または処理し易い副作用を奏して達
成される。
【0035】
腫瘍血管系における凝固を促進するか、または破壊する文脈において、および
/または腫瘍壊死を引き起こす文脈において、本明細書で用いる用語「優先的に
」および「特異的に」は、従って、治療剤−標的剤構築物が、腫瘍血管系および
腫瘍部位に実質的に限られる凝固、破壊および/または腫瘍壊死を達成するよう
に機能し、そして動物または被験体の正常、健常組織における凝固、破壊および
/または組織壊死を引き起こすことに実質的に及ばないことを意味する。従って、健常細胞および組織の構造および機能は、本発明の実施により維持され、実質
的に損傷されない。
【0036】
本発明の実施に、作用の機構を理解することは必要ではないが、この方法は、
標的剤への付着のために選択される特定の治療剤の作用の様式の基礎に一般に作
動する。従って、細胞傷害性薬剤または抗細胞性薬剤(「抗アミノリン脂質イム
ノトキシン」)に結合体化しているか、またはそれと作動可能に結合しているア
ミノリン脂質結合剤は、最初、細胞破壊を経由して作用する。同様に、凝固因子
(「抗アミノリン脂質コアグリガンド」)に結合体化しているか、またはそれと
作動可能に結合しているアミノリン脂質結合剤は、最初、凝固を経由して作用す
る。しかし、これらの機構は、いくらか交差し、それは、細胞破壊が、基底膜を
曝しそして凝固を生ずるからであり、そして凝固が細胞から酸素および栄養分を
奪い、細胞破壊を生ずるからである。
【0037】
アミノリン脂質成分に対する裸のまたは非結合抗体はまた、インビボにおける
腫瘍血管破壊および腫瘍壊死を特異的に誘導し得る。腫瘍処置のこのような方法
がまた、本発明者らにより意図され、そして第1および第2の仮出願、第60/
092,672号(1998年7月13日提出)および第60/110,608
号(1998年12月2日提出)、ならびに同時に提出された米国およびPCT
特許出願(代理人書類番号第4001.002200、4001.002282
および4001.002210)に開示されそして請求項に記載され、各々は参
考として本明細書に特に援用される。裸の抗アミノリン脂質抗体の有利な効果を
考慮して、本発明の結合体の作用の機構は、採用される特定の治療剤の作用の様
式を越えて広がり得る。
【0038】
従って、以下の機構が本発明の成功に寄与し得る:細胞媒介性細胞傷害性、補
体媒介溶解、アポトーシス、抗体誘導細胞シグナル伝達(直接シグナル伝達)、
またはシグナル伝達経路を模倣することまたは改変すること(間接シグナル伝達
)。
【0039】
従って、処置方法は、血管化された腫瘍を有する動物または患者に、腫瘍また
は腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部分の細胞媒介性細胞傷害性を誘導する、
または特異的に誘導するために有効な、少なくとも第1の治療剤−標的剤構築物
の量を含む、少なくとも第1の薬学的組成物を投与する工程を包含する。ここで
、第1の治療剤−標的剤構築物は、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面に
存在、発現、転移、提示または複合体化したアミノリン脂質、好ましくは、ホス
ファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合し、そして正常
血管中の内皮細胞にではなく、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部
分の細胞媒介性細胞傷害性を誘導する。本明細書で用いられる「細胞媒介性細胞
傷害性または破壊」は、ADCC(抗体依存性、細胞媒介性細胞傷害性)および
NK(ナチュラルキラー)細胞殺傷を含む。
【0040】
この方法は、さらに、血管化された腫瘍を有する動物または患者に、腫瘍また
は腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部分の補体媒介性溶解を誘導または特異的
に誘導するために有効な少なくとも第1の治療剤−標的剤構築物の量を含む少な
くとも第1の薬学的組成物を投与する工程を包含する。ここで、この第1の治療
剤−標的剤構築物は、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面に存在、発現、
転移、提示または複合体化したアミノリン脂質、好ましくは、ホスファチジルセ
リンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合し、そして正常血管中の内皮
細胞にではなく、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部分の補体媒介性溶解を誘導する。
【0041】
本明細書で用いる「補体媒介性または補体依存性溶解もしくは細胞傷害性」は
、それによって、補体依存性凝固カスケードが活性化され、多成分複合体がアセ
ンブルされ、最終的に直接溶解作用を有し、細胞透過を引き起こす溶解複合体を
生成するプロセスを意味する。補体媒介性溶解を誘導することにおける使用のた
めの治療剤−標的剤は、一般に、抗体Fc部分を含む。
【0042】
本発明がそれによって作動する補体を基礎にする機構は、「補体活性化ADC
C」をさらに含む。このような局面では、この投与される治療剤−標的剤は、腫
瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面に存在、発現、転移、提示または複合体
化したアミノリン脂質、好ましくは、ホスファチジルセリンまたはホスファチジ
ルエタノールアミンに結合する抗体、またはそのフラグメントを含み、そして正
常血管中の内皮細胞にではなく、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一
部分の補体活性化ADCCを誘導する。「補体活性化ADCC」は、それによっ
て、抗体Fcタンパク質それ自身ではなく、補体が、複数成分複合体を一緒に保
持し、そしてそこで好中球のような細胞が標的細胞を溶解するプロセスをいうた
めに用いられる。
【0043】
他の実施態様では、この方法は、血管化された腫瘍を有する動物または患者に
、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部分におけるアポトーシスを誘
導、または特異的に誘導するために有効な少なくとも第1の治療剤−標的剤構築
物の量を含む少なくとも第1の薬学的組成物を投与する工程を包含する。ここで
、第1の治療剤−標的剤構築物は、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の管腔表面に
存在、発現、転移、提示または複合体化したアミノリン脂質、好ましくは、ホス
ファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合し、そして正常
血管中の内皮細胞にではなく、腫瘍または腫瘍内血管内皮細胞の少なくとも一部
分においてアポトーシスを誘導する。
【0044】
本明細書で用いる、「アポトーシスを誘導する」は、初期ステージの間に細胞
膜の一体性を維持し、なお死を誘導するシグナルを細胞中に伝達するプログラム
化された細胞死のプロセスを誘導することを意味する。これは、その間に細胞膜
がその一体性を失い、そしてプロセスの開始で漏るようになる細胞壊死の機構と
反対である。
【0045】
治療的利点は、少なくとも2、3またはそれ以上の治療剤−標的剤構築物の投
与により実現され得る。この治療剤−標的剤構築物はまた、その他の治療と組み
合わされて、本明細書に開示のように組み合わされた治療的に有効な量を提供し
得る。
【0046】
本発明の処置方法は、一般に、静脈内注射を経由するような、動物への全身的
な、薬学的に有効な組成物の投与を含む。しかし、治療剤−標的剤構築物を、腫
瘍または腫瘍内血管内皮細胞に局在化することを可能にする任意の投与の経路が
受容可能である。
【0047】
本明細書で用いる、「投与」は、従って、血管化された腫瘍の血液輸送血管の
管腔表面で存在し、発現され、転移され、提示され、または複合体化された、ア
ミノリン脂質、好ましくはホスファチジルセリンまたはホスファチジルエタノー
ルアミンへの結合を可能にし、そして腫瘍血管系破壊および腫瘍退縮効果を奏す
るに有効な量および時間における、治療剤−標的剤構築物の提供または送達を意味する。タンパク質性の治療剤−標的剤構築物の受動的投与が、一般に、部分的
にその単純さおよび再現性のために好ましい。
【0048】
しかし、用語「投与」は、それによって治療剤−標的剤構築物が、腫瘍血管系
に送達されるか、またはそうでなければ提供される任意およびすべての手段をい
うために本明細書中で用いられる。従って「投与」は、腫瘍血管系への治療剤−
標的剤構築物の送達を生じるために有効な様式で、治療剤−標的剤構築物を産生
する細胞の提供、および/またはそのような血管系へのそれらの局在化を含む。
このような実施態様では、選択的に透過可能な膜、構造または移植デバイス、一
般に治療を止めるために除去され得るものの中に細胞を処方またはパッケージす
ることが所望され得る。外因性治療剤−標的剤投与がなお一般に好適であり、な
ぜなら、これは、緊密にモニターされおよび制御される用量を可能にする非侵襲
性の方法を示すからである。
【0049】
本発明のこの「治療剤−標的剤投与方法」はまた、腫瘍血管系近傍に治療剤−
標的剤構築物の発現、および/または腫瘍血管系に局在化し得る治療剤−標的剤
構築物の発現を生じるために有効な様式でこの治療剤−標的剤構築物をコードす
る核酸の提供まで広がる。裸のDNA送達、組換え遺伝子およびベクター、患者
細胞のエクソビボ操作を含む細胞を基礎にした送達のような、任意の遺伝子治療
技法を採用し得る。
【0050】
本発明の利点の1つは、アミノリン脂質類、特にホスファチジルセリンおよび
ホスファチジルエタノールアミンが、一般に、腫瘍血管じゅうで発現されるかま
たは利用可能であることである。確立された腫瘍内血管上のアミノリン脂質発現
は有利である。なぜなら、このような血管を標的にしかつ破壊することは、迅速
に抗腫瘍効果に至るからである。しかし、投与された治療剤−標的剤構築物が血
液輸送血管の少なくとも一部分に結合する限り、有意な抗腫瘍効果が確実になる
。これは問題とはならない。なぜなら、ホスファチジルセリンおよびホスファチ
ジルエタノールアミンのようなアミノリン脂質類が、大きな中央血管上で、そし
てまた腫瘍のすべての領域中の静脈、細静脈、動脈、細動脈および血液輸送毛細
血管上で発現されるからである。
【0051】
いずれの事象においても、この治療剤−標的剤構築物が腫瘍血管系を破壊する
能力は、腫瘍静止のみよりもむしろ腫瘍退縮が達成され得ることを意味する。腫
瘍静止は、最もしばしば、固形腫瘍の周縁で出芽血管のみを標的とし、そして血
管増殖を停止する抗血管形成治療の結果である。たとえ本発明が、特定の腫瘍型
における腫瘍の周縁領域より多くを標的にしても、これは、現在そうではないと
考えられるが、このような領域における血液輸送血管の破壊はなお広く広がる血
栓症および腫瘍壊死に至る。
【0052】
診断の標的部分および/または本発明の治療剤−標的剤構築物は、ホスファチ
ジルエタノールアミンまたはホスファチジルセリンへの結合であるにしろ、抗体
に基づくか、または結合リガンドもしくは結合タンパク質に基づくかのいずれか
であり得る。従って、当該分野で公知の任意のアミノリン脂質結合リガンドまた
はタンパク質が、ここで、腫瘍血管系への治療剤の送達において有利に用いられ
得る。
【0053】
例示のみにより、適切なアミノリン脂質結合リガンドおよびタンパク質は、低
および高分子量キニノーゲン類およびその他のラット、ウシ、サルまたはヒトホ
スファチジルエタノールアミン結合タンパク質類;および多くのホスファチジルセリン−セリン結合アネキシン類の任意の1つ以上を含む。このような結合リガ
ンドのタンパク質およびDNA配列は、当該分野で公知であり、そして参考とし
て本明細書に援用され、本発明における使用のための組換え融合タンパク質の産
生を容易にする。
【0054】
用語「アミノリン脂質結合リガンドまたは結合タンパク質」により包含される
アミノリン脂質結合試薬は、すべての種からのすべてのアミノリン脂質結合リガ
ンドおよびタンパク質、ならびにダイマー、トリマーおよびマルチマーリガンド
およびタンパク質を含む、そのアミノリン脂質結合フラグメント;二重特異性リ
ガンドおよびタンパク質;キメラリガンドおよびタンパク質;ヒトリガンドおよ
びタンパク質;組換えおよび操作リガンドおよびタンパク質、およびそれらのフ
ラグメントに拡張される。
【0055】
抗体を基にした標的タンパク質が用いられる場合、ホスファチジルエタノール
アミンまたはホスファチジルセリンへの結合であるにしろ、本明細書で用いられ
るとき、用語「抗アミノリン脂質抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナ
ルIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE抗体のような、任意の免疫学的
結合剤を広くいう。一般に、IgGおよび/またはIgMが好ましい。なぜなら
、それらは、生理学的状況で最も一般的な抗体であるからであり、そして実験室
セッティングで最も容易に作製されるからである。
【0056】
抗血清から得られたポリクローナル抗アミノリン脂質抗体は、本発明で採用さ
れ得る。しかし、モノクローナル抗アミノリン脂質抗体(MAb)の使用が一般
に好ましい。MAbは、特定の利点、例えば、それらを臨床処置のために適切に
する、再現性および大規模生産性を有することが認識されている。従って、本発
明は、マウス、ヒト、サル、ラット、ハムスター、ウサギおよびカエルまたはニ
ワトリ起源でさえあるモノクローナル抗体を提供する。試薬の調製の容易さおよ
び容易利用可能性に起因して、マウスモノクローナル抗体が、特定の実施態様で
用いられる。
【0057】
当業者により理解されるように、用語「抗アミノリン脂質抗体」により包含さ
れる免疫学的結合試薬は、すべての種からのすべての抗アミノリン脂質抗体、お
よびダイマー、トリマーおよびマルチマー抗体を含む、その抗原結合フラグメン
ト;二重特異性抗体;キメラ抗体;ヒトおよびヒト化抗体;組換えおよび操作抗
体、およびそれらのフラグメントに拡張される。
【0058】
用語「抗アミノリン脂質抗体」は、それ故抗原結合領域を有する任意の抗アミ
ノリン脂質抗体様分子をいうために用いられ、そしてFab’、Fab、F(a
b’)2のような抗体フラグメント、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、sc
Fv(単鎖Fv)などを含む。種々の抗体を基にする構築物およびフラグメント
を調製および使用する技法は、当該分野で周知である。
【0059】
特定の実施態様では、治療剤−標的剤構築物において採用される抗体は、「ヒ
ト化」またはヒト抗体である。「ヒト化」抗体は、一般に、マウス、ラット、ま
たはその他の非ヒト種からのキメラモノクローナル抗体であり、ヒト定常および
/または可変領域ドメイン(「部分的ヒトキメラ抗体」)を保持する。大部分は
、本発明における使用のためのヒト化モノクローナル抗体はキメラ抗体であり、
ここで、マウス、ラットまたはその他の非ヒト抗アミノリン脂質モノクローナル
抗体の、少なくとも第1の抗原結合領域、または相補性決定領域(CDR)が、
ヒト抗体定常領域または「フレームワーク」上に作動可能に結合または「接ぎ木」されている。
【0060】
本明細書中の使用のための「ヒト化」モノクローナル抗体はまた、非ヒト種か
らの抗アミノリン脂質モノクローナル抗体であり得、ここで、1つ以上の選択さ
れたアミノ酸が、ヒト抗体中でより一般に観察されるアミノ酸に交換されている
。これは、慣用的な組換え技法、特に部位特異的変異誘発の使用により容易に達
成され得る。
【0061】
「ヒト化」よりむしろ完全にヒトの抗アミノリン脂質抗体もまた調製され、そ
して本発明の治療剤−標的剤構築物に用いられ得る。このようなヒト抗体は、抗
アミノリン脂質抗体の産生と関連する、任意の1つ以上の種々の疾患、障害また
は臨床症状を有するヒト患者から得られたような、ポリクローナル抗体であり得
る。このような抗体は、本明細書における使用のために、濃縮、部分精製または
実質的に精製され得る。
【0062】
所定の範囲の技法がまた、ヒトモノクローナル抗体を調製するために利用可能
である。抗アミノリン脂質抗体産生疾患を有するヒト患者が存在するので、この
ような患者からの抗アミノリン脂質抗体産生細胞が、インビトロで得られ、そし
て操作され、治療剤−標的剤構築物における使用のためのヒトモノクローナル抗
体を提供し得る。このインビトロ操作または技法は、モノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマを調製するための融合、および/または細胞からの抗アミノリン脂
質抗体をコードする遺伝子をクローニングすること(「組換えヒト抗体」)を含
む。
【0063】
ヒト抗アミノリン脂質抗体産生細胞はまた、本発明の文脈において抗アミノリ
ン脂質抗体関連疾患なしのヒト被験体、すなわち「健常被験体」から得られ得る
。これを達成するために、抗原提示細胞および抗体産生細胞を含む、ヒト被験体
からの混合末梢血リンパ球の集団を単に得、そしてこの細胞集団を、免疫学的に
有効な量のアミノリン脂質サンプルと混合することによりインビトロで刺激する
。ここで再び、このヒト抗アミノリン脂質抗体産生細胞が一旦得られると、治療
剤−標的剤構築物調製物の前にハイブリドーマおよび/または組換え抗体産生に
用いることができる。
【0064】
ヒトモノクローナル抗体産生のためのさらなる技法は、トランスジェニック動
物、好ましくはトランスジェニックマウスを免疫化することを包含し、これは、
免疫学的に有効な量のアミノリン脂質サンプルをともなうヒト抗体ライブラリー
を含む。これはまた、ハイブリドーマおよび/または組換え抗体産生においてさ
らなる操作のためのヒト抗アミノリン脂質抗体産生細胞を生成し、末梢血細胞よ
りもむしろ脾細胞が、トランスジェニック動物またはマウスから容易に得られ得
るという利点を持つ。
【0065】
本発明の治療剤−標的剤構築物における使用のための好適な抗アミノリン脂質
抗体は、抗ホスファチジルセリン(抗PS)抗体および抗ホスファチジルエタノ
ールアミン(抗PE)抗体である。抗PS抗体は、一般に、腫瘍血管内皮細胞の
管腔表面に存在し、発現し、転移し、提示されまたは複合体化されたPS分子を
認識し、結合しまたは免疫特異性を有する。従って、適切な抗体は、ホスファチ
ジル−L−セリンに結合する(Umedaら、1989;本明細書に参考として
援用される)。抗PE抗体は、一般に、腫瘍血管内皮細胞の管腔表面に存在し、
発現し、転移し、提示されまたは複合体化されたPE分子を認識し、結合しまた
は免疫特異性を有する。
【0066】
腫瘍を持つ動物に診断および治療薬剤−標的化薬剤構築物を投与することは、
腫瘍血管の管腔表面に存在し、発現しまたは転移するアミノリン脂質分子への特
異的結合を生じ、すなわち、この治療薬剤−標的化薬剤構築物は、天然の生物学
的環境におけるアミノリン脂質分子に結合する。従って、結合を確実にするため
に、何の特定の操作も必要ではない。
【0067】
しかし、抗体結合に関して、アミノリン脂質分子が、1つ以上のタンパク質ま
たはその他の非脂質生物学的成分と会合している場合、このアミノリン脂質が、
抗アミノリン脂質抗体により、最も頻繁に認識され得、または結合され得ること
に注意することは科学的に興味深い。例えば、特定の疾患および障害を持つ患者
におけるサブセットの抗リン脂質(抗PL)抗体として生じる抗PS抗体は、今
や、β2−糖タンパク質I(β2−GPIまたはアポリポタンパク質H、apoH
)およびプロトロンビン(米国特許第5,344,758号;Rote、199
6;各々は本明細書中に参考として援用される)のようなタンパク質とともにP
Sに結合すると考えられている。同様に、疾患状態で生じる抗PE抗体は、今や
、低分子量および高分子量のキニノーゲン(HK)、プレカリクレインおよび第
XI因子のようなタンパク質までも一緒にPEに結合すると考えられる(Sug
iおよびMcIntyre、1995;1996a;1996b;各々は本明細
書中に参考として援用される)。
【0068】
本明細書で用いられる、用語、腫瘍血管の管腔表面に「提示され」および「複
合体化され」るの意味は、その特定の状態の分子の定義にかかわらず、アミノリ
ン脂質分子が、抗体結合コンピテント状態にある腫瘍血管の表面に存在すること
である。PSは、第II/IIa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IX
a因子および第X/Xa因子との複合体として、なお標的化され得る。さらに、
アミノリン脂質標的の性質は、本発明の実施の間に変化し得る。なぜなら、初期
のアミノリン脂質抗体結合、抗内皮細胞および抗腫瘍効果は、アミノリン脂質標
的エピトープの数、コンフォメーションおよび/または型を改変する生物学的変
化を生じ得るからである。
【0069】
従って、本発明の文脈で用いられる用語「抗アミノリン脂質抗体」は、好まし
くはホスファチジルセリンを基礎にする標的またはホスファチジルエタノールア
ミンを基礎にする標的である、脂質およびアミノ基含有複合体またはアミノリン
脂質標的に少なくとも結合する、任意の抗体、免疫学的結合剤または抗血清;モ
ノクローナル、ヒト、ヒト化、ダイマー、トリマー、マルチマー、キメラ、二重
特異性、組換えまたは操作抗体;またはそのFab’、Fab、F(ab’)2
、DAB、FvまたはscFv抗原結合性フラグメントを意味する。
【0070】
抗体が「アミノリン脂質標的に少なくとも結合する」という要件は、いわゆる
「ヘキサゴナル」および「ヘキサゴナルII相」のPSおよびPE(HexII
PSおよびHexII PE)(Rauchら、1986;Rauchおよび
Janoff、1990;Berardら、1993;各々は参考として援用さ
れる)ならびに任意のその他のタンパク質、脂質、膜成分、血漿成分もしくは血
清成分、またはそれらの任意の組み合わせとともにあるPSおよびPEを含む、
アミノリン脂質の任意および/またはすべての生理学的に関係ある形態に結合す
る抗体により満たされる。従って、「抗アミノリン脂質抗体」は、二重層または
ミセルアミノリン脂質は免疫学的に中性であると考えられ得るという事実にかか
わらず、腫瘍血管中のアミノリン脂質に結合する抗体である。
【0071】
この抗アミノリン脂質抗体は、その他のリン脂質または脂質を排除して、アミ
ノリン脂質分子、またはその免疫原性複合体(ヘキサゴナルアミノリン脂質およ
びタンパク質の組み合わせを含む)を認識するか、結合するかまたはそれに対し
て免疫特異性を有し得る。このような抗体は、「アミノリン脂質特異的抗体また
はアミノリン脂質制限抗体」と称され得、そして本発明の治療薬剤−標的化薬剤
構築物におけるそれらの使用がしばしば好適である。「アミノリン脂質特異的抗
体またはアミノリン脂質制限抗体」は、一般に、ホスファチジルイノシトール(
PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)およびなお特定の実施態様におけ
るホスファチジルコリン(PC)のような、他の脂質成分への有意な結合をほと
んどまたは全く示さないで、アミノリン脂質への有意な結合を示す。
【0072】
「PS特異的抗体またはPS制限抗体」は、一般に、ホスファチジルセリンお
よびカルジオリピン(CL)、ならびにPC、PIおよびPGのような脂質成分
への有意な結合をほとんどまたは全く示さないで、PSへの有意な結合を示す。
「PE特異的抗体またはPE制限抗体」は、一般に、ホスファチジルセリンおよ
びカルジオリピン、ならびにPC、PIおよびPGのような脂質成分への有意な
結合をほとんどまたは全く示さないで、PEへの有意な結合を示す。特異的抗ア
ミノリン脂質抗体の調製は、例えば、Rauchら(1996);Umedaら
(1989);RauchおよびJanoff(1990);およびRoteら
(1993);各々は参考として本明細書に援用される、に開示されるように、
容易に調製される。
【0073】
さらに、他のリン脂質または脂質成分へのより少ないが、しかし検出され得る
結合を示すことに加えて、アミノリン脂質分子、またはその免疫原性複合体(ヘ
キサゴナルアミノリン脂質およびタンパク質の組み合わせを含む)を認識するか
、結合するかまたはそれに対して免疫特異性を有する「交差反応性抗アミノリン
脂質抗体」は、本発明の使用からは決して排除されない。このような「交差反応
性抗アミノリン脂質抗体」は、それらが、インビボで、腫瘍血管内皮細胞の管腔
表面に存在し、発現され、転移し、提示されまた複合体化するアミノリン脂質に
結合する限り採用され得る。
【0074】
さらに適切なアミノリン脂質特異的抗体またはアミノリン脂質制限抗体は、P
SおよびPEの両方に結合するような抗アミノリン脂質抗体である。他の脂質成
分とは対照的に、アミノリン脂質に明確に特異的または制限されて、本発明の好
適な標的の各々に結合する抗体が存在する。本発明の治療薬剤−標的化薬剤構築
物における使用のためのそのような抗体の例は、制限されないで、PS3A、P
SF6、PSF7、PSB4、PS3H1およびPS3E10を含む(Igar
ashiら、1991;本明細書中に参考として援用される)。
【0075】
本発明の治療薬剤−標的化薬剤構築物における使用のために、さらなる例示の
抗PS抗体は、制限されないで、BA3B5C4、PS4A7、PS1G3およ
び3SB9bを含み;PS4A7、PS1G3および3SB9bが一般に好適で
ある。3SB9b抗体(Roteら、1993;本明細書に参考として援用され
る)に基づくモノクローナル抗体、ヒト化抗体および/または抗原結合性フラグ
メントが現在最も好適である。
【0076】
二分子層またはミセル形態にあるPSおよびPEのようなアミノリン脂質は、
非抗原性もしくは弱い抗原性、または非免疫原性もしくは弱い免疫原性であると
報告されているが、その科学文献は、抗PS抗体および抗PE抗体のような抗ア
ミノリン脂質抗体を生成することに困難はないと報告している。抗アミノリン脂質抗体またはモノクローナル抗体は、従って、以下の工程を包含する調製プロセ
スおよび方法により容易に調製され得る。
(a)抗アミノリン脂質抗体産生細胞を調製する工程;および
(b)この抗体産生細胞から抗アミノリン脂質抗体またはモノクローナル抗体を
得る工程。
【0077】
抗アミノリン脂質抗体産生細胞を調製し、そしてそこから抗アミノリン脂質抗
体を得るプロセスは、所定の患者においてインサイチュ(in situ)で実
施され得る。すなわち、患者に、免疫原性的に有効な量の免疫原性アミノリン脂
質サンプルを単に提供することで、抗アミノリン脂質抗体生成を生じる。従って
、抗アミノリン脂質抗体は、抗体産生細胞からなお得られるが、宿主から離れて
単離され、そして引き続き、患者に提供されなければならないことはなく、自然
に腫瘍血管系に局在化し、そしてその生物学的抗腫瘍効果を奏する。
【0078】
本明細書で開示されるように、抗アミノリン脂質抗体産生細胞が、抗アミノリ
ン脂質抗体産生疾患を有する患者から、インビトロでアミノリン脂質を有する刺
激末梢血リンパ球から、そしてまた免疫化プロセスおよび方法により得られ、そ
して続いて抗体が、単離および/または精製され得る。後者は一般に以下を包含
する:
(a)動物を、この動物に免疫原性的に有効な量の、免疫原性アミノリン脂質サ
ンプル(アミノリン脂質のヘキサゴナル、またはヘキサゴナルII相形態のよう
な)、好ましくは免疫原性PSまたはPEサンプルの少なくとも1つの用量、お
よび必要に応じて1つより多くの用量を投与することにより免疫する工程;およ

(b)この免疫化された動物から抗アミノリン脂質抗体産生細胞を得る工程。
【0079】
この免疫学的に有効な量のアミノリン脂質サンプルは、サルモネラ被覆アミノ
リン脂質サンプル(Umedaら、1989;本明細書中に参考として援用され
る);アミノリン脂質ミセル、リポソーム、脂質複合体または脂質処方物サンプ
ル;またはSDSで製造されたアミノリン脂質サンプルであり得る。任意のこの
ようなアミノリン脂質サンプルを、フロイント完全アジュバントのような任意の
適切なアジュバントと組み合わせて投与し得る(Roteら、1993;本明細
書中に参考として援用される)。任意の経験的技法または改変法を採用して、免
疫原性を増大し得、および/またはアミノリン脂質のヘキサゴナルまたはヘキサ
ゴナルII相形態が投与され得る。
【0080】
この免疫化は、免疫学的に有効な量のアミノリン脂質サンプルの1つ以上の脾
臓内注射に基づき得る(Umedaら、1989;本明細書中に参考として援用
される)。
【0081】
免疫プロセスの性質、または免疫される動物の型に関係なく、抗アミノリン脂
質抗体産生細胞が、その免疫された動物から入手され得、そして好ましくは、人
の手でさらに操作される。「免疫された動物」とは、本明細書中で使用される場
合、特にそれ以外と述べられない限りは、非ヒト動物である。任意の抗体産生細
胞が使用され得るが、最も好ましくは、脾臓細胞が、その抗体産生動物の供給源
として入手される。この抗アミノリン脂質抗体産生細胞は、以下を含む調製プロ
セスにおいて使用され得る:
(a)抗アミノリン脂質抗体産生細胞を不死細胞と融合して、抗アミノリン脂
質モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを調製する工程、ならびに
(b)このハイブリドーマから抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を得る工程。
【0082】
従って、ハイブリドーマに基くモノクローナル抗体調製方法は、以下を含むも
のが挙げられる:
(a)その動物に、少なくとも1用量、必要に応じて1を超える用量の、免疫
学的に有効な量の免疫原性アミノリン脂質サンプル(例えば、ヘキサゴナル、ま
たはヘキサゴナルII相形態のアミノリン脂質)、好ましくは免疫原性のPSま
たはPEのサンプルを、投与することによって動物を免疫する、工程;
(b)モノクローナル抗体産性ハイブリドーマのコレクションをこの免疫され
た動物から調製する工程;
(c)このコレクションから、少なくとも第1の抗アミノリン脂質モノクロー
ナル抗体を産生する少なくとも第1のハイブリドーマを、そして好ましくは少な
くとも第1のアミノリン脂質特異的モノクローナル抗体を選択する工程;ならび

(d)この少なくとも第1の抗アミノリン脂質抗体産生ハイブリドーマまたは
アミノリン脂質特異的ハイブリドーマを培養して、この少なくとも第1の抗アミ
ノリン脂質モノクローナル抗体またはアミノリン脂質特異的モノクローナル抗体
を提供する工程;ならびに好ましくは、
(e)この少なくとも第1の抗アミノリン脂質モノクローナル抗体またはアミ
ノリン脂質特異的モノクローナル抗体を、この培養された少なくとも第1のハイ
ブリドーマから得る工程。
【0083】
非ヒト動物が免疫に使用される場合、このようなハイブリドーマから得られた
抗アミノリン脂質モノクローナル抗体は、しばしば非ヒトの性質を有する。必要
に応じて、このような抗体は、当業者に公知であり、そして本明細書中にさらに
開示されるように、ヒト化プロセス(移植または変異)に供され得る。あるいは
、ヒト抗体遺伝子ライブラリーを含むトランスジェニック動物(例えば、マウス
)が使用され得る。従って、このような動物の免疫は、ヒト抗アミノリン脂質抗
体の産生を直接生じる。
【0084】
適切な抗体産生細胞、最も好ましくはハイブリドーマの産生後、ヒト抗体を産
生しようと、または非ヒト抗体を産生しようと、モノクローナル抗体をコードす
る核酸がクローン化されて、「組換え」モノクローナル抗体が調製され得る。任
意の組換えクローニング技術が利用され得、これには、PCRを使用してのこの
抗体をコードする核酸の合成の開始が含まれる。従って、なおさらに適切なモノ
クローナル抗体調製法としては、以下のように抗アミノリン脂質抗体産性細胞を
使用する工程を含むものが挙げられる:
(a)少なくとも第1の抗アミノリン脂質抗体をコードする核酸分子またはセ
グメントを、抗アミノリン脂質抗体産生細胞、好ましくはハイブリドーマから得
る工程;ならびに
(b)この核酸分子またはセグメントを組換え宿主細胞中で発現させて、組換
え抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を得る工程。
【0085】
しかし、組換えモノクローナル抗体の調製に理想的に適する他の強力な組換え
技術が利用可能である。このような組換え技術としては、以下の工程を含む、フ
ァージミドライブラリーに基くモノクローナル抗体調製法が挙げられる:
(a)その動物に、少なくとも1用量、必要に応じて1を超える用量の、免疫
学的に有効な量の免疫原性アミノリン脂質サンプル(例えば、ヘキサゴナル、ま
たはヘキサゴナルII相形態のアミノリン脂質)、好ましくは免疫原性のPSま
たはPEのサンプルを、投与することによって動物を免疫する、工程;
(b)この免疫された動物の抗体産生細胞、好ましくは脾臓から単離されたR
NAを発現する、コンビナトリアルイムノグロブリンファージミドライブラリー
を調製する工程;
(c)このファージミドライブラリーから、少なくとも第1の抗アミノリン脂
質抗体を、そして好ましくは少なくとも第1のアミノリン脂質特異的抗体を発現
する、少なくとも第1のクローンを選択する工程;
(d)この少なくとも第1の選択されたクローンから抗アミノリン脂質抗体を
コードする核酸を得、そしてこの核酸を組換え宿主細胞中で発現させて、この少
なくとも第1の抗アミノリン脂質抗体またはアミノリン脂質特異的抗体を提供す
る工程;ならびに好ましくは、
(e)この少なくとも第1の選択されたクローンから得られた核酸により発現
された、この少なくとも第1の抗アミノリン脂質抗体またはアミノリン脂質特異
的抗体を得る工程。
【0086】
また、このようなファージミドライブラリーに基く技術において、ヒト抗体遺
伝子ライブラリーを保有するトランスジェニック動物が使用され得、これにより
組換えヒトモノクローナル抗体が生成され得る。
【0087】
第1の抗アミノリン脂質抗体核酸セグメントの調製の様式に関わらず、さらに
適切な抗アミノリン脂質核酸セグメントが、標準的分子生物学技術によって、容
易に調製され得る。任意の改変体、変異体または第2世代の抗アミノリン脂質抗
体核酸セグメントが本発明における使用に適切であることを確認するために、こ
の核酸セグメントが試験されて、アミノリン脂質に結合する抗体の発現が確認さ
れる。好ましくは、改変体、変異体または第2世代の抗アミノリン脂質抗体核酸
セグメントはまた試験されて、標準的な、より好ましくは標準的なストリンジェ
ントハイブリダイゼーション条件下で、抗アミノリン脂質抗体核酸セグメントに
対するハイブリダイゼーションが確認される。例示的な適切なハイブリダイゼー
ション条件としては、約7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5M
NaPO4、約1mM EDTA中で約50℃でのハイブリダイゼーション;そ
して約42℃の約1% SDSでの洗浄が挙げられる。
【0088】
種々の組換えモノクローナル抗体が、起源がヒトであろうと非ヒトであろうと
、容易に調製され得る場合、本発明の処置方法は、動物または患者に、生物学的
に有効な量の少なくとも第1の治療薬剤−標的化薬剤構築物をその患者中で発現
する、少なくとも第1の核酸セグメントを提供することによって実行され得る。
「治療薬剤−標的化薬剤構築物を発現する核酸セグメント」は、一般的に、少な
くとも発現構築物の形態であり、そしてウイルス中または組換え宿主中に含まれ
た発現構築物の形態であり得る。本発明の好ましい遺伝子治療ベクターは、一般
的に、ウイルスベクターであり、例えば、組換えレトロウイルス、単純ヘルペス
ウイルス(HSV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、サイト
メガロウイルス(CMV)などの中に含まれている。
【0089】
一旦標的化薬剤が選択されると、抗体に基いていようと、または結合リガンド
に基いていようと、そしてホスファチジルエタノールアミンに結合しようと、か
つ/またはホスファチジルセリンに結合しようと、その標的化薬剤は、1つ以上
の診断薬剤および/または治療薬剤、あるいは「エフェクター」タンパク質に作
動可能に結合される。本発明の構築物の治療薬剤は、一般的に、抗細胞薬剤、細
胞傷害性薬剤または抗脈管形成薬剤か、あるいは凝固因子(凝固薬)のいずれか
である。
【0090】
抗細胞薬剤、細胞傷害性薬剤または抗脈管形成薬剤の使用は、「アミノリン脂
質イムノトキシン」(または抗アミノリン脂質イムノトキシン)を生じるが、凝
固因子の使用は、「アミノリン脂質コアグリガンド」(または抗アミノリン脂質
コアグリガンド)を生じる。これらの用語はまた、簡明のために使用され、そし
て単に、アミノリン脂質結合リガンドまたは治療薬剤−アミノリン脂質標的化薬
剤構築物を、その結合した治療的部分に関していう。
【0091】
本発明はさらに、単一のアミノリン脂質結合部位を含む標的化薬剤に作動可能
に結合された少なくとも2つの治療薬剤を含む結合リガンド、および使用の方法
を提供する。この結合リガンドは、以下を含み得る:少なくとも2つのアミノリ
ン脂質結合部位を含む標的化薬剤に作動可能に結合された少なくとも2つの治療
薬剤;あるいは複数のアミノリン脂質結合部位を含む標的薬剤に、一般的にはそ
のアミノリン脂質結合部位とは異なる領域に作動可能に結合された複数の治療薬
剤。
【0092】
抗細胞性薬剤および細胞傷害性薬剤と凝固因子との組合せもまた意図され、こ
れは、アミノリン脂質結合部位の数に関わらない。異なる種類の治療薬剤の組合
せ使用(例えば、細胞毒と凝固薬もまた実施態様において意図され、この実施態
様において、2つ以上の結合リガンドが動物に投与され、このリガンドの各々が
単一の型の治療薬剤を含む。異なる細胞毒もまた、1つ以上の結合リガンドまた
は方法(例えば、伝統的細胞毒(例えば、リシン)と組み合わされたDNA合成
インヒビター)において使用され得る。
【0093】
特定の適用において、アミノリン脂質標的化構築物は、細胞傷害性薬剤、細胞
増殖抑制性薬剤、または内皮細胞を殺傷するか、あるいはその増殖または細胞分
裂を抑制する能力を有する他の抗細胞性薬剤に、作動可能に結合される。適切な
抗細胞性薬剤は、化学療法薬剤、ならびに細胞毒および細胞増殖抑制性薬剤を含
む。細胞増殖抑制性薬剤は、一般的には、標的細胞の天然の細胞周期を、好まし
くはその細胞がその細胞周期から抜け出すように妨害するものである。
【0094】
例示的化学療法剤としては、以下が挙げられる:ステロイド;サイトカイン;
代謝拮抗物質(例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキ
サートまたはアミノプテリン);アントラサイクリン;マイトマイシンC;ビン
カアルカロイド;抗生物質;デメコルチン;エトポシド;ミトラマイシン;およ
び抗腫瘍アルキル化薬剤(例えば、クロラムブシルまたはメルファラン)。実際
、本明細書中で表Cにおいて開示される任意の薬剤が使用され得る。特定の好ま
しい抗細胞性薬剤は、DNA合成インヒビター(例えば、ダウノルビシン、ドキ
ソルビシン、アドリアマイシンなど)である。
【0095】
他の実施態様において、本発明のアミノリン脂質標的化構築物は、抗脈管形成
薬剤に作動可能に結合され得、この薬剤は、単独でか、あるいは他の宿主因子と
ともに、または投与される治療薬剤とともにのいずれかで作用し、血管新生を妨
げるかまたは阻害する能力、および/または血管の後退を誘導する能力を有する
。適切な抗脈管形成薬剤としては、表Dに列挙したもの、ならびに当業者に公知
の他の抗脈管形成薬剤が挙げられる。例示だけのために、アンジオポエチン(a
ngiopoietin)が挙げられ得、好ましくは、アンジオポエチン−2(
Ang−2;配列番号3および配列番号4)、アンジオポエチン−1(Ang−
1;配列番号1および配列番号2)アンジオポエチン融合タンパク質(例えば、
配列番号5におけるような)もまた、そしてアンジオポエチン−3およびアンジ
オポエチン−4でさえも、挙げられ得る。
【0096】
特定の治療適用において、毒素部分が、他の可能な薬剤と比較して、ほとんど
の毒素が細胞殺傷効果を送達する大いに優れた能力に起因して、好ましい。従っ
て、アミノリン脂質標的化構築物のために好ましい特定の抗細胞性薬剤は、植物
由来毒素、真菌由来毒素または細菌由来毒素である。例示的毒素としては、以下
が挙げられる:エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxi
n);細菌性エンドトキシンまたは細菌性エンドトキシンの脂質A部分;リボソ
ーム不活化タンパク質(例えば、サポリンまたはゲロニン);α−サルシン;ア
スペルギリン;レストリクトシン(restrictocin)、リボヌクレア
ーゼ(例えば、胎盤リボヌクレアーゼ);ジフテリア毒素およびpseudom
onas体外毒素。
【0097】
特定の実施態様に好ましい毒素は、ゲロニン(gelonin)および/また
はA鎖毒素(例えば、リシンA鎖)である。最も好ましい毒素部分は、しばしば
、炭水化物残基を修飾または除去するように処理されたリシンA鎖、いわゆる「
脱グリコシル化A鎖」(dgA)である。脱グリコシル化リシンA鎖が、好まし
い。なぜなら、その極度の効能(より長い半減期)のため、そしてそれを臨床グ
レードまたは臨床規模で製造することが、経済的に可能であるからである。組換
えおよび短縮型リシンA鎖もまた使用され得る。
【0098】
腫瘍標的化およびイムノトキシンでの処置のために、以下の特許および特許出
願が、抗細胞性薬剤および細胞傷害性薬剤に関する本発明の教示をよりさらに補
完する目的のために、参考として本明細書中で特に援用される:米国特許第5,
855,866号;同第5,776,427号;同第5,863,538号;お
よび5,660,827号;ならびに米国特許出願第07/846,349号;
同第08/295,868号(特許第5, , 、(特許証発行料金払い
済み));同第08/350,212号(特許第5, , 、(特許証発
行料金払い済み));および同第08/457,869号(特許査定通知受領済
み)。
【0099】
本発明のアミノリン脂質標的化構築物は、凝固を促進し得る成分(すなわち、
凝固剤)を含み得る。ここで、標的化抗体またはリガンドは、凝固を直接または
間接的に刺激する因子に、例えば、別の抗体を介して、直接または間接的に連結
され得る。
【0100】
このような用途のための好ましい凝固因子は、「組織因子」(TF)およびT
F誘導体(例えば、短縮TF(tTF)、二量体TF、三量体TF、重合体/多
量体のTFおよび変異体TF(第VII因子を活性化する能力を欠く))である
。他の適切な凝固因子としては、ビタミンK依存性凝固剤(例えば、第II/I
Ia因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子および第X/Xa因子
);Gla改変を欠くビタミンK依存性凝固因子;ラッセルクサリヘビ蛇毒第X
因子アクチベーター;血小板活性化化合物(例えば、トロンボキサンA2および
トロンボキサンA2シンターゼ);ならびにフィブリン溶解のインヒビター(例
えば、α2抗プラスミン)が挙げられる。
【0101】
コアグリガンドを用いた腫瘍標的化および処置は、以下の特許および特許出願
(それぞれは、コアグリガンドおよび凝固因子に関して本発明の教示をなおさら
に補充する目的のための参考として本明細書において詳細に援用される)に記載
される:米国特許第5,855,866号および同第5,877,289号;米
国出願番号07/846,349号;同第08/350,212号(特許番号5, , ;出願料支払い済み);同第08/482,369号(米国特
許5, , ;出願料支払い済み);同第08/487,427号(米
国特許5, , ;出願料支払い済み);および同第08/479,7
27号(米国特許5, , ;出願料支払い済み)。
【0102】
凝固剤のいくらか広範な分布は、重篤な副作用と関連しないので、コアグリガ
ンドの標的化エレメントに課されるストリンジェント要件はイムノトキシンでよ
りも低ストリンジェントである。従って、腫瘍血管において凝固が促進される特
定の標的化手段を達成することは、非腫瘍部位における血管系に関する。従って
コアグリガンドの特異的標的化は、標的化剤の生体分布特性に関する純粋に物理
的な用語よりも機能的な用語である。
【0103】
イムノトキシンの調製は、一般に当該分野で周知である(例えば、米国特許第
4,340,535号(本明細書において参考として援用される)を参照のこと
)。以下の特許および特許出願のそれぞれは、イムノトキシンの生成、精製およ
び使用に関して本発明の教示をなおさらに補充する目的のために本明細書におい
て参考としてさらに援用される:米国特許第5,855,866号;同第5,7
76,427号;同第5,863,538号;および同第5,660,827号
;ならびに米国特許出願番号07/846,349;同第08/295,868
号(米国特許5, , ;出願料支払い済み);同第08/350,2
12号(米国特許5, , ;出願料支払い済み);および同第08/
457,869号(特許査定受領済み)。
【0104】
イムノトキシンの調製において、特定のリンカーの使用を通じて利点が達成さ
れ得る。例えば、立体的に「邪魔される」ジスルフィド結合を含むリンカーが、
インビボでのそのより大きい安定性に起因して(従って、作用の部位で結合の前
に毒素部分の放出を防ぎ)、しばしば、好ましい。意図される作用部位(この部
位では、結合体が良好な「放出」特性を有することが所望される)を除く身体内
のいずれでも見られる条件下でインタクトなままである結合体を有することが一
般に所望される。
【0105】
用いられる特定の毒素化合物に依存して、標的化剤および毒素化合物に作動可
能に付着するペプチドスペーサーを提供することが必要とされ得る。ここでペプ
チドスペーサーは、ジスルフィド結合されたループ構造に折り畳まれ得る。次い
で、ループ内のタンパク質分解性切断は、ヘテロ二量体性のポリペプチドを生じ
る。ここで標的化剤および毒素化合物は、唯一のジスルフィド結合により連結さ
れる。
【0106】
特定の他のタンパク質の毒素化合物が利用される場合、切断不能なペプチドス
ペーサーは、標的化剤および毒素化合物に作動可能に付着するように提供され得
る。切断不能なペプチドスペーサーと組み合わせて使用され得る毒素は、それ自
体が、タンパク質分解性切断により細胞傷害性ジスルフィド結合形態に転換され
得る毒素である。このような毒素化合物の例はPseudonomas外毒素化
合物である。
【0107】
種々の化学療法剤および他の薬理学的因子はまた、アミノリン脂質抗体または
標的化リガンドに首尾良く結合体化され得る。抗体に結合体化された例示的な抗
腫瘍性の薬剤としては、ドキソルビシン、ダウノマイシン、メトトレキサートお
よびビンブラスチンが挙げられる。さらに、ネオカルジノスタチン、マクロマイ
シン、トレニモン(trenimon)およびαアマニチンのような他の薬剤の付着は、記載されている(米国特許第5,855,866号;および特許番号5
, ;(出願番号08/350,212号(出願料支払い済み)、
およびそこに援用されている参考文献を参照のこと)。
【0108】
本発明者らの初期の研究の1つに照らして、いまやコアグリガンドの調製はま
た、容易に実施される。1つ以上の凝固因子とアミノリン脂質標的化剤との作動
可能な結合は、イムノトキシンについて上記されたのと同様、直接の結合であり
得る。あるいは、作動可能な結合は、例えば、標的化剤が第2の結合領域、およ
び好ましくは、抗体または抗体の抗原結合領域(凝固因子に結合する)に作動可
能に付着される場合、間接的な付着であり得る。凝固因子は、その機能的凝固部
位(特に共有結合が分子の結合に用いられる部位)と異なる部位で標的化剤に結
合されるはずである。
【0109】
間接的に結合するコアグリガンドは、しばしば二重特異性抗体に基く。二重特
異性抗体の調製はまた当該分野で周知である。1つの調製的方法は、一方では標
的化された腫瘍成分、および他方では、凝固剤について特異性を有する抗体の分
離調製を含む。次いで、2つの選択抗体からのペプシンF(ab’γ)2フラグ
メントを生成し、続いてそれぞれを還元させてFab’γSHフラグメントを分離
させる。次いで、結合される2つのパートナーの1つのSH基が架橋試薬(o−
フェニレンジマレイミド)でアルキル化され、1つのパートナー上に遊離のマレ
イミド基を提供する。次いで、このパートナーは、チオエーテル結合により他の
パートナーと結合体化され、所望のF(ab’γ )2異種結合体を生じ得る(G
lennieら、1987;参考として本明細書に援用される)。他のアプロー
チ(例えば、SPDPまたはプロテインAとの架橋)がまた実行され得る。
【0110】
二重特異性抗体を生成するための別の方法は、クアドローマを生成するための
2つのハイブリドーマの融合による。本明細書において用いる場合、用語「クア
ドローマ(quadroma)」は、2つのB細胞ハイブリドーマの生産的な融
合を記載するために用いられる。現在の標準的技術を用いて、ハイブリドーマを
産生する2つの抗体が融合され娘細胞が得られる。次いで、クローン型の免疫グ
ロブリン遺伝子の両方のセットの発現を維持したそれらの細胞が選択される。
【0111】
クアドローマを生成する好ましい方法は、少なくとも1つの親のハイブリドー
マの酵素欠失変異体の選択を含む。次いで、この最初の変異体ハイブリドーマ細
胞株は、致死的に例えば、ヨードアセトアミドに曝露された第2のハイブリドー
マの細胞に融合され、その連続した生存を妨げられる。細胞融合は、致死的に処
理されたハイブリドーマからその酵素欠損遺伝子を得ることにより第1のハイブ
リドーマのレスキューを可能にし、そして第1のハイブリドーマに対する融合を
通じて第2のハイブリドーマのレスキューを可能にする。同じアイソタイプだが
異なるサブクラスの免疫グロブリンの融合が好ましいが、必須ではない。混合し
たサブクラスの抗体は、好ましいクアドローマの単離を代替アッセイする場合の
使用を可能にする。
【0112】
マイクロタイター同定の実施態様、FACS、免疫蛍光染色、イディオタイプ
特異的抗体、抗原結合競合アッセイおよび抗体特徴付けの分野で通常の他の方法
は、好ましいクアドローマを同定するために用いられ得る。クアドローマの単離
後、二重特異性抗体が、他の細胞産物から精製される。これは、免疫グロブリン
精製の当業者に公知の種々の抗体単離手順により達成され得る(例えば、Ant
ibodies:A Laboratory Manual,1988を参照の
こと;本明細書において参考として援用される)。プロテインAまたはプロテインGセファロースカラムが好ましい。
【0113】
イムノトキシンおよびコアグリガンドの両方の調製において、組換え発現が使
用され得る。選択される標的化剤および毒素または凝固剤をコードする核酸配列
が発現ベクターにインフレームで付着される。従って、組換え発現は、核酸の翻
訳を生じ、所望の標的化剤−毒素/凝固剤の化合物を生じる。化学的架橋剤およ
びアビジン:ビオチン架橋はまた、標的化剤に対して治療剤を結合させ得る。
【0114】
以下の特許および特許出願は、それぞれ、コアグリガンド(二重特異性抗体コ
アグリガンドを含む)の調製、精製および使用に関する本発明の教示をなおさら
に補足する目的のために参考として本明細書に援用される:米国特許第5,85
5,866号および同第5,877,289号;米国出願番号07/846,3
49号;同第08/350,212号(特許番号5, , ;出願料支
払い済み);同第08/273,567号;同第08/482,369号;同第
08/485,482号;および同第08/472,631号(米国特許番号5
, ;出願料支払い済み);同第08/487,427号(米国特
許番号5, , ;出願料支払い済み);ならびに同第08/479,
727号および同第08/481,904号(米国特許第号5,
出願料支払い済み)。
【0115】
特定の実施態様において、処置されるべき動物または患者の血管新生された腫
瘍の血管系は、まず画像化され得る。一般的にこれは、診断的有効量の少なくと
も第1の薬学的組成物を動物または患者に最初に投与することにより達成される
。この第1の薬学的組成物は、血管新生された腫瘍の血管または腫瘍内血管の内
腔表面に存在し、発現し、転移され、提示され、または複合体化されるアミノリ
ン脂質(好ましくは、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールア
ミン)に結合しそして同定する少なくとも第1の検出可能に標識されたアミノリ
ン脂質結合構築物を含む。従って、本発明はさらに、腫瘍および/または腫瘍内
血管と正常な血管との間の識別における使用のための組成物、および識別の方法
を提供する。「識別(distinguishing)」は、記載された1つ以
上の検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物を投与することにより達成
される。
【0116】
検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物は、以下を含み得る:ビスマ
ス(III)、金(III)、ランタン(III)または鉛(II)のようなX
線検出可能化合物;銅67、ガリウム67、ガリウム68、インジウム111、インジウ
113、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、水銀197、水銀203、レニウム186
レニウム188、ルビジウム97、ルビジウム103、テクネチウム99m、またはイット
リウム90のような放射活性イオン;コバルト(II)、銅(II)、クロム(I
II)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、ガドリニウム(I
II)、ホルミウム(III)、鉄(II)、鉄(III)、マンガン(II)
、ネオジム(III)、ニッケル(II)、サマリウム(III)、テルビウム
(III)、バナジウム(II)またはイッテルビウム(III)のような核磁
気スピン共鳴アイソトープ;あるいはローダミンまたはフルオレセイン。
【0117】
従って、腫瘍処置前の事前画像化は、以下により実行され得る:
(a)診断上有効な量の薬学的組成物を動物または患者に投与する工程であっ
て、この薬学的組成物は、血管新生された腫瘍の血管の内腔表面または腫瘍内血
管に存在し、発現し、転移され、提示され、または複合体化されるアミノリン脂
質(好ましくは、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミン)に結合する抗体、結合タンパク質もしくはリガンド、またはそれらのアミノリ
ン脂質結合フラグメントに作動可能に付着された診断剤を含む少なくとも第1の
検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物を含む、工程;ならびに
(b)腫瘍の血管または腫瘍内血管の内腔表面で、アミノリン脂質(好ましく
は、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミン)に結合する
検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物を引き続き検出し、これにより
腫瘍血管系の画像を獲得する、工程。
【0118】
癌の処置はまた、以下により実行され得る:
(a)血管新生された腫瘍を有する動物または患者に、診断上で最少量の少な
くとも第1の検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物を投与することに
より血管新生された腫瘍の画像を形成する工程であって、ここで、このアミノリ
ン脂質結合構築物は、腫瘍の内腔表面または血管新生された腫瘍の腫瘍内血管上
で、アミノリン脂質(好ましくは、ホフファチジルセリンまたはホスファチジル
エタノールアミン)に結合する抗体、結合タンパク質もしくはリガンド、または
それらのアミノリン脂質結合フラグメントに作動可能に付着された診断剤を含み
、これにより腫瘍血管系の検出可能な画像を形成する、工程;ならびに
(b)引き続き、同じ動物または患者に、腫瘍または腫瘍内血管の内腔表面で
、アミノリン脂質(好ましくは、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエ
タノールアミン)に結合する診断上で最適化された量の少なくとも第1の治療剤
−標的化剤構築物を投与し、これにより腫瘍血管系を破壊する、工程。
【0119】
従って、一般的に、以下を含む画像化および処置処方物または医薬が提供され
る:
(a)腫瘍の内腔表面または血管新生された腫瘍の腫瘍内血管上で、アミノリ
ン脂質(好ましくは、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールア
ミン)に結合する抗体、結合タンパク質もしくはリガンド、またはそれらのアミ
ノリン脂質結合フラグメントに作動可能に付着された検出可能剤を含む、診断上
有効量の検出可能に標識されたアミノリン脂質結合構築物を含む、第1の薬学的
組成物;ならびに
(b)治療上有効量の少なくとも1つの治療剤−標的化剤構築物(好ましくは
、ホフファチジルセリンまたはホスファチジルエタノールアミンに結合するもの
)を含む第2の薬学的組成物。
【0120】
このような方法および医薬において、利点が理解される。ここで第1の薬学的
組成物および第2の薬学的組成物は、同じ標的化剤、例えば、同じ抗体調製物由
来の、または好ましくは同じ抗体産生ハイブリドーマ由来の抗アミノリン脂質抗
体、もしくはそのフラグメントを含む。前述の医薬はまた、さらに1つ以上の抗
癌剤を含み得る。
【0121】
本発明の血管系画像化の局面において、投与された、検出可能に標識されたア
ミノリン脂質結合構築物または抗アミノリン脂質抗体検出剤それ自体が治療効果
を有し得ることが認識される。これは本発明からは除外されないが、投与される
べき検出可能に標識された構築物の量は一般に、代表的には治療的利点に必要な
量よりも少ない「診断上有効な量」として選択される。
【0122】
画像化の実施態様において、治療剤を用いるのと同様、標的化剤は抗体ベース
または結合リガンドベースもしくは結合タンパク質ベースのいずれかであり得る
。腫瘍または腫瘍血管系と以前に結合されないが、検出可能に標識されたアミノ
リン脂質結合リガンド組成物は、当該分野で公知であり、そしてここで本動機付けおよび本開示に照らして、本発明に用いられ得る。従って、米国特許第5,6
27,036号;WO95/19791;WO95/27903;WO95/3
4315;WO96/17618;およびWO98/04294(それぞれ本明
細書において参考として援用される)の検出可能に標識されたアネキシンが使用
され得る。
【0123】
なおさらなる実施態様において、本発明により処置される動物または患者は、
さらに、手術または放射線療法に供されるか、または治療上有効量の少なくとも
1つの第1の抗癌剤を提供される。この文脈において「少なくとも1つの第1の
抗癌剤」は、本発明の治療剤−標的化剤構築物に加えて、少なくとも1つの第1
の抗癌剤を意味する。従って、「少なくとも1つの第1の抗癌剤」は、「少なく
とも1つの第2の抗癌剤」であると考えられ得る。ここで治療剤−標的化剤構築
物は、第1の抗癌剤である。しかし、これは、純粋に記号論の問題であり、そし
て実際の意味は当業者には明白である。
【0124】
少なくとも1つの第1の抗癌剤は、治療剤−標的化剤構築物と(例えば、近接
して一緒に投与される単一の薬学的組成物からまたは2つの薬学的組成物から)
実質的に同時に、動物または患者に投与され得る。
【0125】
あるいは、少なくとも1つの第1の抗癌剤は、少なくとも1つの第1の治療剤
−標的化剤構築物の投与に引き続く時点で動物または患者に投与され得る。本明
細書において用いる場合「引き続く時点」は、「時差的(staggered)
」を意味する。その結果、少なくとも1つの第1の抗癌剤は、少なくとも1つの
第1の治療剤−標的化剤構築物の投与と別の時点で動物または患者に投与される
。一般に、2つの薬剤は効果的に離れた時間で投与され、2つの薬剤がそのそれ
ぞれの治療効果を発揮することを可能にする。すなわち、それらは「生物学的に
効果的な時間間隔」で投与される。
【0126】
少なくとも1つの第1の抗癌剤は、治療剤−標的化剤構築物の前に、生物学的
に効果的な時間で、または治療剤−標的化剤構築物に引き続く生物学的に有効な
時点で動物または患者に投与され得る。治療剤−標的化剤構築物に引き続く治療
的に有効な時点での非アミノリン脂質標的化抗癌剤の投与は、特に所望され得る
。ここで、抗癌剤は、腫瘍の最外縁で腫瘍細胞を殺傷するように設計された抗腫
瘍細胞イムノトキシンであり、および/または抗癌剤は、任意の残存腫瘍細胞の
微小転移を妨げるように設計された抗血管形成性剤である。このような考察は当
業者に公知である。
【0127】
治療剤−標的化剤構築物の前の治療的有効時点での1つ以上の非アミノリン脂
質標的化抗癌剤(抗癌剤はアミノリン脂質発現を増大するように設計される)の
投与が、特に使用され得る。これは、腫瘍内皮を損傷するかまたは腫瘍内皮にア
ポトーシスを誘導する抗癌剤を用いることにより達成され得る。例示的な抗癌剤
としては、例えば、以下が挙げられる:タキソール、ビンクリスチン、ビンブラ
スチン、ネオマイシン、コンブレタスタチン(combretastatin)
、ポドフィロトキシン、TNF−α、アンギオスタチン(angiostati
n)、エンドスタチン(endostatin)、バスキュロスタチン(vas
culostatin)、αvβ3アンタゴニスト、カルシウムイオノフォア、カ
ルシウム流誘導化剤(calcium−flux inducing agen
ts)、それらの任意の誘導体またはプロドラッグ。
【0128】
1つ以上のさらなる抗癌剤は、化学療法剤、放射線療法剤、サイトカイン、抗脈管形成剤、アポトーシス誘導化剤または抗癌イムノトキシンもしくはコアグリ
ガンドであり得る。本明細書において用いる場合、「化学療法」は、悪性疾患の
処置において用いられる古典的化学療法剤または薬物をいう。この用語は、他の
化合物が、抗癌効果を発揮するという点で化学療法剤として技術的に記載され得
るという事実にかかわらず簡易に使用される。しかし、「化学療法剤」は、当該
分野において異なる意味を有するようになっており、そしてこの標準的意味に従
って用いられている。
【0129】
多数の例示的化学療法剤が本明細書において記載されている。当業者は容易に
化学療法剤の使用および適切な用量を理解するが、この用量は本発明と組み合わ
せて用いられる場合、容易に減少され得る。「化学療法剤」とも名付けられ得る
新しいクラスの薬物は、アポトーシスを誘導する薬剤である。任意の1つ以上の
このような薬物(遺伝子、ベクターおよびアンチセンス構築物を含む)はまた、
適切な場合、本発明と組み合わせて用いられ得る。
【0130】
抗癌イムノトキシンまたはコアグリガンドはさらに適切な抗癌剤である。「抗
癌イムノトキシンまたはコアグリガンド」または標的化剤/治療剤構築物は、標
的剤に基く。この標的剤は、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍支質の標的可能な
成分に結合し、そして治療剤(一般には、細胞傷害性薬剤(イムノトキシン)ま
たは凝固因子(コアグリガンド))に作動可能に付着する抗体、またはそれらの
抗原結合フラグメントを含む。腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍支質の「標的可
能成分」は、好ましくは表面発現成分、表面接触可能成分または表面局在化成分
であるが、壊死かさもなければ傷害された腫瘍細胞もしくは血管内皮細胞から放
出された成分(細胞質ゾル腫瘍細胞抗原および/または核腫瘍細胞抗原を含む)
はまた、標的化され得る。
【0131】
抗体標的化剤および非抗体標的化剤の両方が用いられ得、これには以下が挙げ
られる:VEGFおよびFGFのような増殖因子;腫瘍血管系に特異的に結合す
るトリペプチドR−G−Dを含有するペプチド;ならびにアネキシンおよび関連
するリガンドのような他の標的化成分。
【0132】
抗腫瘍細胞イムノトキシンまたはコアグリガンドは、B3(ATCC HB
10573)、260F9(ATCC HB 8488)、D612(ATCC
HB 9796)およびKS1/4からなる群により例証される抗体を含み得
る。このKS1/4抗体は、ベクターpGKC2310(NRRL B−183
56)またはベクターpG2A52(NRRL B−18357)を含む細胞か
ら得られた。
【0133】
抗腫瘍支質イムノトキシンまたはコアグリガンドは、フィブリン、RIBSま
たはLIBSへの結合により例証されるように、一般に結合組織成分、基底膜成
分、または活性化血小板成分に結合する抗体を含む。
【0134】
抗腫瘍血管系のイムノトキシンまたはコアグリガンドは、血管新生された腫瘍
の血液輸送血管(好ましくは腫瘍内血管)の表面発現成分、表面接触可能成分、
または表面局在化成分に結合するリガンド、抗体またはそれらのフラグメントを
含み得る。このような抗体は、血管新生された腫瘍の腫瘍内血管の表面発現成分
に結合する抗体を含む。これには、以下が挙げられる:アミノリン脂質自体、お
よび腫瘍内血管系細胞表面レセプター(例えば、エンドグリン(TEC−4抗体
およびTEC−11抗体))、TGFβレセプター、E−セレクチン、P−セレ
クチン、VCAM−1、ICAM−1、PSMA、VEGF/VPFレセプター、FGFレセプター、TIE、αvβ3インテグリン、プレイオトロピン、エンド
シアリンならびにMHCクラスIIタンパク質。この抗体はまた、腫瘍内血管の
サイトカイン誘導性成分または凝固剤誘導性成分に結合し得る。
【0135】
他の抗腫瘍血管系イムノトキシンまたはコアグリガンドは、腫瘍内血管系細胞
表面レセプターに結合するリガンドまたは増殖因子に結合する抗体またはそれら
のフラグメントを含み得る。このような抗体は、VEGF/VPF(GV39お
よびGV97抗体)、FGF、TGFβ、TIEに結合するリガンド、腫瘍関連
フィブロネクチンアイソフォーム、散乱因子/肝細胞増殖因子(HGF)、血小
板因子4(PF4)、PDGFおよびTIMPと結合する抗体を含む。この抗体
またはそれらのフラグメントはまた、リガンド:レセプター複合体または増殖因
子:レセプター複合体に結合し得るが、リガンドもしくは増殖因子またはレセプ
ターがリガンド:レセプター複合体または増殖因子:レセプター複合体でない場
合、リガンドもしくは増殖因子またはレセプターには結合し得ない。
【0136】
抗腫瘍細胞、抗腫瘍支質または抗腫瘍脈管抗体治療剤構築物は、植物由来毒素
、真菌由来毒素、または細菌由来毒素(イムノトキシン)のような細胞傷害性薬
剤を含み得る。リシンA鎖および脱グリコシル化リシンA鎖が、しばしば好まし
い。そしてゲロニン(gelonin)およびアンギオポエチン(angiop
oietin)がまた意図される。抗腫瘍細胞、抗腫瘍支質または抗腫瘍脈管抗
体治療剤構築物は、凝固因子(コアグリガンド:coaguligand)に結
合する凝固因子または第二の抗体結合領域を含み得る。組織因子または組織因子
誘導体(例えば、短縮された組織因子)との作動可能な結合が、しばしば好まし
い。
【0137】
本発明はなおさらに、一連の新規な治療結合リガンド、結合リガンド組成物、
および薬学的組成物を提供し、これらの各々は、少なくとも第1の治療剤(例え
ば、サイトトキシン、抗血管形成性因子または凝固剤)に作動可能に結合させた
、アミノリン脂質に結合する少なくとも第1の標的化剤を含む。放射標識は、一
般に、結合リガンドおよび結合リガンド組成物から除かれるが、上記の診断法、
またはさらに治療法からは除かれない。
【0138】
結合リガンドの標的化剤は、好ましくは、ホスファチジルエタノールアミンお
よび/またはホスファチジルセリンに結合する。治療方法および組み合わせた方
法の状況において、上記の結合リガンドの全範囲は、本発明の組成物に利用され
得る。アネキシン結合体および構築物;抗PS抗体、抗PE抗体、ヒト抗体、ヒ
ト化抗体、およびモノクローナル抗体の結合体および構築物;リシン結合体;な
らびに組織因子結合体および構築物は、現在好ましい。一つ以上の組織因子誘導
体(好ましくは、短縮型組織因子)に作動可能に結合した一つ以上の抗PS抗体
を含む組成物は、現在特に好ましい。
【0139】
直接的または間接的な結合および連結は、結合リガンド組成物(二重特異的抗
体の全ての改変体を含む)において利用され得る。アミノリン脂質に結合する抗
体の第1の抗原結合領域の、組織因子または組織因子誘導体に結合する抗体の第
二の抗原結合領域との作動可能な組み合わせもまた、好ましい。アミノリン脂質
結合タンパク質構築物または結合体では、アネキシンが好ましく、アネキシンV
がより好ましく、そして短縮型組織因子に作動可能に結合したアネキシンVが現
在最も好ましい。
【0140】
従って、本発明の成分は、少なくとも第1の治療剤に作動可能に結合した、少なくとも第1の抗アミノリン脂質抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む
抗体構築物、ならびに治療剤に結合する第二の抗原結合領域に作動可能に結合し
たアミノリン脂質に結合する第1の抗原結合領域を含む二重特異的抗体を含む。
【0141】
組成物および薬学的組成物は、少なくとも第一および第二の結合リガンド(各
々、少なくとも第1の治療剤に作動可能に結合した少なくとも第1の標的化剤を
含む)を含み得る。ここで、各標的化剤は、アミノリン脂質に結合する。ホスフ
ァチジルエタノールアミンに結合する少なくとも第1の結合リガンドおよびホス
ファチジルセリンに結合する少なくとも第二の結合リガンドを含む組成物および
薬学的組成物は、例示的な組み合わせ組成物である。
【0142】
本発明はなおさらに、本発明の方法と関連して使用するための一連の新規な治
療キット、医薬および/またはカクテルを提供する。そのキット、医薬、および
/またはカクテルは、一般に、組み合わせた有効量の抗癌剤および治療剤標的化
剤構築物、好ましくは、ホスファチジルセリンまたはホスファチジルエタノール
アミンに結合するものを含む。画像化成分もまた含まれ得る。
【0143】
キットおよび医薬は、好ましくは、適切な容器手段中に、生物学的有効量の少
なくとも第1の治療剤標的化剤構築物(好ましくは、ホスファチジルセリンまた
はホスファチジルエタノールアミンに結合する)を、生物学的有効量の少なくと
も第1の抗癌剤と組み合わせて包含する。そのキットおよび医薬の成分は、単一
の容器または容器手段内に含まれ得、または別々の容器または容器手段内に含ま
れ得る。そのカクテルは、一般に、組み合わせた使用のために一緒に混合される

【0144】
上記の治療剤標的化剤構築物の全範囲は、そのキット、医薬および/またはカ
クテルに利用され得、そしてアネキシン結合体および構築物;抗PS抗体、抗P
E抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、およびモノクローナル抗体の結合体および構築
物;リシン結合体;ならびに組織因子結合体および構築物が好ましい。抗癌剤も
また、上記のものであり、化学療法剤、放射線療法剤、抗血管形成剤、アポトー
シス剤、免疫毒素、およびコアグリガンド(coaguligand)が含まれ
る。静脈内投与のために処方された薬剤は、しばしば、好ましい。
本発明は例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)治療剤に作動可能に付着されたアミノリン脂質に結合する標的化剤を
含む結合リガンド。
(項目2)前記標的化剤が抗アミノリン脂質抗体またはそれらの抗原結合フラグ
メントを含む、項目1に記載の結合リガンド。
(項目3)前記標的化剤がIgGまたはIgM抗アミノリン脂質抗体を含む、項
目2に記載の結合リガンド。
(項目4)前記標的化剤が、抗アミノリン脂質抗体のscFvs Fv、Fab
’、FabまたはF(ab’)抗原結合領域を含む、項目2に記載の結合リガ
ンド。
(項目5)前記標的化剤が、モノクローナル抗アミノリン脂質抗体またはそれら
の抗原結合フラグメントを含む、項目1〜4のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目6)前記モノクローナル抗アミノリン脂質抗体またはそれらの抗原結合フ
ラグメントが、以下:
(a)抗アミノリン脂質抗体産生細胞を調製する工程;および
(b)該抗体産生細胞から抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を得る工程
を包含する調製プロセスによって調製される、項目5に記載の結合リガンド。
(項目7)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞がヒト患者細胞であり、該患者が、抗アミノリン脂質抗体の産生を伴う疾患を有する、項目6に記載の結合リガン
ド。
(項目8)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞が、免疫原性的に有効な量のアミ
ノリン脂質サンプルでのヒト末梢血リンパ球の混合集団のインビトロ刺激により
得られる、項目6に記載の結合リガンド。
(項目9)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞が、免疫原性的に有効な量のアミ
ノリン脂質サンプルでの非ヒト動物の免疫により得られる、項目6に記載の結合
リガンド。
(項目10)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞が、免疫原性的に有効な量のア
ミノリン脂質サンプルでのヒト抗体ライブラリーを含むトランスジェニックマウ
スの免疫により得られる、項目9に記載の結合リガンド。
(項目11)前記調製プロセスが、以下:
(a)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞を不死化細胞と融合させて、抗アミノ
リン脂質モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを調製する工程;および
(b)該ハイブリドーマから該抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を得る工程
を包含する、項目6に記載の結合リガンド。
(項目12)前記調製プロセスが、以下:
(a)免疫原性的に有効な量のアミノリン脂質サンプルで非ヒト動物を免疫する
工程;
(b)該免疫した動物から抗体産生ハイブリドーマのコレクションを調製する工
程;
(c)該コレクションから、抗アミノリン脂質抗体を産生するハイブリドーマを
選択する工程;および
(d)該選択したハイブリドーマを培養して、該抗アミノリン脂質モノクローナ
ル抗体を提供する工程
を包含する、項目6に記載の結合リガンド。
(項目13)前記免疫した動物がヒト抗体ライブラリーを含むトランスジェニッ
クマウスであり、前記抗アミノリン脂質モノクローナル抗体がヒトモノクローナ
ル抗体である、項目12に記載の結合リガンド。
(項目14)前記調製プロセスが、以下:
(a)前記抗アミノリン脂質抗体産生細胞から前記抗アミノリン脂質抗体をコー
ドする核酸を得る工程;および
(b)該核酸を発現させて、組換え抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を得る
工程
を包含する、項目6に記載の結合リガンド。
(項目15)前記調製プロセスが、以下:
(a)免疫原性的に有効な量のアミノリン脂質サンプルで動物を免疫する工程;
(b)前記免疫した動物の脾臓から単離したRNAを発現するコンビナトリアル
免疫グロブリンファージミドライブラリーを調製する工程;
(c)該ファージミドライブラリーから、抗アミノリン脂質抗体を発現するクロ
ーンを選択する工程;および
(d)該選択したクローンから該抗アミノリン脂質抗体をコードする核酸を発現
させて、組換え抗アミノリン脂質モノクローナル抗体を提供する工程
を包含する、項目6に記載の結合リガンド。
(項目16)前記免疫した動物がヒト抗体ライブラリーを含むトランスジェニッ
クマウスであり、前記組換え抗アミノリン脂質モノクローナル抗体が組換えヒト
モノクローナル抗体である、項目15に記載の結合リガンド。
(項目17)ヒト、ヒト化もしくは部分的ヒトキメラ抗アミノリン脂質抗体、ま
たはそれらの抗原結合領域を含む、項目1〜16のいずれかに記載の結合リガン
ド。
(項目18)前記標的化剤がアミノリン脂質結合タンパク質またはそれらのアミ
ノリン脂質結合フラグメントを含む、項目1に記載の結合リガンド。
(項目19)前記標的化剤がホスファチジルセリン結合タンパク質またはそれら
のホスファチジルセリン結合フラグメントを含む、項目18に記載の結合リガン
ド。
(項目20)前記標的化剤がアネキシンまたはそれらのホスファチジルセリン結
合フラグメントを含む、項目19に記載の結合リガンド。
(項目21)前記標的化剤がホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質ま
たはそれらのホスファチジルエタノールアミン結合フラグメントを含む、項目1
8に記載の結合リガンド。
(項目22)前記標的化剤がキニノーゲンまたはそれらのホスファチジルエタノ
ールアミン結合フラグメントを含む、項目21に記載の結合リガンド。
(項目23)前記標的化剤が、2、3または複数のアミノリン脂質結合部位を含
む、項目1〜22のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目24)前記標的化剤が組換え標的化剤である、項目1〜23のいずれかに
記載の結合リガンド。
(項目25)前記標的化剤がホスファチジルエタノールアミンに結合する、項目
1〜24のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目26)前記標的化剤がホスファチジルセリンに結合する、項目1〜25の
いずれかに記載の結合リガンド。
(項目27)前記標的化剤が抗細胞性薬剤または細胞傷害性薬剤に付着される、
項目1〜26のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目28)前記標的化剤がステロイド、サイトカイン、代謝拮抗物質、アント
ラサイクリン、ビンカアルカロイド、抗生物質、アルキル化剤、エピポドフィロ
トキシン、DNA合成阻害剤、ダウノルビシン、ドキソルビシンまたはアドリア
マイシンに付着される、項目27に記載の結合リガンド。
(項目29)前記標的化剤が植物由来毒素、真菌由来毒素または細菌由来毒素に
付着される、項目27に記載の結合リガンド。
(項目30)前記標的化剤が、A鎖毒素、細菌内毒素、細菌性エンドトキシンの
脂質A部分、リボソーム不活化タンパク質、α−サルシン、ゲロニン、アスペル
ギリン、レストリクトシン、リボヌクレアーゼ、ジフテリア毒素またはPseu
domonas外毒素に付着される、項目29に記載の結合リガンド。
(項目31)前記標的化剤がリシンA鎖または脱グリコシル化リシンA鎖に付着
される、項目30に記載の結合リガンド。
(項目32)前記標的化剤が凝固因子に付着される、項目1〜31のいずれかに
記載の結合リガンド。
(項目33)前記標的化剤がヒト凝固因子に付着される、項目32に記載の結合
リガンド。
(項目34)前記標的化剤が、第II/IIa因子、第VII/VIIa因子、
第IX/IXa因子、第X/Xa因子、Gla改変を欠くビタミンK依存性凝固
因子、ラッセルクサリヘビ蛇毒第X因子アクチベーター、トロンボキサンA
トロンボキサンAシンターゼ、およびα2抗プラスミンからなる群より選択
される凝固因子に付着される、項目32に記載の結合リガンド。
(項目35)前記標的化剤が組織因子、二量体組織因子、三量体組織因子、多量
体組織因子、変異体組織因子または組織因子誘導体に付着される、項目32に記
載の結合リガンド。
(項目36)前記標的化剤が短縮型組織因子に付着される、項目35に記載の結
合リガンド。
(項目37)前記標的化剤が第1の治療剤および第2の治療剤に付着される、項
目1〜36のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目38)前記標的化剤が複数の治療剤に付着される、項目1〜37のいずれ
かに記載の結合リガンド。
(項目39)前記標的化剤が治療剤に直接付着される、項目1〜38のいずれか
に記載の結合リガンド。
(項目40)前記標的化剤が直接的な共有結合によって、または化学的架橋剤を
介して治療剤に直接付着される、項目39に記載の結合リガンド。
(項目41)前記標的化剤が、前記結合リガンドを組換え融合タンパク質として
発現させることによって治療剤に直接付着される、項目39に記載の結合リガン
ド。
(項目42)前記標的化剤が、治療剤に結合する抗体またはそれらの抗原結合領
域を介して該治療剤に間接的に付着される、項目1〜38のいずれか一項に記載
の結合リガンド。
(項目43)前記結合リガンドが、治療剤に結合する第2の抗体またはそれらの
抗原結合フラグメントに作動可能に付着された、第1の標的化抗体またはそれら
の抗原結合フラグメントを含む、二重特異性抗体である、項目42に記載の結合
リガンド。
(項目44)前記標的化剤が、短縮型組織因子に直接的もしくは間接的に付着さ
れた抗ホスファチジルセリン抗体またはそれらの抗原結合フラグメントである、
項目1に記載の結合リガンド。
(項目45)薬学的に受容可能な処方物中に分散された、項目1〜44のいずれ
かに記載の結合リガンド。
(項目46)血管化腫瘍を有する動物への投与の際に、血管化腫瘍の血管の管腔
表面上で発現されるアミノリン脂質への治療剤の送達に使用するための、項目1
〜45のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目47)血管化腫瘍を有する動物への投与の際に、腫瘍血管内皮細胞の殺傷
に使用するための、項目1〜46のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目48)血管化腫瘍を有する動物への投与の際に、腫瘍血管系における凝固
の誘導に使用するための、項目1〜47のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目49)血管化腫瘍を有する動物への投与の際に、腫瘍血管系の破壊に使用
するための、項目1〜48のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目50)血管化腫瘍を有する動物への投与の際に、癌の処置に使用するため
の、項目1〜49のいずれかに記載の結合リガンド。
(項目51)癌を処置するための医薬の製造における、項目1〜50のいずれか
に記載の結合リガンドの使用。
(項目52)項目1〜50のいずれか一項に記載の結合リガンドの生物学的に有
効な量を含有する薬学的組成物。
(項目53)前記組成物が、各々別のアミノリン脂質に結合する2つの結合リガ
ンドを含む、項目52に記載の薬学的組成物。
(項目54)前記組成物が静脈内投与のために処方される、項目52または53
に記載の薬学的組成物。
(項目55)前記組成物が第2の抗癌剤を含有する、項目52〜54のいずれか
一項に記載の薬学的組成物。
(項目56)前記第2の抗癌剤が、化学療法剤、放射線療法剤、抗脈管形成剤ま
たはアポトーシス誘導化剤である、項目55に記載の薬学的組成物。
(項目57)前記第2の抗癌剤が、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍支質の表面
発現成分、表面接近可能成分もしくは表面局在化成分に結合する標的化抗体また
はそれらの抗原結合フラグメントを含む抗体−治療剤構築物である、項目55に
記載の薬学的組成物。
(項目58)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、腫
瘍細胞または腫瘍支質の成分に結合する、項目57に記載の薬学的組成物。
(項目59)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、血
管化腫瘍の腫瘍内血管の表面発現成分、表面接近可能成分、表面局在化成分、サ
イトカイン誘導性成分または凝固剤誘導性成分に結合する、項目57に記載の薬
学的組成物。
(項目60)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、ア
ミノリン脂質、エンドグリン、TGFβレセプター、E−セレクチン、P−セレ
クチン、VCAM−1、ICAM−1、PSMA、VEGF/VPFレセプター
、FGFレセプター、TIE、αβインテグリン、プレイオトロピン、エンド
シアリンおよびMHCクラスIIタンパク質からなる群より選択される腫瘍内血
管系の表面発現成分に結合する、項目59に記載の薬学的組成物。
(項目61)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、V
EGF/VPF、FGF、TGFβ、TIEに結合するリガンド、腫瘍関連フィ
ブロネクチンアイソフォーム、散乱因子/肝細胞増殖因子(HGF)、血小板因
子4(PF4)、PDGFおよびTIMPからなる群より選択される腫瘍内血管
系の表面局在化成分に結合する、項目59に記載の薬学的組成物。
(項目62)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、細
胞傷害性剤に作動可能に連結される、項目57に記載の薬学的組成物。
(項目63)前記第2の標的化抗体またはそれらの抗原結合フラグメントが、凝
固因子、または、凝固因子に結合する抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメン
トに作動可能に連結される、項目57に記載の薬学的組成物。
(項目64)前記第2の抗癌剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上でアミノリン
脂質に結合する裸の抗体またはそれらの抗原結合フラグメントである、項目55
に記載の薬学的組成物。
(項目65)前記組成物がヒトへの投与のために意図されている、項目52〜6
4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
(項目66)癌を処置するための医薬の製造における、項目52〜65のいずれ
か一項に記載の薬学的組成物の使用。
(項目67)項目1〜50のいずれか一項に記載の結合リガンドの生物学的に有
効な量と、第2の抗癌剤とを含有する、キット。
(項目68)項目1〜50のいずれか一項に記載の結合リガンドの生物学的に有
効な量を、診断上有効な量の標的化剤−検出可能因子構築物と組み合わせて含有
するキットであって、該構築物はアミノリン脂質に結合する第2の標的化剤に作
動可能に付着された検出可能な因子を含む、キット。
(項目69)項目52〜65のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、診断上有
効な量の標的化剤−検出可能因子構築物と組み合わせて含有するキットであって
、該構築物は、アミノリン脂質に結合する第2の標的化剤に作動可能に付着され
た検出可能な因子を含む、キット。
(項目70)前記標的化剤−検出可能因子構築物が、X線検出可能化合物である
ビスマス(III)、金(III)、ランタン(III)または鉛(II)を含
む、項目68または69に記載のキット。
(項目71)前記標的化剤−検出可能因子構築物が、放射活性イオンである銅
、ガリウム67、ガリウム68、インジウム111、インジウム113、ヨウ素12
、ヨウ素125、ヨウ素131、水銀197、水銀203、レニウム186、レニウム188、ルビジウム97、ルビジウム103、テクネチウム99m、またはイットリ
ウム90を含む、項目68または69に記載のキット。
(項目72)前記標的化剤−検出可能因子構築物が、核磁気スピン共鳴アイソト
ープであるコバルト(II)、銅(II)、クロム(III)、ジスプロシウム
(III)、エルビウム(III)、ガドリニウム(III)、ホルミウム(I
II)、鉄(II)、鉄(III)、マンガン(II)、ネオジム(III)、
ニッケル(II)、サマリウム(III)、テルビウム(III)、バナジウム(II)またはイッテルビウム(III)を含む、項目68または69に記載の
キット。
(項目73)血管化腫瘍を有する動物を処置するための方法であって、該方法は
、血管化腫瘍の血管の管腔表面上でアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可
能に付着された少なくとも第1の治療剤を含む少なくとも第1の結合リガンドの
治療有効量を該動物に投与する工程を包含する、方法。
(項目74)血管化腫瘍を画像化するための方法であって、該方法は、該血管化
腫瘍の血管の管腔表面上でアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可能に付着
された検出可能因子を含む少なくとも第1の結合リガンドの診断上有効な量を血
管化腫瘍を有する動物に投与する工程、および、このように形成された該腫瘍の
像を検出する工程を包含する、方法。
(項目75)癌を処置するための方法であって、該方法は、以下:
(a)血管化腫瘍の血管の管腔表面上でアミノリン脂質に結合する標的化剤に作
動可能に付着された検出可能因子を含む標的化剤−検出可能因子構築物の診断上
有効な量を該血管化腫瘍を有する動物に投与することにより血管化腫瘍の像を形
成し、それによって、該腫瘍血管系の検出可能な像を形成する工程;および
(b)その後、腫瘍血管管腔表面上でアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動
可能に付着された治療剤を含有する少なくとも第1の標的化剤−治療剤構築物の
治療有効量を該動物に投与し、それによって、該腫瘍血管系を破壊する工程
を包含する、方法。
(項目76)癌を処置するための方法であって、該方法は、血管化腫瘍の血管の
管腔表面上でアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可能に付着された治療剤
を含む標的化剤−治療剤構築物の治療上有効な組み合わせと、少なくとも第2の
抗癌剤とを、該血管化腫瘍を有する動物に同時または連続的に投与する工程を包
含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0145】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、そしてさらに本発明の特定の局面を
実証するために含まれる。本発明は、一つ以上のこれらの図面を本明細書に示さ
れる特定の実施態様の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より良
く理解され得る。
【図1A】インビトロでの細胞結合抗VCAM−1・tTFの活性。図1A。抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの、刺激されていない(コントロール)bEnd.3細胞およびIL−1α活性化bEnd.3細胞への結合。図1B。細胞結合抗VCAM−1・tTFコアグリガンドによる第Xa因子の生成。
【図1B】インビトロでの細胞結合抗VCAM−1・tTFの活性。図1A。抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの、刺激されていない(コントロール)bEnd.3細胞およびIL−1α活性化bEnd.3細胞への結合。図1B。細胞結合抗VCAM−1・tTFコアグリガンドによる第Xa因子の生成。
【図2】抗VCAM−1・tTFで処置したマウスにおけるL540腫瘍の増殖遅延。L540腫瘍保有マウスに、生理食塩水、20μgの抗VCAM−1・tTF、4μgの非結合tTF、または20μgのコントロールIgG・tTFのいずれかを静脈内注射した。注射は、最初の処置の4日後、および8日後に反復した。腫瘍は毎日測定した。1グループあたり8匹のマウスの平均腫瘍容積およびSDを示す。
【図3】アネキシンVは、インビトロにおいて、第X因子のコアグリガンド活性をブロックする。IL−1αで刺激されたbEnd.3細胞を、実施例Vに記載のように、96ウェルマイクロタイタープレート中で抗VCAM−・tTFコアグリガンドとともにインキュベートした。アネキシンVを0.1〜10μg/mlの範囲の濃度で添加した(示す)。そして、細胞を30分間インキュベートした後、希釈したProplexTを添加した。アネキシンVの存在下または非存在下で生成された第Xa因子の量を、実施例V記載のように発色性基質を用いて、決定した。
【図4A】同種遺伝子腫瘍および異種遺伝子腫瘍を有する動物における裸の抗PS抗体の抗腫瘍効果。マウスの結腸直腸ガンColo26の1×107個の細胞(図4A)またはヒトホジキンリンパ腫L540(図4B)を、それぞれBalb/cマウス(図4A)または雄性CB17SCIDマウス(図4B)の右わき腹に皮下注射した。腫瘍を、約0.6〜0.9cm3の大きさに増殖させ、次いで、このマウス(1群あたり4動物)に20μgの裸の抗−PS抗体(白四角)または生理食塩水(白丸)を腹腔内注射した(コントロールマウスのIgMは生理食塩水と類似の結果であった)。処置を、48時間間隔で3回繰り返した。動物を、腫瘍測定および体重について毎日モニターした。腫瘍容積は、実施例VIIに記載のように算出した。マウスを、腫瘍が2cm3に達したときか、または腫瘍が壊死もしくは潰瘍化の兆候を示した場合には、それより早く屠殺した。
【図4B】同種遺伝子腫瘍および異種遺伝子腫瘍を有する動物における裸の抗PS抗体の抗腫瘍効果。マウスの結腸直腸ガンColo26の1×107個の細胞(図4A)またはヒトホジキンリンパ腫L540(図4B)を、それぞれBalb/cマウス(図4A)または雄性CB17SCIDマウス(図4B)の右わき腹に皮下注射した。腫瘍を、約0.6〜0.9cm3の大きさに増殖させ、次いで、このマウス(1群あたり4動物)に20μgの裸の抗−PS抗体(白四角)または生理食塩水(白丸)を腹腔内注射した(コントロールマウスのIgMは生理食塩水と類似の結果であった)。処置を、48時間間隔で3回繰り返した。動物を、腫瘍測定および体重について毎日モニターした。腫瘍容積は、実施例VIIに記載のように算出した。マウスを、腫瘍が2cm3に達したときか、または腫瘍が壊死もしくは潰瘍化の兆候を示した場合には、それより早く屠殺した。
【発明を実施するための形態】
【0146】
(例示的実施態様の説明)
(A.VCAM−1コアグリガンドを用いる腫瘍破壊)
固形腫瘍および癌腫は、人類における全ての癌の90%以上の割合を占める。
モノクローナル抗体およびイムノトキシンの使用はリンパ腫および白血病の治療
において検討されてきた(Vitettaら、1991)が、これらの薬剤は、
癌腫および他の固形腫瘍に対する臨床試験では、期待に反して効果がなかった(
AbramおよびOldham、1985)。抗体を基礎とする処置が効果が不
十分であることの主な理由は、高分子が容易に固形腫瘍に輸送されないことであ
る。腫瘍塊内に一旦はいっても、これらの分子は、腫瘍細胞間の固い結合、線維
性支質、間質の圧勾配、および結合部位障壁の存在に起因して均一に分布され得
ない(Dvorakら、1991)。
固形腫瘍を処置するための新しい戦略の開発において、腫瘍細胞よりもむしろ
腫瘍の血管の標的化を含む方法が明白な利点を提供する。腫瘍血管の効果的な破
壊またはブロックは、腫瘍を通じる血流を停止させ、そして腫瘍細胞死の殺到を
生じる。抗体―トキシンおよび抗体−凝集素構築物は、特異的な標的化および腫
瘍血管の破壊にすでに有効に用いられ、腫瘍壊死を生じる(Burrowsら、
1992;BurrowsおよびThorpe、1993;WO93/1771
5;WO96/01653;米国特許第5,855,866号;同第5,877
,289号;5, 号;5, 号;および5,
号(米国特許出願第08/350,212号;同第08/487,42
7号;および同第08/482,369号にそれぞれ対応する、発行料金支払い
済み);それぞれ、本明細書において参考として援用される)。
【0147】
抗体、増殖因子または他の結合リガンドが腫瘍血管へ凝固剤を特異的に送達す
るために用いられる場合、このような薬剤は、「コアグリガンド(coagul
igands)」と名付けられる。現在、コアグリガンドに用いるのに好ましい
凝固剤は、短縮化組織因子(truncated Tissue Factor(tTF)である(Huangら、1997;WO 96/01653;米国特
許5,877,289号)。TFは、血液凝固の主要な開始因子(initia
tor:イニシエーター)である(Rufら、1991)。損傷の部位では、血
液中の第VII/VIIa因子は、脈管周囲組織における細胞の上のTFに接触
し、そして結合する。TF:VIIa複合体は、リン脂質表面の存在下において
、第IX因子および第X因子を活性化する。次に、これは、トロンビンおよびフ
ィブリンの形成、そして最終的に血餅の形成を導く(RufおよびEdging
ton、1994)。
【0148】
組換えの、短縮形態の組織因子(tTF)(これは、サイトゾルドメインおよ
び膜貫通ドメインを欠失する)は、ネイティブなTFよりも約5倍低い凝固誘導
能力を有する可溶性タンパク質である(Stoneら、1995:Huangら
、1997)。これは、TFは、IXaまたはXaを効果的に活性化するために
、VIIaとの複合体についてリン脂質と会合することが必要であるためである
。しかし、tTFが標的化抗体または薬剤の手段により、腫瘍血管内皮に送達さ
れる場合、それは脂質表面の近接部位に戻され、そして血液凝固活性を再獲得す
る(Huangら、1997;米国特許5, 号、同第5,
および同第5, )。選択的に腫瘍血管を血栓形成させる
コアグリガンドは、このように作製される。
【0149】
短縮TFは、血管標的化コアグリガンドにおけるその使用を推奨するいくつか
の利点を有する:ヒトtTFは、容易に利用可能であり、そしてヒトタンパク質
は、ヒトにおいてわずかであるかまたは低い免疫原性しか有さない;ヒトtTF
は、実験動物(マウスを含む)において完全に機能的であり;そして標的された
tTFは、非常に強力である。なぜなら、それは、大きく増幅された効果をもた
らす凝固タンパク質のカスケードの活性化を誘発するからである(米国特許5,
号、同第5, および同第5, )。
【0150】
腫瘍内皮で利用可能である(しかし、正常な内皮には大きく欠乏している)適
切な標的分子の範囲は、記載されている。例えば、以下のような、発現された標
的が、利用され得る:エンドグリン、Eセレクチン、Pセレクチン、VCAM−
1、ICAM−1、PSMA、TIE、LAM−1と反応性のリガンド、VEG
F/VPFレセプター、FGFレセプター、αVβ3インテグリン、プレイトロピ
ンまたはエンドシアリン(米国特許5,855,866号、同第5,877,2
89号および同第5, 号(米国特許出願第08/487,427
号に対応する));Burrowsら、1992;BurrowsおよびTho
rpe,1993;Huangら,1997;Liuら,1997;Ohizu
miら,1997;それぞれは、本明細書において参考として援用される)。
【0151】
吸着された標的は、VEGF、FGF、TGFβ、HGF、PF4、PDGF
、TIMP、TIEに結合するリガンド、または腫瘍関連フィブロネクチンアイ
ソフォームのような別の適切なグループである(米国特許5,877,289、
同第5, および同第5, ;米国出願番号08/3
50,212号および同第08/482,427号に対応する;登録料支払済み
;それぞれは、本明細書において参考として援用される)。フィブロネクチンの
アイソフォームは、レセプターのインテグリンファミリーに結合するリガンドで
ある。腫瘍関連フィブロネクチンアイソフォームは、腫瘍血管および腫瘍支質の
両方の標的化可能な成分である。モノクローナル抗体BC−1(Carnemo
llaら、1989)は、腫瘍関連フィブロネクチンアイソフォームに特異的に
結合する。
【0152】
天然の腫瘍環境またはヒトによる以下の介入により誘導可能な他の標的はまた
、標的可能な存在である。これは米国特許番号5,776,427、同第5,8
63,538号、および同第5, (米国出願番号08/479,
727、発行料金支払済み;それぞれは本明細書に参考として援用されている)
に記載されている。正常組織における事前の抑制および腫瘍血管誘導と組み合わ
せて用いた場合、MHCクラスII抗原はまた、標的として使用され得る(米国
特許番号5,776,427;同第5,863,538号;同第5,
および同第5, 米国出願番号08/295,868号およ
び同第08/479,727号;発行料金支払済み);それぞれは、本明細書に
おいて参考として援用される)。
【0153】
現在、臨床適用に好ましい標的の1つは、血管内皮接着分子−1(VCAM−
1)(米国特許5,855,866号、同第5,877,289号、同第5,
および同第5, (これは米国出願番号08/482
,369号および同第08/487,427号(発行料金支払済み)に対応する
;それぞれは、本明細書において参考として援用される)。VCAM−1は、炎
症性サイトカインIL−1α、IL−4(Thornhillら、1990)お
よびTNFα(Munro,1993)により誘導される細胞接着分子であり、
そしてインビボにおけるその役割は、急性の炎症の部位に対して白血球を補充す
ることである(Bevilacqua、1993)。
【0154】
VCAM−1は、神経細胞芽腫(Pateyら、1996)、腎癌腫(Dro
zら、1994)、非小肺癌腫(Staal−van den Brekelら
、1996)、ホジキン病(Pateyら、1996)、および血管肉腫(Ku
zuら、1993)を含む多数のヒト悪性腫瘍において、ならびに血管腫(an
gioma)(Pateyら、1996)および血管腫(hemangioma
)(Kuzuら、1993)のような良性腫瘍において血管内皮細胞に存在する
。ヒトにおけるVCAM−1の構成的発現は、甲状腺、胸腺および腎臓における
わずかな血管に(Kuzuら、1993;BruijnおよびDinklo、1
993)、ならびにマウスにおける心臓および肺の血管(Friesら、199
3)に限定されている。
【0155】
本明細書において提示される特定のデータは、なおさらに以下に提供されるデ
ータを補足する:米国特許5,855,855号、および同第5,877,28
9号、ならびに同第5, (これは米国出願番号08/487,4
27号(発行料金支払済み)に対応する;それぞれは、本明細書において参考と
して援用される)。そして抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの投与から生
じる血栓および腫瘍梗塞の選択的誘導を示す。提示される結果は、L540ヒト
ホジキンリンパ腫を保有するマウスを用いて生成された。SCIDマウスにおい
て異種移植片として増殖した場合、この腫瘍は、炎症性サイトカインの発現(D
iehlら、1985)ならびにその血管上のVCAM−1および他の内皮細胞
活性化分子の存在に関して、ヒト疾患と非常に類似性を示す。
【0156】
共有結合した抗VCAM−1・tTFコアグリガンド(ここでtTFは抗VC
AM−1抗体に直接的に結合された)を用いて、コアグリガンドが、固体L54
0ホジキン腫瘍を保有するマウスにおいて、選択的に腫瘍血管に局在化し、それ
らの血管の血栓を誘導し、壊死を腫瘍全体に進行させ、そして腫瘍の増殖を遅延
することが本明細書において示される。腫瘍は、一般的に、コアグリガンドに応
答するには少なくとも約0.3cmの直径であることが必要であった。なぜなら、VCAM−1は、より小さい腫瘍には存在しないからである。おそらく、小さ
い腫瘍においては、腫瘍に浸潤する腫瘍細胞または宿主細胞により分泌されたサ
イトカインのレベルは、VCAM−1を誘導するには低すぎる。これは、米国特
許5,855,866号、同第5,877,289号、同第5,776,427
号、同第5, および同第5, 号(出願番号08/
487,427号および同第08/479,727号、発行料金支払済み)(こ
こで本発明は、より大きい固形腫瘍において最も有用であることが見出された)
の研究に一致する。
【0157】
VCAM−1染色は、最初に腫瘍の末梢において、より多く観察されたが、コ
アグリガンドは、明らかに血液輸送血管に結合し、そして閉塞させた(そこで、
それは、すべての腫瘍領域において、血流を減少し得た)。さらに、本発明者ら
の1人は、コアグリガンドの最初の投与により生じたトロンビン生成がおそらく
、中枢血管にさらなるVCAM−1導入を導き、これが、腫瘍内領域の増幅され
たシグナルおよび明白な破壊を生じることを予期する(Sluiterら、19
93)。さらなる標的可能マーカーのこの型の凝集素誘導発現、およびこれによ
るシグナル増幅は、また、米国出願番号08/479,727号および同第08
/481,904号(米国特許5, ;発行料金支払済み)に開示
される。
【0158】
(B.VCAM−1−標的化腫瘍破壊の機構)
本明細書において示されるように、マウスの心臓および肺におけるVCAM−
1発現血管への局在化は、抗VCAM−1コアグリガンドの投与の際に観察され
たが、この構築物は、このような非腫瘍部位において、血栓を誘導しなかった。
さらに、抗VCAM−1コアグリガンドは、無関係の特異性のコントロールのコ
アグリガンドが毒性であるよりもマウスに対して毒性ではない。再び、このこと
は、心臓および肺の血管上のVCAM−1の構成的発現は、毒性を導かなかった
ことを示す。VCAM−1がヒトにおける腫瘍血管内皮の天然に存在するマーカ
ーである場合、このデータは、コアグリガンド治療の直後の臨床的進行に重要で
ある。しかし、この現象はまた、発明者らに、特有の洞察を提供し、これは腫瘍
血管の破壊に対する他のアプローチを導く。
【0159】
本発明者らは、抗VCAM−1コアグリガンドが、心臓および肺における血管
上に構成的に発現したVCAM−1に対する結合能力、ならびになおこれらの血
管において血栓を生じない能力の背後の機構を理解ことを追究した。この経験的
な観察についての多数の科学的可能性(一般に腫瘍環境のプロトロンビン的性質
、心臓および肺における任意のフィブリン溶解性の素因に関係する)が存在する

【0160】
一般に、凝固系(フィブリン沈着)とフィブリン溶解性系(酵素によるフィブ
リンの分解)との間に生物学的平衡が存在する。しかし、悪性の疾患、特に癌腫
においては、この平衡は崩壊され、これは凝固の異常な活性化(過剰凝固能また
は「プロトロンビン状態」)を生じる。証拠はまた、これらの経路の種々の成分
が悪性の障害的特徴(例えば、増殖、侵入および転移)に寄与し得ることを示す
(Zacharskiら、1993)。
【0161】
Donati(1995)は、悪性疾患の血栓性の合併症のもともとの臨床的
観察と腫瘍細胞活性の細胞生物学および生化学における引き続く進行との間の複
雑な相互関係を概説した。しかし、広範な研究にもかかわらず、腫瘍環境のプロ
トロンビン的性質についての明白な分子的説明は、提供され得なかった(Donati、1995)。しかし、Donatiは、このプロセスにおける腫瘍細胞
の役割を強調している。これにより、腫瘍細胞が凝血促進(procoagul
ant)活性(例えば、組織トロンボプラスチンおよび癌凝血促進(CP))を
発現することが説明された(Donati、1995)。WO 91/0718
7はまた、腫瘍細胞の凝固促進活性を報告した。
【0162】
多数の他の研究はまた、腫瘍細胞自体が、腫瘍内のプロトロンビン状態の原因
であることを確認している。例えば、Nawrothら(1988)は、肉腫細
胞により合成された因子が、TNFの近位の内皮の凝固促進反応を増強すること
を報告した。これらの著者は、フィブリン形成がTNF注入30分後、腫瘍血管
ベッド全体に生じたが、フィブリンの沈着および血小板の凝固は正常な血管では
観察されなかったことを報告した(Nawrothら、1988)。TNFは、
後に、内皮細胞の表面上で組織因子の発現を増強することが示された(Murr
ayら、1991)。これにより、組換えTNFとインキュベートされた培養内
皮細胞が、凝血促進活性、組織因子およびプロテインC経路の同時抑制(静止期
の内皮細胞の表面で機能する抗トロンビン性機構)を増強したことを示す初期の
研究を説明することが提唱される(Naworthら、1985;Nawort
hおよびStem、1986)。
【0163】
Sugimuraら(1994)のデータはまた、腫瘍の凝血促進活性の重要
な成分として腫瘍細胞を関連付ける。4つの腫瘍細胞株が凝固の外因性の経路の
異なる段階を支持し得ることが報告された(Sugimuraら、1994)。
別の研究は、ヒト卵巣癌腫細胞株であるOC−2008が構成的に、膜表面組織
因子活性を発現し、そして細胞表面依存性プロトロンビナーゼ複合体活性を示し
たことを報告した(Raoら、1992)。Connorら(1989)は、さ
らにそれが凝固を制御する病的細胞であることを示唆した。それらの結果は、腫
瘍原性の未分化のマウス赤白血病細胞が、凝血促進活性において力価の7〜8倍
の増加を示すことを示した(Connorら、1989)。
【0164】
Zacharskiら(1993)はまた、腫瘍細胞に注目し、そして凝固経
路(凝固促進因子により開始される)およびフィブリン溶解経路(ウロキナーゼ
型プラスミノーゲンアクチベーターによって開始される、u−PA)との卵巣癌
腫細胞の相互作用の様態を規定することを探求した。彼らは、腫瘍細胞が組織因
子および凝固経路中間物(局所トロンビン生成を生じる)を発現することを報告
した(腫瘍結合組織に存在するフィブリノーゲンの、腫瘍小節および個々の腫瘍
細胞の表面に沿うことが見出されているフィブリンへの変換により証明されるよ
うに)。検出されたフィブリンは、壊死または局所の炎症性細胞浸潤に基いては
説明され得なかった(Zacharskiら、1993)。これらの著者は、ト
ロンビン生成および過剰凝固能を導く、優勢な腫瘍細胞に関連する凝血促進経路
が存在することを結論付けた。
【0165】
腫瘍血管がトロンビンの形成をより良好に支持し得、そして/またはフィブリ
ンの溶解をより少なくし得るようにするのは、腫瘍血管における変化であるとい
う他の仮説が提唱されている。例えば、腫瘍血管は、組織因子の上方制御、プラ
スミノーゲンアクチベーターの下方制御および/またはプラスミノーゲンアクチ
ベーターのインヒビター(PAI−1)の上方制御を示すことが報告されている
(NawrothおよびStern、1986;Nawrothら、1988)
。このような効果は、腫瘍由来の因子(おそらくVEGF)により増大されると
考えられる(Murrayら、1991;Ogawaら、1990)。
【0166】
例えば、Ogawaら(1990)は、低酸素症が、内皮細胞表面凝固特性を
凝固の活性を促進するようにシフトされるようにしたことを報告した。これは、
抗凝固補因子であるトロンボモジュリンの抑制および第X因子のアクチベーター
の誘導を伴い、古典的な外因性の系および内因性の系とは異なる(Ogawaら
、1990)。また、腫瘍血管内のTFと相互作用する第VIIa因子、IXa
因子、Xa因子または他の分子の局所濃度において増加が存在し得、これにより
血栓症を促進する。
【0167】
さらに、血小板は任意の凝固促進状態の主要な成分である。近年、血小板の凝
固促進能力は、原形質膜から凝血促進微粒子を剥離する能力に関連している(Z
waalら、1989;1992;Dachary−Prigentら、199
6)。血小板由来の循環する微粒子、小胞、または膜のフラグメントの割合の増
加は、種々の病理学的状態において「プレトロンビン性」(プロトロンビン性)
の状態に寄与することが提唱されている(Zwaalら、1989;1992;
Dachary−Prigentら、1996、第159頁および本明細書に引
用される参考文献)。McNeilら(1990)はまた、β2−GPIが凝固
および血小板凝集に対して複数の阻害効果を発揮することを報告した。したがっ
て、腫瘍血小板の生物学は、抗VCAM−1コアグリガンドの有効性を説明する

【0168】
さらなる主張可能な説明としては、VCAM−1が、おそらく腫瘍由来サイト
カインによる誘導に起因して、心臓および肺の血管よりも高レベルで腫瘍の血管
において発現されるという単純な可能性、および健常な血管への結合が、持続性
の血栓症へとバランスを崩し得ないという単純な可能性が挙げられる。また、フ
ィブリン溶解機構は、組織因子経路インヒビター(TFPI)の増加、プラスミ
ノーゲンアクチベーターの増加、および/またはプラスミノーゲンアクチベータ
ーインヒビターの減少によって例証されるように、心臓において上方制御され得
る。心臓および肺の血管のフィブリン溶解の生理機能が、抗VCAM−1コアグ
リガンドの腫瘍特異的効果の基礎となる主な理由であると証明されるとしても、
これは、一般に、腫瘍生物学に特有の局面に対して標的化されるさらなる抗腫瘍
治療の開発を不可能にする。
【0169】
可能性のある全ての選択肢にもかかわらず、本発明者らは、抗VCAM−1コ
アグリガンドが正常組織の血管において血栓症を引き起こすことができないのは
、このような血管の管腔表面に、アミノリン脂質、ホスファチジルセリン(PS
)が存在しないことによると結論づけた。したがって、この理論を完全にするた
めには、ホスファチジルセリンが、これらの正常な血管に存在しないことを示さ
ねばならないだけでなく、腫瘍関連血管の管腔側でのホスファチジルセリンの存
在を決定的に実証しなければならない。
【0170】
従って、本発明者らは、腫瘍保有マウスに静脈内注射したモノクローナル抗ホ
スファチジルセリン(抗PS)抗体の分布を評価するために、免疫組織化学染色
を用いた。これらの研究により、心臓および肺のVCAM−1発現血管がPSを
欠き、一方、腫瘍のVCAM−1発現血管がPSを発現することが明らかにされ
た。表面PS発現のコアグリガンド作用における必要性は、PSに結合するアネ
キシンVが、インビトロおよびインビボの両方において、抗VCAM−1・tT
Fコアグリガンド作用をブロックするという本発明者らの知見によってさらに示
される。
【0171】
従って、正常な心臓および肺の血管での抗VCAM−1コアグリガンドの血栓効果の欠如によって、少なくとも部分的に説明され得る:アミノリン脂質、ホス
ファチジルセリンの非存在は、正常血管が、凝固複合体がアセンブルされ得る凝
血促進表面を欠如することを意味する。表面PSの非存在下では、抗VCAM−
1・tTFは、VCAM−1を発現する心臓および肺の血管に結合するが、血栓
症を誘導し得ない。対照的に、腫瘍中のVCAM−1発現血管は、表面PSの同
時発生的な発現を示す。従って、コアグリガンドは、腫瘍血管に結合しそして凝
固因子を局所的に活性化して、閉塞性血栓を形成する。
【0172】
抗VCAM−1コアグリガンドの腫瘍特異的血栓効果を描写することに加えて
、腫瘍血管の管腔表面でのアミノリン脂質、ホスファチジルセリンの特異的発現
によって、本発明者らが、初期の研究で観察されたが理解されなかった血栓促進
(prothrombotic)表現型(Zacharskiら、1993;D
onati、1995)を説明することもまた可能となった。本発明者らの研究
は、腫瘍脈管構造の血栓促進状態に重要な役割を果たすのは、主に、腫瘍細胞も
しくは合成された因子(血小板、凝血促進微粒子もしくは膜フラグメント)に起
因するよりも、またはトロンボプラスチン、トロンボモジュリン、癌凝血促進因
子、組織因子、プロテインC経路、プラスミノーゲンアクチベーターもしくはプ
ラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(例えばPAI−1)の不均等に起
因するよりもむしろ、PS発現であることを示す。
【0173】
(C.腫瘍脈管構造のマーカーとしてのアミノリン脂質)
代表的なアミノリン脂質であるホスファチジルセリンが、腫瘍血管の管腔表面
で特異的に発現されるが正常血管では発現されないという発見に従って、本発明
者らは、アミノリン脂質が、治療的介入のための標的としての可能性を有すると
推論した。従って、本発明は、アミノリン脂質膜成分、特に、ホスファチジルセ
リン(PS)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)への治療的薬剤の
標的化された送達のための組成物および方法を提供する。アミノリン脂質に標的
化された送達に由来する抗腫瘍効果が、当該分野で認められた動物モデルを使用
して本明細書中に実証されるが、腫瘍脈管構造の安全でかつ有効な標的化可能マ
ーカーとして作用するアミノリン脂質の能力は、先行研究から予測し得なかった

【0174】
例えば、腫瘍血管は、他の血管とは対照的に、一般的に、本質的に血栓促進性
であるが、これは、腫瘍細胞に酸素および栄養分を送達するために、血管ネット
ワークを維持する腫瘍の固有の特性である。明らかに、腫瘍関連血管は、そのよ
うな凝固は必然的に腫瘍に自己破壊を引き起こすので、自発的にかつ容易に凝固
を支持するように、血栓症に患いやすくし得ない。従って、標的化による有効な
治療的介入を可能にするに十分な量で発現され、そしてそれにもかかわらず腫瘍
を介する血流を普通に維持するに十分に低レベルで発現される、任意の血栓症関
連腫瘍血管マーカー(例えば、現在同定されているホスファチジルセリン)を発
見し得ることは予期されない。
【0175】
安全でかつ有効な腫瘍脈管構造標的としてのアミノリン脂質の本発明の同定は
、以下を考慮するとなおさらに驚くべきことである:(1)複雑な腫瘍の血栓促
進状態(上記で考察されたような)の根底をなす、他の細胞型および/または種
々の因子の役割、アクチベーターおよびインヒビターに関する以前の推測;なら
びに(2)種々の細胞型における発現および機能の両方に関して、アミノリン脂
質生物学に関する当該分野の混乱しかつ矛盾した状態。
【0176】
ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンは、通常、異なる細胞の形質膜二重層の内部表面に分離される(Gaffetら,1995;J
ulienら,1995)。対照的に、二重膜の外側リーフレットは、ホスファ
チジルコリンアナログに富む(Zwaalら,1989;Gaffetら,19
95)。この脂質分離は、非対称性のトランス二重層を引き起こす。膜非対称性
の存在は、特に、血小板以外の細胞において、ここしばらくの間議論されてきた
が、その存在理由ならびにその生成および制御の機構は不充分に理解されている
(WilliamsonおよびSchlegel,1994)。
【0177】
これらのアミノリン脂質が果たし得る可能性のある役割に関しては言うまでも
なく、異なる細胞および組織におけるPSおよびPEの存在または非存在につい
ての実に膨大な矛盾する報告が存在する。例えば、多くのPS研究が、血液凝固
における重要な成分である血小板を用いて行われ(Dachary−Prige
ntら,1996)、非常に価値ある結果をもたらした。Beversら(19
82)は、種々のホスホリパーゼまたはタンパク質分解酵素での処置の後に、非
活性化血小板の血小板プロトロンビン変換活性を測定した。彼らは、負に荷電し
たホスファチジルセリン、およびおそらくホスファチジルイノシトールが、非活
性化血小板のプロトロンビン変換活性に関与すると結論づけた(Beversら
,1982)。
【0178】
Beversら(1983)は、次いで、活性化した血小板におけるホスファ
チジルセリンの露出の増大およびスフィンゴミエリナーゼの露出の減少を報告し
た。しかし、これらの変更は、コラーゲン+トロンビン、ジアミド、またはカル
シウムイオノフォアとは対照的に、トロンビンまたはコラーゲン単独のいずれか
によって活性化された血小板においてなおさら明らかではなかった(Bever
sら,1983)。ジアミドに応じたPSの表面発現は、ジアミド刺激によるP
S露出を示さなかった赤血球での研究により反論された(de Jongら,1
997)。それらの以前の結果をおうむ返しに繰り返す一方で、Beversお
よび共同研究者らは、次いで、形質膜−細胞骨格相互作用における変化、特に、
細胞骨格アクチン結合タンパク質の分解の増大は、血小板表面変化に重要である
ことを後に報告した(Beversら,1985;368−369頁)。
【0179】
Maneta−Peyretら(1989)はまた、ヒト血小板上でのPSの
検出を報告した。これらの著者らは、血小板凝血促進表面が、負に荷電したリン
脂質(例えば、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミン(
一般的に、中性または双性イオン)あるいは両方)により形成され得ることに注
目した。ホスファチジルセリンの凝固過程における役割は、ホスファチジルエタ
ノールアミンの方を選んで異論を唱えられている(Maneta−Peyret
ら,1989;Schickら,1976;1978)。例えば、研究により、
18%のホスファチジルエタノールアミンが、ホスファチジルセリンが0%であ
るのと対照的に、2時間後に表面利用可能になることが報告された(Schic
kら,1976)。
【0180】
血小板に関する進行中の研究によってまた、トロンビン処理の後に、ホスファ
チジルエタノールアミン露出が、ホスファチジルセリンレベルの増加を伴わない
でさらに16%増加することが報告された(Schickら,1976)。従っ
て、PSは、血小板形質膜の機能表面の成分ではないと述べられていた(Sch
ickら,1976;1978)。それにもかかわらず、現在の証拠は、PSお
よびPEの両方が、血小板および赤血球の外膜で観察されるリン脂質非対称性に
関与すること、およびPSが、血小板の凝血促進活性に関与することを示すと考
えられる(Gaffetら,1995;de Jongら,1997;米国特許第5,627,036号)。
【0181】
アミノリン脂質の異なる分布を達成しそして維持することの機能的重要性は言
うまでもなく、そうするための機構は、長い間、議論の余地のある推測の対象で
あった。二重層を横切ったリン脂質移動の調節の総説において、William
sonおよびSchlegel(1994)は、細胞内Ca2+の上昇によって、
主要なクラスのリン脂質が、二重層を横切って自由に移動することが可能となり
、脂質をスクランブルしそして非対称性を消すことを示した。de Jongら
(1997)はまた、細胞内カルシウムの増大が、脂質二重層の迅速なスクラン
ブルおよびPSの露出を導き、これは、細胞酸化により部分的に阻害され得るこ
とを報告した。アミノリン脂質と細胞骨格タンパク質との相互作用もまた、膜リ
ン脂質非対称性を調節するための機構として提唱された(Zwaalら,198
9)。
【0182】
Gaffetら(1995)は、ヒト血小板活性化の間のリン脂質の横切った
再分布は、コリンヘッドリン脂質の迅速な相互の流入による相殺ではなく、アミ
ノリン脂質の特定の方向へ向いた流出(vectorial outflux)
によって達成される(すなわち、スクランブリングではない)と述べた。彼らは
、アミノリン脂質の特異的な特定の方向を向いた流出は、「逆アミノリン脂質ト
ランスロカーゼ」活性によって触媒され得ることを示唆した(Gaffetら,
1995)。代替の仮説は、内向きのトランスロカーゼの活性が阻害されること
であった。Zwaalら(1989)は、アミノリン脂質の外向きおよび内向き
の両方の移動を触媒するリン脂質トランスロカーゼの関与を提唱した。
【0183】
ホスファチジルエタノールアミンを、脂質二重層の外側のリーフレットから内
側のリーフレットへと輸送する、エネルギー依存性かつタンパク質依存性のアミ
ノリン脂質トランスロカーゼ活性の存在が、Julienら(1993)によっ
て報告された。次いで、彼らは、アミノ脂質トランスロカーゼ活性がまた、ホス
ファチジルセリンを移動させ得ること、およびその活性は、細胞インキュベーシ
ョンの条件に依存して、維持され、抑制され、そして回復され得(Julien
ら,1993)、そして腫瘍プロモーターである12−O−テトラデカノイルホ
ルボール−13−アセテート(TPA)によって阻害され得る(Julienら
,1997)ことを示した。
【0184】
ホスファチジルセリンおよび他のリン脂質のCa2+依存性の二方向性移動を促
進する、35kDのリン脂質スクランブラーゼ(scramblase)は、最
近、cDNAライブラリーからクローニングされた(Zhouら,1997)。
この「PLスクランブラーゼ」タンパク質は、C末端近傍に1つの膜貫通セグメ
ントを有する、プロリンリッチのII型形質膜タンパク質である。後の研究によ
り、このタンパク質は、上昇したサイトゾルカルシウム濃度に曝露された細胞に
おける形質膜の内側のリーフレットから外側のリーフレットへのリン脂質の迅速
な移動を担うことが確認された(Zhaoら,1998)。
【0185】
Julienら(1993;1997)によって報告されたアミノリン脂質ト
ランスロカーゼ活性(これは、PSおよびPEを外側のリーフレットから内側の
リーフレットへと輸送する)は、二方向性Ca2+依存性スクランブラーゼと異な
る(Zhouら,1997;Zhaoら,1998)。スクランブラーゼはCa
2+によって活性化され、そして大抵、Ca2+レベルの増大に応答して、PSを内
側のリーフレットから外側のリーフレットへと移動させるように機能する。アミ
ノリン脂質トランスロカーゼは、正常な状態の間の膜非対称性を維持するが、Ca2+流入によってスクランブラーゼが活性化され、トランスロカーゼに優先し(
over−riding)、そしてアミノリン脂質分布を無作為化すると現在考
えられている。
【0186】
従って、PSおよびPEの形質膜内側表面への正常な分離は、現在、一般的に
受け入れられ、そして非対称性過程に関与する特定の膜成分が同定されている。
しかし、アミノリン脂質を膜の外側リーフレットに再配置し得る条件、機構、お
よび細胞型、ならびにそのような事象の生物学的意味について疑問が残っている

【0187】
アミノリン脂質発現についての矛盾する報告は、血小板の研究に制限されない
。ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンは、一般的に、
ヒト動脈、伏在静脈および臍静脈由来の培養ヒト内皮細胞のリン脂質組成のうち
の、それぞれ約7%および約10%である(それぞれ、7.1%および10.2
%;Murphyら,1992)。しかし、文献における矛盾の重要な例は、抗
PS抗体が内皮細胞に結合する能力に関する(Linら,1995)。
【0188】
再発性妊娠損失に存在する抗PS抗体(Roteら,1995;Rote,1
996;Vogtら,1996;Vogtら,1997)は、内皮細胞への結合
の証拠なくして、内皮細胞機能を調節すると考えられた。この矛盾を説明する試
みにおいて、Linら(1995)は、休止している内皮細胞への抗PS抗体の
結合を実証すること試みたが失敗に終わった。彼らは、PS抗原決定基が、休止
している内皮細胞の表面上で発現されないが、PS依存性抗原決定基は、アセト
ン固定した細胞の細胞骨格様成分と結合していたと結論付けた(Linら,19
95)。
【0189】
Van Heerdeら(1994)は、血管内皮細胞は、インビトロで、凝
血促進複合体がアセンブルし得る結合部位の発現によってトロンビンの形成を触
媒し得ることを報告した。活性化された血小板を用いた他の研究(Bevers
ら,1982;1983;1985;Maneta−Peyretら,1989
;Schickら,1976;1978)とは対照的に、刺激されたHUVEC
内皮細胞は、休止細胞と比較した場合、PS結合部位の増大を示さなかった(V
an Heerdeら,1994)。ホスファチジルセリンは、外因性経路なら
びに内因性経路を介する第Xa因子形成に必要であることが報告された(Van
Heerdeら,1994)。それにもかかわらず、Brinkmanら(1
994)は、負に荷電したリン脂質に加えて他の膜成分も、内皮細胞媒介性の第
X因子の内因性の活性化に関与することを示す、矛盾する結果を公表した。
【0190】
Ravanatら(1992)はまた、精製系において、および刺激後の培養
内中の皮細胞表面で、凝血促進性反応および抗凝血性反応におけるリン脂質の触
媒能力を研究した。彼らの表面上矛盾する結果により、凝血促進性組織因子活性
および抗凝血性活性(トロンビン−トロンボモジュリン複合体および第Xa因子
によるプロテインCの活性化)の両方におけるリン脂質依存性の機構についての
役割を確認することが提唱された(Ravanatら,1992)。Ravan
atら(1992)の結果はまた、Van Heerdeら(1994)によっ
てもBrinkmanら(1994)によっても観察されなかった、ヒト内皮細
胞の活性化の間のリン脂質曝露の証拠を提供したといわれた。しかし、彼らは、
陰イオンリン脂質が、細胞性の組織因子の近傍において、制限された接近性のも
のであることに注目しなかった。この状況は、組織因子誘導の後でさえ、その細
胞下では組織因子が隔絶されたままであるので、他の事象が凝血に必要なようであるのでさらに複雑化される。
【0191】
Ravanatら(1992)は、刺激された内皮細胞上の組織因子活性およ
びトロンボモジュリン活性の異なる程度の阻害は、補因子環境が、これらの反対
の細胞活性の最適な発現について異なることを意味するという示唆に行きついた
。しかし、正確な細胞リン脂質環境を再現しようとすることの認知された困難性
(Ravanatら,1992)は、これらのインビトロ研究からの人為的デー
タの可能性を生じる。確かに、Ravanatら(1992)のデータとは関係
なく、一般的に、腫瘍生物学に関する意味のある情報、および特に治療的介入は
、本発明者らによって行われた研究のように、腫瘍保有動物におけるインビボ研
究からのみ収集され得ることが認められている。
【0192】
アミノリン脂質発現に関する不一致に加えて、上記で議論されたように、種々
の細胞型におけるアミノリン脂質の機能に関して矛盾する報告もまた存在する。
現在、活性化された血小板上でのPS発現が、凝血促進表面と関係することは、
一般的に受け入れられているが、血小板および赤血球における膜リン脂質の非対
称性の生理学的重要性の議論において、Zwaalら(1989)は、他の重要
な機能を強調した。さらに、Totiら(1996)は、非対称性リン脂質分布
の喪失の生理学的関係が、血球以外の細胞型において不充分に理解されているま
まであることを述べた。
【0193】
Zwaalら(1989)は、血小板および赤血球の膜リン脂質の非対称性は
、それらの細胞が種々の方法で活性化される場合、おそらくリン脂質の二重層を
横切った移動(transbilayer movement)の増大によって
媒介されて、取り消されることを述べた。シェッド(shed)微粒子の放出と
結び付いたこれらの変化は、これが局所的な血液凝固反応に役割を果たすことが
説明された。類似の現象が、鎌状赤血球において生じることが記載された:可逆
的に鎌状化した細胞から分裂したリン脂質小胞は、鎌状赤血球疾患の発症期にお
ける血管内凝固に寄与する(Zwaalら,1989)。
【0194】
Zwaalら(1989)ならびにWilliamsonおよびSchleg
el(1994)の両方は、表面リン脂質変化の生理学的重要性は、止血に制限
されないことを示した。事実、血球によるPSの表面露出は、細網内皮系による
それらの認識を有意に変更すると言われ、そしてこれは、循環からの血球のクリ
アランスの止血機構の少なくとも一部を代表するようであった(Zwaalら,
1989)。従って、PSは、出血が停止した後の、活性化された血小板の除去
のためのシグナルとして作用する。鎌状細胞上およびマラリアに感染した細胞上
に露出したPSの食細胞およびマクロファージによる認識は、それらの対病態生
理学的効果を説明する(Zwaalら,1989)。さらに、PS依存性食作用
は、食細胞性取り込みについてウイルス感染細胞に印を付ける(WO97/17
084)。アミノリン脂質の表面発現はまた、細胞に「融合能力」を付与し得る
(WilliamsonおよびSchlegel,1994)。
【0195】
WilliamsonおよびSchlegel(1994)はまた、脂質非対
称性についてより一般的な存在理由が存在すると推測した。例えば、異なるヘッ
ド基が最も注意を受けるが、脂肪酸非対称性が重要な因子であることが十分にあ
り得た(WilliamsonおよびSchlegel,1994)。さらなる
仮説は、二重層リン脂質を横切っての非対称性分布はそれ自身は全く機能を有さ
ないが、これは、生物学的系に重要である脂質移動の動的過程であることである
(WilliamsonおよびSchlegel,1994)。
【0196】
多くのグループが、腫瘍細胞が腫瘍のプロトロンビナーゼ活性の原因であると
報告している(Connorら,1989;Raoら,1992;Zachar
skiら,1993;Sugimuraら,1994;Donati,1995
)。このことは、PSに起因すると推論され得た(WO91/07187)。し
かし、Sugimuraら(1994)の結果は、これに反して論じた:彼らは
、腫瘍形成性細胞、HepG2およびMKN−28のプロトロンビナーゼ活性お
よび総凝血促進活性の両方は、コンフルエンシーの到達を経験するが、PSレベ
ルは定常のままであったことを報告した。
【0197】
プロトロンビナーゼ活性における腫瘍細胞PSの役割を支持するよりもむしろ
、Connorら(1989)は、腫瘍形成性細胞におけるPSの発現の増大は
、マクロファージにより認識されそして結合されるそれらの能力に関連すること
を示唆した。同様に、Utsugiら(1991)は、ヒト腫瘍細胞の外膜にお
けるPSの存在が、単球によるそれらの認識を説明することを提唱した。
【0198】
Jamasbiら(1994)は、腫瘍形成性細胞の脂質成分についての全体
的に異なる役割を示唆し、その脂質は腫瘍抗原接近性を妨げることを提唱した。
従って、腫瘍細胞脂質は、腫瘍細胞表面抗原を改変するように作用し、従って、
腫瘍細胞を宿主免疫破壊から保護する(Jamasbiら,1994)。この仮
説は、内皮細胞という点で、Quら(1996)によって提唱されたものと類似
する。これらの著者らは、T細胞は、PSへの結合により、トロンビン処理した
ヒト臍帯内皮細胞に付着することを示した(Quら,1996)。
【0199】
従って、インビボでの内皮細胞へのPS媒介性のT細胞付着は、免疫監視機構
、およびまたアテローム性動脈硬化症の疾患過程の両方に対して重要であること
が提唱されている(Quら,1996;Moldovanら,1994)。Bo
mbeliら(1997)およびFlynnら(1997)はまた、アテローム
性動脈硬化症の斑の内部の細胞は、PSを露出させることによって疾患進行に寄
与し得るが、これは、もっぱらインビトロ研究に基いていたことを示唆した。Q
uら(1996)およびMoldovanら(1994)は、本発明のアプロー
チと反対のアプローチを暗示さえした(すなわち、ホスファチジルセリン相互作
用の抗凝血アプローチとしての操作)。米国特許第5,658,877号および
同第5,296,467号は、アネキシン(annexin)(または「アネキ
シン(annexine)」)を抗内毒素および抗凝血剤として使用することを
提唱した。米国特許第5,632,986号(本明細書中に参考として援用され
る)は、血栓を溶解する成分(例えば、ウロキナーゼ)との結合体としての、ホ
スファチジルセリン結合リガンドであるアネキシンVの使用を示唆する。
【0200】
Totiら(1996)は、スコット症候群(遺伝性出血障害)は、推定上の
外向きのホスファチジルセリントランスロカーゼ、すなわち「スクランブラーゼ
」の欠失または変異を反映し得ることを示唆した。興味深い概念であるが、St
outら(1997)は、後に、スコット赤血球(これは、外因性PLを有する
小胞内で再構成した場合、正常なPLスクランブラーゼ活性を示す)から膜タン
パク質を単離した。スコット症候群における欠損は、Ca2+と、細胞膜の面内(
endofacial)表面上でのPLスクランブラーゼとの変化した相互作用
に関連し、これは、インサイチュでのCa2+との相互作用を妨げる、このタンパ
ク質に対する内因性制約、または界面活性剤によって解離される、スコット細胞
の未同定のインヒビターもしくは補因子(Stoutら,1997)のいずれか
に起因することが示唆された。
【0201】
より変動的な結果が、アポトーシスにおけるPSの可能性のある役割に関して
報告されている。WilliamsonおよびSchlegel(1994)は
、PSの主題をプログラムされた細胞死(PCDまたはアポトーシス)のマーカ
ーとして考察した。プログラムされた細胞死は、少なくとも造血系において、膜
統合性の損失、すなわち「破裂」の前に、アポトーシス細胞の食作用の隔離を必
要とするということが一般に認められている。アポトーシス細胞における膜非対
称性の損失、特に外部リーフレット内のPSの出現は、食作用マクロファージに
よるそれらの認識のトリガーであることが提唱された(Williamsonお
よびSchlegel,1994)。
【0202】
Martinら(1995)はさらに、開始刺激に関係なく、種々のマウスお
よびヒトの細胞型のアポトーシスの間の初期のかつ広範な事象であるPS外面化
を報告した。彼らはまた、アポトーシスの形態学的特徴が妨げられる条件下(高
分子合成阻害、Bcl−2またはAblの過剰発現)で、形質膜の外部リーフレ
ット上のPSの出現が同様に防止されることを示した(Martinら,199
5)。
【0203】
しかし、他の分析により、WilliamsonおよびSchlegel(1
994)ならびにMartinら(1995)の提唱に対して、いくらかの議論
がなされる(Vermesら,1995)。これらの著者らは、PSの外膜表面
へのトランスロケーションは、アポトーシスのマーカーであることを示すが、彼
らは、このことはアポトーシスに独特ではなく、細胞壊死の間にも生じると推論
する。この2つの細胞死の形態の間の相違は、アポトーシスの初期段階の間、細
胞膜はインタクトのままである一方で、壊死が生じるちょうどその時に、細胞膜
はその統合性を失いそして漏出性となる点である。それゆえ、この推論によって
、細胞表面でのPS発現は、色素排除アッセイが行われて細胞膜統合性が確証さ
れなければ、アポトーシスを示さない(Vermesら,1995)。
【0204】
それにもかかわらず、本発明に先立つ文献の中身は、細胞の外表面上のPSの
出現が、アポトーシス細胞を同定し、そしてその細胞の摂食にシグナルを出すこ
とをまさに示すようである(Hamptonら、1996:WO95/2790
3)。Hamptonら(1996)は、細胞内Ca2+の上昇が、調査した細胞
では、アポトーシスの有効な誘因ではなかったが、細胞外Ca2+が、アポトーシ
スの間の効率的なPS曝露に必要であったと結論付けた。対照的に、内側−外側
PSトランスロカーゼの活性化がアポトーシスの間の初期の行き渡った事象であ
るというMartinらの提案(1995)は、少なくともいくらかの細胞内C
2+を必要とするようである(Zhouら、1997;Zhaoら、1998)

【0205】
Blankenbergら(1998)は、ごく最近、PSに対して高親和性
を持つ内因性ヒトタンパク質であるアネキシンVを用いてインビボのアポトーシ
ス細胞死の部位で濃縮し得ることを報告した。放射標識アネキシンVは、心臓同
種移植片拒絶を含む3つのモデルでアポトーシスの部位に局在化した(Blan
kenbergら、1998)。外因的に投与されたアネキシンVに対する心臓
同種移植片の染色は、単核浸潤物の周縁で筋細胞を示し、その内の小数がポジテ
ィブのアポトーシス核を示した。
【0206】
最後に、形質膜中のリン脂質の経二重層移動は、雄ヒツジ精子細胞中ですでに
分析されており、そこでは、リン脂質の横断分離の存在が、受精プロセスに関与していた(Muellerら、1994)。従って、リン脂質非対称は、この現
象の明瞭な理解、または健康もしくは疾患へのその関係は理解されていないけれ
ども、増加する注目を受けている。
【0207】
アミノリン脂質の生物学に関する当該分野の混乱した状態にかかわらず、本発
明者らは、制御されたインビボ研究で、PSおよびPEのようなアミノリン脂質
が、腫瘍血管の特異的マーカーであったことを発見した。このことは、アミノリ
ン脂質機能の初期の研究、特に、PSの細胞表面発現は、T細胞(Quら、19
96)、マクロファージ(Connorら、1989)、単球(Utsugiら
、1991)または貧食細胞(Zwaalら、1989;Williamson
およびSchlegel、1994)のような循環性細胞の結合をともない、そ
してアポトーシス細胞のマーカーであることを示す研究(Hamptonら、1
996;Martinら、1995;Zhouら、1997;Zhaoら、19
98)を考慮すれば驚きである。
【0208】
従って、本発明の前には、アミノリン脂質類を、任意の疾患の標的化可能なマ
ーカーとして用いる可能性は、腫瘍血管はもちろんのこと、1つ以上の細胞型の
結合によるこれら分子の認知されたマスキングに起因して意図されることはなか
ったであろう。事実、推測の示唆は、アテローム性動脈硬化症における初期事象
である、白血球結合を妨げることにおけるような、PS−細胞相互作用の破壊に
関する(Quら、1996)。
【0209】
この発見のその他の驚くべき局面は、形質膜からの凝固促進微粒子の脱粒およ
び貧食作用に対する細胞の分界(WO97/17084)に関する先の研究に対
する比較において明確である。Zwaalら(1989;1992)およびDa
chary−Prigentら(1996)は、形質膜へのPS転移は、細胞か
らの微粒子、マイクロベシクルまたはマイクロスフェアの放出が続くことを説明
した。Zwaalら(1989)、ならびにWilliamsonおよびSch
legel(1994)は、PS表面発現が、細網内皮系によるクリアランスを
促進することを示した。PS発現細胞のこれらの運命、および種々の記載された
二重層トランスロカーゼ活性(Julienら、1995;Zhouら、199
7;Zhaoら、1998)を考慮すれば、PSおよびPEのような細胞表面ア
ミノリン脂質類が、抗体局在化および結合を可能にするために十分に静的かつ安
定なマーカーを形成し得ることは驚きである。
【0210】
本発明の前に、表面PSが、アポトーシスプロセスの一部分として出現し、細
胞を急速な破壊のために印を付けるという増大する証拠があった(Hampto
nら、1996;Martinら、1995)。従って、移植片拒絶のような特
定の疾患状態の診断マーカーとしての使用に合理的ではあるが(Blanken
bergら、1988)、表面PSの見かけ上の限られた寿命はまた、治療的介
入における標的化のための実行可能なマーカーとしてのその使用に反対する忠告
であり得る。
【0211】
それにもかかわらず、本研究は、アミノリン脂質類が、標的化に適切な腫瘍血
管内皮細胞のマーカーであることをまさに実際発見した。PS発現が、VCAM
コアグリガンド作用に必要であったと仮定した後、正常血管ではなく、腫瘍血管
上のPSの存在が、インビボで証明された。このインビボの観察は、本発明者ら
に、抗VCAMコアグリガンドの安全性および有効性を説明することを可能にし
た。これは、腫瘍内皮上の標的化マーカー(例えばVCAM)およびPSの同時
発現の要求に起因する。標的分子が、たとえ、正常状態または病的状態にある内皮上に存在しても、表面PS発現が欠如している場合、血栓症は生じない。
【0212】
本発明の価値は、コアグリガンド作用を説明することに限られず、裸の抗体治
療の驚くべき開発(仮出願番号第60/092,672号および第60/110
,608号、各々は参考として本明細書に援用される)にも限られない。事実、
現在の発見は、本発明者らが、内皮細胞中のPS転移が有意な細胞損傷または細
胞死なくして生じ得ること最初に示すこと(実施例XIV)を可能にした。本発
明者らの腫瘍生物学の新たなモデルでは、腫瘍血管内皮細胞の表面へのPSの転
移が、アポトーシスまたはその他の細胞死機構とは独立に、少なくとも有意な一
部分において生じる。従って、腫瘍環境におけるPS表面発現は、細胞死の結果
ではないし、即座の細胞破壊のきっかけとなるものでもない。これは、基本的に
重要であり、そしてPS生物学、膜転移、細胞のシグナル伝達およびアポトーシ
ス経路の科学的理解における大きな進歩を表す。
【0213】
アポトーシスからの内皮細胞PS転移の分離(実施例XIV)はまた、PS表
面発現に基づく治療的介入の方法に欠くことができない。腫瘍血管内皮細胞中の
外膜へのPS転移が、瀕死の細胞でのみ生じるか、またはそれが細胞死の回避不
能のきっかけとなる場合、そのときは、PSマーカーは、治療剤の送達のための
標的として供するに十分利用可能でありそうにない。すなわち、特定の腫瘍血管
内皮細胞上のPS発現が一過性ではなく、しかも代謝回転および細胞死がこの内
皮細胞集団で生じないということではなく、この知見は、有意に安定なPS発現
が細胞死なくして達成され得るという、以下に記載の、種々の分野の生物学およ
び新たな標的化治療にとって重要な、画期的な発見である。
【0214】
(D.アミノリン脂質−標的化治療)
このインビボアミノリン脂質腫瘍血管系発現研究は、先に同定された腫瘍血管
系マーカー、例えば、固形腫瘍の処置のための選択的血栓剤としてのVCAM−
1およびE−セレクチンに対するコアグリガンドの使用をさらに支持する。しか
し、これらの観察はまた、本発明者らを、さらなる腫瘍処置方法を開発するため
に導いた。例えば、アミノリン脂質成分に対する裸のまたは非結合体化抗体は、
驚くべきことに、さらなるエフェクター部分の非存在下、インビボで腫瘍血管破
壊および腫瘍壊死を特異的に誘導し得ることが見出された。このような使用は、
各々本明細書に参考として特に援用される、第1および第2の仮出願番号第60
/092,672号(1998年7月13日出願)および第60/110,60
8号(1998年12月2日出願)ならびに同時出願の米国特許出願およびPC
T特許出願(代理人書類番号4001.002200、4001.002282
および4001.002210)に開示され、そして請求項に記載されている。
【0215】
第1および第2の仮出願番号第60/092,672号(1998年7月13
日出願)および第60/110,608号(1998年12月2日出願)の研究
は、Nakamuraら(1998)により最近報告された研究と対照的である
。これらの著者は、ループス性抗凝固因子(LAC)、動脈および静脈血栓症を
ともなう障害、血小板減少症、および再発性胎児損失を持つ患者からの抗体画分
を分析した。LAC活性を持つ血漿は、最初は、内皮細胞においてアポトーシス
を誘導することが報告された(Nakamuraら、1994)。LAC抗血清
のアポトーシス活性は、次いで、調べた10/10患者中、アネキシンV結合抗
体画分中に局在化することが報告された(Nakamuraら、1998)。ア
ネキシンはPSに結合するので、抗アネキシン抗体がアポトーシスを誘導する見
かけの能力は、抗PS抗体がアポトーシスを誘導する能力の反対である。
【0216】
LAC抗体画分がアポトーシスを誘導する能力は、アネキシンVとのプレイン
キュベーションにより阻害されることがさらに報告された(Nakamuraら
、1998)。対照的に、リン脂質リポソームを用いた患者のIgG画分からの
抗リン脂質抗体の除去は、アポトーシス誘導活性もアネキシンV結合をも無くさ
なかった(Nakamuraら、1998)。これらの結果は、LACを持つ患
者が、しばしば、リン脂質類を結合しないが、なお内皮細胞においてアポトーシ
スの誘導の原因となる抗体を有するということを合理的に示した(Nakamu
raら、1998)。
【0217】
Nakamuraら(1998)のLACデータを、これらの臨床状態の明ら
かに異なる性質に起因して、腫瘍および腫瘍血管系のインビボ研究からの本発明
者らの観察と同一視する必要性なしに、それでもなお、本発明者らは、特定の統
一する理論を有する。Nakamuraら(1998)は、リン脂質リポソーム
を用いて患者の抗血清から抗リン脂質抗体を取り除くことを試み、そしてこれは
アポトーシス誘導活性を無くさないことを観察した。これらの結果は、Naka
muraら(1998)を、この抗リン脂質類の抗体は、アポトーシス活性の原
因ではあり得ないと結論することに導いた。しかし、今や、本発明者らは、リン
脂質リポソームとのインキュベーションは、抗血清から抗リン脂質類の抗体類を
除去しないかもしれないということを示唆する洞察を有している。なぜなら、リ
ン脂質類は、二重層およびリポソーム形態では、抗原的に中性であり、そして主
としてヘキソゴナル形態で抗体に結合しているのみか(Rauchら、1986
;RauchおよびJanoff、1990;Berardら、1993;各々
は参考として本明細書中に援用される)、または膜タンパク質と会合しているか
らである。従って、抗リン脂質抗体は、LAC抗血清中に残存し得、そして観察
されたアポトーシス活性を生じ得るかまたはそれに寄与し得る。
【0218】
本明細書に開示された発明は、抗腫瘍血管系イムノトキシンおよび/またはコ
アグリガンド治療のための標的としてのアミノリン脂質類の使用に関する。血管
標的化治療において特異的な腫瘍血管局在化を可能にする任意のさらなる標的の
同定は価値があるけれども、適切な標的としてのアミノリン脂質類の本発見は特
に重要である。なぜなら、それは、別の完全な標的のグループ(先には好適であ
ったタンパク質よりはむしろ脂質類)を関係させるからである:このアミノリン
脂質の発見はまた、機能的に重要である。なぜなら、それは、治療薬を、膜から
より遠いタンパク質複合体への結合よりむしろ、標的細胞膜となおより緊密な接
触に送達することを可能にするからである。
【0219】
本発見の最も驚くべき局面の1つは、インタクトな腫瘍関連内皮細胞上のPS
発現が、標的化を可能にするに十分安定であることである。現在のインビボおよ
びインビトロデータは、PSが、正常形態およびインタクトな細胞骨格を持つ生
存腫瘍関連内皮細胞上で発現されるということを明確に示す。PS発現は、細胞
死を受けている細胞またはアポトーシス経路に侵入しようとしている細胞に限ら
れないので、診断剤および治療剤を用いた標的化は、実行可能であり、かつ驚く
べきことの両方である(PS発現が細胞破壊とのみ関連していると考えられたと
して)。
【0220】
アミノリン脂質標的化治療剤が腫瘍処置における使用に適切である正確な方法
および理由の正確な分子的理解は、本発明を実施するために必ずしも必要ではな
い。アミノリン脂質指向性治療剤の投与が、本明細書で、インビボで特異的抗腫
瘍効果を有利に生じるということが示されているので、本発明は、腫瘍血管系に
おけるアミノリン脂質発現の下にある分子機構にかかわらず利用され得る。
【0221】
しかし、現在までの科学的文献の総説が、現在の驚くべき有効な使用とは反対
を議論する特徴を示し、そして別個のアミノリン脂質結合剤結合体のための直接
反対の使用さえ提案していることに注目することは興味深い。例えば、ホスファ
チジルセリン結合性タンパク質であるアネキシンは、それ自体、抗凝固剤として
の使用が提案されている(WO91/07187;米国特許第5,296,46
7号;各々は参考として本明細書中に援用される)。アネキシンのこの使用は、
腫瘍細胞の凝固促進活性の阻害に基づくと言われていた(WO91/07187
)。
【0222】
なお、さらに強烈なのは、本発明と完全に対照をなす、米国特許第5,632
,986号の開示である。この開示は、血栓を溶解する化合物、またはこのよう
な血栓崩解化合物の前駆体との結合体としてのアネキシンの使用を提案する。ア
ミノリン脂質結合性タンパク質であるアネキシンの、溶解剤との参照された組み
合わせは、明らかに、アネキシンおよびその他のアミノリン脂質結合性タンパク
質と、直接的または間接的のいずれかで血栓症を誘導する薬剤との組み合わせに
関する本発明とは反対である。
【0223】
アミノリン脂質結合性薬剤および抗体に基づくイムノトキシンおよびコアグリ
ガンドの両方の調製には、当業者に公知であり、そして本明細書でさらに開示さ
れるように、組換え発現を採用して、融合タンパク質を作成し得る。等しく、イ
ムノトキシンおよびコアグリガンドは、アビジン:ビオチン架橋、またはほとん
どが抗体結合体に関して開発された任意の化学的結合体化および架橋剤技術を用
いて生成され得る。従って、以下の任意のアミノリン脂質結合性タンパク質およ
びリガンドは、本明細書に記載の抗体結合体に用いられるのと同一の様式でトキ
シンまたは凝固剤に結合体化され得る。
【0224】
(D1.アミノリン脂質結合性タンパク質)
抗体(以下を参照のこと)に加えて、アミノリン脂質結合性リガンドまたは結
合性タンパク質は、本発明の治療剤−標的化剤構築物中で用いられ得る。ホスフ
ァチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンの両方に特異的に結合す
る天然に存在するタンパク質が知られている。
【0225】
SugiおよびMcIntyreによる一連の研究は、キニノーゲンが、少な
くとも血小板中で、膜に剥き出たPEに結合し得ることを示した(Sugiおよ
びMcIntyre 1995;1996a;1996b;各々は参考として本
明細書中に援用される)。キニノーゲンは、抗血栓効果を通常有する天然に存在
するタンパク質である。本発明者らは、従って、低または高分子量キニノーゲン
が治療剤に付着し、そして腫瘍血管系のマーカーであることが新たに発見された
ホスファチジルエタノールアミンへの治療剤の送達に用いられ得ることを提案す
る。
【0226】
種々の哺乳動物およびヒトキニノーゲン遺伝子が今やクローニングされ、そし
てこのような遺伝子およびタンパク質を、本発明の種々の組換えおよび/または
化学的実施態様で用い得る。例えば、Nakanishiら、1983に記載さ
れる遺伝子およびタンパク質の完全ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、このよ
うな目的のために参考として本明細書中に援用する。
【0227】
Nawaら(1983;参考として本明細書中に援用される)は、ウシ低分子
量キニノーゲンのcDNAおよびタンパク質配列を報告した。Nawaら(1983)の図2を、これらの完全ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する目的
に参考として本明細書中に詳細に援用する。次いで、Kitamuraら(19
83;参考として本明細書中に援用される)は、単一遺伝子が、ウシの高分子量
および低分子量のキニノーゲンをコードすることを報告した。Kitamura
ら(1983)の図2を、参照遺伝子およびタンパク質配列を提供するために参
考として本明細書中に再び援用する。Kitamuraら(1987)もまた、
低分子量、高分子量およびT−キニノーゲンを含む、ウシ、ラットおよびヒトの
キニノーゲンに関するさらなる情報を提供する目的に参考として本明細書中に詳
細に援用する。
【0228】
本発明のこれらの局面における使用に好適な高分子量および低分子量のキニノ
ーゲンは、各々が参考として本明細書中に援用される、Takagakiら(1
985)、Kitamuraら(1985)およびKellermannら(1
986)により記載されるように、ヒト遺伝子およびタンパク質である。Tak
agakiら(1985)の図2および図3の各々は、ヒトの低分子量および高
分子量のプレキニノーゲンの完全ヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ提
供するために参考として本明細書中に詳細に援用される。Kellermann
ら(1986)のタンパク質分析論文の図1および8を同様に本明細書に援用す
る。
【0229】
Kitamuraら(1985)はまた、例えば、本発明との使用のために特
定の発現構築物を設計するために用いられ得るように、ヒトキニノーゲン遺伝子
の構造的組織に関するさらなる情報を提供する目的に参考として本明細書中に詳
細に援用される。Kitamuraら(1988)はさらに、任意の所望のキニ
ノーゲンがクローン化され得るように、cDNAおよびゲノムキニノーゲンのク
ローニングに関する詳細な情報を提供する目的に参考として援用される。
【0230】
Kitamuraら(1987;参考として本明細書中に援用される)により
記載されるT−キニノーゲンに加えて、Andersonら(1989)はまた
、T−キニノーゲンの遺伝子およびタンパク質配列を提供する目的に参考として
本明細書中に詳細に援用される。Andersonら(1989)の図3は、詳
細に援用される。
【0231】
このような実施態様で用いられ得るその他のホスファチジルエタノールアミン
結合性タンパク質が公知である。多くの、特にJonesおよびHall、なら
びにBernierおよびJollesによる研究は、ホスファチジルエタノー
ルアミン結合性タンパク質の精製、特徴付けおよびクローニングに関していた。
例えば、BernierおよびJolles(1984;参考として本明細書中
に援用される)は、後にホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク質とし
て特徴付けられた(Bernierら、1986;参考として本明細書中に援用
される)、ウシ脳からの塩基性の約23kDaの細胞質ゾル性タンパク質の精製
および特徴付けを最初に報告した。Schoentgenら(1987;参考と
して本明細書中に援用する)は、このウシタンパク質の完全アミノ酸配列を報告
し、次いで21kDaであることを示した。Schoentgenら(1987
)の図2は、このウシホスファチジルエノタールアミン結合性タンパク質の完全
アミノ酸配列を提供する目的のために参考として本明細書中に詳細に援用される

【0232】
JonesおよびHall(1991;参考として本明細書中に援用する)は
、後に、BernierおよびJolles(BernierおよびJolles、1984;Bernierら、1986;Schoentgenら、198
7)のウシ脳細胞質ゾル性タンパク質に配列類似性およびそれに類似のリン脂質
結合性性質を示した、ラット精子形質膜からの約23kDaタンパク質を精製し
、そして部分配列決定をした。このJonesおよびHall(1991;参考
として本明細書中に援用する)のラット23kDaタンパク質はまた、ホスファ
チジルエタノールアミンに対する選択的親和性を示した(Kd=1.6×10-5
M)。
【0233】
Perryら(1994;参考として本明細書中に援用する)は、次いでJo
nesおよびHall(1991)のホスファチジルエタノールアミン結合性タ
ンパク質のラットおよびサル版をクローン化および配列決定した。Perryら
(1994)の図4、5および6は、ラットおよびサルのホスファチジルエタノ
ールアミン結合性タンパク質の完全DNAおよびアミノ酸配列、ならびにウシタ
ンパク質配列に対する比較を提供する目的に参考として本明細書中に詳細に援用
される。任意の先行する哺乳類ホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク
質、またはそれらのヒト相当物を、治療剤に付着し得、そして本発明で用い得る
。これらの哺乳類配列は、EMBLヌクレオチド配列データベース登録番号X7
1873(ラット)およびX73137(サル)を持ち、そして各々は本明細書
中に参考として援用される。
【0234】
相当するヒトホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク質もまたクロー
ン化されている(Horiら、1994;参考として本明細書中に援用される)
。Horiら(1994)の図1ならびにGenBank、EMBLおよびDD
BJ登録番号D16111の両方を、ヒトホスファチジルエタノールアミン結合
性タンパク質の完全DNAおよびアミノ酸配列を提供する目的に参考として本明
細書中に援用する。本明細書中に援用されるとき、これらの哺乳類およびヒトの
配列は、周知の発現技法で、これらのタンパク質自体またはそれらと治療剤との
融合物のいずれかで発現するために採用され得る。酵母、Drosophila
、サル、T.canisおよびO.volvulusのような他の供給源からの
ホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク質および遺伝子もまた、これら
の実施態様で採用され得る(Gemsら、1995;参考として本明細書中に援
用される)。
【0235】
改変体、変異体または第2世代のホスファチジルエタノールアミン結合性タン
パク質核酸もまた、標準的な分子生物学技法により容易に調製され得、そして必
要に応じて、各々参考として本明細書中に援用される、Nakanishiら(
1983);Nawaら(1983);Kitamuraら(1983;198
5;1987;1988);Takagakiら(1985);Kellerm
annら(1986);Andersonら(1989);Bernierおよ
びJolles(1984);Bernierら(1986);Schoent
genら(1987);JonesおよびHall(1991);Perryら
(1994);およびHoriら(1994)のいずれか1つ以上に提示される
任意のホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク質ヌクレオチド配列にハ
イブリダイズするとして特徴付けられ得る。例示の適切なハイブリダイゼーショ
ン条件は、約7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約0.5MのNaPO
4、約1mMのEDTA中、約50℃でのハイブリダイゼーション;および約1
%のSDSを用いた約42℃での洗浄を含む。
【0236】
先行するホスファチジルエタノールアミン結合性タンパク質または「リガンド
」に加えて、ホスファチジルセリンに特異的に結合する天然に存在するタンパク質が存在する。これらの中で好適なのは、カルシウム依存性リン脂質結合性タン
パク質のグループであるアネキシン(annexins)(ときどき「anne
xines」と綴られる)である。アネキシンファミリーの少なくとも9のメン
バーが哺乳動物組織中で同定されている(アネキシンI〜アネキシンIX)。こ
れらの中で最も好適なのは、アネキシンV(PAP−Iとしてまた知られる)で
ある。
【0237】
参考として本明細書中に援用する米国特許第5,658,877号は、アネキ
シンI、アネキシンIの有効量およびその薬学的組成物も記載する。肺における
エンドトキシンの副作用を防ぐまたは軽減するために動物を処置する方法もまた
記載され、この方法は、動物の気道中に33kDaアネキシンIフラグメントの
安全量を投与することを包含する。
【0238】
アネキシンVは、1つの遊離のスルフヒドリル基を含み、そして任意の付着し
た糖質鎖を有さない。cDNA配列から推定されたアネキシンVの一次構造は、
アネキシンVが4つの内部反復単位を含むことを示す(米国特許第4,937,
324号;参考として本明細書中に援用する)。
【0239】
米国特許第5,296,467号およびWO91/07187はまた、「アネ
キシン(annexine)」(annexin)を含む薬学的組成物を提供す
るので、各々参考として本明細書中に援用する。抗凝固剤としての使用について
提案されているが、米国特許第5,296,467号およびWO91/0718
7のアネキシンは、本発明の結合体の一部分として今や用いられ得る。
【0240】
WO91/07187は、天然、合成または遺伝子的に調製された「アネキシ
ン(annexine)」(annexin)の誘導体およびアナログを提供し
、これは、本発明の結合体において今や用いられ得る。特定のアネキシンは、改
変体アミノ酸、および必要に応じて316−Cysと2−Alaとの間のジスル
フィド架橋を含む、320アミノ酸で提供される。
【0241】
米国特許第5,296,467号は、アネキシン類およびそれらの薬学的組成
物をなおさらに記載する目的で、すべての図および配列を含む、その全体が参考
として本明細書中に援用される。米国特許第5,296,467号は、アネキシ
ンクローニング、組換え発現および調製を記載する。例えば、個々のアネキシン
上の1以上のシステイン基間のジスルフィド結合により連結された、2以上のア
ネキシンの凝集体もまた開示される。適切なアネキシン出発材料のなおさらなる
例は、WO95/27903に提供され(参考として本明細書中に援用する)、
これは、アポトーシス細胞を検出する使用のためにアネキシンを提供する。
【0242】
WO97/17084もまた、本発明の構築物を調製するためのアネキシン出
発材料を記載する目的に参考として本明細書中に援用される。WO97/170
84は、ホスファチジルセリン依存性貧食作用を改変するためのアネキシンVの
使用に特に関する。それは、PS依存性貧食作用をブロックすることが、PS保
持細胞が他の経路により貧食作用を受け、アネキシンVが、ワクチン類の免疫原
性を増加するためのアジュバントとして用いられ得るように、より大きな免疫応
答に至ることを意味すると述べている。鎌状赤血球貧血およびマラリアの処置も
また記載されている。WO97/17084もまた、本明細書中の使用のために
適合され得る特定の発現ベクター系を提供する。
【0243】
本発明の治療構築物を調製するための適切なアネキシン出発材料を明瞭に記載する程度まで、米国特許第5,627,036号;WO95/19791;WO
95/27903;WO95/34315;WO96/17618;およびWO
98/04294の診断アプローチの各々;もまた、参考として本明細書中に詳
細に援用される。種々のこれらの書類もまた、本発明中への適合のために有用な
組換え発現ベクターに関する。
【0244】
本発明の前には全体的に反直感的であったが、現在では、米国特許第5,63
2,986号のアネキシン結合技術が、本発明の腫瘍処置方法における使用に適
合され得る。米国特許第5,632,986号(本明細書中で参考として援用さ
れる)は、血栓を溶解する化合物またはそのような化合物の前駆体を用いて、ア
ネキシン結合体を提供する。アネキシン−プラスミノーゲンアクチベーター結合
体およびアネキシン−ウロキナーゼ結合体は、特に血栓崩壊のため、そして血栓
症から生じる障害を処置するために提供された。本明細書中に開示される毒性化
合物および凝固性化合物のために米国特許第5,632,986号の血栓崩壊性
化合物を変換することによって、米国特許第5,632,986号の基礎的な結
合技術が、本発明における使用のために容易に適合され得る。
【0245】
従って、米国特許第5,632,986号は、組織抽出物からのアネキシンの
単離(米国特許第4,937,324号;これもまた、本明細書中で参考として
援用される)、および組換え方法によるアネキシンの産生をさらに記載する目的
で提供される。米国特許第5,632,986号のcDNAクローンおよび発現
ベクターの各々は、本明細書中で特に参考として援用される。
【0246】
米国特許第5,632,986号はまた、リン脂質結合能力が実質的に低減さ
れない限り1つ以上のアミノ酸残基で再分割(subdivided)または変
換される、アネキシン分子の変異体および改変体をさらに記載する目的で、本明
細書中で特に参考として援用される。例えば、本発明における使用のための適切
なアネキシンは、例えば1つ以上のドメインを含むかもしくはネイティブのタン
パク質より少ないアミノ酸残基を含むように切り詰めされ得るか、または置換さ
れたアミノ酸を含み得る。ムテインまたは第2の世代のアネキシン分子が、アミ
ノリン脂質について実質的により低い親和性を含まない限り、任意の変化が、本
発明の範囲内において許容可能である。そのようなガイダンスはまた、ホスファ
チジルエタノールアミン結合タンパク質に適用され得る。
【0247】
第2世代である、改変体アネキシンをコードする核酸および変異体アネキシン
をコードする核酸もまた、標準的な分子生物学技術によって容易に調製され得、
そして必要に応じて、ハイブリダイゼーション条件(例えば、約7%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)、約0.5M NaPO4、約1mM EDTA中、約
50℃でのハイブリダイゼーション;および約1%SDSでの約42℃での洗浄
を含むハイブリダイゼーション条件)下で、前述のアネキシンコード核酸配列の
いずれかにハイブリダイズするとして特徴付けられ得る。
【0248】
アネキシンおよび他の因子の化学架橋もまた、米国特許第5,632,986
号(本明細書中で参考として援用される)に記載される。すべてのそのような技
術は、単に、本明細書中に記載されるものの代わりに血栓崩壊性剤を置換するこ
とによって本明細書中での使用に適合され得る。例えば、脂肪族ジアミン;スク
シンイミドエステル;ヘテロ二官能性カップリング剤(例えば、SPDP);マ
レイミド化合物;スペーサーを有するリンカーなどが使用され得る。
【0249】
米国特許第5,632,986号は、アネキシン含有結合体の組換え産生を記載する目的で、なおさらに特に本明細書中で参考として援用される。例えば、適
切な核酸配列が結合され、キメラコード配列を生じ、次いでキメラタンパク質を
生成する。例示的な発現ベクターは、pKK233−2(E.coli)、DP
OT(酵母)およびpDSP1.1BGH(哺乳動物)であるといわれる。その
ような教示は、本明細書中に提供されるさらなる情報によって補充される。
【0250】
(D2.生物学的機能性等価物)
アミノリン脂質結合タンパク質の等価物またはさらなる改良物が、今や、一般
には上記に提供される物質を出発点として使用して作製され得る。改変および変
化が、アミノリン脂質結合タンパク質の構造中になされ得、そしてさらに類似ま
たは他の様式の所望の特徴を有する分子を入手し得る。例えば、特定のアミノ酸
が、相互作用性結合能(例えば、アミノリン脂質、PSおよびPEへの結合)の
かなり大きな損失なしに、タンパク質構造において他のアミノ酸の代わりに置換
され得る。これらの考察もまた、毒素および凝固剤にあてはまる。
【0251】
タンパク質の生物学的機能活性を規定するのは、タンパク質の相互作用能力お
よび性質であるので、特定のアミノ酸配列置換がタンパク質配列(または、当然
のことながら基礎のDNA配列)中でなされ得、にもかかわらず類似(アゴニス
ト)の特性を有するタンパク質を入手し得る。例えば、種々の変化が、それらの
生物学的有用性または活性のかなり大きな損失なく、既知のアミノリン脂質結合
タンパク質またはペプチドの配列(または、基礎のDNA配列)になされ得るこ
とが意図される。基礎のDNA配列を変異することから作製される生物学的機能
性等価物は、本明細書中の表Aにおいて提供されるコドン情報、および部位特異
的変異誘発に関する支持する技術的詳細を用いてなされ得る。
【0252】
分子の所定の部分内になされ得、なお受容可能なレベルの等価な生物学的活性
を有する分子を生じ得る変化の数に対して限界が存在するという概念が、「生物
学的機能性等価物」タンパク質またはペプチドの定義に固有であることもまた、
当業者に十分に理解される。従って、生物学的機能性等価物タンパク質およびペ
プチドは、本明細書中において、ほとんどまたはすべてではないが特定のアミノ
酸が置換され得るタンパク質およびペプチドとして規定される。当然のことなが
ら、異なる置換を有する複数の異なるタンパク質/ペプチドは、本発明に従って
容易に作製および使用され得る。
【0253】
アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖の置換の相対的類似性(例えば、それ
らの疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づく。アミノ酸側鎖置換のサイズ
、形状および型の分析によって、アルギニン、リジンおよびヒスチジンはすべて
正に荷電した残基であること;アラニン、グリシンおよびセリンはすべて類似の
サイズであること;そして、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン
はすべて一般的に類似の形状であることが示される。従って、これらの考察に基
づいて、アルギニン、リジンおよびヒスチジン;アラニン、グリシンおよびセリ
ン;ならびにフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、本明細書中
において、生物学的機能性等価物として規定される。
【0254】
より大きな量の変化を生じさせる際に、アミノ酸の疎水親水指数が考慮され得
る。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷特徴に基づいて疎水親水指数を指
定されており、これらは以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4
.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/
シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリ
シン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン
(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラ
ギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);および
アルギニン(−4.5)。
【0255】
タンパク質に相互作用性生物学的機能を付与する際の疎水親水アミノ酸指数の
重要性は、一般に当該分野において理解される(KyteおよびDoolitt
le、1982、本明細書中で参考として援用される)。特定のアミノ酸が、類
似の疎水親水指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに置換され得、そ
してなお類似の生物学的活性を保持することは公知である。疎水親水指数に基づ
いた変化を生じさせる際に、疎水親水指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好
ましく、±1以内である置換が特に好ましく、そして±0.5以内である置換が
さらにより特に好ましい。
【0256】
従って、アミノ酸が、類似の親水性値を有する別のアミノ酸の代わりに置換さ
れ、そしてなお生物学的に等価なタンパク質を入手し得ることが理解される。米
国特許第4,554,101号(本明細書中で参考として援用される)において
詳述されるように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に指定されている:アルギ
ニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グ
ルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2)
;グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリ
ン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システ
イン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−0.5);ロイシン(
−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラ
ニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
【0257】
親水性値に基づいた変化を生じさせる際に、親水性値が±2以内であるアミノ
酸の置換が好ましく、±1以内である置換が特に好ましく、そして±0.5以内
である置換がさらにより特に好ましい。
【0258】
(D3.毒性剤および抗細胞性薬剤)
特定の適用のために、治療剤は、内皮細胞の増殖または細胞分裂を消失または
抑制する能力を有する、細胞傷害性薬剤または薬理学的薬剤、特に細胞傷害性薬
剤、細胞分裂抑制剤、抗細胞性薬剤または抗血管形成剤(anti−angio
genic agent)である。一般に、本発明のこれらの局面は、標的化す
る薬剤に結合されて、そして活性な形態で標的化される内皮に送達され得る任意
の薬理学的薬剤の使用を意図する。
【0259】
例示的な抗細胞性薬剤には、化学療法剤および細胞毒が挙げられる。使用され
得る化学療法剤には以下が挙げられる:ホルモン(例えば、ステロイド);代謝
拮抗薬(例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキセート
またはアミノプテリン);アントラサイクリン;マイトマイシンC;ビンカアル
カロイド類;デメコルチン;エトポシド:ミトラマイシン:抗腫瘍アルキル化剤
(例えば、クロラムブシルまたはメルファラン)。他の実施態様は、サイトカイ
ンのような薬剤を含み得る。基本的には、標的化された内皮細胞の部位での血液
成分への標的化、インターナリゼーション、放出および/または提示を可能にす
る様式で、標的化剤もしくは抗体に首尾良く結合され得るか、またはそれと会合
され得る限り、任意の抗細胞性薬剤が使用され得る。
【0260】
例えば、標的抗原が、毒性化合物による効率的な中毒と一致する経路によってインターナライズしない場合、化学療法剤(例えば、抗腫瘍薬物、サイトカイン
、代謝拮抗薬、アルキル化剤、ホルモンなど)を標的化することが望まれる場合
のような状況が存在し得る。種々の化学療法剤および他の薬理学的薬剤(ドキソ
ルビシン、ダウノマイシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、ネオカルチノ
スタチン、マクロマイシン、トレニモン(trenimon)およびα−アマニ
チンを含む)は、現在では、抗体に首尾良く結合され、そして薬理学的に機能す
ることが示されている。
【0261】
他の状況において、細胞毒に基づく治療由来の任意の潜在的な副作用が、DN
A合成インヒビター(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アドリアマイ
シンなど)の使用によって除去され得る。従って、これらの薬剤は、本発明にお
ける使用のための抗細胞性薬剤の好ましい例である。細胞分裂抑制剤に関して、
そのような化合物は、一般に、標的細胞の天然の細胞周期を、好ましくはその細
胞が細胞周期からはずされるように妨害する。例示的な細胞分裂抑制剤は含む。
【0262】
抗アミノリン脂質抗体または結合リガンドに結合され得る、広範な種々のネガ
ティブが公知である。例には、いくつか例を挙げると、例として以下が挙げられ
る多くの有用な植物由来毒素、真菌由来毒素または細菌由来毒素が挙げられる:
種々のA鎖毒素、特にリシンA鎖;リボソーム不活化タンパク質(例えば、サポ
リンまたはゲロニン);α−サルシン;アスペルギリン;レストリクトシン(r
estrictocin);リボヌクレアーゼ(例えば、胎盤リボヌクレアーゼ
);ジフテリア毒素;およびpseudomonas外毒素。
【0263】
毒素のうち、リシンA鎖が好ましい。本発明に関する使用のための最も好まし
い毒素部分は、炭水化物残基を改変または除去するように処理された毒素A鎖、
いわゆる脱グリコシル化A鎖(dgA)である。脱グリコシル化リシンA鎖は、
その極度の有効性、より長い寿命のため、そして臨床等級および規模での製造に
経済的に適切であるために好ましい。
【0264】
最も小さな分子であるが、にもかかわらず適切な生物学的応答を提供すること
が可能な分子を使用することは、薬理学的見地から望ましくあり得る。例えば、
十分な抗細胞応答を提供するより小さなA鎖ペプチドを使用することが望まれ得
る。この目的のために、リシンA鎖は、Nagarase(Sigma)による
30のN末端アミノ酸の除去によって「切り詰め」され得、そしてなお十分な毒
素活性を保持し得ることが発見されている。所望される場合、この切り詰めされ
たA鎖は、本発明に従って結合体において使用され得ることが提案される。
【0265】
あるいは、毒素A鎖部分への組換えDNA技術の適用は、本発明によるさらな
る利益を提供することが理解され得る。生物学的に活性なリシンA鎖のクローニ
ングおよび発現が達成されているという点で、現在では、より小さいまたは他の
様式の改変体ペプチドであるが、にもかかわらず適切な毒素活性を示す改変体ペ
プチドを同定および調製することが可能である。さらに、現在では、リシンA鎖
がクローニングされているという事実によって、部位特異的変異誘発の適用が可
能であり、それを通じて、A鎖由来ペプチドが容易に調製およびスクリーニング
され得、そして本発明と組み合わせての使用のためのさらなる有用な部分が得ら
れる。
【0266】
腫瘍の血管構造上で発現されるPSの免疫結合体標的化における使用のための
他の薬剤は、アンギオポエチンである。アンギオポエチンは、VEGFファミリ
ーのメンバーと同様に、主に血管内皮に特異的な増殖因子である(DavisおよびYancopoulos、1999:Holashら、1999;本明細書
中で参考として援用される)。最初に記載されたアンギオポエチンは、天然に存
在するアゴニストであるアンギオポエチン−1(Ang−1;配列番号1および
配列番号2)、および天然に存在するアンタゴニストであるアンギオポエチン−
2(Ang−2;配列番号3および配列番号4)であった。この両方は、内皮細
胞チロシンキナーゼレセプターTie2によって作用する。
【0267】
2つの新しいアンギオポエチンである、アンギオポエチン−3(マウス)およ
びアンギオポエチン−4(ヒト)もまた同定された(Valenzuelaら、
1999)。アンギオポエチン−3は、アンタゴニストとして作用するようであ
るが、アンギオポエチン−4は、アゴニストとして機能するようである(Val
enzuelaら、1999)。アンギオポエチン−3と呼ばれるタンパク質は
また、ヒト心臓からクローニングされ、そして内皮細胞に対してマイトジェン効
果を有さないと報告された(Kimら、1999)。
【0268】
VEGFは、血管発達の早期の段階のために必要であるが、アンギオポエチン
−1は、一般に、血管リモデリングのより後期の段階に必要とされる。従って、
アンギオポエチン−1は、成熟因子または安定化因子であり、これは、未成熟の
血管を成熟した血管に変換する。
【0269】
アンギオポエチン−1は、虚血性組織において血管再生を増強すること(Sh
yuら、1998)、およびVEGFまたはaFGFの形態のいずれかに曝露さ
れた血管網の生存を増加すること(Papapetropoulosら、199
9)が示されている。これらの著者らはまた、アンギオポエチン−1が、同じ形
態のaFGFの撤退によって誘発されるHUVECにおけるアポトーシス死を妨
げることを示した(Papapetropoulosら、1999)。そのよう
なデータは、ヒト内皮細胞に対するアンギオポエチン−1の直接的な役割、およ
び分化した内皮細胞の生存を促進することによって血管構造を安定化する他の血
管形成分子との相互作用と一致する。
【0270】
アンギオポエチンのうち、アンギオポエチン−2は、PS標的化治療、特に、
低いVEGFレベルを有し、そして/またはVEGF阻害と組み合わされた腫瘍
における使用のための好ましい薬剤である。アンギオポエチン−2はまた、Ti
e2についてのリガンドであるが、一般にアンギオポエチン−1によって媒介さ
れる血管成熟/安定性を中和する。従って、アンギオポエチン−2は、アンギオ
ポエチン−1のアンタゴニストであり、そして毛細管構造を不安定にするように
作用する。しかし、アンギオポエチン−2は、内皮細胞を血管形成刺激に対して
応答性にするので、アンギオポエチン−2は、他の適切なシグナル(特に、VE
GF)と組み合わせて新生血管形成を開始し得る(Asaharaら、1998
;Holashら、1999;本明細書中で参考として援用される)。
【0271】
別の血管形成シグナルの非存在下では、アンギオポエチン−2は、血管が脱安
定化し、そして未成熟になるのを引き起こす。刺激(例えば、VEGF)の存在
下では、アンギオポエチン−2は血管形成を促進する。実際に、多くのレギュレ
ーターの血管形成効果は、少なくとも一部には、微小血管内皮細胞におけるアン
ギオポエチン−2活性の自己分泌ループの調節を介して達成されると考えられて
いる(MandriotaおよびPepper,1998)。
【0272】
腫瘍組織におけるアンギオポエチン−2発現が報告されており(Tanaka
ら、1999)、ここでアンギオポエチン−2は、おそらく、VEGFと組み合わせて血管形成を促進するように作用する(Stratmannら、1998)
。しかし、VEGFが低いまたは存在しない場合には、アンギオポエチン−2は
ネガティブシグナルを提供するので、アンギオポエチン−2の供給は、有用な治
療アプローチであり得る。腫瘍標的化形態に加えて、アンギオポエチン−2はま
た、タンパク質または遺伝子治療治療剤として投与され得る(本明細書中に記載
される組合せ治療を参照のこと)。アンギオポエチンの融合タンパク質(例えば
、配列番号5として本明細書中に含まれる安定なAng−1−Ang−2融合タ
ンパク質)はまた、本発明における使用について考察される。
【0273】
(D4.凝固因子)
本発明の抗体およびリガンド標的化剤は、凝固を直接的または間接的に刺激し
得る成分に連結され、コアグリガンドを形成し得る。ここで、この標的化剤は、
凝固剤または凝固因子に直接的に連結され得るか、または凝固剤もしくは凝固因
子を結合し、次いでそれらを放出する第2の結合領域に連結され得る。本明細書
中で使用される用語「凝固剤」および「凝固因子」を各々使用して、適切な条件
下、好ましくは特定のインビボ環境(例えば、腫瘍血管構造)に提供される場合
に、凝固を直接的または間接的に刺激し得る成分をいう。
【0274】
好ましい凝固因子は、組織因子組成物(例えば、切り詰めされたTF(tTF
)、ダイマーTF分子、マルチマーTF分子および変異体TF分子)である。「
切り詰めされたTF(truncated TF)」(tTF)は、膜結合欠損
に、この特性における変化をもたらすために十分なアミノ酸配列を除去すること
によってされているTF構造をいう。この状況において「十分な量」とは、TF
分子を膜中に進入させるか、またはTFタンパク質の機能的な膜結合を他の様式
で媒介するに元々十分な、膜貫通アミノ酸配列の量である。従って、このような
「十分な量の膜貫通配列」の除去は、リン脂質膜結合能を欠損した切り詰めされ
た組織因子タンパク質またはポリペプチドを生じ、その結果、このタンパク質は
、実質的に、リン脂質膜に有意に結合しない可溶性タンパク質である。従って、
切り詰めされたTFは、実質的に、標準的なTFアッセイにおいて第VII因子
を第VIIa因子に変換し得ず、そしてなお第VIIa因子の存在下で第X因子
を活性化することを含む、いわゆる触媒活性を保持する。
【0275】
米国特許第5,504,067号は、そのような切り詰めされた組織因子タン
パク質をさらに記載する目的のために、特に本明細書中において参考として援用
される。好ましくは、本発明のこれらの局面における使用のための組織因子は、
一般に、タンパク質の膜貫通領域および細胞質領域(アミノ酸220〜263)
を欠く。しかし、切り詰めされたTF分子が、219アミノ酸という正確な長さ
の分子に限定される必要はない。
【0276】
組織因子組成物はまた、ダイマーとして有用であり得る。任意の切り詰めされ
た組織因子構築物、変異された組織因子構築物、または他の組織因子構築物は、
本発明における使用のためにダイマー形態で調製され得る。当業者に公知のよう
に、このようなTFダイマーは、分子生物学および組換え発現の標準的な技術を
使用することによって調製され得る。ここで2つのコード領域は、インフレーム
に調製され、そして発現ベクターから発現される。同様に、種々の化学結合技術
が、TFダイマーの調製と組み合わせて使用され得る。個々のTFモノマーは、
結合の前に誘導体化され得る。すべてのこのような技術は、当業者に容易に公知
である。
【0277】
所望される場合、組織因子ダイマーまたはマルチマーは、生物学的に放出可能な(biologically−releasable)結合(例えば、選択的
に切断可能なリンカーまたはアミノ酸配列)を介して結合され得る。例えば、腫
瘍環境内で優先的に配置されるか、または活性である酵素についての切断部位を
含むペプチドリンカーが意図される。そのようなペプチドリンカーの例示的な形
態は、ウロキナーゼ、プラスミン、トロンビン、第IXa因子、第Xa因子また
はメタロプロテイナーゼ(例えば、コラーゲナーゼ、ゲラチナーゼまたはストロ
メライシン)によって切断されるペプチドリンカーである。
【0278】
特定の実施態様において、組織因子ダイマーはさらに、後にリン脂質膜と組織
因子の機能的会合を(特定の所定の条件下のみであるが)強化するために、妨げ
られた疎水性膜挿入部分を含み得る。切り詰めされた組織因子の状況において記
載される場合、疎水性膜会合配列は、一般に、それらの疎水性の性質に起因して
、リン脂質環境との会合を促進するアミノ酸のストレッチである。同様に、脂肪
酸は、潜在的な膜挿入部分を提供するために使用され得る。
【0279】
このような膜挿入配列は、それらの付着がTF構築物の機能的特性を妨げない
限り、TF分子のN末端もしくはC末端のいずれかに位置され得るか、または一
般に膜の任意の他の点に付加され得る。妨げられた挿入部分の意義は、TF構築
物が腫瘍環境に位置するまで、それは非機能性を保持し、そして疎水性付加が、
接近可能になり、そしてなおさらに膜との物理的会合を促進するのを可能にする
ことである。再度、生物学的に放出可能な結合および選択的に切断可能な配列が
、この点において特に有用であり、結合または配列のみが、腫瘍環境内の局在化
および特定の酵素または他の生物活性分子への曝露の際に切断または他の様式で
改変されることが意図される。
【0280】
他の実施態様において、tTF構築物は、マルチマーまたはポリマーであり得
る。この状況において、「ポリマー構築物」は、3以上の組織因子構築物を含む
。「マルチマーTF構築物またはポリマーTF構築物」は、少なくとも第2およ
び第3のTF分子または誘導体に作動可能に結合された第1のTF分子または誘
導体を含む構築物である。マルチマーは、約3〜約20のこのようなTF分子を
含み得る。マルチマーまたはポリマー内の個々のTF単位はまた、所望される場
合、選択的に切断可能なペプチドリンカーまたは他の生物学的に放出可能な結合
によって連結され得る。再度、上記に議論されたTFダイマーに関して、構築物
は、組換え操作および発現を用いるか、または標準的な合成化学を用いるかのい
ずれかで容易に作製され得る。
【0281】
本発明の状況において有用ななおさらなるTF構築物は、第VII因子を活性
化する能力が欠損している変異体である。そのような「第VII因子活性化変異
体」は、一般に、機能的な第VII/VIIa因子を結合し、第X因子をタンパ
ク質分解性に活性化するが、第VII因子をタンパク質分解性に活性化する能力
が実質的に存在しないTF変異体として本明細書中において定義されている。従
って、そのような構築物は、第VII因子活性化活性を欠くTF変異体である。
【0282】
そのような第VII因子活性化変異体が、腫瘍特異的凝固を促進する際に機能
する能力は、腫瘍血管構造へのそれらの特異的送達、および血漿中における低い
レベルでの第VIIa因子の存在に基づく。そのような第VII因子活性化変異
体標的化剤結合体の投与の際に、変異体は、血管化腫瘍の血管構造内に局在化さ
れる。局在化の前に、TF変異体は、一般に、第VII因子を第VIIa因子に
変換し得ないことに基づいて、任意の他の身体部位における凝固を促進し得ない
。しかし、次いで、腫瘍領域内の局在化および蓄積の際に、変異体は、外因性の凝固経路を開始するために血漿から十分な第VIIa因子と出会い、腫瘍特異的
血栓症を導く。外因性の第VIIa因子もまた患者に投与され得る。
【0283】
種々の第VII因子活性化変異体のうちの任意の1つ以上が調製され、本発明
と組み合わせて使用され得る。第VII/VIIa因子についてのTF分子上の
認識部位に関して、有意な量の科学知識が存在する。従って、第VII活性化領
域が、一般にTF分子のおよそアミノ酸157〜およそアミノ酸167の間に位
置することが理解される。しかし、この領域の外側の残基もまた、第VII活性
化活性に関連することが判明し得、従ってTF配列のおよそアミノ酸106〜お
よそアミノ酸209に一般に位置する残基の任意の1つ以上に変異を導入するこ
とが考慮され得る(WO94/07515;WO94/28017;各々、本明
細書中において参考として援用される)。
【0284】
種々の他の凝固因子は、以下に示される薬剤によって例示されるように、本発
明と組み合わせて使用され得る。トロンビン、第V/Va因子および誘導体、第
VIII/VIIIa因子および誘導体、第IX/IXa因子および誘導体、第
X/Xa因子および誘導体、第XI/XIa因子および誘導体、第XII/XI
Ia因子および誘導体、第XIII/XIIIa因子および誘導体、第X因子ア
クチベーターおよび第V因子アクチベーターが、本発明において使用され得る。
【0285】
ラッセルクサリヘビ蛇毒第X因子アクチベーターは、本発明における使用につ
いて意図される。ラッセルクサリヘビ蛇毒中に存在する第X因子アクチベーター
について特異的なモノクローナル抗体もまた産生されており、そして二重特異性
結合リガンドの部分として因子を特異的に送達するために使用され得る。
【0286】
トロンボキサンA2は、血小板ミクロソーム中の酵素シクロオキシゲナーゼお
よび酵素トロンボキサンシンテターゼの連続的作用によって、エンドペルオキシ
ドから形成される。トロンボキサンA2は血小板によって容易に産生され、そし
て血小板凝集を生成するその能力が理由で強力な血管収縮薬である。トロンボキ
サンA2およびその活性なアナログは、本発明の用途のために意図される。
【0287】
トロンボキサンシンターゼ、および血小板活性化プロスタグランジンを合成す
る他の酵素もまた、本発明の状況において「凝固薬」として使用され得る。トロ
ンボキサンシンターゼに対するモノクローナル抗体、およびトロンボキサンシン
ターゼのイムノアフィニティ精製は公知であり;ヒトトロンボキサンシンターゼ
についてのcDNAも同様である。
【0288】
α2−抗プラスミン、すなわち、α2−プラスミンインヒビターは、プラスミ
ノーゲンアクチベーターによって誘導されるフィブリン血餅の溶解を効率的に阻
害するように機能する、ヒト血漿において天然に存在するプロテイナーゼインヒ
ビターである。α2−抗プラスミンは、特に強力なインヒビターであり、そして
本発明の用途のために意図される。
【0289】
α2−抗プラスミンについてのcDNA配列が利用可能である場合、組換え発
現および/または融合タンパク質が好ましい。α2−抗プラスミンに対するモノ
クローナル抗体もまた利用可能であり、これは本発明の二重特異性結合リガンド
の実施態様において使用され得る。これらの抗体は、標的部位に外因性α2−抗
プラスミンを送達するために使用されるか、または内因性α2−抗プラスミンを
収集し、そして標的領域内でそれを濃縮するために使用され得る。
【0290】
(D5.融合タンパク質および組換え発現)
本発明の治療剤−標的化剤の組成物は、分子生物学技術を使用して、融合タン
パク質として容易に調製され得る。このような目的を達成するための組換えDN
A技術の使用は、現在、当業者に標準的操作である。これらの方法としては、例
えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組換え/遺伝的
組換えが挙げられる。さらに、DNA合成およびRNA合成は、自動合成装置を
使用して実施され得る(例えば、Sambrookら、1989に記載される技
術を参照のこと)。
【0291】
このような融合タンパク質の調製は、一般的に、所望の融合タンパク質をコー
ドする単一のコード領域を調製するために、第1および第2のDNAコード領域
の調製、およびそのような領域をインフレームで機能的に連結または結合するこ
とを伴う。本発明の状況において、標的化剤DNA配列は、治療剤をコードする
DNA配列とインフレームで連結される。治療剤−標的化剤のどの部分がN末端
領域またはC末端領域として調製されるかが、特に関連するとは一般に考えられ
ない。
【0292】
一旦、所望のコード領域が生成されると、発現ベクターが作製される。発現ベ
クターは、挿入されたDNA領域の上流に、そのDNAの転写を促進するように
作用し、そして従ってコードされる組換えタンパク質の発現を促進するように作
用する1つ以上のプロモーターを含む。これが、「組換え発現」の趣意である。
【0293】
治療剤−標的化剤タンパク質のいわゆる「組換え」バージョンを獲得するため
に、これは組換え細胞内で発現される。原核生物系または真核生物系における発
現のためのDNAセグメントの操作は、組換え発現における当業者に一般的公知
の技術によって実施され得る。実質的に任意の発現系が、この治療剤−標的化剤
構築物の発現において使用され得ると考えられる。
【0294】
そのようなタンパク質は、真核生物発現系(例えば、CHO細胞)において首
尾良く発現され得る。しかし、E.coli pQE−60のような細菌発現系
が、治療剤−標的化剤構築物の大規模調製および引き続く精製のために特に有用
であると考えられる。cDNAはまた細菌系において発現され、発現されるその
コードタンパク質はβ−ガラクトシダーゼ、ユビキチン、Schistosom
a japonicumグルタチオンS−トランスフェラーゼなどを伴う融合物
として発現され得る。細菌発現は、使用の容易さ、およびそれによって得られる
物質の品質に関して、真核生物発現を超える利点を有すると考えられる。
【0295】
微生物発現に関して、組換え宿主細胞における遺伝子の発現と関連して本発明
の開示をなおさらに補充する目的のために、米国特許第5,583,013号;
同第5,221,619号;同第4,785,420号;同第4,704,36
2号;および同第4,366,246号が、本明細書中で参考として援用される

【0296】
組換え的に生成される治療剤−標的化剤構築物は、ヒト投与のために精製およ
び処方され得る。あるいは、治療剤−標的化剤構築物をコードする核酸は、遺伝
子治療を通して送達され得る。裸の組換えDNAまたはプラスミドが使用され得
るが、リポソームまたはベクターの使用が好ましい。特定ウイルスが、レセプタ
ー媒介性エンドサイトーシスを介して細胞に進入する能力、および宿主細胞ゲノ
ムに組込みそして安定的および効率的にウイルス遺伝子を発現する能力は、それ
らを、哺乳動物細胞内に外来遺伝子を移入させるための魅力的な候補にさせている。本発明における使用のために好ましい遺伝子治療ベクターは、一般的にウイ
ルスベクターである。
【0297】
レトロウイルスは、それらの遺伝子を宿主ゲノム中に組込むそれらの能力、大
量の外来性遺伝物質を移入させるそれらの能力、広範なスペクトルの種および細
胞型に感染するそれらの能力、および特定の細胞株にパッケージングされるそれ
らの能力に起因して、遺伝子送達ベクターとして見こまれている。他のウイルス
(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウ
イルス(CMV)、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)(例えば、米国特許第
5,139,941号(本明細書中で参考として援用される)に記載されるウイ
ルス)もまた、遺伝子移入のためのベクターとして作用されるように操作され得
る。
【0298】
外来性遺伝物質を受容し得るいくつかのウイルスは、それらが適応し得るヌク
レオチドの数、およびそれらが感染する細胞の範囲において限定されるが、これ
らのウイルスは、遺伝子発現を首尾良くもたらすことが実証されている。しかし
、アデノウイルスは、それらの遺伝産物を宿主ゲノム中に組込まず、従って遺伝
子発現のために宿主の複製を必要としない。これは、迅速な遺伝子発現、効率的
な遺伝子発現、異種遺伝子発現についてそれらを理想的に適合させる。複製欠損
した感染性ウイルスを調製する技術は、当該分野において周知である。
【0299】
特定のさらなる実施態様において、遺伝子治療ベクターはHSVである。HS
Vを魅力的なベクターにする因子は、ゲノムの大きさおよび組織化である。HS
Vは大きいので、複数の遺伝子または発現カセットを組込むことは、より小さな
他のウイルス系よりもあまり問題ではない。さらに、変動する性能(例えば、時
間的、強度)を有する種々のウイルスコントロール配列の利用能は、他の系にお
けるよりも高い程度で発現を制御することを可能にする。ウイルスが比較的少数
でスプライシングされるメッセージを有し、遺伝子操作をさらに容易にすること
もまた有用である。HSVはまた、操作が比較的容易であり、そして高い力価ま
で増殖され得る。
【0300】
もちろん、ウイルス送達系を使用する際には、所望されない夾雑物(例えば、
不完全干渉ウイルス粒子または内毒素、および他の発熱物質)を本質的に含まな
いようにするために十分にビリオンを精製し、その結果、ベクター構築物を受容
する細胞、動物、または個体において不都合な反応を全く引き起こさないことが
所望される。ベクターを精製する好ましい手段としては、浮遊密度勾配の使用(
例えば、塩化セシウム勾配遠心分離)が挙げられる。
【0301】
(E.抗アミノリン脂質抗体および結合体)
(E1.ポリクローナル抗アミノリン脂質抗体)
抗体を調製および特徴付けるための手段は、当該分野において周知である。(
例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory、1988を参照
のこと;本明細書中で参考として援用される)。ポリクローナル抗血清を調製す
るために、動物を免疫原性アミノリン脂質(aminophospholipi
d)組成物で免疫し、そして抗血清をこの免疫した動物から収集する。広範な動
物種が、抗血清の生成のために使用され得る。代表的に、抗抗血清の生成のため
に使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、また
はヤギである。ウサギの比較的大容量の血液が理由で、ウサギは、ポリクローナ
ル抗体の産生のために好ましい選択である。
【0302】
ポリクローナル抗体の産生において使用される免疫原組成物の量は、免疫原な
らびに免疫に使用される動物の性質に依存して変動する。以下の種々の経路が、
本発明のアミノリン脂質免疫原を投与するために使用され得る;皮下、筋内、皮
内、静脈内、腹腔内、および脾臓内。ポリクローナル抗体の産生は、免疫後の種
々の時点で免疫された動物の血液をサンプリングすることによって、モニターさ
れ得る。第2の、追加免疫注射もまた与えられ得る。追加免疫する工程および力
価測定する工程のプロセスは、適切な力価が達成されるまで反復される。所望の
力価レベルが得られた時点で、この免疫した動物を採血し得、そして血清が単離
および保存され得る。動物はまた、モノクローナル抗体を産生するために使用さ
れ得る。
【0303】
当該分野において周知のように、特定の組成物の免疫原性は、アジュバントと
して公知の免疫応答の非特異的刺激物質の使用によって増強され得る。例示的な
アジュバントとしては完全フロイントアジュバント(殺傷されたMycobac
terium tuberculosisを含有する、免疫応答の非特異的刺激
物質);不完全フロイントアジュバント;および水酸化アルミニウムアジュバン
トが挙げられる。
【0304】
アミノリン脂質をキャリアと連結することによってか、またはアミノリン脂質
をキャリアにカップリングすることによって達成され得るように、宿主免疫系を
追加免疫することもまた所望され得る。例示的なキャリアは、キーホールリンペ
ットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)である。オボ
アルブミン、マウス血清アルブミン、またはウサギ血清アルブミンのような他の
アルブミンもまた、キャリアとして使用され得る。
【0305】
当該分野においてまた公知であるように、所定の組成は、その免疫原性におい
て変動し得る。しかし、アミノリン脂質に対する抗体の産生は著しくは相違しな
い。例えば、高度に特異的な抗ホスファチジルセリン抗体は、ホスファチジルセ
リン含有ポリアクリルアミドゲルの筋内注射およびホスファチジルセリンシトク
ロムc小胞によって免疫されたウサギにおいて惹起された(Maneta−Pe
yretら、1988;1989;各々、本明細書中で参考として援用される)
。アクリルアミドインプラントの使用は、抗体の産生を増強した(Maneta
−Peyretら、1988;1989)。この様式において惹起された抗ホス
ファチジルセリン抗体は、インサイチュでヒト血小板上のホスファチジルセリン
を検出し得る(Maneta−Payretら、1988)。Inoue、Ro
teおよびRauchのグループはまた、抗PS抗体および抗PE抗体を開発し
た(下記を参照のこと)。
【0306】
(E2.モノクローナル抗アミノリン脂質抗体)
モノクローナル抗体(MAb)を産生するための種々の方法がまた、現在当該
分野において十分に周知である。最も標準的なモノクローナル抗体の産生技術は
、一般的に、ポリクローナル抗体を調製するための技術と同じ系に沿って開始す
る(Antibodies:A Laboratory Manual、Col
d Spring Harbor Laboratory、1988;本明細書
中で参考として援用される)。ポリクローナル抗体応答は、免疫原性アミノリン
脂質組成物を用いて動物を免疫することによって開始され、そして所望の力価レ
ベルが得られる時点で、その免疫した動物を用いてMAbを産生し得る。
【0307】
MAbは、米国特許第4,196,265号(これは、本明細書中で参考として援用される)に例示される技術のような、周知技術の使用を通して容易に調製
され得る。代表的に、この技術は、選択されたアミノリン脂質免疫原組成物を用
いて適切な動物を免疫することを含む。免疫する組成物は、抗体産生細胞を刺激
するのに有効な様式で投与される。マウスおよびラットのような齧歯類は好まし
い動物であるが、ウサギ、ヒツジ、およびカエルの細胞の使用もまた可能である
。ラットの使用は、特定の利点を与え得る(Goding、1986、第60〜
61頁;本明細書中で参考として援用される)が、マウスが好ましい。そして、
BALB/cマウスは、最も慣用的に使用され、そして一般により高率で安定な
融合物を与えるので最も好ましい。
【0308】
免疫後に、アミノリン脂質抗体を産生する潜在能を有する体細胞(詳細には、
Bリンパ球(B細胞))が、MAb産生プロトコルにおける使用のために選択さ
れる。これらの細胞は、生検された脾臓、扁桃、もしくはリンパ節から、または
末梢血サンプルから獲得され得る。脾臓細胞および末梢血細胞が好ましい。前者
は、脾臓細胞が分裂形質芽球段階にある抗体産生細胞の豊富な供給源であるから
であり、後者は、末梢血が容易に利用可能であるからである。しばしば、一団の
動物が免疫され、そして最高の抗体力価を有する動物の脾臓が取り出され、そし
て注射器でこの脾臓をホモジネートすることによって脾臓リンパ球が得られる。
代表的に、免疫したマウス由来の脾臓は、約5×107〜2×108のリンパ球を
含む。
【0309】
次いで、免疫した動物由来の抗アミノリン脂質抗体産生Bリンパ球は、不死化
骨髄腫細胞の細胞(一般的には、免疫された動物と同じ種の細胞)と融合される
。ハイブリドーマ産生融合手順における使用に適切な骨髄腫細胞株は、好ましく
は非抗体産生であり、高い融合効率を有し、そして、次いで所望の融合細胞(ハ
イブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地中で増殖し得なくさせる酵
素欠損を有する。
【0310】
当業者に公知のように、多くの骨髄腫細胞のうちの任意の細胞が使用され得る
(Goding、第65〜66頁、1986;Campbell、第75〜83
頁、1984;各々は、本明細書中で参考として援用される)。例えば、免疫し
た動物がマウスである場合、P3−X63/Ag8、X63−Ag8.653、
NSl/1.Ag 4 l、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC
−11、MPC11−X45−GTG1.7、およびS194/5XX0 Bu
lが使用され得;ラットについて、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3
、IR983F、4B210、または上記に列挙されたマウス細胞株のうちの1
つが使用され得;そしてU−266、GM1500−GRG2、LICR−LO
N−HMy2、およびUC729−6はすべて、ヒト細胞融合に関連して有用で
ある。
【0311】
抗体産生脾臓細胞または抗体産生リンパ節細胞、および骨髄腫細胞のハイブリ
ッドを生成するための方法は、通常、細胞膜の融合を促進する因子(化学的また
は電気的)の存在下で、4:1の比率で体細胞を骨髄腫細胞と混合する工程を包
含するが、この比率はそれぞれ約20:1〜約1:1まで変動し得る。センダイ
ウイルスを使用する融合方法は、KohlerおよびMilstein(197
5;1976;各々、本明細書中で参考として援用される)によって記載されて
おり、そしてポリエチレングリコール(PEG)(例えば、37%(v/v)P
EG)を使用する融合方法は、Gefterら(1977;本明細書中で参考と
して援用される)に記載されている。電気的に誘導された融合方法の使用もまた
適切である(Goding、第71〜74頁、1986;本明細書中で参考として援用される)。
【0312】
融合手順は通常、低い頻度(約1×10-6〜1×10-8)で生存可能なハイブ
リッドを生成する。しかし、これは問題を提起しない。なぜなら、生存可能な融
合ハイブリッドは、選択培地中で培養することによって、親の非融合細胞(特に
、通常は無限に分裂しつづける、非融合骨髄腫細胞)から識別されるからである
。選択培地は、一般に、組織培養培地中でのヌクレオチドのデノボ合成をブロッ
クする薬剤を含む培地である。例示的かつ好ましい薬剤は、アミノプテリン、メ
トトレキサート、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサ
ートは、プリンおよびピリミジンの両方のデノボ合成をブロックし、一方、アザ
セリンは、プリン合成のみをブロックする。アミノプテリンまたはメトトレキサ
ートが使用される場合、ヌクレオチドの供給源としてヒポキサンチンおよびチミ
ジンを倍地に補充する(HAT培地)。アザセリンが使用される場合、ヒポキサ
ンチンを培地に補充する。
【0313】
好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路を機能し得
る細胞のみが、HAT培地中で生存し得る。骨髄腫細胞は、サルベージ経路の重
要な酵素(例えば、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPR
T)を欠損し、そしてそれらは生存し得ない。B細胞はこの経路を機能し得るが
、それらは培養中で限られた寿命を有し、そして一般に約2週間以内に死滅する
。従って、選択培地中で生存し得る細胞のみが、骨髄腫細胞およびB細胞から形
成されたそれらのハイブリッドである。
【0314】
この培養は、特定のハイブリドーマが選択されるハイブリドーマの集団を提供
する。代表的に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレート中での単
一クローン希釈によって細胞を培養し、次いで所望の抗アミノリン脂質反応性に
ついて個々のクローンの上清を試験すること(約2〜3週間後)によって、実施
される。このアッセイは、高感度で、単純で、そして迅速であるべきである(例
えば、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫検定法、細胞傷害性アッセイ、プラーク
アッセイ、ドット免疫結合アッセイ(dot immunobinding a
ssay)など)。
【0315】
次いで、選択されたハイブリドーマを段階希釈し、そして個々の抗アミノリン
脂質抗体産生細胞株にクローン化する。次いで、このクローンは無限に増殖され
て、MAbを提供する。細胞株は、2つの基本的様式でMAb産生のために利用
され得る。ハイブリドーマのサンプルは、もともとの融合物のために体細胞およ
び骨髄腫細胞を提供するために使用された型の組織適合性動物に注射(しばしば
、腹膜腔内へ)され得る。この注射された動物は、融合された細胞ハイブリッド
によって産生される特異的モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発症する。次い
で、この動物の体液(例えば、血清または腹水)を穿刺して、高濃度でMAbを
提供し得る。個々の細胞株はまた、インビトロで培養され得る。ここで、MAb
は培養培地中に自然に分泌され、ここからMAbは高濃度で容易に獲得され得る

【0316】
いずれかの手段によって産生されたMAbは、一般に、例えば、濾過、遠心法
、および種々のクロマトグラフィー方法(例えば、HPLCまたはアフィニティ
ークロマトグラフィー)(これらの精製技術はすべて、当業者に周知である)を
使用して、さらに精製される。これらの精製技術は各々、混合物の他の成分から
所望の抗体を分離するための分別を含む。抗体の調製に特に適切な分析方法とし
ては、例えば、プロテインA−Sepharoseクロマトグラフィーおよび/またはプロテインG−Sepharoseクロマトグラフィーが挙げられる。
【0317】
Umedaら(1989;本明細書中で参考として援用される)は、ホスファ
チジルセリンの立体特異的(stereo−specific)エピトープを認
識するモノクローナル抗体の効率的な産生を報告した。Umedaの系は、Sa
lmonellaコーティングしたアミノリン脂質サンプルを使用する、マウス
脾臓内へのホスファチジルセリンの直接的免疫に基づく(Umedaら、198
9;本明細書中で参考として援用される)。Umedaのプロトコルは、高度な
特異性から広範な交叉反応性に範囲する3つの異なる反応性プロフィールを示す
、高頻度の抗PS MAbを提供する。従って、Umeda(の文献)はまた、
PSに特異的に結合する(例えば、そしてホスファチジルコリンには結合しない
)MAbを同定するためのスクリーニングアッセイをさらに記載するために、本
明細書中で参考として援用される。
【0318】
Umedaによって産生された61個のハイブリドーマのいずれも、本発明の
治療剤−標的化剤構築物において潜在的に使用され得る。例としては、PSC8
、PFS11、PSG3、PSD11、PSF10、PS1B、PS3D12、
PS2C11;PS3A、PSF6、PSF7、PSB4、PS3H1;PS4
A7およびPS1G3である。より好ましくは、PS3A、PSF6、PSF7
、PSB4、およびPS3H1である。なぜなら、これらは、ホスファチジルセ
リンおよびホスファチジルエタノールアミンに対してのみ結合するからである。
好ましい抗PS抗体は、PS4A7(IgM)およびPS1G3(IgG3)で
ある。なぜなら、これらはPSに対して高度に特異的であり、そして他のリン脂
質と全く交叉反応性を示さないからである。PS4A7は、PS中のセリン残基
の立体特異的構造を認識する(Umedaら、1989、図1;本明細書中で参
考として援用される)。
【0319】
Igarashiら(1991;本明細書中で参考として援用される)もまた
、脾臓内免疫によるIgGアイソタイプの抗PS抗体の効果的産生を報告した。
抗原を再度静脈内に注射した場合には、力価のほんのわずかな増加が観察された
。高頻度のIgGアイソタイプの抗PS MAbはまた、MAbが抗原の脾臓内
注射の10日後に産生された場合でさえ、観察された。これらの抗体はまた、S
chuurmans Stekhovenら(1994)によって使用された。
【0320】
他の有意な抗PS抗体の産生は、Roteおよび共同研究者らによった。Ro
taら(1993;本明細書中で参考として援用される)は、特に、PSミセル
をフロイント完全アジュバントと組み合わせて使用して、特異的抗PS抗体を生
成した。Roteら(1993)はまた、カルジオリピン(CL)とPSとの間
を識別するモノクローナル抗体を生成した。従って、Rotaら(1993)(
の文献)はまた、フローサイトメトリを使用して、休止している血小板およびト
ロンビン活性化された血小板に対して試験することによって、PSに対して特異
的に結合するMAbを同定するためのスクリーニングアッセイをさらに記載する
ために、本明細書中で参考として援用される。
【0321】
Roteら(1993)により生成された3SB9b抗体は、PSとのみ反応
し、そして本発明の治療薬剤−標的化薬剤構築物における使用のための好適な抗
体である。BA3B5C4もまた使用され得る。なぜなら、これはPSとCLの
両方に反応するからである。これらの抗体はまた、Linら(1995)、Ob
ringerら(1995)およびKatsuragawaら(1997)に記
載される。
【0322】
(E3.ファージミドライブラリー由来の抗アミノリン脂質抗体)
組換え技術は、今や、一定範囲の抗体をコードする組換え遺伝子に由来する所
望の特異性を有する抗体の調製を可能にしている(Van Dijkら、198
9;本明細書中に参考として援用される)。特定の組換え技術は、免疫した動物
の脾臓から単離されたRNAから調製されるコンビナトリアル免疫グロブリンフ
ァージ発現ライブラリーの免疫学的スクリーニングによる抗体遺伝子の単離を包
含する(Morrisonら、1986;WinterおよびMilstein
、1991;各々が本明細書中に参考として援用される)。
【0323】
このような方法のために、コンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライ
ブラリーは免疫した動物の脾臓から単離されたRNAから調製され、そして適切
な抗体を発現するファージミドは、抗原を発現する細胞およびコントロール細胞
を用いてパニングすることにより選択される。従来のハイブリドーマ技術を超え
るこのアプローチの利点は、約104倍もの多くの抗体が1回で生成およびスク
リーニングされ得ること、ならびに新たな特異性がH鎖およびL鎖の組み合わせ
により生成されることである。このことは、生成される適切な抗体の割合をさら
に増大させる。
【0324】
細菌中で、多様な抗体分子の大きなレパートリーを生成するための1つの方法
は、ベクターとしてバクテリオファージλを利用する(Huseら、1989;
本明細書中に参考として援用される)。λベクターを使用する抗体の生成は、D
NA配列の重鎖および軽鎖集団を別々の開始ベクターへクローニングすることを
包含する。このベクターは、引き続きランダムに組み合わされて、抗体フラグメ
ントを形成するために重鎖および軽鎖の同時発現を指向する単一のベクターを形
成する。重鎖および軽鎖のDNA配列は、選択された抗原で免疫された動物に由
来する脾臓細胞(またはそれらのハイブリドーマ)から単離されたmRNAの増
幅により(好ましくは、PCRTMまたは関連増幅技術により)得られる。重鎖お
よび軽鎖の配列は、代表的には、開始ベクターへの重鎖および軽鎖セグメントの
クローニングを容易にするために、増幅されたDNAセグメントの末端に制限部
位を組み込むプライマーを使用して増幅される。
【0325】
完全にまたは部分的に合成的である抗体結合部位(すなわちパラトープ)の大
きなライブラリーを作製およびスクリーニングするための別の方法は、糸状ファ
ージ(例えば、M13、flまたはfd)に由来するディスプレイベクターを利
用する。これらの糸状ファージディスプレイベクター(「ファージミド」ともい
われる)は、多様かつ新規な免疫特異性を有するモノクローナル抗体の大きなラ
イブラリーを生じる。この技術は、糸状ファージ複製のアセンブリ段階の間に遺
伝子産物および遺伝子を連結するための手段として、糸状ファージコートタンパ
ク質膜アンカードメインを使用し、そしてこれは、コンビナトリアルライブラリ
ーから抗体をクローニングおよび発現するために使用されている(Kangら、
1991;Barbasら、1991;各々が本明細書中に参考として援用され
る)。
【0326】
糸状ファージディスプレイのためのこの一般的技術は、米国特許第5,658
,727号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。大部分の一般
的認識において、この方法は、単一のベクター系を使用して、抗体遺伝子レパー
トリーから予め選択されたリガンド−結合特異性を同時クローニングおよびスク
リーニングするための系を提供する。予め選択されたリガンド−結合能力につい
てライブラリーの単離されたメンバーをスクリーニングすることにより、ライブラリーに由来するメンバーをコードする遺伝子を単離するための簡便な手段を用
いて、発現された抗体分子の結合能力の相関づけが可能になる。
【0327】
発現およびスクリーニングの関連づけは、機能的抗体のアセンブリを可能にす
るための細菌細胞のペリプラズムへの融合ポリペプチドの標的化と、目的のライ
ブラリーメンバーの簡便なスクリーニングを可能にするためのファージアセンブ
リの間の糸状ファージ粒子のコートへの融合タンパク質の標的化との組み合わせ
により達成される。ペリプラズム標的化は、融合ポリペプチド中の分泌シグナル
ドメインの存在により提供される。ファージ粒子への標的化は、融合ポリペプチ
ド中の糸状ファージコートタンパク質膜アンカードメイン(すなわち、cpII
I由来か、またはcpVIII由来の膜アンカードメイン)の存在により提供さ
れる。
【0328】
糸状ファージベースのコンビナトリアル抗体ライブラリーの多様性は、重鎖お
よび軽鎖の遺伝子のシャッフリングにより、ライブラリーのクローニングされた
重鎖遺伝子の1つ以上の相補性決定領域を改変することにより、または誤りがち
な(error−prone)ポリメラーゼ連鎖反応によりライブラリーへラン
ダム変異を導入することにより増大され得る。ファージミドライブラリーをスク
リーニングするためのさらなる方法は、米国特許第5,580,717号;同第
5,427,908号;同第5,403,484号;および同第5,223,4
09号(各々が本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0329】
大きなコンビナトリアル抗体ライブラリーをスクリーニングするための別の方
法が開発され、この方法は、M13、flまたはfdのような糸状バクテリオフ
ァージの表面での多様な重鎖および軽鎖配列の集団の発現を利用する(米国特許
第5,698,426号;本明細書中に参考として援用される)。多様な重鎖(
Hc)および軽鎖(Lc)配列の2つの集団は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
TM)により合成される。これらの集団は、発現のために必要なエレメントを含む
、別個のM13ベースのベクターにクローニングされる。重鎖ベクターは、重鎖
配列の翻訳がgVIII−Hc融合タンパク質を生成するように、遺伝子VII
I(gVIII)コートタンパク質配列を含む。2つのベクターの集団は、Hc
およびLcの配列を含むベクター部分のみが単一の環状ベクターに連結されるよ
うに、ランダムに組み合わされる。
【0330】
組み合わされたベクターは、M13での2つのポリペプチドのアセンブリおよ
び表面発現のためにHcおよびLcの配列の両方の同時発現を指向する(米国特
許第5,698,426号;本明細書中に参考として援用される)。組み合わせ
工程は、単一のベクターに2つの多様な集団内の異なるHcコ−ド配列およびL
cコード配列をランダムに結びつける。各々の独立したベクターから与えられた
このベクター配列は、生存ファージの生成のために必要である。また、擬gVI
II配列は2つの開始ベクターのうちの一方のみに含まれるので、Lc会合gV
III−Hc融合タンパク質としての機能的抗体フラグメントの同時発現は、ベ
クター配列が単一のベクター内に連結されるまではファージ表面で達成され得な
い。
【0331】
抗体ライブラリーの表面発現は、アンバーサプレッサー株において行われる。
Hc配列とgVIII配列との間のアンバー停止コドンは、非サプレッサー株に
おいて2つの成分を連結しない。非サプレッサー株から生成されたファージを単
離し、そしてサプレッサー株を感染させることは、発現の間に、gVIII配列
にHc配列を連結させる。感染後にサプレッサー株を培養することは、gVIII融合タンパク質(gVIII−Fab融合タンパク質)としてライブラリー内
の全ての抗体種をM13ファージの表面で同時発現させることを可能にする。あ
るいは、このDNAは、非サプレッサー株から単離され得、次いで、同じ効果を
達成するようにサプレッサー株に導入され得る。
【0332】
表面発現ライブラリーは、標準的アフィニティー単離手順により予め選択され
た分子を結合する特異的Fabフラグメントについてスクリーニングされる。こ
のような方法としては、例えば、パニング(ParmleyおよびSmith、
1988;本明細書中に参考として援用される)、アフィニティークロマトグラ
フィーおよび固相ブロッティング手順が挙げられる。パニングは、高力価のファ
ージが容易に、迅速かつ少容量でスクリーニングされ得るので好ましい。さらに
、この手順は、集団内の微量なFabフラグメント種を選択し得る。この微量の
フラグメント種は、他の方法では検出不能であり、そして実質的に均質な集団に
まで増殖されない。選択されたFabフラグメントは、このファージ集団の増殖
後に、ポリペプチドをコードする核酸を配列決定することにより特徴づけられ得
る。
【0333】
抗体の多様なライブラリーを作製し、所望の結合特異性についてスクリーニン
グするための別の方法は、米国特許第5,667,988号および同第5,75
9,817号(各々が、本明細書中に参考として援用される)に記載される。こ
の方法は、免疫グロブリン可変重鎖および可変軽鎖の可変ドメインのCDR領域
に縮重、ならびにファージミドの表面での変異誘発したポリペプチドのディスプ
レイを組み込むために、縮重オリゴヌクレオチドおよびプライマー伸長反応を用
いるファージミドライブラリーの形態での、ヘテロダイマーの免疫グロブリン分
子のライブラリーの調製を包含する。それ以降、ディスプレイタンパク質は、予
め選択された抗原に結合する能力についてスクリーニングされる。
【0334】
ヘテロダイマー免疫グロブリン分子を生成するための方法は、一般に、(1)
目的の重鎖または軽鎖のV領域コード遺伝子をファージミドディスプレイベクタ
ーに導入すること;(2)無作為化された結合部位をファージミドディスプレイ
タンパク質ベクターへ、抗体V領域遺伝子のCDRに対する相同性の領域を含み
、そして無作為化したコード配列を生成するための縮重領域を含むオリゴヌクレ
オチドでのプライマー伸長により導入して、各々がファージミド表面ディスプレ
イタンパク質上に提示される異なる推定結合部位を発現し得るディスプレイベク
ターの大きな集団を形成すること;(3)糸状ファージ粒子の表面でディスプレ
イタンパク質および結合部位を発現させること;ならびに(4)アフィニティー
技術(例えば、予め選択された抗原に対するファージ粒子のパニング)を用いて
表面発現したファージ粒子を単離(スクリーニング)し、このことによって、予
め選択された抗原に結合する結合部位を含むディスプレイタンパク質を含む1種
以上のファージミドを単離することを包含する。
【0335】
抗体の多様なライブラリーを作製し、そして所望の結合特異性についてスクリ
ーニングするためのこの方法のさらなるバリエーションは、米国特許第5,70
2,892号(本明細書中に参考として援用される)に記載される。この方法に
おいては、重鎖配列のみが用いられ、この重鎖配列は、CDRI超可変領域また
はCDRIII超可変領域のいずれかをコードする全てのヌクレオチド位置で無
作為化され、そしてCDRにおける遺伝的可変性は、任意の生物学的プロセスと
は独立して生成される。
【0336】
この方法において、2つのライブラリーを操作して、重鎖遺伝子構造の骨格内のオリゴヌクレオチドモチーフを遺伝的にシャッフルする。CDRIまたはCD
RIIIのいずれかのランダム変異によって、重鎖遺伝子の超可変領域は、高度
に多様な配列の収集物を生じるように再構築された。変異した遺伝子配列の収集
物によりコードされる重鎖タンパク質は、2つの免疫グロブリン鎖の一方のみを
必要とするが、免疫グロブリンの結合特性の全てを有する潜在能力を保有した。
【0337】
詳細には、この方法は、免疫グロブリン軽鎖タンパク質の非存在下で行われる
。改変した重鎖タンパク質を提示するファージライブラリーは、固定化されたリ
ガンドとともにインキュベートされて、固定化されたリガンドに特異的に結合す
る組換えタンパク質をコードするクローンが選択される。次いで、結合したファ
ージを固定化されたリガンドから解離し、そして細菌宿主細胞中での増殖により
増幅させる。個々のウイルスプラーク(各々が異なる組換えタンパク質を発現す
る)は拡大され、次いで、個々のクローンは結合活性についてスクリーニングさ
れ得る。
【0338】
(E4.ヒト患者由来の抗アミノリン脂質抗体)
アミノリン脂質(特に、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノー
ルアミン)に対する抗体は、ヒト集団に生じる。ここで、それらは、特定の疾患
状態と相関している。抗アミノリン脂質抗体は、異種の抗アミノリン脂質抗体(
aPL)の一部であり、異なる特異性およびクラスのファミリーを有することが
観察される。原発性抗アミノリン脂質症候群(APS)ですら抗リン脂質抗体生
成と関連した自己免疫疾患の他の形態とは分けられている。
【0339】
抗PS抗体は、特に再発性の妊娠喪失(Roteら、1995;Rote、1
996;Vogtら、1996;Vogtら、1997;本明細書中に参考とし
て援用される)および自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス(SLEまたは「
狼瘡」))と関連する(Branchら、1987;本明細書中に参考として援
用される)。抗PE抗体はまた、ヒト患者(特に、自己免疫疾患患者)において
報告されている(Staubら、1989)。Branchら(1987)は、
ループス性抗凝固因子(LAまたはLAC)を有する患者の80%がPEを認識
する自己抗体を有したことを報告した;DrouvalakisおよびBuch
anan(1999)は、自己免疫LAC血清から95%PEポジティブまでこ
の数を増加させたことを報告した。
【0340】
抗リン脂質抗体は、同じ患者において見出され得るが、抗内皮細胞抗体(AE
CA)と混同されるべきではない。AECAの存在は、脈管炎と関連する種々の
臨床設定(例えば、全身性硬化症(SS))において実証されている。AECA
を研究するために、抗体を、抗リン脂質抗体を有さない患者から得る(aPLネ
ガティブ血清)。
【0341】
AECAの病理的役割は、明らかでないままであるが、Bordronら(1
998)は、AECAが内皮細胞のアポトーシスを開始し得ることをつい最近示
唆した。このことは、膜の外表面へのPS転移の前に起こる。彼らは、このこと
により、皮膚病変または結合組織疾患を有する患者においてAECAと共にとき
おり見られる抗リン脂質抗体の引き続く生成が説明されると提唱した(Bord
ronら、1998)。しかし、アポトーシス誘導抗原へのAECA結合が前提
であったが、これらの研究は、AECAのさらなる特徴づけを導かず、内皮細胞
上で異なる(非脂質)構造と反応する抗体の、非常に異質のファミリーを表すこ
とがさらに書かれている(Bordronら、1998)。
【0342】
抗ホスファチジルセリン抗体は、妊娠喪失、妊娠によって誘導される高血圧症
および子宮内成長遅延と密接に関連している。ホスファチジルセリン依存性抗原
は、分化中の細胞栄養層細胞の絨毛上皮腫モデル(BeWo)の表面上で発現さ
れることが示された。このことは、循環抗ホスファチジルセリン抗体にインビボ
で接近させやすいのであろうことを示す(Roteら、1995)。事実、Vo
gtら(1996)は、モノクローナル抗体3SB9b(これは、カルジオリピ
ンではなくホスファチジルセリンと反応する)が、抗リン脂質抗体症候群のマウ
スモデルにおいて胎仔および胎盤重量の両方で有意な減少を誘導したことを示し
た。
【0343】
これらの著者らは、抗リン脂質抗体と関連する流産を説明するためのモデルを
開発した:抗ホスファチジルセリン抗体は、おそらくアネキシンVを除去するこ
とにより栄養膜の表面でのプロトロンビン結合のための部位を明らかにする(V
ogtら、1997)。栄養膜分化は、形質膜の内表面から外表面へのホスファ
チジルセリンの外部移行(externalization)と関連している。
通常は、ホスファチジルセリンの外部移行は、アネキシンVの結合と同時であり
、これは、ホスファチジルセリンリッチ表面が凝固の活性化のための部位として
作用することを妨げる。従って、抗リン脂質抗体が存在する場合、それらは、ア
ネキシンVの結合を妨げ、そして前凝固状態を導く(Vogtら、1997)。
【0344】
抗PE抗体は、頻繁に、ループス性抗凝固因子(LAC血清)と関連している
。LAC中のPEおよび抗PEの役割は、非常に複雑である。例えば、Smir
novら(1995;本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。ここ
で、種々の仮説が述べられている。Smirnovら(1995)は、活性化プ
ロテインCおよびPEの存在下では、LAC血漿凝固が通常の血漿より早いこと
を報告した。Rauchら(1986)は、LAC抗リン脂質抗体をインビトロ
抗凝固アッセイにおいて凝固時間を延長すると特徴づけている。
【0345】
Vlachoyiannopoulosら(1993;本明細書中に参考とし
て援用される)は、健常血液ドナーと比較して、ホスファチジルエタノールアミ
ンおよびカルジオリピンに対する抗体についてELISAによりSLE血清およ
びAPS血清を試験した。SLEおよびAPS患者ともに、正常被験体より高力
価のIgM抗PE抗体が存在することを報告したが、その一方で、IgGおよび
IgA抗PE反応性は異ならないことが報告された。このことは、IgAおよび
IgG抗PE抗体は正常被験体における天然の自己抗体程度の低い力価を生じ得
ることを示唆した(Vlachoyiannopoulosら、1993;本明
細書中に参考として援用される)。
【0346】
Rauchら(1986;本明細書中に参考として援用される)は、13名の
全身性エリテマトーデス患者由来のリンパ球とリンパ芽球株とを融合することに
よりハイブリドーマを生成した。彼らは、凝固時間を延長させた自己抗体がヘキ
サゴナル相リン脂質(天然および合成形態のホスファチジルエタノールアミンを
含む)に結合したことを示した(Rauchら、1986;本明細書中に参考と
して援用される)。対照的に、ラメラリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン
)およびホスファチジルエタノールアミンの合成ラメラ形態は、抗凝固活性に対
して全く効果を有さなかった(Rauchら、1986)。
【0347】
RauchおよびJanoff(1990;本明細書中に参考として援用され
る)は、ヘキサゴナルII相(二重層相ではなく)におけるホスファチジルエタ
ノールアミンでのマウスの免疫により、抗リン脂質抗体の誘導を生じたことを続いて示した。これらの抗体は、ホスファチジルエタノールアミンと強く反応性で
あり、そして自己免疫疾患の患者からの自己抗体の機能的ループス性抗凝固因子
活性特徴を有した(RauchおよびJanoff、1990)。
【0348】
従って、有利には、アミノリン脂質のヘキサゴナルII相形態を使用して、本
発明における使用のための抗体を生成するべきである。事実、Trudellは
、TFA−(トリフルオロアセチル−)タンパク質付加生成物に対して惹起され
た抗体が、ヘキサゴナル相のリン脂質ミセルにおけるTFA−ホスファチジルエ
タノールアミンに結合するが、ラメラリポソームには結合しないことを報告した
(Trudellら、1991a;本明細書中に参考として援用される)。この
著者らは、肝細胞表面上の非ラメラドメインに存在するTFA−ホスファチジル
エタノールアミン付加生成物が、抗TFA付加生成物抗体についての認識部位で
あり得、そして免疫が媒介するハロタン肝臓毒性に潜在的に関与し得ることを示
唆した(Trudellら、1991a)。これらの同じ抗体は、この付加生成
物が肝細胞表面に組み込まれる場合にTFAジオレオイルホスファチジルエタノ
ールアミンと交差反応し(Trudellら、1991b;本明細書中に参考と
して援用される)、従って、この仮説を支持することが後に示された。
【0349】
Berardは、さらにアミノリン脂質(例えば、PE)のヘキサゴナルII
相形態を明らかにした(Berardら、1993;本明細書中に参考として援
用される)。二重層において、リン脂質は、一般にゲル構造、結晶格子またはラ
メラ相をとる(Berardら、1993)。しかし、コレステロール含有量、
タンパク質およびイオン環境に依存して、リン脂質は、容易に相を変化させ得、
ヘキサゴナルII相をとる(Berardら、1993;本明細書中に参考とし
て援用される)。免疫原性であると考えられるのは、疾患状況における自己抗体
生成について最初に提案されたように、アミノリン脂質のこのヘキサゴナルII
相である(Berardら、1993;本明細書中に参考として援用される)。
【0350】
Qamarら(1990;本明細書中に参考として援用される)は、ヘキサゴ
ナルアミノリン脂質認識テーマに対するバリエーションを開発した。モデルとし
てホスファチジルエタノールアミンを使用して、これらの著者らは、aPLポジ
ティブSLE血清由来の抗PE抗体が、PE、天然のPE分解産物および大部分
のPE調製物のありそうな夾雑物に結合しない(しかし実際は、リゾホスファチ
ジルエタノールアミン(lPE)に指向される)ことを報告した(Qamarら
、1990;本明細書中に参考として援用される)。
【0351】
他の最近のデータでは、大部分の抗リン脂質抗体がタンパク質付近の状況でリ
ン脂質を認識することが示されている(Rote、1996;Chamleyら
、1991)。形質膜において、リン脂質の大部分は、非抗原性バイラメラ形態
で天然に存在するようである(Rote、1996)。アクセサリ分子は、ヘキ
サゴナル抗原性形態への遷移を容易にし、そしてそれらの発現の安定化を補助し
得る(Galliら、1993)。例えば、天然に存在する抗リン脂質抗体は、
カルジオリピンまたはホスファチジルセリンと、β2−糖タンパク質I(β2−G
PIもしくはアポリポタンパク質H(apoH))との複合体を認識することが
最初に報告された(Galliら、1990;1993)。β2−GPIは、純
粋なリン脂質には存在しない抗原性コンホメーションでリン脂質を安定化すると
考えられる(McNeilら、1990;米国特許第5,344,758号;C
hamleyら、1991;Matsuuraら、1994)。プロトロンビン
はまた、リン脂質安定化プロセスに関与している(Beversら、1991)

【0352】
リン脂質結合血漿タンパク質はまた、一般に、電気的に中性または両性イオン
性のリン脂質、ホスファチジルエタノールアミンの抗体認識のために必要である
。SugiおよびMcIntyre(1995;本明細書中に参考として援用さ
れる)は、高分子量キニノーゲン(HMWKもしくはHK)および低分子量キニ
ノーゲン(LMWKまたはLK)として2つの顕著なPE結合血漿タンパク質を
同定した。SLEおよび/または再発性自然流産の患者に由来する抗PE抗体は
、それらがELISAプレート上で唯一の抗原として、独立して提示される場合
、PE、HMWKまたはLMWKを認識しないことが示された(Sugiおよび
McIntyre、1995)。PE−HMWKまたはPE−LMWKと反応し
ない他の抗PEポジティブ血清は、第XI因子またはプレカリクレイン(これは
、通常、HMWKに結合する)を認識することが示唆された(SugiおよびM
cIntyre、1995;本明細書中に参考として援用される)。
【0353】
これらの結果の有効性は、インタクトなHMWKが種々のリン脂質(例えば、
カルジオリピン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、およびホスフ
ァチジルエタノールアミン)に結合すること;しかし、抗PE抗体はキニノーゲ
ン−PE複合体のみを認識し、そして他のリン脂質基質とともに提示されたキニ
ノーゲンを認識しないことを示すことにより確認された(SugiおよびMcI
ntyre、1996a;本明細書中に参考として援用される)。このことは、
PEが、キニノーゲンが他のリン脂質に結合するときには誘導しないキニノーゲ
ンの独特の抗原性のコンホメーション変化を誘導することを示す(Sugiおよ
びMcIntyre、1996a)。
【0354】
キニノーゲンが血小板膜において曝露されたPEのために、血小板に結合し得
ることがさらに示唆される(SugiおよびMcIntyre、1996b;本
明細書中に参考として援用される)。外生的に付加されたキニノーゲン依存抗P
Eは、インビトロにおけるトロンビン誘導血小板凝固を増加するが、ADP誘導
凝固は変化しないことが示された(SugiおよびMcIntyre、1996
b;本明細書中に参考として援用される)。対照的に、キニノーゲン非依存抗P
E(PE自体を認識した)は、トロンビン誘導血小板凝固を増強しないことが報
告された。従って、キニノーゲン依存抗PEは、キニノーゲンの通常の抗トロン
ビン効果を破壊し得ることが提唱された(SugiおよびMcIntyre、1
996b;本明細書中に参考として援用される)。
【0355】
従って、ヒト患者由来の抗アミノリン脂質抗体は、一般的に、タンパク質の相
互作用により安定化されたアミノリン脂質を認識する抗体の混合物である(Ro
te、1996)。抗体は、安定化リン脂質エピトープに結合し得るか、または
安定化タンパク質上でのリン脂質とアミノ酸の相互作用から形成されるエピトー
プに結合し得る(Rote、1996)。いずれにしても、このような抗体は、
ヒトの身体における天然の膜においてアミノリン脂質を明確に認識し、おそらく
血漿タンパク質と結合する(McNeilら、1990;Beversら、19
91)。従って、これらの抗体は、本発明の治療剤−標的剤構築物において使用
するための抗体を生成するための出発材料として適切である。
【0356】
ヒト患者から抗アミノリン脂質抗体を調製するために、抗アミノリン脂質抗体
を有する個体から(例えば、ヒト末梢血、脾臓、リンパ節、扁桃腺などから)、
当業者に周知の技術を用いて、ヒトリンパ球を単に得るだけである。末梢血リン
パ球の使用がしばしば好ましい。
【0357】
ヒトモノクローナル抗体は、一般的に、任意のモノクローナル抗体を生成する
ために上記されたのと同様の様式で、ヒトリンパ球を不死化することにより所望
の抗アミノリン脂質抗体を産生するヒトリンパ球から得られ得る。培養上清中の
抗体の反応性は、一般的に最初にチェックされ(一つ以上の選択されたアミノリ
ン脂質抗原を使用する)、そして高い反応性を示すリンパ球が増殖される。次い
で、得られたリンパ球は、ヒトまたはマウス起源の親株と融合され、そしてさら
なる選択が最適なクローンを与える。
【0358】
不死化細胞からのモノクローナル抗体の回収は、モノクローナル抗体の産生に
おいて一般に使用される任意の方法により達成され得る。例えば、所望のモノク
ローナル抗体は、限界希釈方法などによって不死化リンパ球をクローニングし、
所望の抗体を産生する細胞を選択し、培地または動物の腹腔において選択細胞を
増殖し、そして培養上清または腹水から所望のモノクローナル抗体を回収するこ
とにより得られ得る。
【0359】
このような技術は、例えば、Pseudomonas aeruginosa
エピトープ(米国特許第5,196,337号および同第5,252,480号
、各々は本明細書中に参考として援用される);ポリリボシルリビトール(po
lyribosylribitol)リン酸莢膜ポリサッカリド(米国特許第4
,954,449号、本明細書中に参考として援用される);Rh(D)抗原(
米国特許第5,665,356号、本明細書中に参考として援用される);およ
びウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、RSウイルス、単純ヘルペスウイ
ルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、およびサイトメガロウイルス)(米国特許第5
,652,138号、同5,762,905号、および同第4,950,595
号、各々本明細書中に参考として援用される)、に対するヒトモノクローナル抗
体を単離するために使用される。
【0360】
ヒト抗アミノリン脂質抗体の生成のための前述の技術の適用性は明瞭である。
Rauchら(1986;本明細書中に参考として援用される)は、一般的に、
そのような方法を使用して、リンパ芽球腫株と、SLE患者からのリンパ球を融
合することによりハイブリドーマを産生した。これは、ホスファチジルエタノー
ルアミンの天然および合成の形態を含むヘキサゴナル相のリン脂質(Rauch
ら、1986;本明細書中に参考として援用される)に結合するヒト抗体を産生
した。
【0361】
さらに、米国特許第5,648,077号(本明細書中に参考として援用され
る)に記載される方法を使用して、選択されたアミノリン脂質に対するヒト抗体
を産生するトリオーマ(trioma)またはクアドローマ(quadroma
)を形成し得る。一般的な意味において、親齧歯類不死化細胞(例えば、マウス
ミエローマ細胞株(例えば、SP−2))を含むハイブリドーマ細胞株は、ヒト
のパートナー細胞に融合され、不死化異種ハイブリドーマ細胞を生じる。この異
種ハイブリドーマ細胞は、抗アミノリン脂質ヒト抗体を産生し得る細胞に融合さ
れ、ヒトにおいてそのような抗原に対して有効なヒト抗体を産生し得るトリオー
マ細胞株を生じる。あるいは、より安定であることが所望される場合、好ましく
は自身の抗体をもはや産生し得ないトリオーマ細胞株が作製され、次いで、この
トリオーマはアミノリン脂質抗原に対して有用な抗体を産生し得るさらなる細胞
と融合され、抗原に対する抗体を産生するさらにより安定なハイブリドーマ(ク
アドローマ)を得る。
【0362】
(E5.ヒトリンパ球由来の抗アミノリン脂質抗体)
インビトロ免疫、または抗原刺激をまた使用して、ヒト抗アミノリン脂質抗体
を生成し得る。このような技術を使用して、抗アミノリン脂質抗体産生ヒト患者
由来および正常な健全な被験体由来の両方の末梢血リンパ球を刺激し得る。実際
に、Vlachoyiannopoulosら(1993;本明細書中に参考と
して援用される)は、低い力価の抗アミノリン脂質抗体が正常な被験体において
存在することを報告している。こうでなかったとしても、抗アミノリン脂質抗体
が、単にインビトロにおいてアミノリン脂質で抗体産生細胞を刺激することによ
り健全なヒト被験体から調製され得る。
【0363】
このような「インビトロ免疫」は、一般的に、リンパ球の混合集団(混合リン
パ球培養物、MLC)中での非免疫Bリンパ球の抗原特異的活性化を含む。イン
ビトロ免疫はまた、B細胞増殖因子およびB細胞分化因子ならびにリンホカイン
により支持され得る。これらの方法により産生される抗体は、しばしば、IgM
抗体である(Borrebaeckら、1986;本明細書中に参考として援用
される)。
【0364】
別の方法が記載され(米国特許第5,681,729号、本明細書中に参考と
して援用される)、ここで、主にIgG(またはIgA)抗体を産生するヒトリ
ンパ球が得られ得る。この方法は、一般的な意味において、免疫不全動物へヒト
リンパ球を移植し、その結果、ヒトリンパ球が動物の身体内に「取りこまれ」;
抗原に特異的な抗体を産生するヒトリンパ球を生成するように所望の抗原を用い
て動物を免疫し;そして動物から抗体を産生するヒトリンパ球を回収する工程を
包含する。従って、産生されたヒトリンパ球を使用して、抗体を産生するヒトリ
ンパ球を不死化し、抗体を産生する得られた不死化ヒト起源リンパ球をクローニ
ングし、そしてクローニングされた不死化ヒト起源リンパ球から所望の抗原に特
異的なモノクローナル抗体を回収することによりモノクローナル抗体を産生し得
る。
【0365】
この技術において使用され得る免疫不全動物は、動物にヒトリンパ球が移植さ
れた場合に拒絶を示さない免疫不全動物である。このような動物は、物理的、化
学的、または生物学的な処置により人工的に調製され得る。任意の免疫不全動物
が使用され得る。ヒトリンパ球は、ヒト末梢血、脾臓、リンパ節、扁桃腺などか
ら得られ得る。
【0366】
動物における移植されたヒトリンパ球の「取りこみ」は、単に動物にヒトリン
パ球を投与することにより達成され得る。投与経路は制限されず、そして例えば
、皮下、静脈内、または腹腔内であり得る。ヒトリンパ球の用量は制限されず、
そして通常は、動物あたり106〜108のリンパ球であり得る。次いで、免疫不
全動物は、所望のアミノリン脂質抗原で免疫される。
【0367】
免疫後、ヒトリンパ球が、任意の慣習的な方法により、血液、脾臓、リンパ節
または他のリンパ組織から回収される。例えば、単核細胞は、Ficoll−H
ypaque(比重:1.077)遠心法により分離され得、そしてプラスチッ
クディッシュ吸着法により単球が回収され得る。免疫不全動物由来の夾雑細胞は
、動物細胞に特異的な抗血清を用いることにより取り除かれ得る。抗血清は、例
えば、免疫不全動物の脾臓細胞で第2の異なる動物を免疫し、そして異なる免疫
動物から血清を回収することにより得られ得る。抗血清での処置は、任意の段階
で実施され得る。ヒトリンパ球はまた、マーカーとして、細胞表面上で発現され
るヒト免疫グロブリンを使用する免疫学的方法により回収され得る。
【0368】
これらの方法により、一つ以上の選択されたアミノリン脂質に特異的なIgG
抗体およびIgA抗体を主に産生するヒトリンパ球が得られ得る。次いで、モノ
クローナル抗体が、不死化、選択、細胞増殖、および抗体産生によりヒトリンパ
球から得られる。
【0369】
(E6.ヒト抗体ライブラリーを含有するトランスジェニックマウス)
組換え技術は、今や抗体の調製のために利用可能である。上記に開示される組
換え免疫グロブリンファージ発現ライブラリーに加えて、別の分子クローニング
アプローチは、抗体をヒト抗体ライブラリーを含有するトランスジェニックマウ
スから調製することである。このような技術は、米国特許第5,545,807
号に記載され、これは、本明細書に参考として援用される。
【0370】
最も一般的な意味において、これらの方法は、その生殖系統に、ヒト起源の免
疫グロブリンの少なくとも一部をコードする遺伝子材料か、または免疫グロブリ
ンのレパートリーをコードするように再編成され得る遺伝子材料を挿入したトラ
ンスジェニック動物の産生を包含する。挿入された遺伝子材料は、ヒト供給源か
ら産生され得るか、または合成により産生され得る。その材料は、公知の免疫グ
ロブリンの少なくとも一部をコードし得るか、または改変された免疫グロブリン
の少なくとも一部をコードするように改変され得る。
【0371】
挿入された遺伝子材料は、トランスジェニック動物において発現され、挿入さ
れたヒト免疫グロブリン遺伝子材料に少なくとも部分的に由来する免疫グロブリ
ンを産生する。その遺伝子材料は、たとえ、その挿入された遺伝子材料が、生殖
系列の誤った位置に、または誤った相対位置に組み込まれたとしても、その一部
が挿入された遺伝子材料に由来する免疫グロブリンのレパートリーが、産生され
得るように、トランスジェニック動物において再編成されることが見出される。
【0372】
その挿入された遺伝子材料は、プラスミドおよび/またはコスミドのような原
核生物ベクターにクローン化されたDNAの形態であり得る。より大きなDNA
フラグメントは、酵母人工染色体ベクターを使用して(Burkeら、1987
;本明細書中に参考として援用される)、または染色体フラグメントを導入する
ことにより(RicherおよびLo、1989;本明細書中に参考として援用
される)挿入される。その挿入された遺伝子材料は、従来の様式で宿主に(例え
ば、注入によって、または他の手順によって、受精卵または胚性幹細胞に)導入
され得る。
【0373】
好ましい局面において、得られるトランスジェニック動物が、免疫グロブリン
を産生するときに、挿入されたヒト遺伝子材料のみを使用するように、免疫グロ
ブリン定常領域をコードする遺伝子材料をはじめから保有しない宿主動物が利用
される。これは、関連する遺伝子材料を欠失する天然に存在する変異体宿主を使
用して、または人工的に、例えば、細胞株で、関連する遺伝子材料が除去されて
いる宿主を究極的に作製するために、変異体を作製することによってのいずれか
で、達成され得る。
【0374】
宿主動物が免疫グロブリン定常領域をコードする遺伝子材料を保有する場合、
トランスジェニック動物は、天然に存在する遺伝子材料および挿入された遺伝子
材料を保有し、そして天然に存在する遺伝子材料、挿入された遺伝子材料、およ
び両方のタイプの遺伝子材料の混合物に由来する免疫グロブリンを産生する。こ
の場合、その所望の免疫グロブリンは、トランスジェニック動物に由来するハイ
ブリドーマを、例えば、抗体遺伝子発現の対立遺伝子排除の現象または示差的染色体損失を利用して、スクリーニングすることによって得られ得る。
【0375】
一旦適切なトランスジェニック動物が調製されると、その動物は、所望の免疫
原で単に免疫される。挿入される材料の性質に依存して、その動物は、外来起源
のその遺伝子材料が、免疫グロブリンの一部のみをコードする場合、例えば、混
合されたマウス/ヒト起源のキメラ免疫グロブリンを産生し得る;または、その
動物は、外来起源の遺伝子材料が、免疫グロブリン全体をコードする場合、完全
に外来の免疫グロブリン(例えば、完全にヒト起源の)を産生し得る。
【0376】
ポリクローナル抗血清は、免疫に続いて、トランスジェニック動物から産生さ
れ得る。免疫グロブリン産生細胞は、目的の免疫グロブリンを産生する動物から
除去され得る。好ましくは、モノクローナル抗体は、トランスジェニック動物か
ら、例えば、その動物由来の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合し、そして得られるハ
イブリドーマをスクリーニングして所望の抗体を産生するものを選択することに
よって、産生される。このようなプロセスのための適切な技術は、本明細書に記
載される。
【0377】
代替のアプローチにおいて、その遺伝子材料は、所望の抗体が、動物の血清の
ような体液、またはミルク、初乳もしくは唾液のような外部分泌液において産生
されるような様式で、動物に組み込まれ得る。例えば、インビトロでヒト免疫グ
ロブリンの少なくとも一部をコードする遺伝子材料を、ミルクタンパク質をコー
ドする哺乳動物の遺伝子に挿入し、次いで、その遺伝子をその哺乳動物の受精卵
に、例えば、注入により、導入することによって、その卵は、挿入されたヒト免
疫グロブリン遺伝子材料に少なくとも部分的に由来する免疫グロブリンを含有す
るミルクを産生する成体雌哺乳動物に成長し得る。次いで、所望の抗体は、ミル
クから回収され得る。このようなプロセスを行うための適切な技術は、当業者に
公知である。
【0378】
上記のトランスジェニック動物は、通常、単一のアイソタイプの、より詳細に
はB細胞成熟に必須であるアイソタイプ(例えば、IgMおよびたぶんIgD)
のヒト抗体を産生するために利用される。ヒト抗アミノリン脂質抗体を産生する
ための別の好ましい方法は、米国特許第5,545,806号;同第5,569
,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,
611,016号;および同第5,770,429号(各々が本明細書に参考と
して援用される)に記載される技術を使用することである。そこでは、B細胞発
生のために必要とされるアイソタイプから他のアイソタイプへ変換し得るトラン
スジェニック動物が記載される。
【0379】
Bリンパ球の発生において、その細胞は、まず生産的に再編成されたVHおよ
びVL領域によって決定される結合特異性を有するIgMを産生する。その結果
、各B細胞およびその子孫細胞は、同じLおよびH鎖V領域を有する抗体を合成
するが、これらは、H鎖のアイソタイプを交換し得る。ミューまたはデルタ定常
領域の使用は、交互のスプライシングによって大部分決定され、IgMおよびI
gDが、単一の細胞において同時発現されることを可能にする。他の重鎖アイソ
タイプ(γ、α、およびε)は、遺伝子再編成事象が、Cミューエキソンおよび
Cデルタエキソンを削除した後に、天然においてのみ発現される。この遺伝子の
再編成プロセスは、アイソタイプスイッチングと呼ばれ、代表的には、各重鎖遺
伝子のすぐ上流に位置する(デルタを除く)いわゆるスイッチセグメント間の組
換えによって生じる。個々のスイッチセグメントは、2kbと10kbとの間の
長さであり、そして主に短い反復した配列からなる。
【0380】
これらの理由により、導入遺伝子は、転写調節配列を、アイソタイプスイッチ
ングに利用されるべき各スイッチ領域の約1〜2kb上流内に組み込んでいるこ
とが好ましい。これらの転写調節配列は、好ましくは、プロモーターおよびエン
ハンサーエレメントを含み、そしてより好ましくは、スイッチ領域に天然に結合
する(すなわち、生殖系統の構成において生じる)5’隣接(すなわち、上流)
領域を含む。1つのスイッチ領域からの5’隣接配列は、導入遺伝子構築のため
に異なるスイッチ領域に作動可能に連結され得るが、いくつかの実施態様では、
導入遺伝子構築物に組み込まれている各スイッチ領域は、天然に存在する生殖系
統構成においてすぐ上流に存在する5’隣接領域を有することが好ましい。免疫
グロブリンスイッチ領域配列に関連する配列情報は、公知である(Millsら
、1990;Siderasら、1989;各々、参考として本明細書に援用さ
れる)。
【0381】
米国特許第5,545,806号;同第5,569,825号;第5,625
,126号;第5,633,425号;第5,661,016号;および第5,
770,429号に記載される方法では、トランスジェニック動物内に含まれる
ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、アイソタイプのスイッチングに至るB細胞発
達の経路を通じて正確に機能する。従って、この方法では、これらの導入遺伝子
は、アイソタイプスイッチングおよび以下の1つ以上を生成するように構築され
る:(1)高レベルおよび細胞型特異的発現、(2)機能的遺伝子再配置、(3
)対立遺伝子排除の活性化および対立遺伝子排除に対する応答、(4)十分な一
次レパートリーの発現、(5)シグナル伝達、(6)体細胞過剰変異、および(
7)免疫応答の間の導入遺伝子抗体遺伝子座の支配。
【0382】
導入遺伝子機能に対する重要な要件は、広範な範囲の抗原に対する二次免疫応
答の引金となるために十分に多様性である一次抗体レパートリーの生成である。
再配置された重鎖遺伝子鎖は、各々がいくつかのエキソンによりコードされる、
シグナルペプチドエキソン、可変領域エキソンおよび多ドメイン定常領域の領域
のタンデムアレイからなる。これらの定常領域遺伝子の各々は、異なるクラスの
免疫グロブリンの定常部分をコードする。B細胞発達の間に、V領域近位定常領
域は欠失し、新たな重鎖クラスの発現に至る。各重鎖クラスについて、RNAス
プライシングの選択的パターンが、膜貫通免疫グロブリンおよび分泌された免疫
グロブリンの両方を生じる。
【0383】
ヒト重鎖遺伝子座は、2Mbにまたがるほぼ200V遺伝子セグメント、約4
0kbにまたがるほぼ30D遺伝子セグメント、3kb内のクラスターである6
つのJセグメント、およびほぼ300kbにわたって広がる9つのの定常領域遺
伝子セグメントからなる。全長遺伝子座は、第14染色体の長腕の遠位部分のほ
ぼ2.5Mbにまたがる。6つの公知のVHファミリーのすべてのメンバー、D
およびJ遺伝子セグメント、ならびにμ、δ、γ3、γ1およびα1定常領域を
含む重鎖導入遺伝子フラグメントは公知である(Bermanら、1988;参
考として本明細書に援用される)。すべての必要な遺伝子セグメントおよびヒト
軽鎖遺伝子座からの調節配列を含むゲノムフラグメントもまた同様に構築される

【0384】
首尾良く再配置された免疫グロブリン重鎖および軽鎖導入遺伝子の発現は、通
常、トランスジェニック非ヒト動物において内因性免疫グロブリン遺伝子の再配
置を抑制することによって優性効果を有する。しかし、特定の実施態様では、例
えば、導入遺伝子と内因性Ig配列との間のトランススイッチングにより、ヒト可変領域および非ヒト(例えばマウス)定常領域を含むハイブリッド免疫グロブ
リン鎖が形成され得ないように、内因性Ig遺伝子座の完全不活性化を行うこと
が所望される。胚性幹細胞技術および相同的組換えを用い、内因性免疫グロブリ
ンレパートリーを容易に排除し得る。さらに、内因性Ig遺伝子の抑制は、アン
チセンス技法のような種々の技法を用いて達成され得る。
【0385】
本発明の他の局面では、トランススイッチされた免疫グロブリンを生成するこ
とが所望され得る。このようなキメラトランススイッチ免疫グロブリンを含む抗
体は、例えば、宿主細胞においてエフェクター機能の保持のために、非ヒト(例
えばマウス)定常領域を有することが所望される種々の適用のために用いられ得
る。マウス定常領域の存在は、ヒト定常領域に比べ、例えば、このようなキメラ
抗体がマウス疾患モデルにおいて試験され得るように、マウスエフェクター機能
(例えば、ADCC、マウス補体固定化)を提供するという利点を与え得る。動
物試験の次に、ヒト可変領域コード配列が、例えば、PCR増幅または供給源(
ハイブリドーマクローン)からのcDNAクローニングにより単離され、そして
ヒト治療使用により適切なヒト配列抗体をコードするための所望のヒト定常領域
をコードする配列にスプライスされ得る。
【0386】
(E7.ヒト化抗アミノリン脂質抗体)
一般に、ヒト抗体は、ヒト治療における使用に少なくとも3つの可能な利点を
有する。第1に、そのエフェクター部分はヒトであるので、例えば、補体依存性
細胞傷害性(CDC)または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)によって標的細
胞をより効率的に破壊するために、ヒト免疫系の他の部分とより良好に相互作用
し得る。第2に、ヒト免疫系は、異物として抗体を認識しない。第3に、ヒト循
環中の半減期は、天然に存在するヒト抗体と類似であり、より少なくかつより少
ない用量を与えることを可能にする。
【0387】
ヒト抗アミノリン脂質を調製する種々の方法が本明細書中に提供される。ヒト
抗体に加えて、「ヒト化」抗体は多くの利点を有する。「ヒト化」抗体は、一般
に、ヒト定常および/または可変領域ドメインまたは特定の変更を保持する、マ
ウス、ラット、ハムスター、ウサギまたはその他の種からのキメラまたは変異体
モノクローナル抗体である。いわゆる「ヒト化」抗アミノリン脂質抗体を生成す
るための技法は、当業者に周知である。
【0388】
ヒト化抗体もまた、先行する利点を共有する。第1に、エフェクター部分はな
おヒトである。第2に、ヒト免疫系は、フレームワークまたは定常領域を異物と
して認識せず、そしてそれ故、このような注入抗体に対する抗体応答は、完全に
異物であるマウス抗体に対してより少ない。第3に、注入されたヒト化抗体は、
注入されたマウス抗体とは反対に、天然に存在するヒト抗体により類似する半減
期を有し、またより少なくかつより少ない頻度の用量を与える。
【0389】
ヒト化抗体を産生する多くの方法が記載されている。新たな人工タンパク質分
子または「キメラ」抗体を形成するための、タンパク質ジスルフィド結合を通じ
て連結される抗体ドメインの制御された再配置が利用され得る(Koniecz
nyら、1981;本明細書中に参考として援用される)。組換えDNA技術も
また、マウス抗体可変軽鎖および重鎖ドメインと、ヒト抗体軽鎖および重鎖定常
ドメインとをコードするDNA配列間の遺伝子融合を構築するために用いられ得
る(Morrisonら、1984;本明細書中に参考として援用される)。
【0390】
マウスモノクローナル抗体の抗原結合部分または相補性決定領域(CDR)をコードするDNA配列を、ヒト抗体重鎖および軽鎖のフレームワークをコードす
るDNA配列中に分子手段により挿入し得る(Jonesら、1986;Rie
chmannら、1988;各々は参考として本明細書中に援用される)。発現
された組換え産物は、「新形態」またはヒト化抗体と呼ばれ、そしてヒト抗体軽
鎖または重鎖およびマウスモノクローナル抗体の抗原認識部分であるCDRのフ
レームワークを含む。
【0391】
ヒト化抗体を生成する別の方法が、米国特許第5,639,641号に記載さ
れ、本明細書中に参考として援用される。この方法は、再現により、可変領域に
おいてヒト表面の提示に起因する改良された治療効力を有するヒト化げっ歯類抗
体を提供する。この方法では:(1)抗体重鎖および軽鎖可変領域のプールの位
置アラインメントを生成し、重鎖および軽鎖可変領域フレームワーク表面曝露位
置のセットを与える。ここで、すべての可変領域に対するアラインメント位置は
、少なくとも約98%同一である;(2)重鎖および軽鎖可変領域フレームワー
ク表面曝露アミノ酸残基のセットがげっ歯類抗体(またはそのフラグメント)に
対して規定される;(3)このげっ歯類表面曝露アミノ酸残基のセットに最も近
接して同一である、重鎖および軽鎖可変領域フレームワーク表面曝露アミノ酸残
基のセットが同定される;(4)工程(2)で規定された重鎖および軽鎖可変領
域フレームワーク表面曝露アミノ酸残基のセットが、げっ歯類抗体の相補性決定
領域の任意の残基の任意の原子の5Å内にあるようなアミノ酸残基を除いて、工
程(3)で同定された重鎖および軽鎖可変領域フレームワーク表面曝露アミノ酸
残基のセットで置換される;および(5)結合特異性を有するヒト化げっ歯類抗
体が産生される。
【0392】
ヒト化抗体の産生についての類似の方法は、米国特許第5,693,762号
;同第5,693,761号;同第5,585,089号;および同第5,53
0,101号(各々が本明細書中で参考として援用される)に記載される。これ
らの方法は、1以上の相補性決定領域(CDR)およびドナー免疫グロブリンに
由来するさらなるアミノ酸ならびに受け入れているヒト化免疫グロブリンに由来
するフレームワーク領域を有するヒト化免疫グロブリンを産生することを包含す
る。各々のヒト化免疫グロブリン鎖は、通常、CDRに加えて、ドナー免疫グロ
ブリン中のCDRに直接隣接する1以上のアミノ酸または分子モデリングにより
推定される約3Å以内の1以上のアミノ酸のような、CDRと相互作用して結合
親和性をもたらし得るドナー免疫グロブリンフレームワークに由来するアミノ酸
を含む。重鎖および軽鎖は、米国特許第5,693,762号;同第5,693
,761号;同第5,585,089号;および同第5,530,101号(各
々が本明細書中で参考として援用される)に記載される種々の位置基準の、いず
れか1つ、任意の組合せ、または全てを使用することによって、各々設計され得
る。インタクトな抗体に組み合わされる場合、ヒト化免疫グロブリンは、ヒトに
おいて実質的に非免疫原性であり、そして本来の抗原に対するドナー免疫グロブ
リンと実質的に同じ親和性を保持する。
【0393】
ヒト化抗体を産生するためのさらなる方法は、米国特許第5,565,332
号および同第5,733,743号(各々が本明細書中で参考として援用される
)に記載される。この方法は、抗体をヒト化する概念を、本明細書中にもまた詳
細に記載されるファージミドライブラリーと組み合わせる。一般的な意味では、
この方法は、目的の抗原に対する抗体または抗体の集団の抗原結合部位に由来す
る配列を利用する。従って、単一のげっ歯類抗体について、抗体の抗原結合部位
の部分を含む配列は、組み合せて完全な抗原結合部位を作製し得るヒト抗体の配
列の多様なレパートリーと組み合せられ得る。
【0394】
このプロセスにより作製される抗原結合部位は、本来のげっ歯類抗体の配列の
部分のみが同様の様式にて抗原と接触するようであるという点で、CDRグラフ
ティング(grafting)により作製される抗原結合部位とは異なる。選択
されたヒト配列は、配列において異なるようであり、そして本来の結合部位のそ
れらからの抗原と代替的に接触する。しかし、抗原に対する本来の配列の部分の
結合ならびに抗原およびその抗原結合部位の形状により課される制約は、抗原の
同じ領域またはエピトープに対するヒト配列の新たな接触を駆動するようである
。従って、このプロセスは、「エピトープインプリント選択」(EIS)と呼ば
れている。
【0395】
動物の抗体で開始して、1つのプロセスは、部分的にヒト抗体である抗体の選
択を生じる。このような抗体は、治療において直接的にまたは少数の重要な残基
の変更の後に使用されるべきヒト抗体と配列において十分に類似し得る。ヒト配
列を有する選択された抗体のげっ歯類成分の間の配列の差異は、例えば、個々の
残基の部位特異的変異誘発によってか、またはループ全体のCDRグラフティン
グによって、ヒト配列の残基で異なる残基を置換することによって最小化され得
る。しかし、完全なヒト配列を有する抗体もまた、作製され得る。従って、EI
Sは、それぞれ、動物または部分的なヒト抗体と同じエピトープに結合する部分
的なヒト抗体またはそれぞれ、動物または部分的なヒト抗体と同じエピトープに
結合する完全なヒト抗体を作成するための方法を提供する。EISにおいて、抗
体フラグメントのレパートリーは、糸状ファージの表面上に提示され得、そして
抗原結合活性を有するフラグメントをコードする遺伝子は、抗原へのファージの
結合によって選択され得る。
【0396】
本発明の使用に意図される抗体をヒト化するためのさらなる方法は、米国特許
第5,750,078号;同第5,502,167号;同第5,705,154
号;同第5,770,403号;同第5,698,417号;同第5,693,
493号;同第5,558,864号;同第4,935,496号;および同第
4,816,567号(各々は、本明細書中で参考として援用される)に記載さ
れる。
【0397】
(E8.PCRによる変異誘発)
部位特異的変異誘発は、基礎となるDNAの特異的な変異誘発を通して、個々
の抗体の調製において有用な技術である。この技術はさらに、ヒト化しようとし
なかろうと、DNA内に1以上のヌクレオチド配列の変化を導入することによっ
て、1以上の前述の考慮を援用して、配列改変体を調製および試験するすばやい
能力を提供する。
【0398】
多くの方法が、変異誘発における使用について適切であるが、ポリメラーゼ連
鎖反応(PCRTM)の使用は、一般的に現在好ましい。この技術は、所定のDN
A配列中に所望の変異を導入するための迅速かつ効率的な方法を提供する。以下
のテキストは、所定の配列によってコードされるアミノ酸を変えるために使用さ
れ得るような、配列中に点変異を導入するPCRTMの使用を特に記載する。この
方法の適応もまた、DNA分子中に制限酵素部位を導入するために適切である。
【0399】
この方法において、合成オリゴヌクレオチドは、増幅したセグメントの一方の
端に点変異を組み込むために設計される。PCRTMの後に、増幅したフラグメン
トは、クレノーフラグメントで処理することによって、平滑末端にされ、次いで
、この平滑末端フラグメントは、配列分析を容易にするためにベクター中に連結され、そしてサブクローニングされる。
【0400】
変異誘発することを所望するテンプレートのDNAを調製するために、このD
NAは、高コピー数のベクター(例えば、pUC19)中に、変異される領域に
隣接する制限部位を使用して、サブクローニングされる。次いで、テンプレート
のDNAは、プラスミドのミニプレップを使用して調製される。親配列に基づく
が、所望の点変異を含みかつ制限酵素部位によってその5’末端に隣接される、
適切なオリゴヌクレオチドプライマーが、自動化合成機を使用して合成される。
約15塩基程度のテンプレートDNAに相同なプライマーが、一般に必要とされ
る。プライマーは、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製され得る
が、これは、PCRTMの使用について絶対に必要ではない。次いで、このオリゴ
ヌクレオチドの5’末端は、リン酸化されるべきである。
【0401】
このテンプレートDNAは、所望の点変異を含むオリゴヌクレオチドプライマ
ーを使用して、PCRTMによって増幅されるべきである。増幅緩衝液中のMgC
2の濃度は、一般に約15mMである。一般に、約20〜25サイクルのPC
TMが、以下の通りに実行されるべきである:95℃にて35秒の変性;50℃
にて2分のハイブリダイゼーション;および72℃にて2分の伸長。PCRTM
、一般に、72℃での約10分間の最後のサイクルの伸長を含む。最後の伸長工
程の後に、約5ユニットのクレノーフラグメントが、反応混合物に添加され、約
30℃にてさらに15分間インキュベートされるべきである。クレノーフラグメ
ントのエキソヌクレアーゼ活性は、末端を平らにし、そして平滑末端クローニン
グに適切にするために必要とされる。
【0402】
得られた反応混合物は、一般に、この増幅が推定される産物を生じたことを確
認するために、非変性アガロースまたはアクリルアミドゲル電気泳動によって分
析されるべきである。次いで、大部分のミネラルオイルを除去し、クロロホルム
で抽出して残っているオイルを除去し、緩衝化フェノールで抽出し、次いで10
0%エタノールを用いる沈澱により濃縮することによって、反応混合物を処理す
る。次に、このオリゴヌクレオチドに使用された隣接配列で切断する制限酵素を
用いて増幅したフラグメントのおよそ半分を消化するべきである。この消化した
フラグメントは、低ゲル化/融点アガロースゲル上にて精製される。
【0403】
このフラグメントをサブクローニングするため、そして点変異を調べるために
、平滑末端のライゲーションによって、適切に消化されたベクター中に2つの増
幅したフラグメントをサブクローニングする。これは、ミニプレップを使用して
、プラスミドDNAが引き続き調製され得るE.coliを形質転換するために
使用される。次いで、プラスミドDNAの増幅した部分は、正確な点変異が作製
されたことを確認するためにDNA配列決定によって分析される。Taq DN
Aポリメラーゼは、DNAフラグメント中にさらなる点変異を導入するので、こ
れは、重要である。
【0404】
点変異の導入はまた、一連のPCRTM工程を使用してもたらされ得る。この手
順において、この変異を含む2つのフラグメントは、互いにアニールされ、そし
て相互に開始する合成によって伸長される。次いで、このフラグメントは、第2
のPCRTM工程によって増幅され、それによって上記のプロトコルに必要とされ
る平滑末端のライゲーションを回避する。この方法において、テンプレートDN
Aの調製、オリゴヌクレオチドプライマーの作製および第1のPCRTM増幅は、
上記のように実行される。しかし、このプロセスにおいて、選択されたオリゴヌ
クレオチドは、約15〜約20個の間の塩基のストレッチについてテンプレートDNAと相同なはずであり、そしてまた約10塩基以上だけで互いに重複しなけ
ればならない。
【0405】
第2のPCRTM増幅において、上記の条件を使用して、各々の増幅したフラグ
メントおよび各々の隣接する配列プライマーを使用して、そして約20〜約25
の間のサイクルについてPCRTMを実行する。再度、このフラグメントをサブク
ローニングし、そして上記に概説した工程を使用して点変異が正確であったこと
を調べる。
【0406】
前述の方法のいずれかを使用して、可能な限り小さなフラグメントを増幅する
ことによって、変異を導入することが、一般に好ましい。もちろん、パラメータ
(例えば、GC含量およびこのオリゴの長さによって一般に影響される、オリゴ
ヌクレオチドの融解温度)はまた、注意深く考慮されるべきである。これらの方
法の実行、および必要な場合、それらの最適化は、当業者に公知であり、そして
本明細書中に参考として援用される、種々の刊行物(例えば、Current
Protocols in Molecular Biology、1995)
にさらに記載される。
【0407】
部位特異的変異誘発を実行する場合に、表Aは、参考として用いられ得る。
【0408】
【表A】

(E9.抗体フラグメント)
本来の抗アミノホスホリピド抗体の供給原とは無関係に、インタクトな抗体、
抗体マルチマー、または抗体の種々の機能的な抗原結合領域のいずれか1つは、
本発明において使用され得る。例示的な機能領域は、抗アミノホスホリピド抗体
のscFv、Fv、Fab’、FabおよびF(ab’)2フラグメントを含む
。このような構築物を調製するための技術は、当業者に周知であり、そして本明
細書中にてさらに例示される。
【0409】
抗体構築物の選択は、種々の因子によって影響され得る。例えば、延長した半
減期は、腎臓内のインタクトな抗体の能動的な再吸収(免疫グロブリンのFc片
の特性)から生じ得る。従って、IgGベースの抗体は、それらのFab’対応
物よりも遅い血中クリアランスを示すことが予測される。しかし、Fab’フラ
グメントベースの組成物は、一般に、より良好な組織浸透能力を示す。
【0410】
Fabフラグメントは、非特異的チオールプロテアーゼであるパパインによる
免疫グロブリン全体のタンパク質分解によって得られ得る。パパインはまず、活性部位中のスルフヒドリル基を、システイン、2−メルカプトエタノールまたは
ジチオスレイトールで還元することによって活性化されなければならない。スト
ック酵素中の重金属は、最大の酵素活性を補償するために、EDTA(2mM)
でのキレート化によって除去されるべきである。酵素および基質は、通常、1:
100の重量比で一緒に混合される。インキュベーションの後に、この反応は、
ヨードアセトアミドを用いるチオール基の不可逆的なアルキル化によってか、ま
たは単純に透析によって停止され得る。この消化の終了は、SDS−PAGEに
よってモニターされ、そして種々の画分は、プロテインA−Sepharose
またはイオン交換クロマトグラフィーによって分離されるべきである。
【0411】
ウサギおよびヒト起源のIgGからのF(ab’)2フラグメントの調製につ
いて有用な手順は、酵素のペプシンによる限定されたタンパク質分解である。こ
の条件(100×抗体過剰w/w酢酸緩衝液中pH4.5、37℃)は、抗体が
重鎖内のジスルフィド結合のC末端側にて切断されることを示唆する。マウスI
gGの消化の速度は、サブクラスで変動し得、そしていくらかの未消化IgGま
たは完全に分解されたIgGを含まない、高収率の活性なF(ab’)2フラグ
メントを得ることは、困難であり得る。特に、IgG2bは、完全な分解を高度に
受けやすい。他のサブクラスは、最適な結果を生じるために異なるインキュベー
ション条件(これらの全ては、当該分野で公知である)を必要とする。
【0412】
ペプシンによるラットIgGの消化は、0.1M 酢酸緩衝液、pH4.5、
中での透析、次いで1% w/wペプシンを用いる4時間のインキュベーション
を含む条件を必要とする;IgG1およびIgG2a消化は、初めに4℃で16時
間の0.1Mホルメート緩衝液、pH2.8、続いて酢酸緩衝液に対して透析さ
れる場合に、改善される。IgG2bは、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.8中の
staphylococcus V8 プロテアーゼ(3%w/w)における3
7℃で4時間のインキュベーションでより一貫した結果を生じる。
【0413】
以下の特許および特許出願は、特に、抗アミノリン脂質抗体のscFv、Fv
、Fab’、FabおよびF(ab’)2フラグメントを含む抗体の機能的な抗
原結合領域の調製および使用に関する本発明の教示をなおさらに補充する目的の
ために、本明細書中に参考として援用される:米国特許第5,855,866号
および同第5,877,289号;ならびに米国出願番号第08/350,21
2号(特許第5, ;特許料は払われている);同第08/482
,369号(米国特許第5, ;特許料は払われている);および
同第08/487,427号(米国特許第5, ;特許料は払われ
ている)。
【0414】
(E10.抗体結合体)
抗アミノリン脂質抗体は、「イムノトキシン」を調製するために、抗細胞性薬
剤またはネガティブに結合体化され得るか;あるいは凝固を直接的または間接的
に刺激して、それによって「コアグリガンド」を形成し得る成分と作動可能に会
合され得る。コアグリガンドにおいて、標的化剤は、直接的または間接的な凝固
因子に直接的に連結され得るか、あるいは直接的なまたは間接的な凝固因子を結
合し、次いで放出する第2の結合領域に連結され得る。「第2の結合領域」アプ
ローチは、一般に、第2の結合領域として凝固剤結合抗体を使用して、それによ
って二重特異的な抗体構築物を生じる。二重特異性抗体の調製および使用は、一
般に、当該分野において周知であり、そして本明細書中にさらに開示される。
【0415】
イムノトキシン、コアグリガンドおよび二重特異性抗体の調製において、組換え発現が用いられ得る。この選択された抗体ベースの標的化剤をコードする核酸
配列は、選択された毒素、凝固剤、または第2の結合領域をコードする核酸配列
に、インフレーム(in−frame)で結合され、発現ユニットまたはベクタ
ーを作製する。組換え発現は、新しい核酸の翻訳を生じ、所望のタンパク質産物
を生じる。タンパク質結合リガンドではなく抗体をコードする核酸が用いられる
が、組換えアプローチは、本明細書中上記のアプローチと本質的に同じである。
【0416】
結合体技術に戻ると、イムノトキシンの調製は、一般に、当該分野において周
知である。しかし、特定の利点は、イムノトキシンの調製において、および引き
続く臨床での投与のためのそれらの精製においての両方で、特定の好ましい技術
の適用を通じて達成され得る。例えば、IgGベースのイムノトキシンが、代表
的には、それらのFab’対応物よりも良好な結合能力および遅い血中クリアラ
ンスを示すが、Fab’フラグメントベースのイムノトキシンは、一般に、Ig
Gベースのイムノトキシンと比較した場合に、より良好な組織浸透能力を示す。
【0417】
さらに、標的化剤に毒素部分を結合体化するために首尾よく用いられ得る、多
くの型のジスルフィド結合含有リンカーが公知であるが、特定のリンカーは、一
般に、薬理学的な特徴および能力の差異に基づいて、他のリンカーよりも好まし
い。例えば、立体的に「妨害される」ジスルフィド結合を含むリンカーが、イン
ビボでのそれらのより大きな安定性に起因して好まれ、それによって作用部位で
の結合の前に毒素部分の放出を防ぐ。
【0418】
抗アミノリン脂質抗体に結合体化され得る、広汎な種々のネガティブ(植物由
来の毒素、真菌由来の毒素および細菌由来の毒素(例えば、リシンA鎖または脱
グリコシル化A鎖)が、公知である。標的化剤への毒素A鎖の架橋は、特定の場
合において、ジスルフィド機能を示す架橋剤を必要とする。このことに対する理
由は、不明であるが、一旦この因子が標的細胞にこの毒素を「送達する」と、標
的化剤から容易に放出可能である特定の毒素部分に対する必要性に起因するよう
である。
【0419】
各々の型の架橋剤、ならびに架橋が実行される方法は、得られた結合体の薬力
学を変動する傾向がある。最終的には、放出可能な毒素が意図される場合には、
意図される作用部位を除く身体中のいたるところ(結合体が良好な「放出」特徴
を有することが好ましい点)に見出される条件下でインタクトなままである結合
体を有することが所望される。従って、特定の架橋スキーム(特に、使用される
特定の架橋試薬および架橋される構造を含む)は、いくらか重要である。
【0420】
融合タンパク質の部分として使用される特定の毒素化合物に依存して、標的化
剤に作動可能に結合するペプチドスペーサーおよびジスルフィド結合ループ構造
に折りたたみ得る毒素化合物を提供することが必要であり得る。次いで、ループ
内のタンパク質分解性切断は、ヘテロダイマーポリペプチドを生じ、ここで標的
化剤および毒素化合物は、1個のジスルフィド結合によってのみ連結されている
。このような毒素の例は、リシンA鎖毒素である。
【0421】
特定の他の毒素化合物が利用される場合、非切断性ペプチドスペーサーが、標
的化剤および融合タンパク質の毒素化合物を作動可能に連結するために提供され
る。非切断性ペプチドスペーサーと組み合せて使用され得る毒素は、それ自体、
タンパク質分解性切断によって細胞傷害性ジスルフィド結合形態に変換され得る
毒素である。このような毒素化合物の例は、Pseudonomas外毒素化合
物である。
【0422】
化学療法剤(例えば、抗腫瘍薬物、他のサイトカイン、代謝拮抗物質、アルキ
ル化剤、ホルモンなど)を標的化することが所望されるような、標的抗原が、(
イムノトキシンのような)因子/毒素化合物を標的化することによる効率的な中
毒と一致する経路によって内在化しない場合のような状況が存在し得る。種々の
化学療法剤および他の薬理学的薬剤は、現在、抗体に首尾よく結合体化されてお
り、そして薬理学的に機能することが示されている。調査されている例示的な抗
腫瘍性因子は、ドキソルビシン、ダウノマイシン、メトトレキセート、ビンブラ
スチン、および種々の他の因子を含む。さらに、他の因子(例えば、ネオカルジ
ノスタチン(neocarzinostatin)、マクロマイシン(macr
omycin)、トレニモン(trenimon)およびα−アマニチンの部分
が、記載されている。
【0423】
凝固因子が、本発明と組み合せて使用される場合、抗体または標的化剤に対す
る任意の共有結合は、その機能的に凝固する部位とは別の部位に作製されるべき
である。従って、この組成物は、各々の領域が重要な障害なしにその意図された
機能を実行するようにする、任意の作動可能な様式にて「連結される」。従って
、この標的化剤は、アミノリン脂質に結合し、そして凝固因子は、血餅化を促進
する。
【0424】
(E11.生化学架橋剤)
上記に提供される一般の情報に加えて、抗アミノリン脂質抗体は、特定の好ま
しい生化学架橋剤を使用して、抗細胞性薬剤またはネガティブに結合体化され得
る。架橋試薬は、2つの異なる分子の官能基を共に結ぶ分子架橋を形成するため
に使用される。段階的な様式にて2つの異なるタンパク質を連結するために、所
望されないホモポリマー形成を排除するヘテロ二重官能性架橋剤が、使用され得
る。例示的なヘテロ二重官能性架橋剤は、表Bにおいて参照される。
【0425】
【表B】

ヘテロ二重官能性架橋剤は、2つの反応基(一方は、一般に、第1級アミン基
(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド)と反応し、そして他方は、一般にチ
オール基(例えば、ピリジルジスルフィド、マレイミド、ハロゲンなど)と反応
する)を含む。第1級アミン反応基を通じて、この架橋剤は、あるタンパク質(
例えば、選択された抗体またはフラグメント)のリジン残基と反応し得、このチ
オール反応基を通じて、第1のタンパク質と既に結び付けられている架橋剤は、
他のタンパク質(例えば、凝固剤)のシステイン残基(遊離のスルフヒドリル基
)と反応する。
【0426】
従って、組成物は、一般に、架橋の目的に利用可能な官能基を有するか、また
は有するように誘導体化される。この要件は、広汎な種々の基がこの様式におい
て使用され得るという点で限定的であるとは考えられない。例えば、第一級アミン基または第二級アミン基、ヒドラジド基またはヒドラジン基、カルボキシル基
、アルコール基、ホスフェート基、あるいはアルキル化基は、結合および架橋の
ために使用され得る。
【0427】
架橋剤の2つの反応基の間のスペーサーアームは、種々の長さおよび化学組成
を有し得る。より長いスペーサーアームは、結合体成分のより良好な可撓性を可
能にし、その一方、架橋におけるいくつかの特定の成分(例えば、ベンゼン基)
は、反応基にさらに安定性を、または種々の局面の作用に化学結合の耐性の増大
(例えば、還元剤への耐性のジスルフィド結合)を与え得る。ペプチドスペーサ
ー(例えば、L−Leu−L−Ala−L−Leu−L−Ala)の使用もまた
、意図される。
【0428】
血中にて合理的な安定性を有する架橋剤が用いられることが好ましい。標的化
剤および毒素因子または凝固因子を結合体化するために首尾よく用いられ得る、
多くの型のジスルフィド結合含有リンカーが、公知である。立体的に妨害される
ジスルフィド結合を含むリンカーが、インビボでより大きな安定性を生じること
を証明し得、このことは、作用部位での結合の前に因子の放出を妨げる。従って
、これらのリンカーは、連結剤の1つの好ましい群である。
【0429】
イムノトキシンにおける使用に最も好ましい架橋試薬のうちの1つは、SMP
Tである。SMPTは、隣接するベンゼン環およびメチル基により「立体的に妨
害」されているジスルフィド結合を含む、二重官能性架橋剤である。ジスルフィ
ド結合の立体障害は、チオレートアニオン(組織および血中に存在し得るグルタ
チオンのような)による攻撃から結合を保護し、それによって腫瘍部位への結合
した薬剤の送達の前に結合体の脱カップリングを防ぐため際に役立つ機能を提供
すると考えられる。SMPT剤はまた、本発明の二重特異性リガンドと組み合せ
て使用され得ることが意図される。
【0430】
多くの他の公知の架橋試薬のように、SMPT架橋試薬は、官能基(例えば、
システインのSHまたは第一級アミン(例えば、リジンのε−アミノ基))を架
橋する能力を与える。別の可能な型の架橋剤は、切断性ジスルフィド結合(例え
ば、スルホスクシンイミジル−2−(p−アジドサリチルアミド)エチル−1,
3’−ジチオプロピオネート)を含有する、ヘテロ二重官能性感光性フェニルア
ジドを含む。N−ヒドロキシ−スクシンイミジル基は、第一級アミノ基と反応し
、そしてフェニルアジド(光分解の際)は、任意のアミノ酸残基と非選択的に反
応する。
【0431】
妨害された架橋剤に加えて、妨害されていないリンカーもまた、本明細書に従
って用いられ得る。保護されたジスルフィドを含まないかまたは生成しないと考
えられる、他の有用な架橋剤には、SATA、SPDPおよび2−イミノチオレ
ンが挙げられる。このような架橋剤の使用は、当該分野において十分に理解され
ている。
【0432】
一旦結合体化されると、この結合体は、非結合体化標的化剤および非結合体化
治療剤から、ならびに他の夾雑物から分離される。多数の精製技術が、結合体を
臨床的に有用にするに十分な程度の純度の結合体を提供する使用に利用可能であ
る。サイズ分離(例えば、ゲル濾過、ゲル浸透、または液体高速クロマトグラフ
ィー)に基づく精製方法は、一般に、最も有用である。他のクロマトグラフィー
技術(例えば、Blue−Sepharose分離)もまた、使用され得る。
【0433】
(E12.二重特異性抗体)
二重特異性抗体は、本発明のコアグリガンドの局面において特に有用である。
しかし二重特異性抗体は、一般的に、一本のアームがアミノリン脂質に結合し、
そして二重特異性抗体が治療剤に(一般に抗原結合部位とは異なる部位で)結合
する限り、使用され得る。PSおよびPEの両方に結合する二重特異性抗体もま
た、使用され得る。
【0434】
一般に、二重特異性抗体の調製はまた、当該分野において周知である。1つの
方法は、一方で、標的抗原に対する特異性を有する抗体を、他方で、(本明細書
でのように)凝集剤を、別々に調製することを含む。ペプシンのF(ab’γ)
2フラグメントを、2つの選択した抗体から調製し、続いて各々を還元し、別々
のFab’γSHフラグメントを提供する。次に、カップリングする2つのパート
ナーの1つにあるSH基を、o−フェニレンジマレイミドのような架橋剤を用い
てアルキル化し、遊離のマレイミド基を1つのパートナー上に提供する。次にこ
のパートナーを、チオエーテル結合の手段によって他方と結合させ、所望のF(
ab’γ)2ヘテロ結合体を生成し得る。SPDPまたはプロテインAを用いて
架橋を行うか、または三重特異性構築物を調製する他の技術が、公知である。
【0435】
二重特異性抗体を生成する他の方法は、2つのハイブリドーマを融合して、ク
アドローマ(quadroma)を形成することである。本明細書において使用
する場合、用語「クアドローマ」は、2つのB細胞ハイブリドーマの融合産物を
記載するために使用される。ここで、標準的な技術を用いて、2つの抗体産生ハ
イブリドーマを融合して、娘細胞を産生し、そして免疫グロブリン遺伝子のクロ
ーン型の両方のセットの発現を維持する細胞が、次いで選択される。
【0436】
クアドローマを産生する好ましい方法は、親ハイブリドーマの少なくとも1つ
の酵素を欠失する変異体の選択を包含する。次に、この第1の変異型ハイブリド
ーマ細胞株は、その連続する生存を妨げる、例えば、ヨードアセトアミドに致死
的に曝露された第2のハイブリドーマの細胞に融合される。細胞融合は、致死的
に処理されたハイブリドーマから、その酵素欠失についての遺伝子を獲得するこ
とにより、第1のハイブリドーマの救済、および第1のハイブリドーマとの融合
を介する第2のハイブリドーマの救済を可能とする。同一のアイソタイプである
が、異なるサブクラスの免疫グロブリンの融合が好ましいが、しかし必要ではな
い。好ましいクアドローマの単離のための代替的なアッセイが存在すれば、混合
されたサブクラスの抗体は、使用可能である。
【0437】
より詳細には、クアドローマの開発およびスクリーニングの1つの方法は、第
1の選択されたMAbを分泌するハイブリドーマ株を得る工程、およびこのハイ
ブリドーマを、必須の代謝酵素(ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ(HGPRT))について欠失させる工程を包含する。ハイブリ
ドーマの欠失変異体を得るために、細胞を、8−アザグアニンの漸増濃度(1×
10-7M〜1×10-5M)の存在下で増殖させる。変異体を、限界希釈によって
サブクローニングし、そしてそのヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(
HAT)感受性について試験する。この培養培地は、例えば、10% FCS、
2mM L−グルタミンおよび1mM ペニシリン−ストレプトマイシンを補充
したDMEMからなり得る。
【0438】
第2の所望のMAbを産生する相補的なハイブリドーマ細胞株を使用して、標
準的な細胞融合技術によって、クアドローマを生成する。手短には、4.5×1
7のHAT感受性の第1の細胞を、2.8×107HAT耐性の第2の細胞(不可逆的生化学的インヒビターであるヨードアセトアミドの致死用量(リン酸緩衝
化生理食塩水中に5mM)で、融合前に30分間氷上で前処理した)と混合する
。細胞融合は、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して誘導し、そしてこ
の細胞を96ウェルのマイクロ培養プレート中にプレートする。クアドローマを
、HAT含有培地を使用して選択する。二重特異性抗体含有培養物を、例えば、
固相アイソタイプ特異的ELISAおよびアイソタイプ特異的免疫蛍光染色を使
用して、同定する。
【0439】
二重特異性抗体を同定するための、1つの同定実施態様において、マイクロタ
イタープレートのウェル(Falcon、Becton Dickinson
Labware)を、親ハイブリドーマ抗体の1つと特異的に相互作用し、そし
て両方の抗体との交差反応性を有さない試薬で、コートする。プレートを洗浄し
、ブロックし、そして試験する上清(SN)を各ウェルに添加する。プレートを
室温で2時間インキュベートし、上清を棄て、プレートを洗浄し、そして希釈し
たアルカリホスファターゼ−抗−抗体結合体を、室温で2時間添加する。プレー
トを洗浄し、そしてホスファターゼ基質(例えば、p−ニトロフェニルホスフェ
ート(Sigma、St.Louis))を各ウェルに添加する。プレートをイ
ンキュベートし、3N NaOHを各ウェルに添加して反応を停止し、そしてE
LISAリーダーを使用して、OD410値を測定する。
【0440】
別の同定実施態様において、ポリL−リジンを用いて前処理したマイクロタイ
タープレートを使用して、各ウェルに標的細胞の1つを結合し、次にその細胞を
固定化し(例えば、1% グルタルアルデヒドを使用する)、そして二重特異性
抗体を、インタクトな細胞に結合するその能力について試験する。さらに、FA
CS、免疫蛍光染色、イデオタイプ特異的抗体、抗原結合競合アッセイ、および
抗体の特徴付けの分野において一般的な他の方法を、本発明の方法と組み合わせ
て使用し、好ましいクアドローマを同定し得る。
【0441】
クアドローマの単離に続いて、二重特異性抗体を他の細胞性産物から精製する
。この精製は、免疫グロブリン精製の分野において当業者に公知の、種々のタン
パク質単離手順によって達成され得る。抗体を調製する手段、および特徴付ける
手段は、当該分野において周知である(例えば、Antibodies:A L
aboratory Manual、1988を参照のこと)。
【0442】
例えば、選択されたクアドローマの上清をプロテインAセファロースカラムま
たはプロテインGセファロースカラムを通過させて、IgGを結合させる(アイ
ソタイプに依存する)。次に結合した抗体を、例えば、pH5.0クエン酸緩衝
液を使用して溶出する。BsAbを含む溶出画分を、等張緩衝液に対して透析す
る。あるいは、溶出液をまた、抗−免疫グロブリンセファロースカラムを通過さ
せる。次に、BsAbを、3.5M 塩化マグネシウムを用いて溶出する。次に
、この方法において精製されたBsAbを、例えば、上記の標的細胞のアイソタ
イプ特異的ELISAおよび免疫蛍光染色アッセイによって、結合活性について
試験する。
【0443】
精製されたBsAbおよび親抗体はまた、SDS−PAGE電気泳動と、その
後の銀染色またはクマシー染色によって、特徴付け、および単離され得る。この
手順は、親抗体の一方が、他方の抗体よりも大きな分子量を有し、BsAbのバ
ンドが2つの親抗体の中間に移動する場合に、可能である。サンプルの還元は、
2つの見掛け上異なる分子量を有する重鎖の存在を確認する。
【0444】
(F.薬学的組成物)
本発明の最も基本的な薬学的組成物は、一般に、少なくとも第1の治療剤−標
的化剤構築物(薬学的に受容可能なキャリアまたは水性媒体中に、溶解または分
散した)の有効量を含む。組み合わせ治療もまた意図され、そして同じ型の基礎
をなす薬学的組成物を、単一医薬および組み合わせ医薬の両方について使用し得
る。
【0445】
句「薬学的に受容可能、または薬理学的に受容可能」とは、必要に応じて、動
物またはヒトに投与された場合、有害な、アレルギー性のまたは他の有害な反応
を生じない分子実体または組成物をいう。本明細書において使用する場合、「薬
学的に受容可能なキャリア」としては、任意のおよび全ての、溶媒、分散媒体、
コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤および吸着遅延剤などが挙げられる。
薬学的に活性な物質のための、そのような媒体および薬剤の使用は、当該分野に
おいて周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場
合を除いて、治療的組成物中でのその使用が意図される。ヒトへの投与のために
、調製物は、FDA官庁の生物製剤の基準によって必要とされる、滅菌性、発熱
性、一般的安全性および純度の基準を充たすべきである。補助的な活性成分もま
た、組成物中に取り込まれ得る。
【0446】
(F1.非経口処方物)
本発明の治療剤−標的化剤構築物は、最もしばしば、非経口投与(例えば、序
静脈内、筋肉内、皮下、経皮を介する注射のための処方、またはぜん動投与およ
び腫瘍もしくは疾患部位(腔内投与)中への直接滴下を含む他の経路のための処
方)のために処方される。治療剤−標的化剤構築物を活性成分として含有する水
性組成物の調製は、本明細書の開示を参照すれば、当業者に公知である。代表的
には、そのような組成物は、水溶液または懸濁液のいずれかにおいて、注射可能
な薬剤として調製され得る;注射前の液体への添加において、溶液または懸濁液
を調製するための使用に適切な固体形態もまた調製され得る;そしてその調製物
はまた、乳化され得る。
【0447】
注射での使用に適切な薬学的形態としては、滅菌水溶液または滅菌懸濁液;ゴ
マ油、ピーナッツオイル、または水性プロピレングリコールを含む処方物;およ
び滅菌注射可能溶液または滅菌注射可能懸濁液の即時調製のための滅菌粉末、が
挙げられる。全ての場合において、その形態は、滅菌であるべきであり、そして
注射可能性が存在する程度に流動性であるべきである。それは、製造および保存
の条件下において安定であるべきであり、そして微生物(例えば、細菌および真
菌)の混入作用に対して、保護されるべきである。
【0448】
治療剤−標的化剤組成物は、中性または塩の形態において、滅菌水性組成物中
に処方され得る。遊離の塩基、または薬理学的に受容可能な塩としての治療剤−
標的化剤薬剤の溶液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)
と適切に混合された水中で調製され得る。薬学的に受容可能な塩としては、酸添
加塩(タンパク質の遊離のアミノ基を用いて形成される)、および無機酸(例え
ば、塩酸またはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュ
ウ酸、酒石酸、マンデル酸)などを用いて形成される塩などが挙げられる。遊離
のカルボキシ基を用いて形成される塩はまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、
カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化鉄(III))および有機塩
基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン
)などから誘導され得る。
【0449】
適切なキャリアとしては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グ
リセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)
、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む、溶媒および分散媒体が挙げら
れる。多くの場合において、等張剤(例えば、糖類または塩化ナトリウム)を含
むのが好ましい。適切な流動性は、例えば、コーティング剤(例えば、レシチン
)の使用によって、分散の場合において必要とされる粒子サイズの維持によって
、および/または界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0450】
貯蔵および使用の通常の条件下において、全てのそのような調製物は、防腐剤
を含有し、微生物の増殖を防ぐべきである。微生物の作用の防止は、種々の抗細
菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソル
ビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。注射可能な組成物の長期
の吸収は、遅延型吸収剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチ
ン)の組成物中での使用によってもたらされ得る。
【0451】
処方の際、または処方前に、治療剤−標的化剤構築物は、広範に透析され、所
望されない低分子物質を除去するか、および/または、適切な場合、所望のビヒ
クル中へのより容易な処方のために凍結乾燥されるべきである。滅菌の注射可能
溶液は、必要とされる量の活性治療剤−標的化剤を、適切な溶媒中に、上記に列
挙した他の種々の成分とともに取り込まれ、必要に応じて、その後に濾過滅菌さ
れることにより調製される。一般に、分散剤は、種々の滅菌活性成分を、塩基性
分散媒体および上記に列挙される必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル
中に取り込まれることにより、調製される。
【0452】
滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性
治療剤−標的化剤成分、および以前に滅菌濾過されたその溶液由来の任意のさら
なる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥およびフリーズドライ技術である。
【0453】
本発明に従う適切な薬学的組成物は、一般に、受容可能な薬学的希釈剤または
賦形剤(例えば、滅菌水溶液)と混合されたある量の治療剤−標的化剤構築物を
含み、意図される使用に依存して、ある範囲の最終濃度を生じる。調製の技術は
、Remington’s Pharmaceutical Sciences
、第16版、Mack Publishing Company、1980(本
明細書において参考として援用される)によって例示されるように、一般に当該
分野において周知である。エンドトキシンの混入は、安全なレベルに最小限に維
持されるべきである(例えば、0.5ng/mgタンパク質未満)ことを理解す
るべきである。さらに、ヒトへの投与について、調製物は、FDA官庁の生物製
剤基準によって必要とされる、滅菌性、発熱性、一般的安全性および純度の基準
を充たすべきである。
【0454】
処方の際に、治療剤−標的化剤溶液は、投薬量処方と適合する様式において、
およびそのような治療的有効量において、投与される。処方物は、種々の投薬形
態(例えば、上記の注射可能な溶液の型)において容易に投与されるが、他の薬
学的に受容可能な形態(例えば、錠剤、ピル、カプセルまたは経口投与のための
他の固体、座剤、腟坐薬、経鼻溶液またはスプレー、エアロゾル、吸入剤、リポ
ソーム形態など)もまた意図される。薬学的「徐放性」カプセルまたは組成物も
また、使用され得る。徐放性処方物は、一般に、長期間にわたって一定の薬物レ
ベルを生じるように設計され、そして本発明に従う治療剤−標的化剤構築物を送
達するために使用され得る。
【0455】
(F2.リポソームおよびナノカプセル)
特定の実施態様において、リポソームおよび/またはナノカプセルもまた、治
療剤−標的化剤構築物とともに使用され得る。リポソームの処方および使用は、
以下に要約されるように、当業者に、一般に公知である。
【0456】
リポソームは、水性媒体中に分散されるリン脂質から形成され、そして自発的
に多層の同心の二重層ビヒクル(多層ビヒクル(MLV)とも称する)を形成す
る。MLVは、一般に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理
は、中心に水溶液を含有する、直径200〜500Åの範囲の小さな単層のビヒ
クル(SUV)を生じる。
【0457】
リン脂質は、水中に分散される場合、水に対する脂質のモル比に依存して、リ
ポソーム以外の多様な構造を形成し得る。低い比において、リポソームは、好ま
しい構造である。リポソームの物理学的特徴は、pH、イオン強度、および二価
カチオンの存在に依存する。リポソームは、イオンおよび極性物質に対する低い
透過性を示し得るが、高温において、その透過性を顕著に変化させる相転移を受
ける。相転移は、ゲル状態として公知の密接に充填された、規則正しい構造から
、流体状態として公知の疎に充填された、より規則正しくない構造への変化を含
む。これは、特徴的な相転移温度において生じ、そしてイオン、糖および薬物の
透過性を増加する。
【0458】
リポソームは、4つの異なる機構を通じて、細胞と相互作用する:マクロファ
ージおよび好中球のような細網内皮系の食細胞によるエンドサイトーシス;非特
異的な弱い疎水的な力、もしくは静電的な力のいずれかによるか、または細胞表
面成分との特異的な相互作用による細胞表面への吸着;リポソーム含有物の細胞
質への同時放出をともなう、リポソームの脂質二重層の形質膜への挿入による形
質細胞膜との融合;および、リポソームの内容物の会合をいずれもともなわない
、リポソーム脂質の、細胞膜または細胞内(オルガネラ)膜への移入、あるいは
その逆。1つより多い機構が同時に作動し得るが、リポソームの処方を変化させ
ることは、作動する機構を変更し得る。
【0459】
ナノカプセルは、一般に、安定にかつ再現性のある方法において、化合物を捕
獲し得る。細胞内へのポリマー性の過剰負荷に起因する副作用を避けるために、
そのような超微細粒子(約0.1μmのサイズ)が、インビボで分解され得るポ
リマーを使用して設計されるべきである。これらの要求を満たす生分解性ポリア
ルキル−シアノアクリレートナノ粒子は、本発明における使用において意図され
、そしてそのような粒子は、容易に作製され得る。
【0460】
(G.治療用キット)
本発明はまた、本発明の処置方法における使用のための治療剤−標的化剤構築
物を含む治療用キットを提供する。そのようなキットは、一般に、適切な容器手
段において、少なくとも1つの治療剤−標的化剤構築物の薬学的に受容可能な処
方物を含有する。このキットはまた、診断/造影または組み合わせ治療のいずれ
かのための、他の薬学的に受容可能な処方物を含む。例えば、そのようなキット
は、化学治療剤または放射線治療剤;抗脈管形成剤;抗腫瘍細胞抗体;および/
あるいは抗腫瘍脈管構造性または抗腫瘍支質性のイムノトキシンまたはコアグリ
ガンドのある範囲の任意の1つ以上を含み得る。
【0461】
このキットは、任意のさらなる成分を含むか、または含まない治療剤−標的化
剤構築物を含む1つの容器(容器手段)を有し得るか、あるいは各所望の薬剤のために別々の容器を有し得る。組み合わせ治療剤が提供される場合、単一の溶液
が、モル等価の組み合わせにおいてか、または1つの成分が他の成分より過剰に
おいてのいずれかで、予め混合され得る。あるいは、キットの各治療剤−標的化
剤構築物および他の抗癌剤成分は、患者への投与前に、異なる容器中で別々に維
持され得る。
【0462】
このキットの成分が、1つ以上の液体中で提供される場合、液体は、好ましく
は、水溶液であり、特に滅菌水溶液が好ましい。しかし、このキットの成分は、
乾燥粉末において提供され得る。試薬または成分が乾燥粉末として提供される場
合、この粉末は、適切な溶媒の添加によって再構成され得る。この溶媒もまた別
の容器中で提供され得ることが意図される。
【0463】
キットの容器は、一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボ
トル、シリンジ、または他の容器手段を含み、これらの中で治療剤−標的化剤構
築物および任意の他の所望の薬剤が、好ましくは適切なアリコートで、配置され
得る。別々の成分が含まれる場合、このキットはまた、一般に第2のバイアルま
たは他の容器を含み、これらの中にこの成分が配置され、別々に設計された用量
での投与を可能にする。このキットは、滅菌の、薬学的に受容可能な緩衝液また
は他の希釈剤を含むための第2/第3の容器手段もまた、含み得る。
【0464】
このキットはまた、治療剤−標的化剤構築物を動物または患者に投与するため
の手段(例えば、1つ以上の針またはシリンジ、あるいは点眼剤、ピペット、ま
たは他のそのような装置)を含み、その手段によって、この処方物が、動物に注
入され得るか、または身体の疾患領域に適用され得る。本発明のキットはまた、
代表的に、バイアルなど、および他の成分を、市販のために密接な拘束において
含む手段(例えば、射出成形またはブロー成形したプラスチック容器)を含み、
これらの手段の中で、所望のバイアルおよび他の装置が配置され、そして保持さ
れる。
【0465】
(H.腫瘍処置)
本発明の最も重要な使用は、血管化、悪性腫瘍の処置においてである;BPH
のような良性腫瘍の処置もまた意図される。本発明はまた、疾患の要素として、
プロトロンビン性血管を有する他の疾患および障害の治療においても使用され得
る。そのような脈管関連疾患としては、糖尿病性網膜症、黄斑変性、血管再狭窄
(血管形成術後の再狭窄を含む)、動静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血
管新生緑内障および乾癬が挙げられ;ならびにまた、血管線維腫、関節炎、慢性
関節リウマチ、アテローム性動脈硬化斑、角膜移植新生血管形成、血友病関節、
過形成性瘢痕、オースラー−ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増
殖、強皮症、トラコーマ、脈管癒着、滑膜炎、皮膚炎、他の種々の炎症性疾患お
よび障害が挙げられ、そして子宮内膜症でさえも含む。
【0466】
本発明の治療剤−標的化剤構築物処置は、固形腫瘍の処置のために最も好まし
く開発される。そのような使用は、治療剤−標的化剤構築物単独、あるいは化学
治療剤、放射線治療剤、アポトーシス剤、抗脈管形成剤および/またはイムノト
キシンもしくはコアグリガンドと組み合わせて、使用され得る。本発明によって
提供される治療剤−標的化剤構築物の方法は、脈管要素を有する任意の悪性腫瘍
の処置において、広範に適用可能である。代表的な血管化腫瘍は、固形腫瘍、特
に癌腫であり、これらは、酸素および栄養の支給のために脈管性成分を必要とす
る。本発明を使用して処置され得る例示的な固形腫瘍としては、肺、胸部、卵巣
、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆管、結腸、直腸、頚部、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、甲状腺の腫瘍、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌
腫、メラノーマ、グリオーム、神経芽細胞腫などが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0467】
本発明は、固形腫瘍を提示する任意の患者の処置における使用に意図される。
しかし、本発明が、中程度または大きいサイズの固形腫瘍の処置に特に首尾よい
という点で、これらのカテゴリーの患者は、本明細書中に提供される方法および
組成物に従う処置から、より有意な利益を受けるようである。
【0468】
従って、一般的に、本発明は、約0.3cm〜0.5cmおよびそれ以上の腫
瘍を処置するために使用され得るが、0.5cmより大きいサイズの腫瘍を処置
することが、本発明のよりよい用途である。受容可能な動物モデルにおいてすで
に行われている研究から、約1.0〜約2.0cmのサイズの腫瘍を提示する患
者が、治療剤−標的化剤療法についての患者の好ましい処置群にあると考えられ
るが、ヒトにおいて見出される最大の腫瘍までを含む腫瘍もまた、処置され得る

【0469】
本発明は、一般的に、予防的(preventative)または予防的(p
rophylactic)治療として意図されないが、本発明の使用は、中程度
または大きいサイズの腫瘍を有する患者の処置のみに特に限定されない。本発明
の広がりのこの局面の根拠となる、多くの理由が存在する。例えば、中程度のサ
イズまたはより大きい原発性腫瘍を提示する患者はまた、種々の他の転移性腫瘍
を有し得、これらの転移性腫瘍は、小さいサイズであるか、または転移性腫瘍播
種の初期にあるとさえ考えられている。本発明の治療剤−標的化剤構築物または
組み合わせが一般的に患者の全身性循環内に投与される場合、これらは、二次的
な、より小さくかつ転移性の腫瘍に対する効果を自然と有するが、このことは、
処置の主要な意図でなくてもよい。さらに、腫瘍塊が全体として単一の小さな腫
瘍である状況下でさえ、特定の有益な抗腫瘍効果が、本発明の治療剤−標的化剤
処置の使用から生じる。
【0470】
本発明と関係する使用について最も適切な患者に関して本明細書中に提供され
るガイダンスは、特定の患者のプロフィールが、本発明による処置についての患
者の選択を補助し得るという教示として意図される。特定の患者の予備選択、ま
たは患者のカテゴリーは、血管化腫瘍を有する全ての患者の処置に関係する本発
明の基本的有用性を、いかなる方法でも否定しない。さらなる考慮は、本発明の
治療剤−標的化剤構築物によって提供される腫瘍に対する攻撃が、腫瘍をさらな
る治療処置を受けやすくさせ、その結果、引き続く処置は全体的な相乗効果を生
じるか、完全な寛解または治癒を導きさえする。
【0471】
任意の特定の型の腫瘍が本発明を使用する処置から除外されることは考えられ
ない。しかし、腫瘍細胞の型は、二次的な治療剤、特に化学療法剤および抗腫瘍
細胞イムノトキシンを組合せた本発明の使用に関連し得る。本発明の治療の効果
は、腫瘍血管形成を破壊することであるため、そしてその血管系は実質的または
全体的に全ての固形腫瘍で同じであるために、本発明の治療剤−標的化剤の方法
論は、腫瘍細胞自体の特定の表現型または遺伝子型に無関係に、全ての固形腫瘍
の処置に広範に、または全体的に適用可能であることが理解される。
【0472】
治療剤−標的化剤構築物の治療的有効用量は、本明細書中に詳述される研究に
示されるように、動物モデルからのデータを使用して容易に決定可能である。固
形腫瘍を保持する実験動物は、臨床環境に移行する前に適切な治療用量を最適化するために、しばしば使用される。このようなモデルは、効果的な抗癌ストラテ
ジーを予測する際に非常に信頼性があることが公知である。例えば、固形腫瘍を
保持するマウス(例えば、本実施例で使用される)は、前臨床試験において広範
に使用される。本発明者は、このような分野で受容されるマウスモデルを使用し
て、最小の毒性で有益な抗腫瘍効果を与える治療剤−標的化剤構築物の作用範囲
を決定した。
【0473】
当該分野で公知のように、臨床処置に先行する前臨床試験と関係するガイドラ
インとして使用され得る、現実的目的が存在する。しかし、受容されるモデルに
おいてすでに実証された安全性に起因して、本発明の前臨床試験は、効果を確認
することよりもむしろ、最適化の問題により関係する。従って、前臨床試験は、
最も有利な治療剤−標的化剤構築物、用量または組み合わせを選択するために利
用され得る。
【0474】
任意の一貫して検出可能な腫瘍血管系破壊、血栓症および抗腫瘍効果を生じる
、任意の治療剤−標的化剤の用量または組合せられた医薬は、さらに有用な発明
を規定する。破壊性、血栓性および壊死性の効果は、約10%と約40〜50%
の間の腫瘍血管および腫瘍組織において観察され、さらに約50%と約99%と
の間のこのような効果が観察される。本発明はまた、腫瘍の血管下流に対して効
果的であり得る。すなわち、本発明は、排出(draining)血管の少なく
ともサブセットを標的化し、特に、腫瘍から放出されたサイトカインが、これら
の血管に作用する場合に、これらの抗原性プロフィールを変化する。
【0475】
治療剤−標的化剤の用量または組み合わせ治療の抗腫瘍効果が、この範囲の下
端に向かうような状況下でさえ、この治療が、特定の腫瘍標的の状況における他
の全ての公知の治療となお等価であるか、またはより効果的でさえあることがあ
り得ることもまた理解される。特定の腫瘍が中期間または長期間効果的に処置さ
れ得ないことは臨床家に不幸にも明らかであるが、特に一般的に提案されている
他のストラテジーと少なくともほぼ同様に効果的である場合、それは、本発明の
治療の有用性を否定しない。
【0476】
血管化腫瘍の処置のための、治療剤−標的化剤構築物または組み合わせの治療
薬の適切な用量を設計する際に、当業者は、臨床投与のための適切な用量に到達
するために、本明細書中に記載される動物研究から容易に推定し得る。このコン
バージョンを達成するために、当業者は、実験動物の単位質量あたり投与される
薬剤の質量を計算し、そして好ましくは、実験動物とヒト患者との間の身体の表
面積の差異を計算する。全てのこのような計算は、当業者に周知でありそして慣
用的である。
【0477】
例えば、マウス研究においてアネキシン−TF構築物の成功用量を採用し、そ
して質量および表面積に基づく標準的計算を適用すると、ヒト患者における使用
に効果的な用量は、患者あたり約1mg〜約500mgの抗体であり、そして好
ましくは、患者あたり約10mg〜約100mgの抗体である。
【0478】
従って、この情報を使用して、本発明者は、ヒト投与のための有用な低用量の
治療剤−標的化剤構築物は、患者あたり約1mg、2mg、3mg、4mg、5
mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25
mgまたは約30mgなどであり;そしてヒト投与のための有用な高用量の治療
剤−標的化剤構築物は、患者あたり約250mg、275mg、300mg、3
25mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mgまたは約500mgなどである。ヒト投与のための有用な中程度の用量
の治療剤−標的化剤構築物は、患者あたり約35mg、40mg、50mg、6
0mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg
、175mg、200mgまたは約225mgなどであることが意図される。
【0479】
上記に引用されたいずれかの実験用量を用いる任意の特定の範囲または特定の
記載された範囲の間の任意の中間の値は意図される。凝固薬を含む治療剤−標的
化剤構築物が一般的に毒素を含む構築物より高用量で使用され得ることがまた理
解される。
【0480】
一般に、治療剤−標的化剤構築物の患者あたり約5〜100mg、約10〜8
0mg、約20〜70mg、約25〜60mg、または約30〜50mgなどの
間の投薬量範囲が好ましい。これらの記載の範囲にかかわらず、本明細書中に提
示されたパラメーターおよび詳細なガイダンスを考慮して、活性または最適な範
囲でのさらなる変更は、本発明の範囲内であることが理解される。患者当たり約
5mgまたは10mg〜約70mg、80mg、90mgもしくは100mgの
間および周辺の用量が、現在は好ましいが、より低い用量が、他の薬剤と組み合
わせてさらに適切であり得ること、およびより高い用量が、特に、凝固薬構築物
の安定性が増強される場合、なおさらに許容され得ることが理解される。ヒトま
たはヒト化された抗体あるいは結合タンパク質の使用は、健常組織における有意
な毒性または副作用の機会をさらに減少して、本発明を臨床使用のためにさらに
安全にする。
【0481】
本発明の治療レジメの意図は、一般的に、受け入れられない毒性に関連するレ
ベル未満の用量をなお維持しながら、有意な抗腫瘍効果を生成することである。
用量自体の変化に加えて、投与レジメはまた、処置ストラテジーを最適化するた
めに採用され得る。現在好ましい処置ストラテジーは、約1〜500mgの間、
および好ましくは、約10〜100mgの間の治療剤−標的化剤構築物、または
それらを含む治療混液を、約7日間以内に約3回投与することである。例えば、
約1日目、3日目または4日目、および6日目または7日目に投薬される。
【0482】
特定の用量自体の投与において、当業者は、好ましくは薬学的受容可能な組成
物(無菌性、発熱性、純度および一般的な安定性のFDA基準に従う)を患者に
全身的に提供する。静脈内注射は、一般的に好ましく、そして最も好ましい方法
は、約1時間または2時間などの期間にわたって連続注入を使用することである
。本発明を使用する処置の前にこのようなパラメーターを決定する必要はないが
、本明細書中に詳述された研究が、注射の約12〜24時間以内に固形腫瘍の血
管において特異的に観察される、少なくともいくつかの血栓を生じること、そし
て広範な腫瘍壊死もまた、この期間に観察されることに留意すべきである。
【0483】
当然、広範な使用の前に、臨床試験が実施される。臨床試験の実行の種々のエ
レメント(患者の処置およびモニタリングを含む)は、本発明の開示に照して当
業者に公知である。以下の情報は、このような試験を確立する際の使用のための
一般的なガイドラインとして提示されている。
【0484】
第1の治療剤−標的化剤構築物の処置研究について選択される患者は、従来の
治療の少なくとも1つの過程に応答せず、そして身体検査、実験技術、および/
またはX線撮影手段によって決定されるような客観的に測定可能な疾患を有する
。いずれの化学療法も、本研究に入る少なくとも2週間前に停止する。マウスモ
ノクローナル抗体または抗体部分を使用する場合、患者はマウス免疫グロブリンに対するアレルギーの病歴を有さない。
【0485】
特定の利点は、三管腔ポート(triple lumen port)を有す
る中心静脈カテーテルの留置を使用する際に見出される。治療剤−標的化剤構築
物は、例えば、0.22μフィルターを使用して濾過され、そして適切に(例え
ば、生理食塩水で)100mlの最終用量に希釈される。使用の前に、この試験
サンプルはまた、同様の様式で濾過され、そしてA280を測定することによって
濾過の前後でその濃度を評価される。予想される回収率は、87%〜99%の範
囲内であり、次いで、タンパク質の損失についての調整が補正される。
【0486】
治療剤−標的化剤構築物は、約4〜24時間の期間にわたって投与され、各患
者は、2〜7日間の間隔で2〜4回の注入を受ける。投与はまた、7日間にわた
って一定速度の注入によって実施され得る。任意の用量レベルで与えられる注入
は、観察される任意の毒性に依存される。従って、グレードIIの毒性が、任意
の単回注入後または一定速度注入の間の特定の期間で達した場合、毒性が改善さ
れない限り、さらなる用量を中止するか、またはその一定速度注入を停止する。
漸増用量の治療剤−標的化剤構築物は、約60%の患者が、任意のカテゴリーに
おいて、受け入れられないグレードIIIまたはIVの毒性を示すまで、患者群
に投与される。この値の2/3である用量が、安全用量として定義される。
【0487】
身体検査、腫瘍測定、および実験室試験は、もちろん、処置前および1ヶ月後
までの間隔で実施される。実験室試験としては、全血球計数、血清クレアチニン
、クレアチニンキナーゼ、電解質、尿素、SGOT、窒素、ビリルビン、アルブ
ミン、および全血清タンパク質が挙げられる。処置後60日までに採取された血
清サンプルは、投与された治療剤−標的化剤構築物、およびそのいずれかの部分
に対する抗体の存在について放射免疫アッセイによって評価される。任意の標準
的アッセイ(例えば、ELISAまたはRIAのような)を使用する、血清の免
疫学的分析は、抗アミノリン脂質治療剤の薬物動態およびクリアランスの評価を
可能にする。
【0488】
抗腫瘍応答を評価するために、患者を、最後の注入の、48時間後〜1週間後
に、そして再び30日後に試験するべきである。触知可能な疾患が存在した場合
、全ての塊の二つの垂直直径(perpendicular diameter
)を、処置の間毎日、治療完了後1週間以内、および30日で測定すべきである
。触知可能でない疾患を測定するために、連続CTスキャンが、胸部、腹部、お
よび骨盤の全体を通して、1cm間隔で、48時間〜1週間で、そして30日で
再び実施され得る。組織サンプルはまた、組織学的におよび/あるいはフローサ
イトメトリーにより、疾患部位から、または適切であれば血液もしくは体液サン
プルからの生検を用いて評価されるべきである。
【0489】
臨床応答は、受容可能な基準により規定され得る。例えば、完全な応答は、処
置の1カ月後、全ての測定可能な腫瘍がみられないことにより規定され得る。こ
れに対し、部分的な応答は、処置の1カ月後に、増大を示す腫瘍部位なしでの、
全ての評価可能な腫瘍小節の垂直直径の積の和の50%またはそれ以上の減少に
より規定され得る。同様に、混合応答は、処置の1カ月後に、一つ以上の部位で
の進行を伴った、全ての測定可能な病巣の垂直直径の積の50%以上の減少によ
り規定され得る。
【0490】
上記のような臨床試験の結果を鑑みて、さらにより正確な処置レジメが処方さ
れ得る。そうであったとしても、投与量におけるいくらかのバリエーションは、処置される被験体の状態に依存して、後で必要であり得る。投与に責任をもつ医
者は、本開示に鑑みて、個々の被験体に適切な用量を決定し得る。このような最
適化および調節は、当該分野において慣用的に実施され、そして過剰な実験量を
けっして反映しない。
【0491】
(I.腫瘍の画像化)
本発明はさらに、腫瘍処置と抗アミノリン脂質結合リガンドに基づく組み合わ
せた腫瘍処置および画像化方法を提供する。一つ以上の検出可能な因子に結合さ
せた抗アミノリン脂質結合タンパク質または抗体は、腫瘍のプレ画像化に使用す
ることが構想され、処置の前に信頼性のある画像を形成し、その画像自体が、ア
ミノリン脂質マーカーを標的化する。
【0492】
抗アミノリン脂質画像化リガンドもしくは抗体、またはそれらの結合体は、一
般的に、検出可能な標識に作動可能に付着したかもしくは結合した抗アミノリン
脂質抗体または結合リガンドを含む。「検出可能な標識」は、それらの特異的な
機能特性、または化学的特徴のために検出され得る化合物あるいはエレメントで
あり、その使用により、それらが付着する成分を検出可能になり、そして所望で
あれば、さらに定量可能にする。好ましくは、検出可能な標識は、非侵襲的方法
を用いてインビボで検出可能なものである。
【0493】
診断剤として使用のための抗体および結合タンパク質結合体は、一般的に二つ
のクラスに分類される(インビトロでの診断(例えば、種々の免疫アッセイ)に
おける使用のためのもの、およびインビボでの診断的プロトコルでの使用のため
のもの)。インビボでの画像化方法が、本発明での使用のために特に意図される

【0494】
抗体および結合リガンドにそれらを付着させる方法のような多くの適切な画像
化剤が、当該分野において公知である(例えば、米国特許第5,021,236
号および同第4,472,509号を参照のこと。いずれも本明細書中に参考と
して援用される)。特定の付着方法は、例えば、抗体に付着されたDTPAのよ
うな有機キレート剤を使用する金属キレート複合体の使用を含む(米国特許第4
,472,509号)。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは
過ヨウ素酸塩のような結合剤の存在下で酵素と反応され得る。フルオレセインマ
ーカーとの結合体は、これらの結合剤の存在下で、またはイソチオシアネートと
の反応により調製される。
【0495】
検出可能な標識の例は、常磁性イオンである。この場合、適切なイオンとして
は、以下が挙げられる:クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、
鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(I
II)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(I
II)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III
)、ホルミウム(III)、およびエルビウム(III)(ガドリニウムが特に
好ましい)。
【0496】
他の状況(例えば、X線画像化)において有用なイオンは、以下を含むがそれ
らに限定されない:ランタン(III)、金(III)、鉛(II)および特に
ビスマス(III)。蛍光標識には、ローダミン、フルオレセイン、およびレノ
グラフィンが挙げられる。ローダミンおよびフルオレセインは、しばしば、イソ
チオシアネート中間体を介して結合される。
【0497】
診断的適用のための放射活性アイソトープの場合、適切な例としては、以下が
挙げられる:14炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67152
Eu、ガリウム673水素、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111
59鉄、32リン、レニウム186、レニウム18875セレニウム、35硫黄、テクネチ
ウム99m、およびイットリウム90125Iは、しばしば、特定の実施態様において
使用するために好ましく、そしてテクネチウム99mおよびインジウム111はまた、
しばしば、それらが低エネルギーでありかつ広範囲での検出に適しているために
好ましい。
【0498】
本発明における使用のための放射能標識された抗アミノリン脂質抗体および結
合リガンドは、当該分野で周知の方法により生成され得る。例えば、ラジオアイ
ソトープ性金属イオンを抗体に結合するために、しばしば使用される中間体官能
基は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)およびエチレンジアミンテ
トラ酢酸(EDTA)である。
【0499】
モノクローナル抗体はまた、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム、および
次亜塩素酸ナトリウムのような化学的酸化剤、またはラクトペルオキシダーゼの
ような酵素酸化剤と接触することによりヨウ素化され得る。本発明による抗アミ
ノリン脂質抗体は、リガンド交換プロセスにより、例えば、二価のスズの溶液で
過テクネチウム酸(pertechnate)を還元し、Sephadexカラ
ム上でその還元されたテクネチウムをキレート化し、そしてこのカラムに抗体を
適用することにより、テクネチウム99mで標識され得る;または直接的標識技術
により、例えば、過テクネチウム酸、SNCl2のような還元剤、ナトリウム−
カリウムフタレート溶液のような緩衝溶液、および抗体をインキュベートするこ
とにより、標識され得る。
【0500】
検出可能に標識された抗アミノリン脂質抗体およびアミノリン脂質結合リガン
ドの上記の型のいずれも、本発明の画像化の局面において使用され得る。腫瘍画
像化と処置の組み合わせにおいて使用するために今までに提案されていないが、
米国特許第5,627,036号;WO95/19791;WO95/2790
3;WO95/34315;WO96/17618;およびWO98/0429
4の検出可能に標識されたアネキシンがまた、使用され得る;各々が本明細書中
に参考として援用される。
【0501】
WO95/27903(本明細書中に参考として援用される)は、アポトーシ
ス細胞の検出において使用するためのアネキシンを提供する。WO95/279
03の任意のアネキシン検出可能剤マーカーは、本発明において使用され得るが
、これらの特定のいくつかはインビトロにおける使用のためにより適切であるこ
とが理解される。WO95/27903はまた、本発明の治療薬と組み合わせた
使用に適合され得る検出可能なキットを提供する目的のために特に本明細書中に
参考として援用される。
【0502】
WO95/19791;WO95/34315;WO96/17618;およ
びWO98/04294;の各々はまた、診断的画像化のための放射標識された
アネキシン結合体をさらに記載する目的で本明細書中に参考として援用される。
前述の文書の各々の意図は、血管の血栓症、特に心臓内のもしくは心臓付近の血
栓症(例えば、深部の血管血栓症、肺の塞栓症、心筋梗塞、心房性細動、人工心
臓弁材料(prosthetic cardiovascular mater
ial)での問題、発作など)の画像化において使用するための放射標識された
アネキシンを提供することである。これらの放射性標識されたアネキシンはまた、活性化された血小板の画像化(例えば、膿瘍、再狭窄、関節の炎症、大脳動脈
における血餅などの状態)において使用するために提唱された。
【0503】
米国特許第5,627,036号(本明細書中に参考として援用される)はま
た、一般的に、血小板のホスファチジルセリンの分析において使用するための「
アネキシン」結合リガンドに関する。動脈の血栓症、冠状動脈血栓症、および静
脈血栓症のような止血性の障害(hemostatic disorder)が
、通常、突発性であり、これが、予測および予防を困難にすることが米国特許第
5,627,036号において説明される。そのような止血性の障害を早期に認
識するために、活性化された血小板の検出が提案される。従って、検出可能に標
識されたアネキシン組成物が、止血性の障害において活性化された血小板を検出
するために開示される(米国特許第5,627,036号)。
【0504】
広範な診断用途が提唱されているが、WO95/19791;WO95/34
315;WO96/17618;またはWO98/04294のいずれも、固形
腫瘍の血管系の画像化に言及していない。米国特許第5,627,036号も何
らそのような示唆をしていない。それでもなお、開示された検出可能な放射性標
識されたアネキシン組成物それ自体が今や、本明細書中に開示された驚くべき発
見に照らして、この点に関して利用するために使用され得る。
【0505】
特に、米国特許第5,627,036号は(本明細書中に参考として援用され
る)、フルオレセインイソチオシアネート;ハロゲン、テクネチウム、鉛、水銀
、タリウムまたはインジウムのラジオアイソトープ;および常磁性造影剤、で検
出可能に標識されたアネキシンを開示する。
【0506】
WO95/19791(本明細書中に参考として援用される)は、キレートに
放射性核種を複合体化することにより放射性標識され得るN22キレートに結合
されたアネキシンの結合体を提供する。WO95/34315(本明細書中に参
考として援用される)は、N22キレートを有する一つ以上のガラクトース残基
を含むアネキシン結合体を提供する。このガラクトース部分は、環化から放射性
標識された結合体の急速な除去を促進し、非標的組織への放射線によるダメージ
およびバックグラウンド「ノイズ」を減少するといわれる。
【0507】
次いで、WO96/17618(本明細書中に参考として援用される)は、ガ
ラクトース残基およびN22キレートのクラスターを有するアネキシンを含む診
断用画像化剤で放射性標識するために適切なアネキシン結合体を提供する。これ
らは、前述の放射標識されたアネキシンガラクトース結合体よりも、より短い環
化半減期および標的部位に対するより高い結合親和性を有することが報告される

【0508】
なおさらに放射性標識されたアネキシン結合体は、WO98/04294(本
明細書中に参考として援用される)により提供される。これらの結合体は、哺乳
動物の肝臓レセプターにより認識されるヘキソース部分に結合された接近可能な
スルヒドリル(sulphydryl)基を提供するように改変されたアネキシ
ンを含む。エステラーゼ感受性結合を介して結合されるアネキシンマルチマー結
合体およびキレート化化合物がまた提供される。
【0509】
WO95/19791;WO95/34315;WO96/17618;およ
びWO98/04294の各々はまた、「コールドキット(cold kits
)」(すなわち、成分が、別々のバイアル中に提供される)中のパッケージングに受け入れられる放射性標識するためのアネキシン結合成分を提供するために、
特に本明細書中に参考として援用される。米国特許第5,627,036号は同
様に、本明細書中で使用に適用し得る検出可能に標識されたアネキシンを受ける
ように区分化されたキャリアを含むキットを提供する。
【0510】
インビトロ診断に使用するために適切であるが、本発明のアミノリン脂質検出
方法は、治療剤−標的化剤構築物で処置する前に、患者の腫瘍の血管系の画像を
形成するためにむしろ意図される。インビボ診断方法または画像化方法は、一般
的に、非侵襲的方法により検出可能であるマーカーに結合された抗アミノリン脂
質抗体または結合リガンドの診断的有効量を患者に投与する工程を含む。抗体−
マーカー結合体または結合リガンド−マーカー結合体を腫瘍血管系の管腔表面上
で発現されるアミノリン脂質に対して十分な時間局在化させ、そして結合させる
。次いで、患者は、検出可能なマーカーを同定するために検出デバイスに曝露さ
れ、それにより、腫瘍血管系の画像を形成する。
【0511】
核磁気スピン共鳴アイソトープ(nuclear magnetic spi
n−resonance isotope)(例えば、ガドリニウム)は、核磁
気画像化デバイスを用いて検出され;そして放射活性物質(例えば、テクネチウ
99mまたはインジウム111)は、γシンチレーションカメラまたは検出装置を用
いて検出される。米国特許第5,627,036号はまた、そのような検出可能
に標識された構築物の個体の血液への安全かつ効率的な導入に関するなおさらな
る手引き、および検出可能に標識されたアネキシンの分布を体外的に、例えば、
γシンチレーションカメラを用いて、または磁気共鳴測定により決定するための
手段を提供するために、本明細書中に参考として特に援用される。
【0512】
画像化の実施態様のための投与量は、一般的に、治療のためのものよりは少な
いが、これもまた患者の年齢および体重に依存する。患者あたり、約0.1、0
.5、または約1mgと約9または10mgの間、およびより好ましくは約1m
gと約5〜10mgの間の、抗アミノリン脂質抗体−結合体またはアミノリン脂
質結合リガンド−結合体の1回用量が、有用であると考えられる。米国特許第5
,627,036号;およびWO95/19791(各々、本明細書中に参考と
して援用される)はまた、検出可能に標識されたアネキシンの用量に関する教示
である。
【0513】
(J.組み合わせ治療)
本発明の治療剤−標的剤処置方法は、患者が示す特定の腫瘍、疾患または障害
の処置において、一般的に使用される他の任意の方法と組み合わせられ得る。特
定の治療的アプローチが、患者の状態に、それ自体で有害であることが公知でな
く、そして治療剤−標的剤の処置を有意に相殺しない限り、本発明とのその組み
合わせが意図される。
【0514】
固形腫瘍処置と関連して、本発明は、古典的なアプローチ(例えば、手術、放
射線治療、化学療法など)との組み合わせにおいて使用され得る。それゆえ、本
発明は、組み合わせ治療を提供し、そこでは、治療剤−標的剤構築物が、手術、
または放射線処置と、同時に、その前に、またはその後に使用される;または従
来の化学療法剤、放射線療法剤、または抗血管形成剤、あるいは標的化イムノト
キシンまたはコアグリガンドとともに、その前に、またはその後に、患者に投与
される。
【0515】
他の血管疾患のための組み合わせ治療がまた、意図される。そのような特定の例は、当該分野において現在実施されている他の処置との組み合わせにおいて、
治療剤−標的剤構築物で処置され得る良性の前立腺過形成(BPH)である。例
えば、BPH内に局在化されたマーカー(例えば、PSA)に対するイムノトキ
シンの標的化。
【0516】
1つ以上の薬剤が治療剤−標的剤治療との組み合わせにおいて使用される場合
、組み合わされた結果が、各処置が別々に実施されるときに観察される効果の相
加である要件はない。少なくとも相加的効果が、一般的に、望ましいが、単一の
治療の任意の1つを超える増加した抗腫瘍効果が有益である。また、組み合わせ
処置が相乗効果を示す特定の要件は存在しないが、これは、もちろん可能であり
、かつ有利である。
【0517】
組み合わせられた抗腫瘍治療を実施するために、動物内でそれらの組み合わさ
れた抗腫瘍作用を生じるに効果的な様式で別の抗癌剤と組み合わせて、治療剤−
標的剤構築物を動物に単に投与する。従って、その薬剤は、腫瘍血管系内にそれ
らを組み合わせて存在させ、かつ腫瘍環境においてそれらの組み合わされた作用
が生じるに、有効な量および有効な時間で提供される。この目的を達成するため
に、治療剤−標的剤構築物および抗癌剤が、同時に、単一の組成物または異なる
投与経路を用いる2つの異なる組成物のいずれかにおいて、動物に投与され得る

【0518】
あるいは、治療剤−標的剤処置は、抗癌剤処置の前に、または続いて、例えば
、数分から数週間にわたる間隔でなされ得る。特定の実施態様において、抗癌剤
および治療剤−標的剤構築物が動物に別々に適用される場合、有意な期間が、各
送達期間の間の失効しないこと(抗癌剤および治療剤−標的剤組成物が、なお腫
瘍に対する有利な組み合わされた効果を発揮し得るように)を保証する。そのよ
うな場合、腫瘍と両方の薬剤とを、互いの間約5分から約1週間で、より好まし
くは互いの間約12〜72時間で接触させることが意図され、約12〜48時間
のみの時間の遅延が最も好ましい。
【0519】
治療剤−標的剤構築物の前に与えられる抗癌剤の例は、腫瘍血管系内でアミノ
リン脂質の発現を誘導する薬剤である。例えば、局在化されたカルシウム産生を
刺激する、および/またはアポトーシスを誘導する薬剤は、一般的に、PS発現
の増加を生じ、次いでこれは、続いて抗PS治療剤−標的剤構築物を使用して標
的化され得る。治療剤−標的剤構築物は、まず、他の状況において腫瘍の破壊を
引き起こすために投与され、次いで、例えば、抗血管形成治療または壊死腫瘍細
胞の標的化に関する治療がなされる。
【0520】
癌の処置における物質の組み合わせの一般的な使用は、周知である。例えば、
米国特許第5、710、134号(本明細書中に参考として援用される)は、非
毒性物質または「プロドラッグ」との組み合わせにおいて腫瘍において壊死を誘
導する成分を開示する。壊死プロセスにより放出された酵素は、非毒性の「プロ
ドラッグ」を切断して、毒性の「薬物」にし、これは、腫瘍細胞死を導く。また
、米国特許第5,747,469号(本明細書中に参考として援用される)は、
p53およびDNA損傷因子(DNA damaging agent)をコー
ドするウイルスベクターの組み合わされた使用を開示する。任意のこのような類
似のアプローチが、本発明とともに使用され得る。
【0521】
いくつかの状況において、有意に処置期間を延長(それぞれの投与間に数日(
2、3、4、5、6または7)、数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)あるいはさらに数ヶ月(1、2、3、4、5、6、7または8)の経過)する
ことは、望ましくさえあり得る。これは、1つの処置が、実質的に腫瘍を破壊す
ることを意図し(例えば、治療剤−標的剤処置)、そして別の処置が、微小転移
巣または腫瘍の再増殖を予防することを意図する(例えば、抗血管形成剤の投与
)状況において、有利である。Hagemeierら(1986)のEN7/4
4抗体は、有効な抗血管形成剤とは考えられておらず、これは欠損の中でとりわ
け、表面に接近可能な抗原への結合を欠く。
【0522】
治療剤−標的剤構築物または抗癌剤のいずれかの一つ以上の投与が利用され得
ることがまた、想定される。治療剤−標的剤構築物および抗癌剤は、1日おきま
たは1週間おきに、交換可能に投与され得る;または一連の治療剤−標的剤処置
が行われ、次いで、一連の抗癌剤治療が行なわれ得る。いずれにせよ、組み合わ
せ治療を用いて腫瘍の後退を達成するために、必要とされる全ては、投与時間に
かかわらず、抗腫瘍効果を発揮するに有効な組み合わされた量で両方の薬剤を送
達することである。
【0523】
手術に関して、任意の外科的介入が、本発明との組み合わせにおいて実施され
得る。放射線療法と関連して、腫瘍細胞内で局所的にDNA損傷を誘導する任意
の機構(例えば、γ照射、X線、UV照射、マイクロ波、およびさらに電子発光
(electronic emission)など)が意図される。腫瘍細胞へ
の指向されたラジオアイソトープの送達がまた意図され、そしてこれは、標的化
抗体または他の標的化手段との関連において使用され得る。
【0524】
サイトカイン治療はまた、組み合わされた治療レジメの有効なパートナーであ
ることが実証された。種々のサイトカインは、そのような組み合わせアプローチ
において使用され得る。サイトカインの例には、以下が挙げられる:IL−1α
、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7
、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、T
GF−β、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、TNFα、TNFβ、LA
F、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP、LIF、OSM、T
MF、PDGF、IFN−α、IFN−β、IFN−γ。サイトカインは、臨床
的な指標(例えば、患者の状態、およびサイトカインの相対的な毒性)と一致す
る標準的なレジメに従って投与される。ウテログロビン(uteroglobi
n)をまた使用して、転移を予防または阻害し得る(米国特許第5,696,0
92号;本明細書中に参考として援用される)。
【0525】
(J1.化学療法剤)
特定の実施態様において、本発明の治療剤−標的剤構築物は、化学療法剤と組
み合わせて投与され得る。化学療法薬は、増殖する腫瘍細胞を殺傷し、処置全体
によって作製される壊死領域を増強し得る。従って、薬物は、治療剤−標的剤構
築物の血栓作用を増強し得る。
【0526】
腫瘍管における血栓の形成を誘導することによって、治療剤−標的剤構築物は
、腫瘍内の薬物の保持または捕獲によって化学療法剤の作用を増強し得る。従っ
て、化学療法剤は、腫瘍内に保持される一方、薬物の残物は、身体から一掃され
る。従って、腫瘍細胞は、より長期間の間、より高濃度の薬物に曝露される。こ
の腫瘍内の薬物の捕捉は、薬物の用量を減少を可能にさせ、より効果的に安全な
処置をさせる。
【0527】
潜在的な機構には無関係に、種々の化学療法剤が、本明細書中に開示される組合せ処置方法において使用され得る。例示として意図される化学療法剤には、例
えば、タモキシフェン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポ
シド(VP−16)、アドリアマイシン、5−フルオロウラシル(5FU)、カ
ンプトテシン、アクチノマイシン−D、マイトマイシン C、シスプラチン(C
DDP)、コンブレタスタチン(combretastatin)ならびにそれ
らの誘導体およびプロドラッグが挙げられる。
【0528】
当業者に理解されるように、適切な用量の化学療法剤は、一般に、臨床治療に
おいてすでに利用されてきており、ここで、この化学療法剤は、単独で、または
他の化学療法剤と組み合わせて投与される。例示のみのために、シスプラチンの
ような薬剤、および他のDNAアルキル化剤が使用され得る。シスプラチンは、
癌を処置するために広範に使用され得、臨床適用において使用される有効な用量
は、総計3つの経路について3週間毎に5日間20mg/m2である。シスプラ
チンは、経口で吸収されず、従って、注射を介して、静脈内で、皮下で、腫瘍内
で、または腹腔内で送達されねばならない。
【0529】
さらに有用な薬剤は、DNA複製、有糸分裂、および染色体分離に干渉する化
合物を含む。このような化学療法剤化合物には、アドリアマイシン(ドキソルビ
シンとしてもまた公知である)、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン
などが挙げられる。新形成の処置のための臨床設定において広範に使用されるの
で、これらの化合物は、静脈内では、アドリアマイシンについて21日間隔で2
5〜75mg/m2からエトポシドについては35〜50mg/m2までの範囲の
用量で、静脈内にボーラス注射を通じて、または経口的に静脈内用量の2倍で、
投与される。
【0530】
ポリヌクレオチド前駆体の合成および忠実度を崩壊させる薬剤もまた使用され
得る。特に有用なものは、広範な試験を受け、そして容易に利用可能な薬剤であ
る。そのようなものとして、5−フルオロウラシル(5−FU)のような薬剤は
,新形成組織によって優先的に使用され、新形成細胞に対する標的化のためにこ
の薬剤を特に有用にさせる。非常に毒性の5−FUは、広範囲のキャリア(局所
を含む)において適用可能であるが、3〜15mg/kg/日の範囲の用量を有
する静脈内投与が一般に使用される。
【0531】
組合せ治療に関して有用である例示的な化学療法剤は、表Cにおいて列挙され
る。そこで列挙される各薬剤は、例示的であり、そして限定することを意味しな
い。当業者は、「Remington’s Pharmaceutical S
ciences」第15版、第33章(特に624頁〜652頁)に指向される
。投薬量におけるいくつかの改変は、必要に応じて、処置されるべき被験体の状
態に依存して生じる。投与に責任のある医師は、個々の被験体について適切な用
量を決定し得る。
【0532】
【表C】



(J2.抗新脈管形成)
用語「新脈管形成」は、一般に、組織または器官への新たな血管の生成をいう
。正常な生理学的条件下では、ヒトまたは動物は、非常に特異的な制限された状
況においてのみ抗新脈管形成を受ける。例えば、新脈管形成は、通常、創傷治癒
、胎児および胚発生、ならびに黄体、子宮内膜および胎盤の形成において観察さ
れる。制御されていない(持続性のおよび/または調節されていない)新脈管形
成は、種々の疾患状態に関連し、ならびに腫瘍増殖および転移の間に生じる。
【0533】
制御された新脈管形成および制御されていない新脈管形成はともに、類似の様
式において進行すると考えられている。内皮細胞および周皮細胞(基底膜によっ
て囲まれる)は、毛細血管を形成する。新脈管形成は、内皮細胞および白血球に
より放出される酵素によって基底膜の侵食で開始する。次いで、内皮細胞(これ
は、血管の内腔に沿う)は、基底膜を通って突出する。新脈管形成刺激因子は、
内皮細胞を、腐食された基底膜を通じて遊走するように誘導する。遊走する細胞
は、親血管から「新芽」を形成し、ここで、この内皮細胞は有糸分裂を受け、そ
して増殖する。内皮新芽は、互いに合わせられて、新たな血管を作製する毛細血
管わなを形成する。
【0534】
持続性の調節されていない新脈管形成は、腫瘍発生および転移の間に生じるの
で、本発明の処置方法は、任意の1つ以上の「抗新脈管形成」治療と合わせて使
用され得る。組合せ治療に関して有用である例示的な抗新脈管形成剤は、表Dに
列挙される。ここで列挙される各薬剤は、例示であって、限定することを意味し
ない。
【0535】
【表D】


新脈管形成を阻害することにおいて使用するための特定の好ましい成分は、「
アンギオスタチン」と命名されたタンパク質である。この成分は、米国特許第5
,776,704号;同第5,639,725号および同第5,733,876
号において開示されている。これらの各々は、本明細書中に参考として援用され
る。アンギオスタチンは、還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって決定さ
れるように、約38kDa〜約45kDaの分子量を有するタンパク質であり、
これは、プラスミノーゲン分子のほぼクリングル領域1〜4を含む。アンギオス
タチンは、一般に、インタクトなマウスプラスミノーゲン分子のアミノ酸番号9
8から開始するマウスプラスミノーゲンのフラグメントと実質的に類似のアミノ
酸配列を有する。
【0536】
アンギオスタチンのアミノ酸配列は、種の間でわずかに変化する。例えば、ヒ
トアンギオスタチンにおいて、このアミノ酸配列は、上記のマウスプラスミノー
ゲンフラグメントの配列と実質的に類似であるが、活性なヒトアンギオスタチン
配列は、インタクトなヒトプラスミノーゲンアミノ酸配列のアミノ酸番号97ま
たは99のいずれかで開始し得る。さらに、ヒトプラスミノーゲンは、類似の抗
脈管形成活性を有するので、マウス腫瘍モデルにおいて示されるように使用され
得る。
【0537】
特定の抗脈管形成治療は、腫瘍後退を生じることがすでに示されており、そし
てアンギオスタチンは、その1つの薬剤である。エンドスタチン(コラーゲンX
VIIIの20kDa COOH−末端フラグメント)、細菌性ポリサッカリド
CM101、および抗体LM609もまた、アンギオスタチン(angiost
atic)活性を有する。しかし、これらの他の特性を考慮して、これらは、新
脈管形成を阻害するだけでなくほとんど規定されていない機構を通じて腫瘍管の
破壊を開始するので、これらは抗血管治療または腫瘍管毒素といわれる。本発明
のこれらの組合せは、明白に想到される。
【0538】
アンギオスタチンおよびエンドスタチンは、マウスにおいて、腫瘍増殖を阻害
するだけでなく腫瘍後退もまたもたらす能力が実証された最初の新脈管形成イン
ヒビターであるので、これらは熱心な研究の焦点となる。エラスターゼ、マクロ
ファージメタロエラスターゼ(MME)、マトリリシン(matrilysin
)(MMP−7)、および92kDaゼラチナーゼB/IV型コラゲナーゼ(M
MP−9)を含む、プラスミノーゲンからアンギオスタチンを生成することが示
される複数のプロテアーゼが存在する。
【0539】
MMEは、腫瘍においてプラスミノーゲンからアンギオスタチンを生成し得、
そして顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)は、アンギオスタ
チンの生成を誘導するマクロファージによってMMEの発現をアップレギュレー
トする。アンギオスタチン生成におけるMMEの役割は、MMEが患者由来の肝
細胞癌の臨床サンプルにおいて実際に発現されるという知見によって支持される
。アンギオスタチンを生成し得ると考えられる別のプロテアーゼは、ストロメラ
イシン−1(MMP−3)である。MMP−3は、インビトロにおいてプラスミ
ノーゲンからアンギオスタチン様フラグメントを生成することが示されている。
【0540】
アンギオスタチンについての作用機構は現在のところ明らかではなく、これが
、プログラム化された細胞死または有糸分裂の阻止を受けるように内皮細胞を誘
導する内皮細胞上の同定されていない細胞表面レセプターに結合すると推定され
ている。エンドスタチンは、さらにより強力な抗新脈管形成および抗腫瘍剤であ
るようであるが、その生物学がほとんど明らかではない。エンドスタチンは、マ
ウスにおける多くの腫瘍モデルにおいて後退を生じることにおいて有効である。
腫瘍は、エンドスタチンに対する耐性を発生させず、そして複数のサイクルの処
置後に、腫瘍は、休眠状態に進入し、この間、これらは容量において増加しない
。この休眠状態において、アポトーシスを受ける腫瘍細胞の割合は増加し、そし
て本質的に同じサイズをとどめる集団を生じた。エンドスタチンはまた、その効
果を媒介する、同定されていない内皮細胞表面レセプターを結合すると考えられ
ている。
【0541】
CM101は、細菌性ポリサッカリドであり、これは、腫瘍において新血管炎
症を誘導する能力において十分に特徴付けられている。CM101は、補体系の
活性化を刺激する脱分化した内皮上で発現されるレセプターに結合し、そして架
橋する。それはまた、腫瘍を選択的に標的するサイトカイン駆動化炎症応答を開
始する。これは、発現VEGFおよびそのレセプターをダウンレギュレートする
固有の抗病理新脈管形成剤である。CM101は、現在、抗癌剤として臨床試験
中であり、そしてこれと組み合わせて使用され得る。
【0542】
トロンボスポンジン(thrombospondin)(TSP−1)および
血小板因子4(PF4)もまた、本発明と合わせて使用され得る。これらはとも
に、へパリンと会合する新脈管形成インヒビターであり、そしてまた血小板α−
顆粒において見出される。TSP−1は、細胞外マトリクスの構成成分である、
大きな450kDaのマルチドメイン糖タンパク質である。TSP−1は、HS
PG、フィブロネクチン、ラミニン、および種々の型のコラーゲンを含む、細胞
外マトリクスにおいて見出される多くのプロテオグリカン分子に結合する。TS
P−1は、インビトロにおいて内皮細胞遊走および増殖、ならびにインビボにお
いて新脈管形成を阻害する。TSP−1はまた、形質転換された内皮細胞の悪性
表現型および腫瘍形成を抑制し得る。腫瘍抑制遺伝子p53は、TSP−1の発
現を直接的に調節することが示されており、その結果、p53活性の損失は、T
SP−1生成における劇的な減少、および腫瘍が開始する新脈管形成を付随する増大を生じる。
【0543】
PF4は、ケモカインのCXC ELRファミリーのメンバーである70aa
タンパク質あり、これは、インビトロにおける内皮細胞の増殖およびインビボに
おける新脈管形成を強力に阻害し得る。腫瘍内に投与された、またはアデノウイ
ルスベクターによって送達されたPF4は、腫瘍増殖の阻害を生じ得る。
【0544】
インターフェロンおよびメタロプロテイナーゼインヒビターは、本発明と併用
され得る、2つの他のクラスの天然に存在する脈管形成インヒビターである。イ
ンターフェロンの抗内皮活性は、1980年代初期から公知であるが、阻害の機
構は、未だ明確でない。これらが内皮細胞の移動を阻害し得ること、およびこれ
らが、腫瘍細胞による新脈管形成プロモーターの産生を阻害する能力によってお
それく媒介される、インビボでのいくつかの抗新脈管形成活性を有することは公
知である。血管腫瘍は特に、インターフェロンに感受性であり、例えば、増殖中
の血管腫はIFNαで首尾よく処置され得る。
【0545】
メタロプロテイナーゼの組織インヒビター(TIMP)は、天然に存在するマ
トリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のインヒビターのファミリーであり、
これもまた、新脈管形成を阻害し得、そして本発明との併用処置プロトコルにお
いて使用され得る。MMPは、新脈管形成プロセスにおいて重要な役割を果たす
。なぜなら、これらは、血管網を拡大または再構築する場合、内皮細胞および線
維芽細胞が移動するマトリックスを分解するからである。実際、MMPの1つの
メンバーであるMMP−2は、おそらくこの目的のためにインテグリンαvβ3
を介して活性化された内皮と会合することが示されている。この相互作用がMM
P−2のフラグメントによって崩壊されられる場合、次いで新脈管形成はダウン
レギュレートされ、そして腫瘍増殖において阻害される。
【0546】
新脈管形成を阻害する多くの薬理学的物質が存在し、これらの任意の1以上が
本発明と併用して使用され得る。これらの物質としては、AGM−1470/T
NP−470、サリドマイド、およびカルボキシアミドトリアゾール(CAI)
が挙げられる。フマギリンは、1990年に新脈管形成の強力なインヒビターで
あることが見出されており、そしてそれ以来、フマギリンの合成アナログである
、AGM−1470およびTNP−470が開発されてきた。これら両方の薬物
は、インビトロでの内皮細胞増殖およびインビボでの新脈管形成を阻害する。T
NP−470は、ヒトの臨床試験で広範に研究され、そのデータは長期の投与が
最適であることを示唆する。
【0547】
サリドマイドは、元来鎮静薬として使用されていたが、強力な催奇形物質であ
ることが見出され、そして中止された。1994年に、サリドマイドは新脈管形
成インヒビターであることが見出された。サリドマイドは現在、抗癌剤および血
管性の眼疾患の処置として臨床試験されている。
【0548】
CAIは新脈管形成の低分子量の合成インヒビターであり、これは、アクチン
の再組織化、内皮細胞の移動およびコラーゲンIV上での延展を妨げる、カルシ
ウムチャネルブロッカーとして作用する。CAIは生理学的に達成可能な濃度で
新生血管形成を阻害し、そして癌患者によって経口的に十分許容される。CAI
を用いた臨床試験によって、処置前に進行性の疾患を有する癌患者の49%にお
いて疾患の安定化を生じた。
【0549】
ヘパリンまたはヘパリンフラグメントの存在下のコルチゾンは、内皮細胞増殖をブロックすることによってマウスにおいて腫瘍増殖を阻害することが示された
。ステロイドおよびヘパリンの相加的な阻害効果に関与する機構は明らかでない
が、ヘパリンが内皮細胞によるステロイドの取り込みを増加させ得ると考えられ
る。この混合物は、新しく形成された毛細血管の下の基底膜の溶解を増加させる
ことが示されており、そしてこれはまた、相加的な血管抑制(angiosta
tic)効果についての可能性のある説明である。ヘパリン−コルチゾール結合
体はまた、インビボでの強力な血管抑制効果活性および抗腫瘍効果活性を有する

【0550】
さらに特定の新脈管形成インヒビター(抗侵襲性因子(Anti−Invas
ive Factor)、レチノイン酸およびパクリタキセル(米国特許第5,
716,981号;参考として本明細書中に援用される);AGM−1470(
Ingberら、1990;参考として本明細書中に援用される);サメ軟骨抽
出物(米国特許第5,618,925号;参考として本明細書中に援用される)
;アニオン性ポリアミドオリゴマーまたはアニオン性ポリ尿素オリゴマー(米国
特許第5,593,664号;参考として本明細書中に援用される);オキシン
ドール(oxindole)誘導体(米国特許第5,576,330号;参考と
して本明細書中に援用される));エストラジオール誘導体(米国特許第5,5
04,074号;参考として本明細書中に援用される);およびチアゾールピリ
ミジン誘導体(米国特許第5,599,813号;参考として本明細書中に援用
される)を含むが、これらに限定されない)はまた、本発明の併用使用のための
、抗新脈管形成組成物としての使用が意図される。
【0551】
αvβ3インテグリンのアンタゴニストを含む組成物はまた、本発明と併用して
新脈管形成を阻害するために使用され得る。米国特許第5,766,591号(
参考として本明細書中に援用される)に開示されるように、RGD含有ポリペプ
チドおよびその塩(環状ポリペプチドを含む)は、αvβ3インテグリンアンタゴ
ニストの適切な例である。
【0552】
αvβ3インテグリンに対する抗体LM609もまた、腫瘍後退を誘導する。イ
ンテグリンαvβ3アンタゴニスト(例えば、LM609)は、新脈管形成性内皮
細胞のアポトーシスを誘導して、静止状態の血管を影響を受けないままにする。
LM609または他のαvβ3アンタゴニストはまた、αvβ3とMMP−2(MM
P−2は、内皮細胞および線維芽細胞の移動に重要な役割を果たすと考えられる
タンパク質分解性の酵素である)との相互作用を阻害することによって作用し得
る。
【0553】
この場合の新脈管形成性内皮のアポトーシスは、残りの血管網に対するカスケ
ード効果を有し得る。腫瘍の拡大しようとするシグナルに対して腫瘍血管網が完
全に応答するのを阻害することは、実際には、その血管網の部分的または完全な
崩壊を開始して、腫瘍細胞の死および腫瘍容積の減少を生じる。エンドスタチン
およびアンギオスタチンが類似の様式で機能することが可能である。LM609
が静止状態の血管に影響を与えないが腫瘍後退を引き起こし得るという事実は、
腫瘍中の全ての血管が、抗腫瘍効果を得るために処置の標的とされる必要がある
わけではないということを強く示唆する。
【0554】
標的化されなていないアンギオポエチン(好ましくは、アンギオポエチン−2
)は、本発明と併用しても使用され得る。標的化される送達の文脈において上記
のように、種々の調節因子の新脈管形成効果は、アンギオポエチン−2と関係す
るオートクラインループを含む。従って、アンギオポエチン−2、アンギオポエチン−1、アンギオポエチン−3およびアンギオポエチン−4の使用が、これに
関連して意図される。Tie2レセプターを介するシグナル伝達を変更すること
に基づく他の治療的介入方法もまた、本発明併用して(例えば、Tie2活性化
をブロックし得る可溶性Tie2レセプターを用いて)用いられ得る(Linら
、1998)。組換えアデノウイルス遺伝子治療を用いるこのような構築物の送
達は、癌を処置する際および転移を低減させる際に有効であることが示されてい
る(Linら、1998)。
【0555】
(J3.アポトーシス誘導剤)
治療剤標的化剤処置はまた、腫瘍内の任意の細胞(腫瘍細胞および腫瘍血管内
皮細胞を含む)においてアポトーシスを誘導する処置方法と併用され得る。多く
の抗癌剤は、これらの作用機構の一部として、アポトーシス誘導効果を有するが
、特定の薬剤が、以下に記載するような主要な機構としてこの機構と共に発見、
設計または選択されている。
【0556】
アポトーシス、すなわちプログラムされた細胞死を阻害する多くの癌遺伝子が
記載されている。この範疇における例示的な癌遺伝子としては、bcr−abl
、bcl−2(bcl−1、サイクリンD1と異なる;GenBank登録番号
M14745,X06487;米国特許第5,650,491号;および同第5
,539,094号;各々は、参考として本明細書中に援用される)およびBc
l−x1、Mcl−1、Bak、A1、A20を含むファミリーのメンバーが挙
げられるがこれらに限定されない。bcl−2の過剰発現は、T細胞リンパ腫に
おいて最初に発見された。bcl−2は、Bax(アポトーシス経路中のタンパ
ク質)に結合し、そしてBaxを不活性化することによって癌遺伝子として機能
する。bcl−2機能の阻害は、Baxの不活性化を妨げ、そしてアポトーシス
経路を進行させる。従って、このクラスの癌遺伝子の阻害(例えば、アンチセン
スヌクレオチド配列を使用する)は、アポトーシスの増強が所望される局面にお
いて、本発明での使用が意図される(米国特許第5,650,491号;同第5
,539,094号および同第5,583,034号;各々は、参考として本明
細書中に援用される)。
【0557】
多くの形態の癌において、腫瘍抑制遺伝子(例えば、p53)における変異が
報告されている。p53の不活性化は、アポトーシスの促進の不全を生じる。こ
の不全によって、癌細胞は、細胞死へと運命付けられるよりむしろ、腫瘍形成を
進行させる。従って、腫瘍抑制因子の提供もまた、細胞死を刺激するために本発
明での使用が意図される。例示的な腫瘍抑制因子としては、p53、網膜芽細胞
腫遺伝子(Rb)、ウィルムス腫瘍(WT1)、baxα、インターロイキン−
1b−変換酵素およびファミリー、MEN−1遺伝子、神経芽細胞腫I型(NF
1)、cdkインヒビターp16、結腸直腸癌遺伝子(DCC)、家族性腺腫症
ポリポーシス遺伝子(FAP)、多発性腫瘍抑制遺伝子(MTS−1)、BRC
A1ならびにBRCA2が挙げられるがこれらに限定されない。
【0558】
使用のために好ましいのは、p53(米国特許第5,747,469号;同第
5,677,178号;および同第5,756,455号;各々は、参考として
本明細書中に援用される)、網膜芽細胞腫、BRCA1(米国特許第5,750
,400号;同第5,654,155号;および同第5,710,001号;同
第5,756,294号;同第5,709,999号;同第5,693,473
号;同第5,753,441号;同第5,622,829号;および同第5,7
47,282号;各々は、参考として本明細書中に援用される)、MEN−1(
GenBank登録番号U93236号)およびアデノウイルスE1A(米国特許第5,776,743号;参考として本明細書中に援用される)の遺伝子であ
る。
【0559】
使用され得る他の組成物としては、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガン
ド(TRAILと称される)をコードする遺伝子、およびTRAILポリペプチ
ド(米国特許第5,763,223号;参考として本明細書中に援用される);
米国特許第5,605,826号(参考として本明細書中に援用される)24k
Dアポトーシス関連プロテアーゼ;Fas関連因子1、FAF1(米国特許第5
,750,653号;参考として本明細書中に援用される)が挙げられる。イン
ターロイキン−1β−変換酵素およびファミリーのメンバー(これらもまた、ア
ポトーシスを刺激することが報告されている)の提供もまた、本発明のこれらの
局面における使用のために意図される。
【0560】
以下のような化合物もまた使用され得る;カルボスチリル(carbosty
ril)誘導体(米国特許第5,672,603号;および同第5,464,8
33号;各々は、参考として本明細書中に援用される);分枝状アポトーシス原
性(apogenic)ペプチド(米国特許第5,591,717号;参考とし
て本明細書中に援用される);ホスホチロシンインヒビターおよび非加水分解性
ホスホチロシンアナログ(米国特許第5,565,491号;および同第5,6
93,627号;各々は、参考として本明細書中に援用される);RXRレチノ
イドレセプターのアゴニスト(米国特許第5,399,586号;参考として本
明細書中に援用される);さらには、抗酸化剤(米国特許第5,571,523
号;参考として本明細書中に援用される)。チロシンキナーゼインヒビター(例
えば、ゲニステイン)もまた、細胞表面レセプターを標的化するリガンドに連結
され得る(米国特許第5,587,459号;参考として本明細書中に援用され
る)。
【0561】
(J4.イムノトキシンおよびコアグリガンド)
本発明の抗アミノリン脂質結合体に基づく処置方法は、他のイムノトキシンお
よび/またはコアグリガンドと併用して使用され得、ここで、その標的化をする
部分(例えば、抗体またはリガンド)は、腫瘍細胞、腫瘍脈管構造または腫瘍支
質の比較的特異的なマーカーに指向される。上記に議論した化学療法剤および抗
新脈管形成剤に共通して、他の標的化された毒素または凝固剤の併用した使用は
、一般に、相加的であり、相加的よりも顕著に大きく、またはさらには相乗的な
、抗腫瘍の結果を生じる。
【0562】
一般的に言えば、本発明のこれらのさらなる局面での使用のための抗体または
リガンドは、好ましくは、接近可能な腫瘍抗原を認識し、これらは、優先的に、
または具体的には腫瘍部位で発現される。抗体またはリガンドはまた、好ましく
は高い親和性の特性を示し;そして抗体、リガンド、またはそれらの結合体は、
生存を持続させる正常細胞(例えば、心臓、腎臓、脳、肝臓、骨髄、結腸、乳房
、前立腺、甲状腺、胆嚢、肺、副腎、筋肉、神経線維、膵臓、皮膚、またはヒト
体内の他の生存を維持させる器官もしくは組織)から選択される1以上の組織に
対するインビボでの有意な副作用を発揮しない。本明細書中で使用される場合、
用語「有意な副作用」は、インビボで投与される場合に、無視可能なまたは臨床
的に管理し得る副作用(例えば、化学療法の間に通常遭遇する副作用)のみを生
じる、抗体、リガンドまたは抗体結合体をいう。
【0563】
本発明と併用して使用されるこれらの第二の抗癌剤の少なくとも1つの結合領
域は、腫瘍領域への毒素または凝固因子を送達し得る(すなわち、腫瘍部位内へ局在し得る)成分である。このような標的化する薬剤は、腫瘍細胞、腫瘍脈管構
造または腫瘍支質の成分に対して指向され得る。この標的化する薬剤は、一般に
、腫瘍細胞、腫瘍脈管構造または腫瘍支質の、表面に発現されるか、表面に接近
可能か、または表面に局在される成分に結合する。しかし、一旦、腫瘍脈管構造
および腫瘍細胞の破壊が始まると、内部成分は放出され、実質的に任意の腫瘍成
分のさらなる標的化を可能にする。
【0564】
多くの腫瘍細胞抗原が記載されており、そのいずれの抗原も、本発明の併用さ
れる局面と関連して標的として使用され得る。さらなるイムノトキシンおよびコ
アグリガンドの標的化のための適切な腫瘍細胞抗原は、抗体B3(米国特許第5
,242,813号;参考として本明細書中に援用される;ATCC HB 1
0573);KSI/4(米国特許第4,975,369号;参考として本明細
書中に援用される;ベクターNRRL B−18356および/またはNRRL
B−18357を含む細胞から得られる);260F9(ATCC HB 8
488);およびD612(米国特許第5,183,756号;参考として本明
細書中に援用される;ATCC HB 9796)によって認識される抗原を含
む。当業者は、抗腫瘍細胞抗体を産生する他の適切な細胞株を同定するために、
任意の後年のATCCカタログもまた調べ得る。
【0565】
腫瘍脈管構造標的化のために、標的化する抗体またはリガンドは、しばしば、
血管形成された腫瘍の腫瘍内血管によって発現されるか、それに吸着されるか、
その上に誘導されるか、またはさもなければそこに局在されるマーカーに結合す
る。適切に発現される標的分子としては、例えば、エンドグリン、E−セレクチ
ン、P−セレクチン、VCAM−1、ICAM−1、PSMA(Liuら、19
97)、TIE、LAM−1に反応性のリガンド、VEGF/VPFレセプター
、FGFレセプター、αvβ3インテグリン、プレイオトロピン(pleiotr
opin)、およびエンドシアリン(endosialin)が挙げられる。吸
着される適切な標的は、例えば、VEGF、FGF、TGFβ、HGF、PF4
、PDGF、TIMP、TIEに結合するリガンド、および腫瘍関連フィブロネ
クチンアイソフォームのような標的である。例えば、以下のような、サイトカイ
ンおよび凝固剤によって自然におよび人工的に誘導され得る抗原もまた標的化さ
れ得る;ELAM−1、VCAM−1、ICAM−1、LAM−1に反応性のリ
ガンド、エンドグリン、さらにMHCクラスII(例えば、IL−1、TNF−
α、IFN−γ、IL−4および/またはTNF−βによって、サイトカイン誘
導性);ならびにE−セレクチン、P−セレクチン、PDGFおよびICAM−
1(例えば、トロンビン、第IX/IXa因子、第X/Xa因子および/または
プラスミンによって、凝固剤誘導性)。
【0566】
以下の特許および特許出願は、腫瘍脈管構造の発現された、吸着された、誘導
された、または局在されたマーカーに対して指向されるイムノトキシンの調製お
よび使用に関する本発明の教示をなおさらに補完する目的のために、参考として
本明細書中に特に援用される:米国特許第5,855,866号;同第5,77
6,427号;同第5,863,538号;同第5,660,827号;同第5
,855,866号および同第5,877,289号;ならびに米国特許出願第
07/846,349号;同第08/295,868号(米国特許第5,
号;登録料支払済);同第08/350,212号(米国特許第5,
号;登録料支払済);同第08/457,869号(特許許可通知
受理済);同第08/482,369号(米国特許第5, 号;登
録料支払済);同第08/487,427号(米国特許第5,
;登録料支払済);および同第08/479,727号(米国特許第5, 号;登録料支払済)。
【0567】
適切な腫瘍支質標的としては、腫瘍細胞外マトリクスもしくは支質の成分、ま
たはその中に結合される以下を含む成分が挙げられる;基底膜マーカー、IV型
コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、プロテオグリカン、フィブロネクチン、
活性化血小板、LIBSおよびテネイシン。このような使用に好ましい標的は、
RIBSである。
【0568】
以下の特許および特許出願は、腫瘍支質を標的する薬剤の調製および使用に関
する本発明の教示をなおさらに補完する目的のために、参考として本明細書中に
特に援用される:米国特許第5,877,289号ならびに米国特許出願第08
/482,369号(米国特許第5, 号;登録料支払済);同第
08/487,427号(米国特許第5, 号;登録料支払済);
および同第08/479,727号(米国特許第5, 号;登録料
支払済)。
【0569】
第2の抗癌治療剤は、抗アミノリン脂質イムノトキシンにおける使用について
本明細書中に記載される任意の細胞傷害性薬剤またはさもなければ抗細胞性薬剤
に作動可能に結合され得る。しかし、適切な抗細胞性薬剤はまた、放射性同位体
を含む。リシンA鎖および脱グリコシル化A鎖(dgA)またはさらにゲロニン
(gelonin)のような毒素部分が好ましい。任意の1以上のアンギオポエ
チン、またはその融合物はまた、併用療法のための第2の免疫結合体(immu
noconjugate)の一部として用いられ得る。
【0570】
本発明での任意の使用のための第2の標的化された因子は、凝固を促進し得る
標的化された成分(すなわち、コアグリガンド)を含み得る。ここで、この標的
化する抗体またはリガンドは、直接的または間接的に(例えば、別の抗体を介し
て)、直接的または間接的に凝固を刺激する任意の因子(抗アミノリン脂質コア
グリガンドにおける使用について本明細書中に記載された因子のいずれかを含む
)に連結され得る。このような使用のために好ましい凝固因子は、組織因子(T
F)およびTF誘導体(例えば、短縮型TF(tTF)、二量体および多量体T
F、ならびに第VII因子活性化能が欠損した変異TF)である。
【0571】
癌の処置における併用使用のためのイムノトキシンおよびコアグリガンドの有
効用量は、1週間あたり約1回の頻度でIV経路を介して投与する場合、約0.
1mg/kgと約2mg/kgとの間、そして好ましくは約0.8mg/kgと
約1.2mg/kgとの間である。用量決定におけるいくらかの変動が、処置さ
れる被験体の状態に依存して必ず生じる。投与の責任を負う医師は、個々の被験
体について適切な用量を決定する。
【0572】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を実証するために含まれる。以下
の実施例に開示される技術は、本発明者らによって、本発明の実施において良好
に機能することが見出された技術を表し、従って、本発明の実施の好ましい態様
を構成するとみなされ得ることが当業者によって認識されるべきである。しかし
、当業者は、本開示を考慮して、多くの変更が、開示された特定の実施態様にお
いて行われ得、そして本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様もしく
は類似の結果が依然として入手され得ることを認識すべきである。
【実施例】
【0573】
(実施例I:腫瘍血管および正常血管でのVCAM−1発現)
(A.材料および方法)
(1.材料)
Na125Iを、Amersham(Arlington Heights,I
L)から入手した。ダルベッコ改変イーグル組織培養培地(DMEM)ならびに
Ca2+およびMg2+を含有するダルベッコPBSを、Gibco(Grand
Island,NY)から入手した。ウシ胎仔血清を、Hyclone(Log
an,Utah)から入手した。O−フェニレンジアミン、過酸化水素、3−ア
ミノプロピルトリエトキシ−シランおよび無菌のエンドトキシン非含有生理食塩
水(100mlの水中0.9% NaCl)は、Sigma(St.Louis
,MO)からであった。SMPTは、Pierce(Rockford,IL)
からであった。第VII因子(74IU/ml)、第X因子および第IX因子(
17IU/ml)を含有するProplex Tを、Baxter Diagn
ostics,Inc.(McGraw Park,IL)から購入した。第X
a因子タンパク質分解活性を測定するための色素形成性基質であるS−2765
を、Chromogenix(Franklin,OH)から入手した。精製し
た第Xa因子を、American Diagnostica(Greenwi
ch,CT)から購入した。96ウェル平底マイクロタイタープレートおよび4
8ウェルマイクロタイタープレート(96 and 48 flat bott
om microtiter plates)を、Falcon(Becton
Dickinson and Co.,Lincoln Park,NJ)か
ら入手した。Sepharose−Protein GビーズおよびS200
Superdexを、Pharmacia(Piscataway,NJ)から
購入した。組換えマウスIL−1αを、R&D Systems(Minnea
polis,MN)から購入した。
【0574】
(2.抗体)
マウスVCAM−1に対するラットIgG1抗体を分泌する、MK2.7ハイ
ブリドーマを、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC,Rock
ville,MD;ATCC CRL 1909)から入手した。この抗VCA
M−1抗体の特徴付けは、Miyakeら(1991、本明細書中に参考として
援用される)によって報告された。マウスウイルスタンパク質p30 gagに
対するラットIgG1抗体を分泌するR187ハイブリドーマもまた、ATCC
から入手し、そして抗VCAM−1抗体についてアイソタイプが適合したコント
ロールとして用いた。
【0575】
ヒト組織因子に対するマウスモノクローナル抗体10H10を、Morris
seyら(1988)および米国出願第08/482,369号(各々本明細書
中に参考として援用される)に記載される通りに調製した。
【0576】
汎抗マウス血管内皮細胞抗体であるMECA 32を、Leppinkら(1
989、本明細書中に参考として援用される)によって記載される通りに調製し
た。マウスエンドグリンと反応性のMJ 7/18ラットIgGを、Geおよび
Butcher(1994、本明細書中に参考として援用される)によって記載
される通りに調製した。MECA 32抗体およびMJ 7/18抗体は、免疫
組織化学的研究のためのポジティブコントロールとして役立った。
【0577】
西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合体化したウサギ抗ラット二次抗
体およびラット抗マウス二次抗体を、Dako(Carpinteria,CA
)から購入した。
【0578】
(3.抗体精製)
抗VCAM−1ハイブリドーマMK2.7および無関係なコントロールハイブ
リドーマR187を、バイオリアクター(Heraeus,Inc.,Germ
any)中で12日間増殖させた。上清を遠心分離し、0.22μmフィルター
を通して濾過し、そしてSepharose−Protein Gカラムにロー
ディングした。IgGを、クエン酸緩衝液(pH3.5)を用いて溶出させ、P
BS中で透析し、そしてその後、同じ緩衝液中で4℃にて保存した。純度を、S
DS−PAGEによって見積もり、そしてその純度は慣用的には90%を超えて
いた。精製した抗VCAM−1抗体の結合能を、本明細書中で以下に記載される
通りに、L450腫瘍の凍結切片上で、およびIL−1α刺激bEnd.3細胞
を用いる細胞に基づくELISAによって免疫組織化学的に評価した。
【0579】
(4.腫瘍保有マウスおよび免疫組織化学)
約25gの体重の雄性CB17 SCIDマウス(Charles Rive
r,Wilmington,MA)に、1×107個のL540ホジキンリンパ
腫細胞を右側腹部に皮下注射した。腫瘍を、0.4cm3〜0.7cm3のサイズ
になるまで増殖させた。動物をメタファン(metafane)で麻酔し、そし
てその動物の血液循環をBurrowsら(1992、本明細書中に参考として
援用される)によって記載される通りに、ヘパリン処理した生理食塩水を用いて
灌流した。腫瘍および主要な器官を取り出し、そして液体窒素中で急速凍結した

【0580】
組織のクライオスタット凍結切片を切断し、抗VCAM−1抗体とともにイン
キュベートし、そして免疫組織化学的に染色して、VCAM−1を検出した。ラ
ットIgGを、HRPに結合体化したウサギ抗ラットIgGを用い、続いてカル
バゾール(Friesら、1993)を用いる発色によって検出した。
【0581】
(B.結果)
皮下L540ヒトホジキン腫瘍を保有するマウス由来の主要な組織および腫瘍
の血管を、抗VCAM−1抗体を用いてVCAM−1発現について免疫組織化学
的に調べた。腫瘍血管でのVCAM−1発現は、中枢よりも末梢で多かった。し
かし、実施例VIおよび実施例VIIで実証されるように、抗VCAM−1抗体
およびコアグリガンドは、コアグリガンドが全ての腫瘍領域における血流を止め
る能力および腫瘍内領域の破壊を引き起こす能力によって明らかに示されるよう
に、血液輸送血管に明らかに結合した。
【0582】
全体的に見て、VCAM−1発現は、抗エンドグリン抗体MJ 7/18によ
って染色された総腫瘍血管の20〜30%に観察された。腫瘍血管のVCAM−
1染色は、大部分が細静脈に観察された。VCAM−1発現は、1500mm3
までの腫瘍において類似したが、より大きな腫瘍は、減少した染色を有するよう
であり、5〜10%のMJ 7/8ポジティブ血管がVCAM−1についてポジ
ティブであった。
【0583】
VCAM−1の構成的血管発現は、腫瘍保有動物および正常動物の両方におい
て心臓および肺において見出された(表1)。心臓では、強力な染色が、細静脈
および静脈に観察された。約10%のMECA 32ポジティブ血管がVCAM
−1についてポジティブであった。肺内皮における染色は、心臓および腫瘍と比
較して弱く、そしていくつかの大きな血管に制限されていた。強力な間質染色が
精巣において観察され、精巣では、VCAM−1発現は、厳密に言えば、血管外
であった。げっ歯類の肺および精巣における構成的VCAM−1発現に関する類似の知見が、以前に報告された(Friesら、1993)。
【0584】
【表1】

(実施例II:抗VCAM−1抗体のインビボでの局在化)
(A.方法)
雄性CB17 SCIDマウス(Charles River,Wilmin
gton,MA)(体重およそ25g)に、1×107のL540ホジキンリン
パ腫細胞を右側腹部に皮下注射した。腫瘍を、0.4〜0.7cm3のサイズに
まで増殖させた。
【0585】
マウスに、200μlの生理食塩水中の、30μg/25g体重の抗VCAM
−1抗体、R187抗体または対応するコアグリガンドを皮下注射した。2時間
後、動物をメタファンを用いて麻酔し、そしてその血液循環を、記載されるよう
なヘパリン含有生理食塩水(Burrowsら、1992;本明細書において参考として援用される)で灌流した。腫瘍および主要な器官を取り出し、そして液
体窒素で瞬間冷凍した。
【0586】
これらの組織の凍結乾燥切片を切り出し、そしてラットIgGまたはTFの存
在について免疫組織化学的に染色した。ラットIgGを、HRPに結合体化した
ウサギ抗ラットIgGを用い、続いてカルバゾールで発色して検出した(Fri
esら、1993)。コアグリガンドを、ヒト組織因子を認識する10H10抗
体、続いてHRP標識抗マウスIgGを用いて検出した。10H10抗体は、マ
ウス組織因子(Morrisseyら、1988、本明細書において参考として
援用される)とも、他のマウスタンパク質とも検出可能には交叉反応しない。
【0587】
(B.結果)
皮下にL540腫瘍を有するマウスに、抗VCAM−1抗体を静脈内注射し、
そして2時間後、そのマウスを放血させた。腫瘍および正常な器官を取り出し、
そして凍結切片を調製し、そして免疫組織化学的に試験してその抗体の配置を決
定した。この組織の連続切片を試験した。局在化したラットIgGを、HRP標
識抗ラットIgを用いて検出し、そしてマウス血管を、汎内皮抗体MECA32
によって同定した。
【0588】
抗VCAM−1抗体を、腫瘍、心臓および肺の内皮において検出した(表1)
。染色された血管の強度および数は、抗VCAM−1抗体を用いて直接染色され
た同じ組織の連続切片における強度および数と同一であった(表1)。染色は特
異的であった。なぜなら、無関連の特異性の種アイソタイプが適合した抗体R1
87を注射したマウスの腫瘍および器官には内皮の染色が観察されなかったから
である。抗VCAM−1抗体の局在化は、精巣にも、心臓および肺を除くどの正
常器官にも見出されなかった。
【0589】
(実施例III:抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの調製)
抗VCAM−1・tTF結合体、すなわち「コアグリガンド」を、以下のよう
に調製した。短縮型組織因子(tTF)(これは、N末端に導入されたさらなる
付加システインを有する(米国特許出願番号08/482,369、本明細書に
おいて参考として援用される))を、E.coliにおいて発現させ、そしてS
toneら(1995、本明細書において参考として援用される)に記載される
ように精製した。精製後、N’システイン−tTFのスルフヒドリル基を、El
lman試薬を用いる反応によって保護した。このtTF誘導体を、少容量で−
70℃で保存した。
【0590】
抗VCAM−1コアグリガンドを調製するために、5mlの、PBS中の抗V
CAM−1抗体IgG(2mg/ml)と、無水DMF中に溶解した36μlの
SMPT(10mM)とを混合し、そして室温で1時間インキュベートした。こ
の混合物を1mM EDTAを含むPBS中に平衡化したSephadex G
25のカラムを通して濾過した。SMPT誘導体化抗体を含む画分を、10,0
00Daカットオフフィルターを装着したAmiconセル中における限外濾過
によって4mlにまで濃縮した。新たに解凍したtTF誘導体を、10分間、室
温でH2O中の30μlのDTT(10mM)とインキュベートし、そして1m
M EDTAを含むPBS中に平衡化したSephadex G25のカラムを
通して濾過した。還元されたtTFを含む溶出画分を、窒素下での限外濾過によ
って最終容積3mlにまで濃縮した。
【0591】
還元されたtTFを、SMPT誘導体化した抗体と混合し、そしてこの混合物を、24時間室温で反応させた。インキュベーションの終わりに、その反応混合
物を、PBS中で平衡化したSuperdex S200のカラムでのゲル濾過
によって分離した。180,000のMrを有し、そしてtTFの1つの分子に
連結した抗体の1つの分子に対応する抗VCAM−1・tTFを含む画分を収集
した。
【0592】
(実施例IV:活性化した内皮細胞への抗VCAM−1コアグリガンドの結合

(A.方法)
(1.10H10抗体のヨウ素化)
抗ヒト組織因子抗体である10H10を、Bocci(1964、本明細書に
おいて参考として援用される)に記載されるようにChloramine Tを
用いて125Iで放射標識した。比活性は、Bradfordアッセイ(Brad
ford、1976)によって測定されるようなタンパク質決定から計算される
ように約10,000cpm/μgであった。
【0593】
(2.細胞)
L540ホジキン細胞(L540Cy)(これは、末期疾患の患者に由来する
)を、Diehlら(1985、本明細書において参考として援用される)に記
載されるように調製し、そしてVolker Diehl教授(Klinik
fur Innere Medizin der Universitaet
Koeln, Germany)から入手した。bEnd.3細胞(マウス脳内
皮腫)を、Bussolinoら(1991)およびMontesanoら(1
990)(これらは各々、本明細書において参考として援用される)に記載され
るように調製し、そしてWerner Risau教授(Max Planck
Institute、Baed Nauheim,Germany)から入手
した。
【0594】
(3.組織培養)
bEnd.3細胞およびハイブリドーマを、10%仔ウシ胎仔血清、2mM
L−グルタミン、2単位/mlペニシリンGおよび2μg/mlストレプトマイ
シンを補充したDMEM中で維持した。L540細胞を、同じ添加物を含むRP
MI1640中で維持した。全ての細胞を、1週間に1回継代培養した。bEn
d.3トリプシン処理を、0.2%EDTAを含むPBS溶液中で0.125%
トリプシンを用いて行った。結合研究について、細胞を、5×104細胞/ml
の密度で、48ウェルプレート中の0.5mlの培地中で播種し、そして48〜
96時間インキュベートした。培地を、各研究の24時間前に新しいものにした

【0595】
(4.活性化内皮細胞へのコアグリガンドの結合)
活性化されたbEnd.3細胞における抗VCAM−1抗体およびコアグリガ
ンドのVCAM−1への結合を、Hahne(1993、本明細書において参考
として援用される)に記載されるように、細胞ベースのELISAを用いて決定
した。bEnd.3細胞を、10単位/mlのIL−1αと、4時間37℃で9
6ウェルのマイクロタイタープレート中でインキュベートした。このインキュベ
ーションの終わりに、培地をDPBS(これは、2mM Ca2+およびMg2+
らびにキャリアタンパク質として0.2%(w/v)ゼラチンを含む)に置き換
えた。同じ緩衝液を、抗体の希釈および工程の間の細胞単層の洗浄のために使用
した。
【0596】
細胞を、4μg/mlの抗VCAM−1・tTF結合体、抗VCAM・1抗体
またはコントロール試薬と2時間インキュベートし、次いで洗浄し、そしてウサ
ギ抗ラットIgG−HRP結合体(1:500希釈)と1時間インキュベートし
た。全ての工程を室温で行った。HRP活性を、クエン酸−リン酸緩衝液、pH
5.5中のO−フェニレンジアミン(0.5mg/ml)および過酸化水素(0
.03%、w/v)を添加することによって測定した。30分後、100μlの
上清を、96ウェルプレートに移し、100μlの0.18M H2SO4を添加
し、そして492nmでの吸光度を測定した。各研究を、二連で行い、そして少
なくとも2回反復した。
【0597】
(5.内皮細胞に結合したコアグリガンドの検出)
抗VCAM−1コアグリガンドおよび適切なコントロールを、上記のように、
96ウェルマイクロタイタープレート中で、IL−1αで刺激したbEnd.3
細胞とインキュベートした。結合したコアグリガンドを、bEnd.3細胞に結
合した、組織因子成分およびラットIgG成分の両方を同定することによって検
出した。
【0598】
過剰の結合していない抗体を除いた後、細胞を、結合緩衝液中の100μl/
ウェルの125I標識した10H10抗体(0.2μg/ml)または125I標識し
たウサギ抗ラットIg(0.2μg/ml)とともにインキュベートした。室温
で2時間のインキュベーション後、細胞を徹底的に洗浄し、そして0.5MのN
aOH中に溶解した。総容量0.5mlをプラスチックチューブに移し、そして
γカウンター中で計数した。各研究を二連で行い、そして少なくとも2回反復し
た。
【0599】
(B.結果)
抗VCAM−1・tTFコアグリガンドがIL−1α活性化マウスbEnd.
3細胞に結合する能力を、放射性同位体標識した抗TF抗体の、コアグリガンド
処理した細胞への結合をインビトロで測定することによって決定した。bEnd
.3細胞によるVCAM−1発現は、IL−1αにより一過的に誘導可能である
。ここで、VCAM−1発現のピークは、サイトカインの添加の4〜6時間後に
得られる(Hahneら、1993)。コアグリガンドの、活性化したbEnd
.3細胞への強力な結合が観察された(図1A)。
【0600】
飽和において、8.7fmolの抗TF抗体が、その細胞に結合し、これは、
1細胞あたり540,000分子の抗TF抗体と等価である。このコアグリガン
ドの結合は特異的であった。無関係な特異性のアイソタイプが適合したコントロ
ールコアグリガンドを用いてはバックグランドを超える検出可能な結合は観察さ
れなかった。コアグリガンドの、刺激していない細胞の結合は、活性化した細胞
のものの凡そ半分であった。そして、これは、培養した内皮腫細胞による構成性
のVCAM−1発現におそらく起因し得る。
【0601】
さらなる研究において、抗VCAM−1・tTFコアグリガンドは、このアッ
セイにおいてペルオキシダーゼ標識した抗ラットIgGによる検出を用いて、活
性化したbEnd.3細胞に対して、結合体化していない抗VCAM−1抗体と
同じ強さで結合することが見出された。これを、飽和濃度および飽和未満の濃度
の両方で行った。従って、結合体化手順(実施例III)は、インタクトな内皮
単層上のVCAM−1への抗体の結合能を減少させなかった。
【0602】
(実施例V:内皮細胞に結合したコアグリガンドによる第X因子の活性化)
(A.方法)
活性化したbEnd.3細胞に結合した抗VCAM−1・tTFコアグリガン
ドの活性を、第Xa因子を検出する発色アッセイ(Schorerら、1985
;Nawrothら、1985;これらは各々本明細書において参考として援用
される)を用いることにより間接的に決定した。IL−1α刺激したbEnd.
3細胞および刺激していないbEnd.3細胞を、上記のように96ウェルマイ
クロタイタープレート中で特異的なコアグリガンドおよびコントロールコアグリ
ガンドとインキュベートした。この細胞を、2mg/mlのBSAを含むPBS
を用いて洗浄し、そして150μl/ウェルの新たに調製したProplex
T溶液(50mM Tris−HCl(pH8.1)、150mM NaCl、
2mg/ml BSA(組織培養等級、無エンドトキシン)および2.5mM中
に1:20に希釈)とインキュベートした。60分、37℃でのインキュベート
後、100μlを、各ウェルから採取し、96ウェルプレートへと移し、そして
100μlの同じ緩衝液(12.5mM EDTA(pH8.1)を含む)と混
合した。
【0603】
第Xa因子のタンパク質分解活性を測定するための発色基質S2765を、5
0μl中に加え、これを、300μMの最終濃度とした。その基質の分解を、マ
イクロプレートリーダー(Molecular Devices,Palo A
lto、CA)中で2時間かけて405nmでの吸光度を読み取ることによって
決定した。
【0604】
発色産物の産生は、Proplex Tおよび特異的なコアグリガンドと予め
インキュベートしたbEnd.3細胞の存在に完全に依存した。細胞の非存在下
でのProplex Tによるその基質のバックグラウンド加水分解は、最大値
の約10%であり、そしてこれを、各測定から減じた。Proplex T溶液
中に希釈した遊離のコアグリガンドは、第Xa因子を生成し得なかった。生成し
たXaの量を、精製した第Xa因子の既知濃度を用いた構築した標準曲線を参照
して算出した。
【0605】
この研究の終わりに、細胞を、トリプシン−EDTAを用いて剥離し、そして
計数した。その結果を、104細胞あたりに生成した第Xa因子の量として表す
。各研究を、二連で行い、そして少なくとも3回反復した。
【0606】
(B.結果)
(1.第X因子の活性化)
IL−1α活性化したbEnd.3細胞に結合した抗VCAM−1・tTFコ
アグリガンドは、第X因子を特異的に活性化し得た。抗VCAM−1・tTFコ
ーティングした細胞による第Xa因子の生成速度は1時間、104細胞あたり、
3.2ngであった。これは、無関係の特異性のコントロールコアグリガンドま
たはtTF単独で処理した活性化細胞を用いて観察されたものの7〜10倍高か
った(図1B)。細胞の非存在下では抗VCAM−1・tTFは、検出不可能な
第X因子の活性化活性を有した。このことは、この細胞結合がコアグリガンドの
活性に必須であることを確認する。
【0607】
刺激していないbEnd.3細胞に結合した抗VCAM−1・tTFは、1時
間、104細胞あたり1.6ngの速度で第X因子を活性化した。この速度は、
IL−1α刺激した細胞を用いて観察されたもののおよそ半分である。これは、
刺激された細胞と比較して、刺激されていない細胞に結合するコアグリガンドの
50%少ない量と一致する。図1Bに示すものと類似する結果が、3つの別個の研究において観察された。
【0608】
(2.内皮細胞透過化の効果)
抗VCAM−1・tTFコアグリガンドを用いて処置した後の、サポニンでの
bEnd.3単層の透過化によって、結合したコアグリガンドが第X因子を活性
化する能力が約30倍増加した(表2)。抗VCAM−1・tTFを用いて処理
した、刺激されていない細胞による第Xa因子の生成速度は、透過化後に1時間
、104細胞あたり1.6ngから49.2ngに増加し、他方、IL−1α刺
激した細胞による第Xa因子の生成速度は、1時間、104細胞あたり3.2n
gから98.8ngに増加した。透過化した細胞の第Xa因子生成活性は、内因
性TFではなく、結合したコアグリガンドに起因していた。なぜなら、透過化し
た処理していない細胞または無関連の特異性のコントロールコアグリガンドを用
いて処理した細胞は、低い第Xa因子生成活性を有していたからである(2ng
/104細胞/時間)。
【0609】
これらの結果は、このコアグリガンドが透過化した細胞の環境下でより効率的
に機能し得ることを示す。おそらく、透過化は、凝固開始複合体の形成を加速す
る細胞内から負に荷電したリン脂質を露出させるか、またはTFPIによるその
ような複合体の不活化を防ぐ。
【0610】
【表2】

(実施例VI:抗VCAM−1コアグリガンドによる腫瘍血管血栓症)
(A.方法)
L540腫瘍(0.4〜0.7cm3)を有するSCIDマウスに、40μg
(総タンパク質)の抗VCAM−1・tTFまたはR187・tTFを静脈内注
射した。この用量は、32μgの抗体および8μgのtTFに対応する。他の動物には、等量の遊離抗体、遊離tTFまたはその両方の混合物を与えた。動物に
、4または24時間後麻酔をし、その血液循環をヘパリン含有生理食塩水を用い
て灌流した。腫瘍および主要な器官を取り出し、そしてホルマリン中に固定し、
そしてパラフィンに包埋または凍結切片化のために瞬間凍結した。切片をその組
織もしくは腫瘍の中心を通して切断した。5つの横断切片における血栓が形成さ
れた血管または血栓が形成されていない血管の数を計数した。血栓が形成された
血管のパーセンテージを算出した。
【0611】
(B.結果)
(1.腫瘍血管の血栓症)
この研究は、抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの静脈内投与が、腫瘍保
有マウスにおいて、正常組織における血管とは異なり、腫瘍血管の選択的血栓症
を誘導することを示す。
【0612】
抗VCAM−1・tTFコアグリガンドを、0.4〜0.6cmの直径の皮下
L540腫瘍を有するマウスに投与した。コアグリガンド注射の前に、腫瘍は健
常であり、壊死領域を欠いた均一な形態を有した。この腫瘍は充分に脈管化して
おり、そして自然に血栓形成した血管も出血も完全になかった。実施例Iに示さ
れる腫瘍血管の20〜30%のみが最初に染色されたが、コアグリガンド注射4
時間以内に、40〜70%の血管に血栓形成された。血栓形成された血管は、閉
塞性血小板凝集物、充填された赤血球およびフィブリンを含んでいた。いくつか
の領域において、血管は断裂しており、赤血球が腫瘍の間隙に滲出していた。
【0613】
コアグリガンド注射の24時間後、血管はなお閉塞されており、過剰な出血は
、その腫瘍じゅうに広がっていた。腫瘍細胞は、互いに分離され、核濃縮核を有
しており、そして細胞溶解を受けつつあった。72時間までに壊死の進行は、腫
瘍じゅうに明らかになった。壊死は、腫瘍の腫瘍間領域に明らかに存在し、ここ
では、血管におけるVCAM−1発現はもともとは顕著ではなかった。コアグリ
ガンド結合は、すべての腫瘍領域において血流を縮減するに明らかに有効であっ
た。このことは、広汎な腫瘍破壊をもたらした。さらに、初期のコアグリガンド
誘導トロンビン沈着は、中枢の血管においてVCAM−1標的抗原の誘導の増加
をもたらし、従って、標的化および腫瘍破壊を増幅したようである。
【0614】
腫瘍血管に対する抗VCAM−1・tTFの血栓作用は、抗原特異的であった
。等量で投与したコントロール試薬(tTF単独、抗VCAM−1抗体単独、t
TFおよび抗VCAM−1抗体または無関連の特異性のコントロールコアグリガ
ンド)は、血栓症を引き起こさなかった(表3)。
【0615】
【表3】

(2.正常な血管の血栓症の欠如)
腫瘍血管の血栓症に加えて、本研究はまた、抗VCAM−1・tTFコアグリ
ガンドの静脈内投与が正常器官内での血管の血栓症を誘発しないことを示す。
【0616】
正常なマウスまたはL540腫瘍保有マウスの心臓および肺の中の血管におけ
るVCAM−1の発現(表1)にもかかわらず、血栓症は、抗VCAM−1・t
TFコアグリガンド投与の後には起こらなかった。血栓症、組織損傷または変化
した形態の徴候は、4時間前または24時間前に5〜45μgのコアグリガンド
を注射した25匹のマウスには見られなかった。主要な腫瘍血栓症を有した同じ
マウスからは、心臓および肺の正常な組織学的外見が存在した。すべての他の主
要な器官(脳、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、腸、精巣)もまた、変化していない形
態を有した。
【0617】
コアグリガンド処理したマウスからの器官および腫瘍の凍結した切片は、抗T
F抗体、10H10または抗ラットIgG抗体のいずれかを用いて発色した場合、一致した染色パターンを与え、これは、そのコアグリガンドが心臓、肺および
腫瘍における血管に局在化されたことを確認した。染色の強度は、コアグリガン
ドが高濃度でその切片に直接適用され、続いて抗TFまたは抗ラットIgGで発
色した場合に見られるものと等価であり、このことは、結合の飽和がインビボで
達成されたことを示した。
【0618】
これらの研究は、心臓および肺における正常血管系上のVCAM−1に対する
コアグリガンドの結合が血栓症を誘発するに不十分であること、および腫瘍血管
系が凝固を支持するさらなる因子を提供することを示す。
【0619】
(実施例VII:抗VCAM−1コアグリガンドによるインビボ腫瘍破壊)
(A.方法)
雄性CB17 SCIDマウスに、1×107 L540細胞を上記のように
皮下注射をした。その腫瘍が0.4〜0.6cm3の容量に達したときに、その
マウスに20μgの抗VCAM−1・tTF、16μgの抗VCAM−1抗体、
4μgのtTF、16μgの抗VCAM−1抗体および4μgのtTFの混合物
、20μgのコントロールIgG・tTFまたは生理食塩水のいずれかを静脈内
注射した。いくつかの研究において、この処置を、0日目、4日目および8日目
の3回行った。最低8匹の動物を各群において処置した。
【0620】
動物を、腫瘍測定および体重について毎日モニターした。マウスを、腫瘍が2
cm3の直径に達したときに屠殺したか、または腫瘍が壊死または潰瘍化の徴候
を示した場合にはそれより早く屠殺した。腫瘍の容量を公式:π/6×D×d2
(ここで、Dは、より大きな腫瘍直径であり、そしてdは、より小さな直径であ
る)に従って算出した。腫瘍増殖速度における差を、非パラメータ検定(Man
n−Whitney順位和検定(rank sum test))を用いて統計
学的有意性について検定した。これは、腫瘍の大きさが正規に分布するという仮
定を行わない(Gibbons,1976)。
【0621】
(B.結果)
抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの抗腫瘍活性を、0.3〜0.4cm
3のL540腫瘍を有するSCIDマウスにおいて決定した。この薬物を、4日
の間隔をおいて3回静脈内投与した。3つの異なる研究からプールした結果を、
図2および表4に示す。抗VCAM−1・tTFで処置したマウスの平均腫瘍容
積は、すべての他の群に比較して処置の21日目で有意に減少していた(P<0
.001)。特異的なコアグリガンドで処置した合計15匹のマウスのうち9匹
は、腫瘍容積において50%を超える減少を示した。この効果は、特異的であっ
た。なぜなら、結合体化していないtTF,コントロールIgGコアグリガンド
および遊離の抗VCAM−1抗体およびtTFの混合物は、腫瘍増殖に影響を与
えなかったからである。
【0622】
【表4】

(実施例VIII:腫瘍血管におけるホスファチジルセリンの発現)
(A.方法)
(1.抗体)
抗ホスファチジルセリン(抗PS)および抗カルジオリピン抗体(両方ともマ
ウスモノクローナルIgM抗体)を、Rote(Roteら、1993)に記載
されるように生成した。抗PS抗体および抗カルジオリピン抗体の特徴付けの詳
細もまた、Roteら(1993、本明細書において参考として援用される)に
よって報告された。
【0623】
(2.血管内皮上でのPSの発現の検出)
L540腫瘍保有マウスを、20μgの、抗PSまたは抗カルジオリピンマウ
スIgM抗体のいずれかをi.v.注射した。10分後、マウスを麻酔し、そし
てその血液循環を、ヘパリン化生理食塩水で灌流した。腫瘍および正常組織を取
り出し、そして瞬間凍結(snap−frozen)した。器官および腫瘍の連
続切片を、抗PS抗体の検出のためのHRP標識した抗マウスIgM、または抗
VCAM−1抗体に続いてHRP標識した抗ラットIgのいずれかで染色した。
【0624】
凍結切片上の膜リン脂質を保存するために、以下のプロトコルを開発した。動
物を、2.5mMCa2+を含むDPBSで灌流した。組織を、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシランでコーティングしたスライド上にマウントし、そして24
時間以内に染色した。スライドの固定または洗浄には、有機溶媒も、ホルムアル
デヒドも、界面活性剤も使用しなかった。スライドを、2.5mM Ca2+およ
び0.2%ゼラチンを含むDPBSによって再水和した。同じ溶液をまた使用し
て、切片を洗浄して、過剰な試薬を除去した。切片を、HRP標識した抗マウス
IgMとともに室温にて3.5時間インキュベートして、抗PS IgMを検出
した。
【0625】
(B.結果)
心臓および肺におけるVCAM−1ポジティブ脈管構造に対する抗VCAM−
1・tTFの血栓効果の欠如を説明するために、本発明者らは、正常血管と腫瘍
血管との間の差次的なPSの局在化の概念を開発した。具体的には、本発明者ら
は、血栓反応に関与し得ない場合、正常組織における内皮細胞は、PSを原形質
膜リン脂質二重層の内部表面に隔離し、一方、コアグリガンドの凝固反応を支持
し得る場合、腫瘍における内皮細胞は、PSを原形質膜の外部表面に転移すると
仮定した。細胞表面におけるPSの発現は、凝固を可能にする。なぜなら、凝固
因子の膜への付着が可能であり、そして凝固開始複合体のアセンブリを統合させ
るからである(Ortelら、1992)。
【0626】
本明細書中で開発されるような、腫瘍血管内皮細胞の表面へのPSの転移の本
発明者らのモデルは、PSの発現が細胞死の後に起こらず、そして細胞死を回避
不能には誘発しない点で驚くべきことである。従って、腫瘍内皮細胞表面でのP
Sの発現は、PSが治療的介入のための標的可能な実体として作用するに十分に
安定である。
【0627】
腫瘍血管内皮が原形質膜の管腔表面でPSを発現するという仮説を確認するた
めに、本発明者らは、免疫組織化学を使用して、L540保有マウスへの静脈内
注射後の抗PS抗体の分布を決定した。抗PS抗体は、10分以内に、腫瘍血管
(VCAM−1を欠如し得る腫瘍の中心領域における血管を含む)の大部分に局
在した。VCAM−1に対してポジティブであった血管はまた、PSに対しても
ポジティブであった。従って、腫瘍においてVCAM−1を発現する血管上にP
Sの同時発現が存在する。
【0628】
インビボ局在化研究において、正常器官における血管(心臓および肺のVCA
M−1ポジティブ脈管構造を含む)が染色されなかったことは、PSが内皮細胞
の外部表面に不在であることを示す。対照的に、正常組織および腫瘍の切片を、
抗PS抗体でインビトロにて直接染色した場合、正常の内皮細胞または他の細胞
型と、腫瘍の内皮細胞または他の細胞型との間の視覚的差異はなく、このことは
、PSはこれらの細胞内に存在するが、腫瘍における内皮細胞の表面にのみ発現
されることを示す。
【0629】
PSの検出の特異性を、2つの独立した研究によって確認した。第1に、異な
る負に荷電した脂質であるカルジオリピンに対するマウスIgMモノクローナル
抗体は、腫瘍またはいずれの器官にもインビボではホーミングしなかった。第2
に、凍結切片のアセトンでの前処置は、抗PS抗体での染色を消失させた。なぜ
なら、その処置は、おそらく、結合した抗PS抗体とともに脂質を抽出するから
である。
【0630】
(実施例IX:アネキシンVは第X因子のインビトロでのコアグリガンド活性
化をブロックする)
(A.方法)
アネキシンVがコアグリガンドによって誘導される第Xa因子形成に影響を及
ぼす能力を、上記の実施例Vに記載した色素生産性アッセイによって決定した。
IL−1α刺激したbEnd.3細胞を、抗VCAM−・tTFとともにインキ
ュベートし、そしてサポニンで透過化処理した。アネキシンVを、0.1〜10
μg/mlの範囲の濃度で添加し、そして細胞を、希釈したProlexTの添
加前に30分間インキュベートした。アネキシンVの存在下または非存在下で生
成した第Xa因子の量を、実施例Vに記載の通りに決定した。各処置を2連で行
い、そして少なくとも2回繰り返した。
【0631】
(B.結果)
コアグリガンド作用における表面PS発現の必要性はさらに、アネキシンV(
これは、高親和性でPSに結合する)が、bEnd.3細胞に結合される抗VC
AM−1・tTFのインビトロで第Xa因子を生成する能力をブロックするとい
う本発明者らの発見によって示される。
【0632】
抗VCAM−1・tTFとともにプレインキュベートされた、透過化処理され
た細胞に添加されたアネキシンVは、用量依存性様式で第Xa因子の形成を阻害
した(図3)。アネキシンVの非存在下で、細胞結合コアグリガンドは、60分
、10,000細胞あたり95ngの第Xa因子を産生した。漸増量のアネキシ
ンV(1mlあたり1μgの範囲で)の添加は、第Xa因子の産生を阻害した。
1mlあたり10μgでは、アネキシンVは、第Xa因子の産生を58%阻害し
た(図3)。アッセイの間のアネキシンVの濃度の増加によるさらなる阻害は観
察されず、このことは、アネキシンVが、1mlあたり10μgで全ての利用可
能な結合部位を飽和したことを示す。
【0633】
(実施例X:アネキシンVはインビボでコアグリガンド活性をブロックする)
(A.方法)
アネキシンVのインビボでコアグリガンド誘導性血栓症を阻害する能力を、L
540ホジキン腫保有SCIDマウスにおいて試験した。腫瘍を、上記の実施例
IIに記載のようにマウスにおいて増殖させた。1群あたり2匹のマウス(直径
0.5cmの腫瘍サイズ)を、以下の試薬のいずれか1つで尾静脈を介して静脈
内注射した:a)生理食塩水;b)100gのアネキシンV;c)40μgの抗
VCAM−1・tTF;d)100μgのアネキシンV、2時間後に40μgの
抗VCAM−1・tTF。
【0634】
最後の注射の4時間後、マウスを麻酔し、そしてヘパリン化生理食塩水で灌流
した。腫瘍を取り出し、4%ホルマリンで固定し、パラフィン包埋し、そしてヘ
マトキシレン−エオシンで染色した。血栓が形成された血管および血栓が形成さ
れていない血管の数を計数し、そして血栓の割合を計算した。
【0635】
(B.結果)
アネキシンVはまた、インビボでの抗VCAM−1・tTFコアグリガンドの
活性をブロックする。腫瘍保有マウスの群を、方法に記載の通りに、コントロー
ルまたは試験試薬の1つで処置した。マウスに以下を与えた:(a)生理食塩水
;(b)100gのアネキシンV;(c)40μgの抗VCAM−1・tTFコ
アグリガンド;または(d)100のアネキシンV、2時間後に40μgの抗V
CAM−1・tTFコアグリガンド。同一の結果が、1群あたり両方のマウスで得られた。
【0636】
自発的な血栓、出血または壊死は、生理食塩水を注射したマウス由来の腫瘍に
おいて観察されなかった。アネキシンV単独での処置は、腫瘍形態を変更しなか
った。
【0637】
本明細書中で示される他のデータによれば、40μgの抗VCAM−1・tT
Fコアグリガンドは、全腫瘍血管の70%において血栓を生じた。血管の大部分
は固まった赤血球および血餅で閉塞し、そして腫瘍細胞は互いに分離した。コア
グリガンド誘導性抗腫瘍効果(すなわち、静脈内血栓)および腫瘍細胞形態にお
ける変化の両方は、マウスをアネキシンVで前処置することによって完全に消失
した。
【0638】
これらの発見は、コアグリガンドの抗腫瘍効果が、腫瘍脈管構造の妨害によっ
て媒介されることを確認する。これらのデータはまた、PSが、インビボでのコ
アグリガンド誘導性血栓に必須であることを実証する。
【0639】
(実施例XI:外部移行したホスファチジルセリンは腫瘍血管のグローバルマ
ーカーである)
(A.方法)
腫瘍および正常血管内皮上のPSの露出を、3つの動物腫瘍モデルにおいて試
験した:L540ホジキンリンパ腫、NCI−H358非小細胞肺癌腫、および
HT29結腸腺癌(ATCC)。インビボでの腫瘍の増殖のために、2×106
細胞を、SCIDマウスの右側腹部に注射し、そして0.8〜1.2cmの直径
に到達させた。大きな腫瘍(800mm3を超える容積)を保有するマウスを、
20μgの抗PSまたは抗カルジオリピン抗体のいずれかで尾静脈を介して静脈
内注射した。抗カルジオリピン抗体は、全ての研究についてのコントロールとし
ての役目をした。なぜなら、両方の抗体は、負に荷電した脂質に対して指向され
,そして同じクラスのイムノグロブリン(マウスIgM)に属するからである。
【0640】
注射の1時間後、マウスを麻酔し、そしてその血液循環をヘパリン化生理食塩
水で灌流した。腫瘍および正常器官を取り出し、そして瞬間凍結した。凍結切片
を、抗マウスIgM−ペルオキシダーゼ結合体(Jackson immuno
research Labs)で染色し、続いてカルバゾールで発色させた。
【0641】
(B.結果)
抗PS抗体は、マウスIgMの検出によって示されるように、全ての3つの腫
瘍(HT29、L540およびNCI−H358)の脈管構造にインビボで特異
的にホーミングした。腫瘍において染色された血管の平均割合は、HT29につ
いては80%、L54については30%、そしてNCI−H358については5
0%であった。腫瘍の全ての領域における血管を染色し、そして小さな毛細血管
および大きな血管の両方が染色された。
【0642】
血管の染色は、いずれの正常組織においても、抗PS抗体を用いて観察されな
かった。腎臓において、細管を、抗PSおよび抗CLの両方で染色し、そしてこ
れは、この器官によるIgMの分泌に関するようである(表5)。抗カルジオリ
ピン抗体は、いずれの腫瘍または正常組織(腎臓を除く)においても検出されな
かった。
【0643】
これらの発見は、腫瘍内皮のみが、PSを原形質膜の外側部位に露出することを示す。
【0644】
【表5】

腫瘍脈管構造が、PSを膜の内側に隔離する能力を欠失することを評価するた
めに、本発明者らは、140〜1,600mm3の容積の範囲で、L540腫瘍
における抗PS局在化を実験した。マウスを、その腫瘍サイズによって3群に分
割した:140〜300mm3、350〜800mm3および800〜1,600
mm3。抗PS Abは、小さなL540腫瘍(300mm3まで)を保有する3
匹のマウスにおいて検出されなかった。抗PS Abは、中間サイズのL540腫瘍群の5匹のうち3匹の動物において、および大きなL540腫瘍を保有する
全てのマウス(4匹のうち4匹)において局在化した(表6)。全てからのPS
ポジティブ血管の割合(pan内皮マーカーMeca32によって同定した)は
、L540中間群において10〜20%、および大きなL540腫瘍群において
20〜40%であった(表6)。
【0645】
【表6】

(実施例XII:結合体化抗ホスファチジルセリン抗体の抗腫瘍効果)
(A.方法)
抗PS抗体の効果を、同系腫瘍モデルおよび異種腫瘍モデルにおいて実験した
。同系モデルについて、1×107細胞のマウス結腸直腸Colo26(Ian
Hart博士、ICRF、Londonから得た)を、Balb/cマウスの
右側腹部に皮下注射した。異種モデルにおいて、ヒトホジキンリンパ腫L540
異種移植片を、雄CB17SCIDマウスの右側腹部に、1×107の細胞を皮
下注射することによって確立した。腫瘍を、処置前に、約0.6〜0.9cm3
のサイズまで増殖させた。
【0646】
腫瘍保有マウス(1群あたり4匹の動物)を、20μgの裸の抗PS抗体(I
gM)、コントロールマウスIgMまたは生理食塩水でi.p.注射した。処置
を、48時間間隔で3回繰り返した。動物を、腫瘍測定および体重について毎日
モニターした。腫瘍容量を、実施例VIIに記載の通りに計算した。マウスを、
腫瘍が2cm3に達した場合、または腫瘍が壊死もしくは潰瘍化の徴候を示した
場合にはより早く、屠殺した。
【0647】
(B.結果)
同系および異種腫瘍の両方の増殖は、裸の抗PS抗体を用いる処置によって効
果的に阻害された(図4Aおよび図4B)。抗PS抗体は、血栓に付随する腫瘍
血管損傷および腫瘍壊死を引き起こした。血餅の存在および腫瘍塊の周りのブロックされた血管の崩壊が顕著であった。
【0648】
定量的に、裸の抗PS抗体処置は、大きなColo26(図4A)およびL5
40(図4B)腫瘍を保有するマウスにおけるコントロール腫瘍容量の60%ま
で、腫瘍増殖を阻害した。生理食塩水またはコントロールIgMで処置したマウ
スにおいて、腫瘍増殖の遅延は見出されなかった。抗PS抗体で処置したマウス
において毒性は観察されず、正常な器官は、もとのままの形態を保存し、未処置
または生理食塩水で処置したマウスと区別できなかった。
【0649】
腫瘍後退は最初の処置の24時間後に開始し、そして腫瘍は、次の6日間サイ
ズが減少し続けた。このことは、同系および免疫無防備状態腫瘍モデルの両方に
おいて観察され、このことは、この効果が、免疫状態依存性機構によって媒介さ
れることを示す。さらに、腫瘍負荷における減少は、1500mm3より大きな
腫瘍を保有するコントロールマウスと比較して、動物の機敏さおよび一般に健常
な外見の増加に関連した。腫瘍の再増殖は、最初の処置の7〜8日後に生じた。
【0650】
L540腫瘍の抗PS処置で得られた結果はさらに、以下の理由を強制する。
特に、L540腫瘍処置において観察された腫瘍壊死は、L540腫瘍において
PSについてポジティブに染色された血管の割合がHT29およびNCI−H3
58腫瘍における割合より少なかったという事実にもかかわらず、生じる。この
ことは、さらにより迅速な壊死が他の腫瘍型を処置した場合に生じるようである
ことを意味する。さらに、L540腫瘍は、一般的に、実験モデルとして選択さ
れる。なぜなら、これらは、清潔な組織学的切片を提供し、そして実際に、壊死
に対して抵抗性であることが知られているからである。
【0651】
(実施例XIII:アネキシン結合体の抗腫瘍効果)
アミノリン脂質が腫瘍脈管構造の安定なマーカーであるという驚くべき知見は
また、抗体−治療剤構築物が癌治療に使用され得ることを意味する。標的剤とし
ての抗体の使用に加えて、本発明者らは、アネキシン、および他のアミノリン脂
質結合タンパク質もまた、治療剤を腫瘍脈管構造に特異的に送達するのに使用さ
れ得ると結論付けた。以下のデータは、アネキシン−TF構築物のインビボ投与
から生じる抗腫瘍効果を示す。
【0652】
(A.方法)
アネキシンV−tTF結合体を調製し、そして固形腫瘍を有するnu/nuマ
ウスに投与した。この腫瘍は、少なくとも約1.2cm3の腫瘍を形成したヒト
HT29結腸直腸腺癌細胞から形成された。アネキシンV−tTFコアグリガン
ド(10μg)を静脈内投与し、そして24時間循環させた。生理食塩水で処置
したマウスを、コントロールマウスとして別々に維持した。1日の処置期間の後
、このマウスを屠殺し、そして放血させ、そしてこの腫瘍および主な器官を分析
のために採取した。
【0653】
(B.結果)
アネキシンV−tTF結合体が、HT29腫瘍保有マウスにおいて特定の腫瘍
血管凝固を誘導することを見出した。アネキシンV−tTF結合体処置した動物
における腫瘍血管の約55%が、1回の注射後に血栓形成した。対照的に、コン
トロール動物の腫瘍脈管構造において血栓は最小限であった。
【0654】
(実施例XIV:腫瘍環境にけるホスファチジルセリン転移)
腫瘍血管内皮細胞に独特のインビボ表面マーカーとしてのPSの発見は、本発明者らに、PSの転移および外膜発現に対する腫瘍環境の効果のさらなる調査を
促した。本実施例は、腫瘍においてそれらを模倣する特定の状態にインビトロで
内皮細胞を曝露させることは、インタクトな生細胞において観察されたPSの表
面発現を複製することを示す。
【0655】
(A.方法)
マウスbEnd3内皮細胞を、50,000細胞/ウェルの開始密度で播種し
た。24時間後、細胞を、漸増濃度のH22(10μM〜500μM)とともに
、37℃にて1時間インキュベートするか、または未処理のままにした。インキ
ュベーションの終わりに、細胞を、0.2%ゼラチンを含有するPBSで3回洗
浄し、そして0.25%グルタルアルデヒドで固定した。同一のウェルを、抗P
S−IgMで染色、またはトリプシン処理のいずれかをし、そしてTrypan
Blue排除試験によって生存度について評価した。抗PS染色について、2
%ゼラチンで10分間ブロックした後、細胞を、2μg/mlの抗PS抗体とと
もにインキュベートし、続いて抗マウスIgM−HRP結合体で検出した。
【0656】
マウスbEnd.3内皮細胞を播種したウェルもまた、異なるエフェクターと
ともにインキュベートし、そしてコントロール(37℃にて同じ期間インキュベ
ートした後の未処理のウェル)と比較した。試験したエフェクターのパネルは、
TNF、LPS、bFGF、IL−1α、IL−1βおよびトロンビンを含んだ
。インキュベーションの後、細胞を洗浄し、そして固定し、そして再度、上記の
ように、抗PS IgMで染色、またはTrypan Blue排除試験のいず
れかを用いて生存度について評価した。
【0657】
(B.結果)
(1.H22によるPSの誘導)
内皮細胞を100μMより高い濃度でH22に曝露することにより、約90%
の細胞においてPSの転移を引き起こした。しかし、このことは、支持層からの
細胞の脱離および約50〜60%の細胞生存度の減少を付随した。表面PS発現
の細胞生存度の減少との関連は理解できるが、約90%のPSの転移は細胞生存
度において50〜60%の減少のみが観察されるということに注目することはな
お興味深い。
【0658】
100μM未満の濃度のH22のを使用すると、細胞生存度においてかなりの
減少を全く伴わずに有意なPSの発現を生じた。例えば、PSは、20μ程度の
濃度のH22を用いてH22処理した全てのウェルにおいて、約50%の細胞の
細胞表面で検出された。これらの低いH22濃度の下で、この細胞がプラスチッ
クにそして互いに密接に付着されたままであり、形態学的な変化を示さず、そし
て細胞傷害性の徴候を有さなかったことに注目することは重要である。詳細な分
析により、本質的に100%の細胞−細胞接触、適切な細胞形状の保持およびイ
ンタクトな細胞骨格が明らかにされた。
【0659】
従って、低レベルのH22によって誘導される50%のPS表面発現が、細胞
生存度がコントロール(未処理の細胞)と同一(すなわち、95%)である細胞
集団において観察された。高濃度のH22に関連するPS発現は、細胞損傷を付
随し、そして100μMを超えるH22に曝露されたPSポジティブ細胞は、脱
離し、浮遊し、そして細胞骨格が破壊された。
【0660】
低濃度のH22の存在下での細胞生存度の維持は、他の研究室からのデータと
一致する。例えば、Schorerら(1985)は、15μMのH22で処理したヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)が、平均して90〜95%の生存度(5
%〜10%の損傷として報告された)であるのに対し、1500μMのH22
曝露されたものは、0%〜50%のみ生存する(50%〜100%の損傷)こと
を示した。
【0661】
インビトロで腫瘍環境を模倣するためのH22の使用もまた、この腫瘍環境が
、H22および他の反応性酸素種を生成する炎症性細胞(例えば、マクロファー
ジ、PMNおよび顆粒球)中に富むという点で適切である。以前には安定な腫瘍
血管マーカーと結合されるものはなかったが、炎症性細胞は、H22の存在を必
要とする反応性酸素種が関与する機構によって内皮細胞損傷を媒介することが知
られている(Weissら、1981;Yamadaら、1981;Schor
erら、1985)。実際に、研究により、インビトロでのPMNの刺激が、細
胞死(クロム放出アッセイによって測定される)または細胞の脱離を引き起こさ
ずに致死以下の内皮細胞損傷を引き起こすに十分な濃度のH22を産生すること
が示された;そしてこれらのH2O2濃度が、インビボで局所的に達成できるこ
とが示された(Schorerら、1985)。
【0662】
本発明のインビトロ転移データは、抗PS抗体がインビボで腫瘍血管内皮細胞
に特異的に局在し、そして正常組織のおける細胞に結合しないことを示す初期の
結果と相関する。インビボ様濃度のH22が細胞完全性を破壊せずに内皮細胞表
面へのPSの転移を誘導するという知見は、もともとのインビボデータおよび本
発明者らの治療的アプローチの確証に加えて重要な意味を有する。
【0663】
ヒト、ウシおよびマウスの内皮細胞は全て、正常条件下でPSネガティブであ
ることが公知である。以前に実証されたPSの発現は常に、細胞損傷および/ま
たは細胞死と関連していた。このことは単に、本研究においてはそうではなく、
正常な生存度が維持される。このことは、腫瘍血管内皮におけるPSの転移が、
細胞損傷に関連しない生化学的機構によって媒介されることを示す。このことは
、形態学的にインタクトな内皮細胞におけるPS表面発現の最初の証拠であり、
そしてPSの発現がアポトーシス経路から切断され得ることの最初の指標である
と考えられる。本発明の実施可能性に戻ると、これらの観察は、再度、PSが一
過性というよりはむしろ持続可能な、腫瘍血管のマーカーであり、そして治療的
介入のための適切な候補であることを確認する。
【0664】
(2.PSの発現は細胞活性化と相関しない)
このインビトロデータの腫瘍環境に対する関連性はまた、他の一般的な細胞ア
クチベーターが内皮細胞におけるPSの転移に対する効果を伴わないという事実
によって強化される。例えば、本発明者らは、同様のコントロール研究において
TNFを試験し、そしてE−セレクチンおよびVCAM発現における増加が予測
されるにもかかわらず。PS表面発現を誘導し得ないことを見出した。同様に、
LPS、bFGF、IL−1αおよびIL−1βは全て、適切なコントロール研
究におけるPS発現に対して効果を伴わなかった。
【0665】
(3.トロンビンによるPSの誘導)
他の細胞アクチベーターの効果の欠如とは対照的に、トロンビンは、PSの発
現を増加するが、H22と同程度ではないことが観察された。このデータはまた
、本発明者らによって開発されたPSの発現の腫瘍誘導モデルの欠くことのでき
ない部分である(正常組織におけるトロンビン誘導性PS表面発現はまた、PS
発現が凝固開始複合体のアセンブリを配位させるので、凝固をさらに促進する(
Ortelら、1992))。
【0666】
腫瘍環境はプロ血栓性であり、そのために、腫瘍脈管構造は、凝固の素因にな
ることが知られている(米国特許第5,877,289号)。トロンビンは凝固
カスケードの産物であるので、腫瘍脈管構造に存在する。実際、トロンビンの存
在がVCAM発現を誘導し、VCAMを腫瘍脈管構造の検出可能なマーカーとし
て活用する本発明者らの能力に寄与する(米国特許第5,855,866号;同
第5,877,289号)。従って、トロンビンもまたPSの発現を誘導するこ
とを示す本発明のデータは、裸の抗体および治療用結合体を用いるアミノリン脂
質の標的化の両方に関連し、そしてさらに、組織因子を含有する抗VCAMコア
グリガンドの有益な効果を説明する(実施例VII)。
【0667】
本明細書中に開示されそして特許請求される全ての組成物および方法は、本発
明の開示に照らして過度の実験なくなされ得、そして完成され得る。本発明の組
成物および方法は、好ましい実施態様の項で記載されているが、本明細書中に記
載される組成物および方法ならびに本発明の方法の工程または一連の工程に、本
発明の概念、思想および範囲を逸脱せずに、改変が適用され得ることは当業者に
は明らかである。より詳細には、化学的および生理学的の両方に関連する特定の
試薬が本明細書中に記載される薬剤と置き換えられ得るが、同じまたは類似の結
果が達成されることが明らかである。当業者には明らかである全てのこのような
類似の置き換えおよび改変は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明
の思想、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0668】
(参考文献)
以下の参考文献は、それらが、本明細書中に記載されるものを補足する例示的
手順の詳細もしくは他の詳細を提供する程度に、本明細書中に参考として援用さ
れる。
【0669】
【表7】





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可能に付着された治療剤を含む結合リガンドであって、ここで該結合リガンドは、腫瘍血管内皮細胞を殺傷するか、腫瘍の血管系における凝固を誘導するか、または、血管化腫瘍の血管系を破壊することによって腫瘍壊死および/または腫瘍後退を誘導する、結合リガンド。
【請求項2】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合する抗アミノリン脂質抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを含む、請求項1に記載の結合リガンド。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗アミノリン脂質抗体、二重特異的抗アミノリン脂質抗体、キメラ抗アミノリン脂質抗体、組換え抗アミノリン脂質抗体、操作された抗アミノリン脂質抗体、ヒト抗アミノリン脂質抗体、ヒト化抗アミノリン脂質抗体または部分ヒトキメラ抗アミノリン脂質抗体、あるいはそれらのscFv抗原結合フラグメント、Fv抗原結合フラグメント、Fab’抗原結合フラグメント、Fab抗原結合フラグメント、またはF(ab’)抗原結合フラグメントである、請求項2に記載の結合リガンド。
【請求項4】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合するアミノリン脂質結合タンパク質またはそれらのアミノリン脂質結合フラグメントを含む、請求項1に記載の結合リガンド。
【請求項5】
前記アミノリン脂質結合タンパク質は、アネキシンまたはキニノーゲン、またはそのアミノリン脂質結合フラグメントである、請求項4に記載の結合リガンド。
【請求項6】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルエタノールアミンに結合する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項7】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルセリンに結合する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項8】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質−タンパク質複合体に結合する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項9】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルセリンおよびβ−糖タンパク質Iの複合体に結合する、請求項8に記載の結合リガンド。
【請求項10】
前記付着された治療剤が抗細胞性薬剤または細胞傷害性薬剤である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項11】
前記付着された治療剤が、ステロイド、サイトカイン、代謝拮抗物質、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、抗生物質、アルキル化薬剤、エピポドフィロトキシン、DNA合成インヒビター、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アドリアマイシン、または植物由来毒素、真菌由来毒素または細菌由来毒素である、請求項10に記載の結合リガンド。
【請求項12】
前記付着された治療剤が凝固因子である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項13】
前記付着された治療剤が組織因子、二量体組織因子、三量体組織因子、多量体組織因子、変異体組織因子、短縮型組織因子、または組織因子誘導体である、請求項12に記載の結合リガンド。
【請求項14】
リポソーム処方物または薬学的に受容可能な処方物として処方される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項15】
血管化腫瘍を有する動物への投与の際の癌の処置において使用するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の結合リガンド。
【請求項16】
腫瘍血管内皮細胞を殺傷するか、腫瘍の血管系における凝固を誘導するか、または、血管化腫瘍の血管系を破壊することによって腫瘍壊死および/または腫瘍後退を誘導するための医薬品の製造における、請求項1〜15のいずれか一項に記載の結合リガンドの治療的に有効な量の使用。
【請求項17】
血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可能に付着された検出可能剤を含む結合リガンドの診断的に有効な量の、該血管化腫瘍の腫瘍血管内皮細胞におけるアミノリン脂質へ結合することによって該血管化腫瘍の血管系を造影するための医薬の製造における使用。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の結合リガンドの治療的に有効な量を含有する、腫瘍血管内皮細胞を殺傷するか、腫瘍の血管系における凝固を誘導するか、または、血管化腫瘍の血管系を破壊することによって腫瘍壊死および/または腫瘍後退を誘導するための組成物。
【請求項19】
血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合する標的化剤に作動可能に付着された検出可能剤を含む結合リガンドの診断的に有効な量を含有する、該血管化腫瘍の腫瘍血管内皮細胞におけるアミノリン脂質へ結合することによって該血管化腫瘍の血管系を造影するための組成物。
【請求項20】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合する抗アミノリン脂質抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗体が、モノクローナル抗アミノリン脂質抗体、二重特異的抗アミノリン脂質抗体、キメラ抗アミノリン脂質抗体、組換え抗アミノリン脂質抗体、操作された抗アミノリン脂質抗体、ヒト抗アミノリン脂質抗体、ヒト化抗アミノリン脂質抗体または部分ヒトキメラ抗アミノリン脂質抗体、あるいはそれらのscFv抗原結合フラグメント、Fv抗原結合フラグメント、Fab’抗原結合フラグメント、Fab抗原結合フラグメント、またはF(ab’)抗原結合フラグメントである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質に結合するアミノリン脂質結合タンパク質またはそれらのアミノリン脂質結合フラグメントを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記アミノリン脂質結合タンパク質は、アネキシンまたはキニノーゲン、またはそのアミノリン脂質結合フラグメントである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルエタノールアミンに結合する、請求項19〜23に記載の組成物。
【請求項25】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルセリンに結合する、請求項19〜24に記載の組成物。
【請求項26】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のアミノリン脂質−タンパク質複合体に結合する、請求項19〜25に記載の組成物。
【請求項27】
前記標的化剤が、血管化腫瘍の血管の管腔表面上のホスファチジルセリンおよびβ−糖タンパク質Iの複合体に結合する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
請求項19〜27に記載の組成物であって、前記付着された検出剤が
X線検出可能化合物であるビスマス(III)、金(III)、ランタン(III)または鉛(II);
検出可能な放射活性イオンである銅67、ガリウム67、ガリウム68、インジウム111、インジウム113、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、水銀197、水銀203、レニウム186、レニウム188、ルビジウム97、ルビジウム103、テクネチウム99m、またはイットリウム90
検出可能な核磁気スピン共鳴アイソトープであるコバルト(II)、銅(II)、クロム(III)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、ガドリニウム(III)、ホルミウム(III)、鉄(II)、鉄(III)、マンガン(II)、ネオジム(III)、ニッケル(II)、サマリウム(III)、テルビウム(III)、バナジウム(II)またはイッテルビウム(III)
である、組成物。
【請求項29】
リポソーム処方物として処方される、請求項19〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−82714(P2013−82714A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262623(P2012−262623)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2010−19796(P2010−19796)の分割
【原出願日】平成11年7月12日(1999.7.12)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】