説明

アミノ樹脂架橋粒子の製造方法

【課題】 斑点の発生や色抜けの発生など、品質不良の問題が起きないアミノ樹脂架橋粒子とその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子が個数基準で0.05%以下であることを特徴とし、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の製造方法は、このようなアミノ樹脂架橋粒子を好適に得させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ樹脂架橋粒子とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ樹脂架橋粒子は、その優れた物性を利用し、艶消し剤、光拡散剤、研磨剤、各種フィルム用コーティング剤、或いはポリオレフィンやポリ塩化ビニル、各種ゴム、各種塗料、トナー等の充填剤、さらにはレオロジーコントロール剤や着色剤などの用途で従来から用いられてきた。その製造方法も種々開発されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特許文献1には、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの反応によりアミノ樹脂前駆体たる初期縮合物を生成させ、これを染色したのち、乳化させ硬化させて、着色したアミノ樹脂架橋粒子を製造するにあたり、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの反応の終点をアセトン混和度の測定により見定めるようにして、反応終了時に染料を添加して染色するようにすれば、耐溶剤性や耐熱性が付与された着色アミノ樹脂架橋粒子が得られること、得られた粒子は、前記乳化時における水系媒体から分離乾燥し、乾燥物を解砕しその凝集を解くことで、平均粒子径0.1〜20μmの粒子となっていることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの反応によりアミノ樹脂前駆体たる初期縮合物を生成させるときに界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸を使用し、得られた生成系に硬化剤を添加して前記アミノ樹脂前駆体を硬化させ、前記生成系の水系媒体中で粒子化して析出させることにより、平均粒子径0.1〜20μmのアミノ樹脂架橋粒子を得ること、析出させた粒子は、前記水系媒体から分離、乾燥し、乾燥物はボールミルを用いて極く軽い力で解砕することが開示されている。
特許文献3には、ベンゾグアナミンとメラミンからなる混合物とホルムアルデヒドを保護コロイド存在下で撹拌し、反応系に硬化触媒を添加して反応物を硬化させることにより、微細硬化粒子を得ること、得られた粒子は、反応系の水系媒体から分離、乾燥し、乾燥物に弱い力を加えてその凝集を解くことが開示されている。
【0004】
特許文献4には、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの反応によりアミノ樹脂前駆体たる初期縮合物を生成させ、これに無機顔料を添加しておいて、乳化し硬化させることにより、着色したアミノ樹脂架橋粒子を得ること、得られた粒子は、分離、乾燥したのち、乾燥物をボールミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用い、その凝集状態を解くような力を与えること、すなわち解砕することにより、粒子径5μm以下にすることが開示されている。その実施例では、着色アミノ樹脂架橋粒子は、その乾燥物を乳鉢で粉砕することが記載されている。
アミノ樹脂架橋粒子は、近年、OA技術分野の著しい発展に伴い、LCD用の光拡散シート用の光拡散剤としてアミノ樹脂架橋粒子の適用が注目されている。また、最近は、着色されたアミノ樹脂架橋粒子を用いて塩化ビニルシートなどを着色する技術も広範に実施されている。
【0005】
ところが、従来のアミノ樹脂架橋粒子を光拡散剤としてバインダー樹脂とともにPETフィルムなどのシート上に塗布し、LCD用の光拡散シートとした場合に斑点が発生するという問題の起きることが分かった。また、従来の着色アミノ樹脂架橋粒子を用いて塩化ビニルシートなどを着色した場合に色抜けが発生するという問題のあることも分かった。
アミノ樹脂架橋粒子の使用により斑点や色抜けの発生が起きるなどと言う製品品質不良が起きることは、上記光拡散シートや塩化ビニルシート以外の用途に従来のアミノ樹脂架橋粒子を使用した場合にも起きる可能性がある。
【特許文献1】特開昭49−057091号公報
【特許文献2】特公平07−017723号公報
【特許文献3】特開昭50−045852号公報
【特許文献4】特開平04−211450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記斑点の発生や色抜けの発生など、品質不良の問題が起きないアミノ樹脂架橋粒子とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、アミノ樹脂架橋粒子における上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、上記光拡散シートにおける光拡散剤や塩化ビニルシートの着色材料などという、製品品質が従来にない高い水準で要求される用途を考慮した場合、平均粒子径において特定の範囲を満たすことが必要であることが分かった。さらに、特定粒子径以上の粗大粒子の混在を抑える必要のあることも分った。すなわち、光拡散作用や着色を効果的にする上では、平均粒子径を0.1〜20μmという特定の範囲内に納めることが必要であり、他方、40μm以上の粗大粒子を個数基準で0.05%以下という特定レベル以下の量に抑えないと前述した斑点や色抜けの発生が起きるのである。前記課題の解決を図る上では、粗大粒子の混入抑制が特に重要である。すなわち、肉眼による視認評価を考慮すると、40μmという特定の粒径が意味を持ち、この粒径以上の粗大粒子が多く混在していると、光抜けや色抜けの起きていることが肉眼で検出されて欠陥となるのである。その場合に、この特定粒径以上の粗大粒子の存在が個数基準で0.05%以下であることという従来なかった新規な粒径制御の基準を満たしさえすれば、上記問題は確実かつ効果的に解消できるのである。
【0008】
本発明者は、さらに、以下のような知見も得た。すなわち、フィルムやシートなどの製品において高いレベルの透明性などを必要とする場合には、アミノ樹脂架橋粒子の平均粒子径を上記範囲内において小さいもの、すなわち、0.1〜5μmを選ぶ必要があるが、この場合において透明性の均一性を確保する等のことを求める場合には、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下であることが必要であることも分かった。
したがって、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られるアミノ樹脂架橋粒子であって、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%以下であることを特徴とする。
【0009】
そして、上記本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子において、その平均粒子径を0.1〜5μmとする場合には、粒子径が8μm以上のアミノ樹脂架橋粒子の割合が個数基準で0.05%以下とすることが好ましい。
本発明者はまた、上記特定の平均粒子径を持つとともに特定の粒子径以上の粒子を、特定割合を超えては含まないアミノ樹脂架橋粒子の製造方法を検討した結果、前述した従来の諸製造方法において得られるアミノ樹脂架橋粒子の粉砕物に分級を施すことが極めて重要であることを見出した。すなわち、従来と同様に、硬化反応後の水系媒体からアミノ樹脂架橋粒子を分離、乾燥したのち、得られた乾燥物を、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用い、その凝集状態を解くような力を与える、すなわち解砕するのであるが、この粉砕物をそのままにするのでなく、十分に分級することが極めて重要であることを見出したのである。
【0010】
前述した従来技術としてのアミノ樹脂架橋粒子の製造方法は、何れの方法おいても、硬化反応後の粒子の分離、乾燥および粉砕(解砕)は行っているが、粉砕物の分級までは行っていない。
したがって、上記本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子を得るための第1の製造方法は、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で乳化し硬化させてアミノ樹脂架橋粒子を得たのち、前記アミノ樹脂架橋粒子を前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕し、得られた粉砕物を分級することを特徴とする。
【0011】
次に、上記本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子を得るための第2の製造方法は、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合し、この混合液に触媒を添加することで前記アミノ樹脂前駆体を前記水系媒体中で粒子化し析出させたのち、前記アミノ樹脂架橋粒子を前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕し、得られた粉砕物を分級することを特徴とする。
上記第2の製造方法において、前記アミノ樹脂前駆体は水溶性であり、その水混和度が100%以上であることが好ましい。
【0012】
そして、本発明にかかる上記第1の製造方法においても、また、本発明にかかる上記第2の製造方法においても、前記粉砕時以降の少なくとも1つの処理においては、気流粉砕や気流分級を行ったり粒子の気流移送を行ったりする際の気流形成のために、水分含有量が6g/m以下であるガスを用いることが好ましい。そして、その際には、前記分級は気流分級で行うことがより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前述した斑点の発生や色抜けの発生など、品質不良の問題が起きないアミノ樹脂架橋粒子と、このようなアミノ樹脂架橋粒子を好適に得させる製造方法とを提供することができる。また、本発明のアミノ樹脂架橋粒子は、艶消し剤として良好な艶消し効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
<アミノ樹脂架橋粒子>
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%以下であることを特徴とする。
上記本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、後に説明する本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の第1および第2の製造方法によって好ましく得られる。
【0015】
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子において、上記平均粒子径は、好ましくは1〜15μmである。上記平均粒子径が0.1〜20μmの範囲内から外れると、例えば本発明のアミノ樹脂架橋粒子とバインダー樹脂を使用して光拡散シートとした場合の光拡散性能が劣る。なお、本発明においては、上記平均粒子径は、コールターマルチサイザーII型(コールター社製)を使用して測定したものである。
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子において、上記粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準での割合は、好ましくは0.03%以下であり、より好ましくは0.02%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。なお、上記の個数基準とは、粒子の個数の割合を示したものであり、全測定粒子個数に対する粗大粒子の個数の割合を示すものである。具体的には、粒度分布測定装置であるコールターマルチサイザーII型(コールター社製)を使用し、30000個の粒子の各粒子径を測定し、その中の所定の粒子径以上の粒子数の全粒子数30000個に対する割合をいう。
【0016】
粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%を超えるような粒子は、従来公知のアミノ樹脂架橋粒子に見られるような粒子であり、例えば、LCD用の光拡散シートとするために、PETフィルムなどのシート上にバインダー樹脂と共に塗布した場合に、粗大粒子に起因する斑点が発生しやすくなる。また、着色されたアミノ樹脂架橋粒子の場合であると、例えば、塩化ビニルシートなどの透明基材を着色した場合に、粗大粒子に起因する色抜けが発生する場合もある。
よって、本発明のアミノ樹脂架橋粒子から形成される光拡散剤、さらに具体的にはLCDの光拡散シート用の光拡散剤は好ましい実施形態となる。あるいは、本発明のアミノ樹脂架橋粒子から形成されるフィルムコーティング剤もまた好ましい実施形態となる。さらに、本発明のアミノ樹脂架橋粒子から形成される着色剤もまた好ましい実施形態となる。
【0017】
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下であることが好ましい。
本発明者は、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子として、平均粒子径が0.1〜5μmのものを対象とした場合においては、前述した粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準での割合が0.05%以下という条件は当然に満たすとともに、さらに、粒径8μmを基準としてこの粒径以上の粒子の個数基準での割合が0.05%以下であるという条件をも満たすようにすれば、例えば、光拡散シートの光拡散剤や塩化ビニルシート等の着色剤として用いた場合には、前述のように、透明性とその均一性に優れた品質、外観となることを見出している。また、近年のLCDの薄型化の要求に対応した、塗布厚みの薄い光拡散シートを作成することができる。
【0018】
本発明の上記好ましい実施形態においては、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準での割合は、0.05%以下であるが、好ましくは0.03%以下であり、より好ましくは0.02%以下であり、特に好ましくは0.01%以下である。粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%を超えるような場合は、前述の透明性と均一性に優れた品質、外観が得られないおそれがある。
本発明においては、後述するアミノ樹脂架橋粒子の製造条件、粉砕条件、分級条件、粒子搬送条件を規定する本発明のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法を採用することにより、平均粒子径とその分布が前述する特定の範囲のアミノ樹脂架橋粒子を容易かつ確実に得ることができ、また当該アミノ樹脂架橋粒子は保存中や貯蔵中においても状態が変動しにくく、具体的には粗大粒子の量が変動しにくく、保存安定性や貯蔵安定性に優れたものともなる。
【0019】
アミノ樹脂架橋粒子の乾燥粉体の保存安定性や貯蔵安定性であるが、具体的には、平均粒子径の変化の量を分子に、製造直後の平均粒子径を分母にした割合で示すと、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下である。また粒子径が40μm以上の粗大粒子の量を分子に、製造直後の当該粗大粒子の量を分母にした割合で示すと10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下である。
以下においては、特定の平均粒子径を有し、かつ、特定粒子径以上の粗大粒子(または粒子)を個数基準で特定割合を超えては含まない、上記本発明のアミノ樹脂架橋粒子を容易かつ確実に得ることのできる、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の製造方法を詳しく説明する。なお、本明細書においては、アミノ樹脂架橋粒子の製造過程での液の状態を、「乳濁液」と「懸濁液」という2つの液状態で表現するようにしているが、「乳濁液」とは、液体中に液体粒子がコロイド粒子あるいはそれより粗大な粒子として分散して乳状をなすものをいい、「懸濁液」とは、液体中に固体粒子がコロイド粒子または顕微鏡で見える程度の粒子として分散したものをいう。
【0020】
<アミノ樹脂架橋粒子の製造方法>
以下では、本発明にかかる上記アミノ樹脂架橋粒子を容易に得させる、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の製造方法を詳しく説明する。
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の製造方法は、アミノ樹脂架橋粒子の乾燥物を粉砕して得られる粉砕物を分級することが大きな特徴である。
なお、本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の製造方法は、特定の粒子径以上の粗大粒子(または粒子)の個数基準での含有割合を所定のレベル以下に低減させたアミノ樹脂架橋粒子を製造するための方法ではあるが、同時に別の側面から本発明の技術思想を捉えた場合、本発明の方法は、アミノ樹脂架橋粒子を製造する際に、上記粗大粒子(または粒子)の個数基準での含有割合を所定のレベル以下に調製する調整方法と認めることができ、あるいは、上記粗大粒子(または粒子)の個数基準での含有割合を所定のレベル以下に管理する管理方法、あるいは、製造管理方法と認めることもできる。
【0021】
−第1の製造方法−
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の第1の製造方法(以下、単に「第1の製造方法」と称することがある。)は、前述のように、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で乳化し硬化させてアミノ樹脂架橋粒子を得たのち、前記アミノ樹脂架橋粒子を前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕し、得られた粉砕物を分級することを特徴とする。
以下では、第1の製造方法を実施する上でのアミノ樹脂架橋粒子の一般的な製造方法を説明するとともに、第1の製造方法の特徴についても詳細に説明する。
【0022】
第1の製造方法は、一般的には、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによりアミノ樹脂前駆体を得る樹脂化工程と、この樹脂化工程により得られたアミノ樹脂前駆体を乳化してアミノ樹脂前駆体の乳濁液を得る乳化工程と、この乳化工程により得られた乳濁液に触媒を加えて乳化させたアミノ樹脂前駆体の硬化反応を行いアミノ樹脂架橋粒子を得る硬化工程と、を含むアミノ樹脂架橋粒子の製造方法である。
樹脂化工程においては、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることにより、初期縮合反応物たるアミノ樹脂前駆体を得るようにする。アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させるにあたっては、通常、溶媒として水が用いられる。よって、反応形態としては、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを水系媒体中で反応させることにより、初期縮合反応物たるアミノ樹脂前駆体を含む水溶液(反応液)を得るという形態となり、この反応形態を実施する具体的方法としては、ホルムアルデヒドを水溶液(ホルマリン)の状態にしたものにアミノ化合物を添加して反応させる方法や、トリオキサンやパラホルムアルデヒドを水に添加して水中でホルムアルデヒドを発生し得るようにした水溶液にアミノ化合物を添加して反応させる方法等が好ましく挙げられ、なかでも、前者の方法が、ホルムアルデヒド水溶液の調整槽が必要ないこと、入手が容易であることなど、経済性の点でより好ましい。
【0023】
なお、一般的に、上記反応を行う樹脂化工程は、公知の撹拌装置等による撹拌下で行うことが好ましい。
樹脂化工程において、原料として用いることのできるアミノ系化合物としては、特に限定はされないが、例えば、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym.−トリアジン)、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミンおよびメラミン等が挙げられる。これらの中でも、一般に、トリアジン環を有するアミノ系化合物がより好ましいが、さらに、ベンゾグアナミンは、ベンゼン環と2個の反応基とを有することから初期縮合状態での染色性に優れ、架橋後は可とう性(硬度)、耐汚染性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性に優れているため特に好ましい。これらアミノ系化合物は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0024】
使用するアミノ系化合物全体中、上に例示したアミノ系化合物(ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミンおよびメラミン)の合計が40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、最も好ましくは100重量%である。上に例示したアミノ系化合物の合計が40重量%以上であることによって、耐熱性、耐溶剤性の優れたアミノ樹脂架橋粒子が得られるといった効果が得られる。
樹脂化工程において反応させるアミノ系化合物とホルムアルデヒドとのモル比(アミノ系化合物(モル)/ホルムアルデヒド(モル))は、1/3.5〜1/1.5であることが好ましく、1/3.5〜1/1.8であることがより好ましく、1/3.2〜1/2であることがさらにより好ましい。上記モル比が1/3.5未満であると、ホルムアルデヒドの未反応物が多くなるおそれがあり、1/1.5を超える場合は、アミノ系化合物の未反応物が多くなるおそれがある。
【0025】
なお、水を溶媒として用いた場合に、水に対するアミノ系化合物およびホルムアルデヒドの添加量、すなわち、仕込み時点におけるアミノ系化合物およびホルムアルデヒドの濃度は、反応に支障の無い限りにおいて、より高濃度であることが望ましい。より具体的には、反応物であるアミノ樹脂前駆体を含む反応液の95〜98℃の温度範囲内での粘度を、2×10−2〜5.5×10−2Pa・s(20〜55cP)の範囲内に調節・制御することができる濃度であることが好ましく、より好ましくは、後述する乳化工程において、乳濁液中のアミノ樹脂前駆体の濃度が30〜60重量%の範囲内となるように、反応液を乳化剤の水溶液に添加する若しくは反応液に乳化剤や乳化剤の水溶液を添加することができる濃度であればよい。
【0026】
したがって、樹脂化工程においてアミノ樹脂前駆体を含む反応液を得た場合、該反応液の95〜98℃の温度範囲内での粘度は、2×10−2〜5.5×10−2Pa・s(20〜55cP)であることが好ましく、より好ましくは2.5×10−2〜5.5×10−2Pa・s(25〜55cP)、さらにより好ましくは3.0×10−2〜5.5×10−2Pa・s(30〜55cP)である。
上記粘度の測定方法は、反応の進行状態を即時的に(リアルタイムで)把握することができると共に、該反応の終点を正確に見極めることができるように、粘度測定機を用いる方法が最適である。該粘度測定機としては、振動式粘度計(MIVI ITSジャパン社製、製品名:MIVI 6001)が使用できる。この粘度計は、常時振動している振動部を備えており、該振動部を反応液に浸漬することで、該反応液の粘性が増加して振動部に負荷が掛かると、その負荷を粘度に即時的に換算して表示するようになっている。
【0027】
アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを水中で(水系媒体中で)反応させることにより、いわゆる初期縮合物であるアミノ樹脂前駆体を得ることができる。反応温度は、反応の進行状態を即時的に把握することができると共に、該反応の終点を正確に見極めることができるように、95〜98℃の温度範囲内であることが望ましい。そして、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの反応は、反応液の粘度が2×10−2〜5.5×10−2Pa・sの範囲内となった時点で、該反応液を冷却する等の操作を行うことにより終了すればよい。これにより、アミノ樹脂前駆体を含む反応液が得られる。また、反応時間は、特に限定されるものではない。
【0028】
樹脂化工程において得られたアミノ樹脂前駆体については、該アミノ樹脂前駆体を構成するアミノ系化合物由来の構造単位とホルムアルデヒド由来の構造単位とのモル比(アミノ系化合物由来の構造単位(モル)/ホルムアルデヒド由来の構造単位(モル))が、1/3.5〜1/1.5であることが好ましく、1/3.5〜1/1.8であることがより好ましく、1/3.2〜1/2であることがさらにより好ましい。上記モル比を上記範囲内とすることにより、粒度分布の狭い粒子を得ることができる。
なお、通常、反応終了時点での反応液の粘度は、アミノ系化合物およびホルムアルデヒドを仕込んだ(反応開始時の)水溶液の粘度と比較して著しく高く、従って、仕込んだ原料の濃度等には殆ど影響されない。アミノ樹脂前駆体は、通常、アセトンやジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の有機溶媒に対して可溶であるが、水に対して実質的に不溶である。
【0029】
第1の製造方法にあっては、当該アミノ樹脂前駆体を含む反応液を得る樹脂化工程における反応液の粘度を低くすることにより、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子の粒子径を小さくすることができる。しかしながら、反応液の粘度が2×10−2Pa・s未満である場合、或いは5.5×10−2Pa・sを超える場合には、最終的に粒子径がほぼ揃った(粒度分布が狭い)アミノ樹脂架橋粒子を得ることができない。すなわち、反応液の粘度が2×10−2Pa・s(20cP)未満であると、後述する乳化工程で得られる乳濁液の安定性が乏しくなる。このため、硬化工程においてアミノ樹脂前駆体を硬化させた場合、得られるアミノ樹脂架橋粒子が肥大化したり、粒子同士が凝集したりしてしまうおそれがあり、アミノ樹脂架橋粒子の粒子径を制御することができず、粒度分布の広いアミノ樹脂架橋粒子となるおそれがある。また、乳濁液の安定性が乏しい場合、製造する毎に(バッチ毎に)、アミノ樹脂架橋粒子の粒子径(平均粒子径)が変化してしまい、製品にバラツキを生じてしまうおそれがある。一方、反応液の粘度が5.5×10−2Pa・s(55cP)を超えると、後述する乳化工程で用いる高速撹拌機等にかかる負荷が大きすぎて、その剪断力が低下するため、反応液を充分に撹拌する(乳濁させる)ことができなくなるおそれがある。このため、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子の粒子径を制御することができなくなり、粒度分布の広いアミノ樹脂架橋粒子となるおそれがある。よって、樹脂化工程における反応液を上記粘度範囲に調整することは、本発明のアミノ樹脂架橋粒子を得る上で好ましい実施形態となる。
【0030】
乳化工程においては、樹脂化工程により得られたアミノ樹脂前駆体を乳化してアミノ樹脂前駆体の乳濁液を得るようにする。乳化するにあたっては、例えば、保護コロイドを構成し得る乳化剤を用いることが好ましく、より好ましくは保護コロイドを構成し得る水溶性重合体からなる乳化剤である。
上記乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、水溶性ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドンなどを用いることができる。これら乳化剤は、全量が水に溶解させた水溶液の状態で用いてもよいし、その一部を水溶液の状態で用い、残りをそのままの状態(例えば粉体状、顆粒状、液状など)で用いるようにしてもよい。上に例示した乳化剤のなかでも、乳濁液の安定性、触媒との相互作用等を考慮すると、ポリビニルアルコールがより好ましい。ポリビニルアルコールは、完全ケン化物であってもよく、部分ケン化物であってもよい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではない。上記樹脂化工程で得られたアミノ樹脂前駆体に対する乳化剤の使用量が多い程、生成する粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。乳化剤の使用量は、上記樹脂化工程で得られたアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。該使用量が上記範囲を外れると、乳濁液の安定性が乏しくなるおそれがある。
【0031】
乳化工程では、例えば、乳化剤の水溶液に、アミノ樹脂前駆体の濃度(つまり、固形分濃度)が30〜60重量%の範囲内となるように上記樹脂化工程で得られた反応液を添加した後、50〜100℃の温度範囲内で乳濁させることが好ましく、より好ましくは60〜100℃、さらにより好ましくは70〜95℃である。乳化剤の水溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、アミノ樹脂前駆体の濃度を上記範囲内に調節することができる濃度であればよい。上記アミノ樹脂前駆体の濃度が30重量%未満であると、アミノ樹脂架橋粒子の生産性が低下するおそれがあり、60重量%を超えると、得られるアミノ樹脂架橋粒子が肥大化したり、粒子同士が凝集したりしてしまうおそれがあり、アミノ樹脂架橋粒子の粒子径を制御することができなくなるため、粒度分布の広いアミノ樹脂架橋粒子となるおそれがある。
【0032】
乳化工程における撹拌方法としては、より強力に撹拌することができる装置(高せん断力を有する装置)を用いる方法、具体的には、例えば、いわゆる高速撹拌機やホモミキサーや、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)、高速ディスパー、エバラマイルザー((株)荏原製作所製)、高圧ホモジナイザー((株)イズミフードマシナリ製)、スタティックミキサー((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)などを用いる方法が好ましい。
乳化工程においては、樹脂化工程で得られたアミノ樹脂前駆体を、所定の粒子径となるまで乳化を促進させることが好ましく、該所定の粒子径は、最終的に所望の粒子径のアミノ樹脂架橋粒子が得られるよう適宜設定すればよい。具体的には、容器や撹拌翼の種類、撹拌速度、撹拌時間、乳化温度などを適宜考慮することにより、乳化したアミノ樹脂前駆体の平均粒子径が0.1〜20μmとなるよう乳化を行うことが好ましく、より好ましくは0.5〜20μm、さらにより好ましくは1〜15μmである。アミノ樹脂前駆体を上記粒子径範囲となるよう乳化させることよって、最終的に後述する所望の粒子径範囲のアミノ樹脂架橋粒子を得ることができる。
【0033】
第1の製造方法においては、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子が強固に凝集することをより確実に防止するために、必要に応じて、上記乳化工程後に得られた乳濁液に無機粒子を添加しておくことができる。無機粒子としては、具体的には、例えば、シリカ微粒子、ジルコニア微粒子、アルミニウム粉、アルミナゾル、セリエゾル等が好ましく挙げられ、なかでも、入手が容易であるといった点で、シリカ微粒子がより好ましい。無機粒子の比表面積は10〜400m/gであることが好ましく、より好ましくは20〜350m/g、さらにより好ましくは30〜300m/gである。無機粒子の粒子径は0.2μm以下であることがより好ましく、より好ましくは0.1μm以下、さらにより好ましくは0.05μm以下である。比表面積や粒子径が上記範囲内であれば、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子が強固に凝集することを防止するのに、より一層優れた効果を発揮することができる。
【0034】
乳濁液に無機粒子を添加する方法としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、無機粒子をそのままの状態(粒子状)で添加する方法や、無機粒子を水に分散させた分散液の状態で添加する方法などが挙げられる。乳濁液に対する無機粒子の添加量は、乳濁液に含まれるアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜28重量部、さらにより好ましくは3〜25重量部である。1重量部未満であると、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子が強固に凝集することを十分防止することができないおそれがあり、30重量部を超える場合は、無機粒子のみの凝集物が発生するおそれがある。また、無機粒子を添加した際の撹拌方法としては、前述の強力に撹拌することができる装置(高せん断力を有する装置)を用いる方法が無機粒子をアミノ樹脂粒子に強固に固着させるという点で好ましい。
【0035】
硬化工程においては、上記乳化工程により得られた乳濁液に触媒(詳しくは硬化触媒)を加え、乳化させたアミノ樹脂前駆体の硬化反応を行う(アミノ樹脂前駆体を乳濁状態で硬化させる)ことによりアミノ樹脂架橋粒子(詳しくは、アミノ樹脂架橋粒子の懸濁液)を得るようにする。
上記触媒(硬化触媒)としては酸触媒が好適である。酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸;これら鉱酸のアンモニウム塩;スルファミン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類;フタル酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、サリチル酸等の有機酸;が使用できる。上記例示の酸触媒のうち、硬化速度の点で鉱酸が好ましく、さらに、装置への腐食性、鉱酸使用時の安全性等の点で、硫酸がより好ましい。また、上記触媒として硫酸を用いる場合、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いる場合に比べて、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子が変色しない又は耐溶剤性が高いといった点で好ましい。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。上記触媒の使用量としては、上記乳化工程により得られる乳濁液中のアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜4.5重量部、さらにより好ましくは0.5〜4.0重量部である。触媒の使用量が5重量部を超えると、乳濁状態が破壊され、粒子同士が凝集してしまうおそれがあり、0.1重量部未満であると、反応に長時間を要したり、硬化が不十分となるおそれがある。また、同様に、上記触媒の使用量としては、原料化合物として用いたアミノ系化合物1モルに対して0.002モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.005モル以上、さらに好ましくは0.01〜0.1モルである。触媒の使用量がアミノ系化合物1モルに対して0.002モル未満であると、反応に長時間を要したり、硬化が不十分となるおそれがある。
【0036】
硬化工程における硬化反応は、好ましくは15(常温)〜80℃、より好ましくは20〜70℃、さらにより好ましくは30〜60℃で、少なくとも1時間保持した後、常圧または加圧下で好ましくは60〜150℃、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜100℃の範囲の温度で行うことが好ましい。硬化反応の反応温度が、60℃未満であると、硬化が十分に進行せず、得られたアミノ樹脂架橋粒子の耐溶剤性や耐熱性が低下するおそれがあり、150℃を超える場合は、強固な加圧反応器が必要となり、経済的でない。
硬化反応の終点は、サンプリングまたは目視によって判断すればよい。また、硬化反応の反応時間は、特に限定されない。
【0037】
硬化工程における撹拌方法としては、通常公知の撹拌装置などによる撹拌下で行うことが好ましい。
硬化工程においては、乳濁状態のアミノ樹脂前駆体を硬化させて得られるアミノ樹脂架橋粒子の平均粒子径を、0.1〜20μmとすることが好ましく、より好ましくは0.5〜20μm、さらにより好ましくは1〜15μmである。
第1の製造方法においては、アミノ樹脂前駆体の乳濁液やアミノ樹脂架橋粒子の懸濁液に、染料を水に溶解してなる水溶液を添加する着色工程を含むことができる。
アミノ樹脂前駆体やアミノ樹脂架橋粒子は、染料との親和性に優れている。得られたアミノ樹脂前駆体の乳濁液やアミノ樹脂架橋粒子の懸濁液に着色工程にて添加される染料は、水に溶解する染料、即ち、水溶性の染料であればよく、特に限定されるものではない。水溶性染料としては、具体的には、例えば、ローダミンB、ローダミン6GCP(以上、住友化学工業株式会社製)、メチルバイオレットFN、ビクトリアブルーFN等の塩基性染料;キノリンイエローSS−5G、キノリンイエローGC(以上、中央合成化学株式会社製)、アシッドマゼンタO、メチルバイオレットFB、ビクトリアブルーFB等の酸性染料;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら染料は、単独で用いてもよく、また.2種類以上を併用してもよい。
【0038】
水溶液における染料の濃度は、特に限定されるものではないが、0.1〜5重量%の範囲内であることがより好ましく、1〜3重量%の範囲内であることがさらに好ましい。染料の濃度が0.1重量%未満であると、添加する水溶液の量が多量となるので、アミノ樹脂粒子の生産性が低下する場合がある。一方、染料の濃度が5重量%を超えると、乳濁液の安定性が低下するので、得られるアミノ樹脂架橋粒子が肥大化したり、粒子同士が凝集したりする場合がある。尚、染料を水に溶解してなる水溶液の調製方法、および、水溶液を乳濁液に添加・混合する方法は、特に限定されるものではない。
第1の製造方法においては、前記樹脂化工程で得られた反応液に、必要に応じて、前段着色工程として、さらに染料を添加してもよい。該染料は、水に分散する染料、即ち、油溶性の染料であればよく、特に限定されるものではない。油溶性染料としては・具体的には、例えば、オイルオレンジB、オイルブルーBA(以上、中央合成化学株式会社製)、アゾソールブリリアントイエロー4GF、アゾソールファストブルーGLA、オイルレッドTR−71等の溶剤可溶染料;ファストイエローYL、ファストブルーFG、セリトンピンクFF3B、セリトンピンク3B等の分散染料;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら染料は、単独で用いてもよく、また、2極類以上を併用してもよい。油溶性染料を水に分散してなる分散液を樹脂化工程で得られた反応液に添加する前段着色工程と、前記着色工程とを行うことにより、より一層充分にかつ均一に着色された、即ち、個々の粒子の色調がより一層揃ったアミノ樹脂粒子を得ることができる。
【0039】
油溶性染料を水に分散してなる分散液における染料の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜50重量%の範囲内であることがより好ましく、20〜40重量%の範岡内であることがさらに好ましい。染料の含有量が1重量%未満であると、添加する分散液の量が多量となるので、アミノ樹脂架橋粒子の生産性が低下する場合がある。一方、染料の含有量が50重量%を超えると、分散液の流動性が低下するので、添加時における取り扱い性が低下して添加に手間がかかる場合がある。また、油溶性の染料は水に対する濡れ性が乏しいため、該染料を水に分散する際には、必要に応じて、分散助剤を使用することもできる。尚、染料を水に分散してなる分散液の調製方法、および、分散液を反応液に添加・混合する方法は、特に限定されるものではない。
【0040】
油溶性染料を水に分散してなる分散液を添加した後の上記反応液(溶液)は、例えば炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ剤を用いて、そのpHを6〜12の範囲内、より好ましくは7〜9の範囲内に調節することが好ましい。これにより、硬化工程におけるアミノ樹脂前駆体の縮合・硬化を充分に制御することができる。アルカリ剤の使用量等は、特に限定されるものではない。また、アルカリ剤は、水溶液の状態で反応液に添加・混合する方法が好適であるが、該方法は、特に限定されるものではない。
第1の製造方法においては、上記硬化工程により得られたアミノ樹脂架橋粒子を含む懸濁液の中和を行う中和工程を含むことができる。中和工程は、上記硬化工程において、硬化触媒として硫酸等の酸触媒を用いた場合に行うことが好ましい。中和工程を行うことにより、上記酸触媒を取り除くこと(具体的には酸触媒を中和すること)ができ、例えば、後述する加熱工程などにおいてアミノ樹脂架橋粒子を加熱した場合に、アミノ樹脂架橋粒子の変色(例えば、黄色に変色)を抑制することができる。また、着色されたアミノ樹脂架橋粒子の場合にも黄変抑制に効果があり、耐熱性に優れた鮮やかな着色粒子を得る上で上記中和工程は好ましい実施形態である。
【0041】
中和工程でいう「中和」とは、アミノ樹脂架橋粒子を含む懸濁液のpHを5以上とすることが好ましく、より好ましくはpHを5〜9にすることである。該懸濁液のpHが5未満である場合には、酸触媒が残っているので後述する加熱工程などにおいて、アミノ樹脂架橋粒子が変色する。上記中和により該懸濁液のpHを上記範囲内に調節することにより、硬度が高く、耐溶剤性や耐熱性に優れ、かつ、変色のないアミノ樹脂架橋粒子を得ることができる。
中和工程において用いることのできる中和剤としては、例えば、アルカリ性物質が好適である。該アルカリ性物質としては、例えば、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアが挙げられるが、なかでも取り扱いが容易である点で、水酸化ナトリウムが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液が好適に用いられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
第1の製造方法においては、硬化工程後あるいは中和工程後に得られるアミノ樹脂架橋粒子の懸濁液から、該アミノ樹脂架橋粒子を取り出す分離工程を含むことができる。なお、第1の製造方法において、アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出すこととは、硬化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を乳化時(乳化工程時)における水系媒体から分離して取り出すことである。
アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から取り出す方法(分離方法)としては、濾別する方法や遠心分離機等の分離機を用いる方法が簡便な方法として挙げられるが、特に限定されるわけではなく、通常公知の分離方法を用いることができる。なお、懸濁液から取り出した後のアミノ樹脂架橋粒子は、必要に応じて、水等で洗浄してもよい。
【0043】
第1の製造方法においては、分離工程を経て取り出したアミノ樹脂架橋粒子を、130〜190℃の温度で加熱する加熱工程を行うことが好ましい。加熱工程を行うことによって、アミノ樹脂架橋粒子に付着している水分および残存しているフリーなホルムアルデヒドを除去することができ、かつ、アミノ樹脂架橋粒子内の縮合(架橋)をさらに促進させることができる。上記加熱温度が130℃より低い場合には、アミノ樹脂架橋粒子内の縮合(架橋)を十分に促進させることができず、アミノ樹脂架橋粒子の硬度、耐溶剤性および耐熱性を向上させることができないおそれがあり、190℃を越える場合は、得られるアミノ樹脂架橋粒子が変色するおそれがある。上述した中和工程を行った場合であっても、加熱温度が上記温度範囲外である場合の影響は同様である。中和工程を行った上で、アミノ樹脂架橋粒子の加熱温度を上記範囲内とすることにより、硬度が高く、耐溶剤性および耐熱性に優れ、かつ、変色のないアミノ樹脂架橋粒子を得ることができる。
【0044】
加熱工程における加熱の方法については、特に限定されるものではなく、通常公知の加熱方法を用いればよい。
加熱工程は、例えば、アミノ樹脂架橋粒子の含水率が3重量%以下となった段階で終了すればよい。また、加熱時間は、特に限定はされない。
なお、第1の製造方法にあっては、より好ましくは、アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出し、乾燥(加熱)、粉砕することによって得られたアミノ樹脂架橋粒子粉体を、さらに分級することにより、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を得ることである。
【0045】
なお、アミノ樹脂架橋粒子の製造方法における加熱工程で発生する排ガスには有害なホルムアルデヒドを含むことが従来から問題となっており、これまでは、通常、水に吸収させて燃焼処理していた。しかしながら、吸収に必要な水の量が多大であり、また、吸収には長時間が必要なため、経済的に問題があった。そのため、前記加熱工程を実施するに当たって%、この工程で発生するホルムアルデヒドを含む排ガスを、白金を主成分とする触媒を使用して燃焼処理することが好ましい。
第1の製造方法では、硬化反応工程を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子は、前述したように、これを前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕し、最後に、得られた粉砕物を分級するようにしている。
【0046】
前記粉砕を行う粉砕工程とは、硬化、分離、乾燥(加熱)工程において凝集したアミノ樹脂架橋粒子を解砕する工程をいう。また、前記分級を行う分級工程とは、乳化工程で生成した微小粒子、特定粒径以上の粗大粒子または粒子、および前記粉砕工程において解砕できなかった凝集粗大粒子や凝集粒子を低減する工程をいい、分級のみを行う工程でもよいし、粉砕と分級をともに行う工程でもよい。また、前記粉砕と分級とを共に行う場合、粉砕を行ってから分級を行ってもよいし、粉砕と分級とを同時に行ってもよい。
第1の製造方法における粉砕工程と分級工程では、粉砕機と分級機は別々の装置を用いてもよいが、粉砕と分級の両機能を兼ね備えた装置(粉砕分級機)を用いることもできる。粉砕機としては、例えば、バンタムミル、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)、サンプルミル(不二パウダル(株)製)、ジェットミルなどが挙げられる。分級機としては、例えば、ミクロンセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、マイクロンクラッシファイアー((株)セイシン企業製)、TURBO CLASSIFIER(日清エンジニアリング(株)製)などが挙げられる。粉砕分級機としては、例えば、LABO JET(日本ニューマチック工業(株)製)、ジェット粉砕分級機STJ−200((株)セイシン企業製)などが挙げられる。粉砕分級機は、装置がコンパクトになり、経済的であるといった理由からより好ましい形態である。
【0047】
粉砕および/または分級する条件は特に限定されないが、例えば、上記粉砕時以降の少なくとも1つの処理(粉砕および/または分級する工程、ならびに、これらの間の工程やこれらの後の工程のうちの少なくとも1つの処理工程。以下同じ。)において、気流形成のために使用するガスの条件について、その水分含有量が、6g/m以下に制御されていることが好ましく、より好ましくは、水分含有量を5g/m以下に制御されたガスであり、さらに好ましくは、水分含有量を4g/m以下に制御されたガスであり、さらにより好ましくは、水分含有量を3g/m以下に制御されたガスであり、特に好ましくは、水分含有量を2g/m以下に制御されたガスであり、最も好ましくは、水分含有量を1g/m以下に制御されたガスである。気流形成のために使用するガスとは、粉砕する工程や分級する工程に使用するガスのほか、各工程間での粒子移送(粒子搬送)のために使用するガスも含むものである。水分含有量を上記のように制御する理由は、前記硬化によって得られた粉体をさらに粉砕および/または分級する工程において、また、各工程間を移送(搬送)させる工程において、気流形成のために使用するガスとして、水分含有量が6g/mよりも多いガス、例えば、通常の空気(大気)を用いると、一旦粉砕あるいは分級された粒子の一部が再度凝集を起こして粗大粒子となるおそれがあるからである。なお、水分含有量の下限は特に限定されず、理想的には0であるが、現実的には、例えば、0.05g/m以上などが考えられる。前述した粉砕分級機を用いる場合は、上記水分含有量を制御したガスを使用することが特に好ましく、特定粒径以上の粒子(40μm以上の粗大粒子等)の割合が特定レベル以下である上記本発明のアミノ樹脂架橋粒子を、容易に、また確実かつ効果的に得させることができる。
【0048】
粉砕および/または分級する条件としては、上記において、粉砕時以降のすべての処理(粉砕する工程、分級する工程、これらの間の工程およびこれらの後の工程のすべての処理工程。以下同じ。)において、気流形成のために使用するガスの条件について、その水分含有量を上記範囲と同様の範囲に制御することがより好ましい。
粉砕および/または分級する条件としてはまた、前記粉砕時以降において雰囲気管理のために上述の水分含有量を制御したガスを用いることが好ましい。上記雰囲気管理としては、具体的には、前記粉砕や分級等のアミノ樹脂架橋粒子を扱う各種操作を行う室内を、上記ガスを用いることにより水分含有量を管理することなどが挙げられる。上記雰囲気管理をすることにより、例えば、粉砕装置から排出された粉砕物を、周囲の雰囲気下に露出させた状態で次の分級装置の投入口まで移送するというように、各工程間の粒子移送(搬送)を水分含有量を制御した気流により行わず一旦周囲の雰囲気下に露出する過程を経て行う場合においても、粒子の一部が再度凝集を起こして粗大粒子となることを効果的に防ぐことができる。
【0049】
上記粉砕時および/または分級時以降の工程において、上述のように水分含有量を制御したガスを使用することや、上記粉砕時以降の工程において、雰囲気管理を上述のように水分含有量を制御したガスを使用することにより、容易に、本発明で規定した上記の特定粒径以上の粗大粒子または粒子の割合を特定レベル以下とすることができる。
上記分級後、密封容器内で保存・貯蔵する場合に、該密封容器に上記水分含有量を制御したガスを充填しておくことにより、優れた保存安定性・貯蔵安定性の効果を得ることができる。すなわち、上記水分含有量を制御したガスを使用する密封容器での保存方法は、本発明での好ましい実施形態となる。この保存方法により保存・貯蔵されたアミノ樹脂架橋粒子は、本発明のアミノ樹脂架橋粒子として前述した特定の平均粒子径と特定粒径以上の粗大粒子または粒子の割合が特定レベル以下であるという粒度分布特性を、保存・貯蔵の前後において満たしながら、併せて、後述するように、非常に顕著な保存安定性・貯蔵安定性を有する粒子とすることができる。
【0050】
保存安定性・貯蔵安定性については、分級後に得られたアミノ樹脂架橋粒子を、上述の水分含有量条件を満たすガスを使用して、1ヶ月間密封容器に保存したときの、特定粒径以上の粗大粒子または粒子の割合の変化の度合いで評価するようにする。具体的には、「保存前の特定粒径以上の粗大粒子または粒子の割合(%)」をaとし、「保存後の特定粒径以上の粗大粒子または粒子の割合(%)」をbとしたときに、下記式(A):
(|a−b|/a)×100 (%) (A)
により求まる値で評価することとし、この値が30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下である。また、1ヶ月間密封容器に保存するところを、6ヶ月間保存して評価した値が上記範囲を満たすことが、最も好ましい。
【0051】
上記粉砕時および/または分級時以降の工程においてはまた、粉砕時および/または分級時の気流形成のために使用するガスの条件については、粉塵爆発の危険性があるため、酸素濃度が低い不活性ガスを使用することが好ましく、具体的には、酸素濃度が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。このような不活性ガスとしては、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの希ガスが挙げられるが経済性の面で窒素ガスが好ましい。なお、この酸素濃度条件は、上記水分含有量の条件と合せて制御するようにしてもよいし、上記水分含有量の条件とは別に制御するようにしてもよいが、前者が好ましい。
【0052】
分級方式としては、大別して、乾式および湿式があるが、湿式の場合その後に乾燥工程を施すことが必要になり、この乾燥時に粒子凝集が起こり粗大粒子が発生することとなるため、再度乾式での分級が必要となって、工程が煩雑になり好ましくない。工程の簡略化ができる点で、乾式での分級が好ましい。乾式での分級方式としては、大別して、気流分級方式、篩方式が挙げられるが、篩方式を使用した場合、アミノ樹脂架橋粒子は粒子が架橋しているため硬く、篩の目に粒子が目詰まりした場合に除去が困難である(無理に除去しようとすると篩の目が変形してしまう)こと、連続的に生産することが容易であるといった点から、気流分級方式が好ましい。
【0053】
上記気流分級方式により分級工程を行う場合は、アミノ樹脂架橋粒子の粉体の供給速度を0.1〜100kg/hに制御することが好ましく、より好ましくは0.1〜50kg/hである。供給速度を上記範囲を満たすように制御することにより、前述した本発明のアミノ樹脂架橋粒子を容易に得ることができる。
同様に、気流分級方式により分級工程を行う場合、気流の総風量を0.5〜30m/minに制御することが好ましく、より好ましくは0.5〜25m/minである。総風量を上記範囲を満たすように制御することによっても、前述した本発明のアミノ樹脂架橋粒子を容易に得ることができる。
【0054】
なお、上記総風量とは、気流分級のための気流形成に使用されるガスの総量である。通常、気流形成のためにブロアなどを用いて分級機内のガスおよび分級機内に流入する(投入される)ガスを排気するが、この場合、総排気量を総風量とする。気流分級方式により前記分級工程を行う場合は、上記供給速度および総風量のいずれをも満たすように制御することが特に好ましい。
気流分級方式により分級工程を行う場合、上記供給速度と総風量との比「総風量/供給速度」について、0.1〜50を満たすように制御することが好ましく、より好ましくは0.1〜30、さらに好ましくは0.5〜10である。上記比が0.1未満であると、アミノ樹脂架橋粒子の収量が低下するおそれがあり、50を超えると、特定粒径以上の粗大粒子が増加するおそれがある。
【0055】
上記のように、硬化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して乾燥し、粉砕し、さらに分級することによって、特定の粒子径以上の粗大粒子(または粒子)の個数基準での含有割合を所定のレベル以下に低減させたアミノ樹脂架橋粒子が得られる。
第1の製造方法においては、上述のように、気流粉砕分級、あるいは、気流分級方式を採用し、さらに移送用ガス(搬送用空気など)として水分含有量が特定レベルに低減されたガスを用いることで、連続した一連の工程で、余分な水分等の混入もなく、当該アミノ樹脂架橋粒子を安定的に製造して容器に密封することができる。
第1の製造方法においては、さらに、前記硬化は前記乳化により得られる乳濁液に触媒を添加することで行うようにし、かつ、前記触媒の添加は前記乳化の開始から5時間以内に行うようにすることが好ましい。
【0056】
このように、乳化開始(アミノ樹脂前駆体と乳化剤(乳化剤水溶液)との混合開始)から硬化開始(触媒添加時)までの時間(以下、乳化時間と言うことがある。)を5時間以内に制御することによって、特定の粒子径以上の粗大粒子(または粒子)の個数基準での含有割合を所定のレベル以下に低減させたアミノ樹脂架橋粒子を容易に得ることができる。
前記乳化時間は、好ましくは4時間以内、より好ましくは3時間以内、さらに好ましくは2時間以内、さらにより好ましくは1時間以内である。前記時間が5時間を超えると、特定の粒子径以上の粗大粒子(または粒子)の発生量が増加するために好ましくない。
【0057】
前記乳化時間の始まりから終わりまでの間に行う操作については、前述のごとく乳化開始で始まり硬化開始で終了することとする以外は、特に限定はされない。したがって、例えば、(i)アミノ樹脂前駆体を含む反応液と乳化剤とを撹拌混合しアミノ樹脂前駆体を乳濁状態にした後、撹拌を止めて静置し所定の温度まで冷却するようにしてもよいし、(ii)上記冷却後に所定の無機粒子を添加するなどの他の工程を行ってもよいし、(iii)所望の乳濁状態になるまで上記撹拌混合を行い、その後も触媒を添加するまで撹拌(始めに比べて緩やかな撹拌が好ましい)を続けながら且つ冷却も同時にするようにしてもよく、特に限定はされない。
【0058】
通常は、例えば上記(iii)のような操作を行う場合は、乳化時間を長くすればその分撹拌により乳濁状の粒子にせん断力を加えられる時間が長くなるために粗大粒子は低減するように思われ、また、例えば上記(i)や(ii)のような操作を行う場合は、一旦乳濁状態にした個々の粒子は静置冷却により安定した単分散状態となり粗大粒子は増加しないように思われる。しかしながら、驚くべきことに、上記(i)〜(iii)等のいずれの場合であっても、前記乳化時間が5時間を超えると、粗大粒子の発生量が増加していく傾向があることが判明した。原因は定かではないが、例えば、せん断力を一定時間以上付与し続けたり、静置状態を一定時間以上継続すること等により、乳化物中の粒子表面の乳化膜が破壊され、凝集が起こりやすくなることが考えられる。
【0059】
上述した第1の製造方法は、本発明のアミノ樹脂架橋粒子を容易に得るための方法であること、すなわち、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を容易に得るための方法であることが好ましい。
−第2の製造方法−
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子の第2の製造方法(以下、単に「第2の製造方法」と称することがある。)は、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合し、この混合液に触媒を添加することで前記アミノ樹脂前駆体を前記水系媒体中で粒子化し析出させたのち、前記アミノ樹脂架橋粒子を前記水系媒体から分離して乾燥し、得られた乾燥物を粉砕し、得られた粉砕物を分級することを特徴とする。
【0060】
第2の製造方法でも、第1の方法で述べた樹脂化工程、すなわち、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させる工程によりアミノ樹脂前駆体を得るようにするが、第2の製造方法では、この樹脂化工程により得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合する混合工程を施し、この混合液に触媒を加えてアミノ樹脂前駆体の硬化による粒子化および析出を行いアミノ樹脂架橋粒子を得る硬化・粒子化工程を施す点で、第1の製造方法とは異なる。
本発明にかかるアミノ樹脂架橋粒子は、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%以下であれば良いのであるが、この範囲に入る粒子のうちでも、平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下であることが好ましいことは、前述した。この好ましい平均粒子径等を有する本発明のアミノ樹脂架橋粒子は、第1および第2の製造方法のうち、第2の製造方法により好ましく得ることができる。第2の製造方法の好ましい状態では、水溶液状態においてアミノ樹脂前駆体の硬化を開始させることにより極めて粒子径の小さいアミノ樹脂架橋粒子の調製が容易となり、平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を得やすくするからである。
【0061】
なお、第2の製造方法において用いるアミノ系化合物としては、後述する水混和性の程度を満たすようにその種類および組成比は適宜設定することが好ましいが、ホルマリンと反応して水溶性のアミノ樹脂前駆体を生成し得るものを必須とすることがより好ましい。また、樹脂化工程で得られるアミノ樹脂前駆体は水溶性であることが好ましい。
第2の製造方法において用いる界面活性剤は、アミノ樹脂前駆体の水系媒体に水親和性を得させるために使用するものであり、第1の製造方法で用いる乳化剤は含まない。
上記水親和性の程度は、15℃で初期縮合物たるアミノ樹脂前駆体に水を滴下して白濁を生じるまでの水滴下量の初期縮合物に対する重量%(以下、これを水混和度という。)によって測定されるが、第2の製造方法において好適なアミノ樹脂前駆体の水混和度は100%以上である。水混和度が100%未満のアミノ樹脂前駆体では界面活性剤を含んだ水性液中で、いかに分散しても粒子径の比較的大きい不均一な懸濁液しか形成せず、最終的に得られる球状微粒子は均一な粒子径のものとなりにくい。
【0062】
混合工程においては、樹脂化工程により得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で撹拌等により界面活性剤と混合し、混合液を得るようにする。
上記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤など全ての界面活性剤が使用できるが、特にアニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤あるいはそれらの混合物が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフエート、カリウムドデシルサルフエートなどの如きアルカリ金属アルキルサルフエート;アンモニウムドデシルサルフエートなどの如きアンモニウムアルキルサルフエート;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフエート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフインのアルカリ金属塩、スルホン化パラフインのアンモニウム塩などの如きアルキルスルホン酸塩;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテートなどの如き脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフエノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフエートなどの如きアルキルアリールスルホン酸塩;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフエート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフエート塩などが使用でき、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールのモノラウレートなどの脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪属アミン、アミドまたは酸との縮合生成物などが使用できる。界面活性剤の使用量は、上記樹脂化工程で得られたアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲が好ましい。0.01重量部未満の少量ではアミノ樹脂架橋粒子の安定な懸濁液が得られないことがあり、また、10重量部を超える多量では上記懸濁液に不必要な泡立ちが生じたり最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子の物性に悪影響を与えることがある。
【0063】
混合工程では、例えば、界面活性剤の水溶液に、アミノ樹脂前駆体の濃度(つまり、固形分濃度)が3〜25重量%の範囲内となるように上記樹脂化工程で得られた反応液を添加した後、混合することが好ましい。この場合、界面活性剤の水溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、アミノ樹脂前駆体の濃度を上記範囲内に調節することができる濃度であればよい。上記アミノ樹脂前駆体の濃度が3重量%未満であると、アミノ樹脂架橋粒子の生産性が低下するおそれがあり、25重量%を超えると、得られるアミノ樹脂架橋粒子が肥大化したり、粒子同士が凝集したりしてしまうおそれがあり、アミノ樹脂架橋粒子の粒子径を制御することができなくなるため、粒度分布の広いアミノ樹脂架橋粒子となるおそれがある。
【0064】
混合工程における撹拌方法としては、一般的な撹拌方法で行えばよく、例えば、ディスクタービン、ファンタービン、ファウドラー型、プロペラ型および多段翼などの撹拌翼を使用して撹拌する方法等が好ましい。
第2の製造方法においては、最終的に得られるアミノ樹脂架橋粒子が強固に凝集することをより防止するためには、必要に応じて、混合工程後に得られた混合液に無機粒子を添加しておくことができる。無機粒子およびその添加方法等については、前述した第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
硬化・粒子化工程においては、上記混合工程により得られた混合液に触媒(詳しくは硬化触媒)を加え、アミノ樹脂前駆体の硬化反応およびその粒子化を行うことによりアミノ樹脂架橋粒子(詳しくは、アミノ樹脂架橋粒子の懸濁液)を得るようにする。
【0065】
上記触媒(硬化触媒)としては酸触媒が好適である。酸触媒としては、第1の製造方法において列挙したものと同様のものを好ましく用いることができるが、第2の製造方法においては、特に、炭素数10〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。
炭素数10〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸は、前記初期縮合物たるアミノ樹脂前駆体の水性液中で、特異な界面活性能を発揮し、硬化樹脂の安定な懸濁液を生成するために必須の成分であり、例えばデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0066】
上記触媒の使用量は、上記混合工程により得られた混合液中のアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらにより好ましくは1〜10重量部である。特に、上記炭素数10〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸を用いる場合は、混合液中のアミノ樹脂前駆体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。上記触媒の使用量が、上記範囲を下回る少量では縮合硬化に長時間を要し、また、アミノ樹脂架橋粒子の安定な懸濁液が得られず、最終的に凝集粗大化した粒子を多量に含む状態でしか得られないおそれがある。また、上記範囲を上回る多量では、生成した懸濁液中のアミノ樹脂架橋粒子中に、上記アルキルベンゼンスルホン酸等の触媒が必要以上に分配されることになり、その結果、アミノ樹脂架橋粒子が可塑化されて縮合硬化中に粒子間の凝集や融着が生じやすくなり、最終的に均一な粒子径を有するアミノ樹脂架橋粒子が得られないおそれがある。また、同様に、上記触媒の使用量としては、原料化合物として用いたアミノ系化合物1モルに対して0.0005モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.002モル以上、さらに好ましくは0.005〜0.05モルである。触媒の使用量がアミノ系化合物1モルに対して0.0005モル未満であると、反応に長時間を要したり、硬化が不十分となるおそれがある。
【0067】
硬化・粒子化工程における硬化反応および粒子化は、アミノ樹脂前駆体の混合液に上記触媒を加えて、0℃の低温から加圧下100℃以上の高温で撹拌下に保持すればよい。上記触媒の添加方法には特に制限はなく、適宜選択できる。
硬化反応の終点は、サンプリングまたは目視によって判断すればよい。また、硬化反応の反応時間は、特に限定されない。硬化反応は、一般には、90℃あるいはそれ以上の温度に昇温して一定時間保持することにより完結されるが、必ずしも高温での硬化は必要でなく、低温短時間であっても、得られる懸濁液中のアミノ樹脂架橋粒子がメタノールやアセトンで膨潤しなくなる程度まで硬化されていれば充分である。
【0068】
硬化・粒子化工程における撹拌方法としては、通常公知の撹拌装置などによる撹拌下で行うことが好ましい。
硬化・粒子化工程においては、前記混合液中のアミノ樹脂前駆体を硬化させるとともに粒子化させて得られるアミノ樹脂架橋粒子の平均粒子径を、0.1〜20μmとすることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μm、さらにより好ましくは0.1〜5μmである。
第2の製造方法においては、アミノ樹脂前駆体と界面活性剤との混合液や、アミノ樹脂架橋粒子の懸濁液に、染料を水に溶解してなる水溶液を添加する着色工程を含むことができる。染料の種類やその使用量については、第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
【0069】
第2の製造方法においては、前記樹脂化工程で得られた反応液に、必要に応じて、前段着色工程として、さらに染料を添加してもよい。この前段着色工程で使用する染料の種類やその使用量、および、油溶性染料を水に分散してなる分散液を添加した場合のpH調整に関する詳細については、第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
第2の製造方法においては、上記硬化工程により得られたアミノ樹脂架橋粒子を含む懸濁液の中和を行う中和工程を含むことができる。中和工程におけるpHの範囲や中和剤の種類等の詳細については、第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
第2の製造方法においては、硬化工程後あるいは中和工程後に得られるアミノ樹脂架橋粒子の懸濁液から、該アミノ樹脂架橋粒子を取り出す分離工程を含むことができる。第2の製造方法において、アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出すこととは、硬化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を混合工程における水系媒体から分離して取り出すことである。
【0070】
アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から取り出す方法(分離方法)については、第1の製造方法での説明が同様に適用できる。なお、第2の方法において、アミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出すことは、硬化・粒子化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を、混合工程時あるいは硬化・粒子化工程時の水系媒体から分離して取り出すことである。
第2の製造方法においては、分離工程を経て取り出したアミノ樹脂架橋粒子を、130〜190℃の温度で加熱する加熱工程を行うことが好ましい。加熱工程の詳細については、第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
なお、第2のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法にあっては、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合し、この混合液に触媒を添加することで前記アミノ樹脂前駆体を前記水系媒体中で粒子化することにより、アミノ樹脂架橋粒子を得る方法において、より好ましくは硬化および粒子化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出し、乾燥(加熱)し、粉砕することによって得られたアミノ樹脂架橋粒子粉体を、さらに分級する工程を行う形態が好ましい。より具体的には、第2のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法にあっては、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合し、この混合液に触媒を添加することで前記アミノ樹脂前駆体を前記水系媒体中で粒子化することにより、アミノ樹脂架橋粒子を得る方法において、より好ましくは硬化および粒子化によって得られたアミノ樹脂架橋粒子を懸濁液から分離して取り出し、乾燥(加熱)し、粉砕することによって得られたアミノ樹脂架橋粒子粉体を、さらに分級することにより、平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を得ることが好ましい実施形態となり、さらに好ましくは平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を得ることである。
【0071】
第2の製造方法においては、第1の製造方法と同様に、前記加熱工程で発生するホルムアルデヒドを含む排ガスを、白金を主成分とする触媒を使用して燃焼処理することは好ましい実施形態である。
第2の製造方法における前記粉砕時および/または分級時以降の工程での各種手段・方法や各種条件についての詳細は、すべて前述した第1の製造方法での説明が同様に適用できる。
上述した第2の製造方法は、第1の製造方法と同様に、本発明のアミノ樹脂架橋粒子を容易に得るための方法であることが好ましいが、なかでも、平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下であるアミノ樹脂架橋粒子を容易に得るための方法であることが好ましい。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
なお、下記実施例1〜4は前述した本発明にかかる第1の製造方法に対応し、実施例5〜7は前述した本発明にかかる第2の製造方法に対応する。
[実施例1]
撹拌機、還流冷却機、温度計、振動式粘度計(MIVI ITSジャパン社製、機種名:MIVI 6001)等を備えた容量10Lの反応釜に、アミノ系化合物としてのベンゾグアナミン3000g(16モル)と、濃度37重量%のホルマリン2600g(ホルムアルデヒド32モル)と、炭酸ナトリウム10重量%水溶液10g(炭酸ナトリウム0.01モル)とを仕込み、撹拌しながら昇温させて、95℃で反応させた。
【0073】
反応液の粘度が4.5×10−2Pa・s(45cP)となった時点(反応開始から5時間後)で該反応液を冷却することによって、反応工程を終了した。これにより、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物であるアミノ樹脂前駆体を含む反応液を得た。
次に、還流冷却器、ホモミキサー(撹拌機、特殊機化工業株式会社製)、温度計等を備えた容量10Lの反応釜に、乳化剤としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名:PVA205)120gを水2050gに溶解してなる水溶液を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温させた。そして、該反応釜に上記の反応液を添加した後、液温を77℃に昇温させて、77℃に維持しながら、内容物を回転速度7000rpmで激しく撹拌することにより、アミノ樹脂前駆体を乳濁させて該アミノ樹脂前駆体の濃度が52.5重量%の乳濁液を得た。該乳濁液をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、乳濁液中のアミノ樹脂前駆体の平均粒子径(d50)は2.4μmであり、標準偏差は0.7μmであった。続いて反応釜に、無機化合物であるシリカの水分散体としての、固形分濃度が10重量%のアエロジール200(日本アエロジル株式会社製)3256gを添加した後、77℃に維持しながら、ホモミキサーで内容物を回転速度4000rpmで5分間撹拌した。得られた乳濁液は、30℃に冷却した。なお、アミノ樹脂前駆体と乳化剤水溶液を混合してから次工程の触媒を添加するまでの時間は3時間であった。
【0074】
次いで、触媒としての硫酸40g(0.4モル)を純水1200gに溶解してなる水溶液を上記乳濁液に添加し(内容物の温度は30℃)、撹拌しながら90℃になるまで10℃/hで昇温させた。そして、90℃に達した後、この温度で1時間保持してアミノ樹脂前駆体を縮合・硬化させた。従って、反応時間は合計7時間である。
硬化工程を終了した後、アミノ樹脂架橋粒子を含む懸濁液を30℃に冷却した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、該懸濁液のpHを7.5に調節した。そして中和工程の後、濾別することによって濁液からアミノ樹脂架橋粒子を取り出した。取り出したアミノ樹脂架橋粒子を150℃で3時間、加熱処理して乾燥した。加熱処理後の乾燥物をジェット粉砕分級機(分級機能を付帯)(機器名:LABO JET(日本ニューマチック工業(株)製))を使用して粉砕(解砕)するとともに粉砕物の分級を行った(運転条件として、粉体feed量:0.5kg/h、粉砕機供給空気圧:0.4MPa、2次空気(ルーバー):小、アジャストリング:3枚(24mm)、ディスタンスリング:10mm)。このとき、上記粉砕および分級の操作は水分含有量が3g/mの空気で雰囲気管理した室内で行うとともに、粉砕部で使用する供給空気(超音速ノズルから発せられる衝突粉砕用空気)および分級部で使用する2次空気としては、水分含有量が3g/mの空気を使用した。これにより、粗大粒子の少ない、白色粉末状のアミノ樹脂架橋粒子(1)を得た。該アミノ樹脂架橋粒子(1)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は2.5μmであり、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であった。
【0075】
加熱処理工程で発生するホルムアルデヒドを含む排ガスを白金を担持させた触媒(日本触媒製、製品名:C−7023)で燃焼処理したところ、燃焼ガスの出口付近でのホルマリン臭は認められなかった。
アミノ樹脂架橋粒子(1)の粉体を、搬送空気として水分含有量が3g/mの空気を使用して搬送し、いくつかの容器に充填してそれぞれを密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(1)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(1)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粗大粒子の割合を測定した。その結果、1週間後の平均粒子径(d50)は2.5μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は2.4μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は2.5μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、製造直後の状態から変化が認められず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(1)の保有安定性・貯蔵安定性が非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(1)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときも0%であった。
【0076】
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂75g(東洋紡株式会社製、パイロン200)、希釈用有機溶剤としてトルエン120gとメチルエチルケトン30gを用い、これに上記アミノ樹脂架橋粒子(1)の粉体25gを混合してコーティング用組成物を得た。基材フィルムとして厚み100μmのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー#100T56、A4サイズにカットしたものを使用)を用い、該フイルムの片面に前記コーティング用組成物をロールコート法により塗布し、120℃で1分間熱風乾燥させて厚み30μmの光拡散層を形成して、光拡散シートとしてのフィルムを作成した。このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点はみられず良好な状態の光拡散シートが得られていることがわかった。
【0077】
アミノ樹脂架橋粒子(1)を艶消し剤として用いたところ、良好な艶消し効果が認められた。
[実施例2]
撹拌機、還流冷却機、温度計、振動式粘度計(MIVI ITSジャパン社製、機種名:MIVI 6001)等を備えた容量10Lの反応釜に、アミノ系化合物としてのベンゾグアナミン3000g(16モル)と、濃度37重量%のホルマリン2600g(ホルムアルデヒド32モル)と、炭酸ナトリウム10重量%水溶液10g(炭酸ナトリウム0.01モル)とを仕込み、撹拌しながら昇温させて、95℃で反応させた。
【0078】
反応液の粘度が4.5×10−2Pa・s(45cP)となった時点(反応開始から5時間後)で該反応液を冷却することによって、反応工程を終了した。これにより、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物であるアミノ樹脂前駆体を含む反応液を得た。
次に、還流冷却器、ホモミキサー(撹拌機、特殊機化工業株式会社製)、温度計等を備えた容量10Lの反応釜に、乳化剤としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名:PVA205)120gを水2050gに溶解してなる水溶液を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温させた。そして、該反応釜に上記の反応液を添加した後、液温を77℃に昇温させて、77℃に維持しながら、内容物を回転速度7000rpmで激しく撹拌することにより、アミノ樹脂前駆体を乳濁させて該アミノ樹脂前駆体の濃度が52.5重量%の乳濁液を得た。該乳濁液をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、乳濁液中のアミノ樹脂前駆体の平均粒子径(d50)は2.4μmであり、標準偏差は0.7μmであった。得られた乳濁液は、30℃に冷却した。なお、アミノ樹脂前駆体と乳化剤水溶液を混合してから次工程の触媒を添加するまでの時間は4時間であった。
【0079】
次いで、触媒としての硫酸40g(0.4モル)を純水1200gに溶解してなる水溶液を上記乳濁液に添加し(内容物の温度は30℃)、撹拌しながら90℃になるまで10℃/hで昇温させた。そして、90℃に達した後、この温度で1時間保持してアミノ樹脂前駆体を縮合・硬化させた。従って、反応時間は合計7時間である。
硬化工程を終了した後、アミノ樹脂架橋粒子を含む懸濁液を30℃に冷却した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、該懸濁液のpHを7.5に調節した。そして中和工程の後、濾別することによって懸濁液からアミノ樹脂架橋粒子を取り出した。取り出したアミノ樹脂架橋粒子を150℃で3時間、加熱処理して乾燥した後、乾燥物を粉砕機(機器名:バンタムミルAP−B、ホソカワミクロン(株)製)により粉砕(解砕)した(運転条件として、スクリーン径:0.3mm)。粉砕機から排出された粉体(粉砕物)を室内雰囲気に曝した状態で気流分級機(機器名:Classiel N−5、セイシン企業(株)製)まで運び、その後この気流分級機を使用して分級を行った(運転条件として、粉体feed量:1kg/h、ローター回転数:4000rpm、ガイドベーン:10度、2次空気開度:100%、3次空気開度:0%、空気流量:9.1m/h、2次空気差圧:0.20mmAq)。上記粉砕および分級の操作は水分含有量が4g/mの空気により雰囲気管理された室内で行うとともに、粉砕機および分級機における気流形成に使用するガスについても全て水分含有量が4g/mの空気を使用した。これにより、粗大粒子の少ない、白色粉末状のアミノ樹脂架橋粒子(2)を得た。該アミノ樹脂架橋粒子(2)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は2.6μmであり、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であった。
【0080】
加熱処理工程で発生するホルムアルデヒドを含む排ガスを白金を担持させた触媒(日本触媒製、製品名:C−7023)で燃焼処理したところ、燃焼ガスの出口付近でのホルマリン臭は認められなかった。
アミノ樹脂架橋粒子(2)について、搬送空気として水分含有量が4g/mの空気を使用した以外は、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(2)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(2)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粗大粒子の割合を測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は2.6μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は2.6μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は2.6μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(2)の保有安定性・貯蔵安定性は非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(2)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときが0%であった。
【0081】
アミノ樹脂架橋粒子(2)を使用して、実施例1と同様にして光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点はみられず良好な状態の光拡散シートが得られていることがわかった。
[実施例3]
実施例1で得られたアミノ樹脂前駆体を含む乳濁液を30℃に冷却後、反応釜に、無機化合物であるシリカの水分散体としての、固形分濃度が10重量%のアエロジール200(日本アエロジル株式会社製)3256gを添加した後、ホモミキサーで内容物を回転速度4000rpmで5分間撹拌した。続いて、触媒を添加するまでに、着色工程を行った。具体的には、着色剤としては、水溶性染料としての「Acid Red 52」7gを純水350gに溶解させた水溶液を調製して使用した。該染料の濃度はおよそ2重量%である。そして、上記乳濁液に調製した上記水溶液を添加して5分間撹拌した。次いで、実施例1と同様に触媒を乳濁液に添加し、硬化工程後の工程は実施例1と同様に行い、最終的に着色されたアミノ樹脂架橋粒子(3)を得た。粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は2.8μmであり、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であった。
【0082】
アミノ樹脂架橋粒子(3)について、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(3)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(3)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粗大粒子の割合を測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.01%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(3)の保有安定性・貯蔵安定性は、非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(3)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときが0%であった。
【0083】
ポリオレフィン透明基材としてポリ塩化ビニル樹脂100部に対して、上記着色されたアミノ樹脂架橋粒子(3)を10部配合して溶融混練を行い、得られた着色された樹脂組成物を用いて厚さ50μmのフィルムを作成した。得られた着色フィルムには斑点、色抜け等は見られず、良好な着色状態であった。
[実施例4]
アミノ樹脂前駆体と乳化剤水溶液を混合してから次工程の触媒を添加するまでの時間が6時間であったこと以外は、実施例1と同様にして、白色粉末状のアミノ樹脂架橋粒子(4)を得た。該アミノ樹脂架橋粒子(4)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は2.8μmであり、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.03%であった。なお、実施例1に比べ、アミノ樹脂前駆体と乳化剤水溶液を混合してから次工程の触媒を添加するまでの時間が長かったため、一部において乳化粒子の粗大化が起こり、硬化後のアミノ樹脂架橋粒子において粒子径が40μm以上の粗大粒子が多く生成した。よって、その後実施例1と同条件で粉砕および分級を行ってはいるものの、アミノ樹脂架橋粒子(4)はアミノ樹脂架橋粒子(1)に比べ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合が若干増加した。
【0084】
アミノ樹脂架橋粒子(4)について、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(4)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(4)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粗大粒子の割合を測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.03%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.03%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は2.8μm、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.03%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(4)の保有安定性・貯蔵安定性は、非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(4)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときが0%であった。
【0085】
アミノ樹脂架橋粒子(4)を使用し、実施例1と同様にして光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点はみられず良好な状態の光拡散シート得られていることがわかった。
[比較例1]
アミノ樹脂前駆体と乳化剤水溶液を混合してから次工程の触媒を添加するまでの時間が10時間であったこと、及び粉砕後、分級を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較アミノ樹脂架橋粒子(1)を得た。該比較アミノ樹脂架橋粒子(1)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は4.5μmであり、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は1.1%であった。
【0086】
比較アミノ樹脂架橋粒子(1)を使用して、実施例1と同様にして光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点が2箇所みられ、光拡散シートとしては実用に耐えないものであることがわかった。
[比較例2]
粉砕後に分級を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較アミノ樹脂架橋粒子(2)を得た。該比較アミノ樹脂架橋粒子(2)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は4.0μmであったが、粒子径が40μm以上の粗大粒子の個数基準の割合は0.80%であった。
【0087】
比較アミノ樹脂架橋粒子(2)を使用し、実施例1と同様にして光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点が2ヶ所見られ、光拡散シートとしては実用に耐えないものであることがわかった。
[実施例5]
撹拌機、還流冷却器、温度計を備えた四つ口フラスコにメラミン3000部、濃度37%のホルマリン5800部及び濃度28%のアンモニア水溶液30部を仕込み、混合物とし、系のpHを8.0に調整した。この混合物を撹拌しながら75℃に昇温し、同温度で60分間反応させ、水混和度300%の初期縮合物であるアミノ樹脂前駆体を含む反応液を得た。
【0088】
別途、アニオン系界面活性剤であるネオペレックス05パウダー(花王石鹸(株)製、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート)200部を水44800部に溶解しておき、この界面活性剤水溶液の温度を80℃に昇温し撹拌した。撹拌状態下にある界面活性剤水溶液に上記アミノ樹脂前駆体を含む反応液を投入し、ついで10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液900部を加え、徐々に昇温し90℃で2時間保持して縮合・硬化させるとともに粒子化させ、アミノ樹脂架橋粒子の懸濁液を得た。この懸濁液を光学顕微鏡(倍率800部)で観察すると、粒子径が約1.5μmの球状の微粒子が含まれており、それぞれの微粒子は激しくブラウン運動していることがわかった。
【0089】
上記懸濁液を30℃まで冷却し、これに1%硫酸アルミニウム水溶液を4000部添加したのち、吸引ろ過し、固液分離した。分離して得たアミノ樹脂架橋粒子を130℃の熱風乾燥機で2時間乾燥し、3600部のアミノ樹脂架橋粒子の乾燥物を得た。その後実施例2と同様にして、この乾燥物を粉砕(解砕)し、その後得られた粉砕物を分級することにより、アミノ樹脂架橋粒子(5)を得た。
アミノ樹脂架橋粒子(5)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は1.5μmであり、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であった。また、分級後のアミノ樹脂架橋粒子(5)を走査型電子顕微鏡で調べたところ、粒子径が8μm以上の粒子の個数は0個であった(測定個数:3000)。
【0090】
アミノ樹脂架橋粒子(5)について、搬送空気として水分含有量が4g/mの空気を使用した以外は、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(5)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(5)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粒子径が8μm以上の粒子の割合とを測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は1.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は1.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は1.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(5)の保有安定性・貯蔵安定性は非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(5)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときが0%であった。
【0091】
アミノ樹脂架橋粒子(5)を使用し、熱風乾燥させて得られる光拡散層の厚みを10μmとした以外は実施例1と同様にして、光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点はみられず良好な状態の光拡散シートが得られていることがわかった。
[実施例6]
実施例1で使用したのと同じ四つ口フラスコにメラミン70部、ベンゾグアナミン80部、濃度37%のホルマリン290部及び濃度10%の炭酸ナトリウム水溶液1.16部を仕込み混合物とし、系のpHを8.0に調整した。この混合物を撹拌しながら70℃に昇温し同温度で40分間反応させ、水混和度300%の初期縮合物であるアミノ樹脂前駆体を含む反応液を得た。別にノニオン系界面活性剤であるエマルゲン430(花王石鹸(株)製、ボリオキシエチレンオレイルエーテル)7.5部を水2455部に溶解しておき、この界面活性剤水溶液の温度を70℃に昇温し撹拌した。撹拌状態下にある界面活性剤水溶液に上記アミノ樹脂前駆体を含む反応液を投入することにより、アミノ樹脂前駆体と界面活性剤との混合液を得、しばらくして混合液が透明になった後、これに5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液90部を加え、70℃の温度で2時間保って縮合硬化し、アミノ樹脂架橋粒子の懸濁液を得た。この懸濁液をさらに撹拌しながら徐々に90℃まで昇温し、同温度で1時間保持して完全硬化させ、十分に硬化したアミノ樹脂架橋粒子の懸濁液を得た。この懸濁液からアミノ樹脂架橋粒子を遠心沈降分離し、これを140℃の熱風乾燥機で4時間乾燥し、120部のアミノ樹脂架橋粒子の乾燥物を得た。その後実施例1と同様にして、この乾燥物を粉砕するとともに粉砕物の分級を行うことにより、アミノ樹脂架橋粒子(6)を得た。
【0092】
アミノ樹脂架橋粒子(6)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は2.5μmであり、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であった。また、分級後のアミノ樹脂架橋粒子(6)を走査型電子顕微鏡で調べたところ、粒子径が8μm以上の粒子の個数は0個であった(測定個数:3000)。
アミノ樹脂架橋粒子(6)について、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(6)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(6)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粒子径が8μm以上の粒子の割合とを測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は2.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は2.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は2.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.01%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(6)の保有安定性・貯蔵安定性は非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(6)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが0%であり、6ヶ月間保存したときが0%であった。
【0093】
アミノ樹脂架橋粒子(6)を使用し、熱風乾燥させて得られる光拡散層の厚みを10μmとした以外は実施例1と同様にして、光拡散シートとしてのフィルムを作成し、このフィルムを観察したところ、フィルム上に斑点はみられず良好な状態の光拡散シートが得られていることがわかった。
[実施例7]
粉砕および分級の操作を、水分含有量が10g/mの空気により雰囲気管理された室内で行うとともに、粉砕機および分級機における気流形成に使用するガスについても全て水分含有量が10g/mの空気を使用した以外は、実施例5と同様にして、白色粉末状のアミノ樹脂架橋粒子(7)を得た。
【0094】
アミノ樹脂架橋粒子(7)の粒子径、粒度分布をコールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)で測定したところ、平均粒子径(d50)は1.5μmであり、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.03%であった。また、分級後のアミノ樹脂架橋粒子(7)を走査型電子顕微鏡で調べたところ、粒子径が8μm以上の粒子の個数は1個であり(測定個数:3000)、それは凝集粒子であった。
アミノ樹脂架橋粒子(7)について、搬送空気として水分含有量が10g/mの空気を使用した以外は、実施例1と同様の条件で容器に充填して密封し、25℃で保存した。充填後、当該アミノ樹脂架橋粒子(7)の粉体の入った容器を1週間、1ヶ月、6ヶ月後で開封し、当該アミノ樹脂架橋粒子(7)の粉体の状態を、コールターマルチサイザーII型(コールター社製、測定粒子個数:30000)を使用して平均粒子径と粒子径が8μm以上の粒子の割合とを測定した結果、1週間後の平均粒子径(d50)は1.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.03%であり、1ヶ月後の平均粒子径(d50)は1.5μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.05%であり、6ヵ月後の平均粒子径(d50)は1.6μm、粒子径が8μm以上の粒子の個数基準の割合は0.07%であり、製造直後の状態とほとんど変化しておらず、本発明の製造方法を経て得られたアミノ樹脂架橋粒子(7)の保有安定性・貯蔵安定性は非常に優れていることがわかった。さらに、上記測定結果と前述した式(A)とから評価できるアミノ樹脂架橋粒子(7)の保存安定性は、1ヶ月間保存したときが67%であり、6ヶ月間保存したときが133%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.1〜20μmであり、かつ、粒子径が40μm以上の粗大粒子の割合が個数基準で0.05%以下である、アミノ樹脂架橋粒子。
【請求項2】
平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ、粒子径が8μm以上の粒子の割合が個数基準で0.05%以下である、請求項1に記載のアミノ樹脂架橋粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアミノ樹脂架橋粒子を製造する方法であって、
アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で乳化し硬化させてアミノ樹脂架橋粒子を得たのち、
前記アミノ樹脂架橋粒子を前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、
得られた乾燥物を粉砕し、
得られた粉砕物を分級する、
ことを特徴とする、アミノ樹脂架橋粒子の製造方法。
【請求項4】
前記乳化に用いる乳化剤が保護コロイドを構成し得る乳化剤である、請求項3に記載のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載のアミノ樹脂架橋粒子を製造する方法であって、
アミノ系化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られたアミノ樹脂前駆体を水系媒体中で界面活性剤と混合し、この混合液に触媒を添加することで前記アミノ樹脂前駆体を前記水系媒体中で粒子化して析出させたのち、
前記アミノ樹脂架橋粒子を前記乳化時における水系媒体から分離して乾燥し、
得られた乾燥物を粉砕し、
得られた粉砕物を分級する、
ことを特徴とする、アミノ樹脂架橋粒子の製造方法。
【請求項6】
前記アミノ樹脂前駆体が水溶性であり、その水混和度が100%以上である、請求項5に記載のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法。
【請求項7】
前記粉砕時以降の少なくとも1つの処理においては、気流形成のために水分含有量が6g/m以下であるガスを用いる、請求項3から6までのいずれかに記載のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法。
【請求項8】
前記分級は気流分級で行う、請求項3から7までのいずれかに記載のアミノ樹脂架橋粒子の製造方法。

【公開番号】特開2007−186721(P2007−186721A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112142(P2007−112142)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【分割の表示】特願2003−197999(P2003−197999)の分割
【原出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】