説明

アミンで官能化されたポリマー

官能化されたポリマーは、ポリマー鎖と、該ポリマー鎖に結合した一般式−NHAR[式中、Aは、酸素原子、スルフィニル(チオニル)基、スルホニル基、4級ホスホニウム基、または2級アミノ基であり、Rは、水素原子、または一般式−CHZ(式中、Zは、H、または置換若しくは非置換の、アリール、アルキル、アルケニル、アルケナリール、アラルケニル、アルカリル、若しくはアラルキル基である)の部分である]で表わされる官能基とを含む。該材料は、リビングポリマーと、保護されたイミン官能基を有する化合物との反応生成物とすることができる。前記官能基は、粒子状充填剤、例えばカーボンブラック等と相互作用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官能化されたポリマーの製造および使用に関し、該ポリマーは充填剤と相互作用できるものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッド等のゴム製品は、しばしばエラストマー組成物から作製され、該エラストマー組成物は一種以上の補強材料、例えば粒子状カーボンブラックおよびシリカ等を含有する(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】「バンダービルトゴムハンドブック(Vanderbilt Rubber Handbook)」,第13版,1990年,p.603−04
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
良好なトラクションおよび耐摩耗性は、タイヤのトレッドに関して主として考慮されるものであるが、しかしながら、自動車の燃料効率への関心からタイヤの転がり抵抗の最小化が議論されており、該転がり抵抗の最小化は、タイヤの動作中のヒステリシスおよび発熱性の低減と関係がある。これらの考慮すべき事項は、大部分が競合し、そして若干矛盾しており、道路に対して良好なトラクションをもたらすように設計された組成物から作製したトレッドは、通常、転がり抵抗の増大を示し、そして逆の場合も同様である。
【0004】
充填剤、ポリマー、および添加剤は、一般に、これら特性の許容可能な妥協点または調和をもたらすように選択される。補強性充填剤のエラストマー材料中における良好な分散を確保することは、加工性を向上させ、並びに物理的特性を向上させるように作用する。充填剤の分散は、エラストマーと充填剤との相互作用を増大させることにより改善できる。このタイプの試みの例としては、選択的反応促進剤の存在下での高温混合、配合材料の表面酸化、表面のグラフト化、およびポリマー末端への化学修飾が挙げられる。
【0005】
エラストマーをアニオン重合法により作製する場合は、特定の官能基の連結は困難である。リビングポリマーは、例えば1級および2級アミン基中に存在している活性水素原子により停止反応される。
【0006】
アミン官能基は、粒子状充填剤、特にカーボンブラックと所望の相互作用をもたらすので、末端アミン官能基を有するリビングポリマーを製造する商業的に有用な方法が、依然として非常に望まれている。充填剤との相互作用は、アミノ窒素に結合している水素の数が増加するにつれて増大する傾向があるので、2級および1級アミン官能基の提供が特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、ポリマー鎖と、該ポリマー鎖に結合した一般式−NHAR[式中、Aは、酸素原子、スルフィニル(チオニル)基、スルホニル基、4級ホスホニウム基、または2級アミノ基であり、Rは、水素原子または一般式−CHZ{式中、Zは、水素原子、または置換若しくは非置換の、アリール、アルキル、アルケニル、アルケナリール、アラルケニル、アルカリル、若しくはアラルキル基である(ここで「置換」とは、基が、当該基の目的を妨げないヘテロ原子または官能基を含むことを意味する)}の部分である]で表わされる官能基とを含む高分子が提供される。
【0008】
他の態様においては、リビングポリマーと、保護されたイミン官能基を有する化合物との反応生成物を含む官能化高分子が提供される。
【0009】
別の態様においては、一般式−NHAR[式中、AおよびRは前述のように定義される]で表わされる官能基を有する高分子に1級アミン官能基をもたらす方法が提供される。該方法においては、前記高分子を含む組成物を適当な酸化還元条件に曝して、前記官能基から1級アミン官能基をもたらす。
【0010】
今述べた高分子に含まれ、前述の官能化ポリマーにもたらされる官能基は、粒子状充填剤、例えばカーボンブラック等と相互作用できる。また、粒子状充填剤と、高分子または官能化されたポリマーとを含む組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明から当業者に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の本発明の様々な実施態様の記載の理解を助けるために、一定の定義を以下に設ける。これらの定義は、前後の文章が反対の意思を明確に示唆する場合を除いて全体に適用される。
「ポリマー」は、一種以上のモノマーの重合生成物を意味し、そしてホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー等を含む。
「マー(mer)」または「マーユニット」は、一つの反応分子から生成したポリマーの部分を意味する(例えば、エチレンマーは一般式−CHCH−を有する)。
「コポリマー」は、二種の反応物、一般的には二種のモノマーから生成したマーユニットを含むポリマーを意味し、そしてランダムコポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー等を含む。
「インターポリマー」は、少なくとも二種の反応物、一般的には少なくとも二種のモノマーから生成したマーユニットを含むポリマーを意味し、そしてコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー等を含む。
「高分子」は、そのマーユニットから発生しない若しくは生成しない少なくとも一つの基乃至置換基を含むポリマーを意味する。
「ポリエン」は、その最も長い部分または鎖に位置する少なくとも二つの二重結合を有する分子を意味し、そして特にジエン、トリエン等を含む。
「末端」は、ポリマー鎖の末端を意味する。
「末端部分」は、末端に位置する基乃至官能基を意味する。
「保護されたイミン」は、一般式>C=NAR[式中、Aは前述のように定義され、Rはリビングポリマーを停止させない(即ち、直接反応しない)原子または基であり、該原子または基の一般例としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルカリル基、アラルキル基等が挙げられる]の化合物を意味する。
「保護されたオキシム」は、保護されたイミンであってAが酸素原子のものである。
「オキシアミン」は、酸素原子がアミノ窒素原子および他の原子の少なくとも一つに直接結合している部分を意味し、そしてヒドロキシルアミン、アルコキシアミン等を含む。
「ヒステリシス」は、エラストマー配合物から作製した物品を変形させるために加えられたエネルギーと、物品が初期の、変形されていない状態に戻る際に放出されたエネルギーとの間の差を意味する。
【0013】
高分子は、ポリマー鎖を、一般式−NHAR[式中、AおよびRは前述のように定義される]を有する官能基と共に含む。その少なくとも一つの官能基は、前述の高分子の定義における「少なくとも一つの基乃至置換基」を構成することができる。
【0014】
ポリマー鎖は、エラストマーとすることができ、また、ポリエン、特にはジエンおよびトリエン(例えばミルセン)に由来するもの等の不飽和を有するマーユニットを含むことができ。ポリエンの一例としては、C−C12ジエン、特には共役ジエン、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、および1,3ヘキサジエンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリエン由来のマーユニットだけを含むホモポリマーおよびインターポリマーは、エラストマーのタイプの一例を構成する。
【0015】
また、ポリマー鎖は、張り出した芳香族基、例えばビニル芳香族、特にはC−C20ビニル芳香族、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、およびビニルナフタレン由来のマーユニットの結合を通じてもたらされ得るものを含むことができる。一種以上のポリエンと共に使用される場合、張り出した芳香族性を有するマーユニットは、ポリマー鎖の約1〜約50重量%、約10〜約45重量%、または約20〜約35重量%を構成することができ、その様なインターポリマーは、ポリマーの分類の一例を構成する。かかるインターポリマーのミクロ構造は、ランダムにすることができ、換言すれば、構成モノマーの各タイプに由来するマーユニットは、好ましくはブロックを形成せず、そしてその代わりに非繰り返しで実質同時に組み込まれる。ランダムミクロ構造は、特有の利点を特定の最終用途、例えばタイヤのトレッドの製造で使用されるゴム組成物にもたらすことができる。
【0016】
典型的なエラストマーとしては、ポリ(ブタジエン)、(ポリ)イソプレン(天然または合成)、および、例えばSBRとしても知られているポリ−(スチレン−co−ブタジエン)等のブタジエンとスチレンとのインターポリマーが挙げられる。
【0017】
ポリエンは、ポリマー鎖に一つ以上の方法で組み入れられる。特に、タイヤのトレッド用途には、ポリエン自身のポリマー鎖への組み込み方(即ち、ポリマーの1,2−ミクロ構造)を制御することが望ましい。全ポリエン含有量を基準として、全体として約10〜約80%、任意に、約25〜約65%の1,2−ミクロ構造を有するポリマー鎖が特定の最終用途には望ましい。本目的に対して、「実質的に直鎖状の」ポリマーとは、全ポリエン含有量を基準として、全体として約50%以下、好ましくは約45%以下、より好ましくは約40%以下、更に好ましくは約35%以下、そして最も好ましくは約30%以下の1,2−ミクロ構造を有するものである。
【0018】
ポリマーの数平均分子量(M)は、通常、失活した試料が約2〜約150、より一般的には2.5〜約50のゴムムーニー粘度(ML/100℃)を示すようなものである。
【0019】
エラストマーは、乳化重合または溶液重合により生成させることができ、後者はランダム性、ミクロ構造等の特性に関してより大きな制御を可能にする。溶液重合は、20世紀中ごろから実施されており、そのため、その一般的態様は当業者に既知であるが、説明の便宜のために、ここに特定の態様を提供する。
【0020】
溶液重合は、一般的に開始剤を必要とする。開始剤の例としては、有機リチウム化合物、特にはアルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム開始剤の例としては、N−リチオ−ヘキサメチレンイミン、n−ブチルリチウム、トリブチルスズリチウム、ジアルキルアミノリチウム化合物、例えばジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム等、ジアルキルアミノアルキルリチウム化合物、例えばジエチルアミノプロピルリチウム、およびC−C12、好ましくはC−Cアルキル基を有するトリアルキルスタニルリチウム化合物が挙げられる。
【0021】
多官能性の開始剤、即ち、二つ以上のリビング末端を有するポリマーを形成できる開始剤も使用できる。多官能開始剤の例としては、特に限定されるものではないが、1,4−ジリチオブタン、1,10−ジリチオデカン、1,20−ジリチオエイコサン、1,4−ジリチオベンゼン、1,4−ジリチオナフタレン、1,10−リチオアントラセン、1,2−ジリチオ−1,2ジフェニルエタン、1,3,5−トリリチオペンタン、1,5,15−トリリチオエイコサン、1,3,5−トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8−テトラリチオデカン、1,5,10,20−テトラリチオエイコサン、1,2,4,6−テトラリチオシクロヘキサン、および4,4’−ジリチオビフェニルが挙げられる。
【0022】
有機リチウム開始剤に加えて、いわゆる官能化された開始剤も有用である。これらはポリマー鎖に組み込まれ、それにより官能基を鎖の開始末端に導入する。かかる物質の例としては、有機リチウム化合物と、例えば、任意にジイソプロペニルベンゼン等の化合物と予備反応させたN−含有有機化合物(例えば、置換アルジミン、ケチミン、2級アミン等)との反応生成物が挙げられる。これらの物質のより詳細な説明が、例えば米国特許第5,153,159号および米国特許第5,567,815号に見られる。
【0023】
有用なアニオン重合溶媒としては、様々なC−C12環状および非環状アルカン、それらのアルキル化誘導体、特定の液状芳香族化合物、並びにそれらの混合物が挙げられる。当業者は、他の有用な溶媒の選択肢および組み合わせを知っている。
【0024】
溶液重合において、マーユニットのランダム性およびビニル含有量(即ち、1,2−ミクロ構造)の双方は、重合成分中に調整剤、通常は極性化合物を含有させることによって増加させることができる。開始剤1当量に対して90以下またはそれより多い当量の調整剤を用いることができ、この量は、例えば所望のビニル含有量、使用する非ポリエンモノマーのレベル、反応温度、および使用する特定の調整剤の性質に依存する。調整剤として有用な化合物としては、非結合電子対を持つヘテロ原子(例えばOまたはN)を有する有機化合物が挙げられる。一例としては、モノ−およびオリゴ−アルキレングリコールのジアルキルエーテル、クラウンエーテル、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン、THF、THFオリゴマー、2,2’−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン等の直鎖および環状のオリゴマー状オキソラニルアルカン、ジ−ピペリジルエタン、ヘキサメチルホスホラミド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等が挙げられる。直鎖および環状のオリゴマー状オキソラニル調整剤の詳細な説明が、例えば米国特許第4,429,091号に見られる。
【0025】
当業者であれば、溶液重合に通常採用されるある種の条件を理解するであろうが、読者の便宜のために典型的な記載を与える。下記は回分操作に基づくが、この記載を例えば半回分または連続操作に拡張することは、当業者の能力の範囲内である。
【0026】
溶液重合は概して、モノマーの混合物と溶媒とを適当な反応容器に投入することにより開始し、続いて調整剤(もし使用するのであれば)と開始剤とを添加し、ここで、これらはしばしば溶液または混合物の一部として加えられるが、代替として、モノマーおよび調整剤を開始剤に添加することもできる。手順は、通常は無水、嫌気条件下で実行される。反応物は最高約150℃の温度まで加熱して撹拌され得る。所望の程度の転化率に達した後、熱源を(もし使用していれば)取り除き、そして反応容器が単に重合のために用意されている場合は、反応混合物を官能化および/または失活用の後重合容器へ移す。この時点で、反応混合物は、そのポリマー濃度が比較的高いため、一般に「ポリマーセメント」と呼ばれる。
【0027】
失活する前に、ポリマーには、一般式−NHAR[式中、AおよびRは前述のように定義され、例えばオキシアミン基である]の官能基を設けることができる。ここで、Rが水素原子であることが望ましい場合、最初にRが−CHZ(ここで、Zは前述のように定義される)である基をポリマーに設け、次に更なる反応を施す。この官能化を達成する一つの方法は、ポリマーセメントに少なくとも一つの保護されたイミンを有する化合物を導入することを含む。
【0028】
イミン基を含有する化合物は市販されているが、読者の便宜のために、かかるイミンの代表例としてオキシムを用いて、その様な物質がどの様に合成できるかの概説を提供する。特に、アルデヒドまたはケトンは、しばしば室温で、保護されたオキシアミン(即ち、保護されたイミンの定義に関して前述したようにR基に酸素原子が結合しているオキシアミン基を含む化合物)、例えばO−ベンジルヒドロキシルアミン、メトキシルアミン等と反応でき、それらの多くは、一般にその酸性塩の形で入手可能である。潜在的に有用なアルデヒドおよびケトンは、一般式RC(O)R[式中、RおよびRのそれぞれは、独立して水素原子、若しくは一般式−CHZ(式中、Zは前述のように定義される)の一部であるか、または、RおよびRは、一緒になって、任意に一つ以上のヘテロ原子、例えばN、OまたはSが組み込まれた環状構造を形成する]で表わされる。
【0029】
前述の反応は、様々な保護されたイミン構造をもたらすことができる。非限定的な例として、以下のR、R2、およびR基の様々な組み合わせが、有用な保護されたイミン含有化合物をもたらす。
R:C−C12アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル等、アルカリル基、例えばメチルベンジル、C−C12不飽和基、例えばシンナミルおよびドデセニル
2またはR:H、上記のようなC−C12アルキル基、環に結合した追加の官能基を有するものを包含するアリール基、例えばアミノベンジル、メチルベンジル等、アルケナリール基、例えばシンナミル、スチリル等、およびアルカリル基、例えばメチルベンジル
2およびR:一緒になって、置換若しくは非置換の、脂環式の、芳香族の、または縮合芳香族の環状構造、例えばシクロへキシル、ベンジル等を形成する。
2およびRが、一緒になって、芳香族構造を形成する場合、環状構造が、カルボニル基に結合された炭素原子に対してオルト位で置換(例えば窒素原子で)されるのを可能にすることが、特定の性能特性が要求される場合に望ましい可能性がある。
【0030】
保護されたイミンを、リビングポリマー(カルバニオン)鎖を含有するポリマーセメントに添加する場合、イミンの炭素原子は、アニオン、一般的には最も長い鎖の末端に位置するアニオンで反応する(重合の間、多官能開始剤を使用する場合、前述のタイプの化合物との反応は、一般にポリマーの各末端で起こる)。イミン官能基とリビングポリマーとの反応性に起因して、保護されたイミンとリビングポリマーとの反応は、比較的穏やかな(例えば、〜25℃−75℃かつ大気または僅かに高圧で)無水、嫌気条件を用いて、急速に(例えば〜15−60分)行われる。商業プロセスで一般に採用される形式の混合は、リビングポリマーと保護されたイミン官能基をもたらす化合物との間において確実に化学量論に近い反応をさせるのに十分である。
【0031】
ここで、官能化されたリビングポリマーは、一般式−CR−を有する中間連結基を介してポリマー鎖に結合している保護されたイミン基(−NAR)のアニオンを含み、ここでR、R2、およびRは前述のように定義される。R1基の特定の独自性または性質は、官能化されたリビングポリマーの失活の間に決定される。
【0032】
失活は、ポリマーと活性水素含有化合物(例えば、アルコールまたは水)とを最大約120分、約30℃〜約150℃の温度で撹拌することにより実施できる。この種の失活を実施する場合、生成する官能基中のRはRであり、即ち、アミノアニオンの還元以外に置換または反応は起こらない。
【0033】
また、失活は、強酸(例えば、HCl等)をポリマーセメントに最大約120分、約25℃〜約150℃の温度で導入し、必要に応じて、塩基をその後に加えて、存在し得る全ての過剰な酸を中和することによっても実施できる。この形式の失活によって、代替的な構造がもたらされ、該構造はAの独自性に依存する。例えば、Aが酸素原子の場合、この形式の失活によって、一般式−NHOHを有する基がもたらされ、即ち、保護されたオキシムが加水分解される。或いは、Aがスルフィニル、スルホニル基、または4級ホスホニウム基の場合、この形式の失活によって、1級アミン官能基が形成され、即ち、硫黄またはリン原子の電気陰性度に比べて窒素原子の電気陰性度が大きいことによって、スルフィニルイミン、スルホニルイミン、またはホスフィノイルイミン官能基中のN−A結合が開裂し、離脱基が生成する。
【0034】
或いは、(アニオン性の)保護されたイミン官能基がオキシムで、1級アミン官能基が望まれている状況下では、ポリマーセメントに還元剤、例えばLi(AlH)溶液を導入して失活を行う。
【0035】
どの失活処理を使用するかに関わらず、生成する官能基は、粒子状充填剤、特にカーボンブラックとの優れた相互作用を示すことができる。
【0036】
溶媒は、失活したポリマーセメントから従来技術、例えばドラム乾燥、押し出し乾燥、真空乾燥等により除去することができるが、これらは水、アルコール、または蒸気を用いた凝固、熱的脱溶媒和等と組み合わせても良く、凝固を行う場合は、オーブン乾燥が望ましい。
【0037】
官能化されたポリマーは、トレッドストック配合物に使用することができ、または従来採用されている何れのトレッドストックゴムとも混合することができ、該トレッドストックゴムは、天然ゴムおよび/または非官能化合成ゴム、例えばポリ(イソプレン)、SBR、ポリ(ブタジエン)、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、エチレン/ビニルアセテートインターポリマー(EVA)、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム等の一種以上を含む。官能化されたポリマーを従来のゴムと混合する場合、その量は全ゴムの約5〜約99重量%の範囲で変化でき、従来のゴムが全ゴムの残部を構成する。最小量は、かなりの程度が所望のヒステリシスの低減度合いに依存する。
【0038】
非晶質のシリカ(SiO)を充填剤として用いることができる。シリカは、一般に湿式シリカ、即ち、含水シリカとして分類され、それはシリカが水中での化学反応により生成するからであり、それにより、シリカは超微細、球状粒子として沈殿する。これらの一次粒子は、強く結合して凝集体となり、該凝集体は、次に、より弱く組み合わさって集合体となっている。「高分散性シリカ」は、エラストマーのマトリックス中で脱集合体化および分散するのに非常に十分な能力を持っている如何なるシリカであってもよく、その能力は薄片顕微鏡法により観察できる。
【0039】
表面積は、異なるシリカの補強特性に関し信頼できる基準を与えるものであり、ブルナウアー、エメット、テラー(BET)法(雑誌「アメリカン・ケミカル・ソサエティ」(J. Am. Chem. Soc.)60巻、p.309以下に記載)が表面積を決定する方法として認識されている。シリカのBET表面積は、一般に450m/g未満であり、そして表面の有効範囲としては、約32〜約400m/g、約100〜約250m/g、および約150〜約220m/gがある。
【0040】
シリカ充填剤のpHは、一般に約5〜約7または僅かに高く、好ましくは約5.5〜約6.8である。
【0041】
使用可能な市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233、およびHi−Sil(商標)190(PPG工業社(PPG Industries Inc)、ピッツバーグ、ペンシルバニア)が挙げられる。市販されているシリカの他の供給業者としては、グレースダビソン社(Grace Davison、ボルチモア、メリーランド)、デグッサ社(Degussa Corp、パーシッパニー、ニュージャージー)、ローディアシリカシステム社(Rhodia Silica Systems、クランバリー、ニュージャージー)、およびジェー・エム・フーバー社(J.M. Huber Corp、エジソン、ニュージャージー)が挙げられる。
【0042】
シリカは、ポリマー100部に対して(phr)、約1〜約100重量部(pbw)の量で、好ましくは約5〜約80phrの量で使用することができる。有効上限は、この種の充填剤によりもたらされる高い粘度によって制限される。
【0043】
他の有用な充填剤としては、特に限定されるものではないが、ファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックの全ての形式が挙げられる。更に具体的に、カーボンブラックの一例としては、超耐摩耗性ファーネスブラック、高耐摩耗性ファーネスブラック、高速押出性ファーネスブラック、微粒子ファーネスブラック、準超耐摩耗性ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、中級作業性チャネルブラック、ハード作業性チャネルブラック、導電性チャネルブラック、およびアセチレンブラックが挙げられ、これらの二種以上の混合物も使用できる。カーボンブラックは、少なくとも20m/g、好ましくは少なくとも約35m/gの表面積(EMSA)を有するものが望ましく、該表面積の値は、ASTMD−1765でセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)法を用いて決定される。該カーボンブラックは、造粒された形状でも、造粒されていない凝集した塊でもよいが、造粒されていないカーボンブラックが特定の混合器で使用するのに望ましい。
【0044】
カーボンブラックの量は、最大で約50phrとすることができるが、約5〜約40phrが一般的である。カーボンブラックをシリカと共に使用する場合、シリカの量は、約1phrの低さまで低減でき、シリカの量が減少するにつれて、加工助剤、即ち追加でシランを使用する場合、該加工助剤の量を減らすことができる。
【0045】
エラストマー配合物は、一般にある体積分率まで充填され、該体積分率は、加えられた充填剤の全体積をエラストマーストックの全体積で割ったものであり、約25%である。従って、補強性充填剤、即ち、シリカおよびカーボンブラックの一般的な量(総量)は、約30〜100phrである。
【0046】
補強性充填剤としてシリカを使用する場合は、エラストマー中での良好な混合を確保し、エラストマーとの良好な相互作用を確保するために、シラン等のカップリング剤を添加することが通例である。一般に、添加されるシランの量は、エラストマー配合物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づいて、約4〜20重量%の間の範囲である。
【0047】
カップリング剤は、一般式Q−T−Xで表わすことができ、式中、Qは物理的および/または化学的にシリカ充填剤の表面にある基(即ち、表面シラノール基)と結合可能な官能基を示し、Tは炭化水素連結基を示し、Xは(例えば、硫黄含有結合によって)エラストマーと結合可能な官能基を示す。かかるカップリング剤としては、オルガノシラン、特には、前述のXおよびQ官能基を有するポリ硫化アルコキシシラン(例えば、米国特許第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号等、参照)またはポリオルガノシロキサンが挙げられる。一つの好適なカップリング剤は、ビス[3−(トリエトキシ−シリル)プロピル]テトラスルフィドである。
【0048】
加工助剤の添加を利用して、使用するシランの量を低減できる。加工助剤として使用される糖類の脂肪酸エステルの説明のために、例えば米国特許第6,525,118号を参照されたい。加工助剤として有用な追加の充填剤としては、特に限定されるものではないが、無機充填剤、例えばクレー(ケイ酸アルミニウム水和物)、タルク(ケイ酸マグネシウム水和物)およびマイカ、並びに、非無機充填剤、例えば尿素および硫酸ナトリウムが挙げられる。好ましいマイカは、主にアルミナ、シリカ、およびカリを含むが、以下に示すように他の変形例も有用である。追加の充填剤は、最大約40phr、好ましくは約20phrの量で使用することができる。
【0049】
他の従来のゴム添加剤も加えることができる。これらのゴム添加剤としては、例えばプロセス油、可塑剤、劣化防止剤、例えば酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤、並びに硬化剤等が挙げられる。
【0050】
例えばバンバリーミキサーまたはブラベンダーミキサー等の標準的設備を用いて、全ての成分を混合することができる。初期の混合(換言すれば、加硫の前に直接置くことを目的としない混合)を、通常約140℃〜160℃の間で、しばしば約145℃〜155℃の間で行う。
【0051】
補強されたゴム配合物は、従来、約0.2〜約5phrの一種以上の既知の加硫剤、例えば硫黄または過酸化物系の硬化システムを用いて硬化される。適当な加硫剤の一般的開示として、興味のある読者には、概説、例えばカークオスマー(Kirk-Othmer)の「化学技術の百科事典(Encyclopedia of Chem. Tech)第3編」(ウイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク、1982年)、20巻、p.365−468を案内する。一般的に硫黄硬化は、約170℃で起こり、従って、一般に硬化成分は前述した初期混合で採用される温度より〜10℃から〜20℃高い温度で混合される。
【0052】
以下、説明に役立つ非限定的な実施例によって、読者に詳細な条件および材料を提供し、その詳細な条件および材料は本発明の実行に有用である。
【実施例】
【0053】
例においては、乾燥され、抽出したセプタムライナーと穿孔したキャップとを用いて正圧のNパージ下で予めシールしたガラス製容器を、全ての調製に使用した。ブタジエン(ヘキサン中で21.4重量%)、スチレン(ヘキサン中で33重量%)、ヘキサン、n−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.6M)、オリゴマー状オキソラニルプロパン(ヘキサン中で1.6Mの溶液、CaH上で貯蔵)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のヘキサン溶液を用いた。
【0054】
市販されている試薬および出発物質としては、以下のものが挙げられ、それらの全てはシグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Co.、セントルイス、ミズーリ)から入手でき、そして特に断りの無い限り追加の精製なしに使用した。
O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(純度99%)、メトキシルアミン塩酸塩(純度98%)、ホルムアルデヒド(37重量%水溶液)、DMF(純度99.9%)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(純度99.5%)、4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(純度99%)、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド(純度97%)、トランス−桂皮アルデヒド(純度98%)、4−(ジメチルアミノ)桂皮アルデヒド(純度98%)、2−ピリジンカルボキシアルデヒド(純度99%)、3−ピリジンカルボキシアルデヒド(純度98%)溶液、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(純度97%)、2−チオフェンカルボキシアルデヒド(純度98%)、N−メチル−2−ピロールカルボキシアルデヒド(純度98%)、および(CHNOH(1.0M水溶液)。
【0055】
実施例のテストデータは、表1に示す配合に従って作製した充填組成物で実施したものである。これらの表において、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニルジアミンが酸化防止剤(老化防止剤)として作用する一方、ベンゾチアジル−2−シクロへキシルスルフェンアミドおよびN,N’−ジフェニルグアニジンは促進剤として作用する。
【0056】
【表1】

【0057】
「50℃でのダイスタット(Dynastat)tanδ」に対応するデータは、ダイナスタット(商標)機械的スペクトロメーター(ダイナスタティクスインスツルメンツ社(Dynastatics Instruments Corp.)、アルバニー、ニューヨーク)で、以下の条件を用いて実施した試験から得た。
1Hz、2kgの静止質量および1.25kgの動的荷重、円筒型(直径9.5mm×高さ16mm)の加硫ゴム試料、50℃。
【0058】
「結合ゴム」に対応するデータは、J.J.ブレナン等、「ゴム化学および技術(Rubber Chem. and Tech.)」、第40巻、p.817、1967年に記載された手順を用いて決定した。
【0059】
(例1−4)
でパージされた撹拌器を備える反応器に、1.53kgのヘキサン、0.41kgのスチレン溶液、および2.54kgのブタジエン溶液を投入した。該反応器に、3.88mLのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液、続いて1.30mLのOOPs(ヘキサン溶液)を投入した。反応器ジャケットを50℃まで加熱し、そして〜28分後、バッチ温度は〜63℃で頂点に達した。更に25分後、ポリマーセメントを反応器から乾燥したガラス容器に移した。
【0060】
3つの試料を、50℃の浴槽中で〜30分間、
試料2:ホルムアルデヒドO−ベンジルオキシム、
試料3:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンO−ベンジルオキシム、および
試料4:トランス−桂皮アルデヒドO−ベンジルオキシム
の1.0Mの(ヘキサン)溶液のそれぞれと反応させ、ここで、これらの溶液は、O−ベンジルヒドロキシルアミンを、ホルムアルデヒド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびトランス−桂皮アルデヒドのそれぞれと反応させて調製した。これらおよび非官能化ポリマー(試料1)を、BHTを含有するイソプロパノール中で凝固させ、ドラム乾燥した。
【0061】
表1に示す配合を用いて、試料1−4から、補強性充填剤を含有する加硫可能なエラストマー配合物を調製した。これら配合物の物理試験の結果を、以下の表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表2の50℃での歪み掃引のデータから、末端アリールオキシアミン官能基を有するスチレン/ブタジエンのインターポリマー(実施例2および3)は、カーボンブラックを充填した配合で使用した場合、コントロールのポリマーと比較して、tanδを少なくとも38%低減させることが分かる。
【0064】
表2の0℃でのtanδのデータから、同一の官能化されたポリマーは、コントロールのポリマーより高い値をもたらすことが分かり、該値が高いことは一般的にウェットトラクションがより良好であることに対応する。
【0065】
表2のRDAデータから、実施例2−4のそれぞれは、コントロール(例1)と比べて、著しいΔG’の減少をもたらすことが分かる。この減少は、ペイン(Payne)効果の減少、即ち、動的機械試験における微小歪み振動の振幅の増加による充填ゴム状ポリマーの貯蔵モジュラスの減少と関係があり、一般にクラスターおよびネットワーク中への充填剤粒子の凝集に起因するものと思われている。このことは、実施例2−4の官能化されたポリマーが、例1のコントロールのポリマーよりも、ポリマーと充填剤との相互作用が非常に良好であることを示しているものと思われる。
【0066】
(例5−9)
例1−4に関して記載した手順を、大部分、繰り返した。試料5(コントロール)をイソプロパノールで停止した一方、他の二つを、
試料6:4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドO−メチルオキム、および
試料8:4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドO−メチルオキシム
の1.0Mの(ヘキサン)溶液のそれぞれと反応させ、ここで、これらの溶液は、メトキシルアミンを、4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドおよび4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドのそれぞれと反応させて調製した。試料7および9は、それぞれ試料6および8から、酸加水分解(THF/ヘキサン溶液中で塩酸1%)に続いて中和((CHNOHを使用)することにより調製した。従って、試料7および9のそれぞれは、末端官能基の一部としてヒドロキシルアミン部分を含む。
【0067】
上記の表1に示す配合を用いて、試料5−9から、補強性充填剤を含有する加硫可能なエラストマー配合物を調製した。これら配合物に対する物理試験の結果を、以下の表3に示す。

【0068】
【表3】

【0069】
表3の50℃での歪み掃引データから、カーボンブラックを充填する配合で使用した場合に、末端アリールオキシアミン官能基を有するスチレン/ブタジエンのインターポリマー(実施例6および8)が、再び、コントロールのポリマーと比較して、tanδを少なくとも30%低減させる一方、末端ヒドロキシルアミン官能基を有するスチレン/ブタジエンのインターポリマー(実施例7および9)が、コントロールのポリマーと比較してtanδを〜40−50%低減させることが分かる。
【0070】
表2から分かる結果と同様に、表3のRDAデータは、実施例6−9のそれぞれがコントロール(例5)と比べて著しいΔG’の減少をもたらすこと、即ち、ペイン効果の好ましい減少をもたらすことを示している。
【0071】
(例10−13)
例1−4に関して記載した手順を、大部分、繰り返した。試料10(コントロール)をイソプロパノールで停止し、試料11(比較系)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)と反応させ、そして他の試料を2−ピリジンカルボキシアルデヒド−O−メチルオキシム(2−ピリジンカルボキシアルデヒドとメトキシルアミンとの反応で形成)と反応させた。後者の一部をイソプロパノールで停止し、メトキシルアミン官能化ポリマー(試料12)を形成し、そして他の部分を酸加水分解後にNHOHで中和して、ヒドロキシルアミン官能化ポリマー(試料13)を形成した。
【0072】
上記の表1に示す配合を用いて、試料10−13から、補強性充填剤を含有する加硫可能なエラストマー配合物を調製した。これら配合物に対する物理試験の結果を、以下の表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
表4のデータが示すのは、2−ピリジン−カルボキシアルデヒド−O−メチルオキシムとの反応を介して官能化されたポリマーを含有する組成物である実施例12−13が、物理的特性の優れた組み合わせを示すということである。50℃での歪み掃引、結合ゴム、モジュラス、引張強度、ΔG’等のデータは、比較例11(DMI官能化ポリマー)と同程度、またはそれより良く、そしてコントロールである例10より著しく良い。
【0075】
更に、実施例12−13が大きなカップリング率を示すので、DMI官能化ポリマーよりはるかに加工が簡単であることが期待され、該DMI官能化ポリマーは、悪評が高いように、低温フロー特性が乏しい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー鎖と、該ポリマー鎖に結合した一般式:
【化1】

[式中、Aは、酸素原子、スルフィニル基、スルホニル基、4級ホスホニウム基、または2級アミノ基であり、
は、水素原子、または一般式−CHZ(式中、Zは、水素原子、または置換若しくは非置換の、アリール、アルキル、アルケニル、アルケナリール、アラルケニル、アルカリル、若しくはアラルキル基である)である]で表わされる官能基とを含む高分子。
【請求項2】
前記ポリマー鎖が実質的に直鎖状であって、且つ前記官能基が前記ポリマーの末端にある、請求項1に記載の高分子。
【請求項3】
前記官能基が、一般式−CR−[式中、R及びRのそれぞれは、単独して、H、または一般式−CHZ(式中、Zは、H、または、置換若しくは非置換の、アリール、アルキル、アルケニル、アルケナリール、アラルケニル、アルカリル、若しくはアラルキル基である)であるか、或いは、RおよびRは、一緒になって、脂環式、芳香族、複素環式芳香族、または縮合芳香族の環を形成し、ここで、該環は任意に置換されていてもよい]で表わされる中間連結基を介して前記ポリマー鎖に結合している、請求項1又は2に記載の高分子。
【請求項4】
およびRの少なくとも一つが、芳香族基であり、
前記芳香族基が、当該芳香族基の環の原子に結合した追加の官能基を任意に含む、請求項3に記載の高分子。
【請求項5】
およびRが一緒になって芳香族基を形成し、該芳香族基が前記中間連結基の炭素原子に対してオルト位にヘテロ原子を含む、請求項3に記載の高分子。
【請求項6】
前記ヘテロ原子が窒素原子である、請求項5に記載の高分子。
【請求項7】
前記高分子が、リビングポリマーと、保護されたイミン官能基を含む化合物との反応生成物を含む、請求項1から6の何れかに記載の高分子。
【請求項8】
少なくとも一種の粒子状充填剤と、請求項1から7の何れかに記載の高分子とを含む、組成物。
【請求項9】
一般式−NHAR[式中、Aは、酸素原子、スルフィニル基、スルホニル基、4級ホスホニウム基、または2級アミノ基であり、Rは、水素原子、または一般式−CHZ(式中、Zは、水素原子、または、置換若しくは非置換の、アリール、アルキル、アルケニル、アルケナリール、アラルケニル、アルカリル、若しくはアラルキル基である)である]で表わされる官能基を含む高分子に1級アミン官能基をもたらす方法であって、
前記官能基から前記1級アミン官能基がもたらされるように、前記高分子を含む組成物を適当な酸化還元条件に曝す工程を含む、方法。
【請求項10】
Aが酸素原子であり、前記酸化還元条件が前記組成物への還元剤の導入を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Aが、スルフィニル基、スルホニル基、4級ホスホニウム基、または2級アミノ基であり、前記酸化還元条件が、前記組成物への酸の導入を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
塩基を前記組成物に加えて、該組成物を中和する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−503145(P2009−503145A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522901(P2008−522901)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/027880
【国際公開番号】WO2007/015872
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】