説明

アラミドコンベヤベルト用ゴム組成物

【課題】アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付が良好なアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたアラミドコンベヤベルトの提供。
【解決手段】ジエン系ゴムと、有機コバルト塩と、有機塩素化合物とを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記有機コバルト塩をコバルト量として0.1〜1.5質量部含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記有機塩素化合物を塩素量として2〜17.5質量部含有するアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラミドコンベヤベルト用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたアラミドコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
産業界における運搬手段として、安いコストで、遠くまで、連続的に運ぶという特性をもつ「コンベヤベルト」は、大量高速輸送時代の「産業の大動脈」として、幅広い分野で活用されている。特に、超長距離大量輸送を可能にした「スチールコードコンベヤベルト」が、(1)使用張力が大きく大容量、超スパンベルトが可能である、(2)伸びが少なくテークアップスペースが少なくてすむ、(3)トラフ性が優れており蛇行がない、(4)走行性能が良く、ベルトの寿命が長い等の理由から、「長距離」、「高速」、「大容量運搬」が要求される現場に広く使用されてきた。
【0003】
近年、このようなコンベヤベルトとして、省エネルギー、環境対策等、新しい時代のニーズに対応した「アラミドコンベヤベルト」が用いられてきており、スチールコードコンベヤベルトに置き換わりつつある。
このアラミドコンベヤベルトは、スチールコードと同様に伸びが少ない新素材として注目されつつある「アラミド繊維」を、ベルトの芯体(張力層)の帆布(アラミド帆布)として用いたコンベヤベルトである。
【0004】
このようなアラミドコンベヤベルトに関する技術として、特許文献1には、「表面にレゾルシンホルマリンラテックス処理されたエポキシ樹脂層が形成された芳香族アラミド繊維体が、ジエン系生ゴム100重量部、有機コバルト塩0.05〜15重量部、フェノール類0.5〜10重量部及びフェノールホルムアルデヒド樹脂1〜20重量部を含有するゴム組成物の加硫体に埋設されてなることを特徴とするアラミド繊維体/ゴム系複合材料。」が提案されており、複合材料としてべルトコンベア用ベルトが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−11012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のアラミド繊維体/ゴム系複合材料(べルトコンベア用ベルト)であっても、アラミド帆布とそれを挟むコートゴムとの接着力(はく離力(N/inch)・ゴム付(%))が不十分となる場合があり、特に、ゴム付については改善の余地があることが明らかとなった。
【0007】
そこで、本発明は、アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付が良好なアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたアラミドコンベヤベルトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジエン系ゴムに有機コバルト塩および有機塩素化合物を特定量配合させたゴム組成物が、アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付がともに優れることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記(1)に記載のアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物および下記(2)に記載のアラミドコンベヤベルトを提供する。
【0009】
(1)ジエン系ゴムと、有機コバルト塩と、有機塩素化合物とを含有し、
上記ジエン系ゴム100質量部に対して、上記有機コバルト塩をコバルト量として0.1〜1.5質量部含有し、
上記ジエン系ゴム100質量部に対して、上記有機塩素化合物を塩素量として2〜17.5質量部含有するアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物(第1の態様)。
【0010】
(2)上記(1)に記載のアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物をコートゴム層に用いたアラミドコンベヤベルト(第2の態様)。
【発明の効果】
【0011】
以下に説明するように、本発明によれば、アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付が共に優れるアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物を提供することができ、それにより長寿命化および高強力化を達成したコンベヤベルトも提供することができるため非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の態様に係るアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」という場合がある。)は、ジエン系ゴムと、有機コバルト塩と、有機塩素化合物とを含有し、該ジエン系ゴム100質量部に対して、該有機コバルト塩をコバルト量として0.1〜1.5質量部含有し、該ジエン系ゴム100質量部に対して、該有機塩素化合物を塩素量として2〜17.5質量部含有するアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物である。
以下に、本発明のゴム組成物に用いるジエン系ゴム、有機コバルト塩および有機塩素化合物について詳述する。
【0013】
<ジエン系ゴム>
本発明に用いるジエン系ゴムは、従来公知のものであれば特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムを用いるのが破断伸び(EB)、破断強度(TB)および加工性のバランスの観点から好ましく、特に、天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとの混合ゴムを用いるのが、得られる本発明のゴム組成物の混合加工時の発熱等を抑制でき、加工時(特に工場におけるロール圧延加工時)において、シート状に成形しやすいという特性(以下、「ロール加工性」ともいう。)を有するためより好ましい。
【0014】
<有機コバルト塩>
本発明に用いる有機コバルト塩は、、一般的に液相酸化触媒として使用されるもので従来公知のものであれば特に限定されず、対応する有機酸のアルカリセッケン水溶液に酢酸コバルト溶液を加え複分解沈殿させる方法、有機酸と酸化コバルト(II)とを加熱融解させる方法、有機酸のベンジン溶液に硫酸コバルトまたは硝酸コバルトの水溶液を加える方法等により得られるものを用いることができる。
【0015】
本発明に用いる有機コバルト塩としては、具体的には、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、オルトホウ酸コバルト、オクチル酸コバルト、バーサチック酸コバルト、オクチル酸コバルト、パルミチン酸コバルト、ロジン酸コバルト、プロピオン酸コバルト、コバルトボロン錯体等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ナフテン酸コバルトであるのが、得られる本発明のゴム組成物とアラミド帆布との接着性がより向上する理由から好ましい。
このような有機コバルト塩としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、大日本インキ化学工業社製のナフテン酸コバルト10%等を用いることができる。
【0016】
本発明のゴム組成物においては、このような有機コバルト塩の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、コバルト量として0.1〜1.5質量部であり、0.1〜0.5質量部であるのが好ましい。
【0017】
<有機塩素化合物>
本発明に用いる有機塩素化合物は、一般的に塩素系難燃剤として使用される有機塩素化合物を用いることができるが、直鎖の有機塩素化合物を用いるのが好ましい。直鎖の有機塩素化合物としては、具体的には、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
このような有機塩素化合物としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、味の素ファインテクノ社製のエンパラ70S(塩素化パラフィン、塩素含有量70%)、エンパラ40S(塩素化パラフィン、塩素含有量40%)等を用いることができる。
【0018】
本発明のゴム組成物においては、このような有機塩素化合物の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、塩素量として2〜17.5質量部であり、2〜7質量部であるのが好ましい。
【0019】
本発明においては、上記有機コバルト塩および上記有機塩素化合物をそれぞれ上述した範囲で含有していれば、得られる本発明のゴム組成物をコートゴム層に用いたアラミドコンベヤベルトにおいて、アラミド帆布とそれを挟むコートゴム層とのはく離力およびゴム付が共に良好となり、特にゴム付は格段に優れたものとなる。これは、アラミド帆布とコートゴム層との間の架橋点が増加するためであると考えられる。
また、本発明においては、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、上記有機コバルト塩のコバルト量としての含有量および上記有機塩素化合物の塩素量としての含有量の合計が、3〜13質量部であるのが破断伸びおよび破断強度ならびにロール加工性の観点から好ましい。
【0020】
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含有するのが好ましい態様の一つである。
本発明のゴム組成物に用いることができる加硫剤としては、イオウ系、有機過酸化物系、金属酸化物系、フェノール樹脂、キノンジオキシム等の加硫剤が挙げられる。
イオウ系加硫剤としては、具体的には、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
【0021】
本発明のゴム組成物においては、このような加硫剤の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.3〜5質量部であるのがより好ましい。
加硫剤の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の第2の態様に係るアラミドコンベヤベルト(以下、単に「本発明のコンベヤベルト」という。)の破断伸び(EB)、破断強度(TB)および硬さのバランスが優れ、耐疲労性が向上するため好ましい。
【0022】
本発明のゴム組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各種成分以外に、必要に応じて、加硫促進剤、加硫助剤、加硫遅延剤および各種配合剤を含有させてもよい。
【0023】
加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系等の加硫促進剤が挙げられる。
アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(H)等;グアニジン系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジフェニルグアニジン等;チオウレア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、エチレンチオウレア等;チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩等;チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等;ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、Na−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等がそれぞれ挙げられる。
【0024】
加硫助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩等が挙げられる。
加硫促進剤および加硫助剤の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
【0025】
加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール;サントガードPVI等が挙げられる。
加硫遅延剤の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対し、0.1〜0.3質量部であることが好ましく、0.1〜0.2質量部であることがより好ましい。
【0026】
配合剤としては、例えば、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変成付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー(充填剤)、加工助剤等が挙げられる。
これらの配合剤は、ゴム用組成物用の一般的なものを用いることができる。それらの配合量も特に制限されず、任意に選択できる。
【0027】
本発明のゴム組成物の製造は、上述したジエン系ゴム、有機コバルト塩および有機塩素化合物ならびに所望により添加する配合剤を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練し、ついで、加硫剤、加硫促進剤を加え混練ロール機等で混練して行うことができる。
【0028】
本発明のコンベヤベルトは、上述した本発明の第1の態様に係るアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物をコートゴム層に用いたアラミドコンベヤベルトであり、具体的には、カバーゴム層と、コートゴム層と、アラミド帆布とを設けたアラミドコンベヤベルトであって、該コートゴム層が、本発明のゴム組成物により形成されたコンベヤベルトである。
以下に、図1を用いて本発明のコンベヤベルトを説明するが、本発明のコンベヤベルトの構造はこれに限定されない。
【0029】
図1は、本発明のコンベヤベルトの好適な実施態様の一例を模式的に示した断面図である。図1において、1はコンベヤベルト、2は上面カバーゴム層、3は上面コートゴム層、4は補強層、5は下面コートゴム層、6は下面カバーゴム層、7は運搬物搬送面である。
図1に示すように、コンベヤベルト1は、補強層4を中心層とし、その両側に上面コートゴム層3と下面コートゴム層5が設けられており、さらにそれらの外側に、上面カバーゴム層2と下面カバーゴム層6が設けられている。
【0030】
図1において、補強層4は1層から構成されているが、本発明においては、補強層の数は1層に限定されず、2層以上であってもよい。なお、補強層が2層ある場合は、補強層と補強層との間にもコートゴム層が設けられる。
【0031】
ここで、上面コートゴム層3および下面コートゴム層5は、本発明のゴム組成物により形成され、上記補強層4は、芯体がアラミド繊維で形成されたアラミド帆布である。なお、このアラミド帆布としては、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物水溶液とゴムラテックスとの混合液に浸漬処理(以下、「RFL処理」という。)したものを用いるのが好ましい。
また、運搬物搬送面7を構成する上面カバーゴム層2は、耐熱性、耐摩耗性、耐油性に優れるゴム組成物から形成されるのが好ましく、裏面表面を構成する下面カバーゴム層6は、低粘着性、低摩擦性に優れるゴム組成物から形成されるのが好ましい。
【0032】
本発明のコンベヤベルトの製造方法は特に限定されず、通常用いられる方法等を採用することができる。
具体的には、まず、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて原料を混練りした後、カレンダー等を用いて各カバーゴム層用にシート状に成形し、次に、得られた各層を補強層を挟み込むように所定の順序で積層し、150〜170℃の温度で10〜60分間加圧する方法が好適に例示される。
【0033】
本発明のコンベヤベルトは、アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付が共に優れる本発明のゴム組成物をコートゴム層に用いるため、長寿命化および高強力化を達成することができる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を挙げ、本発明のゴム組成物およびコンベヤベルトについてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1〜10および比較例1〜7)
NR50質量部とSBR50質量部との混合ゴム100質量部に対して、下記表1に示す組成成分(質量部)で、各アラミドコンベヤベルト用ゴム組成物を調製した。得られた各ゴム組成物について、以下に示す、破断伸び、破断強度、ロール加工性、はく離力およびゴム付の評価を行った。その結果を下記表1に示す。
【0035】
<破断伸び、破断強度>
得られた各ゴム組成物を148℃×45分の加硫条件で加硫した加硫ゴム組成物から厚さ2mmのダンベル状3号形試験片を切り出し、各ダンベル状3号形試験片について、JIS K6251-1993に準じた引張試験(引張速度:200mm/分)を行い、破断伸び(EB)[%]および破断強度(TB)[MPa]を室温(25℃)にて測定した。
【0036】
<ロール加工性>
ロール加工性の評価は、得られた各ゴム組成物のロール圧延加工時におけるロール表面を目視することにより行い、ゴム組成物のロール表面への密着がないものを「○」とし、ロール表面への密着が若干みられるが除去できる程度であるものを「△」とし、ロールへの密着がみられ除去することが困難な程度であるものを「×」とした。
【0037】
<はく離力>
得られた各ゴム組成物をコートゴム層に用い、RFL処理を施したアラミド帆布を補強層に用い、148℃×45分の加硫条件で加硫することにより接着試験体(サイズ:幅2.5cm×奥行15cm×高さ0.5cm)を作製し、2層はく離試験により、はく離力(N/inch)を測定した。
図2は、実施例の2層はく離試験に用いた試験体を説明する断面図であり、10は接着試験体、11はコートゴム層、12はアラミド帆布である。
2層はく離試験は、アラミド帆布12の間にあるコートゴム層の一端の一部に予め加硫前の段階でセロハンフィルムを挟み込み、加硫後にその両端を50mm/minのはく離速度で180度はく離した際のはく離力(N/inch)を測定した。
【0038】
<ゴム付>
上記2層はく離試験によりはく離した後のアラミド帆布表面を目視により観察し、ゴム付着率(%)であるゴム付を観察した。はく離による破壊がコートゴム層の全面で起こっている場合は、ゴム付が100%となり、接着が最も良好なものとなる。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
なお、上記ゴム成分および各組成成分としては、以下に示すものを用いた。
・天然ゴム(NR):STR20
・合成ゴム(SBR):NIPOL 1502(日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:HAF(昭和キャボット社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・老化防止剤:ノンフレックスOD−3(精工化学社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精練所)
・加硫促進剤:ジベンゾチアジル・ジスルフィド(ノクセラーDM−PO、三新化学工業社製)
・レゾルシノール樹脂:スミライトレジンPR−175(住友デュレズ社製)
・ナフテン酸コバルト:ナフテン酸コバルト10%(コバルト含有量10%、大日本インキ化学工業社製)
・塩素化パラフィン1:エンパラ70S(塩素含有量70%、味の素ファインテクノ社製)
・塩素化パラフィン2:エンパラ40S(塩素含有量40%、味の素ファインテクノ社製)
【0042】
表1に示す結果より、実施例1〜10に示すゴム組成物は、破断伸び、破断強度およびロール加工性を良好に保持することが分かり、また、これらのゴム組成物をコートゴム層に用いて製造したコンベヤベルトは、アラミド帆布に対するはく離力およびゴム付が共に良好となることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明のコンベヤベルトの好適な実施態様の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、実施例の2層はく離試験に用いた試験体を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1:コンベヤベルト
2:上面カバーゴム層
3:上面コートゴム層
4:補強層
5:下面コートゴム層
6:下面カバーゴム層
7:運搬物搬送面
10:接着試験体
11:コートゴム層
12:アラミド帆布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、有機コバルト塩と、有機塩素化合物とを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記有機コバルト塩をコバルト量として0.1〜1.5質量部含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記有機塩素化合物を塩素量として2〜17.5質量部含有するアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のアラミドコンベヤベルト用ゴム組成物をコートゴム層に用いたアラミドコンベヤベルト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−152106(P2006−152106A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344052(P2004−344052)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】