説明

アリールアミン化合物の製造方法

【課題】電子材料用素材、又はその中間体として有用なアリールアミン、特にジアリールアミン化合物及びトリアリールアミン化合物を極めて高純度かつ低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】銅触媒及び塩基存在下、特定の芳香族ハロゲン化合物と、特定の芳香族アミン化合物とを縮合反応させてジアリールアミン又はトリアリールアミンを製造する方法であって、該縮合反応時に一般式(1)で表される化合物を共存させることを特徴とするジアリールアミン又はトリアリールアミンの製造方法。式(1)中、R23は水素原子又は所定の置換基を表す。R24は水素原子又は所定の置換基を表す。Zは酸素原子又は−N(R25)−を表す。R25はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環残基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザービームプリンタ、LEDプリンタなどの電子写真方式の画像形成に用いる電子写真感光体、及びディスプレイ、照明光源、複写機の露光光源、表示板、標識灯などに利用される有機電界発光素子に利用可能なトリアリールアミン化合物又はジアリールアミン化合物を高純度かつ低コストで製造する方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明はアリールアミン化合物を合成するウルマン縮合反応の範疇に含まれる。
ウルマン縮合反応は芳香族アミン化合物と芳香族ハロゲン化合物(好ましくは芳香族ヨウ化化合物)とを塩基及び銅触媒の存在下で反応しアリールアミンを合成する方法であり、F.Ullmannによって発見された。この反応は、高価な触媒や取扱いが困難な触媒を使用しない低コストで安全性の高い反応であり、工業的製造法として有用である。しかし、一般的に反応時間が長く、また実用的なアリール化速度を達成するために通常200℃以上の高温を必要するため、原料の分解や生成物の酸化、不均化、二量化反応等により副生成物が多く生成する問題がある。酸化劣化によって生成した極性基含有不純物や、二量化生成物の存在は電気特性低下の原因になるので、これら副生成物は出来る限り排除する必要があるが、その精製は非常に困難であり、再結晶やカラムクロマト法で繰り返し精製しなければならずコスト高となる課題があった。
【0003】
ウルマン反応において、電気特性に悪影響を及ぼす副生成物を抑制する方法は種々報告されている。例えば、ハロゲン化芳香族化合物と大過剰の芳香族アミン化合物とを反応させてスチリル化合物やアリールアミン化合物を合成する方法(特許文献1参照)が知られている。また、ハロゲン化芳香族化合物と芳香族アミン化合物とを反応させてフルオレン骨格を有するアリールアミン化合物を合成する際に、銅触媒の使用量を減量して副生成物を抑制する方法(特許文献2参照)や、ハロゲン化芳香族化合物と芳香族アミン化合物とを銅紛触媒及び塩基の存在下で反応させてトリアリールアミン誘導体を合成する際に、不活性気体雰囲気下及び無機亜硫酸塩の併用により副生成物を抑制する方法(特許文献3参照)等も報告されている。しかし、いずれの場合も副生成物は抑制されるものの依然として着色性不純物や酸化物、分解物等が生成し、電子材料用素材又はその中間体として使用するためには高度に精製する必要があった。
高純度のアリールアミン化合物を製造するには、より低温で反応することが好ましい。芳香族溶媒中、銅触媒、水酸化カリウム及び第三級アミン化合物の共存下、芳香族アミン化合物とヨウ素化芳香族化合物とを120〜150℃で反応するトリアリールアミン化合物の製造方法が開示されている(特許文献4参照)。この方法は低温でも反応が効率良く進行するが、しかし収率、純度共に満足できるものではなく、上記の課題は解決されていない。
【0004】
本発明者らは、ウルマン反応系に活性酸素種等のフリーラジカルを補足し得る種々の有機化合物を触媒量添加することで副生成物を高度に抑制する製造方法を提案している(特許文献5〜7参照)。これらの方法は高純度合成において非常に有効であるが、長時間反応を必要とする課題は解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−282180号公報
【特許文献2】特開2000−178237号公報
【特許文献3】特開2000−239235号公報
【特許文献4】特開平9−323958号公報
【特許文献5】特開2005−239671号公報
【特許文献6】特開2005−350416号公報
【特許文献7】特開2006−16321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電子材料用又はその中間体としての使用に適する素材を低コストに製造する方法を提供するものである。
本発明者らは鋭意工夫した結果、ジアリールアミン化合物やトリアリールアミン化合物を合成する際に、反応系にピラゾロン化合物やイソオキサゾロン化合物を添加することにより、反応時間が顕著に短縮できると同時に、電気特性に悪影響を及ぼす不純物の生成が高度に抑制できることを発見した。ピラゾロン化合物やイソオキサゾロン化合物は写真感光材料や熱転写記録材料の染料中間体(例えば、特開平7−125458号公報等)や、医薬用途での使用(例えば、特開平3−215425号公報等)が開示されている。本発明者らは、これらの中で特定構造を有する化合物がウルマン反応において反応促進効果と副反応抑制効果との両方を発現することを初めて見出し、これらピラゾロン化合物及びイソオキサゾロン化合物の化学構造と、反応における効果を詳細に検討して本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、上記の目的は以下の方法によって達成される。
1.
銅触媒及び塩基存在下、ハロゲン原子が置換した芳香環を有する芳香族ハロゲン化合物と、−NH−基が置換した芳香環を有する芳香族アミン化合物とを縮合反応させるジアリールアミン又はトリアリールアミンの製造方法であって、該縮合反応時に一般式(1)で表される化合物を共存させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。
【化1】

式(1)中、
R23は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、へテロ環カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、へテロ環オキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子又はヘテロ環残基を表す。
R24は水素原子、アルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基又はハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子又は−N(R25)−を表す。
R25は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環残基を表す。
2.
前記芳香族ハロゲン化合物が下記一般式(2’)で表される化合物であり、かつ、前記芳香族アミン化合物が下記一般式(3’)又は(4’)で表される化合物であることを特徴とする、上記1に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
(A21)p21−L21−Ar21 式(2’)
式(2’)中、
Ar21は少なくとも1つのハロゲン原子が置換したアリール基、又は少なくとも1つのハロゲン原子が置換したヘテロアリール基を表す。
L21は単結合又はp21+1価の連結基を表す。
A21は複数存在する場合、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を表す。
p21はL21に置換するA21の数を表し、1〜3の整数を表す。L21が3級アミノ基の場合、p21は2である。
Ar31−L31−NH−L32−Ar32 式(3’)
Y41−[L41−NH−L42−Ar41]t41 式(4’)
式(3’)中、
Ar31はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。
Ar32は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L31、L32は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Ar31とAr32、及びL31とL32は互いに連結して環を形成してもよい。
式(4’)中、
Ar41は独立してアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L41、L42は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Y41は窒素原子、−N(R12)−、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はこれらを組み合わせた2又は3価の基を表す。
t41は2又は3を表す。複数存在するL41、L42,Ar41は各々同じでも異なっていても良い。
3.
前記芳香族ハロゲン化合物が下記一般式(2)で表される化合物であり、かつ、前記芳香族アミン化合物が、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物である、上記1又は2に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
【化2】

式(2)中、
A1及びA2は、独立して、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子で置換されたアリール基又はヘテロアリール基を表す。
R1及びR3は、独立して1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R2は、窒素原子、1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R4及びR5は、独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R4及びR5が複数存在する場合、該複数のR4とR5は同一でも異なってもよい。また、R4とR5とが互いに結合して環を形成してもよい。更に、その形成した環に飽和環又は芳香環が縮合してもよい。
a〜dは各々繰り返し数を表し、eはR2に置換する数を表す。
aは0又は1の整数を表す。b〜eは各々独立して0〜2の整数を表す。但し、R2が窒素原子の場合、eは2であり、R2が1価の基の場合、eは0である。
b〜eが各々2の場合、複数存在するR2、R3及びA2は各々同一でも異なってもよい。
A1、A2及びR1〜R3は、更にアルキル基、アリール基、及びヘテロ環残基から選択される任意の2つの基によってジ置換されたアミノ基、アルキル基、アリールアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ヘテロ環残基からなる群より選択される少なくとも1つの基が置換していてもよい。
【化3】

式(3)中、
R6は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R7及びR10は、独立して、2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R9は水素原子、アルキル基、1〜3価のアリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R6とR9とが互いに結合して環を形成してもよい。
R8及びR11は、独立して、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R8、R11が共に−N(R12)(R13)の場合、複数のR12及びR13は同一でも異なってもよい。
f、hは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
gはR7に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
iはR10に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
f〜iが各々2の場合、複数のR7、R8、R10及びR11は各々同一でも異なってもよい。
R6〜R11は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。
【化4】

式(4)中、
R14は1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−N(R19)−を表す。R19は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
R15は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R16は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R17は2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R18はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R20)(R21)を表す。R20は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロアリール基を表す。
m、n、p、qは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
rはR17に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
tはYに置換する数を表し、2又は3の整数を表す。複数存在するR14〜R18は各々同一でも異なってもよい。
Yは−Y1−、−Y1−Y2−、又は−Y1−Y2−Y3−を表す。Y1〜Y3は各々独立して窒素原子、−N(R22)−、t価のアリール基、又はt価のヘテロアリール基を表す。R22は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Y1〜Y3が窒素原子及び/又は−N(R22)の場合、Y1〜Y3に結合する複数のR14のうちの任意の2つが結合して環を形成してもよい。また、R15とR16が結合して環を形成してもよい。
R14〜R22は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、電子材料用素材、又はその中間体として有用なアリールアミン、特にジアリールアミン化合物及びトリアリールアミン化合物を極めて高純度かつ低コストで製造することができ、高い実用性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を更に詳細に説明する。
本発明は銅触媒及び塩基存在下、ウルマン縮合反応を用いてアリールアミン、特に電子材料用素材又はその中間体として有用な一群のジアリールアミン化合物又はトリアリールアミン化合物を製造する際に、後述する一般式(1)で表される化合物の少なくとも1つを共存させることにより、反応促進効果と副反応抑制効果とが同時に得られる新規な製造方法である。
具体的には、本発明のアリールアミン化合物の製造方法は、銅触媒及び塩基存在下、後述する一般式(2’)で表される芳香族ハロゲン化合物と、後述する一般式(3’)で表される芳香族アミン化合物とを縮合反応させるアリールアミン化合物の製造方法であって、該縮合反応時に後述する一般式(1)で表される化合物を共存させることを特徴とする。
一般式(1)で表される化合物が共存することにより、2つの効果が得られる。
第一の効果は、顕著な反応促進である。それにより、これまで反応の進行が遅いために使用困難だった安価な芳香族臭素化化合物も使用することができる。従来の芳香族ヨウ素化化合物を使用する場合でもその反応促進効果は顕著であり、特に構造内に多数の反応部位がある化合物を用いる場合に実用的な反応速度で製造することが可能である。
第二の効果は、副生成物が高度に抑制できることである。本発明を用いた場合の目的物の純度は、従来知られているアリールアミン合成法に比べ、反応過程で目的物の酸化劣化や二量化等の副反応が起こらないので、簡単な精製操作のみでも高純度な目的物を得ることができる。
以下、本発明で使用する各成分について詳述する。
<一般式(1)で表される化合物>
【0010】
【化5】

式(1)中、
R23は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、へテロ環カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、へテロ環オキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子又はヘテロ環残基を表す。
R24は水素原子、アルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基又はハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子又は−N(R25)−を表す。
R25は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環残基を表す。
【0011】
本発明の一般式(1)の化合物は、下記一般式(1')及び(1'')で表されるプロトン互変異性に変換可能な化合物である。これら互変異性体に変換可能な化合物のみが反応促進効果と副反応抑制効果とを共に発現することができる。また、一般式(1)の化合物はそれらの水和物、及び溶媒和物もその範疇に含まれる。
【0012】
【化6】

【0013】
前記一般式(1)において、R23〜R25が表すアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)が挙げられる。
R23及びR25が表すアルケニル基としては、例えばビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐又は環状のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜20)が挙げられる。
R23及びR25が表すアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等の単環式又は二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)が挙げられる。
【0014】
R23が表すアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、イコシルオキシ等のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)が挙げられる。
R23及びR24が表すアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等の単環式又は二環式アリールオキシ基(好ましくは5〜10員環)が挙げられる。
R23が表すヘテロ環オキシ基としては、例えばイミダゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、1,3,4−チアジアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ、ピラジルオキシ、フリルオキシ、チエニルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、ベンゾオキサゾリルオキシ等の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式又は二環式ヘテロ環オキシ基(好ましくは5〜10員環)が挙げられる。
【0015】
R23が表すアルキルカルボニル基としては、例えばアセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル、ヘプチルカルボニル、オクチルカルボニル、ノニルカルボニル、デシルカルボニル、ウンデシルカルボニル、ドデシルカルボニル、トリデシルカルボニル、テトラデシルカルボニル、ペンタデシルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニル、シクロオクチルカルボニル、シクロノニルカルボニル、シクロデシルカルボニル等の直鎖、分岐又は環状アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)が置換したカルボニル基が挙げられる。
R23が表すアリールカルボニル基としては、例えばベンゾイル、ナフトイル等の単環式又は二環式アリール基(好ましくは5〜10員環)が置換したカルボニル基が挙げられる。
R23が表すヘテロ環カルボニル基としては、例えばイミダゾリルカルボニル、オキサゾリルカルボニル、トリアゾリルカルボニル、チアゾリルカルボニル、1,3,4−チアジアゾリルカルボニル、ピリジルカルボニル、ピリミジルカルボニル、ピラジルカルボニル、フリルカルボニル、チエニルカルボニル、ベンゾチアゾリルカルボニル、ベンゾオキサゾリルカルボニル等の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式又は二環式ヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)が置換したカルボニル基が挙げられる。
【0016】
R23が表すアルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、トリデシルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、ペンタデシルオキシカルボニル、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロヘプチルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニル、シクロノニルオキシカルボニル、シクロデシルオキシカルボニル等の直鎖、分岐又は環状アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)が置換したオキシカルボニル基が挙げられる。
R23が表すアリールオキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等の単環式又は二環式アリール基(好ましくは5〜10員環)が置換したオキシカルボニル基が挙げられる。
R23が表すヘテロ環オキシカルボニル基としては、例えばイミダゾリルオキシカルボニル、オキサゾリルオキシカルボニル、トリアゾリルオキシカルボニル、チアゾリルオキシカルボニル、1,3,4−チアジアゾリルオキシカルボニル、ピリジルオキシカルボニル、ピリミジルオキシカルボニル、ピラジルオキシカルボニル、フリルオキシカルボニル、チエニルオキシカルボニル、ベンゾチアゾリルオキシカルボニル、ベンゾオキサゾリルオキシカルボニル等の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式又は二環式ヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)が置換したオキシカルボニル基が挙げられる。
【0017】
R23が表すカルバモイル基としては、例えば無置換カルバモイル基;N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−(tert−ブチル)カルバモイル、N−ヘキシルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、ピリジルカルバモイル、フリルカルバモイル、チエニルカルバモイル、ベンゾチアゾリルカルバモイル、ベンゾオキサゾリルカルバモイル等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含むヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)がモノ置換したカルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジヘキシルカルバモイル、N,N−ジドデシルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル、N,N−ジピリミジルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N−フェニル−N−ピリジルカルバモイル、N−プロピル−N−チエニルカルバモイル等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式若しくは二環式のヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)から選択される2つの基がジ置換したカルバモイル基が挙げられる。
【0018】
R23が表すスルファモイル基としては、例えば無置換スルファモイル基;N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N−(iso−プロピル)スルファモイル、N−ブチルスルファモイル、N−ヘキシルスルファモイル、N−オクチルスルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ドデシルスルファモイル、N−テトラデシルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル、N−ナフチルスルファモイル、N−イミダゾリルスルファモイル、N−オキサゾリルスルファモイル、N−チアゾリルスルファモイル、N−ピリジルスルファモイル、N−チエニルスルファモイル、N−ベンゾオキサゾリルスルファモイル等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式若しくは二環式ヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)がモノ置換したスルファモイル基;N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N,N−ジフェニルスルファモイル、N,N−ジピリジルスルファモイル、N,N−ジピラジルスルファモイル、N−エチル−N−メチルスルファモイル、N−メチル−N−フェニルスルファモイル、N−エチル−N−ピリジルスルファモイル、N−フェニル−N−フリルスルファモイル等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式若しくは二環式のヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)から選択される2つの基がジ置換したスルファモイル基が挙げられる。
【0019】
R23が表すアミノ基としては、例えば無置換アミノ基;N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N−プロピルアミノ、N−ブチルアミノ、N−ヘキシルアミノ、N−デシルアミノ、N−テトラデシルアミノ、N−オクタデシルアミノ、N−シクロプロピルアミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−フェニルアミノ、N−ナフチルアミノ、N−チアゾリルアミノ、N−ピリミジルアミノ、N−フリルアミノ、N−チエニルアミノ等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式若しくは二環式のヘテロ環残基(好ましくは5〜7員環)がモノ置換したアミノ基;N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N,N−ジヘキシルアミノ、N,N−ジオクチルアミノ、N,N−ジドデシルアミノ、N,N−ジオクタデシルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N,N−ジフリルアミノ、N,N−ジピリジルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、N−エチル−N−ブチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−エチル−N−ナフチルアミノ、N−ブチル−N−ピリジルアミノ等、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、単環式若しくは二環式のアリール基(好ましくは5〜10員環)、又は窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式若しくは二環式のヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)から選択される2つの基がジ置換したアミノ基が挙げられる。
【0020】
R24が表すアリールチオ基としては、例えばフェニルチオ、ナフチルチオ等の単環式又は二環式のアリールチオ基(好ましくは5〜10員環)が挙げられる。
R23及びR25が表すヘテロ環残基としては、例えばイミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、フリル、チエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル等の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を少なくとも1個以上含む単環式又は二環式ヘテロ環残基(好ましくは5〜10員環)が挙げられる。
R23及びR24が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
R23〜R25における各置換基は更に置換基を有してもよい。具体的には、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基又はハロゲン原子が挙げられる。これらは単独でも、又はこれらを組み合わせて構成される置換基(好ましくは炭素数10以下)でもよい。
【0021】
R23は好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基である。
R24は好ましくは、水素原子である。
R25は好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基であり、より好ましくはアリール基である。
【0022】
以下に本発明で使用可能な一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、化合物はこれらに限定されない。
3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−ビニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−n−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−ベンジル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−n−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−ブロモ−1−(4−n−ブチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−メトキシフェニル)−3−スルファモイル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(2−ピリジル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−(2−チエニルオキシカルボニル)−1−(4−エトキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−n−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、
【0023】
1−(4−n−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−メチルチオフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−スルホフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−アミノフェニル)−3−(2−ピリジル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−メチルアミノフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エチルアミノフェニル)−3−メチル−4−フェノキシ−2−ピラゾリン−5−オン、
【0024】
1−(4−n−ブチルアミノフェニル)−3−メチル−4−フェニルチオ−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ニトロフェニル)−3−ビニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−アセチル−1−(α−ナフチル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−シアノフェニル)−3−(N,N−ジメチルアミノ)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メトキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−(フェノキシカルボニル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エトキシカルボニル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルバモイル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルボキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ベンゾイル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン、4−クロロ−1−メチル−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−メトキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシ)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−シアノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェノキシ−2−ピラゾリン−5−オン、
【0025】
3−メチル−5−イソオキサゾロン、3−エチル−5−イソオキサゾロン、3−(2−フリルオキシ)−5−イソオキサゾロン、3−メトキシ−5−イソオキサゾロン、3−エトキシ−5−イソオキサゾロン、3−メトキシカルボニル−5−イソオキサゾロン、3−エトキシカルボニル−5−イソオキサゾロン、3−ヒドロキシ−5−イソオキサゾロン、3−カルボキシ−5−イソオキサゾロン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン。
【0026】
これらの化合物は公知の方法(例えば、ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー、1984年、第21巻、1747−1752ページ;トレンズ・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー、1990年、第1号、55−62ページ等)から容易に合成可能である。また、種々試薬として市販されており、購入可能なものはそのまま反応系に添加して使用できる。
これらの化合物は銅触媒に対して0.01〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル、より好ましくは0.2〜3倍モルの範囲で使用する。
なお、本発明で用いるこれらの化合物は、単独又は2種類以上組合わせて使用することができる。
【0027】
これらの化合物の中でも好ましくは、1,3−ジメチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−n−ブチル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−シクロヘキシル−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−n−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3,4−ジメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−メトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(2−ピリジル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−n−プロポキシフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−n−ブトキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ブロモフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−シアノフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メトキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−(フェノキシカルボニル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エトキシカルボニル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルバモイル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルボキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ベンゾイル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−シアノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、である。
【0028】
その中でも更に好ましくは、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3,4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エチルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−(4−n−プロピルフェニル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−エトキシカルボニルフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、3−(エトキシカルボニルメチル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メトキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−(フェノキシカルボニル)−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−エトキシカルボニル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルバモイル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−カルボキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−ベンゾイル−1−(p−トリル)−2−ピラゾリン−5−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−シアノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、である。
【0029】
<芳香族ハロゲン化合物>
本発明で使用する芳香族ハロゲン化合物は、芳香族にハロゲン原子が直接結合した構造を有するものであればいずれも利用可能であるが、好ましくは下記一般式(2’)で表される化合物である。
(A21)p21−L21−Ar21 式(2’)
式(2’)中、
Ar21は少なくとも1つのハロゲン原子が置換したアリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L21は単結合又はp21+1価の連結基を表す。
A21は複数存在する場合、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を表す。
p21はL21に置換するA21の数を表し、1〜3の整数を表す。L21が3級アミノ基の場合、p21は2である。
【0030】
Ar21としてのアリール基、又はヘテロアリール基は、ハロゲン原子の他に置換基を有していてもよく、例えば後述する式(2)におけるA1が更に有していてもよい置換基を有していてもよい。
Ar21は好ましくは後述する式(2)におけるA1と同様の基が挙げられる。
L21は単結合であるか、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、窒素原子(3級アミノ基)、又はこれらが単結合を介して複数連結してなる連結基であることが好ましく、該連結基は総原子数1〜60の基であることが好ましく、炭素数0〜30であることが好ましい。L21の連結基は更に置換基を有していてもよく、例えば後述する式(2)におけるA1が更に有していてもよい置換基を有していてもよく、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていることが好ましい。
上記ハロゲン原子は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
【0031】
一般式(2’)で表される芳香族ハロゲン化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0032】
【化7】

上記一般式(2)中、
A1及びA2は、独立して、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子で置換されたアリール基又はヘテロアリール基を表す。
R1及びR3は、独立して1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R2は、窒素原子、1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R4及びR5は、独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R4及びR5が複数存在する場合、該複数のR4とR5は同一でも異なってもよい。また、R4とR5とが互いに結合して環を形成してもよい。更に、その形成した環に飽和環又は芳香環が縮合してもよい。
a〜dは各々繰り返し数を表し、eはR2に置換する数を表す。
aは0又は1の整数を表す。b〜eは各々独立して0〜2の整数を表す。但し、R2が窒素原子の場合、eは2であり、R2が1価の基の場合、eは0である。
b〜eが各々2の場合、複数存在するR2、R3及びA2は各々同一でも異なってもよい。
A1、A2及びR1〜R3は、更にアルキル基、アリールアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環残基から選択される任意の2つの基によってジ置換されたアミノ基、ニトロ基、ヘテロ環残基からなる群より選択される少なくとも1つの基が置換していてもよい。
【0033】
R1〜R5が表すアルキル基とは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が挙げられる。なお、R1〜R3が表す2価のアルキル基及び3価のアルキル基は、これらの1価のアルキル基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
R1〜R3が表すアルケニル基とは、例えばビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタトリエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐、又は環状のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜20)が挙げられる。なお、R1〜R3が表す2価のアルケニル基及び3価のアルケニル基は、これらの1価のアルケニル基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
【0034】
A1、A2、R1〜R5が表すアリール基とは、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、フルオレニル、ペリレニル等の単環又は縮合多環式アリール基(好ましくは6〜14員環)が挙げられる。なお、R1〜R3が表す2価のアリール基及びR2が表す3価のアリール基は、これらの1価のアリール基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
A1、A2、R1〜R3が表すヘテロアリール基とは、好ましくは5〜14員環であり、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル等の五員環ヘテロアリール基;ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル等の六員環ヘテロアリール基;インドリル、インダゾリル、キノリル、キノキサリニル、アクリジニル、カルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル等の多環性縮合ヘテロアリール基が挙げられる。なお、R1〜R3が表す2価のヘテロアリール基及びR2が表す3価のヘテロアリール基は、これらの1価のヘテロアリール基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
なお、これらアリール基及びヘテロアリール基の結合手は任意の位置で結合できる。
【0035】
A1及びA2が有する塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の数は1〜5の整数であり、その中でも臭素原子又はヨウ素原子を1〜3個有することが好ましい。
【0036】
R4とR5が互いに結合して形成する環とは、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環等が挙げられ、好ましくはシクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環である。これらR4とR5が結合して形成した環は、更に飽和環、芳香環が縮合してもよい。縮合可能な環としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環が挙げられる。
【0037】
A1、A2、R1〜R3は、更に置換基を有していても良い。更なる置換基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20);フェニルプロペニル、フェニルブテニル、フェニルペンテニル、フェニルヘキセニル、フェニルヘプテニル、フェニルオクテニル、フェニルペンタジエニル、フェニルブタジニル、フェニルヘキサジエニル、フェニルヘキサトリエニル、フェニルヘプタトリエニル、フェニルドデカトリエニル等の直鎖、分岐、又は環状のアリールアルケニル基(好ましくは炭素数8〜30);フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の単環式又はニ〜四環式アリール基(好ましくは6〜14員環);メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、オクタデシルオキシ等のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20);フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基(好ましくは6〜14員環);アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリール基(好ましくは6〜14員環)、及びヘテロ環残基(好ましくは5〜14員環)から選択される任意の2つの基によってジ置換されたアミノ基;ニトロ基;フリル、チエニル、ピリジル等のヘテロ環残基が挙げられる。これらの更なる置換基の中でも、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環残基である。
A1、A2、R1〜R3がカルバゾリル、オキサゾリル等、置換基が置換可能な窒素原子をその環構造に有するヘテロアリール基である場合、その窒素原子には必ず前記の更なる置換基を有する。
【0038】
A1、A2、R1〜R3が各々アリール基又はヘテロアリール基である場合、更に芳香環又は複素環が縮合してもよい。具体的には、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環が挙げられる。
A1、A2、R1〜R3がアリール基又はヘテロアリール基であり、かつその構造中にスピロ原子になり得る炭素原子を有する場合、そのスピロ原子を通してシクロペンタン環、ベンゾシクロペンタン環、ジベンゾシクロペンタン環、又はシクロヘキサン環とスピロ結合してもよい。
以下に、一般式(2)で表される芳香族ハロゲン化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
【化8】

【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

【0042】
【化11】

【0043】
<芳香族アミン化合物>
本発明で使用する芳香族アミン化合物は、芳香族に−NH−基が直接結合した構造を有するものであればいずれも利用可能であるが、好ましくは下記一般式(3’)又は(4’)で表される化合物である。
Ar31−L31−NH−L32−Ar32 式(3’)
Y41−[L41−NH−L42−Ar41]t41 式(4’)
式(3’)中、
Ar31はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。
Ar32は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L31、L32は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Ar31とAr32、及びL31とL32は互いに連結して環を形成してもよい。
式(4’)中、
Ar41は独立してアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L41、L42は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Y41は窒素原子、−N(R12)−、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はこれらを組み合わせた2又は3価の基を表す。
t41は2又は3を表す。複数存在するL41、L42,Ar41は各々同じでも異なっていても良い。
【0044】
Ar31は好ましくは後述する一般式(3)におけるR8と同様の基が挙げられる。
Ar32は好ましくは後述する一般式(3)におけるR9と同様の基が挙げられる。
L31、L32は単結合であるか、又はアリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基及びこれらを組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。L31、L32は単結合又は総原子数2〜60の連結基であることが好ましく、炭素数2〜30であることが好ましい。
Ar31とAr32、及びL31とL32が互いに連結して形成してもよい環としては、後述する式(3)におけるR6とR9が結合して形成する環と同様のものが好ましい。
Ar41は好ましくは後述する一般式(4)におけるR18と同様の基が挙げられる。
L41、L42の連結基は、L31、L32におけるものと同様のものが好ましい。
Y41の連結基は総原子数1〜60の基であることが好ましく、炭素数0〜30であることが好ましい。
【0045】
一般式(3’)又は(4’)で表される芳香族アミン化合物は、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物であることがより好ましい。
【0046】
【化12】

【0047】
式(3)中、
R6は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R7及びR10は、独立して、2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R9は水素原子、アルキル基、1〜3価のアリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R6とR9とが互いに結合して環を形成してもよい。
R8及びR11は、独立して、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R8、R11が共に−N(R12)(R13)の場合、複数のR12及びR13は同一でも異なってもよい。
f、hは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
gはR7に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
iはR10に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
f〜iが各々2の場合、複数のR7、R8、R10及びR11は各々同一でも異なってもよい。
R6〜R11は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。
【0048】
【化13】

【0049】
式(4)中、
R14は1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−N(R19)−を表す。R19は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
R15は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R16は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R17は2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R18はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R20)(R21)を表す。R20は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロアリール基を表す。
m、n、p、qは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
rはR17に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
tはYに置換する数を表し、2又は3の整数を表す。複数存在するR14〜R18は各々同一でも異なってもよい。
Yは−Y1−、−Y1−Y2−、又は−Y1−Y2−Y3−を表す。Y1〜Y3は各々独立して窒素原子、−N(R22)−、t価のアリール基、又はt価のヘテロアリール基を表す。R22は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Y1〜Y3が窒素原子及び/又は−N(R22)の場合、Y1〜Y3に結合する複数のR14のうちの任意の2つが結合して環を形成してもよい。また、R15とR16が結合して環を形成してもよい。
R14〜R22は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。
【0050】
R9、R12、R13、R16、R19〜R22が表すアルキル基とは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が挙げられる。
R6〜R22、Y1〜Y3が表すアリール基とは、例えば例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、フルオレニル、ペリレニル等の単環式又はニ〜四環式アリール基(好ましくは5〜14員環)が挙げられる。これらアリール基の結合手は任意の位置で結合できる。なお、R6、R7、R9、R10、R14〜R17が表す2又は3価のアリール基は、これらの1価のアリール基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
R6〜R22、Y1〜Y3が表すヘテロアリール基とは、好ましくは5〜14員環であり、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル等の五員環ヘテロアリール基;ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル等の六員環ヘテロアリール基;インドリル、インダゾリル、キノリル、キノキサリニル、アクリジニル、カルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル等の多環性縮合ヘテロアリール基(好ましくは6〜14員環)が挙げられる。これらヘテロアリール基の結合手は任意の位置で結合できる。なお、R6、R7、R9、R10、R14〜R17が表す2又は3価のヘテロアリール基は、これらの1価のヘテロアリール基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
【0051】
R9、R16、R21が表すアルキルカルボニル基とは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が置換したカルボニル基が挙げられる。
R9、R16、R21が表すアリールカルボニル基とは、例えばフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の単環式又はニ〜四環式アリール基(好ましくは6〜14員環)が置換したカルボニル基が挙げられる。なお、2又は3価のアリールカルボニル基とは、これら1価のアリールカルボニル基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
【0052】
R9、R16、R21が表すアルキルスルホニル基とは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が置換したスルホニル基が挙げられる。なお、2又は3価のアルキルスルホニル基とは、これら1価のアルキルスルホニル基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
R9、R16、R21が表すアリールスルホニル基とは、例えばフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の単環式又はニ〜四環式アリール基(好ましくは6〜14員環)が置換したスルホニル基が挙げられる。なお、2又は3価のアリールスルホニル基とは、これら1価のアリールスルホニル基から水素原子を1又は2個除いた基を表す。
【0053】
R7、R10、R17が表す2価又は3価のアルケニル基とは、例えばビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタトリエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐、又は環状の1価のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜20)から水素原子を1個又は2個除いた基を表す。
【0054】
R6とR9が結合して形成する環、R15とR16が結合して形成する環、又はY1〜Y3が窒素原子若しくはN(R22)の場合に、複数のR14のうちの任意の2つが結合して形成する環としては、カルバゾール環、アクリダン環、アクリジン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環等の三環性ヘテロ環が挙げられる。
R6〜R18がアリール基又はヘテロアリール基であり、かつその構造中にスピロ原子になり得る炭素原子を有する場合、そのスピロ原子を通してシクロペンタン環、ベンゾシクロペンタン環、ジベンゾシクロペンタン環、又はシクロヘキサン環とスピロ結合してもよい。
【0055】
R6〜R22は更に置換基を有していても良い。更なる置換基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20);フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の単環式又はニ〜四環式アリール基(好ましくは6〜14員環);フェニルプロペニル、フェニルブテニル、フェニルペンテニル、フェニルヘキセニル、フェニルヘプテニル、フェニルオクテニル、フェニルペンタジエニル、フェニルブタジニル、フェニルヘキサジエニル、フェニルヘキサトリエニル、フェニルヘプタトリエニル、フェニルドデカトリエニル等の直鎖、分岐、又は環状のアリールアルケニル基(好ましくは炭素数8〜30);メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、オクタデシルオキシ等のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20);フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;未置換アミノ基;アルキルカルボニルアミノ(例えばアセチルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ(例えばメチルスルホニルアミノ等)、又はアリールスルホニルアミノ(例えばフェニルスルホニルアミノ等)等の酸やアルカリで加水分解し得るモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、N−フェニル−N−(m−トリル)アミノ、ジ−(p−トリル)アミノ、N−(p−エチルフェニル)−N−(p−トリル)アミノ、ビス−(N,N−ビフェニル)アミノ、N−フェニル−N−ナフチルアミノ、N−フェニル−N−(2−ピリジル)アミノ、N−フェニル−N−(2−チエニル)アミノ等の、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリール基(好ましくは6〜14員環)、又はヘテロ環残基(好ましくは5〜14員環)から選択される任意の2つの基によって置換されたジ置換アミノ基;;ニトロ基;フリル、チエニル、ピリジル等のヘテロ環残基が挙げられる。
その中でも好ましくは、アルキル基、アリール基、アリールアルケニル基、未置換アミノ基、酸やアルカリで加水分解し得るモノ置換アミノ基、アルキル基とアリール基から選択される2つの基に置換されたジ置換アミノ基、ヘテロ環残基である。
以下に、一般式(3)及び(4)で表される芳香族アミン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
【化16】

【0059】
芳香族アミン化合物の使用量は、芳香族アミン化合物及び芳香族ハロゲン化合物の反応部位の数、反応温度、また芳香族ハロゲン化合物を基質兼溶媒として用いる場合等、個々の反応によって異なるが、芳香族ハロゲン化合物1モルに対し、通常0.1〜20倍モル、好ましくは0.3〜10倍モルである。
【0060】
本発明で使用する銅触媒は特に制限されず、ウルマン縮合反応で通常使用する触媒を用いることができる。例えば銅粉、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、沃化銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、水酸化第二銅等が挙げられる。これらの中でも好ましくは硫酸銅、塩化銅、臭化銅及び沃化銅である。銅触媒の使用量は、芳香族ハロゲン化合物1モルに対し、通常0.001〜0.4モル、好ましくは0.005〜0.3モル、更に好ましくは0.01〜0.2モルである。
【0061】
本発明で使用する塩基は、ウルマン縮合反応で通常使用する塩基を用いることができる。例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸化物;燐酸三リチウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三カリウム等のアルカリ金属燐酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。アルカリ金属アルコキシドは反応系にそのまま添加するか、又はアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属等とアルコールから調製して使用してもよい。これらの中で好ましくはアルカリ金属炭酸化物、アルカリ金属アルコキシドである。
塩基の使用量は、芳香族アミン化合物に対し通常1.0〜4.0モル当量、好ましくは1.1〜3.0モル当量、更に好ましくは1.2〜2.0モル当量である。
【0062】
本発明の製造方法では、反応溶媒を使用しなくても良いが、必要に応じて芳香族化合物又は脂肪族化合物を反応溶媒として用いてもよい。具体的には1気圧において100℃以上の沸点を有する以下の溶媒が挙げられる。
(i)ハロゲン原子を有していても良い芳香族炭化水素化合物:トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジフェニルメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等。
(ii)環骨格がジヒドロ化、テトラヒドロ化、ヘキサヒドロ化、オクタヒドロ化、デカヒドロ化等、部分的に水素添加された水素化芳香族炭化水素化合物:1,4−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロフェナントレン、4,5,9,10−テトラヒドロピレン、1,2,3,6,7,8−ヘキサヒドロピレン、ドデカヒドロトリフェニレン等。
(iii)飽和脂肪族化合物:オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、2−メチルドデカン、4−エチルウンデカン、テトラデカン、ペンタデカン、3,3−ジメチルトリデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、2−メチル−4−エチルテトラデカン等。
【0063】
(iv)不飽和脂肪族化合物:2−ヘプチン、3−ヘプチン、2−オクテン、3−ノネン、1−デシン、1−ウンデセン、4−ドデセン、3,3−ジメチル−1−デセン、1,3,5−ドデカトリエン、5−トリデセン、4−エチル−3−メチル−2−デセン、1−ドデシン、3−ドデセン−1−イン、1−トリデシン、5,5−ジメチル−3−ウンデセン−1−イン、5−エチニル−1,3−ドデカジエン等や、オシメン、ミルセン、スクアレン等。
(v)飽和脂環式化合物:ジシクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフルオレン等。
(vi)不飽和脂環式化合物:α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、(+)−α−フェランドレン、(−)−β−フェランドレン、(−)−1−p−メンテン、(+)−3−メンテン、ジペンテン、(+)−リモネン、(+)−サビネン、(+)−α−ピネン、(+)−β−ピネン、(−)−β−カジネン、(−)−β−カリオフィレン、(−)−β−サンタレン、(−)−α−セドレン、(+)−β−セリネン、(−)−β−ビサボレン、α−フムレン等。
【0064】
上記溶媒の中でも、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン等のアルキルベンゼンや、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等の部分的に水素添加された芳香族炭化水素化合物、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、フェランドレン、テルピノレン等のテルペン類が好ましい。これらの反応溶媒を用いた場合、不純物の生成抑制効果が向上し、高収率かつ高純度のアリールアミンを製造することができる。
また、前記の反応溶媒は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。反応溶媒の使用量は、通常芳香族ハロゲン化合物1モルに対して100〜1000mlである。
【0065】
本発明では、必要に応じて反応系に無機ヨウ化物を添加してもよい。適正量の無機ヨウ化物を添加することにより、反応時間を更に短縮する効果がある。特に、使用する芳香族ハロゲン化合物が臭素化合物の場合は、無機ヨウ化物を添加すると反応が顕著に促進されるので好ましい。
用いる無機ヨウ化物は、具体的にはLiI、NaI、KI、KI3、RbI、RbI3、CsI、CsI3等の第1族無機ヨウ化物;BeI2、MgI2、CaI2、SrI2,BaI2等の第2族無機ヨウ化物;ScI3、YI3、LaI2、LaI3等の第3族無機ヨウ化物;TiI2、TiI3、TiI4、ZrI2、ZrI3、ZrI4、HfI3、HfI4等の第4族無機ヨウ化物;VI2、VI3、NbI3、NbI4、NbI5、Nb38、Nb611、TaI3、TaI5、Ta614、Ta615等の第5族無機ヨウ化物;CrI2、CrI3、MoI2、MoI3、MoI4、WI2、WI3、WI4等の第6族無機ヨウ化物;MnI2、ReI2、ReI3、ReI4等の第7族無機ヨウ化物;FeI、FeI2、FeI2、FeI3、Fe38、RuI、RuI2、RuI3、OsI、OsI2、OsI3等の第8族無機ヨウ化物;CoI、CoI2、RhI2、RhI3、IrI、IrI2、IrI3、IrI4等の第9族無機ヨウ化物;NiI2、PdI2、PtI2、PtI3、PtI4等の第10族無機ヨウ化物;CuI、CuI2、AgI、AuI、AuI3等の第11族無機ヨウ化物;ZnI2、CdI2,HgI2、Hg22等の第12族無機ヨウ化物;B26I、BI3、B24、AlI3、GaI、GaI2、GaI3、InI,InI2,InI3,TlI、TlI3等の第13族無機ヨウ化物;SiI4、GeI2、GeI4、SnI2,SnI4,PbI2等の第14族無機ヨウ化物;NI3、NH4I、NH43、PI3、P24、AsI3、As24、SbI3、Sb24、BiI3等の第15族無機ヨウ化物;TeI2、TeI4、PoI4等の第16族無機ヨウ化物;CeI2、CeI3、EuI2、EuI3等のランタノイド族無機ヨウ化物;ThI2、ThI3、UI3、UI4、NpI3、NpI4、PuI3等のアクチノイド族無機ヨウ化物等が挙げられる。
これらの中でも、LiI、NaI、KI、CaI2、BaI2、CuI、NH4Iは市販品を容易に入手できるので好ましい。
【0066】
無機ヨウ化物は触媒量の添加で反応促進効果は得られるが、反応系内に存在するハロゲン化芳香族化合物1モルに対し0.0001モル未満では十分な効果が得られないため、通常は0.0001〜1.0モルを使用する。好ましくは0.001〜0.7モル、より好ましくは0.005〜0.5モル、更に好ましくは0.01〜0.4モルである。
本発明における反応温度は80〜250℃の範囲である。本発明の反応時間は、使用する芳香族ハロゲン化合物が塩素化合物、臭素化合物の場合反応条件によって異なるが、通常1〜12時間程度である。使用する芳香族ハロゲン化物がヨウ素化合物の場合には、通常0.5〜3時間程度である。
本発明の反応は、大気中(常圧の空気中)で行うことができるが、不活性ガス雰囲気化で行うことも好ましく、窒素雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0067】
本発明の目的物であるアリールアミン化合物は、ウルマン縮合反応により縮合反応して得られた構造部位としてのジアリールアミン構造又はトリアリールアミン構造である化合物であれば限定されない。このようなアリールアミン化合物の好ましい例として、以下に一般式(a)〜(f)で表されるトリアリールアミン化合物及び一般式(g)〜(i)で表されるジアリールアミン化合物を挙げる。また、その具体例を表1〜9に挙げるが本発明はこれに限定されない。Ar1〜Ar5及びAr1’、Ar2’は、以下の表中で示される基を表す。
【0068】
【化17】

【0069】
【化18】

【0070】
【化19】

【0071】
なお、本発明の製造方法は一般式(2)中のA1で表されるハロゲン化芳香環と、一般式(3)又は(4)に示された芳香環に置換した−NH−基とが縮合反応するウルマン反応を用いるもので、目的とするアリールアミン化合物の構造により芳香族ハロゲン化合物及び芳香族アミン化合物を適宜選択できる。即ち、上記アリールアミン化合物を得る方法は1つとは限らず、上記(C)で表される構造を得る場合、少なくとも下記2通りの合成方法が挙げられるが、いずれも本発明の方法に含まれる。式中、Ar1〜Ar5は後記表に規定される構造を表し、式(1)で表される化合物は前記と同義であり、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0072】
【化20】

【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
【表8】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
【表13】

【0086】
【表14】

【実施例】
【0087】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお純度の評価は高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)によった。
なお、化合物A−7及びG−10のHPLC測定条件は、カラム:ODS−80TM、溶離液:アセトニトリル/水(V/V=65/35)、緩衝剤:トリエチルアミン、酢酸各0.1%、検出UV:254nm、流量:1.0ml/minで実施した。
上記以外の化合物のHPLC測定条件は、カラム:GL Science Inertsil ODS−3)、溶離液:アセトニトリル/水(V/V=80/20)、検出UV:300nm、流量:1.0ml/minで実施した。
【0088】
実施例1 化合物A−7の合成
1,3,5−トリメチルベンゼン100mlに4−ヨードビフェニル27.6g(98.5mmol)、ビス−(4−スチリルフェニル)アミン36.8g(98.5mmol)、炭酸カリウム27.3g(197.0mmol)、塩化第一銅0.4g(8.0mmol)、3−エトキシカルボニル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン9.3g(40.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、150〜160℃で1時間反応した。反応終了後、トルエン50mlと水100mlを添加して分液し、水洗して有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、トルエンを減圧濃縮してイソプロピルアルコール350mlを添加して晶析し、黄色粗結晶として目的物47.2g(収率90.9%)を得た。HPLC純度は99.4%であった。不純物の含有量は、二量化生成物A及び二量化生成物B共に0%であった。
【0089】
【化21】

【0090】
実施例2〜6
実施例1の添加剤の使用量を変更した以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0091】
比較例1〜7
実施例1において添加剤を使用しない、及び実施例1の添加剤に替えて表10に示す特開2005−239671号公報記載の化合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で合成を行った。実施例1〜6及び比較例1〜7の結果を表10に示す。
【0092】
【表15】

【0093】
実施例7〜12
実施例1の4−ヨードビフェニルを4−ブロモビフェニルに変更し、また実施例1の添加剤を表11に示す使用量に変更した。それ以外は実施例1と同様に合成を行った。
【0094】
比較例8
実施例1の4−ヨードビフェニルを4−ブロモビフェニルに変更し、かつ実施例1の添加剤を使用しない以外は実施例1と同様の方法で合成を行った。
実施例7〜12及び比較例8の結果を表11に示す。
【0095】
【表16】

【0096】
実施例13 化合物B−33の合成
ジイソプロピルベンゼン50mlにN−(4−(n−ブチル)フェニル)−N−(4−メチルフェニル)アミン17.7g(73.9mmol)、4,4'’−ジヨード−1,1’:4’,1’’−ターフェニル11.9g(24.6mmol)、炭酸カリウム6.8g(49.2mmol)、硫酸銅5水和物2.0g(8.0mmol)、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン4.2g(24.0mmol)を添加し、窒素雰囲気下、230〜240℃で1時間反応した。反応終了後、トルエン25mlと水50mlとで分液後、水洗して有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、トルエンを減圧濃縮して酢酸エチル28ml添加し冷却晶析後濾別して、白色粗結晶として目的物16.0g(収率92.3%)を得た。HPLC純度は99.5%であった。不純物の含有量は、酸化生成物A、着色性酸化生成物B及び二量化生成物C共0%であった。
【0097】
【化22】

【0098】
実施例14〜18
実施例13において、添加剤の使用量を変更した以外は実施例13と同様の方法で合成を行った。
【0099】
比較例9
実施例13において添加剤を使用しない以外は実施例13と同様の方法で合成を行った。
実施例13〜18及び比較例9の結果を表12に示す。
【0100】
【表17】

【0101】
実施例19〜25
実施例13において、添加剤を表13に示す化合物に変更した以外は実施例13と同様の方法で合成を行った。
【0102】
比較例10〜14
実施例13の添加剤に替えて、表13に示す特開2005−350416号公報記載の化合物を使用した以外は、実施例13と同様の方法で合成を行った。実施例19〜25及び比較例10〜14の結果を表13に示す。
【0103】
【表18】

【0104】
実施例26 化合物C−4の合成
キシレン100mlに1,3,5−トリヨードベンゼン10.6g(17.0mmol)、N−ビフェニル−N−トリルアミン26.5g(102mmol)、水酸化カリウム5.7g(102mmol)、臭化第一銅1.46g(10.2mmol)、3−カルボキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン4.2g(20.4mmol)を加え、窒素雰囲気下115〜125℃で2時間反応した。反応後、減圧濃縮して反応溶媒を留去しトルエン70ml、水40mlを添加して分液した。有機層にイソプロピルアルコール150mlを添加して冷却晶析し、淡黄色粗結晶として目的物12.7g(収率87.5%)を得た。HPLC純度は99.0%であった。不純物の含有量は、酸化生成物Aが0.003%、及び酸化生成物Bが0.001%であった。
【0105】
【化23】

【0106】
実施例27〜32
実施例26において、添加剤を表14に示す条件に変更した以外は実施例26と同様の方法で合成を行った。
【0107】
比較例15〜20
実施例26において添加剤を使用しない場合、また実施例26の添加剤に替えて表14に示す特開2006−16321号公報記載の化合物を使用した以外は、実施例26と同様の方法で合成を行った。実施例26〜32及び比較例15〜20の結果を表14に示す。
【0108】
【表19】

【0109】
実施例33 化合物D−4の合成
テルピノレン100mlにアニリン9.2g(98.5mmol)、(4'−ヨード−ビフェニル−4−イル)ビス(4−メチルフェニル)アミン93.6g(197.0mmol)、炭酸カリウム27.3g(197.0mmol)、塩化第一銅0.4g(8.0mmol)、3−ヒドロキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン2.8g(16.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、200〜210℃で3時間反応した。反応後、トルエン50mlと水100mlを添加して分液し、水洗して有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、トルエンを減圧濃縮してイソプロピルアルコール350mlを添加して晶析し、薄黄色粗結晶として目的物68.9g(収率88.8%)を得た。HPLC純度は99.2%であった。不純物の含有量は、酸化生成物Aが0%、着色性酸化生成物Bが0.005%、二量化生成物Cが0%であった。
【0110】
【化24】

【0111】
実施例34〜39
実施例33において、添加剤を表15に示す化合物に変更した以外は実施例33と同様の方法で合成を行った。
【0112】
比較例21
実施例33において添加剤を使用しない以外は実施例33と同様の方法で合成を行った。
実施例33〜39及び比較例21の結果を表15に示す。
【0113】
【表20】

【0114】
実施例40 化合物E−7の合成
ジイソプロピルベンゼン100mlにN−(ビフェニル−4−イル)−N,N'−ジフェニルビフェニル−4,4'−ジアミン26.4g(54.1mmol)、4,4'−ジヨードビフェニル10.0g(24.6mmol)、炭酸カリウム6.8g(49.2mmol)、硫酸銅5水和物1.0g(4.0mmol)、3−シアノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン0.02g(10.0mmol)を混合し、窒素雰囲気下において230〜240℃で2時間反応した。反応後、トルエン50mlと水200mlを添加し分液後、水洗して有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、ろ液を冷却して晶析し、析出した結晶を濾別した。白色粗結晶として目的物25.5g(収率91.7%)を得た。HPLC純度は98.5%であった。また不純物の含有量は、二量化生成物A〜Dが各々0%であった。
【0115】
【化25】

【0116】
実施例41〜47
実施例40において、添加剤を表16に示す化合物に変更した以外は実施例40と同様の方法で合成を行った。
【0117】
比較例22
実施例40において、添加剤を使用しない以外は実施例40と同様の方法で合成を行った。実施例40〜47及び比較例22の結果を表16に示す。
【0118】
【表21】

【0119】
実施例48 化合物F−2の合成
キシレン100mlにトリス(4−ヨードフェニル)アミン10.6g(17.0mmol)、カルバゾール11.4g(68.0mmol)、水酸化カリウム5.7g(102mmol)、臭化第一銅1.46g(10.2mmol)、3−メトキシ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン1.9g(10.2mmol)を加え、窒素雰囲気下115〜125℃で4時間反応した。反応後、減圧濃縮して反応溶媒を留去しトルエン70ml、水40mlを添加して分液した。有機層に酢酸エチル120mlを添加して冷却晶析し、淡黄色粗結晶として目的物11.0g(収率87.4%)を得た。
HPLC純度は99.4%であった。また不純物は、二量化生成物A、二量化生成物Bが共に0%であった。
【0120】
【化26】

【0121】
実施例49〜54
実施例48において、添加剤を表17に示す化合物に変更した以外は、実施例48と同様の方法で合成を行った。
【0122】
比較例23
実施例48において、添加剤を使用しない以外は実施例48と同様の方法で合成を行った。
実施例48〜54及び比較例23の結果を表17に示す。
【0123】
【表22】

【0124】
実施例55 化合物G−10の合成
アセトアニリド13.3g(98.5mmol)、1−ブロモ−4−スチリルベンゼン76.6g(295.5mmol)、炭酸ナトリウム20.9g(197.0mmol)、無水硫酸銅1.3g(8.0mmol)、3、4−ジメチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン0.75g(4.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、230〜240℃で1.5時間反応した。反応後、トルエン50mlと水100mlを添加して分液し、水洗して有機層に更にエタノール30mlと水酸化カリウム11.0g(197.0mmol)を加え85〜95℃で3時間反応した。反応後、ヘキサン100mlと水100mlを加え分液し、有機層を減圧濃縮して溶剤を留去した。濃縮物を蒸留し黄色オイル状物質として目的物20.8g(収率78.0%)を得た。HPLC純度は99.7%であった。また不純物は、酸化生成物A、酸化生成物B共に0%であった。
【0125】
【化27】

【0126】
実施例56〜61
実施例55の添加剤を表18に示す化合物に変更した以外は実施例55と同様の方法で合成を行った。
【0127】
比較例24
実施例55において、添加剤を使用しない以外は実施例55と同様の方法で合成を行った。
実施例55〜61及び比較例24の結果を表18に示す。
【0128】
【表23】

【0129】
実施例62 化合物H−2の合成
ジイソプロピルベンゼン100mlにm−メチルアセトアニリド44.1g(295.5mmol)、4,4'−ジブロモビフェニル30.7g(98.5mmol)、炭酸ナトリウム20.9g(197.0mmol)、硫酸銅5水和物2.0g(8.0mmol)、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン1.4g(8.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、230〜240℃で1時間反応した。反応後、トルエン50mlと水100mlを添加して分液し、水洗して有機層に更にエタノール30mlと水酸化カリウム11.0g(197.0mmol)を加え、85〜95℃で3時間反応した。ヘキサン100mlと水100mlを加え分液し、有機層を減圧濃縮して溶剤を留去した。濃縮物にイソプロピルアルコール100mlを滴下し結晶を析出し、灰色粗結晶として目的物32.6g(収率90.8%)を得た。HPLC純度は99.0%であった。不純物は、着色性酸化生成物A、酸化生成物B共に0%であった。
【0130】
【化28】

【0131】
実施例63〜68
実施例62の添加剤を、表19に示す化合物に変更した以外は実施例62と同様の方法で合成を行った。
【0132】
比較例25
実施例62において、添加剤を使用しない以外は実施例62と同様の方法で合成を行った。
実施例62〜68及び比較例25の結果を表19に示す。
【0133】
【表24】

【0134】
実施例69 化合物I−3の合成
1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン100mlにアセトアニリド79.9g(591.0mmol)、トリス(4−ヨードフェニル)アミン61.4g(98.5mmol)、炭酸ナトリウム62.7g(591.0mmol)、塩化第一銅0.6g(12.0mmol)、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン2.1g(12.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、230〜240℃で3時間反応した。反応終了後、トルエン100mlと水100mlを添加して分液し、水洗して有機層に更にエタノール30mlと水酸化カリウム22.0g(394.0mmol)を加え85〜95℃で5時間反応した。水200mlを加えて分液し、有機層を冷却して析出した結晶をろ別し、淡黄色粗結晶として目的物39.0g(収率76.3%)を得た。HPLC純度は99.2%であった。また不純物は、二量化生成物A、二量化生成物B共に0%であった。
【0135】
【化29】

【0136】
実施例70〜73
実施例69の添加剤を、表20に示す化合物に変更した以外は実施例69と同様の方法で合成を行った。
【0137】
比較例26
実施例69において、添加剤を使用しない以外は実施例69と同様の方法で合成を行った。
実施例69〜73及び比較例26の結果を表20に示す。
【0138】
【表25】

【0139】
実施例74 化合物B−23の合成
ジクロロベンゼン200mlに、N,N'−ジビフェニル−4−イルビフェニル−4,4’−ジアミン48.1g(98.5mmol)、2’−ヨードスピロ[シクロペンタン−1,9'-フルオレン]75.0g(216.7mmol)、炭酸カリウム27.3g(197.0mmol)、無水硫酸銅1.3g(8.0mmol)、3−エトキシカルボニル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン9.3g(40.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、200〜210℃で4時間反応した。反応終了後、冷却してトルエン200mlと水200mlを添加して攪拌し、析出した結晶を濾別した。得られた結晶を水及びイソプロピルアルコールで洗浄し、黄色粗結晶として目的物82.5g(収率90.5%)を得た。HPLC純度は99.1%であった。不純物の含有量は、二量化生成物A及び二量化生成物B共に0%であった。
【0140】
【化30】

【0141】
実施例75〜78
実施例74の添加剤を、表21に示す化合物に変更した以外は実施例74と同様の方法で合成を行った。
【0142】
比較例27
実施例74において、添加剤を使用しない以外は実施例74と同様の方法で合成を行った。
実施例74〜78及び比較例27の結果を表21に示す。
【0143】
【表26】

【0144】
実施例79 化合物B−40の合成
ジイソプロピルべンゼン200mlに、2,5−ビス[4−(N−フェニルアニリノ)フェニル]チオフェン41.2g(98.5mmol)、5−(4−ブロモフェニル)−[2,3']ビピリジル67.4g(216.7mmol)、炭酸カリウム27.3g(197.0mmol)、酢酸銅一水和物1.6g(8.0mmol)、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン7.0g(40.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、200〜210℃で2時間反応した。反応終了後、冷却してトルエン100mlと水200mlを添加して攪拌し、析出した結晶を濾別した。得られた結晶を水及びイソプロピルアルコールで洗浄し、黄色粗結晶として目的物82.4g(収率95.2%)を得た。HPLC純度は99.3%であった。不純物の含有量は、二量化生成物A及び二量化生成物B共に0%であった。
【0145】
【化31】

【0146】
実施例80〜83
実施例79の添加剤を、表22に示す化合物に変更した以外は実施例79と同様の方法で合成を行った。
【0147】
比較例28
実施例79において、添加剤を使用しない以外は実施例79と同様の方法で合成を行った。
実施例79〜83及び比較例28の結果を表22に示す。
【0148】
【表27】

【0149】
表10の実施例及び比較例より、本発明の添加剤は従来用いられていた添加剤と比較して不純物抑制効果があり、目的物が高収率、高純度で製造可能であることがわかる。更に本発明の添加剤は従来の添加剤には無い反応促進効果も有し、反応時間が大幅に短縮できることが明らかである。
また、表11の実施例及び比較例より、従来は反応活性が低い臭素化合物を原料に用いた場合でも高収率、高純度で製造可能である。
表10〜表22の実施例及び比較例の結果より、本発明は複数の置換部位をもった種々のアリールアミン化合物にも適用でき各種電子材料用素材の製造方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅触媒及び塩基存在下、ハロゲン原子が置換した芳香環を有する芳香族ハロゲン化合物と、−NH−基が置換した芳香環を有する芳香族アミン化合物とを縮合反応させるジアリールアミン又はトリアリールアミンの製造方法であって、該縮合反応時に一般式(1)で表される化合物を共存させることを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。
【化1】

式(1)中、
R23は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、へテロ環カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、へテロ環オキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子又はヘテロ環残基を表す。
R24は水素原子、アルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基又はハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子又は−N(R25)−を表す。
R25は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環残基を表す。
【請求項2】
前記芳香族ハロゲン化合物が下記一般式(2’)で表される化合物であり、かつ、前記芳香族アミン化合物が下記一般式(3’)又は(4’)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
(A21)p21−L21−Ar21 式(2’)
式(2’)中、
Ar21は少なくとも1つのハロゲン原子が置換したアリール基、又は少なくとも1つのハロゲン原子が置換したヘテロアリール基を表す。
L21は単結合又はp21+1価の連結基を表す。
A21は複数存在する場合、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を表す。
p21はL21に置換するA21の数を表し、1〜3の整数を表す。L21が3級アミノ基の場合、p21は2である。
Ar31−L31−NH−L32−Ar32 式(3’)
Y41−[L41−NH−L42−Ar41]t41 式(4’)
式(3’)中、
Ar31はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。
Ar32は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L31、L32は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Ar31とAr32、及びL31とL32は互いに連結して環を形成してもよい。
式(4’)中、
Ar41は独立してアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
L41、L42は各々独立して単結合又は2価の連結基を表す。
Y41は窒素原子、−N(R12)−、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はこれらを組み合わせた2又は3価の基を表す。
t41は2又は3を表す。複数存在するL41、L42,Ar41は各々同じでも異なっていても良い。
【請求項3】
前記芳香族ハロゲン化合物が下記一般式(2)で表される化合物であり、かつ、前記芳香族アミン化合物が、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物の製造方法。
【化2】

式(2)中、
A1及びA2は、独立して、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子で置換されたアリール基又はヘテロアリール基を表す。
R1及びR3は、独立して1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R2は、窒素原子、1〜3価のアルキル基、1〜3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−C(R4)(R5)−を表す。
R4及びR5は、独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R4及びR5が複数存在する場合、該複数のR4とR5は同一でも異なってもよい。また、R4とR5とが互いに結合して環を形成してもよい。更に、その形成した環に飽和環又は芳香環が縮合してもよい。
a〜dは各々繰り返し数を表し、eはR2に置換する数を表す。
aは0又は1の整数を表す。b〜eは各々独立して0〜2の整数を表す。但し、R2が窒素原子の場合、eは2であり、R2が1価の基の場合、eは0である。
b〜eが各々2の場合、複数存在するR2、R3及びA2は各々同一でも異なってもよい。
A1、A2及びR1〜R3は、更にアルキル基、アリール基、及びヘテロ環残基から選択される任意の2つの基によってジ置換されたアミノ基、アルキル基、アリールアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ヘテロ環残基からなる群より選択される少なくとも1つの基が置換していてもよい。
【化3】

式(3)中、
R6は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R7及びR10は、独立して、2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R9は水素原子、アルキル基、1〜3価のアリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R6とR9とが互いに結合して環を形成してもよい。
R8及びR11は、独立して、アリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R12)(R13)を表す。R12及びR13は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R8、R11が共に−N(R12)(R13)の場合、複数のR12及びR13は同一でも異なってもよい。
f、hは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
gはR7に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
iはR10に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
f〜iが各々2の場合、複数のR7、R8、R10及びR11は各々同一でも異なってもよい。
R6〜R11は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。
【化4】

式(4)中、
R14は1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基、又は−N(R19)−を表す。R19は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
R15は1〜3価のアリール基又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R16は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、1〜3価のアリール基、1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R17は2若しくは3価のアルケニル基、1〜3価のアリール基、又は1〜3価のヘテロアリール基を表す。
R18はアリール基、ヘテロアリール基、又は−N(R20)(R21)を表す。R20は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロアリール基を表す。
m、n、p、qは各々繰り返し数を表し、独立して0〜2の整数を表す。
rはR17に置換する数を表し、0〜2の整数を表す。
tはYに置換する数を表し、2又は3の整数を表す。複数存在するR14〜R18は各々同一でも異なってもよい。
Yは−Y1−、−Y1−Y2−、又は−Y1−Y2−Y3−を表す。Y1〜Y3は各々独立して窒素原子、−N(R22)−、t価のアリール基、又はt価のヘテロアリール基を表す。R22は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。Y1〜Y3が窒素原子及び/又は−N(R22)の場合、Y1〜Y3に結合する複数のR14のうちの任意の2つが結合して環を形成してもよい。また、R15とR16が結合して環を形成してもよい。
R14〜R22は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が置換してもよい。

【公開番号】特開2011−251943(P2011−251943A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127241(P2010−127241)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000175607)富士フイルムファインケミカルズ株式会社 (34)
【Fターム(参考)】