説明

アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物及びその製法並びにそれを使用する有機エレクトロルミネッセンス素子

本発明は、次式(1):


式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物、その製造法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)用青色発光材料などに有用な次式(1):

式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子、この素子に使用される前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物及びその製造法としては、例えば、ケミッシェ・ベリヒテ(Chemische Berichte,1960,93,p.593)に、8−アセチルキノリンと五塩化リンを反応させることによる8−エチニルキノリンの製造法が記載されているが、その収率は14%と低収率であった。また、オーストラリアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Australian Journal of Chemistry,1989,42,p.279)には、8−トリフルオロメタンスルホニロキシキノリンとトリブチルスタニルフェニルアセチレンとを反応させることによる8−フェニルエチニルキノリンの製造法が記載されているが、収率は43%と低収率であった。
【0003】
更に、これらの化合物については、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料としての使用については何ら知られていなかった。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、紫外線照射下で強い青色の発光を示す前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子及び前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物に包含される新規なアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を提供する。
【0005】
本発明は、また、紫外線照射下で強い青色の発光を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用である前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を収率良く合成する方法を提供する。
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子が、電圧印加により青白色の発光を示すことを見出すと共に、前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物がクロロホルム溶液中で紫外線照射により強い青色発光を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子材料として極めて有用であることを見出して本発明に至った。
【0007】
また、本発明者らは、ヒドロキシ基置換縮合ヘテロ環化合物を対応するトリフルオロメタンスルホン酸エステル(以下に示す式(5))に誘導した後、0価パラジウム触媒により種々の末端アセチレン化合物と反応させることにより、前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を収率良く製造できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は以下の通りである。
第1の発明は、1対の電極間に有機化合物薄層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該有機化合物層が次式(1):

式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0009】
第2の発明は、次式(1’):

式中、nは前記と同義であり、nが1の場合、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Rは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYは前記と同義である、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物に関するものである。
【0010】
第3の発明は、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、次式(5):

式中、X及びYは前記と同義である、
で示されるトリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物と、次式(6):

式中、A及びnは前記と同義である、
で示される末端アセチレン化合物とを、塩基性溶媒中で反応させることを特徴とする前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法に関するものである。
【0011】
第4の発明は、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中、前記式(5)で示されるトリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物とアルキルシリルアセチレン化合物とを反応させてアルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1)においてnが1、Aがアルキルシリル基である化合物)とした後、加水分解することを特徴とする次式(7):

式中、X及びYは前記と同義である、
で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1)においてnが1、Aが水素原子である化合物)の製造法に関するものである。
【0012】
第5の発明は、前記式(7)で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物と次式(9):

式中、X’はハロゲン原子を表し、Rはハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜5の整数を表す、
で示されるハロゲン化芳香族環化合物とを、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中で反応させることにより、前記式(1)において、Aがアリール基であり、nが1である次式(8):

式中、X、Y、R及びnは前記と同義である、
で示されるフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例16における有機EL素子の断面図であり、図中、参照番号1はガラス基板を示し、2はITOを、3はホール注入層を、4は発光層を、5は電子注入層又はホールブロック層を、6はAl電極をそれぞれ示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))において、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす。
【0015】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。なお、これらの置換基は、その異性体も含む。
【0016】
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素原子数3〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0017】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジメチルナフチル基等が挙げられる。なお、これらの置換基は、その異性体も含む。
【0018】
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。
【0019】
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジt−ブチルシリル基等が挙げられる。
【0020】
ヘテロ環基としては、キノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、イミダゾリル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピペリジル基等が挙げられる。
【0021】
が2である場合、Aは2価のアリール基又は2価のヘテロ環基であり、nが3である場合、Aは3価のアリール基又は3価のヘテロ環基である。これらの基としては、上記したアリール基又はヘテロ環基の2価又は3価のものが挙げられる。
【0022】
Aとして挙げられる上記の置換基は、その炭素原子に結合している水素原子が更にハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子;ジアルキルアミノ基、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の炭素数2〜10のジアルキルアミノ基;アリールオキシ基、好ましくは、フェノキシ基、トリロキシ基、キシリロキシ基、ナフトキシ基、ジメチルナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;アルコキシ基、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンタノキシ基、ヘキサノキシ基、ヘプタノキシ基、オクタノキシ基、ノナノキシ基、デカノキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;アルケニル基、好ましくは、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数2〜20、特に2〜12のアルケニル基;アシル基、好ましくは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等の炭素数1〜7の脂肪族酸のアシル基若しくはベンゾイル基等の芳香族アシル基;ニトロ基、シアノ基、或いは、上記と同義であるアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基等で置換されていても良い。なお、これらの置換基は、その異性体も含む。
【0023】
上記のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))の具体的な態様としては、8−フェニルエチニルキノリン、1,4−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン、1,3−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン、8−エチニルキノリン、8−(1’−プロピニル)キノリン、8−(2’−シクロヘキシルエチニル)キノリン、8−(3’−フェニル−1’−プロピニル)キノリン、8−トリメチルシリルエチニルキノリン、ビス(8’−キノリル)アセチレン、8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(3’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(4’−メトキシフェニルエチニル)キノリン、8−(3’−メトキシフェニルエチニル)キノリン、8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノリン、8−(2’−ピリジルエチニル)キノリン、8−(3’−ピリジルエチニル)キノリン、8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノリン、8−(4’−ベンゾイルフェニルエチニル)キノリンなどのアルキニル基置換キノリン化合物、8−フェニルエチニルキナゾリン、1,4−ビス(8’−キナゾリニルエチニル)ベンゼン、1,3−ビス(8’−キナゾリニルエチニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(8’−キナゾリニルエチニル)ベンゼン、8−エチニルキナゾリン、8−(1’−プロピニル)キナゾリン、8−(2’−シクロヘキシルエチニル)キナゾリン、8−(3’−フェニル−1’−プロピニル)キナゾリン、8−トリメチルシリルエチニルキナゾリン、ビス(8’−キナゾリニル)アセチレン、8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キナゾリン、8−(3’−フルオロフェニルエチニル)キナゾリン、8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キナゾリン、8−(4’−メトキシフェニルエチニル)キナゾリン、8−(3’−メトキシフェニルエチニル)キナゾリン、8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キナゾリン、8−(2’−ピリジルエチニル)キナゾリン、8−(3’−ピリジルエチニル)キナゾリン、8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キナゾリン、8−(4’−ベンゾイルフェニルエチニル)キナゾリンなどのアルキニル基置換キナゾリン化合物、8−フェニルエチニルキノキサリン、1,4−ビス(8’−キノキサリニルエチニル)ベンゼン、1,3−ビス(8’−キノキサリニルエチニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(8’−キノキサリニルエチニル)ベンゼン、8−エチニルキノキサリン、8−(1’−プロピニル)キノキサリン、8−(2’−シクロヘキシルエチニル)キノキサリン、8−(3’−フェニル−1’−プロピニル)キノキサリン、8−トリメチルシリルエチニルキノキサリン、ビス(8’−キノキサリニル)アセチレン、8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノキサリン、8−(3’−フルオロフェニルエチニル)キノキサリン、8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノキサリン、8−(4’−メトキシフェニルエチニル)キノキサリン、8−(3’−メトキシフェニルエチニル)キノキサリン、8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノキサリン、8−(2’−ピリジルエチニル)キノキサリン、8−(3’−ピリジルエチニル)キノキサリン、8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノキサリン、8−(4’−ベンゾイルフェニルエチニル)キノキサリンなどのアルキニル基置換8−キノキサリン化合物等が挙げられる。
【0024】
本発明の式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の中でも、本発明においては、次式(2)〜(4)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物が好ましく使用される。

式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環を表わす。

式中、nは2〜3の整数を表す。

【0025】
前記式(2)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物において、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わす。なお、これら置換基の具体的な態様は、前記式(1)においてAとして挙げたものと同様である。
【0026】
上記、アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(2))の具体的な態様としては、8−(1−プロピニル)キノリン、8−(2−シクロプロピルエチニル)キノリン、8−(4’−メチルフェニルエチニル)キノリン、8−トリメチルシリルエチニルキノリン、8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(3’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノリン、8−(4’−メトキシフェニルエチニル)キノリン、8−(3’−メトキシフェニルエチニル)キノリン、8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノリン、8−(2’−ピリジルエチニル)キノリン、8−(3’−ピリジルエチニル)キノリン、8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノリン、8−(4’−ベンゾイルフェニルエチニル)キノリン等が挙げられる。
【0027】
前記式(3)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物において、nは2〜3の整数を表わす。
具体的な態様としては、1,4−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン、1,3−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン等が挙げられる。
【0028】
前記式(4)で示される化合物は、式(1)において、Aがキノリル基であり、X及びYが共にCHであり、nが1であるビス(8’−キノリル)アセチレンである。
【0029】
第2の発明は、前記式(1)において、Aが水素原子である場合を除く、式(1’)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物に関するものである。
【0030】
式(1’)において、n、X及びYは前記式(1)と同義であり、nが1の場合、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Rは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わす。上記Rとしては、前記式(1)のAにおいて記載したアルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基と同義のものが挙げられ、具体的化合物としては、前記式(1)において記載した8−フェニルエチニルキノリンを除く化合物が挙げられる。
【0031】
式(1’)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の好ましいものとしては、前記式(2)〜(4)で示される化合物が挙げられる。
【0032】
第3の発明の製造法は、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、トリフルオロメタンスルホニルオキシ置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(5))と末端アセチレン化合物(前記式(6))とを塩基性溶媒中で反応させることによってアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))を製造するものである。
【0033】
ここでトリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物は、例えば、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of the American Chemical Society,1987,109,p.5478)に記載の合成法に従い、トリエチルアミン等の有機塩基の存在下、塩化メチレン等の溶媒中にトリフルオロメタンスルホン酸無水物と目的のトリフルオロメタンスルホニルオキシ置換縮合ヘテロ環化合物に対応するヒドロキシ基置換縮合ヘテロ環化合物とを反応させることによって製造される。
【0034】
触媒として用いられる0価パラジウム化合物としては、例えば、0価パラジウムホスフィン錯体(パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン錯体、ビスジフェニルホスフィノエタンパラジウム錯体、ビストリシクロヘキシルホスフィンパラジウム錯体など)、0価パラジウムオレフィン錯体(トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム錯体など)などが挙げられる。これら化合物の内、0価パラジウムホスフィン錯体が好ましく、更には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
【0035】
これらの0価パラジウム化合物の使用量は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物に対して0.1〜10モル%であり、好ましくは0.5〜5モル%である。
【0036】
前記式(6)で示される末端アセチレン化合物において、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす。
Aで表わされるこれら置換基は、前記式(1)のAと同義である。
【0037】
上記末端アセチレン化合物(前記式(6))の具体的な態様としては、フェニルアセチレン、4−フルオロフェニルアセチレン、3−フルオロフェニルアセチレン、2−フルオロフェニルアセチレン、4−メトキシフェニルアセチレン、3−メトキシフェニルアセチレン、4−フェニルフェニルアセチレン、4−ベンゾイルフェニルアセチレン、1,4−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,3,5−トリエチニルベンゼン等のエチニル基置換アリール化合物、8−エチニルキノリン、8−エチニルキナゾリン、8−エチニルキノキサリン、2’−ピリジルアセチレン、3’−ピリジルアセチレン、5−エチニル−1−メチル−1−H−イミダゾール等のエチニル基置換ヘテロ環化合物、トリメチルシリルアセチレン等のアルキルシリルアセチレン化合物、1−プロピン、1−ブチン等のアルキル基置換アセチレン化合物、シクロヘキシルアセチレン等のシクロアルキル基置換アセチレン化合物、3−フェニル−1−プロピン等のアラルキル基置換アセチレン化合物等が挙げられる。
【0038】
末端アセチレン化合物(前記式(6))の使用量は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(5))1モルに対して、1.0〜2.0モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。
【0039】
第3の発明の製造法において使用される塩基性溶媒としては、ピペリジン又はピロリジンが挙げられる。
【0040】
塩基性溶媒の使用量は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(5))1モルに対して、1〜20L(リットル)であり、好ましくは1.5〜5Lである。
また、反応温度は80〜100℃であり、好ましくは80〜90℃である。
反応時間は、前記の末端アセチレン化合物の種類、溶媒の使用量、及び反応温度等によって変化するが1〜5時間である。
【0041】
この反応は、通常、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気、或はこれらガス気流下で行われる。また、用いられる反応圧は通常、常圧である。
【0042】
上記の製造方法に従って製造されたアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物は、反応終了後、抽出、濃縮、ロ過などの通常の後処理を行い、必要に応じて蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宣精製することができる。
【0043】
得られたアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。
【0044】
前記式(1)において、Aが水素原子であり、nが1である次式(7)で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物は、上記の製法とは別に下記の製法でも製造することができる。
【0045】
即ち、第4の発明は、前記製法に従って、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(5))と末端アセチレン化合物(前記式(6))として上記のアルキルシリルアセチレン化合物とを反応させて、アルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物とした後、このアルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物を加水分解することによりエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(次式(7)):

式中、X及びYは前記と同義である、
を製造することができる。
【0046】
この加水分解は、例えば、アルカリ金属の水酸化物の水溶液が用いられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0047】
アルカリ金属の水酸化物の水溶液において、アルカリ金属の水酸化物の濃度は、0.1〜12.5mol/Lであり、好ましくは0.5〜5mol/Lである。また、その使用量は、アルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物1モルに対して1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0048】
この加水分解で使用される温度は、5〜50℃であり、好ましくは15〜25℃である。また、反応時間は、前記の濃度、温度によって変化するが0.1〜2時間である。
【0049】
この加水分解は、通常、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気、或はこれらガス気流下で行われる。また、用いられる反応圧は通常、常圧である。
【0050】
上記の製造法に従って製造されたエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(7))は、反応終了後、抽出、濃縮、ろ過などの通常の後処理を行い、必要に応じて蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宣精製することができる。
【0051】
第4の発明のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法には、末端アセチレン化合物として、精製されたエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(7))を用いることも出来るが、エチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(7))の製造後、ロ過、濃縮などの上記後処理を施したのみの粗精製物を、そのまま用いることも出来る。
【0052】
また、前記式(1)において、Aがアリール基であり、nが1である次式(8):

式中、Rはハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜5の整数を表し、X及びYは前記と同義である、
で示されるフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物も、上記の製法とは別に下記の製法で製造することができる。
【0053】
即ち、第5の発明は、前記式(7)で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物と次式(9):

式中、X’はハロゲン原子を表し、R及びnは前記と同義である、
で示されるハロゲン化芳香族環化合物とを、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中で反応させることによりフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(8))を製造することができる。
【0054】
ここでエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(7))は、上記いずれかの製法に従って製造される。
【0055】
前記式(9)で示されるハロゲン化芳香族環化合物において、Rはハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1から5の整数である。
【0056】
触媒として用いられる0価パラジウム化合物としては、前記した0価パラジウム化合物が挙げられる。
これらの0価パラジウム化合物の使用量は、ハロゲン化芳香族環化合物(前記式(9))に対して0.1〜10モル%であり、好ましくは0.5〜5モル%である。
【0057】
この反応で使用される塩基性溶媒としては、ピペリジン又はピロリジンが挙げられる。
【0058】
塩基性溶媒の使用量は、エチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(7))1モルに対して、1〜20L(リットル)であり、好ましくは1.5〜5Lである。
また、反応温度は80〜100℃であり、好ましくは80〜90℃である。
反応時間は、前記のハロゲン化芳香族環化合物(前記式(9))の種類、溶媒の使用量、及び反応温度等によって変化するが1〜5時間である。
この反応は、通常、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気、或はこれらガス気流下で行われる。また、用いられる反応圧は通常、常圧である。
【0059】
上記の製造方法に従って製造されたフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(9))は、反応終了後、抽出、濃縮、ロ過などの通常の後処理を行い、必要に応じて蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宣精製することができる。
【0060】
得られたフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(9))は、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いられる。
【0061】
以下、第1の発明である、同有機エレクトロルミネッセンス素子について、その実施形態を示す。
【0062】
第1の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、一対の電極間に有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該有機化合物層が前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の内、少なくとも1種を含有することを特徴とする。ここで有機化合物層は、発光層、電子注入層(又はホールブロック層)、もしくは正孔輸送層であることが好ましい。
【0063】
更に、この有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に単層もしくは多層の有機化合物層を形成した素子である。
【0064】
単層型の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に発光層を有する。発光層は、発光材料を含有し、更に、陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるための正孔注入材料もしくは電子注入材料(又はホールブロック材料)を含有しても良い。
【0065】
多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層(又はホールブロック層)/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層(又はホールブロック層)/陰極)等の多層構成で積層したものが挙げられる。
【0066】
発光層には、アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))の他に、公知の発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料(フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料等)や電子注入材料(又はホールブロック材料)(フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体等)を使用しても良い。
【0067】
アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))は、発光層、電子注入層(又はホールブロック層)、正孔輸送層又は正孔注入層のいずれかに、濃度0.5〜100重量%で添加される。
【0068】
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光材料、他のドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料(又はホールブロック材料)を組み合わせて使用することもできる。更に、正孔注入層、発光層、電子注入層(又はホールブロック層)は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良い。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層、発光層からの正孔の流入を防止する層をホールブロック層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機化合物層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0069】
アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))と共に有機化合物層に使用できる発光材料又はホスト材料としては、縮合多環芳香族(アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、ルブレン及びそれらの誘導体等)、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられる。
【0070】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において使用できる公知の正孔注入材料の中で、更に効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例は、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下、TPDと記載)、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、もしくはこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、HPc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、ClSiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、更に効果的な公知の電子注入材料又はホールブロック材料は、金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(以下、Alqと記載)、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチル−1,4−ビス(5’−フェニルオキサゾリル)ベンゼン、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電荷注入性向上のために発光層と電極との間に無機化合物層を設けることもできる。
【0075】
この無機化合物層としては、LiF、LiO、RaO、SrO、BaF、SrFなどの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物などを挙げられる。
【0076】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム及びそれらの合金、ITO(酸化インジウムに酸化スズを5〜10%添加した物質)基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、更にポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂を用いることができる。
【0077】
陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等およびそれらの合金を用いられる。ここで合金とは、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が挙げられる。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、特に限定されない。
陽極および陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていても良い。
【0078】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において透明であることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。
【0079】
透明電極は、前記の導電性材料を使用して、蒸着あるいはスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定して得られる。
【0080】
発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、ガラス基板あるいは透明性樹脂フィルムが挙げられる。
【0081】
透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0082】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けるか、或いは、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することもできる。
【0083】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、あるいはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかを適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲であり、更には10nm〜0.2μmの範囲が好ましい。
【0084】
湿式成膜法の場合、各層を形成するアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物(前記式(1))等の材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒に溶解又は分散させて薄膜を調製することができる。
【0085】
乾式成膜法としては、真空蒸着が好ましく、真空蒸着装置を用い、真空度2×10−3Pa以下、基板温度を室温にして、アルミナ製蒸着セルに入れた本発明の8−アルキニルキノリン誘導体等の材料をタングステンフィラメントで加熱し、該材料を蒸発させることにより薄膜を調製することができる。
【0086】
TPDとビス(8’−キノリル)アセチレンなどの共蒸着は、それぞれに蒸着源を用い、且つ温度をそれぞれ独立に制御することによって行うことができる。
【0087】
ここで、いずれの有機薄膜層も、成膜性向上、膜のピンホール防止等のためポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂およびそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂等の樹脂、あるいは酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を使用することができる。
【0088】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
【0089】
本発明のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の紫外線吸収極大及び蛍光極大波長は、以下の方法によって測定した。
【0090】
紫外線吸収極大波長は、アルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物をクロロホルム中に溶解し(濃度0.01mg/ml)、紫外分光光度計を用いて、室温(20℃)にて測定を行った。
【0091】
また、蛍光極大波長は、上記のクロロホルム溶液を用いて、蛍光分光光度計を用いて、室温(20℃)にて測定を行った。
【0092】
本発明のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物はクロロホルム溶液中、波長240nm前後の紫外線照射により、380〜400nmを蛍光極大とする青色の蛍光を示した。また、これを含有する有機エレクトロルミネッセンス素子は青色蛍光を実現した(下記実施例16〜22参照)。
【実施例】
【0093】
以下に実施例、および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0094】
参考例1 8−トリフルオロメタンスルホキシキノリンの合成
8−キノリノール7.26g(50mmol)、塩化メチレン50ml及びトリエチルアミン9.1ml(65mmol)の黄色溶液を氷浴で0℃にした後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物9.3ml(55mmol)を滴下した。滴下後、ほぼ黒色に変化した反応溶液を反応温度を0℃に維持して1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水200ml及びジエチルエーテル250mlを加えて分液し、得られた有機層を濃度1mol/Lの塩酸(125ml×2回)、水(125ml×1回)の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ジエチルエーテルを留去し、残滓をヘキサン250mlに温度70℃にて溶解し、不溶物をろ過した後、ろ液を冷却することにより茶白色結晶である目的化合物を得た。(12.6g、収率91%)
以下に、その物性を示す。
【0095】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.11−9.03(m、1H)、8.30−8.19(m、1H)、7.89−7.81(m、1H)、7.65−7.50(m、3H)
EI−MS(m/e):277(M)、CI−MS(m/z):278(MH
【0096】
実施例1
1,4−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン(次式10)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム27mg(2.4×10−5mol)、ピペリジン6mlを加えて攪拌した。この黄色溶液に1,4−ジエチニルベンゼン120mg(0.95mmol)を加えて、80℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に塩化メチレンを加えて希釈して、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥して、ろ過後、得られたろ液を減圧乾固した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から1/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することにより黄橙色粉末である目的化合物を得た。(310mg、収率86%)
以下に、その物性を示す。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.09−9.05(m、2H)、8.25−8.14(m、2H)、8.06−8.00(m、2H)、7.87−7.80(m、2H)、7.69(s,4H)、7.60−7.40(m,4H)
EI−MS(m/e):380(M)、CI−MS(m/z):381(MH
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]393nm
【0097】
実施例2
1,3−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン(次式11)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム27mg(2.4×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に1,3−ジエチニルベンゼン120mg(0.95mmol)を加えて、80℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に塩化メチレンを加えて希釈した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧乾固した。得られた橙色の反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から1/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄橙色粉末である目的化合物を得た。(300mg、収率83%)
以下に、その物性を示す。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.09−9.06(m,2H),8.23−8.15(m,2H),8.06−7.98(m、3H)、7.86−7.78(m、2H)、7.70−7.65(m、2H)、7.59−7.35(m、5H)
EI−MS(m/e):380(M)、CI−MS(m/z):381(MH
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]386nm
【0098】
実施例3
1,3,5−トリス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン(次式12)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン800mg(2.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2.0×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に1,3,5−トリエチニルベンゼン91mg(0.61mmol)を加え、80℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に塩化メチレンを加えて希釈した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。得られた橙色の反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から1/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄橙色粉末である目的化合物を得た。(280mg、収率86%)
以下に、その物性を示す。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.10−9.05(m、3H)、8.21−8.17(m、3H)、8.08−8.01(m、6H)、7.86−7.82(m,3H)、7.60−7.53(m,3H)、7.50−7.45(m、3H)
EI−MS(m/e):403(M−CN)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]386nm
【0099】
実施例4
ビス(8’−キノリル)アセチレン(次式4)の合成

【0100】
(第1工程)
20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム11.6mg(1.0×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液にトリメチルシリルアセチレン290μl(2.1mmol)を加えて、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に塩化メチレンを加えて希釈した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、減圧乾固することで8−トリメチルシリルエチニルキノリンを得た。(360mg、本工程の収率80%)
【0101】
(第2工程)
上記反応で得られた8−トリメチルシリルエチニルキノリンをメタノール6mlに溶解させ、NaOH水溶液(濃度1mol/1.3ml)を滴下した後、室温で15分攪拌した。反応混合物に水20mlを加えた後、塩化メチレンで抽出(10ml×3回)し、得られた有機層を減圧下にて溶媒を留去することで8−エチニルキノリンを得た。(245mg、本工程の収率99%)
【0102】
(第3工程)
上記反応で得られた8−エチニルキノリンに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン527mg(1.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム11.6mg(1.0×10−5mol)、ピペリジン6mlを加えて90℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応系中に沈殿した黄色固体をろ取し、得られた個体を、水(5ml)、ヘキサン(5ml)の順で洗浄し、次いで乾燥することで淡黄色粉末である目的化合物を得た。(400mg、本工程の収率90%)
第1工程から第3工程の、トータル収率71%。
以下に、その物性を示す。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.11−9.05(m、2H)、8.22−8.15(m、4H)、7.84−7.80(m、2H)、7.60−7.51(m、2H)、7.49−7.39(m、2H)
EI−MS(m/e):280(M)、CI−MS(m/z):281(MH
[吸収極大:クロロホルム溶液]240nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]397nm
【0103】
実施例5
8−フェニルエチニルキノリン(次式13)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色反応溶液にフェニルアセチレン231μl(2.1mmol)を加えて、80℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧乾固した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から5/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで、黄色固体である目的化合物を得た。(422mg、収率92%)
以下に、その物性を示す。
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.08−9.05(m、1H)、8.22−8.17(m,1H)、8.30−7.90(m、1H)、7.83−7.79(m、1H)、7.71−7.67(m、2H)、7.56−7.50(m,1H)、7.48−7.43(m,1H)、7.40−7.30(m,3H)
EI−MS(m/e):229(M)、CI−MS(m/z):230(MH
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]391nm
【0104】
実施例6
8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノリン(次式14)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に4−フルオロフェニルアセチレン241μl(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から5/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(403mg、収率82%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.06−9.04(m、1H)、8.20−8.17(m,1H)、8.01−7.98(m、1H)、7.84−7.81(m、1H)、7.70−7.63(m、2H)、7.56−7.51(m,1H)、7.48−7.44(m,1H)、7.22−7.02(m、2H)
CI−MS(m/z):248(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]392nm
【0105】
実施例7
8−(3’−フルオロフェニルエチニル)キノリン(次式15)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に3−フルオロフェニルアセチレン243μl(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から5/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(353mg、収率71%)
H−NMR(300MHz、CDCl):δ9.07−9.05(m、1H)、8.21−8.18(m,1H)、8.02−7.99(m,1H)、7.86−7.82(m,1H)、7.57−7.52(m,1H)、7.50−7.44(m,2H)、7.39−7.28(m,2H)、7.09−7.04(m,1H)
CI−MS(m/z):248(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]241nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]386nm
【0106】
実施例8
8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノリン(次式16)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に2−フルオロフェニルアセチレン238μl(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から5/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(357mg、収率72%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.08−9.06(m、1H)、8.20−8.17(m,1H)、8.06−8.03(m,1H)、7.85−7.82(m,1H)、7.72−7.67(m,1H)、7.57−7.52(m,1H)、7.49−7.44(m,1H)、7.35−7.30(m,1H)、7.18−7.09(m,2H)
CI−MS(m/z):248(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]387nm
【0107】
実施例9
8−(4’−メトキシフェニルエチニル)キノリン(次式17)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に4−メトキシフェニルアセチレン272μl(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から4/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色油状物である目的化合物を得た。(253mg、収率49%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.04−9.02(m,1H)、8.18−8.15(m,1H)、8.00−7.97(m,1H)、7.80−7.77(m,1H)、7.73−7.58(m,2H)、7.55−7.52(m,1H)、7.49−7.43(m,1H)、6.90−6.86(m,2H)、3.86(s,3H)
CI−MS(m/z):260(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]247nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]420nm
【0108】
実施例10
8−(3’−メトキシフェニルエチニル)キノリン(次式18)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に3−メトキシフェニルアセチレン267μl(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から3/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色油状物である目的化合物を得た。(364mg、収率70%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.07−9.05(m、1H)、8.20−8.17(m,1H)、8.03−8.00(m,1H)、7.84−7.81(m,1H)、7.57−7.52(m,1H)、7.48−7.44(m,1H)、7.36−7.22(m,3H)、6.95−6.89(m,1H)、3.84(s,3H)
CI−MS(m/z):260(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]398nm
【0109】
実施例11
8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノリン(次式19)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に4−フェニルフェニルアセチレン374mg(2.1mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から4/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(297mg、収率49%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.07−9.05(m,1H)、8.19−8.15(m,1H)、8.03−8.00(m,1H)、7.82−7.73(m,3H)、7.64−7.59(m,4H)、7.56−7.51(m,1H)、7.48−7.42(m,3H)、7.38−7.25(m,1H)
CI−MS(m/z):306(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]402nm
【0110】
実施例12
8−(2’−ピリジルエチニル)キノリン(次式20)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に2’−ピリジルアセチレン262μl(2.6mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から0/100に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色油状物である目的化合物を得た。(188mg、収率41%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.08−9.06(m,1H)、8.68−8.65(m,1H)、8.21−8.18(m,1H)、8.10−8.07(m,1H)、7.87−7.84(m,1H)、7.74−7.70(m,2H)、7.58−7.55(m,1H)、7.53−7.47(m,1H)、7.28−7.24(m,1H)
CI−MS(m/z):231(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]241nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]377nm
【0111】
実施例13
8−(3’−ピリジルエチニル)キノリン(次式21)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に3’−ピリジルアセチレン244mg(2.37mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から0/100に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色油状物である目的化合物を得た。(375mg、収率81%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.08−9.06(m,1H)、8.92−8.91(m,1H)、8.58−8.56(m,1H)、8.22−8.19(m,1H)、8.04−8.02(m,1H)、7.99−7.95(m,1H)、7.87−7.84(m,1H)、7.56−7.53(m,1H)、7.50−7.46(m,1H)、7.33−7.29(m,1H)
CI−MS(m/z):231(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]241nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]378nm
【0112】
実施例14
8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノリン(次式22)の合成

20mlシュレンクに8−トリフルオロメタンスルホキシキノリン554mg(2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム23mg(2×10−5mol)、ピペリジン6mlを加え攪拌した。この黄色溶液に5−エチニル−1−メチル−1−H−イミダゾール244μl(2.4mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から0/100に徐々に変えて展開し、更に、メタノール/酢酸エチル=1/10で展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(418mg、収率90%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.05−9.03(m,1H)、8.21−8.18(m,1H)、7.98−7.95(m,1H)、7.85−7.82(m,1H)、7.57−7.44(m,4H)、3.88(s,3H)
CI−MS(m/z):234(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]246nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]416nm
【0113】
実施例15
8−(4’−ベンゾイルフェニルエチニル)キノリン(次式23)の合成

20mlシュレンクに8−エチニルキノリン460mg(3.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム69mg(6×10−5mol)、ピペリジン9mlを加え攪拌した。この黄色溶液に4−ブロモベンゾフェノン783mg(3.0mmol)を加え、80℃で32時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、有機物は塩化メチレンで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固した。反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒をヘキサン/酢酸エチル=100/0から3/1に徐々に変えて展開した。)によって精製することで黄色固体である目的化合物を得た。(605mg、収率60%)
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:9.09−9.07(m,1H)、8.22−8.19(m,1H)8.06−8.03(m,1H)、7.88−7.79(m,7H)、7.64−7.47(m,5H)
CI−MS(m/z):334(MH+)
[吸収極大:クロロホルム溶液]242nm
[蛍光極大波長:クロロホルム溶液]473nm
【0114】
実施例16
ビス(8’−キノリル)アセチレン(前記式(4)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
真空蒸着装置(アルバック機工製)を使用して、ソーダガラス上に透明電極としてITOを真空蒸着したものを基板として用い、同基板上に2×10−3Pa以下の真空度にて、TPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、TPD中にビス(8’−キノリル)アセチレンを1.4重量%含む発光層4を膜厚40nm、Alqからなる電子輸送層5を膜厚20nm、電極6としてアルミニウム(Al)を膜厚100nm、順次蒸着させて形成し有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
なお、ビス(8’−キノリル)アセチレンの蒸着源の温度は、280℃を超えない範囲に制御した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として電極間に+30Vを印加したところ、前記素子は16cd/mで発光した。発光スペクトルは435nmにショルダーと、497nmにピークを持つものであり、発光色のJIS Z8701による色度座標は(0.25,0.36)であった。
【0115】
実施例17
8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノリン(前記式(19)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
イーエッチシー製インジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、真空蒸着装置(アルバック機工製)を使用して、同基板上に2×10−3Pa以下の真空度で、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(以下、TPDと略す)からなるホール輸送層3を膜厚40nm、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(以下、CBPと略す)中に8−(4’−フェニルフェニルエチニル)キノリンを9重量%含む発光層4を膜厚20nm、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと略す)からなるホールブロック層(電子輸送層)5を膜厚20nm、電極6としてアルミニウム(Al)を膜厚100nm、順次蒸着させて形成し有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+22Vにおいて4cd/mで発光した。発光スペクトルは418nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.18,0.14)であった。
【0116】
実施例18
8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノリン(前記式(22)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
CBP中に8−(2’−メチル−2’−H−イミダゾリルエチニル)キノリンを9重量%含む発光層4を用いた以外は実施例17と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+21Vにおいて14cd/mで発光した。この時の最大電流効率は0.10cd/Aであった。発光スペクトルは427nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.17,0.12)であった。
【0117】
実施例19
8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノリン(前記式(14)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
CBP中に8−(4’−フルオロフェニルエチニル)キノリンを9重量%含む発光層4を用いた以外は実施例17と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+21Vにおいて5cd/mで発光した。この時の最大電流効率は0.059cd/Aであった。発光スペクトルは420nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.21,0.19)であった。
【0118】
実施例20
8−フェニルエチニルキノリン(前記式(13)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
CBP中に8−フェニルエチニルキノリンを9重量%含む発光層4を用いた以外は実施例17と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+21Vにおいて4cd/mで発光した。この時の最大電流効率は0.052cd/Aであった。発光スペクトルは415nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.17,0.11)であった。
【0119】
実施例21
1,3−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼン(前記式(11)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
CBP中に1,3−ビス(8’−キノリルエチニル)ベンゼンを9重量%含む発光層4を用いた以外は実施例17と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+20Vにおいて0.4cd/mで発光した。この時の最大電流効率は0.032cd/Aであった。発光スペクトルは451nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.18,0.17)であった。
【0120】
実施例22
8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノリン(前記式(16)の化合物)を有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製。
CBP中に8−(2’−フルオロフェニルエチニル)キノリンを9重量%含む発光層4を用いた以外は実施例17と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+18Vにおいて3cd/mで発光した。この時の最大電流効率は0.018cd/Aであった。発光スペクトルは421nmにピークを持つものであり、発光色の色度座標は(0.19,0.18)であった。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明によれば、紫外線照射下で強い青色の発光を示す前記式(1)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を有機化合物層に含有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
【0122】
本発明によれば、また、クロロホルム溶液中で紫外線照射により強い青色発光を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子材料として極めて有用な前記式(1’)で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物及びそれに包含される前記式(2)〜(4)で示される新規なアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を提供することができる。
【0123】
本発明によれば、更に、紫外線照射下で強い青色の発光を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用である前記式(1)で示される新規なアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を収率良く合成する方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の電極間に有機化合物薄層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、その有機化合物層が次式(1):

式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
式(1)で示される化合物が、次式(2):

式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わす、
で示されるものである請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
式(1)で示される化合物が、次式(3):

式中、nは2〜3の整数を表す。
で示されるものである請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
式(1)で示される化合物が、次式(4):

で示されるものである請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
次式(1’):

式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Rは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わし、X及びYは前記と同義である、
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物。
【請求項6】
式(1’)で示される化合物が、次式(2):

式中、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、無置換のフェニル基以外のアリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わす、
で示されるものである請求の範囲第5項に記載のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物。
【請求項7】
式(1’)で示される化合物が、次式(3):

式中、nは2〜3の整数を表す。
で示されるものである請求の範囲第5項に記載のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物。
【請求項8】
式(1’)で示される化合物が、次式(4):

で示されるものである請求の範囲第5項に記載のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物。
【請求項9】
触媒として0価パラジウム化合物を用いて、次式(5):

式中、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるトリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物と、次式(6):

式中、nは1〜3の整数を表わし、nが1の場合、Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルシリル基、又はヘテロ環基を表わし、nが2又は3の場合、Aは2価又は3価のアリール基又はヘテロ環基を表わす、
で示される末端アセチレン化合物とを、塩基性溶媒中で反応させることを特徴とする次式(1):

式中、n、A、X及びYは前記と同義である。
で示されるアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項10】
0価パラジウム化合物が、0価パラジウムホスフィン錯体又は0価パラジウムオレフィン錯体であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項11】
塩基性溶媒がピペリジン又はピロリジンであることを特徴とする請求の範囲第9項又は第10項記載のアルキニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項12】
触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中、次式(5):

式中、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるトリフルオロメタンスルホニルオキシ基置換縮合ヘテロ環化合物とアルキルシリルアセチレン化合物とを反応させてアルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物とした後、このアルキルシリルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物を加水分解することを特徴とする次式(7):

式中、X及びYは前記と同義である、
で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項13】
0価パラジウム化合物が、0価パラジウムホスフィン錯体又は0価パラジウムオレフィン錯体であることを特徴とする請求の範囲第12項記載のエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項14】
塩基性溶媒がピペリジン又はピロリジンであることを特徴とする請求の範囲第12項又は第13項記載のエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項15】
アルキルシリルアセチレン化合物が、トリメチルシリルアセチレンである請求の範囲第12項記載のエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項16】
次式(7):

式中、X及びYはそれぞれCH又はNを表わす、
で示されるエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物と次式(9):

式中、X’はハロゲン原子を表し、Rは、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、nは1〜5の整数を表す、
で示されるハロゲン化芳香族環化合物とを、触媒として0価パラジウム化合物を用いて、塩基性溶媒中で反応させることを特徴とする、前記式(1)において、Aがアリール基であり、nが1である次式(8):

式中、X、Y、R及びnは前記と同義である、
で示されるフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項17】
0価パラジウム化合物が、0価パラジウムホスフィン錯体又は0価パラジウムオレフィン錯体であることを特徴とする請求の範囲第16項記載のフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。
【請求項18】
塩基性溶媒がピペリジン又はピロリジンであることを特徴とする請求の範囲第16項又は第17項記載のフェニルエチニル基置換縮合ヘテロ環化合物の製造法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/014755
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512964(P2005−512964)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011337
【国際出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】