説明

アルキル芳香族潤滑流体

アルキル芳香族組成物およびそれらの製造方法が提供される。アルキル芳香族組成物は、非置換ナフタレン以外の芳香族部分と、12〜40個の範囲の炭素原子数を有するアルキル部分であって、ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であるように前記芳香族部分に結合しているアルキル部分とを含む。アルキル芳香族組成物の製造方法は、アルキル化条件下で酸性アルキル化触媒の存在下に少なくとも1つの芳香族化合物と、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%がビニリデニル構造を含む、12〜40個の範囲の炭素原子数を有するモノオレフィンとを接触させる工程と、それによって、第四級である少なくとも25モル%のベンジル位炭素を有する前記アルキル芳香族化合物を生成する工程とを含む。本明細書に開示されるアルキル芳香族組成物は、熱および酸化安定性並びに流動点を向上させた液体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、潤滑油基油および添加物として有用な新規アルキル芳香族組成物に関する。より具体的には、本開示の組成物は、ビニリデン含有オレフィンで芳香族化合物をアルキル化することによって製造された、熱および酸化安定性を向上させた第四級置換アルキル芳香族組成物である。本開示はまた、酸性アルキル化触媒を用いるアルキル芳香族組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油は、固体表面間にフィルムとして導入されたときに摩擦、熱および摩耗を低減することができる物質である。鉱油ベースの潤滑油の性能を向上させる努力は、50年以上もの間、石油化学業界において重要な研究開発活動の焦点であった。鉱油に等しいかまたはそれより良好な摩擦低減特性の持続、熱および酸化安定性と摩耗保護との観点からの耐用年数の延長、粘度指数および流動点の改善は、研究開発活動が発生した性能分野である。これらの努力は、アルファ−オレフィン、即ち、1−アルケンのオリゴマー化によって主として製造されるポリアルファ−オレフィン(PAO)合成品をはじめとする、多数の合成流体の導入につながってきた。合成流体は、潤滑油、熱伝導剤、およびとりわけ腐食抑制剤として有用な材料を表現できる用語である。PAO合成流体組成物は飽和炭化水素であり、従って、芳香族化合物をはじめとする極性部分を含有し得る鉱油ベースの組成物よりも極性が小さい。PAOタイプ流体の溶解力および分散力を向上させるために、極性共基油が組成物に添加されて組成物の極性添加剤と使用中にスラッジとを溶解させるのに役立つ。エステルまたはアルキル芳香族化合物などの極性共基油は、基油組成物の約3〜約50重量パーセントの量で使用される。極性共基油は、エステルまたは共基油が使用される場合には加水分解不安定性、または典型的なアルキル芳香族共基油が使用される場合には不十分な低温特性などの望ましくない副作用を導入し得る。完成合成潤滑油は、多くの場合、それらの特性を具体的な用途向けに高めるための添加剤を加えて調合される。一般に使用される添加剤は、酸化防止剤、分散剤、洗剤、錆止め剤、摩耗防止剤、超高圧剤、金属不動態化剤、流動点降下剤、粘度指数(VI)向上剤などを含むことができる。このように調合された流体は、多数の成分を含む組成物であり、最大容量成分は流体基油である。潤滑油の調合の複雑さに加えて、より新しい装置およびエンジンのますます増大する複雑さによって決定付けられる常に高いオイル性能基準が傾向である。熱および酸化安定性をはじめとする要求される全ての分野で、調合製品の向上した性能を提供するために流体基油の一連の特性を向上させることが絶えず必要とされている。
【0003】
アルキル芳香族化合物は長年にわたって知られてきた。例えば、特許文献1(ブリオット(Briot)ら)は、そのグラフト化脂肪族鎖が2〜20個の炭素から選択される炭素数を含む芳香族モノアルキル化合物を製造するためのアルキル化剤(例えば、オレフィン、アルコール、ハロゲン化物)による芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、クメン)のアルキル化を開示している。特許文献2(ジョリー(Joly)ら)は、少なくとも部分的にその酸形態の、構造タイプEUOの少なくとも1つのゼオライトと少なくとも1つのマトリックスとを含む触媒の存在下に、分子当たり少なくとも9個の炭素原子を含有する少なくとも1つのオレフィンを使用してベンゼンをアルキル化することによる2−、3−、4−、5−および6−フェニルアルカンから選択された少なくとも1つの化合物の製造方法を開示している。特許文献3(ホー(Ho)ら)は、アルキル化芳香族生成物、通常はアルキル芳香族炭化水素を製造するための酸性アルキル化触媒を使用するC20〜C1300オレフィンオリゴマーでの芳香族化合物のアルキル化を開示している。アルキル芳香族化合物および他の合成潤滑油の追加の議論は、非特許文献1に見いだすことができる。
【0004】
PAOは、AlCl、BF、または促進BFなどの触媒の存在下にオレフィン供給物を反応させることによって製造することができる。PAOの製造方法は、例えば、次の特許:特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示されている。二重結合異性化がほとんど見いだされない新規PAO潤滑油組成物は、異なるクラスの高粘度指数PAO(HVI−PAO)をもたらした。1クラスのHVI−PAOでは、還元されたクロム触媒がアルファ−オレフィンモノマーと反応させられる。かかるPAOは、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14および特許文献15に記載されている。
【0005】
最近になって、複数の特許が、3〜24個の炭素原子を有する1つ以上のアルファ−オレフィンモノマーを遷移金属化合物、陰イオン活性化剤およびアルキルアルミニウム化合物と接触させることによって製造されたHVI−PAO組成物を記載している。新規組成物は、二重結合異性化がほとんど起こらないという点においてHVI−PAOオリゴマー化反応のユニークな特異性と一致する。かかるHVI−PAOは、PCT特許公開(特許文献16)および特許文献17に記載されている。
【0006】
低粘度PAOの新規組成物はまた、特許文献18および特許文献19並びにPCT特許公開(特許文献20)に教示されているようにメタロセン触媒から製造することができる。非潤滑油範囲分子量材料を表す、低分子量材料の分離は、製品揮発度および粘度を調節するために必要とされる。オリゴマー化条件がより低い平均分子量のより低い粘度の製品を製造するために変えられるにつれて、非潤滑油範囲二量体または軽質エンド留分が増加する。二量体副産物収率の増加は、有用なより低い粘度の潤滑油をこのプロセスで製造するために全体プロセスへの実質的な経済的負担を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,491,809号明細書
【特許文献2】米国特許第6,429,345号明細書
【特許文献3】米国特許第5,254,274号明細書
【特許文献4】米国特許第3,149,178号明細書
【特許文献5】米国特許第3,382,291号明細書
【特許文献6】米国特許第3,742,082号明細書
【特許文献7】米国特許第3,769,363号明細書
【特許文献8】米国特許第3,780,128号明細書
【特許文献9】米国特許第4,172,855号明細書
【特許文献10】米国特許第4,956,122号明細書
【特許文献11】米国特許第4,827,073号明細書
【特許文献12】米国特許第4,827,064号明細書
【特許文献13】米国特許第4,967,032号明細書
【特許文献14】米国特許第4,926,004号明細書
【特許文献15】米国特許第4,914,254号明細書
【特許文献16】国際公開第2007011462 A1号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2007011832 A1号パンフレット
【特許文献18】米国特許第5,688,887号明細書
【特許文献19】米国特許第6,043,401号明細書
【特許文献20】国際公開第2007/011973A1号パンフレット
【特許文献21】カナダ国特許第1,034,967号明細書
【特許文献22】米国特許第4,658,078号明細書
【特許文献23】米国特許第5,087,788号明細書
【特許文献24】米国特許第4,954,325号明細書
【特許文献25】米国特許第5,229,341号明細書
【特許文献26】米国特許第5,236,575号明細書
【特許文献27】米国特許第5,362,697号明細書
【特許文献28】米国特許第6,077,498号明細書
【特許文献29】米国特許第6,500,404号明細書
【特許文献30】米国特許第6,071,864号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】L.R.Rudnick、R.L.Shubkin著、「合成潤滑油および高性能機能性流体(Synthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids)、Marcel Dekker、Inc.、NY(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、熱および酸化安定性を向上させたアルキル芳香族流体組成物だけでなくアルキル芳香族流体組成物の改良された製造方法が必要とされている。メタロセン法からの副産物を利用して新規合成潤滑流体を製造するための新規方法もまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、非置換ナフタレン以外の芳香族部分と、12〜40個の範囲の炭素原子数を有するアルキル部分であって、ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であるように前記芳香族部分に結合しているアルキル部分とを含むアルキル芳香族組成物に関する。
【0011】
本開示はまた、アルキル化条件下で酸性アルキル化触媒の存在下に、少なくとも1つ芳香族化合物と、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%がビニリデニル構造を含む、12〜40個の範囲の炭素原子数を有するモノオレフィンとを接触させる工程と、それによって、第四級である少なくとも25モル%のベンジル位炭素を有するアルキル芳香族化合物を生成する工程とを含むアルキル芳香族化合物の製造方法を含む。
【0012】
本開示はまた、新規合成潤滑流体を製造するためのメタロセン法からの副産物の利用方法を提供する。
【0013】
従って、本開示は、熱および酸化安定性を有する有用なアルキル芳香族流体組成物を提供する。
【0014】
加えて、本開示は、アルキル化剤としてビニリデン含有低分子量オレフィンを使用することによる芳香族化合物アルキル化からの有用な潤滑油添加物を提供する。
【0015】
液体潤滑油組成物または添加物として好適な開示アルキル芳香族組成物と本開示のアルキル芳香族組成物の製造方法とそれらの有利な用途および/または使用とのこれらのおよび他の特徴および特質は、次に続く詳細な説明から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書での詳細な説明および特許請求の範囲内の全ての数値は、示された値を「約」または「およそ」で修飾され、当業者によって予期されるであろう実験誤差および変分を考慮している。著しく向上した潤滑特性の新合成基油は、芳香族化合物をビニリデン含有オレフィンと反応させることによって製造できることが発見された。この新基油は、かなりの量のアルキル化芳香族化合物が第四級置換アルキル芳香族化合物であるような方法で製造することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、モノオレフィンは、メタロセン触媒アルファ−オレフィン重合法の非潤滑油に由来してもよい。他の方法で誘導されたかなりの量のビニリデンを含有するモノオレフィンもまた有利であるかもしれない。
【0018】
製油所原料または流出物もまた本明細書に開示される方法で使用するのに好適である。二量体または二量体の混合物、三量体などの製造に好適なオレフィンは、1−プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、および1−ヘキサデセン若しくは4−メチル−1−ペンテンなどの分岐オレフィンまたはそれらの混合物などの、約3〜20個の炭素を含有する。モノオレフィンは、30個未満の炭素原子数のビニリデンであり、オレフィンとかなりの量のビニリデンまたは三置換オレフィンとの混合物であってもよい。一般に、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%、または少なくとも55モル%、または少なくとも60モル%、または少なくとも65モル%は、ビニリデニル構造を含む。
【0019】
芳香族化合物は、そのそれぞれが場合により置換されていることができる、ベンゼン、ナフタレン、フラン、チオフェン、アントラセン、フェナントレン、ピロール、インドール、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、フェノキサチイン、チアントレン、ビフェニル、ピレン、およびそれらの混合物であってもよい。
【0020】
更に好ましい実施形態では、芳香族化合物は、トルエン、o−、若しくはp−キシレン、ヒドロキシルベンゼン、メトキシ若しくはエトキシベンゼンなどのアルコキシベンゼン、チオアニソール、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィド、ジフェニルスルフィド、ナフタレン、メチルナフタレン、メトキシナフタレン、エトキシナフタレン、メチルナフチルスルフィド、エチルナフチルスルフィド、またはそれらの混合物であってもよい。より好ましい実施形態では、芳香族化合物は置換ベンゼンまたは置換ナフタレンであってもよい。
【0021】
方法および生成物
本開示による一般的な方法は次の通りである:
【化1】

本開示では、置換芳香族炭化水素を含む、芳香族炭化水素は、かなりの量のビニリデン置換(一般に、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%、または少なくとも55モル%、または少なくとも60モル%、または少なくとも65モル%がビニリデンを含む)を含有するオレフィンでアルキル化される。これらは、メタロセン低粘度アルファ−オレフィン重合法(反応A)中に製造される非潤滑油範囲オリゴマーからのものであることができる。アルキル化に使用されるオレフィンは、かなりの量のビニリデン異性体を有する、ビニリデン含有オレフィンを製造するための他の方法もまた、本開示の範囲内に含められる。ゼオライト、またはAlCl若しくはBFなどのフリーデル−クラフツ(Friedel Crafts)アルキル化触媒などの固体状態の酸触媒がアルキル化を触媒するために使用される。生じた新規組成物は、ベンジル位炭素でかなりの量の第四級置換を含有する。本組成物は、優れた添加剤可溶化特性を示す。
【0022】
オレフィン
本開示の液体潤滑油組成物または添加物として好適なアルキル芳香族組成物を製造する目的のために、熱的におよび酸化的に安定な組成物は、かなりの量の第四級ベンジル位炭素原子と12〜40個の全炭素原子の側鎖炭素含有率とを持ったアルキル芳香族組成物で得ることができる。例えば、選択される組成物は、高活性ゼオライト触媒と、1環または2環芳香族基質と、メタロセン触媒アルファ−オレフィン重合法からの副産物であるビニリデンオレフィンとによって製造することができる。メタロセン触媒PAOプロセスは、メタロセン型触媒と接触しての1−アルケンのオリゴマー化からなる。これらのビニリデン−オレフィン副産物が生成するオリゴマー化反応の特徴は、赤外およびNMR分析によって測定されるようにジアルキルビニリデンオリゴマーと1,2−ジアルキルまたはトリアルキルモノオレフィンオリゴマーとの混合物の生成である。本開示の方法は、下記のようなビニリデニル構造:
CH=CR
(式中、RおよびRはアルキル基である)
を有する、かなりの割合の非水素化二量化1−アルケン、即ち、アルファ−オレフィンをもたらす。例えば、プロピレンおよび/またはブテンおよび/またはペンテンを含むアルケンの酸またはメタロセン触媒オリゴマー化からのオレフィンオリゴマーをはじめとする、12〜40個の炭素原子を有する他のオレフィン組成物が本開示の方法に使用されてもよい。ビニリデン含有三量体または高次体の存在もまた有利である。ビニリデンに富むオレフィン前駆体を形成する他の方法もまた用いることができる。トリイソブチルアルミニウムなどの、チーグラー(Ziegler)触媒でのアルファ−オレフィンの反応は、ビニリデン含有二量体を形成する(特許文献21を参照されたい)。シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドまたはハフニウムメタロセン、トリアルキルアルミニウム共触媒ありまたはなしのアルミノキサンでアルファ−オレフィンを二量化する方法は、ビニリデン含有二量体の選択的な形成をもたらした(参照により本明細書に援用される、特許文献22および特許文献23を参照されたい)。
【0023】
合計12〜40個の炭素原子を有する、式中、R、R、およびRがアルキル基であり、Rが水素またはアルキル基である次の置換パターンの他のモノオレフィンが、第四級置換のアルキル化芳香族化合物を得るために使用されてもよい:
C=CR
一般に、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%、または少なくとも55モル%、または少なくとも60モル%、または少なくとも65モル%が本明細書に開示される本発明方法のためのビニリデニル構造を含む。
【0024】
アルキル化
オレフィンでの芳香族化合物のアルキル化作用をすることができる酸性触媒には、酸性ハロゲン化物(ルイス(Lewis)酸)、プロトン酸(ブレンステッド(Bronsted)酸)、陽イオン交換樹脂、フリーデル−クラフツ触媒、およびゼオライトをはじめとする固体酸が含まれる。
【0025】
このように、多数の酸がオレフィンでの芳香族化合物のアルキル化を触媒的に促進するが、本開示は、液体潤滑油組成物および添加物として有用であるアルキル芳香族組成物を製造する目的のために、高活性ゼオライトが有効であり得ることを示す、液体潤滑油組成物および添加物として有用であるアルキル芳香族組成物を製造するために有用な表面活性を持った非限定の例示的な高活性ゼオライトには、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、ITQ−3およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。全体を参照により本明細書に援用される、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28および特許文献29はそれぞれ、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、ITQ−3を開示している。
【0026】
非限定の例示的なルイス酸には、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素などが含まれる。非限定の例示的なブレンステッド酸には、硫酸、硝酸、塩酸、フッ化水素酸、リン酸などが含まれる。
【0027】
本開示に使用されてもよい芳香族化合物には、置換および非置換の1環および2環の環の芳香族化合物並びにそれらの混合物が含まれる。有利には、芳香族部分は、少なくとも1つはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびナフタレンから選択される。好適な芳香族化合物には、置換若しくは非置換ベンゼン、置換若しくは非置換ナフタレン、置換若しくは非置換フラン、置換若しくは非置換チオフェン、置換若しくは非置換アントラセン、置換若しくは非置換フェナントレン、置換若しくは非置換ピロール、置換若しくは非置換インドール、置換若しくは非置換ベンゾチオフェン、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは非置換ベンゾフラン、置換若しくは非置換ジベンゾフラン、置換若しくは非置換フェノキサチイン、置換若しくは非置換チアントレン、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換ピレン、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフィド、アニソール、チオアニソール、ジフェニルオキシド、ジフェニルスルフィド、ジフェニルメタン、それらの置換類似体、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。置換ナフタレンが、本明細書に開示される本発明配合物および方法にとって特に有利な芳香族化合物である。本明細書に開示される本発明組成物および方法にとってそれほど有利ではない芳香族化合物は、非置換ナフタレン化合物である。
【0028】
更に有利な実施形態では、芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、o−、m−若しくはp−キシレン、ヒドロキシベンゼン、メトキシ若しくはエトキシベンゼンなどのアルコキシベンゼン、チオアニソール、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルスルフィド、ナフタレン、メチルナフタレン、メトキシナフタレン、エトキシナフタレン、メチルナフチルスルフィド、エチルナフチルスルフィド、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィドまたはそれらの混合物である。
【0029】
芳香族化合物は置換されることができる。好適な置換基には、アルキル、ヒドロキシ、メトキシ若しくはエトキシなどのアルコキシ、フェノキシなどのアロキシ、メタンチオなどのアルキルチオ、フェニルチオなどのアリールチオ、およびベンジルなどのアラルキルが含まれる。このように、幾つかの有利な実施形態では、芳香族化合物は、モノ置換ベンゼン、例えば、トルエン、またはジ置換ベンゼン、例えば、パラ−、メタ−若しくはオルト−キシレンである。
【0030】
オレフィン材料に対して反応器に装入される触媒の量は、0.1%〜20%、好ましくは0.5%〜5%である。芳香族化合物、例えば、ベンゼン、ナフタレン、1,2,4−トリメチルベンゼン対オレフィン出発原料のモル比は、典型的には1:3〜20:1、好ましくは1:2〜10:1であるが、望まれる芳香族化合物のアルキル化の程度に依存して、この比は従って変えられてもよい。
【0031】
一般に、ゼオライト触媒法が用いられるとき、触媒は、スラリー反応器に装入される。反応は、触媒がペレットかまたは押出形態にあり、そして所望の温度に加熱される管型反応器中に充填されている固定床連続運転で実施されてもよい。供給物は、高転化率を達成するために、約0.1〜約20、好ましくは約0.5〜約5の範囲の比重量空間速度(WHSV)で導入される。アルキル芳香族組成物の製造のための有効な反応温度は、例えば、室温〜350℃、有利には75℃〜350℃である。200℃より上では、触媒は異性化作用をするかもしれず、それ故より有利な温度は200℃より下である。好ましい反応条件には、約1〜約30気圧の圧力、スラリー反応器での約1重量%から約5重量%の好ましい触媒装入または固定床連続運転での約0.2〜約4のWHSVが含まれる。反応体は気相か液相かのどちらかであることができ、ニートである、即ち、他の材料との意図的な混合若しくは希釈なしであることができる。またはそれらは、例えば、水素若しくは窒素などのキャリアガス若しくは希釈剤を用いて触媒組成物と接触させることができる。アルキル化は、不活性ガスがシステムを覆う状態で閉じた、加圧の撹拌反応器を典型的に用いるバッチ式反応としてか、または固定床若しくは移動床触媒システムを利用する半連続若しくは連続運転で実施することができる。
【0032】
一般に、フリーデル−クラフツ触媒、例えば、AlClまたは促進BFがアルキル化作用をするために使用されるとき(特許文献30)、プロセス条件は、−30〜350℃の温度、典型的には30℃〜90℃の温度、典型的には700〜7000kPaの圧力で実施されてもよい。条件がより苛酷になるにつれて、フリーデル−クラフツ触媒はビニリデンオレフィンの異性化を引き起こし、その結果アルキル芳香族生成物は、減少した量の第四級置換アルキル化芳香族化合物を含有するであろう。アルキル化は、不活性ガスがシステムを覆う状態で閉じた、加圧の撹拌反応器を典型的に用いるバッチ式反応としてか、または半連続若しくは連続運転で実施することができる。
【0033】
本開示では、有用な液体アルキル芳香族組成物を提供する分離のいかなる手段も利用されてもよい。芳香族化合物のアルキル化に続く有用な分離スキームの一例は、過剰の軽質沸騰炭化水素、例えば、芳香族化合物を使用し、そしてオレフィン(ビニリデンまたは他のC12〜C40オレフィン)の全てが消費されてしまうまでアルキル化反応を行うことである。次に、液体組成物は、重力分離または濾過などの普通の手段によって酸性ゼオライトから分離することができ、未反応芳香族化合物は減圧蒸留によって液体組成物から分離し、リサイクルすることができる。フリーデル−クラフツ触媒の一般的な場合には、特許文献3および特許文献30に記載されているように、反応混合物は、希酸または塩基溶液で反応を停止し、水で洗浄し、乾燥させることができる。アルキル化の生成物は出発オレフィンと比較して低下した臭素価を有するが、残留オレフィンまたは二量体共生成物の穏和な水素化処理が選択肢である。
【0034】
これは、液体潤滑油または添加物として有用なアルキル芳香族組成物を提供する。
【0035】
組成物
アルキル芳香族生成物は次の非限定的な構造:
【化2】

(式中、少なくとも1つのR基のかなりの部分はラジカルRCCHであり、かつ、式中、Rは約6〜40個の炭素、または12〜40個の炭素、または16〜24個の炭素を有し、RおよびRはアルキル基である)
を有することができる。例えば:
【化3】

第四級置換芳香族化合物の量は、NMR DEPT実験によって測定された帰属から推定された。特に、芳香族部分に結合したアルキル部分は、ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも30モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも35モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも40モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも50モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも70モル%が第四級であるようなものであってもよい。
代わりのオレフィンを使用して得られるかもしれない他の芳香族構造物は、一般構造:
【化4】

(式中、R、R、およびRはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基である)
などの第四級置換をもたらし得るであろう。
【0036】
多置換芳香族組成物およびオレフィン−オレフィン生成物もまた形成されるが、モノアルキル化芳香族化合物が本明細書に開示される第一の生成物である。オレフィンの異性化の条件下でまたは非ビニリデンオレフィン反応体の存在下に非第四級アルキル化芳香族化合物の存在もまたある。
【0037】
十分に強い酸触媒の存在下に、オレフィンは、第三級カルボカチオン(R、ここで、R=アルキルである)につながる骨格転位を受けるかもしれず、当該第三級カルボカチオンは芳香族基質をアルキル化して芳香環に隣接した第四級ベンジル位炭素を持った組成物を生成するであろう。本開示の利点の1つは、向上した熱および酸化安定性を組成物に提供するためになど、アルキル芳香族組成物が(ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であるとして定義される、またはベンジル位炭素の少なくとも30モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも35モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも40モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも50モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも70モル%が第四級であるような)十分に高いレベルで第四級ベンジル位炭素を有することである。熱および酸化安定性を有する本開示からのアルキル芳香族組成物の例示的な例は、ベンジル位炭素のかなりの量(ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であると定義される、またはベンジル位炭素の少なくとも30モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも35モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも40モル%が第四級であるような、またはベンジル位炭素の少なくとも50モル%が第四級であるような、または少なくとも70モル%)が第四級である組成物である。アルキル芳香族液体潤滑油組成物の熱および酸化安定性が大きければ大きいほど、必要とされる熱および酸化安定性を添加剤が提供することに対する要件は低くなる。
【0038】
より具体的には、非置換ナフタレンの芳香族部分から製造されたアルキル芳香族組成物は、150分より大きい、または155分より大きい、または160分より大きい、または165分より大きいRBOTによって測定されるような酸化安定性を示す。トルエンの芳香族部分から製造されたアルキル芳香族組成物は、30分より大きい、または35分より大きい、または40分より大きい、または45分より大きいRBOTによって測定されるような酸化安定性を示す。加えて、ベンゼンの芳香族部分から製造されたアルキル芳香族組成物は、20分より大きい、または25分より大きい、または30分より大きい、または35分より大きいRBOTによって測定されるような酸化安定性を示す。一般に、分岐の程度が大きければ大きいほど、かつ、アルキル部分の鎖長が大きければ大きいほど、より低いRBOT(より不十分な酸化安定性)をもたらす。
【0039】
本開示のアルキル芳香族組成物の別の利点は、本明細書において形成される組成物の流動点が実用的であることである。液体潤滑油組成物として有用なアルキル芳香族組成物をはじめとする組成物は、幅広い温度範囲にわたって液体でなければならない。流動点は、流体が流れる最低の温度である。液体潤滑油組成物の流動点が低ければ低いほど、流動点降下剤添加剤に対する要件は低くなり、それは有利である。具体的には、開示されるアルキル芳香族組成物は、−30℃以下、または−35℃以下、または−40℃以下、または−45℃以下、または−50℃以下である流動点を有する。一般に、分岐の程度が低ければ低いほど、かつ、アルキル部分の鎖長が大きければ大きいほど、より高い(有利でない)流動点をもたらす。
【0040】
以下の非限定的な実施例は、本開示の様々な実施形態およびそれの利点を例示する。本開示の範囲から逸脱することなく当該技術分野で公知の多くのもののうちから他の変数を選択することは当業者の能力内である。従って、これらの実施例は、本開示を更に例示するのに役立つものであるとし、それらを限定するものではない。
【実施例】
【0041】
実施例1
2−ヘキシル−1−デセンおよびナフタレンからのアルキル化ナフタレンの製造
200gの2−ヘキシル−1−デセン、228gのナフタレン、200gのデカン(任意選択)、および10gの高活性ゼオライト触媒(MCM−22)の溶液を窒素下に125℃に48時間加熱した。溶液を冷却し、濾過した。潤滑油範囲材料を、1ミリトル減圧で160℃より下で沸騰するいかなる成分も除去するために蒸留によって混合物から単離した。収量:231gの透明な、ほとんど無色の流体(オレフィンを基準として74%)。
【0042】
実施例2
2−オクチル−1−ドデセンおよびナフタレンからのアルキル化ナフタレンの製造
手順は、250gの2−オクチル−1−ドデセンを使用したことを除いては、実施例1と同様であった。収量:268gの透明な鮮黄色流体(オレフィンを基準として74%)。
【0043】
実施例3
2−オクチル−1−ドデセンおよびナフタレンからのアルキル化ナフタレンの製造
250gの2−オクチル−1−ドデセン、114gのナフタレン、200gのデカン、および15gのUSY触媒の溶液を窒素下に175℃に8日間加熱した。溶液を冷却し、濾過した。潤滑油範囲材料を、1ミリトル減圧で160℃より下で沸騰するいかなる成分も除去するために蒸留によって混合物から単離した。収量:254gの透明な、ほとんど無色の流体(オレフィンを基準として62%)。
【0044】
実施例4
2−ヘキシル−1−デセンおよびナフタレンからのアルキル化ナフタレンの製造
17.1gのナフタレンおよび50mLのヘキサンをN下に45℃に加熱した。BF・OEt(5.0mL)をナフタレン混合物に滴加した。20.0gの2−ヘキシル−1−デセンを滴加した。反応をGCによって追跡した。完了時に(数日)反応混合物を、5%NaOHで反応を停止し、中性まで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。潤滑油範囲材料を、1ミリトル減圧で160℃より下で沸騰するいかなる成分も除去するために蒸留によって混合物から単離した。収量:21gの透明流体、オレフィンを基準として67%。
【0045】
実施例5
2−オクチル−1−ドデセンおよびトルエンからのアルキル化トルエンの製造
460gのトルエン、140gの2−オクチル−1−ドデセン、および破砕したMCM−49(4.0g)をN下に加熱還流した。反応をGCによって追跡した。数日後、完了時に、反応混合物を冷却し、濾過した。潤滑油範囲材料を、1ミリトル減圧で160℃より下で沸騰するいかなる成分も除去するために蒸留によって混合物から単離した。収量:155g、オレフィンを基準として67%収率。
【0046】
実施例6
2−デシル−1−テトラデセンおよびベンゼンからのアルキル化ベンゼンの製造
175gのベンゼン、140gの2−デシル−1−テトラデセン、および破砕したMCM−49(4.0g)をN下に加熱環流した。反応をGCによって追跡した。数日後、完了時に、反応混合物を冷却し、濾過した。潤滑油範囲材料を、1ミリトル減圧で160℃より下で沸騰するいかなる成分も除去するために蒸留によって混合物から単離した。収量:158gの透明な無色流体、オレフィンを基準として91%収率。
【0047】
比較例1
比較例1は、1−ヘキサデセン、ナフタレン、およびUSY触媒から製造された市販のアルキル化ナフタレンである。異性体の大部分は、アルファおよびベータナフタレン置換の混合物でモノアルキル化されている。
【0048】
比較例2
比較例2は、C20内部オレフィン、トルエン、およびフリーデル−クラフツ触媒から製造されたアルキル化トルエンである。異性体の大部分は少しの第四級置換でモノアルキル化されている。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1〜5を合成するために使用されたオレフィンは、ビニリデン炭素で単一の分岐を有し、メタロセン法によって製造されたビニリデンと構造が同じであるはずである。実施例1、2、4、および5は、それぞれ、ナフタレンまたはトルエン環のアルファ位に第四級炭素を持ったそれぞれ、70%、68%、および72%の異性体を有する。実施例3は、かなりの量の第四級置換を持たないビニリデンから製造されたアルキル化ナフタレンの例を提供する。表面上で酸性の高活性ゼオライトを使用する方法は、嵩高いビニリデンについてより高い濃度の第四級置換をもたらす。BFエーテラートなどの他の酸性触媒の使用は、大量の第四級置換をもたらすはずである。
【0051】
実施例4は、BF−エーテラート触媒が第四級置換に関して同様な選択性を有することを実証する。
【0052】
【表2】

【0053】
実施例1〜4は、比較例1と比較して流動点(D5985方法)をはるかに向上させ、分岐が流動点を向上させることを実証した。
【0054】
実施例1は、比較例1と、両潤滑油が同じ分子量を有するので直接比較することができる。RBOT(回転ボンベ酸化試験(Rotary Bomb Oxidation Test)、D2272方法)はそれぞれ、334分および196分であり、第四級炭素が潤滑油の酸化安定性の向上をもたらすことを証明する。また、B10酸化試験(M334方法)は、実施例1対実施例3の触媒酸化中に酸価(0.32mg/gKOH対2.26mg/gKOH、D664−1方法)、粘度増加(2対13重量%、D445−5方法)およびPb損失(0.6重量%対14.3重量%、D2272方法)の改善を実証する。
【0055】
実施例1および比較例1より分子量および粘度が高い、実施例2はまた、比較例1に対しては向上したかまたは等しいB10酸化特性を示すが、実施例1のそれらを超えない。
【0056】
実施例3は、反応中のビニリデンの異性化のために第四級置換が少ないときの耐酸化性の損失を実証する。USY触媒は、オレフィンの嵩高さのためにビニリデンでのナフタレンのアルキル化にとっては不十分なアルキル化触媒であった。USY触媒は、線状アルファ−オレフィンが使用される通常のアルキル化ナフタレンにとっては優れたアルキル化触媒である。それらのB10酸化結果は同様であるが、この異性化の結果は、比較例1と比較してより不十分なRBOT結果であった。
【0057】
実施例5は、比較例2と、両潤滑油が同じ分子量を有するので直接比較することができる。RBOT(回転ボンベ酸化試験、D2272方法)はそれぞれ、45分および20分であり、第四級炭素が潤滑油の酸化安定性の向上をもたらすことを証明する。
【0058】
生じた生成物は、以下にまとめるように分析した。酸化安定性は、回転ボンベ酸化試験(RBOT)およびB−10酸化試験の下で分析した。RBOT試験プロトコルはASTM D2272に記載されている。B−10酸化試験は、添加剤ありかなしかのどちらかの鉱油および合成潤滑油を評価するために用いられる。この評価は、スラッジの形成、鉛検体の腐食、並びに中和価および粘度の変化によって測定されるような、指定条件下での空気による酸化に対する潤滑油の耐性に基づく。この方法では、サンプルを、鉄、銅およびアルミニウム触媒並びに秤量した鉛腐食検体と一緒にガラス酸化セルに入れる。セルおよびその内容物を、指定温度に維持される浴に入れ、測定した容量の乾燥空気を、試験の継続期間の間サンプルを通してバブリングさせる。セルを浴から取り出し、触媒アセンブリをセルから除去する。油を、スラッジの存在、全酸価(TAN)(ASTM 664)、および100℃での動粘度(kV)増加(ASTM D445)について調べる。鉛検体をきれいにし、秤量して減量を測定する。
【0059】
モデリング実施例7
実施例1〜6に記載される生成物を、95モル%超のビニリデン含有率のモノオレフィンで製造した。実施例1の手順は、アルキル化芳香族化合物について70モル%の第四級異性体をもたらした。実施例5の手順は、54モル%の第四級異性体をもたらした。これらの数字は、下の表3に示すように50〜65%のビニリデン含有率のモノオレフィンについて理論収率を計算するために使用した。
【0060】
【表3】

【0061】
出願者らは、合理的に予測できる開示主題の全ての実施形態および応用を開示しようと努めてきた。しかしながら、同等物のままである、予測できない、実質のない修正はあるかもしれない。本開示は。それの具体的な、例示的な実施形態と関連して記載されてきたが、本開示の精神または範囲から逸脱することなく前述の説明に照らし合わせて多くの変更、修正、および変形が当業者に明らかであろうことは明白である。従って、本開示は、上記の詳細な説明の全てのかかる変更、修正、および変形を包含することを意図される。
【0062】
優先権書類をはじめとする、本明細書に引用される全ての特許、試験手順、および他の公文書は、かかる開示が本開示と矛盾しない程度まで、およびかかる援用が許される全ての管轄権に関して参照により完全に援用される。数値の下限および数値の上限が本明細書にリストされるとき、任意の下限から任意の上限までの範囲が熟考される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非置換ナフタレン以外の芳香族部分;および
12〜40個の範囲の炭素原子数を有するアルキル部分
を含み、
前記アルキル部分が、ベンジル位炭素の少なくとも25モル%が第四級であるように前記芳香族部分に結合していることを特徴とするアルキル芳香族組成物。
【請求項2】
前記ベンジル位炭素の少なくとも35モル%が第四級であることを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項3】
前記ベンジル位炭素の少なくとも70モル%が第四級であることを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項4】
前記芳香族部分が、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルオキシドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項5】
前記芳香族部分が、置換または非置換ベンゼン、置換ナフタレン、置換または非置換フラン、置換または非置換チオフェン、置換または非置換アントラセン、置換または非置換フェナントレン、置換または非置換ピロール、置換または非置換インドール、置換または非置換ベンゾチオフェン、置換または非置換ジベンゾチオフェン、置換または非置換ベンゾフラン、置換または非置換ジベンゾフラン、置換または非置換フェノキサチイン、置換または非置換チアントレン、置換または非置換ビフェニル、置換または非置換ピレン、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィド、アニソール、チオアニソール、ジフェニルオキシド、ジフェニルスルフィド、ジフェニルメタンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項6】
前記芳香族部分が、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、ヒドロキシベンゼン、メトキシまたはエトキシベンゼン、チオアニソール、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルスルフィド、メチルナフタレン、メトキシナフタレン、エトキシナフタレン、メチルナフチルスルフィド、エチルナフチルスルフィド、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項7】
前記アルキル部分が16〜24個の範囲の炭素原子数を有することを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項8】
前記芳香族部分がトルエンであることを特徴とする請求項4に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項9】
RBOTによって測定される酸化安定性が30分より大であることを特徴とする請求項8に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項10】
前記芳香族部分がベンゼンであることを特徴とする請求項4に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項11】
RBOTによって測定される酸化安定性が20分より大であることを特徴とする請求項10に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項12】
−35℃以下の流動点を有することを特徴とする請求項1に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項13】
−50℃以下の流動点を有することを特徴とする請求項12に記載のアルキル芳香族組成物。
【請求項14】
アルキル芳香族化合物の製造方法であって、
アルキル化条件下、酸性アルキル化触媒の存在下に、少なくとも1つの芳香族化合物と、モノオレフィン構造の少なくとも50モル%がビニリデニル構造を含む、12〜40個の範囲の炭素原子数を有するモノオレフィンを接触させて、第四級であるベンジル位炭素を少なくとも25モル%有するアルキル芳香族化合物を生成する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記アルキル芳香族化合物を分離し、回収する工程を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アルキル芳香族化合物が、第四級であるベンジル位炭素を少なくとも65モル%有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記酸性アルキル化触媒が、ゼオライト触媒、MCM−22、MCM−57、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1およびITQ−3よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
酸性アルキル化触媒が、BF、促進BF、AlCl、SnCl、FeClおよびZnClよりなる群から選択されたフリーデル−クラフツ触媒であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記芳香族部分が、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルオキシドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記芳香族部分が、置換または非置換ベンゼン、置換または非置換ナフタレン、または非置換フラン、置換または非置換チオフェン、置換または非置換アントラセン、置換または非置換フェナントレン、置換または非置換ピロール、置換または非置換インドール、置換または非置換ベンゾチオフェン、置換または非置換ジベンゾチオフェン、置換または非置換ベンゾフラン、置換または非置換ジベンゾフラン、置換または非置換フェノキサチイン、置換または非置換チアントレン、置換または非置換ビフェニル、置換または非置換ピレン、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィド、アニソール、チオアニソール、ジフェニルオキシド、ジフェニルスルフィド、ジフェニルメタンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記芳香族部分が、トルエン、o−、m−若しくはp−キシレン、ヒドロキシベンゼン、メトキシ若しくはエトキシベンゼン、チオアニソール、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルスルフィド、ナフタレン、メチルナフタレン、メトキシナフタレン、エトキシナフタレン、メチルナフチルスルフィド、エチルナフチルスルフィド、ビスフェノール−A、ビスフェノールスルフィドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記モノオレフィンが16〜24個の範囲の炭素原子数を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記アルキル部分がアルキルアルミニウム触媒に由来することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記アルキルアルミニウム触媒がトリイソブチルアルミニウムであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アルキル部分がメタロセン触媒アルファ−オレフィン重合法に由来することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記アルキル部分が40個未満の炭素原子数のビニリデンに由来することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記アルキル部分が40個未満の炭素原子数のビニリデンに由来することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ビニリデンが、2−ヘキシル−1−デセン、2−オクチル−1−ドデセン、または2−デシル−1−テトラデセンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ビニリデンが、2−ヘキシル−1−デセン、2−オクチル−1−ドデセン、または2−デシル−1−テトラデセンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記モノオレフィン構造の少なくとも65モル%がビニリデニル構造を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522258(P2010−522258A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554549(P2009−554549)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/003518
【国際公開番号】WO2008/127534
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】