説明

アルキル金属酸化物を含有する混合酸化物粉末およびこの粉末を含有するシリコーンゴム

本願発明は、0.005〜5質量%の少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含有する、孔不含の一次粒子のアグリゲートの形でのアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末に関し、この場合、この粉末は、100〜350m/gのBET表面積を有し、金属酸化物成分のみを有する粉末と同じかまたはそれを上廻る比DBP数(比表面積1m当たりのDBP数として示される)を有し、一次粒子のコア中および表面上に分布したアルカリ金属酸化物を有する。また本願発明は、アルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末を含有するシリコーンゴムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属酸化物でドープされた高度に構造化された金属酸化物粉末およびその製造およびその使用に関する。さらに本発明は、高度に構造化され、ドープされた金属酸化物粉末を含有するシリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
DE-A-10065028は、金属酸化物成分として酸化カリウムを有する金属混合酸化物粉末を開示している。
【0003】
特に、酸化カリウム−二酸化ケイ素粉末が知られている。
【0004】
この粉末は、エーロゾルを、フレーム酸化またはフレーム加水分解の方法で熱分解法酸化物の製造に知られているフレームの型に、エーロゾルを供給することにより製造される。このエーロゾルは、カリウム塩溶液から得られ、かつキャリアガスを用いて、これがフレーム−酸化ガス混合物またはフレーム−加水分解ガス混合物と均一に混合する前に、加熱装置中に導入する。その後にエーロガス混合物を、フレーム中で完全に反応させ、かつ得られたカリウム−酸化物−ドープされた粉末をガス流から単離する。DE-A-10065028は、エーロゾルへの180℃への加熱を開示している。どのようにエーロゾルおよびキャリアガスが混合されるかについては全く開示されていない。
【0005】
得られた粉末は、電子顕微鏡図においては、極めて少ない相互付着のみを有する球状の丸い一次粒子を有し、かつ、これは、構造をDBP方法により測定した場合に、エンドポインドが識別されないという事実において見出される。さらに粉末は、極めて狭い一次粒子直径分布を有し、この場合、これは、少なくとも0.7のd/d(dは、計算上の(numeric)メジアン一次粒子直径であり、かつ、dは、表面積をベースとして算定されたメジアン一次粒子直径である)として定義される。粉末のpHは、この場合、水中の4%濃度の分散液において測定されたものであるが、この発明による例においては7.22〜7.96である。
【0006】
酸化カリウム−二酸化ケイ素粉末は、比較可能なBET表面積の二酸化ケイ素粉末とは、低い程度の付着および狭い一次粒子分布によって明らかに異なる。
【0007】
酸化カリウム−二酸化ケイ素粉末は、低い粘度の高充填分散液を製造するのに適している。
【0008】
さらにDE-A-10065028は、成分として酸化カリウムを有する金属混合酸化物粉末を開示している。DBP方法による金属混合酸化物粉末上の構造測定の結果は、DBP測定中の任意のエンドポイントの欠落を生じ、粉末は極めて低いレベルの構造化を有するか、さもなければ、DBP吸収として示される85%未満の値の構造化のレベルを有し、この場合、この値は、酸化カリウム成分不含の金属酸化物粉末によって得られうる。
【0009】
DE-A-10242798において開示するように、酸化カリウム−金属酸化物は、シリコーンゴムの製造のために使用することができる。酸化カリウム−二酸化ケイ素粉末は、低い可塑性を有するにもかかわらず、ショア硬度、引っ張り強さおよび引き裂き抵抗が、匹敵するBET表面積を生じる酸化カリウム成分不含の二酸化ケイ素粉末を有するものよりも低いシリコーンゴムを導く。さらに、酸化カリウム−二酸化ケイ素を用いて製造されたシリコーンゴムは、酸化カリウム成分不含の二酸化ケイ素粉末を含有する粉末よりも高い透明度を有する。しかしながら、多くの適用のために透明性のさらなる改善が望まれる。
【0010】
したがって本発明の課題は、特にシリコーンゴム中で、これまで従来技術においてこの目的のために使用されてきた粉末よりも、他の機械的特性における悪影響を生じることなく、顕著に高い透明度を生じさせる金属酸化物粉末を提供することである。
【0011】
本発明の他の課題は、金属酸化物粉末を製造するための方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の課題は、改善された特性を有するシリコーンゴムを提供することである。
【0013】
本発明は、少なくとも1種のアルカリ金属酸化物0.005〜5質量%含有するアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末を、孔不含の一次粒子のアグリゲートの形で提供し、この場合、この粉末は、
−100〜350m/gのBET表面積を有し、
−金属酸化物成分のみを有する粉末と同じまたはそれを上廻る比DBP数を有し、この場合、比DBP数は、比表面積1m当たりのDBP数として示され、
−一次粒子のコア中および表面上に分布したアルカリ金属酸化物を有する、
ことを特徴とする。
【0014】
一次粒子は、化学結合を分断することなくもはや粉砕することができない極めて小さい粒子である。
【0015】
これらの一次粒子は付着してアグリゲートを生じうる。アグリゲートの特徴は、その表面積が、アグリゲートを構成する一次粒子の表面積の合計よりも小さいことである。さらにアグリゲートは、分散中において完全に粉砕され、一次粒子を生じることはない。
【0016】
混合酸化物粉末は、一次粒子レベルまたはアグリゲートレベルにおいて、アルカリ金属酸化物および金属酸化物を均質に混合した粉末である。一次粒子はアルカリ金属−O−金属結合を有する。さらに、一次粒子中で金属酸化物と一緒に存在するアルカリ金属酸化物の領域であってもよい。
【0017】
用語「孔不含」は、窒素による測定が、任意の孔容積を検出することができないことを意味する。用語「孔不含」は、アグリゲート間に時折生じる容積について言及するものではない。
【0018】
DBP数(DBP=ジブチルフタレート)は、粒子の付着度合いの尺度である。DBP吸収法において、DBP測定装置の回転羽根において作用する圧力または回転力(Nm)を、DBPの定義された量の添加において、滴定のための方法と同様の方法で測定した。DBP数が高ければ高いほど、粒子の付着度合いは高くなる。本発明による混合酸化物粉末に関して、結果は、一定量のDBPが添加される減少(reduction)後の顕著にシャープな最大値である。
【0019】
本発明の粉末の比DBP数は、好ましくは少なくとも1.14である。
【0020】
本発明による粉末は、好ましくは、0.05〜2質量%のアルカリ金属酸化物を含有していてもよい。
【0021】
アルカリ金属混合酸化物粉末は、任意のアルカリ金属酸化物を含有する。しかしながら好ましくは、カリウムまたはナトリウムである。
【0022】
本発明による粉末の金属酸化物成分は何ら限定するものではない。二酸化ケイ素が好ましく、かつ本発明の目的のためには金属酸化物である。
【0023】
本発明による粉末の比表面積は、100〜350m/gの値を含む。200±25m/gまたは300±25m/gの値が好ましいものであってもよい。
【0024】
本発明による粉末のpHは、この場合、水中4%濃度の分散液において測定されたものであるが、好ましくは5を下廻ってもよい。3.5〜4.5の範囲が特に好ましい。
【0025】
さらに本発明は、金属混合酸化物粉末を製造するための方法を提供し、この場合、この方法は、
−エーロゾルを、少なくとも1種の金属塩の溶液または分散液の噴霧により製造し、
−このエーロゾルを、キャリアガス流を用いて、顕著に加熱された管路を通過させることにより100℃〜120℃に加熱し、このキャリアガス流を、最初に、ノズルに対して水平方向に(laterally)、ノズルが取り付けられたプレートの基部に衝突するように案内し、かつ、
−その後にエーロゾルを、少なくとも1種の金属化合物を含有し、かつ、その金属成分がエーロゾルの金属成分とは異なるガス混合物と均一に混合させ、かつ、燃焼ガスおよび酸素と均一に混合させ、ここでガス混合物に導入されたエーロゾルの量は、後の生成物が、エーロゾル由来の金属酸化物を0.005〜5質量%含有する程度であり、
−エーロゾル−ガス混合物を燃焼させ、かつ火炎中で反応を完了させ、かつ、得られた粉末を廃ガス流から単離すること、を特徴とする。
【0026】
本発明による方法において、アルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末に関して何ら限定するものではないが、しかしながら、これに代えて任意の混合金属酸化物粉末を使用することができる。
【0027】
エーロゾルが得られる金属塩は、好ましくは金属成分としてアルミニウム、セリウムまたはマンガンを有する。特に好ましくはアルカリ金属塩である。
【0028】
エーロゾルの製造に供給される金属塩溶液の濃度は、好ましくは0.5〜25質量%であってもよい。
【0029】
好ましい混合酸化物成分は、ケイ素、アルミニウム、チタン、セリウムまたはジルコニウムの酸化物であってもよい。
【0030】
さらに本発明は、充填剤として、担持材料として、触媒活性物質として、分散液製造のための出発材料として、ポリッシング材料(CMP適用)として、一次(primary)セラミック材料として、電子工業における、化粧品工業における、液体系のレオロジーを調節するための、熱保護安定化のための、あるいは、塗料工業における、本発明による粉末の使用を提供する。
【0031】
さらに本発明は、本発明によるアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末を含有するシリコーンゴムを提供する。シリコーンゴム中に存在していてもよい他の成分は、架橋剤、充填剤、触媒、有色顔料、離型剤、可塑剤および定着剤である。
【0032】
ここで好ましくは、酸化カリウム−二酸化ケイ素粉末を含有するシリコーンゴムを提供することができる。
【0033】
シリコーンゴムは、HTVシリコーンゴムまたはLSRシリコーンゴムであってもよく、ここでは、HTVシリコーンゴムが好ましい。
【0034】
HTVシリコーンゴムは、無色明澄の、高粘度の、セルフレベリングシリコーンポリマーであり、この場合、この粘度は15〜30kPasであり、その際、鎖長は、約10000SiO単位である。液体シリコーンゴム(LSR)は、特に、HTVゴムと同様の分子構造を有するが、しかしながら、その平均分子鎖長は6倍だけ短く、したがって、その粘度は1000倍だけ低い(20〜40Pas)。
【0035】
シリコーンゴムは、工業における多くの部門において使用される。HTVシリコーンゴムはガスケット、ホース、異形材、テキスタイルコーティング、O−リング、おしゃぶりまたはキーボードとして、車両および航空機構造のみならず、さらにエネルギーまたは家電組み立ての供給において、あるいは、スポーツ用品の形で使用される。
【0036】
実施例:
BET表面積をDIN 66131に従って測定した。
【0037】
乾燥損失量は、2時間に亘って105℃で、DIN/ISO 787/11、ASTM D 280、JIS K 5101/21に基づく方法によって測定した。
【0038】
ジブチルフタレート吸収は、RHEOCORD 90装置(Haake, Karlsruhe, Germany)によって測定した。これに関して、16gの二酸化ケイ素粉末を0.001gの精度でニーダー容器に装填し、かつ、これをカップで密閉し、かつジブチルフタレートを、カップ中の穴を介して、0.0667ml/sの要求された供給速度で計量供給した。ニーダーは、1分当たり125回転のモーター回転速度で運転した。回転最大値に達成するやいなや、ニーダーおよびDBP供給を自動に停止した。DBP吸収値は、以下のように、消費されたDBPの量および粒子の出発質量から算定した:
DBP数(g/100g)=(DBP消費量g/粒子の出発質量g)×100。
【0039】
例P−1(比較例)を、DE 19650500に記載されたようにして実施した。4.44kg/hのSiClをここで気化させ、かつバーナーの中央管に移した。2.5Nm/hの水素および7Nm/hの空気を、この管中にさらに供給した。このガス混合物は、この内部バーナーノズル中から流出させ、かつ、水冷した火炎管のバーナー室中で燃焼させた。0.3Nm/hの二次水素および0.2Nm/hの窒素を、さらに中央ノズルを取り囲む外部ノズル中に供給し、これによって、ケーキングした沈殿物の形成を回避した。さらに45Nm/hの空気を周囲環境から火炎管中に引き出し、この場合、これはわずかに減圧であった。
【0040】
エーロゾルを、超音波噴霧を用いて、2.48%濃度の塩化カリウム水溶液から製造し、その際、使用された噴霧速度は、エーロゾル204g/hであった。3.5Nm/hのキャリアガス(空気)流を、塩化カリウム溶液のための容器のガススペースに通過させることによって、エーロゾルを容器から運び出し、かつ、顕著に加熱した管路を通過させ、160℃に加熱した。その後にエーロゾルを内部ノズルから排出させ、かつ四塩化ケイ素、水素および酸素から成るガス混合物と一緒に均一に混合した。フレーム加水分解後に、反応ガスおよび得られた粉末を、減圧の適用を介して冷却系を通して引き出し、その結果、粒子−ガス流を、約100〜160℃に冷却した。固体を、排ガス流から、フィルターまたはサイクロン中で単離した。さらなる工程において、任意の残存する付着する塩酸残留物を、二酸化ケイ素粉末から、400〜700℃の温度で、水蒸気を含有する空気での処理を介して除去した。このようにして得られた粉末は、白色の微粉末P−1であった。
【0041】
例P−2(比較例)を、例1と同様に実施した。第1表は、出発材料の改善された量および調整を示す。
【0042】
例P−3(本発明による例):85kg/hのSiClを気化し、かつ、DE-A-196 50500中に記載されたバーナーの中央管に移した。40Nm/hの水素および124Nm/hの空気を、さらにこの管中に供給した。このガス混合物を、この内部バーナーノズル中から流出させ、かつ、水冷した火炎管のバーナースペース中で燃焼させた。4Nm/hの二次水素をさらに中央ノズルを包囲する外部ノズル中に供給して、ケーキングした沈殿物の形成を回避した。
【0043】
エーロゾルは、容器の基部上に取り付けられた2液ノズルを用いて、5%濃度の塩化カリウム水溶液から製造した。1100g/hのエーロゾルをここで製造した。18Nm/hのキャリアガス(空気)の流を、最初に、二液ノズルに対して横方向に、二液ノズルが取り付けられたプレートの基部に衝突する程度に案内し、このエーロゾルを、顕著に加熱された管路を介して運搬し、これによって120℃に加熱した。その後にエーロゾル/担持ガス混合物を、内部ノズルから排出し、かつ、四塩化ケイ素、水素および酸素から成るガス混合物と一緒に均一に混合した。フレーム加水分解後に、反応ガスおよび得られた粉末を、減圧の適用を介して、冷却系を通して引き出し、これによって粒子−ガス流を、約100〜160℃に冷却した。固体を、排ガス流から、フィルターまたはサイクロン中で単離した。さらなる工程において、任意の残存する付着する塩酸残留物を、二酸化ケイ素粉末から、400〜700℃の温度での、水蒸気を含む空気での処理を介して除去した。このようにして得られた粉末は、白色の微粉末であった。
【0044】
本発明による例P−4〜P−8を、例P−3と同様に実施した、第1表は、出発材料の改善された量および調整を示す。
【0045】
さらに第1表は、例1〜8の粉末のための分析データを示す。
【0046】
HTVシリコーンゴム
配合された材料を、2本ロールミル上で、40部の粉末P−1〜P−5および6部のSi 200シリコンオイル(GE Bayer Silicones)を加工助剤として用いて製造した。混合物を、7日後に、DCLBP過酸化物を用いて架橋した。
【0047】
例SK−1:400gのシリコーンポリマーを、2本ロールミルに装填した。均一に粉砕されたシートが、スレーブロール(より速いロールミル)上で形成されるやいなや、160gの粉末P−1を添加した。粉末をゆっくりと、かつ、2本のロール間に少しずつ添加した。約50%の粉末を添加した後に、24gの加工助剤を混合した。その後にスクレーパを使用して、ロールから配合された材料を除去し、かつこれを回した(turn)。その後に、残り50%の粉末を添加した。
【0048】
回転を、粉末の分散および均一化のために、導入後さらに5分に亘って継続した。混合物を、ここでさらに5回に亘って回した。得られた混合物を1週間に亘って貯蔵した。
【0049】
貯蔵後に、配合された材料を、均一に粉砕されたシートが製造されるまで、可塑化のためにロールミル上で混合した。2.8gのDCLBP過酸化物をその後に添加した。回転をさらに8分に亘って、過酸化物の分散および均質化のために継続し、かつスクレーパをここで使用して、ロールから混合物を除去し、これを8回に亘って回した。室温で24時間に亘っての貯蔵を再度おこなった(有利には、PEシート中で)。
【0050】
加硫化前に、配合された材料を再度2本ロールミル上で可塑化した。加熱プレスを140℃に予加熱した。4個の2mmのシリコーンシート(プレス時間7分、4×50gの化合された材料)および16mmのシリコーンシート(プレス時間10分、120gの化合された材料)を、クロム化鋼板間で加硫した。
【0051】
過酸化物切断生成物を除去するために、シートを、200℃で6時間に亘って、熱風炉中で後加硫した。試験試料を加硫物から切り出し、かつ、温度および湿度の標準状態下で貯蔵した。
【0052】
シリコーンゴムSR−2、SR−3、SR−4およびSR−5を、粉末P2、P3、P4およびP5から同様に得た。
【0053】
第2表は、シリコーンゴムの機械的特性を示す。意図される比較は、SR−1とSR−3および、それぞれ、SR−3およびSR−4とSR−2である。
【0054】
特に有利な特徴は、比較試験試料と比較しての生成物SR−3、SR−4、SR−5の顕著に高いショアA硬度である。光学的特性では、透明度が特別に強調されるべきであり、この場合、SR−3、SR−4およびSR−5は、比較試験試料よりも顕著に高い透明度を示す。
【0055】
従来技術と比較しての本発明の顕著な相違および利点は以下のとおりである:
本発明による粉末は、従来技術の粉末とは異なって、アグリゲートの高い付着度合いが特に顕著である。これは、Aerosil(R)300(Degussa)二酸化ケイ素粉末の透過電子顕微鏡図(図1A)および本発明による粉末P−6(図1B)の例により示される。さらに、本発明による粉末のpH値は、従来技術のアルカリ金属酸化物粉末中のpH値よりも低い。
【0056】
さらに、本発明による粉末の一次粒子直径分布は、d/dとして定義され、0.7未満であり、その際、dは計算上のメジアン一次粒子直径であり、かつdは表面積をベースとして算定されたメジアン一次粒子直径である。従来技術は、酸化カリウムでドープされたSiOのみを開示しており、その際、d/d比は少なくとも0.7である。
【0057】
さらに例は、エーロゾル製造工程の種類およびエーロゾル温度が、本発明による粉末を得るために重要であることを示す。
【0058】
さらに、本発明による粉末を用いて得られたシリコーンゴムは、同一の製造条件を用いて、従来技術の金属混合酸化物粉末を用いて得られたものよりも、顕著に高い透明度を示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】A Aerosil(R)300(Degussa)二酸化ケイ素粉末の透過電子顕微鏡図、 B 本発明による粉末P−6の透過電子顕微鏡図
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカリ金属酸化物0.005〜5質量%を含有する、孔不含の一次粒子のアグリゲートの形状での、アルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末において、該粉末が、
−100〜350m/gのBET表面積を有し、
−金属酸化物成分のみを有する粉末と同じまたはそれを上廻る比DBP数を有し、この場合、比DBP数は、比表面積1m当たりのDBP数として示したものであり、
−一次粒子のコア中および表面上に分布したアルカリ金属酸化物を有する、
ことを特徴とする、アルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項2】
比表面積1m当たりのDBP数が1.14を上廻る、請求項1に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項3】
カリウムまたはナトリウムが混合酸化物成分である、請求項1または2に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項4】
二酸化ケイ素が金属酸化物粉末である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項5】
比表面積200±25m/gまたは300±25m/gを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項6】
水中4%の分散液が5未満のpHを有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項7】
アルカリ金属酸化物の含量が0.05〜0.3質量%である、請求項1から6までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末。
【請求項8】
金属混合酸化物粉末を製造する方法において、該方法が、
−エーロゾルを、少なくとも1種の金属塩の溶液または分散液の噴霧により製造し、
−このエーロゾルを、キャリアガス流を用いて運搬し、顕著に加熱された管路を通過させ、かつ、これにより100℃〜120℃に加熱し、キャリアガス流を、最初に、ノズルに対して水平方向に、ノズルが取り付けられたプレート基部と衝突させるように案内し、かつ、
−その後にエーロゾルを、少なくとも1種の金属化合物を含有し、かつ、その金属成分がエーロゾルの金属成分とは異なるガス混合物と均一に混合させ、かつ、燃焼ガスおよび酸素と均一に混合させ、その際、ここでガス混合物中に導入されたエーロゾルの量は、後続の生成物が、エーロゾルに由来する金属酸化物を0.005〜5質量%含有する程度であり、
−エーロゾル−ガス混合物を燃焼させ、かつ火炎中で反応を完了させ、かつ得られた粉末を排ガス流から単離する、
ことを特徴とする、金属混合酸化物粉末を製造する方法。
【請求項9】
金属塩がアルカリ金属塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
金属塩溶液の濃度が0.5〜25質量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
充填剤として、担持材料として、触媒活性物質として、分散液製造のための出発材料として、ポリッシング材料(CMP適用)として、一次セラミック材料として、電子工業における、化粧品工業における、液体系のレオロジーを調節するための、熱保護安定化のための、あるいは、塗料工業における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末の使用。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のアルカリ金属酸化物−金属酸化物混合酸化物粉末を含有するシリコーンゴム。

【公表番号】特表2008−543708(P2008−543708A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516265(P2008−516265)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062526
【国際公開番号】WO2006/134014
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】