説明

アルコキシシラン末端重合体を含有する重合体混合物

A)一般式(1):
−A−(CH)−SiR(OR)3−a (1)
で表される少なくとも1つの末端基を有するアルコキシレン末端重合体(A)と、
B)アミノアルキルアルコキシラン(B)及び、
C)一般式(2):
CH=C(R)−C(=O)−O−(CH−SiR(OR3−b (2)
で表されるシラン(C)とを含む重合体混合物。但し、式中、R、R、R、A、a 、b、m及びnに関しては請求項1に記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルコキシシラン末端重合体、アミノアルキルアルコキシシラン及び(メタ)アクリロイル−アルコキシシランを含む重合体混合物、その調製及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性アルコキシシリル基を有する重合体系は昔から知られている。室温であっても、これらのアルコキシシラン末端重合体は大気中の水分の存在により互いに縮合して、その最中にアルコキシ基を排除することができる。アルコキシシラン基の量とその構造により、主要生成物は長鎖重合体(熱可塑性樹脂)、比較的幅の広いメッシュ構造三次元ネットワーク(エラストマー)又は別の高度に架橋された系(熱硬化性樹脂)となる。
【0003】
問題となる重合体は有機骨格を有するアルコキシシラン末端重合体、例えばEP−A−269819、EP−A−931800、WO00/37533、US3971751、及びDE19849817を含む文献に記載されているポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル等、又はその骨格が全て又は少なくとも一部がオルガノシロキサンで構成されている、WO96/34030及びUS5254657を含む文献に記載されている重合体である。
【0004】
こういったシラン末端重合体系の設計には数え切れないほどの可能性があることから、非架橋重合体及び非架橋重合体含有混合物の特性(粘度、融点、溶解性等)だけでなく架橋組成物の特性(硬度、弾性、引っ張り強度、破断伸び、耐熱性等)も実質的に顧客の要望に応じて調整することが可能である。従って、これに対応してこういったシラン末端重合体系の用途の可能性も又、多様なものとなる。このため、こういったシラン末端重合体系を、例えばエラストマー、シーリング剤、接着剤、弾性接着剤系、剛性及び軟質フォーム、多岐に亘るコーティング系のいずれかの製造、又は可塑性組成物に使用することができる。これらの生成物は例えば処方物の組成に応じて塗布、噴霧、注入、加圧、ナイフコーティング等のいずれの形式でも適用可能である。
【0005】
なかでも接着剤及びシーリング剤部門での用途の場合、組成物の硬化と加硫物の機械的特性と並んで特に要件とされるのが、多種多様な基材への効果的な接着性である。この点で、原則として、シラン架橋重合体の処方物は非常に良好な接着性を示す。この接着性は多くの場合、有機官能性接着促進剤の添加により増強又は最適化される。こういったシランの応用は従来技術文献及び多様な研究論文又は刊行物に記載されている(例えば、Silans and other coupling agents,Vols1−3,editor:K.L.Mittal, VSP,Utrecht 1992;Silane Coupling Agents,E.P.Plueddemann,2nd edition,Plenum Press, New York 1991)。但し、特定の場合及び処方物において、単なる接着促進剤を添加するたけではもはや不十分な場合が多い。特に硬化生成物を水分の侵入のある場所で保管する場合は不十分である。
【0006】
EP1179571Aは、シラン架橋重合体をベースとした硬化性組成物について記載しており、ここで使用の接着促進剤はエポキシシランとアミノシランとの混合物である。ここのケースにおいて、処方中の手順もまた、役割の一旦を担っている。EP997469Aは、シラン架橋系における接着性の構造に良い影響を与えるオリゴマー化アミノシランをベースとした革新的なオリゴマーシロキサンについて記載している。加えて、EP1216263Aに記載のような革新的なシラン構造は接着性に好ましい影響を与えることが記載されている。
【発明の開示】
【0007】
本発明は
(A)一般式(1):
−A−(CH)−SiR(OR)3−a (1)
で表される少なくとも1つの末端基を有し、式中、
Aは−O−、−S−、−(R)N−、−O−CO−N(R)−、−N(R)−CO−O−、−N(R)−CO−NH−、−NH−CO−N(R)−、−N(R)−CO−N(R)−から選択された二価の連結基であり、
は1〜10個の炭素原子を有する任意でハロゲン置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールラジカルであり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキルラジカルであり、
は水素、任意でハロゲン置換された環状、直鎖又は分岐鎖C〜C18アルキル又はアルケニルラジカル又はC〜C18アリールラジカルであり、
aは0〜2の整数であり、
mは1〜6の整数であるアルコキシシラン末端重合体(A)と、
(B)アミノアルキルアルコキシシラン(B)と、
(C)一般式(2):
CH=C(R)−C(=O)−O−(CH−SiR(OR3−b (2)
で表され、式中、
は水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
は1〜10個の炭素原子を有する任意でハロゲン置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールラジカルであり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキルラジカルであり、
nは1〜6の整数であり、
bは0〜2の整数であるシラン(C)とを含む重合体混合物を提供する。
【0008】
アミノシラン(B)と組み合わせての一般式(2)のシラン(C)の添加により、全体的な接着性が実質的に改善され、これは個々のシランの単独使用では達成できないものである。
【0009】
本発明の重合体混合物は1成分処方であっても2成分処方であってもよい。2成分重合体混合物の場合、2つのシラン(B)及び(C)を好ましくは基本成分に添加する。しかしながら、1成分ベースで硬化する重合体混合物が特に好ましい。1成分ベースで硬化する重合体混合物を調製する場合、シラン(C)を最初に添加し、次にシラン(B)を添加するのが好ましい。
【0010】
使用可能なアルコキシシラン末端重合体(A)の主鎖は分岐していても分岐していないものであってもよい。平均鎖長は非架橋混合物と硬化組成物の双方の特定の所望の性質に応じて、要望通りに適合させることができる。これらは異なる単位から構成してもよい。典型的にはポリシロキサン、ポリシロキサン−尿素/ウレタン共重合体、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエステル又はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィン共重合体又はスチレン−ブタジエン共重合体である。当然のことながら、異なる主鎖を有する重合体のいずれの望ましい混合物又は組み合わせも使用可能である。
【0011】
一般式(1)のシラン末端を有する重合体(A)の調製には、複数の主だった調製方法が考えられ、具体的には以下のとおりである。
【0012】
一般式(1)の基を有する不飽和単量体が関与する共重合。こういった単量体の例にはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、又はその他対応するエトキシシリル化合物が含まれる。
【0013】
一般式(1)の基を有する不飽和単量体のポリエチレン等の熱可塑性物質へのグラフト結合。こういった単量体の例にはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン又はその他対応するエトキシシリル化合物が含まれる。
【0014】
ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン又はトリエトキシシラン等のH−シランの不飽和、末端又は内部二重結合への、通常はプラチナ触媒作用を用いてのヒドロシリル化。
【0015】
プレポリマー(A1)と、一般式(4):
C−B−(CH−SiR(OR3−a (4)
で表され、式中、R、R、R、m及びaが上記の定義を有し、
Bが酸素、窒素又は硫黄原子であり、
C−B−がプレポリマー(A1)の適切な官能基に対して反応性である官能基である1つ以上のオルガノシラン(A2)との反応。
【0016】
プレポリマー(A1)それ自体が2つ以上の単位(A11、A12・・・)から構成される場合、続いてシラン(A2)と反応させて最終生成物である重合体(A)を得るところのプレポリマー(A1)を最初にこれらの単位(A11、A12・・・)から調製する必要は必ずしもない。従って、この場合、反応工程を逆の順序で行うことも可能であり、1つ以上の単位(A11、A12・・・)をまず最初にシラン(A2)と反応させ、その次にはじめて得られた化合物を残りの単位(A11、A12・・・)と反応させ、最終生成物である重合体(A)を得る。単位A11、A12から成るプレポリマー(A1)の例はOH−、NH−又はNCO−末端ポリウレタン及びポリ尿素であり、ポリイソシアネート(単位A11)、又、ポリオール(単位A12)から調製可能である。
【0017】
一般式(1)のシラン末端基を有する好ましい重合体(A)はシラン末端ポリエーテル及びポリウレタンであり、一般式(4)のオルガノシラン(A2)とプレポリマー(A1)から調製したポリエーテルが特に好ましい。
【0018】
重合体(A)を調製する際のある好ましいモードでは、好ましくは一般式(5):
OCN−(CH−SiR(OR3−a (5)
で表され、式中、R、R、R及びaが上記の定義を有し、mが1又は3であるシランから選択されたシラン(A2)を用いる。
【0019】
重合体(A)の調製において、全反応工程に関わる全イソシアネート基の濃度、及びイソシアネートと反応する基全ての濃度、及び反応条件は好ましくは、イソシアネート基が重合体合成における過程で反応により全て消費されるように選択される。従って、最終的に得られる重合体(A)は好ましくはイソシアネートを含有していない。
【0020】
重合体(A)の調製に適したポリオールは具体的には、文献に広く記載されている類の芳香族及び脂肪族ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールである。但し、原則として、1つ以上のOH官能基を有する全てのポリマー性、オリゴマー性或いはモノマー性アルコールの使用も可能である。
【0021】
は好ましくはフェニルラジカル又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルラジカル、特にはメチル、エチル又はビニルラジカルである。Rは好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、特にはメチル又はエチルラジカルである。Rは好ましくは水素、フェニルラジカル又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルラジカル、特にはメチル、エチル又はn−プロピルラジカルである。
【0022】
好ましいアミノアルキルアルコキシシラン(B)は一般式(6):
Si(OR4−u−v (6)
で表されるものであり、式中、
は1〜10個の炭素原子を有する任意でハロゲン置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールラジカルであり、
はSiC−結合アミノ基を含有する、一価の任意でハロゲン置換されたC〜C30炭化水素ラジカルであり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキルラジカルであり、
uは0、1又は2であり、
vは1、2又は3であるが、uとvとの合計は3以下である。
【0023】
ラジカルRの例及び好ましい例はラジカルRについて上で挙げたものである。ラジカルRの例及び好ましい例は、ラジカルRについて上で挙げたものである。
【0024】
ラジカルRは好ましくは一般式(5):
10NR11− (7)
で表されるラジカルであり、式中、
10は水素原子又は一価の任意で置換されたC〜C10炭化水素ラジカル又はC〜C10アミノ炭化水素ラジカルを示し、
11は二価のC〜C15炭化水素ラジカルを示す。
【0025】
ラジカルR10の例はラジカルRについて挙げた炭化水素ラジカルの例と、アミノアルキルラジカル等のアミノ基で置換した炭化水素ラジカルであり、アミノエチルラジカルが特に好ましい。
【0026】
ラジカルR11の例はメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、シクロヘキシレン、オクタデシレン、フェニレン、及びブテニレンラジカルである。ラジカルR11は好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルを含み、特にはn−プロピレンラジカルである。
【0027】
ラジカルRの例はアミノプロピル、アミノエチルアミノプロピル、エチルアミノプロピル、ブチルアミノプロピル、シクロヘキシルアミノプロピル、フェニルアミノプロピル、アミノメチル、アミノエチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ブチルアミノメチル、シクロヘキシルアミノメチル、フェニルアミノメチル基である。
【0028】
シラン(C)の場合、Rは好ましくはメチル、エチル又はn−プロピルラジカルである。好ましくはnは数字1、2又は3を示す。ラジカルRの例及び好ましい例はラジカルRについて上で挙げたものである。ラジカルRの例及び好ましい例はラジカルRについて上で挙げたものである。
【0029】
一般式(2)のシラン(C)は好ましくは有機官能基を有するシランであり、例えばアクリロイルオキシプロピル、アクリロイルオキシメチル、メタクリロイルオキシプロピル、メタクリロイルオキシメチル及びシリルラジカル、例えばトリメトキシ、トリエトキシ、ジメトキシメチル、ジエトキシメチルシリル基である。シラン(C)の好ましい例はメタクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、及びメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0030】
本発明の重合体混合物において、アルコキシシラン末端重合体(A)の割合は好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜50重量%、特には20〜40重量%である。アミノアルキルアルコキシシラン(B)の割合は好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、特には0.2〜3重量%である。一般式(2)のシラン(C)の割合は好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特には1〜3重量%である。
【0031】
本発明の重合体混合物は縮合触媒を含んでいてもよく、その例はチタン酸エステル、例えばテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラアセチルアセトネートチタネート;スズ化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫アセチルアセトネート、ジブチル錫酸化物、又はジオクチル錫の対応する化合物;アミノアルキルアルコキシシラン(B)と同一であってもよい塩基性触媒、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びその他の有機アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリニン等;酸性触媒、例えばリン酸及び/又はリン酸エステル、トルエンスルホン酸、鉱酸である。アミノシラン単体又はジブチル錫化合物との組み合わせが好ましい。縮合触媒は好ましくは重合体混合物に対して濃度0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜2重量%で使用する。多彩な触媒を純粋又は混合物の双方の形態で使用することが可能である。
【0032】
本発明の重合体混合物は充填材を含んでいてもよく、その例は天然粉砕チョーク、粉砕・被覆チョーク、沈降チョーク、沈降・被覆チョークの形態の炭酸カルシウム、粘土鉱物、ベントナイト、カオリン、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、三水和アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、沈降又はヒュームドシリカである。充填材は好ましくは重合体混合物に対して10〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%の濃度で使用される。
【0033】
本発明の重合体混合物は水捕捉剤及びシラン架橋剤を含んでいてもよく、その例はビニルシラン、例えば一般的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチルトリメトキシシラン、O−エチルカルバメートメチルメチルジエトキシシラン、O−エチルカルバメートメチルトリエトキシシラン、アルキルアルコキシシラン、又はその他の有機官能性シランである。水捕捉剤及びシラン架橋剤は好ましくは重合体混合物に対して濃度0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%で使用される。
【0034】
本発明の重合体混合物は可塑剤を含んでいてもよく、その例はフタル酸エステル、例えばジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、アジピン酸エステル、例えばアジピン酸ジオクチル、安息香酸エステル、グリコールエステル、リン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブテン、パラフィン系炭化水素、高度分岐炭化水素等である。重合体混合物に対しての好ましい可塑剤使用濃度は40重量%までである。
【0035】
本発明の重合体混合物はチキソトロープ剤を含んでいてもよく、その例としては親水性フュームドシリカ、被覆フュームドシリカ、沈殿シリカ、ポリアミドワックス、水素化ヒマシ油、ステアリン酸塩又は沈降チョークが挙げられる。上記の充填材は流動性の調節にも利用することができる。チキソトロープ剤は好ましくは重合体混合物に対して濃度1〜5重量%で使用される。
【0036】
本発明の重合体混合物は更に慣用のアルコキシ架橋1成分型組成物での使用で知られるタイプのいわゆるHALS安定剤等の光安定剤、殺菌剤、難燃剤、顔料等を含んでいてもよい。
【0037】
非架橋重合体混合物と硬化組成物の双方の特定の所望の特性プロファイルをもたらすためには、上記の添加剤の使用が好ましい。
【0038】
好ましくは、本発明の重合体混合物の調製において、まず最初に重合体(A)と充填材との混合物を調製し、次にシラン(C)を混ぜ込み、続いてアミノアルキルアルコキシシラン(B)を混合する。
【0039】
本発明の重合体混合物については、接着剤、シーリング剤、接合部シーリング剤、表面コーティング剤の分野、及び可塑性組成物及び成型物の製造において無数の多様な用途がある。
【0040】
これらの用途において、本発明の重合体混合物は無数の多様な基体、例えば鉱物基体、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等に適している。
【0041】
上記の式中の上記記号は全て、それぞれの場合について互いに独立してその定義を有している。式の全てにおいて、ケイ素原子は四価である。
【0042】
以下の実施例において、特に記載がない限り、全ての量及びパーセントは重量基準である。
【実施例】
【0043】
実施例1
メチレン−メチルジメトキシシリル末端基(α−ジメトキシ)を有するシラン末端ポリエーテル重合体での処方
Wacker Chemie AG社製のGENIOSIL STP−E10の商標名で入手可能なシラン末端ポリエーテル293gをPC−Laborsystem社の2つのクロスアームミキサを備えたラボラトリプラネタリミキサで約25℃で75gのジイソデシルフタレート(Merck社)及びGENIOSIL XL63(Wacker Chemie AG社)の商標名で入手可能なO−メチルカルバメートメチルトリメトキシシランと200rpmで2分間に亘って混合する。その後、68gの疎水化したシリカHDK H2000(Wacker Chemie AG社)を均質に分散するまで攪拌する。続いて、295gのBLR3チョーク(Omya社)を導入し、充填材を600rpmで1分間に亘って攪拌しながら分解する。チョークの添加に続いて、15gのメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL GF31(Wacker Chemie AG社)を200rpmで1分間に亘って分散させる。最後に、実施例1a用に0.75gのジブチル錫ジラウレート(Merck社)及び3.8gのアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL GF91。Wacker Chemie AG社)を200rpmで1分間に亘って分散させ、混合物を600rpmで2分間に亘り、又、200rpmで1分間に亘って部分真空下(約100mbar)で均質化し、攪拌を混合物から気泡が無くなるまで行う。処方物を310mlのPEカートリッジに分注し、25℃で1日保存する。
【0044】
実施例1b及び比較例1d〜1gを同様に調製した。
【0045】
異なる基体上での接着挙動
金属をメチルエチルケトンで洗浄する。ガラスは水性界面活性剤溶液で洗浄後、脱イオン水で、次にメチルエチルケトンで洗浄する。プラスチックはエタノールで洗浄する。続いて、シーリング剤をビード状で厚さ約5〜7mmに塗布する。室温での1週間に亘る保存の後、室温の水中で4週間に亘って保存する。
【0046】
保存条件
A=7日間。室温
B=7日間。室温+2週間の室温での水中保存
C=7日間。室温+4週間の室温での水中保存。
【0047】
木製の試験片を水中下ではないが、そのかわりに50℃/100%相対湿度に環境条件が制御されたキャビネット内に2又は4週間に亘って保存する。
【0048】
評価
+=良好な接着性(凝集破壊)
ф=部分的な接着(境界部での又は帯状の接着)
−=接着不良(接着破壊)
【0049】
表1
実施例1a及び1b(本発明)

【0050】
比較例(本発明以外)
アミノシラン単独又はメタクリロイルシラン単独の使用は接着性を損なう。
【0051】
表2

実施例2
【0052】
プロピレン−トリメトキシシリル末端基(γ−トリメトキシ)を有するシラン末端ポリエーテルでの処方
実施例1と同じやり方で、処方の調製及び本発明の実施例2a−b及び非本発明の実施例2cの接着性の調査を行った。使用した重合体はGENIOSIL(登録商標)STP−E35(Wacker Chemie AG社)であった。
【0053】
表3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1):
−A−(CH)−SiR(OR)3−a (1)
で表される少なくとも1つの末端基を有し、式中、
Aは−O−、−S−、−(R)N−、−O−CO−N(R)−、−N(R)−CO−O−、−N(R)−CO−NH−、−NH−CO−N(R)−、−N(R)−CO−N(R)−から選択された二価の連結基であり、
は1〜10個の炭素原子を有する任意でハロゲン置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールラジカルであり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキルラジカルであり、
は水素、任意でハロゲン置換された環状、直鎖又は分岐鎖C〜C18アルキル又はアルケニルラジカル又はC〜C18アリールラジカルであり、
aは0〜2の整数であり、
mは1〜6の整数であるアルコキシシラン末端重合体(A)と、
(B)アミノアルキルアルコキシシラン(B)と、
(C)一般式(2):
CH=C(R)−C(=O)−O−(CH−SiR(OR3−b (2)
で表され、式中、
は水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
は1〜10個の炭素原子を有する任意でハロゲン置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールラジカルであり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキルラジカルであり、
nは1〜6の整数であり、
bは0〜2の整数であるシラン(C)とを含む重合体混合物。
【請求項2】
アルコキシシラン末端重合体(A)がシラン末端ポリエーテル又はポリウレタンである、請求項1に記載の重合体混合物。
【請求項3】
mが数字1である、請求項1又は2に記載の重合体混合物。
【請求項4】
連結基Aが定義−O−CO−NH−を有する、請求項1〜3に記載の重合体混合物。
【請求項5】
nが数字1である、請求項1〜4のいずれかに記載の重合体混合物。
【請求項6】
がメチル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の重合体混合物。
【請求項7】
がメチル又はエチル基である、請求項1〜6のいずれかに記載の重合体混合物。
【請求項8】
錫化合物を縮合触媒として含んでいる、請求項1〜7のいずれかに記載の重合体混合物。
【請求項9】
充填材を含んでいる、請求項1〜8のいずれかに記載の重合体混合物。
【請求項10】
まず最初に重合体(A)と充填材との混合物を調製し、次にシラン(C)を混合し、続いてアミノアルキルアルコキシシラン(B)を混合する、請求項9に記載の重合体混合物の調製方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の重合体混合物の接着剤、シーリング剤、及び接合部シーリング剤の分野での使用。

【公表番号】特表2009−529581(P2009−529581A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551777(P2008−551777)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050673
【国際公開番号】WO2007/085605
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(507303435)ウァッカー ケミー アーゲー (17)
【Fターム(参考)】