説明

アルコキシル化用触媒

【課題】 高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、アルキルアミン等の活性水素含有化合物に、エチレンオキサイドその他のアルキレンオキサイドを付加するのに用いる触媒、及びこれを用いてアルキレンオキサイド付加物を製造する方法において、未反応物の比率、及びこれに起因する重合生成物の臭気を著しく小さくすることができるものを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)〜(3)で示される化合物種の少なくとも一つからなる金属アルコラートと、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、及びパラトルエンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの酸化合物とを組み合わせたものを、アルキレンオキサイドを付加する反応の触媒とする。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、アルキルアミン等の活性水素含有化合物に、エチレンオキサイドその他のアルキレンオキサイドを付加するのに用いる触媒、及びこれを用いてアルキレンオキサイド付加物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなアルキレンオキサイド付加物は、疎水基の構造と親水基の構造を自由に組み合わせることができるので、家庭用洗剤や工業用界面活性剤、更にはアニオン界面活性剤の原料として広範な用途に利用されている。これらの活性水素を持つ化合物とアルキレンオキサイドから得られるアルキレンオキサイド付加物を製造するために、従来、触媒として、苛性ソーダ、苛性カリ、トリエチルアミン等の塩基性触媒や、三フッ化ホウ素や五塩化アンチモン等の酸性触媒が用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら、これらの公知の触媒には以下のような欠点がある。すなわち、塩基性触媒を用いた場合、副生成物が少なく重合度の高いものが容易に得られるが、重合度分布が広くなり、高級アルコール等の活性水素含有化合物の未反応物からアルキレンオキサイド重合度の高いものまで含む混合物となる。未反応物が多いと重合物の臭気が強く、重合物の石油エーテル可溶分などの値が高くなるので、洗浄用の界面活性剤として使用するには問題があり、また、アルキレンオキサイドの重合度の高いものが多いと、疎水性と親水性のバランスが崩れるので、界面活性剤としての性能低下などが問題となる。
【0004】
一方、酸性触媒を用いた場合、高級アルコール等の活性水素含有化合物の未反応物は少なくなるが、ポリエチレングリコールやジオキサンなどの望ましくない副生成物が多く生成する。また、酸性触媒は金属に対する腐食性が強いので、使用する装置が限定され、工業用触媒として不具合な点を有する。
【0005】
また、従来、重合度分布の狭い触媒として多くのアルコキシル化用触媒が提案されているが、上記問題点を解決しながら重合度分布を十分狭くするものはほとんど得られていないのが実情である。
【特許文献1】特開2002−308811公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、アルキレンオキサイド付加用の触媒及びこれを用いるアルキレンオキサイド付加物の製造方法において、未反応物の残留や、重合度分布の過度の広がりに起因する悪影響の発生を防止できるものを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアルキレンオキサイド付加物用の触媒は、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物種の少なくとも一つからなる金属アルコラートと、酸化合物との組み合わせからなることを特徴とする。
【化1】

【0008】
これらの一般式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であって、各一般式において少なくとも1つはアルコキシ基である。即ち、上記化合物はいずれも少なくとも1つのアルコキシル基を有する。M1は、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)原子であり、M2は、アルミニウム(Al)またはガリウム(Ga)原子であり、M3はチタニウム(Ti)またはジルコニウム(Zr)原子である。上記アルキル基は炭素数が1〜18であり、アルコキシ基は例えば炭素数が1〜22である。また、R1、R2、R3、R4の全てがアルコキシ基であることが、より好ましい。
【0009】
アルキレンオキサイドを付加する対象の活性水素化合物がアルコール化合物である場合、例えば、付加対象のアルコール化合物に対して、該アルコール化合物のアルコキシ基からなる上記のような金属アルコラートを添加した後、酸化合物を加え、引き続いてアルキレンオキサイドを導入する。ここで、アルコール化合物は、特に限定するものでないが、好ましくは、炭素数6〜30の飽和または不飽和の直鎖もしくは分枝構造のアルキル基を有する1級または2級のアルコールである。
【発明の効果】
【0010】
未反応物の比率、及びこれに起因する重合生成物の臭気を著しく小さくすることができる。また、重合度分布を狭くすることができる。すなわち、アルキレンオキサイド鎖における重合度が高い部分の割合を小さくし、疎水性と親水性のバランスが崩れることなく界面活性剤としての性能低下などが生じないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のアルキレンオキサイド付加用の触媒は、金属アルコラート(金属アルコキシド)と、無機または有機の酸化合物とを組み合わせたものであり、ここで用いる金属アルコラートは、特には、アルコールが少なくとも一つ配位した、配位数2〜4の金属錯体である。金属アルコラートは、炭素数1〜4といった低級アルコールの金属アルコラートでも良く、また、この低級アルコールを付加対象の活性水素化合物で置換したものであっても良い。
【0012】
後述するように、アルキレンオキサイドを付加する対象の化合物は、アルコール化合物に限られない。しかし、本願明細書では、アルコール化合物以外の活性水素化合物が金属アルコラートのアルコールと置換したものも含めて「金属アルコラート」と呼ぶこととする。このような「金属アルコラート」は、下記の例示する低級アルコールの金属アルコラートを、付加対象の活性水素化合物に添加した後、脱水を行うことによっても容易に得ることができる。
【0013】
上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の具体例として、2価の金属アルコラート(M1の場合)としては、マグネシウムジエチラート、マグネシウムメトキシエチラート、カルシウムジエチラート、カルシウムメトキシエチラートなど、または、これら化合物のアルコキシル基を後述する付加対象の活性水素化合物で置換したものが挙げられる。
【0014】
また、3価の金属アルコラート(M2の場合)としては、アルミニウムトリイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリsec−ブチレート、アルミニウムトリtert−ブチレート、アルミニウムトリエチレート、ガリウムトリイソプロピレートなど、または、これら化合物のアルコキシル基を後述する付加対象の活性水素化合物で置換したものが挙げられる。
【0015】
また、4価の金属アルコラート(M3の場合)としては、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、ジルコニウムテトライソプロピレートなどが挙げられる。
【0016】
上記の中でも好ましいのは、3価の金属アルコラートであるアルミニウムアルコラートであり、より具体的には、アルミニウムイソプロピレート(Al(iso−C37O)3)、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート(Al(iso−C37O)2(sec−C49O))、アルミニウムsec−ブチレート(Al(sec−C49O)3)、アルミニウムエチレート(Al(O−C25O)3)、アルミニウムトリtert−ブチレート(Al(tert−C49O)3)など、または、これら化合物のアルコキシル基を後述する付加対象の活性水素化合物で置換したものが挙げられる。
【0017】
アルミニウムアルコラートは市販品を用いることも出来るが、アルミニウムトリハライド又はトリアルキルアルミニウムと、アルコールとを反応させて得られる、アルミニウムのモノアルコラート,ジアルコラート及びトリアルコラートからなる混合物を用いることも出来る。なお、この場合もトリアルコラートの含有量が多くなる方が好ましい。
【0018】
本発明において、上記金属アルコラートと組み合わされる酸化合物としては、一般的な有機酸または無機酸を適宜用いることができる。好ましいものとしては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、及びパラトルエンスルホン酸を挙げることができ、これらの1種または任意の組み合わせを用いることができる。特に好ましいものとしては、カルボキシル基とアルキレンオキサイドとの反応といった副反応のおそれがなく、揮散や反応容器に対する腐食のおそれが少ない、硫酸及びリン酸を挙げることができる。
【0019】
上記の金属アルコラートに対する、酸化合物の配合モル比は、0.5〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1.5〜2.5である。酸化合物の配合量がこの範囲より少ないと、酸化合物配合による本発明の効果が充分得られない。一方、酸化合物の配合量がこの範囲よりも高い場合には、ポリエチレングリコールやジオキサンなどの副生物の生成量が増加することから好ましくない。
【0020】
本発明で用いられるアルキレンオキサイドは、活性水素を持つ化合物と反応してアルコキシレートを生成し得るものであればどのようなものでも良いが、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキシラン環を持つものが好ましく、特に好ましいのはエチレンオキサイドである。
【0021】
アルキレンオキサイドを付加する活性水素含有化合物は、特に限定するものではないが、好ましくは、減圧しても実質上蒸発しないものであり、例えば、炭素数6以上のアルコール類、多価アルコール類、フェノール類、炭素数6以上のカルボン酸類、アミン類およびそれらの混合物等である。アルコール類としては、炭素数6〜30の飽和または不飽和の直鎖もしくは分枝構造のアルキル基を有する1級アルコールや2級アルコール、アリールアルキルアルコール等が挙げられる。具体的には、1級アルコールとしては、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサノール等、2級アルコールとしては、2−デカノール、2−ドデカノール等である。
【0022】
多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。フェノール類としては、オクチルフェノール、ノニルフェノール等が挙げられる。カルボン酸類としては、炭素数6〜30の飽和または不飽和の直鎖もしくは分枝構造のアルキル基を有する脂肪酸等が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。また、アミン類としては、炭素数8〜30の飽和または不飽和のアルキル基を有する1級または2級アミン等が挙げられる。具体的には、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。
【0023】
これらの活性水素原子含有化合物の中では、炭素数8〜22の飽和または不飽和の直鎖もしくは分枝構造のアルキル基を有する1級アルコールおよび2級アルコール類が好ましく、特に好ましいのは炭素数10〜18の直鎖もしくは分枝構造の飽和の1、2級アルコールである。
【0024】
アルキレンオキサイドの付加反応は、オートクレーブ等の圧力反応器で、通常の操作手順および反応条件で容易に行うことができる。その際、反応温度は、60〜150℃であることが好ましく、より好ましくは80〜130℃である。
【0025】
なお、触媒の使用量は、特に限定されないが、活性水素含有化合物に対して、0.1〜5.0重量%であることが好ましい。
【0026】
アルキレンオキサイド付加反応の終了後、好ましくは、次のようにして触媒の失活及び除去を行う。まず、水を加えて加温し、触媒を加水分解させる。そして、吸着剤を添加して触媒を吸着し、ろ過により吸着剤とともに触媒を除去する。吸着剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を含有する複合金属酸化物を使用することができる。吸着剤は、粉体状であるのが好ましく、例えば、酸化マグネシウム20〜80重量%および酸化アルミニウム5〜50重量%を含有する複合金属酸化物などが好ましい。このような吸着剤の市販品としては、例えば協和化学工業(株)の「キョーワード300」、「キョーワード500」、「キョーワード1000」、「キョーワード2000」、富田製薬(株)の「トミックスAD500」などが挙げられる(かぎかっこ内はいずれも商品名)。吸着剤は、例えば、粗製物に対して、2.0〜10.0重量%添加し、40〜100℃で1〜5時間処理を行う。一方、触媒の失活及び除去のためには、水を加えて加温し触媒を加水分解させた後、温水で水洗を行い、この水洗の後に吸着剤を添加して、濾過により触媒を除去することもできる。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例1〜2及び比較例1〜3の製造方法及びその結果について説明する。
【0028】
なお、図1には、実施例1〜2及び比較例1により得られたアルキレンオキサイド付加物の付加モル数のグラフを示す。図1の付加モル数分布の測定、及び、残留未反応アルコールの含量測定は、下記条件でのGPC測定(ゲル濾過クロマトグラフィー)による。また、副生成物の測定は、下記条件のHPLC(液体クロマトグラフィー)で行った。
【0029】
<GPC・HPLC測定条件>
(1)GPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:Megapak GEL 201F、25℃
検出器:示差屈折計(RI)
(2)HPLC(液体クロマトグラフィー)
溶離液:アセトニトリル/水
カラム:ODS-H、25℃
検出器:示差屈折計(RI)
<実施例1>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)と、アルミニウムsec−ブチレート(ASDB)[Al(sec−C49O)3]2.8g(0.011モル)を添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。この後、温度を80℃に上げ、2.6kPa以下に減圧して、アルミニウムsec−ブチレート(ASDB)中のブタノールを除去することにより、アルミニウムラウレートに変換した。そして、硫酸2.2g(0.022モル)を加えることで、アルミニウムラウレートと硫酸とが組み合わさったアルコキシル化触媒とした。
【0030】
次いで、温度を120℃まで昇温し、この温度で0.2MPaに維持しながら、オートクレーブ内にエチレンオキサイドを88g(2モル)を徐々に導入することで反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、80℃に冷却した。その後、水を9.5g加え、90℃で攪拌後、「キョーワード500、700」(協和化学工業(株)の商品名)を添加して吸着処理を行い、減圧脱水後、ろ過により触媒を除去した。得られたアルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は2.0であった。分子量分布をGPCで測定した結果、未反応アルコール量は4.2%であった。また、付加モル数が4.0以上の区分は、全体の18.0%であり、付加モル数が6.0以上の区分は、全体の3.0%であった。
【0031】
<実施例2>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)と、アルミニウムイソプロピレート(AIPD)[Al(iso−C37O)3]2.2g(0.011モル)を添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。この後、温度を100℃に上げ、2.6kPa以下に減圧して、アルミニウムイソプロピレート(AIPD)中のイソプロピルアルコールを除去することにより、アルミニウムラウレートに変換した。そして、リン酸2.2g(0.022モル)を加えることで、アルミニウムラウレートとリン酸とが組み合わさったアルコキシル化触媒とした。
【0032】
次いで、温度を120℃まで昇温し、この温度で0.2MPaに維持しながら、オートクレーブ内にエチレンオキサイドを88g(2モル)を徐々に導入することで反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、80℃に冷却した。その後、水を9.5g加え、90℃で攪拌後、「キョーワード500、700」(協和化学工業(株)の商品名)を添加して吸着処理を行い、減圧脱水後、ろ過により触媒を除去した。得られたアルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は2.0であった。分子量分布をGPCで測定した結果、未反応アルコール量は3.8%であった。また、付加モル数が4.0以上の区分は、全体の18.7%であり、付加モル数が6.0以上の区分は、全体の3.5%であった。
【0033】
<実施例3>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)と、アルミニウムラウレート[Al(C1225O)3]6.4g(0.011モル)を添加し、次にリン酸2.2g(0.022モル)添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。120℃に昇温後、次に温度120℃、圧力0.2MPaに維持しながらエチレンオキサイドを88g(2モル)を徐々に導入し、反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、80℃に冷却した。その後、水を9.5g加え、90℃で攪拌後、キョーワード500、700を添加して吸着処理を行い、減圧脱水後、ろ過により触媒を除去した。得られたアルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は2.0であった。分子量分布をGPCで測定した結果、未反応アルコール量は4.3%であった。
【0034】
<比較例1>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)とKOH 0.6g(0.011モル)を添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。次いで、温度を120℃まで昇温し、この温度で0.2MPaに維持しながら、オートクレーブ内にエチレンオキサイドを88g(2モル)を徐々に導入することで反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、80℃に冷却した。得られたアルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は2.0であった。分子量分布をGPCで測定した結果、未反応アルコール量は20.1%であった。また、また、付加モル数が4.0以上の区分は、全体の36.2%であり、付加モル数が6.0以上の区分は、全体の19.5%であった。
【0035】
<比較例2>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)と硫酸(0.004モル)添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。次いで、温度を100℃まで昇温し、この温度で0.2MPaに維持しながら、オートクレーブ内にエチレンオキサイドを88g(2モル)を徐々に導入することで反応を行った。引き続き、同温で1時間熟成した後、80℃に冷却した。得られたアルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は1.0と小さく、副生物として大量のジオキサンが生成し、正常なアルキレンオキサイド付加物が得られなかった。また、分子量分布をGPCで測定した結果、未反応アルコール量は15.3%であった。
【0036】
<比較例3>
ステンレス製オートクレーブにラウリルアルコールを186g(1モル)と、アルミニウムsec−ブチレート(ASDB)[Al(sec−C49O)3]2.8g(0.011モル)添加後、オートクレーブ内をチッソ置換した。次いで、温度を120℃まで昇温し、この温度で0.2MPaに維持しながら、エチレンオキサイドを導入し反応を行った。このとき、エチレンオキサイドを88g(2モル)導入しようとしたが、44g(1モル)までしか導入することができず、導入を中止した。引き続き、同温で5時間熟成した後、80℃に冷却した。その結果、アルキレンオキサイド付加物の平均付加モル数は0.5であり、十分な触媒作用が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1〜3および比較例1で得られたエチレンオキサイド付加物の付加モル数分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)〜(3)で示される化合物種の少なくとも一つからなる金属アルコラートと、酸化合物との組み合わせからなるアルコキシル化用触媒。
【化1】

上記一般式(1)〜(3)において、R1、R2、R3、R4は、いずれも、水素原子、アルキル基またはアルコキシル基であり、各一般式中にあって少なくとも一つがアルコキシル基である。M1は、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)原子であり、M2は、アルミニウム(Al)またはガリウム(Ga)原子であり、M3はチタニウム(Ti)またはジルコニウム(Zr)原子である。
【請求項2】
前記酸化合物が、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、及びパラトルエンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載のアルコキシル化用触媒。

【図1】
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【公開番号】特開2006−192375(P2006−192375A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6929(P2005−6929)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】