説明

アルコール検知器

【課題】アルコールガス検知器において、アルコールガスセンサが老朽化したり、故障した際には、システム全体を交換するか、或いは、システムを分解して、修理等を行う必要がある。
【解決手段】アルコールガスセンサ部と、アルコールガスセンサ部の制御及び監視を行う本体部とを備えるアルコール検知器であって、本体部は、アルコールガスセンサ部から出力される電気データを本体部に取り込むため、及び、本体部からアルコールガスセンサ部を制御するための信号をアルコールガスセンサ部に送るための、アルコールガスセンサ部とのインターフェースを行うための端子群を含むインターフェース部を更に備え、アルコールガスセンサ部が、インターフェース部と着脱可能となっている、アルコール検知器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例に係る発明は、例えば、アルコール検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルコールガスセンサーを用い、呼気アルコール濃度を検知するセンサーユニットを持ち測定結果をデジタル表示にて被験者(測定者)のアルコール濃度を表示する仕組みと、その被験者のデータを市販のパソコン等にデータ転送出来る仕組みと、被験者IDコード(社員no.等)、測定時刻、温度、湿度、測定回数累計、測定結果濃度等を印字(送信)する手段を備えたことを特徴とするアルコール検知システムが開示されている。
【特許文献1】特開2004−212217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のシステムでは、アルコールガスセンサが老朽化したり、故障した際には、システム全体を交換するか、或いは、システムを分解して、修理等を行う必要がある。
更に、被験者とガスセンサの間に風が吹いたりした場合、正確な測定が困難である。
【0004】
また、測定結果を音声によって容易に把握することが困難であり、被験者が事業所に試験中であることを連絡中の際、事業所側に測定の様子を伝えることも困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するために、以下のような発明を提供する。
なお、本願出願時の明細書の記載を基礎として、特許請求の範囲の記載が補正され得ることは勿論であるが、その際に、以下の各「発明」の内容を訂正することは予定しない(以下の各「発明」は、本願明細書における開示の要点としての意味を持つ)。
【0006】

[発明1]
アルコールガスセンサ部と、
前記アルコールガスセンサ部の制御及び監視を行う本体部と、
を備えるアルコール検知器であって、
前記本体部は、前記アルコールガスセンサ部から出力される電気データを前記本体部に取り込むため、及び、前記本体部から前記アルコールガスセンサ部を制御するための信号を前記アルコールガスセンサ部に送るための、前記アルコールガスセンサ部とのインターフェースを行うための端子群を含むインターフェース部を更に備え、
前記アルコールガスセンサ部が、前記インターフェース部と着脱可能となっている、
アルコール検知器。
【0007】
このように構成することにより、アルコールガスセンサが老朽化したり、故障した際には、システム全体を交換するか、或いは、システムを分解して、修理等を行う必要が無く、センサユニットのみを交換すれば良い。
【0008】

[発明2]
アルコールガスセンサ部を有するアルコール検知器であって、
前記アルコールガスセンサ部が、被験者の呼気を、被験者が銜える、複数の口径を有する細い円筒状のパイプを介して、前記アルコールガスセンサ部に、漏れなく誘くための、呼気導入用パイプ嵌合メカニズムを備える、
アルコール検知器。
【0009】
このように構成することにより、被験者とガスセンサの間に風が吹いたりした場合でも、正確な測定が可能である。

[発明3]
アルコールガスセンサ部を有するアルコール検知器であって、
前記アルコールガスセンサ部によって検出されたアルコールガスの濃度レベルに応じて、異なった音声表示を発する、音声表示部を備える、
アルコール検知器
このように構成することにより、測定結果を音声によって容易に把握することが容易であり、被験者が事業所に試験中であることを連絡中の際、事業所側に測定の様子を伝えることも容易である。
【0010】

[発明4]
被験者の呼気の入力が不首尾に終わった場合に、再度の呼気の入力を促す、エラー音表示を行う、エラー音発声手段を更に備える、発明3に記載のアルコール検知器。
【0011】
このように構成することにより、エラーが発生したことを容易に認識可能である。

【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態の1実施例によれば、アルコールガスセンサが老朽化したり、故障した際にも、センサ部分のユニットのみを交換することによって、容易に対応が可能である。
【0013】
本発明の実施形態の他の実施例によれば、被験者とガスセンサの間に風が吹いたりした場合にも、正確な測定が可能である。
本発明の実施形態の更に他の実施例によれば、測定結果を音声によって容易に把握することが容易であり、被験者が事業所に試験中であることを連絡中の際、事業所側に測定の様子を伝えることも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】アルコール検知器1A01の概観を表側からの正面図及び裏側からの正面図で表したものである。
【図1B】アルコール検知器1A01への呼気の吹きかけ態様の1つを示すものである。
【図1C】アルコール検知器1A01への呼気の吹きかけ態様の他の1つ(ストローを用いた吹きかけ)を示すものである。
【図1D】図1Cの態様におけるストローの太さが異なっても呼気が漏れることなくアルコール検知器1A01に呼気が入力される様子を示す。
【図1E】アルコール検知器1A01においてアルコールガスセンサ部分のみを交換する際の態様を示す。
【図1F】アルコール検知器1A01において呼気を入力した際のブザー音又は音声表示の発生を示す。
【図2】図1のアルコール検知器1A01の電気的構成をブロック図で表現したものである。
【図3】図1のアルコール検知器1A01をパソコンと接続したシステム構成を示す。
【符号の説明】
【0015】
1A01 アルコール検知器
1A03 センサー部
1A05 吹き抜け口
200 アルコール検知器
201 センサユニット
203 データ処理ユニット
207 USB接続端子
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各種の実施例を図を参照しつつ説明する。但し、以下の説明は、あくまでも本発明の例示であり、以下の記載によって、本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0017】
また、本発明の装置、端末、システムは、如何なる既知の、或いは、今後開発される、同様な機能を有するものに対しても適することを理解して欲しい。
<システム構成>
本願発明に係るアルコール検知器、及び、当該装置を用いたシステムについて、その実施例を説明する。
【0018】
図1Aは、アルコール検知器1A01の概観を表側からの正面図、及び、裏側からの背面図で表したものである。
左側の表側からの正面図には、センサー部1A03、及び、表示パネル1A07が示されている。
【0019】
被験者は、表示パネル1A07の視覚的な指示に従い、又は、スピーカ(不図示)からの音声による指示に従い、呼気をセンサー部1A03に吹き込む等の動作を行う。
図1Bは、アルコール検知器1A01の概観を側面図で表したものである。
【0020】
表側のセンサー部1A03から吹き込まれた呼気は、裏面の吹き抜け口1A05を通って、外部に通過する。
表側のセンサー部1A03と、裏面の吹き抜け口1A05の間には、呼気ガスセンサ(後述)が配置され、呼気中のアルコールを検出する。
【0021】
図1Cは、アルコール検知器1A01への呼気の吹きかけ態様の他の1つ(ストローを用いた吹きかけ)を示すものである。このようにストローを用いて呼気を入力することによって、被験者とガスセンサの間に風が吹いたりした場合にも、正確な測定が可能である。
【0022】
図1Dは、図1Cの態様におけるストローの太さが異なっても呼気が漏れることなくアルコール検知器1A01に呼気が入力される様子を示す。アルコール検知器1A01の、ストローによる呼気入力部を、このように異なったストローの口径に対してもフィットするような形状とすることによって、呼気の漏れを防止することが可能である。
【0023】
なお、通常、市場に流通しているストローのサイズ(口径)は主に2種類であり、アルコール検知器1A01のストローによる呼気入力部は、この2種類の口径に対応する構成にすればほぼ十分である。
【0024】
図1Eは、アルコール検知器1A01においてアルコールガスセンサ部分のみを交換する際の態様を示す。
このように、アルコールガスセンサ部分のみを交換可能とすることによって、アルコールガスセンサが老朽化したり、故障した際にも、システム全体の交換や、システムを分解して、修理等を行う必要が無くなる。
【0025】
図1Fは、アルコール検知器1A01において呼気を入力した際のブザー音又は音声表示の発生を示す。
このように、呼気を入力した際のブザー音又は音声表示により、被験者の呼気中のアルコール濃度がどのようなレベルのものかが、容易に理解できるし、エラーが発生した場合にも、再度の測定を促すことが容易である。
【0026】
例えば、法定の基準から、
a アルコール不検知
b アルコール濃度が非常に高く、運転を禁止
c 2時間の休息後に運転可能
等の音声による表示(a,b,cそれぞれ異なるブザー音、又は、日本語による音声表示)が可能である。より簡便に、アルコール検知、又は、アルコール不検知の2種類の表示を用いてもよい。
【0027】
なお、被験者が、所属する企業の本部と電話で連絡しながら、出先の場所で呼気の測定を行う場合がある。これは、本部で、被験者の呼気測定時刻、場所、測定が首尾良く行われたか、等をチェックする必要があるためである。
【0028】
このような場合、被験者が片手で電話を掛けながら、他方の手で呼気をアルコール検知器1A01に入力し、上述のようにaないしc等の音声表示が為されれば、本部の対話者にも、測定が首尾良く行われたかを、電話によって伝えることが容易になる。
【0029】
図2は、図1のアルコール検知器1A01の電気的構成をブロック図で表現したものである。
アルコール検知器200は、大きく分けて、センサユニット201、データ処理ユニット203、及び電源部205で構成されている。
【0030】
電源部205は、センサユニット201、及び、データ処理ユニット203に電源を供給する。
センサユニット201は、図1B又は図1Cの呼気1B01中のアルコール濃度を検出するためのものである。
【0031】
データ処理ユニット203は、被験者に必要な指示を与えたり、センサユニット201で検出された呼気1B01中のアルコール濃度を処理し、外部に伝送したりする機能を有する。
センサユニット201は、呼気ガスセンサ2011、センサ計測制御用CPU2013、及び、メモリ2015に、更に細分化される。
【0032】
データ処理ユニット203は、更に以下の各要素に細分化される。
(a)データ処理通信制御用CPU2031---上述の各機能を制御する。
(b)スピーカ2043---被験者に対する音声による指示等を発する。
(c)LCD表示部2037---被験者に対する視覚的指示を与えたり、測定されたアルコール濃度を表示したりする。
(d)USB通信制御部2039---USBによって接続された外部機器とのデータのやり取りを制御する。
(e)カレンダー時計管理部2035---アルコール濃度測定を行った日時等を出力する。測定されたデータと関連付けて外部に伝送され得る。
【0033】
次に、以上説明したアルコール検知器(1A01、200)を用いて、測定データ等を利用・管理するシステムを説明する。
なお、図3では、図2のブロック図中、それらの図面における使用態様において、特に注目すべき機能を実現するための構成要素のみを表示しているが、図2に記載された他の構成要素を排除するものではない。
【0034】
図3は、図1のアルコール検知器1A01をパソコン(PC)(303)と接続したシステム構成を示す。
センサ部3025で検出されたアルコール濃度データは、センサ計測制御CPU3013で処理され、USB通信制御部3017により、USBケーブル307を介して、パソコン303に伝送される。
【0035】
パソコン303に伝送されたデータ等は、プリンタ305において印刷可能である。
プリンタ305での印刷結果の一例としては、例えば表形式の出力が可能である。
当該表の項目の一例としては、例えば、縦軸に被験者の氏名、社員ID、呼気測定日時場所が列挙され、横軸に、アルコール検知器の使用の有無、アルコール検知の有無、アルコール濃度値、(被験者が申告した)疲労等の状況、被験者が担当する業務の事前点検状況、被験者の雇用機関から被験者への指示事項、等を列挙することが可能である。更に、被験者の業務開始前、業務遂行中、業務終了後の、異なった時点で、上述の各項目を設けることも可能である。
【0036】
このような帳票を出力することによって、雇用者が、被験者の呼気中のアルコール濃度を含めた、体調管理を行うことが容易となる、
本明細書は、多数の特定の実施例を含むが、これらは、特許請求される又は特許請求されることができる範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。
【0037】
別個の実施形態の内容において、本明細書に説明される特定の特徴は、さらに、単一の実施形態において組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の実施例は、例えば、アルコール成分検出・表示システムに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールガスセンサ部と、
前記アルコールガスセンサ部の制御及び監視を行う本体部と、
を備えるアルコール検知器であって、
前記本体部は、前記アルコールガスセンサ部から出力される電気データを前記本体部に取り込むため、及び、前記本体部から前記アルコールガスセンサ部を制御するための信号を前記アルコールガスセンサ部に送るための、前記アルコールガスセンサ部とのインターフェースを行うための端子群を含むインターフェース部を更に備え、
前記アルコールガスセンサ部が、前記インターフェース部と着脱可能となっている、
アルコール検知器。
【請求項2】
アルコールガスセンサ部を有するアルコール検知器であって、
前記アルコールガスセンサ部が、被験者の呼気を、被験者が銜える、複数の口径を有する細い円筒状のパイプを介して、前記アルコールガスセンサ部に、漏れなく誘くための、呼気導入用パイプ嵌合メカニズムを備える、
アルコール検知器。
【請求項3】
アルコールガスセンサ部を有するアルコール検知器であって、
前記アルコールガスセンサ部によって検出されたアルコールガスの濃度レベルに応じて、異なった音声表示を発する、音声表示部を備える、
アルコール検知器
【請求項4】
被験者の呼気の入力が不首尾に終わった場合に、再度の呼気の入力を促す、エラー音表示を行う、エラー音発声手段を更に備える、請求項3に記載のアルコール検知器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−167952(P2012−167952A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27413(P2011−27413)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(593222090)中央自動車工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】