説明

アルコール濃度検出装置

【課題】精度よくアルコール濃度を検出可能なアルコール濃度検出装置を提供する。
【解決手段】アルコール濃度検出装置1は、電極部65と、スイッチトキャパシタ回路70と、標準電圧発生回路80と、増幅回路90と、制御部100と、を備える。スイッチトキャパシタ回路70は、電極部65における静電容量Cpを検出電圧Vbに変換する。増幅回路90は、検出電圧Vbを増幅して出力する。制御部100では、増幅度γで増幅された出力電圧Voutγ、および、増幅度βで増幅された出力電圧Voutβを取得し、出力電圧Voutγ、Voutβ、および増幅度γに基づき、増幅度βを補正する。増幅度を補正することにより、誤差等の影響により、増幅度によって算出されるアルコール濃度に差が生じるのを避けることができ、精度よく液体中のアルコール濃度を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばガソリンとエタノールとを混合した混合液体中のエタノール濃度を検出するアルコール濃度検出装置が公知である。アルコール濃度検出装置では、2つの電極および電極間の液体により静電容量体を形成して濃度センサとし、静電容量に基づいてアルコール濃度を検出する。
ガソリンとエタノールとの混合液体の誘電率は、特にエタノール濃度が低い領域では非線形性が強い。そのため、特許文献1では、エタノール濃度に対応する電圧の変化が小さい領域においてゲインを増大させることにより、エタノール濃度の検出精度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−133930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献1のように、抵抗値の異なる複数の抵抗を設け、用いる抵抗を切り替えることによりゲインを切り替える場合、抵抗の個体ばらつき等により検出されるアルコール濃度に誤差が生じる虞がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度よくアルコール濃度を検出可能なアルコール濃度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のアルコール濃度検出装置は、電極部と、電圧変換部と、電圧印加部と、増幅部と、増幅度切替手段と、電圧取得手段と、補正手段と、を備える。電極部では、液体中に浸漬されるとともに液体中のアルコール濃度に応じて変化する静電容量を検出する。電圧変換部は、電極部における静電容量を検出電圧に変換する。電圧印加部は、電圧変換部に電圧を印加する。増幅部は、検出電圧を増幅して出力する。増幅度切替手段は、検出電圧の増幅度を切り替える。電圧取得手段は、基準となる第1の増幅度で増幅された検出電圧である第1の出力電圧、および、第1の増幅度とは異なる第2の増幅度で増幅された検出電圧である第2の出力電圧を取得する。補正手段は、第1の出力電圧に基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、第2の出力電圧に基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、が一致するように、第1の出力電圧、第2の出力電圧、および、第1の増幅度に基づき、第2の増幅度を補正する。
【0006】
本発明では、増幅度を切り替え可能であるので、例えばアルコール濃度が低いときには増幅度を大きくする等、検出電圧を適切に増幅することができ、精度よくアルコール濃度を検出することができる。また、基準となる第1の増幅度に基づいて第2の増幅度を補正することにより、誤差等の影響を受けて、増幅度によって算出されるアルコール濃度に差が生じるのを避けることができ、増幅度によらず正確なアルコール濃度を算出することができる。したがって、精度よく液体中のアルコール濃度を検出することができる。また、例えば製品の出荷検査時に基準となる第1の増幅度におけるアルコール濃度を確認しておけば、第2の増幅度を補正可能であるので、検査工数を低減することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、増幅部は、オペアンプ、および、オペアンプに並列に接続可能な抵抗値が異なる複数のゲイン抵抗を有する。増幅度切替手段は、オペアンプに接続されるゲイン抵抗を切り替えることにより、増幅度を切り替える。これにより、容易に増幅度を切り替えることができる。また、ゲイン抵抗の実際の抵抗値と設定値とに誤差があったとしても、増幅度を補正することにより、精度よくアルコール濃度を検出することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、電圧印加部は、第1の抵抗、および、抵抗値が異なる複数の第2の抵抗を有する。第2の抵抗は、第1の抵抗と直列に接続可能であり、第1の抵抗と接続されることにより分圧抵抗を構成する。増幅度切替手段は、第1の抵抗に接続される第2の抵抗を切り替えることにより、増幅度を切り替える。すなわち本発明では、電圧印加部により電圧変換部に印加する電圧を変更することで増幅度を変更している。これにより、容易に増幅度を切り替えることができる。また、分圧抵抗を構成する第1の抵抗値と第2の抵抗値との比の実際の値と設定値とに誤差があったとしても、増幅度を補正することにより、精度よくアルコール濃度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料供給システムを説明する模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるアルコール濃度検出装置のセンサ部分を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるアルコール濃度検出装置の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるエタノール濃度と検出電圧との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態におけるエタノール濃度と出力電圧との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態による補正処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態による補正処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態によるアルコール濃度検出装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるアルコール濃度検出装置を図面に基づいて説明する。
なお、以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるアルコール濃度検出装置は、車両のエンジンへ供給される燃料としてのガソリンとエタノールとの混合液体中のエタノール濃度の検出に用いられる。
【0011】
まず、本実施形態のアルコール濃度検出装置が用いられる燃料供給システムを図1に示す。図1に示すように、アルコール濃度検出装置1は、図示しないエンジンの燃料供給系統に設けられる。アルコール濃度検出装置1は、燃料タンク2とデリバリパイプ5とを接続する燃料配管4に設けられている。燃料タンク2には、ガソリンとエタノールとが混合された燃料が貯留される。燃料タンク2には、ガソリンとエタノールとの混合液体、ガソリン、および、エタノールのいずれもが任意で給油可能である。したがって、燃料タンク2内の燃料中のエタノール濃度は、給油時点を境に変動する可能性がある。燃料タンク2内の燃料は、燃料ポンプ3によって燃料配管4を通りデリバリパイプ5へ圧送され、インジェクタ6から図示しない吸気管またはシリンダ内へ噴射される。インジェクタ6は、エンジンのECU(電子制御ユニット)7により電気的に駆動制御される。ECU7は、マイクロコンピュータ等から構成され、アルコール濃度検出装置1からの検出信号、および、エンジンに係る各種検出信号が入力される。本実施形態では、最適条件(例えば排気中に含まれる有害物質量が最小かつ省燃費条件)でエンジンを運転するために、エンジンへ供給される燃料のエタノール濃度をアルコール濃度検出装置1により検出し、検出されたエタノール濃度に応じ、空燃比、燃料噴射量、点火時期等の各種制御パラメータを適切に制御している。なお、エンジンを最適条件で運転すべく、インジェクタ6にできるだけ近い位置におけるエタノール濃度を検出するようにアルコール濃度検出装置1を設けることが好ましい。
【0012】
図2に示すように、アルコール濃度検出装置1は、第1ハウジング10、連結パイプ20、21、第1電極31、第2電極32、サーミスタ40、第2ハウジング50、および、回路部60等から構成されている。
第1ハウジング10は、例えばステンレス等の金属により略筒状に形成される。第1ハウジング10の内部には、燃料室11が形成される。第1ハウジング10の軸方向(図2中においては紙面左右方向)の両端には、シール部材12、13を挟んで連結パイプ20、21がねじ結合している。連結パイプ20、21は、例えばステンレス等の金属から筒状に形成される。連結パイプ20の内部には通路22が形成され、連結パイプ21の内部には通路23が形成される。通路22、23は、燃料室11と連通している。また、連結パイプ20の軸方向の途中には、径方向外側に突出する爪24が形成され、連結パイプ21の軸方向の途中には、径方向外側に突出する爪25が形成されている。連結パイプ20、21は、爪24、25に接続する図示しないコネクタを介して燃料配管4(図1参照)と接続する。これにより、連結パイプ20の通路22、連結パイプ21の通路23、および、第1ハウジング10の燃料室11に燃料が供給される。
【0013】
第1電極31は、例えばステンレス等の金属により略円筒状に形成され、第1ハウジング10の径方向の一側に形成された開口14から、第1ハウジング10の軸方向と概ね直行するように第1ハウジング10の燃料室11に挿入される。第2電極32は、例えばステンレス等の金属により有底筒状に形成され、第1電極31の径方向内側に形成される空間35に収容される。第1電極31の径方向内側の内壁と、第2電極32の径方向外側の外壁との間には、ガラスシール36が設けられる。これにより、第1電極31と第2電極32とが固定される。また、ガラスシール36は、第1電極31と第2電極32とを電気的に絶縁している。
第1電極31は、径方向に通じる燃料孔33、34を有している。第1ハウジング10の燃料室11の燃料は、燃料孔33、34を経由して第1電極31と第2電極32との間の空間35に流入する。これにより、第1電極31および第2電極32は、空間35に流入した燃料を誘電体とし、コンデンサとして機能する。詳細は後述するが、このコンデンサを図3の回路図中においては、「コンデンサ66」と記載する。
【0014】
サーミスタ40は、温度変化によって電気抵抗が変化する温度検出素子である。サーミスタ40は、第2電極32の内側に収容され、第2電極32の底部の内壁に当接している。これにより、第1電極31と第2電極32との間の空間35の燃料の温度は、第2電極32の底部を経由してサーミスタ40に伝導する。なお、第2電極32の底部の内壁とサーミスタ40との間に放熱グリス等の熱伝導部材を充填してもよい。
【0015】
第2ハウジング50は、例えば樹脂等により有底筒状に形成され、底部51が第1ハウジング10の開口14に対応する位置に固定される。また、第2ハウジング50の底部51には収容孔57が設けられ、第2電極32の燃料に浸漬されない側の端部を収容している。
第2ハウジング50と第1ハウジング10との間には、環状のパッキン52および板状の弾性部材53が設けられる。パッキン52は、第2ハウジング50と第1ハウジング10との間に外部から水等が浸入するのを防止する。弾性部材53には、略中央に開口が形成され、この開口には第2電極32が嵌合している。
【0016】
第2ハウジング50の第1ハウジング10と反対側の開口部には、板状の蓋54が設けられ、第2ハウジング50の内部に外部から水等が浸入するのを防止する。蓋54は、第2ハウジング50の径方向外側に突出する係止部55に係止された板状のスプリング56により固定される。また、これにより、弾性部材53を介して第1電極31が第1ハウジング10に押し付けられる。
【0017】
回路部60は、プリント配線板に設けられた複数の電子部品から構成され、第2ハウジング50の内側に収容されている。回路部60と第1電極31とは、第1導電体37により接続される。回路部60と第2電極32とは、第2導電体38により接続される。また、回路部60とサーミスタ40とは、第3導電体41および第4導電体42により接続されている。
【0018】
ここで、アルコール濃度検出装置1の回路構成を図3に基づいて説明する。なお、図3中においてはサーミスタ40による温度検出に係る構成等については省略している。
アルコール濃度検出装置1には、イグニッションスイッチ110を介してバッテリ111から電力が供給される。アルコール濃度検出装置1の出力端子115は、ECU7に接続される。これにより、アルコール濃度検出装置1により検出された燃料中のエタノール濃度に係るエタノール濃度検出信号がECU7に出力される。
また、アルコール濃度検出装置1とバッテリ111との間には、定電圧レギュレータ116が設けられる。定電圧レギュレータ116では、バッテリ111からの電圧を所定電圧に変換し、安定化する。本実施形態では、定電圧レギュレータ116によりバッテリ電圧(例えば12V)が5Vに変換され、アルコール濃度検出装置1に印加される。
【0019】
アルコール濃度検出装置1は、電極部65、電圧変換部としてのスイッチトキャパシタ回路70、電圧印加部としての標準電圧発生回路80、増幅部としての増幅回路90、および、制御部100等から構成される。本実施形態では、電極部65は、第1電極31、第2電極32、および第1電極31と第2電極32との間の空間35に流入する燃料により構成される。また、スイッチトキャパシタ回路70、標準電圧発生回路80、増幅回路90、および、制御部100等の電子部品は、回路部60に設けられる。
【0020】
電極部65は、上述の通り、第1電極31、第2電極32、および、第1電極31と第2電極32との間の空間35に流入する燃料により構成される。空間35に流入する燃料は、誘電体として作用し、第1電極31、第2電極32、および、空間35に流入する燃料により静電容量体が形成される。この静電容量体を図3中において、コンデンサ66として記載している。コンデンサ66の静電容量は、一定の温度においてエタノール濃度と相関関係を有する。具体的には、一定の温度において、エタノール濃度が高くなるに従い静電容量が大きくなる。本実施形態では、この特性を利用し、コンデンサ66の静電容量に基づき、燃料中のエタノール濃度を測定する。また、一定のエタノール濃度において、燃料の温度と静電容量とが相関関係を有しているので、サーミスタ40により検出される燃料の温度に基づいて温特補正を行う。
【0021】
また、第1電極31と第2電極32との間には、空間35に流入する燃料を介した電気抵抗であるリーク抵抗が存在する。このリーク抵抗は、電気回路上においてはコンデンサ66と並列に接続されているとみなすことができ、図3中において、コンデンサ66と並列に接続されるリーク抵抗67と記載している。リーク抵抗67は、水分含有量等の燃料性状によって変化する。
【0022】
スイッチトキャパシタ回路70は、インバータ71、および、2つのスイッチ72、73を有する。スイッチトキャパシタ回路70のA点には、制御部100から周波数が異なる2種類のパルス波電圧として、周波数が第1の周波数f1の第1周波数パルス波電圧、および、周波数が第2の周波数f2の第2周波数パルス波電圧が印加される。2つのスイッチ72、73は、いずれも印加されるパルス波電圧がハイレベルのときには閉、パルス波電圧がローレベルのときに開となる。また、一方のスイッチ72には、制御部100からのパルス波電圧が直接印加され、他方のスイッチ73には、制御部100からのパルス波電圧がインバータ71を経由して印加される。これにより、スイッチ72およびスイッチ73には、周波数が同一であり、位相が反対のパルス波電圧が印加される。したがって、スイッチ72に印加されるパルス波電圧がハイレベルのとき、スイッチ73に印加されるパルス波電圧はローレベルとなる。このとき、スイッチ72が閉、スイッチ73が開となる。また、スイッチ72に印加されるパルス波電圧がローレベルのとき、スイッチ73に印加されるパルス波電圧はハイレベルとなる。このとき、スイッチ72が開、スイッチ73が閉となる。すなわち、スイッチ72の開閉動作と、スイッチ73の開閉動作とは、反対のタイミングとなる。これにより、制御部100からスイッチトキャパシタ回路70へ第1の周波数パルス電圧が印加されると、スイッチ72、73は、第1の周波数f1であって反対のタイミングで開閉作動する。また、制御部100からスイッチトキャパシタ回路70へ第2の周波数パルス電圧が印加されると、スイッチ72、73は、第2の周波数f2であって反対のタイミングで開閉作動する。
【0023】
標準電圧発生回路80は、オペアンプ81、および抵抗82、83等を有する。標準電圧発生回路80は、定電圧レギュレータ116により安定化された電圧を、抵抗82、83の比に分圧し、スイッチトキャパシタ回路70に印加している。
【0024】
増幅回路90は、オペアンプ91、ゲイン抵抗92、94、96、および、ゲイン抵抗切替スイッチ93、95、97等を有する。ゲイン抵抗92、94、96は、異なる抵抗値の抵抗により構成され、並列に設けられる。本実施形態では、抵抗値の小さい方から、ゲイン抵抗92、94、96の順となっている。すなわち、ゲイン抵抗92の抵抗値が最も小さく、ゲイン抵抗96の抵抗値が最も大きい。また、ゲイン抵抗92とゲイン抵抗切替スイッチ93とが直列に接続され、ゲイン抵抗94とゲイン抵抗切替スイッチ95とが直列に接続され、ゲイン抵抗96とゲイン抵抗切替スイッチ97とが直列に接続される。ゲイン抵抗切替スイッチ93、95、97は、制御部100からの駆動信号により開閉状態が制御される。これにより、ゲイン抵抗切替スイッチ93、95、97の開閉状態を切り替えることにより、オペアンプ91と接続されてゲイン抵抗として機能する抵抗の抵抗値、すなわち増幅回路90における増幅度を切り替えることができる。
【0025】
制御部100は、定電圧レギュレータ116により安定化された電圧が印加されることにより作動する。制御部100は、例えば周知のマイクロコンピュータにより構成されている。制御部100は、増幅回路90により増幅された出力電圧Voutを取得し、取得された出力電圧Voutに基づいて燃料中のエタノール濃度を算出する。本実施形態では、出力電圧Voutを静電容量に換算したうえで、燃料中のエタノール濃度を算出している。そして、制御部100にて算出されたエタノール濃度に係るエタノール濃度信号を、出力端子115を経由してECU7へ出力する。
【0026】
ここで、アルコール濃度検出装置1によるエタノール濃度検出について説明する。
アルコール濃度検出装置1の作動を開始すると、制御部100は、スイッチトキャパシタ回路70のA点に、第1周波数パルス波電圧および第2周波数パルス波電圧を交互に印加する。上述の通り、スイッチトキャパシタ回路70のA点に第1周波数パルス波電圧および第2周波数パルス波電圧が印加されると、スイッチ72、73は、印加されているパルス波電圧の周波数に同期した周期であって、反対のタイミングで開閉動作する。
【0027】
スイッチ72が開、スイッチ73が閉であるとき、スイッチ73を経由して標準電圧発生回路80から標準電圧Eが電極部65に印加される。このとき、コンデンサ66に電流i1が流れ、リーク抵抗67に電流i2が流れる。コンデンサ66に流れる電流i1は、標準電圧Eが印加された直後に立ち上がり、コンデンサ66の充電が完了すると0となる。また、コンデンサ66と並列接続されるとみなされるリーク抵抗67に流れる電流i2は、標準電圧Eが電極部65に印加されている間は一定値となる。
【0028】
一方、スイッチ72が閉、スイッチ73が開であるとき、スイッチ73を経由して標準電圧発生回路80から標準電圧Eが電極部65に印加されず、スイッチ72を経由して充電状態にあったコンデンサ66から電流i1がグランド側へ流れる。この電流i1の流れる方向は、上述のスイッチ72が開であってスイッチ73が閉である場合と反対になる。コンデンサ66の放電が終了すると、電流i1は0となる。また、リーク抵抗67に流れる電流i2は0である。
すなわち、スイッチ72、73の開閉を切り替えることにより、コンデンサ66に電荷を蓄える充電状態と、コンデンサ66から電荷を放電する放電状態と、を切り替えている。
【0029】
次に、第1の周波数f1または第2の周波数f2でスイッチ72、73の開閉が切り替えられたときのオペアンプ81から出力される電圧、すなわち図3中の点Bの電圧であるB点電圧Vbについて説明する。
まず、リーク抵抗67に流れる電流i2の平均値は、以下の式(1)で表される。
i2=0.5×E×Rp …(1)
ただし、Rpは、リーク抵抗67の抵抗値である。
【0030】
また、コンデンサ66に蓄えられる電荷ΔQは、コンデンサ66の静電容量をCpとすると、以下の式(2)で表される。
ΔQ=Cp×E …(2)
電流i1の平均値は、電荷ΔQの時間微分であるため、以下の式(3)で表される。
i1=ΔQ/T
=Cp×E/T
=Cp×T×f …(3)
ただし、Tは、周期であって、周波数Tの逆数(1/f)である。
ここで、式(3)から明らかなように、コンデンサ66から放電される電流i1の大きさは、スイッチトキャパシタ回路70のA点に印加されるパルス波電圧の周波数fに比例している。
【0031】
また、B点電圧Vbは、式(1)、(3)から、以下の式(4)で表される。
Vb=E+Rg×(i1+i2)
=E+Rg×{(Cp×E/T)+0.5×E/Rp}
=E×{1+(0.5×Rg/Rp)+Rg×Cp+f} …(4)
ただし、Rgは、抵抗86の抵抗値である。
【0032】
ここで、燃料中のエタノール濃度に応じて変化するB点電圧Vbを表す式(4)中には、リーク抵抗67の抵抗値であるRpが含まれる。リーク抵抗67の抵抗値Rpは、燃料中に含まれる水等の導電性の不純物の割合によって変化する。そのため、燃料中の不純物の割合によってリーク抵抗67の抵抗値Rpが変化することにより、エタノール濃度の検出精度が低下する。
【0033】
そこで本実施形態では、スイッチトキャパシタ回路70に周波数の異なる2種類のパルス波電圧を交互に印加することにより、リーク抵抗67の影響を排除し、エタノール濃度の検出精度を高めている。
具体的には、以下の通りである。
スイッチ72、73が周波数f1で開閉動作しているときのB点電圧Vb1は、以下の式(5)で表される。
Vb1=E×{1+(0.5×Rg/Rp)+Rg×Cp+f1} …(5)
【0034】
また、スイッチ72、73が周波数f2で開閉動作しているときのB点電圧Vb2は、以下の式(6)で表される。
Vb2=E×{1+(0.5×Rg/Rp)+Rg×Cp+f2} …(6)
【0035】
そして、スイッチ72、73が周波数f1で開閉動作しているときのB点電圧Vb1と、周波数f2で開閉動作しているときのB点電圧Vb2との差は、以下の式(7)で表される。
Vb1−Vb2=E×(f1−f2)×Rg×Cp …(7)
【0036】
このように、スイッチ72、73が周波数f1で開閉動作しているときのB点電圧Vb1と周波数f2で開閉動作しているときのB点電圧Vb2とを用いることにより、エタノール濃度の検出に係る式中からリーク抵抗67の抵抗値Rpが消去され、エタノール濃度検出におけるリーク抵抗67の影響を排除することができる。これにより、エタノール濃度の検出精度が向上する。
【0037】
以下、周波数f1と周波数f2の差分を「差分周波数Δf」といい、本実施形態では、差分周波数Δfを400kHzとする。また、上記式(7)で算出されるB点電圧Vb1−Vb2は、電極部65の静電容量Cpを変換した値であって、燃料中のアルコール濃度に応じて変化する。そこで本実施形態では、差分周波数Δfを400kHzとしたときに上記式(7)にて算出されるVb1−Vb2に基づいて、燃料中のアルコール濃度を検出するものとし、以下、上記式(7)にて算出されるVb1−Vb2を、単に「検出電圧Vb」ということにする。
【0038】
ここで、検出電圧Vbと燃料中のエタノール濃度との関係を図4に基づいて説明する。
図4に示すように、検出電圧Vbと燃料中のエタノール濃度とは、相関関係を有している。燃料中のエタノール濃度がある値Xa以上のとき、検出電圧Vbと燃料中のエタノール濃度との関係は、略直線性を有している。一方、燃料中のエタノール濃度がある値Xa未満のとき、検出電圧Vbと燃料中のエタノール濃度との関係は、指数関数的となっている。すなわち、燃料中のエタノール濃度が低い場合、燃料中のエタノール濃度が高い場合と比較して、エタノール濃度変化量に対する検出電圧Vbの変化量が小さい。換言すると、検出電圧Vbに基づくエタノール濃度検出に係る分解能が低い。
【0039】
そこで本実施形態では、増幅度を切り替えることにより、燃料中のエタノール濃度の検出精度を高めている。本実施形態では、増幅回路90においてオペアンプ91に接続されるゲイン抵抗92、94、96を切り替えることにより、増幅度を切り替えている。
増幅回路90にてオペアンプ91と接続されるゲイン抵抗の抵抗値と増幅度との関係について言及しておくと、ゲイン抵抗の抵抗値が大きいほど増幅度が大きく、ゲイン抵抗の抵抗値が小さいほど増幅度が小さい。すなわち本実施形態では、最も抵抗値の大きいゲイン抵抗96を用いたときに最も増幅度が大きく、最も抵抗値の小さいゲイン抵抗92を用いたときに最も増幅度が小さい。本実施形態では、ゲイン抵抗96を用いたときの増幅度をα、ゲイン抵抗94を用いたときの増幅度をβ、ゲイン抵抗92を用いたときの増幅度をγとし、増幅度α、β、γの関係は、α>β>γである。
【0040】
ここで、増幅度の切り替えについて、図5に基づいて説明する。図5では、横軸を燃料中のエタノール濃度とし、縦軸を増幅回路90から出力される出力電圧Voutとしている。なお、出力電圧Voutは、図3中のH点に印加される電圧である。また、図5中においては、ゲイン抵抗92、94、96の抵抗値が設定値通りである場合の出力電圧Voutとエタノール濃度との関係を実線で示している。
【0041】
図5に示すように、燃料中のエタノール濃度がX2以下であるとき、ゲイン抵抗96を用いてエタノール濃度を算出可能である。このとき、増幅回路90から出力される出力電圧Voutαは増幅度αで増幅されており、実線Lαで示す如くなる。
また、燃料中のエタノール濃度がX1以上X4以下であるとき、ゲイン抵抗94を用いてエタノール濃度を算出可能である。このとき、増幅回路90から出力される出力電圧Voutβは増幅度βで増幅されており、実線Lβで示す如くとなる。
さらにまた、燃料中のエタノール濃度がX3以上であるとき、ゲイン抵抗92を用いてエタノール濃度を算出可能である。このとき、増幅回路90から出力される出力電圧Voutγは増幅度γで増幅されており、実線Lγで示す如くとなる。
【0042】
本実施形態では、燃料中のエタノール濃度に応じてオペアンプ91と接続されるゲイン抵抗を切り替えることにより増幅度を切り替えている。すなわち、燃料中のエタノール濃度が低く、出力電圧Voutが小さい場合、抵抗値の大きいゲイン抵抗96をオペアンプ91と接続して増幅度を大きくすることにより、分解能を高めている。これにより、燃料中のエタノール濃度の検出精度を高めている。
【0043】
また本実施形態では、ゲイン抵抗96またはゲイン抵抗94のどちらを用いてもエタノール濃度を算出可能である濃度領域R1、および、ゲイン抵抗94またはゲイン抵抗92のどちらを用いてもエタノール濃度を算出可能な濃度領域R2が設けられている。具体的には、エタノール濃度がX1以上X2以下である濃度領域R1では、ゲイン抵抗96またはゲイン抵抗94のどちらを用いてもエタノール濃度を算出可能であり、エタノール濃度がX3以上X4以下である濃度領域R2では、ゲイン抵抗94またはゲイン抵抗92のどちらを用いてもエタノール濃度を算出可能である。
【0044】
エタノール濃度がX1以上X2以下である濃度領域R1のとき、ゲイン抵抗96またはゲイン抵抗94を用いてエタノール濃度を算出可能である。エタノール濃度がX1であるとき、ゲイン抵抗96を用いたときの出力電圧VoutαはVα1であり、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβはVβ1である。また、エタノール濃度がX2であるとき、ゲイン抵抗96を用いたときの出力電圧VoutαはVα2であり、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβはVβ2である。ここで、ゲイン抵抗96を用いたときの出力電圧VoutαがVα1以上Vα2以下であるとき、ゲイン抵抗94を用いてもエタノール濃度を算出可能である、といえる。また、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβがVβ1以上Vβ2以下であるとき、ゲイン抵抗96を用いてもエタノール濃度を算出可能である、といえる。
【0045】
同様に、エタノール濃度がX3以上X4以下である濃度領域R2とき、ゲイン抵抗94またはゲイン抵抗92を用いてエタノール濃度を算出可能である。エタノール濃度がX3であるとき、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβはVβ3であり、ゲイン抵抗92を用いたときの出力電圧VoutγはVγ1である。また、エタノール濃度がX4であるとき、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβはVβ4であり、ゲイン抵抗92を用いたときの出力電圧VoutγはVγ2である。ここで、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧VoutβがVβ3以上Vβ4以下であるとき、ゲイン抵抗92を用いてもエタノール濃度を算出可能である、といえる。また、ゲイン抵抗92を用いたときの出力電圧VoutγがVγ1以上Vγ2以下であるとき、ゲイン抵抗94を用いてもエタノール濃度を算出可能であるといえる。
【0046】
ところで、ゲイン抵抗94を用いたときの出力電圧Voutβは、設計上、実線Lβで示す如くであるが、ゲイン抵抗94の個体ばらつきに起因し、例えば破線Mで示す如く、設計値と異なる値となる虞がある。このように、ゲイン抵抗92、94、96の実際の抵抗値と設計上の抵抗値とが異なっている場合、用いるゲイン抵抗を切り替えることにより、算出されるアルコール濃度に誤差が生じる可能性がある。
【0047】
そこで本実施形態では、燃料中のエタノール濃度が2つのゲイン抵抗にて算出可能な濃度領域であるときに、基準となる増幅度に基づいて他の増幅度の特性を学習することにより、用いるゲイン抵抗の切り替えに伴って算出されるアルコール濃度に誤差が生じないように増幅度を補正している。以下、ゲイン抵抗96およびゲイン抵抗94にてエタノール濃度を算出可能な濃度領域R1を「第1の学習領域R1」といい、ゲイン抵抗94およびゲイン抵抗92にてエタノール濃度を算出可能な濃度領域R2を「第2の学習領域R2」という。
【0048】
ここで、制御部100にて実行される補正処理を図6および図7に基づいて説明する。なお、本実施形態では、製品出荷前にゲイン抵抗96を用いて増幅度γにて検査が行われ、規格内の特性であることが確認されているものとする。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、制御部100の初期化処理を行う。
【0049】
S102では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、97を開、ゲイン抵抗切替スイッチ95を閉としてゲイン抵抗94をオペアンプ91に接続し、出力電圧Voutβを取得する。なお、ゲイン抵抗94が選択されているので、取得される出力電圧Voutβは、検出電圧Vbが増幅度βで増幅されている。ここでは燃料中のエタノール濃度が未知であるので、ひとまずゲイン抵抗94を用いて出力電圧Voutβを取得しているが、最初に用いるゲイン抵抗は、他のゲイン抵抗であってもよい。
【0050】
S103では、S102で取得された出力電圧VoutβがVβ3以上か否かを判断する。Vβ3は、第1の学習領域の下限値に対応する電圧であって、換言するとゲイン抵抗92を用いてエタノール濃度を算出可能な領域に対応する電圧である。出力電圧VoutβがVβ3より小さいと判断された場合(S103:NO)、図7中のS111へ移行する。出力電圧VoutβがVβ3以上であると判断された場合(S103:YES)、S104へ移行する。
【0051】
S104では、ゲイン抵抗切替スイッチ95、97を開、ゲイン抵抗切替スイッチ93を閉としてゲイン抵抗92をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はγである。
S105では、出力電圧Voutγを取得する。なお、取得される出力電圧Voutγは、検出電圧Vbが増幅度γで増幅されている。
【0052】
S106では、S105で取得された出力電圧VoutγがVγ1以上Vγ2以下か否かを判断する。Vγ1は、第2の学習領域R2の下限値に対応する電圧であり、Vγ2は、第2の学習領域R2の上限値に対応する電圧である。すなわち、このステップでは、燃料中のエタノール濃度が第2の学習領域R2内か否かを判断している、ともいえる。出力電圧VoutγがVγ1より小さい、または、出力電圧VoutγがVγ2より大きいと判断された場合(S106:NO)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第2の学習領域R2内ではない場合、S109へ移行する。出力電圧VoutγがVγ1以上Vγ2以下であると判断された場合(S106:YES)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第2の学習領域R2内である場合、S107へ移行する。
【0053】
S107では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、97を開、ゲイン抵抗切替スイッチ95を閉としてゲイン抵抗94をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はβである。
S108では、出力電圧Voutβを取得する。なお、取得される出力電圧Voutβは、検出電圧Vbが増幅度βで増幅されている。
【0054】
S109では、出力電圧Voutγ、Voutβ、および、増幅度γに基づき、出力電圧Voutβの補正に係る補正係数Kβを学習する。
ここで補正係数Kβの学習方法について説明する。ゲイン抵抗94を用いたときの実際の増幅度βは、以下の式(8)で表される。
β=Voutβ/Voutγ×γ …(8)
また、ゲイン抵抗94を用いたときの設計上の増幅度をβtとすると、増幅度βの補正係数Kβは、以下の式(9)で表される。
Kβ=βt/β …(9)
式(9)に式(8)を代入すれば、補正係数Kβは、以下の式(10)で表され、定数として算出される。
Kβ=(Voutγ×βt)/(Voutβ×γ) …(10)
なお、この補正係数Kβを用いて出力電圧Voutβを補正し、静電容量Cpβに換算すると、静電容量Cpβは、以下の式(11)で表される。なお、式中のCβは、出力電圧Voutβから静電容量Cpβへの換算係数とする。
Cpβ=Voutβ/(βt×Kβ)×Cβ …(11)
【0055】
本実施形態では、式(11)にて算出された静電容量Cpβに基づいて燃料中のエタノール濃度を算出する。増幅度βが補正されているので、ゲイン抵抗92を用いて増幅度γとしたときの静電容量Cpγに基づいて算出される燃料中のエタノール濃度と、ゲイン抵抗94を用いて増幅度βとしたときの静電容量Cpβに基づいて算出される燃料中のエタノール濃度とが一致する。これにより、用いるゲイン抵抗によらず算出されるエタノール濃度が一致し、増幅度の切り替えによる段差が生じない。
【0056】
S110では、出力電圧VoutγがVγ1以下か否かを判断する。Vγ1は、ゲイン抵抗92を用いてエタノール濃度を算出可能な出力電圧の下限値である。出力電圧VoutγがVγ1より大きいと判断された場合(S110:NO)、S105へ移行する。出力電圧VoutγがVγ1以下であると判断された場合(S110:YES)、図7中のS112へ移行する。
【0057】
出力電圧VoutβがVβ3より小さいと判断された場合(S103:NO)に移行する図7中のS111では、出力電圧VoutβがVβ1以下か否かを判断する。Vβ1は、ゲイン抵抗94を用いてアルコール濃度を算出可能な出力電圧の下限値である。出力電圧VoutβがVβ1以下であると判断された場合(S111:YES)、S121へ移行する。出力電圧VoutβがVβ1より大きいと判断された場合(S111:NO)、S112へ移行する。
【0058】
S112では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、97を開、ゲイン抵抗切替スイッチ95を閉としてゲイン抵抗94をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はβである。
S113では、出力電圧Voutβを取得する。
【0059】
S114では、図6中のS109にて補正係数Kβが学習済みか否かを判断する。補正係数Kβを学習済みでないと判断された場合(S114:NO)、S119へ移行する。補正係数Kβを学習済みであると判断された場合(S114:YES)、S115へ移行する。
【0060】
S115では、S113で取得された出力電圧VoutβがVβ1以上Vβ2以下か否かを判断する。Vβ1は、第1の学習領域R1の下限値に対応する電圧であり、Vβ2は、第1の学習領域R1の上限値に対応する電圧である。すなわち、このステップでは、燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内か否かを判断している、ともいえる。出力電圧VoutβがVβ1より小さい、または、出力電圧VoutβがVβ2より大きいと判断された場合(S115:NO)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内ではない場合、S119へ移行する。出力電圧VoutβがVβ1以上Vβ2以下であると判断された場合(S115:YES)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内である場合、S116へ移行する。
【0061】
S116では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、95を開、ゲイン抵抗切替スイッチ97を閉としてゲイン抵抗96をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はαである。
S117では、出力電圧Voutαを取得する。なお、取得される出力電圧Voutαは、検出電圧Vbが増幅度αで増幅されている。
【0062】
S118では、出力電圧Voutβ、出力電圧Voutα、増幅度β、および補正係数Kβに基づき、出力電圧Voutαの補正に係る補正係数Kαを学習する。
ここで、補正係数Kαの学習方法について説明する。ゲイン抵抗96を用いたときの実際の増幅度αは、以下の式(12)で表される。
α=Voutα/Voutβ×β×Kβ …(12)
また、ゲイン抵抗96を用いたときの設計上の増幅度をαtとすると、増幅度αの補正係数Kαは、以下の式(13)で表される。
Kα=αt/α …(13)
式(13)に式(12)を代入すれば、補正係数Kαは、以下の式(14)で表され、定数として算出される。
Kα=(Voutβ×αt)/(Voutα×β×Kβ) …(14)
なお、この補正係数Kαを用いて出力電圧Voutαを補正し、静電容量Cpαに換算すると、静電容量Cpαは、以下の式(15)で表される。なお、式中のCαは、出力電圧Voutαから静電容量Cpαへの換算係数とする。
Cpα=Voutα/(αt×Kα)×Cα …(15)
【0063】
本実施形態では、式(15)にて算出された静電容量Cpαに基づいて燃料中のエタノール濃度を算出する。増幅度αが補正されているので、ゲイン抵抗94を用いて増幅度βとしたときの静電容量Cpβに基づいて算出される燃料中のエタノール濃度と、ゲイン抵抗96を用いて増幅度αとしたときの静電容量Cpαに基づいて算出される燃料中のエタノール濃度とが一致する。これにより、用いるゲイン抵抗によらず算出されるエタノール濃度が一致し、増幅度の切り替えによる段差が生じない。
【0064】
S119では、出力電圧VoutβがVβ1以下か否かを判断する。出力電圧VoutβがVβ1より小さいと判断された場合(S119:YES)、S121へ移行する。Vβ1は、ゲイン抵抗94を用いてエタノール濃度を算出可能な出力電圧の下限値である。出力電圧VoutβがVβ1以下であると判断された場合(S119:NO)、S120へ移行する。
【0065】
S120では、出力電圧VoutβがVβ4以上か否かを判断する。Vβ4は、ゲイン抵抗94を用いてエタノール濃度を算出可能な出力電圧の上限値である。出力電圧VoutβがVβ4より小さいと判断された場合(S118:NO)、S113へ移行する。出力電圧VoutβがVβ4以上であると判断された場合(S118:YES)、図6中のS104へ移行する。
【0066】
出力電圧VoutβがVβ1以下である場合(S111:YES、または、S119:YES)に移行するS121では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、95を開、ゲイン抵抗切替スイッチ97を閉としてゲイン抵抗96をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はαである。
S122では、出力電圧Voutαを取得する。
【0067】
S123では、図6中のS109にて補正係数Kβが学習済みか否かを判断する。補正係数Kβを学習済みでないと判断された場合(S123:NO)、S128へ移行する。補正係数Kβを学習済みであると判断された場合(S123:YES)、S124へ移行する。
【0068】
S124では、S122で取得された出力電圧VoutαがVα1以上Vα2以下か否かを判断する。Vα1は、第1の学習領域R1の下限値に対応する電圧であり、Vα2は、第1の学習領域R1の上限値に対応する電圧である。すなわち、このステップでは、燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内か否かを判断している、ともいえる。出力電圧VoutαがVα1より小さい、または、出力電圧VoutαがVα2より大きいと判断された場合(S124:NO)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内ではない場合、S128へ移行する。出力電圧VoutαがVα1以上Vα2以下であると判断された場合(S124:YES)、すなわち燃料中のエタノール濃度が第1の学習領域R1内である場合、S125へ移行する。
【0069】
S125では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、97を開、ゲイン抵抗切替スイッチ95を閉としてゲイン抵抗94をオペアンプ91に接続する。このときの増幅度はβである。
S126では、出力電圧Voutβを取得する。
S127では、出力電圧Voutβ、出力電圧Voutα、増幅度β、および補正係数Kβに基づき、出力電圧Voutαの補正に係る補正係数Kαを学習する。なお、補正係数Kαの学習方法については、S118にて説明した通りである。
【0070】
S128では、出力電圧VoutαがVα2以上か否かを判断する。Vα2は、ゲイン抵抗96を用いてエタノール濃度を算出可能な出力電圧の上限値である。出力電圧VoutαがVα2より小さいと判断された場合(S128:NO)、S122へ移行する。出力電圧VoutαがVα2以上であると判断された場合(S128:YES)、S113へ移行する。
【0071】
本実施形態では、ゲイン抵抗92を選択したときの出力電圧Voutγに基づいて算出されるエタノール濃度は、規格内の特性であることが確認されているので、ゲイン抵抗94を選択したときの増幅度βを補正する補正係数Kβを出力電圧Voutγに基づいて学習することにより、出力電圧Voutβに基づいて算出されるエタノール濃度についても、規格内となるように補正される。また、ゲイン抵抗92とゲイン抵抗94とを切り替えることに伴い、算出されるエタノール濃度に段差が生じない。
【0072】
また、ゲイン抵抗94を選択したときの出力電圧Voutβおよび補正係数Kβに基づいて算出されるエタノール濃度は、規格内の特性となるように補正されているので、ゲイン抵抗96を選択したときの増幅度αを補正する補正係数Kαを出力電圧Voutβおよび補正係数Kβに基づいて学習することにより、出力電圧Voutαに基づいて算出されるエタノール濃度についても、規格内となるように補正される。また、ゲイン抵抗94とゲイン抵抗96とを切り替えることに伴い、算出されるエタノール濃度に段差が生じない。
【0073】
なお、アルコール濃度検出装置1では、補正係数Kβを用い、出力電圧Voutβを補正し、補正された出力電圧に基づいて燃料中のエタノール濃度を算出する、と捉えることもできる。補正された出力電圧VoutβRは、以下の式(16)で表される。
VoutβR=Voutβ×Kβ …(16)
また、アルコール濃度検出装置1では、補正係数Kαを用い、出力電圧Voutαを補正し、補正された出力電圧に基づいて燃料中のエタノール濃度を算出する、と捉えることもできる。補正された出力電圧VoutαRは、以下の式(17)で表される。
VoutαR=Voutα×Kα …(17)
【0074】
以上詳述したように、アルコール濃度検出装置1は、電極部65と、スイッチトキャパシタ回路70と、標準電圧発生回路80と、増幅回路90と、制御部100と、を備える。電極部65では、液体中に浸漬されるとともに液体中のアルコール濃度に応じて変化する静電容量を検出する。スイッチトキャパシタ回路70は、電極部65における静電容量Cpを検出電圧Vbに変換する。標準電圧発生回路80は、スイッチトキャパシタ回路70に電圧を印加する。増幅回路90は、検出電圧Vbを増幅して出力する。制御部100では、ゲイン抵抗切替スイッチ93、95、97を制御し、オペアンプ91に接続されるゲイン抵抗92、94、96を切り替えることにより、検出電圧Vbの増幅度を切り替える。
【0075】
制御部100では、増幅度γで増幅された検出電圧Vbである出力電圧Voutγ、および、増幅度βで増幅された検出電圧Vbである出力電圧Voutβを取得し(図6中のS105、S108)、出力電圧Voutγに基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、出力電圧Voutγに基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、が一致するように、出力電圧Voutγ、Voutβ、および増幅度γに基づき、増幅度βを補正する。具体的には、増幅度βを補正するための補正係数Kβを算出する(S109)。
また、増幅度βで増幅された検出電圧Vbである出力電圧Voutβ、および、増幅度αで増幅された検出電圧である出力電圧Voutαを取得し(図7中のS113、S117、S122、S126)、出力電圧Voutβに基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、出力電圧Voutαに基づいて算出される液体中のアルコール濃度と、が一致するように、出力電圧Voutβ、出力電圧Voutα、および増幅度βに基づき、増幅度αを補正する。具体的には、増幅度αを補正するための補正係数Kαを算出する(S118、S127)。
【0076】
本実施形態では、増幅度を切り替え可能であるので、検出電圧Vbを適切に増幅することができる。特にアルコール濃度が低い領域での増幅度を大きくすることにより分解能を高め、精度よくアルコール濃度を検出することができる。また、基準となる増幅度に基づいて他の増幅度を補正することにより、誤差等の影響を受けて、増幅度によって算出されるアルコール濃度に差が生じるのを避けることができ、増幅度によらず正確なアルコール濃度を算出することができる。したがって、精度よく液体中のアルコール濃度を検出することができる。また本実施形態では、製品の出荷時に基準となる増幅度γにおけるアルコール濃度を確認し、増幅度γに基づいて増幅度β、αを補正しているので、全ての増幅度におけるアルコール濃度を確認する場合と比較して、検査工数を低減することができる。
【0077】
増幅回路90は、オペアンプ91、および、オペアンプに並列に接続可能な抵抗値が異なる複数のゲイン抵抗92、94、96を有する。制御部100では、オペアンプ91に接続されるゲイン抵抗92、94、95を切り替えることにより、増幅度を切り替える。これにより、容易に増幅度を切り替えることができる。また、ゲイン抵抗92、94、96の実際の抵抗値と設定値とに誤差があったとしても、増幅度を補正することにより、精度よくアルコール濃度を検出することができる。
【0078】
また、スイッチトキャパシタ回路70は、電極部65のコンデンサ66において、電荷を蓄える充電状態と電荷を放電する放電状態とを切り替えるスイッチ72、73を有する。制御部100では、第1の周波数f1でスイッチ72、73を駆動したときの検出電圧Vb1、および、第1の周波数f2でスイッチ72、73を駆動したときの検出電圧Vb2に基づいて燃料中のアルコール濃度を算出している。
【0079】
本実施形態では、制御部100が「増幅度切替手段」、「電圧取得手段」、「補正手段」を構成する。また、図6中のS104、S107、図7中のS112、S116、S121、S125が「増幅度切替手段」の機能としての処理に相当し、S105、S108、S113、S117、S122、S126が「電圧取得手段」の機能としての処理に相当し、S109、S118、S127が「補正手段」の機能としての処理に相当する。
【0080】
また本実施形態では、図6中においては、増幅度γが「基準となる第1の増幅度」に対応し、出力電圧Voutγが「第1の出力電圧」に対応し、増幅度βが「第1の増幅度とは異なる第2の増幅度」に対応し、出力電圧Voutβが「第2の出力電圧」に対応する。また、図7中においては、増幅度βが「基準となる第1の増幅度」に対応し、出力電圧Voutβが「第1の出力電圧」に対応し、増幅度αが「第1の増幅度とは異なる第2の増幅度」に対応し、出力電圧Voutαが「第2の出力電圧」に対応する。
【0081】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態とは主に回路構成が異なっているので、回路構成を中心に説明し、他の構成や処理に係る説明は省略する。
本実施形態によるアルコール濃度検出装置200の回路構成は、標準電圧発生回路280および増幅回路290の構成が第1実施形態と異なる。
増幅回路290は、オペアンプ91およびゲイン抵抗292を有している。すなわち、上記実施形態と異なり、オペアンプ91に接続されるゲイン抵抗は、ゲイン抵抗292のみである。
【0082】
ところで、上記式(7)に示すように、検出電圧Vbは、スイッチトキャパシタ回路70に印加する標準電圧Eに比例する。そこで、本実施形態によるアルコール濃度検出装置200では、標準電圧発生回路280によりスイッチトキャパシタ回路70に印加する電圧を切り替えることにより、増幅度を切り替えている。
【0083】
具体的には、標準電圧発生回路280は、抵抗82、および、抵抗値の異なる3つの抵抗283、284、285を有している。本実施形態では、抵抗値の小さい方から、抵抗283、284、285の順となっている。抵抗283、284、285は、それぞれ抵抗82と接続可能であり、抵抗82と接続されることにより、分圧抵抗を構成する。また、抵抗283、284、285と、抵抗82との間には、抵抗82と接続される抵抗を切り替えるための分圧抵抗切替スイッチ287が設けられている。分圧抵抗切替スイッチ287は、制御部100からの駆動信号により切り替えられる。標準電圧発生回路280では、定電圧レギュレータ116により安定化された電圧を、抵抗82と、抵抗82に接続される抵抗283、284、285との比に分圧し、スイッチトキャパシタ回路70に印加している。これにより、分圧抵抗として機能する抵抗の抵抗値を切り替えることにより、スイッチトキャパシタ回路70に印加される電圧の大きさを変更可能である。
【0084】
燃料中のエタノール濃度がX2(図5参照)以下である場合、抵抗285を用いてエタノール濃度を算出可能である。抵抗285と抵抗82とが接続されると、増幅回路290から出力される出力電圧Voutαは、増幅度αで増幅されているとみなせる。
燃料中のエタノール濃度がX1以上X4以下である場合、抵抗284を用いてエタノール濃度を算出可能である。抵抗284と抵抗82とが接続されると、増幅回路290から出力される出力電圧Voutβは、増幅度βで増幅されているとみなせる。
燃料中のエタノール濃度がX3以上である場合、抵抗283を用いてエタノール濃度を算出可能である。抵抗283と抵抗82とが接続されると、増幅回路290から出力される出力電圧Voutγは、増幅度γで増幅されているとみなせる。
なお、増幅度α、β、γは、上記実施形態と同様、αが最も大きく、γが最も小さい。すなわち、α>β>γである。
【0085】
また本実施形態では、上記実施形態と同様、エタノール濃度がX1以上X2以下である濃度領域R1のとき、抵抗285または抵抗284を用いてエタノール濃度を算出可能である。また、エタノール濃度がX3以上X4以下である濃度領域R2のとき、抵抗284または抵抗283を用いてエタノール濃度を算出可能である。
【0086】
本実施形態では、増幅度α、βは、図6および図7に基づいて説明した補正処理と略同様の処理により補正される。具体的には、図6中のS104では、抵抗82と抵抗283とが接続されるように分圧抵抗切替スイッチ287を切り替えて増幅度γとする。図6中のS102、S107、図7中のS112、S125では、抵抗82と抵抗284とが接続されるように分圧抵抗切替スイッチ287を切り替えて増幅度βとする。S116、S121では、抵抗82と抵抗285とが接続されるように分圧抵抗切替スイッチ287を切り替えて増幅度αとする。
【0087】
本実施形態では、標準電圧発生回路280は、抵抗82、および、抵抗値が異なる抵抗283、284、285を有する。抵抗283、284、285は、抵抗82と直列に接続可能であり、抵抗82と接続されることにより、分圧抵抗を構成する。制御部100では、分圧抵抗切替スイッチ287を切り替え、抵抗82に接続される抵抗283、284、285を切り替えることにより、増幅度を切り替える。すなわち本実施形態では、標準電圧発生回路280によりスイッチトキャパシタ回路70に印加する電圧を変更することで増幅度を変更している。これにより、容易に増幅度を切り替えることができる。また、分圧抵抗を構成する抵抗82と、抵抗283、284、285との比の実際の値と設定値とに誤差があったとしても、上記実施形態に如く増幅度を補正することにより、精度よくアルコール濃度を検出することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態では、抵抗82が「第1の抵抗」に対応し、抵抗283、284、285が「第2の抵抗」に対応する。
【0088】
(他の実施形態)
上記実施形態では、3つの抵抗値の異なる抵抗を切り替えることにより、増幅度を3段階に設定していた。他の実施形態では、増幅度は2段階以上であれば、2段階、あるいは4段階以上としてもよい。また、増幅度の切替は、複数の抵抗を直列にゲイン抵抗として接続し、その抵抗の一部を短絡することで、実現しても良い。また、増幅度の切り替えは、例えば差分周波数Δfを切り替える等、他の方法で切り替えるように構成してもよい。
上記実施形態では、製品出荷前に増幅度γにて検査が行われ、規格内の特性であることが確認されていた。他の実施形態では、増幅度αまたは増幅度βにて検査が行われ、規格内の特定であることを確認しておき、検査済みの増幅度αまたは増幅度βに基づき、他の増幅度を補正するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、増幅度の学習が継続されるように構成されていたが、他の実施形態では、全ての増幅度に係る補正係数が算出された場合、補正処理を終了するようにしてもよい。具体的には、図7中のS114にて肯定判断された後、補正係数Kαが学習済みか否かを判断し、否定判断された場合にはS115へ移行し、肯定判断された場合には補正処理を終了する。また、図7中のS123にて肯定判断された後、補正係数Kαが学習済みか否かを判断し、否定判断された場合にはS124へ移行し、肯定判断された場合には補正処理を終了する。
また、図7中のS123〜S127に係る処理を省略し、S122の後にS128へ移行するようにしてもよい。
【0090】
上記実施形態では、差分周波数Δfが400kHzのときに上記式(7)で算出される
Vb1−Vb2を検出電圧とし、当該検出電圧に基づいてエタノール濃度を算出した。他の実施形態は、差分周波数はいくつであってもよい。また、ある1つの周波数のパルス波電圧が印加されたときのB点電圧を検出電圧としてもよい。
【0091】
上記実施形態では、アルコール濃度検出装置は、燃料中のエタノールの濃度を検出するものであったが、エタノールに限らず、メタノール、プロパノール等の他のアルコールを検出するものであってもよい。また、エンジンの燃料供給系統以外に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0092】
1・・・アルコール濃度検出装置
31・・・第1電極(電極部)
32・・・第2電極(電極部)
40・・・サーミスタ
60・・・回路部
65・・・電極部
70・・・スイッチトキャパシタ回路(電圧変換部)
80・・・標準電圧発生回路(電圧印加部)
81・・・オペアンプ
82・・・抵抗(第1の抵抗)
90・・・増幅回路(増幅部)
91・・・オペアンプ
92、94、96・・・ゲイン抵抗
93、95、97・・・ゲイン抵抗切替スイッチ
100・・・制御部(増幅度切替手段、電圧取得手段、補正手段)
200・・・アルコール濃度検出装置
280・・・標準電圧発生回路(電圧印加部)
283、284、285・・・抵抗(第2の抵抗)
290・・・増幅回路(増幅部)
α、β、γ・・・増幅度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に浸漬されるとともに前記液体中のアルコール濃度に応じて変化する静電容量を検出する電極部と、
前記電極部における前記静電容量を検出電圧に変換する電圧変換部と、
前記電圧変換部に電圧を印加する電圧印加部と、
前記検出電圧を増幅して出力する増幅部と、
前記検出電圧の増幅度を切り替える増幅度切替手段と、
基準となる第1の増幅度で増幅された前記検出電圧である第1の出力電圧、および、前記第1の増幅度とは異なる第2の増幅度で増幅された前記検出電圧である第2の出力電圧を取得する電圧取得手段と、
前記第1の出力電圧に基づいて算出される前記液体中のアルコール濃度と前記第2の出力電圧に基づいて算出される前記液体中のアルコール濃度とが一致するように、前記第1の出力電圧、前記第2の出力電圧、および、前記第1の増幅度に基づき、前記第2の増幅度を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とするアルコール濃度検出装置。
【請求項2】
前記増幅部は、オペアンプ、および、前記オペアンプに並列に接続可能な抵抗値が異なる複数のゲイン抵抗を有し、
前記増幅度切替手段は、前記オペアンプに接続される前記ゲイン抵抗を切り替えることにより、前記増幅度を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のアルコール濃度検出装置。
【請求項3】
前記電圧印加部は、第1の抵抗、および、前記第1の抵抗と直列に接続可能であり、前記第1の抵抗と接続されることにより分圧抵抗を構成する抵抗値が異なる複数の第2の抵抗を有し、
前記増幅度切替手段は、前記第1の抵抗に接続される前記第2の抵抗を切り替えることにより、前記増幅度を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のアルコール濃度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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