説明

アルゴンガスの精製方法および精製装置

【課題】回収したアルゴンガスを低コストかつ少ないエネルギーで高純度に精製できる方法と装置を提供する。
【解決手段】少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、窒素を含有するアルゴンガスを精製する際に、アルゴンガス中の酸素量が、水素および一酸化炭素の全てと反応するのに必要な酸素の設定量以下であれば、設定量を超えるよう酸素を添加し、その反応を第1の触媒を用い生じさせる。次に、その反応で残留した酸素の全てとの反応に必要な設定量を超えるように一酸化炭素をアルゴンガスに添加し、その反応を第2の触媒を用い生じさせる。次に、アルゴンガス中の少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、窒素を、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着させる。第1の触媒と第2の触媒の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とし、ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を200℃以下にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物として少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素を含有するアルゴンガスを回収して精製する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シリコン単結晶引上げ炉、セラミック焼結炉、製鋼用真空脱ガス設備、太陽電池用シリコンプラズマ溶解装置、多結晶シリコン鋳造炉のような設備においては、アルゴンガスが炉内雰囲気ガス等として使用されている。そのような設備から再利用のため回収されたアルゴンガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、空気などの混入により純度が低下している。そこで、回収されたアルゴンガスの純度を高めるため、不純物を吸着剤に吸着させて除去することが行われている。さらに、そのような不純物の吸着を効率良く行うため、吸着処理の前処理として不純物中の酸素と可燃成分とを反応させることが提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に開示された方法においては、アルゴンガスにおける酸素の量を、水素、一酸化炭素等の可燃成分を完全燃焼させるのに必要な化学量論量よりも僅かに少なくなるよう調節し、次に、一酸化炭素と酸素との反応よりも水素と酸素との反応を優先させるパラジウムまたは金を触媒として、アルゴンガスにおける酸素を一酸化炭素、水素等と反応させ、これにより、一酸化炭素のみが残留された状態で二酸化炭素と水を生成している。次に、アルゴンガスに含有される二酸化炭素と水を常温で吸着剤に吸着させ、しかる後に、アルゴンガスに含有される一酸化炭素と窒素を−10℃〜−50℃の温度で吸着剤に吸着させている。
【0004】
特許文献2に開示された方法においては、アルゴンガスにおける酸素の量を、水素、一酸化炭素等の可燃成分を完全燃焼させるのに十分な量とし、次に、パラジウム系の触媒を用いてアルゴンガスにおける酸素を一酸化炭素、水素等と反応させることで、酸素を残留させた状態で二酸化炭素と水を生成している。次に、アルゴンガスに含有される二酸化炭素と水を常温で吸着剤に吸着させ、しかる後に、アルゴンガスに含有される酸素と窒素を−170℃程度の温度で吸着剤に吸着させている。
【0005】
また、特許文献3に開示された方法においては、アルゴンガスに含まれる酸素を精留塔を用いて低減した後に、アルゴンガスに水素または一酸化炭素を酸素との反応に必要な化学量論量よりも過剰に添加している。その添加した水素または一酸化炭素を、パラジウムやルテニウムを含む白金族金属触媒を用いて酸素と反応させ、水および二酸化炭素を生成している。その生成された水および二酸化炭素を吸着により除去し、残存する水素または一酸化炭素を精留塔を用いて除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3496079号公報
【特許文献2】特許第3737900号公報
【特許文献3】特開平5−262506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、パラジウムまたは金を触媒として、アルゴンガスにおける酸素を一酸化炭素、水素等と反応させている。その反応を完結するためには反応温度を250℃程度以上にする必要があることから、エネルギー消費が増大する。また、二酸化炭素と水を常温で吸着剤に吸着させた後に、一酸化炭素と窒素を−10℃〜−50℃で吸着剤に吸着させている。このような低温で一酸化炭素と窒素を吸着した吸着剤を再生する場合、一酸化炭素は窒素に比べて吸着剤から脱離させるのに多くのエネルギーを要することから工業的に不利である。
【0008】
特許文献2に記載の方法では、パラジウム系の触媒を用いてアルゴンガスにおける酸素を一酸化炭素、水素等と反応させるている。その反応を完結するためには反応温度を250℃程度以上にする必要があることから、エネルギー消費が増大する。また、アルゴンガスに不純物として含まれる酸素の量を水素、一酸化炭素等を完全燃焼させるのに十分な量とすることで、酸素を残留させた状態で二酸化炭素と水を生成している。しかし、酸素を吸着するには吸着時の温度を−170℃程度まで低下させる必要がある。すなわち、吸着処理の前処理で酸素を残留させるため、吸着処理の際の冷却エネルギーが増大し、精製負荷が大きくなるという問題がある。
【0009】
特許文献3に記載の方法では、酸素との反応に必要な化学量論量よりも過剰に添加した水素や一酸化炭素を、精留塔を用いて除去している。そのため、設備コストが増大するという問題がある。また、水素または一酸化炭素を酸素と反応させる際の触媒としてルテニウム触媒を用いることが記載されているが、ルテニウム触媒を用いた具体的な実施例の記載はない。すなわち、パラジウム触媒等の他の白金族金属触媒とルテニウム触媒とが、区別されることなく並記されていることから、ルテニウム触媒を用いることで特段の作用効果を奏することを特許文献3からは認識できない。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決できるアルゴンガスの精製方法および精製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、アルゴンガスにおける不純物を反応させる際に、ルテニウム触媒を用いることで、ルテニウム触媒以外の白金族触媒を用いる場合に比べて反応温度を低減できることを新たに見出したことに基づく。
すなわち本発明方法は、少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素を不純物として含有するアルゴンガスを精製する方法において、前記アルゴンガスにおける酸素量が、前記アルゴンガスにおける水素および一酸化炭素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるか否かを判定し、前記アルゴンガスにおける酸素量が前記設定量以下である場合、前記設定量を超えるように酸素を添加し、次に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素および水素と酸素とを、第1の触媒を用いて反応させることで、酸素が残留された状態で二酸化炭素と水を生成し、次に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素量が、その残留された酸素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるように、一酸化炭素を添加し、次に、前記アルゴンガスにおける酸素と一酸化炭素とを、第2の触媒を用いて反応させることで、一酸化炭素が残留された状態で二酸化炭素を生成し、次に、前記アルゴンガスにおける少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素を、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着させ、前記第1の触媒と前記第2の触媒の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とし、前記ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を200℃以下にすることを特徴とする。
本発明によれば、アルゴンガスにおける酸素を第1の触媒を用いて一酸化炭素および水素と反応させる際に、酸素を残留させた状態で二酸化炭素と水を生成する。次に、残留させた酸素と添加した一酸化炭素とを第2の触媒を用いて反応させることで、一酸化炭素を残留させた状態で二酸化炭素を生成する。第1の触媒と第2の触媒の中の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とし、ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を200℃以下にすることで、エネルギー消費を低減できる。そのルテニウム触媒を用いた反応温度を150℃以下にすることで、一酸化炭素と水蒸気とから水素と二酸化炭素が生成される水性ガスシフト反応を効果的に抑制でき、よりエネルギー消費を低減できる。より効果的に水性ガスシフト反応を抑制してエネルギー消費を低減する上では、そのルテニウム触媒を用いた反応温度を100℃以下にするのが好ましい。ルテニウム触媒を用いる反応を完結する上では反応温度を70℃以上にするのが好ましい。よって、水素を再生成することなくアルゴンガスの主な不純物を一酸化炭素、二酸化炭素、水および窒素とすることができる。その主な不純物である一酸化炭素、二酸化炭素、水および窒素が、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着されることで、アルゴンガスから除去される。これにより、吸着処理では除去困難な水素がアルゴンガスに残留するのを防止できるので、アルゴンガスを高純度に精製し、且つ、エネルギー消費を低減できる。
【0012】
本発明において、前記圧力スイング吸着法のために用いる前記吸着剤としてCaA型ゼオライトを用いるのが好ましい。これにより、常温での圧力スイング吸着法により一酸化炭素を吸着剤に効果的に吸着させることができる。
【0013】
あるいは本発明において、前記圧力スイング吸着法のために用いる前記吸着剤として活性アルミナとX型ゼオライトとを用いるのが好ましい。吸着剤として活性アルミナを用いることで水分および二酸化炭素の吸着および脱着ができるので、X型ゼオライトによる一酸化炭素および窒素の吸着効果を高くできる。すなわち、二酸化炭素はX型ゼオライトからの脱着が比較的困難であり、X型ゼオライトの吸着効果を低減させる。吸着効果を高めるためにPSAユニットに充填するX型ゼオライトを増やすと、昇圧用の圧縮機等の能力も大きくしなければならないことから、PSAユニットが大型化して効率が低下するという問題がある。これに対し、活性アルミナにより二酸化炭素を吸着することで、X型ゼオライトの吸着効果を高くできる。これにより、圧力スイング吸着法による一酸化炭素と窒素の吸着効果を高くできるので、TSAユニットを用いることなく、アルゴンガスを低エネルギーで高純度に精製できる。
この場合、活性アルミナのX型ゼオライトに対する重量比が小さくなると窒素の吸着破過時間が短くなり、大きくなると吸着破過時間が長くなる。好ましくは、前記活性アルミナと前記X型ゼオライトとを、層状にして配置し、前記活性アルミナと前記X型ゼオライトとの重量比を5/95〜30/70にする。活性アルミナとしては、脱湿用として使用されるもので、比表面積270m2 /g以上であるものが好ましい。X型ゼオライトとしては、例えばLi−X型、Ca−X型を用いることができるが、Li−X型が好ましい。
【0014】
本発明において、前記圧力スイング吸着法による吸着の後に、前記アルゴンガスにおける窒素を、−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着剤に吸着させるのが好ましい。アルゴンガスにおける窒素濃度は圧力スイング吸着法による吸着のみで低減可能であるが、サーマルスイング吸着法による吸着を併用することで、圧力スイング吸着法を実施するためのPSAユニットの負荷を低減し、精製前のアルゴンガスにおける不純物濃度の変動に対応し、確実に不純物を除去できる。これにより、精製後におけるアルゴンガスの純度をより高めることができる。また、サーマルスイング吸着法による吸着処理の前処理段階においてアルゴンガスから酸素を除去できるので、サーマルスイング吸着法による吸着処理の際の冷却エネルギーを低減できる。さらに、サーマルスイング吸着法で用いる吸着剤から一酸化炭素を脱離させる必要がなく、吸着剤の再生に要するエネルギーを低減できる。
【0015】
本発明装置は、少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素を不純物として含有するアルゴンガスを精製する装置であって、前記アルゴンガスが導入される第1反応器と、前記第1反応器に導入されるアルゴンガスに酸素を添加可能な酸素供給器と、前記第1反応器から流出するアルゴンガスが導入される第2反応器と、前記第2反応器に導入されるアルゴンガスに一酸化炭素を添加可能な一酸化炭素供給器と、前記第2反応器から流出するアルゴンガスが導入される吸着装置とを備え、前記第1反応器に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素および水素と酸素とを反応させる第1の触媒が収容され、前記第2反応器に、前記アルゴンガスにおける酸素と一酸化炭素とを反応させる第2の触媒が収容され、前記第1の触媒と前記第2の触媒の中の少なくとも一方はルテニウム触媒とされ、前記吸着装置は、前記アルゴンガスにおける少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素を圧力スイング吸着法により吸着するPSAユニットを有することを特徴とする。
さらに前記吸着装置は、前記PSAユニットから流出する前記アルゴンガスにおける窒素を−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着するTSAユニットを有するのが好ましい。
本発明装置によれば本発明方法を実施できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アルゴンガス中の不純物を、触媒反応による前処理により吸着除去が容易な化合物に変性することで、その後の吸着処理の負荷を低減し、回収したアルゴンガスを低コストかつ少ないエネルギーで高純度に精製できる方法と装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアルゴンガスの精製装置の構成説明図
【図2】本発明の第1実施形態に係るアルゴンガスの精製装置におけるPSAユニットの構成説明図
【図3】本発明の第1実施形態に係るアルゴンガスの精製装置におけるTSAユニットの構成説明図
【図4】本発明の第2実施形態に係るアルゴンガスの精製装置の構成説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す第1実施形態に係るアルゴンガスの精製装置αは、例えば多結晶シリコン鋳造炉のようなアルゴンガス供給源1から供給される使用済アルゴンガスを、回収して再利用できるように精製する。精製装置αは、加熱器2、第1反応器3、第1濃度調節装置4、第2反応器5、第2濃度調節装置6、冷却器7、および吸着装置8を備える。
【0019】
供給源1から供給される精製前のアルゴンガスは、図外フィルター等により除塵され、ブロワ等のガス送り手段(図示省略)を介して加熱器2に導入される。精製前のアルゴンガスに含有される不純物は、少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素とされるが、二酸化炭素、炭化水素、水等の他の不純物を含有していてもよい。精製されるアルゴンガスにおける不純物の濃度は特に限定されず、例えば5モルppm〜40000モルppm程度とされる。加熱器2によるアルゴンガスの加熱温度は、第1反応器3で用いる触媒種により異なり、第1反応器3でルテニウム触媒を用いる場合は200℃以下にする。
【0020】
加熱器2により加熱されたアルゴンガスは、第1反応器3に導入される。第1反応器3に導入されるアルゴンガスにおける酸素量が、アルゴンガスにおける水素および一酸化炭素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるか否かが判定される。その酸素の設定量は、本実施形態では、そのアルゴンガスにおける水素および一酸化炭素の全てと反応するのに必要な酸素の化学量論量とされる。
アルゴンガスにおける水素および一酸化炭素が酸素と反応して水と二酸化炭素を生成する反応式は以下の通りである。
2 +1/2 O2 →H2
CO+1/2 O2 →CO2
この場合、アルゴンガスにおける酸素モル濃度が水素モル濃度の1/2と一酸化炭素モル濃度の1/2との和に等しい値を超えるか否かにより、アルゴンガスにおける酸素量が上記化学量論量を超えるか否かを判定すればよい。すなわち酸素の設定量は、アルゴンガスにおける酸素モル濃度が一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度との和の1/2になる量とされる。
その酸素の設定量は、上記化学量論量である必要はなく、上記化学量論量以上であればよい。例えば、上記化学量論量の1.05倍以上とすることでアルゴンガスにおける酸素を水素および一酸化炭と確実に反応させることができ、2.0倍以下とすることで酸素濃度が必要以上に高くなるのを防止できる。
【0021】
アルゴンガスにおける酸素量が上記設定量以下である場合、上記設定量を超えるようにアルゴンガスに酸素が添加される。アルゴンガスにおける酸素量が上記設定量を超える場合、酸素添加を行う必要はない。すなわち本実施形態の精製装置αは、アルゴンガスにおける酸素量が上記設定量を超える場合は、そのアルゴンガスを直接に精製し、また、その酸素量が上記設定量以下の場合は、その設定量を超えるように酸素が添加された後のアルゴンガスを精製する。
【0022】
本実施形態では、酸素供給器として第1濃度調節装置4が用いられる。すなわち、第1濃度調節装置4は、第1反応器3に導入されるアルゴンガスにおける酸素モル濃度が一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度との和の1/2以下である場合、酸素を添加することで1/2を超える値に設定する。第1濃度調節装置4は、濃度測定器4a、酸素供給源4b、酸素量調整器4c、及びコントローラ4dを有する。濃度測定器4aは、第1反応器3に導入されるアルゴンガスにおける酸素モル濃度、一酸化炭素モル濃度、および水素モル濃度を測定し、その測定信号をコントローラ4dに送る。コントローラ4dは、測定された酸素モル濃度が一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度の和の1/2以下である場合、1/2を超える値にするのに必要な酸素量に対応する制御信号を酸素量調整器4cに送る。酸素量調整器4cは、酸素供給源4bから第1反応器3へ到る流路を、制御信号に応じた量の酸素が供給されるように開度調整する。酸素添加が必要ない場合、酸素供給源4bから第1反応器3へ到る流路は閉じられる。これにより、アルゴンガスにおける酸素モル濃度は、一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度との和の1/2を超える値に設定される。なお、第1濃度調節装置4による酸素の添加により、アルゴンガスにおける酸素モル濃度を一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度との和の0.525倍〜0.550倍の値にするのが好ましく、0.525倍以上とすることで一酸化炭素と水素を確実に低減でき、0.550倍以下とすることで酸素濃度が必要以上に高くなることはない。
【0023】
酸素供給器は第1濃度調節装置4に限定されず、第1反応器3に導入されるアルゴンガスに酸素を添加可能なものであればよい。例えば、流量制御弁を有する高圧酸素容器を酸素供給器として用い、第1反応器3へのアルゴンガスの導入流量に応じた流量で酸素を添加してもよい。この場合、その酸素供給前に、第1反応器3に導入されるアルゴンガスをサンプリングするためのサンプリングラインを設け、そのサンプリングラインに酸素分析計(例えばGEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ(株)製DE―150ε)、水素分析ガスクロマトグラフィー(例えばGLscience社製PDD)、および一酸化炭素分析計(例えば富士電機システムズ社製ZRE)を設け、また、第1反応器3から流出して第2反応器5に導入される前のアルゴンガスのサンプリングラインに酸素分析計を設けるのが好ましい。これにより、アルゴンガスにおける不純物組成を連続的に監視することで、より確実に微過剰の酸素を添加できる。
【0024】
なお、多結晶シリコン鋳造炉等から回収されるアルゴンガスは可燃成分として炭化水素を含むが、そのモル濃度は水素と一酸化炭素の合計モル濃度の通常は1/100以下である。よって、通常は一酸化炭素モル濃度と水素モル濃度との和の1/2を僅かに超えるように酸素モル濃度を設定すれば、酸素が残留した状態で二酸化炭素と水を生成できる。また、微量の炭化水素が残留しても圧力スイング吸着法により容易に吸着して除去できる。よって、炭化水素のために特に酸素濃度を調整する必要はない。
【0025】
第1反応器3に、アルゴンガスにおける水素および一酸化炭素を酸素と反応させる第1の触媒が収容される。これにより、第1反応器3内でアルゴンガスにおける酸素が一酸化炭素および水素と反応することにより、酸素が残留した状態で二酸化炭素と水が生成される。本実施形態では、アルミナ等に担持したルテニウム触媒が第1の触媒として第1反応器3に収容される。後述の第2の触媒としてルテニウム触媒を用いる場合、第1の触媒としてルテニウム触媒以外の触媒を用いてもよく、例えばパラジウム触媒または白金触媒を第1の触媒として用いることができる。第1の触媒としてルテニウム触媒を用いる場合、ルテニウム触媒以外の白金族触媒よりも反応温度を低減でき、200℃以下にすることが可能になる。第1反応器3において、一酸化炭素が水蒸気と反応して水素と二酸化炭素を生成する水性ガスシフト反応を抑制するため、第1の触媒としてルテニウム触媒を用いて一酸化炭素および水素と酸素との反応温度を150℃以下にするのが好ましく、100℃以下にするのがより好ましい。ルテニウム触媒を用いる反応を完結する上では反応温度を70℃以上にするのが好ましい。
【0026】
第1反応器3から流出するアルゴンガスは、第2反応器5に導入される。第2反応器5に導入されるアルゴンガスの一酸化炭素量が、第1反応器3での反応後に残留された酸素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるように、一酸化炭素供給器によって第2反応器5に導入されるアルゴンガスに一酸化炭素が添加される。
本実施形態では、その一酸化炭素の設定量は、そのアルゴンガスにおける酸素の全てと反応するのに必要な一酸化炭素の化学量論量とされる。この場合、アルゴンガスにおける一酸化炭素モル濃度が、第1反応器3の出口で計測される酸素モル濃度の2倍を超えることにより、アルゴンガスにおける一酸化炭素量は上記化学量論量を超える。すなわち、本実施形態の一酸化炭素の設定量は、アルゴンガスの一酸化炭素モル濃度が酸素モル濃度の2倍になるように定められる。
その一酸化炭素の設定量は、上記化学量論量である必要はなく、上記化学量論量以上であればよい。例えば、一酸化炭素の設定量を上記化学量論量の1.05倍以上とすることで、アルゴンガスにおける一酸化炭素を残留酸素と確実に反応させることができ、一酸化炭素の設定量を上記化学量論量の2.0倍以下とすることで残留する一酸化炭素濃度が必要以上に高くなるのを防止できる。
【0027】
本実施形態では、一酸化炭素供給器として第2濃度調節装置6が用いられる。すなわち、第2濃度調節装置6は、第2反応器5に導入されるアルゴンガスに一酸化炭素を添加することで、アルゴンガスにおける一酸化炭素モル濃度を酸素モル濃度の2倍を超える値に設定する。第2濃度調節装置6は、濃度測定器6a、一酸化炭素供給源6b、一酸化炭素量調整器6c、及びコントローラ6dを有する。濃度測定器6aは、第2反応器5に導入されるアルゴンガスにおける酸素モル濃度と一酸化炭素モル濃度を測定し、その測定信号をコントローラ6dに送る。コントローラ6dは、測定された一酸化炭素モル濃度を酸素モル濃度の2倍を超える値にするのに必要な一酸化炭素量に対応する制御信号を、一酸化炭素量調整器6cに送る。一酸化炭素量調整器6cは、一酸化炭素供給源6bから第2反応器5へ到る流路を、制御信号に応じた量の一酸化炭素が供給されるように開度調整する。これにより、アルゴンガスにおける一酸化炭素モル濃度は酸素モル濃度の2倍を超える値に設定される。なお、第2濃度調節装置6による一酸化炭素の添加により、アルゴンガスにおける一酸化炭素モル濃度を酸素モル濃度の2.1倍〜2.2倍の値にするのが好ましく、2.1倍以上とすることで酸素を確実に低減でき、2.2倍以下とすることで一酸化炭素濃度が必要以上に高くなることはない。
【0028】
一酸化炭素供給器は第2濃度調節装置6に限定されず、第2反応器5に導入されるアルゴンガスに一酸化炭素を添加可能なものであればよい。例えば、流量制御弁を有する高圧一酸化炭素容器を一酸化炭素供給器として用い、第2反応器5へのアルゴンガスの導入流量に応じた流量で一酸化炭素を添加してもよい。この場合、その一酸化炭素の供給前に、第2反応器5に導入されるアルゴンガスをサンプリングするためのサンプリングラインを設け、そのサンプリングラインに酸素分析計および一酸化炭素分析計を設け、また、第2反応器5から流出して吸着装置8に導入される前のアルゴンガスのサンプリングラインに一酸化炭素分析計を設けるのが好ましい。これにより、アルゴンガスにおける不純物組成を連続的に監視することで、より確実に微過剰の一酸化炭素を添加できる。
【0029】
第2反応器5に、アルゴンガスにおける一酸化炭素を酸素と反応させる第2の触媒が収容される。これにより、第2反応器5内でアルゴンガスにおける酸素が一酸化炭素と反応することにより、一酸化炭素が残留した状態で二酸化炭素が生成される。本実施形態では、アルミナ等に担持したルテニウム触媒が第2の触媒として第2反応器5に収容される。前述の第1の触媒としてルテニウム触媒を用いる場合、第2の触媒としてルテニウム触媒以外の触媒を用いてもよく、例えばパラジウム触媒を第2の触媒として用いるができる。すなわち、第1の触媒と第2の触媒の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とすればよい。第2の触媒としてルテニウム触媒を用いる場合、ルテニウム触媒以外の白金族触媒よりも反応温度を低減でき、200℃以下にすることが可能になる。第2反応器5において、一酸化炭素が水蒸気と反応して水素と二酸化炭素を生成する水性ガスシフト反応を抑制するため、第2の触媒としてルテニウム触媒を用いて酸素と一酸化炭素との反応温度を150℃以下にするのが好ましく、100℃以下にするのがより好ましい。ルテニウム触媒を用いる反応を完結する上では反応温度を70℃以上にするのが好ましい。
【0030】
第2反応器5から流出するアルゴンガスは、冷却器7によって冷却された後に吸着装置8に到る。本実施形態の吸着装置8は、アルゴンガスにおける不純物の吸着を常温での圧力スイング吸着法により行なうPSAユニット10と、−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により行うTSAユニット20を有する。第2反応器5から流出するアルゴンガスにおける少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素が、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着されるように、PSAユニット10は冷却器7を介して第2反応器5に接続される。これにより、第1反応器3において生成された二酸化炭素と水、および、第2反応器5において生成された二酸化炭素と残留する一酸化炭素が、精製前のアルゴンガスに当初から含有されていた窒素と共に、PSAユニット10において吸着剤に吸着される。
【0031】
PSAユニット10は公知のものを用いることができる。例えば図2に示すPSAユニット10は4塔式であり、第2反応器5から流出するアルゴンガスを圧縮する圧縮機12と、4つの第1〜第4吸着塔13を有し、各吸着塔13に吸着剤が充填されている。その吸着剤は、一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素の吸着に適したものが用いられる。各吸着塔13に、複数種類の吸着剤を積層して充填してもよい。例えば、脱水用に活性アルミナ、主に二酸化炭素の吸着用にカーボン系吸着剤、脱水と二酸化炭素の吸着用に活性アルミナ、主に一酸化炭素と窒素の吸着用にゼオライト系吸着剤を用い、これら複数種類の吸着剤を各吸着塔13に積層して充填することができる。なお、ゼオライト系吸着剤と他の吸着剤は、2層に積層してもよいし3層以上に交互に積層してもよい。ゼオライト系吸着剤としては、一酸化炭素および窒素の吸着効果が高いゼオライトモレキュラーシーブが好ましく、特にCaA型またはLiX型のゼオライトが好ましい。また、TSAユニット20でのサーマルスイング吸着法による窒素の吸着負担を少なくする上では、吸着塔13にLiX型吸着剤を充填し、不純物の中の窒素の一部をPSAユニット10において効果的に吸着するのが好ましい。
圧縮機12は、各吸着塔13の入口13aに切替バルブ13bを介して接続される。
吸着塔13の入口13aそれぞれは、切替バルブ13eおよびサイレンサー13fを介して大気中に接続される。
吸着塔13の出口13kそれぞれは、切替バルブ13lを介して流出配管13mに接続され、切替バルブ13nを介して昇圧配管13oに接続され、切替バルブ13pを介して均圧・洗浄出側配管13qに接続され、切替バルブ13rを介して均圧・洗浄入側配管13sに接続される。
流出配管13mは、圧力調節バルブ13tを介してTSAユニット20に接続され、TSAユニット20に導入されるアルゴンガスの圧力が一定とされる。
昇圧配管13oは、流量制御バルブ13u、流量指示調節計13vを介して流出配管13mに接続され、昇圧配管13oでの流量が一定に調節されることにより、TSAユニット20に導入されるアルゴンガスの流量変動が防止される。
均圧・洗浄出側配管13qと均圧・洗浄入側配管13sは、一対の連結配管13wを介して互いに接続され、各連結配管13wに切替バルブ13xが設けられている。
【0032】
PSAユニット10の第1〜第4吸着塔13それぞれにおいて、吸着工程、減圧I工程(洗浄ガス出工程)、減圧II工程(均圧ガス出工程)、脱着工程、洗浄工程(洗浄ガス入工程)、昇圧I工程(均圧ガス入工程)、昇圧II工程が順次行われる。第1吸着塔13を基準に各工程を以下の通り説明する。
すなわち、第1吸着塔13において切替バルブ13bと切替バルブ13lのみが開かれ、第2反応器5から供給されるアルゴンガスは圧縮機12から切替バルブ13bを介して第1吸着塔13に導入される。これにより、第1吸着塔13において導入されたアルゴンガス中の少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水分および窒素が吸着剤に吸着されることで吸着工程が行われ、不純物の含有率が低減されたアルゴンガスが第1吸着塔13から流出配管13mを介してTSAユニット20に送られる。この際、流出配管13mに送られたアルゴンガスの一部は、昇圧配管13o、流量制御バルブ13uを介して別の吸着塔(本実施形態では第2吸着塔13)に送られ、第2吸着塔13において昇圧II工程が行われる。
次に、第1吸着塔13の切替バルブ13b、13lを閉じ、切替バルブ13pを開き、別の吸着塔(本実施形態では第4吸着塔13)の切替バルブ13rを開き、切替バルブ13xの中の1つを開く。これにより、第1吸着塔13の上部の比較的不純物含有率の少ないアルゴンガスが、均圧・洗浄入側配管13sを介して第4吸着塔13に送られ、第1吸着塔13において減圧I工程が行われる。この際、第4吸着塔13においては切替バルブ13eが開かれ、洗浄工程が行われる。
次に、第1吸着塔13の切替バルブ13pと第4吸着塔13の切替バルブ13rを開いたまま、第4吸着塔13の切替バルブ13eを閉じる。これにより、第1吸着塔13と第4吸着塔13の内部圧力が均一、またはほぼ均一になるまで第4吸着塔13にガスの回収を実施する減圧II工程が行われる。この際、切替バルブ13xは場合に応じ2つとも開いてもよい。
次に、第1吸着塔13の切替バルブ13eを開き、切替バルブ13pを閉じることにより、吸着剤から不純物を脱着する脱着工程が行われ、不純物はガスと共にサイレンサー13fを介して大気中に放出される。
次に、第1吸着塔13の切替バルブ13rを開き、吸着工程を終わった状態の第2吸着塔13の切替バルブ13b、13lを閉じ、切替バルブ13pを開く。これにより、第2吸着塔13の上部の比較的不純物含有率の少ないアルゴンガスが、均圧・洗浄入側配管13sを介して第1吸着塔13に送られ、第1吸着塔13において洗浄工程が行われる。第1吸着塔13において洗浄工程で用いられたガスは、切替バルブ13e、サイレンサー13fを介して大気中に放出される。この際、第2吸着塔13では減圧I工程が行われる。
次に第2吸着塔13の切替バルブ13pと第1吸着塔13の切替バルブ13rを開いたまま、第1吸着塔13の切替バルブ13eを閉じることで昇圧I工程が行われる。この際、切替バルブ13xは場合に応じ2つとも開いてもよい。
しかる後に、第1吸着塔13の切替バルブ13rを閉じる。これにより、一旦は工程の無い待機状態になる。この状態は、第4吸着塔13の昇圧II工程が完了するまで持続する。第4吸着塔13の昇圧が完了し、吸着工程が第3吸着塔13から第4吸着塔13に切り替わると、第1吸着塔の切替バルブ13nを開く。これにより、吸着工程にある別の吸着塔(本実施形態では第4吸着塔13)から流出配管13mに送られたアルゴンガスの一部が、昇圧配管13o、流量制御バルブ13uを介して第1吸着塔13に送られることで、第1吸着塔13において昇圧II工程が行われる。
上記の各工程が第1〜第4吸着塔13それぞれにおいて順次繰り返されることで、不純物含有率を低減されたアルゴンガスがTSAユニット20に連続して送られる。
なお、PSAユニット10は図2に示すものに限定されず、例えば塔数は4以外、例えば2でも3でもよい。
【0033】
PSAユニット10において吸着剤に吸着されなかった窒素を含むアルゴンガスがTSAユニット20に導入される。TSAユニット20は、アルゴンガスにおける窒素を、−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着剤に吸着する。
【0034】
TSAユニット20は公知のものを用いることができる。例えば図3に示すTSAユニット20は2塔式であり、PSAユニット10から送られてくるアルゴンガスを予冷する熱交換型予冷器21と、予冷器21により冷却されたアルゴンガスを更に冷却する熱交換型冷却器22と、第1、第2吸着塔23、各吸着塔23を覆う熱交換部24を有する。熱交換部24は、吸着工程時には冷媒で吸着剤を冷却し、脱着工程時には熱媒で吸着剤を加熱する。各吸着塔23は、吸着剤が充填された多数の内管を有する。その吸着剤としては窒素の吸着に適したものが用いられ、例えばカルシウム(Ca)またはリチウム(Li)でイオン交換されたゼオライト系吸着剤を用いるのが好ましく、さらに、イオン交換率70%以上とするのが特に好ましく、比表面積600m2 以上とするのが特に好ましい。
冷却器22は、各吸着塔23の入口23aに切替バルブ23bを介して接続される。
吸着塔23の入口23aそれぞれは、切替バルブ23cを介して大気中に通じる。
吸着塔23の出口23eそれぞれは、切替バルブ23fを介して流出配管23gに接続され、切替バルブ23hを介して冷却・昇圧用配管23iに接続され、切替バルブ23jを介して第2洗浄用配管23kに接続される。
流出配管23gは予冷器21の一部を構成し、流出配管23gから流出する精製されたアルゴンガスによりPSAユニット10から送られてくるアルゴンガスが冷却される。流出配管23gから精製されたアルゴンガスが切替バルブ23lを介し流出される。
冷却・昇圧用配管23i、洗浄用配管23kは、流量計23m、流量制御バルブ23o、切替バルブ23nを介して流出配管23gに接続される。
熱交換部24は多管式とされ、吸着塔23を構成する多数の内管を囲む外管24a、冷媒供給源24b、冷媒用ラジエタ24c、熱媒供給源24d、熱媒用ラジエタ24eで構成される。また、冷媒供給源24bから供給される冷媒を外管24a、冷媒用ラジエタ24cを介して循環させる状態と、熱媒供給源24dから供給される熱媒を外管24a、熱媒用ラジエタ24eを介して循環させる状態とに切り換えるための複数の切替バルブ24fが設けられている。さらに、冷媒用ラジエタ24cから分岐する配管により冷却器22の一部が構成され、冷媒供給源24bから供給される冷媒によりアルゴンガスが冷却器22において冷却され、その冷媒はタンク24gに還流される。
【0035】
TSAユニット20の第1、第2吸着塔23それぞれにおいて、吸着工程、脱着工程、洗浄工程、冷却工程、昇圧工程が順次行われる。
すなわち、TSAユニット20において、PSAユニット10から供給されるアルゴンガスは予冷器21、冷却器22において冷却された後に、切替バルブ23bを介して第1吸着塔23に導入される。この際、第1吸着塔23は熱交換部24において冷媒が循環することで−10℃〜−50℃に冷却される状態とされ、切替バルブ23c、23h、23jは閉じられ、切替バルブ23fは開かれ、アルゴンガスに含有される少なくとも窒素は吸着剤に吸着される。これにより、第1吸着塔23において吸着工程が行われ、不純物の含有率が低減された精製アルゴンガスを、第1吸着塔23から切替バルブ23lを介して取り出すことができる。
第1吸着塔23において吸着工程が行われている間に、第2吸着塔23において脱着工程、洗浄工程、冷却工程、昇圧工程が進行する。
すなわち第2吸着塔23においては、吸着工程が終了した後、脱着工程を実施するため、切替バルブ23b、23fが閉じられ、切替バルブ23cが開かれる。これにより第2吸着塔23においては、不純物を含んだアルゴンガスが大気中に放出され、圧力がほぼ大気圧まで低下される。この脱着工程においては、第2吸着塔23で吸着工程時に冷媒を循環させていた熱交換部24の切替バルブ24fを閉状態に切り替えて冷媒の循環を停止させ、冷媒を熱交換部24から抜き出して冷媒供給源24bに戻す切替バルブ24fを開状態に切り替える。
次に、第2吸着塔23において洗浄工程を実施するため、第2吸着塔23の切替バルブ23c、23jと洗浄用配管23kの切替バルブ23nが開状態とされ、熱交換型予冷器21における熱交換により加熱された精製アルゴンガスの一部が、洗浄用配管23kを介して第2吸着塔23に導入される。これにより第2吸着塔23においては、吸着剤からの不純物の脱着と精製アルゴンガスによる洗浄が実施され、その洗浄に用いられたアルゴンガスは切替バルブ23cから不純物と共に大気中に放出される。この洗浄工程においては、第2吸着塔23で熱媒を循環させるための熱交換部24の切替バルブ24fを開状態に切り替える。
次に、第2吸着塔23において冷却工程を実施するため、第2吸着塔23の切替バルブ23jと洗浄用配管23kの切替バルブ23nが閉状態とされ、第2吸着塔23の切替バルブ23hと冷却・昇圧用配管23iの切替バルブ23nが開状態とされ、第1吸着塔23から流出する精製アルゴンガスの一部が冷却・昇圧用配管23iを介して第2吸着塔23に導入される。これにより、第2吸着塔23内を冷却した精製アルゴンガスは切替バルブ23cを介して大気中に放出される。この冷却工程においては、熱媒を循環させるための切替バルブ24fを閉じ状態に切り替えて熱媒循環を停止させ、熱媒を熱交換部24から抜き出して熱媒供給源24dに戻す切替バルブ24fを開状態に切り替える。熱媒の抜き出しの終了後に、第2吸着塔23で冷媒を循環させるための熱交換部24の切替バルブ24fを開状態に切り替え、冷媒循環状態とする。この冷媒循環状態は、次の昇圧工程、それに続く吸着工程の終了まで継続する。
次に、第2吸着塔23において昇圧工程を実施するため、第2吸着塔23の切替バルブ23cが閉じられ、第1吸着塔23から流出する精製アルゴンガスの一部が導入されることで第2吸着塔23の内部が昇圧される。この昇圧工程は、第2吸着塔23の内圧が第1吸着塔23の内圧とほぼ等しくなるまで継続される。昇圧工程が終了すれば、第2吸着塔23の切替バルブ23hと冷却・昇圧用配管23iの切替バルブ23nが閉じられ、これによって第2吸着塔23の全ての切替バルブ23b、23c、23f、23h、23jが閉じた状態となり、第2吸着塔23は次の吸着工程まで待機状態になる。
第2吸着塔23の吸着工程は第1吸着塔23の吸着工程と同様に実施される。第2吸着塔23において吸着工程が行われている間に、第1吸着塔23において脱着工程、洗浄工程、冷却工程、昇圧工程が第2吸着塔23におけると同様に進行される。
なお、TSAユニット20は図3に示すものに限定されず、例えば塔数は2以上、例えば3でも4でもよい。
【0036】
図4は、本発明の第2実施形態に係るアルゴンガスの精製装置αを示す。第2実施形態における第1実施形態との相違点は、吸着装置8の構成にある。すなわち、図4に示すように、第2実施形態の吸着装置8はPSAユニット10を備えるが、TSAユニットを備えていない。第2実施形態における他の構成は第1実施形態と同様である。
【0037】
上記の第1実施形態および第2実施形態の精製装置αによれば、アルゴンガスにおける酸素を第1の触媒を用いて一酸化炭素および水素と反応させる際に、酸素を残留させた状態で二酸化炭素と水を生成する。次に、残留させた酸素と添加した一酸化炭素とを第2の触媒を用いて反応させることで、一酸化炭素を残留させた状態で二酸化炭素を生成する。第1の触媒と第2の触媒の中の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とし、反応温度を200℃以下にすることで、エネルギー消費を低減できる。そのルテニウム触媒を用いた反応温度を150℃以下にすることで、一酸化炭素と水蒸気とから水素と二酸化炭素が生成される水性ガスシフト反応を効果的に抑制でき、よりエネルギー消費を低減できる。さらに、そのルテニウム触媒を用いた反応温度を100℃以下にすることで、より効果的に水性ガスシフト反応を抑制し、エネルギー消費を低減できる。よって、水素を再生成することなくアルゴンガスの主な不純物を一酸化炭素、二酸化炭素、水および窒素とすることができる。その不純物の中の少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水分および窒素が、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着されることで、アルゴンガスから除去される。これにより、吸着処理では除去困難な水素がアルゴンガスに残留するのを防し、アルゴンガスを高純度に精製し、且つ、エネルギー消費を低減できる。
【0038】
上記第1実施形態の精製装置αによれば、圧力スイング吸着法のために用いる前記吸着剤としてCaA型ゼオライトを用いることで、一酸化炭素を吸着剤に効果的に吸着させることができる。また、圧力スイング吸着法による吸着の後に、アルゴンガスにおける窒素を、−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着剤に吸着させることができる。このようにサーマルスイング吸着法による吸着を併用することで、PSAユニット10の負荷を低減し、精製前のアルゴンガスにおける不純物濃度の変動に対応し、確実に不純物を除去できる。よって、精製後におけるアルゴンガスの純度をより高めることができる。また、サーマルスイング吸着法による吸着処理の前処理段階においてアルゴンガスから酸素を除去できるので、サーマルスイング吸着法による吸着処理の際の冷却エネルギーを低減できる。さらに、サーマルスイング吸着法で用いる吸着剤から一酸化炭素を脱離させる必要がなく、吸着剤の再生に要するエネルギーを低減できる。
【0039】
上記第2実施形態の精製装置αによれば、PSAユニット10における吸着剤として活性アルミナとX型ゼオライトとを用いることで、アルゴンガスにおける水分および二酸化炭素の吸着および脱着を活性アルミナにより行い、X型ゼオライトによる一酸化炭素および窒素の吸着効果を高くできる。これにより、圧力スイング吸着法による一酸化炭素と窒素の吸着効果を高くできるので、TSAユニットを用いることなく、アルゴンガスを低エネルギーで高純度に精製できる。
【実施例1】
【0040】
上記第1実施形態の精製装置αを用いてアルゴンガスの精製を行った。精製前のアルゴンガスは不純物として酸素を500モルppm、水素を20モルppm、一酸化炭素を1800モルppm、窒素を1000モルppm、二酸化炭素を20モルppm、水分を20モルppmそれぞれ含有した。このアルゴンガスを標準状態で3.74L/minの流量で第1反応器3に導入した。この第1反応器3に導入されるアルゴンガスに、酸素を標準状態で3.4mL/minの流量で添加した。この場合、アルゴンガスにおいて、酸素は水素および一酸化炭素と反応するのに必要な理論値の約1.6倍含まれる。第1反応器3に、アルミナ担持のルテニウム触媒(ズードケミー触媒(株)製、RUA)を第1の触媒として45mL充填し、反応条件は温度180℃、大気圧、空間速度5000/hとした。
第1反応器3から流出するアルゴンガスを第2反応器5に導入した。この第2反応器5に導入されるアルゴンガスに、一酸化炭素を標準状態で4.5mL/minの流量で添加した。この場合、アルゴンガスにおいて、一酸化炭素は残存酸素を消費するのに必要な理論値の約1.2倍含まれる。第2反応器5においては、アルミナ担持のルテニウム触媒を第2の触媒として45mL充填し、反応条件は温度90℃、大気圧、空間速度5000/hとした。
第2反応器5から流出するアルゴンガスを冷却器7で冷却後に、吸着装置8により不純物の含有率を低減した。PSAユニット10は4塔式とし、各塔に吸着剤としてCaA型ゼオライト(ユニオン昭和(株)5A−HP)を1.25L充填した。PSAユニット10の操作条件は、吸着圧力0.9MPa、脱着圧力0.1MPa、サイクルタイム400秒/塔とし、均圧時間15秒とした。
PSAユニット10により精製されたアルゴンガスをTSAユニット20に導入した。TSAユニット20は2塔式とし、各塔に吸着剤としてCaX型ゼオライト(東ソー(株)製SA600A)を1.5L充填し、吸着圧力は0.8MPa、吸着温度は−35℃、脱着圧力は0.1MPa、脱着温度は40℃とした。
この場合、TSAユニット20から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度0.1モルppm未満、窒素濃度0.2モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度1モルppm未満、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分0.6モルppm未満。
なお、酸素濃度はTeledyne Technologies,Inc.製微量酸素濃度計型式311により測定し、一酸化炭素および二酸化炭素の濃度は島津製作所製GC-FIDを用いてメタナイザーを介して測定し、水素濃度はGL Science,Inc.製GC-PDD により測定し、窒素濃度はRound Science ,Inc.製微量窒素分析計PES−1001により測定し、水分はGE Sensing & Inspection Technologies,Inc.製露点計MST−5を用いて測定した。
【実施例2】
【0041】
第1反応器3において、第1の触媒をアルミナ担持の白金触媒(エヌ・イー・ケムキャット(株)製、DASH−220触媒)に変更して45mL充填し、反応温度を300℃とした。その他は実施例1と同じ条件でアルゴンガスの精製を行った。
この場合、TSAユニット20から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度0.1モルppm未満、窒素濃度0.3モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度0.1モルppm未満、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分0.6モルppm未満。
【実施例3】
【0042】
第2反応器5において、第2の触媒をアルミナ担持のパラジウム触媒(エヌ・イー・ケムキャット(株)製、DASH−220D触媒)に変更して45mL充填し、反応温度を250℃とした。その他は実施例1と同じ条件でアルゴンガスの精製を行った。
この場合、TSAユニット20から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度0.1モルppm未満、窒素濃度0.3モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度0.5モルppm、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分0.6モルppm未満。
【実施例4】
【0043】
上記第2実施形態の精製装置αを用いてアルゴンガスの精製を行った。精製前のアルゴンガスは不純物として酸素を210モルppm、水素を30モルppm、一酸化炭素を200モルppm、窒素を1200モルppm、二酸化炭素を10モルppm、水分を10モルppmそれぞれ含有した。このアルゴンガスを標準状態で3.74L/minの流量で第1反応器3に導入した。この第1反応器3に導入されるアルゴンガスに、酸素を標準状態で3.4mL/minの流量で添加した。この場合、アルゴンガスにおいて、酸素は水素および一酸化炭素と反応するのに必要な理論値の約1.8倍含まれる。第1反応器3に、アルミナ担持のパラジウム触媒(エヌ・イー・ケムキャット(株)製、DASH−220D)を第1の触媒として45mL充填し、反応条件は温度250℃、大気圧、空間速度5000/hとした。
第1反応器3から流出するアルゴンガスを第2反応器5に導入した。この第2反応器5に導入されるアルゴンガスに、一酸化炭素を標準状態で1.0mL/minの流量で添加した。この場合、アルゴンガスにおいて、一酸化炭素は残存酸素を消費するのに必要な理論値の約1.4倍含まれる。第2反応器5においては、アルミナ担持のルテニウム触媒を第2の触媒として45mL充填し、反応条件は温度90℃、大気圧、空間速度5000/hとした。
第2反応器5から流出するアルゴンガスを冷却器7で冷却後に、吸着装置8により不純物の含有率を低減した。PSAユニット10は4塔式とし、各塔に吸着剤としてLiX型ゼオライト(東ソー(株)製NSA−700)1.10Lと活性アルミナ(住友化学(株)製KHD−24)を0.15L充填した。PSAユニット10の操作条件は、吸着圧力0.8MPa、脱着圧力0.01MPa、サイクルタイム450秒/塔とし、均圧15秒を実施した。
この場合、PSAユニット10の出口から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度1モルppm未満、窒素濃度3モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度1モルppm未満、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分1モルppm未満。
なお、アルゴンガスにおける不純物濃度は、実施例1と同じ機器を用いて測定した。
【実施例5】
【0044】
第1反応器に収容される第1の触媒をアルミナ担持のルテニウム触媒(ズードケミー触媒(株)製のRUA)にし、反応温度を180度にした。その他は実施例4と同じ条件でアルゴンガスの精製を行った。
この場合、PSAユニット10の出口から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度1モルppm未満、窒素濃度2モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度1モルppm未満、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分1モルppm未満。
【比較例1】
【0045】
第1反応器3において、アルミナ担持の白金触媒を45mL充填し、反応温度を300℃とし、第2反応器5においても、アルミナ担持の白金触媒を45mL充填し、反応温度を温度300℃にした。その他は実施例1と同じ条件でアルゴンガスの精製を行った。
TSAユニット20から流出する精製されたアルゴンガスの不純物組成は以下の通りであった。
酸素濃度0.1モルppm未満、窒素濃度0.2モルppm、一酸化炭素濃度1モルppm未満、水素濃度12モルppm、二酸化炭素濃度1モルppm未満、水分0.6モルppm未満。
【0046】
上記各実施例および各比較例から以下の点を確認できる。
上記各実施例によれば、比較例よりも精製されたアルゴンガスにおける水素濃度が低減されている。よって、第1の触媒と第2の触媒の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とすることで、水性ガスシフト反応を抑制し、回収したアルゴンガスを高純度に精製できることを確認できる。
実施例4および実施例5の何れにおいても、アルゴンガスにおける不純物濃度が十分に低減されている。よって、第1の触媒と第2の触媒の双方をルテニウム触媒とすることで、エネルギー消費がより低減されることを確認できる。
TSAユニットを用いない実施例4、5においてもアルゴンガスの窒素濃度が十分に低減され、回収したアルゴンガスを高純度に精製できることを確認できる。また、TSAユニット20を用いる実施例1〜3によれば、アルゴンガスの窒素濃度がより低減されることを確認できる。
なお、PSAユニット10で用いる吸着剤を実施例1のようにCaA型ゼオライトとする場合、実施例4のようにLi−X型ゼオライトとする場合に比べて、不純物濃度を同程度に低減した時にアルゴンガスの回収率は低下する。例えば、実施例1において、PSAユニット10の入口でのアルゴンガスの不純物組成は、水素濃度0.1モルppm未満、酸素濃度0.2モルppm、窒素濃度5000モルppm、一酸化炭素濃度200モルppm、二酸化炭素濃度3000モルppm、水分10モルppmであり、PSA10の出口でのアルゴンガスの不純物組成は、窒素濃度1000モルppm、その他の不純物濃度は1モルppm未満であり、アルゴンの回収率(純分換算)は72モル%であった。一方、実施例4においては、PSAユニット10の入口でのアルゴンガスの不純物組成は、水素濃度1モルppm未満、酸素濃度1.2モルppm、窒素濃度5000モルppm、一酸化炭素濃度80モルppm、二酸化炭素濃度400モルppm、水分10モルppmであり、PSA10の出口でのアルゴンガスの不純物組成は、窒素濃度3モルppm、その他の不純物濃度は1ppm未満であり、アルゴンの回収率(純分換算)は77モル%であった。よって、不純物濃度をより低減する場合はTSAユニットを併用するのが好ましい。
【0047】
本発明は上記の実施形態や実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では第1反応器3と第2反応器5の両方にルテニウム触媒を充填したが、第1反応器3にルテニウム触媒を充填して第2反応器5にはルテニウム触媒以外の触媒、例えばパラジウムをアルミナ等に担持した触媒を充填して酸素を一酸化炭素と反応させてもよい。あるいは、第1反応器3にルテニウム触媒以外の触媒、例えば、白金、白金合金、パラジウム等をアルミナ等に担持した触媒を充填して酸素を一酸化炭素および水素と反応させ、第2反応器5にルテニウム触媒を充填してもよい。ルテニウム触媒以外の触媒を用いる場合の反応温度は、反応を完結させるために250℃程度以上にする必要がある。
【符号の説明】
【0048】
α…精製装置、3…第1反応器、4…第1濃度調節装置、5…第2反応器、6…第2濃度調節装置、8…吸着装置、10…PSAユニット、20…TSAユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素を不純物として含有するアルゴンガスを精製する方法において、
前記アルゴンガスにおける酸素量が、前記アルゴンガスにおける水素および一酸化炭素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるか否かを判定し、
前記アルゴンガスにおける酸素量が前記設定量以下である場合、前記設定量を超えるように酸素を添加し、
次に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素および水素と酸素とを、第1の触媒を用いて反応させることで、酸素が残留された状態で二酸化炭素と水を生成し、
次に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素量が、その残留された酸素の全てと反応するのに必要な設定量を超えるように、一酸化炭素を添加し、
次に、前記アルゴンガスにおける酸素と一酸化炭素とを、第2の触媒を用いて反応させることで、一酸化炭素が残留された状態で二酸化炭素を生成し、
次に、前記アルゴンガスにおける少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素を、圧力スイング吸着法により吸着剤に吸着させ、
前記第1の触媒と前記第2の触媒の中の少なくとも一方をルテニウム触媒とし、
前記ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を200℃以下にすることを特徴とするアルゴンガスの精製方法。
【請求項2】
前記ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を150℃以下にする請求項1に記載のアルゴンガスの精製方法。
【請求項3】
前記ルテニウム触媒を用いる場合の反応温度を100℃以下にする請求項2に記載のアルゴンガスの精製方法。
【請求項4】
前記圧力スイング吸着法のために用いる前記吸着剤としてCaA型ゼオライトを用いる請求項1〜3の中の何れか1項に記載のアルゴンガスの精製方法。
【請求項5】
前記圧力スイング吸着法のために用いる前記吸着剤として活性アルミナとX型ゼオライトとを用いる請求項1〜3の中の何れか1項に記載のアルゴンガスの精製方法。
【請求項6】
前記圧力スイング吸着法による吸着の後に、前記アルゴンガスにおける窒素を、−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着剤に吸着させる請求項1〜5の中の何れか1項に記載のアルゴンガスの精製方法。
【請求項7】
少なくとも酸素、水素、一酸化炭素、および窒素を不純物として含有するアルゴンガスを精製する装置であって、
前記アルゴンガスが導入される第1反応器と、
前記第1反応器に導入されるアルゴンガスに酸素を添加可能な酸素供給器と、
前記第1反応器から流出するアルゴンガスが導入される第2反応器と、
前記第2反応器に導入されるアルゴンガスに一酸化炭素を添加可能な一酸化炭素供給器と、
前記第2反応器から流出するアルゴンガスが導入される吸着装置とを備え、
前記第1反応器に、前記アルゴンガスにおける一酸化炭素および水素と酸素とを反応させる第1の触媒が収容され、
前記第2反応器に、前記アルゴンガスにおける酸素と一酸化炭素とを反応させる第2の触媒が収容され、
前記第1の触媒と前記第2の触媒の中の少なくとも一方はルテニウム触媒とされ、
前記吸着装置は、前記アルゴンガスにおける少なくとも一酸化炭素、二酸化炭素、水、および窒素を圧力スイング吸着法により吸着するPSAユニットを有することを特徴とするアルゴンガスの精製装置。
【請求項8】
前記吸着装置は、前記PSAユニットから流出する前記アルゴンガスにおける窒素を−10℃〜−50℃でのサーマルスイング吸着法により吸着するTSAユニットを有する請求項7に記載のアルゴンガスの精製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−106904(P2012−106904A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173917(P2011−173917)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】