説明

アルスロスピラをベースとする組成物及びその利用

本発明は、生理学的ストレスを受けたArthrospira maximaを含み、殺生物剤及び/又は治療薬剤として使用される組成物に関する。本発明は、同様に生物による対象への感染又は侵入の予防又は処理の方法に関するものであり、上記方法は、対象に生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む組成物を付与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルスロスピラ(Arthrospira)含有組成物、並びにその殺生物剤及び/又は治療薬剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルスロスピラ(かつてはスピルリナとして知られていた)は、主に食物及び/又はタンパク質源用に培養されるシアノバクテリアの一種である。アルスロスピラを治療薬として利用することは既に知られており、この利用としては、抗ウイルス剤、抗ガン剤、コレステロール低下剤、糖尿軽減剤、高血圧症の軽減剤、及び免疫調節剤としての利用が含まれる。例えば、Spirurina.comのウェブサイト(http://www.spirulinasource.com/library.html)に、挙げられている文献を参照されたい。
【発明の開示】
【0003】
〈発明の要旨〉
本発明の目的のひとつは、殺生物剤及び/又は治療薬剤として用いられるアルスロスピラ組成物を提供することにある。
【0004】
《生理学的ストレスを受けたアルスロスピラは、殺生物活性を有する》
本発明者らは、アルスロスピラが、生理学的ストレスを与えられると、菌類、細菌類、さらにおそらくウイルスに対して活性を有する少なくとも一種類の生物活性物質を生成することを見出した。アルスロスピラは、例えば、栄養若しくは光の欠乏、又は脱水若しくは乾燥により、生理学的ストレスを受ける。アルスロスピラフィラメント(トラコーマ)が“生理学的ストレス”を受けていることの兆しの1つは、蘇生可能な状態、つまりフィラメントが集まると共に、厚い粘膜が形成された状態に入ることである。発明者らは、このフィラメント及び/又は厚い粘膜は、捕食者に対して組織を守るための1種以上の生物活性物質を含むと考えている。この生物活性のうちの1種以上は、捕食性生物の細胞壁又は外骨格を破壊するものであってもよい。この生物活性物質の1種以上は、例えば、キチン、キトサンのようなキチン誘導体、又は他の細胞壁を構成するポリマー(例えばポリマーのサブユニットとしてN‐アセチルグルコサミン又はD‐グルコサミンを含むようなポリマー)を消化する、キチナーゼ、キトサナーゼ、キチン脱アセチル化酵素等の溶解又は修飾作用を有する物質でもよい。グラム陽性菌のペプチドグリカンは、このようなポリマーの一例であり、Nアセチルグルコサミン及びN‐アセチルムラミン酸を含む。
【0005】
本発明の第一の側面によると、キチン、キチン誘導体、又はポリマーサブユニットとしてN‐アセチル‐グルコサミンを含むポリマーを消化又は修飾する組成物が提供され、上記組成物は生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含有する。
【0006】
本発明の第二の側面によると、キチン、キチン誘導体、又はポリマーサブユニットとしてN‐アセチル‐D‐グルコサミンを含むポリマーを消化又は修飾する方法が提供され、上記方法は、キチン、キチン誘導体、又はポリマーサブユニットとしてN‐アセチル‐D‐グルコサミンを含むポリマーと、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含有する組成物とを接触させるステップを含む。
【0007】
キチン、キチン誘導体、又はポリマーの形態は限定されるものではない。キチン、キチン誘導体又はポリマーは、十分に精製されていてもよいし、菌類若しくはグラム陽性菌の細胞壁、又は昆虫の外骨格等の生体組織の一部であってもよい。
【0008】
本発明の第三の側面によると、アルスロスピラから生物活性物質を同定する方法が提供され、上記方法は以下のステップ:
(I)生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物と、アルスロスピラからの生物活性物質によって修飾され得る少なくとも1つの試験基質とを混合するステップと、
(II)上記試験基質の修飾を検出するステップと、
を含む。
【0009】
試験基質の種類は限定されるものではない。試験基質の修飾を検出する方法も、限定されるものではない。但し、ハイスループットスクリーニングが特に好ましい。
生物活性物質としてはキチナーゼ、キトサナーゼ、又はキチン脱アセチル化酵素が好ましく、試験基質としてはキチン、キチン誘導体、又はポリマーサブユニットとしてN‐アセチル‐D‐グルコサミンを含むポリマーが好ましい。また、キチン、キチン誘導体又はそれ以外のポリマーの修飾(例えば分解)の検出方法としては、呼吸計測が好ましい。
【0010】
上記方法はさらに、生物活性物質を精製するステップを含んでもよい。精製方法は特に限定されない。また、上記方法はさらに、生物活性物質の1又は複数の遺伝子をクローニング及び発現するステップを含んでもよい。例えば、上記ステップとして、Maniatis, et al., Molecular Cloning: A laboratory Manual, Cold SpringHarbor Laboratory, 1982に記載された方法を用いることができ、この文献の記載内容は、参照することにより本書に組み込まれる。
【0011】
〔生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの殺生物剤及び/又は治療剤としての使用〕
キチン、キチン誘導体、及びグルコサミン含有ポリマーは、自然界において、通常、例えば、藻類、菌類、原生動物類、繊毛虫類、腔腸動物類、コケムシ類、軟体動物類、環形動物類、節足動物類、鰓脚類、ホウキムシ門、有鬚動物門、細菌類(グラム陽性菌及び根粒菌)の細胞壁又は外骨格の成分として見出すことができる。
【0012】
従って、キチン、キチン誘導体及びグルコサミン含有ポリマーに対して溶解又は修飾活性を有する物質を有する、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラは、広い範囲の生物に対する殺生物剤として用いられる可能性がある。“殺生物”とは、本明細書において、生物を殺すこと、又は生物の生長若しくは増殖を阻害する(生物は死には至らない)ことの両方の意に用いられる。殺生物剤の用途には治療を目的としたものがあることが理解されるであろう。
【0013】
本発明の第四の側面によると、殺生物及び/又は治療のために使用される組成物が提供され、上記組成物は生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む。
本発明の第五の側面によると、対象への生物による感染又は侵入の予防又は治療のための方法が提供され、上記方法は、生理学的ストレスを受けた対象へのアルスロスピラを含む組成物を有効量、対象物に与えるステップが含まれる。
上記方法は、このような処理又は予防が必要な対象を同定するステップを含むことが好ましい。
また、同様に、生物による対象への感染又は侵入の予防又は処理のための薬物の調製における、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの使用も提供される。
【0014】
驚くべきことに、発明者らは、アルスロスピラをその生長環境から取り出すことは、生理学的ストレスを引き起こし、殺生物活性を有する1又はそれ以上の生物活性物質の発現を誘導する。すなわち、新国特許第336620及び第336619号明細書に記載されているアルスロスピラに生理学的ストレスを与えるステップは、実行される必要はなく、殺生物活性を得るために、アルスロスピラはさらなる処理(分断、急激な減圧(explosively decompress)、増強、粉砕、重炭酸ナトリウム水で戻す、又は凍結乾燥)を受ける必要もない。
【0015】
さらに、発明者らによってこれまでのところ試された市販で入手可能なアルスロスピラ製剤(錠剤、カプセル、及び粉末)は、基質に対する活性を有していることが見出されており、この活性は殺生物活性を有することを示すと考えられる。このような製剤は、通常アルスロスピラを収穫、洗浄及び乾燥させることにより、ストレスを特に与えるステップを経ることなく調製される。実際、アルスロスピラの商業的な生産者は、厚い粘膜はアルスロスピラ組織を処理する機械の動きを妨げるので、アルスロスピラに与えるストレスを最小限に抑えるようにする傾向にある。
【0016】
本明細書に述べる組成物の1又はそれ以上において、アルスロスピラは好適な全ての種、又はアルスロスピラの種若しくはアルスロスピラの変異体の、A. maximaを含むがこれに限定されない混合物とすることができる。注目すべきは、アルスロスピラ及びスピルリナは、2つの分かれた属であるということである。この2つの属の分離は、螺旋構造及び毛状突起の大きさ、細胞壁構造及び孔のパターン、ガス胞、チラコイドのパターン、毛状突起の運動性及び分裂、GC含量、16S rRNAのオリゴヌクレオチドカタログ、及びcpcB--cpcA 座における変異、を含む特徴に基づいて、繰り返し肯定されている。この分離を肯定する文献として、例えば、J. F. Manen and J. Falquet (2002) “The cpcB--cpcA locus as a tool for the genetic characterization of the genus Arthrospira (Cyanobacteria) : evidence for horizontal transfer” 、International Journal of Systematic and Evolutionary MicrobiologyのVol 52, 861-867;及び、 Chapter 1: Morphology, Ultrastructure and Taxonomy of Arthrospira (Spirulina) Maxima and Arthrospira (Spirulina) Platensis by Luisa Tomaselli, of Spirulina platensis (Arthrospira): Physiology, Cell-biology and Biotechnology. Taylor and Francis. Avigad Vonshak (Ed) 1997が挙げられる。本明細書に述べられる組成物は、スピルリナ属の種を除外する。
【0017】
本発明の組成物は、アルスロスピラフィラメント全体、フィラメント断片、分断された若しくは溶解された断片、又はそれらの抽出物若しくは画分を含み得る。本発明の組成物は、生きている状態の、又は生きていない状態のアルスロスピラを含み得る。好ましくは、組成物は分断されたアルスロスピラフィラメント及び断片を含む。
【0018】
アルスロスピラをベースとする組成物を調製する方法は、殺生物活性を損なわない方法であればよい。通常、この方法は以下のステップ:
(I)アルスロスピラを適切な方法で培養するステップ;
(II)生長したアルスロスピラを適切な方法で収穫するステップ;及び
(III)アルスロスピラを適切な方法で乾燥させるステップ
を含む。また、任意のステップとして、適切な方法でアルスロスピラに生理学的ストレスをさらに与えるステップ;フラグメント及びセグメントを適切な方法で分断するステップ、生体組織を適切な方法で殺菌するステップ、アルスロスピラを適切な方法で脱色するステップ、クロロフィルを適切な方法で除去又は分解するステップ、及び乾燥アルスロスピラを粉砕するステップを適宜行ってもよい。
【0019】
上述したステップのいくつかは、例えば新国特許 336620 号及び336619号に記載されており、これらの文献の記載内容は、参照することにより本書に組み込まれる。例えば、ストレスの付与は、収穫時に、生長状態の管理により、アルスロスピラにストレスを与えるが死なせはしない十分な期間、アルスロスピラを必須栄養素が欠乏した状態におく(栄養削減)か、光が欠乏した状態におくことによって実現される。ストレスの付与は、部分的な乾燥、又は、アルスロスピラを収穫し、さらにアルスロスピラを湿度のある状態でストレスを受けるまで(但し死なないように)保持することによっても行われる。例えば、アルスロスピラは、分断された細胞の細かい粉末を形成するように噴霧乾燥され得る。噴霧乾燥は、例えば、50℃〜190℃、数秒で行われる。例えば、フィラメントは、新国特許第328013 号及び 328740に記載されているように、製粉機を用いて又は急激な減圧によって分断され、これらの文献の記載内容は、参照することにより本書に組み込まれる。
【0020】
本発明の組成物中のアルスロスピラの濃度は、その用途に依るものであり、例えば約0.01% から約100%の間のどの値であってもよい。本発明の組成物は、溶媒、キャリア、基材、賦形剤、充填剤、結合剤、可塑剤、乳化剤、安定剤、潤滑剤、緩衝剤、軟化剤、溶解剤、懸濁化剤、増粘剤、芳香剤、着色料、及び保存剤を適宜含んでもよい。
【0021】
所望される用途により、アルスロスピラ由来でない1又はそれ以上の活性物質、例えば抗菌剤(例えば殺細菌剤又は抗菌剤)、治療剤(例えば外傷治療剤、ステロイド)、又は一般的な栄養素(例えばアミノ酸、ビタミン)を含んでもよい。このような活性物質は当業者に良く知られている。
【0022】
本発明の組成物の形状は限定されない。また、組成物を投与又は塗布する方法も特に限定されない。組成物は、液体、ゲル若しくは固体、又はこれらの混合物とすることができる。組成物は、噴霧によって塗布されるアルスロスピラの培養液とすることができる。また、組成物は、振って、又はパフで標的に均等に分散されるように、粉末状になっていてもよい。感染又は侵入を受けた対象は、液体形状である組成物を含む浴槽に浸かることができる。組成物、及び塗布又は投与の方法は、新国特許第336620号及び336619号明細書に記載されている通りとすることができる。
【0023】
治療目的では、組成物は、例えば、経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、投与又は塗布される、組成物は、錠剤、溶液、エアロゾル、噴霧、クリーム、軟膏、水薬、乳液、ゲル、又は粉末とすることができる。組成物の形態は、アルスロスピラが含浸された帯具、包帯、絆創膏、座薬、ペッサリー、又は湿布とすることができる。
【0024】
好ましくは、殺生物剤は、菌類、グラム陽性菌、原生生物、ウイルス類、甲殻類、ダニ類、及び昆虫類に対して有効であることが好ましい。このうちのいくつかについてはより詳細に後述する。
【0025】
本発明の第六の側面によると、殺生物剤及び/又は治療剤として使用されるアルスロスピラをベースとする組成物の調製方法が提供される。上記方法は、以下のステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを与えるステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと、適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む。
本発明の第七の側面によると、殺生物剤及び/又は治療剤として使用されるアルスロスピラをベースとする組成物の調製方法が提供される。上記方法は、以下のステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを与えるステップ;
(2)ストレスを受けたアルスロスピラを、混入物質を除くように洗浄するステップ;
(3)洗浄後のアルスロスピラを乾燥させるステップ;及び
(4)洗浄後のアルスロスピラと、適切なキャリア;溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む。
【0026】
上記方法のいずれも、本明細書に記載する1又はそれ以上の組成物の調製に使用される。
上述の方法は、キャリア、溶剤、基剤又は賦形剤を加えるより前の、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧及び/又は乾燥を施す特別なステップを除外することが好ましい。
【0027】
〔生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの抗菌剤としての使用〕
本発明の第八の側面によると、抗菌剤として使用される組成物が提供される。上記組成物は生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを有効量含む。
【0028】
本発明の第九の側面によると、対象への菌の感染又は侵入を予防又は処理する方法が提供される。上記方法は、対象に生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物を有効量付与するステップを含む。
上記方法は、さらにこのような処理又は予防を要する対象を同定するステップを含むことが好ましい。
また、同様に、対象への菌類の感染又は侵入の予防又は処理のための薬剤の調製における、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの使用も提供される。
【0029】
生理学的ストレスを受けたアルスロスピラは、少なくとも以下に述べる種類の菌類に対する処理に使用される可能性がある。すなわち、接合菌類(Zygomycotina);子嚢菌類(Ascomycotina);不完全菌類(Fungi Imperfecti);マラセチア菌(Malassezia); 小胞糸菌(Microsporum);白癬菌(Trichophyton);及び表皮菌(Epidermophyton)である。
【0030】
第一実施形態において、対象はヒト又は動物、例えば哺乳類若しくは脊椎動物、である。ヒトが対象となる場合、組成物は以下の処理:
‐主に小胞糸菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、カンジダ属(Candida)、及び表皮菌(Epidermophyton)に属する各種が原因となる白癬(水虫、頑癬、たむし、爪床深部への感染);
‐カンジダ属(Candida)が原因となる鵝口瘡、;
‐マラセチア属(Malassezia)が原因となるふけ症;
‐熱帯菌腫(tropical mycetoma)‐皮膚、筋肉組織、及びリンパ節における粒状のびまん型の増殖‐マズレラ属(Madurella)が原因となる;
‐スポロトリクス症(sporothricosis)‐リンパ節における粒状のびまん型増殖‐Sporothrix schenkiiが原因となる;及び
‐ヒストプラスマ症(histoplasmosis)‐びまん型の全身への感染を伴う慢性肺炎‐Histoplasma capsulatumが原因となる、
に用いられる。
【0031】
動物が対象となる場合、組成物は、例えば、たむし、蹄の感染症(カンジダ属(Candida)、マラセチア属(Malassezia))、皮膚炎及び毛嚢炎(小胞糸菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、アルテルナリア属(Alternaria)、フザリウム属(Fusarium))の処理に使用可能である。熱帯菌類の症状は、動物において通常ヒトにおけるのと同様の菌類によって引き起こされる。
【0032】
第二実施形態において、対象は、農業又は園芸の産物、例えば植物、花、果実、野菜、穀草、穀物、豆、茸、牧草、又は芝である。本発明の組成物は、例えば、赤カビ病及び菌核病(フザリウム属(Fusarium))、顔面湿疹(Pithomyces Chartarum)、ボトリチス病(Botrytis cineria)、斑点病(セプトリア属(Septoria)、アルテリア属 (Alteria)、ビポラリス属(Bipolaris)、うどん粉病(Sphaerotheca macularis、Erysiphe、Sphaerotheca pannosa)、赤腐れ(Monilinia fruiticola)、及び葉又は茎の赤さび病(プシニア属(Puccinia))の処理に使用可能である。
【0033】
第三実施形態において、対象は、土、木、建材、又は建築物である。組成物は、例えば、糸状菌の処理のために建築物の中又は外に、及び、木材腐朽菌の処理のために建材に及び電柱に、使用される。
【0034】
驚くべきことに、発明者等は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラが既報の抗菌活性物(静菌剤)と相乗的に相互作用して、より優れた広範囲に渡る抗菌活性をもたらすことを見出した。本発明者らは、ストレスを受けたアルスロスピラが菌類の生長を妨げ、菌類を殺し、菌類の再生長を防止することができることを見出した。
【0035】
本発明の第十の側面によると、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラと少なくとも1つの静菌剤とが相乗的な組み合わされたものを含む抗菌組成物が提供される。
本発明の第十一の側面によると、対象への菌の感染又は侵入の予防又は処理の方法が提供される。上記方法は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラと少なくとも1つの静菌剤との相乗的な組み合わせを含む組成物の有効量を対象物に付与するステップを含む。
上記方法は、このような処理又は予防が必要な対象を同定するステップを含むことが好ましい。
また、同様に、対象への菌類の感染又は侵入の予防又は処理に用いられる薬剤の調製における、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの少なくとも1つの静菌と組み合わせた使用が提供される。
【0036】
あらゆる好適な静菌剤(既報の活性物質)、例えばテルビナフィン、ビフォナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、又はトルナフテート等が、好適に用いられる。既報の活性物質はあらゆる好適な濃度で使用可能であり、また既報の活性物質の好適な濃度は、組成物の望まれる用途によって設定される。
【0037】
〔生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの抗細菌剤としての使用〕
発明者らは、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラが、グラム陽性菌に対する有効な抗細菌剤であることを見出した。抗細菌作用の仕組みは明らかにはなっていない。グラム陽性菌の細胞壁が、アルスロスピラ由来の1又はそれ以上の生物活性物質によって溶解又は他の修飾を受ける可能性がある。細胞壁はペプチドグリカン(N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルムラミン酸)を含み、ペプチドグリカンは1又はそれ以上の生物活性物質によって消化され得る。
【0038】
本発明の第十二の側面によると、抗細菌剤として使用される組成物が提供される。上記組成物は生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを有効量含む。
本発明の第十三の側面によると、対象への細菌の感染又は進入の予防又は処理のための方法が提供される。上記方法は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物を有効量、対象物に付与するステップを含む。
上記方法は、このような処理又は予防が必要な対象を同定するステップを含むことが好ましい。
また、同様に、対象への細菌の感染又は侵入の予防又は処理のための薬剤の調製における生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの使用を提供する。
【0039】
細菌はグラム陽性菌であることが好ましく、例えばバチルス属(Bacilli)、 クロストリジウム属(Clostridia)、スタフィロコッカス属(Staphylococci)、又は肺炎球菌(Pneumococci)であることが好ましい。バクテリアは、にきびの原因となるPropionibacterium acneであることが好ましい。
【0040】
第一実施形態において、対象はヒト又は動物、例えば哺乳類若しくは脊椎動物、である。ヒトが対象となる場合、組成物は、グラム陽性菌の感染が原因となる、にきび、皮膚炎、潰瘍、又は外傷の処理に用いられ得る。組成物は、体内における感染、例えば気道、口、消化器、及び尿生殖器等の管状の器官(例えば連鎖球菌性咽頭炎、中耳炎)における感染に用いられる。
【0041】
第二実施形態において、対象は、農業又は園芸の産物、例えば植物、花、果実、野菜、穀草、穀物、豆、又は茸である。
第三実施形態において、対象は、例えば細菌が生長可能な土、人工の構造物、又は水路である。
【0042】
〔生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの殺虫剤としての使用〕
本発明の第十四の側面によると、殺虫剤として使用される組成物が提供される。この組成物は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを有効量含む。
【0043】
本発明の第十五の側面によると、害虫を抑圧する又は殺す方法が提供される。上記方法は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物を有効量投与又は塗布することを含む。
上記殺虫剤は甲殻類及びダニのような害虫を対象とし得る。上記殺虫剤は、ハエ(例えばSimulidae‐黒バエ)、ハチ、蚊、及びシロアリのような虫も対象とし得る。殺虫剤は、例えばマラリアの原因となるもの等の寄生虫、及び虫が媒介する他の疾病の伝染を止めるために用いられ得る。
【0044】
第一実施形態において、上記組成物は虫除け又はベイト剤として調合され得る。
第二実施形態において、上記組成物は、農業又は園芸の産物、例えば植物、花、果実、野菜、穀草、穀物、豆、茸に適用され得る。
第三実施形態において、上記組成物は、例えば、土、人工の構造物、建造物、建材、小川、湖、又は湿地に適用され得る。
【0045】
〔アルスロスピラの治療剤としての使用〕
生理学ストレスを受けたアルスロスピラを殺製剤及び/又は治療剤として皮膚に使用するとき、発明者らは、皮膚の治癒を促進するために、アルスロスピラの1又はそれ以上の他の置換物が、1又はそれ以上の上記生物活性物質と相互作用することを見出した。これらの他の置換物は:ベータカロチン、これは皮膚に栄養を供給する;フィコシアニン、これは抗炎症剤である;他のタンパク質;並びにビタミン、ミネラル、微量元素、抗酸化物質、精油、及び炭水化物を含む他の栄養素を含む。
【0046】
まず、ストレスを受けたアルスロスピラが、微生物‐菌類、細菌類、又はウイルス‐を阻害するか又は殺し、アルスロスピラの他の置換物が、微生物による損傷を治療する。
本発明者らは、アルスロスピラが、生理学的ストレスを受けていなくても、皮膚の状態の改善及び皮膚の治療といった治療能を有することを見出した。
【0047】
本発明の第十六の側面によると、哺乳類の皮膚の異常を治療又は予防するための組成物が提供される。上記組成物は、アルスロスピラを有効量含む。
上記組成物は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含むことが好ましい。
【0048】
本発明の第十七の側面によると、哺乳類の皮膚の異常を治療又は予防する方法が提供される。上記方法は、アルスロスピラを含む組成物の有効量の適用を含む。
上記組成物は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含むことが好ましい。
上記方法は、このような処理又は予防が必要な哺乳類を同定するステップを含むことが好ましい。
また、同様に、哺乳類の皮膚の異常を治療又は予防する薬剤の調製におけるアルスロスピラ、好ましくは生理学的ストレスを受けたアルスロスピラ、の使用も提供される。
【0049】
本発明の第十六及び第十七の側面による組成物は、上述した本発明の他の側面による組成物について述べた通り、1又はそれ以上の含有物又は特性を有し得る。
本発明の第十六及び第十七の側面による組成物は、上述した方法のいずれかによって調製されることが好ましい。
【0050】
皮膚の異常とは、例えば、あばた、ニキビによる損傷、酒さ、赤くなった箇所、ひび割れ、やけど、水ぶくれ、乾癬、湿疹、落屑症、しわ、丘疹、口内炎、損傷、膿疱、外傷、新生児頭部皮膚炎、おむつかぶれ、潰瘍、ヘルペス、かみそり負け、水疱瘡、皮膚炎、かかと及びひじのひび割れである。上記組成物は、やけど、虫及び動物による咬み傷の処理、並びに皮膚からの炎症の除去に使用可能である。上記組成物は、皮膚の痒みを低減するのに使用可能である。上記組成物は、瘡蓋、日光で傷んだ皮膚、並びに弾力性を失った乾燥状態及び鱗状の皮膚の治療に使用可能である。
本発明の実施形態の他の側面は、以下の詳細な説明により、明らかになるであろう。
〈本発明を実施する最良の実施形態及び他の形態〉
単なる例示として、本発明の好ましい実施形態を詳細に、後述の一連の実施例を参照して説明する。
【0051】
《実施例1‐生理学的ストレスを受けたアルスロスピラの調製》
アルスロスピラ マキシマ(Arthrospira maxima)(Biovite Australia Pty Ltdから入手)の培養物は、栄養素の減少又は部分的な乾燥によってストレスを受ける。アルスロスピラは、“脱水及び乾燥されて、未処理”の粉末を形成する。乾燥アルスロスピラは、新国特許第328013 及び第 328740号に記載された方法を用いて、急激な減圧(強化)を受ける。アルスロスピラは、水で戻す、脱色、及び粉砕の処理によって、“プレミックス粉末”を形成する。プレミックス粉末は、好ましいキャリア(例えば市販されて入手可能な水性の英国薬局方のクリーム又は水)に分散される。プレミックス粉末は“AMYCOT プレミックス粉末”と呼ばれる。
【0052】
《実施例2‐ストレスを受けたアルスロスピラの活性の評価》
呼吸計測の結果は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラがキチン、キトサン、及び/又はN‐アセチル‐D‐グルコサミンを含む基質を修飾し又は溶解させる能力を有することを示唆する。
【0053】
〔キチン基質〕
標準量のAMYCOTプレミックス粉末及び未処理の粉末は、別々に、4ユニットのBHDキチン(Sigma社製、カタログ番号C7170)と、ワーバーグレスピロメータ(Warburg Respirometer)内で標準的な手技によって反応された。各組成物は、キチンと混合され、発生したガス量が測定された。反応は、30分の平衡化の後、1時間観察された。予め湯浴により5分間煮沸された以外は同一の組成物は全くガスを生じなかった。このことは、この活性が酵素的なものであり、1種又はそれ以上の変性し得るタンパク質によるものであることを示唆した。
【0054】
図1に結果がプロットされている。未処理の粉末の反応速度(推定上の酵素活性)は694.9 ml/g 細胞物質/g 基質/時間であった。AMYCOTプレミックス粉末の反応速度は729.65 ml/g 細胞物質/g 基質/時間であった。
【0055】
呼吸計測は、活性に最適な温度の決定にも使われた。AMYCOTプレミックス粉末(0.02g及び0.06g)は、キチン(0.02g)と20℃、30℃、33℃、及び40℃でインキュベートされた。基剤であるクリーム(0.05g)中のAMYCOTプレミックス粉末も、同様にキチン(0.02g)と、上述の各温度でインキュベートされた。結果が図29にプロットされている。どちらの場合も活性に最適な温度は33℃と決定された。
【0056】
呼吸計測は同様に活性に最適なpHの決定にも使われた。AMYCOTプレミックス粉末(0.02g)は様々なpHの緩衝液(60〜70% エタノール、30〜40% 水、0〜0.05% フェノールフタレイン、 0〜0.03% ブロモチモールブルー、 0〜0.02% メチルレッド、ナトリウム塩、0〜0.01% 水酸化ナトリウム及び0〜0.01% メチルオレンジ、ナトリウム塩 pH 5, 7, 9 及び11)に懸濁され、キチン(0.02g)と33℃でインキュベートされた。結果は図30にプロットされている。活性に最適なpHは6に決定された。
皮膚は同様の温度とpHであるので、これらの結果は、1又は複数の生物活性物質が、皮膚に局所的に適用されたときに活性を有するであろうことを示唆する。
【0057】
〔N‐アセチル‐D‐グルコサミン及びキトサン基質〕
AMYCOTプレミックス粉末(0.02g)は、N‐アセチル‐D‐グルコサミン(0.02g, シグマ社製カタログ番号 A8625-5G)及びキトサン(0.02g, シグマ社製 カタログ番号C3646)基質と、別々に、ワーバーグレスピロメータ内で33℃でインキュベート標準的な手技によって反応された。各反応は、30分の平衡化の後、1時間観察された。
【0058】
AMYCOTとN‐アセチル‐D‐グルコサミンとの組み合わせの結果を下記表に示す。
【表1】

【0059】
AMYCOT とキトサンと組み合わせの結果を下記表に示す。
【表2】

【0060】
比較として、AMYCOT (0.02g)とキチン(0.02g)とを33°Cでインキュベートした結果を下記表に示す。
【表3】

【0061】
これらの結果は、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラが、キチン、キトサン、及び/又はN‐アセチル‐D‐グルコサミン、又は、N‐アセチル‐D‐グルコサミンをポリマーサブユニットとして有する他のポリマーを、溶解させるか又は修飾する1又はそれ以上の生物活性物質を有することを示唆する。上記生物活性物質は、例えば、キチナーゼ、キトサナーゼ、又はキチン脱アセチル化酵素である可能性がある。
【0062】
《実施例3‐ストレスを受けたアルスロスピラの抗菌及び抗細菌活性》
AMYCOTプレミックス粉末の殺生物活性は、生菌及びグラム陽性菌を用いてインヴィトロで試験された。
【0063】
標的病原菌の生きた培養物は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection,ATCC) 、オーストラリア・コレクション・マイクロオーガニズム(Australian Collection of Microorganisms,ACM)、及びサリバン・ニコライデス(Sullivan Niccolaides)から得た。この試験に用いた培養物を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
同量の各病原菌は、ポテトデキストロースアガー(Potato Dextrose Agar ,PDA)培地を容れたディッシュで培養された。3〜4日のインキュベートの後、PDA培地に滅菌した8mmの穿孔器で4つの穴が作られた。AMYCOTプレミックス粉末及びコントロールのクリーム/粉末が、各穴に入れられた。ディッシュは各病原菌に適した条件で培養され、ディッシュは毎日観察された。
【0066】
2〜4日後、穴の周りの2つの同心円領域:
1.一つは穴の周りの小さい透明な円状の“除去”領域。これは、菌が破壊された領域であり、光学及び電子顕微鏡で観察されるように、乾燥した細胞質物質の残渣が残されているだけである。
【0067】
2.除去領域の周から広がるより大きな“影響された”領域 。影響された領域は、影響されていない菌体と比較して、菌体の高さがより低く、濃度がより低く、透明性がより大きい。これは、菌の細胞壁の大半(まだ存在するものもある)が破壊された領域であり、光学及び電子顕微鏡で観察されるように、しばしば丸い細胞質圏となる。
が明確に観察された。
【0068】
各結果において、穴の外周から各領域の外周まで、各領域の大きさが測定された。この測定は領域間隔(zonal distance、ZD)と呼ばれる。各領域の半径は、インヴィトロでの病原菌に対する1又は複数の殺生物成分の効果の非線形的指標となる。
【0069】
インヴィトロでのコントロール結果を表5に示す。
【表5】

【0070】
図2は、Canada albicans(ACM 4574)のAMYCOTを用いた除去の様子を示す。これは、1又はそれ以上の殺生物物質の鵝口瘡に対する効果を証明するものである。AMYCOTプレミックス粉末は6時の位置であり、12.5% w/wのAMYCOTを水性クリーム内に含む “ヒト試験用クリーム”は12時の位置である(9mmのZD)。
にきびの原因となる嫌気性細菌Propionibacterium acneの場合、嫌気性条件下で試験したとき、除去は起こらなかった。この説明は実施例4にて行う。
【0071】
《実施例4‐ストレスを受けたアルスロスピラのPropionibacterium acneに対する抗細菌作用》
呼吸計測の結果は、AMYCOTがP. acne に対して抗細菌作用を有することを示した。
AMYCOTプレミックス粉末(0.02g)及び12.5% w/w AMYCOT を含む“ヒト試験クリーム”5gを、別々に、嫌気性のにきび菌であるP. acne (ACM No. 5109)と、ワーバーグレスピロメータ内で酸素の存在下及び非存在下の両方で反応させた。この実験の結果は、AMYCOTを含まないP. acne 培養液を用いたコントロールの結果と比較された。酸素非存在下では、ガスは放出されなかった。酸素存在下では、ガスが放出され、各組成物は抗細菌活性を示した。
【0072】
酸素存在下でのAMYCOT及びヒト試験クリームについての結果を、図3にプロットする。AMYCOTプレミックス粉末の(推定上の酵素の)反応速度は626.00 ml/g 細胞物質/g 基質/時間であった。
この結果は、上記組成物がインヴィトロでP. acne に対して抗細菌物質として機能するには、酸素の存在が必須であることを示す。つまり、上記殺生物物質の少なくとも1つは酸化酵素である可能性がある。
【0073】
発明者等は、菌類に対する殺生物物質のうち1又はそれ以上が、菌類の細胞壁を溶解させるか修飾するのではないかと考えている。このような物質は、キチナーゼ、キトサナーゼ、キチン脱アセチル化酵素である可能性がある。
P. acne 及び他のグラム陽性菌は、キチン又はキトサンを細胞壁内に有さないと考えられているが、1又はそれ以上の殺生物物質が、細菌の細胞壁中のN‐アセチル‐D‐グルコサミン/ペプチドグリカンを溶解させるか修飾するのではないかと考えられる。
【0074】
《実施例5‐他の市販のアルスロスピラ材料は、抗菌活性を有する》
乾燥アルスロスピラの市販調製品(粉末、錠剤、及びカプセル)が、異なる管轄の異なる供給者から供給され、抗菌活性を試験された。粉末は、一般的にはアルスロスピラを収穫し、収穫されたアルスロスピラを洗浄し、洗浄されたアルスロスピラを乾燥させることで調製される。アルスロスピラが湿った状態のままで粉砕する供給者もいる。調製は、アルスロスピラを蘇生状態とする等、収穫後のアルスロスピラにストレスを付与する特別のステップを必要としない。実際、上述したように、アルスロスピラの商業的な生産者は、厚い粘膜はアルスロスピラ組織を処理する機械の動きを妨げるので、アルスロスピラに与えるストレスを最小限に抑えるようにする傾向にある。
【0075】
アルスロスピラ(スピルリナ)粉末は、以下の供給者:
1.China Spirulina‐Jiangsu Cibainian Nutrition Food Co., Ltd. 中国
2.Febico‐Far East Biotech Co. Ltd. 台湾
3.Life Stream/Earthrise−DIC. カリフォルニア USA
4. Pacifica−Cyanotech. ハワイ USA
5. Siam Algae Co.−DIC. タイ
6. Spirin‐Yunnan Spirin Co. Ltd. 中国
7. Synergy‐DIC. 中国
から入手された。
【0076】
各粉末は水性クリーム中に12.5% w/wの濃度で混合された。各クリームはその後脱色された。T. rubrumは均一に、デッシュ内、PDA培地上で培養された。3〜4日のインキュベート後、PDA培地に滅菌した8mmの穿孔器で穴が作られた。各穴の中に各クリームが測定された量だけそれぞれ入れられ、ディッシュは2〜4日間インキュベートされた。
【0077】
図4は、12.5% w/w のSiam Algae Co.(3時の位置)、12.5% w/w のLife Stream(6時の位置)、12.5% w/wのChina Spirulina(9時の位置)およびの抗菌活性を示す。
この結果は、試験された市販の粉末の全てが抗菌活性を有することを示す。呼吸計測により、試験された市販の粉末の全てが、キチンとインキュベートされたときに活性(推定上の酵素活性)を有することが確認された(図示せず)。
【0078】
粉末の1つ(Life Stream)は、さらなる処理を経ずに市販の水性クリームと12.5% w/wの濃度で混合され、Aspergillus nigerに対する抗菌活性を試験されるために無作為に選択された。上記クリームは、図5の12、3、6、9時の位置に示すように、4mmの除去領域を作り出した。このことは、全ての市販の乾燥アルスロスピラ調製品が、ストレスを付加する更なるステップ、又はフラグメントの分断等の更なる処理のステップを要することなく、ある程度の抗菌活性を有するであろうことを示した。
【0079】
《実施例6‐哺乳類の真菌病に対するストレスを受けたアルスロスピラの活性》
AMYCOTの抗菌活性が、インヴィトロで哺乳類の異なる真菌病について試験された。以下の病原菌:
・Candida albicans
・Microsporum canis
・Trichophyton mentagrophytes
・Trichophyton rubrum
・Epidermophyton floccosum
・Fusarium graminearum
・Alternaria sp...
・Malassezia furfur
は、第一次産業省、農務省、ACM及び培養所から入手された。
【0080】
同量の各病原菌がPDA培地上で培養された。1〜2日のインキュベート後、PDA培地に滅菌した8mmの穿孔器で穴が作られた。各穴の中にAMYCOTが測定された量だけ入れられた。プレートは、病原菌によって好ましい温度で培養に供された。ディッシュは2〜4日間インキュベートされた。穴を開けられたプレートは、毎日観察された。除去領域は、2‐3日後に測定された。穴の周から領域の外周までを測定することで、領域の大きさが測定された。
【0081】
この領域には生菌細胞がなく、対象病原菌に対するAMYCOTの活性が実証された。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌T. rubrumの8mmの除去領域を作り出した。T. rubrumは蹄の感染症及びたむしの病因である。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌T. mentagrophytesの15mmの除去領域を作り出した。T. mentagrophytesは蹄の感染症及びたむしの病因である。
【0082】
図6は、12.5% w/w AMYCOT含有クリームが、病原菌M. canisの3mmの除去領域を作り出したことを示す。M. canisは蹄の感染症及びたむしの病因である。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌E. floccosumの3mmの除去領域を作り出した。E. floccosumは蹄の感染症及びたむしの病因である。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌C. albicansの4.5mmの除去領域を作り出した。C. albicansはたむし及び皮膚炎の病因である。
【0083】
図7は、12.5% w/w AMYCOT含有クリームが、病原菌F. graminearumの12mmの除去領域を作り出したことを示す。F. graminearumは蹄の感染症の病因である。
図8は、12.5% w/w AMYCOT含有クリームが、病原菌M. furfurの除去領域を作り出したことを示す。M. furfurはふけ症の病因である。
【0084】
図9aは、5% w/w AMYCOT含有シャンプーが、病原菌T. rubrumの3mmの除去領域を作り出したことを示す。
図9bは、5% w/w AMYCOT含有シャンプーが、病原菌C. albicansの4mmの除去領域を作り出したことを示す。
【0085】
《実施例7‐植物の真菌病に対するストレスを受けたアルスロスピラの活性》
植物の異なる真菌病に対するAMYCOTの抗菌活性がインヴィトロで試験された。以下の病原菌:
・Fusarium graminearum
・Pithomyces Chartarum
・Botrytis cinerea
・Alternaria sp..
は、第一次産業省、農務省、ACM及び培養所から入手された。
【0086】
同量の各病原菌がPDA培地上で培養された。1〜2日のインキュベート後、PDA培地に滅菌した8mmの穿孔器で穴が作られた。各穴の中にAMYCOTが測定された量だけ入れられた。プレートは、病原菌によって好ましい温度で培養に供された。穴を開けられたプレートは毎日観察された。
除去領域は2‐3日後に測定された。穴の周から領域の外周までを測定することで、領域の大きさが測定された。
上記領域には生菌細胞がなく、標的病原菌に対するAMYCOTの活性が実証された。
【0087】
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌F. graminearumの13mmの除去領域を作り出した。F. graminearumは小穀物の赤カビ病及び菌核病の病因である。
図10は、12.5% w/w AMYCOT含有クリームが、病原菌P. chartarumの10mmの除去領域を作り出したことを示す。P. chartarumは羊及び牛の顔面湿疹の病因である。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌B. cinereaの8mmの除去領域を作り出した。B. cinereaは果実のボトリチス病の病因である。
12.5% w/w AMYCOT含有クリームは、病原菌Alternaria sp.の9mmの除去領域を作り出した。Alternaria sp.は果実の斑点病の病因である。
【0088】
《実施例8‐AMYCOTの植物性真菌病への噴霧剤としての試験》
抗菌噴霧剤の形態で一般的な植物の病原菌であるBotrytis cinereaに対するインヴィトロにおけるAMYCOTの試験が行われた。
B. cinereaは均一に、ディッシュ内のPDA培地上で培養された。ディッシュは右側に上記噴霧剤が噴霧され、その後24時間室温に置かれた。ディッシュの左側には噴霧はされなかった。図11は、ディッシュの噴霧された側に死んだ真菌が存在することを示す。噴霧剤はボトリチス病を解消し、さらなる胞子形成を阻害する。
【0089】
《実施例9‐ストレスを受けたアルスロスピラ及び既報の活性物質を用いたインヴィトロの抗微生物試験》
種々の市販の抗菌及び抗細菌クリーム(Lamisil(商標), Dakta Gold(商標), Canesten(商標), Tinaderm(商標), Daktarin(商標), Tripod Labs(商標), Resolve Tinea(商標), Resolve Balm(商標), Resolve Plus(商標), Clearasil(商標), Benzac W(商標))の抗菌及び抗細菌活性及びAMYCOTが本例及び他の例で試験された。
【0090】
本例では、対象病原菌であるTrichophyton mentagrophytes, Epidermophyton floccosum, Trichophyton rubrum and Propionibacterium acneに対する、種々の市販のクリーム及びAMYCOTの抗菌及び抗細菌活性は、独立の研究所((ConMac Laboratory Services)で試験された。
結果は表6に示される。
結果はAMYCOTのみが各病原菌に対して活性を有することを示す。活性を示すクリームは他にT. rubrumに対するLamisil(商標)のみであった。
【0091】
【表6】

【0092】
《実施例10‐既報の活性物質及びAMYCOTとの組み合わせを用いたインヴィトロ試験》
ミコナゾール、トルナフテート、ビフォナゾール、及びクロトリマゾール等の抗菌物質は、特定のタンパク質生成を阻害したり、複製等の正常の機能を妨げたりすることで機能する。抗菌クリームは、必須ステロールの合成を妨げることで機能する。
【0093】
これらのインヴィトロ試験の第一の目的は、種々の市販のクリームの効果又はその真菌阻害剤としての活性を究明すると共に、AMYCOTの効果と比較することである。また、第二の目的は、1又はそれ以上の市販のクリームとの組み合わせにおけるAMYCOTの効果又は真菌阻害剤としてのそれらの活性を究明することである。
【0094】
サブロー液体培地は選択された病原菌を植菌された。培養液はそれから28℃で1週間インキュベートされた。滅菌綿球がこの病原菌の培養液に浸され、PDA培地プレートは、プレートがそれぞれ均一量を植菌されるように、直行する方向にこのプレートに線を引かれることによって植菌される。
【0095】
未だ基剤がクリームとされていない既報の活性物質は、クリーム基剤と混合された。選択されたクリームは直径10mmのろ紙ディスクに置かれ、このディスクは新たに植菌されたプレートに置かれた。4つの異なるディスクが一のプレート上に置かれた。プレートは各病原菌に適した温度で24〜48時間インキュベートされた。写真は、24〜48時間の終了時に撮られたものである。
【0096】
阻害試験の結果を図12〜21及び下記表7〜16に示す。
【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
【表10】

【0101】
【表11】

【0102】
【表12】

【0103】
【表13】

【0104】
【表14】

【0105】
【表15】

【0106】
【表16】

【0107】
通常使用されるアルコール基剤の対照として、図21の既報の活性物質は水溶性クリーム基剤に混合されている。
インヴィトロ試験においてミコナゾール及びクロトリマゾールは、病原性の菌類の最も効果的な阻害剤となるようである(図12〜21参照)。図16及び図17並びに表11及び表12はミコナゾールが菌類の効果的な阻害剤であることを立証するものである。AMYCOTは同様に阻害剤として働くが、クロトリマゾール及びミコナゾールの約40%の効果しかない。図18〜21及び表13〜16は、AMYCOTとミコナゾールとの組み合わせ、及びAMYCOTとクロトリマゾールとの組み合わせが、テルビナフィン及びトルナフテート.と比較したときに、インヴィトロで菌類の最も効果的な阻害剤であることを示唆する。
【0108】
インヴィトロ試験の第三の目的は、種々の市販のクリームの効果又はそれらの殺菌剤としての活性を究明すると共に、AMYCOTの効果と比較することである。インヴィトロ試験の第四の目的は、既報の活性物質と組み合わせたAMYCOTの効果を究明することである。
殺菌性の試験は、一定量の病原菌をPDA培地プレート上で2〜3日培養し、その後生長した病原菌を抗菌物質に暴露することを含む。これは穴を開けるように培養後の寒天培地を切り、この寒天培地を除き、この穴にクリームを充填することでなされる。
【0109】
図22〜28及び下記表17〜23に殺菌性の試験の結果を示す。
【表17】

【0110】
【表18】

【0111】
【表19】

【0112】
【表20】

【0113】
【表21】

【0114】
【表22】

【0115】
【表23】

【0116】
通常使用されるアルコール基剤の対照として、図28の既報の活性物質は水溶性クリーム基剤に混合されている。
結果は、これらの市販の抗菌物質及び既報の活性物質が静菌剤であって殺菌剤ではないことを支持する。図22〜28及び下記表17〜23はAMYCOTが効果的な抗菌剤であり、それは既報の活性物質と組み合わせても変わらないことを示す。
【0117】
AMYCOTとミコナゾール又はクロトリマゾールとの組み合わせは、いずれの効果も著しく減少させなかった。組み合わせは阻害効果を増大させる(図17〜22を参照)。これは非常に広範な効果を有する製造物を作り出した。
AMYCOTのクロトリマゾールとの組み合わせは、AMYCOTの抗菌活性をわずかに阻害した(図22〜図28参照)が、AMYCOTのミコナゾールとの組み合わせは組み合わせにより得られたクリームの阻害又は殺菌活性に大きな不利益な効果はもたらさない(図17〜26参照)。
【0118】
AMYCOTとミコナゾールとが組み合わせられたクリームは、ミコナゾールの通常の阻害性や、AMYCOTの阻害及び殺菌活性の両方によるよりも、広範な製造物としてより効果的である。
組み合わせにより得られたクリームは、阻害剤として機能すると共に、ミコナゾール単独によって得られた除去領域が病原菌 T. mentagrophyteの場合は再生によって侵食されるのに対して、“堅持”する。
AMYCOT配合クリームと2% ミコナゾールとの組み合わせは穴に除去領域が形成された後の病原菌の再生を抑制することが、同様に見出された。
【0119】
《実施例11‐種々の肌症状におけるアルスロスピラの試験》
対象者は、進行性の水虫を患っており、足指に深い病巣を有していた。対象は、12.5% w/w AMYCOT クリームの最初の塗布から15分以内に菌類によるかゆみが止まったと報告した。炎症は低減され、12時間で完全に消えたケースもあった。病巣は24時間以内に収束し、4〜5日以内に完全に治癒した。
【0120】
このようなことはにきびの場合にも観察された。対象者は、関連した炎症が消えると共に、肌は通常の色に戻り、新たな皮膚のように柔らかくしなやかになったと記録している。膿疱も同様に乾燥した。
【0121】
発明者らは、1又はそれ以上の殺生物物質(例えば、キチナーゼ、キトサナーゼ、デアセチラーゼ)がアルスロスピラの他の成分と相乗的に相互作用して、治療効果を上げると考えている。菌感染における痒みは、菌類からの消化酵素又は代謝物の放出を示す。細胞壁が分断されることで通常の菌の代謝が一旦分断されると、かゆみは止まる。
【0122】
同様の結果が、菌類の関係しない症状、かかと及びひじのひび割れ、酒さ、湿疹、日光で痛んだ皮膚、並びに乾癬へ上記クリームを使用したときにも得られた。対象者は皮膚炎による痒みがほぼ即座に解消したと報告している。
【0123】
《実施例12‐“未処理”粉末を用いたストレスを受けたアルスロスピラの抗菌活性》
実施例5は、乾燥アルスロスピラの市販調製品が更なるストレス付加のステップ、又はフラグメントの分断等の収穫後の処理ステップを要することなくある程度の抗菌活性を示すであろうことを支持した。実施例12はこの知見をさらに支持するものである。
【0124】
アルスロスピラの乾燥調製品は、商業的な生産者から入手した。調製品は、市販の水性クリームと12.5% w/wの濃度で、更なる処理を行うことなく混合され、T. mentagrophytes 、T. rubrum 及び M. fructicolaに対する抗菌活性を試験された(実施例5で述べた通り)。
【0125】
図31に示すように、上記クリームは12、3、6、及び9時の位置において、T. mentagrophytesに対して除去領域を形成した。
図32に示すように、上記クリームは6時の位置においてT. rubrumに対して除去領域を形成した。
図33に示すように、上記クリームは6時の位置において、M. fructicola に対して除去領域を形成した。
これらの知見は、急激な減圧、凍結乾燥、脱色、及び粉砕等の収穫後のステップはアルスロスピラが抗菌活性を持つようにするためには実行される必要はないことを支持する。
【0126】
《実施例13‐急激な減圧を受けないアルスロスピラの抗菌活性》
本例はさらに、急激な減圧(強化)による収穫後のステップが、アルスロスピラが抗菌活性を有するようにするために必要ではないことを支持する。
アルスロスピラの乾燥調製品は、商業的な生産者から入手された。ある場合においては、乾燥アルスロスピラは、新国特許第328013号及び第328740号に記載されるように急激な減圧(強化)によって分断された。アルスロスピラは、乾燥“プレミックス粉末”を形成するために、水で戻されたり、脱色されたり、乾燥されたり、粉砕されたりする。このプレミックス粉末が適切なキャリア(12.5%)内に懸濁されたものを、“強化AMYCOTと呼ばれる。
【0127】
他の場合は、調製品は新国特許番号328013号及び第328740号に記載された方法による急激な減圧を受けず、この調製品は“原AMYCOT”と呼ばれる。
図34に示すように、“原AMYCOT”及び“強化AMYCOT”の両方は、それぞれ12及び7時の位置においてAlternaria sp..に対して同等の除去領域を形成した。つまり、急激な減圧はアルスロスピラが抗菌活性を有するようにするために必須の収穫後のステップではない。
【0128】
この発明の要旨を逸脱しない範囲で、上記に例示された組成物、使用方法及びに調製品について、種々の変更を加えることができる。
本明細書において、文脈からそうでないと要求されない限り、“含む”という用語、及び“含有”又は“含有の”等のこの用語の変化活用形は、記載されている構成又は構成群を包含することを意味するのであって、それ以外の構成又は構成群を除外しようとするものではない。
【0129】
本明細書で参照された刊行物は全て、その開示内容がオーストラリアにおける周知の通常の知識を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】呼吸計測により評価された、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラ(AMYCOT(商標)及び未処理の粉末)のキチンに対する活性を示す。
【図2】AMYCOTのC. albicansに対する抗菌活性を示す。
【図3】呼吸計測により評価された、AMYCOTのP. acne に対する抗細菌活性を示す。
【図4】他の商業的に調製されたアルスロスピラ(スピルリナ)のT. rubrumに対する抗菌活性を示す。
【図5】商業的に(Life Stream社)調製されたアルスロスピラのA. nigerに対する抗菌活性を示す。
【図6】AMYCOTのM. canisに対する抗菌活性を示す。
【図7】AMYCOTのF. graminearumに対する抗菌活性を示す。
【図8】AMYCOTのM. furfurに対する抗菌活性を示す。
【図9a】シャンプーAMYCOTのT. rubrum に対する抗菌活性を示す。
【図9b】シャンプーAMYCOT のC. albicansに対する抗菌活性を示す。
【図10】AMYCOT のP. chartarumに対する抗菌活性を示す。
【図11】AMYCOT のB. cinereaに対する抗菌活性を示す。
【図12】AMYCOT及び種々の既報の抗菌物質を用いたT. rubrum 阻害結果を示す。
【図13】AMYCOT及び種々の既報の活性物質を用いたT. mentagrophytes阻害結果を示す。
【図14】AMYCOT及び種々の既報の活性物質を用いたC. albicans阻害結果を示す。
【図15】既報の活性物質を用いたC. albicans阻害結果を示す。
【図16】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOT、及び種々の既報の活性物質を用いたT. mentagrophytesの阻害結果を示す。
【図17】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOT、及び種々の既報の活性物質を用いた C. albicans阻害結果を示す。
【図18】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes阻害結果を示す。
【図19】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes阻害結果を示す。
【図20】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOT、及び種々の既報の活性物質を用いたT. mentagrophytes阻害結果を示す。
【図21】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOT、及び種々の既報の活性物質を用いたC. albicans阻害結果を示す。
【図22】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes殺菌結果を示す。
【図23】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. rubrum殺菌結果を示す。
【図24】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes殺菌結果を示す。
【図25】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes殺菌結果を示す。
【図26】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. mentagrophytes殺菌結果を示す。
【図27】は、既報の活性物質との組み合わせたAMYCOT、及び種々の既報の活性物質を用いたC. albicans殺菌結果を示す。
【図28】既報の活性物質との組み合わせたAMYCOTを用いたT. rubrum殺菌結果を示す。
【図29】呼吸計測により評価された、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラ(AMYCOT)の互いに異なる温度におけるキチンに対する活性を示す。
【図30】呼吸計測により評価された、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラ(AMYCOT)の互いに異なるpH環境におけるキチンに対する活性を示す。
【図31】アルスロスピラのT. mentagrophyteに対する抗菌活性を示す。
【図32】アルスロスピラのT. rubrumに対する抗菌活性を示す。
【図33】アルスロスピラのM. fructicolaに対する抗菌活性を示す。
【図34】“強化AMYCOT”及び“原AMYCOT”のAlternaria sp.に対する抗菌活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キチン、キチン誘導体又はN‐アセチル‐D‐グルコサミンをポリマーサブユニットとして有するポリマーを消化又は修飾する組成物であり、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物。
【請求項2】
キチン、キチン誘導体、又はN‐アセチル‐D‐グルコサミンをポリマーサブユニットとして有するポリマーを消化又は修飾する方法であり、キチン誘導体、又はN‐アセチル‐D‐グルコサミンをポリマーサブユニットとして有するポリマーと生理学的ストレスを受けたアルスロスピラとを接触させるステップを含む方法。
【請求項3】
アルスロスピラ由来の生物活性物質を同定する方法であって、以下のステップ:
(I)生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物と、アルスロスピラ由来の生物活性物質により修飾可能な少なくとも1つの試験基質とを混合するステップ;及び、
(II)上記試験基質の修飾を検出するステップ、
を含む方法。
【請求項4】
上記生物活性物質は、キチナーゼ、キトサナーゼ、又はキチン脱アセチル化酵素であり、上記試験基質はキチン、キチン誘導体、又はN‐アセチル‐D‐グルコサミンをポリマーサブユニットとして有するポリマーである請求項3の方法。
【請求項5】
殺生物剤及び/又は治療薬剤として使用される組成物であって、生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む組成物。
【請求項6】
対象における生物による感染又は侵入を予防又は処理する方法であって、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む有効量の組成物を対象に付与するステップを含む方法。
【請求項7】
上記処理又は予防が必要な対象を同定するステップを最初に同定するステップを含む請求項6の方法。
【請求項8】
殺生物剤及び/又は治療薬剤として使用される、アルスロスピラをベースとする組成物を調製する方法であって、以下のステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを付与するステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ
を含む方法。
【請求項9】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤の添加より前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ、及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラに凍結乾燥を施すステップを行わない請求項8の方法。
【請求項10】
請求項9の方法によって調製されたアルスロスピラをベースとする組成物。
【請求項11】
殺生物剤及び/又は治療薬剤として用いられるアルスロスピラをベースとする組成物を調製する方法であって、以下のステップ:
(1)アルスロスピラが生長し得る液体の約80%を除くことで、アルスロスピラに生理学的にストレスを与えるステップ;
(2)ストレスを受けたアルスロスピラを、混入物質を除くように洗浄するステップ;
(3)洗浄後のアルスロスピラを乾燥させるステップ;及び、
(4)洗浄後のアルスロスピラと、適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む方法。
【請求項12】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤を加えるより前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ、及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラに凍結乾燥を施すステップを行わない請求項11の方法。
【請求項13】
請求項12の方法によって調製される、アルスロスピラをベースとする組成物。
【請求項14】
抗菌剤として使用される組成物であって、生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む組成物。
【請求項15】
対象への菌類の感染又は侵入を予防又は処理する方法であって、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む組成物を有効量、上記対象に付与するステップを含む方法。
【請求項16】
このような処理又は予防が必要な対象を最初に特定するステップを含む請求項15の方法
【請求項17】
上記対象は、ヒト、動物、農業又は園芸の産物、土、人工の構造物、及び水路から選択される請求項16の方法。
【請求項18】
生理学的ストレスを受けたアルスロスピラ及び少なくとも1つの静菌剤の相乗的な組み合わせを含む抗菌組成物。
【請求項19】
上記静菌剤が、テルビナフィン、ビフォナゾール, クロトリマゾール, ミコナゾール, エコナゾール, ケトコナゾール及びトルナフテートからなる群より選択される請求項18の抗菌組成物。
【請求項20】
対象への菌類の感染又は侵入を予防又は処理する方法であって、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラと少なくとも1つの静菌剤との相乗的な組み合わせを含む有効量の組成物を、上記対象に付与するステップを含む方法。
【請求項21】
このような処理又は予防が必要な対象を最初に同定するステップをさらに含む請求項20の方法。
【請求項22】
上記静菌剤は、テルビナフィン, ビフォナゾール, クロトリマゾール, ミコナゾール, エコナゾール, ケトコナゾール及びトルナフテートからなる群より選択される請求項20の方法。
【請求項23】
請求項18の組成物を調製する方法であって、以下のステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを与えるステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと少なくとも1つの静菌剤及び適切なキャリア、溶剤、基材又は賦形材とを混合するステップ、
を含む方法。
【請求項24】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤の添加より前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラを凍結乾燥するステップを行わない請求項23の方法。
【請求項25】
抗細菌物質として使用される組成物であって、生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む組成物。
【請求項26】
対象への細菌の感染又は侵入を予防又は処理する方法であって、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む有効量の組成物を対象に付与するステップを含む方法。
【請求項27】
上記処理又は予防が必要な対象を最初に同定するステップをさらに含む請求項26の方法。
【請求項28】
上記細菌はPropionibacterium acneである請求項27の方法。
【請求項29】
上記対象は、ヒト、動物、農業又は園芸の産物、土、人工の構造物、及び水路から選択される請求項27の方法。
【請求項30】
請求項25の組成物を調製する方法であって、下記ステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを与えるステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと、適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む方法。
【請求項31】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤の添加より前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラを凍結乾燥するステップを行わない請求項30の方法。
【請求項32】
殺虫剤として使用される組成物であって、生理学的ストレスを受けた有効量のアルスロスピラを含む組成物。
【請求項33】
害虫を抑圧する又は殺す方法であって、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む有効量の組成物の投与又は塗布を含む方法。
【請求項34】
上記害虫は、甲殻類、ダニ類、昆虫類及び寄生虫からなる群より選択される請求項33の方法。
【請求項35】
請求項32に記載の組成物を調製する方法であって、下記ステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを付与するステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む方法。
【請求項36】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤の添加より前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ、及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラに凍結乾燥を施すステップを行わない請求項35の方法。
【請求項37】
哺乳類の皮膚の異常を治療又は予防する組成物であって、有効量のアルスロスピラを含む組成物。
【請求項38】
生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む請求項37の組成物。
【請求項39】
哺乳類の皮膚の異常を治療又は予防する方法であって、アルスロスピラを含む有効量の組成物の塗布を含む方法。
【請求項40】
上記組成物は生理学的ストレスを受けたアルスロスピラを含む請求項39の方法。
【請求項41】
上記処理又は予防を必要とする哺乳類を最初に同定するステップを含む請求項39の方法。
【請求項42】
請求項38に記載の組成物を調製する方法であって、下記ステップ:
(1)アルスロスピラに生理学的ストレスを付与するステップ;及び
(2)ストレスを受けた上記(1)のアルスロスピラと適切なキャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤とを混合するステップ、
を含む方法。
【請求項43】
上記キャリア、溶剤、基剤、又は賦形剤の添加より前に、生理学的ストレスを受けたアルスロスピラに急激な減圧を施すステップ、及び/又は生理学的ストレスを受けるアルスロスピラに凍結乾燥を施すステップを行わない請求項42の方法。
【請求項44】
上記皮膚の異常は、あばた、ニキビによる損傷、酒さ、赤くなった箇所、ひび割れ、やけど、水ぶくれ、乾癬、湿疹、落屑症、しわ、丘疹、口内炎、損傷、膿疱、外傷、新生児頭部皮膚炎、おむつかぶれ、潰瘍、ヘルペス、かみそり負け、水疱瘡、皮膚炎、かかと及びひじのひび割れからなる群より選択される請求項40の方法。
【請求項45】
アルスロスピラはA. maximaである請求項9の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2008−518977(P2008−518977A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539420(P2007−539420)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001693
【国際公開番号】WO2006/047830
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507145802)バイオヴァイト オーストラリア ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】