説明

アルブチンの分離精製方法

【課題】 植物体よりアルブチンを収率良く分離精製する方法、特に、アルブチンの工業的レベルの製造方法として利用可能な、植物体より高純度のアルブチンを安価に、収率良く、分離精製する方法を提供すること。
【解決手段】 アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に付し、次いでアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に付すことにより、高純度のアルブチンを収率良く分離精製することが可能である。該ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理と、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理は、吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いて行うことができる。該吸着処理は、2種類の特性の異なるポリスチレン系の合成吸着剤を用い連続的に処理することにより、行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物体よりアルブチンを抽出、分離精製する方法、特に、植物体より高純度のアルブチンを収率良く分離精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルブチンは、ハイドロキノンβ−D−グルコピラノシド(p−ハイドロキシフェニル−β―D−グルコピラノシド)の構造を持つハイドロキノンの配糖体であり、利尿剤や尿路消毒剤として古くから知られ、また、近年メラニン産生抑制作用が知られたことから、美白効果等の目的から化粧料等に広く用いられている物質である。
【0003】
従来より、アルブチンはフェノール配糖体の一種として、ツツジ科(Ericaceae)、バラ科(Rosaceae)、ユキノシタ科(Saxifragaceae)などに属する植物体に広く存在することが知られ、低毒性で優れた生理活性を有していることより、近年ますます注目されてきている物質である。例えば、ツツジ科のウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)にはアルブチンが主成分として5〜7.5%含まれ(非特許文献1)、その抗菌性を利用して抗生物質が出現するまで泌尿器疾患の消毒薬として繁用されていた。また、アルブチンのメラニン色素抑制作用(非特許文献2)が見出され、安全性の高い皮膚美白化粧料の有効成分として利用することが開示されている(特許文献1参照)。このように有用視されているアルブチンは、ウワウルシ以外にも同じツツジ科のコケモモ(Vaccinium Vitis-Idaea)に4〜6%(非特許文献3)、バラ科ナシ属(Pyrus communis)にも数%(非特許文献4)含まれていることが知られている。
【0004】
しかしながら、現在、アルブチンは工業的生産レベルでは、化学合成法(非特許文献5)によって製造されており、植物体からの抽出による製造は行なわれていない。アルブチンの植物体からの分離精製法自体に関しては、植物の培養細胞を用いて培地中にアルブチンを産出させ、培地よりアルブチンを抽出し活性炭カラムクロマトグラフィー及び再結晶法により分離精製する方法(特許文献2)や、抽出したアルブチンをシリカゲルカラム精製により精製する方法(特許文献3)等が開示されているが、植物体そのものから効率的にアルブチンを抽出し、分離精製する方法に関してはこれまで報告がなかった。
【0005】
一方で、従来よりアルブチンの工業的製造法として用いられている化学合成法は、グルコースのアセチル化、ハイドロキノンとの縮合、アルカリ加水分解の少なくとも3工程が必要とされる複雑な製法である為、この方法によって製造されたアルブチンは合成品の中では比較的高価なものとなっている。また、工程中、毒性の強い試薬を使用していることから、取扱上注意を要し、製品へ不純物として混入することも懸念される。別に、化学合成法に替わる方法として、微生物や植物の培養液にハイドロキノンを添加しグリコシレーションによりアルブチンを産生させ回収する方法(特許文献4、5、6)も提案されているが、培養条件の設定が困難で培養期間も長いことから、工業的な実施には問題を残している。
【0006】
以上のことを鑑みた場合、化学合成による方法は、安全性や費用或いは効率の問題から、その実用上問題を有しており、一方で、植物体よりアルブチンを抽出し製造する方法では、安全性を確保することは期待できるが、従来、精製度の高い、収率の良い、分離精製法が開発されていなかったため、アルブチンを精製するには複雑な工程と多大な費用を要し、回収率も低いことから、工業的レベルの実用的なアルブチンの製造方法として期待できない状況にあった。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−227516号公報。
【特許文献2】特開平2−184695号公報。
【特許文献3】特開平7−224083号公報。
【特許文献4】特開昭61−124391号公報。
【特許文献5】特開昭62−44174号公報。
【特許文献6】特開昭63−68094号公報。
【非特許文献1】日本公定書協会編,日本薬局方解説書,第11改正,p.D-70,廣川書店,1986年。
【非特許文献2】Proc. Jpn. Soc. Invest. Dermatol. 12巻,138〜139p,1988年。
【非特許文献3】薬学雑誌,40,639,1920年。
【非特許文献4】Bull. Fruit Tree Res. Stn. A6:15〜26, 1979年。
【非特許文献5】宍戸圭一,工業化学雑誌,39,456,1936年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、植物体よりアルブチンを収率良く分離精製する方法、特に、アルブチンの工業的レベルの製造方法として利用可能な、植物体より高純度のアルブチンを安価に、収率良く、分離精製する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、アルブチンの工業的レベルの製造方法として利用可能な、アルブチンの製造方法について、鋭意検討する中で、安価で、安全なアルブチンの製造が可能な、植物体からの抽出精製法について注目した。従来の活性炭カラムクロマトグラフィー法や、シリカゲルカラム精製法によるアルブチン分離回収方法が、アルブチンの工業的レベルの製造方法として適用可能かどうかを検討したところ、活性炭カラムクロマトグラフィー法による方法では、活性炭カラムへの吸着・溶出条件がそのまま使用できず、活性炭からのアルブチンの回収率も満足できるものではなく、また、シリカゲルカラム精製法による方法では、クロロホルムのような有機溶媒を使用するので、プラント設置のコストの問題や環境に対する問題などで、いずれも工業的レベルの製造方法として、適用できるものではなかった。
【0010】
そこで、植物体より高純度のアルブチンを安価に、収率良く、分離精製する方法について、鋭意検討した結果、アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に付し、次いでアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に付すことにより、高純度のアルブチンを収率良く分離精製することが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。該ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理と、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理は、吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いて行うことができる。
【0011】
該本発明の吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いた処理としては、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理を200〜300Åの細孔半径を有する樹脂吸着剤で行い、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、第1の処理で用いる樹脂吸着剤の細孔半径より小さな細孔半径であり、かつ、第1の処理で用いる樹脂吸着剤より強い疎水性を有している樹脂吸着剤で行う処理方法を挙げることができる。
【0012】
すなわち、本発明の開発の経緯について説明すると、本発明者は、植物体からのアルブチン抽出方法や抽出液中のアルブチンの種々の合成吸着剤に対する吸着特性について検討を重ねた結果、2種類の特性の異なるポリスチレン系の合成吸着剤を用い連続的に処理することにより、植物からのアルブチン抽出液に含まれるポリフェノール含有夾雑物を効率的に除去し、かかる処理によって、第2のポリスチレン系の合成吸着剤におけるアルブチンの吸着及び溶出を容易にして、高純度のアルブチンを、収率良く分離精製する方法を見い出した。
【0013】
かかる2種類の特性の異なるポリスチレン系の合成吸着剤としては、疎水性の強さと細孔の大きさを異にした2種類の合成吸着剤が用いられ、最初により疎水性の弱い第1の吸着剤に植物体のアルブチン抽出液を通液させることによりポリフェノール含有夾雑物の大部分が吸着され、引き続きその通過液をより疎水性の強い第2の吸着剤に通液させることにより目的とするアルブチンが確実に吸着分離され、洗浄後、溶出させることにより、容易に純度の高いアルブチンが得られた。
【0014】
本発明におけるポリスチレン系の合成吸着剤の特に好ましい例としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香族系吸着剤を挙げることができる。また、本発明の高純度アルブチンの分離精製方法においては、必要に応じて、陰イオン交換樹脂による脱色法や再結晶法などを組み合わせることにより、更にアルブチンの精製度を高めることもできる。
【0015】
すなわち具体的には本発明は、(1)アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に付し、次いでアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に付すことを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法や、(2)ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理と、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いて行うことを特徴とする上記(1)記載の高純度アルブチンの分離精製方法や、(3)ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理を200〜300Åの細孔半径を有する樹脂吸着剤で行い、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、第1の処理で用いる樹脂吸着剤の細孔半径より小さな細孔半径であり、かつ、第1の処理で用いる樹脂吸着剤より強い疎水性を有している樹脂吸着剤で行うことを特徴とする上記(2)記載の高純度アルブチンの分離精製方法からなる。
【0016】
また本発明は、(4)ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に用いる樹脂吸着剤及び/又はアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に用いる樹脂吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香族系吸着剤であることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の高純度アルブチンの分離精製方法や、(5)アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、第1の吸着剤で処理してポリフェノール含有夾雑物を吸着除去し、引き続き第2の吸着剤でアルブチンを吸着させ、洗浄後、溶出させ、回収することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法や、(6)アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液が、アルブチン含有植物体のアルブチンを熱水抽出し、濃縮後、エタノールに転溶させ夾雑物を減少させたものであることを特徴とする請求項5記載の高純度アルブチンの分離精製方法からなる。
【0017】
さらに本発明は、(7)アルブチン含有植物体が、バラ科ナシ属に属するアルブチン含有植物体であり、そのアルブチン抽出液がそれらの果実、葉、枝からアルブチンを抽出した抽出液であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法や、(8)上記(1)〜(7)のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液を、Cl型の陰イオン交換樹脂で脱色し、濃縮後にエタノールに転溶させ、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理で用いた吸着剤で再処理し、更にアルブチンの純度を高めることを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法や、(9)上記(1)〜(7)のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液を、濃縮し、冷蔵保管することによりアルブチンを再結晶させ、更にアルブチンの純度を高めることを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法からなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物体より安価に収率良く高純度のアルブチンを分離精製する技術が提供され、アルブチンの工業的な製造が可能となる。また、本発明により製造されるアルブチンは、安全性の高い植物体からの抽出であるのと、工程中毒性の強い薬品を全く使用していないことから、該アルブチンは極めて安全性の高いものであり、本発明により、該アルブチンの工業的な製造及び提供が可能となる。更に、本発明において、アルブチンの抽出原料として用いられる植物体は、従来、特に纏まった利用がなく、通常、廃棄物として棄てられていたものであるから、該植物体を原料として利用する本発明の方法は、未利用資源の有効活用の面からも好適であり、新たな産業の創生も期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に付し、次いでアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に付すことにより、高純度アルブチンを収率良く分離精製する方法よりなる。本発明においては、該ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理と、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理とは、吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いて行うことができ、好ましくはポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理を200〜300Åの細孔半径を有する樹脂吸着剤で行い、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、第1の処理で用いる樹脂吸着剤の細孔半径より小さな細孔半径であり、かつ、第1の処理で用いる樹脂吸着剤より強い疎水性を有している樹脂吸着剤で行うことができる。
【0020】
本発明において、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に用いる樹脂吸着剤、及びアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に用いる樹脂吸着剤の特に好ましい例としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香族系吸着剤を挙げることができる。該吸着剤を用いてアルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、第1の吸着剤で処理してポリフェノール含有夾雑物を吸着除去し、引き続き第2の吸着剤でアルブチンを吸着させ、洗浄後、溶出させ、高純度アルブチンを回収する。アルブチン含有植物体からのアルブチンの抽出は、アルブチン含有植物体のアルブチンを熱水抽出し、濃縮後、エタノールに転溶させ夾雑物を減少させることにより行うことができる。
【0021】
本発明の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液は、Cl型の陰イオン交換樹脂で脱色し、濃縮後にエタノールに転溶させ、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理で用いた吸着剤で再処理することにより、更にアルブチンの純度を高めることができ、また、本発明の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液を、濃縮し、冷蔵保管することによりアルブチンを再結晶させ、更にアルブチンの純度を高めることもできる。
本発明において、抽出原料として用いられるアルブチン含有植物体は、アルブチンを含有する植物体であれば、特に制限はないが、好ましい植物原料としては、バラ科ナシ属に属するアルブチン含有植物体が挙げられ、それらの果実、葉、枝からアルブチン抽出液を調製することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施の態様について、吸着剤としてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香属系吸着剤を用いた場合を例示として更に詳述する。
本発明において用いられる合成吸着剤は2種類あり、好ましくは、いづれもスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香属系吸着剤を挙げることができる。この2種類の合成吸着剤は互いに特性を異にしている。すなわち、第1に用いられる吸着剤は200〜300Åの比較的大きな細孔半径を有しているため、ポリフェノール類等と共に蛋白質などの大分子も吸着することが出来、また、第2に用いられる吸着剤は第1の吸着剤に比較して小さな細孔半径とより強い疎水性を有しているため、第1の吸着剤では吸着出来ない色素類、低分子有機化合物類などを吸着出来るという特性を有している。
【0023】
本発明では、このような2種類の合成吸着剤を連続的に用いて植物体のアルブチン抽出液からアルブチンを分離精製することを特徴としている。当然のことながら第1の吸着剤を用いずに抽出液を直接第2の吸着剤に通液処理させる方法も考えられる。しかしながら、この方法では吸着剤に対するアルブチンの吸着性が悪く、かつ合成吸着剤の使用量が大幅に増えるという欠点が認められた。すなわち、予め抽出液を第1のような特性を持つ吸着剤に通過させ、ポリフェノール等の夾雑物を吸着除去し、通過液中の夾雑物の濃度を減少させアルブチンの濃度を高めておくことが、第2のような特性を持つ吸着剤に対するアルブチンの吸着性を向上させるのに必要であり、その結果として溶出させて得られるアルブチンの純度も高まることを本発明者は見い出した。
【0024】
尚、当事者に周知の事実として、合成吸着剤以外にも、例えばシリカゲル、オクタデシル基化学結合型シリカゲル(ODS)、セファデックスLH20などを用いた各種クロマトグラフィーによりアルブチンを分離精製出来ることも知られているが、これらの吸着剤のアルブチンの分離精製能力と共に、これら充填剤及びその分取システムは非常に高価であり、有害な有機溶媒を使用することもあり、工業規模でのアルブチン製造には不向きである。その点、上記合成吸着剤は非常に安価で再生もし易く、複雑な設備も必要でないことから、スケールアップも容易である。
【0025】
上記のような特性を有した合成吸着剤としては、例えば三菱化学株式会社製のダイヤイオン、セパビーズなどのシリーズから、或いはオルガノ社製のXADシリーズの中から選択すれば良いが、1例を示せば第1の吸着剤としてはHP20、第2の吸着剤としてはSP207などが挙げられる(いづれも三菱化学株式会社製)。これら吸着剤は、バッチ法、カラム法のいづれでも用いることは出来るが、効率の面からカラム法が望ましい。吸着剤の使用量としては、第1の吸着剤の場合は、吸着剤1ml当たりのポリフェノール吸着量を約35mgとして試料液に含まれる全ポリフェノールを吸着させるのに必要な量を求め、更にその他の夾雑物の影響を考慮し、その必要量の少なくとも2倍量、好ましくは3〜4倍量を用いる。第2の吸着剤の場合は、吸着剤1ml当たりのアルブチン吸着量を11〜12mgとして試料液に含まれる全アルブチンを吸着させるのに必要な量を求め、少なくともその必要量以上を用いる。
【0026】
本発明で用いるアルブチン含有植物体としては、ツツジ科のウワウルシ、コケモモ、あるいはバラ科ナシ属のニホンナシ、セイヨウナシなどが挙げられるが、ウワウルシは日本に自生していないため、輸入しなければならず、またコケモモは自生しているが高山植物であり採取は禁止されていることから、バラ科ナシ属が好ましい。また、バラ科ナシ属においては品種の如何を問わず、アルブチンは葉、果実の皮、枝や幹の樹皮などに多く存在することが知られており、これら部位を原料として用いることができる。更に、発明者らの検討によりわかったことであるが、アルブチンは徒長枝(六月頃から定期的に発生する若枝)や剪定枝(果実の収穫後、秋〜春先にかけて実施する剪定により生じた枝)に非常に多く存在し、ポリフェノールなどの夾雑物が少ないことから、特に好ましく用いることができる。また、これらの枝は廃棄物としてただ捨てられるものであることから、未利用資源の有効活用の面からも好適である。
【0027】
アルブチン含有植物体からのアルブチン抽出法としては、アルブチンの水溶性が高く加熱にも安定であること、ポリフェノールオキシダーゼなどの酵素類を失活させられることなどから、熱水抽出法が好便に用いられる。抽出は、予め植物体を粉砕し、粉砕試料に対し重量比で5〜10倍量の水を加え、80〜120℃で、好ましくは90〜100℃で10分〜2時間、好ましくは30分〜45分加熱を行う。加熱後、フィルターでろ過し熱水抽出液を得るが、好ましくは残渣に対しもう一度同様な操作を行い、ろ液を合する。このようにして得られた熱水抽出液は、そのままでも吸着剤で通液処理することは可能であるが、夾雑物がまだ多いことから吸着剤の汚染や性能低下を招きやすい為、さらに予備処理をすることが好ましい。
【0028】
すなわち、熱水抽出液をエバポレーターによる減圧濃縮や煮詰めなどにより濃縮後、エタノールを70〜90%濃度(容量比)、好ましくは80〜90%濃度になるように添加し、生じた沈殿物を遠心分離やろ過により除去し清澄液を得て、さらに濃縮などによりエタノールを除去しアルブチン抽出液とする。このようにして得られたアルブチン抽出液を試料液として用いた場合、エタノールにより予め蛋白質、多糖類などの夾雑物が除去されていることから、通液処理後の吸着剤の汚染も少なく再生も容易であり、溶出されるアルブチンも純度が高いものが得られることが、本発明者の検討の結果判明している。
【0029】
アルブチン抽出液の吸着剤への通液処理方法としては、第1の吸着剤を充填したカラムと第2の吸着剤を充填したカラムとを連結し、この連結カラムに抽出液を通液することが簡便であるが、別にバッチ法などを組み合わせて行なうことも可能である。連結カラムによる場合は、抽出液を通液した後、カラム容量の2〜3倍量の水で洗浄する。バッチ法による場合は、抽出液を吸着剤に加えスターラーなどを用いて30〜60分撹拌した後、ヌッチェなどでろ過しろ液を得て、さらにろ過板上に残った吸着剤を2〜3倍量の水で充分洗浄し、ろ液と水洗液を合して次の吸着剤に通液すれば良い。また、吸着剤からのアルブチンの溶出に関しては、ポリフェノール類の場合と同様に酸、アルカリ、アルコール類、エステル類、ケトン類などを溶出液として用いることが出来るが、溶出後の処理が簡便であることや毒性の少なさを考慮すると、アルコール類が好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0030】
そして、アルブチン溶出の際は出来るだけ夾雑物を溶出させないような溶出液を選択することが必要であるが、本発明者の検討の結果、このような溶出液として低エタノール濃度の含水アルコール溶液が最適であることが見出されている。すなわち、溶出液のアルコール濃度は2〜10%、好ましくは5〜10%(容量比)で、カラム容量の3〜6倍量、好ましくは4〜5倍量を用いる。通液処理法として連結カラムを用いた場合は、連結を切り離し第2のカラムに対して上記溶出液を通液し、アルブチンを溶出させる。なお、上記操作中、アルブチンの変性を防止する意味で、抽出液や水洗液、溶出液の液温を10〜35℃、好ましくは室温(22℃±2)に保つことが好ましい。
【0031】
このようにして溶出されたアルブチンは、既に純度がかなり高いものであるが、更に以下のような処理を施すことで、より精製度を高められることが本発明者の検討の結果見出された。すなわち、アルブチンを含む溶出液をCl型の陰イオン交換樹脂に通液することにより混在する色素類が除去され、この通過液を濃縮後にエタノールを加えてアルブチンを転溶させることにより残存したその他の夾雑物が除去され、この転溶液のエタノールを除去後に水を加えてアルブチン水溶液とし第2の吸着剤で再処理することにより、高純度のアルブチンが得られるのである。アルブチンを含む溶出液は、陰イオン交換樹脂に通液する前に、イオン交換後の酸性度の高まりによる濃縮時のアルブチンの分解を防止する為に、pHを5〜7、好ましくは6〜6.5に調整しておくことが好ましい。
【0032】
用いるイオン交換樹脂は、強塩基性の陰イオン交換樹脂でCl型である必要があり、OH型ではアルブチンが吸着されることが検討の結果、判明している。このようなイオン交換樹脂は、例えば三菱化学株式会社製のダイヤイオン、オルガノ社製のアンバーライトシリーズの中から選択することが出来るが、1例を示せばアンバーライトIRA411 CL、アンバーライトIRA900J CL、ダイヤイオンSA11A、ダイヤイオンPA408などが挙げられる。イオン交換樹脂の使用量としては、試料液中の夾雑物の量によっても異なるが、上記アルブチン溶出液の場合で樹脂1ml当たりアルブチン20〜30mgを含む試料液を処理出来るものとして求める。なお、イオン交換処理後に第2の吸着剤で再処理されて得られるアルブチン溶出液からアルブチンの乾燥物を得る方法としては、濃縮後にスプレードライ法や減圧乾燥法(70〜80℃で8〜12時間)などを用いることができる。
【0033】
また、別法としてイオン交換樹脂を使用せずに簡便にアルブチンの精製度を高める方法についても検討の結果、見い出された。すなわち、上記吸着剤処理後に溶出されるアルブチンは既にかなり純度が高いものであるので、アルブチンを含む溶出液を濃縮後、冷蔵保管することによりアルブチンを再結晶させることができる。この再結晶物は、より精製度が高められていることを本発明者は確認している。濃縮する際のアルブチンの濃度としては、15〜35%、好ましくは20〜30%で、保管時の条件としては、2〜15℃、好ましくは5〜10℃で12〜24時間である。
【0034】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
洋ナシ(ラ・フランス)の徒長枝をチッパーにて粉砕し、その粉砕物300gに対し水1.5Lを加えて90℃で30分間加熱抽出後、ろ過してろ液を得た。残渣に対して水1.5Lを加えて同様に加熱抽出後、ろ過してろ液を得、先のろ液と合した。そのろ液をエバポレーターで濃縮後、エタノールを80%濃度(容量比)になるように加え、生じた沈殿を遠心分離(3000rpm、10分)により除去し上清を得て、濃縮後、水を加えて500mlとし、アルブチン抽出液〔アルブチン濃度3.52mg/ml;HPLC法による測定(下記参照)〕を得た。その抽出液の150ml(アルブチン含量528mg)を、合成吸着剤HP20(三菱化学社製)を充填した第1カラム(内径20mm、長さ150mm、容積47.1ml)と合成吸着剤SP207(三菱化学社製)を充填した第2カラム(内径20mm、長さ145mm、容積45.5ml)からなる連結カラムに通液し、水200mlで洗浄後、連結カラムを切り離し、第2カラムに対して5%エタノール230mlを通液し、アルブチンを溶出させた。その溶出液を濃縮後、減圧乾燥(70℃ 8時間)してアルブチン画分を得た。
【0036】
この画分のアルブチンの純度は87.3%(アルブチン画分の収量:559mg)で、抽出液からの回収率は92.4%であった。また、連結カラムへのアルブチン添加量は528mg(このうち、第1カラムへのアルブチンの吸着率は0.83%、第2カラムへの吸着率は94.5%)であった。アルブチン抽出液のアルブチン濃度は3.52mg/mlであった。
<HPLC法によるアルブチン測定条件>
カラム:Inertsil ODS-2(7.6×250mm)
移動相:A液−2.5%酢酸、B液−2.5%酢酸/アセトニトリル=20:80
溶出条件:B 3%(0→8min)→50%(8→60min)→100%(60→65min)→100%(65→70min)
流速:2ml/min
温度:32℃
検出:UV 280nm
定量:アルブチン標準溶液(0.25〜1mg/ml)による絶対検量線法
【実施例2】
【0037】
実施例1と同様に、徒長枝粉砕物300gを水1.5Lで2回加熱抽出して得られたろ液を濃縮後、水を加えて500mlとし、熱水抽出液を得た。その抽出液の150ml(アルブチン含量528mg)を実施例1で用いた連結カラムに通液し、水200mlで洗浄後、連結カラムを切り離し、第2カラムに対して5%エタノール230mlを通液し、アルブチンを溶出させた。その溶出液を濃縮後、減圧乾燥してアルブチン画分を得た。この画分のアルブチンの純度は64.6%で、抽出液からの回収率は36.0%であった。
【0038】
実施例1〜2の結果より、試料から加熱抽出して得られた熱水抽出液を、そのまま連結カラムで通液処理した場合には、アルブチンの回収率と純度が劣っていたが、熱水抽出液をさらにエタノールで予備処理してから通液処理した場合には、第1カラムへのアルブチンの吸着が殆どなく、かつ第2カラムへ殆どのアルブチンが吸着され、得られたアルブチン画分の純度及び回収率も高いものであった。これは、エタノール処理と第1カラムへの通液により夾雑物の大部分が効果的に除去され、通過液のアルブチン濃度が高まることで第2カラムへの吸着性が増し、その結果として溶出して得られるアルブチンの回収率、純度が向上するものと考えられる。
【実施例3】
【0039】
実施例1で得られたアルブチン抽出液150ml(アルブチン含量528mg)を、第1カラムを通さずに直接第2カラムに通液し、水140mlで洗浄後、5%エタノール230mlを通液し、アルブチンを溶出させた。この溶出液を濃縮後、一定容とし、アルブチン濃度を測定した。その結果、抽出液からのアルブチンの回収率は62.2%であった。
【実施例4】
【0040】
実施例1で得られたアルブチン抽出液36ml(アルブチン含量127mg)を活性炭カラム(内径20mm、長さ165mm、容積51.8ml)に通液し、水100ml及び60%メタノール100mlで洗浄した後、80%エタノール150mlを通液し、アルブチンを溶出させた。この溶出液を濃縮後、一定容とし、アルブチン濃度を測定した。その結果、抽出液からのアルブチンの回収率は75.1%であった。
【0041】
実施例3〜4の結果より、アルブチン抽出液を第2カラムのみで通液処理した場合には、連結カラム処理の場合に比較して回収率が劣っていた。これは、夾雑物がまだ多いことから第2カラムへのアルブチンの吸着率が減少する為と考えられる。また、特許文献2記載のアルブチン分離回収方法を参考に、活性炭カラムを用いたアルブチンの分離精製を検討したところ、実施例1記載の方法に比較して回収率が劣っていた。この理由としては、抽出液の活性炭への通液時及び洗浄時にアルブチンの吸着漏れが認められなかったことから、活性炭へのアルブチンの吸着力が強すぎて溶出し難いことによるものと考えられる。
【実施例5】
【0042】
(アルブチン含有植物体のフェノール成分組成の分析)
洋ナシ(ラ・フランス)の未熟果、葉、徒長枝を試料とし、HPLC法(実施例1参照)によりフェノール成分組成の分析を行った。すなわち、細断した試料に対し10倍量の80%エタノールを加えホモジナイズした後、0.1N水酸化ナトリウム溶液で中和し、80℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、遠心分離(3,000rpm 10分)により上清を得て、濃縮後、水を加えて一定容とし、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し試験液を調製した。これら試験液のHPLCによる分析結果を図1に示した。図1に示したように、各試料ともクロマトグラム前半にアルブチンの特徴的なピークが現れ、その前後近くには殆ど目立ったピークはなく、更にその後アルブチンからは大分離れた位置にクロロゲン酸等のポリフェノール類が溶出している。
【0043】
このことは、ナシ類からアルブチンを抽出した場合、その抽出液には極性の強いアルブチンを主とした成分群とアルブチンよりは極性の弱いクロロゲン酸を主としたポリフェノール成分群の2つが大まかに含まれていることを意味し、極性の差を利用した成分群の分離可能性を示唆している。よって、疎水性に差がある2種類の合成吸着剤を用いる本発明の方法において、ナシ類の各部位はアルブチン原料として好適に用いることが出来ると考えられ、実際に実施例1で示したように収率良く純度の高いアルブチンを得られることを確認している。
【0044】
本実施例の試験の結果得られた各試料における湿重量当たりのアルブチン含量(%)は、0.5〜2%(未熟果:0.03%、葉:0.8%、徒長枝:0.5〜2%)であり、部位の中でも、吸着剤への汚染軽減や再生性の面から、アルブチン含量が高くポリフェノール含量の低い枝類が特に好ましく用いられる。
【実施例6】
【0045】
実施例1と同様な処理により第2カラムから得られたアルブチン溶出液(アルブチン含量488mg)を1N水酸化ナトリウム溶液でpH6に調整後、Cl型の陰イオン交換樹脂SA11A(三菱化学社製)25mlを加えスターラーで30分間攪拌し脱色後、樹脂ごとろ紙でろ過し、そのろ液と樹脂の水洗液を合して濃縮後、エタノールを80%濃度になるように加えて生じた沈殿を遠心分離(3000rpm、10分)により除去し上清を得た。その上清を濃縮後、実施例1で用いた第2カラムに通液し、水140mlで洗浄後、5%エタノール230mlを通液し、アルブチンを溶出させた。この溶出液を濃縮後、減圧乾燥してアルブチン画分を得た。この画分のアルブチンの純度は99.0%で、イオン交換処理におけるアルブチンの回収率は92.1%であった。
【実施例7】
【0046】
実施例1と同様な処理により第2カラムから得られたアルブチン溶出液(アルブチン含量488mg)を濃縮後(この時のアルブチン濃度は22%)、10℃に一晩保管し、生じた針状結晶物をろ過して水分を除去した後、減圧乾燥してアルブチンの再結晶物を得た。この再結晶物のアルブチンの純度は99.4%で、再結晶処理におけるアルブチンの回収率は30.4%であった。
【0047】
実施例6〜7の結果より、実施例1記載の方法により得られた純度の高いアルブチン画分をCl型の陰イオン交換樹脂による脱色→エタノールへの転溶→第2カラムへの再通液処理、あるいは再結晶処理により、さらに精製度を高めることが可能であった。陰イオン交換処理法の場合には、用いるイオン交換樹脂がOH型であるとアルブチンの吸着が起こり回収率が大幅に低下することが検討の結果判っているが、Cl型では吸着が殆ど起こらず収率も非常に良好であった。再結晶法の場合には、イオン交換処理法に比較して回収率が劣ってはいるが、結晶を除去した後の母液に残りのアルブチンが含まれていることから、前工程へのリサイクルや種結晶の使用などにより回収率を向上させることは可能である。
【0048】
また、実施例6〜7で得られたアルブチン画分、再結晶物を核磁気共鳴スペクトル法(NMR;1H,13C)、赤外吸収スペクトル法(IR)により分析を行ったところ、アルブチン標準品と一致したことから、アルブチンであることが再確認された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の方法で得られるアルブチンは、安全な植物体より有害な薬品を一切使用せずに抽出されて造られるものであるので、従来の化学合成品とは異なる安全性の高い素材として、化粧品、医薬品分野等への利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例において、洋ナシ(ラ・フランス)の未熟果、葉、徒長枝に含まれるフェノール化合物の成分組成について、HPLCによる分析結果のクロマトグラムを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 アルブチン
2 クロロゲン酸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に付し、次いでアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に付すことを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項2】
ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理と、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、吸着剤の有する細孔半径と、疎水性の異なる吸着剤を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項3】
ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理を200〜300Åの細孔半径を有する樹脂吸着剤で行い、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理を、第1の処理で用いる樹脂吸着剤の細孔半径より小さな細孔半径であり、かつ、第1の処理で用いる樹脂吸着剤より強い疎水性を有している樹脂吸着剤で行うことを特徴とする請求項2記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項4】
ポリフェノール含有夾雑物を除去する第1の処理に用いる樹脂吸着剤及び/又はアルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理に用いる樹脂吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる芳香族系吸着剤であることを特徴とする請求項2又は3記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項5】
アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液を、第1の吸着剤で処理してポリフェノール含有夾雑物を吸着除去し、引き続き第2の吸着剤でアルブチンを吸着させ、洗浄後、溶出させ、回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項6】
アルブチン含有植物体のアルブチン抽出液が、アルブチン含有植物体のアルブチンを熱水抽出し、濃縮後、エタノールに転溶させ夾雑物を減少させたものであることを特徴とする請求項5記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項7】
アルブチン含有植物体が、バラ科ナシ属に属するアルブチン含有植物体であり、そのアルブチン抽出液がそれらの果実、葉、枝からアルブチンを抽出した抽出液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液を、Cl型の陰イオン交換樹脂で脱色し、濃縮後にエタノールに転溶させ、アルブチンを吸着・分離・回収する第2の処理で用いた吸着剤で再処理し、更にアルブチンの純度を高めることを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか記載の高純度アルブチンの分離精製方法により得られたアルブチン溶出液を、濃縮し、冷蔵保管することによりアルブチンを再結晶させ、更にアルブチンの純度を高めることを特徴とする高純度アルブチンの分離精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−111581(P2006−111581A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301364(P2004−301364)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年9月1日 日本食品科学工学会第51回大会事務局発行の「日本食品科学工学会第51回大会講演集」に発表
【出願人】(392022097)日東ベスト株式会社 (7)
【Fターム(参考)】