説明

アルミナ、発光体及びこれらの混合化合物、並びにそれらの製造方法

【課題】放光性に優れた蛍光塗料を調製するためのアルミナ、アルミン酸塩発光体及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子からなるα-アルミナは反射特性に優れており、平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体からなるアルミン酸塩発光体は優れた放光性を有している。粒子状α-アルミナは、γ-アルミナ及びα-アルミナのシードから、焼成、粉砕及び篩分けを組合せた工程を行うことにより低コストで製造することができる。アルミン酸塩発光体は、(1) アンモニウムミョウバン及び希土類金属から、焼成、粉砕及び篩分けを組合せた工程を行うか、(2) γ-アルミナ又はアルミナ・スピネルに希土類金属を含浸した後、脱硝、焼成、粉砕及び篩分けを組合せた工程を行うことにより、低コストで製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミン酸塩、発光体及びそれらの製造方法の分野に関し、特に、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球を製造するための蛍光塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、蛍光管は、低圧水銀蒸気と、ネオン、アルゴン又はクリプトンのような希ガスとを充填した密封ガラス管を用いて形成される。その稼働時、管中の混合ガスを励起し、紫外線領域(例えば約300 nm)の放光を導くための電子が、管中の電極により放出される。
【0003】
この紫外線は、管の内側に塗布された蛍光塗料により可視光に変換される。
【0004】
単一層用の塗料は、例えばBAM、CAT又はYOxの名称で知られている発光体粒子と、反射材として作用するアルミナ粒子とを含んでいる。
【0005】
一般的に、この層は、発光体粒子80%と、アルミナ又はγ型アルミナの粒子20%を含んでいる。
【0006】
一般に、発光体粒子は、4μm〜10μmの体積メディアン径d50を有する。
【0007】
ところで、塗料の総コストの主要因は、発光体のコストにあることが知られている。
【0008】
パリ第6大学のセルジュ イジョーコ(Serge Itjoko)氏による2008年10月17日付けの論文には、蛍光体層の挙動をモデル化し、収率及びコストに関して最適なルートを見出すことを目的とした研究について記載されている。この論文を、本明細書において従来技術として引用する。
【0009】
この研究によれば、混合層又は単一層において、「既存の発光体より顕著に小さい0.4μm〜1.2μmの半径を有する発光体を選択し、既存のアルミナ粒子より顕著に大きい0.6μm超の半径を有するアルミナ粒子を選択する」ことにより、最適化を達成できる可能性があることが、特に示唆されている。
【0010】
しかし、この研究は、あくまでも理論的なモデリング研究であって、理論的考察を与えたに過ぎず、そのような発光体及びアルミナ粒子の製造方法については示唆していない。特に、この論文の第173頁には、「市販の発光体は、3μm〜6μmの範囲の半径を有している」と記載されており、かつこれより小さいサイズの発光体はまだ開発されていない旨が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記理論的研究の目的を達成すべく、従来の塗料の問題を改善するための配合組成及び製造方法を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
特に本発明は、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナを対象の1つとしている。
【0013】
本発明はまた、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナの、発光体用マトリックスとしての使用を対象としている。
【0014】
本発明はさらに、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナの、蛍光灯用塗料における発光体用マトリックスとしての使用も対象としている。
【0015】
本発明はまた、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナの製造方法であって、
‐ ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、焼結助剤と、α-アルミナのシードとを混合し、
‐ 得られた混合物を、オーブン中1,150℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、1時間〜6時間、特に2時間焼成し、
‐ 焼成した混合物を粉砕し、
‐ 粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通すという工程を有する方法を対象としている。
【0016】
上記の製造方法に係る本発明は、以下の態様のうち少なくとも1つを含んでもよい(これらの態様については、単独で、又は組合せて実施することができる)。
【0017】
本発明の一実施態様では、焼結助剤はNH4Fである。
【0018】
本発明の別の実施態様では、上記混合物は、重量割合で、ミョウバン法で得られた85%〜95%のγ-アルミナと、2.5%〜13%のα-アルミナと、0.4%〜1.8%のNH4Fとを含んでいる。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、上記混合物は、重量割合で、ミョウバン法で得られた約93.5%のγ-アルミナと、約5.5%のα-アルミナと、約1%のNH4Fとを含んでいる。
【0020】
本発明のさらに別の実施態様では、上記焼成した混合物を、その少なくとも20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕する。
【0021】
好ましい一実施態様では、上記アルミナ球石は、センチメートルオーダー、特に3cm〜5cmの直径を有する。
【0022】
本発明はまた、平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなるアルミン酸塩発光体を対象としている。
【0023】
本発明の別の実施態様では、上記発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2はイットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部はユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部はZn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部はGa,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩である。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、上記発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;Y2O3:Eu3+; SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択される。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様では、上記発光体はBAM型、CAT型、YAG型又はYOx型である。
【0026】
本発明はさらに、上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなるアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法であって、
‐ アンモニウムミョウバンと、少なくとも一種の希土類金属系添加剤とを混合し、
‐ 得られた混合物を、1,100℃〜1,200℃、特に1,150℃の第1の温度で、1時間〜2時間、特に1時間30分焼成し、
‐ 得られた焼成混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を粉砕し、篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した粉砕混合物を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の第2の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成した混合物を粉砕し、
‐粉砕混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通すことからなる工程を有する方法を対象としている。
【0027】
別の実施態様では、硫酸マグネシウム・7水和物を、アンモニウムミョウバンと希土類金属系添加剤との混合物に添加する。
【0028】
さらに別の実施態様では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で、少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加する。
【0029】
さらに別の実施態様では、上記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属である)である。
【0030】
さらに別の実施態様では、BAMを調製するために、体積メディアン径d50が1μm未満となるように粉砕した無水硫酸バリウムを、アンモニウムミョウバン、希土類金属系添加剤及び硫酸マグネシウム・7水和物を含む上記混合物に添加する。
【0031】
本発明はさらに、上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されているアルミン酸塩発光体を、アルミナの含浸処理により製造する方法であって、
‐ γ-アルミナに、第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第1の含浸処理を施し、
‐ 含浸したγ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第1の加熱脱硝処理を施し、
‐ 得られた含浸・脱硝アルミナを、メッシュサイズ500μm以下の非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した含浸・脱硝アルミナを粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通すことからなる工程を有する方法を対象としている。
【0032】
別の実施態様では、第1の含浸処理及び第1の脱硝処理の後、
‐ 含浸及び脱硝したアルミナに、第2の溶液中、80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第2の含浸処理を施し、
‐ 含浸したγ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第2の加熱脱硝処理を施すことからなる工程を行う。
【0033】
さらに別の実施態様では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加する。
【0034】
さらに別の実施態様では、上記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属である)である。
【0035】
BAMを調製するために、硝酸バリウムを、アンモニウムミョウバン、希土類金属系添加剤及び硫酸マグネシウム・7水和物を含む上記混合物に添加するのが好ましい。
【0036】
さらに別の実施態様では、上記アルミナを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理する。
【0037】
変形例として、本発明はさらに、上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子からなる約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなるアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法であって、
‐ アルミナ・スピネルに、第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤で含浸処理し、
‐ 含浸したアルミナ・スピネルを、100℃〜150℃、特に120℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間乾燥し、
‐ 乾燥物を、メッシュサイズ500μm以下の非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した含浸アルミナ・スピネルに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間加熱脱硝処理を施し、
‐ 得られた含浸及び脱硝したアルミナ・スピネルを粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通すという工程を有する方法を対象とする。
【0038】
別の実施態様では、BAMを製造するために、アルミナ・スピネル及び希土類金属系添加剤を含む混合物に、硝酸バリウムを添加する。
【0039】
さらに別の実施態様では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で、少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加する。
【0040】
さらに別の実施態様では、上記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属である)である。
【0041】
さらに別の実施態様では、上記アルミナ・スピネルを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理する。
【0042】
本発明はさらに、上記で定義した発光体の、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造における使用を対象としている。
【0043】
本発明はさらに、上記で定義した0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とを含むアルミナ・発光体混合化合物を対象としている。
【0044】
一実施態様では、この混合化合物の発光体は、上記で定義した発光体である。
【0045】
別の実施態様では、上記発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2はイットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部はユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部はZn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部はGa,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩である。
【0046】
本発明のさらに別の実施態様では、上記発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;Y2O3:Eu3+;SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択される。
【0047】
本発明はさらに、上記で定義した混合化合物の製造方法であって、
‐ 0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とを混合し、
‐ 得られた混合物を粉砕するという工程を有する方法を対象とする。
【0048】
本発明はさらに、上記で定義した混合化合物の、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造における使用を対象としている。
【0049】
本発明はさらに、蛍光灯、特に蛍光管用の塗料を製造するための水性懸濁液であって、少なくとも一種の上記で定義した混合化合物と、ポリエチレンオキサイドと、上記ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、脱イオン水とを含む水性懸濁液を対象としている。
【0050】
一実施態様では、上記水性懸濁液は、重量割合で、
‐ 少なくとも一種の上記で定義した混合化合物25%〜50%と、
‐ ポリエチレンオキサイド0.5%〜5%と、
‐ 上記ミョウバン法で得られたγ-アルミナ0.3%〜1.5%とを含有し、
‐ 残部が脱イオン水であるという組成を有する。
【0051】
別の実施態様では、上記水性懸濁液は、3色の組合せを構成するための3種の混合化合物を含んでいる。
【0052】
さらに別の実施態様では、上記3種の混合化合物は、重量割合で、
‐ (Ce0.6Tb0.4)MgAl11O19と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物35%〜40%、好ましくは38%、及び
‐ (Ba0.9Eu0.1)MgAl10O17と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物10%〜15%、好ましくは12%を含有し、
‐ 残部が、上記のY2O3:Eu3+と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物からなる組成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナを示す電子顕微鏡写真である。
【図2】BAMの製造過程におけるサンプルの結晶状態を示す回折スペクトルである。
【図3】CATの製造過程におけるサンプルの結晶状態を示す回折スペクトルである。
【図4】YAGの製造過程におけるサンプルの結晶状態を示す回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
添付の図面を参照して、非限定的な実施例に関する以下の詳細な説明を読むことにより、本発明のその他の特徴及び優位性が一層明らかになると思う。
【0055】
全般的なコメント
全ての粉砕処理において、単位量を、アルミナ球石を用いたボールミル[例えば、「スベコ(Sweco)(登録商標)」バッチ式ミルDM1型]で処理した。単位量の少なくとも10倍のアルミナ球石を用いた。粉砕時間を制限し、かつ篩分け時間を最適化するために、概して、単位量の20倍量のアルミナ球石で処理した。
【0056】
篩分け処理には、篩下への異物混入を防ぐために、非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩を用いた。例えば、用語「200μmの篩」は、200μmの篩下のスクリーニングメッシュを意味する。
【0057】
焼成処理には、最高温度が1,200℃で、滞留時間が1時間〜3時間の間で可変のトンネル式ガスオーブンと、最高温度が1,400℃で、滞留時間を任意に設定できるバッチ式ガスオーブンとを用いた。
【0058】
スペクトル測定には、X線回折装置[「リガク(登録商標)」D/Max2200型]を用いた。
【0059】
α-アルミナの写真は、電子顕微鏡[「フィリップス」(Philips)(登録商標)」XLシリーズXL30型]を用いて撮影した。
【0060】
粒径測定には、「マイクロメリテクス(Micromeritics)(登録商標)」粒度分布測定装置セディグラフ5100シリーズ809、又は「ホリバ(登録商標)」レーザー散乱粒度分布測定装置LA920型を用いた。
【0061】
1. α-アルミナ
本発明は、体積メディアン径d50が0.3μm〜2μmで、実質的に球形のα-アルミナを対象の1つとしている。
【0062】
体積メディアン径d50は、体積基準で50%がこの値より小さい直径の粒子で構成されている粒径を指す。
【0063】
このようなアルミナの電子顕微鏡写真を図1に示す。これらの粒子は、実質的に球状又は楕円状であり、実質的に角を有していないことが分かる。
【0064】
このようなα-アルミナ粒子は、特に発光体用マトリックスとしての使用に適しており、例えば蛍光灯のアルミナ・発光体単一層を形成するための塗料用途に特に適している。
【0065】
特に蛍光灯において、このようなアルミナ粒子により、電極による混合ガスの励起により発生した紫外線に対する反射材としての効果が増大し、紫外線が一層効果的に発光体粒子に作用することになる。
【0066】
反射及び発光体に対する光の作用において優れた特性を有するこの新規なアルミナは、例えば以下の工程により製造される。
【0067】
第1工程では、ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、焼結助剤と、α-アルミナのシードとを混合する。焼結助剤としてはNH4Fが挙げられる。
【0068】
この方法において、用語「ミョウバン法で得られたγ-アルミナ」は、γ-アルミナを主成分とする結晶構造(特に80%以上、さらには90%以上のγ-アルミナを含む)を有するアルミナを意味している。
【0069】
この方法において、用語「α-アルミナのシード」は、純α-アルミナのシード、又はα-アルミナを主成分とするシード(特に80%以上、さらには90%以上のα-アルミナを含む)を意味している。
【0070】
混合物は、例えば、重量割合で、ミョウバン法で得られた85%〜95%のγ-アルミナと、2.5%〜13%のα-アルミナと、0.4%〜1.8%のNH4Fとを含む。好ましくは、混合物は、重量割合で、ミョウバン法で得られた約93.5%のγ-アルミナと、約5.5%のα-アルミナと、約1%のNH4Fとを含んでいる。
【0071】
第2工程では、混合物を、オーブン中1,150℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、1時間〜6時間、好ましくは2時間焼成する。
【0072】
第3工程では、焼成した混合物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間、好ましくは16時間粉砕する。
【0073】
好ましくは、焼成した混合物を、その少なくとも20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕する。
【0074】
第4工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0075】
実施例1
0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナを約1kg調製するために、1,000 gの市販品γ-アルミナ[「バイカルクス(Baikalox)(登録商標)」B105]と、60 gの市販品α-アルミナ[Baikalox(登録商標)BMA15]と、10 g のNH4Fとを混合した。
【0076】
アルミナBMA15は、体積メディアン径d50が約150 nmのα-アルミナ100%からなる結晶構造を有する点に特徴がある。
【0077】
第2工程では、この混合物を、1,350℃の温度で2時間焼成した。
【0078】
第3工程では、焼成した混合物を、球石を用いてボールミル中で粉砕した。アルミナ球石として、センチメートルオーダー、特に3cm〜5cmの直径を有するものを用いた。球石の量は、焼成した混合物の20倍とした。
【0079】
第4(最終)工程では、粉砕した混合物を、200μmのメッシュサイズを有するポリアミド製の篩に通した。
【0080】
得られたアルミナの電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0081】
第2工程において、1,200℃で4時間焼成した別の試験では、均一性に一層優れ、1μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形のα-アルミナ粒子が得られた。焼成温度を低くし、滞留時間を長くすると、サイズ均一性に一層優れた球形アルミナ粒子が得られることが分かった。
【0082】
2. アルミン酸塩発光体
本発明はまた、平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されているアルミン酸塩発光体を対象としている。用語「平均粒径」は、上記で定義した体積メディアン径d50を意味する。
【0083】
これらの発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は、少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2は、イットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは、以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部は、ユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部は、Zn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部はGa,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩である。
【0084】
本発明の別の実施態様では、発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;Y2O3:Eu3+;SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択される。
【0085】
BAM、CAT及びYOxは、それぞれ、青、緑及び赤の領域に可視発光スペクトルを有し、これらを合わせると3色電球を形成することができる。またこれらの個々の発光体により、例えば、スクリーンピクセル又は発光ダイオードを形成することができる。
【0086】
これらの新規な発光体の製造方法として、選択的な3つの方法を提案する。
【0087】
2.1 ミョウバン法によるアルミン酸塩発光体の製造方法
上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなるアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造は、以下のように実施する。
【0088】
第1工程では、アンモニウムミョウバンと、少なくとも一種の希土類金属系添加剤とを混合する。
【0089】
希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属である)である。
【0090】
発光体に応じて、一種の希土類金属硝酸塩(例えばBAMの製造においてはEu(NO3)3を用いる)又は複数種の希土類金属硝酸塩(例えばCATの製造においてはTb(NO3)3及びCe(NO3)3を用いる)を用いる。
【0091】
一実施態様では、BAMを製造するために、体積メディアン径d50が1μm未満となるように粉砕した無水硫酸バリウムも添加する。
【0092】
混合物に、特にBAM及びCATの製造において、高純度の市販品が入手可能である硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO4キ7H2O)を添加してもよい。この硫酸塩は、本製造方法において、アンモニウムミョウバンと相性の良い塩であり、特にオーブン排出ガスの処理の点で適している。
【0093】
第2工程では、混合物を、1,100℃〜1,200℃、特に1,150℃の第1の温度で、1時間〜2時間、特に1時間30分焼成する。
【0094】
第3工程では、得られた焼成混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0095】
第4工程では、篩を通過した焼成混合物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕する。
【0096】
次いで第5工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0097】
第6工程では、篩を通過した粉砕混合物を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の第2の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成する。
【0098】
第7工程では、焼成した混合物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕する。
【0099】
第8工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0100】
発光体のタイプに応じて実施する第9工程では、特にBAM及びCATの製造において、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元処理を行う。
【0101】
実施例2: ミョウバン法によるBAMの製造
約1kgのBAM:EU、すなわち(Ba0.9Eu0.1)MgAl10O17を調製するために、第1工程において、以下の化合物を混合した。
‐ 5,833 gのアンモニウムミョウバン
‐ 270 gの粉砕した無水硫酸バリウム(体積メディアン径d50<1μm)
‐ 308 g の硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO4キ7H2O)
‐ 106.8 mL の硝酸ユーロピウム溶液(Eu(NO3)3含有量:酸化物換算で233 g/L)
【0102】
第2工程では、この混合物を、1,150℃の第1の温度で、1時間30分焼成した。
【0103】
第3工程では、焼成混合物を、200μmのメッシュサイズのポリアミド樹脂製の篩に通した。
【0104】
第4工程では、篩を通過した焼成混合物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0105】
第5工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0106】
第6工程では、篩を通過した粉砕混合物を、1,350℃の第2の温度で、4時間焼成した。
【0107】
第7工程では、焼成した混合物を、その20倍量の球石を用いて、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0108】
第8工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0109】
第9工程では、水素含有ガス(例えば窒素95%及び水素5%の混合ガス)雰囲気下、14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元処理を行った。
【0110】
実施例3: ミョウバン法によるCATの製造
約1kgのCAT、すなわち(Ce0.6Tb0.4)MgAl11O19を調製するために、第1工程において、以下の化合物を混合した。
‐ 6,400 gのアンモニウムミョウバン(酸化物換算含有量:11.25%)
‐ 335.64 gの結晶Ce(NO3)3(酸化物換算含有量:39.5%)
‐ 423.22 gのTb(NO3)3溶液(酸化物換算濃度:22.68%)
‐ 315.55 gの結晶MgSO4キ7H2O(酸化物換算含有量:16.4%)
【0111】
第2工程では、この混合物を、1,150℃の第1の温度で、1時間30分焼成した(図3に示す1,150℃で焼成したCAT前駆体の回折スペクトルを参照されたい)。
【0112】
第3工程では、焼成混合物を、200μmのメッシュサイズのポリアミド樹脂製の篩に通した。
【0113】
第4工程では、篩を通過した焼成混合物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0114】
第5工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0115】
第6工程では、篩を通過した粉砕混合物を、1,350℃の第2の温度で、4時間焼成した(図3に示す1,350℃で焼成したCATの回折スペクトルを参照されたい)。
【0116】
第7工程では、焼成した混合物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0117】
第8工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0118】
第9工程では、水素含有ガス(例えば窒素95%及び水素5%の混合ガス)雰囲気下、14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終還元処理を行った(図3に示す還元したCATの回折スペクトルを参照されたい)。
【0119】
還元生成物の回折スペクトルは、CAT発光体以外の結晶種を示さなかった。
【0120】
実施例4: ミョウバン法によるYAGの製造
約1kgのYAG:Ce、すなわちY3Al5O12:Ce3+を調製するために、第1工程において、以下の化合物を混合した。
‐ 3,833 gのアンモニウムミョウバン
‐ 570 gの硝酸イットリウム溶液(Y(NO3)3濃度:359 g/L)
‐ 4.4 gの硝酸セリウム溶液(Ce(NO3)3濃度:19.2%)
【0121】
第2工程では、この混合物を、1,150℃の第1の温度で、1時間30分焼成した(図4に示す1,150℃で焼成したYAG前駆体の回折スペクトルを参照されたい)。
【0122】
第3工程では、焼成混合物を、200μmのメッシュサイズのポリアミド樹脂製の篩に通した。
【0123】
第4工程では、篩を通過した焼成混合物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0124】
第5工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0125】
第6工程では、篩を通過した粉砕混合物を、1,350℃の第2の温度で、4時間焼成した(図3に示す1,350℃で焼成したYAGの回折スペクトルを参照されたい)。
【0126】
第7工程では、焼成した混合物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間粉砕した。
【0127】
第8工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0128】
回折スペクトルは、YAG発光体以外の結晶種を示さなかった。
【0129】
同様の製造方法により、Eu3+,Tb4+又はGd3+をドープしたYAG、並びにTb4+及びGd3+の混合物をドープしたYAGを製造可能であることに言及したい。上記で定義した手順による最終還元工程を必須とするが、同様の製造方法により、Ni2+,V2+,Co2+をドープしたYAGを製造可能であることにも言及したい。
【0130】
一般的に、YAGは、酸化又は還元状態において、0.1%〜5%の範囲で遷移元素のカチオンをドープすることができる。ミョウバン法は、YAGの立方格子中に、それらを導入するのに特に適している。
【0131】
2.2. γ-アルミナの含浸処理によるアルミン酸塩発光体の製造方法
ミョウバン法に代えて、上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなるアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法を提案する。
【0132】
この製造方法の第1工程では、バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩を含む第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、γ-アルミナに、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第1の含浸処理を施す。
【0133】
希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属の単独物又は混合物である)である。
【0134】
BAMを調製する場合、希土類金属系添加剤以外に、含浸溶液に硫酸マグネシウム及び硝酸バリウムを添加する。
【0135】
CATを調製する場合、希土類金属系添加剤以外に、含浸溶液に硫酸マグネシウムを添加する。
【0136】
アルミナを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理すると、含浸効果が向上することを確認した。
【0137】
第2工程では、含浸したγ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第1の加熱脱硝処理を施す。
【0138】
第3工程では、含浸及び脱硝したアルミナを、500μm以下のメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。この工程により、残留している坩堝の小片が、以下の粉砕工程に運ばれるのを防止することができる。
【0139】
第4工程では、篩を通過した含浸・脱硝したアルミナを、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕する。
【0140】
第5工程では、粉砕物を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成する。
【0141】
第6工程では、焼成物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕する。
【0142】
第7工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0143】
発光体のタイプに応じて(例えばBAM及びCATに対して)実施する第8工程では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元処理を行う。
【0144】
特にBAMを製造する場合、第2の含浸処理を追加するのが良いことが分かっている。
【0145】
従って、第1の含浸処理及び第1の脱硝処理の後、以下の工程:
‐ 含浸及び脱硝したアルミナに、第2の溶液中、80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第2の含浸処理を施す工程、及び
‐ 含浸したγ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第2の加熱脱硝処理を施す工程
を含めることができる。
【0146】
実施例5: γ-アルミナの含浸処理によるBAMの製造
約1kgのBAMを調製するために、この製造方法の第1工程において、120℃で加熱処理した750 gのγ-アルミナ[100%γ型の結晶構造と約6μmの体積メディアン径d50を有する市販品Baikalox(登録商標)B105]に、90℃に加熱した以下の組成の溶液1,825 mLを用いて第1の含浸処理を行った。
● 205.3 gの硝酸バリウム(酸化物換算含有量:59.3%)
● 254.16 gの硝酸マグネシウム・6水和物(酸化物換算含有量:14%)
● 39.42 gの硝酸ユーロピウム(酸化物換算含有量:39.4%)
【0147】
次いで、第2工程では、含浸したγ-アルミナに、600℃の第1の温度で、3時間第1の加熱脱硝処理を施した。
【0148】
第3工程では、含浸及び脱硝したアルミナに、90℃に加熱した以下の組成の溶液1,125 mLを用いて第2の含浸処理を行った。
● 136.9 gの硝酸バリウム(酸化物換算含有量:59.3%)
● 169.44 gの硝酸マグネシウム・6水和物(酸化物換算含有量:14%)
● 26.28 gの硝酸ユーロピウム(酸化物換算含有量:39.4%)
【0149】
第4工程では、含浸したγ-アルミナに、600℃の第1の温度で、3時間第2の加熱脱硝処理を施した(図2に示す600℃で焼成したBAM前駆体の回折スペクトルを参照されたい)。
【0150】
第5工程では、得られた含浸及び脱硝したγ-アルミナを、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0151】
第6工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0152】
第7工程では、篩を通過した粉砕物を、1,350℃の温度で、3時間焼成した(図2に示す1,350℃で焼成したBAMの回折スペクトルを参照されたい)。
【0153】
第8工程では、焼成物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0154】
第9工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0155】
第10工程では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元工程を行った(図2に示す還元したBAMの回折スペクトルを参照されたい)。
【0156】
実施例6: γ-アルミナの含浸処理によるCATの製造
約1kgのCATを調製するために、この製造方法の第1工程において、720 gのγ-アルミナ[100%γ型の結晶構造と約6μmの体積メディアン径d50を有する市販品Baikalox(登録商標)B105]に、以下の組成の溶液で含浸処理を行った。
‐ 360 mLのCe(NO3)3溶液(酸化物換算濃度:368.3 g/L)
‐ 258 mLのTb(NO3)3溶液(酸化物換算濃度:372 g/L)
‐ 576 mLのMgSO4溶液(酸化物換算濃度:89.8 g/L)
【0157】
次いで、第2工程では、含浸したγ-アルミナに、600℃の第1の温度で、3時間第1の加熱脱硝処理を施した。
【0158】
第3工程では、得られた含浸及び脱硝したγ-アルミナを、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0159】
第4工程では、粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0160】
第5工程では、篩を通過した粉砕物を、1,350℃の温度で、3時間焼成した(図2に示す1,350℃で焼成したBAMの回折スペクトルを参照されたい)。
【0161】
第6工程では、焼成物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0162】
第7工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0163】
第8工程では、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終還元工程を行った(図2に示す還元したBAMの回折スペクトルを参照されたい)。
【0164】
2.3 アルミナ・スピネルの含浸処理によるアルミン酸塩発光体の製造方法
変形例として、上記で定義した平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されているアルミン酸塩発光体を、アルミナ・スピネルの含浸処理により製造する方法を提案する。この製造方法は、次の工程を有する。
【0165】
第1工程では、第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、アルミナ・スピネルに、少なくとも1種の希土類金属系添加剤による含浸処理を施す。
【0166】
このようなアルミナ・スピネルは、米国特許第6,251,150号明細書に記載されている。
【0167】
アルミナ・スピネルを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理するのが良いことが分かっている。
【0168】
希土類金属系添加剤は、例えば希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属の単独物又は混合物である)である。
【0169】
BAMを調製するために、希土類金属系添加剤を含むアルミナ・スピネル含浸用溶液に、硝酸バリウムを添加する。
【0170】
第2工程では、含浸したアルミナ・スピネルを、100℃〜150℃、特に120℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間乾燥する。
【0171】
次いで、第3工程では、乾燥したアルミナ・スピネルを、500μm以下のメッシュの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0172】
第4工程では、篩を通過した含浸アルミナ・スピネルに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間加熱脱硝処理を施す。
【0173】
第5工程では、含浸及び脱硝したアルミナ・スピネルを、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕する。
【0174】
第6工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0175】
第7工程では、篩を通過した粉砕物を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成する。
【0176】
第8工程では、焼成物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間、特に16時間粉砕する。
【0177】
第9工程では、粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通す。
【0178】
さらに別の実施態様では、発光体のタイプに応じて、水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元第10工程を行う。
【0179】
実施例7: アルミナ・スピネルの含浸処理によるBAMの製造
約1kgのBAMを調製するために、第1工程において、120℃で予め加熱処理した750 gのアルミナ・スピネル(5Al2O3キMgO)に、90℃に加熱した以下の組成の溶液1.66リットルを用いて含浸処理を行った。
● 320.75 gの硝酸バリウム(酸化物換算含有量:59.3%)
● 98 mLの硝酸ユーロピウム溶液(酸化物換算濃度:247.4 g/L)
【0180】
上記のようなアルミナ・スピネルは、米国特許第6,251,150号明細書に記載されているが、配合割合に注意しながら、7,000 gのアンモニウムミョウバンと376.7 gのMg(SO4)キ7H2Oを混合し、この混合物を、1,100℃〜1,200℃、特に1,150℃の温度で、1時間〜2時間、特に1時間30分焼成することによっても得られる。
【0181】
第2工程では、含浸したアルミナ・スピネルを、120℃の温度で、4時間乾燥した。
【0182】
次いで第3工程では、乾燥したアルミナ・スピネルを、メッシュ500μm以下のプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0183】
第4工程では、篩を通過した含浸アルミナ・スピネルに、600℃の第1の温度で、3時間加熱脱硝処理を施した。
【0184】
第5工程では、含浸及び脱硝したアルミナ・スピネルを、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0185】
第6工程では、粉砕物を、メッシュ200μmのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0186】
第7工程では、篩を通過した粉砕物を、1,350℃の温度で、4時間焼成した。
【0187】
第8工程では、焼成物を、その20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕した。
【0188】
第9工程では、粉砕物を、メッシュ200μmのプラスチック(好ましくはポリアミド)製の篩に通した。
【0189】
最終の第10工程では、篩通過分を、窒素95%及び水素5%の混合ガス雰囲気下、14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で1時間還元処理した。
【0190】
上記で定義した発光体は、ディスプレイ画面、照明(蛍光灯)、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造に使用することができる。
【0191】
3. アルミナ・発光体混合化合物
特に単一層を有する蛍光灯の製造に対し、上記で定義した0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とからなるアルミナ・発光体混合化合物の使用を提案する。
【0192】
発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は、少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2は、イットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは、以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部は、ユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部は、Zn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部は、Ga,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩である。
【0193】
本発明の別の実施態様では、発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;Y2O3:Eu3+;SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択される。
【0194】
発光体として、市販の発光体と、組成を特定することによって、同等の性能を有するにも関わらず低コスト化されたこの混合化合物とを併用することができる。これは、α-アルミナ粒子の優れた反射特性により可能となったものである。
【0195】
上記節2,2.1,2.2及び2.3で定義した発光体を用いるのがより好ましい。
【0196】
この混合化合物は、
‐ 0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とを混合し、
‐ 得られた混合物を、例えばその少なくとも10倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で8時間〜30時間粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質(例えばプラスチック、好ましくはポリアミド)製の篩に通すという工程を有する方法により製造することができる。
【0197】
一変形例では、例えば「アルパイン」型プレートエアジェットミルを用いたエアジェット式粉砕の利用も考えられる。
【0198】
本発明はまた、上記で定義した混合化合物の、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造における使用を対象としている。
【0199】
本発明はさらに、蛍光灯用塗料を製造するための水性懸濁液であって、特に上記で定義した少なくとも一種の混合化合物と、ポリエチレンオキサイドと、ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、脱イオン水とを含む蛍光管用塗料を製造するための水性懸濁液を対象としている。
【0200】
水性懸濁液は、重量割合で、
‐ 上記で定義した少なくとも一種の混合化合物25%〜50%と、
‐ ポリエチレンオキサイド0.5%〜5%と、
‐ ミョウバン法で得られたγ-アルミナ0.3%〜1.5%とを含有し、
‐ 残部は脱イオン水であるという組成を有する。
【0201】
この水性懸濁液は、3色の組合せを構成するための3種の混合化合物を含んでいてもよい。
【0202】
例えば、3種の混合化合物は、重量割合で、
‐ (Ce0.6Tb0.4)MgAl11O19と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物35%〜40%、好ましくは38%、及び
‐ (Ba0.9Eu0.1)MgAl10O17と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナとの混合化合物を、10%〜15%、好ましくは12%含有し、
‐残部は、Y2O3:Eu3+と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナとの混合化合物からなる組成を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.3μm〜2μmの体積と、メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されていることを特徴とする粒子状α-アルミナ。
【請求項2】
0.3μm〜2μmの体積と、メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナの、発光体用マトリックスとしての使用。
【請求項3】
0.3μm〜2μmの体積と、メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナの、蛍光灯用塗料における発光体用マトリックスとしての使用。
【請求項4】
0.3μm〜2μmの体積と、メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されている粒子状α-アルミナの製造方法であって、
‐ ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、焼結助剤と、α-アルミナのシードとを混合し、
‐ 得られた混合物を、オーブン中1,150℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、1時間〜6時間、特に2時間焼成し、
‐ 焼成した混合物を粉砕し、
‐ 粉砕した混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュの非汚染性物質製の篩に通す工程を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記焼結助剤は、NH4Fであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物は、重量割合で、ミョウバン法で得られた85%〜95%のγ-アルミナと、2.5%〜13%のα-アルミナと、0.4%〜1.8%のNH4Fとを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物は、重量割合で、ミョウバン法で得られた約93.5%のγ-アルミナと、約5.5%のα-アルミナと、約1%のNH4Fとを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記焼成した混合物を、その少なくとも20倍量のアルミナ球石により、ボールミル中で16時間粉砕することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルミナ球石は、センチメートルのオーダー、特に3cm〜5cmの直径を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されていることを特徴とするアルミン酸塩発光体。
【請求項11】
前記発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は、少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2は、イットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは、以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部は、ユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部は、Zn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部は、Ga,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩であることを特徴とする請求項10に記載のアルミン酸塩発光体。
【請求項12】
前記発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択されることを特徴とする請求項10又は11に記載のアルミン酸塩発光体。
【請求項13】
前記発光体は、BAM型、CAT型又はYAG型であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体。
【請求項14】
平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなる請求項10〜13のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法であって、
‐ アンモニウムミョウバンと、少なくとも一種の希土類金属系添加剤とを混合し、
‐ 得られた混合物を、1,100℃〜1,200℃、特に1,150℃の第1の温度で、1時間〜2時間、特に1時間30分焼成し、
‐ 得られた焼成混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した焼成混合物を粉砕し、篩に通し、
‐ 篩を通過した粉砕混合物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分の粉砕混合物を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の第2の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通す工程を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
硫酸マグネシウム・7水和物を、アンモニウムミョウバンと希土類金属系添加剤との混合物に添加することを特徴とする請求項14に記載のアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法。
【請求項16】
水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で、少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加することを特徴とする請求項14又は15に記載のアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法。
【請求項17】
前記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属の単独物又は混合物である)であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法。
【請求項18】
BAMを調製するために、体積メディアン径d50が1μm未満となるように粉砕した無水硫酸バリウムを、アンモニウムミョウバン、希土類金属系添加剤及び硫酸マグネシウム・7水和物を含む前記混合物に添加することを特徴とする請求項15、又は請求項15と請求項16もしくは17との組合せにおけるアルミン酸塩発光体のミョウバン法による製造方法。
【請求項19】
平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなる請求項10〜13のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法であって、
‐ γ-アルミナに、第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第1の含浸処理を施し、
‐ 含浸したγ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第1の加熱脱硝処理を施し、
‐ 得られた含浸・脱硝アルミナを、メッシュサイズ500μm以下の非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した含浸・脱硝アルミナを粉砕し、
‐粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通す
工程を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
第1の含浸処理及び第1の脱硝処理の後、
‐ 含浸及び脱硝したアルミナに、第2の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による第2の含浸処理を施し、
‐ 得られた含浸γ-アルミナに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間第2の加熱脱硝処理を施す
工程を有することを特徴とする請求項19に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項21】
少なくとも一種の希土類金属系添加剤を含む含浸溶液に、硫酸マグネシウムを添加することを特徴とする請求項19又は20に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項22】
水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加することを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項23】
前記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属の単独物又は混合物である)であることを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項24】
BAMを調製するために、少なくとも一種の希土類金属系添加剤を含む含浸溶液に、硫酸マグネシウム及び硝酸バリウムを添加することを特徴とする請求項21、又は請求項21と請求項19、22、23のいずれか1項との組合せにおけるアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項25】
前記γ-アルミナを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理することを特徴とする請求項19〜24のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項26】
平均粒径0.25μm〜1.5μmの粒子で構成された約10μmの平均粒径を有する凝集体により形成されてなる請求項10〜13のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法であって、
‐ アルミナ・スピネルに、第1の溶液中80℃〜95℃、特に90℃の加熱下、少なくとも一種の希土類金属系添加剤による含浸処理を施し、
‐ 含浸したアルミナ・スピネルを、100℃〜150℃、特に120℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間乾燥し、
‐ 乾燥物を、メッシュサイズ500μm以下の非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 篩を通過した含浸アルミナ・スピネルに、500℃〜700℃、特に600℃の第1の温度で、2時間〜4時間、特に3時間加熱脱硝処理を施し、
‐ 得られた含浸及び脱硝したアルミナ・スピネルを粉砕し、
‐粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通し、
‐ 得られた篩通過分を、1,300℃〜1,400℃、特に1,350℃の温度で、3時間〜5時間、特に4時間焼成し、
‐ 焼成物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通す
工程を有することを特徴とする方法。
【請求項27】
BAMを調製するために、前記少なくとも一種の希土類金属系添加剤を含むアルミナ・スピネル含浸用溶液に、硝酸バリウムを添加することを特徴とする請求項26に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項28】
水素含有ガス雰囲気下、10℃/分〜20℃/分、特に14℃/分の昇温速度で加熱処理し、さらに温度1,500℃〜1,600℃及び圧力約100 mbarの定常状態で、少なくとも1時間処理する最終の還元工程を追加することを特徴とする請求項26又は27に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項29】
前記希土類金属系添加剤は、希土類金属硝酸塩M3(NO3)3(M3は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選ばれた希土類金属の単独物又は混合物である)であることを特徴とする請求項26〜28のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項30】
前記アルミナ・スピネルを、80℃〜150℃、特に120℃の温度で、10分〜2時間予め加熱処理することを特徴とする請求項26〜29のいずれか1項に記載のアルミン酸塩発光体の含浸法による製造方法。
【請求項31】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の発光体、又は請求項14〜30のいずれか1項に記載の方法により製造された発光体の、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造における使用。
【請求項32】
請求項1に記載の粒子状α-アルミナ、又は請求項4〜9のいずれか1項に記載の製造方法で得られた粒子状α-アルミナであって、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とを含むことを特徴とするアルミナ・発光体混合化合物。
【請求項33】
前記発光体は、請求項10〜13のいずれか1項に記載の発光体、又は請求項14〜30のいずれか1項に記載の方法により製造された発光体であることを特徴とする請求項32に記載のアルミナ・発光体混合化合物。
【請求項34】
前記発光体は、式:
a (M1O)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(1)、又は
a (M2O1.5)・b (MgO)・c (Al2O3)・・・(2)
[M1は少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M2はイットリウム又はセリウムとテルビウムとの組合せ物であり、a,b,cは以下の関係:0.25≦a≦4;0≦b≦2;及び0.5≦c≦9を満たす整数又は非整数であり、M1及びM2の少なくとも一部は、ユーロピウム及びその他の希土類金属(特にネオジウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム及びガドリニウム)からなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、マグネシウムの少なくとも一部は、Zn,Mn及びCoからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、アルミニウムの少なくとも一部は、Ga,Sc,B,Ge及びSiからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよい]で表される組成物からなるアルミン酸塩であることを特徴とする請求項32又は33に記載のアルミナ・発光体混合化合物。
【請求項35】
前記発光体は、(Ce0.6Tb0.4) MgAl11O19;(Ba0.9Eu0.1) MgAl10O17;Y3Al5O12:Eu2+;Y3Al5O12:Ce3+;Y2O3:Eu3+;SrAl12O19:Mn2+;及びZn2SiO4:Mn2+からなる群から選択されることを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載のアルミナ・発光体混合化合物。
【請求項36】
請求項32〜35のいずれか1項に記載のアルミナ・発光体混合化合物の製造方法であって、
‐ 0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する実質的に球形の粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナ50%〜95%と、発光体5%〜50%とを混合し、
‐ 得られた混合物を粉砕し、
‐ 粉砕物を、150μm〜250μm、特に200μmのメッシュサイズの非汚染性物質製の篩に通す工程を有することを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項32〜35のいずれか1項に記載のアルミナ・発光体混合化合物、又は請求項36に記載の方法により製造されたアルミナ・発光体混合化合物の、ディスプレイ画面、照明、プロジェクタ、特にプラズマディスプレイ又は電界放出ディスプレイ、液晶画面用バックライトランプ、発光ダイオード、プラズマ励起型ランプ及び3色電球の製造における使用。
【請求項38】
蛍光管用塗料を製造するための水性懸濁液であって、請求項32〜35のいずれか1項に記載の少なくとも一種のアルミナ・発光体混合化合物と、ポリエチレンオキサイドと、ミョウバン法で得られたγ-アルミナと、脱イオン水とを含むことを特徴とする水性懸濁液。
【請求項39】
重量割合で、
‐ 請求項32〜35のいずれか1項に記載の少なくとも一種のアルミナ・発光体混合化合物25%〜50%と、
‐ ポリエチレンオキサイド0.5%〜5%と、
‐ ミョウバン法で得られたγ-アルミナ0.3%〜1.5%とを含有し、
‐ 残部が脱イオン水からなる
組成を有することを特徴とする請求項38に記載の水性懸濁液。
【請求項40】
3色の組合せを構成するための3種のアルミナ・発光体混合化合物を含むことを特徴とする請求項38又は39に記載の水性懸濁液。
【請求項41】
前記3種のアルミナ・発光体混合化合物は、重量割合で、
‐ (Ce0.6Tb0.4)MgAl11O19と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物35%〜40%、好ましくは38%、及び
‐ (Ba0.9Eu0.1)MgAl10O17と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物10%〜15%、好ましくは12%を含有し、
‐ 残部が、Y2O3:Eu3+と、0.3μm〜2μmの体積メディアン径d50を有する球形粒子から本質的に構成されてなる粒子状α-アルミナとの混合化合物からなる
組成を有することを特徴とする請求項40に記載の水性懸濁液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520818(P2012−520818A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500249(P2012−500249)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053500
【国際公開番号】WO2010/106122
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511228285)
【Fターム(参考)】