説明

アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物用の複合材料前駆物質およびその製造方法

本発明は、リチウム遷移金属酸化物のコア、および該コアの表面上に被覆された水酸化アルミニウム系沈殿物層を含んでなる、粉末状複合材料前駆物質、および該複合材料前駆物質の製造方法を提供する。該製造方法は、リチウム遷移金属酸化物粉末を水中に分散させることにより、水系スラリーを形成すること、およびアルミニウム塩と塩基塩の沈殿反応を行うこと含んでなり、その際、該リチウム遷移金属粒子が種粒子として作用し、それによって、厚さが一様な機械的に安定した沈殿物層が達成される。該複合材料前駆物質は、熱処理により、再充電可能なリチウムバッテリーのカソード活性材料に好適な、アルミニウムを含む、例えばアルミニウムドーピングされた、リチウム遷移金属酸化物に転化することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物用の複合材料前駆物質およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、リチウム遷移金属酸化物のコアおよび該コアの表面上に被覆された水酸化アルミニウム系沈殿物層を含んでなる複合材料前駆物質、および水系スラリーまたはペースト中で、アルミニウム塩溶液と塩基溶液の沈殿反応により、種粒子としての該リチウム遷移金属酸化物を被覆する、該複合材料前駆物質の製造方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
商業的な再充電可能なリチウムバッテリーでは、リチウム化された遷移金属酸化物をカソード活性材料として使用し、これらの遷移金属酸化物は、例えば、層状結晶構造を有する材料、例えばLiCoO、Li(Mn1/2Ni1/21−xCoまたはLiNi1−xCo、およびスピネル結晶構造を有する材料、例えば酸化リチウムマンガンスピネルまたは酸化リチウムマンガン−ニッケルスピネルを包含する。用途に応じて、これらの材料の特定の特性が重要であり、そのような特性は、処理、ドーピング、表面処理、不純物の調整等により修正することができる。
【0003】
これらの材料の幾つか、とりわけ唯一、一種類の遷移金属のみが存在する材料は、簡単な遷移金属前駆物質を使用する固体状態反応により、容易に調製することができる。しかし、より「複雑な」材料、特に二種類以上の遷移金属が存在する材料は、単純な固体状態反応により、すなわち個別の遷移金属前駆物質を混合することにより、製造するのは困難であるか、または不可能である。代わりに、複雑なリチウム遷移金属酸化物は、一般的に、混合された前駆物質、例えば混合された水酸化物または機械的に合金化された遷移金属酸化物を、リチウムの供給源と反応させることにより、製造される。
【0004】
混合された水酸化物は、典型的には沈殿反応により製造される。混合された水酸化物の沈殿(例えばNaOHの流れとM−SOの流れとが調整されたpHの下で沈殿)または混合された炭酸塩の沈殿(例えばNaCOの流れとM−SOの流れの沈殿)により、好適な形態を有する前駆物質を達成することができる。問題は、不純物のレベルであり、特に硫黄の除去が困難であり、経費がかかる。同じ問題は、混合された炭酸塩の場合におけるナトリウムにも当てはまる。
【0005】
一方、リチウム遷移金属酸化物を変性する一方法として、ドーピングが広く研究されている。ドーピングは、典型的には、遷移金属あたりドーピング剤5原子%を超えない。典型的なドーピング剤は、既存の結晶構造中に等構造的に(isostructurally)挿入される(例えばAlドーピングされたLiCoO)か、または二次相を形成し、粒界で凝集していることが多い(例えばZrドーピングされたLiCoO)。
【0006】
ドーピング手法では、アルミニウムが一般的なドーピング剤である。アルミニウム変性されたリチウム遷移金属酸化物の有益性は、広く研究されている。例えば、LiNi1−xCoの結晶構造にAlを加えることにより、安全性およびサイクル運転の安定性が改良されることが分かっている。例えば、AlドーピングされたLiMn2−xLiスピネルのサイクルはより安定しており、Mnの溶解も少なく、Al被覆されたLiCoOのサイクルは、高電圧でより安定している。
【0007】
アルミニウム変性されたリチウム遷移金属酸化物、すなわち、Al含有リチウム遷移金属酸化物に関連する問題は、その製造方法にある。複雑なリチウム遷移金属酸化物の場合、混合された前駆物質がアルミニウムを含む必要があるが、Al含有前駆物質、例えばAlドーピングされた混合遷移金属水酸化物を調製するのは、より困難である。あるいは、リチウム遷移金属酸化物は、原料をアルミニウムの供給源、例えばAlまたはAl(OH)と混合することにより製造することができる。これに関して、Alは反応性が低く、Al(OH)は、低温でAlに容易に変換されることに注意すべきである。従って、得られるカソードは、不均質にドーピングされているので、アルミニウムドーピングの有益性が十分に活用されない。
【0008】
Alドーピングされた材料の製法で、反応性アルミニウム相を含む層が問題の粒子、例えばリチウム遷移金属酸化物、の表面を完全に覆う場合、これは有利であろう。これが可能であれば、拡散経路が短くなり、接触面積が大きくなるので、Alドーピングされた材料は、比較的低い温度で達成できよう。以下に例示するように、本発明は、そのような、反応性アルミニウム相で完全に覆われた複合材料前駆物質および該複合材料前駆物質の製造方法を開示する。
【0009】
一方、Alドーピング手法の他に、Al被覆手法も、特性を改良する手段として公知である。従来のAl被覆方法では、リチウム遷移金属酸化物粒子をアルミニウム含有量溶液またはゲル中に浸漬し、続いて乾燥および穏やかに熱処理する。その結果、リチウム遷移金属酸化物の表面が酸化アルミニウムを基剤とする相により覆われる。この相は、電解質をより反応性の高い材料全体から分離し、特性の改良に有望である。しかし、従来のAl被覆方法には、以下に説明するような欠点がある。
【0010】
先行技術のAl被覆では、リチウム遷移金属酸化物を、エタノール中に溶解させたAlPOまたはトリブチルアルミニウム中に浸漬する。問題は、原料のコスト、および反応または乾燥工程中にガスの発生を引き起こすことがある有機溶剤の使用である。別の問題は、リチウム遷移金属酸化物上に少量のAlしか被覆できないことである。AlPO4またはトリブチルアルミニウムの溶解度が低いことは、浸漬被覆により形成された層中に存在するアルミニウムの量を制限する。低溶解度を相殺するために有機溶剤を大量に使用すると、アルミニウム含有粒子は形成されるが、リチウム遷移金属酸化物を被覆することができない。一般的に、乾燥工程後のアルミニウム化合物とリチウム遷移金属酸化物間の接触は、主として物理的な密着性により維持され、化学的結合による接触は限られている。従って、厚い被覆層は形成されるが、乾燥中に脱離する傾向がある。
【0011】
別の手法として、この分野では、粒子被覆製法も公知である。この製法では、リチウム遷移金属酸化物を微粒子のスラリー中に浸漬することにより、被覆を達成する。あるいは、乾燥被覆手法も使用できる。この乾燥被覆方法では、細かい粒子、典型的には1マイクロメートル未満のサイズを有するAl粒子をリチウム遷移金属酸化物と混合する。しかし、粒子被覆製法には下記のような幾つかの欠点がある。すなわち、(i)細かい粒子により完全な被覆を達成するのが困難であり、(ii)微粉の凝集を阻止するのが困難であり、生じた凝集物がリチウム遷移金属酸化物の表面を効率的に被覆できず、(iii)細かい粒子とリチウム遷移金属酸化物との間の密着性が乏しいので、その後の工程で被覆層が剥離する傾向がある。
【0012】
従って、カソード活性材料用の改良された前駆物質、およびそのような前駆物質の製造方法が求められている。この前駆物質の改良は、リチウム遷移金属酸化物の粒子を一様な厚さの層で完全に覆っており、該層が、機械的に良く接触しており、アルミニウムを含み、実質的に不純物を含まないことが特徴となろう。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、上記の問題を完全に解決することである。
【0014】
具体的には、本発明の目的は、カソード活性材料として、アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物用の複合材料前駆物質を提供することである。この複合材料前駆物質は、リチウム遷移金属酸化物コアの表面上に活性アルミニウム相の水酸化アルミニウム系沈殿物層を有し、熱処理により、Alドーピングされたリチウム遷移金属酸化物に転化することができる。
【0015】
本発明の別の目的は、アルミニウム塩溶液および塩基溶液の沈殿反応により、複合材料前駆物質を製造する方法を提供することである。この沈殿製法には、多くの利点があり、例えば不純物、例えば原料中に存在する硫黄、ナトリウムまたは塩化物を許容でき、有機溶剤を使用せず、完全に被覆された、安定した製品が得られる。
【0016】
本発明の別の目的は、該複合材料前駆物質から製造できるアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物を提供することである。該アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物は、再充電可能なリチウムバッテリー用のカソード活性材料に塗布することができる。
【0017】
これらの目的を達成するために、本発明は、(a)リチウム遷移金属酸化物コア、および(b)該リチウム遷移金属酸化物コアの表面上に被覆された活性アルミニウム相の水酸化アルミニウム系沈殿物層を含んでなり、該水酸化アルミニウム系沈殿物が2価陰イオンを含む、アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物用の複合材料前駆物質を提供する。この複合材料前駆物質は、本発明が関与するこの分野では知られていない新規な材料である。
【0018】
本発明の一実施態様においては、水酸化アルミニウム系沈殿物層は、リチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物である。この場合、2価陰イオンは硫酸塩である。沈殿物層中に存在する硫酸塩は、炭酸塩により容易に置き換えられ、沈殿物層が実質的に硫黄を含まないようにすることができる。従って、水酸化アルミニウム系沈殿物層は、好ましくはリチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物の層である。この場合、2価陰イオンは炭酸塩である。
【0019】
本発明は、アルミニウム塩溶液および塩基溶液と、水系のスラリーまたはペースト中に分散させた種粒子としてのリチウム遷移金属酸化物との沈殿反応を行い、リチウム遷移金属酸化物粒子の表面上に水酸化アルミニウム系沈殿物層を形成することを含んでなる、複合材料前駆物質の製造方法も提供する。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、沈殿反応の後、炭酸塩溶液を反応系の中に加えることにより、イオン交換反応をさらに行い、沈殿物層中に存在する硫酸塩を炭酸塩で置き換える。本開示中に記載する幾つかの実験は、驚くべきことに、このイオン交換反応により、沈殿物層から実質的に硫黄を除去できることを示している。
【0021】
また、本発明は、上記複合材料前駆物質の熱処理により製造されたアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物を提供する。このアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物は、再充電可能なリチウムバッテリーのカソード活性材料に好適であり、先行技術のリチウム遷移金属酸化物およびAl被覆された、またはAlドーピングされたリチウム遷移金属酸化物よりも優れた特性を示す。
【発明の詳細な説明】
【0022】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
本発明の複合材料前駆物質では、沈殿物層の厚さは、意図するアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物に必要なアルミニウム含有量に応じて変えることができるので、特に制限は無い。一実施態様においては、沈殿物層中にあるアルミニウムの総量は、複合前駆物質中にある遷移金属の総量に対して0.5〜5原子%である。
【0024】
すでに述べたように、水酸化アルミニウム系沈殿物層は、活性アルミニウム相として存在し、これは、高pHにおいても溶解し難い熱力学的に安定した相であり、適切な熱処理により、リチウム遷移金属酸化物のAlドーピングされた層に容易に転化することもできる。
【0025】
複合材料前駆物質のコアとしてのリチウム遷移金属酸化物は、層状またはスピネル結晶構造を有し、例えばLiCoO、コバルト濃度が高いLi(Mn1/2Ni1/21−xCo、リチウムマンガンスピネル、例えばLiMn2−xLi、およびドーピングされたリチウムマンガンスピネル、リチウムマンガン−ニッケルスピネル、例えばLi(Mn1.6Ni0.4)O、リチウムマンガンニッケル酸化物、例えばLiMn1/3Ni1/3Co1/3、またはリチウムニッケル酸化物系材料、例えばLiNi0.8Co0.2およびLiNi0.8Co0.150.05(A=Mn、Al、MgTi等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の複合材料前駆物質の製造方法においては、原料としてのリチウム遷移金属酸化物は、商業的な再充電可能なリチウムバッテリーでは非常に好ましくない不純物、例えば硫黄、ナトリウム、塩化物等を含んでいてもよい。驚くべきことに、これらの不純物は、本発明の沈殿反応中にリチウム遷移金属酸化物から除去され、この効果は、本明細書の実施例10に示されている。従って、原料としてのリチウム遷移金属酸化物の製造に安価な化学物質を使用することができ、不純物を除去するための追加の手順、例えば先行技術における洗浄工程の必要がない。
【0027】
また、本発明の製法においては、処理の際にガスの発生を引き起こすことがある有機溶剤を使用せず、適切な分離、例えば濾過により容易に除去できる水を使用する。
【0028】
さらに、本発明の方法により、均質で、先行技術の方法と比較して、より厚いアルミニウム含有被覆を達成することができる。さらに、達成される被覆層は、優れた機械的安定性を有する。
【0029】
沈殿反応工程においては、リチウム遷移金属酸化物粒子を含む水系スラリーを先ず調製する。スラリーの固体画分は、好ましくは30〜50%(w/w)を超える。
【0030】
沈殿反応のための反応物の一種としてのアルミニウム塩には、例えば硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、等があるが、これらに限定されるものではない。これらの中で、硫酸アルミニウムが、Alの含有量が高く、溶解度が高く、大量に入手できるので、特に好ましい。場合により、アルミニウム塩を他の塩、例えば遷移金属硫酸塩、例えばコバルト、マンガンまたはニッケルの硫酸塩、等との組合せで使用できる。
【0031】
沈殿反応のためのもう一つ反応物としての塩基塩には、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム等、またはそれらの2種類以上の混合物があるが、これらに限定されるものではない。これらの中で、水酸化リチウムが、高pHでも、アルミニウムの溶解を起こさずに沈殿反応が可能なので、特に好ましい。
【0032】
アルミニウム塩と塩基塩の反応比は、pHが6〜12の範囲内になるように選択するのが好ましい。本発明者らが行った実験により、塩基塩の当量がアルミニウム塩の当量以上である場合、沈殿反応の後、スラリーの液体部分にアルミニウムは残っていないことが確認された。
【0033】
これらの塩とリチウム遷移金属酸化物粒子の反応比は、沈殿物層の意図する厚さに応じて決定することができる。つまり、薄い層を意図する場合、反応比を低くする必要がある。反対に、厚い層を意図する場合には、反応比を高くする必要がある。
【0034】
上記のように、再充電可能なリチウムバッテリー用のカソード活性材料としてアルミニウムドーピングされたリチウム遷移金属酸化物が必要である場合、アルミニウムを含まないリチウム遷移金属酸化物粒子を、粉末またはスラリーの形態で調製し、次いでその粒子を、本発明のアルミニウム含有沈殿物層で被覆するのが好ましいであろう。沈殿物層は、熱処理により、アルミニウムを含む、ドーピングされた層に転化することができる。
【0035】
リチウム遷移金属酸化物としては、上に述べたように、LiCoO、コバルト濃度が高いLi(Mn1/2Ni1/21−xCo、リチウムマンガンスピネル、リチウムマンガン−ニッケルスピネル、リチウムマンガンニッケル酸化物、またはリチウムニッケル酸化物系材料、等を使用できる。一実施態様では、リチウム遷移金属酸化物の代わりに、それらの原料、例えば混合された水酸化物、または混合された水酸化物を含むスラリーを使用できる。これらの混合された水酸化物は、例えばM(OH)、炭酸塩、例えばMCO、またはオキソ水酸化物、例えばMOOH、であり、ここでMは、基本的にMn、Ni、Co等からなる。
【0036】
例えば、LiNiO系材料、例えばLiNi0.8Co0.15Mn0.05、およびNi−Mn酸化物材料、例えばLi(Mn1/2Ni1/21−xCo、は、典型的には沈殿した水酸化物から調製される。これらの場合、これらの水酸化物は、β−Ni(OH)型であり、その際、Niは2価であり、大量の陰イオン、例えば、SO−2、または結晶水を含まない。一方、3価のAlは、意図する材料の結晶構造に適合しない。AlおよびNiが共沈殿する場合、得られる水酸化物は、対イオン、例えば硫酸塩、および結晶水を含む。従って、これらの水酸化物が大規模製法にはあまり好ましくないことは明らかである。
【0037】
本発明の製法におけるリチウム遷移金属酸化物は、好ましくは一体構造(monolithic)粒子の粉末である。一体構造とは、内側多孔度が小さい粒子として定義され、その典型的な例は、ジャガイモ形状または粗い粒子である。沈殿反応の後、沈殿物の完全な均質層が一体構造粒子を覆う。粒子が多孔質である場合、沈殿物は粒子の内側をほとんど覆わない。あるいは、リチウム遷移金属酸化物は、二次粒子からなる粉末でよく、より小さな一次結晶の緻密な凝集物であるが、内側多孔度はあまり大きくないのが好ましい。
【0038】
沈殿反応は、反応器として、リチウム遷移金属酸化物スラリーを含む沈殿容器中で行う。例えば、少なくとも一つの、アルミニウム塩溶液を含む流れ、および少なくとも一つの、塩基塩溶液を含む流れを、この反応器に供給する。好ましくは、両方の流れを連続的に注入し、pHを6〜12の範囲内に調節する。好ましい実施態様では、アルミニウム塩は硫酸アルミニウムであり、塩基は水酸化リチウムである。LiOHを塩基として使用する場合、pHが高くても沈殿が可能であることに注意すべきである。熱力学的に安定した相−リチウムアルミニウム硫酸塩水酸化物水和物−の存在が、アルミニウムが高pHで溶解する傾向を下げていると考えられる。
【0039】
沈殿反応の際、水酸化アルミニウム系材料の層がリチウム遷移金属酸化物粒子の表面上に沈殿する。その結果、均質な厚さを有し、リチウム遷移金属酸化物粒子の表面を完全に覆う水酸化アルミニウム系の層が達成される。水酸化アルミニウム系の層は、単純なAl(OH)ではなく、リチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物である。
【0040】
上記のように、沈殿反応の後に、炭酸塩溶液を使用してイオン交換反応をさらに行うことができる。例えば、沈殿反応の後に形成される溶液として、透明なLiSO溶液を除去し、次いで炭酸塩溶液で置換する。
【0041】
イオン交換反応用の炭酸塩としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムまたはそれらの2種類以上の混合物があるが、これらに限定するものではない。これらの中で、炭酸リチウムが最も好ましい。炭酸リチウムは、低濃度、例えば0.1M−LiCOの水性形態で使用できる。炭酸リチウムを使用する場合、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物の均質な層が得られる。しかし、炭酸塩の代わりに水酸化物または他の塩を使用することは、本明細書の実施例5で示されるように、本発明で硫酸塩を含まない沈殿物層を形成する上で、はるかに効率が悪いことが確認された。
【0042】
沈殿反応またはさらにイオン交換反応の後、被覆された粒子、より詳しくは、水酸化アルミニウム系の層で覆われた粒子を分離および/または洗浄し、続いて乾燥させる。
【0043】
一実施態様においては、乾燥の前または後に、どのような化学物質でもさらに加えることができる。この化学物質としては、例えば好ましくは水性形態で添加するLiPOが挙げられるが、これに限定されるものではない。この場合、水酸化アルミニウム系層の多孔度が、スポンジのように作用し、これによって、加えられた液体を支持し、粒子の内部に均質に配分することができる。
【0044】
別の実施態様では、乾燥後、得られた粉末を他の化学物質とさらに混合することができる。この化学物質としては、例えば、好ましくは固体粉末の形態で混合するLiCO、LiAlF等があるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明のアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物は、上記のように調製した複合材料前駆物質を、リチウム遷移金属酸化物を焼結させるのに十分な温度で熱処理することにより、製造することができる。熱処理の温度は、典型的には500〜1050℃である。そのような十分に高い温度で、急速な材料拡散により表面のAl濃度が下がり、アルミニウムドーピングされたリチウム遷移金属酸化物が達成される。しかし、熱処理温度が低過ぎると、表面のAl濃度が高いままであり、材料全体があまりドーピングされないか、または全くドーピングされない。アルミニウムを過度に材料全体に拡散させずに、緻密な表面を達成するための望ましい熱処理温度は、700〜950℃である。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0046】
以下に、本発明を実施例により、より詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
実施例1
本実施例では、アルミニウム塩と塩基塩の沈殿物を試験する。1.33M−Al(SO溶液の流れおよび4M−LiOH溶液の流れを、一定速度で、200mlのHOを含む反応器に攪拌しながら、連続的に供給した。温度は60℃であり、pHは、40℃で測定した時に9.0であった。アルミニウムの総量は0.05モルであった。沈殿物をデカンテーションにより洗浄し、濾過し、動的真空中、60℃で乾燥させた。デカンテーションし、濾過した溶液に対する化学分析により、驚くべきことに、溶液中にアルミニウムが残っていないことが分かった。
【0048】
沈殿物を、AlおよびLiの含有量に関してICPにより、結晶構造に関してはX線により、検査した。硫黄の含有量は、EDSにより推定した。この結果から、沈殿物は、基本的に水酸化アルミニウムであり、さらにリチウムおよび硫黄を含んでいることが分かった。Al、LiおよびSの組成は、おおむね、Al0.7Li0.3(SO0.2である。X線回折パターンを図1に示す。このX線パターンは、単相材料を示している。特に、結晶構造はAl(OH)とは異なっている。硫黄およびリチウムは、結晶構造の一部であり、第二相(LiSO)として存在するのではなく、これが、これ以上の洗浄がリチウムおよび硫黄の除去に効果的ではなかった理由である。その結果、沈殿反応の後、リチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物が形成されたことが確認される。
【0049】
次いで、新たに沈殿したリチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物を含むスラリーを、0.1M−LiCO溶液中で、CO:SOのモル比が約5:1になるように調節してエージングすることにより、イオン交換反応を行った。イオン交換反応の後に得たX線パターンは、リチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物(LiAl(CO)(OH)12*3HO)のパターンと類似している。
【0050】
実施例2
市販のリチウムマンガンスピネル(三井)を種粒子として使用した。スラリーは、300mlのHOをリチウムマンガンスピネル250gに加えて調製した。1.33M−Al(SO溶液の流れおよび4M−LiOH溶液の流れを、一定速度で、スラリーを含む反応器に連続的に供給した。温度は80℃であり、pHは、50℃で測定した時に9.9であった。スピネル中のMn1あたり、Al2.5原子%が沈殿した。
【0051】
洗浄および乾燥後に得られたスピネルの表面構造を、実施例1と同じ方法で検査し、スピネルの表面が水酸化アルミニウム系沈殿物により被覆されていることが確認された。EDS検査により、この沈殿物が、沈殿したAlに対して硫黄約25原子%を含むことが分かった。
【0052】
実施例3
一体構造粒子形態を有するLiCoOを種粒子として使用し、水1L中に2kgのLiCoOを含むスラリーを調製した。このスラリー約200mlを反応器に供給した。1.33M−Al(SO溶液の流れおよび4M−LiOH溶液の流れを、一定速度で反応器に連続的に供給した。Coに対してAl2原子%が沈殿した。
【0053】
さらに、沈殿反応が4、10または20分後に終了するように、様々な反応条件下で、すなわち温度20〜90℃、pH約8〜11、様々な流量等、で幾つかの調製を行った。幾つかの調製では、水1リットルあたりLiSO1モルを最初にスラリーに加えた。
【0054】
これらの実験から、すべての場合で、LiCoO表面を完全に覆う、Al−水酸化物系の沈殿物、より詳しくは、リチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物の均質な層が形成されたことが分かった。そのような被覆された粒子を示すFESEM顕微鏡写真を図2〜4に示す。これらの実験から、沈殿物層の形態は、特に高または低密度、および様々なクリスタライトサイズ等に関して、容易に制御できることが分かった。
【0055】
実施例4
硫酸アルミニウム溶液の代わりに、硫酸アルミニウムと硫酸コバルトの混合溶液を使用した以外は、実施例2と同じ方法で実験を行った。この実験結果から、リチウムマンガンスピネルの表面が、硫酸塩およびリチウムをさらに含む一様な厚さのコバルト−アルミニウム混合水酸化物層で完全に被覆されることが分かった。
【0056】
EDS分析により、Al:Co:Sのモル組成は、約0.8:1:0.25であると測定された。リチウム含有量は定量されなかった。
【0057】
実施例5
200gの市販のLiCoOおよび水150mlからスラリーを調製し、温度を60℃に調節し、pHを40℃で測定した時に8.9に調節した以外は、実施例3と同じ方法で実験を行った。得られた試料は、LiCoOの表面上に形成された沈殿物層を有していた。この層は、Co1原子あたりAl3原子%を含んでいた。
【0058】
沈殿反応の後、試料をデカンテーションにより洗浄し、ビーカー中に分割し、次いでそこに、好適な塩、すなわちLiCO、NaCO(約0.03M)、LiOH、NaOH、LiF(約0.06M)およびLiAlF(0.01M)の低濃度溶液をそれぞれ加えた。24時間後、得られた試料を洗浄し、乾燥させた。
【0059】
硫黄含有およびアルミニウムの溶解度をEDS分析により測定した。分析の結果、驚くべきことに、LiCOおよびNaCOは、Alの溶解を引き起こさずに、硫黄を効果的に除去されたのに対し、LiOHおよびNaOHは、硫黄の除去効果が低く、アルミニウムの一部が溶解し、さらに、LiFおよびLiAlFは、硫黄をイオン交換できないことが分かった。
【0060】
実施例6
4kgの市販のLiCoOおよび水2Lからスラリーを調製し、そこに硫酸を加えてスラリーを中和した。60℃で、1.33M−Al(SO溶液の流れおよび4M−LiOH溶液の流れを、このスラリーを含む5L反応器に、攪拌しながら連続的に供給した。沈殿反応を、pHを9.6に合わせながら、25分間続行した。その結果、Coに対してAl2原子%の沈殿物層が形成された。
【0061】
沈殿反応の後、Al被覆されたLiCoOを、デカンテーションを繰り返して洗浄した。反応器に水を再度満たし、37gのLiCoOを加え、穏やかに攪拌して溶解させた。10時間後、得られたLiCoOをデカンテーションにより洗浄し、続いて濾過し、乾燥させた。
【0062】
EDS分析により、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物で被覆され、実質的に硫黄を含まないLiCoOが得られることが分かった。より詳しくは、沈殿物層中に存在するAl原子1個あたり硫黄約2原子%存在する。
【0063】
実施例7
被覆されたLiCoOを、デカンテーションにより洗浄し、濾過した後、乾燥させなかった以外は、実施例6と同じ方法で実験を行った。より詳しくは、フィルターケーキをビーカー中に入れる代わりに、高粘度のスラリーが達成されるまで、少量の水を加えた。スラリーを攪拌しながら、4.5M−LiPO溶液を滴下しながら加え、次いでスラリーを乾燥させた。合計で、コバルト原子に対して2原子%のPを加えた。
【0064】
その結果、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物で被覆されたLiCoOが、2%のガラス質LiPOでさらに被覆された。
【0065】
実施例8
実施例6のAl−Li−OH−CO被覆されたLiCoOを、LiCOと、LiCoO100gあたりLiCO0.4gの量で混合した。この混合物を750、800、850、900または950℃に加熱した。
【0066】
FESEM分析により、焼結度およびAlの粒子中への拡散は、焼結温度を正しく選択することにより、容易に制御できることが分かった。特に、950℃で、平滑な表面を有するAlドーピングされたLiCoOが達成されたのに対し、最も低い温度では、構造化された、電気的に絶縁性の酸化アルミニウム層が表面を被覆した。中間の温度では、強くAlドーピングされたLiCoOを基剤とする、緻密で、あまり構造化されていない層が表面全体を覆った。
【0067】
追加の実験として、実施例6のAl−Li−OH−CO被覆されたLiCoOの試料100gを、LiCOとLiAlF(重量で1:2)のボールミル処理した混合物1.2gと混合し、続いて850、900または930℃に加熱した。ここで、フッ素塩は、焼結添加剤(特定程度の緻密化を達成するのに必要な焼結温度を下げる)ならびに焼結後にLiFの追加保護層を与える成分として作用する。
【0068】
実施例9
実施例3の生成物を700℃に加熱した。熱処理した生成物をカソード活性材料として使用し、Li金属アノードとの組合せでコイン電池を製造し、60℃で電気化学的試験を行った。充電および放電速度は、C/5(Cl=150mA/g)であった。サイクル運転を3.0〜4.4Vで32サイクル行った。比較群として、未処理LiCoOを使用してコイン電池を製造し、同じ様式で試験した。その結果を図5のグラフに示す。
【0069】
図5に関して、本発明の電池は、未処理LiCoOと比較して、著しく優れたサイクル運転安定性を示した。未処理LiCoOは、放電の最後で電圧プロファイルの低下から分かる、明らかな劣化を示し、恐らく電解質の分解による電気抵抗の増加も示した。
【0070】
実施例10
炭酸塩前駆物質、炭酸リチウムおよび硫酸リチウムを混合し、続いて1000℃で熱処理することにより、不純物含有LiCo0.8Mn0.1Ni0.1を調製した。炭酸塩前駆物質は、遷移金属硫酸塩を炭酸ナトリウムと共に沈殿させることにより得た混合炭酸塩であり、従って、大量のナトリウム不純物を含んでいた。化学分析およびEDSにより、LiCo0.8Mn0.1Ni0.1は、遷移金属原子1個あたりナトリウム約5原子%および硫黄6原子%を含んでいた。
【0071】
前駆物質としての不純物含有LiCo0.8Mn0.1Ni0.1を、実施例6と同じ方法で、Al−Li−OH−CO−水和物で被覆した。実験結果は、被覆工程中に、硫黄およびナトリウム不純物が、溶液中に溶解することにより除去されるので、Al−Li−OH−CO−水和物で被覆された、実質的にナトリウムおよび硫黄不純物を含まないLiCo0.8Mn0.1Ni0.1が達成されたことを示している。
【0072】
本発明は、本発明の精神または実質的な特徴から離れることなく、幾つかの形態で実施することができるので、他に指示がない限り、上記の実施例は、上記の詳細な説明のいずれかにより制限されるものではなく、請求項に規定する精神および範囲の中に広く包含されると解釈すべきであり、従って、請求項の範囲内に入る変形および修正、あるいはそのような範囲の等価物は全て、請求項に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】2つのX線回折パターンの組合せを示し、上側が、穏やかに乾燥させた後の沈殿物を示し、下側が、穏やかな乾燥に続いて、イオン交換反応の後に得られるリチウムアルミニウム炭酸塩水酸化物水和物を示す。
【図2】実施例3で調製された、180℃で乾燥させた後の、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物で被覆されたLiCoO2粒子のFESEM顕微鏡写真である。
【図3】実施例3で調製された、180℃で乾燥させた後の、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物で被覆されたLiCoO2粒子のFESEM顕微鏡写真である。
【図4】実施例3で調製された、180℃で乾燥させた後の、リチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物で被覆されたLiCoO2粒子のFESEM顕微鏡写真である。
【図5】電気化学的サイクル(C/5、60℃)に関する2つのグラフの組合せを示し、上側が、未処理LiCoOを示し、下側が、実施例9で行った、アルミニウム変性されたLiCoOを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リチウム遷移金属酸化物コア、および(b)前記リチウム遷移金属酸化物コアの表面上に被覆された活性アルミニウム相の水酸化アルミニウム系沈殿物層を含んでなり、前記水酸化アルミニウム系沈殿物が2価陰イオンを含む、アルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物用の複合材料前駆物質。
【請求項2】
前記2価陰イオンが硫酸塩であり、前記水酸化アルミニウム系沈殿物層がリチウム−アルミニウム−硫酸塩−水酸化物−水和物の層である、請求項1に記載の複合材料前駆物質。
【請求項3】
前記2価陰イオンが炭酸塩であり、前記水酸化アルミニウム系沈殿物層がリチウム−アルミニウム−炭酸塩−水酸化物−水和物の層である、請求項1に記載の複合材料前駆物質。
【請求項4】
前記沈殿物層中にあるアルミニウムの総量が、前記複合前駆物質中にある遷移金属の総量に対して0.5〜5原子%である、請求項1に記載の複合材料前駆物質。
【請求項5】
前記複合材料前駆物質の前記コアとしての前記リチウム遷移金属酸化物が、層状またはスピネル結晶構造を有する、請求項1に記載の複合材料前駆物質。
【請求項6】
請求項1に記載の複合材料前駆物質の製造方法であって、アルミニウム塩溶液および塩基溶液と、水系のスラリーまたはペースト中に分散させた種粒子としてのリチウム遷移金属酸化物との沈殿反応を行い、リチウム遷移金属酸化物粒子の表面上に水酸化アルミニウム系沈殿物層を形成することを含んでなる、方法。
【請求項7】
前記沈殿反応の後、炭酸塩溶液を反応系の中に加えることにより、イオン交換反応をさらに行い、前記沈殿物層中に存在する前記硫酸塩を炭酸塩で置換する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
原料としての前記リチウム遷移金属酸化物が、硫黄、ナトリウムまたは塩化物の不純物を含んでいてもよい、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アルミニウム塩が、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウムおよび硫酸カリウムアルミニウムからなる群から選択された一種以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記アルミニウム塩が硫酸アルミニウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミニウム塩が、硫酸コバルトおよび/または硫酸ニッケルとの組合せで使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基塩が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択された一種以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基塩が水酸化リチウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記沈殿反応が、少なくとも一つの、アルミニウム塩溶液を含む流れ、および少なくとも一つの、塩基塩溶液を含む流れを、前記リチウム遷移金属酸化物スラリーを含む沈殿容器中に供給することにより、行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸アンモニウムからなる群から選択された一種以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記炭酸塩が炭酸リチウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記沈殿反応の後、または請求項7に記載の前記さらなるイオン交換反応の後、前記被覆された粒子を分離および/または洗浄し、続いて乾燥させる、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記乾燥の前または後に、LiPOの他のいずれかの化学的添加剤を水性形態でさらに加える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
乾燥後、LiCOまたはLiAlFの他のいずれかの化学物質を固体の粉末形態で混合する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の複合材料前駆物質を500〜1050℃で加熱することにより製造される、再充電可能なリチウムバッテリーのカソード活性材料用のアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物。
【請求項21】
熱処理の温度が750〜950℃である、請求項20に記載のアルミニウム含有リチウム遷移金属酸化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−514534(P2008−514534A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533400(P2007−533400)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002951
【国際公開番号】WO2006/033525
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】