説明

アレイの並列装填方法

本発明は、複数のサブアレイから構成されるマイクロアレイ内に多数のサンプルを並列装填する装置およびその方法を開示する。この方法は、多数のサブアレイからなるマイクロアレイと、装填用チャネルアレイと、流体操作用ロボットまたは組立ロボットもしくは組立装置とを利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2002年9月30日に出願された米国予備特許出願連続番号第60/415,118号および2002年10月1日に出願された米国予備特許出願連続番号第60/415,090号に基づく優先権を主張するものである。
米国連邦政府が後援する研究開発に関する申告に該当するものではない。
【0002】
DNAマイクロアレイ技術の進歩により、例えば顕微鏡のスライドの寸法程度の非常に小さい領域内の数十万のDNA配列のアレイを構築することができるようになっている。
【背景技術】
【0003】
具体例として、米国特許第6,375,903号および米国特許第5,143,854号を参照することを奨めるが、これら特許は各々が、ここに引例として挙げることでその全体的内容が本件の一部を成すものとする。米国特許第6,375,903号の開示により、いわゆるマスクレスアレイ合成装置の構築が可能となるが、この装置では、光を利用してDNA配列の合成に光を当て、光の照射はディジタルマイクロミラー装置(DMD)を用いて実施される。MAS装置を利用すると、マイクロアレイ状に構成されるべきDNA配列の選択はソフトウエア制御によって行われるため、個々に別注作成されるアレイを特注扱いで構築することができる。一般に、DNAマイクロアレイ合成技術に基づくMASにより、標準的な顕微鏡スライド上の非常に小さい領域内に80万種を超える固有のオリゴヌクレオチドの並列合成が行える。大半の応用例について、合成アレイの全体は試験用のヌクレオチドの一サンプルの評価専用に充当される。このような応用例では、マイクロアレイ領域全体が小型チャンバーに封入されて、1つのサンプルを適用できるようにしているため、その1個のサンプル内の非常に多数の遺伝子の表現レベルを測定するのにには非常に効率的な手段となっている。この種の典型的な応用例が遺伝子表現のプロフィール作りである。
【0004】
マイクロアレイの利用可能性は、細胞および生体の遺伝子の表現についてのデータを研究者が収集する方法を根本から変革しつつある。一連のプローブを適切に選択することにより、細胞または組織の遺伝子表現のプロファイルを明らかにすることができる。マイクロアレイは数十万個の特性素を有しており、これら特性素はその各々が一組の同じDNAプローブを有していることがあるので、マイクロアレイを使用することで大量のデータを並列に収集することができる。例えば、DNAマイクロアレイ技術は遺伝子表現や遺伝子発見、突然変異の看破、対立遺伝子配列と進化遺伝子配列の比較、遺伝子マッピング処理などの多数の分野に適用されてきた。或る応用例については、マイクロアレイに潜在するデータ収集量は端的に多すぎるが、これは、収集されるべきデータがマイクロアレイの最大限の容量ではなく、遥かに数の少ないプローブに関与しているせいである。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,375,903号
【特許文献2】米国特許第5,143,854号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種応用例では、より少数の遺伝子を研究するのが望ましい。かかる応用例の或るものでは、マイクロアレイの最大限の容量が利用可能にするより少数組のプローブに対して多数のサンプルを試験するのが望ましいこともある。このような応用例の研究を実施するために、マイクロアレイを幾つであれ多数のより小さいサブアレイに論路的に分割し、分割されたサブアレイの各々が同じまたはほぼ似通ったヌクレオチドプローブを有するようにすることができるが、このような概念は多数アレイ中の1個のアレイとして言及されることがある。例えば、1個のマイクロアレイに代えて、10万個の特性素すなわち10万個のプローブ領域を利用する場合、マイクロアレイを1000個のサブアレイに分割し、サブアレイの各々が100個の特性素を有しているようにすることができる。多数アレイ中の1個のアレイを利用するために、1つの実験で多数のサンプルが並列に交雑状態にされ、サンプルの各々がマイクロアレイの所与の所定領域に交雑状態にされ、1領域は、多数アレイ中の1個のアレイとして、多数サブアレイ中の1個のサブアレイを構成する。この並列装填戦略は、マイクロアレイの高い合成能力を効率的に利用するためのものである。多数のサンプルを多数のサブアレイから成る1個のマイクロアレイに装填するために、サンプルが相互に汚染するのを回避すると同時に、隣接するサブアレイに各サンプルが漏洩するのを防止するための何らかのメカニズムを設けなければならない。目下のところ、このような目的で構築されているマイクロアレイ(例えば、米国特許第5,874,219号など)は物理的ウエルを利用して、異なるサンプルごとにプローブの組別に小分けしている。このようなアプローチは多数のサブアレイを備えている多数アレイ中の1個のアレイについては最適とは言えない場合があり、物理的ウエルを多数のサブアレイと整列させる作業が課題となっていた。
【0007】
サブアレイを使用することが原因で生じる、もう1つの技術的課題は、小型のサブアレイの各々へのサンプルの搬入と搬入されるサンプル体積の管理である。サンプル体積はサブアレイに関して、1サンプルあたり200ナノリットル程度の低い範囲に収めることができるものと想定される。サンプル寸法がこの程度に小さい場合、液体の蒸発とサンプルの搬入の両方が深刻な問題となる。本発明は、多数のサブアレイへのサンプル搬入の諸問題を克服する方法および装置を開示しており、多数アレイ中のアレイに少量で交雑反応を遂行する方法論を規定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の概略は、複数のサブアレイを含む1個のマイクロアレイに多数のサンプルを並列装填する装置およびその方法として説明できる。この方法は、多数のサブアレイを含む1個のマイクロアレイと、装填用のチャネルアレイと、流体操作ロボットまたは組立ロボットもしくは組立装置とを利用する。
【0009】
この方法は、一実施形態では、複数のマイクロチャネルを有するサンプル装填用アレイを設けるにあたり、チャネルは各々の長軸線がその中心を通過するとともにチャネルの中心を規定するようにすることで実施され、また、複数のサブアレイを有するマイクロアレイを設けるにあたり、サブアレイは各々の軸線がその中心を通過するとともにサブアレイの中心を規定するようにすることで実施される。透析膜がチャネルアレイの一方側と接触して設置され、マイクロチャネルを閉鎖するとともに、液体や分子が膜やマイクロチャネルを選択的に透過することができるようにしている。多数サンプルは、混合されてしまうと、膜の両端を通ってマイクロチャネル内に堆積されるが、この時、サンプルを多数の部位に同時搬入できる搬入システムを利用する。次に、膜とチャネルアレイとの組み合わせが水中または緩衝液中に設置され、サンプル装填用アレイの膜側のみが水または緩衝液と接触している状態で、平衡が達成されるまでそのままにされる。サンプルが平衡状態になる見込みを得た後、チャネルアレイおよびマイクロアレイをガスケットと組み合わせて、交雑チャンバーを設けるが、この場合、チャネルの中心はサブアレイの中心と整列状態になる。交雑チャンバー形成されると、個々のマイクロチャネル内のサンプルは対応する1個のサブアレイと接触状態に置かれ、そのために、遠心力か、または、真空などの圧力のいずれかを利用する。
【0010】
本発明の別な実施形態は異なるバージョンのサンプル装填用アレイを利用する。各例で、サンプル装填用アレイは予めサンプルが装填されており、マイクロアレイと接触状態になった時に、同時に、サンプルがマイクロアレイのサブアレイと整列状態になるようにする。異なるバージョンのサンプル装填用アレイは、サブアレイの個数と寸法次第ではより有利となる。
【0011】
本発明は幾つかの利点を提示している。まず第一に、本発明は多数のサンプルを並列処理するようになっている。本発明はまた、わずかなサンプル体積を正確に搬入すること、および、問題となっていた蒸発を無くすことを斟酌しており、比較的簡単でコストも低くて済む。
【0012】
本発明の上記以外の目的、特徴、および、利点は添付の図面と一緒に以下の説明を理解すれば明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、複数のサブアレイを含むマイクロアレイに多数のサンプルを並列装填する装置およびその方法を提供する。このアイデアは、多数サンプルを堆積させることのできるサンプル装填用アレイを利用したものである。サンプル装填用アレイはマイクロアレイと接触して設置されるため、サンプルは適切なサブアレイへ搬入される。1つの反応ごとの反応領域がマイクロアレイ基板とサンプル装填用アレイの担体との間に画定された一種のサンドイッチ状態で、交雑反応を遂行することができる。
【0014】
本件では、マイクロアレイは平坦な支持体上に作成され、この支持体は通例はガラスの顕微鏡スライドである。マイクロアレイは二次分割されて多数の特性素を構成し、特性素は各々がスライド上の1個の物理領域となって、この中では一重らせん構造のDNAプローブは全部が共通の一本または複数本の連鎖を有しているよう図られている。本発明の目的のマイクロアレイは、多数アレイ中の1個のアレイを備えているようなマイクロアレイである。換言すると、一組の特性素はマイクロアレイを横断して2回以上繰り返されている。繰り返し現れるこの一組の特性素は、本件ではサブアレイと称することが多い。サブアレイは通例はすべて同じであるが、それは要件とはならない。サブアレイは一組の特性素を含むマイクロアレイ内の領域であって、一緒にされると、試験するつもりの興味の対象のプローブ全部を共通実験サンプルとの画一的な交雑状態で含んでいる。一般に、サブアレイはその各々に含まれる特性素の数次第で寸法が変動することがあり、すなわち、サブアレイごとにより多数の特性素が在る場合には、マイクロアレイに組み込むことのできるサブアレイの数はより少なくなる。サブアレイは空の位置(プローブを含む1個の特性素として利用できるが、プローブが全く無いままになっている位置のこと)を含んでいることもある。本発明の目的では、各サブアレイの形状は問題ではない。
【0015】
サブアレイは、サブアレイごとの周囲境界部を画定している疎水性障壁などの障壁によって互いから分離されているのが好ましいが、これは要件ではない。かかる境界部は、交雑の間、サブアレイとサブアレイとの間の流体連絡を抑止するように作用して、1個のサブアレイにおける交雑反応が別のサブアレイにおける交雑反応に干渉しないことを確実にするのに役立つ。一実施形態では、疎水性障壁は、トリチル保護基を有するフォスフォラミドまたはそれ以外の疎水基を有する蛍光アミダイト(phosphoramidities)を堆積させるマイクロアレイ合成器具それ自体を使うことで準備される。しかし、それ以外の化合物または分子を疎水性障壁として利用することもできることが分かる。
【0016】
実際には、疎水性障壁のプレパレーションは標準的なマイクロアレイ合成プロセスのちょっとした変形例である。マイクロアレイ合成の標準的な方法は、利用できるアレイ表面の全体にわたって短いDNAベースのリンカー連鎖を合成することにより開始されるが、本発明はアレイ領域を2つの基本タイプ、すなわち、障壁領域とサブアレイ領域とに分離させている。
【0017】
疎水性障壁領域を構築するために、障壁領域内の活性化した基板が疎水基を有する蛍光アミダイトと結合させられるが、その具体例としてトリチル保護基を有する蛍光アミダイトがある。好ましい実施形態では、この工程は、NPPOC保護基を有する蛍光アミダイトの化学作用を利用して、DNAプローブの合成の後で実施される。その結果としてサブアレイの格子が生じるが、ここには格子状のすべての要素が基板の領域で境界画定されており、これら領域にはヌクレオチドはまだ添加されていない。これら障壁領域すなわち境界領域は、マイクロアレイの能力が十分に利用されれば、特性素として使用することのできる部位にすることができるが、このような部位は本件ではサブアレイとサブアレイの間の障壁として保有されている。次いで、障壁領域すなわち境界領域は脱保護基処理され、疎水基を有する蛍光アミダドがアレイに露出した状態となる。従って、疎水基がマイクロアレイの障壁領域に添加されて、疎水領域によってサブアレイを分離させる。
【0018】
サンプルを並列装填するために、サンプル装填用アレイが必要となる。サンプル装填用アレイの一実施形態はガラスシートまたはガラススライドのような、マクロアレイ基板に類似する平坦な部材であり、この部材にはその中を貫いて複数のマイクロチャネルが延在した状態で形成されており、これらチャネルはサブアレイの中心に対応する中心を有している。個々のサブアレイごとに、サンプル装填用アレイ内に少なくとも1本のチャネルが存在する。マイクロアレイに対向しているサンプル装填用のアレイのガラス面は、サンプル装填用アレイ上のチャネルとチャネルの間の表面領域も疎水性となるように処理される。マイクロアレイから離れた位置にあるサンプル装填用アレイの表面には、透析膜のような、サンプル装填用アレイのその面に付着された膜によって、マイクロチャネルの表面が密着される。膜により、水は膜を透過することができるが、核酸のような生体分子は透過できない寸法になっている。膜は塩類と水などの低分子重量の分子は透過させることができるが核酸は排除するような多孔性シート材から形成することができる。チャネルごとの他方端は、マイクロアレイに付着されるべき面に位置するが、開放状態のままである。
【0019】
この概念は図1に例示されている。マイクロアレイは参照番号10で示されており、基板12上に形成されている。マイクロアレイは参照番号14と示されたサブアレイと、参照番号16で示された、サブアレイとサブアレイの間の領域とを有しており、後者は疎水性にされるのが好ましい。サンプル装填用アレイは参照番号20と示されており、複数のチャネル24がその中まで延びて形成された平坦部材22を備えているが、マイクロアレイ12上の1個のサブアレイごとに1本のチャネルが設けられている。平坦な多孔性膜26がサンプル装填用アレイ20の裏面に設置されている。
【0020】
サンプルは、流体操作用のロボットを用いて、マイクロアレイに付着される面から、すなわち、膜26から離れている面から、サンプル装填用アレイ20のマイクロチャネル内に割振り滴下される。好ましい実施形態では、1本の細孔の、かつ/または、マイクロチャネルと貯蔵部が1個のサブアレイごとに利用される。点在するアレイを製造するように設計されたロボットはこの応用例でうまく作動する。この段階では蒸発の問題が生じることはなく、サンプルは何の問題もなく蒸発させることがでkるが、これは、交雑前には酸売るが再水和されるせいである。その代わり、サンプル装填用アレイは、サンプル装填用アレイの境界側の膜を介して水または緩衝液と既に接触しているようにしてもよい。これにより、サンプルが乾燥するのを防ぎ、サンプルの水和状態を適正な状態に維持することになる。サンプルの水和状態に敏感な分子については、この態様の持続的な水和が好ましいことがある。
【0021】
すべてのサンプルがサンプル装填用アレイに搬入されてしまってから、交雑が実施されるまで、サンプルアレイを保存しておくことができる。次に、チャネルの膜26を設けた側を水または緩衝溶液に設置させるか、水または緩衝液を膜26に付与することができるが、これにより水を毛細管作用でマイクロチャネルに浸透させ、サンプルを再水和させることができる。サンプルが平衡状態になる見込みを得た後、サンプルアレイ26はマイクロアレイ10上に設置されるが、この時、チャネルの開放端はサブアレイに対面した状態になる。マイクロアレイとチャネルアレイとの間にはガスケットが設置されて、この時点でサブアレイ内のサンプルが蒸発するのを防止している。好ましい実施形態では、ガスケットは二面式であり、半粘着性である。サンプルを装填した後、交雑反応を発生させることができる。サンプルアレイから外にサンプル材を取出してマイクロアレイと接触させるのに力が必要な場合は、流体圧を膜26に付与することができる。
【0022】
別な代替例は簡単で、サンプルアレイが乾燥状態のままで、マイクロアレイ上にサンプルアレイを設置する。次に、緩衝液のような液体がサンプルアレイの裏側の膜に設置されてサンプルを再水和し、サンプルをサブアレイ上のプローブに接触させる。
【0023】
また別な代替の実施形態では、吸引作用を利用してサンプルをマイクロアレイに並列に搬入することができる。この実施例は、すこしだけ大規模な利用を企図したものであるが、図2に例示されたサンプル装填用アレイを利用する。この実施形態では、サンプル装填用アレイは参照番号30と示されており、チャネルは参照番号34で示されている。チャネル34は、サンプル装填用アレイ部材の前面に配置された球面チャンバー38の中に通じている。この実施形態を利用するために、サンプルが水性溶液の状態でチャネルに装填される。次に、サンプル装填用アレイは、図3に例示されているように、マイクロアレイに当接して設置され、この時、サンプル装填用アレイとマイクロアレイとの間にガスケットが挿入されている。マイクロアレイとサンプル装填用アレイとの間の領域を吸引により部分的に真空にし、サンプルをマイクロアレイと接触状態にする。疎水性領域は、再度、サブアレイに流体を保有した状態を保つのが好ましい。更に、チャネルアレイの膜密着端を封止して、この端部から水分が蒸発するのを防止することができるし、または、水または緩衝液の貯蔵部との接触状態を保ち、蒸発による質量の喪失を回復するようにしてもよい。
【0024】
マイクロアレイが適所に整合されてしまうと、真空スロットを介した吸引排気により小規模な真空を生じることができる。真空は細孔全部の中のサンプルを排出し、スライド上の指定のサブアレイの各々に充填するのに必要となる。サブアレイが充満すると、サンプルが適切な疎水領域内に保有され、チャンバー内圧との平衡状態に達していなければならない。これは、貯蔵部および細孔のサンプルの各々がすべてのサブアレイと等しい接触時間だけ等しい接触角度で成し、同時に、疎水領域から溢れ出ることのないようにするのに必要となる。隣接する疎水領域に溢れ出るのを最小限に抑えるのは、サンプル各々の保全性を保ち、相互汚染を防止するために望まれる。
【0025】
多孔性膜を有するサンプルアレイの該当側を加圧することにより、同じ効果を達成することができる。その側が加圧されると、緩衝液は強制的にマイクロチャネルに入り、サンプルをサブアレイ内のプローブと接触状態にする。サンプルをマイクロチャネルの中に強制的に移動させる代替案として、組立体を回転させて遠心力を得たり、重力を利用することもあり得る。
【0026】
本件の別な実施形態はより大きな質量について利用することを企図しているが、これは主として、より少数の大型サブアレイを有するマイクロアレイと併用することを目論んでいる。図4に例示された実施形態では、サンプル装填用アレイには12個のサブアレイと12個の個室が存在する。サンプル装填用アレイ40は、ウエル44が内部に設けられたプレート42として形成される。マイクロアレイは、ここでも、参照番号10で示されている。この実施形態は、ここで参照番号15と示されているガスケットは元より、クランプ部材18、19を利用している。サンプルはウエル44内に設置され、サンプル装填用プレートは、ガスケット15が挿入された状態で、マイクロアレイ10に当接して設置される。クランプ18、19を利用して両アレイを一緒に封止してしまう。クランプ用ブロックのうちの1個で、図4では下の方に位置してように見えるものには内部に液体ポートが形成されているため、マイクロアレイとサンプルとの間の領域は交雑後に洗浄することができる。最上位のクランプ用部材は内部に窓が形成されているため、交雑が実施された後は、マイクロアレイを光学的に読み出しすることができることに留意するべきである。クランプ部材18とクランプ部材19との間の物理的連結により、組立体は不適切な態様で結合されることがないようになっている。
【0027】
別な実施形態が図5に例示されているが、この実施形態は、多数のより小型のサブアレイを設けたマイクロアレイを企図している。この実施形態では、サンプル装填用アレイは、図5では参照番号50で示されている、簡単な平坦部材である。この実施形態では、ガスケット15が利用される。このバージョンは、各サンプル内の流体の量が十分に制御されていること、また、サンプルの乾燥防止のために測定が行われることを要件とする。この実施形態は、サブアレイとサブアレイの間のマイクロアレイと、サンプル領域とサンプル領域の間のサンプル装填用アレイとの両方の上に疎水性障壁を利用するのが好ましい。本質的に、この実施形態のサンプルは、サンプル装填用アレイの表面上に液滴として載置される。サンプル装填用アレイはマイクロアレイに緊密に当接して設置され、サンプルの液滴はサンプル装填用アレイとマイクロアレイとの間の空隙を橋渡しして結ぶ。交雑は、2つの平坦面の間、および、2つのアレイの上の2つの交雑領域の間に閉じ込められた流体の状態で起こる。交雑後は、マイクロアレイは結果を読み出す前に標準的なやり方どおりに洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるサンプル装填用アレイの一実施形態の側面断面図である。
【図2】ガスケットを設け、12個のサブアレイを収容することができるチャネルアレイの頂面図である。
【図3】12個のサブアレイを有しており、サンプルがチャネルアレイによって添加されているのを例示する側面図である。
【図4】サンプル装填用アレイの別な実施形態の展開斜視図である。
【図5】本発明の別な実施形態の各部の配置を例示する側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通基板上の複数のサブアレイから形成されたマイクロアレイ上にサンプルを装填する方法であって、該方法は、
装填されるべきサンプルをサンプル装填用アレイ上に設置する工程を含んでおり、サンプルはマイクロアレイ上のサブアレイの位置と物理的に整合してサンプル装填用アレイ上に装填され、該方法は、
整合したサブアレイ中のプローブとサンプル中の分子が交雑することができるようにする条件下で、サンプル装填用アレイをマイクロアレイと接触状態に設置する工程を更に含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
サンプルを並列装填するマイクロアレイ交雑チャンバーであって、該チャンバーは、
チャネルアレイの第1の側に第1開放端を、チャネルアレイの第2の側に第2開放端を設けた複数のマイクロチャネルを有するサンプル装填用アレイを備えており、第1開放端と第2開放端はチャネルアレイの第1の側およびチャネルアレイの第2の側と流体連絡状態にあるチャネルを画定しており、チャネルは各々の長軸線がその中心を通過しているとともに、チャネルの中心を規定しており、該チャンバーは、
複数のサブアレイを有するマイクロアレイと、
チャネルアレイの第2の側と接触した膜とを更に備えており、膜は、マイクロチャネルの第2開放端を閉鎖するとともに、膜およびマイクロチャネルを液体や分子が選択的に透過することができるようにしており、該チャンバーは、
ガスケットを更に備えており、ガスケットはチャネルアレイの第1の側とマイクロアレイの間に設置されて交雑チャンバーを設け、また、チャネルの中心がサブアレイの中心と整合することを特徴とした、マイクロアレイ交雑チャンバー。
【請求項3】
前記ガスケットは二面式であるとともに半粘着性であることを特徴とする、請求項2に記載のチャンバー。
【請求項4】
前記サブアレイは交雑障壁によって分割されていることを特徴とする、請求項2に記載のチャンバー。
【請求項5】
前記交雑障壁は疎水基を有する蛍光アミダイトから構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のチャンバー。
【請求項6】
前記疎水基を有する蛍光アミダイトはトリチル保護基を有する蛍光アミダイトであることを特徴とする、請求項5に記載のチャンバー。
【請求項7】
少なくとも1種のサンプルを複数のサブアレイに並列に装填する方法であって、該方法は、
サンプル装填用アレイを設ける工程を含んでおり、サンプル装填用アレイは、そのイの第1の側に第1開放端を、その第2の側に第2開放端を設けた複数のマイクロチャネルを有しており、チャネルは各々の長軸線がその中心を通過しているとともに、チャネルの中心を規定しており、該方法は、
複数のサブアレイを有するマイクロアレイを設ける工程と、
サンプル装填用アレイの第2の側と接触した膜を設けて、少なくとも1本のマイクロチャネルの第2開放端を閉鎖するとともに、膜およびマイクロチャネルを液体や分子が選択的に透過することができるようにした工程と、
少なくとも1本のマイクロチャネルにその第1の開放端を介してサンプルを堆積させる工程と、
サンプルをマイクロアレイと接触させて、マイクロチャネル内に設置されたサンプルを対応するサブアレイと接触させる工程とを更に含んでいることを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記サンプルは、遠心力か圧力のいずれかを利用して、サブアレイと接触状態に設置されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルは、真空を利用して、サブアレイと接触状態に設置されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプル装填用アレイと前記マイクロアレイとの間にガスケットが配置されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記サブアレイは交雑障壁によって分割されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記疎水障壁は疎水基を有する蛍光アミダイトから構成されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルは、サンプルを多数の部位に同時に搬入することができる搬入システムを利用して、前記複数のマイクロチャネル内に堆積されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
複数のサブアレイから形成されたマイクロアレイを同時に交雑させる方法であって、該方法は、
複数のサブアレイを有する第1のマイクロアレイを設ける工程と、
サブアレイごとのサンプルを平坦なサンプル装填用アレイの上に堆積させる工程と、
サンプルを保有するサブアレイを包囲するガスケットをマイクロアレイに当接させて設置する工程と、
サンプルの各々がサブアレイのうちの1個と整合した状態で、サンプル装填用アレイをガスケットと接触して設置させ、板ばさみ状の交雑チャンバーを設ける工程を更に含んでいることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記サブアレイは疎水障壁によって分割されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記疎水障壁は、基板に拘束された疎水基を有する蛍光アミダイトによって形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルは、多数の部位にサンプルを同時に搬入することのできる搬入システムを利用して、複数のサブアレイの中に堆積されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記搬送システムは、一束の毛細管か、流体操作用ロボットか、点在するアレイを製造するよう設計されたロボットのいずれかであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−517653(P2006−517653A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500338(P2005−500338)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/030841
【国際公開番号】WO2004/031399
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(504291650)ニンブルゲン システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】