説明

アンテナ一体型モジュール

【課題】放射特性が良く、放射導体を小型化できると共に、横方向に小型化できるアンテナ一体型モジュールを提供すること。
【解決手段】本発明のアンテナ一体型モジュールは、背の低い電子部品3のみが放射導体6を配設した回路基板2の一面側に搭載されたため、電子部品3と放射導体6との間に凹凸を少なくできて、放射特性が良好になると共に、放射導体6の高さを低くできて、放射導体の低背化が図れ、また、背の高い回路部品4は、回路基板2の他面側に搭載されたため、所望の電気回路を形成するための電子部品3と回路部品4が回路基板2の両面に分散して搭載できて、回路基板2が横方向に小型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETCシステム等に使用される送受信器に適用して好適なアンテナ一体型モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアンテナ一体型モジュールの構成を図6に基づいて説明すると、回路基板51の一面側には、チップ型コンデンサやチップ型抵抗器等の背の低い電子部品52と、特定の回路をシールドする背の高いカバー53と、ここでは図示しないボリュウム、コネクタ、電圧制御発振器、水晶振動子、及びパッケージされた半導体部品等からなる背の高い回路部品とが混在した状態で搭載されて、送信用高周波回路等からなる所望の電気回路が形成されており、また、放射導体54は、放射導体部を形成する上面板54aが電子部品52,カバー53,及び回路部品の上方を覆うように配設され、給電導体部や接地導体部を形成する脚部54bが半田付により回路基板51に取り付けられて、従来のアンテナ一体型モジュールが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−5866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のアンテナ一体型モジュールは、放射導体54の上面板54aが背の高いカバー53や回路部品を覆うように配設されているため、上面板54aが背の高いカバー53や回路部品と近接して放射特性を悪くし、この放射特性を良くするために上面板54aと背の高いカバー53や回路部品との間隔を大きくすると、放射導体54が高くなって大型になり、また、回路基板51の一面側には、所望の電気回路を形成するための電子部品52,カバー53,及び回路部品が搭載されているため、回路基板51が大きくなって、横方向の小型化が図れないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、放射特性が良く、放射導体を小型化できると共に、横方向に小型化できるアンテナ一体型モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、背の低い電子部品と背の高い回路部品が搭載されて所望の電気回路を形成した回路基板と、この回路基板の一面側に対向して配設され、電気回路に接続されて信号が給電される放射導体とを備え、放射導体が配設された回路基板の一面側には、電子部品のみが搭載されると共に、回路基板の他面側には、回路部品が搭載されたことを特徴としている。
【0006】
このように構成した本発明は、電子部品と放射導体との間に凹凸が少なくなったので放射特性が良好になると共に、放射導体と電子部品との間隔を狭くできて、放射導体の低背化が図れ、また、背の高い回路部品は、回路基板の他面側に搭載されたため、所望の電気回路を形成するための電子部品と回路部品が回路基板の両面に分散して搭載できて、回路基板が横方向に小型化できる。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、電子部品は、少なくともチップ型コンデンサとチップ型抵抗器を備えて回路基板の一面側に搭載されると共に、回路部品は、少なくとも放射導体に給電される信号電圧レベルを調整するボリュウムと電気回路を外部回路に接続するためのコネクタを備えて回路基板の他面側に搭載されたことを特徴としている。このように構成した本発明は、電子部品の高密度化ができて、小型化が可能となり、また、回路部品は、電子部品の配置に邪魔されることなく、回路部品が自由な位置に配置できる。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、電気回路は、放射導体に給電する搬送波信号を生成する電圧制御発振回路と、該電圧制御発振回路を制御するPLL回路と、該PLL回路の基準信号を生成する水晶振動子と、前記電圧制御発振回路と前記PLL回路を動作させる電圧を安定化させる電圧レギュレータを含む送信用高周波回路を有し、PLL回路を形成するベアチップICが回路基板の一面側に搭載され、電圧制御発振回路を構成する電子部品、及び回路部品を構成する水晶振動子とパッケージされた電圧レギュレータを回路基板の他面側に搭載されたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、回路基板の一面側にPLL回路を形成する電子部品であるベアチップICを備えているので、電子部品と放射導体との間隔に凹凸が少なくなったので放射特性が良好になると共に、放射導体と電子部品との間隔を狭くできて、放射導体の低背化が図れ、また、回路基板の他面側に電子部品、及び回路部品を構成する水晶振動子とパッケージされた電圧レギュレータを備えているので、放射導体が発振回路から放射される不要輻射による干渉を少なくできると共に、所望の電気回路を形成するための電子部品と回路部品が回路基板の両面に分散して搭載できて、回路基板が横方向に小型化できる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、回路基板を保持する金属製の枠体を有し、放射導体は、上面板と、上面板から折り曲げられた弾性を有する挟持部を有し、放射導体は、挟持部が枠体を挟持して回路基板の一面を覆って枠体に固定されたことを特徴としている。このように構成した本発明は、放射導体の取付が簡単であると共に、取付と同時に放射導体は回路基板の一面側をシールドカバーとして接地できるものが得られる。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、放射導体の上面板には、スロット部と、挟持部とスロット部の間から回路基板方向に延びた給電端子を形成し、該給電端子を電気回路に接続し給電するアンテナを形成したことを特徴としている。このように構成した本発明は、構成が簡単で、小型化を図ることができると共に、給電端子が弾性を有するので、外部からの衝撃や振動等のストレスを吸収できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、背の低い電子部品のみが放射導体を配設した回路基板の一面側に搭載されたため、電子部品と放射導体との間に凹凸が少なくなって放射特性が良好になると共に、放射導体と電子部品との間隔を狭くできて、放射導体の低背化が図れ、また、背の高い回路部品は、回路基板の他面側に搭載されたため、所望の電気回路を形成するための電子部品と回路部品が回路基板の両面に分散して搭載できて、回路基板が横方向に小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明のアンテナ一体型モジュールに係る斜視図、図2は本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、裏面から見た斜視図、図3は本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、模式的に示した断面図、図4は本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、回路基板の斜視図、図5は本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、回路基板を裏から見た斜視図であり、本発明のアンテナ一体型モジュールは、箱形の枠体1と、この枠体1内に取り付けられ、背の低い電子部品3と背の高い回路部品4が両面に搭載された回路基板2と、回路基板2の一面側に配設され、枠体1に固定された放射導体6とで主部材が形成されている。
【0014】
金属製の箱形の枠体1は、底壁1aと、この底壁1aから上方に折り曲げられ、上部が開放した側壁1bと、1つの側壁1bに設けられた切り欠き部1cを有しており、また、回路基板2は、セラミック等の多層基板からなり、この回路基板2の一面側(上面側)には、背の低い電子部品3のみが搭載され、また、回路基板2の他面側(下面側)には、背の高い回路部品4と背の低い電子部品3が混在した状態で搭載されて、回路基板2には、送信用高周波回路等からなる所望の電気回路が形成されている。
【0015】
また、背の低い電子部品3は、チップ型のコンデンサ3a、抵抗器3b、コイル3c、半導体のベアチップIC3d、及び電圧制御発振回路を形成する部品3eで形成されると共に、背の高い回路部品4は、後述する放射導体6に給電される信号電圧レベルを調整するボリュウム4a、電気回路を外部回路に接続するためのコネクタ4b、PLL回路の基準信号を生成する水晶振動子4c、及び電圧制御発振回路とPLL回路を動作させる電圧を安定化させるパッケージされた電圧レギュレータ4d等で形成されている。
【0016】
即ち、電気回路は、後述する放射導体6に給電する搬送波信号を生成する電圧制御発振回路と、この電圧制御発振回路を制御するPLL回路を含む送受信用高周波回路を有していると共に、回路基板2の他面側には、電圧制御発振回路を形成する電子部品3である部品3eと、回路部品4であるボリュウム4a、コネクタ4b、水晶振動子4c、及び電圧レギュレータ4d等が配設されている。
【0017】
このような部品が搭載された回路基板2には、マザー基板(図示せず)に接続するための複数の端子5が一列状態に取り付けられており、そして、この回路基板2は、背の高い回路部品4を下方にした状態で枠体1内に挿入し、端子5を切り欠き部1cから突出させて、枠体1内に取り付けられる。
【0018】
放射導体6は、スロットアンテナからなり、スロット部6dが設けられて放射導体部を形成する上面板6aと、上面板6aから下方に切り曲げされ、給電部を形成する給電端子6bと、上面板6aから下方に折り曲げられ、接地導体部を形成する弾性を有する挟持部6cを有し、この放射導体6は、上面板6aが一面側に配置され、背の低い電子部品3を覆った状態で、挟持部6cが枠体1の側壁1bを挟持して、枠体1に接地された状態で取り付けられると共に、給電端子6bが回路基板2に設けられた回路に接続されて、本発明のアンテナ一体型モジュールが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のアンテナ一体型モジュールに係る斜視図である。
【図2】本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、裏面から見た斜視図である。
【図3】本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、模式的に示した断面図である。
【図4】本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、回路基板の斜視図である。
【図5】本発明のアンテナ一体型モジュールに係り、回路基板を裏から見た斜視図である。
【図6】従来のアンテナ一体型モジュールの斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 枠体
1a 底壁
1b 側壁
1c 切り欠き部
2 回路基板
3 背の低い電子部品
3a コンデンサ
3b 抵抗器
3c コイル
3d ベアチップIC
3e 部品
4 背の高い回路部品
4a ボリュウム
4b コネクタ
4c 水晶振動子
4d 電圧レギュレータ
5 端子
6 放射導体
6a 上面板
6b 給電端子
6c 挟持部
6d スロット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背の低い電子部品と背の高い回路部品が搭載されて所望の電気回路を形成した回路基板と、この回路基板の一面側に対向して配設され、前記電気回路に接続されて信号が給電される放射導体とを備え、前記放射導体が配設された前記回路基板の一面側には、前記電子部品のみが搭載されると共に、前記回路基板の他面側には、前記回路部品が搭載されたことを特徴とするアンテナ一体型モジュール。
【請求項2】
前記電子部品は、少なくともチップ型コンデンサとチップ型抵抗器を備えて前記回路基板の一面側に搭載されると共に、前記回路部品は、少なくとも前記放射導体に給電される信号電圧レベルを調整するボリュウムと前記電気回路を外部回路に接続するためのコネクタを備えて前記回路基板の他面側に搭載されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ一体型モジュール。
【請求項3】
前記電気回路は、前記放射導体に給電する搬送波信号を生成する電圧制御発振回路と、該電圧制御発振回路を制御するPLL回路と、該PLL回路の基準信号を生成する水晶振動子と、前記電圧制御発振回路と前記PLL回路を動作させる電圧を安定化させる電圧レギュレータを含む送信用高周波回路を有し、前記PLL回路を形成するベアチップICが前記回路基板の一面側に搭載され、前記電圧制御発振回路を構成する前記電子部品、及び前記回路部品を構成する水晶振動子とパッケージされた電圧レギュレータを前記回路基板の他面側に搭載されたことを特徴とする請求項2記載のアンテナ一体型モジュール。
【請求項4】
前記回路基板を保持する金属製の枠体を有し、前記放射導体は、上面板と、前記上面板から折り曲げられた弾性を有する挟持部を有し、前記放射導体は、前記挟持部が前記枠体を挟持して前記回路基板の一面を覆って前記枠体に固定されたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のアンテナ一体型モジュール。
【請求項5】
前記放射導体の前記上面板には、スロット部と、前記挟持部とスロット部の間から前記回路基板方向に延びた給電端子を形成し、該給電端子を前記電気回路に接続し給電するアンテナを形成したことを特徴とする請求項4記載のアンテナ一体型モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−134894(P2007−134894A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324930(P2005−324930)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】