説明

アンテナ切替システム

【課題】アンテナの交信領域を特定領域内に限定しつつも、同特定領域内に所在する無線タグの確実な読み取りを可能とすること。
【解決手段】一実施形態におけるアンテナ切替システムはa個(a≧3)のアンテナ1と各アンテナ1の中から複数のアンテナ1を選択する選択切替器2と、を有する。選択切替器2は、第1のタイミングにおいてb1(2≦b1<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナ1のうちのc(1≦c<b1)個を含むb2(2≦b2<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成されるようにアンテナ1を時分割で切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のアンテナを用いて通信対象と無線通信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アパレル業界における販売店等において、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線タグを商品に貼り付け、商品の入出荷、棚卸、在庫管理などの情報収集や分析を行うシステムが利用されている。
【0003】
この種のシステムの一例として、顧客が手に取った商品や在庫の情報をリアルタイムに取得可能な商品棚(スマートシェルフとも称される)を、RFIDに関する技術を用いて実現したものが知られている。このシステムでは、商品棚の下方に設置したアンテナから電波を放射して商品棚に置かれた商品に付された無線タグを随時読み取り、読み取れなくなった無線タグが有るならばその無線タグが付された商品が顧客の手に取られ、商品棚から外れたと判別するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−318078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記商品棚の判別精度を向上させるためには、アンテナから放射される電波が商品棚の外に漏れず、且つ棚内の無線タグを確実に読み取れるようにする必要がある。アンテナから放射される電波が商品棚の外に漏れないようにするためには、アンテナの放射指向性を鋭くする必要があるが、放射指向性が鋭いと商品棚内に無線タグの読み取れない不感地帯が出来てしまうという問題がある。このような問題に対しては、例えば複数置かれたアンテナを切り替えつつ無線タグを読み取る方法やアレイアンテナを用いて各アレイアンテナ素子への信号の位相を制御することでアンテナの放射方向を制御する方法を用いて対処することも考えられる。
【0006】
しかしながら、上記アンテナを切り替える方法では、アンテナから放射された電波が広がりきらないアンテナから近い距離において、切り替えを行うアンテナ同士の中間付近に不感地帯ができてしまうとの問題がある。アンテナを密に敷き詰めることでこの問題を解決することができるが、アンテナ自身が占有するスペースのために、十分密に敷き詰めることはできないといった問題も生じる。また、アンテナの放射方向を制御する方法では、商品棚の外に電波が漏れてしまうといった問題がある。
【0007】
このような事情から、アンテナの交信領域を特定領域内に限定しつつも、同特定領域内に所在する無線タグの確実な読み取りを可能とするための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態におけるアンテナ切替システムは、a個(a≧3)のアンテナと、各アンテナの中から複数のアンテナを選択する選択切替器と、を有している。選択切替器は、第1のタイミングにおいてb1(2≦b1<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナのうちのc(1≦c<b1)個を含むb2(2≦b2<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成されるように、アンテナを時分割で切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態における無線通信システムの構成図。
【図2】同実施形態におけるアレイアンテナの構成例を示す図。
【図3】同実施形態におけるアンテナ切替タイミングを説明するための図。
【図4】同実施形態におけるアンテナ切替のタイムチャート。
【図5】第2の実施形態における無線通信システムの構成図。
【図6】同実施形態におけるアレイアンテナの構成例を示す図。
【図7】同実施形態における列毎のサブアレイの構成例を示す図。
【図8】同実施形態における行毎のサブアレイの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
[システム構成]
図1は、第1の実施形態におけるアンテナ切替システムとして機能する無線通信システムの構成図である。
この無線通信システムは、同一形状のa(自然数,a≧3)個のアンテナ1(1−1,1−2,1−3,・・・1−a)と、選択切替器2と、制御機3と、リーダ装置4とを備えている。
【0011】
各アンテナ1は、略等間隔かつ直線状に配列され、それぞれケーブル5を介して選択切替器2と接続されている。ケーブル5としては、例えば同軸ケーブルを採用し得る。
【0012】
選択切替器2および制御機3はケーブル6を介して接続され、選択切替器2およびリーダ装置4はケーブル7を介して接続され、制御機3およびリーダ装置4はケーブル8を介して接続されている。ケーブル6,7,8としては、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルを採用し得る。
【0013】
リーダ装置4は、アンテナ1に電波を送信させるための電力(高周波信号)を供給する送信部と、アンテナ1が通信対象物から受信した電波に応じて出力する電力に基づいて応答データを復調する受信部とを有している。このように復調される応答データは、リーダ装置4に接続された上位機器(不図示)に出力され、各種の情報処理が行われる。
【0014】
制御機3は、リーダ装置4から通信対象物との通信開始が指示されたことに応じ、各アンテナ1の中から電波の送受信に使用するアンテナを選択するための制御信号を選択切替器2に出力する。
【0015】
選択切替器2は、制御機3から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づき、各アンテナ1の中から電波の送受信に使用する複数のアンテナ1を選択する。選択切替器2は、リーダ装置4から供給される電力を当該選択したアンテナ1に分配して給電し、当該選択したアンテナ1が応答信号を受信した際に出力する電力を合成してリーダ装置4に出力する。すなわち、選択切替器2において選択された複数のアンテナ1にて、アレイアンテナが構成される。
【0016】
[アンテナの切り替え]
制御機3および選択切替器2によるアンテナ1の切り替えについて説明する。
アレイアンテナの構成に用いるアンテナ1は、リーダ装置4から電波の送受信開始が指示されたことに応じ、予め定められた組み合せおよび順序にて切り替えられる。そして、最初の組み合せから再び最初の組み合せに戻るまでを1サイクルとすると、リーダ装置4から電波の送受信停止が指示されるまで、上記サイクルにてアンテナ1の切替動作が継続される。
【0017】
本実施形態では、上記1サイクル内の第1のタイミングにおいてb1(自然数,2≦b1<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成され、上記1サイクル内の第2のタイミング(第1のタイミングと異なる)において第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナ1のうちのc(自然数,1≦c<b1)個を含むb2(自然数,2≦b2<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える。
【0018】
ここで、具体例として、a=5、b1=b2=2、c=1であり、かつ隣り合う2個のアンテナ1をアンテナ1−1側から順次選択してアレイアンテナを構成する場合につき、図2を用いて説明する。この条件下においては、5個のアンテナ1(1−1〜1−5)が選択切替器2に接続され、制御機3は隣り合う2個のアンテナ1を選択する制御信号を順次出力することになる。また、各タイミングにおいて形成されるアレイアンテナは、全て同一形状となる。
【0019】
図2中のS(S12,S23,S34,S45)は、アンテナから放射される電波で通信可能な領域を示している。制御機3からアンテナ1−1とアンテナ1−2を選択する制御信号が選択切替器2に送信されると、選択切替器2は、受信した制御信号に従ってアンテナ1−1とアンテナ1−2を選択し、アレイアンテナを構成する。構成したアレイアンテナによる通信可能領域Sは領域S12となる。制御機3からアンテナ1−2とアンテナ1−3を選択する制御信号が選択切替器2に送信されると、選択切替器2は、受信した制御信号に従ってアンテナ1−2とアンテナ1−3を選択し、アレイアンテナを構成する。構成したアレイアンテナによる通信可能領域Sは領域S23となる。制御機3からアンテナ1−3とアンテナ1−4を選択する制御信号が選択切替器2に送信されると、選択切替器2は、受信した制御信号に従ってアンテナ1−3とアンテナ1−4を選択し、アレイアンテナを構成する。構成したアレイアンテナによる通信可能領域Sは領域S34となる。制御機3からアンテナ1−4とアンテナ1−5を選択する制御信号が選択切替器2に送信されると、選択切替器2は、受信した制御信号に従ってアンテナ1−4とアンテナ1−5を選択し、アレイアンテナを構成する。構成したアレイアンテナによる通信可能領域Sは領域S45となる。このようにアレイアンテナの構成に使用されるアンテナ1の選択が切り替わる間、リーダ装置4から選択切替器2に電波送信用の電力が供給される。したがって、この無線通信システムの通信可能領域は、領域S12〜S45の和集合となる。
【0020】
なお、アレイアンテナを隣り合う2個のアンテナ1を選択して構成するのではなく、d(自然数,d≧1)個おきにアンテナ1を選択して構成してもよい。例えば、d=1として、アンテナ1−1とアンテナ1−3の組み合せのように1個おきにアレイアンテナを構成するアンテナ1を選択してもよいし、d=2以上として複数個おきにアレイアンテナを構成するアンテナ1を選択してもよい。通常、選択するアンテナ1間の距離が短いほど、構成されるアレイアンテナの指向性が弱まるとともにサイドローブも弱まり、選択するアンテナ1間の距離が長いほど、構成されるアレイアンテナの指向性が強まるとともにサイドローブも強まる。これを考慮し、本実施形態における構成を適用するシステムに応じて、各アンテナ1の配列間隔やアンテナ1の選択態様を決定すればよい。
【0021】
また、アンテナ1−1、アンテナ1−2およびアンテナ1−3の組み合わせのように、b1,b2=3以上として同時に3個以上のアンテナ1を選択してアレイアンテナを構成してもよい。これにより、構成したアレイアンテナの放射指向性を鋭くし、利得を高くすることができる。
【0022】
[アンテナ切り替えタイミング]
次に選択するアンテナ1を切り替えるタイミングについて説明する。アンテナ1を切り替えるタイミングとしては、一定間隔にてアンテナ1を切り替える場合と、不定間隔にてアンテナ1を切り替える場合のいずれかを採用し得る。
【0023】
一定間隔の場合は、常に一定の時間間隔でアレイアンテナを構成するアンテナ1を切り替える。この場合には、制御機3に予め定めた一定間隔で上記制御信号を出力させる。その結果、例えば図2に示した具体例であれば、領域S12,S23,S34,S45の順で、一定時間間隔にてアレイアンテナの通信可能領域Sが形成される。このように通信可能領域Sの形成時間が各アレイアンテナで一定となるため、アレイアンテナ毎の通信時間に差が出ない。これは、各アレイアンテナの通信可能領域S内にある通信対象物が同数程度である場合や通信可能領域Sに入ってくる通信対象物を監視する場合などに有効である。
【0024】
次に、選択するアンテナ1を切り替えタイミングが不定間隔の場合について、図3と図4を用いて説明する。図3は、図2に示した具体例における各アレイアンテナの通信可能領域Sに通信対象物100が置かれた状況の一例を示した図である。通信対象物100としては、RFIDタグなどの無線タグが想定される。
【0025】
図4は、図3に示した状態においてアンテナ1が切り替えられるタイミングを示したタイムチャートである。図中のtは、選択されたアンテナ1でアレイアンテナを構成し、次のアンテナに切り替えるまでの時間である。すなわち、t12はアンテナ1−1とアンテナ1−2でアレイアンテナを構成している時間であり、t23はアンテナ1−2とアンテナ1−3でアレイアンテナを構成している時間であり、t34はアンテナ1−3とアンテナ1−4でアレイアンテナを構成している時間であり、t45はアンテナ1−4とアンテナ1−5でアレイアンテナを構成している時間である。不定間隔でアンテナ1を切り替える場合には、構成したアレイアンテナの通信可能領域Sの中にある通信対象物100と通信を行うのに要する時間によって時間tを決定する。
【0026】
リーダ装置4は、いずれかのアンテナ1を用いてアレイアンテナが構成されている際に、そのアレイアンテナの通信可能領域S内にある全ての通信対象物100との通信が完了すると、制御機3に対して通信完了を示す情報を出力する。通信可能領域S内にある全ての通信対象物100との通信が完了したか否かを判定する手法としては、周知の手法を採用し得る。例えば、予め定められた待ち時間を経過しても新たな通信対象物100からの応答が得られなくなったことに応じて、通信可能領域S内にある全ての通信対象物100との通信が完了したと判定するようにすればよい。
【0027】
制御機3は、リーダ装置4が出力する上記通信完了を示す情報を受信すると、次のアレイアンテナの構成に使用するアンテナ1を選択するための制御信号を選択切替器2に出力する。この制御信号を受信したことに応じて、選択切替器2は、同制御信号で示されるアンテナ1を選択してアレイアンテナを構成する。図3に示した通信可能領域S23のように通信対象物100が多く存在する領域においてはリーダ装置4との通信量が多く通信完了までに要する時間が長くなり、それに伴いアレイアンテナを構成している時間t23は図4に示したように長くなる。一方で、図3に示した通信可能領域S45のように通信対象物100が少ない領域においては、リーダ装置4との通信量が少なく通信完了までに要する時間が短くなり、それに伴いアレイアンテナを構成している時間t45は図4に示したように短くなる。
【0028】
このようにアレイアンテナを構成している時間tを不定間隔、特に通信に要する時間とすることで、通信の最中にアンテナ1が切り替わり通信が切断されることを防ぐことができる。さらに、通信量が多い場合の時間tが長く、通信量が少ない場合の時間tが短くなるので、効率的な通信が可能となる。
【0029】
アンテナ1の切り替えタイミングを一定間隔または不定間隔のいずれに設定するかについては、本無線通信システムの使用用途等を勘案して適切な一方を選択し、当該選択した一方に応じた制御信号を制御機3が出力するように予め設定しておけばよい。
【0030】
[電力の重み付け]
次に、アレイアンテナを構成する各アンテナ1に給電する電力および各アンテナ1から出力される電力を合成する際の重み付けについて説明する。
【0031】
重み付けは、選択切替器2によって行われる。電波の送信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各アンテナ1に給電する電力を、予め定められた重み付けの比率に応じて分配する。電波の受信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各アンテナ1が受信した電波に応じて出力する電力を、上記重み付けの比率に応じて合成する。
【0032】
重み付けの比率としては、例えば等比率を採用し得る。等比率の場合は、リーダ装置4から供給される電力を等分配して選択した各アンテナ1に供給し、同各アンテナ1が受信した電波に応じて出力する電力を等比率で合成し、リーダ装置4に出力する。
【0033】
また、b1=b2=3とした場合のように、3個以上のアンテナ1を用いてアレイアンテナを構成する場合には、選択した各アンテナ1のうち中央に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよい。この場合の一例を、図2に示した具体例を用いて説明する。選択したアンテナ1がアンテナ1−1,アンテナ1−2,アンテナ1−3の場合、重み付けの比率を例えば1:2:1のように中央に位置するアンテナ1−2の比率を他のアンテナの2倍とする。そして、リーダ装置4から供給される電力を1:2:1の比率で分配してアンテナ1−1,アンテナ1−2,アンテナ1−3に供給し、アンテナ1−1,アンテナ1−2,アンテナ1−3が受信した電波に応じて出力する電力を1:2:1の比率で合成してリーダ装置4に出力する。また、選択したアンテナ1がアンテナ1−1,アンテナ1−2,アンテナ1−3,アンテナ1−4の場合、重み付けの比率を1:2:2:1のように設定する。このように選択した各アンテナ1のうち中央に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くすることで、アレイアンテナのサイドローブを抑えることができ、特定領域内に対する限定的な通信可能領域の形成が可能となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態においては、第1のタイミングにおいてb1個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナ1のうちのc個を含むb2個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える構成とした。このように異なるタイミングでアンテナ1を共有し、アレイアンテナを構成することで、特に各アンテナ1に近い位置において従来各アンテナ1間に形成されていた不感地帯を解消し、アレイアンテナを密に敷き詰めたのと同様の効果を得ることができ、安定した通信を行うことができる。また、各アンテナ1の特性や送信する電波の周波数を調整することで、各アンテナ1によって形成される通信可能領域を特定領域内に限定することが可能となる。したがって、特定領域内に所在する無線タグの確実な読み取りが可能となる。
【0035】
なお、本実施形態では、配列された複数のアンテナ1の中から、端から順にアレイアンテナを構成する複数のアンテナ1を選択する場合について説明したが、順不同にしてもよい。例えば図2に示した具体例において、最初にアンテナ1−2とアンテナ1−3でアレイアンテナを構成し、次にアンテナ1−1とアンテナ1−2でアレイアンテナを構成してもよい。
【0036】
また、1サイクル内において、各アレイアンテナを構成する回数が等しくなくてもよい。例えば、配列されたアンテナ1の中央付近に通信対象物である無線タグが多くなる場合に、配列されたアンテナ1の中央から端に向けてアレイアンテナが構成されるようにアンテナ1を切り替え、その後、中央から他端に向けてアレイアンテナが構成されるようにアンテナ1を切り替えるなどして、1サイクル内で中央のアレイアンテナほど構成される回数が多くなるようにしてもよい。これにより、確実かつ効率的な通信対象物との通信が可能となる。また、配列されたアンテナ1の端部付近でアレイアンテナを構成する回数が減るために、配列したアンテナ1の外側(例えば図2における領域S12の左方や領域S45の右方)にある通信対象物と通信してしまう虞が低減される。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、アンテナ1をマトリクス状に配列した点で、第1の実施形態と異なる。第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0038】
[システム構成]
図5は、第2の実施形態におけるアンテナ切り替えシステムとして機能する無線通信システムの構成図である。
【0039】
この無線通信システムは、アンテナ群9と、選択切替器2と、制御機3と、リーダ装置4とを備えている。アンテナ群9は、m(自然数,m≧2)行×n(自然数,n≧2)列のマトリクス状に略等間隔で配列されたa(a=m×n)個のアンテナ1で構成されている。各アンテナ1は、それぞれケーブル5を介して選択切替器2と接続されている。
【0040】
制御機3は、リーダ装置4から通信対象物との通信開始が指示されたことに応じ、各アンテナ1の中から電波の送受信に使用するアンテナ1を選択するための制御信号を選択切替器2に出力する。
【0041】
選択切替器2は、制御機3から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づき、各アンテナ1の中から電波の送受信に使用する複数のアンテナ1を選択する。選択切替器2は、リーダ装置4から供給される電力を当該選択したアンテナ1に分配して給電し、当該選択したアンテナ1が応答信号を受信した際に出力する電力を合成してリーダ装置4に出力する。すなわち、選択切替器2において選択された複数のアンテナ1にて、アレイアンテナが構成される。
【0042】
[アンテナの切り替え]
制御機3および選択切替器2によるアンテナ1の切り替えについて説明する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、上記1サイクル内の第1のタイミングにおいてb1(自然数,2≦b1<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成され、上記1サイクル内の第2のタイミング(第1のタイミングと異なる)において第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナ1のうちのc(自然数,1≦c<b1)個を含むb2(自然数,2≦b2<a)個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える。
【0043】
b1,b2個のアンテナ1としては、列方向または行方向に配列された複数個を選択させてもよいし、x(自然数,x≧2)行×y(自然数,y≧2)列のマトリクス状に選択させてもよい。
【0044】
ここで、具体例として、m=n=3、b1=b2=4、c=2であり、隣接する2行×2列(x=y=2)のマトリクス状にアンテナ1を選択してアレイアンテナを構成する場合につき、図6を用いて説明する。この条件下においては、9個のアンテナ1が選択切替器2に接続され、制御機3は隣接する2行×2列のアンテナ1を選択する制御信号を順次出力することになる。また、各タイミングにおいて形成されるアレイアンテナは、全て同一形状となる。
【0045】
図6は、上記条件下においてアンテナ1が切り替えられる様子を示す模式図であり、(a)〜(d)で1サイクルを示す。図中の10(10−1,10−2,10−3,10−4)は、選択切替器2にて選択されたアンテナ群である。制御機3は、アンテナ群10−1に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、アンテナ群10−2に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、アンテナ群10−3に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、アンテナ群10−4に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号を、この順で出力する。これにより、1サイクル内においては、アンテナ群10−1,アンテナ群10−2,アンテナ群10−3,アンテナ群10−4の順でアレイアンテナが構成される。このサイクルにおいては、(a)と(b),(b)と(c),(c)と(d),(d)と(a)のそれぞれにおいて、2個のアンテナ1が共有されている。
【0046】
なお、x列×y行のマトリクス状にアンテナ1を選択してアレイアンテナを構成するのではなく、直線状にアンテナ1を選択してアレイアンテナを構成してもよいし、その際にd(自然数,d≧1)個おきにアンテナ1を選択してもよい。
【0047】
また、選択するアンテナ1の切り替え順序は、図6(a)〜(d)に示したものに限られず、最初にアンテナ群10−2でアレイアンテナを構成し、次にアンテナ群10−1、アンテナ群10−4のように順不同に切り替えてもよい。また、各アンテナ群10を選択する回数が等しくならなくてもよい。
【0048】
なお、アンテナ1を切り替えるタイミングについては、第1の実施形態と同様に一定間隔または不定間隔のいずれかを採用すればよい。
【0049】
[電力の重み付け]
次に、アレイアンテナを構成する各アンテナ1に給電する電力および各アンテナ1から出力される電力を合成する際の重み付けについて説明する。
【0050】
重み付けは、選択切替器2によって行われる。電波の送信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各アンテナ1に給電する電力を、予め定められた重み付けの比率に応じて分配する。電波の受信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各アンテナ1が受信した電波に応じて出力する電力を、上記重み付けの比率に応じて合成する。
【0051】
重み付けの比率としては、例えば等比率を採用し得る。等比率の場合は、リーダ装置4から供給される電力を等分配して選択した各アンテナ1に供給し、同各アンテナ1が受信した電波に応じて出力する電力を等比率で合成し、リーダ装置4に出力する。
【0052】
また、選択したアンテナ群が3行以上(x≧3)のアンテナ1により構成されている場合は、中央の行に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよいし、選択したアンテナ群が3列以上(y≧3)のアンテナ1で構成されている場合は、中央の列に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよい。例えば3行×3列のアンテナ群を選択する場合、中央の行に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くするならば、1行目、2行目、3行目のアンテナ1に対し、1:2:1の比率で重み付けし、中央の列に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くするならば、1列目、2列目、3列目のアンテナ1に対し、1:2:1の比率で重み付けする。
また、アンテナ群が3行以上かつ3列以上のアンテナ1で構成されている場合には、当該選択されたアンテナ1で構成されるマトリクスの中心に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよい。例えば3行×3列のアンテナ群を選択する場合、2行2列目のアンテナ1と他のアンテナ1に対し、2:1の比率で重み付けする。
このようにすることで、構成したアレイアンテナのサイドローブを抑えることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態においては、第1のタイミングにおいてマトリクス状にアンテナ1が配列されたアンテナ群9に含まれるb1個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナ1のうちのc個を含むb2個のアンテナ1にてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える構成とした。このように1サイクル内における2つのタイミングでアンテナ群を構成するアンテナ1の一部を共有し、アンテナ群をアレイアンテナとして動作させることで、アレイアンテナを密に配置したことと同様の効果を得ることができ、通信可能領域をアンテナ群9の正面方向に隈なく作成できる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を奏すことは勿論である。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、アンテナ1をm行×n列のマトリクス状に配列し、かつ行毎または列毎のアンテナ1にてサブアレイを構成し、このサブアレイの組み合せにてアレイアンテナを構成する点で、第1,第2の実施形態と異なる。第1,第2の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0055】
本実施形態におけるシステム構成は、図5に示したものと同様であり、アンテナ群9と、選択切替器2と、制御機3と、リーダ装置4とで無線通信システムが構成され、アンテナ群9は、m(自然数,m≧2)行×n(自然数,n≧2)列のマトリクス状に略等間隔で配列された複数のアンテナ1で構成されている。これらのアンテナ1を列毎または行毎に組み合せ、n個またはm個のサブアレイを構成する。
【0056】
[アンテナの切り替え]
本実施形態では、上記1サイクル内の第1のタイミングにおいてb1´個のサブアレイにてアレイアンテナが構成され、上記1サイクル内の第2のタイミング(第1のタイミングと異なる)において第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたサブアレイのうちのc´(自然数,1≦c´<b1´)個を含むb2´個のサブアレイにてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える。
【0057】
なお、アンテナ1を列毎に組み合わせてサブアレイを構成する場合には、2≦b1´<nおよび2≦b2´<nとなり、アンテナ1を行毎に組み合わせてサブアレイを構成する場合には、2≦b1´<mおよび2≦b2´<mとなる。
【0058】
ここで、具体例として、列毎にサブアレイを構成し、m=3、n=5、b1´=b2´=2、c´=1であり、かつ隣り合う2個のサブアレイをn=1の列から順次選択してアレイアンテナを構成する場合のアンテナ1の切り替えにつき、図7を用いて説明する。この条件下においては、15個のアンテナ1が選択切替器2に接続され、制御機3は、隣り合う2列のサブアレイに属するアンテナ1を選択する制御信号を順次出力することになる。また、各タイミングにおいて形成されるアレイアンテナは、全て同一形状となる。
【0059】
アンテナ1を列毎に組み合わせてサブアレイを構成すると、図7に示すように3個のアンテナ1を有する5列のサブアレイ11(11−1,11−2,11−3,11−4,11−5)が構成される。制御機3は、サブアレイ11−1,11−2に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、サブアレイ11−2,11−3に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、サブアレイ11−3,11−4に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、サブアレイ11−4,11−5に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号を、この順で出力する。これにより、1サイクル内においては、サブアレイ11−1とサブアレイ11−2、サブアレイ11−2とサブアレイ11−3、サブアレイ11−3とサブアレイ11−4、サブアレイ11−4とサブアレイ11−5の順でアレイアンテナが構成される。
【0060】
次に、図7とは別の具体例として、行毎にサブアレイを構成し、m=3、n=5、b1´=b2´=2、c´=1であり、かつ隣り合う2個のサブアレイをm=1の行から順次選択してアレイアンテナを構成する場合のアンテナ1の切り替えにつき、図8を用いて説明する。この条件下においては、15個のアンテナ1が選択切替器2に接続され、制御機3は、隣り合う2行のサブアレイに属するアンテナ1を選択する制御信号を順次出力することになる。また、各タイミングにおいて形成されるアレイアンテナは、全て同一形状となる。
【0061】
アンテナ1を行毎に組み合わせてサブアレイを構成すると、図8に示すように5個のアンテナ1を有する3行のサブアレイ12(12−1,12−2,12−3)が構成される。制御機3は、サブアレイ12−1,12−2に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号、サブアレイ12−2,12−3に含まれる各アンテナ1を選択する制御信号を、この順で出力する。これにより、1サイクル内においては、サブアレイ12−1とサブアレイ12−2、サブアレイ12−2とサブアレイ12−3の順でアレイアンテナが構成される。
【0062】
なお、列毎,行毎にサブアレイを構成するいずれの場合においても、アレイアンテナを隣り合う2個のサブアレイを選択して構成するのではなく、d(自然数,d≧1)個おきにサブアレイを選択して構成してもよい。例えば、図7の具体例において、d=1として、サブアレイ11−1とサブアレイ11−3の組み合わせのように1個おきにアレイアンテナを構成するサブアレイ11を選択してもよいし、d=2以上として複数個おきにアレイアンテナを構成するサブアレイ11を選択してもよい。
【0063】
また、列毎,行毎にサブアレイを構成するいずれの場合においても、b1´,b2´=3以上として同時に3個以上のサブアレイを選択してアレイアンテナを構成してもよい。これにより、構成したアレイアンテナの放射指向性を鋭くし、利得を高くすることができる。
【0064】
また、列毎,行毎にサブアレイを構成するいずれの場合においても、選択するサブアレイの切り替え順序は、端のサブアレイから順にアレイアンテナを構成する複数のサブアレイを選択するものに限られず、順不同であってもよい。例えば、図7の具体例において、サブアレイ11−1とサブアレイ11−2、サブアレイ11−3とサブアレイ11−4、サブアレイ11−2とサブアレイ11−3のように順不同に切り替えてもよい。
【0065】
また、列毎,行毎にサブアレイを構成するいずれの場合においても、1サイクル内において各サブアレイを選択する回数が等しくならなくてもよい。
【0066】
なお、選択するサブアレイを切り替えるタイミングについては、第1の実施形態と同様に一定間隔または不定間隔のいずれかを採用すればよい。
【0067】
[電力の重み付け]
次に、アレイアンテナを構成する各アンテナ1に給電する電力および各アンテナ1から出力される電力を合成する際の重み付けについて説明する。
【0068】
本実施形態における重み付けは、選択切替器2によって、選択したサブアレイ毎またはサブアレイを構成するアンテナ1毎に行われる。電波の送信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各サブアレイに属する各アンテナ1に給電する電力を重み付けの比率に応じて分配する。電波の受信時において、選択切替器2は、制御機3からの制御信号に基づいて選択した各サブアレイに属する各アンテナ1から受信する電力を重み付けの比率に応じて合成する。
【0069】
重み付け比率としては、例えば等比率を採用し得る。等比率の場合は、リーダ装置4から供給される電力を等分配して選択した各サブアレイに属するアンテナ1に供給し、同各アンテナ1が受信した電波に応じて出力する電力を等比率で合成し、リーダ装置4に出力する。
【0070】
また、選択されるサブアレイが3個以上(b1´,b2´≧3)の場合は、中央に近い位置に配置されたサブアレイを構成するアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよいし、サブアレイを構成するアンテナ1が3個以上(列毎の場合にはm≧3,行毎の場合にはn≧3)の場合には、選択された各サブアレイにおいて中央に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよい。例えば列毎にサブアレイを構成し、3個のサブアレイを選択する場合、一端から順に1列目、2列目、3列目のアンテナ1に対し、1:2:1の比率で重み付けする。
【0071】
さらに、選択されるサブアレイが3個以上(b1´,b2´≧3)かつサブアレイを構成するアンテナ1が3個以上(列毎の場合にはm≧3,行毎の場合にはn≧3)の場合には、選択された各サブアレイに含まれるアンテナ1で構成されるマトリクスの中央に近い位置に配置されたアンテナ1ほど重み付けの比率を高くしてもよい。
このようにすることで、アレイアンテナのサイドローブを抑えることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態においては、第1のタイミングにおいてマトリクス状にアンテナ1が配列されたアンテナ群9に含まれるb1´個のサブアレイにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたサブアレイのうちのc´個を含むb2´個のサブアレイにてアレイアンテナが構成されるように、選択切替器2によって選択されるアンテナ1を時分割で切り替える構成とした。このように1サイクル内における2つのタイミングでアレイアンテナを構成するサブアレイの一部を共有することで、アレイアンテナを密に配置したことと同様の効果を得ることができ、通信可能領域をアンテナ群9の正面方向に隈なく作成できる。
本実施形態の構成を上記スマートシェルフを有するシステムに応用すれば、商品棚に陳列された商品のRFIDタグを隈なく読み取ることができる。さらに、サブアレイを商品棚の幅方向に沿って並べた場合には、アレイアンテナから放射される電波は商品棚の奥行き方向の中央に強く集中し、商品棚から取り出された商品のRFIDタグを読み取らなくなるため、商品棚から商品が取り出されたことを検知できる。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
S12〜45…通信可能領域、1…アンテナ、2…選択切替器、3…制御機、4…リーダ装置、5〜8…ケーブル、9,10…アンテナ群、11,12…サブアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a個(a≧3)のアンテナと、
前記各アンテナの中から複数のアンテナを選択する選択切替器と、
を有し、
前記選択切替器は、第1のタイミングにおいてb1(2≦b1<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて前記第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナのうちのc(1≦c<b1)個を含むb2(2≦b2<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成されるように、アンテナを時分割で切り替えることを特徴とするアンテナ切替システム。
【請求項2】
前記各アンテナは、いずれも同一形状であり、略等間隔かつ直線状に配列され、
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングで構成されるアレイアンテナが同一形状となるように同数のアンテナを選択することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ切替システム。
【請求項3】
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングにおいて、隣り合うアンテナを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ切替システム。
【請求項4】
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングにおいて、d(d≧1)個おきに配置されたアンテナを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ切替システム。
【請求項5】
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、
前記第1および第2のタイミングにおいて3個以上のアンテナを選択した場合、当該選択した各アンテナのうち中央に近い位置に配置されたアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載のアンテナ切替システム。
【請求項6】
m(m≧2)行×n(n≧2)列のマトリクス状に配列されたa個(a≧4)のアンテナと、
前記各アンテナの中から複数のアンテナを選択する選択切替器と、
を有し、
前記選択切替器は、第1のタイミングにおいてb1(2≦b1<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて前記第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたアンテナのうちのc(1≦c<b1)個を含むb2(2≦b2<a)個のアンテナにてアレイアンテナが構成されるように、アンテナを時分割で切り替えることを特徴とするアンテナ切替システム。
【請求項7】
前記各アンテナは、いずれも同一形状であり、
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングで構成されるアレイアンテナが同一形状となるように同数のアンテナを選択することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ切替システム。
【請求項8】
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングにおいて、x(x≧2)行×y(y≧2)列のマトリクス状に、アンテナを選択することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ切替システム。
【請求項9】
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、
前記第1および第2のタイミングにおいて3行以上のアンテナを選択した場合、当該選択した各アンテナのうち中央の行に近い位置に配置されたアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ切替システム。
【請求項10】
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、
前記第1および第2のタイミングにおいて3列以上のアンテナを選択した場合、当該選択した各アンテナのうち中央の列に近い位置に配置されたアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ切替システム。
【請求項11】
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、
前記第1および第2のタイミングにおいて3行以上かつ3列以上のマトリクス状にアンテナを選択した場合、当該選択した各アンテナで構成されるマトリクスの中心に近い位置に配置されたアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ切替システム。
【請求項12】
各列に並んだm個のアンテナからなるサブアレイをn個構成し、
前記選択切替器は、第1のタイミングにおいてb1´(2≦b1´<n)個のサブアレイにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて前記第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたサブアレイのうちのc´(1≦c´<b1´)個を含むb2´(2≦b2´<n)個のサブアレイにてアレイアンテナが構成されるように、アンテナを時分割で切り替えることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ切替システム。
【請求項13】
各行に並んだn個のアンテナからなるサブアレイをm個構成し、
前記選択切替器は、第1のタイミングにおいてb1´(2≦b1´<m)個のサブアレイにてアレイアンテナが構成され、第2のタイミングにおいて前記第1のタイミングでアレイアンテナの構成に使用されたサブアレイのうちのc´(1≦c´<b1´)個を含むb2´(2≦b2´<m)個のサブアレイにてアレイアンテナが構成されるように、アンテナを時分割で切り替えることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ切替システム。
【請求項14】
前記選択切替器は、前記第1および第2のタイミングにおいて、隣り合うサブアレイに含まれるアンテナを選択することを特徴とする請求項12又は13に記載のアンテナ切替システム。
【請求項15】
前記各サブアレイは、3個以上のアンテナによって構成され、
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、選択した各アンテナのうち各サブアレイの中央に近い位置に配置されたアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項12乃至14のうちいずれか1に記載のアンテナ切替システム。
【請求項16】
前記選択切替器は、選択した各アンテナに給電する電力を予め定められた重み付けの比率に応じて分配するとともに、選択した各アンテナが受信した電波に応じて出力する電力を前記重み付けの比率に応じて合成する機能を有し、
前記第1および第2のタイミングにおいて3個以上のサブアレイに属するアンテナを選択した場合、当該選択した各アンテナのうち当該3個以上のサブアレイのうち中央に近い位置に配置されたサブアレイに属するアンテナほど前記重み付けの比率を大きくすることを特徴とする請求項12乃至14のうちいずれか1に記載のアンテナ切替システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−124572(P2012−124572A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271575(P2010−271575)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】