説明

アンテナ及びアンテナを備えた電子機器

【課題】より簡単な構造で、異なる2つの使用周波数帯における最大放射方向のチルトを可能にし、かつ小型化が可能なアンテナを提供する。
【解決手段】対称形状の導体板と、導体板に形成されたスロットと、導体板の対称軸上に設けられた給電点3と、を有し、導体板が対称軸5と平行となる2箇所で互いに異なる面に折り曲げられていることを特徴とするアンテナである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の偏波成分により形成された電波を送受信する通信システムに用いられるアンテナに関して、この通信システムの2つの周波数帯における電波の効率の良い送受信を可能にするアンテナ及びアンテナを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両における通信では、GPS(Global Positioning System)による位置情報や道路情報、地上波デジタルテレビ放送などさまざまな情報を取得することができるようになり、ユーザーのさらなる利便性の向上および安全性の向上のために多数の無線通信機器が開発され実用に供されている。安全性の向上に関する無線通信には、緊急時の救援通信システムおよび通信時に必要となる垂直偏波を送受信するアンテナが開発されている。このアンテナは車両のフロントガラスなどの傾斜部分に設置することで最大放射方向が天頂方向へ傾く。端末に対して十分遠方の基地局からの電波は、地面に対してほぼ平行の水平方向から到来するため、アンテナの最大放射方向を地面に対して水平方向へ制御することが求められている。
【0003】
従来技術の例として、例えば、特許文献1に開示された鉛直方向から水平方向にチルトした主ビームを形成することのできるアンテナ装置がある。このアンテナは、ルームミラー内に取り付けることで、ルームミラーを反射板として動作させ、面に対して垂直方向から水平方向へチルトしたビームが形成できるアンテナである。これは1つの導体に同形状の横長スロット素子を縦に2つ並べて設け、2つのスロット素子間隔の中央から少しずらしたところにマイクロストリップラインを接続する。これにより2つのスロット素子は、位相差が生じて励振され、かつアンテナとルームミラーをある間隔で離すことにより、ルームミラーが反射板として動作し、2つのスロットからの放射と反射板からの放射を合成することによって、アンテナの面の水平方向にチルトした主ビームが形成される。しかしながらこの場合、対応する動作は1つの周波数帯であり、異なる2つの周波数帯での動作はできないと推察できる。もし、主ビームのチルトの効果を維持しつつ異なる2つの周波数帯での動作を可能にするならば、1つの周波数帯に対して1つのアンテナを用意しなくてはならないため、全体のアンテナサイズが大きくなることが考えられる。また、動作周波数5GHzの場合にルームミラー内に設置できることを示しているが、より低い動作周波数に対しては、波長が長いためにアンテナが大きくなることでルームミラー内に設置することは不可能となり、反射板の効果が得られず、アンテナの面の水平方向へのチルトの効果は小さくなると考えられる。よって、より低い周波数帯におけるアンテナの小型化、主ビームのチルト、異なる2つの周波数帯での動作が困難であることが推察できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−14272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来の技術では、異なる2つの周波数帯における最大放射方向のチルトを可能にし、これをより簡単な構造でかつ小型のアンテナで実現することは困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より簡単な構造で、異なる2つの周波数帯における最大放射方向のチルトを可能にし、かつ小型化が可能なアンテナ及びアンテナを備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために創案されたものであり、対称形状の導体板と、前記導体板に形成されたスロットと、前記導体板の対称軸上に設けられた給電点と、を有し、前記導体板が前記対称軸と平行となる2箇所で互いに異なる面に折り曲げられているアンテナである。
【0008】
前記導体板が前記対称軸と等しい距離の2箇所で折り曲げられていてもよい。
【0009】
前記スロットが対称形状であり、その対称軸が前記導体板の対称軸と一致するように形成されていてもよい。
【0010】
前記スロットが2個形成されていてもよい。
【0011】
前記スロットが2個とも同形状であり、異なる幅及び/又は異なる長さを有していてもよい。
【0012】
前記スロットがそれぞれ異形状であってもよい。
【0013】
前記スロットが前記導体板の対称軸上に1列に形成されていてもよい。
【0014】
前記スロットの少なくとも1個が前記導体板の対称軸方向の一端側に開放されるように形成されていてもよい。
【0015】
前記給電点が前記スロットの一方のみに設けられていてもよい。
【0016】
前記導体板が対称軸方向に横長の四角形状であり、その導体板の前記対称軸上の中央部にスロット境界導体部を形成すべく、前記導体板の対称軸上の一方に、横向きM字スロットとその横向きM字スロットに連続して形成され徐々に拡径する開放端を有する台形スロットとからなる複合スロットが形成され、前記導体板の対称軸上の他方に、矩形スロットが形成されていてもよい。
【0017】
前記矩形スロットが、開放端を有する細長スロットとその細長スロットに連続して形成された四角形スロットとからなってもよい。
【0018】
前記複合スロットの使用周波数帯に対する設計周波数υ1での電波の波長をλ1、前記台形スロットの上底の幅を2d、前記M字スロットの前記対称軸方向の長さをf、前記台形スロットの上底と下底とを結ぶ2辺の長さをそれぞれhとしたとき、d+f+h=λ1/3.7となるようにd、f、hが調整されるとよい。
【0019】
前記矩形スロットの使用周波数帯に対する設計周波数υ2での電波の波長をλ2、前記細長スロットの長さをg、前記細長スロットの幅をe、前記導体板の対称軸に垂直な辺の幅をbとしたとき、g+(b−e)/2=λ2/3.1となるようにg、e、bが調整されるとよい。
【0020】
前記給電点が前記矩形スロットに設けられていてもよい。
【0021】
給電に同軸ケーブルを用いてもよい。
【0022】
給電に複数本の単芯ケーブルを用いてもよい。
【0023】
給電にフラットケーブルを用いてもよい。
【0024】
前記導体板が導体平板又は軟性導体シート(フィルム)からなってもよい。
【0025】
前記導体平板が銅板又はばね性のあるリン青銅板からなってもよい。
【0026】
前記軟性導体シート(フィルム)が銅箔又はアルミ箔からなってもよい。
【0027】
前記のいずれかに記載のアンテナを備えた電子機器である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0029】
(1)より簡単な構造で特定の偏波成分で形成された異なる2つの使用周波数帯における電波を効率良く送受信でき、最大放射方向のチルトを可能にする小型のアンテナ及びアンテナを備えた電子機器の実現が可能である。
【0030】
(2)設置条件の自由度が広いアンテナの実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のベースとなるアンテナの構造を説明する図である。
【図2】本発明のベースとなるアンテナの動作原理を説明する図である。
【図3】本発明のベースとなるアンテナの動作原理を説明する図である。
【図4】本発明のベースとなるアンテナの構造を説明する図である。
【図5】本発明のベースとなるアンテナの特性を説明する図である。
【図6】本発明のベースとなるアンテナの遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示す図である。
【図7】本発明のベースとなるアンテナの特性を説明する図である。
【図8】本発明のベースとなるアンテナの遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示す図である。
【図9】本発明のベースとなるアンテナの特性を説明する図である。
【図10】本発明のアンテナの折り曲げ位置を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する図である。
【図12】アンテナの配置を説明する図である。
【図13】アンテナの配置を説明する図である。
【図14】図13の配置におけるアンテナの特性を説明する図である。
【図15】図13の配置におけるアンテナの特性を説明する図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する側面図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示す図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示す図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する側面図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示す図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示す図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態のベースとなるアンテナの構造を説明する図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態のベースとなるアンテナの構造を説明する側面図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態のベースとなるアンテナの特性を説明する図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する図である。
【図33】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図34】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示す図である。
【図35】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図36】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示す図である。
【図37】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図38】本発明の第4の実施の形態のベースとなるアンテナの構造を説明する図である。
【図39】本発明の第4の実施の形態のベースとなるアンテナの構造を説明する側面図である。
【図40】本発明の第4の実施の形態のベースとなるアンテナの特性を説明する図である。
【図41】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する図である。
【図42】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図43】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示す図である。
【図44】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図45】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示す図である。
【図46】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの特性を説明する図である。
【図47】第1〜第4の実施の形態に係るアンテナの構造を説明する図である。
【図48】図47の各アンテナの特性比較を示す図である。
【図49】図47の各アンテナの特性比較を示す図である。
【図50】給電に使用する同軸ケーブルの好ましい配置を説明する図である。
【図51】本発明の好ましい折り曲げ位置や折り曲げ間隔を説明する図である。
【図52】本発明のアンテナの共振周波数の調整を説明する図である。
【図53】本発明のアンテナの取り付け例を示す図である。
【図54】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図55】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図56】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図57】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図58】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図59】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図60】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図61】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図62】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図63】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図64】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図65】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図66】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図67】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図68】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図69】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図70】本発明を適用可能なスロットの形状の一例を示す図である。
【図71】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【図72】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【図73】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【図74】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【図75】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【図76】本発明のアンテナを内蔵した電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0033】
本発明のアンテナは、特定の偏波成分の電波を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ用いて、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに給電点および2つのアンテナ素子構造の中央を通る対称軸から等距離で折り曲げて、それぞれのアンテナ素子構造のサイズ調整、または給電点位置の調整、もしくは両方法を組み合わせた調整により、異なる2つの周波数帯での共振特性を調整して、特定の偏波成分で形成された異なる2つの周波数帯における電波を送受信し、最大放射方向のチルトを可能にする小型のアンテナを実現させるものである。なお、異なる2つの周波数帯とは、1つの周波数帯の高調波を利用して、計2つの周波数帯の電波を送受信するものではない。
【0034】
前記の特定の偏波成分の電波とは、一般的に言われる垂直偏波もしくは水平偏波のそれら一方を限定したものである。
【0035】
また前記のアンテナ素子とは、特定の偏波成分の電波に対し、その送受信の効率が良いと一般的に知られた構造によるものであり、本発明ではその構造を応用している。
【0036】
前記本発明のアンテナは、電子機器の筐体に内蔵、もしくは金属(導体)を使用した設備等に設置した場合、2つのアンテナ素子構造それぞれの電力放射に寄与する部分と共振特性を調整する部分に筐体内や設備等の金属(導体)部が近接もしくは接触しない限り、アンテナ素子の電波送受信特性に影響が現れない構造を有するものである。
【0037】
前記本発明のアンテナは、給電線路の引き回し位置が2つのアンテナ素子それぞれの無導体領域に交差しなければ、アンテナ素子の電波送受信特性に影響を与えない構造を有するものである。
【0038】
前記本発明のアンテナは、電子機器の筐体に内蔵、もしくは設備等に設置することができる。
【0039】
前記本発明のアンテナは、電子機器筐体のプラスティック材質部分や窓ガラス等の誘電体成形物の表面に設置することができる。
【0040】
本発明のベースとなるアンテナ構造について図1から図3を用いて説明する。
【0041】
図1に示すように、本発明のベースとなるアンテナ1は、長さ方向(図の横方向)の長さaと幅方向(図の縦方向)の幅bの導体平板2に、幅2dのスロット境界導体部21を境にそれぞれの開放端を持つ幅2dと長さfの横向きM字スロット41mとそのM字スロット41mに連続して形成された上底2d、下底bの台形スロット41tとの複合スロット41と、矩形スロット42とが形成され、これらスロット41,42の各幅の中心(スロット境界導体部21の幅方向の中心)と導体平板2の幅bの中心を通る対称軸5で線対称構造とされる。
【0042】
導体平板2は、例えば、銅板又はばね性のあるリン青銅板からなる。台形スロット41tの上下には、鋭角導体部2aが形成され、M字スロット41mの上下には横長導体部2bが形成される。
【0043】
矩形スロット42は、開放端を有する幅eと長さgの細長スロット42lと、その細長スロット42lに連続して形成された四角形スロット42sとからなる。細長スロット42lの上下には矩形導体部2cが形成される。四角形スロット42sは、M字スロット41mの中央部近傍に形成される。複合スロット41と矩形スロット42はそれぞれ対称形状であり、それぞれの対称軸はアンテナ1の対称軸5と一致している。
【0044】
2つの動作周波数帯に対する1つ目の設計周波数ν1での電波の波長をλ1とし、2つ目の設計周波数ν2での電波の波長をλ2と定義した場合、d+f+hは約λ1/3.7とされ、g+c(ここで、c=(b−e)/2)は約λ2/3.1とされる。
【0045】
アンテナ1に電力を供給する給電点3は、一方の矩形スロット42内に設けられ、給電点3の位置は矩形スロット42の開放端から長さgの位置とされる。なお、前記の2つの動作周波数帯は、本発明のアンテナを機器筐体に内蔵した場合や設備等に設置した場合、機器筐体や設備等を構成する各種誘電体の材料や周辺物体の配置により決定される。各種誘電体成形物の表面に設置した場合は、本発明のアンテナとその周辺物体の距離や周辺物体の配置および誘電体特有の波長短縮効果により決定される。
【0046】
図1の構造により、波長λ1を定義する設計周波数ν1のとき、この周波数成分を持ち、かつ給電点3よりアンテナ1を構成した導体平板2上に発生する電流は、共振動作に伴いd+f+hが約λ1/3.7の複合スロット41の対向する導体縁付近に分布する際、図2に示すような電流分布91が発生し、設計周波数ν1で動作するスロットアンテナを実現できる。
【0047】
一方、図1の構成により、波長λ2を定義する設計周波数ν2のとき、この周波数成分を持ち、かつ給電点3よりアンテナ1を構成した導体平板2上に発生する電流は、共振動作に伴いg+cが約λ2/3.1の矩形スロット42の対向する導体縁付近に分布する際、図3に示すような電流分布92が発生し、ν2で動作するスロットアンテナを実現できる。
【0048】
以上より、本発明のベースとなるアンテナ1では、1つの給電点3を境に設計周波数ν1と設計周波数ν2で動作する2つのスロットアンテナを同一平面に並べて配置することが可能となる。よって、2つの周波数帯における特定の偏波成分の電波の送受信が本発明のベースとなるアンテナ1により可能となる。
【0049】
以下、本発明のベースとなるアンテナ1の特性を図4から図9を用いて説明する。
【0050】
図4は、図1のアンテナ1の給電に同軸ケーブル6を使用したアンテナ11を示す。アンテナ11では、矩形スロット42の長さ方向に沿って平行に対向する導体縁の一方に同軸ケーブル6の内導体61が通電性のあるはんだ材63で接続され、他方に同軸ケーブル6の外導体62が通電性のあるはんだ材63で接続されている。同軸ケーブル6の内導体61と外導体62の中間層である絶縁体64は、絶縁樹脂あるいは中空、つまり空気による絶縁でもよい。なお、同軸ケーブル等の給電線路の接続は、通電性のあるはんだ材等による融着接続の他、通電性を保持し得る形状の専用コネクタやステイなどを用いてもよい。
【0051】
図4のアンテナ11は、厚さ0.2mmの導体平板を使用し、寸法を図1の定義より、a=102mm、b=50mm、c=24mm、d=10mm、e=2mm、f=45mm、g=26mm、h=41mmとしている。アンテナ11が800MHz帯と1900MHz帯の2つの周波数帯で動作するように、d+f+hを1つ目の設計周波数860MHzでの電波の波長λ1(≒349mm)の約1/3.7とし、g+cを2つ目の設計周波数1920MHzでの電波の波長λ2(≒156mm)の約1/3.1としている。また、アンテナ11への給電は、直径約1.1mmの同軸ケーブルを使用し、アンテナ11の導体部と重なる部分以外には、諸特性への影響を考慮し、フェライトを取り付けている。なお、以下の本発明のアンテナの説明において使用する同軸ケーブルには、前記同様にフェライトが取り付けられている。
【0052】
図5は、図4のアンテナ11の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示す。図5より、アンテナ11は、2つの周波数帯である800MHz帯と1900MHz帯で動作していることが分かる。
【0053】
図6は、図4のアンテナ11の遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示している。測定中心はアンテナの横方向の長さaの半分の長さm、アンテナの縦方向の幅bの半分の幅oの位置とする。以下の本発明のアンテナの説明において、測定中心は前記同様の定義とする。
【0054】
図7は、図6の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図7より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による良好な無指向性が得られている。
【0055】
図8は、図4のアンテナ11の遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示している。測定中心はアンテナの横方向の長さaの半分の長さm、アンテナの縦方向の幅bの半分の幅oの位置とする。以下の本発明のアンテナの説明において、測定中心は前記同様の定義とする。
【0056】
図9は、図8の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図9より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。図4のアンテナ11を車両フロントガラス等の傾斜した部分に設置するときに、前記8の字指向性の最大放射方向が水平方向を向くようにするために、8の字指向性の最大放射方向を設置面と垂直方向(図9の0°、180°方向)から水平方向(図9の90°、270°方向)側に傾けることが必要となる場合がある。具体的にはトラックなどのフロントガラスの傾斜が地面に対して90°に近い車両については、フロントガラスに設置した際にXZ平面の垂直偏波の最大放射方向が水平方向を向くことから、傾ける必要がない。しかし、スポーツカーなどのフロントガラスの傾斜が地面に対して0°に近くなる車両については、フロントガラスに設置した際にXZ平面の垂直偏波の最大放射方向が垂直方向を向くことから、前記最大放射方向を大幅に水平方向側に傾ける必要が出てくる。
【0057】
以下、前記最大放射方向を傾ける問題に対して行った本発明の第1の実施の形態を図10から図19を用いて説明する。
【0058】
図10は、図4のアンテナ11の最大放射方向を傾けるための折り曲げ位置と折り曲げ間隔を示したアンテナ111を示している。折り曲げ位置71,74は、アンテナ11の上下対称軸70から図の上側および下側にそれぞれ等しい距離72,73(本実施の形態では6mm)の間隔を空けた位置である。
【0059】
図11は、図10に示す折り曲げ位置および折り曲げ間隔で折り曲げた本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ112を示している。アンテナ112は、上下対称軸70と平行となる折り曲げ位置71,74で互いに異なる面方向に折り曲げられている。すなわち、図11において、アンテナ112の折り曲げ位置71より図の上側の部分は、図の後方に折り曲げられており、アンテナ112の折り曲げ位置74より図の下側の部分は、図の前方に折り曲げられている。
【0060】
図12は、アンテナの配置を説明する側面図である。アンテナ81は、図10のアンテナ111を側面から見た図である。図12は、傾斜25°のフロントガラス80の下に、地面82と垂直になるようにアンテナ81を配置した状態を示している。図12のような配置が可能であれば、前記アンテナの最大放射方向を傾ける必要がない。しかし、図12のような配置だとフロントガラス(アンテナ設置面)からの突出部分が非常に大きくなってしまうため、別の配置方法を考える必要がある。
【0061】
図13は、アンテナの配置を説明する側面図である。図13は、傾斜25°のフロントガラス80の下に、フロントガラス80と平行になるようにアンテナ81を配置した状態を示している。図13のように配置することにより、図12に示した配置とは異なり、フロントガラス(アンテナ設置面)からの突出部分が小さく抑えられる。しかし、図13の場合、傾斜25°のフロントガラスに平行になるように前記アンテナ81を配置するため、アンテナ81の最大放射方向が仰角65°を向く。よって、前記アンテナ81の最大放射方向(仰角65°)を水平方向(仰角0°)に傾ける必要がある。
【0062】
図14では、図13に示した状態でXY面の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図14より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による無指向性が得られている。しかし、図7の傾斜90°のときの特性に比べると大幅に水平偏波が上昇し、垂直偏波が低下している。これはアンテナ面を傾斜25°にすることによって、アンテナの最大放射方向が地面と平行な水平方向から天頂方向寄りにずれたために生じる変化である。
【0063】
図15では、図13に示した状態でXZ面の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図15より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。しかし、図9の傾斜90°のときの特性に比べると8の字指向性の最大放射方向が65°変化している。これは、アンテナ面を傾斜25°にすることによって、アンテナの最大放射方向が水平方向から天頂方向寄りにずれたために生じる変化である。
【0064】
図16は、側面図であり、傾斜25°のフロントガラス80の下に、図11のアンテナ112の側面図であるアンテナ81を配置した状態を示している。
【0065】
図17は、図11のアンテナ112の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図17より、アンテナ112は、給電点を設けない複合スロット41で主に動作する800MHz帯と給電点を設ける矩形スロット42で主に動作する1900MHz帯の2つの周波数帯で共振特性が得られている。図10のアンテナ111の結果と比較した場合、折り曲げたことによって上下の導体平板が接近し、インピーダンスの整合劣化に伴う特性劣化が見られるが、目的とする2つの周波数帯での共振特性はほぼ実現している。
【0066】
図18は、図11のアンテナ112の遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示している。
【0067】
図19は、図18の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図19より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による無指向性が得られている。しかし、図7の平面の時の特性に比べると大幅に水平偏波が上昇し、垂直偏波が若干低下している。これは折り曲げることにより、上下の導体間の距離が近づき、平面時に縦方向に発生していた電流が横方向に発生する電流に変わったためである。
【0068】
本発明では、最大放射方向を厳密に定義する意味で、半値幅(指向性の主ローブの最大値から3dB下がった点の間の角度幅)の中間方向を最大放射方向と定義する。以下の本発明のアンテナの説明において、最大放射方向は前記同様の定義とする。本発明者らは8の字指向性の最大放射方向を評価する上で、半値幅の中間方向、2つのヌル(指向性の最小方向)の中間方向、2つのピークの最大値の方向、という3種類の評価方法で比較検討した。その結果、半値幅の中間方向と2つのヌルの中間方向はほぼ等しい方向を示したが、2つのピークの最大値の方向は他の2つの評価方法と大きく異なる方向を示した。また、一般的に半値幅を使った放射方向の評価方法が知られている。このため、本発明では半値幅の中間方向を最大放射方向として評価している。また、本発明では周波数特性における共振ピークでの指向性を測定し、最大放射方向を評価している。
【0069】
図20は、図11のアンテナ112の遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示している。
【0070】
図21は、図20の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図21より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。前記8の字指向性の半値幅の中間方向である最大放射方向が、傾斜25°のフロントガラス設置面に対する垂直方向(図21の295°、115°方向)から、水平方向(図21の0°、180°方向)に傾けることが必要となる。図21の(a)、(c)に示された2つの周波数帯における最大放射方向は、正面方向を0°、背面方向を180°としたとき、890MHzと1950MHzにおいて正面では仰角(0°方向と最大放射方向との角度)61°と47°を向き、背面では俯角(180°方向と最大放射方向との角度)51°と52°を向いている。これは図11(側面は図16)のようにアンテナを正面方向と背面方向に折り曲げることにより、平面時の図10(側面は図13)に比べ正面で4°と18°分だけ水平方向に傾き、背面で14°と13°分だけ水平方向に傾いていることとなる。これは図2と図3に示した電流分布91,92の給電点から最も遠い点を直線で結んでできる主要な電界発生面が平面時(図13)に比べ、地面と垂直に近づいているためである。
【0071】
以上の図21に示す結果より、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ112によれば、特定の偏波成分の電波を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ用いて、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに対称軸から等距離で2箇所折り曲げて異なる2つの周波数帯での最大放射方向を傾けることにより、特定の偏波成分で形成された異なる2つの周波数帯における電波を平面時より水平方向に近い方向で送受信するアンテナを実現できる。
【0072】
次に、本発明の第2の実施の形態を図22から図28を用いて説明する。
【0073】
図22は、図10に示した折り曲げ位置および折り曲げ間隔(本実施の形態では上下ともに6mmずつ)で折り曲げ、かつ側面から見たときの折り曲げ角度を図23のように折り曲げた本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ113を示している。
【0074】
図24は、図22のアンテナ113の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図24より、アンテナ113は、給電点を設けない複合スロット41で主に動作する800MHz帯と給電点を設ける矩形スロット42で主に動作する1900MHz帯の2つの周波数帯で共振特性が得られている。図10のアンテナ111の結果と比較した場合、折り曲げたことによって上下の導体平板が接近し、インピーダンスの整合劣化に伴う特性劣化が見られるが、目的とする2つの周波数帯での共振特性はほぼ実現している。
【0075】
図25は、図22のアンテナ113の遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示している。
【0076】
図26は、図25の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図26より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による無指向性が得られている。しかし、図7の平面のときの特性に比べると水平偏波が上昇し、垂直偏波が若干低下している。これは折り曲げることにより、上下の導体間の距離が近づき、平面時に縦方向に発生していた電流が横方向に発生する電流に変わったためである。
【0077】
図27は、図22のアンテナ113の遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示している。
【0078】
図28は、図27の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図28より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。前記8の字指向性の半値幅の中間方向である最大放射方向が、傾斜25°のフロントガラス設置面に対する垂直方向(図28の295°、115°方向)から、水平方向(図28の0°、180°方向)に傾けることが必要となる。図28の(a)、(c)に示された2つの周波数帯における最大放射方向は、890MHzと1950MHzにおいて正面では仰角36°と32°を向き、背面では俯角43°と47°を向いている。これは図22(側面は図23)のように折り曲げることにより、平面時の図10(側面は図13)に比べ正面で29°と33°分だけ水平方向に傾き、背面で22°と18°分だけ水平方向に傾いていることになる。これは図2と図3に示した電流分布91,92の給電点から最も遠い点を直線で結んでできる主要な電界発生面が平面時(図13)に比べ、地面と垂直に近づいているためである。
【0079】
以上の図28に示す結果より、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ113によれば、特定の偏波成分の電波を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ用いて、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに対称軸から等距離で2箇所折り曲げて異なる2つの周波数帯での最大放射方向を傾けることにより、特定の偏波成分で形成された異なる2つの使用共振周波数帯における電波を平面時より水平方向に近い方向で送受信するアンテナを実現できる。
【0080】
次に、本発明の第3の実施の形態を図29から図37を用いて説明する。
【0081】
図29は、図10に示した折り曲げ位置および折り曲げ間隔(本実施の形態では上下ともに6mmずつ)で折り曲げ、かつ側面から見たときの折り曲げ角度を図30のように折り曲げたアンテナ114を示している。
【0082】
図31は、図29のアンテナ114の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図31より、アンテナ114は、給電点を設けない複合スロット41で主に動作する800MHz帯と給電点を設ける矩形スロット42で主に動作する1900MHz帯の2つの周波数帯で共振特性が得られている。図10のアンテナ111の結果と比較した場合、折り曲げたことによって上下の導体平板が接近し、インピーダンスの整合劣化に伴う特性劣化が生じ、目的とする2つの周波数帯での共振特性が実現していない。
【0083】
図32は、図29のアンテナ114のインピーダンス整合を調整するために、各部の長さ及び幅p、q、r、sに従って変形した本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ124である。本実施の形態では、p=2mm、q=13mm、r=2.5mm、s=8mmとしている。
【0084】
図33は、図32のアンテナ124の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図32のように変形することにより、折り曲げたことによるインピーダンスの整合劣化を調整し、目的とする2つの周波数帯での共振特性がほぼ実現している。
【0085】
図34は、図32のアンテナ124の遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示している。
【0086】
図35は、図34の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図35より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による無指向性が得られている。しかし、図7の平面のときの特性に比べると水平偏波が上昇し、垂直偏波が若干低下している。これは折り曲げることにより、上下の導体間の距離が近づき、平面時に縦方向に発生していた電流が横方向に発生する電流に変わったためである。
【0087】
図36は、図32のアンテナ124の遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示している。
【0088】
図37は、図36の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図37より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。前記8の字指向性の半値幅の中間方向である最大放射方向が、傾斜25°のフロントガラス設置面に対して垂直方向(図37の295°、115°方向)から水平方向(図37の0°、180°方向)に傾けることが必要となる。図37の(a)、(c)に示された2つの周波数帯における最大放射方向は、910MHzと1950MHzにおいて正面では仰角33°と28°を向き、背面では俯角40°と22°を向いている。これは図29(側面は図30)のように折り曲げることにより、平面時の図10(側面は図13)に比べ正面で32°と37°分だけ水平方向に傾き、背面で25°と43°分だけ水平方向に傾いていることになる。これは図2と図3に示した電流分布91,92の給電点から最も遠い点を直線で結んでできる主要な電界発生面が平面時(図13)に比べ、地面と垂直に近づいているためである。
【0089】
以上の図37に示す結果より、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ124によれば、特定の偏波成分の電波を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ用いて、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに対称軸から等距離で2箇所折り曲げて異なる2つの周波数帯での最大放射方向を傾けることにより、特定の偏波成分で形成された異なる2つの周波数帯における電波を平面時より水平方向に近い方向で送受信するアンテナを実現できる。
【0090】
次に、本発明の第4の実施の形態を図38から図46を用いて説明する。
【0091】
図38は、図10に示した折り曲げ位置および折り曲げ間隔(本実施の形態では上下ともに6mmずつ)で折り曲げ、かつ側面から見たときの折り曲げ角度を図39のように折り曲げたアンテナ115を示している。
【0092】
図40は、図38のアンテナ115の周波数共振特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図40より、アンテナ115は、給電点を設けない複合スロット41で主に動作する800MHz帯と給電点を設ける矩形スロット42で主に動作する1900MHz帯の2つの周波数帯で共振特性が得られている。図10のアンテナ111の結果と比較した場合、折り曲げたことによって上下の導体平板が接近し、インピーダンスの整合劣化に伴う特性劣化が生じ、目的とする2つの周波数帯での共振特性が実現していない。
【0093】
図41は、図38のアンテナ115のインピーダンス整合を調整するために、各部の長さ及び幅p、q、r、tに従って変形した本発明の第4の実施の形態に係るアンテナ124である。本実施の形態では、p=2mm、q=13mm、r=2.5mm、t=9mmとしている。
【0094】
図42は、図41のアンテナ125の周波数特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示し、図10のアンテナ111の結果も太線で示している。図41のように変形することにより、折り曲げたことによるインピーダンスの整合劣化を調整し、目的とする2つの周波数帯での共振特性がほぼ実現している。
【0095】
図43は、図41のアンテナ125の遠方界における指向性のXY平面の測定面定義を示している。
【0096】
図44は、図43の測定面で測定したときの指向性を2つ周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図44より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに垂直偏波による無指向性が得られている。しかし、図7の平面のときの特性に比べると水平偏波が上昇し、垂直偏波が若干低下している。これは折り曲げることにより、上下の導体間の距離が近づき、平面時に縦方向に発生していた電流が横方向に発生する電流に変わったためである。
【0097】
図45は、図41のアンテナ125の遠方界における指向性のXZ平面の測定面定義を示している。
【0098】
図46は、図45の測定面で測定したときの指向性を2つの周波数帯および垂直偏波(Vertical)と水平偏波(Horizontal)に分けて示している。図46より、2つの周波数帯におけるそれぞれの周波数で、両者ともに8の字指向性の垂直偏波が得られている。前記8の字指向性の半値幅の中間方向である最大放射方向が、傾斜25°のフロントガラス設置面に対する垂直方向(図37の295°、115°方向)から、水平方向(図37の0°、180°方向)に傾けることが必要となる。図46の(a)、(c)に示された2つの周波数帯における最大放射方向は、910MHzと1990MHzにおいて正面では仰角31°と24°を向き、背面では俯角38°と25°を向いている。これは図38(側面は図39)のように折り曲げることにより、平面時の図10(側面は図13)に比べ正面で34°と41°分だけ水平方向に傾き、背面で27°と40°分だけ水平方向に傾いていることになる。これは図2と図3に示した電流分布91,92の給電点から最も遠い点を直線で結んでできる主要な電界発生面が平面時(図13)に比べ、地面と垂直に近づいているためである。
【0099】
以上の図46に示す結果より、本発明の第4の実施の形態に係るアンテナ125によれば、特定の偏波成分の電波を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ用いて、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに対称軸から等距離で2箇所折り曲げて異なる2つの周波数帯での最大放射方向を傾けることにより、特定の偏波成分で形成された異なる2つの周波数帯における電波を平面時より水平方向に近い方向で送受信するアンテナを実現できる。
【0100】
次に、折り曲げ角度に関する特性比較を図47から図49を用いて説明する。
【0101】
図47は、本発明の前記実施の形態に係るアンテナの構造を、折り曲げ角度α、βにより定義したものである。なお、図中(1)〜(4)は、第1〜第4の実施の形態に対応している。
【0102】
図48は、第1〜第4の実施の形態に係るアンテナにおける特性比較を示している。これは、正面方向を0°、背面方向を180°とし、アンテナの8の字指向性のピークの方向が地面と水平方向である正面方向あるいは背面方向からずれている角度を各帯域と各方向で分類して示している。この特性比較によると、折り曲げ角度(4)がHigh-bandの背面以外で0°、180°からのずれが最も少なく(ずれ角度が最も0°に近い)、良好な特性である。最大放射方向の最良な折り曲げ角度を順に示すと(4)、(3)、(2)、(1)となる。
【0103】
図49は、第1〜第4の実施の形態に係るアンテナにおける特性比較を示している。これは、正面方向を0°、背面方向を180°として、アンテナの8の字指向性の最大利得を各帯域と各方向で分類して比較している。この特性比較によると、折り曲げ角度(2)がLow-bandの正面以外で最も最大利得が高く、良好な特性である。最大利得の良好な折り曲げ角度を順に示すと、(2)、(1)、(4)、(3)となる。
【0104】
また、折り曲げる前の面積が等しく、かつ形状がほぼ等しいアンテナを、(1)〜(4)の折り曲げ角度に従って折り曲げたときの体積を比較したときに、小型な順に示すと、(3)、(1)、(4)、(2)となる。折り曲げやすさで比較した際に折り曲げやすい(90°に近い角度での折り曲げ角度の数の)順に示すと、(4)、(1)、(2)、(3)となる。よって、最大放射方向、最大利得、体積、折り曲げやすさの4つの点で1位から4位を1点から4点とし、最も少ない点数の折り曲げ角度を最も優れたものとする場合、総合的に最も優れた折り曲げ角度は(4)である。
【0105】
図50は、前記実施の形態において、(a)のように給電に使用する同軸ケーブルが矩形スロットに進入している配置だと良好な特性が得られず、(b)のように給電に使用する同軸ケーブルが矩形スロットに進入しない配置であれば、良好な特性が得られることを示している。なお、アンテナの給電線は、アンテナの長さ方向に水平な方向に延ばしてアンテナの給電点に接続してもよく、アンテナの幅方向に水平な方向に延ばしてアンテナの給電点に接続してもよく、アンテナの構造面と垂直な方向に延ばしてアンテナの給電点に接続してもよい。
【0106】
図51は、前記実施の形態において、(a)〜(c)のように折り曲げ位置や折り曲げ間隔を対称軸から等距離にしていれば、共振周波数が±20MHz以内の変化であることを示している。
【0107】
図52は、前記実施の形態において、800MHz帯の共振周波数を調整するには上下の導体部分75を、1900MHz帯の共振周波数を調整するには上下の導体部分76を、上下対称に変形することで共振特性を劣化させることなく、共振周波数を調整することができることを示している。
【0108】
図53は、第4の実施の形態において、アンテナ125を階段状のものへの取付が可能であることを示している。
【0109】
また、アンテナのスロットの形状は前記実施の形態のものに限定されず、例えば、対称形状のスロットを、その対称軸が導体平板の対称軸と一致するように形成するようにしてもよい。本発明を適用可能なスロット形状の一例を以下に説明する。
【0110】
図54は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型長方形スロット43の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0111】
図55は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型台形スロット44の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0112】
図56は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型三角形スロット45の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0113】
図57は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型菱形スロット46の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0114】
図58は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型蝶ネクタイ形スロット47の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0115】
図59は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型楕円形形スロット48の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0116】
図60は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型砂時計形スロット49の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0117】
図61は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型長方形スロット50の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0118】
図62は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型台形スロット51の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0119】
図63は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型三角形スロット52の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0120】
図64は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型菱形スロット53の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0121】
図65は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型蝶ネクタイ形スロット54の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0122】
図66は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型楕円形スロット55の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0123】
図67は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型砂時計形スロット56の構造に本発明を適用可能であることを示している。
【0124】
図68は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型スロットの構造43が対称軸5上に対称構造を保ちつつ1列に2つ配置され、給電点が片方にのみ設けられている場合に本発明を適用可能であることを示している。
【0125】
図69は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで片側開放型スロットの構造50が対称軸5上に対称構造を保ちつつ1列に2つ配置され、給電点が片方にのみ設けられている場合に本発明を適用可能であることを示している。
【0126】
図70は、前記実施の形態において、上下対称なアンテナで両端短絡型スロット43と片側開放型スロット50が対称軸5上に対称構造を保ちつつ1列に1つずつ配置され、給電点が片方にのみ設けられている場合に本発明を適用可能であることを示している。
【0127】
このように、スロットが2個とも同形状であり、異なる幅及び/又は異なる長さを有していてもよい。また、スロットがそれぞれ異形状であってもよい。
【0128】
前記実施の形態においては、導体平板2にスロットを形成してアンテナとしたが、導体平板2の他にも銅箔又はアルミ箔からなる軟性導体シート(フィルム)にスロットを形成してアンテナとしてもよい。
【0129】
また、前記実施の形態においては、給電に同軸ケーブルを用いたが、複数本の単芯ケーブルやフラットケーブルを用いるようにしてもよい。
【0130】
次に、本発明のアンテナを内蔵した電子機器について説明する。
【0131】
図71は、第4の実施の形態において、ディスプレイ102を備えた携帯端末(携帯電話など)101の中に、図のようにアンテナ1を内蔵可能であることを示している。
【0132】
図72は、第4の実施の形態において、電子機器(ノートパソコンなど)103の中に、図のようにアンテナ1をディスプレイのフレーム部分(図はフレーム上部を示す)に内蔵可能であることを示している。
【0133】
図73は、第4の実施の形態において、電子機器(ノートパソコンなど)103の中に、図のようにアンテナ1をキーボードの手前側に内蔵可能であることを示している。
【0134】
このように本発明のアンテナを電子機器内に内蔵する際には、アンテナの給電線が電子機器の筐体内に配置されるようにしてもよい。
【0135】
図74は、第4の実施の形態において、取り付けユニット(樹脂製のケースなど)104の中に、図のようにアンテナ1を内蔵し、粘着性のあるテープ(両面テープなど)105により、建物の壁、天井、窓ガラスあるいは車両の窓ガラスなどに設置可能であることを示している。
【0136】
図75は、第4の実施の形態において、取り付けユニット(樹脂製のケースなど)104の中に、図のようにアンテナ1を内蔵し、吸着性のある物体(吸盤など)106により、建物の壁、天井、窓ガラスあるいは車両の窓ガラスなどに設置可能であることを示している。
【0137】
図76は、第4の実施の形態において、一体型ユニット(樹脂製のケースなど)107の中に、図のように本発明のセルラ対応アンテナ108を内蔵し、空いたスペースにセルラ以外の無線システムに対応したアンテナ109を内蔵することにより、2つ以上の無線システムに対応可能であることを示している。
【0138】
以上要するに、本発明のアンテナは、特定の偏波成分を効率良く送受信できるアンテナ素子構造を2つ使用し、これらアンテナ素子構造の内、一方にのみ給電点を設け、さらに給電点および2つのアンテナ素子構造の中央を通る対称軸から等距離で折り曲げて、それぞれのアンテナ素子構造のサイズ調整、または給電点位置の調整、もしくは両方法を組み合わせた調整を行うことにより、異なる2つの周波数帯での共振特性を調整できるので、より簡単な構造で特定の偏波成分で形成された異なる2つの周波数帯における電波を単体で送受信でき、最大放射方向のチルトを可能にする小型アンテナを実現できる。
【0139】
また、本発明のアンテナは、電子機器の筐体に内蔵したとき、もしくは金属(導体)を使用した設備等に設置したとき、2つのアンテナ素子構造のそれぞれの電力放射に寄与する部分と共振特性を調整する部分に筐体内や設備等の金属(導体)部が近接もしくは接触しない限り、アンテナ素子の電波送受信特性に影響を与えないため、アンテナ位置の選択を容易にする。
【0140】
本発明のアンテナで使用する給電線は、2つのアンテナ素子それぞれの無導体領域に交差しない位置であれば、アンテナ素子の電波送受信特性に影響を与えないため、引き回し方向を自由に選択できるので、電子機器の筐体に内蔵したときや設備等に設置したとき、給電線の配置を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 アンテナ
2 導体平板
3 給電点
21 スロット境界導体部
41 複合スロット
42 矩形スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対称形状の導体板と、
前記導体板に形成されたスロットと、
前記導体板の対称軸上に設けられた給電点と、
を有し、
前記導体板が前記対称軸と平行となる2箇所で互いに異なる方向に折り曲げられていることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記導体板が前記対称軸と等しい距離の2箇所で折り曲げられている請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記スロットが対称形状であり、その対称軸が前記導体板の対称軸と一致するように形成されている請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記スロットが2個形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
前記スロットが2個とも同形状であり、異なる幅及び/又は異なる長さを有する請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記スロットがそれぞれ異形状である請求項4に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記スロットが前記導体板の対称軸上に1列に形成されている請求項4〜6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記スロットの少なくとも1個が前記導体板の対称軸方向の一端側に開放されるように形成される請求項4〜7のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記給電点が前記スロットの一方のみに設けられる請求項4〜8のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記導体板が対称軸方向に横長の四角形状であり、その導体板の前記対称軸上の中央部にスロット境界導体部を形成すべく、前記導体板の対称軸上の一方に、横向きM字スロットとその横向きM字スロットに連続して形成され徐々に拡径する開放端を有する台形スロットとからなる複合スロットが形成され、前記導体板の対称軸上の他方に、矩形スロットが形成された請求項3に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記矩形スロットが、開放端を有する細長スロットとその細長スロットに連続して形成された四角形スロットとからなる請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複合スロットの2つの周波数帯に対する第1の設計周波数υ1での電波の波長をλ1、前記台形スロットの上底の幅を2d、前記M字スロットの前記対称軸方向の長さをf、前記台形スロットの上底と下底とを結ぶ2辺の長さをそれぞれhとしたとき、d+f+h=λ1/3.7となるようにd、f、hが調整される請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記矩形スロットの2つの周波数帯に対する第2の設計周波数υ2での電波の波長をλ2、前記細長スロットの長さをg、前記細長スロットの幅をe、前記導体板の対称軸に垂直な辺の幅をbとしたとき、g+(b−e)/2=λ2/3.1となるようにg、e、bが調整される請求項12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記給電点が前記矩形スロットに設けられる請求項10〜13のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項15】
給電に同軸ケーブルを用いる請求項1〜14のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項16】
給電に複数本の単芯ケーブルを用いる請求項1〜14のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項17】
給電にフラットケーブルを用いる請求項1〜14のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項18】
前記導体板が導体平板又は軟性導体シート(フィルム)からなる請求項1〜17のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項19】
前記導体平板が銅板又はばね性のあるリン青銅板からなる請求項18に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記軟性導体シート(フィルム)が銅箔又はアルミ箔からなる請求項18に記載のアンテナ。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載のアンテナを備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【公開番号】特開2010−109968(P2010−109968A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207302(P2009−207302)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】