説明

アンテナ梱包装置

【課題】 パラボラアンテナの取り出し作業工数を削減して取り出し時の手間を減らすこと、ゴミの発生量を最小限に抑えること、梱包装置に必要な資材を減らしてコストを低減することを実現するアンテナ梱包装置を提供する。
【解決手段】 一端面が全面的に開閉可能な立方体状または直方体状の外装箱2と、外装箱2内に前記一端開放面側へ引き出し可能に挿入され、パラボラアンテナAの梱包台数と対応する段数に外装箱内を上下方向で仕切る複数の仕切り部材3と、各仕切り部材3上に載置されるパラボラアンテナAのリフレクタA1を包み込むように周囲の側辺を四角形状の天板4aに対し下向きに垂直に折り曲げた方形の箱形部材4とを備え、箱形部材4の天板4aのほぼ中央部にはパラボラアンテナAのマウント本体A2を嵌め込み可能な開口部4bを設けるとともに、天板4a上にコンバータA5を先端に支持するコンバータアームA4を固定するための嵌合溝4gを有する折り返し片4fを、天板4aに設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のアンテナ装置(パラボラアンテナ)を梱包するための梱包装置に関する。詳しくは、主に量販店やアンテナ工事業者などが使用するのに好適なアンテナ梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の梱包装置では、従来、一つのアンテナ装置は一つの梱包装置にて梱包するように構成されている。たとえばUHFや地上デジタル放送受信用の八木式アンテナの場合、図7に示すように、上方に開閉可能な上蓋71を備えた横長の梱包装置70内に一本ずつ収容されている。梱包装置70は通常、段ボール紙の箱からなり、梱包装置70の両側は二重に重ね合わされて立設された側面72を備え、一方の側面72に八木式アンテナ80のアーム本体の一端81が当接され、他方の側面72にアーム本体の他端82が反射器支持フレーム83を折り畳んだ状態で当接されている。また、梱包装置70の前面74はコの字状に折り曲げられ、上蓋71の前縁に連接(連続して接続)された一対のフラップ辺75に形成された差込口75aに、前面74の切欠き部76に対応して形成された差込片76aを差し込んで係止可能になっている。上蓋71は梱包装置70のコの字状に折り曲げられる後面に連接され、直角に折り曲げ可能であり、上蓋71の両側には直角に側面77が連接されている。さらに、八木式アンテナ80のがたつきを防止するため、発泡スチロールなどの発泡樹脂からなる直方体状の中子79が八木式アンテナ80の長さ方向のほぼ中間位置に装着されている。
【0003】
BSおよびCS放送受信用のパラボラアンテナの場合にも、一つのアンテナ装置は一つの梱包装置に梱包されて保管および搬送されているが、その梱包装置の一例としてつぎのような装置が提案されている。この梱包装置は、外装箱および中当て緩衝材からなり、同中当て緩衝材は、中心部の左右にリフレクタを左右から挟持するための略コ字状の折曲部を設け、両端を夫々略口字状に折曲し、先端部分に夫々差込片を形成するとともに折曲にて同差込片に対応する位置に差込穴を穿設して差込片を差込み、同略口字状の折曲部に、リフレクタ背面のポール取付具を差込むポール取付具固定穴と、コンバータ付アームを固定するコンバータ付アーム固定穴とを穿設してなり、コンバータ付アームを同コンバータ付アーム固定穴によって保持し、前記略コ字状の折曲部の上片をリフレクタの背面に沿わせて台形状に折曲し、前記略口字状の折曲部に穿設したポール取付具固定穴にリフレクタ背面のポール取付具を差込んで保持するとともにリフレクタを位置決めし、外装箱に収納するようにしたものである(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−58875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、従来のアンテナ梱包装置では、複数台のアンテナ装置を1台ずつ設置してまわる場合、1台のアンテナ装置が梱包された梱包装置を複数個、バンタイプやワゴンタイプの普通自動車やトラックタイプの貨物自動車などの荷台に搭載し、各設置場所へ搬送している。そして、設置場所に到着すると、1台のアンテナ装置を梱包装置に収容した状態で現場まで運搬しなければならない。アンテナ装置だけでなく、その梱包装置も比較的重量がある。しかも、梱包装置の蓋を開放し、装置内のアンテナ装置を緩衝材ごと取り出さねばならない。アンテナ装置は、外傷を防ぐために緩衝材に対し不用意に動かないように嵌め込むなどして、堅固に固定されているので、緩衝材から抜き取るのに手間がかかる。
【0006】
さらに、梱包装置の主要部である外装箱や緩衝材、アンテナ装置を収納しているビニール袋あるいは緩衝材に対しアンテナ装置を固定するための固定部材などはゴミとして廃棄する必要がある。これらの部材は、通常、リサイクルされずに廃棄されるので、アンテナ装置の設置後に清掃して持ち帰らなければならない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、パラボラアンテナの取り出し作業工数を削減して取り出し時の手間を減らすこと、ゴミの発生量を最小限に抑えること、梱包装置に必要な資材を減らしてコストを低減することを可能とするアンテナ梱包装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係るアンテナ梱包装置は、複数台のパラボラアンテナを梱包するアンテナ梱包装置であって、一端面が全面的に開放可能な立方体状または直方体状の外装箱と、前記外装箱内に前記一端開放面側へ引き出し可能に挿入され、前記パラボラアンテナの梱包台数と対応する段数に前記外装箱内を上下方向で仕切る複数の仕切り部材と、前記各仕切り部材上に載置される前記パラボラアンテナのリフレクタを包み込むように周囲の側辺を四角形状の天板に対し下向きに垂直に折り曲げた方形の箱形部材とを備え、前記箱形部材の天板のほぼ中央部には前記パラボラアンテナのマウント本体を嵌め込み可能な開口部を設けるとともに、前記天板上にコンバータを先端に支持するコンバータアームを固定するための嵌合溝を有する折り返し片を、前記天板に設けたことを特徴とする。
【0009】
上記構成を有するアンテナ梱包装置によれば、運搬中は外装箱内の各パラボラアンテナは、段状の前記各仕切り部材上において下向きのリフレクタが前記箱形部材の側辺に包まれた状態で載置されるとともに、マウント本体が天板の開口部に下から嵌め込まれ固定される。また箱形部材は外装箱の前後の蓋により前後方向の動きが、また仕切り部材の両側部により左右の動きが阻止される。さらに、コンバータアームは前記箱形部材に前記折り返し片の嵌合溝により固定される。この結果、運搬中にパラボラアンテナに外傷が付いたり同パラボラアンテナが損壊したりすることがない。一方、梱包装置内のパラボラアンテナは、外装箱の一端面の蓋を開放した状態で、箱形部材を前方の開放部側へ仕切り部材上をスライドさせて引き出した後、箱形部材から簡単に取り外すことができる。したがって、たとえばライトバンタイプの自動車の荷台に複数台のパラボラアンテナを収納したアンテナ梱包装置を載せて設置場所へ搬送する場合、荷台の後方に外装箱の開放部を向けておけば、設置場所でパラボラアンテナを簡単に取り出すことができる。このようにしてパラボラアンテナをベランダ等に設置することができ、従来と違ってパラボラアンテナ1台ごとに梱包装置の蓋を開ける必要がないから、パラボラアンテナの取り出しに手間がかからない。また、箱形部材だけがゴミとして発生するため、箱形部材だけを回収して持ちかえれば済み、清掃作業や後片付け作業が容易である。
【0010】
請求項2に記載のように、前記箱形部材の天板に前記コンバータを嵌め込み可能な嵌合口を設けることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、パラボラアンテナのコンバータアームを折り返し片の嵌合溝で支持するだけでなく、天板に設けた開口部を先端のコンバータを嵌め込んで支持できるので、コンバータアームを一層確実に固定できる。
【0012】
請求項3に記載のように、前記パラボラアンテナと対をなすベランダ取付金具を梱包するとともに、前記天板の開口部から上方に突出させたマウント本体が下方へ抜け出すのを防止する横断面凹状の抜け止め部材を、前記マウント本体と前記リフレクタとの隙間に挿入するようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、天板の開口部内に嵌め込んだマウント本体の下方への抜け出しを抜け止め部材で阻止できる。
【0014】
請求項4に記載のように、前記マウント本体を取り囲み可能で下向けに突出する差込片を有する略方形状の枠体からなる緩衝部材を設け、前記緩衝部材の差込片を差込可能な差込孔を前記天板に設けることができる。
【0015】
このようにすれば、マウント本体を緩衝部材で取り囲むことができ、運搬中に外傷が付くのを防止するとともに、緩衝部材の高さを外装箱の天板あるいは上側の仕切り部材の底面に当接させることで、運搬中のパラボラアンテナおよび箱形部材の上下方向の振動などを確実に防止することができる。
【0016】
請求項5に記載のように、前記外装箱、前記仕切り部材、前記抜け止め部材および前記緩衝部材を、それぞれ一枚の段ボール紙から形成することができる。
【0017】
このようにすれば、アンテナ梱包装置を構成する外装箱・仕切り部材・抜け止め部材・緩衝部材をそれぞれ1枚の段ボール紙からプレス機等で打ち抜いて形成できるから、低コストで製作できる上に、廃棄する場合には発泡樹脂に比べて有毒ガスの発生がなく焼却が容易で、廃棄が楽であり、リサイクルも可能である。また、外装箱や仕切り部材あるいは箱形部材などは繰り返し使用することが可能で、無駄がないので、経済的である。
【0018】
請求項6に記載のように、前記各仕切り部材は前後方向の両端を開放し、両側には底面に対し連続して側辺をそれぞれL状またはコの字状に折り曲げ可能に設けることができる。
【0019】
このようにすれば、各仕切り部材の両側には全長にわたり連続する一定高さの側辺または先端側をL字状に内側に折り曲げた側辺が垂直に立設されているため、複数の仕切り部材を順番に重ね合わせて外装箱内に挿入するだけで、各仕切り部材を側辺で支持して引き出し可能に構成することができる。これにより、特に仕切り部材を引き出し可能に支持するための部材を外装箱内に取り付ける必要がなく、構造が簡単である。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、本発明に係るアンテナ梱包装置には、つぎのような優れた効果がある。
【0021】
・パラボラアンテナの取り出し工数が少なく、簡単に取り出すことができる。
【0022】
・ゴミとして発生する部材が少なく、作業終了後の清掃作業が簡単で、作業効率が向上する。
【0023】
・梱包装置を構成する部材の大部分は複数回繰り返して使用できるので、省資源化に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】3台のパラボラアンテナを梱包可能なアンテナ梱包装置の実施例を示すもので、外装箱の一端面を開放した状態を示す正面上方より見た斜視図である。
【図2】図1のアンテナ梱包装置からパラボラアンテナを箱形部材とともに引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】引き出した状態の図2に示す箱形部材において抜け止め部材および緩衝部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】外装箱を展開した状態を示す平面図である。
【図5】(a)は仕切り部材を展開した状態を示す平面図で、(b)は箱形部材を展開した状態を示す平面図である。(c)は緩衝部材を展開した状態を示す平面図で、(d)は抜け止め部材を展開した状態を示す平面図である。
【図6】(a)は本例のアンテナ梱包装置に収納されるパラボラアンテナAの正面図で、(b)は同右側面図、(c)はベランダ取付金具B1の右側面図である。
【図7】従来の一般的な1台入りの八木式アンテナ用梱包装置において上蓋を開放した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るアンテナ梱包装置について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、アンテナ梱包装置1は、長手方向の一端面が開閉可能な外装箱2と、この外装箱2内の長手方向に沿って引き出し可能に挿入され、外装箱2内を梱包するパラボラアンテナAの台数(本例では3台)と一致する段数に仕切るための仕切り部材3と、各仕切り部材3上に引き出し可能に載置され、パラボラアンテナAをコンバータアームAなどとともに固定する箱形部材4と、マウント本体A2やコンバータアームA4などを取り囲む緩衝部材5と、マウント本体A2の抜け止め用の抜け止め部材6とを備えている。これらの部材2〜6は、図4および図5に示すように本例ではそれぞれ1枚の段ボール紙からプレス機などで打ち抜いて形成される。
【0027】
図6に示すように、梱包されるアンテナ装置はパラボラアンテナAで、リフレクタA1の背面中央部にマウント本体A2が突設され、略V状のコンバータアームA4の基端部がマウント本体A2に固定され、コンバータアームA4の先端にコンバータA5が装着される。また、このパラボラアンテナAは通常、ベランダの手摺りなどに取り付けられるために、ベランダ取付金具B1がパラボラアンテナAと一緒に梱包される。ベランダ取付金具B1の略L形のポールB3に対しマウント本体A2の背面とポール押さえ金具A3とで挟持して、パラボラアンテナAが固定される。
【0028】
外装箱2は一端面(図4の左側)の4枚の蓋21を点線28に沿って外側へ折り曲げることにより全面的に開放可能な直方体の箱からなる。図4に示す段ボール紙を奥行き(左右)方向の点線22〜25に沿って順に内側に直角に折り曲げ、図4の右側の4枚の蓋27を点線29に沿って内側へ折り曲げ、のりしろ26と蓋27とにそれぞれ接着剤を接着して図1に示すように直方体状に組み立てられる。なお、一対の蓋21の丸穴にはそれぞれ鳩目(図示せず)が取り付けられ、一方の鳩目に紐(図示せず)の一端が止着され、蓋21を閉じた状態で紐を他方の鳩目に巻き付けることで、蓋21を閉じた状態に保持できるようになっている。
【0029】
仕切り部材3は、図4・図5に示すように外装箱2内に挿入できるように外装箱2内部の長さおよび幅に比べてそれぞれ若干短い寸法からなり、奥行き(長手)方向の両端が開放されている。仕切り部材3の両側には、図5(a)に示すように底面3aに連続して設けられる一定幅の側辺36の先端側37を折り曲げ線38に沿って内側に直角にL状に折り曲げ、さらに側辺36を点線39に沿って内側に垂直に折り曲げて形成される。本例の場合、側辺36の奥行き方向の中間位置に長円形状の開口36aが設けられている。
【0030】
箱形部材4は、図5(b)に示すように仕切り部材3の長さ(奥行き寸法)および幅に比べて長さおよび幅がそれぞれ若干短い寸法で、図1に示すように仕切り部材3の底面3a上に引き出し(スライド)可能に載置される。図2・図3に示すように上方より見て長方形状の天板4aの周囲、すなわち前後および左右に連続する側辺41〜45を、幅方向の点線46および長手方向の点線47に沿ってそれぞれ外側に垂直に折り曲げて立設する。右側の側辺44・45は本例では前後で2枚に分割されているが、分割せず1枚にすることもできる。天板4aのほぼ中央部に略長方形の開口部4bが設けられ、この開口部4b内に下からパラボラアンテナAのマウント本体A2が嵌め込まれる。開口部4bの前方には差込孔4cが設けられ、さらに前方で幅方向の中央には長円形の引き出し口4dが設けられている。パラボラアンテナAのリフレクタA1は、下向きになった状態で5枚の側辺41〜45によって取り囲まれ保護される。
【0031】
また、差込孔4cの一側方(右側方)には、コンバータアームA4のコンバータA5を嵌め込み可能な嵌合口4eが設けられている。開口部4bの後方には、幅方向に横長の長方形状の折り返し片4fが下端前縁の折り返し線48に沿って上向きに折り返されている。折り返し片4fには、長手方向の一端部(左端部)にコンバータアームA4を嵌め込み可能な嵌合溝4gが形成され、また折り返し片4fのほぼ中央部には、ベランダ取付金具B1のポールB3を嵌め込み可能な開口4hが形成されている。この状態で、ベランダ取付金具B1は天板4a下方でリフレクタA1の上側に収納されている。また、ベランダ取付金具B1の押さえ金具B2は、単独でマウント本体A2の前方でコンバータアームA4上に配置される。なお、図2・図3中の符号Cはビニール袋入りのアンテナケーブルなどの付属品である。
【0032】
緩衝部材5は、図5(c)に示す段ボール紙の両端部5aをそれぞれ内側へ直角に折り曲げて重ね合わせ、一方の端部5aの中央部に設けた折り曲げ片52を他方の端部5aに設けた溝53内に折り曲げて一体に固定し上方より見て長方形状の枠体に形成され、両端部5aを折り返し片4fに接してマウント本体A2および押さえ金具B2を取り囲むように天板4a上に配置される。緩衝部材5の両端部5aと対向する中央端面5bの両側が中央の折れ曲げ線55とその両側方の折れ曲げ線56に沿って内側へ直角に折り曲げられ、中央端面5bおよび両側の折り曲げ部5cの下端部に差込片5dが下向きに突設される。この差込片5dは、天板4aに形成された差込孔4cに差し込まれる。両側の折り曲げ部5cには切り込み5eがそれぞれ水平に形成され、押さえ金具B2の隅角部が嵌め込まれる。緩衝部材5の差込片5dのすぐ後方の両側には半円形溝5fがそれぞれ形成され、コンバータアームA4に半円形溝5fが嵌め込まれる。
【0033】
抜け止め部材6は、図5に示すようにマウント本体A2が開口部4bから下方へ抜け出すのを防止するもので、図5(d)に示す段ボール紙を折れ曲げ線61に沿ってそれぞれ外側に垂直に折り曲げて横断面凹状に形成される。この抜け止め部材6は、図2に示すマウント本体A2とリフレクタA1との隙間(略断面門型に形成されたマウント本体A2の仰角調整部とリフレクタA1の背面との隙間A6)に後方から前方へ挿入される。なお、図5(d)の符号62は切り込み線である。
【0034】
上記実施形態のアンテナ梱包装置1では、3段の仕切り部材3が上下方向に一連に重ね合わせた状態で外装箱2内に挿入される。この状態で、各仕切り部材3が下側に隣接する仕切り部材3両側のL状側辺36・37にて支持され、先端側の水平な側辺37に対し上側の仕切り部材3の底面3aを接触させ相互に滑らせるようにして仕切り部材3が引き出せるようになっている。なお、最下段の仕切り部材3だけは外装箱2の底面2aに対し滑らせながら引き出される。また、本例では、3台のパラボラアンテナAを梱包可能な場合を示しているが、一度に梱包するパラボラアンテナAの台数については2台以上であれば、特に限定するものではない。
【0035】
以上のようにして本例のアンテナ梱包装置1が構成されるが、以下にパラボラアンテナAの梱包の態様およびパラボラアンテナAの取り出し方法などの一例について説明する。
【0036】
本例の場合、3台のパラボラアンテナAを1台ずつ図3に示すように、リフレクタA1を下向けにして仕切り部材3上の長手方向に沿って載置する。パラボラアンテナAは背面のマウント本体A2を箱形部材4の開口部4b内に下から嵌め込む。そして、リフレクタA1を垂直に立設される5枚の側辺41〜45により取り囲む。折り返し片4fの嵌合溝4gにコンバータアームA4が嵌め込んで天板4a上に載置し、コンバータA5を嵌合口4eに嵌め込み固定する。ベランダ取付金具B1はそのポールB2を折り返し片4fの開口4hに嵌め込み、天板4aの下方でリフレクタA1の上側に収納する。また、抜け止め部材6は、図3に示すマウント本体A2とリフレクタA1との隙間に後方から前方へ挿入する。この状態で、緩衝部材5の後ろ側の両端部5aを折り返し片4fに接触させ、マウント本体A2および押さえ金具B2を取り囲むように天板4a上に配置する。そして、折り曲げ部5cの下端の差込片5dを天板4aの差込孔4cに差し込む。また、両側の折り曲げ部5cの切り込み5eに押さえ金具B2の隅角部を嵌め込んで固定し、さらにコンバータアームA4に半円形溝5fを嵌め込む。このようにして、箱形部材4にパラボラアンテナAおよびベランダ取付金具B1が固定される。この状態で、仕切り部材3を外装箱2から一部前方に引き出し、箱形部材4とともにパラボラアンテナAおよびベランダ取付金具B1を仕切り部材3上に載置し、仕切り部材3を外装箱2内の奥に押し込み、さらに箱形部材4を仕切り部材3上の奥まで押し込む。このようにして箱形部材4に固定した状態のパラボラアンテナAおよびベランダ取付金具B1を、各仕切り部材3上に載置する。この状態で、外装箱2の4枚の蓋21を図4の点線28に沿って内側に折り曲げて閉じれば、パラボラアンテナAおよびベランダ取付金具B1の梱包作業が終了する。
【0037】
一方、3台のパラボラアンテナAが梱包されたアンテナ梱包装置1は、自動車の荷台上に蓋21を後部ドアの方に向けて載置する。このようにして、アンテナ設置現場まで自動車で搬送する。現場では、アンテナ梱包装置1における外装箱2の4枚の蓋21を全面的に開放し、この開放状態で、通常は最上段あるいは任意の段の引き出し部材3上から引き出し口4dにより箱形部材4を前方へ引き出す。引き出された箱形部材4には図2に示すように、パラボラアンテナAおよびベランダ取付金具B1が固定されている。そこで、図5に示すように緩衝部材5を取り外し、さらに図3に示すように抜け止め部材6を後方に引き抜く。この状態で、コンバータアームA4を取り出し、箱形部材4をリフレクタA1に対し上方へ持ち上げて開口部4bからマウント本体A2を下方へ押し出せば、パラボラアンテナAを箱形部材4から取り外せる。そして、設置する際にマウント本体A2にコンバータアームA4の基端部を固定し、ベランダ取付金具B1をベランダに取り付け、パラボラアンテナAをポールB3に取り付ける。このような作業を行ってパラボラアンテナAの設置作業が終了した後、清掃してゴミとして箱形部材4を緩衝部材5および抜け止め部材6とともに回収して持ちかえればよい。なお、古いアンテナと取り替えた場合には、古いアンテナも持ちかえることになる。
【0038】
上記にアンテナ梱包装置の一実施形態を示したが、下記のように実施することができる。
・仕切り部材3の両側の側辺36を底面3aに対し垂直に内側に折り曲げて立設し、さらに先端側37を直角に内側に折り曲げたが、各側辺36を底面3aに対し垂直に内側に折り曲げて立設させ、先端側の側辺37を省くことができる。この場合には、各段の仕切り部材3は下側の仕切り部材3の両側に立設された側辺36で支持されることになる。
・抜け止め部材6を省くことができる。
・上記実施形態では、パラボラアンテナAとともにベランダ取付金具B1も同梱する場合を例示したが、複数台のパラボラアンテナAだけを梱包するようにしてもよい。
・上記実施形態では、緩衝部材5でマウント本体A2と押さえ金具B2の両方を取り囲むようにしたが、マウント本体A2だけを取り囲むようにしてもよい。この場合、押さえ金具B2はたとえばベランダ取付金具B1と一体で収納することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 アンテナ梱包装置
2 外装箱
2a底面
3 仕切り部材
3a底面
4 箱形部材
4a天板
4b開口部
4c差込孔
4d引き出し口
4e嵌合口
4f折り返し片
4g嵌合溝
4h開口
5 緩衝部材
5a緩衝部材5の両端部
5b中央端面
5c折り曲げ部
5d差込片
5e切り込み
5f半円形溝
6 抜け止め部材
21 蓋
22〜25 点線(折り曲げ線)
26 のりしろ
27 蓋
36 側辺
36a長円形状開口
37 先端側側辺
38 折り曲げ線
39 点線(折り曲げ線)
41〜45 側辺
46・47 点線(折り曲げ線)
48 折り返し線
41 側辺
43 点線(折り曲げ線)
44 折り曲げ線
4b〜4e嵌合溝
A パラボラアンテナ
A1リフレクタ
A2マウント本体
A3ポール押さえ金具
A4コンバータアーム
A5コンバータ
B1ベランダ取付金具
B2押さえ金具
B3ポール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のパラボラアンテナを梱包するアンテナ梱包装置であって、
一端面が全面的に開放可能な立方体状または直方体状の外装箱と、前記外装箱内に前記一端開放面側へ引き出し可能に挿入され、前記パラボラアンテナの梱包台数と対応する段数に前記外装箱内を上下方向で仕切る複数の仕切り部材と、前記各仕切り部材上に載置される前記パラボラアンテナのリフレクタを包み込むように周囲の側辺を四角形状の天板に対し下向きに垂直に折り曲げた方形の箱形部材とを備え、
前記箱形部材の天板のほぼ中央部には前記パラボラアンテナのマウント本体を嵌め込み可能な開口部を設けるとともに、前記天板上にコンバータを先端に支持するコンバータアームを固定するための嵌合溝を有する折り返し片を、前記天板に設けたことを特徴とするアンテナ梱包装置。
【請求項2】
前記箱形部材の天板に前記コンバータを嵌め込み可能な嵌合口を設けることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ梱包装置。
【請求項3】
前記パラボラアンテナと対をなすベランダ取付金具を梱包するとともに、前記天板の開口部から上方に突出させたマウント本体が下方へ抜け出すのを防止する横断面凹状の抜け止め部材を、前記マウント本体と前記リフレクタとの隙間に挿入することを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ梱包装置。
【請求項4】
前記マウント本体を取り囲み可能で下向けに突出する差込片を有する略方形状の枠体からなる緩衝部材を設け、前記緩衝部材の差込片を差込可能な差込孔を前記天板に設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ梱包装置。
【請求項5】
前記外装箱、前記仕切り部材、前記抜け止め部材および前記緩衝部材を、それぞれ一枚の段ボール紙から形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ梱包装置。
【請求項6】
前記各仕切り部材は前後方向の両端を開放し、両側には底面に対し連続して側辺をそれぞれL状またはコの字状に折り曲げ可能に設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46409(P2011−46409A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195991(P2009−195991)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】