説明

アンテナ自動調整方法

【課題】設置箇所が金属又は非金属であっても、効率良く誘導起電力を供給できる共振周波数へ自動的に調整するアンテナ自動調整方法を提供する。
【解決手段】自動調整機能付きループアンテナ30は、リーダライタからの変調信号をループアンテナ部350から電磁界で出力するとともに、このときの磁界から得られる誘導起電力を無共振ループアンテナ部374で取得し、取得した誘導起電力に基づいて、その通信環境で最適となるように切替制御部375で共振回路部330内の共振素子の組み合わせを切り替えるようフィードバック制御することを特徴としている。これにより、自動調整機能付きループアンテナ30は、RFIDシステムの通信環境において最適な共振周波数で磁界を発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ自動調整方法に係り、特に、RFID(Radio Frequency Identification)のアンテナ特性を自動的に調整するアンテナ自動調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDは、ICチップが内蔵されたRFタグとRFタグ上の情報を読み書きするリーダライタとの間の無線通信による識別技術である。RFIDは、リーダライタの内蔵する一つのループアンテナで複数のRFタグを一括読み取り可能であることや、RFタグ内のメモリを書換可能であることや、非金属であれば遮蔽物があっても透過して通信可能であることなど、耐環境性と優れた通信性能を有している。そのため、RFIDは、鉄道の自動改札や企業の出退勤管理、物流の在庫管理等に広く利用されている。
【0003】
ところで、リーダライタとRFタグとは、互いに効率よく交信ができるように予め所定の共振周波数に調整されていることが一般的である。このとき、交信を行うループアンテナの近傍に金属や誘電体があると、予め調整された共振周波数とは異なる共振周波数となり、交信に影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
そこで、特許文献1の技術では、RFタグ内のアンテナ共振回路で受信した電磁波を整流し整流された電圧を検出する受信レベル検出回路を備えており、取得した受信電圧に応じてアンテナ共振回路内の共振調整回路を制御することで、RFタグの共振周波数を変えて受信エラーを起こさないようにしている。この共振調整回路は、二個のコンデンサがスイッチにより接続の切替が制御可能に構成されており、受信電圧に応じてコンデンサ容量を増減させて共振周波数を変えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−334310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術は、RFタグが、リーダライタから発生する磁界から効率良く誘導起電力を得るために自身の共振周波数を調整するものであり、通信対象の相手にどのように効率良く誘導起電力を供給するかについて考慮されていない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、設置箇所が金属又は非金属であっても、効率良く交信を行える共振周波数へ自動的に調整するアンテナ自動調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアンテナ自動調整方法は、磁界を発生させるアンテナの共振周波数を所望の共振周波数となるように調整するアンテナ自動調整方法であって、前記磁界の範囲に設けられ共振回路を備えず前記アンテナとの結合が低くなるよう設定された無共振ループアンテナによって前記アンテナから得た誘導起電力の振幅を測定し、測定した前記誘導起電力の振幅が最大となるように前記アンテナの共振周波数を制御することを特徴とする。
本発明のアンテナ自動調整方法は、更に、所定の共振素子の組み合わせによって所望の共振周波数でアンテナから磁界を発生させるアンテナ自動調整方法であって、前記磁界の範囲に設けられ共振回路を備えず前記アンテナとの結合が低くなるよう設定された無共振ループアンテナによって前記アンテナから得た誘導起電力の振幅を測定し、測定した前記誘導起電力の振幅が最大となるように前記共振素子の前記組み合わせを変えて前記共振周波数を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
設置箇所が金属又は非金属であっても、効率良く交信を行える共振周波数へ自動的に調整するアンテナ自動調整方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係るRFIDシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る自動調整部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る切替制御部と共振回路部との接続関係を示す簡易図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る自動調整の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態2に係る自動調整の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本実施形態のRFIDシステムは、自動調整機能付きループアンテナを接続したリーダライタが、制御PCによる制御に従ってRFタグとの間でデータの送受信を行うものであり、自動調整機能付きループアンテナを備えていることに特徴がある。この自動調整機能付きループアンテナは、ループアンテナから発生する磁界から得られる誘導起電力を測定するための無共振ループアンテナと、ループアンテナに接続されている共振素子の組み合わせを切り替える切替制御手段とを有している。自動調整機能付きループアンテナは、リーダライタからの変調信号をループアンテナから電磁界で出力するとともに、このときの磁界から得られる誘導起電力を無共振ループアンテナで取得し、取得した誘導起電力に基づいて、その通信環境で最適となるように共振回路の共振素子の組み合わせを切り替えるようフィードバック制御することを特徴としている。これにより、自動調整機能付きループアンテナは、RFIDシステムの通信環境において最適な共振周波数でリーダライタから磁界を発生させることができる。以下、図を参照して本実施形態を詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施形態のRFIDシステムの全体構成について図1を参照しながら説明する。
本実施形態のRFIDシステムは、RFタグ40と、自動調整機能付きループアンテナ30を介してRFタグ40の情報を読み書きするリーダライタ20と、リーダライタ20を制御するとともにリーダライタ20が読み取った情報を処理する制御PC10とで構成される。
【0013】
RFタグ40は、ICタグやデータキャリヤ、トランスポンダ等と呼ばれ、不図示のループアンテナとICチップとを内蔵している。RFタグ40は、リーダライタ20に接続された自動調整機能付きループアンテナ30から出力される変調された磁界から起電力を得てICチップを駆動し、内蔵しているループアンテナでICチップ内のメモリ情報に基づく所定の応答データを電磁界により、自動調整機能付きループアンテナ30を介してリーダライタ20に出力する。
【0014】
リーダライタ20は、RFタグ40を駆動する電力とRFタグ40に対する質問データとを常時又は間欠に自動調整機能付きループアンテナ30を介して電磁界で出力する。リーダライタ20は、その磁界から起電力を得られる1つ又は複数のRFタグ40から応答データを受信して、RFタグ40から得た情報を制御PC10に送信する。また、リーダライタ20は、RFタグ40の情報を書き換えることもできる。
【0015】
制御PC10は、パーソナルコンピュータやサーバなどであり、リーダライタ20を制御する制御信号をリーダライタ20に送信するとともに、リーダライタ20から受信したRFタグ40の情報の処理を行う。なお、リーダライタ20は、制御PC10による制御ではなく、リーダライタ20自身によって直接制御可能としてもよい。
【0016】
自動調整機能付きループアンテナ30は、通信環境において最適な共振周波数となるように自動調整しながらRFタグ40と交信する。具体的には、自動調整機能付きループアンテナ30は、入出力端子部310とループアンテナ部350と共振回路部330と自動調整部370とを備えている。
【0017】
入出力端子部310は、リーダライタ20と自動調整機能付きループアンテナ30とを高周波ケーブルや制御ケーブル等を介して接続する外部インターフェイスであり、RF信号と制御信号との入出力を行う。このとき、RF信号及び制御信号は、それぞれ入出力端子部310内の異なる端子から入出力されてもよいし、同じ端子から入出力されてもよい。入出力端子部310は、リーダライタ20と共振回路部330との間でRF信号の入出力を行い、リーダライタ20と自動調整部370との間で制御信号の入出力を行う。
【0018】
共振回路部330は、コンデンサなどの共振素子を複数有しており、ループアンテナ部350に接続されている。また、各共振素子は、後述する切替制御部375のスイッチ素子にそれぞれ接続されている。共振回路部330は、切替制御される共振素子とループアンテナ部350とによって所望の共振周波数となるように制御される。なお、共振回路部330内のすべての共振素子が切替制御部375のスイッチ素子によって切替制御可能としてもよいし、その一部を切替制御可能としてもよい。本実施形態では、その一部を切替制御可能とし、共振回路部330内に切替制御部375によって切替制御されない共振素子があるものとして説明する。
【0019】
ループアンテナ部350は、共振回路部330に接続されており、共振回路部330を介して入力されるRF信号に応じた電磁界を発生する。ループアンテナ部350は、共振回路部330内の共振素子の接続によって所望の共振周波数に調整されるので、ループアンテナ部350のサイズや形状を自由にできる。
【0020】
自動調整部370は、リーダライタ20からの制御信号に従って又は自動調整部370に設けられたスイッチ等による直接制御によって、ループアンテナ部350から発生する磁界から得られる誘導起電力を測定し、通信環境で最適な誘導起電力となるように共振回路部330内の共振素子を切替制御する。以下、図2を参照して、自動調整部370の構成を詳細に説明する。
【0021】
自動調整部370は、MPU(Micro Processing Unit)372とメモリ371とAD変換部373と無共振ループアンテナ部374と切替制御部375とを備えている。
【0022】
まず、図3を参照して、この切替制御部375と前述の共振回路部330との接続関係について説明する。切替制御部375は、複数のスイッチ素子3750で構成されており、各スイッチ素子3750は、共振回路部330の共振素子3300に接続されている。切替制御部375は、MPU372から出力される制御信号に基づいてスイッチ素子3750の切替制御を行い、各スイッチ素子3750に接続されている共振素子3300の組み合わせを切り替える。このとき切替制御部375は、スイッチ素子3750に接続される共振素子3300の数を増減させたり、定数の異なる共振素子3300の組み合わせとなったりするようスイッチ素子3750を組み合わせる。これにより、切替制御部375は、スイッチ素子3750の切替制御によって変化する共振素子3300の組み合わせによって共振回路部330のインピーダンスを変化させられるので、共振回路部330の共振周波数を自在に調整できる。なお、スイッチ素子3750の代わりにダイオード等を用いてもよい。
【0023】
図2に戻り、無共振ループアンテナ部374は、ループアンテナ部350から発生する磁界の範囲内に設置されており、その磁界から得た誘導起電力をAD変換部373に出力する。つまり、無共振ループアンテナ部374は、ループアンテナ部350の磁界モニタ用のアンテナとして機能している。無共振ループアンテナ部374は、ループアンテナ部350のアンテナ特性に影響を与えないように、共振回路を有しておらず、ループアンテナ部350との結合が低くなるように設定されている。無共振ループアンテナ部374は、自動調整部370などのプリント基板のパターンを用いて作成してもよいし、ケーブルを用いて作成してもよい。
【0024】
また、無共振ループアンテナ部374は、ループアンテナ部350の共振周波数に対してアンテナ周囲長が0.2λ以下となっている。例えば、ループアンテナ部350が、13.56MHzであるなら、無共振ループアンテナ部374はその周囲長が4.4m(短縮率含まず)以下となる。ただし、本実施形態では、磁界モニタ用のアンテナとして無共振ループアンテナ部374を使用しているため、4.4mでは邪魔になる場合もあり、実際はもっと小さい周囲長にして用いるとよい。
【0025】
AD変換部373は、無共振ループアンテナ部374から出力される誘導起電力の振幅をデジタル変換してMPU372に出力する。なお、AD変換部373は、MPU372に内蔵されていてもよい。
【0026】
MPU372は、所定のプログラムが記憶された不図示の記憶部とその記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することで本実施形態の各種動作を実現する不図示の情報処理部とを備えている。MPU372は、AD変換部373から出力される誘導起電力の振幅とそのときのスイッチ素子3750の組み合わせとを関連付けて測定結果としてメモリ371に記憶させる。
【0027】
次に、図4を参照して、具体的に自動調整機能付きループアンテナ30による自動調整のフローを説明する。なお、予めメモリ371には、切替制御部375内のスイッチ素子3750の全組み合わせが記憶されている。このスイッチ素子3750の全組み合わせを実行することで、共振回路部330内の切り替え制御可能な共振素子3300の全組み合わせによりそれぞれ異なる共振周波数の磁界がループアンテナ部350から発生する。
【0028】
まず、ステップA10で、自動調整部370は、所定の共振素子3300の組み合わせとなるように、切替制御部375のスイッチ素子3750を切り替える。これによって、ループアンテナ部350からは、この共振素子3300の組み合わせによる共振周波数の磁界が発生する。次にステップA20で、自動調整部370は、ループアンテナ部350から発生する磁界によって無共振ループアンテナ部374に供給される誘導起電力の振幅をAD変換部373でAD変換して測定する。ステップA30で、自動調整部370は、測定した誘導起電力の振幅と、このときのスイッチ素子3750の組み合わせとを関連付けて測定結果としてメモリ371に記憶する。
【0029】
ステップA40で、自動調整部370は、切替制御部375のスイッチ素子3750の切り替えについて全組み合わせが終了したかどうかを判断する。ステップA40で、自動調整部370は、スイッチ素子3750の全組み合わせの切り替えが未終了であると判断すると、ステップA10に戻り、未組み合わせのスイッチ素子3750の組み合わせにスイッチ素子3750を切り替える。
【0030】
一方、自動調整部370は、ステップA40で、スイッチ素子3750の全組み合わせの切り替えが終了したと判断すると、ステップA50に進み、ステップA30で、メモリ371に記憶された測定結果の中から誘導起電力の振幅が最大であるスイッチ素子3750の組み合わせを検索する。誘導起電力の振幅が最大であるということは、RFタグ40が十分に大きい誘導起電力を得られるということであるので、そのインピーダンスによれば使用環境上で安定した通信を行えるからである。
【0031】
ステップA60で、自動調整部370は、検索した誘導起電力の振幅が最大となるスイッチ素子3750の組み合わせに変更し、本処理を終える。
【0032】
このように、本実施形態によれば、設置箇所の金属の有無等、使用環境の変化で共振周波数が影響を受けた場合に、RFタグ40との通信に適した共振周波数へ自動で調整できる。また、リーダライタ20のループアンテナ部350にRFタグ40を近接させることにより、RFタグ40内のループアンテナがループアンテナ部350の共振周波数に影響を与える場合にも、RFタグ40に安定した誘導起電力を供給できる共振周波数へ自動で調整できる。
【0033】
なお、一度使用環境に適した共振周波数へ調整した後は、全ての組み合わせを検証するのではなく、誘導起電力の振幅が最大となるインピーダンスに近い値となるスイッチ素子3750の組み合わせをメモリ371に記憶された中からいくつか選択し、その中から現在の通信環境で最も誘導起電力の振幅が大きくなる組み合わせに切り替えるとよい。これにより、自動調整に掛かる時間を減らすことができる。また、この選択機能の有無や切替数等は、ユーザによって設定可能とするとよい。
【0034】
また、ループアンテナ部350に供給されている電圧を直接検知し、その測定結果を用いて共振周波数を調整することも可能であるものの、この場合、検知した電圧が入射波のときに最大値とし、反射波のときに最小値とすればRFタグ40に最大電力を供給できるが、測定判断するための回路が複雑となってしまう。本実施形態によれば、ループアンテナ部350から発生した磁界に基づいて共振周波数の調整を行うので、無共振ループアンテナ部374で得られる誘導起電力の振幅が最大のときにRFタグ40への供給電力が最大となり、単純な構成で測定判断ができる。
【0035】
また、本実施形態では、リーダライタ20に自動調整機能付きループアンテナ30を接続する構成としたが、RFタグ40に接続する構成としてもよい。
【0036】
<実施形態2>
通常であれば、前述した誘導起電力の振幅が最大であるときのインピーダンスで安定した通信を行えるが、通信環境によっては誘導起電力の振幅が最大であるときに安定した通信を行えない場合がある。このような問題を解消するため、本実施形態では、通信環境で最も安定した通信を行えるスイッチ素子3750の組み合わせとするための処理を行う。本実施形態の処理は、ソフト処理であるため、装置の構成は実施形態1と同様であり、その説明を省略する。以下、新たに追加されたソフト処理についてのみ図5を参照して説明する。
【0037】
図5は、本実施形態の自動調整機能のフローチャートである。ステップA10〜ステップA50までの処理については、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
自動調整部370は、ステップA50でメモリ371に記憶済みの測定結果から誘導起電力の振幅が最大となるスイッチ素子3750の組み合わせを検索すると、ステップA51で、誘導起電力の振幅が最大となるスイッチ素子3750の組み合わせから補正を掛けた組み合わせへ変更する。この補正を掛けた組み合わせとは、通信環境で最も安定した通信を行えるスイッチ素子3750の組み合わせである。
【0039】
具体的には、事前にいろいろな読み取り環境のデータを取得して記憶し、その読み取り環境に合わせたスイッチ素子3750の組み合わせに変更することが考えられる。例えば、銅版○○cmの距離に設置している場合はスイッチ素子3750の組み合わせを誘導起電力が最大となる所定の組み合わせより△個多くONにする等である。また、スイッチ素子3750の各組み合わせの後のRFタグ40の読み取り結果を測定し、最も安定した通信を行っている組み合わせに変更してもよい。例えば、各組み合わせで例えば10回ずつ読み取りを行い、最もRFタグ40の読み取り枚数が多い組み合わせに変更する等である。
【0040】
この読み取り枚数が多い組み合わせに変更する補正について補足する。無共振ループアンテナ部374に発生する誘導起電力が最大になるときに、RFタグ40へ最も多くの誘導起電力が供給される。しかし、供給される誘導起電力が最大となる状態が、読み取り枚数が最大となる状態(安定した通信を行える状態に相当)と一致しない場合が存在する。そのため、誘導起電力が最大のときの組み合わせと、読み取り枚数が最大のときの組み合わせの差分(例えば、誘導起電力の差分)を取得しておき、自動調整時にはこれらの差分を考慮した組み合わせに補正する切替制御を行う。ここで、差分の取得をどのようなタイミングで行うかは様々であるが、例えば一定時間毎に各組み合わせで例えば10回ずつの読み取りを行って差分を取得し、取得した差分で次の自動調整時に補正処理を行う、といった方法が考えられる。
【0041】
そして、ステップA52で、自動調整部370は、このような処理による補正後のスイッチ素子3750の組み合わせとなるよう切替制御部375のスイッチ素子3750の組み合わせを切り替えて、自動調整フローを終了する。
【0042】
このように、本実施形態によれば、RFタグ40が最大供給電力を得ているにも係らず、複雑な通信環境のせいでリーダライタ20と交信を行えない場合であっても、事前調査された通信環境に合わせた共振周波数となるようスイッチ素子3750を切替制御したり、最も読み取り能力の高いスイッチ素子3750の組み合わせに切替制御したりするので、安定した通信が行える。
【0043】
以上、本実施形態を概説すると、本発明のアンテナ自動調整方法は、磁界を発生させるアンテナの共振周波数を所望の共振周波数となるように調整するアンテナ自動調整方法であって、前記磁界の範囲に設けられ共振回路を備えず前記アンテナとの結合が低くなるよう設定された無共振ループアンテナによって前記アンテナから得た誘導起電力の振幅を測定し、測定した前記誘導起電力の振幅が最大となるように前記アンテナの共振周波数を制御することを特徴とする。
また、本発明のアンテナ自動調整方法は、更に、所定の共振素子の組み合わせによって所望の共振周波数でアンテナから磁界を発生させるアンテナ自動調整方法であって、前記磁界の範囲に設けられ共振回路を備えず前記アンテナとの結合が低くなるよう設定された無共振ループアンテナによって前記アンテナから得た誘導起電力の振幅を測定し、測定した前記誘導起電力の振幅が最大となるように前記共振素子の前記組み合わせを変えて前記共振周波数を制御することを特徴とする。
また、予め記憶された通信環境のデータに合わせて前記共振周波数を制御してもよい。
また、前記組み合わせで所定回数の交信を行い、最も交信能力の高い前記組み合わせによる前記共振周波数となるよう制御してもよい。
【0044】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
10・・・制御PC
20・・・リーダライタ
40・・・RFタグ
30・・・自動調整機能付きループアンテナ
310・・・入出力端子部
330・・・共振回路部
350・・・ループアンテナ部
370・・・自動調整部
371・・・メモリ
372・・・MPU
373・・・AD変換部
374・・・無共振ループアンテナ部
375・・・切替制御部
3300・・共振素子
3750・・スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生させるアンテナの共振周波数を所望の共振周波数となるように調整するアンテナ自動調整方法であって、
前記磁界の範囲に設けられ共振回路を備えず前記アンテナとの結合が低くなるよう設定された無共振ループアンテナによって前記アンテナから得た誘導起電力の振幅を測定し、
測定した前記誘導起電力の振幅が最大となるように前記アンテナの共振周波数を制御する
ことを特徴とするアンテナ自動調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−77976(P2011−77976A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229327(P2009−229327)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】