アンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋
【課題】竪樋への取付け部分が露出しないように取付けることができるアンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋を提供する。
【解決手段】竪樋1の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板2と、このアンテナ板2の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部3とを備えた。
【解決手段】竪樋1の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板2と、このアンテナ板2の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部3とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、この既存の導電性を有する竪樋の外面にアンテナ部と伝送路トラップ部を取付ける技術が開示されている。
【0003】
このアンテナ部は、半円筒状の折り返し部の側方に半円筒状の給電部を設けたアンテナ素体を2枚組み合わせて構成される。
【0004】
また、伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋にアンテナ部を取付けるに当り、導電性を有する竪樋がアンテナ部の動作を乱さないように設けられる。この伝送路トラップ部は、半割り体を2枚組み合わせた二重筒構造に構成される。
【0005】
アンテナ部は、既存の導電性を有する竪樋の長手方向の中間部の外面側に、2枚のアンテナ素体の折り返し部が配置され、アンテナ素体の左右両側に外方に突出した鍔同士がねじにより固定されることで2枚のアンテナ素体が連結されて既存の竪樋に取付けられる。
【0006】
伝送路トラップ部は、アンテナ部の上下位置に、それぞれ2枚の半割り体が配置され、半割り体の上下に突出した接合片同士がねじにより固定されることで2枚の半割り体が連結されて竪樋に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に示す従来例は、アンテナ部を竪樋に取付ける部分、つまりアンテナ素体の両側に外方に突出した鍔同士をねじで固定する部分が竪樋の正面側に露出し、しかも、左右両側に突出する。
【0009】
また、伝送路トラップ部を竪樋に取付ける部分、つまり半割り体の上下に突出した接合片同士をねじで固定する部分が竪樋の正面側に露出する。
【0010】
このように、鍔同士をねじにより固定する部分、接合片同士をねじにより固定する部分が竪樋の正面側に露出するので、外観が悪い。
【0011】
特に、鍔同士をねじにより固定する部分が左右両側に突出して露出するので、人や物が引っ掛かりやすいという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、竪樋への取付け部分が露出しないように取付けることができるアンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のアンテナ装置は、竪樋の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板と、このアンテナ板の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられるものであることが好ましい。
【0015】
また、アンテナ装置付き竪樋は、前記請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置を取付けたアンテナ装置付き竪樋であって、竪樋の外周に、アンテナ板の裏面に突出した竪樋取付け部を取付けて前記アンテナ板で前記竪樋の外周面の周方向の一部が覆われることを特徴とする。
【0016】
また、前記竪樋が竪樋取付け具により外壁に取付けられ、この竪樋取付け具が前記竪樋の外周部を支持する竪樋支持部と、前記外壁に固定するための外壁固定部と、前記竪樋支持部と前記外壁固定部とを連結する連結部とを備え、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられ、前記断面円弧状のアンテナ板の左右両端縁間に前記竪樋取付け具が位置する状態で、前記アンテナ板の前記竪樋取付け部の竪樋に対する所定角度の回動を許容するように前記アンテナ板の左右両端間の隙間寸法が設定されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、アンテナ板の裏面に竪樋取付け部が突出しているので、竪樋取付け部を竪樋に取付けた状態で竪樋取付け部がアンテナ板に隠れ、竪樋の正面側に露出せず、外観を損ね難く、また、竪樋取付け部に人や物が引っ掛かったりし難い。また、竪樋取付け部が非導電性なので、アンテナ板の裏面に竪樋取付け部を突出したといえども、竪樋取付け部がアンテナ板のアンテナ性能に影響を及ぼし難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のアンテナ装置を示し、(a)は正面側からの斜視図であり、(b)は背面側からの斜視図であり、(c)は横断面図である。
【図2】同上のアンテナ装置を竪樋に取付ける前の分解斜視図である。
【図3】同上のアンテナ装置を竪樋に取付けた状態の縦断面図である。
【図4】同上の横断面図である。
【図5】(a)は同上のアンテナ板の左端が竪樋取付け具の連結部に当たる状態を示す断面図であり、(b)はアンテナ板の右端が竪樋取付け具の連結部に当たる状態を示す断面図である。
【図6】本発明のアンテナ装置の他の実施形態の分解斜視図である。
【図7】同上の一部破断した拡大縦断面図である。
【図8】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の分解斜視図である。
【図9】同上の一部破断した拡大縦断面図である。
【図10】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の一部破断した拡大縦断面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の分解斜視図である。
【図12】同上の竪樋取付け部を本体部の裏面に取付ける部分を示す拡大縦断面図である。
【図13】同上の竪樋取付け部を本体部の裏面に取付ける他の実施形態の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1にはアンテナ装置4の一実施形態が示されている。アンテナ装置4は、アンテナ板2と、アンテナ板2の裏面に突出した竪樋取付け部3を備えている。
【0021】
アンテナ板2は、竪樋1の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲した本体部10と、本体部10に備えたテレビ信号を受信するためのアンテナ部11を備えている。
【0022】
本体部10は、円筒状の竪樋1の外周面の一部を覆うことができるように断面略円弧状に形成されている。アンテナ板2が角筒状の竪樋1の外周面の周方向の一部を覆う例の場合、本体部10は断面略コ字状に形成される。
【0023】
実施形態において本体部10は非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成される。
【0024】
アンテナ部11は、本体部10に埋設又は積層される。図1の実施形態ではアンテナ部11が合成樹脂よりなる本体部10に一体に埋設してある例が示されている。
【0025】
図1に示す実施形態のアンテナ部11はスロットアンテナの例が示されており、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13を設けることで形成される。
【0026】
また、図1の実施形態では、金属板材12のスロット13が上下方向に複数並べて設けられており、隣接するスロット13同士は細溝14で接続されている。各スロット13は三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。
【0027】
アンテナ部11は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部15と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部16を有している。
【0028】
第一の受信部15は、スロット13及び当該スロット13の周縁部により構成される。第二の受信部16は、このスロット13に対し上下方向に隣接する金属板材12部分により構成される。
【0029】
第一の受信部15を構成するスロット13の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに対応して決定される。また、第二の受信部16の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに対応して決定される。
【0030】
金属板材12のスロット13の両側の三角形の頂点部分がそれぞれ給電部17となっている。この給電部17には給電ケーブル(図示せず)が接続される。
【0031】
本体部10の裏面に突設された竪樋取付け部3は、合成樹脂のような非導電性の材料で形成されている。
【0032】
竪樋取付け部3は一部又は全部が本体部10と一体に成形されたものでもよく、あるいは、竪樋取付け部3は本体部10と別体に形成され、接着、ねじのような固定具、係止による固定等の任意の固定手段で本体部10の裏面に固着されたものでもよい。
【0033】
竪樋取付け部3は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成される。また、この竪樋取付け部3は、一対の半体18の一端部同士を軸受部19で回動可能に連結して構成され、一対の半体18の他端部の係止部20と被係止部21が係止自在となっている。なお、図1(c)の実施形態では略半円状の半体18の例が示されている。
【0034】
上記の構成のアンテナ装置4は、図2のように建物の外壁5に取付けられた竪樋1に取付けられる。
【0035】
竪樋1は、断面円筒状又は断面角筒状をしており、竪樋取付け具6により外壁5に取付けられる。
【0036】
竪樋取付け具6は、図3に示されるように、竪樋1の外周部を支持する竪樋支持部7と、外壁5に固定するための外壁固定部8と、竪樋支持部7と外壁固定部8とを連結する連結部9とを備えている。
【0037】
竪樋支持部7は、一対の竪樋支持半体22の一端部同士を軸受部で回動可能に連結して構成され、一対の竪樋支持半体22の他端部の係止部と被係止部が係止自在となっている。
【0038】
竪樋取付け具6は、外壁固定部8が外壁5に固定され、一対の竪樋支持半体22で竪樋1の外周を囲んだ状態で係止部と被係止部を係止することで、竪樋1を支持する。
【0039】
竪樋取付け具6は通常外壁5に上下方向に1mピッチで固定される。また、強風地域では竪樋取付け具6は外壁5に上下方向に85cmピッチで固定される。
【0040】
アンテナ板2は上記のように外壁5に取付けられた竪樋1に後付けで取付けられる。この場合、竪樋1としては、新築あるいは改築により新しく施工された竪樋1であってもよく、あるいは、新築又は改築から時間が経過した既設のもののいずれであってもよい。
【0041】
アンテナ板2の取付けに当たっては、一対の半体18で竪樋1の上下方向の任意の位置の外周を囲んだ状態で係止部20と被係止部21を係止することで、図4のように一対の半体18で竪樋1の外周を強く締め付けてアンテナ板2が竪樋1に取付けられる。
【0042】
このように本体部10の裏面に突出した竪樋取付け部3を竪樋1に取付けてアンテナ板2を竪樋1に取付けるので、竪樋取付け部3が本体部10で隠されて竪樋1の正面側に露出せず、外観を損ね難い。また、竪樋取付け部3がアンテナ板2の左側又は右側に突出しないので、竪樋取付け部3に人や物が引っ掛かり難い。
【0043】
また、竪樋取付け部3が非導電性なので、アンテナ板2の裏面に竪樋取付け部3を突出したといえども、竪樋取付け部3がアンテナ板2のアンテナ性能に影響を及ぼし難い。
【0044】
ここで、竪樋1が円筒状の場合、竪樋取付け部3は竪樋1の外周に周方向に回動可能に取付けられ、竪樋取付け部3を竪樋1の周方向に回動することで、アンテナ板2の向きが可変可能となり、アンテナ板2の受信方向が調整できる。
【0045】
アンテナ板2の向きを調整する場合、係止部20と被係止部21の係止を解除した状態で竪樋取付け部3を回動し、受信方向の調整が済んだ後に係止部20と被係止部21を係止して一対の半体18で竪樋1の外周を強く締め付ける。
【0046】
これによりアンテナ板2は、竪樋1の上下方向の任意の位置で且つ現場に応じた最良の受信方向を向いた状態で取付けられ易く、また、強く締め付けて取付けられるため、最良の受信方向を向いた状態が維持され易く、且つ、下方へのずれが抑制される。
【0047】
上記のようにアンテナ板2は竪樋1の上下方向の任意の位置に取付けられるが、更に、図3のように上の竪樋取付け部3の下端が竪樋取付け具6の竪樋支持部7の上端に当たるように取付けられ、また、下の竪樋取付け部3の上端が別の竪樋取付け具6の竪樋支持部7の下端に当たるように取付けられるのが好ましい。
【0048】
この場合、断面円弧のアンテナ板2の左右両端縁間の隙間に竪樋取付け具6の連結部6が位置し、竪樋取付け具6に邪魔されることなく断面円弧状のアンテナ板2が取付けられる。
【0049】
本例では上の竪樋取付け部3の下端が竪樋支持部7の上端に当たるため、より確実に上の竪樋取付け部3の下方へのずれが防止され、アンテナ板2が下方にずれ下がり難い。また、下の竪樋取付け部3の上端が別の竪樋取付け具6の竪樋支持部7の下端に当たるため、強風などで下の竪樋取付け部3の上方へのずれが防止され、アンテナ板2が上方にずれ難い。
【0050】
このようにアンテナ板2を取付けるには、図1に示す上下の竪樋取付け部3間の長さ寸法Mが上下の竪樋取付け具6の固定のピッチに対応した長さに設定される。
【0051】
つまり、通常地域では竪樋取付け具6の固定のピッチが1mであり、また、強風地域では竪樋取付け具6の固定のピッチが85cmなので、寸法Mは施工地域に対応して決定される。
【0052】
図1、図3は上下の竪樋取付け部3間の長さ寸法Mが、竪樋取付け具6の固定のピッチが1mの通常地域に対応する長さに設定された例、図11は竪樋取付け具6の固定のピッチが85cmの強風地域に対応する長さに設定された例である。
【0053】
そして、上下の竪樋取付け部3がそれぞれ対応する竪樋支持部7に当たって上下にずれないように取付けても、上下の竪樋取付け部3は竪樋1の周方向に所定角度の回動が可能でアンテナ板2の向きが可変可能とされている。
【0054】
このため、断面円弧状のアンテナ板2の左右両端縁間の隙間寸法は、アンテナ板2の左右両端縁間の隙間に竪樋取付け具6が位置する状態で、竪樋取付け部3の竪樋1に対する回動に基づく所定角度の回動を許容するような隙間寸法に設定されている。
【0055】
上記所定角度の回動とは、図5(a)に示すアンテナ板2の左端が竪樋取付け具6の連結部9に当る状態から、図5(b)に示すアンテナ板2の右端が竪樋取付け具6の連結部9に当る状態までの回動角度のことである。
【0056】
回動角度の一例を示すと左右方向に±45°であり、この例の場合、断面円弧状のアンテナ板2の左右両端縁間の開き角度が90°である。もちろんアンテナ板2の左右両端縁間の開き角度は90°のみに限定されない。
【0057】
上記例の竪樋取付け部3は、一端部同士が軸受部19で回動可能に連結された一対の半体18の他端部に係止部20と被係止部21備えた構成の例であるが、竪樋取付け部3はこの例にのみ限定されない。
【0058】
例えば図示を省略しているが、竪樋取付け部3は、一端部同士が軸受部19で回動可能に連結された一対の半体18の他端部にそれぞれ連結片を設け、連結片同士をねじで締め付ける構成でもよい。
【0059】
また、図示を省略しているが、一対の半体18の両端部にそれぞれ連結片を設け、両側の連結片同士をねじで締め付ける構成でもよい。
【0060】
これらのねじによる締め付けの例においては、竪樋1に一対の半体18を強く締め付けることが可能となり、受信方向の調整後にねじを強く締め付けることで最良の受信方向を向いた状態がより確実に維持され、且つ、より確実に下方へのずれが抑制される。
【0061】
図1の実施形態では、アンテナ部11が本体部10に一体に埋設してある例が示されている。
【0062】
また、図7の実施形態では、本体部10が表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成された例が示されている。
【0063】
本例において表面側カバー26は、電気絶縁性の合成樹脂のような電気絶縁材料で断面円弧状に形成され、外周縁部に背方に向けて壁部28が突設され、さらに複数の係止爪29が突設されている。
【0064】
裏面側カバー27は、電気絶縁性の合成樹脂のような電気絶縁材料で断面円弧状に形成され、且つ、表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分にぴったりと嵌り込む大きさに形成されており、更に、複数の係止孔30が形成されている。
【0065】
アンテナ部11は、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13を設けることで形成されている。
【0066】
アンテナ部11は表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分に配置される。更に、裏面側カバー27はアンテナ部11を介して表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分に配置され、係止爪29が係止孔30に係止されることで、表面側カバー26と裏面側カバー27が連結される。
【0067】
これによりアンテナ部11は本体部10を構成する表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置されることになる。
【0068】
なお、アンテナ部11としては、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13が形成されたものを単独で使用できる。
【0069】
また、アンテナ部11としては、スロット13が形成された金属板材12が非導電性の合成樹脂シート34で覆われたものでもよい。合成樹脂シート34で覆われたものは、金属板材12の錆の発生が抑制される。
【0070】
また、図7のように、表面側カバー26又は裏面側カバー27には通気孔31が形成してあることが好ましい。このように、通気孔31を形成すると、表面側カバー26の壁部28に囲まれた部分にアンテナ部11を介して裏面側カバー27を重ねて上記のように連結する際、重複部分の空気を通気孔31から出すことができ、組立てが容易にできる。
【0071】
図8、図9には、表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成される本体部10の他例が示されている。
【0072】
本例では、表面側カバー26の裏面にアンテナ部11を介して裏面側カバー27が配置され、表面側カバー26と裏面側カバー27がねじ32で連結されることでアンテナ部11が表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置される。
【0073】
ここで、アンテナ部11としては、図8のように金属板材12を非導電性の合成樹脂シート34で覆われたものが使用され、合成樹脂シート34の端部の金属板材12に重ならない部分に孔35があけられている。また、表面側カバー26の裏面にはボス36が形成されている。
【0074】
そして、アンテナ部11は、表面側カバー26の裏面に配置されて孔35がボス36に嵌められる。この状態で表面側カバー26の裏面に裏面側カバー27が配置され、裏面側カバー27の孔37からねじ32が挿入されてボス36にねじ込まれ、これによりアンテナ部11が表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置される。
【0075】
図10には、表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成される本体部10の更に他例が示されている。
【0076】
本例では、表面側カバー26の裏面に、表面側に押え用突起39を突設した裏面側カバー27が弾性連結部38を介して連結されている。裏面側カバー27の表面側に突設した押え用突起39は弾性連結部38の弾性力で表面側カバー26の裏面に弾接される。
【0077】
そして、アンテナ部11は、表面側カバー26と裏面側カバー27との間に介在され、押え用突起39により表面側カバー26の裏面に押付けられる。
【0078】
ここで、アンテナ部11を表面側カバー26と裏面側カバー27との間に介在するには、裏面側カバー27を弾性連結部38の弾性力に抗して開き、表面側カバー26の裏面にアンテナ部11を重ね、この状態で裏面側カバー27を元に戻すことにより行われる。
【0079】
前記各例のように、本体部10が、表面側カバー26とこれとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成されるものにおいては、本体部10内にアンテナ部11を簡単に配置できて、ユニット化されたアンテナ板2が容易に形成される。
【0080】
もちろん、表面側カバー26と裏面側カバー27とを組合わせ結合して本体部10を形成するのは上記例にのみ限定されず、他の組合わせ結合の構成が可能である。
【0081】
図11、図12には竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段の一例が示されている。
【0082】
本例においては、本体部10裏面に嵌込み溝部40が形成され、この嵌込み溝部40に竪樋取付け部3に設けられた嵌込み部41が嵌め込まれて取付けられる。
【0083】
嵌込み溝部40の内部の溝は、左右長さが上下巾と同じ又は上下巾より長く形成されており、嵌め込み溝部40の裏面には嵌込み溝部40内の溝に連通する開口部42が形成される。この開口部42の開口巾(上下巾)は嵌込み溝部40内の上下巾より巾狭に形成され、開口部42の左右長さは嵌込み溝部40内の上下巾と同じ又は上下巾より長く形成される。
【0084】
嵌込み部41は竪樋取付け部3からの突出基部43と突出基部43の先端に一体に形成された板状突部44とで構成される。板状突部44は上下方向に細長の長方形状に形成されている。長方形状の板状突部44は、長辺の長さが開口部42の左右巾より長く且つ嵌込み溝部40内の溝の上下巾と同じ又は短く形成され、短辺の長さが開口部42の上下巾より短く形成され、また、厚さが嵌込み部41内の溝の溝深さとほぼ同じに形成される。
【0085】
板状突部44は長辺が左右方向を向くような姿勢にして開口部42から嵌込み溝部40内に嵌込まれ、次に、長辺が上下方向を向くように回転することで嵌込み溝部40内に外れないように取付けられる。
【0086】
ここで、板状突部44は、一対の対角線上に位置するコーナ部を面取りして面取り部45が形成されており、板状突部44を開口部42内で上記のように回転する際、長辺が上下方向を向く操作がスムーズにでき、短辺を開口部42内の溝内の上下面に圧接することが可能となる。
【0087】
なお、本例においては、本体部10が一体形成されたもの、表面側カバー26と裏面側カバー27とを組み合わせ結合したもののいずれでもよく、後者の場合は裏面側カバー27に嵌込み溝部40が形成される。
【0088】
図13にはアンテナ板2の竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段の他例が示されている。
【0089】
本例においては、本体部10が表面側カバー26と裏面側カバー27とを組み合わせ結合することで構成され、竪樋取付け部3が裏面側カバー27にねじ32により固定される。
【0090】
もちろん、竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段は、上記の例にのみ限定されず、係止による固着を含む他の任意の種々の固着手段が採用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 竪樋
2 アンテナ板
3 竪樋取付け部
4 アンテナ装置
5 外壁
6 竪樋取付け具
7 竪樋支持部
8 外壁固定部
9 連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、この既存の導電性を有する竪樋の外面にアンテナ部と伝送路トラップ部を取付ける技術が開示されている。
【0003】
このアンテナ部は、半円筒状の折り返し部の側方に半円筒状の給電部を設けたアンテナ素体を2枚組み合わせて構成される。
【0004】
また、伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋にアンテナ部を取付けるに当り、導電性を有する竪樋がアンテナ部の動作を乱さないように設けられる。この伝送路トラップ部は、半割り体を2枚組み合わせた二重筒構造に構成される。
【0005】
アンテナ部は、既存の導電性を有する竪樋の長手方向の中間部の外面側に、2枚のアンテナ素体の折り返し部が配置され、アンテナ素体の左右両側に外方に突出した鍔同士がねじにより固定されることで2枚のアンテナ素体が連結されて既存の竪樋に取付けられる。
【0006】
伝送路トラップ部は、アンテナ部の上下位置に、それぞれ2枚の半割り体が配置され、半割り体の上下に突出した接合片同士がねじにより固定されることで2枚の半割り体が連結されて竪樋に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に示す従来例は、アンテナ部を竪樋に取付ける部分、つまりアンテナ素体の両側に外方に突出した鍔同士をねじで固定する部分が竪樋の正面側に露出し、しかも、左右両側に突出する。
【0009】
また、伝送路トラップ部を竪樋に取付ける部分、つまり半割り体の上下に突出した接合片同士をねじで固定する部分が竪樋の正面側に露出する。
【0010】
このように、鍔同士をねじにより固定する部分、接合片同士をねじにより固定する部分が竪樋の正面側に露出するので、外観が悪い。
【0011】
特に、鍔同士をねじにより固定する部分が左右両側に突出して露出するので、人や物が引っ掛かりやすいという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、竪樋への取付け部分が露出しないように取付けることができるアンテナ装置及びアンテナ装置付き竪樋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のアンテナ装置は、竪樋の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板と、このアンテナ板の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられるものであることが好ましい。
【0015】
また、アンテナ装置付き竪樋は、前記請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置を取付けたアンテナ装置付き竪樋であって、竪樋の外周に、アンテナ板の裏面に突出した竪樋取付け部を取付けて前記アンテナ板で前記竪樋の外周面の周方向の一部が覆われることを特徴とする。
【0016】
また、前記竪樋が竪樋取付け具により外壁に取付けられ、この竪樋取付け具が前記竪樋の外周部を支持する竪樋支持部と、前記外壁に固定するための外壁固定部と、前記竪樋支持部と前記外壁固定部とを連結する連結部とを備え、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられ、前記断面円弧状のアンテナ板の左右両端縁間に前記竪樋取付け具が位置する状態で、前記アンテナ板の前記竪樋取付け部の竪樋に対する所定角度の回動を許容するように前記アンテナ板の左右両端間の隙間寸法が設定されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、アンテナ板の裏面に竪樋取付け部が突出しているので、竪樋取付け部を竪樋に取付けた状態で竪樋取付け部がアンテナ板に隠れ、竪樋の正面側に露出せず、外観を損ね難く、また、竪樋取付け部に人や物が引っ掛かったりし難い。また、竪樋取付け部が非導電性なので、アンテナ板の裏面に竪樋取付け部を突出したといえども、竪樋取付け部がアンテナ板のアンテナ性能に影響を及ぼし難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のアンテナ装置を示し、(a)は正面側からの斜視図であり、(b)は背面側からの斜視図であり、(c)は横断面図である。
【図2】同上のアンテナ装置を竪樋に取付ける前の分解斜視図である。
【図3】同上のアンテナ装置を竪樋に取付けた状態の縦断面図である。
【図4】同上の横断面図である。
【図5】(a)は同上のアンテナ板の左端が竪樋取付け具の連結部に当たる状態を示す断面図であり、(b)はアンテナ板の右端が竪樋取付け具の連結部に当たる状態を示す断面図である。
【図6】本発明のアンテナ装置の他の実施形態の分解斜視図である。
【図7】同上の一部破断した拡大縦断面図である。
【図8】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の分解斜視図である。
【図9】同上の一部破断した拡大縦断面図である。
【図10】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の一部破断した拡大縦断面図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の更に他の実施形態の分解斜視図である。
【図12】同上の竪樋取付け部を本体部の裏面に取付ける部分を示す拡大縦断面図である。
【図13】同上の竪樋取付け部を本体部の裏面に取付ける他の実施形態の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1にはアンテナ装置4の一実施形態が示されている。アンテナ装置4は、アンテナ板2と、アンテナ板2の裏面に突出した竪樋取付け部3を備えている。
【0021】
アンテナ板2は、竪樋1の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲した本体部10と、本体部10に備えたテレビ信号を受信するためのアンテナ部11を備えている。
【0022】
本体部10は、円筒状の竪樋1の外周面の一部を覆うことができるように断面略円弧状に形成されている。アンテナ板2が角筒状の竪樋1の外周面の周方向の一部を覆う例の場合、本体部10は断面略コ字状に形成される。
【0023】
実施形態において本体部10は非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成される。
【0024】
アンテナ部11は、本体部10に埋設又は積層される。図1の実施形態ではアンテナ部11が合成樹脂よりなる本体部10に一体に埋設してある例が示されている。
【0025】
図1に示す実施形態のアンテナ部11はスロットアンテナの例が示されており、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13を設けることで形成される。
【0026】
また、図1の実施形態では、金属板材12のスロット13が上下方向に複数並べて設けられており、隣接するスロット13同士は細溝14で接続されている。各スロット13は三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。
【0027】
アンテナ部11は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部15と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部16を有している。
【0028】
第一の受信部15は、スロット13及び当該スロット13の周縁部により構成される。第二の受信部16は、このスロット13に対し上下方向に隣接する金属板材12部分により構成される。
【0029】
第一の受信部15を構成するスロット13の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに対応して決定される。また、第二の受信部16の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに対応して決定される。
【0030】
金属板材12のスロット13の両側の三角形の頂点部分がそれぞれ給電部17となっている。この給電部17には給電ケーブル(図示せず)が接続される。
【0031】
本体部10の裏面に突設された竪樋取付け部3は、合成樹脂のような非導電性の材料で形成されている。
【0032】
竪樋取付け部3は一部又は全部が本体部10と一体に成形されたものでもよく、あるいは、竪樋取付け部3は本体部10と別体に形成され、接着、ねじのような固定具、係止による固定等の任意の固定手段で本体部10の裏面に固着されたものでもよい。
【0033】
竪樋取付け部3は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成される。また、この竪樋取付け部3は、一対の半体18の一端部同士を軸受部19で回動可能に連結して構成され、一対の半体18の他端部の係止部20と被係止部21が係止自在となっている。なお、図1(c)の実施形態では略半円状の半体18の例が示されている。
【0034】
上記の構成のアンテナ装置4は、図2のように建物の外壁5に取付けられた竪樋1に取付けられる。
【0035】
竪樋1は、断面円筒状又は断面角筒状をしており、竪樋取付け具6により外壁5に取付けられる。
【0036】
竪樋取付け具6は、図3に示されるように、竪樋1の外周部を支持する竪樋支持部7と、外壁5に固定するための外壁固定部8と、竪樋支持部7と外壁固定部8とを連結する連結部9とを備えている。
【0037】
竪樋支持部7は、一対の竪樋支持半体22の一端部同士を軸受部で回動可能に連結して構成され、一対の竪樋支持半体22の他端部の係止部と被係止部が係止自在となっている。
【0038】
竪樋取付け具6は、外壁固定部8が外壁5に固定され、一対の竪樋支持半体22で竪樋1の外周を囲んだ状態で係止部と被係止部を係止することで、竪樋1を支持する。
【0039】
竪樋取付け具6は通常外壁5に上下方向に1mピッチで固定される。また、強風地域では竪樋取付け具6は外壁5に上下方向に85cmピッチで固定される。
【0040】
アンテナ板2は上記のように外壁5に取付けられた竪樋1に後付けで取付けられる。この場合、竪樋1としては、新築あるいは改築により新しく施工された竪樋1であってもよく、あるいは、新築又は改築から時間が経過した既設のもののいずれであってもよい。
【0041】
アンテナ板2の取付けに当たっては、一対の半体18で竪樋1の上下方向の任意の位置の外周を囲んだ状態で係止部20と被係止部21を係止することで、図4のように一対の半体18で竪樋1の外周を強く締め付けてアンテナ板2が竪樋1に取付けられる。
【0042】
このように本体部10の裏面に突出した竪樋取付け部3を竪樋1に取付けてアンテナ板2を竪樋1に取付けるので、竪樋取付け部3が本体部10で隠されて竪樋1の正面側に露出せず、外観を損ね難い。また、竪樋取付け部3がアンテナ板2の左側又は右側に突出しないので、竪樋取付け部3に人や物が引っ掛かり難い。
【0043】
また、竪樋取付け部3が非導電性なので、アンテナ板2の裏面に竪樋取付け部3を突出したといえども、竪樋取付け部3がアンテナ板2のアンテナ性能に影響を及ぼし難い。
【0044】
ここで、竪樋1が円筒状の場合、竪樋取付け部3は竪樋1の外周に周方向に回動可能に取付けられ、竪樋取付け部3を竪樋1の周方向に回動することで、アンテナ板2の向きが可変可能となり、アンテナ板2の受信方向が調整できる。
【0045】
アンテナ板2の向きを調整する場合、係止部20と被係止部21の係止を解除した状態で竪樋取付け部3を回動し、受信方向の調整が済んだ後に係止部20と被係止部21を係止して一対の半体18で竪樋1の外周を強く締め付ける。
【0046】
これによりアンテナ板2は、竪樋1の上下方向の任意の位置で且つ現場に応じた最良の受信方向を向いた状態で取付けられ易く、また、強く締め付けて取付けられるため、最良の受信方向を向いた状態が維持され易く、且つ、下方へのずれが抑制される。
【0047】
上記のようにアンテナ板2は竪樋1の上下方向の任意の位置に取付けられるが、更に、図3のように上の竪樋取付け部3の下端が竪樋取付け具6の竪樋支持部7の上端に当たるように取付けられ、また、下の竪樋取付け部3の上端が別の竪樋取付け具6の竪樋支持部7の下端に当たるように取付けられるのが好ましい。
【0048】
この場合、断面円弧のアンテナ板2の左右両端縁間の隙間に竪樋取付け具6の連結部6が位置し、竪樋取付け具6に邪魔されることなく断面円弧状のアンテナ板2が取付けられる。
【0049】
本例では上の竪樋取付け部3の下端が竪樋支持部7の上端に当たるため、より確実に上の竪樋取付け部3の下方へのずれが防止され、アンテナ板2が下方にずれ下がり難い。また、下の竪樋取付け部3の上端が別の竪樋取付け具6の竪樋支持部7の下端に当たるため、強風などで下の竪樋取付け部3の上方へのずれが防止され、アンテナ板2が上方にずれ難い。
【0050】
このようにアンテナ板2を取付けるには、図1に示す上下の竪樋取付け部3間の長さ寸法Mが上下の竪樋取付け具6の固定のピッチに対応した長さに設定される。
【0051】
つまり、通常地域では竪樋取付け具6の固定のピッチが1mであり、また、強風地域では竪樋取付け具6の固定のピッチが85cmなので、寸法Mは施工地域に対応して決定される。
【0052】
図1、図3は上下の竪樋取付け部3間の長さ寸法Mが、竪樋取付け具6の固定のピッチが1mの通常地域に対応する長さに設定された例、図11は竪樋取付け具6の固定のピッチが85cmの強風地域に対応する長さに設定された例である。
【0053】
そして、上下の竪樋取付け部3がそれぞれ対応する竪樋支持部7に当たって上下にずれないように取付けても、上下の竪樋取付け部3は竪樋1の周方向に所定角度の回動が可能でアンテナ板2の向きが可変可能とされている。
【0054】
このため、断面円弧状のアンテナ板2の左右両端縁間の隙間寸法は、アンテナ板2の左右両端縁間の隙間に竪樋取付け具6が位置する状態で、竪樋取付け部3の竪樋1に対する回動に基づく所定角度の回動を許容するような隙間寸法に設定されている。
【0055】
上記所定角度の回動とは、図5(a)に示すアンテナ板2の左端が竪樋取付け具6の連結部9に当る状態から、図5(b)に示すアンテナ板2の右端が竪樋取付け具6の連結部9に当る状態までの回動角度のことである。
【0056】
回動角度の一例を示すと左右方向に±45°であり、この例の場合、断面円弧状のアンテナ板2の左右両端縁間の開き角度が90°である。もちろんアンテナ板2の左右両端縁間の開き角度は90°のみに限定されない。
【0057】
上記例の竪樋取付け部3は、一端部同士が軸受部19で回動可能に連結された一対の半体18の他端部に係止部20と被係止部21備えた構成の例であるが、竪樋取付け部3はこの例にのみ限定されない。
【0058】
例えば図示を省略しているが、竪樋取付け部3は、一端部同士が軸受部19で回動可能に連結された一対の半体18の他端部にそれぞれ連結片を設け、連結片同士をねじで締め付ける構成でもよい。
【0059】
また、図示を省略しているが、一対の半体18の両端部にそれぞれ連結片を設け、両側の連結片同士をねじで締め付ける構成でもよい。
【0060】
これらのねじによる締め付けの例においては、竪樋1に一対の半体18を強く締め付けることが可能となり、受信方向の調整後にねじを強く締め付けることで最良の受信方向を向いた状態がより確実に維持され、且つ、より確実に下方へのずれが抑制される。
【0061】
図1の実施形態では、アンテナ部11が本体部10に一体に埋設してある例が示されている。
【0062】
また、図7の実施形態では、本体部10が表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成された例が示されている。
【0063】
本例において表面側カバー26は、電気絶縁性の合成樹脂のような電気絶縁材料で断面円弧状に形成され、外周縁部に背方に向けて壁部28が突設され、さらに複数の係止爪29が突設されている。
【0064】
裏面側カバー27は、電気絶縁性の合成樹脂のような電気絶縁材料で断面円弧状に形成され、且つ、表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分にぴったりと嵌り込む大きさに形成されており、更に、複数の係止孔30が形成されている。
【0065】
アンテナ部11は、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13を設けることで形成されている。
【0066】
アンテナ部11は表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分に配置される。更に、裏面側カバー27はアンテナ部11を介して表面側カバー26の裏面の壁部28に囲まれた部分に配置され、係止爪29が係止孔30に係止されることで、表面側カバー26と裏面側カバー27が連結される。
【0067】
これによりアンテナ部11は本体部10を構成する表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置されることになる。
【0068】
なお、アンテナ部11としては、導電性の縦長矩形状の薄い金属板材12(金属箔も含まれる)に細長いスロット13が形成されたものを単独で使用できる。
【0069】
また、アンテナ部11としては、スロット13が形成された金属板材12が非導電性の合成樹脂シート34で覆われたものでもよい。合成樹脂シート34で覆われたものは、金属板材12の錆の発生が抑制される。
【0070】
また、図7のように、表面側カバー26又は裏面側カバー27には通気孔31が形成してあることが好ましい。このように、通気孔31を形成すると、表面側カバー26の壁部28に囲まれた部分にアンテナ部11を介して裏面側カバー27を重ねて上記のように連結する際、重複部分の空気を通気孔31から出すことができ、組立てが容易にできる。
【0071】
図8、図9には、表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成される本体部10の他例が示されている。
【0072】
本例では、表面側カバー26の裏面にアンテナ部11を介して裏面側カバー27が配置され、表面側カバー26と裏面側カバー27がねじ32で連結されることでアンテナ部11が表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置される。
【0073】
ここで、アンテナ部11としては、図8のように金属板材12を非導電性の合成樹脂シート34で覆われたものが使用され、合成樹脂シート34の端部の金属板材12に重ならない部分に孔35があけられている。また、表面側カバー26の裏面にはボス36が形成されている。
【0074】
そして、アンテナ部11は、表面側カバー26の裏面に配置されて孔35がボス36に嵌められる。この状態で表面側カバー26の裏面に裏面側カバー27が配置され、裏面側カバー27の孔37からねじ32が挿入されてボス36にねじ込まれ、これによりアンテナ部11が表面側カバー26と裏面側カバー27とで挟持され且つ本体部10内に配置される。
【0075】
図10には、表面側カバー26と、これとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成される本体部10の更に他例が示されている。
【0076】
本例では、表面側カバー26の裏面に、表面側に押え用突起39を突設した裏面側カバー27が弾性連結部38を介して連結されている。裏面側カバー27の表面側に突設した押え用突起39は弾性連結部38の弾性力で表面側カバー26の裏面に弾接される。
【0077】
そして、アンテナ部11は、表面側カバー26と裏面側カバー27との間に介在され、押え用突起39により表面側カバー26の裏面に押付けられる。
【0078】
ここで、アンテナ部11を表面側カバー26と裏面側カバー27との間に介在するには、裏面側カバー27を弾性連結部38の弾性力に抗して開き、表面側カバー26の裏面にアンテナ部11を重ね、この状態で裏面側カバー27を元に戻すことにより行われる。
【0079】
前記各例のように、本体部10が、表面側カバー26とこれとは別体の裏面側カバー27とを組合わせ結合することで構成されるものにおいては、本体部10内にアンテナ部11を簡単に配置できて、ユニット化されたアンテナ板2が容易に形成される。
【0080】
もちろん、表面側カバー26と裏面側カバー27とを組合わせ結合して本体部10を形成するのは上記例にのみ限定されず、他の組合わせ結合の構成が可能である。
【0081】
図11、図12には竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段の一例が示されている。
【0082】
本例においては、本体部10裏面に嵌込み溝部40が形成され、この嵌込み溝部40に竪樋取付け部3に設けられた嵌込み部41が嵌め込まれて取付けられる。
【0083】
嵌込み溝部40の内部の溝は、左右長さが上下巾と同じ又は上下巾より長く形成されており、嵌め込み溝部40の裏面には嵌込み溝部40内の溝に連通する開口部42が形成される。この開口部42の開口巾(上下巾)は嵌込み溝部40内の上下巾より巾狭に形成され、開口部42の左右長さは嵌込み溝部40内の上下巾と同じ又は上下巾より長く形成される。
【0084】
嵌込み部41は竪樋取付け部3からの突出基部43と突出基部43の先端に一体に形成された板状突部44とで構成される。板状突部44は上下方向に細長の長方形状に形成されている。長方形状の板状突部44は、長辺の長さが開口部42の左右巾より長く且つ嵌込み溝部40内の溝の上下巾と同じ又は短く形成され、短辺の長さが開口部42の上下巾より短く形成され、また、厚さが嵌込み部41内の溝の溝深さとほぼ同じに形成される。
【0085】
板状突部44は長辺が左右方向を向くような姿勢にして開口部42から嵌込み溝部40内に嵌込まれ、次に、長辺が上下方向を向くように回転することで嵌込み溝部40内に外れないように取付けられる。
【0086】
ここで、板状突部44は、一対の対角線上に位置するコーナ部を面取りして面取り部45が形成されており、板状突部44を開口部42内で上記のように回転する際、長辺が上下方向を向く操作がスムーズにでき、短辺を開口部42内の溝内の上下面に圧接することが可能となる。
【0087】
なお、本例においては、本体部10が一体形成されたもの、表面側カバー26と裏面側カバー27とを組み合わせ結合したもののいずれでもよく、後者の場合は裏面側カバー27に嵌込み溝部40が形成される。
【0088】
図13にはアンテナ板2の竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段の他例が示されている。
【0089】
本例においては、本体部10が表面側カバー26と裏面側カバー27とを組み合わせ結合することで構成され、竪樋取付け部3が裏面側カバー27にねじ32により固定される。
【0090】
もちろん、竪樋取付け部3を本体部10の裏面に固着する固定手段は、上記の例にのみ限定されず、係止による固着を含む他の任意の種々の固着手段が採用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 竪樋
2 アンテナ板
3 竪樋取付け部
4 アンテナ装置
5 外壁
6 竪樋取付け具
7 竪樋支持部
8 外壁固定部
9 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪樋の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板と、このアンテナ板の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられるものあることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置を取付けたアンテナ装置付き竪樋であって、竪樋の外周に、アンテナ板の裏面に突出した竪樋取付け部を取付けて前記アンテナ板で前記竪樋の外周面の周方向の一部が覆われることを特徴とするアンテナ装置付き竪樋。
【請求項4】
前記竪樋が竪樋取付け具により外壁に取付けられ、この竪樋取付け具が前記竪樋の外周部を支持する竪樋支持部と、前記外壁に固定するための外壁固定部と、前記竪樋支持部と前記外壁固定部とを連結する連結部とを備え、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられ、前記断面円弧状のアンテナ板の左右両端縁間に前記竪樋取付け具が位置する状態で、前記アンテナ板の前記竪樋取付け部の竪樋に対する所定角度の回動を許容するように前記アンテナ板の左右両端間の隙間寸法が設定されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置付き竪樋。
【請求項1】
竪樋の外周面の周方向の一部を覆うことができるように屈曲されたアンテナ板と、このアンテナ板の裏面に突出した非導電性の竪樋取付け部とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられるものあることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置を取付けたアンテナ装置付き竪樋であって、竪樋の外周に、アンテナ板の裏面に突出した竪樋取付け部を取付けて前記アンテナ板で前記竪樋の外周面の周方向の一部が覆われることを特徴とするアンテナ装置付き竪樋。
【請求項4】
前記竪樋が竪樋取付け具により外壁に取付けられ、この竪樋取付け具が前記竪樋の外周部を支持する竪樋支持部と、前記外壁に固定するための外壁固定部と、前記竪樋支持部と前記外壁固定部とを連結する連結部とを備え、前記アンテナ板が断面円弧状に屈曲されたものであり、前記竪樋取付け部が前記円筒状の前記竪樋の外周に周方向に回動可能に取付けられ、前記断面円弧状のアンテナ板の左右両端縁間に前記竪樋取付け具が位置する状態で、前記アンテナ板の前記竪樋取付け部の竪樋に対する所定角度の回動を許容するように前記アンテナ板の左右両端間の隙間寸法が設定されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置付き竪樋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−7160(P2013−7160A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138515(P2011−138515)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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