説明

アンテナ装置

【課題】 直流電源供給ラインと共用化したアンテナ装置を、簡単な構成で、かつ小型化する。
【解決手段】 直流電源供給ライン6は、LED4a、4bへと直列に接続されている。この直流電源供給ライン6中にアンテナパターン2a、2bが介在している。LED4aと並列に高周波バイパス用のコンデンサ10が接続されている。高周波増幅器14が直流阻止用のコンデンサ12、アンテナパターン2c、2dを介してアンテナパターン2bに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、直流電源供給ラインと共通化したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電源供給ラインと共通化したアンテナ装置としては、例えば特許文献1に開示されたようなものがある。特許文献1に開示された技術では、送信回路が構成された回路基板において、送信回路に電源電圧を供給するための電源ラインが回路基板に設けられ、電源ラインの一部の範囲の一端が直流阻止コイルを介して接地され、他端が高周波阻止コイルを介して電源ラインの他の部分に接続され、送信回路のアンテナ接続端が直流阻止コンデンサを介して前記電源ラインの一部の範囲に接続されている。
【0003】
この構成では、直流電源供給ラインの他の部分に供給された直流電流は高周波阻止コイルを介して電源ラインの前記一部の範囲に流れる。一方、送信回路のアンテナ接続端に生じた高周波信号は直流阻止コンデンサを介して電源ラインの前記一部の範囲内の一点に供給され、この一部の範囲から送信される。即ち、直流電源供給ラインの前記一部の範囲が逆Fアンテナとして使用されている。なお、電源ラインの前記一部の範囲の長さは、送信しようとする電波の波長λの1/10乃至1/4である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−323249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によれば、直流電源供給ラインの前記一部の範囲をアンテナとして動作させるために、前記一部の範囲を直流電源供給ラインから電気的に絶縁した上に、直流阻止コンデンサ及び高周波阻止コイルを設けなければならない。また、このアンテナとして動作させる部分から送信回路の一部の回路であるパワーアンプに直流動作電流を供給するために、このアンテナとして動作させる部分を高周波阻止コイルを介してパワーアンプの電源端子に接続している。これらが相まって構成が複雑になっていた。更に、前記一部の範囲の長さが1/10乃至1/4λであるので、使用周波数が低い周波数側である場合、前記一部の範囲が長くなり、折角、直流電源供給ラインの一部をアンテナと共用することにより、回路基板を小型化しようとしたことが減殺されていた。
【0006】
本発明は、構成が簡単であり、また小型化できる直流電源供給ラインと共用化したアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のアンテナ装置は、直流電源供給ラインを有し、この直流電源供給ラインは、負荷へ動作電流を流すように、前記負荷と直列に接続されている。この直流電源供給ライン中にアンテナパターンが介在している。前記アンテナパターンは、使用しようとする、例えば送信または受信しようとする電波の波長よりも全長が短いものである。使用しようとする電波としては、例えば受信用アンテナの場合、比較的周波数が低く、波長の1/10乃至1/4でもかなりの長さとなる周波数、例えば100MHzよりも低く、送信電力が大きいもの、例えばFM放送信号や低域アナログテレビジョン放送信号がある。前記負荷と並列に高周波バイパス手段が接続されている。高周波バイパス手段としては、例えば容量手段、具体的にはコンデンサを使用することができる。高周波信号を処理する前記アンテナパターンが介在する前記直流電源供給ラインに直流阻止手段を介して高周波信号処理手段が接続されている。高周波信号処理手段としては、このアンテナ装置を送信アンテナまたは受信アンテナいずれとして使用する場合でも、高周波増幅手段を使用することもできるし、このアンテナ装置を受信アンテナとして使用する場合、周波数変換手段を高周波信号処理手段として使用することもできるし、このアンテナ装置を送信アンテナとして使用する場合には、パワー増幅手段を高周波信号処理手段として使用することもできる。
【0008】
このように構成されたアンテナ装置では、負荷を直流電源供給ラインと直列に接続しているので、負荷に動作電流を供給するために、高周波阻止コイルを設ける必要がない。また、直流電源供給ラインの一部をアンテナとして使用していないので、直流電源供給ラインのアンテナとして使用する部分と他の部分とを接続する高周波阻止コイルも不要であるし、アンテナとして使用する部分を高周波的に接地するための直流阻止コンデンサも不要である。また、高周波バイパス手段によって負荷を高周波的にバイパスさせているので、アンテナパターンがアンテナとして機能する。
【0009】
前記アンテナパターンは、前記直流電源供給ライン中に複数設けることができる。このようにアンテナパターンを複数設けることによって、良好に電波の送受信を行うことができる。
【0010】
直流阻止手段と高周波信号処理手段との間にも、別のアンテナパターンを設けることもできる。この場合、使用するアンテナパターンの数を増加させることができるので、良好に電波の送受信を行うことができる。
【0011】
別のアンテナパターンも、複数設けることができる。この場合、更に、アンテナパターンの数を増加させることができるので、より良好に電波の送受信を行うことができる。
【0012】
更に、負荷、直流電源供給ライン及びアンテナパターンを、基板上に設けることもできる。このように構成した場合、直流電源供給ライン中にアンテナパターンが介在しているので、直流電源供給ラインと、アンテナパターンとを別個に基板上に構成する必要が無く、基板を小型化することができる。なお、負荷、直流電源供給ライン及びアンテナパターンは、基板の周縁部に配置することもできる。この場合、高周波信号処理手段は、基板の周縁部よりも内側に配置される。
【0013】
更に、前記負荷を、発光素子とすることができる。この場合、前記高周波信号処理手段が非作動状態では、前記直流電源供給ラインへ直流電流が前記動作電流として供給され、前記高周波信号処理手段が作動状態では、前記直流電源供給ラインへの前記直流電流の供給が阻止される。このように構成された場合、高周波信号処理手段の動作、非動作を、発光素子の非点灯、点灯によって表すことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、直流電源供給ラインと共用化したアンテナ装置を、簡単な構成で、かつ小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるアンテナ装置の一実施形態の回路図である。
【図2】図1のアンテナ装置の直流電源供給ラインとアンテナパターンとの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態のアンテナ装置は、例えば緊急告知放送の受信装置において、FMラジオ放送を受信するために緊急告知装置の受信装置に内蔵されるものである。このアンテナ装置は、図1に示すように、複数、例えば4つのアンテナパターン2a乃至2dを有している。これらアンテナパターン2a乃至2dのうちアンテナパターン2a、2cは直線状であり、アンテナパターン2b、2dは波状であり、これらの長さは、受信しようとするFMラジオ放送の波長と比較して短いものである。これらアンテナパターン2a乃至2dは、複数の負荷、例えば2個の発光素子、具体的には2個のLED4a、4bへの直流電源供給ライン6中に介在している。
【0017】
即ち、直流電源供給ライン6の一端は正の直流電圧+Vに接続され、他端が接地され、この直流電源供給ライン6中に、LED4a、4bのアノード側を直流電源供給ラインの一端側に、カソード側を他端側に位置させて、直列にLED4a、4bが接続されている。この直流電源供給ライン6中には、LED4a、4bの保護抵抗器8も直列に接続されている。この直流電源供給ライン6中に、間隔をおいてアンテナパターン2a、2bが直列に接続され、LED4bのアノード側から分岐してアンテナパターン2c、2dが接続されている。
【0018】
直流電源供給ライン6の中途に位置するLED4aの両端には、高周波バイパス手段、例えばコンデンサ10が、LED4aと並列に接続されている。また、直流電源供給ライン6の他端側にあるLED4bのアノードとアンテナパターン2bとの接続点(LED4bのアノード側の分岐)には、直流阻止手段、例えばコンデンサ12の一端が接続され、その他端が、アンテナパターン2c、2dを介して高周波信号処理手段、例えば高周波増幅器14の入力側に接続されている。
【0019】
この高周波増幅器14の電源端子には、開閉手段、例えば常閉接点16を介して正の直流電圧+Vが供給されている。また、直流電源供給ライン6の一端側には開閉手段、例えば常開接点18が直列に接続されている。常閉接点16及び常開接点18は、図示しない制御手段、例えば制御回路から供給される制御信号によって制御される。即ち、制御信号は第1及び第2の状態に、例えばレベルを変化し、第1の状態では、常閉接点16が閉じられ、かつ常開接点18が開いている。第2の状態では、常閉接点16が開かれ、かつ常開接点18が閉じている。
【0020】
従って、制御信号が第1の状態では、直流電源供給ライン6には直流電流が流れず、LED4a、4bは非点灯である。一方、コンデンサ10、12によって高周波的に結合されたアンテナパターン2a、2b、2c、2dで受信されたFMラジオ放送信号は、高周波増幅器14に供給され、増幅され、図示していない周波数変換手段、中間周波増幅手段、復調手段及び低周波増幅手段によって音声信号に変換される。
【0021】
第2の状態では、高周波増幅器14は動作して無く、アンテナパターン2a乃至2dで受信されたFMラジオ放送信号は、高周波増幅器14によって増幅されず、結局音声信号には変換されない。一方、直流電源供給ライン6には直流電流が流れ、これが抵抗器8、アンテナパターン2a、LED4a、アンテナパターン2b、LED4bと流れ、LED4a、4bが点灯する。これによって、FMラジオ放送を受信していない状態であることを報知する。
【0022】
図2は、アンテナパターン2a乃至2dと、直流電源供給ライン6を構成する電源ライン6a、6bを、プリント基板20上に配置した状態を示している。基板20は1対の平行な長辺20a、20bと、これらと直交する1対の平行な短辺20c、20dとを有する矩形に形成されている。
【0023】
その一方の長辺20aの近傍に、この長辺20aに沿って互いに接続されたアンテナパターン2c、2dが配置されている。アンテナパターン2dが短辺20d側に位置し、アンテナパターン2cが短辺20c側に位置している。アンテナパターン2cは短辺20cとの角部付近まで伸びている。短辺20cの近傍に、短辺20cに沿ってアンテナパターン2bが、短辺20c及び長辺20aの角部付近と、短辺20c及び長辺20bの角部付近との間に配置されている。長辺20bの近傍に、長辺20bに沿って短辺20c及び長辺20bの角部付近と、長辺20b及び短辺20dの角部付近との間にアンテナパターン2aが配置されている。
【0024】
長辺20aと短辺20cとの角部付近にLED4bが配置され、LED4bのアノードがアンテナパターン2bの他端の接点cに接続され、カソードが、LED4bの近傍に形成された接地電位に接続されている。この接地用のラインが直流電源供給ライン6の一部6aをなしている。接点cは、コンデンサ12を介してアンテナパターン2cの一端に接続されている。アンテナパターン2dにおけるアンテナパターン2cと非接続の端部が、その近傍に設けられた高周波増幅器14の入力に接続されている。高周波増幅器14の電源端子に常閉接点16が接続されている。
【0025】
短辺20cと長辺20bとの角部付近にLED4aが配置され、そのカソードがアンテナパターン2bの一端の接点bに接続され、アノードがアンテナパターン2aの他端の接点aに接続されている。LED4aに並列に、即ち接点a、b間にコンデンサ10が接続されている。
【0026】
アンテナパターン2aの一端に抵抗器8と直流電源ライン6の一部をなす直流電源供給ライン6bを介して常開接点18が直列に接続されている。
【0027】
アンテナパターン2a、2b、2c、2dよりも内側のプリント基板20上に、高周波増幅器14やコンデンサ10、12の他に、マイクロコンピュータや、このマイクロコンピュータで処理されたデータを表示する表示パネルなどの電子部品が位置している。
【0028】
このように直流電源供給ライン6a、6bからなる直流電源供給ライン6中に、アンテナパターン2a、2bを介在させているので、直流電源供給ライン6とアンテナパターンとを別個に基板20上に配置する必要が無く、基板20の面積を有効活用することができる。また、アンテナパターン2a乃至2dの配置の自由度が高く、例えば図2に示すように直交する長辺20aに沿ってアンテナパターン2c、2d、短辺20cに沿ってアンテナパターン2b、長辺20bに沿ってアンテナパターン2aを配置することができ、受信感度を高めることができるように、これらアンテナパターンを配置することができる。特に、FMラジオ放送の波長の1/4波長よりも短い長さにしかアンテナパターン2a乃至2dそれぞれの長さを設定できないような場合でも、感度を高めることができる。また、直流電源ライン6とアンテナパターン2a、2bを別々に設けている場合でも、LED4a、4bの保護用に抵抗器8は必要であり、また、高周波増幅器14の入力側にはコンデンサ12を設けるのが一般的であるので、直流電源ライン6とアンテナパターン2a、2bを共通化するために新たに必要な部品は、LED4aに並列に接続したコンデンサ10程度であり、部品点数の増加もわずかである。
【0029】
上記の実施形態では、2つのLED4a、4bを使用したが、LED4aのみを使用することもできるし、3つ以上のLEDを使用することもできる。例えばアンテナパターン2a中に新たなLEDを介在させることができる。この場合、新たなLEDの両端間に高周波バイパス用のコンデンサを設ける。また、4つのアンテナパターン2a乃至2dを使用したが、その数は任意に変更できるし、直線状に形成したアンテナパターン2a、2cを波状に形成することもできるし、逆に、波状のアンテナパターン2b、2dを直線状とすることもできる。また、常閉接点16及び常開接点18を使用したが、これらを除去し、常に直流電源ライン6に電流を供給してLED4a、4bを点灯し、かつ高周波増幅器14の電源端子に常に電流を供給して、高周波増幅器14を常に動作させることもできる。また、高周波増幅器14を使用したが、これに代えて他の高周波信号処理手段、例えば周波数変換器を使用することもできる。さらに、負荷としてLED4a、4bを使用したが、これに代えて他の発光素子を負荷として使用することもできるし、緊急告知装置の受信装置で使用する他の電子部品を負荷として使用することもできる。また、このアンテナ装置を緊急告知装置の受信装置に実施したが、これに限ったものではなく、アンテナを使用する他の機器、例えば緊急告知受信装置の受信装置以外の受信装置や送信装置に実施することもできる。
【符号の説明】
【0030】
2a乃至2d アンテナパターン
4a、4b LED(負荷)
10 コンデンサ(高周波バイパス手段)
12 コンデンサ(直流阻止手段)
14 高周波増幅器(高周波信号処理手段)
20 プリント基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷へ動作電流を流すように前記負荷と直列に接続された直流電源供給ラインと、
この直流電源供給ライン中に介在させたアンテナパターンと、
前記負荷と並列に接続した高周波バイパス手段と、
前記アンテナパターンが介在する前記直流電源供給ラインに直流阻止手段を介して高周波的に接続された高周波信号処理手段とを、
具備し、前記アンテナパターンは、使用しようとする電波の波長よりも全長が短いアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ装置において、前記アンテナパターンは、前記直流電源供給ライン中に複数設けられているアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1記載のアンテナ装置において、前記直流阻止手段と前記高周波信号処理手段との間にも、別のアンテナパターンを設けたアンテナ装置。
【請求項4】
請求項3記載のアンテナ装置において、前記別のアンテナパターンが複数設けられているアンテナ装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれか記載のアンテナ装置において、前記負荷、直流電源供給ライン及びアンテナパターンは、基板上に設けられているアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか記載のアンテナ装置において、前記負荷は、発光素子であり、前記高周波信号処理手段が非作動状態では、前記直流電源供給ラインへ直流電流が前記動作電流として供給され、前記高周波信号処理手段が作動状態では、前記直流電源供給ラインへの前記直流電流の供給が阻止されるアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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