説明

アンドロゲン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイドおよびプロゲステロン受容体のモジュレーターとしての1−アミノナフタレン類

本発明は、アンドロゲン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、およびプロゲステロン受容体のモジュレーターである非ステロイド系化合物、ならびにそのような化合物の製造方法および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、およびプロゲステロン受容体のモジュレーターである非ステロイド化合物、ならびにそのような化合物の製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核内受容体は構造的に関連する遺伝子発現モジュレーターの一クラスであり、リガンド依存的転写因子として働く(R. M. Evans, Science 240, 889 (1988))。ステロイド受容体、すなわちアンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、およびプロゲステロン受容体は核内受容体スーパーファミリーのサブクラスを代表する。このサブクラスの核内受容体リガンドは、細胞内ステロイドホルモン受容体に結合することによりその作用を発揮する。受容体−リガンド複合体が細胞の核に移行した後、該複合体はDNA上の認識部位に結合し、これにより特定の遺伝子を調節する。
【0003】
ある種の物質は、組織選択的にその活性を示しうることが実証されている。言い換えれば、組織選択性は、核内受容体リガンドがある組織ではアゴニストとして機能しうるが、他の組織ではまったく機能しないか、アンタゴニスト作用さえも示すことを可能にする。「選択的受容体モジュレーター」(SRM)という用語はこれらの分子を指す。細胞内受容体に結合し、かつ天然のホルモンの作用を模倣する合成化合物はアゴニストと呼ばれる。天然のホルモンの作用を阻害する化合物はアンタゴニストと呼ばれる。「モジュレーター」とは、完全なアゴニスト作用から、部分的アゴニスト作用を経て、完全なアンタゴニスト作用までの範囲にわたる活性を有する化合物を指す。この組織選択的活性の分子基盤は完全には理解されていない。特定の説明に限定されるものではないが、特定のリガンドは核内受容体を異なるコンフォメーション状態にする。これらの状態は、コアクチベーター、コリプレッサー、および他のタンパク質が核内受容体(「NR」)によって動員されうるように指令する。特定のコファクター−NRの集合体が、組織選択的作用をモジュレートすると考えられている遺伝子転写因子である。
【0004】
核内受容体の機能を介したリガンド媒介作用は、上述した核内転写制御を介する(genotropic)古典的なメカニズムに限られない。性組織の刺激からの同化作用と一般的なホメオスタシス作用の分離の(全てではないにしても)一部は、核内転写制御によらない(non-genotropic)経路を賦活する特定リガンドの能力によって説明され得ると考えられる。核内転写制御によらない経路のリガンド結合型核内受容体誘導の一例は、S. C. Manolagasらの研究に見出される(Cell, 104,719-730)。性ステロイドNRが骨芽細胞や他の細胞タイプに及ぼす作用は、Src/Shc/ERKシグナル伝達経路を含むことが示されている。この活性は、性ステロイド核内受容体のリガンド結合ドメインのみにより媒介される。NRのDNA結合ドメインは、HeLa細胞のエトポシド誘導性アポトーシスを減少させるのには必要とされない。DNA結合ドメインを欠くNRは、転写因子として作用する古典的様式で機能することができない。
【0005】
核内受容体ステロイドリガンドは男性と女性の両方の健康状態において重要な役割を果たすことが知られている。男性の健康状態に関しては、例えばテストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)がアンドロゲン受容体に対する内在性ステロイドリガンドであり、哺乳類体内に見出される組織タイプごとに役割を担っているようである。胎児の発生中には、アンドロゲンは性分化および男性生殖器の発達においてある役割を果たす。さらなる性発達は、思春期にアンドロゲンにより仲介される。アンドロゲンは、男性副生殖器の刺激・維持ならびに筋骨格系の維持をはじめとして、成人では多様な機能を果たす。認知機能、性欲、攻撃性、および気分はアンドロゲンにより媒介される行動面の一部である。アンドロゲンは皮膚、骨、および骨格筋に影響を及ぼすだけでなく、血中脂質および血液細胞にも影響を及ぼす。
【0006】
アンドロゲン作用および男性生殖機能障害の研究は顕著な広がりを見せている。実際、ごく最近、ある病状の定義が高齢男性で起こるホルモンの変化と結び付けられている。この症候群(かつては男性更年期と呼ばれていた)は、より最近では「高齢男性におけるアンドロゲン低下」、つまり「ADAM」と呼ばれている(A. MoralesおよびJ. L. Tenover, Urologic Clinics of North America (2002 Nov.) 29 (4) 975)。ADAMの発症は予測不可能であり、その症状は微妙で、多様である。ADAMの臨床症状としては、疲労、抑うつ、性欲の減退、勃起不能、認知および気分の変化が挙げられる。
【0007】
発表された情報によれば、男性でのアンドロゲン補充療法(ART)は、身体組成パラメータ(例えば骨ミネラル密度、筋量の増加、および体力)の改善、ならびに一部の男性では性欲および気分の改善の観点で効果があることが示されている。従って、男性病の医師および他の専門家は、アンドロゲン(例えばテストステロン)の考えられる副作用に相当注意しながらも、ADAMの症状の治療に対してますますARTを用いるようになっている。それにもかかわらず、高齢男性のアンドロゲン低下および治療に関する科学的論理づけおよび証拠が次第に増加しているところである。現行のテストステロンに基づくART治療は、注射、皮膚パッチ、ゲル製剤、および経口製剤を含む。これらの治療の全てが、ADAMの治療において幾分かは有効であるが、治療後の血漿Tレベルの大幅な変動により、これらの治療の結果はまちまちである。
【0008】
テストステロン補充製品(例えばAndroGel(登録商標)(1%テストステロンゲルCIII、Solvay Pharmaceuticalsにより販売されている))が、選り抜きの治療として医師の間に広まってきている。しかしながら、このような製品は生理的なテストステロンレベルを正確に模倣することができず、既存の睡眠時無呼吸症の悪化、多血球血症、および/または女性化乳房を含めた副作用の可能性を有する。さらに、前立腺または心臓血管系といった標的器官に対する長期的副作用はまだ十分には解明されていない。重要なこととして、前立腺に対するテストステロンの発癌性の可能性により、多くの医師は高齢男性(すなわち60歳より上)(皮肉なことに、治療により最も利益を得る状態にある)にそれを処方しないようにしている。また、存在する治療の選択肢の全てがその送達機構に関して根本的な問題を抱えている。新規の選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)のニーズは、従来の治療で明らかにされた、起こりうる副作用の様相により排除される。SARMは、理想的には、副生殖器(特に前立腺)に悪影響を与えないで、内在性アンドロゲンの有益な作用を全て有するものである。
【0009】
女性の健康状態に関しては、プロゲステロン(プロゲステロン受容体(「PR」)に対する内在性リガンド)が、卵巣周期の様々なステージの間、および妊娠期間中、女性の生殖機能において重要な役割を果たす。その他には、プロゲステロンは着床に対して子宮内膜を準備し、着床過程を調節し、かつ妊娠の維持を助ける。プロゲステロンの合成品(プロゲスチン)の治療上の使用は、子宮内膜増殖を調節するプロゲステロンの能力に基づく。事実、プロゲスチンは、子宮内膜症の発生を抑えるための女性のホルモン補充療法(「HRT」)の一部として含められる。残念なことに、治療の有効性は望ましくない副作用の様相により減じられている。長期のプロゲスチン治療または継続的なエストロゲン補充療法は、出血の増加を伴うことが多い。子宮内膜血管系に対する過剰な刺激作用が増殖と脆弱性をもたらすのかもしれない。
【0010】
PRへのプロゲステロン結合の作用をモジュレートする化合物は、子宮内膜症および子宮筋腫の治療および/または予防に有用であると考えられている。プロゲステロン受容体アンタゴニスト(例えばRU-486としても知られるミフェプリストン)および他のPRモジュレーターは、霊長類において高エストラジオール濃度での子宮内膜増殖を阻害することができる。ミフェプリストンを用いたヒトの臨床データは子宮内膜症でのPRアンタゴニストの有効性を支持する(D. R. Growら, J. Clin. Endocrin. Metab. 1996, 81)。その使用に対する熱狂にもかかわらず、RU-486はまた、グルココルチコイド受容体(「GR」)に対する強力なリガンドとしても働く。このGRとの交差反応性はホメオスタシス失調に関連がある。
【0011】
従って、ある受容体に対して非常に特異的な核内ステロイドホルモンのモジュレーターは、女性と男性の両方に関係したホルモン応答性疾患の治療において、より少ない副作用で、より大きな利益を提供すると考えられる。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明は、式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体に関する:
【化1】

【0013】
(式中、
R1はシアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R6、-CO2R6、-CONHR6、-C(O)R6、-S(O)nR6、-SO2N(R6)2、-NHC(O)R6、または-NHSO2R6であり;
R2はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R6、またはアリールであり;
R3およびR4はそれぞれ独立に-(CH2)x-R5であり、
ここでxは0〜6、R5はH、アルキル、ヒドロキシ、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、-C(O)OR7、または-N(R8)2より選択され;
各R6は独立にH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
各R7は独立にH、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり;
各R8は独立にHまたはアルキルであり;
R9はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R8、またはアリールである)。
【0014】
好ましくは、R1はシアノ、ニトロ、またはハロゲンである。一実施形態では、R3は-(CH2)x-R5、xは0であり、かつR5はH、アルキルまたはハロアルキルである。好ましくは、ハロアルキルはトリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルである。一実施形態では、R3は-(CH2)x-R5、xは1であり、かつR5はシクロアルキルである。一実施形態では、R4は-(CH2)x-R5、xは0であり、かつR5はアルキル、シクロアルキル、またはヒドロキシである。一実施形態では、R4は-(CH2)x-R5、xは1〜6であり、かつR5はアルキル、アルケニル、ハロアルキル、ヒドロキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-N(R10)2であり各R10はC1〜C6アルキル基である。
【0015】
本発明の好ましい化合物は以下のものを含む:
N-(シクロプロピルメチル)-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N-プロピルアミン;
N-シクロヘキシル-N-メチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N,N-ジプロピルアミン;
N-ブチル-N-メチル-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)アミン;
4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N-ブチル-N-エチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
4-[ブチル(メチル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N1-エチル-N2,N2-ジメチル-N1-(4-ニトロ-1-ナフチル)-1,2-エタンジアミン;
4-(プロピルアミノ)-1-ナフトニトリル;
4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
3-[(4-ニトロ-1-ナフチル)アミノ]プロパン-1-オール;
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-{(シクロプロピルメチル)[3-(1-ピペリジニル)プロピル]アミノ}-1-ナフタレンカルボニトリルトリフルオロアセテート;
4-[(シクロプロピルメチル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-ニトロ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N,N-ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[2-プロペン-1-イル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;および
4-[(2-ヒドロキシエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル。
【0016】
本発明の別の態様は、実施例のいずれか1つに従って製造された、実質的に上記に定義したとおりの化合物を含む。
【0017】
本発明の別の態様は、本発明の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物を含む。
【0018】
本発明の別の態様は、治療用有効成分として使用するための本発明の化合物を含む。
【0019】
本発明の別の態様は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療または予防に使用するための本発明の化合物を含む。
【0020】
本発明の別の態様は、骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療または予防に使用するための本発明の化合物を含む。
【0021】
本発明の別の態様は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療用または予防用医薬の製造における、本発明の化合物の使用を含む。
【0022】
本発明の別の態様は、骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療用または予防用の医薬の製造における、本発明の化合物の使用を含む。
【0023】
本発明の別の態様は、本発明の化合物の投与を含む、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療または予防方法を含む。
【0024】
本発明の別の態様は、本発明の化合物の投与を含む、骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療または予防方法を含む。
【0025】
本発明の化合物は、核内ホルモン受容体、特にアンドロゲン受容体(「AR」)の機能をモジュレートする。本発明は、ARの選択的アゴニスト、部分的アゴニスト、アンタゴニスト、または部分的アンタゴニストである化合物を含む。本発明の化合物は、AR関連疾患および症状(例えばARの機能もしくは活性のモジュレーションを介して予防、軽減、または治療される疾患または症状)の治療において有用である。このようなモジュレーションは、ある組織に局限されていてもよいし、治療を受けた患者の身体全体にわたっていてもよい。
【0026】
本発明の一態様は、種々の障害の治療または予防のための本発明の化合物の使用であり、そのような障害としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:骨粗鬆症および/または骨量、骨密度、もしくは骨成長低下の防止、変形性関節炎、骨折の回復および治癒の促進、関節置換術の治癒の促進、歯周病、歯牙修繕または成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成、筋肉疲労、筋力および筋機能の維持ならびに増強、虚弱または加齢に伴う機能低下(「ARFD」)、ドライアイ、サルコペニア、慢性疲労性症候群、慢性筋肉痛、急性疲労性症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、低体重、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満、悪液質もしくは加齢に伴う拒食症をはじめとする摂食障害、副腎皮質機能亢進およびクッシング症候群、心臓血管疾患および心機能不全、うっ血性心不全、高血圧、アンドロゲン受容体を有する悪性腫瘍細胞(例えば乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ腺、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺の悪性腫瘍細胞)、前立腺過形成、多毛(hirsutism)、にきび、脂漏症、男性ホルモン性脱毛症、貧血、多毛(hyperpilosity)、前立腺の腺腫および新生物、高インスリン血症、インスリン耐性、糖尿病、X症候群、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲増強、性的機能不全、抑うつ、不安、緊張、ストレス、精神力の低下および自尊心の低下、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢性卵巣症候群、子癇前症の中和、月経前症候群、避妊、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、男性ホルモン補充、またはADAM。
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
語句は、その一般に認められた意味の範囲内で用いられる。以下の定義は、定義された語句を明確にすることを意図するものであり、限定するものではない。
【0028】
本明細書中で用いる「アルキル」の語は、直鎖または分岐鎖炭化水素であって、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するものを指し、場合によっては本発明に含まれる複数の置換度で置換されていてもよい。本明細書中で用いる「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、およびそれらの置換型が挙げられる。
【0029】
本明細書全体を通して用いるとき、原子(例えば炭素原子)の好ましい数は、例えば「Cx〜Cyアルキル」(指定された数の炭素原子を有する、本明細書中で定義されたアルキル基を指す)のような言い回しで表される。同様の用語は、他の好ましい語句および範囲にも当てはまる。
【0030】
本明細書中で用いる「アルケニル」の語は、直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素であって、1箇所以上の炭素間二重結合を有するものを指し、場合によっては本発明に含まれる複数の置換度で置換されていてもよい。例としては、ビニル等、およびその置換型が挙げられ、これらに限定されない。
【0031】
本明細書中で用いる「アルキニル」の語は、直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素であって、1箇所以上の炭素間三重結合を有するものを指し、場合によっては本発明に含まれる複数の置換度で置換されていてもよい。例としては、エチニル等、およびその置換型が挙げられ、これらに限定されない。
【0032】
本明細書中で用いる「アルキレン」の語は、直鎖または分岐鎖二価炭化水素基であって、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するものを指す。本明細書中で定義されるアルキレン基は、場合によっては本発明に含まれる複数の置換度で置換されていてもよい。本明細書中で用いる「アルキレン」の例としては、限定するものではないが、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2-CH2-)、プロピレン(-CH2-CH2-CH2-)ならびに置換および/または分岐型が挙げられる。
【0033】
本明細書中で用いる「シクロアルキル」の語は、非芳香族環状炭化水素環(場合によっては、本発明に含まれる複数の置換度で置換されていてもよい)を指し、場合によってはアルキレンリンカー(これを介してシクロアルキルが結合されうる)を含む。代表的な「シクロアルキル」基としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびそれらの置換型が挙げられる。
【0034】
本明細書中で用いる「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」、または「ヘテロシクリル」の語は、単環式または多環式の環系であって、場合により1以上の不飽和度を含み(しかしヘテロアリールとは重複しない)、また任意に1個以上のヘテロ原子を含むものを指す。好ましいヘテロ原子としては、N、O、および/またはSが挙げられ、N-酸化物、硫黄酸化物、および二酸化物を含む。好ましくは、上記環は3〜10員環であり、飽和であるかまたは1以上の不飽和度を有する。場合によっては、本明細書中で用いるとき、ヘテロ環は置換されていてもよく、複数の置換度が許容される。このような環は、場合によっては1以上の他の「ヘテロ環式」環、ヘテロアリール環、アリール環、またはシクロアルキル環に縮合されていてもよい。「ヘテロ環式」基の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられる。
【0035】
本明細書中で用いる「アリール」の語は、ベンゼン環(場合によっては置換されている)、または縮合ベンゼン環系(場合によっては置換されている)、例えばアントラセン、フェナントレン、またはナフタレン環系を指す。複数の置換度が本定義に含まれる。「アリール」基の例としては、限定するものではないが、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、ビフェニル、およびそれらの置換誘導体が挙げられる。「アラルキル」の語は、アルキレンリンカーを介して結合された、本明細書中で定義されたアリール基、例えばベンジルを指す。
【0036】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール」の語は、単環式5〜7員芳香環(場合によっては置換されている)、またはそのような芳香環2個を含む縮合二環式芳香環系(場合によっては置換されている)であって、1個以上の窒素、硫黄、および/または酸素原子を含むものを指し、ここでN-酸化物、硫黄酸化物、および二酸化物が許容されるヘテロ原子置換である。複数の置換度が本定義に含まれる。本明細書中で用いる「ヘテロアリール」基の例としては、限定されるべきではないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、およびそれらの置換型が挙げられる。「ヘテロアラルキル」の語は、アルキレンリンカーを介して結合された、本明細書中で定義されたヘテロアリール基を指す。
【0037】
本明細書中で用いる「ハロゲン」の語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0038】
本明細書中で用いる「ハロアルキル」の語は、少なくとも1個のハロゲンで置換された、本明細書中で定義されたアルキル基を指す。本発明で有用な分岐鎖または直鎖「ハロアルキル」基の例としては、限定するものではないが、1個以上のハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)で独立に置換された、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルを指す。「ハロアルキル」の語は、そのような置換基(例えば-CF3、-CH2-CH2-F等)を含むものと解されるべきである。
【0039】
本明細書中で用いる「ヒドロキシ」の語は-OH基を指す。
【0040】
本明細書中で用いる「アルコキシ」の語は-ORa基を指し、ここでRaは定義されたアルキルである。
【0041】
本明細書中で用いる「ハロアルコキシ」の語は-ORa基を指し、ここでRaは定義されたハロアルキルである。
【0042】
本明細書中で用いる「アリールオキシ」の語は-ORb基を指し、ここでRbは定義されたアリールである。
【0043】
本明細書中で用いる「ヘテロアリールオキシ」の語は-ORb基を指し、ここでRbは定義されたヘテロアリールである。
【0044】
本明細書中で用いる「ニトロ」の語は、-NO2基を指す。
【0045】
本明細書中で用いる「シアノ」の語は、-CN基を指す。
【0046】
本明細書全体を通して用いるとき、「場合によっては置換されている」との言い回しまたはその変形は、1種以上の置換基による任意の置換(複数の置換度を含む)を意味する。この言い回しは、漠然としたものであるようにも、または本明細書中に記載された置換パターンと全く同じものであるようにも解されるべきではない。むしろ、当業者は、この言い回しが添付の特許請求の範囲に包含される明白な修飾を与えるために加えられていることを理解するであろう。
【0047】
代表的な任意の置換基としては以下のものが挙げられる:アシル;アルキル;アルケニル;アルキニル;アルキルスルホニル;アルコキシ;シアノ;ハロゲン;ハロアルキル;ヒドロキシ;ニトロ;アリール(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリール(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);アリールスルホニル(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリールスルホニル(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);アリールオキシ(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリールオキシ(これは、アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい);または-N(R*)2;ここで、R*はそれぞれの場合に独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニルより選択され、それぞれの場合の該アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のアシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロで置換されていてもよく、または2つのR*が結合して環を形成してもよく、前記の環は場合によってはさらなるヘテロ原子を有し、場合によっては1以上の不飽和度を有し、かつ場合によってはアシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロでさらに置換されていてもよい。
【0048】
式(I)の化合物は、2以上の形態(多形として知られる特性)に結晶化することができ、そのような多形性の形態(「多形体」)は式(I)の範囲内である。多形は一般に、温度、圧力、またはその両方の変化に反応した結果として生じうる。多形はまた、結晶化法の違いによっても生じうる。多形体は当該技術分野で公知の種々の物理的特性、例えばX線回折パターン、溶解度、および融解点によって区別することができる。
【0049】
本明細書中に記載の化合物の一部は、1以上のキラル中心を含有し、そうでなければ複数の立体異性体として存在しうる可能性がある。本発明の範囲には、立体異性体の混合物、および精製された鏡像異性体または鏡像異性体/ジアステレオマーとして富化された混合物が含まれる。式(I)で表される化合物の個々の異性体、および全体的にまたは部分的に平衡化されたその混合物も本発明の範囲に含まれる。本発明はまた、1以上のキラル中心が反転している上記式により表される化合物の個々の異性体、およびそれらの異性体の混合物も含む。
【0050】
典型的には(しかし完全にそうであるわけではないが)本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」の語句に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性の塩を指す。本発明の化合物の塩は、酸付加塩を含んでもよい。代表的な塩としては以下のものが挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、一カリウムマレイン酸塩、ムケート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸、トシル酸、トリエチオダイド(triethiodide)、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩。製薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物の製造において有用である場合があり、これらは本発明の別の態様を構成すると考えるべきである。
【0051】
本明細書中で用いる「溶媒和物」の語は、溶質(本発明では、式Iの化合物、またはその塩もしくは生理学的に機能しうる誘導体)および溶媒により形成される、種々の化学量論の複合体を指す。そのような溶媒は、本発明の目的のためには、溶質の生物学的活性を妨害しないものであるべきである。好適な溶媒の非限定的な例としては、限定するものではないが、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられる。好ましくは、溶媒は製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の非限定例としては、水、エタノール、および酢酸が挙げられる。用いられる最も好ましい溶媒は水である。
【0052】
本明細書中で用いる「生理学的に機能しうる誘導体」の語句は、本発明の化合物の製薬上許容されるいかなる誘導体をも指し、哺乳動物に投与したとき、本発明の化合物またはその活性な代謝産物を(直接的または間接的に)供給することができるものである。そのような誘導体(例えばエステルおよびアミド)は、過度の実験を行わずとも当業者には明らかであろう。Burger's Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 第5版, Vol 1 : Principles and Practiceの内容を参照されたい(この文献が生理学的に機能しうる誘導体を教示する程度に、参照により本明細書中に組み入れるものとする)。
【0053】
本明細書中で用いる「有効量」の語は、薬物または薬剤が、例えば研究者もしくは医師によって要求されている、組織、系、動物またはヒトの生物学的もしくは医学的応答を引き出しうる量を意味する。生物学的もしくは医学的応答とは、予防的応答または治療的応答とみなしてよい。「治療上の有効量」の語句は、そのような量を投与されていない対応する被験者と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防または緩和をもたらすか、あるいは疾患もしくは障害の進行速度を遅らせる量を意味する。また、この語句には、正常な生理学的機能を増大させるのに有効な量もその範囲内に含まれる。治療での使用のためには、治療上の有効量の式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体をそのままの化学物質として投与してもよい。さらに、有効成分を医薬組成物として与えてもよい。
【0054】
従って、本発明は、有効量の式(I)の化合物、その塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能しうる誘導体、および1以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含有する医薬組成物をさらに提供する。式(I)の化合物、その塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体は本明細書中に記載の通りである。担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分と適合するという意味で許容されるものでなければならず、かつ医薬組成物のレシピエントに対して有害であってはならない。
【0055】
本発明の別の態様では、式(I)の化合物、その塩、溶媒和物、または生理学的に機能しうる誘導体と、1以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを混合することを含む医薬製剤の製造方法も提供される。
【0056】
本発明の化合物の治療上の有効量は、いくつかの要因に左右される。例えば、レシピエントの生物種、年齢および体重、治療を必要とする正確な症状およびその重症度、製剤の性質、ならびに投与経路は全て考慮されるべき要因である。治療上の有効量は、最終的には医師または獣医師の裁量によるべきである。いずれにしても、身体虚弱のヒトを治療するための式(I)の化合物の治療上の有効量は、一般的に、0.1〜100mg/kgレシピエント(哺乳動物)体重/日の範囲内であるべきである。より一般には、有効量は1〜10mg/kg体重/日の範囲内にすべきである。従って、70kgの成体哺乳動物の場合、1日あたりの実際量は通常70〜700mgとなる。この量は、1日1回の用量で投与してもよいし、1日複数回(例えば2、3、4、5回、またはそれ以上)の分割用量で(1日の総用量が同じになるように)投与してもよい。その塩、溶媒和物、または生理学的に機能しうる誘導体の有効量は、式(I)の化合物そのものの有効量に対応する量として決定することができる。同様の投与量は、本明細書中に記載の他の症状の治療または予防にも適切なはずである。
【0057】
医薬製剤は単位用量あたりの有効成分の既定量を含有する単位用量剤形で与えられてもよい。そのような単位は、非限定的な例として、治療すべき症状、投与経路、ならびに患者の年齢、体重および病状に応じて、0.5mg〜1gの式(I)の化合物を含有することができる。好ましい単位用量製剤は、本明細書中で上述したような1日量もしくは分割量、またはその適切な一部分、の有効成分を含有するものである。このような医薬製剤は製薬分野で周知のいずれかの方法を用いて製造することができる。
【0058】
医薬製剤は、どのような適当な経路による投与にも適合させることができ、例えば、経口(頬腔もしくは舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所(頬腔、舌下もしくは経皮を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)経路による投与に適合させる。そのような製剤は、製薬分野において周知のいかなる方法によっても製造することができ、例えば、有効成分を担体もしくは賦形剤と組み合わせることにより製造する。
【0059】
経口投与に適合する医薬製剤は、以下のような個別の単位であってもよい:カプセル剤もしくは錠剤;粉剤もしくは顆粒剤;水性または非水性の液体の溶液剤もしくは懸濁液剤;食用のフォームもしくはホイップ;または水中油型液状エマルジョンもしくは油中水型液状エマルジョン。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のためには、薬物有効成分は経口用の、非毒性の製薬上許容される不活性な担体(例えばエタノール、グリセロール、水等)と組み合わせることができる。一般に、粉剤は化合物を好適な微細な大きさまで砕き、そして食用の炭水化物(例えばデンプンまたはマンニトール)のような適当な製薬用担体と混合することにより調製される。香料、防腐剤、分散剤、および着色剤もまた含めることができる。
【0060】
カプセル剤は、粉末、液体、または懸濁液混合物を調製し、ゼラチンまたは他の適当なシェル材料を用いてカプセル化することにより製造する。流動促進剤および滑沢剤(例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固形ポリエチレングリコール)をカプセル化の前に混合物に添加してもよい。崩壊剤または可溶化剤(例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム)もまた、カプセル剤を摂取したときの医薬の生体利用能を改善するために添加することができる。さらに、所望によりまたは必要に応じて、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤もまた、混合物に組み込むことができる。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然糖類(例えばグルコースもしくはβ-ラクトース)、コーンシロップ、天然もしくは合成ゴム(例えばアラビアガム、トラガカント、もしくはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの剤形に有用な滑沢剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。
【0061】
錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラグ化し、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして圧縮して錠剤にすることにより製剤化する。粉末混合物は、好適に粉砕した化合物を、上記の希釈剤または基剤と混合することにより調製してもよい。追加の成分としては、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、再吸収促進剤(例えば四級塩)および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウム)が挙げられる。粉末混合物はシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロース系もしくはポリマー系物質の溶液のような結合剤を用いて湿式顆粒化し、スクリーンを通して押し出すことも可能である。顆粒化の代替法としては、粉末混合物を打錠機にかけ、それにより不完全なスラグを形成し、そのスラグを破壊して顆粒とする。顆粒が錠剤成形ダイにくっつくのを防ぐために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたはミネラルオイルの添加により顆粒を滑らかにすることができる。滑沢剤で処理した混合物は、その後圧縮して錠剤とされる。本発明の化合物はまた、自由流動性の不活性担体と組み合わせて、顆粒化またはスラグ化工程を経ずに、直接錠剤に圧縮することもできる。透明または不透明な保護コーティング(シェラックのシーリングコート、糖もしくはポリマー系物質のコーティング、およびワックスの光沢コーティングから成る)を施してもよい。異なる単位用量を区別するために、これらのコーティングに染料を添加することができる。
【0062】
経口用液剤(例えば溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤)は、所与の量が既定量の化合物を含むように単位剤形で調製することができる。シロップ剤は、例えば、化合物を、好適に風味を付けた水性溶液に溶解することにより調製することができ、エリキシル剤は非毒性アルコール系ビヒクルを用いることにより調製する。懸濁液剤は一般に、化合物を非毒性ビヒクルに分散することにより製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤(例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類)、防腐剤、香味添加剤(例えばペパーミントオイル)または天然甘味料、サッカリン、もしくは他の人工甘味料等もまた、添加することができる。
【0063】
適宜に、経口投与用の単位用量製剤はマイクロカプセル化されていてもよい。製剤はまた、例えば粒状物質をポリマー、ワックス等でコーティングするか、またはその中に包埋することにより、放出を延長または持続させるように調製してもよい。
【0064】
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体はまた、リポソーム送達系(例えば小型単膜小胞、大型単膜小胞、および多層膜小胞)の形態で投与することもできる。リポソームは様々なリン脂質(例えばコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリン)から形成することができる。
【0065】
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体はまた、化合物分子がカップリングされる個々のキャリアとして、モノクローナル抗体を用いることにより送達してもよい。
【0066】
化合物はまた、標的化可能な薬物キャリアとしての可溶性ポリマーにカップリングさせてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリジン(パルミトイル残基で置換されたもの)が挙げられる。さらに、化合物は、薬物の制御放出を達成させるのに有用な、ある種の生分解性ポリマーにカップリングさせてもよく、そのようなポリマーは例えば、ポリ乳酸、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋されたもしくは両親媒性のブロックコポリマーである。
【0067】
経皮投与に適合する医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮に密着させておくことを目的とした、1つずつ分かれたパッチ剤として提供しうる。例えば、有効成分はイオントフォレシスによりパッチ剤から送達されてもよく、それについてはPharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に記載されている(そのような送達系に関して、参照により本明細書中に組み入れるものとする)。
【0068】
局所投与に適合する医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、粉剤、溶液剤、ペースト剤、ジェル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、またはオイル剤として製剤化することができる。
【0069】
眼や他の外部組織(例えば口または皮膚)の治療のためには、製剤は局所軟膏剤またはクリーム剤として適用することができる。軟膏剤に製剤化する場合は、有効成分をパラフィン系または水混和性軟膏基剤と共に用いる。あるいはまた、有効成分を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤に製剤化してもよい。
【0070】
眼への局所投与に適合する医薬製剤としては、例えば、有効成分を好適な担体(特に水性溶媒)中に溶解または懸濁させた、点眼薬が挙げられる。
【0071】
口中への局所投与に適合する医薬製剤としては、薬用ドロップ、トローチ、および口内洗浄剤が挙げられる。
【0072】
鼻腔投与に適合する医薬製剤としては、担体が固体の場合には、例えば粒子サイズが20〜500ミクロンの範囲の、粗粉末剤が挙げられる。該粉末は、鼻から吸うように、すなわち、鼻の近くに近づけた粉末の容器から、鼻孔の中に素早く吸入することにより投与される。鼻用スプレーまたは点鼻薬として投与するのに好適な、担体が液体の場合の製剤は、有効成分の水性または油性溶液剤を含む。
【0073】
吸入による投与に適合する医薬製剤としては、微粒子状のダストまたはミストが挙げられ、それらは種々のタイプの定量噴霧加圧エアロゾル、噴霧器、または散布器を用いて発生させることができる。
【0074】
直腸投与に適合する医薬製剤は、座薬または浣腸剤として与えることができる。
【0075】
膣投与に適合する医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォーム、またはスプレー剤として与えることができる。
【0076】
非経口投与に適合する医薬製剤としては、水性および非水性無菌注射液(抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および製剤を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質を含有しうる);ならびに水性および非水性無菌懸濁液(懸濁化剤および増粘剤を含有しうる)が挙げられる。該製剤は、1回用量または複数回用量容器(例えば密封アンプルおよびバイアル)で提供されてもよく、また、使用直前に無菌液状担体(例えば注射用の水)を加えるだけでよい凍結乾燥状態で貯蔵されてもよい。用時調製の注射用溶液剤および懸濁液剤は無菌の粉末、顆粒または錠剤から調製することができる。
【0077】
上記で特に挙げた成分に加えて、製剤は、対象となる製剤のタイプを考慮して、当該技術分野で一般的な他の添加剤を含んでもよい。例えば経口投与に好適な製剤は、香料または着色剤を含んでもよい。
【0078】
本発明の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうるそれらの誘導体は、上記の症状の治療のために単独で用いられてもよいし、または他の治療薬と併用してもよい。例えば、身体虚弱の治療では、他の同化促進治療薬または骨粗鬆症治療薬と併用されうる。従って、一例としては、本発明による骨粗鬆症の併用治療は、少なくとも1種類の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能しうる誘導体の投与、および少なくとも1種類の他の骨粗鬆症治療法の使用を含むであろう。さらなる例としては、本発明の併用治療は、少なくとも1種類の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能しうる誘導体と、少なくとも1種類の他の骨粗鬆症治療薬(例えば抗骨再吸収薬)の投与を含む。式(I)の化合物および他の製薬上活性な薬剤は、一緒に投与しても、別々に投与してもよく、別々に投与する場合には、同時にまたは順次(任意の順序で)投与することができる。式(I)の化合物および他の製薬上活性な薬剤の量ならびに投与の相対的なタイミングは、所望の併用治療効果を達成できるように選択されるであろう。式(I)の化合物、その塩、溶媒和物または生理学的に機能しうる誘導体と他の治療薬との併用での投与は、(1)両方の化合物を含有する単一の医薬組成物で、または(2)化合物のうちの1つをそれぞれ含有する別々の医薬組成物で、同時投与によって併用することができる。あるいはまた、その組合せは、別々に連続して投与されてもよく、その場合、一方の治療薬がまず投与され、他方が次に投与されるか、またはその逆である。そのような連続投与は、時間的に接近していてもよいし、隔たっていてもよい。
【0079】
考えられる別の骨粗鬆症治療薬は、骨形成促進薬(同化促進薬)である。骨形成促進薬は、骨ミネラル密度のようなパラメータの増加をもたらすことができ、その増加は抗再吸収薬により達成される該増加よりも大きい。一部のケースでは、そのような同化促進薬は骨梁結合度を増加させ、骨の構造的完全性を高めることができる。
【0080】
考えられる他の治療上の併用としては、本発明の化合物と、本発明の他の化合物、成長促進剤、成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン放出因子およびその類似体、成長ホルモンおよびその類似体、ソマトメジン、α−アドレナリンアゴニスト、セロトニン5-HTDアゴニスト、ソマトスタチンまたはその放出を阻害する薬剤、5−α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、GnRHアゴニストもしくはアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、エストロゲン、テストステロン、SERM、プロゲステロン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、および/または核内ホルモン受容体の他のモジュレーターとの併用が挙げられる。
【0081】
当業者は、本明細書中に例示されている化合物は、選択的アゴニスト、部分的アゴニスト、およびアンタゴニストとして用いられるが、混合型のステロイド活性を有する化合物も利用されうることを理解するであろう。
【0082】
本発明の化合物は、種々の障害および症状の治療に用いることができ、そのような場合に、本発明の化合物はそれらの障害もしくは症状の治療または予防に有用な、様々な他の治療薬と併用することができる。非限定的な例としては、本発明の化合物と、以下のものとの併用が挙げられる:抗糖尿病薬、抗骨粗鬆症薬、抗肥満薬、抗炎症薬、抗不安薬、抗うつ剤、抗高血圧薬、抗血小板薬、抗血栓形成薬および抗血栓溶解薬、強心配糖体、コレステロールもしくは脂質低下薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、甲状腺ミメティクス、同化促進薬、ウイルス治療、認知障害治療、睡眠障害治療、性的機能不全治療、避妊薬、細胞毒性物質、放射線治療、抗増殖薬、および抗腫瘍薬。さらに、本発明の化合物は、アミノ酸、トリグリセリド、ビタミン、ミネラル、クレアチン、リポ酸、カルニチン、またはコエンザイムQ10のような栄養補助剤と併用してもよい。
【0083】
本発明の一態様は、種々の障害の治療または予防への本発明の化合物の使用であり、そのような障害としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:骨粗鬆症および/または骨量、骨密度、もしくは骨成長低下の防止、変形性関節炎、骨折の回復および治癒の促進、関節置換術の治癒の促進、歯周病、歯牙修繕または成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成、筋肉疲労、筋力および筋機能の維持ならびに増強、虚弱または加齢に伴う機能低下(「ARFD」)、ドライアイ、サルコペニア、慢性疲労性症候群、慢性筋肉痛、急性疲労性症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、低体重、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満、悪液質もしくは加齢に伴う拒食症をはじめとする摂食障害、副腎皮質機能亢進およびクッシング症候群、心臓血管疾患および心機能不全、うっ血性心不全、高血圧、アンドロゲン受容体を有する悪性腫瘍細胞(例えば乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ腺、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺の悪性腫瘍細胞)、前立腺過形成、多毛(hirsutism)、にきび、脂漏症、男性ホルモン性脱毛症、貧血、多毛(hyperpilosity)、前立腺の腺腫および新生物、高インスリン血症、インスリン耐性、糖尿病、X症候群、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲増強、性的機能不全、抑うつ、不安、緊張、ストレス、精神力の低下および自尊心の低下、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢性卵巣症候群、子癇前症の中和、月経前症候群、避妊、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、男性ホルモン補充、またはADAM。
【0084】
特に、本発明の化合物は、単独で、または他の薬剤と併用して、以下のものの治療ならびに男性および女性ホルモン補充療法として、または同化促進薬としての使用において有用であると考えられている:性機能低下、骨粗鬆症、筋肉疲労、疲労性疾患、癌悪液質、虚弱、前立腺過形成、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期(andropausal)血管運動症状、尿失禁、性的機能不全、勃起機能不全、抑うつ、子宮筋腫症、および/または子宮内膜症、にきびの治療、多毛症、造血の刺激、男性避妊、勃起不能。
【0085】
従って、本発明の別の態様は、薬物療法での使用のための式(I)の化合物およびその塩、溶媒和物、または生理学的に機能しうる誘導体も提供する。特に、本発明はアンドロゲン活性により仲介される障害の治療または予防を提供する。さらに特定すると、本発明は組織選択的な同化活性またはアンドロゲン活性に応答性の障害の治療または予防を提供する。本発明のさらなる態様は、アンドロゲン活性により仲介される障害に罹患した哺乳動物の治療または予防方法を提供し、その方法には、該被験者に、有効量の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能しうる誘導体を投与することが含まれる。
【0086】
本発明のさらなる態様は、種々の障害の治療または予防を必要とする哺乳動物の治療または予防方法を提供し、そのような障害としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:骨粗鬆症および/または骨量、骨密度、もしくは骨成長低下の防止、変形性関節炎、骨折の回復および治癒の促進、関節置換術の治癒の促進、歯周病、歯牙修繕または成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成、筋肉疲労、筋力および筋機能の維持ならびに増強、虚弱または加齢に伴う機能低下(「ARFD」)、ドライアイ、サルコペニア、慢性疲労性症候群、慢性筋肉痛、急性疲労性症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、低体重、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満、悪液質もしくは加齢に伴う拒食症をはじめとする摂食障害、副腎皮質機能亢進およびクッシング症候群、心臓血管疾患および心機能不全、うっ血性心不全、高血圧、アンドロゲン受容体を有する悪性腫瘍細胞(例えば乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ腺、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺の悪性腫瘍細胞)、前立腺過形成、多毛(hirsutism)、にきび、脂漏症、男性ホルモン性脱毛症、貧血、多毛(hyperpilosity)、前立腺の腺腫および新生物、高インスリン血症、インスリン耐性、糖尿病、X症候群、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲増強、性的機能不全、抑うつ、不安、緊張、ストレス、精神力の低下および自尊心の低下、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢性卵巣症候群、子癇前症の中和、月経前症候群、避妊、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、男性ホルモン補充、またはADAM。好ましくは、本発明の化合物は、男性および女性ホルモン補充療法として、もしくは同化促進薬として、または性機能低下、骨粗鬆症、筋肉疲労、疲労性疾患、癌悪液質、虚弱、前立腺過形成、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期(andropausal)血管運動症状、尿失禁、性的機能不全、勃起機能不全、抑うつ、子宮筋腫症、および/または子宮内膜症、にきびの治療、多毛症、造血の刺激、男性避妊、勃起不能の治療または予防のために用いられ、その使用には、被験者に、有効量の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能しうる誘導体を投与することが含まれる。本発明の化合物を用いた治療を必要とする哺乳類は、典型的にはヒトである。
【0087】
本発明の化合物は、周知の標準的な合成法を含む様々な方法により製造することができる。例示的な一般的合成法を以下に列挙し、そして本発明の具体的な化合物を実施例において製造する。
【0088】
以下に記載する全てのスキームでは、合成化学の一般原則に従って、必要ならば、感受性または反応性の基に対する保護基が用いられる。保護基は有機合成の標準的な方法に従って操作される(T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons、保護基に関して、参照により本明細書中に組み込まれる)。これらの基は、化合物合成の都合のよい段階で、当業者には明らかな方法を用いて除去される。方法の選択、ならびにそれらを実施するための反応条件および順序は、式(I)の化合物の製造に合致するであろう。
【0089】
当業者は、式(I)の化合物に立体中心が存在するかどうか認識するであろう。従って、本発明は全ての可能な立体異性体を包含し、かつラセミ化合物のみならず、個々の鏡像異性体も同様に包含する。化合物が単独の鏡像異性体であるよう望まれるならば、そのようなものは、立体特異的合成によって、または最終生成物もしくはいずれかの都合のよい中間体のラセミ分割によって得ることができる。最終生成物、中間体、または出発物質のラセミ分割は、当該技術分野で公知のいずれの好適な方法によっても行うことができる。例えば、以下の文献を参照されたい:Stereochemistry of Organic Compounds, E. L. Eliel, S. H. Wilen,およびL. N. Mander著 (Wiley-Interscience, 1994)(立体化学に関して、参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0090】
本発明の代表的なARモジュレーター化合物、アゴニスト、部分的アゴニスト、およびアンタゴニストとしては、以下のものが挙げられる:
N-(シクロプロピルメチル)-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N-プロピルアミン;
N-シクロヘキシル-N-メチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N,N-ジプロピルアミン;
N-ブチル-N-メチル-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)アミン;
4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N-ブチル-N-エチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
4-[ブチル(メチル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N1-エチル-N2,N2-ジメチル-N1-(4-ニトロ-1-ナフチル)-1,2-エタンジアミン;
4-(プロピルアミノ)-1-ナフトニトリル;
4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
3-[(4-ニトロ-1-ナフチル)アミノ]プロパン-1-オール;
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-{(シクロプロピルメチル)[3-(1-ピペリジニル)プロピル]アミノ}-1-ナフタレンカルボニトリルトリフルオロアセテート;
4-[(シクロプロピルメチル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-ニトロ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N,N-ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[2-プロペン-1-イル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;および
4-[(2-ヒドロキシエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル。
【0091】
略語
本明細書中で用いる際には、これらの工程、スキームおよび実施例中での記号および規則は、現代科学文献(例えばthe Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistry)中で用いられるものと一致する。具体的には、以下の略語を、実施例中および本明細書を通して用いる:
g(グラム);mg(ミリグラム);
L(リットル);mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル);psi(ポンド/平方インチ);
M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);
Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);
mol(モル);mmol(ミリモル);
RT(室温);h(時間);
min(分);TLC(薄層クロマトグラフィー);
mp(融点);RP(逆相);
tR(保持時間);TFA(トリフルオロ酢酸);
TEA(トリエチルアミン);THF(テトラヒドロフラン);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸);CD3OD(重水素化メタノール);
CDCl3(重水素化クロロホルム);DMSO(ジメチルスルホキシド);
SiO2(シリカ);atm(気圧);
EtOAc(酢酸エチル);CHCl3(クロロホルム);
HCl(塩酸);Ac(アセチル);
DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);Me(メチル);
Cs2CO3(炭酸セシウム);EtOH(エタノール);
Et(エチル);tBu(tert-ブチル);
MeOH(メタノール);PPTS(p-トルエンスルホン酸ピリジニウム);
PS(ポリマー担持);NMM(N-メチルモルホリン);
satd(飽和)
【0092】
特に断らない限り、全ての温度は℃(摂氏温度)で表す。特に記さない限り、全ての反応は室温にて不活性雰囲気下で行った。
【0093】
1H NMRスペクトルはVarian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置、またはGeneral Electric QE-300上で記録した。化学シフトは百万分の1(ppm、δ単位)で表してある。結合定数はヘルツ(Hz)の単位である。分割パターンは見かけの多重度を表し、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、またはbr(幅広)と指定される。
【0094】
スキーム1
【化2】

【0095】
方法A
式(I)の化合物は、電子不足アレーンから出発して、固相担持試薬を用いて調製することができる(スキーム1)。必須のアレーンを、N-メチルモルホリンのような固相担持塩基の存在下で、1級または2級非環式アミンにより処理すると、対応するアニリンが得られる。過剰のハロアレーンはポリマー担持トリスアミンを用いて捕捉することができ、また過剰のアミンはポリマー担持イソシアネートを用いて捕捉することができる。
【0096】
スキーム2
【化3】

【0097】
方法B
式(I)の化合物は、固相担持試薬を用いることなく調製することもできる(スキーム2)。必須の電子不足アレーンを、炭酸セシウムのような塩基の存在下で、1級または2級非環式アミンにより処理すると、対応するアニリンが得られる。
【0098】
スキーム3
【化4】

【0099】
式(I)の化合物は、酸の存在下でアルデヒドと還元剤を用いた還元的アルキル化により、および/または水素化ナトリウムのような塩基の存在下でアルキル化剤を用いた直接的アルキル化により生成させ、さらに合成することができる(スキーム3)。
【実施例】
【0100】
方法Aの代表的方法
実施例1
【化5】

【0101】
N-(シクロプロピルメチル)-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N-プロピルアミン
固相担持N-メチルモルホリン(PS-NMM)レジン(0.045g、180μmol)、DMSO中の(シクロプロピルメチル)プロピルアミンの2M溶液(120μL、0.24mmol)、およびDMSO中の4-クロロ-1-ニトロナフタレンの1M溶液(150μL、0.12mmol)を、Robbins FlexChem角型ウェルプレートのウェルに加えた。プレートを99℃にて20時間回転振盪し、冷却した。このウェルに、DMSO 1.2mL、固相担持ベンジルイソシアネート(PS-イソシアネート)(0.136g、150μmol)、および固相担持トリスアミン(PS-トリスアミン)(0.061g、150μmol)を加えた。プレートを99℃にて12時間回転振盪した。ウェル中の溶媒を、濾過により回収した。レジンを0.5mLのDMSOで洗い、これらの有機溶液を合わせて60℃にて減圧下で濃縮し、解析可能な純度の黄色固体を得た(0.032g、95%):1H NMR(CDCl3、400 MHz)δ8.75 (d、J=7.6 Hz、1H)、8.31 (d、J=8.5Hz、2H)、7.68 (dd、J=8.1、8.1Hz、1H)、7.55 (dd、J=7.9、7.9 Hz、1H)、7.09 (d、J=8.4Hz、1H)、3.42 (t、J=7.1Hz、2H)、3.20 (d、J=6.8Hz、2H)、1.58 (sex、J=7.3Hz、2H)、0.96 (sept、J=4.9Hz、1H)、0.90 (t、J=7.5Hz、3H)、0.45 (q、J=5.3Hz、2H)、0.04 (q、J=4.9Hz、2H)。
【表1】

【0102】
方法Bの代表的方法
実施例1
【化6】

【0103】
N-(シクロプロピルメチル)-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N-プロピルアミン
1-クロロ-4-ニトロナフタレン(0.054g、0.26mmol、1当量)のDMSO(0.5mL)溶液を、炭酸セシウム(0.120g、0.37mmol、1.4当量)および(シクロプロピルメチル)プロピルアミン(0.035g、0.31mmol、1.2当量)で処理した。90℃にて3時間経過後、冷却した反応物をH2O(1mL)で処理し、EtOAc(3×1mL)を用いて抽出した。濃縮後、ラジアルクロマトグラフィー(SiO2、1mmプレート、90:10;Hex/EtOAc)を行い、表題の化合物を黄色固体(0.063g、95%)として得た。分析データは方法Aにより合成した実施例1のものと一致した。
【0104】
実施例8
【化7】

【0105】
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル
実施例1、方法Bと同様にして、電子不足アレーン成分として4-フルオロ-1-ナフトニトリルを用いて製造した:1H NMR (CDCl3、400MHz) δ8.30 (d、J=6.8Hz、1H)、8.19 (d、J=8.2Hz、1H)、7.81 (d、J=8.1Hz、1H)、7.64 (dd、J=7.3、7.3Hz、1H)、7.56 (dd、J=7.7、7.7Hz、1H)、7.13 (d、J=7.9Hz、1H)、3.37 (t、J=7.1Hz、2H)、3.15 (d、J=6.4Hz、2H)、1.57 (sex、J=7.2Hz、2H)、0.96 (sept、J=5.2Hz、1H)、0.89 (t、J=7.3Hz、3H)、0.44〜0.42 (m、2H)、0.01〜0.00 (m、2H)。
【0106】
実施例9
【化8】

【0107】
N1-エチル-N2,N2-ジメチル-N1-(4-ニトロ-1-ナフチル)-1,2-エタンジアミン
実施例1、方法Bと同様にして、アミン成分としてN1-エチル-N2,N2-ジメチル-1,2-エタンジアミンを用いて製造した:1H NMR (CDCl3、400MHz) δ8.65 (d、J=8.8Hz、1H)、8.31 (d、J=8.4Hz、1H)、8.25 (d、J=7.9Hz、1H)、7.72 (dd、J=7.0、7.0Hz、1H)、7.64 (dd、J=7.3、7.3Hz、1H)、7.13 (d、J=8.4Hz、1H)、3.76 (t、J=6.4Hz、2H)、3.37 (q、J=7.1Hz、2H)、3.20 (t、J=3.2Hz、2H)、2.82 (s、6H)、1.07 (t、J=7.1Hz、3H)。
【0108】
実施例10
【化9】

【0109】
4-(プロピルアミノ)-1-ナフトニトリル
実施例1、方法Bと同様にして、4-フルオロ-1-ナフトニトリルおよびプロピルアミンを用いて合成した:MS (ES) m/z 211 (M+1)。
【0110】
実施例11
【化10】

【0111】
4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル
実施例1、方法Bに従い、4-フルオロ-1-ナフトニトリルおよび3-アミノプロパン-1-オールを用いて製造した:MS (ES) m/z 225 (M-1)。
【0112】
実施例12
【化11】

【0113】
3-[(4-ニトロ-1-ナフチル)アミノ]プロパン-1-オール
実施例1、方法Bに従い、1-クロロ-4-ニトロナフタレンおよび3-アミノプロパン-1-オールを用いて製造した: MS (ES): m/z 245 (M-1)。
【0114】
実施例13
【化12】

【0115】
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
実施例1、方法Bに従い、4-フルオロ-1-ナフトニトリルおよび(シクロプロピルメチル)アミンを用いて調製した: MS (APCI) m/z 223 (M+1)。
【0116】
実施例14
【化13】

【0117】
4-{(シクロプロピルメチル)[3-(1-ピペリジニル)プロピル]アミノ}-1-ナフタレンカルボニトリルトリフルオロ酢酸塩
無水DMF(1mL)中のNaH(0.024gの60%w/wミネラルオイル懸濁液、0.60mmol)およびNaI(0.030g、0.20mmol)のスラリーに、室温にて実施例13の化合物(0.044g、0.20mmol)を一度に加えた。混合物を15分間攪拌し、DMF(0.5mL)中の1-(3-クロロプロピル)ピペリジン(0.065g、0.40mmol)の溶液を加えた。この混合物を60℃にて12時間加熱し、冷却して10%v/v HClに注いだ。全体をEt2O(×2)で抽出し、飽和Na2CO3で処理してEt2O(×3)を用いて抽出した。塩基性水層からのエーテル抽出物を合わせて、減圧下で濃縮した。残留物を分離用HPLC(C18カラム、MeCN/水(0.1%v/v TFAを含む))にて精製し、0.033gの表題の化合物を橙色ガムとして得た: MS (APCI) m/z 348 (M+1)。
【0118】
実施例15
【化14】

【0119】
4-[(シクロプロピルメチル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
無水DMF(1mL)中のNaH(0.018gの60%w/wミネラルオイル懸濁液、0.45mmol)のスラリーに、室温にて実施例13の化合物(0.067g、0.30mmol)を一度に加えた。混合物を20分間攪拌し、[(3-ブロモプロピル)オキシ](1,1-ジメチルエチル)ジメチルシラン(0.080mL、0.36mmol)をシリンジから添加した。混合物を20時間攪拌し、水に注いで、全体をEt2O(×3)で抽出した。合わせた有機性部分を洗浄し(水、ブライン)、減圧下で濃縮した。残留物をEtOH(2mL)に溶かし、PPTS(0.030g)を添加した。この混合物を密閉バイアル中で80℃にて2時間加熱し、冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を分離用HPLC(C18カラム、MeCN/水(0.1%v/v TFAを含む))にて精製し、0.037gの表題の化合物を無色ガムとして得た: MS (APCI) m/z 281 (M+1)。
【0120】
実施例16
【化15】

【0121】
4-ニトロ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン
TFA(20mL)中の4-ニトロ-1-ナフタレンアミン(3.76g、20.0mmol)の溶液に、0℃にてNaBH3CN(2.51g、40mmol)を10分間にわたり少しずつ加えた(注意:水素の発生を伴う発熱反応)。混合物を5分間攪拌し、トリフルオロアセトアルデヒド水和物(5.76g、40mmol)を、3分間にわたって滴下しながら加えた。フラスコをゴム栓で密閉し、窒素のバルーン圧(balloon pressure)下に置いた。冷却浴を取り外し、混合物を室温にて12時間攪拌した。飽和NaHCO3(0℃)中にゆっくりと注ぐことにより混合物を中和し、全体をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機性部分を洗浄し(水、ブライン)、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過して、濃縮乾固させた。EtOAc/ヘキサンからの再結晶化により、2.82gの表題の化合物を、明るい黄色の針状晶として得た: MS (APCI) m/z 269 (M-1)。
【0122】
実施例17
【化16】

【0123】
4-ブロモ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン
実施例16に記載のようにして、4-ブロモ-1-ナフタレンアミンから合成した:1H NMR (300 MHz、DMSO-d6) δ8.25 (d、J=8.7Hz、1H)、7.42 (重なり合ったdd、1H)、7.30〜7.15 (m、3H)、6.89 (d、J=7.9Hz、1H), 6.80 (t、J=6.6Hz、1H)、4.17 (重複するqd、2H)。
【0124】
実施例18
【化17】

【0125】
4-ブロモ-N,N-ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン
TFA(3mL)中の実施例17の化合物(0.253g、0.832mmol)の溶液に、0℃にてNaBH3CN(0.261g、4.16mmol)を3分間にわたって少しずつ加えた。混合物を5分間攪拌し、トリフルオロアセトアルデヒド水和物(0.214g、1.66mmol)を加えた。フラスコをゴム栓で密閉し、窒素のバルーン圧下に置き、冷却浴を取り外した。過剰のトリフルオロアセトアルデヒド水和物(2.14g、16.6mmol)を、攪拌中の混合物にシリンジポンプを用いて15時間かけて加えた。この混合物を飽和NaHCO3(0℃)にゆっくりと注ぎ、全体をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機性部分を洗浄し(水、ブライン)、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、0.267gの表題の化合物を白色固体として得た:1H NMR (300MHz、アセトン-d6) δ8.34 (d、J=8.5Hz、1H)、7.79 (d、J=7.6Hz、1H)、7.60 (重複するddd、1H)、7.51 (d、J=7.6Hz、1H)、7.37 (重複するddd、1H)、7.29 (d、J=8.3Hz、1H)、4.30 (q、J=9.1Hz、4H)。
【0126】
実施例19
【化18】

【0127】
4-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
実施例16に記載したのと同様にして、4-アミノ-1-ナフタレンカルボニトリルから合成した:1H NMR (300MHz、CDCl3) δ8.22 (d、J=8.3Hz、1H)、7.87〜7.78 (m、2H)、7.70 (重複するddd、1H)、7.61 (重複するddd、1H)、6.71 (d、J=8.3Hz、1H)、5.19 (br. t、J=6.4Hz、1H)、4.05 (重複するqd、2H)。
【0128】
実施例20
【化19】

【0129】
4-[ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
実施例18に記載したのと同様にして、実施例19の化合物を用いて合成した:MS (EI) m/z 332 (M+、86%)、263 ([M-CF3]+、100%)。
【0130】
実施例21
【化20】

【0131】
4-[プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
無水DMF(2mL)中のヘキサン洗浄NaH(0.033gの60%w/wミネラルオイル中懸濁液、0.82mmol)のスラリーに、DMF(1mL)中に溶解した実施例19の化合物(0.102g、0.41mmol)の溶液を、0℃にて2分間にわたって滴下しながら加えた。混合物を20分間攪拌し、1-ヨードプロパン(0.080mL、0.82mmol)を添加し、冷却浴を取り外した。室温にて12時間攪拌した後、混合物を水に注ぎ、全体をエーテル(×3)で抽出した。合わせた有機性部分を洗浄し(水、ブライン)、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、0.076gの表題の化合物を無色ガムとして得た:1H NMR (400MHz、MeOH-d4) δ8.31 (d、J=8.3Hz、1H)、8.15 (d、J=8.3Hz、1H)、7.94 (d、J=7.9Hz、1H)、7.72 (重複するddd、1H)、7.66 (重複するddd、1H)、7.46 (d、J=8.0Hz、1H)、4.04 (q、J=9.3Hz、2H)、3.38 (t、J=7.4Hz、2H)、1.53 (重複するqt、2H)、0.85 (t、J=7.4Hz、3H)。
【0132】
実施例22
【化21】

【0133】
4-[2-プロペン-1-イル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
実施例21に記載したのと同様にして、実施例19の化合物および臭化アリルを用いて合成した:1H NMR (400MHz、MeOH-d4) δ8.33 (d、J=8.4Hz、1H)、8.16 (d、J=8.4Hz、1H)、7.94 (d、J=8.0Hz、1H)、7.74 (重複するddd、1H)、7.68 (重複するddd、1H)、7.45 (d、J=8.0Hz、1H)、5.88 (ddt、J=17.0、10.3、6.5Hz、1H)、5.28〜5.17 (m、2H)、4.04 (q、J=9.2Hz、2H)、3.96 (d、J=6.5Hz、2H)。
【0134】
実施例23
【化22】

【0135】
4-[(2-ヒドロキシエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
無水MeCN(10mL)中に実施例19の化合物(1.00g、4.00mmol)、ブロモ酢酸メチル(1.89mL、20.0mmol)および無水K2CO3(2.76g、20.0mmol)を含む混合物を、窒素下にて22時間還流した。混合物を冷却し、Cs2CO3(6.5g、20mmol)および追加のブロモ酢酸メチル(1.89mL、20mmol)を添加し、還流を再開した。14時間後、混合物を冷却し、水に注いで、全体をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機性部分をブラインで洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過後、濃縮乾固させて0.883gの無色固体を得た。これはさらなる精製を行わずに後続の工程に用いた。粗製の固体を無水THF(10mL)中に溶解し、0℃まで冷却し、そしてTHF中のLiBH4の溶液(2.74mLの2.0M溶液、5.49mmol)を3分間にわたって滴下しながら加えた。冷却浴を取り外し、混合物を室温にて72時間攪拌した。混合物を0℃まで冷却し、飽和NH4Clの滴下により反応を停止させ、水に注いで全体をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機性部分を洗浄し(水、ブライン)、Na2SO4を用いて乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)により精製し、0.638gの表題の化合物を無色のシロップ状液体として得たが、それはゆっくりと固化した:MS (APCI) m/z 295 (M+1)。
【0136】
本発明の化合物はアンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、および/またはプロゲステロン受容体のモジュレーターである。これらのオキソステロイド核内受容体を介した活性は、以下のin vitroおよびin vivoアッセイを用いて測定した。
【0137】
in vitroアッセイ:
以下の略語および材料の供給源を用いた:
Fluormone PL Red − 市販のPR蛍光プローブ(PanVera Corp、製品番号P2965)
Fluormone GS Red − 市販のGR蛍光プローブ(PanVera Corp、製品番号P2894)
Fluormone AL Green − 市販のAR蛍光プローブ(PanVera Corp、製品番号P3010)
PR-LBD − グルタチオントランスフェラーゼで標識した精製ヒトプロゲステロンリガンド結合ドメイン(PanVera Corp、製品番号P2900)
GR − 精製ヒトグルココルチコイド受容体(PanVera Corp、製品番号P2812)
AR-LBD − グルタチオントランスフェラーゼで標識した精製ラットアンドロゲンリガンド結合ドメイン(PanVera Corp、製品番号P3009)
PRスクリーニングバッファー − 100mMリン酸カリウム(pH 7.4)、100μG/mLウシγグロブリン、15%エチレングリコール、0.02%NaN3、10%グリセロール(PanVera Corp、製品番号P2967)中に0.1%w/v CHAPSを含む
ARスクリーニングバッファー − pH 7.5、タンパク質安定化剤およびグリセロールを含む(PanVera Corp、製品番号P3011)
GRスクリーニングバッファー − 100mMリン酸カリウム(pH 7.4)、200mM Na2MoO2、1mM EDTA、20%DMSO(PanVera Corp、製品番号P2814)中にGR安定化ペプチド(100μM)(PanVera Corp、製品番号P2815)を含む
DTT − ジチオトレイトール(PanVera Corp、製品番号P2325)
Discovery Analyst − FPリーダー
DMSO − ジメチルスルホキシド
【0138】
プロゲステロン受容体蛍光偏光アッセイ:
化合物とプロゲステロン受容体との相互作用について調べるために、プロゲステロン受容体蛍光偏光アッセイを用いる。
【0139】
化合物を384ウェル黒色プレートに加え、最終容量0.5μLとする。十分量のFluormone PL RedおよびPR-LBDを氷上にて解凍し、最終濃度をそれぞれ2nM、40nMとする。PRスクリーニングバッファーを4℃に冷却してから、DTTを添加して最終濃度1mMとする。Fluormone PL RedおよびPR-LBD(PRスクリーニングバッファー中)を化合物のプレートに添加し、最終容量を10μLとする。20〜22℃にて2時間インキュベートしてアッセイを行う。プレートを、好適な535nm励起干渉フィルターおよび590nm発光干渉フィルターを用いて、Discovery Analyst中で測定する。PR受容体と相互作用する化合物は、より低い蛍光偏光値を与える。テスト化合物をDMSO中に溶解して希釈する。化合物を1回ずつアッセイし、以下の式の4パラメータ曲線フィットに当てはめる:

【0140】
(式中、aは最小値、bはHill勾配、cはIC50であり、dは最大値)。最大値および最小値は化合物の不在下、および10-5Mプロゲステロンの存在下での結合に匹敵する。データはn回の実験の平均のpIC50および標準誤差として表される。pIC50が5.0より大きく、% maxが50より大きい化合物は望ましい化合物であるとみなされる。
【0141】
アンドロゲン受容体蛍光偏光アッセイ:
化合物とアンドロゲン受容体との相互作用について調べるために、アンドロゲン受容体蛍光偏光アッセイを用いる。
【0142】
化合物を384ウェル黒色プレートに加え、最終容量0.5μLとする。十分量のFluormone AL GreenおよびAR-LBDを氷上にて解凍し、最終濃度をそれぞれ1nM、25nMとする。ARスクリーニングバッファーを4℃に冷却してから、DTTを添加して最終濃度1mMとする。Fluormone AL GreenおよびAR-LBD(ARスクリーニングバッファー中)を化合物のプレートに添加し、最終容量を10μLとする。20℃にて5時間インキュベートしてアッセイを行う。プレートを、好適な485nm励起干渉フィルターおよび535nm発光干渉フィルターを用いて、Discovery Analyst中で測定する。AR受容体と相互作用する化合物は、より低い蛍光偏光値を与える。テスト化合物をDMSO中に溶解して希釈する。化合物を1回ずつアッセイし、以下の式の4パラメータ曲線フィットに当てはめる:

【0143】
(式中、aは最小値、bはHill勾配、cはIC50であり、dは最大値)。最大値および最小値は化合物の不在下、および10-5Mジヒドロテストステロンの存在下での結合に匹敵する。データはn回の実験の平均のpIC50および標準誤差として表される。pIC50が5.0より大きく、%maxが50より大きい化合物は望ましい化合物であるとみなされる。
【0144】
グルココルチコイド受容体蛍光偏光アッセイ:
化合物とグルココルチコイド受容体との相互作用について調べるために、グルココルチコイド受容体蛍光偏光アッセイを用いる。
【0145】
化合物を384ウェル黒色プレートに加え、最終容量0.5μLとする。十分量のFluormone GS RedおよびGRを氷上にて解凍し、最終濃度をそれぞれ1nM、4nMとする。GRスクリーニングバッファーを4℃に冷却してから、DTTを添加して最終濃度1mMとする。Fluormone GS RedおよびGR(GRスクリーニングバッファー中)を化合物のプレートに添加し、最終容量を10μLとする。4℃にて12時間インキュベートしてアッセイを行う。プレートを、好適な535nm励起干渉フィルターおよび590nm発光干渉フィルターを用いて、Discovery Analyst中で測定する。GR受容体と相互作用する化合物は、より低い蛍光偏光値を与える。テスト化合物をDMSO中に溶解して希釈する。化合物を1回ずつアッセイし、以下の式の4パラメータ曲線フィットに当てはめる:

【0146】
(式中、aは最小値、bはHill勾配、cはEC50であり、dは最大値)。最大値および最小値は化合物の不在下、および10-5Mデキサメタゾンの存在下での結合に匹敵する。データはn回の実験の平均のpIC50および標準誤差として表される。pIC50が5.0より大きく、%maxが50より大きい化合物は望ましい化合物であるとみなされる。
【0147】
一過性トランスフェクションアッセイ:
全長hARを用いた共トランスフェクションアッセイを、CV-1細胞(サル腎繊維芽細胞)において行った。細胞を96ウェルプレート中の活性炭処理培地中に播き(24,000細胞/ウェル)、一晩インキュベートした。一過性トランスフェクションは、以下のプラスミドを用いて行った:pSG5-AR、MMTV LUCレポーター、β−アクチンSPAP、およびpBluescript(フィラーDNA)。その後、細胞のプレートを6〜20時間インキュベートした。トランスフェクション混合物を洗い流し、10-10〜10-5の範囲の用量で薬物を細胞に加えた。それぞれのサンプルについて、二回反復測定を用いた。薬物とのインキュベーションを14時間続けた。SPAP計測のために分光光度計を用い、ルシフェラーゼアッセイの結果を読み取るためにはトップカウンター(topcounter)を用いた。細胞数およびトランスフェクション効率でのばらつきを標準化するために、ルシフェラーゼ活性とSPAP活性との比を計算した。
【0148】
データ解析:
データは、RoboFit99を用いて換算した。結果を、以下の式により計算される最大値に対する%(%max)として表した:

*プレート当たりの基底活性化=(Lucビヒクル)/(SPAPビヒクル−基質ブランク平均)

【0149】
以下の式を用いて、アゴニストについてはEC50を、アンタゴニストについてはIC50を決定するために、RoboFitを用いてこれらのデータから曲線をフィットさせた:
Y=((Vmax*x)/(K+x))+Y2
【0150】
以下の式を用いて、データ入力のためにこれらの値をpEC50およびpIC50に変換した:
pEC50=-log(EC50)
pIC50=-log(IC50)
【0151】
アンタゴニストアッセイについて、アンタゴニスト最大応答%を以下の式を用いて計算した。式中YminおよびYmaxはテストした最大濃度または最小濃度での曲線の漸近線である:
アンタゴニスト最大応答%=100*(1-Ymin/Ymax)
【0152】
アンタゴニストアッセイについて、以下の式を用いてpKbを計算した:
pKb=未知物質のIC50/((1+conc)/DHT EC50平均)
式中、conc=アンタゴニスト実験のために培地中でアゴニストとして用いたDHTの濃度(nM)。この濃度はpEC50の2倍に設定した。これはARについては0.2となる。
【0153】
pXC50が5.0より大きい化合物は望ましい化合物であるとみなされる。
【0154】
去勢オスラットモデル(ORXラット)
アンドロゲン受容体モジュレーターとしての本発明の化合物の活性を、以下の文献に記載の去勢オスラットモデル(ORX)を用いて調べた:C. D. Kockakian, Pharmac. Therap. B 1(2), 149-177 (1975);C. TobinおよびY. Joubert, Developmental Biology 146,131-138 (1991);J . Antonio, J. D. WilsonおよびF. W. George, J Appl. Physiol. 87(6) 2016-2019 (1999)(これらの開示は参照により本明細書中に含められる)。
【0155】
アンドロゲンが、動物およびヒトの両者で多くの組織の維持および成長に重要な役割を果たすことは、詳細に記述されてきた。肛門挙筋および球海綿体筋のような筋肉、ならびに前立腺および精嚢のような副生殖器官はアンドロゲン受容体を高レベルで発現しており、外因性アンドロゲンの添加または精巣切除によるアンドロゲン欠乏に対して素早く応答することが知られている。去勢は、筋肉および副生殖器官の劇的な萎縮を引き起こし、一方で、当該去勢動物に対する外因性アンドロゲンの投与はこれらの筋肉および副生殖器官の効果的な肥大をもたらす。肛門挙筋(背側球海綿体筋としても知られる)は「真性骨格筋」ではなく、明らかに伴性的なものであるが、そのアンドロゲン応答性および除去の簡便性から、この筋肉をテスト化合物の筋肉同化活性をスクリーニングするために用いることは合理的である。
【0156】
オスSprague-Dawleyラット(体重160〜180g)をアッセイに用いた。ラットは、研究に供される際および研究期間を通して、1匹ずつケージに入れられた。両側精巣除去を、イソフルラン麻酔下に、無菌手術条件で行った。陰嚢を前後方向に切開した。精巣を露出させ、睾丸動脈および輸精管を結紮部位から0.5cm近位で4.0絹糸を用いて結紮した。結紮部位より遠位で、外科用ハサミにより精巣を除去した。組織残片を陰嚢に戻し、陰嚢およびそれを覆う皮膚を外科用ホッチキスで閉じた。偽ORXラットについては、結紮およびハサミでの切除以外の全ての手術を行った。ラットを、体重に基づいて術後7〜10日に研究グループにランダムに割り当てた。
【0157】
陽性対照としてジヒドロテストステロン(DHT)を用いた(1〜10mg/kg皮下注射)。本発明の化合物を皮下または経口的に4〜28日間投与した。ラットの体重を毎日計測し、用量をそれに応じて調整した。動物の一般健康状態を、研究期間を通してモニターした。
【0158】
研究の最後に、ラットをCO2チャンバー内で安楽死させた。腹側前立腺(VP)、精嚢(SV)、肛門挙筋(LA)および球海綿体筋(BC)を注意深く解剖した。組織から水分を吸い取って乾かし、重量を記録し、そして組織学的解析および分子的解析のために回収した。VPおよびSVの重量はアンドロゲン作用を示すものであり、LAおよびBCは同化促進作用を示すものである。同化促進活性とアンドロゲン活性の比を、テスト化合物を評価するために用いた。血清黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)および同化促進活性の他の考えられる血清マーカーについても解析した。
【0159】
一般的に、好ましい化合物は肛門挙筋肥大を示し、前立腺刺激をごくわずかしか示さない。
【0160】
テスト化合物は、遊離状態または塩の形態で用いた。
【0161】
全ての研究は、実験動物管理基準(NIH刊行物番号85-23、1985年改訂)およびGlaxoSmithKlineの動物使用についての指針に従った。
【0162】
本発明の具体的な実施形態を本明細書中に例示し、詳細に記載したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の詳細な説明は本発明の例示として提供されるものであり、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。これらの改変は当業者には自明であろうし、本発明の精神から逸脱しない全ての改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的に機能しうる誘導体:
【化1】

(式中、
R1はシアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R6、-CO2R6、-CONHR6、-C(O)R6、-S(O)nR6、-SO2N(R6)2、-NHC(O)R6、または-NHSO2R6であり;
R2はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R6、またはアリールであり;
R3およびR4はそれぞれ独立に-(CH2)x-R5であり、
ここでxは0〜6、R5はH、アルキル、ヒドロキシ、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、-C(O)OR7、または-N(R8)2より選択され;
各R6は独立にH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
各R7は独立にH、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり;
各R8は独立にHまたはアルキルであり;
R9はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、-OC(O)R8、またはアリールである)。
【請求項2】
R1がシアノ、ニトロ、またはハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3が-(CH2)x-R5であり、xは0、かつR5はH、アルキル、またはハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
ハロアルキルがトリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R3が-(CH2)x-R5であり、xは1、かつR5はシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R4が-(CH2)x-R5であり、xは0、かつR5はアルキル、シクロアルキル、またはヒドロキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R4が-(CH2)x-R5であり、xは1〜6、かつR5はアルキル、アルケニル、ハロアルキル、ヒドロキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または-N(R10)2であり、各R10はC1〜C6アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
次の化合物:
N-(シクロプロピルメチル)-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N-プロピルアミン;
N-シクロヘキシル-N-メチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
N-(4-ニトロ-1-ナフチル)-N,N-ジプロピルアミン;
N-ブチル-N-メチル-N-(4-ニトロ-1-ナフチル)アミン;
4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N-ブチル-N-エチル-4-ニトロ-1-ナフタレンアミン;
4-[ブチル(メチル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
N1-エチル-N2,N2-ジメチル-N1-(4-ニトロ-1-ナフチル)-1,2-エタンジアミン;
4-(プロピルアミノ)-1-ナフトニトリル;
4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフトニトリル;
3-[(4-ニトロ-1-ナフチル)アミノ]プロパン-1-オール;
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-{(シクロプロピルメチル)[3-(1-ピペリジニル)プロピル]アミノ}-1-ナフタレンカルボニトリルトリフルオロ酢酸塩;
4-[(シクロプロピルメチル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-ニトロ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-ブロモ-N,N-ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)-1-ナフタレンアミン;
4-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;
4-[2-プロペン-1-イル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル;および
4-[(2-ヒドロキシエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-1-ナフタレンカルボニトリル
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
実施例のいずれか1つに従って製造される、実質的に上記で定義したとおりの請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
治療用有効成分として使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療または予防に使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療または予防に使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療用または予防用の医薬の製造における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療用または予防用の医薬の製造における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の投与を含む、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに応答する症状もしくは障害の治療または予防方法。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の投与を含む、骨粗鬆症、筋肉疲労、虚弱、心臓血管疾患、乳癌、子宮癌、前立腺過形成、前立腺癌、異常脂質血症、更年期血管運動症状、尿失禁、動脈硬化症、性欲亢進、抑うつ、子宮筋腫症、大動脈平滑筋細胞増殖、子宮内膜症、もしくはADAMの治療または予防方法。

【公表番号】特表2007−505164(P2007−505164A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533682(P2006−533682)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/018456
【国際公開番号】WO2004/110978
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】