説明

アンヒドロペンチトールのケタールエステルおよびその使用

本開示は、アンヒドロペンチトールおよびオキソカルボキシレートからのケタール化合物;その誘導体、ホモポリマー、およびコポリマー;ならびにそれから誘導される様々な組成物、製剤、および物品の調製に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国の国内企業のXLTerra,Inc.(米国を除く全ての指定国に対する出願人)、ならびに米国民のSergey Selifonov、中華人民共和国国民のFeng Jing、および中華人民共和国国民のNing Zhou(米国のみを指定国とする出願人)の名義で、2010年5月28日にPCT国際特許出願として出願されており、全体の内容が参照により本明細書に援用される2009年5月29日に出願の米国仮特許出願第61/182,161号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
オキソカルボン酸エステルとペンチトールの環状エーテルとのアセタールおよびケタールをベースとする新規な化学組成物ならびにそれらから形成されるポリマー組成物が開示される。
【背景技術】
【0003】
国際特許公報の国際公開第2009/032905号パンフレットおよび米国特許出願公開第2008/0242721号明細書には、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、または1,1,1−トリメチロールエタンなどのトリオールと、レブリン酸アルキル、アセト酢酸アルキル、およびピルビン酸アルキルを含む、様々なオキソカルボキシレートのエステルとの反応生成物が開示されている:
【化1】

式中、aが、0または1〜12の整数であり、bが、0または1であり、Rが、任意の置換基であり、Rが、水素またはアルキル基であり、Rが、水素、メチルまたはエチルである。これらの化合物は全て、1分子当たり、1つの遊離ヒドロキシル基ならびに1つのカルボン酸エステル、カルボン酸、またはカルボン酸塩を特徴とするため;この化合物は、「ヒドロキシケタールエステル」と呼ばれ得る。ホモポリエステルを形成するための自己縮合を含むさらなる反応のために、ヒドロキシケタールエステルのヒドロキシル部分およびエステル部分を利用することができる。
【0004】
ある実施形態において、ヒドロキシケタールエステルは、再生可能な生物由来の原料をベースとする原材料を用いるという利点を有し、ここで、「再生可能な」はASTM D6866で定義されるとおりに用いられる。グリセロール、トリオール、およびレブリン酸エステルから形成されるヒドロキシケタールエステルは、その一例である:
【化2】

グリセロールは、バイオディーゼル燃料の合成の副生成物である。レブリン酸およびレブリン酸エステルは、再生可能な植物由来の原料をベースとする。このような出発材料は、フタレートおよび多くの他の商業的に有用なポリマーを作製するのに用いられるものなどの石油系原料の代わりに用いられると有利である。
【0005】
しかしながら、ヒドロキシケタールエステルをベースとするホモポリマーの一部の化学種のガラス転移温度は25℃未満である。例えば、グリセロールおよびレブリン酸エステルから形成されるヒドロキシケタールエステルのホモポリマーでは、分子量などの変数に応じて約5℃〜10℃である。さらに、多くのこのようなポリマーは結晶含量がごく少ない。このようなポリマーの中には、通常の室温でゴム状物質であるものもあり、このようなポリマーの使用は、接着剤などの用途に限られる。ポリマーは、自動車部品、テーブル面、食品もしくは飲料を入れるための道具または容器などの硬質の、構造物品または耐荷重性物品として有用であるために、周囲使用温度より高いガラス転移温度を有していなければならない。「周囲」温度は、多くの用途について、15℃〜45℃の範囲であり、25℃より高いことが多い。場合によっては、例えば、沸騰水またはほぼ沸騰水との接触が予想される用途では、周囲温度が100℃もの高さになる。
【0006】
ヒドロキシケタールエステルと、他のモノマーとの共重合を用いて、ポリマーの全体ガラス転移温度を上げ、結晶性を与え、またはその両方を行うことができる。例えば、ヒドロキシケタールエステルと、ジオールおよびテレフタル酸エステルとの共重合は、コポリマーのガラス転移温度を、対応するヒドロキシケタールエステルホモポリマーで得られるガラス転移温度よりかなり高くすることが知られている。しかしながら、フタレートおよび他の石油系モノマーを用いると、得られるポリエステル中の再生可能な生物由来の原料の含量が減少する。
【0007】
100%再生可能な生物由来の原料を用いて、有用なモノマー化合物を形成することが望ましい。このようなモノマー化合物を用いて、周囲使用温度より高いガラス転移温度を有するホモポリエステルおよび他のポリマー材料を形成するのが望ましい。100℃以上のガラス転移温度を有するこのような材料を形成するのが特に望ましい。軟化したり、または強度もしくは完全性が低下したりせず、最大で100℃まで、またはさらには100℃を超える温度に曝され得るこのような材料を形成するのが望ましい。多くの用途向けに、可視光に対して透過性のポリマーを提供するのが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、二環構造を特徴とする新規な種類のヒドロキシエステルモノマーを発見した。このモノマーは、オキソカルボキシレートと特定のペンチトールの環状エーテルとのアセタール化またはケタール化によって形成される。このモノマーは、1分子当たり、1つのヒドロキシル官能基および1つのエステル官能基を有する。このモノマーのアセタールまたはケタール部分は、環状であり、環状エーテル部分とともに、二環縮合環構造からなる1つの環を構成する。このモノマーを作製するのに有用なペンチトールおよびオキソカルボキシレートは、ある実施形態において、100%再生可能な生物由来の原料をベースとしている。
【0009】
本発明は、新規な化合物を作製するのに用いられる方法をさらに含む。本発明は、例えば、様々な製剤中の可塑剤、粘着付与剤、凝集溶媒などとして有用な新規なモノマー化学種の有用な反応生成物をさらに含む。
【0010】
本発明は、新規な化合物をベースとする二量体、オリゴマーおよびポリマーをさらに含む。オリゴマーおよびポリマーは、単独重合および共重合の両方の生成物を含む。本発明の1つ以上のホモポリマーは、非常に高いガラス転移温度、ある実施形態において100℃を超えるガラス転移温度を意外にも有する。
【0011】
本発明は、これらの新規な二量体、オリゴマー、およびポリマーを組み込んでいる組成物および製剤をさらに含む。
【0012】
本発明は、本発明の二量体、オリゴマー、またはポリマーから、あるいは本発明の二量体、オリゴマー、ポリマー、可塑剤、粘着付与剤、凝集溶媒などを含む製剤から作製される物品をさらに含む。
【0013】
本発明のさらなる利点および新規な特徴は、一部は後述される説明に記載され、一部は以下を検討すれば明らかとなり、または本発明を実施する際の通常の実験により理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の化合物のGC−MSスペクトル(全イオン電流)のガスクロマトグラフ部分を示す。
【図2】本発明の化合物の電子イオン化質量スペクトルの質量スペクトル部分を示す。
【図3】本発明の化合物の電子イオン化質量スペクトルの質量スペクトル部分を示す。
【図4】本発明の化合物のH NMRスペクトルを示す。
【図5】本発明の化合物のGC−MSスペクトル(全イオン電流)のガスクロマトグラフ部分を示す。
【図6】本発明の化合物のH NMRスペクトルを示す。
【図7】本発明の化合物のDSC走査を示す。
【図8】本発明の化合物のゲル浸透クロマトグラムを示す。
【図9】本発明の化合物のH NMRスペクトルを示す。
【図10】本発明の化合物のH NMRスペクトルを示す。
【図11】本発明の化合物のH NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態において、本発明の化合物は、一般式Iで表され、
【化3】

式中;
aが、0または1〜12の整数であり;
Xが、OまたはNRであり、ここで、Rが、水素、あるいは1〜6個の炭素を有する直鎖状または分枝状のアルキル基であり;
が、水素、金属陽イオン、有機陽イオン、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、またはポリマー部分であり;
各Rが、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり;
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく、
が、水素、あるいは直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を有するアシル基である。
【0016】
本明細書において用いられる際の「ポリマー部分」は、重合された水酸化化合物の残基を意味する。ポリマー部分は、構造または分子量について特に制限されないが;唯一の制限は、ポリマー部分が由来するポリマーが、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキサミド、またはカルボン酸塩と反応されたときにカルボン酸エステルまたはカルボキサミド結合を形成可能な少なくとも1つのヒドロキシルまたはアミノ基を有することである。ある実施形態において、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどのポリオールの残基が、ポリマー部分の構造を構成する。
【0017】
実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの1つ以上が、例えば、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン、ケイ素、またはリンを含む1つ以上のヘテロ原子をさらに有する。化合物Iは、本明細書において場合により化合物Iカルボキシレートと呼ばれる。化合物Iカルボキシレートは、本明細書において使用される際、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、またはカルボキサミド部分を含む。化合物Iは、ペンチトール(ペントール)の環状エーテルから合成され、これはここで公知の脱水プロセスによって合成される。例えば、キシリトール、ペンチトールを、「キシリタン(xylitan)」と呼ばれる1,4−アンヒドロキシリトール(「1,4−AX」)異性体のラセミ混合物へと転化することが知られている:
【化4】

【0018】
キシリトールは、1,2,3,4,5−ペンタノールの4つの異性体のうちの1つである。他の異性体には、リビトールおよびアラビトールが含まれる。キシリトールは、様々な液果類、トウモロコシの皮、オートムギ、樺の木、およびキノコ類を含む、多くの植物ならびにある種の樹木の繊維から抽出することができる再生可能な生物由来の糖アルコールである。より実用的には、キシリトールは、キシロースの公知の水素化プロセスによって工業的に得られる。キシロースは、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの茎葉、穀物のわら、サトウキビバガス、木質廃材、製紙用パルプ処理液などの、ある範囲の食品以外のペントサン含有バイオマス源の利用を可能にする公知の加水分解技術によって製造可能である。
【0019】
環状構造を得るための脱水反応はまた、実施形態において、キシリトールならびに他のペンチトールの様々な立体異性体を用いて行われる。ある脱水反応において、六員環に結合される3つの隣接したヒドロキシル部分を有する1,5−アンヒドロペンチトール(「1,5−AP」)付加物も形成される。アンヒドロペンチトール(「AP」)立体異性体は、まとめて、一般に、以下の構造によって表すことができ、
【化5】

式中、R、R、およびRが、上記の化合物Iについて定義したとおりであり、ただし、1,4−APおよび1,5−AP構造中のR、R、およびRのいずれも共有結合ではない。通常、エーテル環を形成するための脱水反応は、水の除去を伴って、硫酸などの強鉱酸の存在下でペンチトールを加熱することによって行われる。このような反応の代表例は、例えば、Kurzewskaら、J.Carbohydrate Chem.2004、23(4)、169〜77およびCarsonら、J.Am.Chem.Soc.1945、67(10)、1808〜10に記載されている。実施形態において、Carsonらに記載される反応条件が、1,4−アンヒドロキシリトールを選択的に調製するのに特に有利である。Carsonらの教示に加えて、ある実施形態において、高純度および低色(low color)の1,4−アンヒドロキシリトールを得るのに大幅に低減した量の強鉱酸を用いた反応が行われる。例えば、ある実施形態において、約50〜200ppmの酸触媒が用いられ;他の実施形態において、約10〜100ppmの酸触媒が用いられる。ある実施形態において、反応は、約160℃〜180℃で行われる。ある実施形態において、反応は、約1〜3時間加熱することによって行われる。実施形態において、反応により、77%〜85%の単離モル収率、ある実施形態において、85%より高いモル収率が得られる。
【0020】
ある実施形態において、本発明の化合物Iは、1モル当量のオキソカルボキシレートと、1モル当量のAPとを反応させて環状ケタールを形成することによって形成される。オキソカルボキシレートは、1つのカルボキシレート基および1つのケトンまたはアルデヒド基を有する化合物であり、本明細書において以下のように表され、
【化6】

式中、R、R、R、X、およびaが、化合物Iについて定義したとおりである。オキソカルボキシレートのケトンまたはアルデヒド基は、隣接した炭素、または1つの炭素が間に配置された2つの炭素のいずれかに配置される2つのヒドロキシル部分を有する化合物の存在下で、環状ケタールまたはアセタールを形成し得る。このような反応は、例えば、特許公報番号国際公開第2007/062118号パンフレット、同第2009/032905号パンフレット、および同第2009/048874号パンフレットならびにそれらに引用される参照文献に開示されている。また、オキソカルボキシレートからアセタールおよびケタールを作製するのに用いられる、それらの文献に開示される方法のいずれかを様々な実施形態において用いて、環状エーテルおよびオキソカルボキシレートから本発明の化合物Iを作製する。
【0021】
1,4−APにおいて、1対のヒドロキシル部分が、隣接した炭素原子に配置され、1対のヒドロキシル部分が、1つの炭素原子が間に間隔を空けて配置された炭素原子に配置される。環状ケタールの形成は、1つのヒドロキシル基を未反応のままにして、いずれの部位で起こってもよく;隣接した炭素原子に結合されるヒドロキシルを用いた反応では、五員環の環状ケタール環が得られ、1つの炭素原子を間に有する炭素原子に結合されるヒドロキシルを用いた反応では、六員環の環状ケタール環が得られる。1,5−APを用いた環状ケタールの形成では、五員環ケタール環が得られ、ただし、1,5−APにおける少なくとも1対のヒドロキシル基が、比較的シス型の配向にある。これらの3つの異性体の可能性が、以下に示される。特に、ある実施形態において、環状エーテルおよび環状ケタールの両方の環形成に影響を及ぼす熱力学的な要因、動的な要因、および立体異性体的な要因に応じて、これらの異性体の2つ以上が存在する。
【化7】

【0022】
化合物Iを形成するための反応のある実施形態において、APの立体化学が、オキソカルボキシレートとの反応に選択的に影響を及ぼす。例えば、上述したようなキシリトールをキシリタンへと転化する例では、各1,4−AXラセミ化合物が、隣接した炭素原子に配置される1対のヒドロキシル部分、および1つの炭素原子が間に間隔を空けて配置された炭素原子に配置される1対のヒドロキシル部分を含有する。しかしながら、2つの隣接したヒドロキシルが、互いに対してトランス配置で配置される。この配置は、環外のヒドロキシメチル部位におけるケタール化、すなわち、1つの炭素原子が間に間隔を空けて配置された炭素原子に配置されるヒドロキシルのケタール化に有利に働く。したがって、キシリタンとオキソカルボキシレートとの反応の主な生成物は、六員環の環状ケタール環である。好ましい反応の全体が以下に示される:
【化8】

式中、a、X、R、R、およびRが、化合物Iについて定義したとおりである。
【0023】
本発明の化合物Iを形成するのに有用な化合物としては、様々なアンヒドロペンチトール(AP)、およびオキソカルボキシレートが挙げられる。APを形成するのに用いられるペンチトールの具体的な化学種は、特に限定されないが、少なくとも2つのヒドロキシルが、隣接した炭素原子または1つの炭素が間に配置された炭素原子のいずれかに配置された状態で、ヒドロキシルの近接が、5員環または6員環の環状エーテルを形成するための脱水が可能であるようにしなければならない。有用なペンチトールとしては、限定はされないが、様々な可能な立体異性体、直鎖状または分枝状のペンチトールが挙げられる。直鎖状または分枝状のペンチトールとしては、例えば、ペンタン−1,2,3,4,5−ペントール、ヘキサン−1,2,3,4,5−ペントール、6−クロロヘキサン−1,2,3,4,5−ペントール、6−ブロモヘキサン−1,2,3,4,5−ペントール、6−(オクチルアミノ)ヘキサン−1,2,3,4,5−ペントール、5−(1−ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン−1,2,3,4,6−ペントール、5−アミノヘキサン−1,2,3,4,6−ペントール、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グリシトール、2−デオキシ−2−フルオロ−D−グリシトール、6−エトキシ−6−エチルスルファニルヘキサン−1,2,3,4,5−ペントールなどが挙げられる。
【0024】
オキソカルボキシレートとしては、ケト酸、ケト酸エステル、セミアルデヒド、およびセミアルデヒドエステルが挙げられる。「ケト酸」は、少なくとも1つのケトン部分および1つのカルボン酸部分を有するオキソカルボキシレートを指す。ケト酸は、2つ以上のケトン官能基または2つ以上のカルボン酸官能基を有し得る。ケト酸は、ケトンおよびカルボン酸官能基に加えて存在するさらなる部分または官能基について特に限定されない。ある実施形態において、ケト酸は、1つ以上のヘテロ原子も含有し得る。好適なケト酸のいくつかの例としては、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、5−アミノレブリン酸、オキサロ酢酸、α−ケト酪酸、α−ケトグルタル酸、α−ケトイソ吉草酸、5−ケトヘキサン酸、α−ケトイソカプロン酸、α−ケトアジピン酸、3−ケトアジピン酸、2−ケト−4−メチルチオ酪酸、4−アセチル酪酸、2−ケト−3−ブロモ酪酸、フェニルピルビン酸、2−ケト−3−フェニルプロパン酸、2−ケトペンタン酸、3−ケトヘキサン酸、4−ケトヘキサン酸、2−ケトオクタン酸、3−ケトオクタン酸、4−ケトオクタン酸、7−ケトオクタン酸、2−ケト−4−ペンテン酸、13−ケト−9,11−オクタデカジエン酸、4−ケトステアリン酸、9−ケトパルミチン酸、4−ケトヘプタン二酸、ペニシリン酸、8−ケト−8−アミノペラルゴン酸、2−ケト−5−アミノ吉草酸、2−スクシニルアミノ−6−オキソヘプタン二酸、2−オキソ−3−ブチノエート、3−ケト−6−アセトアミドヘキサノエートなどが挙げられる。さらに、ケト酸は、例えば、1つ以上のトリメチルシリルまたはt−ブチル基、あるいは当該技術分野で公知の1つ以上の他の保護基によって保護されているという条件でヒドロキシルまたはメルカプト官能基を含有し得る。
【0025】
本発明のある実施形態において、用いられるケト酸はレブリン酸(4−オキソペンタン酸)である。レブリン酸は、豊富な原料であり、ヘキソースならびにセルロース、デンプン、スクロースなどのヘキソース含有多糖類の酸性分解によって、またはより効率的には、水の存在下での、食品以外の再生可能な出発材料であるフルフリルアルコールの酸触媒転位によって、工業規模で調製することができる。他の実施形態において、ピルビン酸、およびアセト酢酸が、用いられる他の酸である。
【0026】
「ケト酸エステル」は、1つ以上のケト酸化合物のカルボン酸エステル誘導体を指す。エステル基は、実施形態において、ケト酸とアルカノールとの反応生成物であり、ここで、アルカノールは、少なくとも1つのヒドロキシルならびに1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基である1つの有機基を含有し、ここで、アルキル、アルケニル、アリール、またはアルカリール基は、任意選択により1つ以上のさらなる官能基を有し、さらなる官能基としては、例えば、ハロゲン、エステル、アミン、チオール、エーテル、またはシラン官能基が挙げられるが、特に限定されない。したがって、実施形態において、有機基は、メチルまたはエチル;プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、セチル、またはステアリルなどのアルキル基の直鎖状または分枝状の異性体;シクロヘキシル、シクロオクチル、ノルボルニルなどのシクロアルキル基;エチニル、3−メチルペンタ−1−イン−3−イル、テトラデカ−9−イン−1−イルなどのアルキニル基;フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、5−フェニルペンタ−1−イルなどのアリールおよびアルカリール基である。アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはアルカリールは、第一級、第二級または第三級であってもよく、1つ以上の官能基をさらに有していてもよく;したがって、例えば、有機基は、ある実施形態において、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロピル、5−フルオロ−1−ペンチル、5−アミノ−1−ペンチル、5−ベンジルオキシ−1−ペンチル、5−メトキシ−1−ペンチル、3−ニトロ−2−ペンチル、4−メチルチオ−1−ブチル、1−カルボキシヘキサ−6−イル、プロピオンアミド−2−イルなどである。実施形態において、有機基は、例えば、トリメチルシリル、ホスホノオキシ、またはホスファチジル基といった保護基である。有機基の組成は特に限定されない。
【0027】
本発明のある実施形態において、レブリン酸、ピルビン酸、またはアセト酢酸のエステルが、ポリオール中のケト酸エステルとして用いられる。例えば、本発明のある実施形態においてレブリン酸エチルまたはレブリン酸n−ブチルを用いることができる。レブリン酸エステルは、レブリン酸をベースとする豊富な原料であり、ヘキソースならびにセルロース、デンプン、スクロースなどのヘキソース含有多糖類の酸性分解によって、工業規模で調製される。より効率的には、レブリン酸エステルは、対応するアルコールの存在下での、食品以外の再生可能な出発材料であるフルフリルアルコールの公知の酸触媒転位によって製造される。
【0028】
「ケトアミド」は、1つ以上のケト酸化合物のカルボキサミド誘導体を指す。カルボキサミド基は、実施形態において、ケト酸と第一級または第二級アミンとの反応生成物であり、ここで、アミンは、構造式HNRR’で表され、式中、R基が、化合物Iについて定義したとおりであり、R’が、上記のケト酸エステル化合物について記載される有機基とほぼ同じである有機基である。
【0029】
「セミアルデヒド」は、少なくとも1つのアルデヒド官能基および1つのカルボン酸官能基を有するオキソカルボキシレートを指す。化合物は、2つ以上のアルデヒド官能基または2つ以上のカルボン酸官能基を有し得る。セミアルデヒドは、アルデヒドおよびカルボン酸官能基に加えて存在するさらなる部分または官能基について特に限定されない。ある実施形態において、セミアルデヒドは、1つ以上のハロゲン、エステル、ホスフェート、アミン、チオール、エーテル、またはシラン基も含有し得る。好適なセミアルデヒドのいくつかの例としては、2−オキソエタン酸(グリオキシル酸)、3−オキソプロパン酸(マロン酸セミアルデヒド)、4−オキソブタン酸、5−オキソペンタン酸、6−オキソヘキサン酸、7−オキソヘプタン酸、α−ホルミルグリシン、アスパラギン酸セミアルデヒド、3−オキソ−2−(ホスホノオキシ)−プロパン酸(ヒドロキシル基がホスフェートによって保護されたタルトロン酸セミアルデヒド)、2−メチル−3−オキソプロパン酸(メチルマロン酸セミアルデヒド)、コハク酸セミアルデヒド、アジピン酸セミアルデヒド、5−グルタミルセミアルデヒド、アリシン、2−アミノムコン酸セミアルデヒド、4−アミノ−5−オキソペンタン酸、N−アセチルグルタミン酸セミアルデヒド、2−アミノ−3−(3−オキソプロパ−1−エニル)−ブタ−2−エン二酸、およびN2−スクシニル−L−グルタミン酸−5−セミアルデヒドが挙げられる。Criegee、Angew.Chem.Int.Ed.、1975、87、745に記載されるように、多くの他のセミアルデヒドは、不飽和の脂肪酸エステルをオゾン分解して、不飽和部位においてアルデヒド部分を形成することによって入手可能である。セミアルデヒドのアルデヒド部分は、セミアセタールまたはアセタールの形態でも存在し得る。
【0030】
「セミアルデヒドエステル」は、上述したセミアルデヒド化合物のいずれかの1つ以上のカルボキシレート官能基のエステル誘導体を指す。エステル基の性質は、ケト酸エステル化合物について上述した性質とほぼ同じである。「セミアルデヒドアミド」は、上述したセミアルデヒド化合物のいずれかの1つ以上のカルボキシレート官能基のカルボキサミド誘導体を指す。カルボキサミド基の性質は、実施形態において、ケトアミド化合物について上述した性質と同じである。
【0031】
化合物Iを作製するのに有用な方法としては、オキソカルボキシレートを用いてAPおよびそれらのケタールの両方を作製するための公知の手法が挙げられる。上記に開示したように、ペンチトールの脱水は公知の反応である。したがって、環状エーテルの形成を伴うポリオールの脱水について文献に記載された技術のいずれかを好適に用いて、ペンチトールの環状エーテルを形成する。このような方法は、一般に穏やかな反応条件を含む。実施形態において、強プロトン酸が、反応の触媒として用いられる。しかしながら、方法は、用いられる酸触媒の具体的な化学種について特に限定されない。強プロトン酸(ブレンステッド−ローリー酸)は、55以上のKを有するものである。好適な強プロトン酸触媒の例としては、硫酸、アリールスルホン酸およびその水和物(p−トルエンスルホン酸一水和物など)、過塩素酸、臭化水素酸、および塩酸が挙げられる。一般に、直鎖状ペンチトールの脱水に用いられる酸触媒の量は、出発ペンチトールの重量を基準にして約50〜約10,000ppmである。ある実施形態において、触媒は、固体の担体材料中にまたは固体の担体材料上に組み込まれ、または固体の担体材料に共有結合される。樹脂ビーズ、膜、多孔質炭素粒子、ゼオライト材料、および他の固体の担体材料は、実施形態において、固体の担体の1つ以上の表面に共有結合されるかまたは強く吸着される酸部分で官能化され得る。非限定的な例において、本発明の実施形態において、樹脂に共有結合される活性スルホン酸基を提供する、スルホン酸化樹脂が用いられる。
【0032】
実施形態において、触媒の存在下でペンチトールを加熱し、水が反応容器から除去される条件を用いることによって、反応が行われる。このような条件は、ペンチトールおよび触媒を100℃より高い温度に加熱して水を蒸留させること;実施形態において100℃未満の温度で、真空を用いて水の除去を促すこと;分留;分子篩、高吸収材料、もしくは反応容器自体の中の水を除去する別の手段を用いること;水とともに共沸混合物を形成する不活性溶媒を用い、共沸混合物を蒸留すること;選択的膜ろ過;透析;または材料を乾燥させるための当該技術分野で公知の任意の他の技術を含む。
【0033】
ある実施形態において、APは、オキソカルボキシレートとの反応の前に単離および/または精製される。単離または精製は、例えば、蒸留、膜分離、カラム分離、または当該技術分野で周知の任意の他の標準的な分離技術によって行われる。他の実施形態において、化合物Iを形成するための反応の第2の工程は、環状エーテルを形成するのに用いられる同じ反応容器で行われる。APの形成および単離は、様々な実施形態において、バッチまたは連続反応プロセスで、バッチまたは連続供給蒸留塔、ワイプドフィルム(wiped film)エバポレータ、回転フィルム(spinning film)エバポレータ、ロータリーエバポレータ、流下膜式エバポレータおよび他の同様の機器などの、当該技術分野で公知のデバイスの1つを用いて行われる。
【0034】
ある実施形態において、APとオキソカルボキシレートとの直接反応から化合物Iを形成するのに用いられる反応条件は、全体の内容が参照により本明細書に援用される国際特許公報の国際公開第09/048874号パンフレット;および全体の内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0242721号明細書に開示されている反応条件と同じである。援用される出願に開示されている反応条件は、通常、オキソカルボキシレートおよびケタール化に利用可能な遊離ヒドロキシル基を有するAPから、そのラセミ混合物またはシス/トランス異性体を含む化合物Iを形成するのに用いられる。これらの方法は、触媒としての強酸および、任意選択により、過剰のモル当量(molar complement)のオキソカルボキシレートを組み込む。したがって、実施形態において、オキソカルボキシレートが、AP、および中で形成される化合物Iを含む反応容器に単に添加される。化合物Iを形成するための反応は、実施形態において、バッチ式の反応条件を用いて、単一のポット中で行われる。他の実施形態において、ペンチトールの脱水が上流で行われた後、反応経路に沿って下流の位置でオキソカルボキシレートを添加することによって連続反応において反応が行われる。さらに他の実施形態において、反応は、2つの別個の工程で行われ、2つの工程の間に反応中間体および生成物の精製を行う場合と行わない場合がある。
【0035】
ある実施形態において、化合物Iを形成するための反応の第2の工程は、ケタール交換を用いて行われる。オキソカルボキシレートおよびグリセロールなどの非環状トリオールからケタールを形成するのに用いられるケタール交換方法は、全体の内容が参照により本明細書に援用される国際特許出願の国際公開第2009/146202号パンフレットに記載されている。ケタール交換の他の方法が知られており、通常、本発明とともに用いてもよい。例えば、ペンタエリトリトールのケタール交換は、Lukes、J.Org.Chem.、1961、26(7)、pp2515〜2518によって開示されている。Prydeの米国特許第3,183,215号明細書および同第3,223,683号明細書には、アゼライン酸セミアルデヒドのジメトキシケタールとペンタエリトリトールとのケタール交換が開示されている。これらのおよび任意の他の公知のケタール交換方法は、通常、本発明の1つ以上の実施形態とともに用いられる。
【0036】
本発明の化合物Iを反応させるのにケタール交換を用いるある実施形態において、ケタール交換は、APとケトンとの反応によって中間体のケトニドが形成され;次に、ケトニドがオキソカルボキシレートと反応されて、交換反応によって化合物Iおよびケトンが得られるプロセスである。ケトニドの形成の代表例は、1,4−アンヒドロキシリトール(キシリタン)と、メチルイソブチルケトン(MIBK)との反応であり、ここで、キシリタンの2つの立体異性体が、非対称ケトンとともに、対応するケトニドの2つのシス異性体および2つのトランス異性体を形成する:
【化9】

一方、例えばアセトンまたはジエチルケトンといった対称ケトンは、2つのキシリタン異性体に対応する2つの立体異性体をもたらす。シスおよびトランス配置は、アンヒドロキシリトール分子のヒドロキシルおよびヒドロキシメチル基に対する2つのケトニドアルキル基の関係を示す。
【0037】
次に、ケトニド中間体は、ケタール交換、すなわちケトニドとオキソカルボキシレートとの交換反応に付され、化合物Iおよび元のケトンが得られる。例えば、上記に示される実施形態を用いた、キシリタンのMIBKケトニドとレブリン酸エチル(4−オキソペンタン酸エチル)とのケタール交換により、対応するアンヒドロキシリトールレブリネートケタールの4つの可能な異性体が形成される:
【化10】

式中、シスおよびトランスの表示は、上述したMIBKケトニドと同様の方法で付されている。
【0038】
ある実施形態において、ケタール交換は、ケトニド中間体の形成の際に水が除去されて、化合物Iを形成するための反応のための乾燥ケタール化合物が得られる点で有利である。また、これにより、得られる最終生成物のより高い純度が可能になり、水に関わる副反応が防止されるため、蒸留などの精製工程が不要になることが多い。蒸留が不要になることは、産業的観点から有利であり;さらに、ある実施形態において、化合物Iの蒸留を行うためにある実施形態において必要とされる高温を避けることが有利である。ある実施形態において、ケタール交換は、ケタール交換反応を行うのに、例えば、約20℃の低さ、他の実施形態において0℃とケトンの還流温度との間、さらに他の実施形態において0℃〜約200℃といった低温を用いることができる点で有利である。穏やかな反応条件を使用できることは、多くの産業プロセスにおいて有利である。ある実施形態において、ケタール交換は、中間体のケトニドを形成するのに用いられるケトンを再利用する手段を提供する。ケトニドの形成/APのケタール交換、またはペンチトールから化合物Iへの反応全体、あるいは両方が、連続または半連続プロセスを用いて行われる場合、ケトンの再利用は特に重要である。
【0039】
さらに他の実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールケトニドのケタール交換の反応速度特性により、トランス異性体の形成が優勢になり;すなわち、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールにおけるトランス:シス異性体の比率が1:1を超えるため、1,4−アンヒドロキシリトールのケタール交換が有利である。ある実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールケトニドとオキソカルボキシレートとのケタール交換反応は、トランス異性体生成物が強く優勢になるように起こる。例えば、ある実施形態において、化合物Iを合成するのに1,4−アンヒドロキシリトールケトニドのケタール交換が用いられるとき、シス:トランス異性体の1:1〜500:1の比率が、生成物混合物において形成され;他の実施形態において、シス:トランス異性体の2:1〜300:1の比率;他の実施形態において、シス:トランス異性体の3:1〜100:1の比率;さらに他の実施形態において、シス:トランス異性体の5:1〜10:1の比率が、対応するケタールカルボキシレート(化合物I)を形成するための1,4−アンヒドロキシリトールケトニドの反応において形成される。理論に制約されることを望むものではないが、本発明者らは、例えば、二環構造の配置に関連して、シス構造と比較してトランス構造で配置されるアルキルエステル(プロパン酸エチル基)部分によって上記に示される反応において生じる立体的な混み合いが低いことにより、特定の実施形態においてトランス異性体が優勢となると考えている。
【0040】
ある実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールのケタールカルボキシレートのトランス異性体が、例えば18℃〜23℃の普通の周囲温度で結晶相を形成する。あるこのような実施形態において、シス異性体とトランス異性体との純粋な混合物(neat mixture)が、静置されると、結晶様の固体相を形成することとなり、この固体相は、単離され、任意選択により洗浄され、分析される際、化合物Iにおけるトランス:シス異性体の非常に高い比率で構成されることが分かる。ある実施形態において、このように形成される固体は、1,4−アンヒドロキシリトールのケタールカルボキシレートのほぼ100%のトランス異性体であり、ここで、シス異性体の測定可能な量は、純粋な混合物の母液からのシス異性体で湿らせた固体から得られる。他の実施形態において、固体は、約500:1〜5:1、または約300:1〜10:1、または約100:1〜25:1のトランス:シス比を有すると測定される。ある実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールのトランスケタールカルボキシレートは、例えば、1,4−アンヒドロキシリトールのケタールカルボキシレートの異性体の混合物を溶媒に溶解させることなどの公知の再結晶化技術を用いることによって、ある実施形態において、異性体と溶媒との混合物を温め、形成される溶液の温度を、沈殿物が観察されるまで下げることによって;普通の周囲温度未満の温度で結晶様の固体相を形成する。純粋な混合物と同様に、単離されたときに形成される固体は、約500:1〜5:1、または約300:1〜10:1、または約100:1〜25:1のトランス:シス比を有すると測定される。
【0041】
したがって、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールの単なる形成に限定されない化合物Iの様々な実施形態において、1つまたは複数のトランス異性体の富化(enrichment)が行われる。富化は、様々な実施形態において、例えば、当該技術分野で公知の静的または流下膜式結晶化技術を、例えばラクチド、またはトリグリセリドの精製のために用いた溶融または溶液再結晶化を含む再結晶化によって行われる。他の実施形態において、富化は、形成される化合物Iの高いトランス:シス比を有する構造に有利に働くケタール化またはケタール交換反応を行うことによって、または他の実施形態において、生成物異性体のカラム分離などの他の手段によって行われる。
【0042】
レブリン酸アルキルによるケタール化またはケタール交換などのある実施形態において、反応条件は、高いトランス異性体含量(例えば約20を超えるトランス:シス異性体の比率)を有するアンヒドロキシリトールレブリネートケタールの一部の選択的結晶化に有利に働く一方、反応混合物の結晶化されていない液体部分は、プロトン酸触媒によるトランス−シス平衡条件下に保たれる。この技術により、トランス異性体の立体選択的合成が可能になる。
【0043】
APの中間体ケトニドを形成するのに有用なケトンは、任意選択により1つ以上の二重結合を有する、直鎖状、分枝状、または環状のジアルキルケトンである。有用なジアルキルケトンの例としては、プロパン−2−オン(アセトン)、ブタン−2−オン(メチルエチルケトン、すなわちMEK)、3−メチルブタン−2−オン、3,3−ジメチルブタン−2−オン、ペンタン−2−オン、ペンタン−3−オン(ジエチルケトン、すなわちDEK)、2−メチルペンタン−3−オン、2,4−ジメチルペンタン−3−オン、2,2−ジメチルペンタン−3−オン、2,2,4−トリメチルペンタン−3−オン、2,2,4,4−テトラメチルペンタン−3−オン、3−メチルペンタン−2−オン、4−メチルペンタン−2−オン(メチルイソブチルケトン、すなわちMIBK)、4,4−ジメチルペンタン−2−オン、ヘキサン−2−オン、ヘキサン−3−オン、5−メチルヘキサン−2−オン、5−メチルヘキサン−3−オン、2−メチルヘキサン−3−オン、4−メチルヘキサン−3−オン、2,2−ジメチルヘキサン−3−オン、2,5−ジメチルヘキサン−3−オン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン−3−オン、ヘプタン−2−オン、ヘプタン−3−オン、ヘプタン−4−オン、5−メチルヘプタン−3−オン(エチルアミルケトン)、6−メチルヘプタン−3−オン、2−メチルヘプタン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−4−オン、オクタン−2−オン、オクタン−3−オン、オクタン−4−オン、2−メチルオクタン−3−オン、ノナン−2−オン、ノナン−3−オン、ノナン−4−オン、ノナン−5−オン、2−メチルノナン−3−オン、2,6,8−トリメチルノナン−4−オン、デカン−2−オン、デカン−3−オン、デカン−4−オン、デカン−5−オン、ウンデカン−2−オン、ウンデカン−3−オン、ウンデカン−4−オン、ウンデカン−5−オン、ウンデカン−6−オン、2−メチルウンデカン−4−オン、ドデカン−2−オン、ドデカン−3−オン、ドデカン−4−オン、ヘキサデカン−10−オンなどが挙げられる。ジアルキルケトンは、任意選択により1つ以上のハロゲン原子を含有し;ここで、例えば、1−フルオロプロパン−2−オン、1,3−ジクロロプロパン−2−オン、1−ブロモ−3,3−ジメチルブタン−2−オン、および5−クロロペンタン−2−オンも、本発明のポリケタール前駆体を形成するのに有用なケトンである。ある実施形態において、非対称ケトンが、ケトニドの形成に用いられる。非対称ケトンは、オキソカーボンに結合される2つの異なるアルキル基を有するものである。非対称ケトンの例としては、MEKおよびMIBKが挙げられる。
【0044】
ケタール交換が用いられるある実施形態において、ケタール交換反応のために選択される温度でオキソカルボキシレートより高い揮発度を有するケトンを選択することが重要である。この相対揮発度を得るためにオキソカルボキシレートおよびケトンを選択することによって、ケタール交換は、実施形態において、ケトニドがオキソカルボキシレートによってケタール交換されるにつれケトンを揮散させることによって完了に至る。実施形態において、加熱、または真空の付加、あるいは両方が、ケトンが形成されるにつれケトンを揮散させるのに用いられる。ある実施形態において、同じ一般的な反応条件が、ケトンによるAPのケタール化およびオキソカルボキシレートによるケトニドのケタール交換に用いられる。あるこのような実施形態において、ケトニドの形成およびケタール交換が、後続の工程において、単一の反応容器中で、ケトンをAPに単に添加し、任意選択により混合物を加熱し、水が形成されるにつれ水を除去し;次に、オキソカルボキシレートを添加し、それをケトニドと反応させる一方、ケトンが形成されるにつれケトンを除去することによって行われる。実施形態において、熱、真空、または両方が、上述した酸触媒と同様の酸触媒とともに用いられる。
【0045】
ケタール交換の手法の代替的実施形態において、ケタールオキソカルボキシレートが中間体として形成され、次に、ケタールカルボキシレートがケタール交換でAPと反応されて、1モルのオキソカルボキシレートにつき2モルのアルカノール、および生成物化合物Iが得られる。したがって、ある実施形態において、オキソカルボキシレートのジメトキシまたはジエトキシ、あるいは他のジアルコキシ付加物が、APによるケタール交換反応に用いられて、1モルの化合物Iにつき2モルのメタノールまたはエタノールが得られる。オキソカルボキシレートおよびジオールをベースとするケタールまたはアセタール付加物も、ある実施形態において、APによるケタール交換反応に好適に用いられる。一例では、メチルホルミルアセテートまたはメチル3−オキソプロピオネートのジメトキシ付加物であるメチル3,3−ジメトキシプロピオネートが、1,4−アンヒドロキシリトールによるケタール交換反応に好適に用いられて、対応するアンヒドロキシリトールアセトアセテートアセタールが得られる。この実施形態が以下に示される:
【化11】

【0046】
上述したように、実施形態において、反応が進行するにつれ生成物アルカノールまたはジオールを除去することによってケタール交換が完了に至るように、ケタール交換のアルカノールまたはジオール生成物が、APより高い揮発度を有するのが好ましい。
【0047】
化合物Iを形成するためのプロセスは、様々な実施形態において、バッチ操作、連続操作、または半連続操作で行われる。実施形態において、当該技術分野で公知の様々な技術のいずれかを用いることによって、反応の際に試薬および酸触媒が混合される。例えば、プロペラ、インペラ、またはシェーカー、ローラー、もしくはタンブラーなどの機械的攪拌器による機械的混合を用いることができる。また、静的ミキサーなどによる受動混合が用いられてもよい。ある実施形態において、任意選択によりいくらかの量の生成物ケタールまたはアセタールを含む、能動または受動混合を伴う反応器中で試薬は混合されて混和が促進される。ある実施形態において、反応混合物は加熱され、任意選択により真空をかけられて、反応中に形成されるほぼ全ての水が除去される。ある実施形態において、水は蒸留によって除去され;他の実施形態において、水は、オキソカルボキシレートと水との共沸混合物の蒸留によって除去され;さらに他の実施形態において、水は、分子篩、高吸収材料、または反応容器自体の中の水を除去する別の手段を含むことによって除去される。ある実施形態において、化合物Iを含有する、得られる生成物混合物は、過剰のオキソカルボキシレートならびに酸触媒も含有する。このような実施形態において、生成物混合物は、さらに蒸留されて過剰なオキソカルボキシレートが除去され、さらに、実施形態において、生成物化合物Iの大部分が留去される。蒸留は、バッチプロセスまたは連続方法で、バッチまたは連続供給蒸留塔、ワイプドフィルムエバポレータ、回転フィルムエバポレータ、ロータリーエバポレータ、流下膜式エバポレータおよび他の同様の機器などの、当該技術分野で公知のデバイスの1つを用いて行われ得る。実施形態において、反応容器中に残っているいかなるオキソカルボキシレート、AP、または酸触媒も、追加の新鮮な試薬と混合することによって後に再利用される。
【0048】
ある実施形態において、本発明の化合物Iは、特定の環状の化学種、または以下に示される一般化構造にしたがう化合物Iラクトンを含む:
【化12】

式中、R、R、R、R、R、R、およびaが、化合物Iについて定義したとおりである。化合物Iラクトンは、分子におけるRのヒドロキシル官能基と、カルボン酸またはエステル官能基との分子内縮合によって形成される。後述されるように、実施形態において、化合物Iラクトンは、化合物Iを形成するための1つ以上の反応の副生成物、あるいはホモポリエステルまたはコポリエステルを形成するための化合物Iの1つ以上の反応における副生成物である。さらに他の実施形態において、化合物Iラクトンの収率を最大にするために反応条件が最適化される。ある実施形態において、化合物Iラクトンは、化合物Iホモポリマーの解重合の際に回収される主な生成物であり;他の実施形態において、化合物Iラクトンは、化合物Iホモポリマーの解重合反応で形成される副生成物である。化合物Iポリマーは、以下により詳細に記載される。
【0049】
ある実施形態において、化合物Iの立体化学により、ヒドロキシル基の近傍から外れるようにカルボキシル基を配置することによって、環状の化学種の形成が防止される。例えば、キシリタンを形成するためのキシリトールの反応は、ヒドロキシル基とカルボン酸基とを互いに対してトランスの関係で配置する。ある実施形態において、キシリタンがオキソカルボキシレートで官能化されるとき、カルボン酸基およびヒドロキシル基の相対的配置のために、対応する化合物Iラクトンが形成されないであろう。
【0050】
化合物Iラクトンを含む化合物Iは、多くの用途に有用である。例えば、化合物IのRがアルキル基であり、かつXがOである、ある実施形態において、化合物Iは、1つ以上のポリマー製剤中の可塑剤または凝集溶媒として有用である。あるこのような用途では、6個を超える炭素原子を有するRを用いるのが有利である。あるこのような実施形態において、Rが6個以下の炭素を有するアルキル基である化合物Iのエステル基のエステル交換によって、6個を超える炭素を有するR基を組み込むことが有用である。エステル交換を用いることによって、C〜C36以上などの非常に長い炭素鎖が、化合物Iカルボキシレートの形成前または形成後のいずれかに化合物Iに容易に付与される。標準的なエステル交換技術が、エステル交換を促進するために好適に用いられる。
【0051】
XがOであり、かつRが陽イオン、例えばナトリウム、アンモニウムなどである化合物Iカルボキシレートのある実施形態において、化合物Iは、1つ以上の製剤中の界面活性剤である。化合物Iのこのようなイオン形態は、化合物Iまたはオキソカルボキシレートの出発化合物のいずれかとともに、標準的なけん化技術を用いて容易に形成される。さらに、化合物Iのヒドロキシル部分は、例えばアルキルエステル、例えばオクタン酸アルキル、デカン酸アルキル、ヘキサデカン酸アルキルなどとのエステル交換反応に利用可能であり、界面活性剤用途のための疎水性の「尾」が得られる。このような実施形態において、化合物IのRが、1〜36個の炭素原子を有するカルボキシ基を含むカルボキシ基、例えば、アセテート、プロパノエート、ペンタノエートなどである。直鎖状、分枝状、または環状の炭化水素の尾が、様々な実施形態において、1つ以上の界面活性剤の用途に適用可能である。脂肪酸エステル、好ましくは再生可能な源に由来する脂肪酸エステルも、界面活性剤のタイプの用途のための1つ以上の化合物Iを官能化するためのエステル交換に利用可能である。疎水性の尾を形成する際、炭化水素の尾における炭素原子の数は特に限定されない。様々な実施形態において、炭化水素の尾は、1〜36個の炭素原子、または6〜18個の炭素原子、または8〜16個の炭素原子を有する。炭化水素の尾は、ある実施形態において、1つ以上のヘテロ原子をさらに含む。あるこのような実施形態において、ヘテロ原子は、O、N、ClもしくはFなどのハロゲン、S、Si、またはPである。
【0052】
化合物Iのある実施形態において、Rが、ケタールエステルの残基に対応する構造を有する:
【化13】

式中、
a’が、0または1〜12の整数であり;
b’が、0または1であり、b=0が五員環を示し、b=1が六員環を示すようになっており;
R’が、水素またはメチルであり;
R’、R’、およびR’が、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンである。
【0053】
このような実施形態において、ケタールエステルは、一般に、オキソカルボキシレートと、1,2または1,3配置で配置されるヒドロキシル基を有するジオールとの反応生成物である。このような化合物は、文献において知られている。化合物Iとケタールエステルとの反応生成物は、化合物Iケタールエステルと呼ばれる。反応生成物としては、ある実施形態において、化合物Iジオール、化合物Iビス−ジオール、化合物Iアミノアルコール、およびポリエステルIIならびに後述されるようなそれらの様々な付加物が挙げられ、ここで、化合物IのR基に対応する1つまたは2つの末端部分が、ケタールエステル末端基であり;またはコポリエステルIIを形成するための、共重合された化合物とケタールエステルとのさらなる反応生成物が提供される。化合物Iケタールエステルは、通常、1つ以上のポリマー、着色剤、界面活性剤、溶媒、他の材料、またはそれらの組合せがさらに含まれるとき、1つ以上の製剤中で、可塑剤、溶媒、助剤、界面活性剤、または添加剤として用いられ;ここで、1つ以上のポリマー、界面活性剤、可塑剤、または溶媒は、ある実施形態において、本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0054】
化合物Iのある実施形態において、Rが、炭酸グリセロールの残基に対応する構造を有する:
【化14】

式中、対応するアルコールは、例えば、奥津らの米国特許第6,495,703号明細書またはそこに引用される参照文献のいずれかに記載される方法によって作製される、グリセロールと、炭酸ジアルキルまたはホスゲンとの反応生成物である。化合物Iと炭酸グリセロールとの反応生成物は、化合物I炭酸グリセリルと呼ばれる。炭酸グリセロールの反応生成物としては、ある実施形態において、ポリエステルIIおよび後述されるようなその様々な付加物が挙げられ、ここで、化合物IのR基に対応する1つまたは2つの末端部分は、炭酸グリセリル末端基であり;またはコポリエステルIIを形成するための、共重合された化合物と炭酸グリセロールとのさらなる反応生成物が提供される。化合物I炭酸グリセリルは、通常、1つ以上のポリマー、着色剤、界面活性剤、溶媒、他の材料、またはそれらの組合せがさらに含まれるとき、1つ以上の製剤中で、可塑剤、溶媒、助剤、界面活性剤、または添加剤として用いられ;ここで、1つ以上のポリマー、界面活性剤、可塑剤、または溶媒は、ある実施形態において、本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0055】
化合物Iのある実施形態において、Xが、NHまたはNRである。このような実施形態において、化合物Iは、化合物Iアミドと呼ばれる。化合物Iアミドは、いくつかの製剤中で、添加剤、例えば界面活性剤として有用である。実施形態において、アルキルアミンおよびエステルからアルキルアミドを形成するために文献において用いられる標準的な反応方法を用いて、化合物Iカルボン酸エステルから化合物Iアミドが合成される。ある実施形態において、反応は、触媒を用いて行われる。あるこのような実施形態において、触媒1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが、触媒として好適に用いられ、この触媒により、穏やかな条件を用いてアミド化が起こり、エステルからアミド部分への高転化率が得られる。
【0056】
第一級および第二級アミンが、実施形態において、化合物Iアミドを形成するための反応において用いられる。好適なアミンの非限定的な例としては、1〜36個の炭素原子、または2〜18個の炭素原子、または2〜8個の炭素原子を有する、1つまたは2つの直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基、または芳香族、またはアラルキル基を有するアミンのいずれかが挙げられる。好適なアミンは、ある実施形態において、1つ以上のヘテロ原子をさらに含む。あるこのような実施形態において、ヘテロ原子は、O、N、S、Si、P、またはCl、Br、もしくはFなどのハロゲンである。
【0057】
ある実施形態において、化合物Iは、アミノアルコールと反応されて、アミド基と、Rが水素である場合、2つのヒドロキシルとを有する1つ以上の化合物Iが形成され;ここで、実施形態において、このような化合物は、化合物Iジオールと呼ばれる。このような実施形態において、XがNRであり、Rが、1つのヒドロキシル部分を含有する。アミンとエステルとを反応させてアミド結合を形成するための、文献において利用可能な任意の方法を用いて、化合物Iジオールは合成される。ある実施形態において、反応は、触媒を用いて行われる。あるこのような実施形態において、触媒1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、またはチタンテトラアルコキシドが、触媒として好適に用いられ、この触媒により、穏やかな条件を用いてアミド化が起こり、エステルからアミド部分への高転化率が得られる。化合物Iカルボキシレートと反応されたときに、本発明の化合物Iジオールを形成する好適なアミノアルコールの非限定的な例としては、2−アミノエタノール、3−アミノプロパン−1−オール、イソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、2−アミノブタン−1−オール、2−アミノ−3−メチルブタン−1−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、6−アミノヘキサン−1−オール、1−アミノ−3−クロロプロパン−2−オール、7−アミノビシクロ[2.2.2]オクタン−8−オール、2−アミノピリジン−3−オール、2−アミノ−4−フェニルフェノール、5−アミノナフタレン−1−オール、4−(4−アミノフェニル)フェノールが挙げられる。
【0058】
他の実施形態において、化合物Iは、ジアミンと反応されて、Rが水素である実施形態において、1つのヒドロキシルおよび1つのアミンを有する1つ以上の化合物Iが形成され、化合物Iアミノアルコールと呼ばれる。このような実施形態において、化合物IはX=NRを有し、Rが、第一級または第二級アミノ基をさらに含む。化合物Iがジアミンと反応されるある実施形態において、2モルの化合物Iが1モルのジアミンと反応して、化合物Iビス−ジオールを形成する。化合物Iビス−ジオールのこの構造が、以下に示される:
【化15】

式中、R〜Rおよびaが、化合物Iについて定義したとおりである。上記に示される構造のある実施形態において、Rが水素である。ジアミンが化合物Iカルボキシレートと反応されるときに用いられる化学量論および反応条件に応じて、化合物Iビス−ジオールまたは化合物Iアミノアルコールのいずれか、あるいはそれらの混合物が形成され得ることが理解されよう。アミンをエステルまたはアミドと反応させて(例えばアミド交換(transamidation))アミド結合を形成するための、文献において利用可能な任意の方法を用いて、化合物Iアミノアルコールおよび化合物Iビス−ジオールは、化合物Iカルボキシレートから合成される。ある実施形態において、反応は、触媒を用いて行われる。あるこのような実施形態において、触媒1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、またはチタンテトラアルコキシド、あるいはそれらの混合物または組合せが、穏やかな条件とともに好適に用いられて、エステルからアミド部分への高転化率が得られる。化合物Iカルボキシレートと反応されたときに、本発明の化合物Iアミノアルコールまたは化合物Iビス−ジオールを形成する好適なジアミンの非限定的な例としては、ヒドラジン、エタン−1,2−ジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ブタ−2−エン−1,4−ジアミン、メトホルミン、ブタン−1,4−ジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ピペラジン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ベンゼン−1,3−ジアミン、2−メチルベンゼン−1,3−ジアミン、4−クロロベンゼン−1,3−ジアミン、メタンジアミンなどが挙げられる。
【0059】
化合物Iジオール、化合物Iアミノアルコール、および化合物Iビス−ジオールは、実施形態において、1つ以上のポリマー、着色剤、界面活性剤、溶媒、またはそれらの組合せをさらに含む1つ以上の製剤中の架橋剤、粘着付与剤、溶媒、または界面活性剤として有用であり;ここで、1つ以上のポリマー、界面活性剤、可塑剤、または溶媒は、ある実施形態において、本発明の1つ以上のさらなる化合物を含む。他の実施形態において、化合物Iジオール、化合物Iアミノアルコール、および化合物Iビス−ジオールは、通常、構造が上記で定義したとおりであるケタールエステルと反応されて、化合物Iジオール、化合物Iアミノアルコール、および化合物Iビス−ジオールのヒドロキシルまたはアミノ部分のいずれかのケタールエステル付加物が形成される。このようなケタールエステル付加物は、通常、様々な実施形態において、1つ以上のポリマー、着色剤、界面活性剤、溶媒、またはそれらの組合せがさらに含まれるとき、1つ以上の製剤中の可塑剤、粘着付与剤、界面活性剤、または共溶媒として用いられ;ここで、1つ以上のポリマー、界面活性剤、可塑剤、または溶媒は、ある実施形態において、本発明の1つ以上のさらなる化合物を含む。
【0060】
さらに他の実施形態において、Rが水素である化合物Iのジオール、ビス−ジオール、およびアミノアルコールの2つの官能基により、それらの化合物が、ジオールまたはアミノアルコールをベースとするポリマーを形成するための重合反応において有用となる。このようなポリマーとしては、ポリエステル、ポリ(アミドエステル)、ポリウレタン、ポリ(ウレタン尿素)、ポリカーボネート、ポリ(アミドカーボネート)、アクリレートおよびメタクリレート付加物ならびにその重合生成物、エポキシ化付加物ならびにその重合生成物、アリル付加物ならびにその重合生成物、ならびにこれらのコポリマー、ならびに例えば、可塑剤、溶媒、界面活性剤、粘着付与剤、架橋剤などとしての、本発明のポリマーおよびさらなる化合物を含む他のポリマーまたは化合物とのブレンドが挙げられる。実施形態において、ポリエステル、ポリアミドエステル、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリカーボネート、ポリアミドカーボネート、アクリレートおよびメタクリレート付加物ならびにその重合生成物、エポキシ化付加物ならびにその重合生成物、アリル付加物ならびにその重合生成物、ならびにこれらのコポリマーを形成するのに用いられる、反応、試薬、触媒、溶媒、および方法は、ポリマー合成の当業者に周知の文献の方法を用いる。このようなポリマーは、様々な含量の再生可能な生物由来の原料を有し、ここで、「再生可能な」は、ASTM D6866で定義されるとおりに用いられ、再生可能な含量は、本発明の化合物、用いられる他のモノマー、またはそれらの組合せによって提供される。ある実施形態において、このようなポリマー中の再生可能な原料の含量は、ポリマー化合物のうちの約1重量%〜100重量%、あるいは1つ以上の化合物Iジオール、ビス−ジオール、およびアミノアルコールを用いて形成されるポリマー化合物のうちの約20重量%〜100重量%、または約50重量%〜100重量%、または約80重量%〜100%重量の範囲である。
【0061】
実施形態において、全てのRが水素である化合物Iジオール、化合物Iアミノアルコール、化合物Iビス−ジオール、またはそれらの組合せが、熱硬化系の反応剤として用いられ、熱硬化系においてこれらの反応剤は、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、多官能性エポキシドあるいは以下の塩基アミノプラスト:尿素−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒドおよびベンゾグアニジン−ホルムアルデヒドのうちの1つから作製されるメチロール化−アルキル化(methylolated−alkylated)アミノ架橋剤などの架橋樹脂と反応する。あるこのような実施形態において、化合物Iジオール、化合物Iアミノアルコール、化合物Iビス−ジオール、またはそれらの組合せが、アクリル、ポリエステル、アルキド、ポリエーテル、エポキシエステルおよびポリウレタン樹脂からなる種類から選択される他のヒドロキシル官能性樹脂と混合され、上述した架橋樹脂とともに熱硬化系で用いられる。
【0062】
=水素およびX=酸素を有する化合物Iカルボキシレートは、ヒドロキシル官能基およびエステルもしくは遊離酸官能基の両方を含有する。あるこのような実施形態において、化合物Iは、エステル化またはエステル交換反応を用いて、自己縮合によって重合されて、ホモポリマーが形成される。他のこのような実施形態において、化合物Iは、同様の縮合機構によって、1つ以上のジオールおよび二酸/ジエステルおよび/または他のヒドロキシエステルにより共重合される。このような実施形態において、構造IIに対応する少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリマーが形成される:
【化16】

式中、R〜Rおよびaが、化合物Iについて定義したとおりであり、nが、1〜約500の整数である。化合物Iのホモポリエステルおよびコポリエステルは、本明細書においてまとめて「ポリエステルII」と呼ばれる。ポリエステルIIは、ホモポリエステルIIおよびコポリエステルIIを含む。ある実施形態において、ポリエステルIIは、化合物IのORおよびRに対応する末端基を有する。このような末端基は、例えば、R=水素、カルボキシ基、またはケタールエステルあるいはR=水素、アルキル基、または炭酸グリセロールを含む化合物IのRまたはRについて上述したいずれかの部分、官能基、またはポリマー基を含む。nの非常に低い値(例えばn=1〜3である)を有するホモポリエステルIIは、1つ以上の製剤中の可塑剤、溶媒、粘着付与剤、界面活性剤として有用である。
【0063】
nが3以上の値を有するホモポリエステルIIは、意外にも高いガラス転移温度(T)を特徴とする。実施形態において、ホモポリエステルは、約50℃〜150℃;ある実施形態において、約75℃〜130℃;さらに他の実施形態において、約100℃〜125℃のT値を有する。このため、実施形態において、キシリトールまたはその立体異性体およびレブリン酸エステルもしくはピルビン酸エステルなどの100%再生可能な原材料を用いることによって、高Tポリマーが得られる。ポリエステルIIで観察される高いTは、ポリエステルIIが、ポリカーボネート、ポリイミド、またはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などの特定のポリエステルが硬質の耐荷重性材料として一般的に用いられる1つ以上の用途で有用である可能性があることを意味する。
【0064】
ある実施形態において、化合物Iの特定の立体異性体は、対応するポリエステルIIの観察されるTの差をもたらす。例えば、上述したように、1,4−アンヒドロキシリトールおよびレブリン酸エステルをベースとする化合物Iのトランス異性体の量を単離または富化することが可能である。トランス異性体の富化は、例えば、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールにおける高いトランス:シス比を形成するのに有利に働く再結晶化、ケタール化またはケタール交換反応によって、あるいは生成物異性体などのカラム分離などの他の手段によって行われる。あるこのような実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールのポリエステル化(ここで、トランス:シスの比率が約3:1である)により、約105℃のTを有するホモポリエステルIIが得られ;ある他の実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールのポリエステル化(ここで、トランス:シスの比率が約25:1である)により、約115℃のTを有するホモポリエステルIIが得られる。実施形態において大気圧で、水の沸点に近い温度の範囲で良好な熱たわみ特性を有するホモポリエステルIIを作製するという観点から、様々な立体異性体組成物のモノマーIの混合物においてもたらされるホモポリエステルII間のTのこのような差は、有利である。例えば、ポリエステルIIから作製される包装材料は、電子レンジで様々な食品を調理または予熱する際に形成される熱および蒸気に耐え、またはこのようなポリマーを含む容器に注がれる飲料の熱に耐えるのに十分な熱たわみを有するように調製することができる。
【0065】
ある実施形態において、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタールのホモポリエステルIIは、可視スペクトルの良好な透明性をさらに特徴とする。高Tおよび良好な透明性の特性が相まって、ホモポリエステルII、およびそれらの対応するコポリエステルIIが、ある範囲の用途に好適になる。
【0066】
コポリエステルIIは、1つ以上のコモノマーを含む。コモノマーとしては、二価および多価アルコール、二酸またはジエステル、およびヒドロキシ酸、ヒドロキシエステル、またはそれらのラクトンが挙げられる。本発明のコポリエステルIIを形成するのに有用な二価アルコールの非限定的な例としては、実施形態において、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール(チオグリセロール)、ジチオスレイトール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、3−ブテン−1,2−ジオール、4−ブテンジオール、2,3−ジブロモブテン−1,4−ジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ベンゼン−1,2−ジオール(カテコール)、3−クロロカテコール、インダン−1,2−ジオール、酒石酸、および2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、キシリトール、アンヒドロキシリトール、エリトリトール、キシレングリコール、1,3−ベンゼンジオール(レゾルシノール)、1,4−ベンゼンジオール(ヒドロキノン)、o、m、もしくはp−ベンゼンジメタノール、o、m、もしくはp−グリコールフタレート、o、m、もしくはp−ビス−1,2−エチレングリコールフタレート、o、m、もしくはp−ビス−1,2−プロピレングリコールフタレート、o、m、もしくはp−ビス−1,3−プロピレングリコールフタレート、二量体脂肪酸の水素化によって調製されるジオール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、プロポキシ化ビスフェノールA、イソソルビド、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ヘキシン−3,5−ジオール(SURFYNOL(登録商標)82、Air Products(Allentown,PA)から入手可能)およびAir Products(Allentown,PA)によってSURFYNOL(登録商標)のブランド名で販売されている他のアルキンベースのポリオール製品、ならびに例えばCARBOWAX(登録商標)ポリエチレングリコール(Dow(登録商標)Chemical Company(Midland,MI)から入手可能)といったエチレングリコールをベースとするポリエーテルポリオール、Dow(登録商標)Chemical Company(Midland,MI)によって販売されるものなどの、プロピレングリコールまたはエチレングリコールとプロピレングリコールとの組合せをベースとするポリエーテルジオールおよびポリオール、および商品名TERETHANE(登録商標)で、INVISTA(商標)Company(Wichita,KS)によって製造されるものなどのポリエーテルグリコールなどのポリマーポリオール;旭化成株式会社(日本の東京)から入手可能な、L467m、L600m、およびL565mなどの様々な分子量のポリカーボネートジオール;Cargill Company(Wayzata,MN)から入手可能な、商品名BiOH(登録商標)で販売されているものなどの、水酸化植物油をベースとするポリオール;Aerocon Systems(San Jose,CA)によって販売されているHTPB R45Mなどのヒドロキシル末端ポリブタジエン、Everchem Company(Media,PA)、またはMaskimi Polyol Sdn.Bhd.(Kajang,Selango Darul Ehsan、マレーシア)によって製造されるポリオール、およびCarey,M.A.らによって、「Rapid Method for Measuring the Hydroxyl Content of Polyurethane Polyols」(http://www.polyurethane.org/s_api/doc_paper.asp?CID=1044&DID=4060でインターネット上で公開されている)Union Carbide Company(South Charleston,WV)の刊行物で用いられるポリオールが挙げられる。
【0067】
本発明のコポリマーIIを形成するのに有用な二酸および三酸またはそれらのエステルの非限定的な例としては、実施形態において、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、またはo−、m−もしくはp−フタル酸、クエン酸、ベンゼン1,2,4−トリカルボン酸、または他の公知の二酸のいずれかが挙げられる。ジエステルとしては、上述した二酸または三酸のいずれかの一価アルコールエステル、炭酸のジエステル(例えば、グリコールのジアルキルカーボネートまたは環状カーボネート)が挙げられ;好ましくは、一価アルコールは、1〜6個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は特に限定されない。実施形態において、コポリエステルIIは、コポリエステルIIを形成するための1つ以上の反応において、尿素または尿素化合物、例えば、カルボニルビス−N−カプロラクタメート(lactamate)などのカルボニルビスラクタメートを用いることによって得られる。カルボニルビス−N−カプロラクタメートは、反応容器中、または押出機中で、高温で、ヒドロキシル基と反応することが周知であり、分子量の増加したコポリエステルII、例えば、約30,000のMを有するポリマーを得るのに特に有用である。あるこのような実施形態において、機械的特性が向上したコポリエステルIIが得られる。
【0068】
本発明のコポリマーIIを形成するのに有用なヒドロキシ酸の非限定的な例としては、実施形態において、乳酸およびその環状二量体ラクチド、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルスルファニルブタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、マンデル酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン酸など、ならびに上述したヒドロキシ酸のいずれかの一価アルコールエステルが挙げられ;好ましくは、一価アルコールは、1〜6個の炭素原子を有するが、炭素の数は特に限定されない。
【0069】
ある実施形態において、ヒドロキシケタール酸、またはそのエステルが、コポリエステルIIを形成するための重合においてコモノマーとして用いられる。ヒドロキシケタールエステルは、以下の構造で表され、
【化17】

式中、a”が、0または1〜12の整数であり、b”が、0または1であり、R”、R”、およびR”が、独立して水素またはアルキルである。このような化合物は、全体の内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0242721号明細書に開示されている。ヒドロキシケタールエステルのうち、好ましい構造は、グリセロールおよびレブリン酸エステル、例えばレブリン酸エチルまたはレブリン酸ブチルから形成されるものである。グリセロールレブリネートケタールのホモポリマーのTは、分子量に応じて約5℃〜10℃である。したがって、グリセロールレブリネートケタール、エチルエステルが、化合物Iにより共重合されるとき、利用可能なTの範囲は、化合物Iのほぼ0モル%の範囲で約5℃から、化合物Iのほぼ100モル%の範囲で約150℃まで及ぶ。
【0070】
ポリエステルIIは、それらを作製するのに用いられる方法によって特に限定されない。一般に、本発明のポリエステルIIを形成するための化合物Iのエステルまたは遊離酸を用いて、文献において用いられるポリエステル化の任意の方法が好適に用いられる。ある実施形態において、化合物Iエステルまたは遊離酸の自己縮合または共縮合が、触媒の存在下で行われる。触媒の選択は、本発明の範囲内で特に限定されないが、好ましい一連の実施形態は、有機金属触媒、例えば、チタンテトラブトキシド(Ti(OBu))、またはスズ(II)オクタノエートなどのチタンまたはスズをベースとする触媒、あるいは有機ジルコネートを用いる。他の好適な触媒は、例えば、DuPont deNemours and Co.(Wilmington,DE)によって、Tyzor(登録商標)ブランドで販売されている有機チタネートおよび有機ジルコネートである。別の一連の好ましい実施形態において、四塩化スズ(SnCl)または四塩化チタン(TiCl)などの触媒も好適に用いられるが;このような実施形態において、反応中に形成されるいかなる塩酸も掃去するために、触媒とともに、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの酸掃去剤を用いるのが好ましい。一般に、ポリエステル化の公知の技術は、100℃を超える温度を伴い、反応中に形成される水または一価アルコールROH(化合物Iを参照)を除去するための手段をさらに伴う。このような技術は、分子量が高まるにつれポリマーを効率的に混合および撹拌する、いくつかの手段も用いるが、その理由は、重合の最終段階で粘度が高くなるためである。
【0071】
化合物IのRまたはポリエステルIIの対応する末端基Rが水素である、ある実施形態において、R基が、対応するコポリエステルIIを形成するための1つ以上のラクトンの開環反応に用いられる。ラクトンの開環重合は、開環重合に好適な反応条件とともに、1つ以上の触媒を用いて行われる。このような反応に用いられる触媒および反応条件は、ラクトンの開環反応について当該技術分野で用いられるもののいずれかである。例えば、一部の開環重合触媒は、亜鉛、スズ、またはチタンなどの遷移金属をベースとする。用いられる触媒の化学種または反応条件は限定されないが、堀らの米国特許第5,516,883号明細書またはSchechtmanらの米国特許第5,648,452号明細書に記載される触媒または反応条件のいずれかが有用である。遠藤らの欧州特許第1857484号明細書で用いられるような活性炭またはwww.almaden.ibm.com/st/chemistry/ps/catalysts/RingOpening/においてIBM Company(Armonk,NY)からウェブ上で公開された論文に記載されるような有機触媒を用いて、本発明の化合物IまたはポリエステルIIのヒドロキシル官能基を開始ヒドロキシル官能基として用いたラクトンの開環重合に作用させてもよい。上記の例は、ラクトンの開環重合に用いられ得る触媒のタイプまたは一連の反応条件について限定されない。
【0072】
本発明の1つ以上のポリケタールポリオールによって開始される開環重合に好適なラクトンとしては、限定はされないが、プロピオラクトン、ピバロラクトン、ジケテン、ジメチルジケテン、β−ブチロラクトン、4−ブチロラクトン、4−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、5−エテニル−5−メチルオキソラン−2−オン、グルコノラクトン、グルクロノラクトン、D−ガラクトノラクトン、クマリン、ヒドロクマリン、アスコルビン酸ラクトン、α−アンゲリカラクトン、2−アセチルブチロラクトン、6−プロピルオキサン−2−オン、6−エチルオキサン−2−オン、リボノラクトン、アラボノラクトン、λ−ノナラクトン、ビシクロノナラクトン、5−ノナラクトン、λ−デカラクトン、パントラクトン、2−デヒドロパントラクトン、5−ブトキソラン−2−オン、イソクロトノラクトン、6−ヘキシルオキサン−2−オン、5−ヘプチルオキソラン−2−オン、5−プロピルオキソラン−2−オン、6−[(E)−ペンタ−2−エニル]オキサン−2−オン、ココラクトン、イソクエン酸ラクトン、2−ヒドロキシ−6−メチルピラン−4−オン、1−オキサシクロドデカン−2−オン、ε−ドデカラクトン、1−オキサシクロペンタデカン−2−オン、1−オキサシクロヘプタデカン−2−オン、L−アラビノ−1,4−ラクトン,4−ヒドロキシ−4−メチルオキサン−2−オン、ラクチド、ホモセリンラクトン、4−メチル−7−プロパン−2−イルオキセパン−2−オンなどが挙げられる。
【0073】
ラクトン開環重合の一実施形態において、化合物IまたはポリエステルIIの1つ以上の部分R=Hが、SEGETOLIDE(商標)(Segetis,Inc.(Golden Valley,MN)から入手可能)またはその二量体の開環重合に用いられて、グリセロールレブリネートケタールをベースとする対応する繰り返し単位、すなわち上述したヒドロキシケタールエステル部分が形成される。SEGETOLIDE(商標)およびその二量体の構造、ならびに両方の化合物の開環重合のための方法は、全体の内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0242721号明細書に見られる。そこに開示される方法は、実施形態において、本発明の化合物Iのヒドロキシル基を、コポリエステルIIを得るための開始剤として用いた開環重合を開始させるのに適している。
【0074】
ある実施形態において、本発明のポリエステルIIの望ましい特徴は、解重合を介した再利用性である。実施形態において、架橋網目構造に組み込まれたものを含むポリエステルIIの熱解重合は、触媒を用いる。塩基性触媒、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、またはアルカリ金属およびアルカリ土類金属のカーボネート;リン酸三ナトリウムまたはリン酸三カリウム;リン酸水素二ナトリウムまたはリン酸水素二カリウムが、エステル結合においてポリエステルIIを開裂させるのに有用である。プロトン酸触媒、例えば硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、およびリン酸が、実施形態において、遊離オキソカルボキシレートおよび環状エーテルポリオールを形成するためにエステル結合およびケタール結合の両方の開裂を触媒するのに有用である。ルイス酸型触媒、例えばチタン(IV)触媒を、実施形態において、1つ以上のさらなる二価アルコールとともに用いて、ケタール結合をそのまま残しながらエステル結合の開裂を触媒する。
【0075】
ある実施形態において、本発明のポリエステルIIは、以下に示される構造にしたがう特定のビスヒドロキシ付加物を含む:
【化18】

式中、R〜R、およびaが、ポリエステルIIについて定義したとおりであり、nおよびn’が、約1〜10の整数である。これらの構造は、本明細書に挙げられるもののいずれかなどの、1つ以上の化合物Iと二価アルコール(ジオール)との反応生成物に対応する。このような化合物は、一般に、ポリエステルIIジオール付加物と呼ばれる。ポリエステルIIジオール付加物は、熱可塑性プラスチック、コーティング、エラストマー、接着剤、シーリング材および他の産業用途のための既存の再生不能な石油化学系ポリマーの代わりに用いるのに好適な1つ以上の製剤を開発するのに有用である。ポリエステルIIジオール付加物のRが水素である実施形態において、ポリエステルIIジオール付加物は、化合物Iジオールおよび化合物Iビス−ジオールに類似したポリエステルIIジオールである。したがって、様々な実施形態において、ポリエステルIIジオールは、化合物Iジオールおよび化合物Iビス−ジオールについて上述したのと同じ製剤において有用であり、それと同じように、かつそれと同じ化合物および方法を用いて重合可能または架橋可能である。
【0076】
実施形態において、ポリエステルIIジオール付加物は、1つ以上のジオールとともに、当該技術分野で公知の標準的な技術を用いたエステル化またはエステル交換によって、対応する化合物Iから合成される。触媒が存在する場合、その化学量論および選択は、ジオールとの反応と競合する化合物Iの自己縮合の程度を制御するように調節され、化合物Iに帰する所望の分子量および数の繰返し単位が得られる。ポリエステルIIジオール付加物の構造は、それらを作製するのに用いられる方法によって特に限定されない。化合物Iと二価アルコールとの反応条件および化学量論比の調節は、当業者によって理解され得るような所望のポリエステルIIジオール付加物構造が得られるように好適に調節される。
【0077】
ポリエステルIIトリオール付加物、ポリエステルIIテトロール付加物、ならびに本来ならポリエステルIIジオール付加物に構造的に関連した、より高い官能性を有する多価アルコールのポリエステルII付加物はまた、ある実施形態において、多価アルコールと1つ以上の化合物Iとの部分的なまたは完全な官能化によって形成されることが理解されよう。したがって、グリセロール、1,1,1−トリメチロールエタン、または1,1,1−トリメチロールプロパンなどのトリオール;エリトリトールまたはペンタエリトリトールなどのテトロール、キシリトールおよびリビトールなどのペントール、ならびにより高級のポリオールが、ポリエステルIIポリオール付加物を作製するのに用いられる反応に対応する1つ以上の反応に有用である。このような実施形態において、3つ以上のR部分が水素であるポリエステルIIポリオール付加物の官能化または重合が、分枝状、超分枝状、または樹枝状構造をもたらす。
【0078】
ある実施形態において、本発明のポリエステルIIは、以下に示される構造を有する化合物を含む:
【化19】

式中、R〜Rおよびaが、化合物Iについて定義したとおりであり;nおよびn’が、1〜10の整数であり;およびR’およびRが、1〜16個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキル部分または芳香族またはアルキル芳香族部分である。これらの化合物は、本明細書においてポリエステルIIジエステル付加物と呼ばれる。ポリエステルIIジエステル付加物は、ポリエステルIIを得るための化合物Iの単独重合とともに、上記に開示したもののいずれかなどの二酸のエステルと化合物Iとの反応によって形成される。反応条件および化学量論の調節が、所望の量の単独重合、すなわち、所望の値のnおよびn’が得られるように好適に変更されることが当業者に理解されよう。他の関連する実施形態において、示されるポリエステルIIジエステル付加物と同様にポリエステルIIトリエステル付加物を形成するために、二酸の代わりにトリメリット酸およびシクロヘキサントリカルボン酸などの三酸が用いられてもよい。
【0079】
実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、いくつかの有用なポリマー組成物中の可塑剤であり、あるこのような実施形態において、市販の可塑剤フタル酸ジオクチルによって与えられる特性と同様の特性をポリマーに与える。可塑剤は、ポリマー組成物のガラス転移温度を下げる目的で1つ以上のポリマーを含む塩基化合物に添加される化学化合物であり、それによって組成物がより可撓性になり、例えば、溶融押出または成形による加工に適したものとなる。用いられるポリマーおよび特定のポリエステルII付加物に応じて、組み合わされるポリマーの物理的および機械的特性の他の変更、ならびに様々な気体、水、水蒸気、または有機化合物の透過性に関する、組み合わされるポリマーのバリア性の変更がなされることが理解されよう。様々な実施形態において、1つ以上の異なるポリエステルIIジエステル付加物が、押出可能または成形可能なポリマー組成物を調製するために、さらなる可塑剤または他の化合物とのブレンドの一部として用いられることも理解される。さらなる可塑剤としては、例えば、ポリ(塩化ビニル)または別のポリマーを可塑化するために販売されている市販の化合物のいずれかが挙げられる。さらなる化合物としては、実施形態において、様々な無機および有機充填剤化合物、木材粉塵、強化用繊維、架橋剤、溶媒、染料、顔料、潤滑剤、抗菌添加剤または抗真菌添加剤、熱安定剤または紫外線安定剤などが挙げられる。
【0080】
実施形態において、1つ以上のポリエステルIIジエステル付加物によって可塑化されるポリマーとしては、例えば、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(乳酸)、および様々な多糖ポリマー、ならびにポリエステルIIが挙げられる。可塑剤は、通常、組み合わせられるポリマー製剤の所望の特性に応じた様々な有効な濃度で用いられる。ポリエステルIIジエステル付加物は、ある実施形態において、約1重量%〜80重量%のレベルでポリマーに組み込まれる。
【0081】
ある実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、ポリマーの融点を超える温度または温度範囲を用いた溶融混合によって、ポリマーに組み込まれる。ある実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、溶媒を用いて、またはポリマープラスチゾルの成分として導入され、その場合、ポリエステルIIジエステル付加物は、凝集溶媒および可塑剤の両方として働く。可塑剤化合物をポリマー組成物に導入するための多くの技術が当該技術分野で公知であり、ポリエステルIIジエステル付加物を1つ以上のポリマー組成物に組み込むのに好適に用いられる。
【0082】
実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、1つ以上の重合反応におけるモノマーとして有用である。ある実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、ジエステルまたは二酸であり、したがって、1つ以上の反応の際に含まれて、ジエステルまたは二酸が用いられる公知の反応のいずれかにおいてポリマー化合物が形成される。例えば、線状ポリエステルまたはポリアミド、あるいはそれらのコポリマーは、ポリエステルIIジエステル付加物と、ジオール、ジアミン、またはアミノアルコールとの反応によって形成される。有用なジオール、ジアミン、またはアミノアルコールとしては、上記で挙げたジオール、ジアミン、またはアミノアルコールのいずれかが挙げられ、ある実施形態において、上述した化合物Iジオール、化合物Iビス−ジオール、化合物Iアミノアルコール、およびポリエステルIIジオール付加物が挙げられる。上述した本発明の多官能性化合物とともに、分枝状および架橋組成物も、上述したように形成される。ある実施形態において、ポリエステルIIジエステル付加物は、全体の内容が参照により本明細書に援用される特許出願の国際公開第2009/049041号パンフレットに記載されるジエステル化合物と同様に用いられる。
【0083】
ある実施形態において、1つ以上のポリエステルIIジエステル付加物は、1つ以上のジアミンと反応されて、ポリアミドポリマーが得られる。このような化合物は、本明細書においてポリエステルIIポリアミドと呼ばれる。ポリエステルIIポリアミド構造は、本発明のポリエステルIIジエステル付加物とともに、上記で挙げたジアミン化合物のいずれかを用いて形成される。様々な実施形態において、ポリエステルIIポリアミドは、内容が参照により本明細書に援用されるカナダ特許出願公開第2,676,898号明細書に記載されるような、ジエステルおよびジアミンから形成されるポリアミドと同様である。したがって、参照文献に開示されるポリアミドを作製するのに用いられる方法のいずれかが有用に用いられて、本発明のポリエステルIIポリアミドが作製される。実施形態において、本発明のポリエステルIIポリアミドを作製するための1つの有用な方法は、ジアミンの「ナイロン塩」およびポリエステルIIジエステル付加物、言い換えるとRが水素であるポリエステルIIジエステル付加物の遊離酸を形成した後、加熱して対応するポリエステルIIポリアミドを形成することである。遊離酸およびジアミンの化学量論的平衡は、約10重量%〜80重量%、または約50重量%の遊離酸およびジアミンの組合せを水に溶かした水溶液中で対応する1:1のアンモニウム塩を形成することによって得られる。化学量論は、遊離酸またはジアミンの添加によって溶液のpHを制御することによって得られる。その後、約100℃以上の温度で水のいくらかを除去することによって、塩を濃縮して約60重量%以上のスラリーにする。濃縮の後、ある実施形態において、濃縮されたスラリーを、約200℃以上に、または約200℃〜250℃に、または約210℃に加熱することによって、重合が起こる。重合の際、温度は、ある実施形態において、約260℃〜300℃に、または約275℃に上げられる。ある実施形態において、水の流出を可能にすることによって、重合反応の全てのうちの一部の際に、約1.7MPa以上の圧力が用いられる。実施形態において、この方法を用いると触媒は不要である。
【0084】
他の実施形態において、反応は、触媒を用いて行われる。あるこのような実施形態において、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンまたはチタンテトラアルコキシドが、触媒として好適に用いられ、この触媒により、穏やかな条件を用いてアミド化が起こり、エステルからアミド部分への高転化率が得られる。他の実施形態において、エステルは、さらなる触媒を用いずにアミドと反応される。ある実施形態において、エステルは、約150℃〜200℃の温度でアミドと反応される。
【0085】
コポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドは、様々な実施形態において、ランダムコポリマーまたはセグメント化コポリマーである。例えば、ある実施形態において、コポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドは、化合物Iの予め混合されたモノマーを1つ以上の他のさらなるモノマーと共重合させ、それによってランダムコポリマーを得ることによって調製される。他の実施形態において、化合物Iから誘導される1つ以上のホモポリエステルII、コポリエステルII、ポリエステルIIポリアミド、またはそれらの組合せは、上述したように調製される。ポリマー調製の後、任意選択によりさらなる化合物Iを含むさらなるモノマーが添加され、重合が継続される。このような実施形態において、セグメント化コポリエステルIIまたはセグメント化ポリエステルIIポリアミドが形成される。このような実施形態において、第1の重合では、例えば、1つ以上のヒドロキシル基で終端された1つ以上の鎖を含むようにホモポリエステルII、コポリエステルII、またはポリエステルIIポリアミドが調製され(「プレポリマーII」)、ここで、プレポリマーIIは直鎖状または分枝状である。プレポリマーIIの残りのヒドロキシル基は、第2の重合の開始剤として働き、第2の重合は、1つ以上のさらなるモノマーの存在下で行われる。第2の重合は、任意選択により、本明細書の他の箇所に記載されるものなどの重縮合または開環重合プロセスによって行われる。
【0086】
ヒドロキシル末端プレポリマーIIの開環重合が、実施形態において、好適な量のラクトン、例えば、ラクチドを用いて行われ、それによって、ポリラクトンを含有する少なくとも1つのセグメントとプレポリマーIIを含有する1つのセグメントとを含むセグメント化コポリエステルIIが得られる。このようなセグメント化コポリエステルIIは、セグメント化ポリエステルIIと、様々なポリラクトンホモポリマー(例えば、ポリ乳酸)のいずれかのうちの1つ以上とを含む相溶性ブレンドを作製し、それによって、セグメント化コポリエステルIIまたはセグメント化ポリエステルIIポリアミドが組み込まれるポリマーの機械的特性および熱たわみ特性を向上させるのに有用である。
【0087】
このような実施形態の変形例において、2つ以上のプレポリマーが別個に形成されてから一緒に反応される場合、第2の重合が行われ、ここで、1つ以上のプレポリマーは、化合物Iの1つ以上の残基を含有する。あるこのような実施形態において、プレポリマーの1つ以上は、イソシアネート末端プレポリマーであり、イソシアネート末端プレポリマーが、ヒドロキシルまたはアミノ末端プレポリマーの鎖延長剤として働くようになっている。このような変形例において、得られるセグメント化コポリエステルIIまたはセグメント化ポリエステルIIポリアミド鎖(直鎖状、または分枝状または架橋された)は、2つ以上の様々なプレポリマーセグメントタイプの各々の複数のセグメントを含み得る。
【0088】
様々なポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドは、実施形態において、任意選択により反応押出によって得られるブレンドで用いられる。ブレンドとしては、ポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドの様々な化学種と、本発明の化合物Iジオール、化合物Iビス−ジオール、化合物Iアミノアルコール、ポリエステルIIジエステル付加物、およびポリエステルIIジオール付加物を組み込んだ他のポリマーとのブレンド、ならびに脂肪族/芳香族コポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレートアジペート(PBTA)、ポリブチレンテレフタレートスクシネート(PBTS)、およびポリブチレンテレフタレートグルタレート(PBTG);ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレートおよびポリヒドロキシブチレート−バレレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート−プロパノエート、ポリヒドロキシブチレート−ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレート−デカノエート、ポリヒドロキシブチレート−ドデカノエート、ポリヒドロキシ−ブチレート−ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレート−オクタデカノエートなどのポリヒドロキシブチレート、およびポリアルキレンスクシネートならびにアジピン酸、乳酸またはラクチドおよびカプロラクトンとのそれらのコポリマーならびにそれらの組合せなどの生分解性ポリエステル;ポリスチレンおよびそのコポリマー;ポリウレタン;ポリカーボネート;ナイロン6およびナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびそのコポリマーなどのポリオレフィン;あるいは他の産業的に有用なポリマー化合物のようなポリマーとのブレンドが挙げられる。ブレンドは、ある実施形態において、ゼラチン化デンプン、破壊デンプンおよび/または複合化デンプン、天然デンプン、小麦粉、ならびに天然、植物または無機由来の他の材料との複合体も含む。本発明の1つ以上のポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドは、ある実施形態において、デンプン、セルロース、キトサン、アルギネート、天然ゴムまたは天然繊維(例えば、ジュート、ケナフ麻、麻など)などの天然由来のポリマーと混合される。特に、0.2〜2.5の置換度のデンプンまたはセルロースエステル、ヒドロキシプロピル化デンプン、または脂肪鎖で改質したデンプンなど、デンプンおよびセルロースを改質することができる。
【0089】
実施形態において、本発明のポリマーのブレンドは、1つ以上のポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドと、1つ以上の衝撃改質剤とのブレンドを含む。衝撃改質剤は、多くの場合、複合性を有する添加剤であり、向上した耐衝撃性を与えるためにポリマー材料に添加される。例えば、米国特許第7,173,082号明細書および同第7,314,893号明細書に開示されるもの、ならびに当業界で用いられる他の公知の衝撃改質剤のいずれかなどのコアシェルアクリル衝撃改質剤が、向上した耐衝撃性を与えるために本発明のポリエステルとともに有用である。
【0090】
実施形態において、本発明の化合物のいずれかは、1つ以上の接着剤製剤中の粘着付与剤である。粘着付与剤は、粘着テープの使用者に周知の粘着「感」特性を与え、一部のホットメルト接着剤にも組み込まれる。本発明のポリマーは、例えば、ホモポリエステルIIのnの値が2〜10である粘着付与剤である。本発明の化合物が粘着付与剤として用いられる実施形態において、それらは、紙、金属、天然ゴム、ならびにエチレン−酢酸ビニル、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、およびイソ−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびアクリル酸のコポリマーなどの様々なアクリルポリマーなどの合成ポリマーを含む、多くの異なるタイプの材料に強い粘着性を与える。
【0091】
本発明に係る様々な化合物、およびそのブレンドは、立体異性体比、分子量、架橋密度、製剤成分などを含む化学構造を適切に選択することによって、多くの用途への使用に適したものとなるような特性を有する。このような用途は、フィルム、繊維、射出成形品、押出被覆物品、溶液被覆物品、発泡物品、熱成形品、押出形材およびシート、押出ブロー成形品、射出ブロー成形品、回転成形品、延伸ブロー成形品、スカイビング加工(skived)物品、圧延(milled)物品などの1つ以上の製品として、またはそれらの製品の成分としての使用を含む。フィルムの場合、フィルムブロー、鋳造、および共押出のような製造技術を使用することができる。さらに、このようなフィルムは、インラインで(in line)またはフィルム製造の後に一軸または二軸延伸にかけることができる。無機充填剤を含む高度に充填された材料の存在下で延伸を得ることも可能である。このような場合、延伸により細孔が形成され得、そのように得られたフィルムは、衛生用途に適し得る。
【0092】
上述した本発明に係る様々なポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドは、フィルムの製造に適している。「フィルム」は、本発明の様々な実施形態の趣旨において、例えば曲げに対して可撓性であり、かつ厚さが約1μm〜5mmのシートタイプの材料と定義される。フィルムは、本発明の1つ以上のポリエステルIIおよびポリエステルIIポリアミドを用いて作製されてもよく;またはフィルムは、本発明の化合物のいずれかと混合される別のポリマーを用いて作製することができる。本発明の様々な化合物およびポリマーを用いるフィルムは、実施形態において、一方向性または二方向性の、単層または多層であり、本発明の1つ以上のポリエステルIIまたはポリエステルIIポリアミドを、単一成分または上述したように他の材料とのブレンドとして用いる。フィルムは、農業用マルチングフィルム;画像またはテキストを印刷可能なフィルム;食品用のラップフィルム(伸縮可能なフィルム)、農業分野の梱包用フィルムおよび廃物を包むためのフィルム;パレット、ミネラルウォーター、シックスパックリング(six pack ring)などのための収縮性フィルム;廃物を収集するため、食品を保持するため、刈られた芝生および庭ごみを集めるためなどの袋および裏地;例えば、牛乳、ヨーグルト、肉、飲料などのための容器などの、食品用の熱成形された単層および多層包装;ならびに紙、プラスチック材料、アルミニウム、および多種多様な用途のための金属化フィルムの層を含む多層積層体を含む様々な用途に有用である。
【0093】
上述した本発明の化合物は、フィルム、物品などの上に層を形成するコーティングにも有用である。コーティングは、最大でも数ミリメートルまでの厚さであり得、またはコーティングは単一分子層であってもよい。本発明のコーティングは、実施形態において、押出コーティング、ダイコーティング、スロットコーティング、ブラシコーティング、噴霧コーティング、またはコーティング業界で用いられる任意の他の一般に知られた技術によって適用される。本発明の化合物から作製される様々な化合物およびポリマーを用いるコーティングは、保護コーティング、塗料の成分、接着剤またはのり、バリア層などとして有用である。本発明の1つ以上のコーティングは、実施形態において、凝集溶媒などのさらなる溶媒を用いてまたは用いずに、および紫外線遮断剤、抗菌剤、着色剤、充填剤などの添加剤を用いてまたは用いずに適用される。本発明の1つ以上のコーティングは、ある実施形態において、適用後に架橋される。
【0094】
1つ以上の製剤に含まれるような本発明の化合物は、物品を形成するのにも有用である。本発明の様々なポリマーを用いるある実施形態において、物品が、さらなる成分を全く用いずにポリマー単独で形成される。本発明の趣旨で定義される際の「物品」は、硬質または可撓性の物体を含み;これらの物体は、単独の物体または組立体もしくは積層体の一部として存在し;任意選択により1つ以上のさらなる材料とともに、本発明の化合物またはそのブレンドから作製される1つ以上の化合物およびポリマーを含む。本発明の化合物から作製される様々な化合物およびポリマーを含む有用な物品のいくつかの例は、食品用の小さなかご、建築用のI形梁、例えば、ペン、コンピュータの画面などの枠;自動車構造、テーブル面などの部品;照明器具の部品、宝石、花瓶、建築装備品などの装飾品;子供用の玩具;飲料ボトル;および多くの他の物品である。本発明は、本発明の化合物から作製される様々な化合物およびポリマーを用いて何の物品が形成され得るかに関して、特に限定されない。様々なポリエステルIIおよびポリエステルIIアミドを含む物品には、様々な有機および無機充填剤が充填され得る。このような実施形態において、無機充填剤の非限定的な例としては、ガラス繊維、シリカ、珪藻土、石こう、アルカリ土類金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウム、鉄、チタンの酸化物などの金属酸化物、粘土、カーボンブラックなどが挙げられる。有機充填剤の例としては、様々な植物繊維、粉末化したトウモロコシの穂軸およびトウモロコシ繊維、木材粉塵、木片、わら、樹皮、オート麦の外皮などが挙げられる。
【0095】
本発明の様々なポリマーを用いる実施形態において、耐破損性および高強度とともに光透過性が用途の要件である物品が好適に形成される。例えば、防弾性の(projectile−deflecting)光透過性窓などの窓が、本発明の様々なポリマーを用いて好適に形成される。このような実施形態において、本発明の様々なポリマーは、ビスフェノールA(ポリカーボネートからのビスフェノールA浸透水の生物活性が問題視されている)を含有する市販のポリカーボネートの代わりに好適に用いられる。さらに、本発明のポリエステルIIは、ある実施形態において、ビスフェノールAなどの石油系化合物ではなく100%再生可能な源から形成される。高強度および、ある実施形態において、100℃を超えるガラス転移温度のため、本発明の様々なポリマーは、高温を伴う用途に有用に用いられる。したがって、電子レンジで使用できまたは食器洗い機で洗える食品容器が、本発明の様々なポリマーから好適に形成される物品である。本発明の様々なポリマーの他の好適な製剤および用途としては、可撓性ケーブル;マグネットワイヤ用の絶縁膜;医療用チューブあるいは高圧蒸気殺菌法または滅菌温度もしくは放射線への曝露を必要とする他の医療用品;フォトレジスト成分;構造用接着剤成分;ブッシング、軸受、ソケットあるいは高温または高応力を受ける場合などの要求の厳しい用途における構造部品;例えば不織ウェブにおける高温ガスフィルタの構成要素として;コンピュータおよびMP3プレーヤーなどの電子機器用のケースおよび筺体;街灯カバー、眼鏡もしくはサングラスレンズなどの、照明または他の光学装置用のレンズ、あるいは自動車用ヘッドライト;ハンドル、インストルメントパネルの構成要素もしくはカバー、内装の成形部品、またはバンパーなどの外装の成形部品などの自動車用成形品;防御物、バイザーなどの暴動鎮圧用装備;独楽、ラジコンカーなどの子供用の玩具;ポスターおよび広告看板、書籍またはノートなどの保護カバーが挙げられる。
【0096】
本発明の1つ以上の化合物を含む製剤を用いて形成可能な物品は、発泡物品を含む。ポリウレタンの発泡の周辺技術は、当業界において一般に知られており、実施形態において、本発明の化合物から作製される様々な化合物およびポリマーから発泡物品を形成するのに用いられる。発泡物品は、硬質フォームおよび可撓性フォームの両方を含む。有用な発泡材料のいくつかの例としては、自動車座席、内装または外装家具などのためのクッション;焼結によって形成される部品の製造のための発泡されたまたは発泡可能なビーズ;予備発泡粒子で構成される発泡ブロック;発泡シート、熱成形発泡シート、およびそれらから得られる食品包装用容器が挙げられる。
【0097】
物品は繊維物品も含む。繊維物品の例としては、標準的なスケールファイバー、マイクロファイバー、ナノファイバー、および複合繊維を含む。複合繊維は、ある実施形態において、PLA、PET、PTTなどの硬質ポリマーで構成される芯と、本発明の1つ以上のポリエステルIIまたはポリエステルIIポリアミドで作製される外側のさやとを有し;他の複合繊維は、様々な部分形状(円形から多葉形まで)を有する。繊維は、サニタリー分野、衛生分野、農業分野、地質浄化(georemediation)、造園および衣料分野用の、フレーク繊維、織布および不織布またはスパンボンドもしくは熱接着された布帛も含む。
【0098】
様々な実施形態が以下に詳細に説明される。様々な実施形態への言及は、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定しない。さらに、本明細書に記載のいかなる例も限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の多くの考えられる実施形態の一部を記載したに過ぎない。
【0099】
本開示の実施形態を説明するのに用いられる、例えば、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、製剤または物品における化合物または成分の量、ポリマーにおける繰り返し有機単位の数、ならびに同様の値、およびその範囲を修飾する「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物、使用製剤、または物品を作製するのに用いられる通常の測定および取扱手順によって;これらの手順の不測の誤りによって;方法を実行するのに用いられる出発材料または成分の製造、源、または純度の差によって起こり得る数量の変動、ならびに類似の近似値を考慮に入れることを指す。用語「約」はまた、特定の初期濃度を有する製剤または混合物の経年変化によって異なる量、および特定の初期濃度を有する反応物もしくは製剤または混合物の混合または処理によって異なる量も包含する。用語「約」によって修飾される場合、本明細書に添付される特許請求の範囲は、これらの量の均等物を含む。
【0100】
「任意選択の」または「任意選択により」は、その後ろに記載される事象または状況が起こり得るが起こる必要はないこと、および説明が、事象または状況が起こる場合の例および起こらない場合の例を含むことを意味する。例えば、「A任意選択によりB」は、Bが存在し得るが存在する必要はなく、説明が、AがBを含む場合の状況およびAがBを含まない場合の状況を含むことを意味する。
【0101】
「含む」または「含める」または類似の用語は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0102】
本明細書で使用される際、特許請求の範囲の請求項の要素の単数形での記載は、1つ以上の同じ要素の存在を除外しないものと解釈されるべきである。
【0103】
本明細書で使用される際の用語「ケタール」は、記載されるかまたは示される1つ以上の化学構造によって示されるような、環状、五員環もしくは六員環アセタールまたはケタール部分あるいは非環状アセタールまたはケタール部分を意味する。用語「ケタール化」は、環状、五員環もしくは六員環アセタールまたはケタール部分あるいは非環状アセタールまたはケタール部分を形成するための化学反応を指す。
【0104】
本明細書で使用される際の用語「カルボキシレート」は、1つ以上の化学構造によって示されるような、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、またはカルボキサミド部分を有する特定の化合物が記載されるかまたは示されない限り、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、またはカルボキサミド部分を意味する。
【0105】
本明細書で使用される際の用語「ポリマー(polymer)」または「ポリマー(polymeric)」は、縮合または付加反応により2つ以上の繰り返し有機単位が形成される任意の反応生成物を包含する。したがって、「ポリマー(polymer)」または「ポリマー(polymeric)」は、二量体、三量体、四量体、およびより高次の繰り返し単位、すなわちオリゴマーなど(最大で数百または数千の繰り返し有機単位を有する化合物を含める)を包含する。記載されるかまたは示される1つ以上の化学構造によって示されるように、繰り返し有機単位は、同じかまたは異なっていてもよい。
【0106】
本発明の化合物は、実施形態において、1つ以上の異性体を有する。異性体が存在し得るが特定されていない場合、本発明が、立体異性体、配座異性体、およびシス、トランス異性体;それらの単離された異性体;およびそれらの混合物を含む、それらの全ての異性体を具現化することを理解されたい。
【0107】
本発明は、開示または記載される要素のいずれかを好適に含む、それからなる、またはそれから本質的になる場合がある。したがって、本明細書に例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない何らかの要素がなくても好適に実施され得る。
【実施例】
【0108】
実験項
以下の実施例は、本発明の化合物およびその用途を、本発明の範囲を限定せずに、さらに説明し、記載する。実施例で行われる反応の図示は、行われる化学反応の例示であることを意味し、それによって形成される可能な生成物の範囲を限定することを意味しない。
【0109】
一般的な情報
以下に特に規定しない限り、以下の実施例で用いられる全ての化学物質、試薬および溶媒は、Sigma Aldrich Company(St.Louis,MO、米国)から購入され、純度が少なくとも99%であった。
【0110】
レブリン酸エチル(純度99%+)およびレブリン酸ブチル(純度99%+)は、Langfang Triple Well Chemicals Company,Ltd.(Langfang City,HeBei、中国)から購入した。
【0111】
純度99%+のキシリトール(FCCグレード)は、Epic Industries,Inc(Provo,Utah、米国)から購入した。
【0112】
実施例1
【化20】

500mLの丸底フラスコに、50.42g(0.331モル)のキシリトールおよび6.8μL(0.128ミリモル)の硫酸を入れた。フラスコを、Kugelrohr装置において160℃(エアオーブン温度)で加熱した。反応中に形成される水を真空下(5〜10トル)で除去し、ドライアイス−イソプロパノール冷却トラップに収集した。6時間後、反応フラスコをKugelrohr装置から取り外し、周囲温度まで冷ました。次に、反応フラスコに、190.47g(1.321モル)のレブリン酸エチルを入れ、Dean−Starkトラップ、凝縮器、および磁気攪拌子を装備した。反応フラスコを、真空下(40〜50トル)で2時間、110℃の油浴中で加熱した。次に、反応フラスコを油浴から取り出し、周囲温度まで冷ました。
【0113】
反応混合物を、500mLの酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムで3回(300+200+200mL)および飽和塩化ナトリウム溶液で1回(300mL)洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体をろ過して取り除いた後、ろ液をロータリーエバポレータにおいて濃縮して、酢酸エチルを除去した。残さをKugelrohr装置においてさらに蒸留し、まず未反応のレブリン酸エチルを除去し、次に、非常に淡い緑色の粘性液体としての所望の反応生成物を、200ミリトルの真空下で190℃で蒸留した。蒸留の際、粘性液体は非常に迅速に固化して、クリーム状の白色の結晶様の固体を形成した。固体をGC−MSおよびH NMRによって分析して、1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタール、エチルエステル(EtAXLK)の構造としての構造を確認した。得られたEtAXLK結晶の全収量は38.58g(キシリトールから44.7モル%の収率)であった。図1に示される、EtAXLKのGC−MS全イオンクロマトグラムは、99.5%より高い純度を示した。2つの異性体の質量スペクトルを図2および図3にそれぞれ示す。NMRスペクトルを図4に示す。
【0114】
実施例2
実施例1で用いたのと異なる技術を用いてEtAXLKの合成を行った。機械攪拌器および熱電対を備えた1Lの三つ口フラスコに、152.35g(1.00モル)のキシリトール(Sigma−Aldrich Company(St.Louis,MO)から得られる)および20μL(0.376ミリモル)の濃硫酸を入れた。フラスコ中の材料の温度が160℃に達するまで、フラスコを加熱マントルで加熱した。水を反応フラスコから真空下(約10トル)で除去し、ドライアイス−イソプロパノール冷却トラップに収集した。6時間後、反応フラスコに窒素を充填し(backfill)、次に、576.10g(4.00モル)のレブリン酸エチルを入れた。反応混合物を110℃に加熱し、真空下(約40トル)で2時間、その温度に保った。次に、加熱マントルを取り外し、反応フラスコを周囲温度まで冷ました。
【0115】
反応混合物を1Lの酢酸エチルで希釈し、300mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で4回、および300mLの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体をろ過して取り除いた後、ろ液をロータリーエバポレータにおいて濃縮して、酢酸エチルおよびいくらかの未反応のレブリン酸エチルを除去した。残さをKugelrohr装置においてさらに蒸留して、レブリン酸エチルを除去し、次に、200ミリトルの真空下で185〜190℃でクリーム状の白色結晶をすぐに形成した材料を蒸留により取り除いた。結晶をGC−MSおよびH NMRによって分析して、EtAXLKとしての構造を確認した。得られたEtAXLK結晶の総量は、105.35g(キシリトールから40.4モル%の収率)であった。図5に示されるGC−MS全イオンクロマトグラムは、99.5%より高い純度を示した。NMRスペクトルを図6に示す。
【0116】
実施例3
A.粗1,4−アンヒドロキシリトール(キシリタン)の調製のための一般的な手順
2リットルの丸底フラスコに、1kgの固体キシリトールおよび予め測定された触媒量の濃硫酸を0.5または1mLの脱イオン水に予め溶解させたものを入れる。水に溶解させる硫酸の総量を、反応混合物の総重量を基準にして、約50ppm〜200ppmの範囲であるように調節する。次に、170℃の温度に予め加熱された油浴を備えたロータリーエバポレータにフラスコを取り付け、約20トルの真空をフラスコにかける。真空フラスコを油浴中で回転させる。約30分後、フラスコの内容物が溶融し、水の蒸留が開始する。水をメスシリンダーに収集する。約120mLの水を収集するまで収集し続け、その時点で反応時間を記録し、フラスコを油浴から取り出し、室温まで冷ます。
【0117】
得られる粗反応生成物は、黄色ないし褐色の透明液体であり、硫酸の量が少なくなるほど、粗反応生成物の色が明るくなる。50ppmの硫酸を使用する場合、粗反応生成物はほぼ無色である。フラスコの内容物を秤量して、粗反応生成物の重量を測定する。公知の技術を用いて、無水酢酸/ピリジンでアセチル化することによって粗反応生成物を誘導体化し、誘導体化された粗反応生成物を、GC−MSによって分析する。
【0118】
一般的な手順を用いるいくつかの実際の反応条件、時間、および粗生成物の重量を表1に示す。この一般的な反応手順を用いて得られる粗反応生成物は、通常、約90%の1,4−アンヒドロキシリトール(キシリタン、ラセミ混合物)、約3%の他のアンヒドロキシリトール異性体(1,5−アンヒドロキシリトールを含む)、約0.7〜1.5%の未反応キシリトール、および約5〜6%のオリゴマー生成物を含む。
【0119】
【表1】

【0120】
B.蒸留による1,4−アンヒドロキシリトールの精製のための一般的な手順
1Lの丸底フラスコに、一般的な手順3Aにしたがって調製された300〜500gの粗反応生成物を入れる。次に、1〜2mlの脱イオン水に予め溶解させた約300〜500mgの炭酸ナトリウムをフラスコに添加する。110℃に設定された絶縁カバー付きの油浴を備えたロータリーエバポレータにフラスコを取り付け、約1時間、20トルの真空をフラスコにかけながら、フラスコを回転させる。次に、フラスコ中の圧力をさらに下げる。圧力を約1〜2トルで安定化させた後、油浴の温度を、約1時間かけて180℃まで徐々に上げる。無色ないし淡黄色の液体の蒸留が、約0.5〜1トルで、および約180℃の油浴温度で開始するのが観察される。蒸留が停止するまで、撥水加工した500mlのフラスコに液体を収集する。蒸留した液体は、粗反応生成物の約77〜85重量%を占める。さらなる精製を全く行わずに、液体を後続の実施例に使用する。
【0121】
実施例4
【化21】

2Lの丸底四つ口フラスコに、およそ55mgの硫酸(アンヒドロキシリトールの調製に用いられる量を基準にする)と、601.0gのメチルイソブチルケトン、すなわちMIBKとを含有する、実施例3Aにしたがって得られる200.6gの粗アンヒドロキシリトールを入れた。フラスコに、機械攪拌器、熱電対、窒素出口およびDean−Starkトラップおよび凝縮器を装備した。加熱マントルを用いて、フラスコの内容物を、窒素ブランケット下で還流温度(約116℃〜120℃)に加熱した。フラスコ内が還流に達すると、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。トラップへの液体の収集が停止するまで、約16時間還流させ続けた。次に、フラスコを室温まで冷ました。
【0122】
冷却すると、反応混合物は2つの観察可能な層を形成した。層を分離させて、下側層(32.9g)を廃棄した。上側層(710.1g)をGC−MSによって分析したところ、1,4−アンヒドロキシリトールメチルイソブチルケタール(AXMIBK)およびMIBKを含有することが分かった。約1gのNaHPOを上側層の内容物に添加し、この混合物を、周囲温度で約80分間撹拌した。次に、固体を液体からろ過し、固体を廃棄した。減圧下でロータリーエバポレータを用いて、ろ過された液体からMIBKを揮散させた。揮散された液体を、Kugelrohr装置を用いて約250〜300ミリトルおよび約160℃で蒸留して、191.95gの淡黄色の粘性液体を得た。蒸留された液体をGC−MSによって測定したところ、シス:トランス異性体の1:2の混合物としての98%のAXMIBKであった。ここでのおよび実施例の他の箇所でのシス:トランス比を、GC−TICクロマトグラムの完全に分かれたピークを積分することに基づいて測定した。GC−MSによって、約1.8%の主な不純物が、未反応のアンヒドロキシリトール異性体であることが分かった。
【0123】
蒸留された液体を、約600mLのメチルt−ブチルエーテルに溶解させ、30mLの、炭酸ナトリウムの10%水溶液で2回洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレータにおいて減圧下で溶媒を除去して、最終生成物を得た。GC−MSによれば、最終生成物(182.2g)は、99.6%を超えるAXMIBKであり、検出可能な量の未反応アンヒドロキシリトール異性体を含有していなかった。
【0124】
実施例5
【化22】

500mLの三つ口丸底フラスコに、150g(1.74モル)3−ペンタノン(ジエチルケトン、すなわちDEK)および実施例3Aにしたがって調製された48.8g(0.36モル)の粗アンヒドロキシリトールを入れた。フラスコの内容物が2つの観察可能な液体層を形成した。フラスコに、塔頂機械撹拌器、窒素入口、および塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップを装備した。フラスコを、約120℃の温度に設定された油浴に浸漬させた。フラスコの内容物を窒素流で覆い、約120℃〜134℃に加熱した。この温度範囲に達すると、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。約9時間後、トラップへの液体の収集が停止したら、フラスコの内容物を室温まで冷ました。冷ましたフラスコの内容物の試料をGC−MS分析のために取り出した。分析により、フラスコの内容物が、約90%の1,4−アンヒドロキシリトールジエチルケタール(AXDEK)を含有することが示された。
【0125】
約1gの炭酸水素ナトリウムをフラスコに添加し、フラスコの内容物を室温で約60分間撹拌した。次に、フラスコの内容物を、分画カラム、凝縮器、真空/窒素入口、および一連の回収フラスコ(receiving flask)付きのアダプターを備えた500mLの単口フラスコに添加した。フラスコを、約200℃の温度に設定された油浴に浸漬させ、フラスコの内容物を、約2〜3トルで真空蒸留した。ここで、蒸留物の主留分が、約158℃〜160℃のヘッド温度で蒸留するのが観察された。約43.6gのほぼ無色の透明液体を収集し、この液体を静置するとゆっくりと結晶化した。GC−MSによって、主留分が98%のAXDEKであることを確認した。
【0126】
実施例6
【化23】

20mLのバイアルに撹拌子を装備し、5.0g(0.03モル)のレブリン酸エチル、実施例4の手順にしたがって調製された2.2g(0.01モル)のAXMIBK、および0.5mgのp−トルエンスルホン酸一水和物をバイアルに添加した。バイアルの内容物を室温(約21℃)で撹拌し、電子イオン化GC−MS分析のために、アリコートを定期的に取り出した。バイアル中で試薬を混合する前に、EtAXLKを形成するための反応を監視するための開始点をt=0とするGC−MSによって、レブリン酸エチルおよびAXMIBKを分析した。残りのAXMIBK立体異性体を別個に検出し、分析して、完全に分かれた異性体ピークを積分することに基づいてパーセント転化率を測定した。
【0127】
反応が進行するにつれ、EtAXLKのトランスおよびシス立体異性体対を、完全に分かれたピークとして検出し、それらの質量スペクトルおよび保持時間に基づいてそれらを特定し、GC−TICクロマトグラムを積分することによって定量化した。約24時間後、撹拌を停止すると、反応混合物において、結晶化であるように見える速やかな固化がすぐに起こった。母液(約3.1g)と湿った生成物の結晶(約3.9g)とをデカントで分け、GC−MSによって別個に分析した。結果を表2にまとめる。
【0128】
【表2】

【0129】
実施例7
【化24】

5.05g(0.03モル)のレブリン酸ブチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例6の手順にしたがって反応を行った。
【0130】
24時間後、AXMIBK対BuAXLKの99+%の転化率を、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いて測定した。反応混合物において結晶化の発生は観察されなかった。最終生成物は、トランス/シス異性体の4.02:1の比率を有していた。
【0131】
実施例8
【化25】

4.96g(0.04モル)のアセト酢酸エチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例6の手順にしたがって反応を行った。24時間後、AXMIBK対EtAXAKの97%の転化率を、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いて測定した。反応混合物において結晶化の発生は観察されなかった。最終生成物は、トランス:シス異性体の2.73:1の比率を有していた。
【0132】
実施例9
【化26】

5.07g(0.03モル)のアセト酢酸t−ブチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例6の手順にしたがって反応を行った。24時間後、AXMIBK対BuAXAKの96%の転化率を、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いて測定した。反応混合物において結晶化の発生は観察されなかった。最終生成物は、トランス:シス異性体の2:1の比率を有していた。
【0133】
実施例10
【化27】

20mLのバイアルに撹拌子を装備し、6.0g(0.04モル)のレブリン酸エチル、実施例5にしたがって調製された2.0g(0.01モル)のAXDEK、および1.0mgのp−トルエンスルホン酸一水和物をバイアルに添加した。バイアルの内容物を室温(約21℃)で撹拌し、電子イオン化GC−MS分析のために、アリコートを定期的に取り出した。バイアル中で試薬を混合する前に、EtAXLKを形成するための反応を監視するための開始点をt=0とするGC−MSによって、レブリン酸エチルおよびAXDEKを分析した。
【0134】
15時間後、AXDEK対EtAXLKの95%の転化率を、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いて測定した。反応混合物において結晶化の発生は観察されなかった。最終生成物は、トランス:シス異性体の3.73:1の比率を有していた。
【0135】
実施例11
【化28】

6.0g(0.05モル)のアセト酢酸エチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例10の手順にしたがって反応を行った。15時間後、AXDEK対EtAXAKの37%の転化率を、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いて測定した。反応混合物において結晶化の発生は観察されなかった。生成物は、トランス:シス異性体の2.5:1の比率を有していた。
【0136】
実施例12
5.0g(0.04モル)のピルビン酸エチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例6の手順にしたがって反応を行った。室温で24時間撹拌した後および48時間撹拌した後、反応が観察されなかった。
【0137】
実施例13
5.3g(0.02モル)のブチル2,2−ジブトキシアセテート(グリオキシル酸ブチルエステルジブチルアセタール)をレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、実施例6の手順にしたがって反応を行った。室温で24時間撹拌した後および48時間撹拌した後、反応が観察されなかった。
【0138】
実施例14
【化29】

20mLのバイアルに撹拌子を装備し、5.06g(0.03モル)のメチル3,3−ジメトキシプロピオネート(メチルホルミルアセテートまたはメチル3−オキソプロピオネートのジメチルケタール)、実施例3Bの手順にしたがって調製された1.8g(0.01モル)のアンヒドロキシリトール、1.2g(0.02モル)のアセトン、および1.0mgのp−トルエンスルホン酸一水和物をバイアルに添加した。バイアルの内容物を室温(約21℃)で撹拌し、実施例6に記載されるGC−MS技術を用いた分析のために、アリコートを定期的に取り出した。
【0139】
24時間後、バイアルの内容物が、1.1:1のトランス:シス比で存在する、26%のアンヒドロキシリトールジメチルケタール(1,4−アンヒドロキシリトールとアセトンとの反応生成物)、19%の1,4−アンヒドロキシリトール3−オキソプロピオネートアセタール(MeAXPA)、および約40%の、1,4−アンヒドロキシリトールのヒドロキシル基と、メチル3,3−ジメトキシプロピオネートのアセタール基との間の部分アセタール交換から得られるアクリルアセタール生成物の複合混合物を含有することが分かった。
【0140】
実施例15
【化30】

5.0g(0.03モル)のエチル3,3−ジメトキシプロピオネートをメチル3,3−ジメトキシプロピオネートの代わりに使用し、1.9g(0.01モル)の1,4−アンヒドロキシリトールを反応混合物において使用したことを除いて、実施例14の手順にしたがって反応を行った。
【0141】
24時間後、バイアルの内容物は、1.3:1のトランス:シス比として存在する23%のアンヒドロキシリトールジメチルケタール、14%のEtAXPA、および約52%の、1,4−アンヒドロキシリトールのヒドロキシル基とエチル3,3−ジメトキシプロピオネートのアセタール基との間の部分アセタール交換から得られるアクリルアセタール生成物の複合混合物を含有することが分かった。
【0142】
実施例16
【化31】

5.1g(0.03モル)のエチル2,2−ジエトキシアセテートをエチル3,3−ジメトキシプロピオネートの代わりに使用したことを除いて、実施例15の手順にしたがって反応を行った。24時間後、バイアルの内容物は、1:1のトランス:シス比として存在する、27%の1,4−アンヒドロキシリトールジメチルケタール、17%の1,4−アンヒドロキシリトールグリオキシレートアセタール、エチルエステル(EtAXGA)、および約46%の、1,4−アンヒドロキシリトールのヒドロキシル基とエチル2,2−ジエトキシアセテートのアセタール基との間の部分アセタール交換から得られるアクリルアセタール生成物の複合混合物を含有することが分かった。
【0143】
実施例17
1リットルの三つ口丸底フラスコに、386g(2.24モル)のレブリン酸n−ブチル、実施例3Bにしたがって調製された150g(1.12モル)の1,4−アンヒドロキシリトール、および5.4mg(0.055ミリモル)の98%の硫酸を入れた。フラスコの内容物が2つの分離した液体層を形成するのが観察された。フラスコに、塔頂機械撹拌器、塔頂凝縮器および真空/窒素入口を備えたDean−Stark分離器、および熱電対を装備した。フラスコの内容物を、約40分間撹拌しながら、約9〜12トルの減圧下で、油浴を用いて90℃に加熱し、液体をDean Starkトラップに収集した。液体の収集が停止した後、フラスコの内容物を室温まで冷まし、粗生成物の試料を、GC−MS分析のために取り出した。分析により、粗生成物が、約42.1%のレブリン酸n−ブチル、約1.6%の1,4−アンヒドロキシリトール、および約55.3%の1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタール、ブチルエステル(BuAXLK)を含有することが示された。
【0144】
粗生成物を、別個の漏斗中で、等体積の1重量%の炭酸ナトリウム水溶液で1回、次に、等体積の0.2重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。洗浄された生成物の試料をGC−MS分析のために取り出した。GCトレースにより、未反応の1,4−アンヒドロキシリトールが完全に除去されたことが示された。残りのレブリン酸ブチルおよび微量の水を、減圧下でロータリーエバポレータ(170℃、20トル)を用いて留去した。得られた液体を、170℃〜175℃に設定された油浴および0.2〜0.6トルの減圧を用いて、ロータリーエバポレータを用いて蒸留した。得られた蒸留された無色の液体生成物(155g)をGC−MSによって分析したところ、トランス:シス異性体の3:1の混合物として存在する、99%を超える1,4−アンヒドロキシリトールレブリネートケタール、ブチルエステル(BuAXLK)であることが分かった。
【0145】
実施例18
1リットルの三つ口丸底フラスコに、461g(3.55モル)のアセト酢酸エチル、実施例3Bの手順にしたがって調製された130g(0.97モル)の1,4−アンヒドロキシリトール、および8.7mg(0.089ミリモル)の98%の硫酸を入れた。フラスコの内容物が2つの分離した液体層を形成するのが観察された。フラスコに、塔頂機械撹拌器、塔頂凝縮器および真空/窒素入口を備えたDean−Stark分離器、および熱電対を装備した。フラスコの内容物を、油浴中で、約2時間撹拌しながら、約20〜50トルの減圧で約90℃に加熱した。この時間の間、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。蒸留物が冷めるにつれて2層に分かれるのが観察された。2時間後、残っているアセト酢酸エチルを揮散させるために、フラスコ中の圧力を約7〜13トルまで下げた。液体がフラスコから蒸留するのが観察された。液体の収集が停止したら、フラスコを室温まで冷ました。
【0146】
反応混合物の試料をGC−MS分析のために取り出した。分析により、粗生成物が、95%の1,4−アンヒドロキシリトールアセトアセテートケタール、エチルエステル(EtAXAK)を含有することが示された。粗生成物を、約0.4〜0.6トルの減圧で、約160℃に設定された油浴に浸漬させながら、ロータリーエバポレータにおいて真空蒸留にかけることによってさらに精製した。約173gの蒸留物を収集した。蒸留された生成物は、トランス:シス異性体の0.85:1の混合物として存在する96%のEtAXAKであった。
【0147】
実施例19
1リットルの三つ口丸底フラスコに、243g(2.09モル)のアセト酢酸メチル、実施例3Bの手順にしたがって調製された80g(0.60モル)の1,4−アンヒドロキシリトール、および3.2mg(0.033ミリモル)の98%の硫酸を入れた。フラスコの内容物が2つの分離した液体層を形成するのが観察された。フラスコに、機械攪拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、および熱電対を装備した。フラスコの内容物を、約1時間撹拌しながら、50〜100トルの減圧下で油浴を用いて100℃に加熱した。この時間の間、蒸留物をDean Starkトラップに収集した。蒸留物は、冷めるにつれて2層に分かれた。1時間後、残っているアセト酢酸メチルを揮散させるために、フラスコ中の圧力を約5〜25トルまで下げた。液体がフラスコから蒸留するのが観察された。液体の収集が停止したら、フラスコを室温まで冷ました。
【0148】
反応混合物の試料をGC−MS分析のために取り出した。分析により、反応生成物が、約90%のアンヒドロキシリトールアセトアセテートケタール、メチルエステル(MeAXAK)を含有することが示された。反応生成物を、約0.4〜0.8トルの減圧で、155℃に設定された油浴を用いて、ロータリーエバポレータを用いて真空蒸留にかけることによってさらに精製した。約112gの蒸留物を収集した。蒸留された生成物は、トランス:シス異性体の0.92:1の混合物として存在する約93%のMeAXAKであった。
【0149】
実施例20
【化32】

1リットルの三つ口丸底フラスコに、261g(2.31モル)のピルビン酸エチル、実施例3Bの手順にしたがって調製された50g(0.37モル)の1,4−アンヒドロキシリトール、122g(1.45モル)のシクロヘキサンおよび11.2mg(0.11ミリモル)の98%の硫酸を入れた。フラスコの内容物が2つの分離した液体層を形成するのが観察された。フラスコに、塔頂機械撹拌器、塔頂凝縮器および真空/窒素入口を備えたDean−Stark分離器、および熱電対を装備した。フラスコの内容物を、約2時間撹拌しながら、油浴を用いて約100℃〜110℃に加熱し、蒸留物を分離器に収集した。2時間後、シクロヘキサンと過剰のピルビン酸エチルとの反応混合物を揮散させるために、フラスコ中の圧力を、約4時間にわたって約300〜400トルまで下げた。トラップ中の液体の収集が停止したら、フラスコを室温まで冷ました。
【0150】
生成物混合物の試料をGC−MS分析のために取り出した。分析により、生成物混合物が、約80%の1,4−アンヒドロキシリトールピルベートケタール、エチルエステル(「EtAXPK」)を含有することが示された。反応生成物を、約0.6〜0.7トルで150℃で真空蒸留にかけた。約27.9gの蒸留物を収集した。GC−MSによる分析により、蒸留されたEtAXPKの純度が96%を超えることが示された。
【0151】
実施例21
【化33】

500mLの単口丸底フラスコに、実施例3Bの手順にしたがって調製された31.3g(0.23モル)の蒸留された1,4−アンヒドロキシリトール、35.4gの、グリオキシル酸を水に溶かした50重量%の溶液、および0.025mLの脱イオン水を入れて、均一な無色の混合物を形成した。フラスコをロータリーエバポレータに取り付け、80℃に設定された油浴に浸漬させながら、約15トルの減圧下で約50rpmで回転させた。液体がエバポレータの回収用フラスコに収集されるのが観察された。油浴の温度を、約4時間をかけて約140℃まで徐々に上げた。フラスコの内容物はこの時間の間に固化し、油浴の温度を1時間にわたって180℃に上げたときも流動しなかった。得られた生成物は、43.1gの琥珀色の透明の脆性固体であり、これは水溶性で、テトラヒドロフランまたはブタノールに不溶であった。DSCを用いてポリマーのガラス転移温度を測定したところ、88℃であった。
【0152】
1.2gの分量の粗反応生成物を、50mgのナトリウムメトキシドを含有する10mLのメタノールと混合し、混合物を、完全に溶解するまで室温で12時間、磁気撹拌によって撹拌した。得られた溶液の0.25mLのアリコートを、1.5mLのメチルt−ブチルエーテルと混合し、0.05mLの酢酸を添加し;不溶物を遠心分離によって沈殿させた。得られた精製溶液(約1.7ml)を収集し、溶媒を蒸発させた後、約5mgの溶解物質を含有することが分かった。固体をメチルt−ブチルエーテルに再び溶解させ、GC−MSによって分析したところ、トランス:シス立体異性体の1.3:1の混合物として、環状グリオキシル酸アセタールのメチルエステルおよび1,4−アンヒドロキシリトールグリオキシレートアセタール、メチルエステル(MeAXGA)を主に含有することが分かった。
【0153】
1,4−アンヒドロキシリトールとグリオキシル酸との得られたポリアセタール−ポリエステル縮合生成物は、1,4−アンヒドロキシリトールおよびエステル化グリオキシル酸の環状アセタールフラグメント、ならびに規定されない非環状アセタール(これは、メタノールナトリウムエトキシドで処理すると、メチルt−ブチルエーテルに不溶の化合物を生成した)を含むことが分かった。
【0154】
実施例22
1Lのビーカーに、160gの酢酸エチルおよび実施例2の手順にしたがって調製された200gのEtAXLKを入れた。EtAXLKが酢酸エチルに完全に溶解されるまで、混合物を磁気撹拌しながら60℃に加熱した。次に、混合物を−20℃までゆっくりと冷却した。−20℃で約2時間後、かなりの量の結晶様の沈殿物(約70g)がビーカー中に形成された。沈殿物をろ過によって単離し、低温(−20℃)の酢酸エチルで2回洗浄し、真空オーブン中で、40℃で15トルで3日間乾燥させてから、GC−MS分析を行った。GC−MSデータにより、沈殿物が、100%のEtAXLKであり、トランス:シス異性体の比率が300:1より高いことが示された。
【0155】
実施例23
【化34】

機械攪拌器および凝縮器を備えたDean−Starkトラップおよび窒素/真空入口を備えた250mLの三つ口フラスコに、実施例2の手順を用いて得られた30.70g(0.118モル)のEtAXLKを入れた。フラスコを200ミリトルになるまで排気し、85℃の油浴中で撹拌しながら加熱した。フラスコを200ミリトルまで排気し、フラスコに窒素を充填するのを4回繰り返した後、フラスコを、100ミリトル未満の真空下に置き、85℃の油浴中で一晩撹拌した。次に、フラスコに充填し、窒素ブランケット下で、フラスコに6μLのチタン(IV)イソプロポキシドを入れた。200ミリトルまで排気し、窒素を充填するのを3回繰り返した後、フラスコを、窒素雰囲気下で撹拌しながら油浴中200℃に加熱した。次の7.5時間にわたって、4.0mLの液体をDean Starkトラップに収集した。液体をトラップから排出し、約16〜2.6トルの真空を反応フラスコに約1時間かけた。次に、高い真空(約100ミリトル)をかけ、撹拌しながら、120℃に設定された油浴温度で一晩保った。次に、油浴温度を210℃に上げ、機械撹拌を約1.5時間再開し、次に、油浴温度を220℃に上げ、約1.5時間撹拌し続け、次に、最後に油浴温度を230℃に上げ、圧力を約55〜70ミリトルまで下げ、さらに約10時間撹拌し続けた。次に、フラスコを160℃まで冷まし、フラスコに窒素を充填した。
【0156】
反応生成物を、窒素下で160℃で淡黄色の透明固体として収集した。収量は17.45gであった。ポリマーをDSC、GPC、およびH NMRによって分析した。DSC(−70℃〜200℃、10℃/分)はT=105.3℃を示し;DSCトレースを図7に示す。GPC(THF移動相、PS較正、高分子量カラム)は、M=11,300、PDI=2.10を示し;GPCトレースを図8に示す。H NMRスペクトルを図9に示す。
【0157】
実施例24
【化35】

500m1の三つ口丸底フラスコに、実施例23にしたがって調製された50g(0.19モル)のEtAXLKを入れた。フラスコに、機械攪拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、および真空/窒素入口を装備した。フラスコを、110℃の温度に設定された油浴中に浸漬させ、5回の真空/窒素脱気サイクルを高温で行った。脱気した後、フラスコに窒素を充填し、10μl(200ppm)のチタン(IV)イソプロポキシドを反応フラスコに添加した。次に、油浴の温度を約200℃〜210℃に上げ、フラスコの内容物を約4時間撹拌し、この時間の間、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。4時間の終了時に、Dean Starkトラップへの液体の収集が停止していた。次に、油浴の温度を220℃に保ちながら、フラスコに約17トルの真空を約4時間かけた。次に、油浴温度を240℃に上げ、フラスコに約0.2トルの真空をさらに7時間かけた。次に、フラスコの内容物を室温(約20℃)まで冷まし、フラスコに窒素を充填した。
【0158】
ポリマー生成物を回収したところ、重さは約36gであった。内容物の試料をGPCによって分析し、75,000g/モルの重量平均分子量(M)および22,000g/モルの数平均分子量(M)が示された。生成物のDSC分析を実施例23の手順にしたがって行い、115℃のTが示された。ポリマーは、良好な光学的透明度を有し、透明で、硬質で、かつ延性であった。
【0159】
実施例25
【化36】

ジ−n−ブチルカーボネートを以下のとおりに調製した。スクリューキャップ式の瓶に、2.1モルの炭酸ジエチルおよび6.03モルのn−ブタノールを入れ、次に、0.2gのナトリウムメトキシドを添加した。得られた混合物を、室温(約22℃)で8時間磁気撹拌した。GC−MS分析により、得られた粗反応生成物が、98%のジ−n−ブチルカーボネート、2%のエチルn−ブチルカーボネートであることが示された。ジ−n−ブチルカーボネートを約4トルで分留し、主留分を72〜76℃で無色の液体として収集し、炭酸ジエチルの出発量を基準にして64モル%の収率を得た。
【0160】
250mlの三つ口丸底フラスコに、実施例17の手順にしたがって調製された24.7g(0.086モル)のBuAXLK、0.75mL(0.0043モル)のジ−n−ブチルカーボネートおよび11.2g(0.046モル)のグリセロールレブリネートケタール、ブチルエステル(レブリン酸ブチルをレブリン酸エチルの代わりに使用したことを除いて、特許出願の国際公開第2009/048874号パンフレットの実施例2の手順にしたがって調製された)を入れた。フラスコに、機械攪拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、真空/窒素入口、および熱電対を装備し、60℃の温度に設定された油浴中に浸漬させた。5回の真空/窒素脱気サイクルを行い、次に、フラスコに窒素を充填し、14μl(400ppm)のチタンイソポロピキシド(Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA)から得られる)をフラスコに添加した。次に、フラスコの内容物の温度を、約200℃〜220℃に上げ、フラスコを約5時間撹拌し、この時間の間、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。5時間の終了時に、液体の凝縮が停止するのが観察された。次に、温度を約220℃に保ちながら、フラスコに約7トルの真空を約5時間かけた。最後に、フラスコの内容物の温度を約240℃に上げ、約0.2トルの真空をかけ、さらに10時間撹拌し続けた。次に、フラスコの内容物を室温まで冷ました。
【0161】
実施例23の手順にしたがって、反応フラスコの内容物の試料をGPC分析のために取り出し、18,326g/モルの重量平均分子量(M)および6,597g/モルの数平均分子量(M)が示された。実施例23の手順にしたがってDSCを行ったところ、66℃のTが示された。
【0162】
実施例26
【化37】

250mLの三つ口丸底フラスコに、20.3g(0.088モル)のMeAXAK(実施例19の手順にしたがって調製された)、7.2g(0.12モル)のエタノールアミンおよび6.0mg(0.043ミリモル)の1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンを入れた。フラスコに、塔頂機械撹拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、および真空/窒素入口を装備し、160℃〜180℃に設定された油浴中に浸漬させた。フラスコの内容物を窒素流で覆い、約4時間撹拌した。この時間の間、蒸留物をDean Starkトラップに収集した。次に、フラスコを約10トルの圧力まで排気して、蒸留によって過剰のエタノールアミンを除去した。得られた反応生成物をGC−MSによって分析して、反応生成物を、1,4−アンヒドロキシリトールアセトアセタミドケタール、2−ヒドロキシエチルアミド(立体異性体の混合物)として特定した。分析により、残りのMeAXAKがフラスコ中に存在しないことが示された。
【0163】
反応混合物の試料を、図10に示されるH NMR分析のために取り出した。
【0164】
実施例27
【化38】

250mLの三つ口丸底フラスコに、15.4g(0.066モル)のMeAXAK(実施例19にしたがって調製された)、1.96g(0.033モル)のエチレンジアミン、および5.0mg(0.036ミリモル)の1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)を入れた。フラスコに、塔頂機械撹拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、および真空/窒素入口を装備し、120℃に設定された油浴中に浸漬させた。フラスコの内容物を窒素流で覆い、約20時間撹拌した。この時間の間、蒸留物をDean Starkトラップに収集した。次に、浴の温度を、約5時間をかけてゆっくりと160℃に上げ、160℃でさらに13時間保持した。13時間後、さらなる蒸留物がDean Starkトラップに収集されなかった。フラスコを室温まで冷ました。冷ます際に生じる反応生成物(約14g)を透明の琥珀色の固体として得た。反応混合物の試料を、図11に示されるH NMR分析のために取り出した。
【0165】
実施例28
【化39】

250mLの三つ口丸底フラスコに、実施例18の手順にしたがって調製された35g(0.14モル)のEtAXAKを入れた。フラスコに、機械攪拌器、塔頂凝縮器を備えたDean−Starkトラップ、および真空/窒素入口を装備した。フラスコを、約70℃の温度に設定された油浴中に浸漬させ、10回の真空/窒素脱気サイクルを行った。脱気した後、次に、フラスコに窒素を充填し、14mg(400ppm)の1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンを反応フラスコに添加した。油浴温度を180℃〜200℃に上げ、フラスコの内容物を4時間撹拌し、この時間の間、液体がDean Starkトラップに収集されるのが観察された。4時間の終了時に、蒸留が停止した。次に、油浴温度を200℃〜210℃に上げ、フラスコ中の圧力を約2時間にわたって約22トルまで下げ、次に、圧力をさらに4時間にわたって約0.2トルまで再び下げた。次に、フラスコの内容物を室温(約21℃)まで冷まし、フラスコに窒素を充填した。
【0166】
フラスコの内容物を取り出し、実施例23の手順にしたがってGPCによって分析したところ、反応生成物が、2992g/モルの重量平均分子量(M)および2206g/モルの数平均分子量(M)を有することが示された。
【0167】
実施例29
20mlのガラスバイアルに、1.84g(7ミリモル)の実施例27のビスアミド反応生成物を入れ、15mlの無水ジメチルスルホキシドを添加して化合物を完全に溶解させた。次に、1.6g(7ミリモル)のイソホロンジイソシアネートをバイアルに添加した。反応混合物を、周囲温度(約22℃)で約2時間の磁気撹拌によって撹拌した。次に、5mlのメタノールをバイアルに添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌した。実施例23の手順にしたがって、反応混合物の試料をGPC分析のために取り出し、化合物が、1784g/モルの重量平均分子量(M)および1624g/モルの数平均分子量(M)を有することが示された。
【0168】
本発明は、開示または記載された要素および実施形態のいずれかを好適に含む、それからなる、またはそれから本質的になる場合がある。ここで、本発明のある実施形態を以下に列挙する。本明細書に例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない何らかの要素がなくても好適に実施され得る。記載される様々な実施形態は例示として提供されるに過ぎず、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。様々な変更および変形を、本明細書に例示および記載される例の実施形態および用途にしたがわなくても、以下に続く特許請求の範囲および趣旨から逸脱せずに行い得ることが認識されるであろう。
【0169】
本発明の第1の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、1つの環状ケタール基、1つのエステルまたはアミド基、および1つの環状エーテル基を含む化合物を意図しており、ここで、化合物は、アンヒドロペンチトールとレブリン酸エステルとの反応、またはアンヒドロペンチトールとレブリン酸エステルのケタールとの反応、またはアンヒドロペンチトールのケタールとレブリン酸エステルとの反応の生成物である。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、反応は縮合反応である。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、反応は交換反応である。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、アンヒドロペンチトールは、1,4−アンヒドロキシリトールまたは1,4−アンヒドロアラビトールを含む。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、反応は、1,4−アンヒドロペンチトールのメチルイソブチルケタールとレブリン酸エチルとの交換反応である。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、脂肪酸、二酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、ケタールエステル、炭酸グリセロール、またはそれらの組合せの残基をさらに含む。任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ケタールエステルの残基は、以下の構造を有し、
【化40】

式中、
a’が、0、1、または2であり;
b’が、0または1であり、b=0が五員環を示し、b=1が六員環を示すようになっており;
R’が、水素またはメチルであり;
R’、R’、およびR’が、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンである。
【0170】
任意のこのような第1の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ケタールエステルは、レブリン酸アルキルのケタールおよび1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、またはそれらの混合物である。
【0171】
本発明の第2の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、上述した第1の実施形態の1つ以上の化合物ならびに1つ以上のポリマー、界面活性剤、可塑剤、溶媒、着色剤、触媒、充填剤、添加剤、助剤、またはそれらの組合せを含む製剤を意図している。任意のこのような第2の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、可塑化されたポリマー製剤、コーティング製剤、インク製剤、接着剤製剤、洗浄製剤、またはパーソナルケア製剤である。
【0172】
本発明の第3の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、第2の実施形態の1つ以上の製剤を含む物品を意図している。任意のこのような第3の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、フィルム、繊維、押出成形品、射出成形品、注型品、発泡物品、またはコーティングである。
【0173】
本発明の第4の実施形態において、単独で、または本明細書に挙げられる他の実施形態と組み合わせて、1つの環状ケタール基、1つのエステルまたはアミド基、および1つの環状エーテル基を含む化合物の残基を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマーを意図しており、ここで、化合物は、アンヒドロペンチトールとレブリン酸エステルとの反応、またはアンヒドロペンチトールとレブリン酸エステルのケタールとの反応、またはアンヒドロペンチトールのケタールとレブリン酸エステルとの反応の生成物である。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、第1の実施形態の1つ以上の化合物の残基を含む。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、二酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、ジイソシアネート、ヒドロキシ酸またはヒドロキシエステル、ヒドロキシケタールエステル、あるいはそれらの組合せの残基をさらに含む。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ヒドロキシケタールエステルは、以下の構造を含み、
【化41】

式中、
a”が、0、1、または2であり、
b”が、0または1であり、
R”、R”、およびR”が、独立して、水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0174】
任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、a”が2であり、b”が0であり、R”がメチルであり、R”が水素である。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、第1の実施形態の1つ以上の化合物の残基を含む1〜500個の繰返し単位を含む。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーのガラス転移温度は、50℃〜150℃である。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーのガラス転移温度は、100℃〜150℃である。任意のこのような第4の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、ほぼ透明である。
【0175】
本発明の第5の実施形態は、第4の実施形態の1つ以上のポリマーならびに1つ以上のさらなるポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの組合せを含む製剤を意図している。任意のこのような第5の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、洗浄製剤、脱脂製剤、接着剤製剤、コーティング製剤、インク、またはパーソナルケア製剤である。任意のこのような第5の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、炭酸グリセロール、レブリン酸アルキルと、グリセロール、エリトリトール、ソルビトール、もしくはアンヒドロキシリトールとの環状ケタール、またはそれらの1つ以上の組合せをさらに含む。
【0176】
本発明の第6の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、第4の実施形態の1つ以上のポリマーを含む物品を意図しており、ここで、物品は、フィルム、繊維、押出成形品、注型品、押出形成品、射出成形品、スカイビング加工物品、発泡物品、またはコーティングである。任意のこのような第6の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、カップ、プレート、瓶、もしくは小さなかごなどの食品容器、またはフォーク、スプーン、もしくはナイフなどの食品とともに使用するための道具;食品、ビデオ画面、窓、窓もしくはドアの構成要素を保護するためのフィルム;可撓性ケーブル;マグネットワイヤ用の絶縁膜;チューブもしくはバッグまたはそれらの構成要素などの、殺菌が必要な医療用品;フォトレジスト成分;構造用接着剤成分;ブッシング、軸受、またはソケット;高温ガスフィルタの構成要素;コンパクトディスクなどのデータ記憶デバイスまたはソリッドステートドライブもしくはフラッシュメモリデバイスなどのデータ記憶デバイスの構成要素;コンピュータ、プリンタ、MP3プレーヤー、携帯電話、カメラ、ビデオディスプレーデバイス、ステレオスピーカー、電源コード、または電気コネクタ用のケースまたは筐体;テーブル面、スタンド照明、机、もしくは椅子などの家具またはそれらの構成要素;街灯カバー、眼鏡もしくはサングラスレンズ、蛍光灯用の拡散器などの、照明用のレンズ、カバー、または拡散器;ハンドル、インストルメントパネルの構成要素もしくはカバー、ダッシュボードの構成要素などの内装の成形部品、または自動車用ヘッドライトもしくはバンパーなどの外装の成形部品などの自動車部品;防御物、ヘルメット、またはバイザーなどの防護衣の構成要素;独楽またはラジコンカーの車体などの子供用の玩具;あるいはポスター、写真、広告看板、コンパクトディスク、書籍、またはノートなどの保護カバーである。任意のこのような第6の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、1つ以上のポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの組合せをさらに含む。
【0177】
本発明の第7の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、構造Iを含む化合物を意図しており、
【化42】

式中、
aが、0または1〜12の整数であり;
Xが、OまたはNRであり、ここで、Rが、水素、あるいは1〜6個の炭素を有する直鎖状または分枝状のアルキル基であり;
が、水素、金属陽イオン、有機陽イオン、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組合せを含むオリゴマーもしくはポリマー部分であり;
各Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり;
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく;
が、水素、あるいは直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を有するアシル基である。
【0178】
本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、R、R、R、R、およびRのうちの1つ以上が、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、またはハロゲンを含む1つ以上のヘテロ原子をさらに含む。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、いくつかのRが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、いくつかのRが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、いくつかのRが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であるような異性体の混合物である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、異性体の混合物は、50〜100モル%の異性体を含み、ここで、RおよびRが共有結合である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、異性体の混合物は、95〜100モル%の異性体を含み、ここで、RおよびRが共有結合である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、RおよびRが共有結合である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、Rがメチレンである。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、アンヒドロキシリトールの残基を含む。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、aが2であり、全てのRがメチレンであり、Rがメチルである。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、XがOであり、Rが、メチル、エチル、イソプロピル、およびn−ブチルから選択される。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、XがNRであり、Rが、以下の構造を有する残基を含み、
【化43】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、およびaが、独立して、化合物Iについて定義したとおりである。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、Rが、水素、脂肪酸エステル残基、またはベンゾイル基である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、Rが、以下の構造を有するケタールエステル残基であり、
【化44】

式中、
a’が、0、1、または2であり;
b’が、0または1であり、b=0が五員環を示し、b=1が六員環を示すようになっており;
R’が、水素またはメチルであり;
R’、R’、およびR’が、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンである。
【0179】
本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ケタールエステルは、レブリン酸アルキルおよび1,2−エタンジオールまたは1,2−プロパンジオールを含む。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、Rが、炭酸グリセロールの残基である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、50モル%未満のシス異性体と、50モル%を超えるトランス異性体とを含む異性体の混合物を含み、ここで、シス異性体は、
【化45】

であり、トランス異性体は、
【化46】

である。
【0180】
本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、全てのaが2であり、全てのRがメチルであり、全てのRがメチレンであり、全てのRがエチルまたはn−ブチルである。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、トランス:シスのモル比は、2:1〜500:1である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、トランス:シスのモル比は、5:1〜100:1である。本発明の任意のこのような第7の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、トランス異性体から本質的になる。
【0181】
本発明の第8の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、本発明の第7の実施形態の化合物ならびに1つ以上のポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、触媒、着色剤、充填剤、添加剤、助剤、またはそれらの組合せを含む製剤を意図している。本発明の任意のこのような第8の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、ポリ塩化ビニルまたはエチレン−酢酸ビニルコポリマーである。本発明の任意のこのような第8の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、洗浄製剤、脱脂製剤、接着剤製剤、コーティング製剤、インク、またはパーソナルケア製剤である。
【0182】
本発明の第9の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、第8の実施形態の1つ以上の製剤を含む物品を意図しており、ここで、物品は、フィルム、繊維、押出成形品、射出成形品、注型品、発泡物品、またはコーティングである。
【0183】
本発明の第10の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、構造IIを含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマーを意図しており:
【化47】

式中、
aが、0または1〜12の整数であり;
各Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり;
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく、
nが、1〜500の整数である。
【0184】
本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーのガラス転移温度は、約50℃〜150℃である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーはホモポリマーであり、ガラス転移温度は、約80℃〜150℃である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、R、R、およびRのうちの1つ以上が、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、またはハロゲンを含む1つ以上のヘテロ原子をさらに含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、二酸、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、ジイソシアネート、ヒドロキシ酸、またはヒドロキシエステル、ヒドロキシケタールエステル、あるいはそれらの組合せの残基をさらに含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ヒドロキシケタールエステルは、以下の構造を含み、
【化48】

式中、
a”が、0、1、または2であり、
b”が、0または1であり、b=0が五員環を示し、b=1が六員環を示すようになっており、
R”、R”、およびR”が、独立して、水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0185】
本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、a”が2であり、b”が0であり、R”がメチルであり、R”が水素である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、ウレタン、尿素、アクリレート、エポキシ、カルバメート、またはカーボネート官能基、あるいはそれらの組合せをさらに含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基である1つ以上の繰返し単位、Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基である1つ以上の繰返し単位、ならびにRが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基である1つ以上の繰返し単位を含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基である1つ以上の繰返し単位は、構造IIを含む繰返し単位の総数の50〜100モル%を占める。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、RおよびRが共有結合である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、RおよびRがメチレンである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーの1つ以上の繰返し単位は、アンヒドロキシリトールの残基を含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、全てのaが2であり、全てのRがメチレンであり、Rがメチルである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、水素、アルコキシ基、あるいはアルキルエステル、脂肪酸エステル、炭酸グリセロール、ケタールエステル、ジオール、またはジエステルの残基を含む1つ以上の末端基をさらに含む。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ケタールエステル残基は、以下の構造を有し、
【化49】

式中、
a’が、0、1、または2であり;
b’が、0または1であり、b=0が五員環を示し、b=1が六員環を示すようになっており;
R’が、水素またはメチルであり;
R’、R’、およびR’が、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンである。
【0186】
本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ケタールエステルは、レブリン酸アルキルのケタールおよび1,2−エタンジオールまたは1,2−プロパンジオールである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、nが10〜250である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、nが1〜10である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、nが1〜5である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーは、50モル%未満のシス異性体と、50モル%を超えるトランス異性体とを含む1,4−アンヒドロキシリトールの残基を含む複数の繰返し単位を含み、ここで、シス異性体は、
【化50】

であり、トランス異性体は、
【化51】

である。
【0187】
本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、トランス:シス異性体の比率は、2:1〜500:1である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、全てのaが2であり、全てのRがメチルであり、全てのRがメチレンである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物は、トランス異性体から本質的になるホモポリマーである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーはコポリマーである。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーのガラス転移温度は、90℃〜150℃である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、化合物のガラス転移温度は、100℃〜150℃である。本発明の任意のこのような第10の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、ポリマーのガラス転移温度は、約110℃〜150℃である。
【0188】
本発明の第11の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、第10の実施形態の1つ以上のポリマーならびに1つ以上のポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの組合せを含む製剤を意図している。本発明の任意のこのような第11の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、洗浄製剤、脱脂製剤、接着剤製剤、コーティング製剤、インク、またはパーソナルケア製剤である。本発明の任意のこのような第11の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、製剤は、炭酸グリセロール、レブリン酸アルキルと、グリセロール、エリトリトール、ソルビトール、もしくはアンヒドロキシリトールとの環状ケタール、またはそれらの1つ以上の組合せをさらに含む。
【0189】
本発明の第12の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、第11の実施形態のポリマーを含む物品を意図している。任意のこのような第12の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、1つ以上のポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの組合せをさらに含む。任意のこのような第12の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、フィルム、繊維、押出成形品、注型品、押出形成品、射出成形品、スカイビング加工物品、発泡物品、またはコーティングである。任意のこのような第12の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、物品は、カップ、プレート、瓶、もしくは小さなかごなどの食品容器、またはフォーク、スプーン、もしくはナイフなどの食品とともに使用するための道具;食品、ビデオ画面、窓、窓もしくはドアの構成要素を保護するためのフィルム;可撓性ケーブル;マグネットワイヤ用の絶縁膜;チューブもしくはバッグまたはそれらの構成要素などの、殺菌が必要な医療用品;フォトレジスト成分;構造用接着剤成分;ブッシング、軸受、またはソケット;高温ガスフィルタの構成要素;コンパクトディスクなどのデータ記憶デバイスまたはソリッドステートドライブもしくはフラッシュメモリデバイスなどのデータ記憶デバイスの構成要素;コンピュータ、プリンタ、MP3プレーヤー、携帯電話、カメラ、ビデオディスプレーデバイス、ステレオスピーカー、電源コード、または電気コネクタ用のケースまたは筐体;テーブル面、スタンド照明、机、もしくは椅子などの家具またはそれらの構成要素;街灯カバー、眼鏡もしくはサングラスレンズ、蛍光灯用の拡散器などの、照明用のレンズ、カバー、または拡散器;ハンドル、インストルメントパネルの構成要素もしくはカバー、ダッシュボードの構成要素などの内装の成形部品、または自動車用ヘッドライトもしくはバンパーなどの外装の成形部品などの自動車部品;防御物、ヘルメット、またはバイザーなどの防護衣の構成要素;独楽またはラジコンカーの車体などの子供用の玩具;あるいはポスター、写真、広告看板、コンパクトディスク、書籍、またはノートなどの保護カバーである。
【0190】
本発明の第13の実施形態は、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、構造Iを有する化合物を作製する方法を意図しており:
【化52】

式中、
aが、0または1〜12の整数であり;
Xが、OまたはNRであり、ここで、Rが、水素、あるいは1〜6個の炭素を有する直鎖状または分枝状のアルキル基であり;
が、水素、金属陽イオン、有機陽イオン、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組合せを含むオリゴマーもしくはポリマー部分であり;
各Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり;
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり;
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく、
本方法は、
a.水が除去される条件下で、直鎖状ペンチトールから環状アンヒドロペンチトールを形成する工程と;
b.環状アンヒドロペンチトールをオキソカルボキシレートと反応させて、化合物を形成する工程と
を含む。
【0191】
本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、本方法は、化合物の1つ以上の立体異性体を分離させる工程をさらに含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、本方法は、結晶化、再結晶化、またはそれらの組合せによって、化合物の1つ以上の立体異性体を分離させる工程をさらに含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、本方法は、硫酸、スルホン酸、ポリマースルホン酸、またはそれらの混合物を含む触媒を添加する工程をさらに含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、反応させる工程は、交換反応を含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、交換反応は、オキソカルボキシレートとケトンとのケタールを形成した後、ケトンをアンヒドロペンチトールと交換することを含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、交換反応は、アンヒドロペンチトールとケトンとのケタールを形成した後、ケトンをオキソカルボキシレートと交換することを含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、アンヒドロペンチトールはアンヒドロキシリトールであり、オキソカルボキシレートはレブリン酸アルキルである。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、アンヒドロキシリトールは、約50〜100モル%の1,4−アンヒドロキシリトールを含み、ケトンは、4−メチル−2−ペンタノンである。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、アンヒドロキシリトールは、約95〜100モル%の1,4−アンヒドロキシリトールを含む。本発明の任意のこのような第13の実施形態において、単独で、あるいは本明細書に挙げられるいずれかの他の実施形態または実施形態の組合せと組み合わせて、本方法は連続方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
(a)1つの環状ケタール基と、
(b)1つのエステルまたはアミド基と、
(c)1つの環状エーテル基と
を含む化合物であって、
前記化合物が
(a)アンヒドロペンチトールおよびレブリン酸エステル、
(b)アンヒドロペンチトールおよびレブリン酸エステルのケタール、または
(c)アンヒドロペンチトールのケタールおよびレブリン酸エステル
のケタール化またはケタール交換の生成物である化合物。
【請求項2】
前記アンヒドロペンチトールが、1,4−アンヒドロキシリトールまたは1,4−アンヒドロアラビトールを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物と、ポリマー、界面活性剤、可塑剤、溶媒、着色剤、触媒、充填剤、添加剤、助剤、またはそれらの1つ以上の組合せとを含む製剤。
【請求項4】
請求項3に記載の製剤を含む物品であって、フィルム、繊維、押出成形品、射出成形品、圧縮成形品、注型品、発泡物品、またはコーティングである物品。
【請求項5】
少なくとも
(a)1つの環状ケタール基と、
(b)1つのエステルまたはアミド基と、
(c)1つの環状エーテル基と
を含む化合物の残基を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマーであって、
前記化合物が
(a)アンヒドロペンチトールおよびレブリン酸エステル、
(b)アンヒドロペンチトールおよびレブリン酸エステルのケタール、または
(c)アンヒドロペンチトールのケタールおよびレブリン酸エステル
のケタール化またはケタール交換の生成物であるポリマー。
【請求項6】
a.請求項5に記載のポリマーと、
b.ポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの1つ以上の組合せと
を含む製剤。
【請求項7】
請求項5に記載のポリマーを含む物品であって、フィルム、繊維、押出成形品、注型品、押出形成品、射出成形品、圧縮成形品、スカイビング加工物品、発泡物品、またはコーティングである物品。
【請求項8】
構造I
【化1】

(式中:
aが、0または1〜12の整数であり、
Xが、OまたはNRであり、ここで、Rが、水素、あるいは1〜6個の炭素を有する直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
が、水素、金属陽イオン、有機陽イオン、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組合せを含むオリゴマーまたはポリマー部分であり、
各Rが、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり、
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり、
、およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく、
が、水素、あるいは直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を有するアシル基である)
を含む化合物。
【請求項9】
aが2であり、全てのRがメチレンであり、Rがメチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
1,4−アンヒドロキシリトールの残基を含み、50モル%未満のシス異性体と、50モル%を超えるトランス異性体とを含む異性体の混合物を含む化合物であって、前記シス異性体が
【化2】

であり、前記トランス異性体が
【化3】

である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
トランス:シスのモル比が、2:1〜500:1である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
a.請求項8に記載の化合物と、
b.ポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、触媒、着色剤、充填剤、添加剤、助剤、またはそれらの1つ以上の組合せと
を含む製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の製剤を含む物品であって、フィルム、繊維、押出成形品、圧縮成形品、注型品、発泡物品、またはコーティングである物品。
【請求項14】
構造II:
【化4】

(式中:
aが、0または1〜12の整数であり、
各Rが、独立して、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり、
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり、
、およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはなく、
nが、1〜500の整数である)
を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー。
【請求項15】
全てのaが2であり、全てのRがメチレンであり、Rがメチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
1,4−アンヒドロキシリトールの残基を含む複数の繰返し単位を含み、50モル%未満のシス異性体と、50モル%を超えるトランス異性体とを含む化合物であって、前記シス異性体が
【化5】

のいずれかであり、前記トランス異性体が
【化6】

のいずれかである、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
トランス:シス異性体の比率が、2:1〜500:1である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
a.請求項14に記載の化合物と、
b.ポリマー、架橋剤、界面活性剤、溶媒、着色剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、触媒、添加剤、衝撃改質剤、助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、漂白剤、またはそれらの1つ以上の組合せと
を含む製剤。
【請求項19】
請求項14に記載のポリマーを含む物品。
【請求項20】
構造I:
【化7】

(式中:
aが、0または1〜12の整数であり、
Xが、OまたはNRであり、ここで、Rが、水素、あるいは1〜6個の炭素を有する直鎖状または分枝状のアルキル基であり、
が、水素、金属陽イオン、有機陽イオン、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組合せを含むオリゴマーもしくはポリマー部分であり、
各Rが、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレンであり、
が、水素、アルキニル基、あるいは1〜18個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状のアルキルまたはアルケニル基、あるいはアリールまたはアルカリール基であり、
、およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、
およびRのうちの一方が、メチレン、アルキルメチレン、またはジアルキルメチレン基であり、他方が共有結合であり、ただし、RおよびRが同時に共有結合であることはない)
を有する化合物を作製する方法であって、
a.水が除去される条件下で、直鎖状ペンチトールから環状アンヒドロペンチトールを形成する工程と、
b.前記環状アンヒドロペンチトールをオキソカルボキシレートと反応させて、前記化合物を形成する工程と、
c.任意選択により、前記化合物の立体異性体を分離させる工程と
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2012−528198(P2012−528198A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513304(P2012−513304)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036621
【国際公開番号】WO2010/138842
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511273344)エクスエルテラ, インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】XLTERRA, INC.
【住所又は居所原語表記】692 Mendelssohn Ave. N., Golden Valley, MN 55427, U.S.A.
【Fターム(参考)】