説明

アンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置

【課題】任意の区間にプレストレスを導入することが可能なプレストレス力導入装置の提供。
【解決手段】後端部にストッパ8を備えた異径スリーブを有する支承ホルダー20とこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダー22との間に、中空鋼棒1とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダー20による定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置で、支承ホルダー20およびエンドホルダー22から間隔をおいて離れた任意の中間位置に、中間ナット19を設け、エンドホルダー22よりの中間ナット19とエンドホルダー22間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分にアンボンド被覆を設けてアンボンド区間とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空鋼棒および反力体としての中実鋼棒を備え、遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物にプレストレスを導入する際、その施工区間に中空PC鋼棒を備えたプレストレス力導入装置を配置し、プレストレス力導入装置のほぼ全長を埋め込むようにコンクリートを打設した後、所定のコンクリート圧縮強度の発現を確認して、プレストレス力導入装置における基端側の支承ホルダーを開放して中空PC鋼棒のほぼ全長を緊張した状態でコンクリート構造物相互にプレストレスを導入して一体化していた。
このようなプレストレス力導入装置は、特許文献3〜7に記載されているように公知である。これらのプレストレス力導入装置の共通の構成は、図12に示すように、反力体として中実の反力PC鋼棒13とその外側に配置される中空PC鋼棒1を備え、また、先端部にエンドホルダー22およびアンカーナット16を備え、基端側に支承ホルダー20およびアンカーナット16を備え、一定の定尺長で使用する定尺長のプレストレス力導入装置18である。
【0003】
前記のような定尺長のプレストレス力導入装置18である場合には、通常、1ブロック側壁の高さ寸法よりも長いために、図13(a)に示すように、コンクリート製タンク24における側壁26と底版25との接合の場合、側壁26における側壁最下端部27の上端高さレベルよりも下位のレベルにおいて、底版コンクリート25とのプレストレスを導入した結合をすることができない。
底版25と側壁最下端部26aとのプレストレスを導入して接合する箇所は、側壁最下端部26の上端高さレベルよりも下位のレベルで接合するほうが、確実にプレストレスを導入した状態で確実に接合することができる利点がある。しかし、前記のような接合をすることができないために、図13(b)に示すように、プレストレス力導入装置18のプレストレス導入可能な長さとほぼ同様な高さまで、第1ブロックの側壁28を構築して、第1ブロックの側壁28の強度を発現後に、定尺長のプレストレス力導入装置18の支承ホルダー20を後退移動して、第1ブロックの側壁28と底版25とに、プレストレスを導入して結合一体化するようにならざるを得ない。
すなわち、従来の定尺長のプレストレス力導入装置18の場合は、そのほぼ全長を使用してコンクリート部材にプレストレスを導入する使用方法の装置であった。
図13(b)に示す形態では、第1ブロックの側壁28の強度発現後でないと、次の第2ブロックの側壁29の施工ができない。
【0004】
前記のように、定尺長のプレストレス力導入装置18の場合には、図13(a)に示すように、コンクリートの打継ぎ部など一定区間のみにプレストレスを導入したい場合には対応できなかった。
【0005】
一方、最近部分的にコンクリートとの付着をさせない方法(パーシャルアンボンド工法)が提案されている。通常コンクリート部材にプレストレスを導入する場合、部材中央にプレストレスが必要で部材端部ではコンクリートとPC鋼材の付着を切る方法である。
前記のような工法として、梁部材内にPCケーブルあるいはPC鋼棒のみからなるPC鋼材とボンドシースとアンボンドシースとを使用して、PC鋼材の中間部に部分的にアンボンド部を設けることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、柱部材内にPCケーブルあるいはPC鋼棒のみからなるPC鋼材とボンドシースとアンボンドシースとを使用して、PC鋼材の中間部に部分的にアンボンド部を設けることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記のように部分的にアンボンド部を設ける目的は、PC部材の耐震設計を意図した崩壊型に基づいた靭性依存型の耐震設計法とするためで、ヒンジ発生の想定される部位には、強度とともに要求される塑性変形能力(靱性)を確保するようにしている。前記のパーシャルアンボンド工法は、ボンド方式およびアンボンド方式のそれぞれの利点を生かし、欠点を解消する工法である。
【0006】
すなわち、ボンド方式では、PC鋼材とコンクリートとがそれらの全長に渡る付着によって結合一体化されているために、PC鋼材は終局荷重載荷時には、コンクリートとグラウトモルタルによって変形が拘束されているので、PC鋼材のみでは本来塑性変形性能があるにもかかわらずPC鋼材の塑性変形能力が十分に生かされずに、PC鋼材は破断し、プレストレスを消失しPC部材は破壊してしまう。また、アンボンド方式では、PC鋼材とコンクリートとがそれらのほぼ全長に渡って付着を取らない形式であるので、終局荷重載荷時において、PC鋼材はコンクリートとの付着によって変形を拘束されることはないが、コンクリートが先に圧縮破壊を起こし、PC部材は破壊してしまう。このようにボンド方式およびアンボント方式は、それぞれ一長一短がある。
前記のパーシャルアンボンド工法は、PC鋼材中の任意のPC鋼材の任意の区間をコンクリート製母部材と付着のないアンボンド状態とし、すなわち前記ボンド方式およびアンボンド方式のそれぞれ欠点を、これらの方式を巧みに組み合わせることにより、各方式の欠点を解消し、PC部材の変形性能を改善する工法である。
【0007】
前記のように、PCケーブルあるいはPC鋼棒とシースを使用した形態では、これらをセットしておくことが難しいため、現場作業が多く作業性がわるくなる欠点があり、現場作業性あるいは工場における作業性が悪いという問題がある。
一方、反力体としての押し込み用中実鋼棒と中空鋼棒とを備えたプレストレス力導入装置では、これまで部分的にアンボンド部を設ける例は知られていない。
なお、硬化性遅延性を有するセメント系グラウト塑性物およびそのようなグラウト塑性物を、シース内面とその内側に配置される鋼材との間に充填することは知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3287820号公報
【特許文献2】特許第3909034号公報
【特許文献3】特開平08−135194号公報、
【特許文献4】特開平08−139173号公報、
【特許文献5】特開2001−207590号公報
【特許文献6】特開2006−45997号公報
【特許文献7】特開2005−90124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シースとその内側に配置されるPCケーブルからなる鋼材では、部分的にシースを切断してアンボンド部を設けたり、シース外側にアンボンド部を設けて、コンクリートとの付着が起こらないようにした技術については知られているが、現場施工が煩雑になるという問題がある。
また、中空鋼材とその内側に配置される反力体としての中実鋼材を備えたプレストレス力導入装置については知られているが、そのようなプレストレス力導入装置でも、アンボンド部とボンド部を自由に設けるようにできると、コンクリート構造物の接合構造が格段に簡単になり、施工も容易で、施工の自由度が向上し、施工性もよくなるため望まれる。すなわち、前記のようなプレストレス力導入装置についても、アンボンド部とボンド部を備えたプレストレス力導入装置、特に任意の区間にプレストレスを導入することが可能プレストレス力導入装置であることが望まれる。
本発明は、前記のような課題を解消し、前記のような要望を満足し、アンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置においては、後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部を設けてアンボンド状態からボンド状態に変化する区間としたことを特徴とする。
また、第2発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置においては、後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、間隔をおいて複数の中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、隣り合う中間ナット間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間または隣り合う中間ナット間に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部を設けてアンボンド状態からボンド状態に変化する区間としたことを特徴とする。
また、第3発明では、第1発明または第2発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置において、前記中空鋼棒は、直列に配置された複数の中空鋼棒ユニット相互がカプラーからなる中間ナットにより接続されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかのアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置において、中実鋼棒および中空鋼棒の長手方向の全長または一部が曲線状とされていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置において、中実鋼棒と中空鋼棒との間に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置(以下、単にプレストレス力導入装置ともいう)は、少なくとも先端側のボンド区間を利用して部分的にプレストレスを導入できるので、その部分を利用してコンクリート構造物相互にプレストレスを導入して接合することができ、また、前記以外の部分の遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンドーボンド変化区間では、初期においてアンボンド状態を保つことができるため、コンクリート構造物を築造すべくコンクリートを打設した場合に、開放緊張を行う定着具(支承ホルダー)の位置をコンクリート打設面に配置せず、他の箇所に設けることで、コンクリート打設面までのコンクリート圧縮強度の発現を待たずに次のコンクリート打設工程に進むことができ、効率よく施工することができ、コンクリート構造物全体の工程短縮を図ることができる。
また、コンクリートの硬化後において、遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部は硬化して、コンクリート構造物とプレストレス力導入装置とを付着して一体化することができる。
さらに、中実鋼棒と中空鋼棒との間に、遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物が充填されている場合には、遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物が硬化した後には、コンクリート構造物の断面欠損を生じることなく、コンクリート構造物とプレストレス力導入装置とを一体化することができ、コンクリート構造物の終局耐力を向上させることができる。
また、本発明のプレストレス力導入装置は、ボンド区間とアンボンド−ボンド変化区間を設けているので、コンクリート構造物の構築初期においてプレストレス力導入装置におけるボンド区間を早期に接合する箇所に配置することで、容易に接合してプレストレス構造物とすることができる。
また、複数の中間ナットを備えた本発明のプレストレス力導入装置を用いた場合には、複数のボンド区間を備えた構造に簡単に適用して接合することができ、配置も容易である共に、中空鋼棒ユニットと反力鋼棒と中間ナットを順次設ければよいので構造も簡単であるなどの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明の第1実施形態のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置17(以下、単に)を解放した状態の縦断側面図が示され、図2には、図1に示すプレストレス力導入装置17における反力PC鋼棒を押し込む直前および押し込んだ状態の縦断側面図が示され、図3には、図2(b)の側面図が示されている。本発明のプレストレス力導入装置17を構成する部品は、例えば、鋼材(中空鋼棒あるいは中実鋼棒等)あるいはPC鋼材により製作され、図示の場合は、PC鋼棒または中空PC鋼棒の形態であるので、PC鋼材を主に説明する。
【0013】
鋼製中空鋼棒本体1aの長手方向の一端部(前端部)外側に雄ねじ部2を有すると共に、他端部(後端部)外側に雄ねじ部3を有する中空PC鋼棒ユニット1bが直列に2本配置され、直列に隣り合う前記各中空PC鋼棒ユニット1bは、PC鋼材によるカプラーからなる中間ナット19により連結されて、連続した中空PC鋼棒1が構成されている。
前記の中空PC鋼棒1の他端側の雄ねじ部3に、前後両端部に雌ねじ孔4、5を有すると共に多角形の回動工具係合用外面6を有する異径スリーブからなる支承筒7における前端部の雌ねじ孔4がねじ込まれて連結されている。
【0014】
前記支承筒7の後端部の雌ねじ孔5に、鋼製筒状の環状係止片からなるストッパ8の前部雄ねじ部8aがねじ込まれて位置調節可能に取り付けられ、前記ストッパ8の後端部外側には、回動工具係合用外面6が形成され、前記ストッパ8の前端部には、前記支承筒7の内部に配置され、前端部に凹部10を有する押圧係止片11の後端面が係合され、前記押圧係止片11の前端部の凹部10には、中空PC鋼棒1内に一端側が挿入され、かつ他端側が前記中空PC鋼棒1の他端部から突出するように配置された短尺の撤去用反力PC鋼棒12の後端部が嵌合され、前記撤去用反力PC鋼棒12の前端部には、前記中空PC鋼棒1内に直列に全体が収納された状態で配置される複数本(図示の場合は2本)のノンプル用反力PC鋼棒13の後端部が当接されている。
前記の各中空PC鋼棒ユニット1bおよび各ノンプル用反力PC鋼棒13の長さは、設計により適宜設定され、従って、中間ナット19の位置は設定により適宜設定される。中空PC鋼棒1が長尺で、その長手方向全体または部分的に雄ねじを設けている形態では、中間ナット19は位置調整可能であるが、中空PC鋼棒の加工が高くなる。また、中間ナット19の装着のために軸方向に移動させるように送るようになるので、装着が煩雑になる。
前記の各中空PC鋼棒ユニット1bの長さは異なる長さのものを適宜組合せてもよく、これに合わせて、ノンプル用反力PC鋼棒13の長さをあわせるようにすればよい。
【0015】
前記の支承筒7とストッパ8と押圧係止片11とにより、支承ホルダー20が構成されている。なお、押圧係止片11と撤去用反力PC鋼棒12とが一体とされている場合には、支承ホルダー20は、前記の支承筒7とストッパ8とにより構成することができる。
【0016】
前記の実施形態においては、前記撤去用反力PC鋼棒12と2本の前記ノンプル用反力PC鋼棒13とにより、押し込み用反力PC鋼棒14が構成されている。
【0017】
一端側の前記中空PC鋼棒1の前端部外側の雄ねじ部2に、雌ねじ孔15aを有するナットからなるアンカー材15が着脱自在にねじ込まれ、また、前記雌ねじ孔15aに支承用雄ねじ部材21がねじ込まれ、前記支承用雄ねじ部材21の後端部は、押し込み用反力PC鋼棒14の前端部および中空PC鋼棒1の前端部に当接されている。
【0018】
前記のアンカー部材15と支承用雄ねじ部材21とにより、中空PC鋼棒1および押し込み用反力PC鋼棒14の先端部の係合を図るエンドホルダー22が構成されている。
【0019】
中間ナット19と支承筒7との間において、中空PC鋼棒1の外側に、合成樹脂製または金属製のシースからなる仮アンボンド被覆23が前記中間ナット19と支承筒7に当接するように配置され、かつ、前記の中空PC鋼棒1とシースからなる仮アンボンド被覆23との間に、硬化遅延性を有するセメント系グラウト組成物48が充填されて、所定時間経過後に、前記セメント系グラウト組成物48が硬化することにより、硬化したセメント系グラウト組成物48と前記の中空PC鋼棒1とシースからなる仮アンボンド被覆23とが付着一体化し、その回りに打設されて硬化されるコンクリートとの付着が確実なボンド部を形成するようになる。従って、中間ナット19と支承筒7との間は、最初はアンボンド区間であり、セメント系グラウト組成物48が硬化した後はボンド区間であり、結果的に、アンボンド状態からボンド状態に変化する区間のアンボンドーボンド変化被覆部23aを形成している。
前記の硬化遅延性セメント系グラウト組成物48としては、数日または2ヶ月後あるいは半年後に硬化するようなセメント系材料を使用するとよい。
【0020】
前記のアンボンドーボンド変化被覆部23aにより、コンクリートに埋め込むようにプレストレス力導入装置17を配置した場合に、その区間の中空PC鋼棒1が、コンクリートに付着するのを一時的に防止するようにしている。
【0021】
前記のような形態のプレストレス力導入装置17では、先端部のエンドホルダー22と中間ナット19間では、中空PC鋼棒1はコンクリートとの付着が可能なボンド区間であり、支承筒7と中間ナット19間では前記アンボンドーボンド変化被覆部23aにより中空PC鋼棒1はコンクリートとの付着が一時的に不能な仮アンボンド区間である(図1参照)。
【0022】
図1〜3に示すアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置17を使用する場合を含めて、本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置17の形態について、図1〜図3に示す形態を代表形態として説明すると、直線状のプレストレス力導入装置17ばかりでなく、前記の直線状のプレストレス力導入装置17を曲げ加工(または曲げ配置)して、図6(または図1に曲線部とする区間を示す)に示すように、ねじ接合部分付近を直線部とし、プレストレス力導入装置17の長手方向の一部に曲線部Yを有するプレストレス力導入装置17とすることもできる。
また、図7に示すように、ねじ接合部分付近を直線部とし、それ以外の部分については、曲線部とし、全体としてほぼ曲線状としたプレストレス力導入装置17としてもよい。
【0023】
前記の第1実施形態のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置17の場合には、必要に応じ、前記支承筒7を中空PC鋼棒1から取り外し、周囲に打設されるコンクリート35の硬化した後に硬化し、中空PC鋼棒1とノンプル用反力PC鋼棒13の一体性を高め、コンクリート部材の終局耐力を向上させるため、適宜遅延剤を硬化型接着剤に混合させてなる経時硬化型の合成樹脂製接着剤からなる接着兼用防錆材48Aまたは硬化遅延性を有するセメント系グラウト組成物48が中空PC鋼棒1の端部開口部から予めあるいは適宜の時期に注入充填される。
【0024】
また、カプラーからなる中間ナット19により連結された各前記中空PC鋼棒ユニット1b内にその長さ寸法よりも短い長尺のノンプル用反力PC鋼棒13が挿入され、次にこれに直列に係合される短寸の撤去用反力PC鋼棒12がノンプル(据置)用反力PC鋼棒13と直列に、かつ中空PC鋼棒1の入り口側の開口端部から所定の押し込み量以上を突出するように配置した後に、支承筒7を中空PC鋼棒1の後端部雄ねじ部3にねじ込んで取り付け、かつストッパ8を支承筒7の後部にねじ込んで取り付ける。
【0025】
この実施形態においては、複数本の長尺のノンプル(据置)用反力PC鋼棒13と短尺撤去用反力PC鋼棒12との長短3本のPC鋼棒等の鋼棒により、中空PC鋼棒1内に配置される押し込み用反力PC鋼材14が構成され、前記複数のノンプル用反力PC鋼棒13の寸法と撤去用反力PC鋼棒12の寸法の和が前記中空PC鋼棒1の寸法よりも長く構成し、前記中空PC鋼棒1の後端部外側に、前記撤去用反力PC鋼棒12が突出するように構成されている。この突出した寸法が、ジャッキにより間接的に押し込むことができるプレストレス量の最大値になる。
【0026】
このように構成された複数または多数のユニットのコンクリート用プレストレス力導入装置17を搬入して、型枠内に配設し、コンクリート35を前記プレストレス力導入装置17を埋め込むように型枠内に打設し、中空PC鋼棒1の外側にコンクリート製梁部材あるいはコンクリート製スラブ部材等の躯体を構成するコンクリート35が養生硬化した後に、電動式レンチによりストッパ8が、図1の左方向に移動するように回転されて、反力PC鋼棒の圧縮力が開放される。この時、中空PC鋼棒1とその外側のコンクリートとの付着によって、中空PC鋼棒1の短縮が阻まれ、これにより相対的にコンクリートにプレストレスが導入される。
【0027】
その後前記支承筒7を取り外した後、前記撤去用反力PC鋼棒12のみを取り外し、ノンプル用反力PC鋼棒13を回収することなく、前記中空PC鋼棒1内に据え置き、防錆を兼ねる経時硬化製樹脂等の接着兼用防錆材48Aまたは前記のような硬化遅延性を有するセメント系グラウト組成物48の硬化により中空PC鋼棒1とノンプル用反力PC鋼棒13の一体化を図る。
【0028】
押し込み用反力PC鋼棒14の圧縮力が開放された後、前記支承筒7および短寸の撤去用反力PC鋼棒12が抜き出されて回収した後に、前記中空PC鋼棒1の後端部に、キャップの先端突部が当接するようにキャップが嵌設されると共に、前記キャップと前記中空PC鋼棒1またはノンプル用反力PC鋼棒13とが接着材により固着されるかまたはネジ連結されて、中空PC鋼棒1内に据え置かられるノンプル用反力PC鋼棒13の端部側の防錆処理が施工される。
【0029】
次に、前記第1実施形態のプレストレス力導入装置17をコンクリート製タンク24における底版25とコンクリート側壁部下端部に適用した形態について説明する。
【0030】
図8には、図1〜図3に示す形態のプレストレス力導入装置17を、コンクリート製タンク24を築造する場合に、コンクリート製側壁26を効率よく築造するために、コンクリート製底版25とコンクリート製側壁最下端部26aとの接合に適用した一形態が示されている。
コンクリート製タンク24では、コンクリート製底版26とコンクリート製側壁最下端部26aとを確実に接合し、それより上のレベルのコンクリート製側壁部26bをRC構造とする場合がある。
前記のように、側壁部をRC構造にすると施工性がよく工期が短縮できる利点がある。
【0031】
図8に示す形態は、コンクリート製の底版25に接合される最下部の側壁の打設高さを低くした側壁最下端部26aとし、プレストレス力導入装置17をタンク内側に上部が変位するように傾斜して配置し、中間ナット19を側壁最下端部26aの高さ方向の中間部に配置し、支承ホルダー20側を第2段目のコンクリート側壁内側に位置するように配置した状態で、側壁最下端部26aのコンクリート35を打設して、側壁最下端部26aを構築する。
【0032】
前記の側壁最下端部26aの高さを低くすることにより、接合に必要なコンクリート部分を少なくして、側壁最下端部26aに打設したコンクリート強度を早期に必要強度にすることができる利点がある。
【0033】
図13(a)に示す打ち継ぎ部29にほぼ相当する低い高さの部分で接合できるようにすると、前記のように、コンクリート打設高さが低い分、早期にプレストレス力を導入可能な所定の強度に発現させることができ、適宜第2段目の型枠の配置および第1段目の鉄筋に接続するように縦鉄筋等を配筋して、第2段目のRC構造用のコンクリート35を打設する工程を進行させることができる。
【0034】
しかし、プレストレス力導入装置17を鉛直に配置したのでは、支承ホルダー20付近までコンクリートを打設した後、支承ホルダー20におけるストッパ8を後退移動して、プレストレス力導入装置17により、プレストレスを導入した接合をするようになり施工性がわるくなるため、図13(c)に示すように直線的にプレストレス力導入装置17を配置しても、あるいは図13(d)に示すように曲線部Kを含むようにプレストレス力導入装置17を配置しても、支承ホルダー20は、周側壁の内側に露出するように分割型の型枠(図示を省略)を配置するようにすると、接合部のコンクリートの強度が生じた時点で、支承ホルダー20後端のストッパ8を後退移動して、プレストレスを導入することができる。しかしこれらの場合には、プレストレス力導入装置17全体によりプレストレスが導入されてしまうために、図1に示すように、プレストレスを導入して接合するに必要な部分に、中間ナット19を設け、仮アンボンド処理を施すようにしたのが本発明のプレストレス力導入装置17であり、その形態あるいはそれを用いた形態が図1〜図4(a)および図8〜図10に示されている。
【0035】
さらに、前記の図8〜図10の場合、支承ホルダー20側の中空PC鋼棒ユニット1bの外側を永久的にアンボンド処理して、引張力あるいは圧縮力に関与しないアンボンド部を残しておくよりは、支承ホルダー20におけるストッパ8を解放した後において硬化が開始するような充填材であるので、中空PC鋼棒1およびコンクリート構造物の全体が一体化し、コンクリート構造物の終局耐力が向上するようになる。そのため、図4(b)に示す形態のようなセメント系遅延硬化性充填材48を、仮アンボンド被覆23と中空PC鋼棒1との間、あるいは中空PC鋼棒1とノンプル用反力PC鋼材13との間に充填する形態のプレストレス力導入装置17(詳細は後記する。)を使用して、図8〜図10に示す形態に適用すると、一時的に仮アンボンド状態である部分が、ストッパ8を後退移動した後、あるいは支承ホルダー20および撤去用反力PC鋼棒12を撤去した後等の最終状態では、プレストレスを導入しない状態で、前記のようにコンクリート構造物と一体となり、コンクリート構造物の終局耐力を向上することができるようになる。
また、その支承ホルダー20よりも下側(先端側)では、仮アンボンド区間Bとしておき、第2段目のコンクリートの硬化した後、支承筒7を定着するようにするか、前記支承筒7を定着用ナット(図示を省略した)に置き換えて定着し、第2段目のRC構造体の第2ブロックの側壁29を固定する。
【0036】
図9は、図8の形態において、支承ホルダー20側の中空PC鋼棒1および反力用中実鋼棒13を、円弧状に曲げ配置した形態である。図10は、図9の形態において、プレストレス力導入装置17の先端側を円弧状に曲げ配置した形態である。このように、プレストレス力導入装置17の基端側を円弧状に彎曲させるようにしてもよい。その他の構成は、前記実施形態と同様であるので、同様な要素には同様な符号を付して説明を省略する。
【0037】
図11は、従来の定尺長のプレストレス力導入装置18(図11a)と本発明のプレストレス力導入装置17(図11b、c)を比較した側面図であり、従来の図11aに示す形態では、エンドホルダーとボンド区間のみ備えている形態に対して、本発明の場合には、少なくとも一つのボンド区間と、仮アンボンド区間とを備えている。また、本発明では、エンドホルダーと支承ホルダー20との間において、これらから離れた位置に、間隔をおいて少なくとも1つ以上の中間ナット19を設けることにより、エンドホルダー22とエンドホルダー22に最も近い位置にある中間ナット19間を除き、間隔をおいて隣り合う中間ナット間、あるいは支承ホルダー20と中間ナット19間のいずれかの区間を、ボンド区間としたり、仮アンボンド材あるいはシース等を設けてアンボンド処理し、アンボンド−ボンド変化被覆部の仮アンボンド区間としたりすることができる。
【0038】
中間部に複数の中間ナット19を設ける場合で、1本の長尺の中空鋼棒1の長手方向に間隔をおいて中間ナット19を設ける場合に、中空鋼棒1の長手方向に間隔をおいて雄ねじ部を設ける場合、あるいは連続して雄ねじ部を設ける場合もあるが、このような場合に、所定の位置に中間ナット19を装着する場合に、その手前の雄ねじ部に対して中間ナット19を回転させて通過させるようにして所定の位置に移動させて装着させる必要があるので、作業性が低下する。しかし、図示の実施形態のように、中空鋼棒ユニット1bをカプラーからなる中間ナット19により連結するようにし、複数の反力用鋼棒ユニット13bを直列に装着するようにすると、プレストレス力導入装置17の構成の自由度が高まり、また中間ナット19の装着も容易である。
【0039】
図4(a)は、参考形態を示すものであって、この形態では、支承筒7と中間ナット19との間の中空PC鋼棒1の外周面に、ワックスあるいはグリースなどの付着防止層からなるアンボンド被覆23を設けることにより、アンボンド区間Bとし、その部分の中空PC鋼棒1がコンクリートに付着するのを防止するようにした形態である。
この形態のプレストレス力導入装置17を使用して、構造物を構築した場合、コンクリート構造物の完成後においても、アンボンド部となるが、前記第1実施形態では、シースと中空鋼棒1との間にセメント系硬化性充填材を充填しているので、所定時間経過後に、ボンド部になる。なお、前記実施形態と同様な部分については、同様な符号を付している。
【0040】
図4(b)は、本発明の第2実施形態を示すものであって、この形態では、シースと中空PC鋼棒1との間に、セメント系遅延硬化性の充填材を充填した形態である。
【0041】
このように本発明では、遅延硬化性の充填材を充填することにより、例えば3日〜6ヶ月の間で適宜設定された期間、中空PC鋼棒1との付着を防止し、所定期間後に、コンクリートと中空PC鋼棒1との付着を図り、これらの一体化を図るようにすしている。
【0042】
前記のセメント系遅延硬化性充填材としては、例えば、特許第3909034号公報において開示されているセメント系グラウト組成物を用いることができる。
【0043】
前記のセメント系グラウト組成物の一形態としては、ビーライト(2CaO・SiO)を40質量%以上含有する高ビーライト系ポルトランドセメントと、石灰石微粉末を含む平均粒径200μm以下の無機質混和材と、凝結遅延剤と、分散剤と、分離低減剤とを含み、前記高ビーライト系ポルトランドセメントと、前記無機質混和材との質量比が30:70〜95:5であり、かつ前記石灰石微粉末の配合割合が、前記高ビーライト系ポルトランドセメントと前記無機質混和材との合計量100質量部に対して、20〜60質量部であるセメント系グラウト組成物である。前記のセメント系グラウト組成物は、プレグラウティング工法用のセメント系グラウト組成物として使用することができる。
【0044】
前記のセメント系グラウト組成物は、前記凝結遅延剤、前記分散剤及び前記分離低減剤の配合割合が、それぞれ前記高ビーライト系ポルトランドセメントと前記無機質混和材との合計量100質量部に対して、0.15〜1.0質量部、0.05〜1.5質量部及び0.05〜0.5質量部であるグラウト組成物でもよい。
【0045】
また、前記のセメント系グラウト組成物は、前記凝結遅延剤が、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩、ポリオール有機酸誘導体又はこれらの組み合わせであり、前記分散剤がポリカルボン酸系高分子化合物、ナフタレンスルホン酸系高分子化合物、アルキルアリルスルホン酸系高分子化合物、メラミンスルホン酸系高分子化合物、アミノスルホン酸系高分子化合物、又はこれらの組み合わせであり、前記分離低減剤が、セルロースエーテル系、アクリルポリマー系、グリコール系、バイオポリサッカライド系、繊維素誘導体ポリマー系若しくは澱粉系の分離低減剤又はこれらの組み合わせであるグラウト組成物でもよい。
【0046】
また、前記のセメント系グラウト組成物は、前記無機質混和材が、シリカフュ−ム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ又はこれらの組み合わせを更に含むグラウト組成物でよい。
【0047】
また、前記のセメント系グラウト組成物は、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物系、ポリエーテル系、アルコール系、低分子量アルキレンオキシド共重合体系若しくはグリコールエーテル・アミノアルコール誘導体系の有機系収縮低減剤又はこれらの組み合わせである有機系収縮低減剤をさらに含む、グラウト組成物でもよい。
【0048】
前記のようなプレグラウティング組成物を使用する場合、中空PC鋼棒1とシースからなる仮アンボンド被覆23との間、あるいは反力用PC鋼棒13と中空PC鋼棒1との間に予めあるいは現場において充填すればよい。
【0049】
前記のように遅延硬化性セメント系充填材が充填されたプレストレス力導入装置17では、これをコンクリートに埋め込むように配置された状態では、コンクリートと一体となってコンクリート構造物の終局耐力を向上させることができる。
【0050】
図5は、本発明の他の実施形態を示すものであって、この形態では、中空PC鋼棒からなる3本の中空PC鋼棒ユニット1bが直列に配置され、直列に隣り合う中空PC鋼棒ユニット1b相互をカプラーからなる複数の中間ナット19により連結した形態である。また、反力PC鋼棒として、撤去用反力PC鋼棒12に押し込み用反力PC鋼棒14を3本直列に当接するように配置した形態である。
【0051】
このような形態では、基本的に、エンドホルダー22とエンドホルダー22よりの中間ナット19間をボンド部Aとし、隣り合う中間ナット19間は、仮アンボンド被覆23を設けることにより、仮アンボンド区間Bとしたり、仮アンボンド被覆23を設けないことにより、ボンド区間とすることができる。また、支承ホルダー20よりの中間ナット19と支承ホルダー20までの間は、仮アンボンド被覆23を設けることにより仮アンボンド区間とすることができ、また、仮アンボンド被覆23を設けない場合には、ボンド区間とすることができる。
【0052】
図示を省略するが、このようなボンド区間を複数あるいは仮アンボンド区間を複数設けるような各種の形態も可能である。
【0053】
前記のようなプレストレス力導入装置17を使用する場所としては、例えば、図13および図14に示すように、コンクリート製建物30の柱部材32にプレストレス力導入装置17を配置した例を示している。ボンド区間をA,仮アンボンド区間をBとして示してある。このシースによる仮アンボンド被覆23の部分B(接合部付近)は、水平力あるいは垂直力に対して剛に接合される部分である。この実施形態の場合は、梁部材等と接合する柱部材32中に配置されたプレストレス力導入装置17の下端部は、コンクリート基礎またはコンクリート製梁33中に係止されている。
また、前記中空鋼材1は緊張されて上端部が定着具34により定着された後、仮アンボンド被覆23の部分では、その仮アンボンド被覆23の内側の遅延硬化性セメント系充填材により、耐震性能を有する剛な接合部とすることができる。
【0054】
なお、図示を省略するが、本発明のプレストレス力導入装置17は梁部材に適用するようにしてもよい。
【0055】
前記実施形態の場合には、複数本の中空PC鋼棒ユニット1bをカプラーからなる中間ナット13により連結するようにしているが、本発明を実施する場合、1本の長尺の中空PC鋼棒の外周面に長手方向に連続して、または長手方向に間隔をおいて複数の雄ねじ部を形成しておき、中空PC鋼棒ユニット1b相互を連結する中間ナットまたはアンカー材としてのアンカー材を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置が解放された状態を示す一部縦断側面図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置における中空PC鋼材に緊張力を導入する直前の状態を示す一部縦断側面図である。(b)は、(a)の状態から反力PC鋼材を押し込んで、中空PC鋼棒にプレストレスを導入した状態を示す一部縦断側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を示す側面図である。
【図4】(a)は、基端側の中空PC鋼棒の外側にアンボンド材を設けた参考形態のプレストレス力導入装置を示す一部縦断側面図、(b)は、シースと中空PC鋼材との間に遅延グラウトを充填した形態の本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を示す一部縦断側面図である。
【図5】間隔をおいて中間ナットを複数備えた本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を示す一部切欠縦断側面図である。
【図6】直線部と曲線部とを備えた本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を示す側面図である。
【図7】アンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置の長手方向のほぼ全体を曲線状の形態とした本発明のプレストレス力導入装置を示す側面図である。
【図8】本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置をコンクリート製タンクにおける底版と側壁とに直線的に配置して、これらの接合に適用した一形態を示す一部縦断側面図である。
【図9】本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置をコンクリート製タンクにおける底版と側壁とに一端側に曲線を含むように配置して、これらの接合に適用した他の形態を示す一部縦断側面図である。
【図10】本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置をコンクリート製タンクにおける底版と側壁とに両端側に曲線を含むように配置して、これらの接合に適用した他の形態を示す一部縦断側面図である。
【図11】従来のプレストレス力導入装置と本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を比較して示す側面図であり、(a)は従来の場合を(b)(c)は本発明の形態を示す側面図である。
【図12】従来のプレストレス力導入装置を示すものであって、(a)は中実鋼棒を押し込む直前の状態を示し、(b)は中実鋼棒を押し込んだ状態を示し、(c)はストッパを後退移動して解放した状態を示す縦断側面図である。
【図13】施工手順の違いを説明するための説明図である。
【図14】本発明のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置を使用してコンクリート製建物における柱に適用して接合した形態を示す縦断側面図である。
【図15】(a)は図14におけるI−I線断面図、(b)は図14におけるII−II線断面図、(c)は図14におけるIII―III線断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A 曲線部
1 中空PC鋼棒
1a 中空PC鋼棒本体
1b 中空鋼棒ユニット
2 雄ねじ部
3 雄ねじ部
4 雌ねじ孔
5 雌ねじ孔
6 回動工具係合用外面
7 支承筒
8 ストッパ
8 前部雄ねじ部
9 回動工具係合用外面
10 凹部
11 押圧係止片
12 撤去用反力PC鋼棒
13 ノンプル用反力PC鋼棒
14 押し込み用反力PC鋼棒
15 アンカー材
15a 雌ねじ孔
16 アンカーナット
17 プレストレス力導入装置
18 定尺長のプレストレス力導入装置
19 中間ナット
20 支承ホルダー
21 支承用雄ねじ部材
22 エンドホルダー
23 アンボンド被覆
24 コンクリート製タンク
25 コンクリート製底版
26 コンクリート側壁
26a 側壁最下端部
26b 最下端部よりも上の側壁部
27 側壁最下端部
28 第1ブロックの側壁
29 第2ブロックの側壁
30 コンクリート製建物
32 柱部材
33 コンクリート製梁
34 定着具
35 コンクリート
48 硬化遅延性を有するセメント系グラウト組成物
48a 接着兼用防錆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、それ以外の中空鋼棒を含む部分に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部を設けてアンボンド状態からボンド状態に変化する区間としたことを特徴とするアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置。
【請求項2】
後端部にストッパを備えた異径スリーブを有する支承ホルダーとこれに間隔をおいて先端側に配置されたエンドホルダーとの間に、中空鋼棒とその内側に配置される中実鋼棒とを備え、基端側の支承ホルダーおよび先端側のエンドホルダーで中実鋼棒を反力体として中空鋼棒に導入されている緊張力を保持し、支承ホルダーによる定着を解放することでコンクリートにプレストレスを導入する中空鋼棒を備えたプレストレス力導入装置であって、前記支承ホルダーおよびエンドホルダーから間隔をおいて離れた任意の中間位置に、間隔をおいて複数の中間ナットを設け、エンドホルダーよりの前記中間ナットとエンドホルダー間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間とし、隣り合う中間ナット間を中空鋼棒とコンクリートとの付着が可能なボンド区間または隣り合う中間ナット間に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物を用いたアンボンド−ボンド変化被覆部を設けてアンボンド状態からボンド状態に変化する区間としたことを特徴とするアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置。
【請求項3】
前記中空鋼棒は、直列に配置された複数の中空鋼棒ユニット相互がカプラーからなる中間ナットにより接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置。
【請求項4】
中実鋼棒および中空鋼棒の長手方向の全長または一部が曲線状とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置。
【請求項5】
中実鋼棒と中空鋼棒との間に遅延硬化性を有するセメント系グラウト組成物が充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアンボンド−ボンド変化被覆部を有するプレストレス力導入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate