説明

アンモニア製造法の効率を改善すること

アンモニアを製造するためのシステム及び方法。該システムは、2つ又はより多い別個の触媒床を内部に配設した第1シェル、第1シェルの周りに配設された第2シェル、第1シェルの外部に配設され第1シェルと流体連通している第1熱交換器、第2シェルの外部に配設され第2シェルと流体連通している第2熱交換器、及び第1シェル内に配設された流路とを備えることができる。供給ガスの第1部分は触媒の存在下で反応してアンモニア流出物を提供することができる。アンモニアからの反応熱は第1と第2熱交換器内で熱交換することができる。供給ガスの加熱された第2部分は第1シェルに導かれて触媒の存在下で反応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、概してアンモニアの合成に関する。より具体的には、本発明の実施形態はアンモニア変換器の流出物から熱を回収してその熱から蒸気を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、一般にアンモニア変換器と称される装置で触媒の存在下水素と窒素とを反応させることによって合成ガスから生成される。アンモニア合成にとって理想的な合成ガスは、水素3モルと窒素1モルのモル比となる。合成ガスを変換することによって、アンモニアと未反応の水素及び窒素とを含有したアンモニアリッチな流出物が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アンモニアの合成は、熱を発生する発熱性の触媒反応によって駆動される。このアンモニア流出物の温度は、一般には約315℃〜約340℃であり、この温度はボイラー供給水の予備加熱に適しているが、高価な蒸気の生成には適していない。このように、従来のアンモニア・プラントは、本来エネルギー効率がよくない。
【0004】
このため、アンモニアの合成で生成される熱を利用するためのより効率的なシステム及び方法が必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の上述した特長が詳細に理解できるようにいくつかを添付図面に示した実施形態を参照することによって、上記した本発明の概要を具体的に説明することができる。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態を示しているにすぎず、それ故、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、本発明には他の同等に有効な実施形態が認められ得る。
【0006】
【図1】図1は、説明される1つ又は複数の実施形態によるアンモニア変換システムの部分断面図である。
【図2】図2は、説明される1つ又は複数の実施形態による例示的なアンモニア生成システムの概略図である。
【図3】図3は、説明した1つ又は複数の実施形態による別の例示的なアンモニア生成システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで詳細な説明をしていく。添付した請求項のそれぞれは別の発明を規定し、これは、権利侵害に対処するために請求項で規定されている様々な要素又は制限に対する均等物を含むものとして認識される。状況次第で、あるいくつかの場合、本「発明」に対する以下の言及はある特定の実施形態のみに言及するものでよく。他の場合では、本「発明」に対する言及は、全てである必要はないが請求項のうちの1又は複数に記載された主題に言及していることが分かるであろう。以下に発明のそれぞれを、具体的な実施形態、変形バージョン、例を用いてより詳細に説明するが、これら発明は、それらの実施形態、変形バージョン、例に限定されるものではなく、本特許の情報が利用可能な情報や技術と組み合わされた場合には、当業者がこれら発明を創作し及び使用することができるようなものも含まれる。
【0008】
アンモニアの生成システム及び生成方法が提供される。少なくとも1つの具体的実施例では、窒素と水素を含有した供給ガスをアンモニア変換器に分配することができる。該アンモニア変換器は、内部に配設された2つ又はより多い別個の触媒床を有する第1シェルと、第1シェルの周りに配設された第2シェルと、第1シェルの外部に配設されそれと流体連通した第1熱交換器と、第2シェルの外部に配設されそれと流体連通した第2熱交換器と、第1シェル内に配設された流路とを備える。第1シェル内部の該2つ又はより多い別個の触媒床は流路の周りに配設することができる。該供給ガスの第1部分は第1シェルに導入し、第2部分は第2シェルに導入することができる。該供給ガスの第1部分は触媒の存在下で反応してアンモニア流出物を提供することができる。該アンモニア流出物からの反応熱の少なくとも一部分を変換して第1熱交換器内で蒸気を生成することができる。アンモニア流出物からの反応熱の少なくとも一部分を第2熱交換器内で供給ガスの第2部分に引き渡すことができる。供給ガスの該加熱された第2部分を第1シェルに導入することができる。供給ガスの加熱された第2部分は触媒の存在下で反応することができる。
【0009】
図1に一又は複数の実施形態による例示的なアンモニア変換システムの部分断面図を示す。一又は複数の実施形態では、該アンモニア変換システムは、1つ又は複数の反応器すなわちアンモニア変換器100と、それと流体連通した2つ又はより多い外部熱交換器(104及び168の2つが図示)とを備えることができる。それぞれの反応器100は、第1シェルすなわち第1収容容積108と、第2シェルすなわち第2収容容積106と、キャップ110と、1つ又は複数の接続部すなわちノズル(112、114、120及び160の4つが図示)と、1つ又は複数の導管すなわち流路(122及び124の2つが図示)とを備えることができる。外側のシェル(「コンバーターシェル」)106は第1端部すなわち第1ヘッド126と第2端部すなわち第2ヘッド128とを備えることができる。内側のシェル(「バスケット」)108は、第1端部すなわち第1ヘッド130と、第2端部すなわち第2ヘッド132と、内側シェル108内に配設された1つ又は複数の離れた触媒床(134、136、138及び140の4つが図示)とを備えることができる。
【0010】
キャップ110は、外側のシェル106の第1端部126に接続することができる外側のシェル142を備えることができる。また、キャップ110は、内側のシェル108の第1端部130に接続することができる内側のシェル144を備えることもできる。導管すなわち流路124の一部分はキャップ110内又はキャップ110を通って配設することができる。該導管すなわち流路124は、キャップ110上に配設された接続部(「出口」)160と流体連通することができる。
【0011】
第1熱交換器168は、流路124を介して第1シェル108と流体連通することができる。該第1熱交換器168はある流体から別の流体に熱を間接的に伝達するのに適した任意のシステム又は装置であってよく、あるいは、該任意のシステム又は装置を備えてもよい。例えば、第1熱交換器168は、1つ又は複数の円筒多管式、プレート形、スパイラル形、U字管型、及び/又は、差込み型の熱交換器であってよく、あるいは、それらの熱交換器を1つ又は複数備えてもよい。一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物を、ライン166を介して第1熱交換器168に導きライン170を介して回収することができる。一又は複数の実施形態では、伝熱媒体を、ライン172を介して第1熱交換器168に導きライン174を介して回収することができる。該伝熱媒体は、凝縮液、ボイラー給水(「BFW」)、低圧(「LP」)蒸気、及び/又は、中圧(「MP」)蒸気であってよく、あるいは、それらを含んでもよい。蒸気はライン174を介して第1熱交換器168から回収することができる。
【0012】
一又は複数の実施形態では、ライン166のアンモニア流出物は高圧蒸気を生成するのに十分な温度になり得る。該高圧蒸気は、約10,300kPa〜約12,500kPaの圧力になり得る。一又は複数の実施形態では、ライン166のアンモニア流出物は中圧蒸気を生成するのに十分な温度になり得る。一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物は約350℃又はそれを超える温度になり得る。一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物は約430℃、約440℃、又は約445℃の低温から、約460℃、約465℃、又は約470℃の高温、の範囲の温度になり得る。例えば、該アンモニア流出物は約450℃〜約455℃又はそれを超える温度になり得る。
【0013】
冷却されたアンモニア流出物はライン170を介して熱交換器168から回収することができる。一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物は400℃未満、約395℃未満、又は約390℃未満の温度に冷却することができる。一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物は約335℃〜約385℃、約335℃〜約370℃、又は約380℃〜約385℃の温度に冷却することができる。
【0014】
一又は複数の実施形態では、流体(「供給ガス」)をアンモニア反応器100に導くことができる。該供給ガスは水素(H)と窒素(N)を含有することができる。供給ガスを1又は複数の部分に分配することができる。例えば、供給ガスを第1部分と第2部分に分配することができる。第1部分は1又は複数の導管(「導入口」)122を介して導入することができる。一又は複数の実施形態では、導入口122を介して導入された第1部分は、流入供給ガスの体積%において約30体積%、約35体積%、又は約40体積%の下限から、約50体積%、約55体積%、又は約60体積%の上限、の範囲の値を持ち得る。例えば、導入口122を介して導入された第1部分は、流入供給ガスの体積%において約40体積%〜約52体積%、約38体積%〜約54体積%、又は、約36体積%〜約56体積%であり得る。第2部分は接続部(「導入口」)112を介して導入することができる。一又は複数の実施形態では、導入口112を介して導入された第2部分は、流入供給ガスの体積%において約40体積%、約45体積%、又は約50体積%の下限から、約60体積%、約65体積%、又は約70体積%の上限、の範囲の値を持ち得る。例えば、導入口112を介して導入された第2部分は、流入供給ガスの体積%において約48体積%〜約60体積%、約46体積%〜約62体積%、又は、約44体積%〜約64体積%であり得る。
【0015】
一又は複数の実施形態では、第2部分は導入口112を介して導入されて、外側シェル106と内側シェル108の間を接続部すなわち排出口114に流れることができる。第1シェル108は第1シェル108と第2シェル106の間に環形部を画定することができ、そこを通って第2部分が流れることができる。一又は複数の実施形態では、第2部分は外側シェル106の温度を下げあるいは調整することができる。例えば、第2部分は、外側シェル106を約120℃、約125℃、又は約130℃の低温から、約150℃、約155℃、又は約160℃の高温、の範囲の温度に調整し得る。外側シェル106を約160℃未満の温度に調整することによって、外側シェル108を炭素鋼などの低コスト材料で構成できるようにすることができる。
【0016】
第2熱交換器104は、ライン118を介して第1シェル108と、ライン116を介して第2シェル106と流体連通することができる。該第2熱交換器104は、ある流体を別の流体に間接的に熱を伝達するのに適した任意のシステム又は装置であってよく、あるいは、該システム又は装置を備えてもよい。例えば、第2熱交換器104は、1つ又は複数の円筒多管式、プレート形、スパイラル形、U字管型、及び/又は、差込み型の熱交換器であってよく、あるいは、それらの熱交換器を1つ又は複数備えてもよい。一又は複数の実施形態では、ライン116を介して第2部分を第2外部熱交換器104に導くことができる。ライン162を介して該熱交換器104に導入された伝熱媒体を介して第2部分に熱を間接的に伝達してライン118を介した加熱された第2部分を提供することができる。一又は複数の実施形態では、限定はされないが、該伝熱媒体は反応器100からのアンモニア流出物下流の少なくとも一部分であり得る。ライン162を介して熱交換器104に導入された伝熱媒体はライン164を介して回収することができる。
【0017】
一又は複数の実施形態では、ライン118の加熱された第2部分を接続部(「導入口」)120を介して第1シェルに導くことができる。加熱された第2部分は、流路124とキャップ110の内側シェル144とで画定された環形部を通って第1シェル108内に配設された1つ又は複数の触媒床134、136、138、140へ流れ得る。該加熱された第2部分の少なくとも一部分(例えば、水素と窒素)を変換してアンモニア流出物を提供することができる。触媒床134、136、138、140内に配設された1つ又は複数の触媒の存在下で該第2部分を変換又は反応させてアンモニア流出物を生成することができる。該アンモニア流出物は、1つ又は複数の触媒床134、136、138、140を通って流れた後で、流路124を介して回収することができる。
【0018】
一又は複数の実施形態では、第1部分を第1シェル108内に配設された1つ又は複数の触媒床134、136、138、140に導入することができる。該第1部分は、単一の導管122又は複数の導管(図示せず)を介して触媒床134、136、138、140の2つ又はより多くに配ることができる。第1部分は、触媒床134、136、138、140の2つ又はより多くに対して均等に又は不均等に分配することができる。
【0019】
一又は複数の実施形態では、第1部分は、触媒床134、136、138、140の温度を所望の反応温度に低下させ、又は保持することができる温度調整器として作用することができる。任意の特定の触媒床に導かれる第1部分の流量は、その特定の触媒床にとって最適な流量に対応するように手動又は自動で調節することができる。一又は複数の実施形態では、加熱された第2部分と第1部分とは、触媒床134、136、138、140内で混合あるいは結合することができるが、それは、第1部分と第2部分はこれらの触媒床を通って流れてアンモニア流出物を提供するからである。一又は複数の実施形態では、加熱された第2部分と第1部分とは、反応器100内の1つ又は複数の内部熱交換器(図示せず)を介して間接的に熱交換することができる。次いで、第1部分と第2部分は、1つ又は複数の触媒床内で混合あるいは結合することができる。アンモニア流出物は、流路124を介して内側のシェル108から回収することができる。
【0020】
一又は複数の実施形態では、ライン122を介して第1触媒床134に第1部分を、約340℃、約350℃、又は約360℃の低温から、約380℃、約390℃、又は約400℃の高温、の範囲の温度に第1触媒床134を維持するのに十分な、温度及び/又は流量で、導入することができる。一又は複数の実施形態では、ライン122を介して第2触媒床136に第1部分を、約350℃、約360℃、又は約370℃の低温から、約390℃、約400℃、又は約410℃の高温、の範囲の温度に第1触媒床134を維持するのに十分な、温度及び/又は流量で、導入することができる。一又は複数の実施形態では、ライン122を介して第3触媒床138に第1部分を、約360℃、約370℃、又は約380℃の低温から、約400℃、約410℃、又は約420℃の高温、の範囲の温度に第1触媒床134を維持するのに十分な、温度及び/又は流量で、導入することができる。一又は複数の実施形態では、ライン122を介して第4触媒床140に第1部分を、約370℃、約380℃、又は約390℃の低温から、約400℃、約410℃、又は約420℃の高温、の範囲に第1触媒床134を維持するのに十分な、温度及び/又は流量で、導入することができる。
【0021】
一又は複数の実施形態では、第1シェルすなわち第1収容容積108は第2シェルすなわち第2収容容積106と互いに同心関係になることができる。一又は複数の実施形態では、第1シェルすなわち第1収容容積108と、第2シェルすなわち第2収容容積106と、流路124とは互いに同心関係になることができる。第1シェルすなわち第1収容容積108と第2シェルすなわち第2収容容積106とは、第1区画と第2区画を備えることができる。第1区画は第2区画の断面積よりも大きい断面積を有することができる。例えば、キャップ110の外側のシェル142は、外側のシェル108のそれよりも小さな断面積を有することができる。キャップ110の内側のシェル144は、内側のシェル106のそれよりも小さな断面積を有することができる。
【0022】
一又は複数の実施形態では、前記1つ又は複数の触媒床134、136、138、140は、それだけには限定はされないが、軸方向床、軸方向床/半径方向床、半径方向床、又はそれらの任意の組み合わせでよい。一又は複数の実施形態では、前記1つ又は複数の触媒床134、136、138、140を、1つ又は複数の交換器を用いた冷却ガス急冷、中間冷却、又はそれらの組み合わせによって冷却して前記1つ又は複数の触媒床の温度を制御あるいは調整することができる。前記1つ又は複数の触媒床134、136、138、140内に配設された触媒は、マグネタイト触媒であってよく、又はマグネタイト触媒を含んでもよい。前記触媒は、貴金属触媒、例えば、ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(Kellogg, Brown and Root)社から市販されているルテニウム系KAAP触媒などのルテニウム系触媒であってよく、又はそれを含んでもよい。各触媒床134、136、138、140は、同一の触媒を含んでよく、又は異なる触媒を含んでよい。各触媒床134、136、138、140は、2種又はより多くの異なる触媒を含むことができる。
【0023】
アンモニア工程のエネルギー効率は、追加の第2アンモニア変換器、プラントの上流すなわち前段の設計などの他のプラントに固有なパラメータなどの様々な因子によって影響を受け得る。ここで、アンモニア・プラントの内部電池限界(「ISBL」)を約0.18Gcal/MT〜約0.3Gcal/MTだけ向上させることができる。第2熱交換器104は、第1熱交換器168のアンモニア流出物の初期冷却部から下流の第2部分を加熱することができる。例えば、高圧蒸気を生成した後のアンモニア流出物の余熱は、第2部分を1つ又は複数の触媒床134、136、138、140内で反応させてライン166を介するアンモニア生成物を提供するのに十分な温度に予熱するのに十分であり得る。例えば、第2部分は、約340℃、約350℃、又は約360℃の低温から、約380℃、約390℃、又は約400℃の高温、の範囲の温度に加熱され得る。
【0024】
一又は複数の実施形態では、従来のアンモニア変換器を変更又は改造して上記で論じ説明した設計形態を与え、効率の向上をもたらすことができる。例えば、アンモニア流出物から回収した熱を利用して高価な高圧蒸気及び/又は過熱状態媒体圧蒸気を生成することができる。上側キャップに円筒多管式熱交換器を備えたアンモニア変換器は、上記した一又は複数の実施形態により改造することができる。キャップ110内に配設された熱交換器、例えば円筒多管式熱交換器を備えたアンモニア変換器は工程から回収される熱量を制限する。このため、ライン166を介して回収されたアンモニア流出物の温度は高圧蒸気を与えるには不十分である。例えば、キャップ110内に配設された円筒多管式熱交換器を備えた構成では、アンモニア変換器100から流出するアンモニア流出物の温度は、一般に、約315℃〜約340℃であり、これは高圧蒸気及び/又は過熱状態媒体圧蒸気を生成するには不十分である。アンモニア変換器内で生成されたプロセス熱は通常、BFWを予熱する、又は高圧蒸気より望ましくない且つ価値のない中圧蒸気を生成する、のに用いられる。
【0025】
一又は複数の実施形態では、従来のアンモニア変換器のキャップを取り除いて上記で論じ説明した再設計されたキャップ110に対応する新規な又は変更を加えたキャップに置き換えることができる。該キャップは、第2部分に対する流路をキャップ110内の内部熱交換器ではなく外部熱交換器にもたらす。上記で論じ説明したキャップ110を備えるように変更された従来のアンモニア変換器100は、今設計されたようなこのアンモニア変換器内に及ぼすことができる圧力低下を扱うことができる。したがって、この変更は旧来のキャップを除去し廃棄するか変更を加えることによって実施することができる。旧来の内部円筒多管式熱交換器を除去廃棄して、新規な又は変更を加えたキャップ110を構築することができる。排出口114、160及び導入口112、120、122は特別な工程条件に基づいて大きさを決めることができる。排出口160は、触媒床134、136、138、140を貫通して、あるいはそれらの周りに配設された流路124と流体連通することができる。キャップ110の内側シェル144は、アンモニア変換器100の内側シェル108と結合することができ、キャップ110の外側シェル142は、アンモニア変換器100の外側シェル106と結合することができる。
【0026】
図2は、一又は複数の実施形態に係る例示的なアンモニアを製造するためのシステムの概略図である。一又は複数の実施形態では、該システムはアンモニア変換器100と1又は複数の熱交換器(104、168、202、204、206の5つは図示)と1又は複数の始動ヒータ210とを備えることができる。一又は複数の実施形態では、アンモニア変換器100と熱交換器104、168とは、図1に関して上記で論じ説明したものと同じものでよい。
【0027】
一又は複数の実施形態では、供給ガス(図1に関して上記で論じ説明したものと同じものでよい)を、ライン212を介して予備ヒータ又は熱交換器202に導入して予熱された供給物を提供する。該予熱された供給ガスはライン214を介して回収される。一又は複数の実施形態では、ライン214の予熱供給ガスは、約120℃、約125℃、又は約130℃の低温から、約150℃、約155℃、又は約160℃の高温、の範囲の温度であり得る。例えば、ライン214の予熱供給ガスは約141℃の温度であり得る。一又は複数の実施形態では、ライン214の予熱された供給ガスは、約12,500kPa、約13,000kPa、又は約13,500kPaの低圧から、約18,500kPa、約19,000kPa、又は約19,500kPaの高圧、の範囲の圧力であってよい。プラントの始動時、ライン216を介して供給ガスの少なくとも一部分を1又は複数の始動ヒータ210に導入して、ライン218を介して、アンモニア変換器100の始動を開始させるのに十分な温度にある予熱供給ガスをもたらすことができる。ライン218の予熱供給ガスは、ライン122を介して外側シェル106内に配設された内側シェル108に導入することができる(図1参照)。
【0028】
一又は複数の実施形態では、予備ヒータ210は、供給ガスの少なくとも一部分をアンモニア変換器100の始動を開始させるのに適した温度に加熱するのに適した任意の装置でよく、又は該装置を備えてもよい。例えば、予熱ヒータは焼成炉又は焼成ヒータでよい。一又は複数の実施形態では、ライン218の予熱供給ガスは、約300℃、約330℃、又は約360℃の低温から、約380℃、約400℃、又は約420℃の高温、の範囲の温度であり得る。
【0029】
一又は複数の実施形態では、正常な動作の際は、ライン214の供給ガスは予備ヒータ210を迂回することができる。ライン214の供給ガスはライン222を介する第1部分とライン220を介する第2部分に分配することができる。第2部分は、アンモニア変換器100の内側シェル108と外側シェル106の間に配設された環形部(図1参照)に導入することができる。ライン222の第1部分は、1又は複数のライン122(4つが図示されている)を介して内側シェル108に導入することができる。
【0030】
ライン166を介して回収されたアンモニア流出物は、図1を参照して上記で論じ説明した伝熱媒体を用いて熱交換器168で間接的に冷却することができる。該伝熱媒体(例えば、BFW)をライン172を介して導入し、高圧蒸気をライン174を介して回収することができる。アンモニア流出物はライン170を介して回収することができる。
【0031】
一又は複数の実施形態では、1,100MTPD(メートルトン/日)のプラントでのアンモニア流出物は、350℃を超える温度(例えば、約450℃〜約455℃)、約14,600kPaの圧力であり得る。アンモニア流出物から熱交換器168のボイラー給水へ間接的に伝達することができる1,100MTPDプラントの所要熱量は、約14.5Gcal/hrになることができる。高圧蒸気は、約10,300kPa〜約12,500kPaの圧力であってよい。冷却されたアンモニア流出物はライン170を介して熱交換器168から回収することができる。アンモニア流出物は、約335℃〜約385℃、約335℃〜約370℃、又は約380℃〜約385℃の温度に冷却され得る。
【0032】
一又は複数の実施形態では、ライン166の回収されたアンモニア流出物は、ライン162を介した第1部分とライン228を介した第2部分とに分配することができる。一又は複数の実施形態では、ライン162のアンモニア流出物の第1部分のライン170の全アンモニア流出物に対する体積%において約35体積%、約40体積%、又は約45体積%の下限から、約50体積%、約55体積%、又は約60体積%の上限、の範囲の値を持ち得る。一又は複数の実施形態では、ライン228のアンモニア流出物の第2部分は、ライン170の全アンモニア流出物からの差し引き体積%になることができる。
【0033】
一又は複数の実施形態では、ライン162を介するアンモニア流出物の第1部分を熱交換器104に導入し、そこで、アンモニア流出物の第1部分からライン116を介して導入された供給ガスの第2部分に熱が伝達されてライン118を介する予熱された第2部分を提供することができる。ライン118を介する該予熱された第2部分は、図1を参照して上記で論じ説明したように内側シェル108内の1つ又は複数の触媒床134、136、138、140に導入することができる。ライン162を介して熱交換器104に導入したアンモニア流出物の第1部分はライン164を介して回収することができる。
【0034】
一又は複数の実施形態では、ライン228を介するアンモニア流出物の第2部分を熱交換器204に導入することができる。アンモニア流出物の第2部分からライン230を介して導入された伝熱媒体(例えば、BFW)に熱が間接的に熱交換されライン232を介する蒸気を提供することができる。ライン232に提供された蒸気は、低圧蒸気、中圧蒸気、過熱中圧蒸気、又は高圧蒸気であり得る。アンモニア流出物の第2部分はライン234を介して回収することができる。例えば、1,100MTPDプラントは、アンモニア流出物の第2部分から約4.6Gcal/hrの所要熱量を回収することができる。一又は複数の実施形態では、該回収された所要熱量は、プラントの規模と容量に応じて変わり得る。
【0035】
一又は複数の実施形態では、アンモニア流出物から利用できる工程廃熱の約60%がライン174及び232を介して高圧蒸気として回収することができる。一又は複数の実施形態では、高圧蒸気及び/又は過熱中圧蒸気を提供するのに用いられるアンモニア流出物から回収される工程廃熱%は、約10%、約20%、約30%、又は約40%の下限から、約50%、約60%、約65%、又は約70%の上限、の範囲であり得る。一又は複数の実施形態では、残存する廃熱をBFWの予熱、又は、低圧蒸気や中圧蒸気などのより低級な蒸気の生成に利用することができる。
【0036】
ライン234のアンモニア流出物の第2部分は熱交換器206に導入することができる。アンモニア流出物の第2部分からライン236を介して熱交換器206に導入された伝熱媒体(例えば、BFW)に熱を伝達することができる。該熱交換器206はBFWを予熱することができ、その熱はライン238を介して回収することができる。アンモニア流出物の第2部分は、ライン240を介してBFW予熱ヒータ206から回収することができる。
【0037】
一又は複数の実施形態では、ライン164を介するアンモニア流出物の第1部分をライン240のアンモニア流出物の第2部分を混合して、混合あるいは再結合したアンモニア流出物をライン242に提供することができる。ライン242のアンモニア流出物を予備ヒータ202に導入することができる。アンモニア流出物からの熱は、ライン212を介して予備ヒータ202に導入された供給ガスに間接的に伝達することができる。
【0038】
一又は複数の実施形態では、冷却されたアンモニア流出物はライン244を介して予熱ヒータ202から回収して、下流でさらに処理することができる。ライン244の冷却されたアンモニア流出物を分離してアンモニア生成物と再生供給物を提供することができる。一又は複数の実施形態では、ライン244の冷却されたアンモニア流出物を、アンモニア生成物と再生供給物に分離する前にさらに冷却することができる。図示していないが、該再生供給ガスをライン212に再循環させ、アンモニア変換器100に導入して、供給ガスを補うのに加えてアンモニアに変換することができる。該補給合成ガスは、アンモニアの合成に適した新鮮な合成ガス又は他の水素又は窒素含有供給ガスであってよい。
【0039】
一又は複数の実施形態では、熱交換器202、204、206は、一つの流体から別の流体に間接的に熱伝達するのに適した任意のシステム又は装置であってよく、又はそれらを備えてもよい。例えば、これらの熱交換器は、円筒多管式、プレート形、スパイラル形、U字管型、及び/又は差込み型熱交換器であってよく、又はそれらを備えてもよい。これらの熱交換器は、プラント工程の設計に応じてサイズ決めし作製することができる。
【0040】
図3は、上記した一又は複数の実施形態に係る別の例示的なアンモニア生成システムの概略図である。一又は複数の実施形態では、アンモニア生成システムは、図1及び図2を参照して上記で論じ説明したのと同じでよい。アンモニア生成システムは、1又は複数の2次アンモニア変換器300を備えることができる。一又は複数の実施形態では、ライン170を介して回収されたアンモニア流出物は、1又は複数の2次アンモニア変換器300(1つは図示)に導入することができる。該2次アンモニア変換器300は、回収されたアンモニア流出物の未反応の水素及び窒素を変換して追加的なアンモニアを提供することができる。
【0041】
ライン170を介して2次アンモニア変換器300に導入されたアンモニア流出物の温度は、該2次アンモニア変換器300の特定な設計に依存し得る。ライン170を介して2次アンモニア変換器300に導入されたアンモニア流出物の温度は、第1熱交換器168のアンモニア流出物を適温に冷却することによって調節又は制御され得る。例えば、アンモニア流出物を、ライン170を介して2次アンモニア変換器300に、約315℃、約325℃、又は約335℃の下限から、約365℃、約370℃、又は約375℃の上限、の範囲の温度で導入することができる。
【0042】
一又は複数の実施形態では、前記1つ又は複数の2次アンモニア変換器300に導入されたアンモニア流出物は、ライン162を介した第1部分とライン228を介した第2部分とに分配することができる。一又は複数の実施形態では、ライン162のアンモニア流出物の第1部分のライン170の全アンモニア流出物に対する体積%において約35体積%、約40体積%、又は約45体積%の下限から、約50体積%、約55体積%、又は約60体積%の上限、の範囲の値を持ち得る。一又は複数の実施形態では、ライン228のアンモニア流出物の第2部分は、ライン170の全アンモニア流出物からの差し引き体積%になることができる。
【0043】
一又は複数の実施形態では、図1及び図2を参照して上記で論じ説明したように、ライン162を介したアンモニア流出物の第1部分を用いてライン116の供給ガスの第2部分を加熱することができる。一又は複数の実施形態では、ライン228のアンモニア流出物の第2部分を用いて、図2を参照して上記で論じ説明したように、ライン232に高圧蒸気を、及び、ライン238にBFWを、提供することができる。ライン164を介したアンモニア流出物の第1部分を、ライン240のアンモニア流出物の第2部分に導入して、ライン242に結合した又は混合したアンモニア流出物を提供することができる。ライン242のアンモニア流出物を供給ガス予熱ヒータ202に導入してライン214に予熱供給ガスを、及び、ライン244に冷却アンモニア流出物を、提供することができる。
【0044】
ある実施形態及び特徴を一群の数値下限と一群の数値上限を用いて説明してきた。当然のことながら、任意の下限から任意の上限の範囲は他に指定されない限り熟慮されたものである。ある下限、上限及び範囲が、以下の請求項に示されている。全ての数値は、指定された値の「およその値」又は「近似の値」であり、当業者により予測されるはずの実験誤差及び変動が考慮されている。
【0045】
これまでに、様々な用語を定義してきた。ある用語が請求項で用いられる程度には上記で定義されていない。当業者が少なくとも1つの刊行物又は交付済み特許に反映されたような用語を与えられる場合、用語は最も広く定義するべきである。さらに、本出願に記載された特許、試験手順及び他の文献の全ては、その開示が本出願と矛盾しない程度に十分に参照援用され、及びそのような援用が許容される全ての司法権に対して十分に参照援用されている。
【0046】
上記の内容は本発明の実施形態を対象としているが、他方、本発明の他のさらなる実施形態をその基本的な範疇から逸脱することなく考え出すことができる。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを製造するためのシステムであって、
反応器であって、
2つ又はより多い別個の触媒床が内部に配設された第1シェル、
前記第1シェルの周りに配設された第2シェル、及び
前記第1シェル内に配設された流路であって、前記第1シェル内の前記2つ
又はより多い別個の触媒床が前記流路の周りに配設された、流路、
を備えた反応器、
前記反応器の外部に配設され前記第1シェルと流体連通している第1熱交換器、並びに、
前記反応器の外部に配設され前記第2シェルと流体連通している第2熱交換器、
を備えた、システム。
【請求項2】
前記第1及び第2シェルが互いに同心関係にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1シェル、前記第2シェル、及び前記流路が、互いに同心関係にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1シェル及び前記第2シェルが第1区画及び第2区画をそれぞれ備え、前記第1区画は前記第2区画の断面積より大きい断面積を有している、
システム。
【請求項5】
アンモニアを製造するためのシステムであって、
前記システムは、
第2収容容積内に配設された第1収容容積、
前記第1収容容積内に配設された2つ又はより多い別個の触媒床、
前記第1収容容積内に少なくとも部分的に配設された流路であって、前記流路及び前記第1収容容積がそれらの間に環形部を画定する、流路、
前記第1及び第2収容容積の外部に配設された第1熱交換器、
前記第1及び第2収容容積の外部に配設された第2熱交換器、
を備えており、
前記流路は、前記第1収容容積の第1端部で前記第1収容容積と流体連通し、前記第1熱交換器の第2端部で前記第1熱交換器と流体連通しており、及び、前記第2熱交換器は、前記第2収容容積と流体連通している、
システム。
【請求項6】
前記第1収容容積及び前記第2収容容積が互いに同心関係にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1収容容積、前記第2収容容積、及び前記流路が、互いに同心関係にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムであって、
前記第1収容容積及び前記第2収容容積が第1区画及び第2区画をそれぞれ備え、前記第1区画は前記第2区画の断面積より大きい断面積を有している、
システム。
【請求項9】
アンモニアを製造するための方法であって、
アンモニア変換器に窒素と水素を含む供給ガスを分配するステップであって、
前記アンモニア変換器が、
内部に2つ又はより多い別個の触媒床が配設された第1シェル、
前記第1シェルの周りに配設された第2シェル、
前記第1シェルの外部に配設され、それと流体連通している第1熱交換器、
前記第2シェルの外部に配設され、それと流体連通している第2熱交換器、及び、
前記第1シェル内に配設された流路、
を備えており、
前記第1シェル内の前記2つ又はより多い別個の触媒床が前記流路の周りに配設されており、
前記供給ガスの第1部分が前記第1シェルに導入され、前記供給ガスの第2部分が前記第2シェルに導入されている、
ステップ、
前記供給ガスの前記第1部分を前記触媒の存在下で反応させてアンモニア流出物を提供するステップ、
前記アンモニア流出物からの反応熱の少なくとも一部を交換して前記第1熱交換器内で蒸気を生成するステップ、
前記アンモニア流出物からの反応熱の少なくとも一部を前記第2熱交換器内で前記供給ガスの前記第2部分に交換するステップ、
前記供給ガスの前記加熱された第2部分を前記第1シェルに導入するステップ、並びに、
前記供給ガスの前記加熱された第2部分を前記触媒の存在下で反応させるステップ、
を含む、方法。
【請求項10】
前記蒸気が約10,300kPa〜約12,500kPaの圧力である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アンモニア流出物が約440℃〜約465℃の温度である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アンモニア流出物が約13,500kPa〜約19,000kPaの圧力である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2熱交換器で前記アンモニア流出物を約335℃〜約385℃の温度に冷却する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1部分は前記供給ガスの約40体積%〜約52体積%を構成する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2シェル内の前記第2部分が約120℃〜約160℃の温度である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が、マグネタイト、1種若しくはより多いプラチナ族金属、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせ、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
約45体積%〜約55体積%の前記アンモニア流出物を用いて前記供給ガスの前記第2部分を加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
アンモニア供給ガスを加熱するための内部交換器を有しているアンモニア変換器と、アンモニア生成物から廃棄プロセス流に熱を伝達する交換器、を備えた、アンモニアを生成するためのシステムを改良するための方法であって、
前記変換器から前記内部交換器を取り除くステップ、
前記アンモニア生成物から熱を伝達して、前記変換器の外部にある第1熱交換器内で高圧蒸気を生成するステップ、
前記変換器の外部にある第2熱交換器内で前記アンモニア生成物から前記アンモニア供給ガスに熱を伝達するステップ、及び、
前記加熱されたアンモニア供給ガスを前記変換器に戻すステップ、
を含む、方法。
【請求項19】
前記高圧蒸気が約10,300kPa〜約12,500kPaの圧力である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アンモニア生成物が約440℃〜約465℃の温度である、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−505314(P2011−505314A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534932(P2010−534932)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/010478
【国際公開番号】WO2009/070189
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508364749)ケロッグ ブラウン アンド ルート エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】