説明

アーク溶射装置

【課題】作業性の悪い場所であっても溶射皮膜厚が均一になるように溶射可能なアーク溶射ガン装置を提供する。
【解決手段】アーク溶射ガン装置100は、金属ワイヤ104a・104bをアーク放電によって溶融させ、得られる金属溶滴を微粒化し溶射粒子として基材に吹き付ける。アーク溶射ガン装置100は、ワイヤフィーダ102からの金属ワイヤ104a・104bを繰り出すモータ118およびローラ120を有する駆動部110と、金属ワイヤ104a・104bを一点に向けて案内してアーク放電させるリーダチップ138a・138bと、コンプレッサ106からの圧縮空気をリーダチップ近傍に吹き出して金属溶滴を微粒化させるエアーノズル口144a・144bとを有する溶射ノズルユニット112と、駆動部110から溶射ノズルユニット112へと金属ワイヤ104a・104bを案内するチューブ126a・126bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ワイヤをアーク放電によって溶融させ、得られる金属溶滴を圧縮空気で微粒化させ溶射粒子として基材に吹き付けるアーク溶射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶射とは、溶射材と呼ばれるコーティング材料を加熱により溶融し、圧縮空気で微粒子状にさせて(微粒化させて)溶射粒子とし基材と呼ばれる被施工物に吹き付けるコーティング技術の一種である。溶射は金属性の基材に対しての防錆処理や耐磨耗性処理、および耐熱処理等を目的として広く活用されている。また、溶射は基材への熱影響が比較的少ないため、金属以外の様々な材質の基材に対しても装飾処理等を目的として行われている。
【0003】
溶射は、溶射材を加熱する熱源の違いによって、電気式とガス式とに大きく分けられる。アーク溶射は、溶射材である一対の金属ワイヤ間にアーク放電を発生させてその熱量でこれらを溶融し、得られる金属溶滴を圧縮空気で微粒化させて溶射粒子とし吹き付ける電気式溶射法の一種である。アーク溶射は、ガス式溶射法であるフレーム溶射に比べて溶融効率がよく、単位時間当たりの成膜量が大きいという利点を有している。
【0004】
アーク溶射は高圧可燃ガスを使用しないため非常に安全性が高い。加えて、一般的なアーク溶射は、いわゆるハンディタイプ型アーク溶射ガン装置と呼ばれる小型の溶射ガン装置を使用して行われる。これらによって、アーク溶射はフレーム溶射と比較して作業が非常に簡単になっていて、熟練者が少ない現場での溶射補修作業であっても安定した作業品質で行うことができる。このような溶射作業現場にて使用される溶射装置として、現在では現場作業用アーク溶射装置が普及している。
【0005】
一般的な現場作業用アーク溶射装置は、金属ワイヤ供給装置や溶射用電源装置と、およびハンディタイプ型のアーク溶射ガン装置からなり、圧縮空気や電気は外部の供給源から受ける構成となっている。現在では、アーク溶射ガン装置が小型かつ軽量に開発されているため、様々な作業現場で使用することが可能となっている。例えば、特許文献1に記載のアーク溶射装置は、大きく分けて、溶射ガン装置本体と、溶射ガン装置本体から前方へ延びた2本の溶材導管、およびこれら溶材導管の先端に設けられた溶射ノズルユニットから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−99858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アーク溶射によって基材に防錆処理を施す場合、処理箇所において金属皮膜(溶射皮膜)の密着強度や塗着量に偏りが発生すると、金属皮膜(溶射皮膜)が不安定で不均一となって防錆性能が著しく低下してしまう。これを防ぐためには、アーク溶射ガン装置から発せられた溶射粒子が基材の表面に対して略垂直に吹き付けられるよう操作し、溶射皮膜の厚さを均一に形成させる必要がある。
【0008】
ここで、特許文献1のアーク溶射装置は、溶射ガン装置本体から前方へ延びた溶材導管の先に小型化した溶射ノズルユニットを備えているため、従来のアーク溶射ガン装置では溶射が難しかった建築物等の施工現場における手の届き難い箇所への溶射が好適にできるとされている。しかし、長い溶材導管を有しているため、多くの鉄骨が組まれた施工現場のように障害物があったり平坦でなかったりまたは狭隘であるような場所、あるいは作業員が入れないようなマンホール内面や壁際の幅の狭い場所等である場合には取り回しの自由が制限されてしまう。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、周囲に障害物がある場所や狭い場所、および処理箇所が平坦でない場合などの作業性の悪い場所であっても、処理箇所に応じて自在に溶射ノズルユニットの方向を向けて溶射皮膜厚が均一になるように溶射を施すことが可能なアーク溶射ガン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかるアーク溶射ガン装置の代表的な構成は、金属ワイヤをアーク放電によって溶融させ、得られる金属溶滴を微粒化し溶射粒子として基材に吹き付けるアーク溶射ガン装置において、ワイヤフィーダから供給される一対の金属ワイヤを繰り出すモータおよびローラを有する駆動部と、一対の金属ワイヤを一点に向けて案内してアーク放電させるリーダチップと、コンプレッサから供給される圧縮空気をリーダチップ近傍に吹き出して金属溶滴を微粒化させるエアーノズル口とを有する溶射ノズルユニットと、駆動部から溶射ノズルユニットへと一対の金属ワイヤを案内する柔軟に曲がる一対のチューブとを備えることを特徴とする。
【0011】
上記の溶射ノズルユニットは、モータ等の比較的重量を有する要素が駆動部に収められていることで、小型かつ軽量な構成となっている。また、この溶射ノズルユニットと駆動部とをつなぐチューブは、柔軟に曲がることができる。これらによって、溶射ノズルユニットは人員の手動によって自在に動かすことが可能となっている。したがって、人員の手の届く箇所であれば、鉄骨の裏側や狭隘な場所の奥であっても容易に溶射することが可能である。さらに、例えば作業員が入れないようなマンホールの内面や壁際の幅の狭い場所等に対しての溶射も可能となる。また、従来のアーク溶射ガン装置では困難であった、ボルトの周囲や穴部の周囲などの平坦でない処理箇所に対しても、溶射ノズルユニットを自在に操作して基材に対して略垂直にし、溶射皮膜が均一になるように溶射することが可能となる。
【0012】
上記の一対のチューブはテフロンチューブであるとよい。テフロンチューブ(テフロン(登録商標))は、柔軟性を有しかつ金属ワイヤのすべりが良く、耐熱性や耐薬品性にも優れている。そのため、テフロンチューブであれば、様々な作業現場に対応することが可能である。
【0013】
上記の駆動部は人員の腰部に装着されるベルト部をさらに備えるとよい。駆動部はモータ等を備えているため、溶射ノズルユニットよりは重量がある。そこで、駆動部は腰部に装着される構成とすることで、作業員の疲労を減らすことができる。この構成であれば、作業員は自由に移動しながら負担なく溶射作業を行うことが可能となる。
【0014】
エアーノズル口は、リーダチップの両脇に配置され、一対の金属ワイヤが近接する一点よりも前方で合流する方向に圧縮空気を吹き出すことが好ましい。これにより、アーク放電の発生点には圧縮空気が直接には当たらなくなるため、アーク放電時の熱量のロスを抑えることができる。ここで、金属溶滴が微粒化された溶射粒子は圧縮空気にさらされることで熱量が小さくなる。その後、基材に到達した溶射粒子は機械的な噛み合いによって物理的に基材表面に凝固・堆積して溶射皮膜を形成する。そのため、上記構成であれば、例えば溶射粒子の温度を常温近くまで下げて基材に吹き付けることが可能であって、基材への熱影響をさらに抑えることができる。また、溶射ノズルユニットを手で把持する際に危険や不便がなく好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、周囲に障害物がある場所や狭い場所、および処理箇所が平坦でない場合などの作業性の悪い場所であっても、処理箇所に応じて自在に溶射ノズルユニットの方向を向けて溶射皮膜厚が均一になるように溶射を施すことが可能なアーク溶射ガン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかるアーク溶射装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の駆動部の内部を示す図である。
【図3】図1の溶射ノズルユニットを各方向から示す図である。
【図4】図3(a)のA−A断面図である。
【図5】本実施形態にかかるアーク溶射装置を用いた作業風景を示す図である。
【図6】本実施形態にかかるアーク溶射装置を用いた作業現場を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかるアーク溶射ガン装置100の全体構成を示す図である。図1に示すアーク溶射ガン装置100は、人員(作業員)が手に持って作業を行うハンディタイプの溶射ガン装置である。アーク溶射ガン装置100は、ワイヤフィーダ102から供給される一対の金属ワイヤ104a・104b(図2参照)を溶射材としていて、この金属ワイヤ104a・104bにアーク放電を発生させて溶融し、得られる金属溶滴を図1のコンプレッサ106から供給される圧縮空気を用いて微粒化し、溶射粒子として基材に吹き付ける。
【0019】
アーク溶射ガン装置100は、主に、モータ118等(図2参照)を内部に備える駆動部110と、金属ワイヤ104a・104bが微粒化した溶射粒子を吹き出す溶射ノズルユニット112、およびこれらを接続するコード・チューブ類によって構成される。
【0020】
図2は、図1の駆動部110の内部を示す図である。図2は、駆動部110の筐体116の蓋部122を開けた状態で、筐体116の内部を示している。図2に示すように、駆動部110にはワイヤフィーダ102(図1参照)から延びた2本の連絡チューブ114a・114bが接続されている。これら連絡チューブ114a・114bは、駆動部110に1対の金属ワイヤ104a・104bを供給する。駆動部110は、その筐体116の内部にモータ118とローラ120を有していて、これらが駆動することで金属ワイヤ104a・104bを、図1に示すワイヤフィーダ102から溶射ノズルユニット112へと繰り出す仕組みとなっている。
【0021】
図2に示すように、モータ118は、回転軸が下方を向くように筐体116の上部に設置されている。ローラ120はモータ118と同軸方向であって、金属ワイヤ104a・104bと交差するように設置されている。筐体116の蓋部122の裏側には、金属ワイヤ104a・104bをローラ120へ押さえつける押さえローラ124が設けられている。これらによって駆動部110は、蓋部122を閉じた状態でモータ118が駆動すると、ローラ120が回転してローラ120と押さえローラ124とで挟んだ金属ワイヤ104a・104bを溶射ノズルユニット112(図1参照)へと繰り出す。
【0022】
再び図1を参照する。図1に示すように、駆動部110から溶射ノズルユニット112へは、一対のチューブ126a・126bが接続されている。チューブ126a・126bは、駆動部110から溶射ノズルユニット112へとそれぞれ金属ワイヤ104a・104b(図2参照)を案内する。本実施形態では、チューブ126a・126bとしてテフロンチューブ(テフロン(登録商標))を採用している。テフロンチューブは、柔軟性を有しかつ金属ワイヤのすべりが良く、耐熱性や耐薬品性にも優れている。そのため、テフロンチューブであれば、様々な作業現場に対応することが可能である。なお、本実施形態では、ワイヤフィーダ102から駆動部110へと接続される連絡チューブ114a・114bにもテフロンチューブを採用している。
【0023】
図3は、図1の溶射ノズルユニット112を各方向から示す図である。図3(a)は、溶射ノズルユニット112の側面図である。後に詳述するが、溶射ノズルユニット112は作業員が手に持って操作する部位であり、また、溶射ノズルユニット112はアーク放電が発生する部位でもある。そのため、溶射ノズルユニット112の側部には安全対策として、アーク放電の発生点(アーク交点P1)付近を覆うアークカバー130a(130b)が備えられている。なお、図3(a)では手前側のアークカバー130b(図3(b)参照)を省略し、溶射ノズルユニット112の内部を示している。
【0024】
溶射ノズルユニット112の内部には、一対のガイド管132a・132bが備えられている。ガイド管132a・132bには前述のチューブ126a・126bがそれぞれ接続され、金属ワイヤ104a・104bが供給される。
【0025】
ガイド管132a・132bは金属性の管材であって導電性を有している。ここで図1に示すように、溶射ノズルユニット112には電源コード134a・134bが計2本接続している。電源コード134a・134bは、駆動部110に支持され、電源108に接続されている。なお駆動部110には、電源コード134cによってモータ118のための電力が供給されている。図3(a)に示すように、電源コード134a・134bは電極136a・136bを介してガイド管132a・132bへとそれぞれ接続される。そして、金属ワイヤ104a・104bにはそれぞれのガイド管132a・132bの内壁から電圧が印加される。
【0026】
ガイド管132a・132bの先端には、リーダチップ138a・138bがそれぞれ設けられている。リーダチップ138a・138bは管材であって、金属ワイヤ104a・104b同士を接触させるよう前方の一点(アーク交点P1)に向けて斜めに設置される。これにより、金属ワイヤ104a・104bはアーク交点P1へと案内され、アーク交点P1にて金属ワイヤ104a・104b同士の間にアーク電流が流れる、すなわちアーク放電が発生する。このアーク放電時の熱量によって、金属ワイヤ104a・104bは溶融して金属溶滴となる。
【0027】
溶射ノズルユニット112には外部のコンプレッサ106(図1参照)から圧縮空気を導くエアホース140が接続されている。エアホース140を介して供給された圧縮空気はエアーノズルブロック142の内部を通過し、エアーノズル口144a・144b(図3(b)参照)から吹き出される。
【0028】
図3(b)は、図3(a)のノズルユニット112の正面図である。図3(b)に示すように、エアーノズルブロック142の正面中央にはリーダチップ138a・138bを通す開口部146が形成されている。そして、エアーノズル口144a・144bは、この開口部146に沿った細長い形状で、リーダチップ138a・138bの両脇に設けられている。
【0029】
図4は、図3(a)のA−A断面図である。図4に示すように、エアーノズル口144a・144bは、それぞれアーク交点P1よりも前方の一箇所(合流域E1)に向かって斜めに圧縮空気を吹き出す構成となっている。これにより、アーク交点P1からその前方の合流域E1へ向かって負圧が生じる。当該アーク溶射ガン装置100では、この負圧で金属溶滴(溶かした金属ワイヤ104a・104b)を圧縮空気層まで吸い込ませて合流域E1で微粒化させ溶射粒子にし、その後に溶射粒子を圧縮空気に乗せて基材に吹き付けている。すなわち、アーク放電の発生点(アーク交点P1)には圧縮空気を直接に当てないため、アーク放電時の熱量のロスを抑えることが可能となっている。
【0030】
ここで、アーク熱で金属溶滴状態にされ圧縮空気で微粒化された溶射粒子は、基材表面に到達する寸前まで溶滴状態を維持するのが理想的である。基材に到達した溶射粒子は機械的な噛み合いによって物理的に基材表面に凝固・堆積して溶射皮膜を形成する。その際、当該アーク溶射ガン装置100では、金属溶滴は圧縮空気にさらされることで熱量が小さくなるため、基材に吹き付ける溶射粒子の温度を常温近くにまで下げることが可能である。これによれば、基材への熱影響をさらに抑えることができ、また、溶射ノズルユニット112を手で把持する際に危険や不便がなくなるため好適である。
【0031】
図5および図6は、本実施形態にかかるアーク溶射ガン装置100を用いた作業風景を示す図である。図5(a)は、溶射ガン装置の装着例を示す図である。図5(a)に示すように、駆動部110にはベルト部150を取り付けることができる。このベルト部150によって、駆動部110は作業員152の腰部に装着可能となっている。駆動部110はモータ118等を備えているため、溶射ノズルユニット112よりは重量がある。そこで当該アーク溶射ガン装置100では、駆動部110を腰部に装着する構成とすることで、作業員152の疲労を減らすことが可能となっている。またこの構成であれば、作業員152は自由に移動しながら負担なく溶射作業を行うことが可能である。
【0032】
図5(b)は、溶射ノズルユニット112の操作例を示す図である。図5(b)に示すように、溶射ノズルユニット112は作業員152が手に持って作業する部位である。溶射ノズルユニット112は、モータ118等の比較的重量を有する要素が駆動部110に収められていることで、小型かつ軽量な構成となっている。また、当該アーク溶射ガン装置100では、駆動部110と溶射ノズルユニット112とはコード・チューブ類でつながっている。これらコード・チューブ類は樹脂材料から構成されている。例えば、チューブ126a・126bはテフロンチューブであって柔軟に曲がることが可能である。これによって、溶射ノズルユニット112は作業員152の手動によって自在に動かすことが可能となっている。
【0033】
上記構成によって、当該アーク溶射ガン装置100では、作業員152の手の届く箇所であれば、周囲に障害物の存在する箇所、例えば鉄骨154と交差した鉄骨156の裏側であっても容易に溶射することが可能である。また、従来のアーク溶射ガン装置では困難であった、ボルト158や穴部160などの周囲の平坦でない処理箇所に対しても、その処理箇所に応じて自在に溶射ノズルユニット112の方向を操作して基材に対して略垂直にし、溶射皮膜が均一になるように溶射することが可能である。
【0034】
また当該アーク溶射ガン装置100によれば、図6に示すように狭隘な作業現場200であっても、容易に溶射を行うことができる。例えば、作業現場200のような複数の構造物202a・202bが隣接して設置されていて、それらの狭隘な隙間に位置する面204に溶射補修を施したい場合であっても、当該アーク溶射ガン装置100であれば、溶射ノズルユニット112を容易に挿入し、面204に対して略垂直に溶射粒子を吹き付けて均一な溶射皮膜を形成することができる。また作業現場200に限らず、例えば作業員が入れないようなマンホール内面や壁際の幅の狭い場所等の作業性の悪い場所であっても、好適に溶射作業を行うことが可能である。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、金属ワイヤをアーク放電によって溶融させ、得られる金属溶滴を圧縮空気で微粒化して溶射粒子とし、基材に吹き付けるアーク溶射ガン装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
P1 …アーク交点、E1 …合流域、100 …アーク溶射装置、102 …ワイヤフィーダ、104a、104b …金属ワイヤ、106 …コンプレッサ、108 …電源、110 …駆動部、112 …溶射ノズルユニット、114a、114b …連絡チューブ、116 …筐体、118 …モータ、120 …ローラ、122 …蓋部、124 …押さえローラ、126a、126b …チューブ、130a、130b …アークカバー、130a、130b …アークカバー、132a、132b …ガイド管、134a、134b、134c …電源コード、136a、136b …電極、138a、138b …リーダチップ、140 …エアホース、142 …エアーノズルブロック、144a、144b …エアーノズル口、146 …開口部、150 …ベルト部、152 …作業員、154、156 …鉄骨、158 …ボルト、160 …穴部、200 …作業現場、202a、202b …構造物、204 …面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ワイヤをアーク放電によって溶融させ、得られる金属溶滴を微粒化し溶射粒子として基材に吹き付けるアーク溶射ガン装置において、
ワイヤフィーダから供給される一対の金属ワイヤを繰り出すモータおよびローラを有する駆動部と、
前記一対の金属ワイヤを一点に向けて案内して前記アーク放電させるリーダチップと、コンプレッサから供給される圧縮空気を該リーダチップ近傍に吹き出して前記金属溶滴を微粒化させるエアーノズル口とを有する溶射ノズルユニットと、
前記駆動部から前記溶射ノズルユニットへと前記一対の金属ワイヤを案内する柔軟に曲がる一対のチューブとを備えることを特徴とするアーク溶射ガン装置。
【請求項2】
前記一対のチューブはテフロンチューブであることを特徴とする請求項1に記載のアーク溶射ガン装置。
【請求項3】
前記駆動部は人員の腰部に装着されるベルト部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のアーク溶射ガン装置。
【請求項4】
前記エアーノズル口は、前記リーダチップの両脇に配置され、前記一対の金属ワイヤが近接する一点よりも前方で合流する方向に前記圧縮空気を吹き出すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアーク溶射ガン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−197493(P2012−197493A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62924(P2011−62924)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(505272618)株式会社TLC (18)
【出願人】(503195458)株式会社サンメタ (4)
【出願人】(505176682)ヨシハタ工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】