説明

アーク防護用および防炎用のモダクリル/綿/アラミド繊維混紡

アーク防護用および防炎用に適切な糸、布帛および衣服は、モダクリル、綿およびアラミド繊維を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アークからの防護および防炎性を有する布帛の製造に有用な混紡糸に関する。本発明は、さらに、上記の布帛で製造される衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
通電中の電気設備付近で作業する人々や電気設備付近での事故に対応する救急隊員は、アーク事象により生じうる電気アークおよび火災危険のリスクに曝されている。電気アークは、通常数千ボルトおよび数千アンペアの電気を伴う非常に激しい事象である。電気アークは、2つの電極間の電位差(つまり、電圧)が、大気中の原子をイオン化させて、電気を伝導できるようになる場合に、大気中で形成される。
【0003】
アークからの防護用および耐炎性の衣服は、その中に組み込まれた防護用繊維の水蒸気移動が少ないために、一般的に着用者に快適ではない。防護服を着用している人々は、通常、それらの防護用衣服に組み込まれた防護用繊維が原因で、不快な感触と熱応力の両方を体験する。
【0004】
特許文献1(イチボリ(Ichibori)ら)は、多量のアンチモン化合物を有するハロゲン含有繊維と、天然繊維および化学繊維よりなる群から選択される少なくとも1種の繊維とを含んでなる難燃性複合繊維混紡を開示する。上記繊維混紡は、布帛に織り込まれ、その耐炎性の指標として、その布帛の限界酸素指数が試験される。
【0005】
特許文献2(グリーン(Green))は、電気アークによる放射エネルギーからの防護を提供する布帛を開示する。グリーン(Green)は、その混紡糸中にモダクリル繊維の使用を開示していない。さらに、グリーン(Green)は、50パーセント未満の綿を含んでなる糸から形成される防護用布帛を開示していない。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,208,105号明細書
【特許文献2】米国特許第5,223,334号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
必要とされるのは、物質が電気アークに暴露された場合にレベルの高い防護と、さらに二次的影響から着用者を防護するために耐炎性とを提供する、糸、布帛および衣服(a yarn fabric and garment)である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(a)40〜75重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)10〜40重量パーセントの綿繊維および
(c)1〜25重量パーセントのアラミド繊維を含んでなり、前記パーセントは、成分(a)、(b)および(c)に基づく、アークおよび熱からの防護のための布帛および衣服用の糸に関する。
【0009】
上記の糸は、特に作業者を電気アークから防護するのに適切である耐熱性ならびに耐アーク性の布帛および衣服に、組み込まれるのに有用である。さらに、上記の布帛および衣服は、破断開口(break open)に対する抵抗、耐炎性および耐摩耗性を提供しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、改善された、アークからの防護と耐炎性との両方を提供する糸、布帛および衣服を提供することに関する。引張強さが小さい耐炎性繊維を含んでなる布帛および衣服は、電気アークの強い熱応力に暴露された場合に、入射エネルギーが原因で、破断開口して、着用者をさらなる損傷に曝す。電気アークは、通常、数千ボルトおよび数千アンペアの電流を伴う。電気アークは、発火からなどの入射エネルギーよりもかなり強い。着用者を防護するために、衣服または布帛は、着用者へのエネルギーの移動を阻害する必要がある。これは、一部の入射エネルギーを吸収する布帛と破断開口を阻止する布帛との両方により、生じると考えられている。破断開口される間に、布帛に穴が生じ、入射エネルギーに布帛の表面もしくは着用者を直接暴露する。
【0011】
本発明の糸、布帛および衣服は、電気アークの強い熱応力に暴露された場合、エネルギーの移動に耐える。本発明は、入射エネルギーの一部を吸収することにより、エネルギー移動を低減し、炭化を介して、透過エネルギーを減少させると考えられている。
【0012】
本発明の糸は、モダクリル繊維と、綿繊維と、アラミド繊維との混紡を含んでなる。典型的には、本発明の糸は、40〜75重量パーセントのモダクリル繊維、10〜40重量パーセントの綿繊維、および1〜40重量パーセントのアラミド繊維を含んでなる。好ましくは、本発明の糸は、45〜65重量パーセントのモダクリル繊維、15〜35重量パーセントの綿繊維、および5〜30重量パーセントのアラミド繊維を含んでなる。上記のパーセントは、上記の3種の指定された成分を基準とする。
【0013】
「糸」は、連続したストランドを形成するように、一緒に紡績されたまたは撚られた繊維の組み合わせを意味し、それは、製織、製編、製紐、または組編に使用されることができ、或いは、織編生地もしくは布帛に作製されうる。
【0014】
モダクリル繊維は、主にアクリロニトリルを含んでなるポリマーから作製されるアクリル系合成繊維を意味する。該ポリマーは、30〜70重量パーセントのアクリロニトリルと70〜30重量パーセントのハロゲン含有のビニルモノマーとを含んでなるコポリマーであるのが好ましい。ハロゲン含有のビニルモノマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデンなどから選択される少なくとも1種のモノマーである。共重合性ビニルモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、それらの酸の塩もしくはエステル、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、酢酸ビニルなどである。
【0015】
本発明の好適なモダクリル繊維は、アクリロニトリルと塩化ビニリデンを組み合わせたコポリマーであり、該コポリマーは、改善された難熱性のために、さらに1種のまたは数種の酸化アンチモンを有する。上記の有用なモダクリル繊維として、2重量パーセントの三酸化アンチモンを有する米国特許第3,193,602号明細書に開示される繊維、少なくとも2重量パーセント、好ましくは8重量パーセント以下の量で存在する種々の酸化アンチモンで作製される米国特許第3,748,302号明細書に開示される繊維、および8〜40重量パーセントのアンチモン化合物を有する米国特許第5,208,105号明細書および同第5,506,042号明細書に開示される繊維が挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
本発明の糸の範囲内で、モダクリル繊維は、アンチモン誘導体でのドーピングのレベルに応じて、通常少なくとも28のLOI値を有する繊維を形成する耐炎性炭化物を提供する。モダクリル繊維は、炎への暴露が原因となる繊維への損傷の拡がりに抵抗する。モダクリル繊維は、優れた耐炎性であるが、電気アークに暴露された場合、破断開口に対する所望のレベルの抵抗を与えるための、糸またはその糸から作製された布帛に対する適切な引張強さをそれ自体提供しない。
【0017】
本明細書で使用される「アラミド」は、少なくとも85%のアミド結合(−CONH−)が、2個の芳香族環に直接結合するポリアミドを意味する。添加剤が、アラミドと一緒に使用されることが可能であり、実際、ほぼ10重量パーセントまでの他の高分子材料が、アラミドと混紡されることが可能であり、或いは、アラミドのジアミンで置換されたほぼ10パーセントの他のジアミン、またはアラミドの二酸クロリドで置換されたほぼ10パーセントの他の二酸クロリドを有するコポリマーを使用することが可能であることが判明されている。適切なアラミド繊維は、W.ブラックらの「人造繊維−科学と技術」2巻、章題 繊維形成芳香族ポリアミド、297頁(インターサイエンス・パブリッシャー、1968年)(Man−Made Fibers−Science and Technology,Volume 2,Section titled Fiber−Forming Aromatic Polyamides, page 297, W. Black et al.,Interscience Publishers,1968)に記載されている。アラミド繊維は、さらに、米国特許第4,172,938号明細書、同第3,869,429号明細書、同第3,819,587号明細書、同第3,673,143号明細書、同第3,354,127号明細書、および同第3,094,511号明細書に開示されている。M−アラミドは、アミド結合が互いに対してメタ位にあるアラミドであり、p−アラミドは、アミド結合が互いに対してパラ位にあるアラミドである。本発明の実施において、最も多く使用されるアラミドは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)およびポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。
【0018】
1種類だけのアラミド繊維が、利用されうることは、本発明の範囲内である。例証的に、メタ−アラミドまたはパラ−アラミド繊維のいずれかが、使用されうる。
【0019】
しかしながら、好適な形態において、パラ−アラミド繊維とメタ−アラミド繊維の両方が、利用される。例証となるパーセントは、20〜40重量パーセントのパラ−アラミド繊維と60〜80重量パーセントのメタ−アラミド繊維である。上記のパーセントは、上記のアラミドのみを基準とする。これらの2種のアラミドの好適な範囲は、25〜35重量パーセントのパラ−アラミドと65〜75重量パーセントのメタ−アラミドである。
【0020】
本発明の糸の範囲内で、綿繊維は、糸内での水分輸送を提供する耐炎性繊維を提供する。綿繊維を含んでなる衣服は、着用者から水分を吸上げることにより、着心地を改善する。汗を吸上げることにより、労働中の着用者に対する熱応力は、低減される。
【0021】
さらに、本発明の糸、布帛、または衣服に、帯電防止成分(例、スチール繊維、炭素繊維、または既存の繊維への炭素被覆など)を加えてもよい。炭素または金属(例、スチールなど)の伝導性は、本発明の糸、布帛、または衣服に組み込まれた場合、静電気の連続的発生の防止を助けるように電気管路を提供する。静電気放電は、感度の高い電気設備で作業する作業者、或いは可燃性蒸気の付近で作業する作業者にとって、危険となりうる。
【0022】
本発明の糸は、当技術分野で一般的に知られている任意の紡糸技術、例えば、これに限定されないが、リング精紡、芯紡糸、およびエアジェット紡糸またはより高度な空気精紡技術(例、ステープルファイバーを糸に撚るために空気を用いる村田エアジェット精紡機など)により、製造されうる。通常、任意の一般的な技術により製造される単糸は、布帛に変えられる前に、少なくとも2本の単糸を含んでなる諸撚糸を形成するように、一緒に諸撚される。
【0023】
電気アークにより生じる強い熱応力からの防護を提供するために、耐アーク性布帛およびその布帛から成形される衣服は、防護層の下の表面に直接衝突する入射エネルギーを防ぐように、耐炎性に関して大気中の酸素濃度を越えるLOI値、布帛への損傷の拡大が遅いことを示す短い炭化長、良好な破断開口に対する抵抗などの特質を有する。
【0024】
消防士の防火服などの防熱性衣類は、通常は、裸火によって生じる対流熱に対する防護を提供する。上記の防護用の衣服は、電気アークにより生じる強いエネルギーに暴露された場合に、破断開口して(つまり、布帛に開口部が生じる)、エネルギーが衣服に入り込み、着用者が重篤な損傷を受ける結果となる。本発明の布帛は、電気アークに暴露された場合に、裸火の対流熱に対する防護と、引裂およびエネルギー移動に対する増強された抵抗の両方を提供する。布帛の厚さおよび通常着用される防護用衣服(例、消防士の防火服など)の全重量は、体熱および汗を肌にじかに取り込むことにより、着用者に熱応力をもたらしうる。本発明の布帛は、着用者から発汗による水分を吸上げて、快適さを向上させ、熱応力を低減するように、水分輸送繊維(例、綿など)を布帛の糸内に含んでなる。
【0025】
坪量は、単位面積当りの布帛の重量の測定単位である。典型的な単位として、オンス/平方ヤード、およびグラム/平方センチメートルが挙げられる。本明細書に記載される坪量は、オンス/平方ヤード(OPSY)である。単位面積当りの布帛の量が増加するにしたがって、潜在的危険と被保護物体との間の物質の量が増加する。物質の坪量の増加は、防護性能の対応する増加が観察されることを示唆する。本発明の布帛の坪量の増加の結果として、破断開口に対する抵抗、耐熱性要素、および耐アーク性が増強されることになる。本発明の布帛の坪量は、通常約8.0opsyより大きく、好ましくは約8.7opsyより大きく、最も好ましくは約9.5opsyより大きい。12opsyより大きい坪量を有する本発明の布帛は、増大した剛さを示すので、このような布帛から製造された衣服の快適さを低下させるだろうと考えられている。
【0026】
炭化長は、編織布の耐炎性の指標である。炭化物は、熱分解または不完全燃焼が原因で生成される炭素質残留物と定義される。本明細書に記載されるASTM 6413−99試験の条件下での布帛の炭化長は、炎に直接暴露される布帛の端から、規定の引き裂き力が印加された後の可視できる布帛の損傷の最も遠い点までの距離と定義される。好ましいことに、本発明の布帛は、6インチ未満、好ましくは4.5インチ未満の炭化長を有する。
【0027】
本発明の布帛は、単層の防護用衣服としてまたは多層の防護用衣服の一部として使用されうる。本発明の糸は、布帛のたて糸かよこ糸のいずれかに存在しうる。本発明の糸が、結果として作製される布帛のたて糸とよこ糸の両方に存在するのが好ましい。
【0028】
試験方法
摩耗試験
ASTM D−3884−01「編織布の耐摩耗性に関する標準指針(Standard Guide for Abrasion Resistance of Textile Fabrics)(ロータリー・プラットホーム、ダブルヘッド法)(Rotary Platform、Double Head Method)」に基づいて、本発明の布帛の耐摩耗性の性能を検定する。
【0029】
耐アーク性試験
ASTM F−1959−99「布用材料のアーク熱性能値を測定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining the Arc Thermal Performance Value of Materials for Clothing)」に基づいて、本発明の布帛の耐アーク性を測定する。本発明の布帛は、少なくとも0.8カロリー/平方センチメートル/opsyの耐アーク性を有するのが好ましく、少なくとも1.2カロリー/平方センチメートル/opsyを有するのがさらに好ましい。
【0030】
掴み試験(Grab Test)
ASTM D−5034−95「布帛の破断強度および伸び率に関する標準試験法(Standard Test Method for Breaking Strength and Elongation of Fabrics)(掴み試験)」に基づいて、本発明の布帛の掴み抵抗を測定する。
【0031】
限界酸素指数試験
ASTM G−125−00「気体酸化剤における液体および固体物質の燃焼限界を測定するための標準試験法(Standard Test Method for Measuring Liquid and Solid Material Fire Limits in Gaseous Oxidants)」に基づいて、本発明の布帛の限界酸素指数(LOI値)を測定する。
【0032】
引裂試験
ASTM D−5587−03「トラペゾイド法による布帛の引裂に関する標準試験法(Standard Test Method for Tearing of Fabrics by Trapezoid Procedure)」に基づいて、本発明の布帛の引裂抵抗を測定する。
【0033】
耐熱性能試験
NFPA 2112「引火火災に対する業務職員の保護のための耐炎性衣服に関する基準(Standard on Flame Resistant Garments for Protection of Industrial Personnel Against Flash Fire)」に基づいて、本発明の布帛の耐熱性能を検定する。
【0034】
垂直燃焼試験
ASTM D−6413−99「編織布の耐炎性に関する標準試験法(垂直法)(Standard Test Method for Flame Resistance of Textiles(Vertical Method))に基づいて、本発明の布帛の炭化長を測定する。
【0035】
用語「耐熱性能(もしくはTPP)は、布帛が高温直火もしくは放射熱に暴露される場合、布帛の真下の着用者の皮膚に継続的でかつ確かな防護を提供する布帛の能力に関する。
【0036】
限界酸素指数(LOI値)
ASTM G125/D2863から
酸素の最小濃度は、ASTM D2863の条件下、室温で、材料の燃焼を初期に燃え上がらせるのをまさに支援する酸素と窒素の混合物中における容量パーセントとして、表される。
【0037】
本発明を例証するために、以下の実施例を提供する。特に明記しない限り、全ての部およびパーセントは、重量部および重量パーセントであり、温度は、摂氏である。
【実施例】
【0038】
モダクリル/綿/アラミド布帛
実施例1
ノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462と、ケブラー(Kevlar)(登録商標)29と、モダクリルと、綿との密接混紡のリング紡績糸のたて糸とよこ糸の両方に有する快適性および耐久性の布帛を調製した。ノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462は、93%のポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)、5%のポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)および2%の静電気拡散性の繊維(デュポン(DuPont)製P−140)であり、モダクリルは、15%のアンチモンを有するACN/ポリ塩化ビニリデンコポリマー(プロテックス(Protex)(登録商標)Mとして周知)であり、ケブラー(Kevlar)(登録商標)29は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)である。
【0039】
10重量%のノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462と、10重量%のケブラー(Kevlar)(登録商標)29と、55重量%のモダクリルと、25重量%の綿とのピッカー混紡スライバを調製し、リング精紡機を用いて、従来型の綿システムにより、3.7倍の撚りを有する紡績糸に加工した。上記の如く作製した糸は、24.6テックス(24綿番手)単糸であった。次に合糸機上で2本の単糸を撚り合せ、双糸を作製した。同様の方法と同一の撚りおよび混紡率を用いて、よこ糸として使用するために、32.8テックス(18綿番手)糸を作製した。次に、その糸を2本撚り合わせて、合糸を作製した。
【0040】
ノーメックス(Nomex)(登録商標)/ケブラー(Kevlar)(登録商標)/モダクリル/綿糸をたて糸とよこ糸として、シャトル織機において3×1の綾織構造で使用した。その綾織物は、1cm当り24エンド×15ピック(1インチ当り60エンド×39ピック)の構造、271.3g/m(8oz/yd)の坪量を有した。上記の如く調製した綾織物を温水中で精錬し、低張力下で乾燥させた。次に、塩基性染料を用いて、精錬した布帛をジェット染色した。
【0041】
実施例2
ノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462と、ケブラー(Kevlar)(登録商標)29と、モダクリルと、綿との密接混紡のリング紡績糸のたて糸とよこ糸の両方に有する快適性および耐久性の布帛を調製した。ノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462は、93%のポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)、5%のポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)および2%の静電気拡散性の繊維(デュポン(DuPont)製P−140)であり、モダクリルは、15%のアンチモンを有するACN/ポリ塩化ビニリデンコポリマー(プロテックス(Protex)(登録商標)Mとして周知)であり、ケブラー(Kevlar)(登録商標)29は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)である。
【0042】
10重量%のノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462と、10重量%のケブラー(Kevlar)(登録商標)29と、45重量%のモダクリルと、35重量%の綿とのピッカー混紡スライバを調製し、リング精紡機を用いて、従来型の綿システムにより、3.7倍の撚りを有する紡績糸に加工した。上記の如く作製した糸は、24.6テックス(24綿番手)単糸であった。次に合糸機上で2本の単糸を撚り合わせ、双糸を作製した。同様の方法と同一の撚りおよび混紡率を用いて、よこ糸として使用するために、50/50の割合でノーメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462/モダクリルの混紡を有する32.8テックス(18綿番手)糸を作製した。次に、その糸を2本撚り合わせて、合糸を作製した。
【0043】
ノーメックス(Nomex)(登録商標)/ケブラー(Kevlar)(登録商標)/モダクリル/綿糸をたて糸として、ノーメックス(Nomex)(登録商標)/モダクリル糸をよこ糸として、シャトル織機において3×1の綾織構造で使用した。その綾織物は、1cm当り23エンド×16ピック(1インチ当り58エンド×40ピック)の構造、264.5g/m(7.8oz/yd)の坪量を有した。上記の如く調製した綾織物を温水中で精錬し、低張力下で乾燥させた。次に、塩基性染料を用いて、精錬した布帛をジェット染色した。
【0044】
以下の表は、実施例1および2の測定された特性を例示する。
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)40〜75重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)10〜40重量パーセントの綿繊維および
(c)1〜40重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなり、前記パーセントが、成分(a)(b)および(c)を基準とするアークからの防護および防炎性を提供するのに適切な糸。
【請求項2】
(a)45〜60重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)15〜35重量パーセントの綿繊維および
(c)5〜30重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなる請求項1に記載の糸。
【請求項3】
繊維が、パラ−アラミド繊維とメタ−アラミド繊維の両方を含む請求項1に記載の糸。
【請求項4】
全アラミド繊維を基準として、パラ−アラミド繊維が、20〜40重量パーセントの範囲で存在し、メタ−アラミド繊維が、60〜80重量パーセントの範囲で存在する請求項3に記載の糸。
【請求項5】
パラ−アラミド繊維が、25〜35重量パーセントの範囲で存在し、メタ−アラミド繊維が、65〜75重量パーセントの範囲で存在する請求項4に記載の糸。
【請求項6】
さらに、帯電防止成分を含有する請求項5に記載の糸。
【請求項7】
帯電防止成分が、炭素もしくは金属である請求項6に記載の糸。
【請求項8】
帯電防止成分が、炭素である請求項7に記載の糸。
【請求項9】
さらに、帯電防止成分を含有する請求項1に記載の糸。
【請求項10】
帯電防止成分が、炭素である請求項9に記載の糸。
【請求項11】
(a)40〜75重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)10〜40重量パーセントの綿繊維および
(c)1〜40重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなり、前記パーセントが、成分(a)(b)および(c)を基準とするアークおよび熱からの防護を提供するのに適切な布帛。
【請求項12】
(a)45〜60重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)15〜35重量パーセントの綿繊維および
(c)5〜30重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなる請求項11に記載の布帛。
【請求項13】
ASTM D−6413−99に基づいた炭化長が、6インチ未満である請求項11に記載の布帛。
【請求項14】
ASTM D−6413−99に基づいた炭化長が、4.5インチ未満である請求項11に記載の布帛。
【請求項15】
布帛が、パラ−アラミドおよびメタ−アラミドの繊維を含む請求項11に記載の布帛。
【請求項16】
全アラミド繊維を基準として、パラ−アラミド繊維が、20〜40重量パーセントの範囲で存在し、メタ−アラミド繊維が、60〜80重量パーセントの範囲で存在する請求項15に記載の布帛。
【請求項17】
パラ−アラミド繊維が、25〜35重量パーセントの範囲で存在し、メタ−アラミド繊維が、65〜75重量パーセントの範囲で存在する請求項16に記載の布帛。
【請求項18】
さらに、帯電防止成分を含有する請求項11に記載の布帛。
【請求項19】
(a)40〜75重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)10〜40重量パーセントの綿繊維および
(c)1〜40重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなり、前記パーセントが、成分(a)(b)および(c)を基準とするアークおよび熱からの防護を提供するのに適切な衣服。
【請求項20】
(a)45〜60重量パーセントのモダクリル繊維、
(b)15〜35重量パーセントの綿繊維および
(c)5〜30重量パーセントのアラミド繊維
を含んでなる請求項16に記載の衣服。


【公表番号】特表2007−529649(P2007−529649A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504101(P2007−504101)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/008885
【国際公開番号】WO2005/090660
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】