説明

アース部材を具えた電気機器

【課題】アース接続されるべき回動体の機器本体への取付け作業性を改善する。
【解決手段】デジタルカメラは、導電性の回動支軸2を具えた操作ボタン1と、回動支軸2を受けるゴムパッド5と、ゴムパッド5の外側に位置してアース接続された導電性の枠体3と、ゴムパッド5内に位置して回動支軸2を枠体3に押圧する付勢片50を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アース部材を具えた電気機器、具体的には操作ボタンへの帯電を防止するアース部材を具えたデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
操作ボタンのような回動体の回動支軸にアース部材を接触させて、回動体への帯電を防止する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。出願人もデジタルカメラの操作ボタンへの帯電を防止する構成として、図10に示す構成を着想した。
これは、デジタルカメラのズームスイッチに関するものである。液晶パネル(70)を具えた機器本体(7)上には、回路基板(4)を介して、ゴムパッド(5)が設けられ、該ゴムパッド(5)内に操作ボタン(1)が回動支軸(2)を中心として揺動可能に設けられている。
ゴムパッド(5)の内面と操作ボタン(1)との間には、回動支軸(2)を受ける軸受け(図示せず)が配備される。ゴムパッド(5)上にて操作ボタン(1)の両端部の下側には、中空の突起(52)(52)が設けられ、該突起(52)(52)内にスイッチ(図示せず)が配備されている。
操作ボタン(1)は外観の見映え等の理由から、金属メッキが施されており、帯電すると、スイッチに悪影響を与える虞れがある。そこで、図10に斜線で示すように、回路基板(4)にアース接続された金属板(8)を回動支軸(2)の端部に押圧して、操作ボタン(1)の帯電を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平5−6130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10に示す構成では、操作ボタン(1)を取り付けたゴムパッド(5)の上から、金属板(8)を取り付け、更に該金属板(8)を回路基板(4)にアース接続する必要があるから、キャビネット(6)への取付け作業性が悪い。
本発明の目的は、アース接続されるべき回動体の機器本体への取付け作業性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電気機器は、導電性の回動支軸(2)を具えた回動体と、回動支軸(2)を受けるパッド(5)と、パッド(5)の外側に位置してアース接続された導電性の枠体(3)と、パッド(5)内に位置して回動支軸(2)を枠体(3)に押圧する弾性体を具えている。
【発明の効果】
【0006】
回動支軸(2)は、パッド(5)内の弾性体によって枠体(3)に押圧されて、電気的に導通している。回動体である操作ボタン(1)に帯電した静電気は、回動支軸(2)を介して枠体(3)に流れる。
従って、図10に示す従来の構成のように、アース用に金属板(8)のような別部品を設ける必要が無く、操作ボタン(1)をパッド(5)に取り付けた後から金属板(8)を取り付ける構成に比して取り付け作業性を改善することができる。また、弾性体をパッド(5)と一体に形成すれば、構成部品が減り、コストダウンも図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図を用いて、詳述する。
図1は、本例に係わるデジタルカメラの分解斜視図、図2は、その組み立てた状態の一部を示す斜視図、図3は、デジタルカメラのキャビネット(6)を図1の下側から見た斜視図である。操作ボタン(1)は具体的には、デジタルカメラのズーム用ボタンであって、図2に示すように、キャビネット(6)に開設された透孔(60)を通って上向きに突出する。操作ボタン(1)はズーム用スイッチを操作するものであり、本例はスイッチへの影響を防ぐべく、操作ボタン(1)をアース接続している。
液晶パネル(70)を具えた機器本体(7)上には、金属製の枠体(3)、回路基板(4)及びゴムパッド(5)が設けられ、該機器本体(7)上にカバーであるキャビネット(6)が被さる。枠体(3)は回路基板(4)にアース接続されている。
キャビネット(6)の内側からは、孔(62)を開設した軸受け板(61)(61)が下向きに突出し(図3参照)、両軸受け板(61)(61)間に操作ボタン(1)が配備される。操作ボタン(1)は外観の見映え等に鑑みて外面が金属メッキされて、回動中心となる金属製の回動支軸(2)を外向きに突出している。回動支軸(2)の端部は軸受け板(61)(61)の孔(62)に嵌まって、操作ボタン(1)は揺動可能となっている。
【0008】
ゴムパッド(5)は矩形状であって、中央部に凹部(51)を形成し、該凹部(51)内に操作ボタン(1)の揺動側端部に押される一対の突起(52)(52)を具えている。突起(52)(52)により操作ボタン(1)は常に上向きに付勢されて、回動支軸(2)に確実に接する。また、操作ボタン(1)を指で押し込み、一方の突起(52)を押した後に、操作ボタン(1)から手を離すと、操作ボタン(1)は上向きに押されて、元の位置に戻る。
突起(52)内には、スイッチが配備され、その構成は後記する。ゴムパッド(5)の周縁部の一辺上には、軸受け板(61)を貫通した回動支軸(2)が載置される凹み(54)が設けられ、凹み(54)が設けられた辺と反対側の辺上には、軸受け板(61)を貫通した回動支軸(2)の端部を押圧する弾性体である付勢片(50)が設けられている。枠体(3)からはゴムパッド(5)の外側に位置する第1規制片(30)、第2規制片(31)が上向きに突出している。第1規制片(30)は付勢片(50)に接し、第2規制片(31)は凹み(54)の近傍に位置する。
【0009】
図4は、ゴムパッド(5)と枠体(3)の平面図、図5は、その斜視図、図6は、図5をA−A線を含む面にて破断して矢視した断面図である。付勢片(50)はゴムパッド(5)と一体に成形され、回動支軸(2)を第2規制片(31)に押圧する。第1規制片(30)が付勢片(50)に接していることにより、付勢片(50)は第1規制片(30)に向かって膨らむことを規制され、回動支軸(2)を第2規制片(31)に確実に押圧する。また、回動支軸(2)が付勢片(50)から外れないように、付勢片(50)には回動支軸(2)が嵌まる凹部(55)が設けられている。
第2規制片(31)は金属製であるから、回動支軸(2)と導通する。これにより、操作ボタン(1)が帯電しても、帯電した静電気は回動支軸(2)、第2規制片(31)を介して回路基板(4)のアースに流れる。
【0010】
操作ボタン(1)のゴムパッド(5)への取り付けは、先ず操作ボタン(1)の回動支軸(2)を軸受け板(61)に通した後に、キャビネット(6)を機器本体(7)に被せる。機器本体(7)には予め枠体(3)、回路基板(4)とゴムパッド(5)が取り付けられている。軸受け板(61)を貫通した回動支軸(2)の一端部を第2規制片(31)に当接させ、他端部を付勢片(50)に嵌めることにより、回動支軸(2)が第2規制片(31)に接してアース接続される。
従って、図10に示す従来の構成のように、アース用に金属板(8)のような別部品を設ける必要が無く、操作ボタン(1)をゴムパッド(5)に取り付けた後から金属板(8)を取り付ける構成に比して取り付け作業性を改善することができる。また、付勢片(50)をゴムパッド(5)と一体に設けることにより、構成部品が減り、コストダウンも図れる。
【0011】
操作ボタン(1)の帯電防止は、前記の如く、スイッチへの影響を防ぐためであり、以下にスイッチの構成を記載する。図7は、ゴムパッド(5)の斜視図であって、図5とは見る方向を90度違えている。図8は、図7を下側から見た斜視図であり、図9は、回路基板(4)上のパターンを示す平面図である。図8に示すように、突起(52)は中空であって、突起(52)の天面裏面は、導電面(53)(53)を形成し、図9に示すように、回路基板(4)には導電面(53)(53)に対応する箇所に、正負のパターン(42)(43)を互いに離して突出した第1、第2接片(40)(41)が設けられている。操作ボタン(1)は揺動して、何れかの導電面(53)が対応する接片(40)(41)に接する。導電面(53)が接片(40)(41)に接すると、正負のパターン(42)(43)が電気的に繋がる。即ち、第1、第2接片(40)(41)と導電面(53)(53)とでスイッチ(SW)を構成する。
【0012】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、本例にあっては操作ボタン(1)として、デジタルカメラのズーム用ボタンを例示したが、本例の技術的思想は、帯電防止を要する回動体全てに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本例に係わるデジタルカメラの分解斜視図である。
【図2】図1の組み立てた状態の一部を示す斜視図である。
【図3】デジタルカメラのキャビネットを図1の下側から見た斜視図である。
【図4】ゴムパッドと枠体の平面図である。
【図5】図4の斜視図である。
【図6】図5をA−A線を含む面にて破断して矢視した断面図である。
【図7】ゴムパッドの斜視図である。
【図8】図7を下側から見た斜視図である。
【図9】回路基板上のパターンを示す平面図である。
【図10】従来のキャビネットを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
(1) 操作ボタン
(2) 回動支軸
(3) 枠体
(4) 回路基板
(5) ゴムパッド
(6) キャビネット
(50) 付勢片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の回動支軸を具えた回動体と、回動支軸を受けるパッドと、パッドの外側に位置してアース接続された導電性の枠体と、パッド内に位置して回動支軸を枠体に押圧する弾性体を具えたことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
弾性体はパッドと一体に形成された、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
回動体は、回動支軸を中心に揺動するスイッチ操作用の操作ボタンである、請求項1又は2に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−335349(P2007−335349A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168467(P2006−168467)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】