説明

イオネンポリマーと2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとを含む殺菌性組成物並びにその使用方法

(a)イオネンポリマーと(b)2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む殺菌性組成物が記載されている。イオネンポリマーと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルは少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる量で存在すればよい。該組成物により微生物の増殖を抑制する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年3月6日に出願された優先米国特許出願第10/383,121号の米国法典第35編119条(e)項の利益を主張し、その米国出願は参照をもってその全体を本明細書に編入する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業用材料及び媒体は、濡れている場合又は水中での処理を行う場合に、細菌、菌類及び/又は藻類による劣化又は分解を受けやすい。これらの工業用材料及び媒体には、例えば木材パルプ、木材チップ、ヒキ材、接着剤、被覆剤、動物皮革、製紙業液、医薬製剤、化粧用製剤、洗面用製剤、地質ドリル潤滑剤、石油化学物質、農業化学組成物、塗料、皮革、木材、金属加工液、冷却水、リクレーション水、設備流入水、廃水、殺菌装置、レトルト釜、なめし液又はなめし溶液、デンプン、タンパク質性材料、アクリルゴム塗料エマルジョン及び織物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
微生物によって惹起される劣化又は分解を抑制するために、種々の工業用殺菌剤が使用されている。当該技術分野の研究者は、毒性が低く、費用効果があり、また通常使用で広範な種類の微生物に対して長い殺生作用を示しうる改善された殺生剤を模索し続けている。
【0004】
イオネンポリマー、すなわちポリマー骨格中に第四級窒素を有するカチオン系ポリマーは、種々の水性系での細菌及び藻類の抑制に使用される殺生剤のなかの1つの類型である。イオネンポリマーは、水性系において、例えば殺菌剤、殺細菌剤及び殺藻剤の使用並びに生物膜及びスライム形成の抑制と、更には防止といった多岐に亘る用途を有する。これらのポリマーの実例、それらの使用及び製造は、米国特許第3,874,870号、同第3,898,336号、同第3,931,319号、同第4,027,020号、同第4,054,542号、同第4,089,977号、同第4,111,679号、同第4,506,081号、同第4,581,058号、同第4,778,813号、同第4,970,211号、同第5,051,124号及び同第5,093,078号(特許文献1〜13)に記載されており、これら全ては参照をもってそれらの全体が本明細書に編入される。一般に殺藻剤及び殺細菌剤として効力がある一方で、殆どのイオネンポリマーは多くの菌類群に対して殆ど効力がない。
【0005】
ハロゲン化ジフェニルエーテル、例えばトリクロサンを微生物の抑制のために使用することも、例えば米国特許第3,629,477号及び英国特許第1,592,011号(特許文献14及び15)に記載されており、これらの両者は参照をもってそれらの全体が本明細書に編入される。一般に殺菌剤としては許容できるものの、トリクロサンは、比較的低い濃度では、ある種の微生物に対しては効力を示さない傾向にある。例えば、低濃度のトリクロサンは、ある種の菌類及び数種の一般的な厄介な工業的細菌、例えばシュードモナス種(Pseudomonas sp.)に対しては効力を示さない傾向にある。高濃度のトリクロサンを必要とするシステム又は製品は、高価であるか、又は非経済的であり、多くの用途においてその使用が制限される。
【0006】
従って、前記の問題と更なる問題を克服する殺菌剤が当分野では必要とされている。
【特許文献1】米国特許第3,874,870号
【特許文献2】米国特許第3,898,336号
【特許文献3】米国特許第3,931,319号
【特許文献4】米国特許第4,027,020号
【特許文献5】米国特許第4,054,542号
【特許文献6】米国特許第4,089,977号
【特許文献7】米国特許第4,111,679号
【特許文献8】米国特許第4,506,081号
【特許文献9】米国特許第4,581,058号
【特許文献10】米国特許第4,778,813号
【特許文献11】米国特許第4,970,211号
【特許文献12】米国特許第5,051,124号
【特許文献13】米国特許第5,093,078号
【特許文献14】米国特許第3,629,477号
【特許文献15】英国特許第1,592,011号
【発明の開示】
【0007】
要旨
本発明の特徴は、少なくとも1種の微生物、例えば菌類、細菌、藻類及びそれらの混在物の増殖を長期間にわたり抑制可能な殺菌性組成物を提供することである。本発明の更なる特徴は、経済的に使用される上記組成物を提供することである。また、少なくとも1種の微生物の増殖を抑制する方法も本発明の特徴である。
【0008】
1種又は複数種の微生物の増殖を抑制するために有用な組成物及び方法を記載する。微生物、例えば細菌、菌類、藻類及びそれらの混在物によって惹起される貯蔵中の損害を防止するための組成物及び方法を記載する。該組成物は、イオネンポリマーとハロゲン化ジフェニルエーテル、つまりトリクロサンとしても知られる2,4,4-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルとを含む。
【0009】
本発明は、イオネンポリマーとトリクロサンとを含有し、その際、これらの成分が少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる総合量で存在する組成物を提供する。
【0010】
本発明は、少なくとも1種の微生物が、その微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体の中又は上で増殖するのを抑制するための方法を提供する。該方法は、該製品、材料又は媒体に本発明の組成物を微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる量で添加する工程を含む。相乗効果を生ずる量は、処理される製品、材料又は媒体により異なり、そして特定の用途について、当業者は本明細書に与えられる開示を考慮してその量を常法により決定することができる。
【0011】
また、本発明は、イオネンポリマー及びトリクロサンを製品、材料又は媒体に別々に添加することも実施態様とする。この実施態様によれば、これらの成分は、使用時点に存在する各成分の最終量が少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる量となるように別々に製品、材料又は媒体に添加される。
【0012】
本発明の組成物は、少なくとも1種の微生物が、微生物による攻撃を受けやすい様々な種類の工業用の製品、媒体又は材料において増殖するのを防止又は抑制するのに有用である。かかる媒体又は材料には、例えば染料、ペースト、ヒキ材、皮革、織物、パルプ、木材チップ、なめし液、製紙業液、ポリマーエマルジョン、塗料、紙被覆剤と他の被覆剤及びサイズ剤、金属加工液、地質ドリル潤滑剤、石油化学物質、冷却水系、リクレーション水、設備流入水、廃水、殺菌装置、レトルト釜、医薬製剤、化粧用製剤及び洗面用製剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
また、該組成物は、種子又は穀物を微生物による変敗から保護するための農業化学製剤において有用なこともある。
【0014】
様々な実施態様の更なる特徴及び利点は、以下の発明の説明に部分的に示され、かつその説明から部分的に明らかにされており、それらはまた様々な実施態様の実施により教示されることもある。様々な実施態様の目的及びその他の利点は、発明の説明及び添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている要素及び組合せによって実現、そして達成される。
【0015】
前記の一般的な発明の説明と以下の詳細な説明は両方とも具体例であって、例示だけを目的としており、特許請求される本発明を限定するものではないことは理解されよう。
【0016】
特定の実施態様の詳細な説明
本発明は、少なくとも1種の微生物の増殖を抑制する、イオネンポリマーとトリクロサンとの混合物を含有する組成物であって、これらの成分が少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる総合量で存在する組成物を提供する。好ましくは、該組成物は、低濃度で広範な微生物に対して優れた殺菌活性を提供する。
【0017】
本発明の組成物は、少なくとも1種の微生物が、その微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体中又は上で増殖するのを抑制するための方法において使用できる。該方法は、その製品、材料又は媒体に、組成物の両成分が微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる量で存在する本発明の組成物を添加する工程を含む。
【0018】
相乗効果を生ずる量は、処理される材料又は媒体により異なり、そして特定の用途について、当業者は本明細書の開示を考慮してその量を常法により決定することができる。
【0019】
本発明の組成物を処理されるべき材料又は媒体に添加する代わりに、イオネンポリマーとハロゲン化ジフェニルエーテル、例えばトリクロサンとを処理されるべき材料又は媒体に個々に添加してもよい。これらの成分は、イオネンポリマーとトリクロサンとの混合物の使用時の最終量が少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗効果を生ずる量となるように別々に添加される。
【0020】
上記のように、本発明の組成物は、少なくとも1種の微生物による攻撃を受けやすい様々な種類の工業用の製品、媒体又は材料を保存するにあたり有用である。また、本発明の組成物は、種子又は穀物を微生物による変敗から保護するための農業化学製剤においても有用である。これらの保存方法及び保護方法は、本発明の組成物を前記製品、媒体又は材料に、少なくとも1種の微生物による攻撃に対して、該製品、媒体又は材料を保存するのに相乗効果を生ずる量、あるいは種子又は穀物を微生物による変敗から効果的に保護するのに相乗効果を生ずる量で添加することによって実施される。
【0021】
本発明の方法によれば、少なくとも1種の微生物の増殖の抑制又は阻害には、かかる増殖の低減及び/又は防止も含まれる。
【0022】
更に、少なくとも1種の微生物の増殖を“抑制”(すなわち防止)するとは、その微生物の増殖が阻害されると解されるべきである。換言すると、微生物は増殖しないか、又は実質的に増殖しない。少なくとも1種の微生物の増殖を“抑制”することで、微生物個体数は所望の程度に保持され、その個体数は所望の程度にまで低減され(検出不可能な限界にまでさえも、例えば0個体数)、かつ/又は微生物の増殖は阻害される。このように、本発明の一実施態様では、少なくとも1種の微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体はこの攻撃並びに生ずる変敗及び微生物により惹起される他の有害作用から保護される。更にまた、少なくとも1種の微生物の増殖の“抑制”には、少なくとも1種の微生物を、低いレベルに生物静力学的に低減させ、及び/又は維持し、その結果、微生物による攻撃及び生ずる任意の変敗若しくは他の有害作用が緩和される、すなわち微生物増殖速度若しくは微生物攻撃速度が減速され、かつ/又は排除されることが含まれることも理解されよう。
【0023】
2種の化学的な殺菌剤を混合して製品に添加するか、又はこれらを別個に添加する場合、3種の結果が考えられる:
1)製品中の化学物質が相加(中性)効果をもたらすことがある、
2)製品中の化学物質が拮抗効果をもたらすことがある、又は
3)製品中の化学物質が相乗効果をもたらすことがある。
【0024】
相加効果は、個々の成分を超える経済的利点を有さない。拮抗作用は負の影響をもたらすものである。相乗効果は相加効果又は拮抗効果の両方より生起の可能性が少ないものであるが、相乗効果だけが、有利な効果をもたらし、従って経済的利点を有する。
【0025】
殺菌に関する文献において、2種の殺生剤を混合して新規の製剤を得る場合に相加効果、拮抗効果又は相乗効果を予想するための理論的な方法は存在しないことが知られている。前記の3種の効果の1つをもたらすのに必要とされる種々の殺生剤の相対的な割合を予想する方法も存在しない。
【0026】
イオネンポリマーとハロゲン化ジフェニルエーテル、例えばトリクロサンとを組み合わせた本発明による殺菌性組成物は、各成分単独のものと比較して予期されぬ相乗効果を示す。従って、これらの組成物は、優れた、すなわち相加効果より高い殺菌活性を、低濃度であっても広範な様々な微生物に対して達成する。これらの微生物の例には、菌類、細菌、藻類及びそれらの混在物、例えばトリコデルマ・ビリディ(Trichoderma viride)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)及びクロレラ種(Chlorella sp.)が含まれるがこれらに限定されない。本発明の組成物は低い毒性を有する。
【0027】
イオネンポリマーは、ポリマー中に見られる反復単位により分類することができる。この反復単位はイオネンポリマーの製造に用いられる反応物に起因する。
【0028】
本発明で使用できるイオネンポリマーの第一の類型は下記の式(I):
【化1】

[式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってよく、かつ水素、C1〜C20-アルキル又はベンジルから選択される]の反復単位を有する。それぞれのC1〜C20-アルキルは、非置換又は置換されていてよく、例えば任意に少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよい。また、それぞれのベンジルは非置換又は置換されていてもよく、例えば任意にそのベンゼン部分で少なくとも1つのC1〜C20-アルキル基で置換されていてもよい。好ましくは、R1、R2、R3及びR4は全てメチル又はエチルである。
【0029】
基“A”は、C1〜C10-アルキル、C2〜C10-アルケニルC2〜C10-アルキニル、C1〜C10-ヒドロキシアルキル、対称若しくは非対称のジ-C1〜C10-アルキルエーテル、アリール、アリール-C1〜C10-アルキル又はC1〜C10-アルキルアリール-C1〜C10-アルキルから選択される二価のラジカルである。基“A”は非置換又は置換されていてもよい。好ましくは、“A”はC1〜C5-アルキル、C2〜C5-アルケニル、C2〜C5-ヒドロキシアルキル、又は対称のジ-C2〜C5-アルキルエーテルである。最も好ましくは、“A”はプロピレン、2-ヒドロキシプロピレン又はジエチレンエーテルである。
【0030】
基“B”は、基“A”と同一であってよく、かつC1〜C10-アルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-アルキニル、C1〜C10-ヒドロキシアルキル、対称若しくは非対称のジ-C1〜C10-アルキルエーテル、アリール、アリール-C1〜C10-アルキル又はC1〜C10-アルキルアリール-C1〜C10-アルキルから選択される二価のラジカルである。基“B”は非置換又は置換されていてもよい。好ましくは、“B”はC1〜C5-アルキル、C2〜C5-アルケニル、C2〜C5-ヒドロキシアルキル、アリール、アリール-C1〜C5-アルキル又はC1〜C5-アルキルアリール-C1〜C5-アルキルである。最も好ましくは、“B”はエチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキサメチレンである。
【0031】
対イオンX2-は、1つの二価の対イオン、2つの一価の対イオン又は1つの多価対イオンの分数分であって、イオネンポリマー骨格を形成する反復単位中のカチオン電荷に十分に均衡するものである。好ましくは、X2-は、ハロゲン化物アニオン、及び三ハロゲン化物アニオン、より好ましくは、塩化物又は臭化物から選択される2つの一価のアニオンである。三ハロゲン化物対イオンを有するイオネンポリマーは、例えば米国特許第3,778,476号に記載されており、その開示内容は参照をもってその全体が本明細書に編入されたものとする。
【0032】
式(I)の反復単位を有するイオネンポリマーは、当業者に公知の任意の方法によって製造できる。かかる方法の1つは、式R1R2N-B-NR3R4のジアミンと式X-A-Xの二ハロゲン化物[式中、置換基R1、R2、R3、R4、A、X及びBは式(I)でのものと同じ意味を有する]とを反応させることである。この反復単位を有するイオネンポリマー及びそれらの製造方法は、例えば米国特許第3,874,870号、同第3,931,319号、同第4,025,627号、同第4,027,020号、同第4,506,081号及び同第5,093,078号に記載されており、これら全ての開示内容は参照をもってそれらの全体が本明細書に編入されたものとする。式(I)の反復単位を有するイオネンポリマーの生物学的活性もこれらの特許に記載されている。
【0033】
本発明で使用できるイオネンポリマーの第二の類型は式(II):
【化2】

[式中、R1、R2及びAは式(I)について前記で定義したものと同じである]の反復単位を有する。X-は、一価の対イオン、二価の対イオンの1/2分、又は多価対イオンの分数分であって、イオネンポリマーを形成する反復単位のカチオン電荷に十分に均衡するものである。X-は、例えばハロゲン化物又は三ハロゲン化物アニオンであってよく、塩化物又は臭化物が好ましい。
【0034】
式(II)の反復単位を有するイオネンポリマーも任意の公知の方法によって製造することができる。1つの方法は、式R1R2Nのアミン[式中、R1及びR2は式(I)における意味と同じである]とハロゲン化エポキシド(haloepoxide)、例えばエピクロロヒドリン又は(クロロメチル)オキシランとを反応させることである。式(II)の反復単位を有するイオネンポリマーは、例えば米国特許第4,111,679号及び同第5,051,124号に記載されており、これらの開示内容は参照をもってそれらの全体が本願に編入されたものとする。式(II)の反復単位を有するイオネンポリマーの生物学的活性もこれらの特許に記載されている。
【0035】
本発明で使用できるイオネンポリマーの第三の類型は下記の式(III):
【化3】

[式中、n及びpは整数であり、無関係に2から12をとり;各R'は無関係に水素又は低級アルキル基(例えばC1〜C12-アルキル)であり、ここでアルキル基は非置換又は置換されており;X2-は1つの二価の対イオン、2つの一価の対イオン、又は1つの多価対イオンの分数分であって、基R中のカチオン電荷に十分に均衡するものである;かつX-は1つの一価の対イオン、二価の対イオンの1/2分、又は1つの多価対イオンの分数分であって、基B'中のカチオン電荷に十分に均衡するものである]の反復単位を有する。
【0036】
好ましくは、R'は水素又はC1〜C4-アルキルであり;nは2〜6であり、かつpは2〜6である。最も好ましくは、R'は水素又はメチルであり、nは3であり、かつpは2である。好ましい対イオンX2-及びX-は式(I)及び(II)に関して前記に検討したイオンと同じである。
【0037】
式(III)のポリマーは、尿素ジアミンとしても知られるビス(ジアルキルアミノアルキル)尿素から公知の方法によって得ることができる。式(III)のイオネンポリマー、それらの製造方法並びにそれらの生物学的活性は、例えば米国特許第4,506,081号に記載されており;この開示内容は参照をもってその全体が本明細書に編入されたものとする。
【0038】
式(I)、(II)及び(III)の反復単位を有するイオネンポリマーは、第一級アミン、第二級アミン又はその他の多価アミンと、当該技術分野で公知の手段を用いて架橋させてもよい。イオネンポリマーは、第四級窒素原子を介するか、又はポリマー骨格もしくは側鎖に結合された別の官能基を介して架橋させることができる。
【0039】
架橋性の補助反応物を用いて製造された架橋イオネンポリマーは米国特許第3,738,945号及び米国再発行特許第28,808号に開示されており、この各々の開示内容は参照をもってそれらの全体が本明細書に編入されたものとする。前記再発行特許28,808号は、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの反応によって製造されるイオネンポリマーの架橋を記載している。列挙される架橋性の補助反応物は、アンモニア、第一級アミン、アルキレンジアミン、ポリグリコールアミン、ピペラジン、複素芳香族ジアミン及び芳香族ジアミンである。
【0040】
米国特許第5,051,124号は、その開示内容が参照をもって本明細書にその全体が編入されたものとするが、これはジメチルアミン、多官能性アミン及びエピクロロヒドリンの反応から得られる架橋イオネンポリマーを記載している。かかる架橋イオネンポリマーを用いた微生物の増殖の阻害方法も記載されている。
【0041】
種々の架橋イオネンポリマーの更なる例及びそれらの特性は、米国特許第3,894,946号;同第3,894,947号、同第3,930,877号、同第4,104,161号、同第4,164,521号、同第4,147,627号、同第4,166,041号、同第4,606,773号及び同第4,769,155号に提供される。これらの各特許の開示内容は、参照をもって本明細書にそれらの全体が編入されたものとする。
【0042】
式(I)、(II)又は(III)の反復単位を有するイオネンポリマーは封鎖されていてもよい、すなわち特定の末端基を有してもよい。封鎖は、当該技術分野で公知の任意の手段によって達成できる。例えば、イオネンポリマーの製造に使用される反応物の1つを過剰に使用して、封鎖基を付与することができる。代替的に、一官能性の第三級アミン又は一官能性の置換若しくは非置換のアルキルハロゲン化物の計算量をイオネンポリマーと反応させて、封鎖されたイオネンポリマーを得ることができる。イオネンポリマーは一端又は両端で封鎖されていてもよい。封鎖されたイオネンポリマー及びそれらの殺菌特性は、米国特許第3,931,319号及び同第5,093,078号に記載されている。これらの各特許の開示内容は、参照をもって本明細書にそれらの全体が編入されたものとする。
【0043】
使用される特定のイオネンポリマーは、好ましくは目的用途の媒体との適合性に基づいて選択される。適合性は、流体系中での可溶性及び当該の流体又は材料又は媒体との反応性の欠如などを規準として規定される。適合性は、当業者によって、使用されるべき材料又は媒体にイオネンポリマーを添加することによって容易に決定される。流体系で使用される場合には、イオネンポリマーは、その特定の流体中に自由に溶解し、均質な溶液又は懸濁液を生ずることが好ましい。
【0044】
前記に検討されたイオネンポリマーのうち、式(I)の反復単位を有する特に好ましいイオネンポリマーは、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレン二塩化物)である。このイオネンポリマーにおいて、R1、R2、R3及びR4はそれぞれメチルであり、Aは-CH2CH2OCH2CH2-であり、Bは-CH2CH2-であり、かつX2-は2Cl-であり、かつ平均分子量は1000〜5000である。このイオネンポリマーは、バックマンラボラトリー社(テネシー州メンフィス在)からBusan(登録商標)77製品(60%のポリマー水性分散液)又はWSCP(登録商標)製品(60%のポリマー水性分散液)として市販されている。Busan(登録商標)77及びWSCP(登録商標)製品は、主に金属加工液を含む水性系において微生物抑制のために使用される殺生剤である。
【0045】
式(I)の反復単位を有する特に好ましいもう一つのイオネンポリマーは、バックマンラボラトリーからBusan(登録商標)79製品又はWSCP II製品としても市販されているが、R1、R2、R3及びR4がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH(OH)CH2-であり、Bが-CH2CH2-であり、かつX2-が2Cl-であるイオネンポリマーである。このイオネンポリマーは、N,N,N',N'-テトラメチル-1,2-エタンジアミンと(クロロメチル)オキシランとの反応生成物であり、かつ1000〜5000の平均分子量を有する。ポリマー製品であるBusan(登録商標)79又はWSCP(登録商標)II製品は60%のポリマー水溶液である。
【0046】
式(II)の反復単位を有する好ましいイオネンポリマーは、R1及びR2がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH(OH)CH2-であり、かつX-がCl-であるイオネンポリマーである。Busan(登録商標)1055製品は、ジメチルアミンと(クロロメチル)オキシランとの反応生成物として得られる2000〜10000の平均分子量を有するイオネンポリマーの50%水性分散液である。Busan1055はAPCAとしても知られている。
【0047】
Busan(登録商標)1157製品は、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物として得られ、エチレンジアミンで架橋された、式(II)の反復単位[式中、R1及びR2はそれぞれメチルであり、AはCH2CH(OH)CH2-であり、かつX-はCl-である]を有するイオネンポリマーの50%水性分散液である。このイオネンポリマーは100000〜500000の平均分子量を有する。
【0048】
Busan(登録商標)1155製品は、式(II)の反復単位[式中、R1及びR2はそれぞれメチルであり、Aは-CH2CH(OH)CH2-であり、X-はCl-である]を有するイオネンポリマーの50%水性分散液であり、そのイオネンポリマーはアンモニアで架橋されている。このイオネンポリマーは約100000〜500000の分子量を有する。
【0049】
Busan(登録商標)1099製品又はBubond(登録商標)65製品は、式(II)の反復単位[式中、R1及びR2はそれぞれメチルであり、Aは-CH2CH(OH)CH2-であり、X-はCl-である]を有する架橋イオネンポリマーの25%水性分散液であり、その架橋剤はモノメチルアミンである。このイオネンポリマーは約10000〜100000の分子量を有する。
【0050】
式(III)の反復単位を有する好ましいイオネンポリマーは、Rが尿素ジアミン(urea diamine)であり、かつX2-が2Cl-であり、B'がCH2CH(OH)CH2であり、かつX-がCl-であるイオネンポリマーである。BL(登録商標)1090は、N,N'-ビス-[1-(3-(ジメチルアミノ))-プロピル]尿素とエピクロロヒドリンとの反応生成物として得られるイオネンポリマーの50%水性分散液であって、その際、かかるイオネンポリマーは2000〜15000、好ましくは3000〜7000の平均分子量を有する。
【0051】
前記のイオネンポリマー及び商標名によって特定された製品のそれぞれはバックマンラボラトリー社(テネシー州メンフィス在)から入手できる。
【0052】
トリクロサンの製造は、米国特許第3,629,477号及び同第6,133,483号に記載されており、これら両者は参照をもってそれら全体が本明細書に編入されたものとする。トリクロサンは市販されており、そしてまた市販の原材料からも簡単に合成される。好ましいハロゲン化ジフェニルエーテルは、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル又はトリクロサンである。
【0053】
前記のように、成分(a)イオネンポリマー及び(b)トリクロサンは相乗作用を生ずる量で使用される。(a)と(b)の重量比は、微生物の種類並びに、該組成物が適用される製品、材料又は媒体の種類によって異なる。本発明を考慮して、当業者は、過度の実験をせずに、特定の用途のために適した重量比を容易に決定することができる。成分(a)と成分(b)との比は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは1:30〜30:1、最も好ましくは1:2〜2:1の範囲である。
【0054】
特定の用途に応じて、該組成物を水又は有機溶剤中に溶解させることにより組成物を液体形で製造でき、又は適当な賦形剤に吸着させるか又は錠剤形に調合することによって組成物を乾燥形で製造できる。本発明の組成物を含有する保存剤は、該組成物を水中に乳化させることによって、又は必要であれば界面活性剤を添加することによって、エマルジョン形で製造することもできる。付加的な化学物質、例えば殺虫剤を前述の調製品に、その調製品の目的用途に応じて添加してもよい。
【0055】
本発明の組成物の適用様式並びに適用速度は、目的用途に応じて異なる。該組成物は、材料又は製品上に吹き付け塗布又は刷毛塗りによって適用できる。また当該材料又は製品を、該組成物の適当な製剤中に浸漬させることによっても処理することができる。液状又は液体様の媒体においては、該組成物をその媒体中に適当な装置によって注入又は配量することによって添加できるので、該組成物の溶液又は分散液を製造することができる。
【0056】
前記の組合せ物の相乗活性は、以下に説明される標準的な実験方法を用いて確認されている。以下の実施例は例示を意図するものであり、本発明を限定するものではない。
【0057】
殺菌性の評価
A.菌類の評価
無機塩-グルコース培地を使用した。該培地を製造するために、以下の成分を1リットルの脱イオン水に添加した:0.7gのKH2PO4、0.7gのMgSO4・7H2O、1.0gのHN4NO3、0.005gのNaCl、0.002gのFeSO4・7H2O、0.002gのZnSO4・7H2O、0.001gのMnSO4・7H2O、10gのグルコース。培地のpHは1NのNaOHを用いて6に調整した。その培地を試験管中に5mlの量で分配し、そして121℃で20分間オートクレーブにかけた。菌類のトリコデルマ・ビリディ又はアスペルギルス・ニガーをポテトデキストロース寒天斜面培地上で5〜10日間増殖させ、そして胞子を、その斜面培地から滅菌生理食塩溶液中に洗出させることによって胞子懸濁液を製造した。殺生剤を所望の濃度で滅菌無機塩-グルコース培地中に添加した後に、その菌類胞子懸濁液を添加した。最終胞子濃度は約106cfu/mlであった。接種培地を25℃で7日間インキュベートした。
【0058】
B.細菌の評価
栄養ブロス(2.5g/脱イオン水1リットル)を調製した。これを試験管中に5mlの量で分配し、そして121℃で20分間オートクレーブにかけた。殺生剤を所望の濃度でその栄養培地に添加した後に、24時間増殖させたシュードモナス・エルギノーザ細胞又はクレブシエラ・ニューモニエ細胞の約9.3×108cfu/mlの懸濁液100マイクロリットルを添加し、そして30℃で24又は48時間インキュベートした。
【0059】
C.藻類の評価
本発明の藻類に対する効力を試験するのに使用した培地は改変アレン培地(Allen, A. A., Simple conditions for growth of unicellular blue green algae on plates, JOURNAL OF PHYCOLOGY. 4:1-4 (1986)を参照のこと)であった。改変アレン培地を作製するために、最初に以下の6種の個々の原液をg/脱イオン水200mlで調製した。1.50gのK2HPO4、1.50gのMgSO4・7H2O、0.80gのNa2CO3、0.5gのCaCl2・2H2O、1.16gのNa2SiO3・9H2O、1.20gのクエン酸。また微量栄養原液を、以下の成分を1リットルの脱イオン水に添加することによって調製した:0.75gのNa2EDTA、0.097gのFeCl3・6H2O、0.041gのMnC12・4H2O、0.005gのZnCl2、0.002gのCoCl2・6H2O、0.004gのNa2MoO4・2H2O。最終的な改変アレン培地を作製するために、以下の成分及び前記のものから調製された原液をフラスコ中で合し、次いで脱イオン水で1リットルにした:1.5gのNaNO3、5mlのK2HPO4、5mlのMgSO4・7H2O、5mlのNa2CO3、10mlのCaCl2・2H2O、10mlのNa2SiO3・9H2O、1mlのクエン酸、と1mlの微量栄養原液。pHを7.8に調整した。次いでその培地を試験管中に5mlの量で分配し、そして121℃で20分間オートクレーブにかけた。オートクレーブにかけた後に、その培地に殺生剤を所望の濃度で添加した。次いで2週間経過したクロレラ種の培養1ミリリットルを添加し、そして25℃の温度で180フィート燭の強度の照明で3週間又は4週間にわたりインキュベートした。
【0060】
実施例1〜6において、相乗作用を、別個の試験において、イオネンポリマーであるポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)-エチレン(ジメチルイミニオ)エチレン二塩化物](Busan(登録商標)77)、ポリ[ヒドロキシエチレン(ジメチルイミニオ)-2-ヒドロキシプロピレン(ジメチルイミニオ)メチレン二塩化物](Busan(登録商標)1055又はAPCA)又はジメチルアミン、エピクロロヒドリン及びエチレンジアミンの架橋されたターポリマー(Busan(登録商標)1157)(成分Aと呼称する)及びトリクロサン(成分Bと呼称する)の組合せを一連の試験において濃度比及び濃度範囲を変更しつつ、菌類のトリコデルマ・ビリディとアスペルギルス・ニガー、細菌のシュードモナス・エルギノーザとクレブシエラ・ニューモニエ、及び藻類のクロレラ種に対して前記の方法を用いて試験することによって実証した。
【0061】
菌類の増殖を7日間完全に防止し、藻類の増殖を3週間又は4週間完全に防止し、かつ細菌の増殖を24時間又は48時間完全に防止した各混合物又は化合物の最低濃度を相乗作用計算のための終点として取った。次いで、種々の混合物についての終点と純粋な有効成分単独についての終点とを、並行して調製されたフラスコ又は試験管において比較した。
【0062】
相乗効果は、Kull, E. C., et al., APPLIED MICROBIOLOGY 9:538-541 (1961)によって記載される方法により実証した:
QA/Qa+QB/Qb
式中、
Qa=単独作用で、終点となった化合物Aの濃度(百万分率)
Qb=単独作用で、終点となった化合物Bの濃度(百万分率)
QA=混合物で、終点となった化合物Aの濃度(百万分率)
QB=混合物で、終点となった化合物Bの濃度(百万分率)
QA/QaとQB/Qbとの合計が1より大きい場合に、拮抗作用を示す。その合計が1と等しい場合に、相加作用を示す。その合計が1未満である場合に、相乗作用がある。
【0063】
本発明の組成物の相乗作用を実証するためのこの手法は広く用いられる許容できる手法である。より詳細な情報はKullらによる文献に提供されている。この手法に関する更なる情報は、米国特許第3,231,509号に含まれ、この開示内容は参照をもってその全体が本願に編入されたものとする。
【0064】
前記の規準に基づいて、細菌、菌類、藻類及びそれらの混在物に対する相乗活性は、イオネンポリマーとトリクロサンとを組み合わせたときに観察される。相乗的な結果を示す実施例は表1〜表6に見られる。
【0065】
一般に、殺菌性、殺細菌性又は殺藻性の効果的な応答は、相乗的組合せを約0.01ppm〜1%(すなわち10000ppm)のイオネンポリマー、好ましくは0.1〜5000ppm、最も好ましくは0.1ppm〜1000ppmのイオネンポリマー及び約0.01〜5000ppmのトリクロサン、好ましくは0.1〜3000ppm、最も好ましくは0.1〜1000ppmのトリクロサンの範囲の濃度で使用する場合に得ることができる。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3−1】

【0069】
【表3−2】

【0070】
【表4】

【0071】
【表5】

【0072】
【表6】

【0073】
前記の実施例に示されるように、本発明は抗微生物剤として極めて効果的であり、かつ好ましくは相乗的な結果を供する。本発明の重要な態様の一つは、シュードモナス種に対して、特に比較的低濃度のトリクロサン及びイオネンポリマーで効力を有するという能力である。トリクロサンとイオネンポリマーとを個々に使用した場合に、トリクロサンはシュードモナス種に対して効力を示さず、そしてこの生物の抑制には、比較的高濃度のイオネンポリマーが必要となることは非常に興味深いことである。これは、本発明の追加利益であり、予測されない利益である。
【0074】
本発明の他の実施態様は、本明細書及び本明細書に開示される発明の実施を考慮すれば当業者には明らかである。本明細書及び実施例は単なる例示であると考えるべきであり、本発明の真の範囲及び要旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イオネンポリマーと(b)ハロゲン化ジフェニルエーテルとを含有する組成物であって、成分(a)及び(b)が、少なくとも1種の微生物の増殖を抑制するのに相乗的な殺菌効果を生ずる総合量で存在することを特徴とする組成物。
【請求項2】
イオネンポリマーが下記の式(I)の反復単位を有する、請求項1記載の組成物:
【化1】

[式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なり、かつ水素、少なくとも1つのヒドロキシル基で任意に置換されたC1〜C20-アルキル、又はベンゼン部分が少なくとも1つのC1〜C20-アルキル基で任意に置換されたベンジルから選択され;
AはC1〜C10-アルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-アルキニル、C1〜C10-ヒドロキシアルキル、対称若しくは非対称のジ-C1〜C10-アルキルエーテル、アリール、アリール-C1〜C10-アルキル又はC1〜C10-アルキルアリール-C1〜C10-アルキルから選択される二価のラジカルであり;
BはC1〜C10-アルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-アルキニル、C1〜C10-ヒドロキシアルキル、対称若しくは非対称のジ-C1〜C10-アルキルエーテル、アリール、アリール-C1〜C10-アルキル又はC1〜C10-アルキルアリール-C1〜C10-アルキルから選択される二価のラジカルであり;かつ
X2-は1つの二価の対イオン、2つの一価の対イオン、又は1つの多価対イオンの分数分であって、イオネンポリマー骨格を形成する反復単位中のカチオン電荷に十分に均衡するものである。]
【請求項3】
微生物が、細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
C1〜C20-アルキルが少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されている、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
ベンジルが、ベンゼン部分で少なくとも1つのC1〜C20-アルキル基で置換されている、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
イオネンポリマーが封鎖又は架橋されている、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
ハロゲン化ジフェニルエーテルが2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルである、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ハロゲン化ジフェニルエーテルがトリクロサンである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
(a)と(b)との重量比が約1:99〜約99:1である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
(a)と(b)との重量比が約1.30〜約30:1である、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
(a)と(b)との重量比が約1:2〜約2:1である、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
R1、R2、R3及びR4がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH2OCH2CH2-であり、Bが-CH2CH2-であり、かつX2-が2Cl-である、請求項2記載の組成物。
【請求項13】
R1、R2、R3及びR4がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH(OH)CH2-であり、Bが-CH2CH2-であり、かつX2-が2Cl-である、請求項2記載の組成物。
【請求項14】
R1、R2、R3及びR4が異なる、請求項2記載の組成物。
【請求項15】
R1、R2、R3及びR4が同一である、請求項2記載の組成物。
【請求項16】
AがC1〜C20-アルキルであり、かつBがC1〜C10-アルキルである、請求項2記載の組成物。
【請求項17】
AがC2〜C10-アルケニルである、請求項2記載の組成物。
【請求項18】
BがC2〜C10-アルケニルである、請求項2記載の組成物。
【請求項19】
AがC2〜C10-アルキニルであり、かつBがC2〜C10-アルキニルである、請求項2記載の組成物。
【請求項20】
微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体の中又は上で、少なくとも1種の微生物が増殖するのを抑制する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項1記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項21】
微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体の中又は上で、少なくとも1種の微生物が増殖するのを抑制する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項2記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項22】
微生物が、細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
材料又は媒体が、木材パルプ、木材チップ、ヒキ材、塗料、皮革、接着剤、被覆剤、動物皮革、なめし液、製紙業液、金属加工液、石油化学物質、医薬品製剤、冷却水、リクレーション水、染料、クレー、無機スラリー、カチオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤を有する製剤、流入水、廃水、殺菌装置、レトルト釜、化粧用製剤、洗面用製剤、織物、地質ドリル潤滑剤、又は穀物保護又は種子保護のための農業化学組成物である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
材料又は媒体が固体、懸濁液、エマルジョン又は溶液の形態である、請求項20記載の方法。
【請求項25】
C1〜C20-アルキルが少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されている、請求項21記載の組成物。
【請求項26】
ベンジルがベンゼン部分で少なくとも1つのC1〜C20-アルキル基で置換されている、請求項21記載の方法。
【請求項27】
ハロゲン化ジフェニルエーテルが2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルである、請求項20記載の方法。
【請求項28】
ハロゲン化ジフェニルエーテルがトリクロサンである、請求項20記載の方法。
【請求項29】
(a)と(b)との重量比が約1:99〜約99:1である、請求項20記載の方法。
【請求項30】
(a)と(b)との重量比が約1:30〜約30:1である、請求項20記載の方法。
【請求項31】
(a)と(b)との重量比が約1:2〜約2:1である、請求項20記載の方法。
【請求項32】
R1、R2、R3及びR4がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH2CH2CH2-であり、Bが-CH2CH2-であり、かつX2-が2Cl-である、請求項21記載の方法。
【請求項33】
R1、R2、R3及びR4がそれぞれメチルであり、Aが-CH2CH(OH)CH2-であり、Bが-CH2CH2-であり、かつX2-が2Cl-である、請求項21記載の方法。
【請求項34】
R1、R2、R3及びR4が異なる、請求項21記載の方法。
【請求項35】
R1、R2、R3及びR4が同一である、請求項21記載の方法。
【請求項36】
AがC1〜C20-アルキルであり、かつBがC1〜C10-アルキルである、請求項21記載の方法。
【請求項37】
AがC2〜C10-アルキニルであり、かつBがC2〜C10-アルキニルである、請求項21記載の方法。
【請求項38】
細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物から選択される微生物によって惹起される製品、材料又は媒体の変敗を防止する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項1記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項39】
材料が種子又は穀物である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ハロゲン化ジフェニルエーテルが2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルである、請求項38記載の方法。
【請求項41】
ハロゲン化ジフェニルエーテルがトリクロサンである、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記イオネンポリマーが下記の式(II)の反復単位を有する、請求項1記載の組成物:
【化2】

[式中、R1及びR2は同一又は異なり、かつ水素、少なくとも1つのヒドロキシル基で任意に置換されたC1〜C20-アルキル、又はベンゼン部分で少なくとも1つのC1〜C20-アルキル基で任意に置換されたベンジルであり;
AはC1〜C10-アルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-アルキニル、C1〜C10-ヒドロキシアルキル、対称若しくは非対称のジ-C1〜C10-アルキルエーテル、アリール、アリール-C1〜C10-アルキル、又はC1〜C10-アルキルアリール-C1〜C10-アルキルから選択される二価のラジカルであり;かつ
X-は一価の対イオン、二価の対イオンの1/2分、又は1つの多価対イオンの分数分であって、イオネンポリマーを形成する反復単位のカチオン電荷に十分に均衡するものである。]
【請求項43】
前記イオネンポリマーが下記の式(III)の反復単位を有する、請求項1記載の組成物:
【化3】

[式中、n及びpは整数であり、かつ独立に2から12をとり;各R'は独立に水素又は低級アルキル基(例えばC1〜C12-アルキル)であり、ここでアルキル基は非置換又は置換されており;X2-は1つの二価の対イオン、2つの一価の対イオン、又は1つの多価対イオンの分数分であって、基R中のカチオン電荷に十分に均衡するものである;かつX-は一価の対イオン、二価の対イオンの1/2分、又は多価対イオンの分数分であって、基B'中のカチオン電荷に十分に均衡するものである。]
【請求項44】
R'が水素又はC1〜C4-アルキルであり、nが2〜6であり、かつpが2〜6である、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
R'が水素又はメチルであり、nが3であり、かつpが2である、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体の中又は上で、少なくとも1種の微生物が増殖するのを抑制する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項42記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項47】
微生物による攻撃を受けやすい製品、材料又は媒体中又は上で、少なくとも1種の微生物が増殖するのを抑制する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項43記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項48】
細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物から選択される微生物によって惹起される製品、材料又は媒体の変敗を防止する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項2記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項49】
細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物から選択される微生物によって惹起される製品、材料又は媒体の変敗を防止する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項42記載の組成物を添加することを含む方法。
【請求項50】
細菌、菌類、藻類又はそれらの混在物から選択される微生物によって惹起される製品、材料又は媒体の変敗を防止する方法であって、該製品、材料又は媒体に請求項43記載の組成物を添加することを含む方法。

【公表番号】特表2006−522121(P2006−522121A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509197(P2006−509197)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006861
【国際公開番号】WO2004/080176
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(590003238)バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】BUCKMAN LABORATORIES INTERNATIONAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】