説明

イオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化する方法

本発明はa)E及びZ異性体の混合物を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、b)該アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階とを含む、式(I)のイオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化する方法;及び前記イオプロミドのZ異性体の結晶を含む組成物の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はE及びZイオプロミド異性体の混合物を含むイオプロミドの粗結晶からイオプロミドのZ型異性体を選択的に結晶化する方法、及び前記方法によって製造されたイオプロミドのZ型異性体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イオプロミド、下記式(I)の5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミドはヨウ素を含むX−ray造影剤であって、フェニル基の2位、4位及び6位に3個のかさ高いヨウ素原子が存在し、これによってジヒドロキシプロピル−N−メチルアミノ基の自由回転を立体的に阻害し、2つのアトロプ異性体(atropisomer)を生成する(非特許文献1;及び非特許文献2)。
【化1】

【0003】
イオプロミドには2つのアトロプ異性体以外にアミド結合の炭素原子と窒素原子と間の自由回転の立体障害によって生成されたE及びZ型の異性体が存在する。よって、イオプロミドは4つの異性体、E1、E2、Z1及びZ2の混合物から構成される。前記アトロプ異性体のうち、一方は置換された窒素原子がイオプロミドのベンゼン環平面の上部に存在するのに対し、他方はベンゼン環平面の下部に存在する。
【0004】
下記式2A及び2Bに示されたように、E及びZ型の異性体はジヒドロキシ−N−メチル−プロピルアミド基のC−N結合を中心とする置換基の配列形態によって区別できる:
【化2】

【化3】

前記式中、
Rはイオプロミドのフェニル基である。
【0005】
このような異性体は物理的な性質が異なり、単一異性体の相対量(relative amount)及びそれら異性体の相対含量(relative content)は医薬製剤内において制限される。アメリカ薬局方[非特許文献3]によれば、薬剤原料(pharmaceutical raw material)は1型異性体を40〜50%で、2型異性体を49〜60%で含まなければならず、医薬製品はE1異性体を8.0〜12.0%、E2異性体を9.0〜14.0%、Z1異性体を32.0〜40.0%及びZ2異性体を38.0〜46.0%で含まなければならないと記載している。
【0006】
しかし、イオプロミドの結晶化の効果的な方法は現在まで知られていない。特許文献1はイオプロミドの製造方法に関して記述しているが、最終結晶化段階の使用に関しては開示していない。特許文献2及び特許文献3はイオパミドール及びイオジキサノールの洗浄及び結晶化方法に関して記述しているが、イオプロミドまたはイオプロミド異性体の結晶化過程に関しては教示していない。
【0007】
イオプロミドの注射剤は、薬剤原料を水に溶解させ、前記溶液に薬剤学的に許容される賦形剤を添加した後、これを滅菌化することで製造され得るが、E及びZ異性体を含む既存のイオプロミド原料を用いて薬学的製品に剤形化すると、製品内のそれら異性体の相対含量は前記基準を満たすことができない。
【0008】
特許文献4はイオプロミドの母液から医薬目的に適したイオプロミドを回収する方法に関して記載している。しかし、この方法は1及び2型の異性体の分離に関して記載しているだけで、イオプロミドのZ異性体を選択的に得るには困難がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、E及びZ異性体を含むイオプロミドの結晶またはイオプロミドの濃縮液からイオプロミドのZ異性体を選択的に分離して結晶化する方法を見出したことで本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,364,921号
【特許文献2】ヨーロッパ特許第1,025,067号
【特許文献3】イギリス特許第2,280,436号
【特許文献4】国際公開第2007/065534号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M. Oki, Topics in Stereochemistry, volume 14, 1983, pp 1〜81
【非特許文献2】H. Staab, et. al. Tetrahedron Letters, No. 38, 1966, pp 4593〜4598
【非特許文献3】The United States Pharmacopeia, 31th Edition, 2008, pp 2433〜2435
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、E及びZ異性体の混合物を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液からイオプロミドのZ異性体を高収率で選択的に結晶化する方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、前記結晶化方法によって得られたイオプロミドのZ異性体を含む組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によると、本発明は、a)E及びZ異性体を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、b)前記アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を選択的に得る段階とを含む、イオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化する方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様によると、本発明は、i)イオプロミドのE及びZ異性体の混合物を含むイオプロミドの粗結晶またはその濃縮液からイオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化することによりイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階と、ii)前記イオプロミドのZ異性体の結晶を薬剤学的に許容される賦形剤とともに溶解させる段階とを含む、イオプロミドのZ異性体を含む組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による方法によって製造されたイオプロミド−含有組成物のZ異性体はUSPに開示されているような医薬製剤に適した基準を満たすE1、E2、Z1及びZ2異性体の比率を有する薬剤原料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の前記及び他の目的と特徴は、添付の図面および下記本発明の説明から明確になる。
【図1】実施例1で得られたZ異性体を含む本発明のイオプロミド結晶の液体クロマトグラフィー結果である。
【図2】E及びZ異性体を含むイオプロミドの粗結晶の液体クロマトグラフィー結果である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、a)E及びZ異性体の混合物を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、b)前記アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を選択的に得る段階とを含む、イオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化する方法を提供する。
【0019】
下記反応式1に示されたように、粗イオプロミドは米国特許第4,364,921号に記載された方法によって製造され得る。
【化4】

【0020】
前記粗イオプロミドまたはその濃縮液はE異性体:Z異性体を1:0.5〜1:10の比率で含み、0〜15重量%の含水率を有し得る。
【0021】
本発明の段階a)において、イオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の溶解に用いられるアルコールの体積(ml)は、イオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の重量(g)に対して0.1〜10倍、好ましくは1〜3倍の量が適切である。本願で用いられる好ましいアルコールはC1−10の直鎖または分岐鎖脂肪族アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、オクタノール、デカノールまたはその混合物である。
【0022】
本発明の段階b)において、加熱処理は当分野において公知の多様な方法によってなされ、好ましくは加熱還流することである。前記Z異性体は反応器の加熱外部温度を50℃〜200℃、好ましくは80℃〜180℃、より好ましくは100℃〜150℃に維持しながら、大気圧の条件下で1〜48時間加熱還流することで選択的に結晶化され得る。前記加熱還流時間は実験規模、すなわち、粗イオプロミドの量によって調節できるので、前記時間範囲は本発明を例示するものであるだけで、それに限定されない。
【0023】
前記方法で得られたイオプロミド結晶のZ異性体の含量は好ましくは85%〜100%であり、またはイオプロミド結晶は100%Z型異性体からなるか、5%未満のE型異性体を含み得る
【0024】
本発明による方法によってイオプロミドを結晶化すれば、還流時間が短縮されるため、長時間の高温への曝露による分解産物の量が減少され得る。
【0025】
本発明の他の態様では、本発明は、i)イオプロミドのE及びZ異性体の混合物を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液からイオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化することによりイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階と、ii)前記イオプロミドのZ異性体の結晶を薬剤学的に許容される賦形剤とともに溶解させる段階とを含む、イオプロミドのZ異性体を含む組成物の製造方法を提供する。
【0026】
前記組成物の製造方法において段階i)の結晶化は、1)E及びZ異性体を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、2)前記アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階とを含むことを特徴とし、前記製造方法に係る具体的な内容は前記イオプロミドのZ異性体を結晶化する方法で定義した通りである。
【0027】
前記Z異性体−含有組成物の製造方法ではNaOHのようなpH調節剤及びエデト酸カルシウム2ナトリウム(calcium disodium edetate)のような安定化剤を用いても良く(米国特許第4,364,921号参照)、本願で用いられる水性溶媒としては水を用いても良い。
【0028】
前記方法によって製造されたイオプロミドのZ異性体を含む組成物は滅菌化されて注射剤の形態に剤形化してもよく、無色透明な液剤が好ましい。
【0029】
本発明による方法によって製造されたイオプロミドのZ異性体−含有組成物は、USPに開示されているような医薬製剤に適した基準を満たすE1、E2、Z1及びZ2異性体の比率を有する薬剤原料を製造することができる。1型異性体:2型異性体の比率は一般に(E1+Z1):(E2+Z2)であり、E1とZ1及びE2とZ2の相対量は制限されていないことから、1型異性体:2型異性体の比率はZ1異性体:Z2異性体の比率と見なされる。この点について、Z1及びZ2に基づいて薬剤原料内のイオプロミド異性体の相対量を調節すれば、前記基準を再現性のあるように満たすことがより容易である。
【実施例】
【0030】
本発明を下記実施例によって具体的に説明する。但し、該実施例は本発明を制限するものではないと理解されるべきである。
【0031】
実施例1:エタノールを用いたZ異性体の結晶化
含水率が0.5重量%である5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミド 10g(12.64mmol)を米国特許第4,364,921号に記載の方法で合成した。前記方法により製造された粗結晶を無水エタノール10mlに溶解させ、前記溶液を加熱外部温度120℃に維持しながら還流した。次いで、6時間還流して生成されたZ異性体のイオプロミド結晶を室温に冷却し、1時間攪拌の後、濾過した。分離された固体結晶を0℃〜5℃に冷却させた無水エタノールを用いて洗浄し、80℃で減圧乾燥して9.5gの白色固体の標題化合物を得た(収率:96%)。
【0032】
得られた結晶の異性体の含量はアメリカ薬局方(The United States Pharmacopeia;USP)に記載された方法によって4.6mm×25cmカラム(5μm L1パッキング)を用いた液体クロマトグラフィーにより確認し、図1に示した結果は前記結晶が46.4%のZ1及び53.6%のZ2から構成されていることを示す(Z異性体の含量:100%)。
【0033】
また、米国特許第4,364,921号に記載の方法により製造されたイオプロミドの粗結晶を前記と同じ方式で分析し、その結果を図2に示した。
【0034】
実施例2:エタノールを用いたZ異性体の結晶化
含水率が3.0重量%である5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミド 10g(12.64mmol)を米国特許第4,364,921号に記載の方法で合成した。前記方法により製造された粗結晶を無水エタノール10mlに溶解させ、前記溶液を加熱外部温度120℃に維持しながら還流した。次いで、6時間還流して生成されたZ異性体のイオプロミド結晶を室温に冷却し、1時間攪拌の後、濾過した。分離された固体結晶を0℃〜5℃に冷却させた無水エタノールを用いて洗浄し、80℃で減圧乾燥して9.5gの白色固体の標題化合物を得た(収率:90%)。
得られた結晶の異性体の含量は前記実施例1と同じ方法で確認した。
得られた結晶の異性体の含量:46.8% Z1、53.2% Z2(Z異性体の含量:100%)
【0035】
実施例3:イソプロピルアルコールを用いたZ異性体の結晶化
含水率が3.0重量%である5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミド 10g(12.64mmol)を米国特許第4,364,921号に記載の方法で合成した。前記方法により製造された粗結晶をイソプロピルアルコール10mlに溶解させ、前記溶液を加熱外部温度120℃に維持しながら還流した。次いで、6時間還流して生成されたZ異性体のイオプロミド結晶を室温に冷却し、1時間攪拌の後、濾過した。分離された固体結晶を0℃〜5℃に冷却させたイソプロピルアルコールを用いて洗浄し、80℃で減圧乾燥して9.5gの白色固体の標題化合物を得た(収率:95%)。
得られた結晶の異性体の含量は前記実施例1と同じ方法で確認した。
得られた結晶の異性体の含量:45.5% Z1、54.5% Z2(Z異性体の含量:100%)
【0036】
実施例4:メタノールを用いたZ異性体の結晶化
含水率が3.0重量%である5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミド 10g(12.64mmol)を米国特許第4,364,921号に記載の方法で合成した。前記方法により製造された粗結晶をメタノール5mlに溶解させ、前記溶液を加熱外部温度120℃に維持しながら還流した。次いで、12時間還流して生成されたZ異性体のイオプロミド結晶を室温に冷却し、1時間攪拌の後、濾過した。分離された固体結晶を0℃〜5℃に冷却させたメタノールを用いて洗浄し、80℃で減圧乾燥して8.5gの白色固体の標題化合物を得た(収率:85%)。
得られた結晶の異性体の含量は前記実施例1と同じ方法で確認した。
得られた結晶の異性体の含量:47.6% Z1、52.4% Z2(Z異性体の含量:100%)
【0037】
実施例5:n−ブタノールを用いたZ異性体の結晶化
含水率が3.0重量%である5−メトキシアセチルアミノ−2,4,6−トリヨード−イソフタル酸−[(2,3−ジヒドロキシ−N−メチル−プロピル)−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]−ジアミド 10g(12.64mmol)を米国特許第4,364,921号に記載の方法で合成した。前記方法により製造された粗結晶をブタノール10mlに溶解させ、前記溶液を加熱外部温度120℃に維持しながら還流した。次いで、6時間還流して生成されたZ異性体のイオプロミド結晶を室温に冷却し、1時間攪拌の後、濾過した。分離された固体結晶を0℃〜5℃に冷却させたn−ブタノールを用いて洗浄し、80℃で減圧乾燥して9.5gの白色固体の標題化合物を得た(収率:95%)。
得られた結晶の異性体の含量は前記実施例1と同じ方法で確認した。
得られた結晶の異性体の含量:48.3% Z1、51.7% Z2(Z異性体の含量:100%)
【0038】
前記実施例1〜5で得たそれぞれのイオプロミド結晶の遊離ヨウ素量及び残留溶媒量をアメリカ薬局方31th editionに記載の方法でそれぞれ電位差滴定装置及びガスクロマトグラフィーを用いて測定し、USP及びICH(International Conference on Harmonization)ガイドラインに記載の標準濃度基準(Standard concentrate limit)と比べた。その結果を下記表1に示した。メタノール(MeOH)、イソプロピルアルコール(IPA)及びn−ブタノール(n−BuOH)に関する残留溶媒の標準濃度基準はICHガイドラインに記載の一日摂取許容基準(permitted daily exposure;PDE)に基づいて計算し、EtOHに関する残留溶媒の標準濃度基準はアメリカ薬局方に記載のPDEに基づいて計算した。前記PDEによる残留溶媒の標準濃度基準を算定する方法は次の通りである:
1)イオプロミドの一日最大用量(ウルトラビスト(商標) 370、FDA基準):(769mg/ml)×225ml=173.025g/日
2)残留溶媒の参考濃度基準(ppm)=(1000×PDE)/一日用量
i)MeOH(ppm)=(1000×30mg/日)/(173.025g/日)=173.38ppm
ii)IPA(ppm)=(1000×50mg/日)/(173.025g/日)=288.976ppm
iii)n−BuOH(ppm)=(1000×50mg/日)/(173.025g/日)=288.976ppm
【表1】

【0039】
前記表1に示されたように、本発明による方法によって製造されたイオプロミド結晶は、USP及びICHガイドラインに記載された基準を満たし、本発明による方法は還流時間を減らし、分解産物を減少させるという点で既存の方法に比べて優れた効果を有する。
【0040】
試験例1:医薬製剤の製造及び前記製剤内の異性体の比率
前記実施例1で製造したZ異性体のみを含むイオプロミド結晶(Z1異性体46.4%及びZ2異性体53.6%)62.34gをエデト酸カルシウム0.01gと2次蒸留水100mlに溶解させた後、0.1N水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを7.2に調節した。前記溶液を容器に加えた後、120℃で20分間滅菌して医薬製剤を製造した。下記表2に示したように、製剤内のイオプロミド異性体の相対量はUSPに記載された標準値を満たすことが分かる。
【0041】
比較例
イオプロミド結晶(E1異性体8.76%、E2異性体10.60%、Z1異性体39.68%及びZ2異性体40.97%)62.34gを用いて前記実験例1に記載された方法と同じ方式により医薬製剤を製造した。次いで、前記製剤内のイオプロミド異性体の相対量を分析した。下記表2に示したように、前記製剤内のイオプロミド異性体の相対量はUSPに記載された標準値を満たさないことが分かる。
【表2】

【0042】
本発明を前記具体的な実施態様に関連付けて説明したが、添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で当業者は本発明を多様に変形及び変化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)E及びZ型異性体を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、
b)該アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階
を含む、下記式(I)で表されるイオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化する方法。
【化1】

【請求項2】
前記段階b)で得られたイオプロミド結晶のZ異性体の含量が95%〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコールがC1−10の直鎖または分岐鎖脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールの体積(ml)がイオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の重量(g)に対して0.1〜10倍であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記段階b)の加熱処理が50〜200℃の反応器の加熱外部温度で前記溶液を還流させることであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記粗イオプロミドまたはその濃縮液のE異性体:Z異性体の比率が1:0.5〜1:10であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の含水率が0重量%〜15重量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
i)イオプロミドのE及びZ異性体の混合物を含む粗イオプロミドまたはその濃縮液からイオプロミドのZ異性体を選択的に結晶化することによりイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階と、
ii)該イオプロミドのZ異性体の結晶を薬剤学的に許容される賦形剤とともに溶解させる段階
を含む、下記式(I)のイオプロミドのZ異性体を含む組成物の製造方法。
【化2】

【請求項9】
前記段階i)の結晶化が、a)E及びZ異性体の混合物を含む粗結晶またはその濃縮液をアルコールに溶解させる段階と、b)該アルコール溶液を加熱してイオプロミドのZ異性体の結晶を得る段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記イオプロミド結晶のZ異性体の含量が95%〜100%であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記アルコールがC1−10の直鎖または分岐鎖脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記アルコールの体積(ml)がイオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の重量(g)に対して0.1〜10倍であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記段階b)の加熱処理が50〜200℃の反応器の加熱外部温度で前記溶液を還流させることであることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
前記粗イオプロミドまたはその濃縮液のE異性体:Z異性体の比率が1:0.5〜1:10であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項15】
前記イオプロミドの粗結晶またはその濃縮液の含水率が0重量%〜15重量%であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−510510(P2012−510510A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539442(P2011−539442)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005827
【国際公開番号】WO2010/064785
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(500409840)ダエウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (13)
【Fターム(参考)】