説明

イオン交換ポリマーを含有する非水性液体組成物

【課題】ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー及び炭化水素ベースのアイオノマーを用いた使用に適した非水性組成物に、及び前記非水性組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】およそ1%ないしおよそ5%のペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー又は炭化水素ベースのアイオノマー;及びおよそ95%ないしおよそ99%の溶媒を含有する組成物、及びその製造方法であって、前記溶媒はポリオールから実質的に成り;前記組成物は水を実質的に含有しておらず、そして前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦権利の陳述
アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国エネルギー部門(United States Department of Energy)と、ロス アラモス ナショナル ラボラトリー(Los Alamos National Laboratory)の営業のためのロス アラモス ナショナル セキュリティ社(Los Alamos National Security,LLC)との間の契約番号DE−AC52−06NA25396に基づき本発明における権利を有する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー及び炭化水素ベースのアイオノマーを用いた使用に適した非水性組成物に、及び前記非水性組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
ペルフルオロ化スルホン酸(PFSA)は、優れたプロトン伝導性及び良好な熱/酸化安定性を有している。それ故、PFSAは、電気透析及びクロロ−アルカリ用途、並びに、センサー、コンデンサー、及び燃料電池のような電気化学機器において広く用いられている。しかしながら、PFSAは、いずれの単一溶媒中にも不溶であることが判っており、そしてそのため、混合溶媒系中でのみ分散性である。それ故、燃料電池の電極のような用途において、PFSA分散剤として水/アルコール混合物が一般に用いられている。現在の分散プロセスは、十分な分散を確実にするために、比較的高いプロセス温度(>200℃)、高い圧力(>500psi)及び長いプロセス時間(およそ18時間)を必要とする。さらには、水及び/又はアルコールの高い蒸気圧によって、かかる高圧での密閉系が使用されなければならない。高温のプロセスは頻繁に、分解についての懸念を惹起し:架橋反応、異性化、及びエーテル形成が、ペルフルオロ化アイオノマーの酸形態に、或いはアルコールとともに、生じてしまう。溶媒間の蒸発速度の相違によって、分散キャストフィルムの低分散性又は脆弱な性質が生じ、このことが、フィルム製造又は電極性能にとって重大問題となってしまう。これら問題の典型的な解決法は、メンブラン又は電極の熱処理、或いは少量の有機極性溶媒の添加である。
【0004】
炭化水素ベースのアイオノマーが最近、電気化学用途の適した代替物として浮上している。かかるカテゴリのポリマーは、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル スルホン)、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル ケトン)、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル ニトリル)、スルホン化ポリフェニレン及びスルホン化ポリイミドを包含する。炭化水素ベースのアイオノマーは、PFSAよりも高い熱/酸化安定性、及びより低い水運搬特性を有している。熱安定性がより高いと、より激しい燃料電池作動条件下での燃料電池の耐久性が高まる。より低い水運搬特性は、メンブランに対する水逆拡散を高め得、そしてメンブラン水和を高め得るし、また、電池抵抗を低下させるため、炭化水素ベースのアイオノマーの水運搬特性がより低いと、高温/低相対湿度の燃料電池作動条件下で有利となり得る。PFSAとは異なり、これらのコポリマーは本来、水/アルコール混合物が使用された場合には、熱処理後に堅固なフィルムを形成することを妨げる、非晶質である。乏しい機械的安定性が、PFSAアイオノマーを有する電極に劣る乏しい電極性能をもたらしてしまう。
【0005】
またPFSAとは異なり、炭化水素ベースのスルホン化ポリマーは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような非プロトン性溶媒にたやすく溶解する。非プロトン性溶媒を用いて形成された炭化水素メンブランは、堅固で且つ延性を有するが、ポリマー分散系から形成された固形電極は、PFSAが結合した電極と比較して劣った性能を示してしまう。かかる劣った性能は、非プロトン性溶媒を用いて製造された電極は、孔の少ない構造を有しており、このことがまた燃料電池の性能に不利な影響を与えている、という事実によるものと信じられている。さらには、残存する非プロトン性溶媒により毒性化した望ましくない触媒が発生してしまう。
【0006】
それ故、新規な電気化学機器を開発するのに使用され得る、より機械的に安定な電極、及びそのような電極のより単純でより低コストな製造方法が必要とされている。それ故、PFSA及び炭化水素ベースのスルホン化ポリマーを併用するのに適し、且つ優れた性能を有する安定で且つ耐久性のある燃料電池をもたらす溶媒が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
PFSAアイオノマー及び炭化水素ベースのアイオノマーを、溶媒の沸点以下の温度にて、あるポリオールの実質的な純溶液に分散させることが可能であることが予期せず見出された。例えば、ブタンジオール、プロピレングリコール又はグリセロールのようなポリオールが、大気圧にておよそ200℃にて、そして3時間以内のプロセス時間の間に、PFSA(EW=1100以下)を分散させるのに使用され得る。このことは、従前の慣例及び参照文献は全て、アイオノマーを分散させるために水が必要であり、これは高温及び長いプロセス時間を必要とすることを教示していたため、可能とは考えられていなかった。従って、本発明は、従来の水ベースの分散技術の現在の条件に関連した多くの問題を解決する。第一に、液体分散プロセスは、開放した、圧力をかけない容器中で完了し得る。さらには、ポリマー分散系が比較的低いプロセス温度(180ないし250℃)にて得られ得る。低いプロセス温度は、異性化、架橋、エーテル形成、及びアルデヒド形成のような望ましくない副反応を防止する。さらには、水性分散系は典型的に、機械的に脆弱なフィルムをもたらすが、非水性アルコール溶液中の分散系は、より堅固なフィルムを生成する。PFSAメンブランについては、140℃以上の熱処理によって、或いは高沸点溶媒を添加することによって、水/アルコール分散液から堅固なメンブランが得られ得る。炭化水素メンブランについては、熱処理から結晶相が形成されないため、堅固なフィルムは熱処理によっては得ることができない。炭化水素アイオノマーの機械的不安定性は、耐久性のある電極を製造するのに障害の1つであった。ポリオール分散剤を使用すると、さらなるプロセス無しに、堅固なPFSAメンブラン及び炭化水素ベースのメンブランが得られ得る。最後に、本発明は、さらなる分散剤の一定の組成を維持するための手段を提供する。水性分散剤において、水とアルコールの比は、各々の成分の種々の蒸発速度の結果として、プロセス中に変化する。このことは、複雑な反応速度論を生じ、そしてポリマー形態を制御することを困難にする。溶媒としてのポリオールの使用は、アイオノマー構造の最適化及び制御を促進し、そして均質な分散をもたらす。このことはまた、PFSA及び炭化水素ベースのアイオノマーの双方について、より良好な電極性能、安定性及び耐久性をもたらす。
【0008】
グリセロール及び他のジオール及びトリオールのようなポリオールの使用が、前述の種々の溶媒との関連で提案される。しかしながら、慣用常識は、ポリオールと水とを併用(水性混合溶媒系、或いは水性溶媒系を用いたプロセス後の再分散により)することであり、そして従来の条件は、水性、混合溶媒系を用いることである。しかしながら、広範囲の研究が、殆どの既知の溶媒が水の添加無しの使用において不適切であるが、幾つかの溶媒が、非水性系溶媒系に使用された場合に堅固な電極及びメンブラン電極集合体の形成をもたらす、ということを明らかにした。かかる溶媒が有益であることを理論的に想到する手段は明らかではない。
【0009】
以下、本発明の限定しない態様について記載する。
【0010】
本発明の第一の態様に従うと、およそ1%ないしおよそ5%のペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー、及びおよそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒を含有する組成物であって、前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されている組成物が提供される。
【0011】
本発明の別の態様に従うと、およそ1%ないしおよそ5%の炭化水素ベースのアイオノマー、及びおよそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒を含有する組成物であって、前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されている組成物が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様に従うと、およそ1%ないしおよそ5%のアイオノマー、及びおよそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒を含有する組成物を与える段階であって、前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されており、そして前記組成物を、大気圧にて、3時間以内の間、およそ140℃ないしおよそ290℃の温度に加熱する段階から成る、燃料電池用に適したポリマー分散系の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、ボルトをY軸とし、電流密度A/cmをX軸とした電池電位の関数とした、グリセロール、水/イソプロパノール、NMP中のナフィオン(Nafion)(登録商標)分散液、及び市販のナフィオン分散液から調製した、メンブラン電極集合体(MEA)を有する燃料電池の、H/空気燃料電池性能を示す図である。メンブラン:ナフィオン212、アノード/カソードローディングは、20質量%Pt/C触媒の0.2mgPt/cmである;アノード/カソード圧=30/30psi、Tcell=80℃、アノード/カソードThumidifiers=105/80℃。
【図2】図2(a)及び2(b)は、水素及び窒素の存在中における、電位サイクル数の関数としての、H/空気燃料電池の耐久性を示す図である。図2(a)及び2(b)図2(a)において、カソードは、溶媒として水/イソプロパノールを使用した分散液から調製された。図2(b)において、カソードは、溶媒としてグリセロールを使用した分散液から調製された。メンブラン:ナフィオン212、アノード/カソードローディングは、20質量%Pt/C触媒の0.2mgPt/cmである;アノード/カソード圧=30/30psi、Tcell=80℃、アノード/カソードThumidifiers=105/80℃;0.6ないし1.0Vの電位サイクル。
【図3】図3は、ボルトをY軸とし、電流密度A/cmをX軸とした電池電位の関数とした、グリセロール中の炭化水素ベースのアイオノマー分散液であって該アイオノマーは、483及び670のEWをそれぞれ有するもの、並びに、水/イソプロパノール中の炭化水素ベースのアイオノマー分散液であって該アイオノマーは670のEWを有するものから調製したMEAを有する燃料電池の、H/空気燃料電池性能を示す図である。メンブラン:ナフィオン212、アノード/カソードローディングは、20質量%Pt/C触媒の0.2mgPt/cmである;アノード/カソード圧=30/30psi、Tcell=80℃、アノード/カソードThumidifiers=105/80℃。
【図4】図4(a)及び(b)は、ボルトをY軸とし、電流密度A/cmをX軸とした電池電位の関数とした、PFSA及び炭化水素をベースとして結合させたカソード触媒を有するMEAを有する燃料電池のH/空気燃料電池性能を示す図である。メンブラン:ナフィオン212、アノード/カソードローディングは、20質量%Pt/C触媒の0.2mgPt/cmである;アノード/カソード圧=20/20psi、Tcell=95℃、アノード/カソード加湿=(a)105℃飽和水蒸気/95℃飽和水蒸気、(b)105℃飽和水蒸気/加湿無し。ここで、「バイパス」とは、湿度ボトルを通すことなく提供された空気を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の詳細な記載
本発明は、均質に分散した電極の形成に有益であり、例えば燃料電池、センサー及びコンデンサー用のメンブラン電極集合体の成分としてもまた有益である組成物について記載する。該組成物はまた、ペルフルオロ化イオン交換メンブランを修復又は回復するのに、及びフィルムキャストプロセスにもまた有益であり得る。
【0015】
本発明の全ての態様において、全てのパーセンテージは、特に記載されない限り、全組成物の質量による。全ての比は、特に記載されない限り、質量比である。全ての範囲は包括的で組み合わせ得る。全ての数量は、特に指摘されない限り、用語「およそ」により修飾されるものと理解される。本発明の詳細な記載で引用される全ての文献は、関連部分において参照により明細書に組み込まれており;いかなる文献の引用も、本発明に関連した従来技術であるという自白と解釈されるべきでない。本願明細書中の用語のいずれかの意味又は定義が、参照により本願明細書に組み込まれている文献中の同様の用語のいずれかの意味又は定義と不一致である場合においては、その意味又は定義は、本願明細書中の用語が優先されるべきである。
【0016】
「当量」(EW)は、カチオン当りの分子量を、即ち、ポリマーのカチオン交換能力の相互値を意味し、NaOHの1当量を中和するのに必要とされる酸形態にあるポリマー質量を意味するものと理解される。
【0017】
本願明細書で使用される「ポリオール」とは、少なくとも2個の−OH基を有する化合物を意味し、多価アルコールとしても既知の糖アルコールを包含し得る。
【0018】
本願明細書で使用される「均質に分散された」とは、本願明細書で特定される適した時間で加熱した後に、固形ポリマー残存物が肉眼で見えないことを意味する。
【0019】
本願明細書で使用される「実質的に水を含有していない」とは、存在するいかなる水も付随して存在するものであり(例えば、周囲条件による)、1%未満の組成を含有していることを意味する。
【0020】
本願明細書で使用される「から実質的に成る」とは、溶媒が少なくとも99質量%のポリオールを含有し、さらなる溶媒或いはアイオノマー分散系に悪影響を与え得る添加剤を含有していないことを意味する。
【0021】
本発明の組成物は、およそ1%ないしおよそ5%のペルフルオロ化スルホン酸アイオノマーを含有し得る。これらアイオノマーは商業上入手可能であり、典型例がナフィオン(Nafion)(登録商標)の下でE.I.デュポン デ ネモアズ アンド 社(E.I.Dupont de Nemours&Co.)より販売されている。一の態様において、PFSAは塩であり、ここで、該塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、セシウム、マグネシウム、セシウム、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるカチオンを含有し得る。別の態様において、メンブランは、存在するいかなる対イオンもHである、プロトン化されたメンブラン(即ち、「水素化されている」又は「酸形態にある」)である。ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマーは、1100以下の当量、或いは、およそ600ないしおよそ1100の当量、或いはおよそ1000ないしおよそ1100の当量を有し得る。
【0022】
さらに別の態様において、本発明の組成物は、およそ1%ないしおよそ5%の炭化水素ベースのアイオノマーを含有し得る(即ち、「炭化水素ベースの」)。本発明の炭化水素ベースのアイオノマーは、ポリ(アリーレン エーテル スルホン)、ポリ(アリーレン エーテル ケトン)、ポリイミド、ポリ(フェニレン)、ポリ(ホスフィンオキシド)、ポリ(ニトリル)、これらのいずれの誘導体、並びにこれらの組み合わせのような、ポリアリーレン材を含有し得る。さらに別の態様において、炭化水素ベースのアイオノマーは塩であり、ここで塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、セシウム、マグネシウム、セシウム、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるカチオンを含有し得る。他の態様において、メンブランは、存在するいずれの対イオンもHである、プロトン化された炭化水素ベースのアイオノマー(即ち、「水素化されている」又は「酸形態にある」)である。炭化水素ベースのアイオノマーは、1600以下、或いは、およそ300ないしおよそ1600、或いはおよそ550ないしおよそ1600の当量を有し得る。
【0023】
本発明の組成物は、およそ95%ないしおよそ99%の非水性溶媒を含有しており、つまり該溶媒は実質的に水を含有していないことを意味する。溶媒はアイオノマーを均質に分散し、そしてこのことは、高品質の電極及びメンブラン電極集合体を製造するのに適している。溶媒は、その沸点未満の温度でアイオノマーを均質に分散するのに十分な分散力を有していなければならない。本発明の溶媒は、1種以上のポリオールから実質的に成る。メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールのような低沸点アルコールは、その比較的低い沸点のため適していない。極性、非プロトン性溶媒の使用は、高すぎる密度のアイオノマー構造を生じてしまうため、本発明においてはそのような溶媒もまた、望ましくない。さらには、残存する極性、非プロトン性溶媒は、電解触媒表面を汚染してしまう。一の態様において、本発明の溶媒は、単一のポリオール(即ち、「単一成分の溶媒」である)から実質的に成る。単一成分の溶媒は、生じたアイオノマー構造を容易にさらに最適化し、且つ、より容易に溶媒を回収することができるという利点を与える。
【0024】
ポリオールの適した例は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールを含むブタンジオール、1,2,4−ブタントリオールを含むブタントリオール、1,5−ペンタンジオールを含むペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、及びそれらの組み合わせを包含する。好ましい態様において、溶媒はグリセロールである。アイオノマーがPFSA塩である場合、溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、及びそれらの組み合わせを包含し得る。アイオノマーがPFSAアイオノマーの酸形態である場合、溶媒は、1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、及びそれらの組み合わせを包含し得る。アイオノマーが炭化水素ベースである場合、溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、及びそれらの組み合わせを包含し得る。
【0025】
本組成物は、アイオノマーを対応する塩形態に転換するのに有益である無機塩基を含有し得る。一の態様において、無機塩基は、水酸化ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドである。
【0026】
本発明はさらに、例えば燃料電池メンブランにおける、又は触媒インク製剤における使用に適したポリマー分散系の製造方法を記載する。該方法は、本願明細書に記載される組成物を与え、そして所望の温度に該組成物を加熱することを含む。温度は、溶媒又は溶媒の組み合わせの沸点未満であって、且つアイオノマーを均質に分散させるのに十分でなければならない。温度は変化し、そしてアイオノマーの種類及び溶媒の種類に依存するが、およそ140℃ないしおよそ290℃であり、或いは140℃ないしおよそ210℃である。
【0027】
本組成物は、均質に分散したポリマーを生じるのに適した時間の間、大気圧にて適した温度まで加熱される。時間の長さは変化し、そしてアイオノマーの種類及び溶媒の種類に依存し、3時間以下、或いはおよそ1時間以下、或いはおよそ0.3時間ないしおよそ3時間、或いはおよそ1時間の間である。
【0028】
本発明の方法は、溶媒系中にアイオノマーを分散させる段階、及びその後にいずれの望ましくない溶媒を除去するために凍結乾燥する段階を必要としない。むしろ、本発明の方法は、アイオノマーを非水性溶媒中に直接分散させるという利点を有している。
【0029】
生じた分散系は、当業者に周知の手段によって、電極を形成するために使用され得る。電極は、センサー、コンデンサー、又は他の適した用途に使用され得る燃料電池用のメンブラン電極集合体の一部を形成し得る。
【実施例】
【0030】
実施例1及び2は、非水性分散剤中のPFSA分散系の製造を記載する。
【0031】
実施例1
分散剤の21.57g、SONa形態に加水分解した官能基を有するペルフルオロ化スルホン酸(EW=1000ないし1100)の0.54g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体およそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、60mLバイアル(小ビン)中に入れた。表1に示される温度にて還流オーブン内でバイアルを加熱した。表1は、加熱処理後の分散状態を示す。
【表1】

【0032】
比較例1
水64g、イソプロパノールの96g、−SONa形態に加水分解した官能基を有するペルフルオロ化スルホン酸(EW=1000)の4g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体がおよそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、200mL密閉容器に入れた。該容器を210℃にて3時間、加熱マントル内で加熱した容器内部圧はおよそ500psiであった。残存した固形ポリマーの無い清澄な液体組成物(透明な分散系)が得られた。
グリセロール分散系(1−14)及び水/イソプロパノール分散系(比較例1)を、清潔なガラス上に注ぎ、そして還流オーブン内で120℃にて60時間乾燥した。得られたグリセロールから調製されたメンブランは丈夫であったが、水/イソプロパノールからのメンブランは脆弱であった。原子間力顕微鏡法によって、グリセロールからのメンブランは、相分離がより少なく、且つ密度がより高かったが、水/イソプロパノール分散系は、非常に相分離していたことが示された。
【0033】
実施例2
分散媒体の21.57g、−SOH形態に加水分解された官能基を有するペルフルオロ化スルホン酸(EW=1000ないし1100)の0.54g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体がおよそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、60mLバイアル中に入れた。バイアルを、還流オーブン内で表2に示す温度にて加熱した。1,4−ブタンジオール及び1,2,4−ブタントリオールからの分散系は、清澄な分散系の頂部に白色泡を有していた。H NMRによって、泡を有するこれら分散系は、副反応によるエーテル化合物を含有していたらしいことが示された。表2は、加熱処理後の分散系状態を示す。
【表2】

【0034】
実施例3及び比較例2ないし4は、PFSAベースの電極の燃料電池性能を示す。電極は、実施例に記載される種々のポリマー分散系から調製した。電極性能を評価するために、分極曲線を得た。
【0035】
実施例3
触媒(アルファ アイサー(Alfa AISER),ワードヒル(Ward Hill),MAにより供給されるカーボン上の20質量%Pt)及びポリマー分散系を完全に混合することによって、薄膜電極のための触媒分散系を調製した。実施例1(1−14)にそれぞれ記載のグリセロールから、2.5質量%ナフィオン分散系を調製した。
下記の手順を用いた:
小バイアル中で、グリセロール中の2.5質量%ナフィオン分散系(実施例1−14から調製した)の1gを、水の1g、及び0.0625gのPt/Cと混合した。アイオノマーを熱可塑性TBA+形態へと転換するために、アイオノマーの1モル当量に等しい量のTBAOHを添加した。超音波を用いて混合物を攪拌して、触媒インク中に補助触媒を均質に分散した。
【0036】
比較例2
小バイアル中で、水/イソプロパノール中に分散した2.5質量%のナフィオン分散系(比較例1から調製された)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合したことを除き、実施例3と同様の手順を用いた。
【0037】
比較例3
小バイアル中で、NMP中に分散した2.5質量%ナフィオン分散系(実施例1(1−19)から調製された)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合したことを除き、実施例3と同様の手順を用いた。
【0038】
比較例4
小バイアル中で、5質量%の市販のナフィオン分散系(ソリューション テクノロジーズ社(Solution Technologies,INC),メンデンホール(Mendenhall),PA)の0.5gを、グリセロールの1g及び0.0625gのPt
/Cと混合したことを除き、実施例3と同様の手順を用いた。
1MのNaOH溶液中にプロトン化したメンブランを浸し、その後洗浄及び乾燥することによって、Naナフィオンメンブランを与えた。塗装によってインクをテフロン(Teflon)(登録商標)転移基材に塗布し、そして基材をオーブン内で140℃にて焼成した。触媒ローディングが0.2mg/cmとなるまで塗装手順を繰り返し、そしてその後、少なくとも5時間乾燥した。アノード触媒層については、比較例4から触媒インクを調製した。カソード触媒層については、実施例3、及び比較例2、3及び4から調製した触媒インクを用いた。Na形態のナフィオンを、10000kPaにおいて、210℃にて6分間、2つの触媒層間でホットプレスした。集合体を冷却し、そしてその後、電極をメンブランに接着したまま、放出ブランクをMEAから剥がした。乾燥した集合体を、0.5MのHSO中で90分間軽く煮沸し、そして煮沸し脱イオン化した水中で90分間洗浄した。集合体を真空下、75℃にて乾燥した。
【0039】
図1は、グリセロール、水/イソプロパノール、NMP、及び市販のナフィオン分散系から調製したMEAを有する燃料電池についての、電圧と電流密度曲線を図示している。グリセロール分散系から調製された電極が、水/イソプロパノール分散系から調製された電極と同等の性能を有していることが明白である。NMP及び市販のナフィオン分散系から調製された電極は、グリセロールから調製された電極よりも劣った性能を示した。かかる結果は、グリセロール分散系を用いた燃料電池の性能が、水ベースの分散系を用いたものと少なくとも同等であることを示している。
【0040】
実施例4は、ナフィオンが結合した電極の燃料電池の耐久性へのPFSA分散系の影響を示す。実施例3及び比較例2からカソード電極を調製し、カソードの耐久性を対比した。
【0041】
実施例4
燃料電池の耐久性を評価するために、電位サイクリング試験を行った。電位サイクリングは、燃料電池の性能の劣化の促進を研究するために広く用いられている技術であり、Rod L.Borup他,J.Power Sources,163,76−81(2006)中に記載されている。かかる技術においては、酸化剤を窒素に置き換え、そして燃料電池を、2つの電位間を前後に循環させる。かかる試験のため、80℃及び完全に加湿した条件にて、2種のMEAについての初期燃料電池の分極曲線及びサイクリックボルタモグラムを得た。0.6ないし1.0Vの10000サイクル電位スキャン(スキャン速度:50mV/秒)を、80℃及び完全に加湿した条件にて、MEAに適用した。1000、3000及び10000電位サイクル後の分極及びサイクリックボルタモグラムを得た。非水性ナフィオンから調製された燃料電池カソード分散系が、現在の最先端のMEAと比較して、電位サイクル後の性能劣化が有意に少ないことが示されている。表3は、この傾向が、分極曲線の全ての3つの部位(即ち、動態、抵抗、及び質量移行)において明らかであり、そして燃料電池が作動する部位にかかわらず利点を与えることを示している。図2は、電位サイクリングの間に、比較例7から調製されたMEA(水性ナフィオン分散系から調製されたカソード)よりも性能劣化が少ないことを示した実施例5から調製されたMEA(非水性ナフィオン分散系から調製されたカソード)についての、1000、3000、及び10000サイクル後に観察された損失を示す。
【表3】

【0042】
実施例5及び比較例5及び6は、非水性、水性、及び非プロトン極性分散剤中の炭化水素ベースのスルホン酸分散系の調製を説明している。
【0043】
実施例5
アルコールの21.57g、SONa形態に加水分解した官能基を有する炭化水素ベースのスルホン酸(EW=580、670及び1550)の0.54g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体がおよそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、60mLバイアル中に入れた。バイアルを、表3に示す温度にて、還流オーブン内で加熱した。表4は、加熱処理後の分散状態を示す。
【0044】
比較例5
水64g、イソプロパノールの96g、SONa形態に加水分解した官能基を有する炭化水素ベースのスルホン酸(EW=670)の4g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体がおよそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、200mLの密閉容器に入れた。容器を、加熱マントル内で120℃にて3時間加熱した。12時間のプロセス時間後、残存固形ポリマーの無い、清澄な液体組成物(透明で均質な分散系)が得られた。
【0045】
比較例6
非プロトン極性溶媒の21.57g、SONa形態に加水分解した官能基を有する炭化水素ベースのスルホン酸(EW=580、670及び1550)の0.54g(固形分含量2.5質量%)、及びそれ自体がおよそ50μmの厚さを有するメンブラン形態にあるポリマーを、60mLバイアル中に入れた。表4に示す温度にて還流オーブン内でバイアルを加熱した。表4は、加熱処理後の分散状態を示す。
【表4】

【0046】
実施例6及び比較例7は、炭化水素ベースの電極の燃料電池性能を示している。電極は、実施例5に記載された種々の炭化水素ベースのアイオノマー分散系から調製した。電極性能を評価するために分極曲線を得た。
【0047】
実施例6
触媒(アルファ アイサーより供給されるカーボン上の20質量%Pt)及びポリマー分散系を完全に混合することによって、薄膜電極のための触媒分散系を調製した。
下記の手順を用いた:
小バイアル中で、グリセロール中の2.5質量%スルホン化ポリ(アリーレン エーテル)分散系(表4、番号4−7及び4−9から調製した)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合した。アイオノマーを熱可塑性TBA+形態に転換するために、アイオノマーの1モル当量に等しい量のTBAOHを添加した。超音波を用いて混合物を攪拌して、触媒インク中に補助触媒を均質に分散した。
【0048】
比較例7
小バイアル中で、水/イソプロパノール分散系中の2.5質量%ナフィオン212分散系(比較例5の表4、番号4−10から調製された)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合したことを除き、実施例6と同様の手順を用いた。
【0049】
1質量%NaOH溶液中にプロトン化されたメンブランを浸し、続いて洗浄及び乾燥したことによって、Naナフィオンメンブランを与えた。塗装によってインクをテフロン転移基材に塗布し、そして基材をオーブン内で140℃にて焼成した。触媒ローディングが0.14mg/cmとなるまで塗装手順を繰り返し、そしてその後、少なくとも5時間乾燥した。アノード触媒層については、比較例4から調製した触媒インクを用いた。カソード触媒層については、実施例6及び比較例7から調製した触媒インクを用いた。米国特許出願第12/321466号,Kim他に記載されるとおり、ナフィオンメンブランによる表面付着を高めるために、1,5ペンタンジオールをデカール電極に塗布した。150℃、10000kPaにて6分間、アノード及びカソード触媒層間でNa形態のナフィオンをホットプレスした。集合体を冷却し、そしてその後、電極をメンブランに接着したまま、放出ブランクをMEAから剥がした。乾燥した集合体を、0.5MのHSO中で90分間軽く煮沸し、そして沸騰している脱イオン水中で90分間洗浄した。真空下、75℃にて集合体を乾燥した。
【0050】
図3は、グリセロール、及び水/イソプロパノールから調製した炭化水素ベースのポリマーが結合した電極を有する燃料電池についての、電圧と電流密度曲線を図示している。グリセロール分散系から調製した電極が、水/イソプロパノール分散系から調製した電極よりもより良好な性能を有していることが明らかである。かかる結果は、グリセロール分散系を用いた燃料電池の性能が水ベースの分散系よりも優れていることを示している。
【0051】
実施例7及び比較例8は、高温及び低相対湿度作動条件下での、PFSAアイオノマーを超える炭化水素ベースのアイオノマーの利点を示している。実施例5の手順に従い、炭化水素ベースのアイオノマーが結合した電極を調製した。
【0052】
実施例7
燃料電池における水管理を助けるため、高温及び低相対湿度での燃料電池作動が望ましい。しかしながら、メンブラン抵抗が脱水により増大するものであるため、温度の上昇及び相対湿度の低下は、電池性能に悪影響を与える。有意に低い水輸送力が電極からメンブランに水を逆拡散し得るため、炭化水素が結合した電極を用いることは、PFSAが結合した電極と比較して、高温及び低相対湿度条件下で有利である。実施例7及び比較例8は、炭化水素ベースのアイオノマーを用いた燃料電池電極の製造を記載する本発明の一の利点を例示している。
【0053】
触媒(アルファ アイサーより提供されるカーボン上の20質量%Pt)及びポリマー分散系を完全に混合することによって、薄膜電極のための触媒分散系を調製した。
下記手順を用いた:
小バイアル中で、グリセロール中の2.5質量%スルホン化ポリ(アリーレン エーテル)分散系(表4、番号4−7から調製した)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合した。アイオノマーを熱可塑性TBA+形態に転換するために、アイオノマーの1モル当量に等しい量のTBAOHを添加した。超音波を用いて混合物を攪拌して、触媒インク中に補助触媒を均質に分散した。
【0054】
比較例8
小バイアル中で、水/イソプロパノール分散系中の2.5質量%ナフィオン212(比較例1から調製された)の1gを、0.0625gのPt/Cと混合したことを除き、実施例6と同様の手順を用いた。
【0055】
図4は、PFSA及び炭化水素が結合したカソード触媒を有するMEAの95℃での燃料電池性能を示している。完全飽和条件下、炭化水素が結合したカソード触媒を有するMEAの燃料電池性能は、PFSAが結合したカソード触媒を有するMEAと同等であった。しかしながら、カソード加湿がないと、炭化水素が結合したカソード触媒を有するMEAは、PFSAが結合したカソード触媒を有するMEAよりも優れた性能を示した。このことは、低い水浸透性の炭化水素に結合したカソード触媒が、水をアノード側に逆拡散し、このことがメンブランの水和を増加させ、そして抵抗を低下させているためと考えられる。本発明の炭化水素が結合した電極を利用することによって、MEA中の水拡散が劇的に変化し、このことが燃料電池性能を改良することを助けている。
【0056】
本発明の特定の態様が示されそして記載されているが、本発明の精神及び目的から逸脱することなく、種々の他の変化及び改変が為され得ることは、当業者に明らかである。それ故、本発明の目的内であるすべてのそのような変化及び改変が特許請求の範囲に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)およそ1%ないしおよそ5%のペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー、及び
b)およそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒
を含有する組成物であって、
前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されている、組成物。
【請求項2】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリオールはグリセロールである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、又はヘキサントリオールのうちの1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマーは塩であって、前記塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、セシウム、マグネシウム、セシウム、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるカチオンを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマーはプロトン化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマーは1100以下の当量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
a)およそ1%ないしおよそ5%の炭化水素ベースのアイオノマー、及び
b)およそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒
を含有する組成物であって、
前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されている、組成物。
【請求項9】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリオールはグリセロールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、又はヘキサントリオールのうちの1つである、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記炭化水素ベースのアイオノマーは、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル スルホン)、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル ケトン)、スルホン化ポリ(アリーレン エーテル ニトリル)、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリイミド、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記炭化水素ベースのアイオノマーは塩であって、前記塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、セシウム、マグネシウム、セシウム、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるカチオンを含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記炭化水素ベースのアイオノマーはプロトン化されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
前記炭化水素ベースのアイオノマーは1600以下の当量を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
a)およそ1%ないしおよそ5%のアイオノマー、及びおよそ95%ないしおよそ99%の、ポリオールから実質的に成る溶媒を含有する組成物を与える段階であって、
前記組成物は実質的に水を含有しておらず、且つ、前記アイオノマーは前記溶媒中に均質に分散されており、そして
b)前記組成物を、大気圧にて、3時間以内の間、およそ140℃ないしおよそ290℃の温度に加熱する段階
から成る、燃料電池用に適したポリマー分散系の製造方法。
【請求項17】
前記アイオノマーは、ペルフルオロ化スルホン酸アイオノマー、炭化水素ベースのアイオノマー、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリオールはグリセロールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタントリオール、又はヘキサントリオールのうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
無機塩基をさらに含有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記無機塩基は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記温度は、およそ140℃ないしおよそ210℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
燃料電池、センサー、又はコンデンサー用に適した電極内に前記分散系を形成させる段階をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、前記組成物を凍結乾燥させる段階を含まない、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520921(P2012−520921A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500789(P2012−500789)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/000813
【国際公開番号】WO2010/107496
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507128229)ロス アラモス ナショナル セキュリティ,リミテッド ライアビリテイ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】