説明

イオン交換樹脂およびその使用のための方法

本発明はポリスチレンと非スチレン性ポリマーとのコポリマーである樹脂に関し、前記非スチレン性ポリマーは以下のユニットを含む;
【化1】


(ここでRbは二価の連結基、好ましくはアルキレン、最も好ましくは-CH2-CH2-であり、RdはNH、NR、Oまたは存在しない)。好ましくは、前記樹脂はアクリル骨格を持つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明はイオン交換樹脂およびその交換樹脂を利用した湿式精錬方法に関する。本発明の樹脂および方法は、全く限定されないが、鉱石、精鉱、半生成物、溶液、パルプおよびスラリー等の原料から非鉄金属を抽出するために適切である。
【0002】
本発明の交換樹脂は、我々の先の国際出願PCT/AU2004/000605 (WO2004/098775)に記載された樹脂に対する改良である。
【0003】
発明の背景
鉱石から非鉄金属を抽出するためにイオン交換樹脂を利用する従来の湿式精錬方法は、スラリーを形成するために、鉱酸溶液によって鉱石から非鉄金属を浸出することを典型的に含む。スラリーは、次に、固/液分離器に供給され、そこから固相および透明な貴液相が流出される。液相は、その後、金属回収工程においてイオン交換樹脂と接触される。しかしながら、固/液分離工程は、極めて細かい粒径分布を有する固相に由来するいくつかの理由により問題があることが証明されている。
【0004】
向流デカンテーション(CCD)回路は、固/液分離工程を実行するために広く使用されている。各回路は、金属の損失を最小化し、かつ透明な浸出貴液相を生成するために、各々が50メートル超の径である6ないし9個の一連の濃縮槽をしばしば含む。さらに、濃縮槽の稼動コストは、レーキ機構(raking mechanism)を操作するための電力消費、ならびに水および凝集剤の消費を含む。凝集剤の消費は、しばしば、抽出される固形物1トンあたり200ないし800グラム超の範囲にあり、かつプラントの稼動コスト全体の10%までの割合を占め得る。
【0005】
CCD回路に固有の問題を回避するために、レジンインパルプ法が開発され、それによると、貴スラリーを形成するために、まず有価金属が原料から浸出され、その後、透明な浸出貴液からではなくて前記スラリーから有価金属を直接吸収するためにイオン交換樹脂が使用される。樹脂の再利用を可能にするために、充填された樹脂はその後パルプから分離され、有価金属は樹脂から脱離される。
【0006】
レジンインパルプ法にて交換樹脂が商業ベースで実用可能に使用されるようにするために、樹脂は、有価金属を優先的に吸収し、かつ、パルプ処理装置において繰返し使用され得るように、十分な流体力学的強度(hydro-mechanical strength)および耐久性を持たねばならない。
【0007】
発明の概要
本発明によれば、ポリスチレンと非スチレン性ポリマーとのコポリマーであり、前記非スチレン性ポリマーは以下の、アセタート含有サブユニットを含む樹脂が提供される:
【化1】

【0008】
(ここで、Rbは二価の連結基、好ましくはアルキレン、および最も好ましくは-CH2-CH2-であり、RdはNH、NR、Oまたは存在しない)。
【0009】
本発明によれば、ポリスチレンと非スチレン性ポリマーとのコポリマーであり、前記非スチレン性ポリマーはアセタート配位基を含み、かつアクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルから誘導される樹脂が提供される。
【0010】
本発明によれば、ポリスチレンと非スチレン性ポリマーとのコポリマーであり、前記非スチレン性ポリマーは以下の構造を持つユニットNを含む樹脂も提供される:
【化2】

【0011】
ここで、Rbは二価の連結基であり、好ましくはアルキレン、および最も好ましくは-CH2-CH2-である)。
【0012】
アセタート基は、非鉄金属と配位し得る。樹脂は、適切にはイオン交換樹脂である。このような樹脂は、金属含有源または原料から非鉄金属を湿式抽出(hydro-extracting)するために適切である。それらは、ニッケル含有源からのニッケルの抽出に特に適切である。
【0013】
詳細な説明
架橋
コポリマーは、好ましくは架橋コポリマーである。したがって、コポリマーは好ましくは架橋性基を含む。架橋性基は、一般に当技術分野で既知の任意のタイプであり得る。最も適切な架橋性基は、ジビニルベンゼンから誘導されたものである。架橋性基は、好ましくは5重量%未満のような低いレベルで存在し、好ましくは3〜4重量%のレベルで存在する。重量による量とは、反応してポリマーの一部を形成する他の成分の百分率としての、重合反応中に存在する、この場合ではジビニルベンゼンである、モノマー成分の重量を意味する。
【0014】
非スチレン性ポリマー
好ましくは、非スチレン性ポリマーは、非スチレン性ポリマー成分のポリマーサブユニットあたり一対のアセタート基を含み、前記アセタート基は1ないし10原子だけ隔てられる。前記アセタートの対は、非鉄金属イオンに対する二座配位サイトを適切に形成する。より好ましくは、前記アセタート基は1ないし4原子だけ、最も好ましくは1原子だけ隔てられる。1原子だけ隔てられる場合、これは適切には窒素(-N<)であり得る。この好ましい態様によれば、アセタート基の隔たりは、ニッケルのような非鉄金属イオンのための二座配位サイトを形成するために極めて適切である。
【0015】
単数または複数のアセタート基は、非スチレン性ポリマー骨格から1ないし10原子、好ましくは3ないし6原子、適切にはおよそ5原子だけ隔てられもする。原子はC、N、Oなどのような任意の性質(identity)のものであり得る。「非スチレン性ポリマー骨格」は、ポリマーの骨格を形成する、ポリマーの部分(示された例の場合においてはモノマーのビニル基の炭素原子である)を指す。
【0016】
アセタートは、アセタートのカルボキシ基の電荷と釣り合いを取る任意のカチオンを含む、任意のタイプのアセタートであり得る。適切なカチオンは、ニッケルのような目的とする非鉄金属イオンで置換されるカチオンである。カチオンはX+で表され得る。適切なカチオンはH+およびNa+であるが、任意の他の有機または無機カチオンが使用され得る。したがってアセタート成分は-CH2COO-X+で表され得る。
【0017】
コポリマーの非スチレン性ポリマー成分は、適切にはビニルポリマーをベースとするものである。「ベースとする」という用語は、非スチレン性ポリマーが1つ以上の段階で形成され得る状況を包含すべく広く使用される。例えば、スチレン性ポリマーと非スチレン性前駆体ポリマー(単数または複数のアセタート基を含まない前駆体)とを含有する前駆体コポリマーは、官能化性分子と反応し得、その反応により単数または複数のアセタート基(単数または複数の官能基)が前駆体ポリマーの非スチレン性部位に導入される。
【0018】
1つの態様によれば、単数または複数のアセタート基は、スチレン性ポリマーと非スチレン性前駆体ポリマー(目的とするコポリマーの非スチレン性ポリマーとは異なる)との前駆体コポリマーと、単数または複数のアセタート基を含む官能化性分子との反応によって適切に導入される。これは、以下でさらに記載されるように、単一の段階または複数の段階で完了し得る。
【0019】
前駆体コポリマーの前駆体非スチレン性ポリマー、すなわち前駆体非スチレン性ビニルポリマーは、適切にはアクリロニトリルおよび/またはアクリレートのようなアクリレート構造をベースとし得る。アクリレートはアクリレート自体、メタクリレートまたはC2-C4-アクリレートであり得る。適切なアクリレートはメタクリレートである。したがって、ビニルモノマーはCH2=CR1-R2で示され、ここでR1は水素またはC1ないしC4アルキル基を示し、R2はニトリル、C1-C4エステルまたはその塩のような当技術分野でビニルポリマーについて知られる任意の適切な官能基を示す。
【0020】
アクリロニトリルの使用を伴う1つの具体的な態様において、コポリマーのためのポリマー骨格の大部分は少なくとも75重量%のアクリロニトリルをベースとする。アクリロニトリルから(官能化によって)誘導されたコポリマーのポリマー成分は、コポリマーの少なくとも75%、好ましくは少なくとも84%を構成する。アクリレートはポリマー骨格の一部を形成するためにも使用され得、かつ重合の速度および程度を制御するために一般に導入される。除外されてもよいが、存在する場合は、アクリレートから誘導されたコポリマー成分は一般にコポリマーの0.5〜5%を構成する。
【0021】
単数または複数のアセタート基を導入するための2段階プロセス
単数または複数のアセタート基を導入するための2段階プロセスの場合、これは、(i)前駆体ポリマーの前駆体非スチレン性ポリマー成分を連結基と反応させて中間体コポリマーを形成すること、およびその後、(ii)連結基を有する中間体コポリマーを、単数または複数のアセタート基を含む官能化性基と反応させることを含み得る。
【0022】
この態様において、適切な連結基はエチレンジアミンのようなアルキレンジアミンであり、その後官能化性基との反応は単数または複数のアセタート基をコポリマーに導入するであろう。
【0023】
1つの例によれば、コポリマーは、
【化3】

【0024】
(波線で示された開結合(open bond)を介して-NH-CH2-CH2-のような任意の二価の連結基によってイミノ二酢酸(またはその塩)に結合される)、および
【化4】

【0025】
(波線で示された開結合を介して-NH-CH2-CH2-のような任意の二価の連結基によってイミノ二酢酸(またはその塩)に結合される)
のうちのいずれか1つまたは組合せを含む。
【0026】
イミノ二酢酸は-N(-CH2-CO2H)2基を示す。
【0027】
さらに、用語「二価の連結基」は、例示された基をイミノ二酢酸と結合させるために利用可能な2つの共有結合を持つ連結基を示す。
【0028】
ヘテロ環基
アルキレンジアミンと反応されるポリアクリロニトリルを経由する、コポリマーの段階的な調製のためのこのプロセスの間、アルキレンアミン腕を備えた中間体が縮合し、ヘテロ環(窒素含有へテロ環)を形成し得る。エチレンジアミンの場合、これは追加のポリマー成分すなわちイミダゾールを有する成分を含むコポリマーをもたらす。
ポリマー成分を含有するヘテロ環基は、ポリマー成分の15〜40重量%を構成し得るが、好ましくは23〜28重量%を構成し得る。
【0029】
スチレン性ポリマー成分
ポリスチレン性ポリマー成分は、適切には、置換されたポリスチレンである。前記置換されたポリスチレンのベンゼン環上には1つ以上の置換基が存在し得る。好ましくは、単一の置換基が存在する。1つの適切な置換基はアルキルであり、特にエチルである。
【0030】
前記スチレン基は、p-エチルスチレン、ビニルスチレンおよびp-ジビニルベンゼン(DVB)のうちの1つまたはそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0031】
コポリマーのポリスチレン性成分(あらゆるスチレン性架橋剤(cross-linker)を除く)は、好ましくはコポリマーの2ないし2.5重量%を構成する。
【0032】
ポリスチレン性成分およびジビニルベンゼンは、アクリル骨格に物理的構造を与える。
【0033】
追加の成分
コポリマーは、さらなるポリマー成分(すなわち、ポリマーの部分を形成するために共有結合される成分)をさらに含み得る。他のポリマー成分が存在する場合は、これらは好ましくはポリマー成分の5重量%未満を構成する。
【0034】
構造式
樹脂は、以下のユニットを持つコポリマーを含むことが好ましい:
【化5】

【0035】
(ここで、RaはHまたはC1-C4アルキルである;
Rbは二価の連結基、好ましくはアルキレン、最も好ましくは-CH2-CH2-である;
Rcはアルキル、好ましくは-CH2-CH3である;
zは1、2または3である)。
【0036】
好ましくは、m:n:p:r:sの重量ベースの比は、以下のm:n:p:r:sの範囲内で変わる:
mは3ないし4の範囲にある;
nは61ないし67の範囲にある;
pは23ないし28の範囲にある;
rは2ないし2.5の範囲にある;
sは0.5ないし5の範囲にある。
【0037】
適切には、m:n:p:r:sの重量ベースの比は、以下の比で現れる:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ64である;
pはおよそ27である;
rはおよそ2.5である;
sはおよそ3である。
【0038】
アクリレートがポリマー骨格から除外される状況においては、構成要素Sは存在せず、m:n:p:rの重量ベースの比は以下のm:n:p:rの範囲内で変わる:
mは3ないし4の範囲にある;
nは61ないし69の範囲にある;
pは23ないし29の範囲にある;
rは2ないし3.5の範囲にある。
【0039】
適切には、m:n:p:rの重量ベースの比は以下の比で現れる:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ68.0である;
pはおよそ26.0である;
rはおよそ2.5である。
【0040】
上記式において、ユニットはコポリマーにおいて個のブロック中に存在するが、ランダムに存在するということを意味しないということが理解されるであろう。
【0041】
樹脂は、樹脂の99%が2000ミクロン未満の径である粒径分布を持つことが好ましい。樹脂は、その99%が600ないし2000ミクロンの範囲にあり得る。
【0042】
樹脂が、樹脂の50%が1000ないし2000ミクロンの範囲にある径を持った粒径分布を持つことが好ましい。
【0043】
樹脂が構成要素Sを含む状況においては、樹脂の粒径分布の例は以下のとおりである:
【表A】

【0044】
樹脂は、ボールミル試験手順に従って試験された場合には、600ミクロン超の粒径について95%の機械的安定率を持つことが好ましい。ボールミル試験についての手順は、この明細書の例の項で詳細に議論されている。
【0045】
製造方法
本発明によれば、以下の工程を含む樹脂の製造方法も提供される:
a) ポリスチレンと非スチレン性ポリマーとを重合させることによって前駆体コポリマーを形成する工程と、
b) 前記前駆体コポリマーの前記非スチレン性部位の一部に1つ以上のアセタート基を導入することによって、前記前駆体コポリマーを官能化する工程。
【0046】
好ましくは、工程a)における非スチレン性ポリマーはビニルポリマー、適切なアクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルである。アクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルの使用は、工程a)で形成された前駆体コポリマーの非スチレン性部位に活性/反応性シアノ基を与える。
【0047】
好ましくは、工程a)におけるポリスチレンは、置換されるポリスチレンのベンゼン環上に1つ以上の置換基、適切にはアルキルを有する、置換されたポリスチレンである。適切には、前記ポリスチレンはジビニルベンゼンから誘導される。
【0048】
1つの態様によれば、前駆体コポリマーの成長速度は、好ましくはアクリレート、および適切にはメタクリレートである他の非スチレン性ポリマーを工程a)に追加することによって、少なくとも一部が管理されるか、または制御される。メタクリレートはアルキルメタクリレートおよび/またはその酸であり得る。メタクリレートの使用は、前駆体コポリマーの非スチレン性部位に反応性水酸基を与えるであろう。
【0049】
好ましくは、工程a)は20℃ないし200℃の温度範囲、より好ましくは45℃ないし70℃の温度範囲で実施される。
【0050】
好ましくは、工程a)は、過酸化ベンゾイルの形態にある触媒の存在下で実施される。
【0051】
工程b)による単数または複数のアセタート基の導入は単一の工程として実施され得るが、好ましくは、工程b)は2つのサブ工程を含み、これらは、適切には順次に実施される。
【0052】
好ましくは、工程b)の第1のサブ工程は、単数または複数の腕延長部を持った中間体コポリマーを形成するために、工程a)で形成された前駆体コポリマーの前駆体非スチレン性ポリマー成分を、エチレンジアミンのようなアルキレンジアミンの形態にある連結基と反応させることを含む。用語「腕延長部」は、自由端(free ends)を指すか、または中間体コポリマーから延びる、反応したアルキレンジアミンの端を指す。
【0053】
工程a)が、アクリロニトリルの形態にある非スチレン性ポリマーの重合を含む状況においては、好ましくは、工程b)の第1のサブ工程は、コポリマーの、アクリロニトリルから誘導される成分から延びる、アルキレンジアミンからの単数または複数の腕延長部を形成するために、アクリロニトリルから誘導される成分のシアノ基をアルキレンジアミンと直接反応させることを含む。
【0054】
工程a)における非スチレン性ポリマーがメタクリレートを含む状況においては、好ましくは、工程b)の第1のサブ工程は、コポリマーのポリアクリレートまたはメタクリレート由来の成分から延びる、アルキレンジアミンからの単数または複数の腕延長部を形成するために、メタクリレートから誘導される成分の水酸基をアルキレンジアミンと直接反応させることを含む。
【0055】
好ましくは、工程b)の第2のサブ工程は、非スチレン性成分上にイミノ二酢酸基を形成するために、中間体コポリマーの腕延長部を反応させることを含む。さらにより好ましくは、第2のサブ工程は、水酸化物の存在下で中間体コポリマーを、酢酸適切にはクロロ酢酸と反応させることを含む。好ましくは、中間体コポリマーは、酢酸との反応の前にアミンをすすぎ落とされるか、または洗浄される。
【0056】
好ましくは、工程b)の第1のサブ工程は、アクリロニトリル成分上にヘテロ環基を形成するために、アクリロニトリルから誘導される成分の腕延長部の縮合反応をも含み得る。縮合反応は、アルキレンジアミンと、アクリロニトリルから誘導される成分の活性シアノ基および/またはコポリマーの、ポリアクリレートから誘導される成分の水酸基との直反応と同時に生じ得る。
【0057】
好ましくは、工程b)の第1のサブ工程は100℃ないし300℃の範囲の温度で実施される。
【0058】
好ましくは、中間体コポリマーを、酢酸適切にはクロロ酢酸と反応させることを含む工程b)の第2のサブ工程は、80℃ないし95℃の範囲にある温度で実施される。
【0059】
応用
本発明によれば、有価金属を含有する液相を有するスラリー、パルプまたは溶液から非鉄金属を湿式抽出するための方法も提供され、前記方法は、非鉄金属を液相から交換樹脂に吸着させる工程を含み、前記交換樹脂は先に記載されている通りのものである。
【0060】
非鉄金属は例えば鉛または銅であり得るが、前記非鉄金属はニッケルおよび/またはコバルト、またはこれらの金属を含有する鉱物であることが好ましい。
【0061】
この方法は、ニッケルおよび/またはコバルトのようなターゲット金属を不純物から分離するために有用である。
【0062】
非鉄金属を樹脂に吸着させる工程は100℃未満の温度で実施されることが好ましい。
【0063】
本方法は、吸着工程に先立って、または吸着工程の間に、アルカリ試薬を液相に添加することによって液相のpHを調節することを含むことが好ましい。
【0064】
液相のpHは1.0ないし5.0の範囲にあることが好ましい。
【0065】
液相のpHは3.5〜4.5の範囲にあることがさらにより好ましい。
【0066】
非限定的な例によれば、アルカリ試薬は石灰岩、石灰、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類炭酸水素塩またはその混合物であり得る。
【0067】
一旦、樹脂が非鉄金属をロード(load)されると、本方法は樹脂をスラリーまたはパルプから分離する工程を含むことが好ましい。
【0068】
分離工程は、スクリーン分離機(screen separators)を用いて実行され得る。
【0069】
本方法は、酸性溶液またはアンモニア性溶液を用いて、吸着された非鉄金属を樹脂から剥離する工程を含むことが好ましい。
【0070】
剥離剤(stripping agent)が酸である場合の状況においては、酸は硫酸、塩酸または硝酸のいずれかであることが好ましい。
【0071】
剥離剤が酸である場合は、酸の濃度は0.5 M〜5.0 Mの範囲にあることが好ましい。
【0072】
剥離剤がアンモニア性溶液である場合の状況においては、溶液は15ないし25 %アンモニアの範囲にあることが好ましい。
【0073】
一旦樹脂から非鉄金属を剥離されると、樹脂は吸収工程にリサイクルされることが好ましい。
【0074】
本方法は、非鉄金属を溶解してスラリーまたはパルプの液相が有価物に富むようにするために、鉱石または精鉱または他の原料を鉱酸またはアンモニア性溶液によって浸出することを含むことが好ましい。浸出工程は、高圧浸出、攪拌浸出、野積み浸出、大気圧浸出、生物酸化浸出(bio-oxidation leaching)またはこれらの技術の組合せを含む任意の既知の浸出技術を用いて実施され得る。
【0075】
スラリーまたはパルプは10ないし60%の固形物を含むことが好ましい。
【0076】
スラリーまたはパルプが30ないし60%の固形物を含むことがさらにより好ましい。
【0077】

以下の例は、本発明に従う樹脂の2つの態様に関し、一方の樹脂は先述の構成要素Sを含み(以下、「第1の樹脂」と呼ぶ)、他方の樹脂はこの構成要素を含まない(以下、「第2の樹脂」と呼ぶ)。樹脂の記載は以下の項目のもとに与えられる:
・ 第1および第2の樹脂の合成についての手順を記載する「樹脂の調製」;
・ 第1の樹脂の機械的安定性を試験するための実験室手順を記載する「ボールミル試験」;
・ 尾鉱溶液(trailing solution)および浸出スラリーから非鉄金属を吸収するための第1の樹脂の適切さを証明する2つの吸収試験の詳細を記載する「吸収試験」。
【0078】
樹脂の調製
第1の樹脂は、構成要素M、N、P、RおよびSを持つ先の「構造式」の項目のもとで説明された構造を持ち、ここでRaはメチルであり、各例においてRbは-CH2-CH2-であり、Rcはエチルであり、zは1であり、かつm:n:p:r:sの重量ベースの比は以下の比で現れる:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ64である;
pはおよそ27である;
rはおよそ2.5である;
sはおよそ3である。
【0079】
理解されるように、ポリアクリロニトリルから誘導された構成要素NおよびPは、他の構成要素M、RおよびSよりも遥かに多く存在する。構成要素Sは、他の非スチレン性ビニルポリマー(メタクリレート)をベースとするが、構成要素NおよびPよりも遥かに少なくしか存在しない。ビニル基は樹脂の骨格を形成し、前記樹脂はポリスチレンを少量しか含有しない。
【0080】
生成した樹脂中の構成要素M、N、P、RおよびSの相対量は、出発物質の正確な組成を考慮した実験によって決定され得る。
【0081】
第1の樹脂の合成は、前駆体コポリマー物質を形成するための最初の重合反応を含む。最初の重合反応は、それぞれ構成要素MおよびRで表される架橋性コモノマーであるp-ジビニルベンゼン(DVB)およびエチレンスチレン(ES)と一緒のアクリロニトリルの重合を含む。モノマー性反応物質すなわちアクリロニトリル、DVBおよびESを、適切な分散剤および過酸化ベンゾイルのような重合触媒を含む水性媒体を含む容器に仕込む。反応混合物を激しく攪拌し、重合が生じる20℃ないし200℃、好ましくは45℃ないし70℃の範囲にある温度に維持する。
【0082】
反応物の重合はビーズ状または一般に円形状の前駆体コポリマー樹脂を生成する。ビーズの成長速度および究極的には、形成されるビーズの径を制御するために、メタクリレートも反応混合物に添加する。前駆体(反応性)コポリマーは、アクリロニトリルにより与えられた反応性シアノ基と、メタクリル酸により与えられた水酸基とを含む。しかしながら、中間体ポリマー物質は、必要な場合は長時間貯蔵することが可能なほどに十分安定である。
【0083】
最終的な樹脂製品を形成するための前駆体コポリマーの誘導体化は2段階工程で達成される。第1の工程は、以下の3つのタイプの反応を含む:
i) アクリロニトリル由来の基から延びる「腕」を形成するための、アクリロニトリル由来の成分の反応性シアノ基とエチレンジアミンとの直接反応
ii) コポリマーのポリアクリロニトリル由来の成分からの「腕」を形成するための、メタクリレート由来の成分中の反応性水酸基とエチレンジアミンとの直接反応
iii) 構成要素P中に存在するイミダゾール基を形成するための、上記反応(i)によって作られた生成物の「腕」延長部の縮合
反応i)ないしiii)は、無水条件下、かつ適切な触媒の存在下で100℃ないし300℃の温度範囲で同時に実行される。
【0084】
誘導体化の第2の工程は、先述の式においてNおよびSで表されるポリマーの非スチレン性成分のイミノ二酢酸基を形成するために、このようにして生成する中間体コポリマーの縮合していない「腕」延長部と追加の酢酸官能基とを反応させることを含む。具体的には、コポリマーは過剰なアミンをすすぎ落とされ、その後、アセタート基を導入して、ジイミノアセテタート官能基を生成するために、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの存在下で80℃ないし95℃の範囲にある温度にて、クロロ酢酸と反応させられる。
【0085】
樹脂は分離したポリマー粒子として製造され、水和物の形態にある場合は以下の粒径分布を持ち得る。
【表B】

【0086】
第2の樹脂は、構成要素M、N、PおよびRを持つ、すなわち構成要素Sは存在しない先の「構造式」の項目のもとで説明された構造を持ち、ここで各例においてRbは-CH2-CH2-であり、Rcはエチルであり、zは1であり、m:n:p:rの重量ベースの比は以下の比で現れる:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ68.0である;
pはおよそ26.0である;
rはおよそ2.5である。
【0087】
第2の樹脂の合成は、合成手順からメタクリレートを除くということ以外は、先に説明された第1の樹脂についての合成手順と実質的に同じである。それ故に、最終的な樹脂製品を形成するための前駆体コポリマー物質の誘導体化の第1の工程は反応i)およびiii)を含むが、反応ii)を含まないということである。先述した第2の樹脂の合成は、樹脂の5%超が425ないし630ミクロンの範囲にある粒径を持つ粒径分布を与えるということが発見されている。対照的に、先述した第1の樹脂は、同じ粒径範囲に渡っては樹脂の1%未満である粒径分布を与える。一般的にいえば、第1の樹脂は、それ故に第2の樹脂よりも移動床プロセスにより適切である。
【0088】
ボールミル試験
樹脂の商業化の可能性は、少なくとも部分的には機械的負荷に耐える性能に依存する。流体力学的強度または機械的安定性は、樹脂の耐久性を示すために使用される用語であり、かつ摩擦液体環境(abrasive liquid environments)およびパルプ処理装置中での使用についての樹脂の安定性の指標となる。
【0089】
イオン交換樹脂の流体力学的強度は、以下のボールミル試験に従って評価され得る。この試験はレジンインパルプ法を含む任意のイオン交換法に適用できる。
【0090】
試験は、内高98 mm +/- 0.5 mm、内径80 mm +/- 0.5 mmであるステンレス鋼金属バレルで構成されるボールミル装置を使用して実施された。バレルの一方の端は、バレルの中に装填される材料のためのねじ蓋を備えた開口を持ち、他方の端は回転駆動部に接続された10 mmのシャフトを持つ。操作の間、バレルは水平方向に支持され、かつその長軸回りに回転された。
【0091】
2つのサイズの金属ボールをその後バレルに装填した。具体的には、12 mm ±0.5 mmの径を持つ22ないし24個のボールをバレルに装填し、かつ、7.5 mm±0.5 mmの径を持つ33ないし36個のボールを同じくバレルに装填した。
【0092】
先述したような本発明の第1の樹脂の構造および粒径分布を持つ樹脂を、「樹脂の調製」の項目のもとに記載された手順に従って調製した。樹脂は次に、600ミクロンの篩を用いて篩にかけられ、600 mlよりも大きな粒子を有する水和された樹脂の試料100 mlを収集し、100 mlの水と一緒にバレルに装填した。
【0093】
バレルを次に200 rpmで60分間動作させた。60分後、樹脂をシリンダーから抜き出し、212ミクロンの篩によって篩にかけた。樹脂を再び600ミクロンの篩によって篩にかけ、篩を通らなかった樹脂をメスシリンダー中に置き、その体積を記録した。
【0094】
シリンダー中で測定された該体積の樹脂は破砕されていないものとみなし、それから、機械的安定率を、破砕されていない樹脂の百分率として計算した。
【0095】
樹脂は、少なくとも95%の機械的安定率を持つことがわかった。我々の経験では、95%の機械的強度を持つ樹脂は、パルプが60%までの固相を含む直接レジンインパルプ用途に使用することができる。さらに、樹脂は、任意の適切な構成を持つ吸着装置において使用され得、また、バッチ法、連続法、並流法または向流法を含む任意のタイプの方法に使用され得る。
【0096】
比較として、先に説明したような同じボールミル試験を、2つの市販樹脂すなわちDOW XFA 4195およびROHM & HAAS IRC-718の商標名で入手できる樹脂で実施した。以下の表に示される結果から判るように、本発明の第1の樹脂の機械的強度は、試験された市販樹脂の強度よりも遥かに優っている。
【表C】

【0097】
吸収試験
例1
この例は、ニッケル/コバルト製造プラントの尾鉱溶液形態にある試験溶液からのニッケルおよびコバルトの抽出を含むものであった。
【0098】
例は、先述された本発明の第1の樹脂に従った構造を持ち、かつ「樹脂の調製」の項目のもとで先述された合成手順に従って作られた樹脂のビーズを含有する700 mlのガラス固定床カラム中で実施した。試験溶液をカラムの頂部に送り込み、試験溶液を下方に、樹脂全体に渡らせて流し落とし、カラムの底部で回収するようにした。溶液を所望の速度でカラムの頂部に送り込むために蠕動ポンプを使用し、貧溶液をカラムの底部から排出した。試験溶液を3〜5 vol/vol/hrまたは2.1〜3.5 L/hrで40時間、カラムの頂部に送り込み、試験溶液はおよそ5.5のpHを持っていた。カラムの底部から排出された貧リカー中のニッケル濃度を、ニッケル濃度が予め決定された200 ppmの値を超えるまで60分毎にモニターした。一旦予め選択された値に達すると、吸着抽出工程を完了した。
【0099】
吸着工程の後に、樹脂の分析は、樹脂の4分の3 (すなわち、全部で700 ml中の510 ml)が完全に飽和していたことを示した。
【0100】
完全にロードされた樹脂の部分を、その後、水で濯ぎ、8 %硫酸溶液を0.5 vol/vol/hrまたは250 ml/hrの速度でカラムを通過させることにより、同じカラムにおける脱着工程においてさらに処理した。脱着工程を6時間の間実施し、1.5 Lの酸を消費して溶出溶液を生成し、これをカラムの底から抜き取った。
【0101】
以下、表1に、試験溶液、貧溶液および溶出溶液の組成を示す。
【表1】

【0102】
表1に示された組成は、流入したニッケルの98.3 %およびコバルトの98.7 %が試験溶液から除去されたことを示す。溶出液中のニッケル濃度は非常に高く、ニッケルについては18 g/Lに至り、コバルトについては0.5 g/Lよりも高い。
【0103】
脱着溶液中の潜在的な不純物に対する、ターゲット金属(ニッケル)のターゲット金属濃度の比は、適用された溶液における比よりも遥かに大きく、高い単一工程の精製率を与えた。
【0104】
例2
この例は、高圧ラテライト浸出スラリーからのニッケルおよびコバルトの抽出を含むものであった。
【0105】
浸出スラリーを、220ないし230℃の範囲にある温度で硫酸を用いてチタンオートクレーブ中で調製した。浸出貴スラリーはおよそ0.8のpH、およそ1.40の比重およびおよそ28.5 w/w %の固体濃度を持っていた。
【0106】
浸出貴スラリーのpHを、抽出工程の数時間前に石灰岩パルプを添加することによって調節した。中和後のスラリーはおよそ4.5のpHおよびおよそ35.0 w/w %の固体濃度を持っていた。
【0107】
浸出スラリーを、直列に接続された10個の反応器を含む吸収回路を通して送給した。各反応器はホウケイ酸ガラスで作られ、かつ先述された本発明の第1の樹脂に従った構造を持ちかつ「樹脂の調製」の項目のもとで先述された合成手順に従って作られた樹脂のビーズおよそ100 mLを含んだステンレス鋼メッシュ籠を内蔵した。スラリーを、反応器番号1から反応器番号10まで反応器中に導く一方で反応器番号10から反応器番号1まで、樹脂で充填された籠をスラリーについての流の方向に対して向流に移動させた。
【0108】
フレッシュな浸出貴スラリーを、吸収回路全体に渡るスラリーの速度を決定する蠕動ポンプによって、およそ0.6 L/hrの流速にて反応器番号1に送り込んだ。スラリーをおよそ60℃の温度で維持し、かつ空気攪拌の手段によって反応器中で混合した。
【0109】
溶出溶液を作るために、ロードされた樹脂で充填された700 mLの脱着固定床カラムに12%塩酸溶液を0.5 vol/vol/hrまたは350 ml/hrの速度で通過させることを含む脱着工程において、反応器1から除去された籠および樹脂を処理した。
【0110】
以下、表2に、試験溶液、貧溶液および溶出溶液の組成を示す。
【表2】

【0111】
例2の結果は、以下の好ましい結果を持つ:
供給スラリーの液相からのニッケルおよびコバルトの実質的に完全な抽出、すなわち99.9 %までの抽出率が達成された;
・ ターゲット金属について、すなわちニッケルについての45 g/Lまでの高い樹脂のロード率;
・ 溶出溶液中のニッケルおよびコバルトの高い濃度、すなわちニッケルについて49 g/Lおよびコバルトについて1.3 g/L;
・ 低い不純物レベル。
【0112】
本発明の精神および範囲から離れることなく、多くの変形および変更が先述の例について為され得ることが本発明の分野における当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレンと、非スチレン性ポリマーとのコポリマーである樹脂であって、前記非スチレン性ポリマーは以下のアセタート含有サブユニットを含む樹脂;
【化1】

(ここでRbは二価の連結基であり、RdはNH、NR、Oまたは存在しない)。
【請求項2】
Rbがアルキレンである請求項1による樹脂。
【請求項3】
前記非スチレン性ポリマーが、アクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルから誘導される請求項1または2による樹脂。
【請求項4】
アクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルから誘導された前記非スチレン性ポリマーが、前記コポリマーの少なくとも75重量%を構成する請求項1ないし3のいずれか1項による樹脂。
【請求項5】
アクリロニトリルまたはポリアクリロニトリルから誘導された前記非スチレン性ポリマーが、前記コポリマーの少なくとも85重量%を構成する請求項1ないし3のいずれか1項による樹脂。
【請求項6】
RdがNHであり、前記アセタート含有サブユニットが以下の構造を持つユニットNの中に含まれる請求項1ないし5のいずれか1項による樹脂;
【化2】


【請求項7】
前記ユニットNが、前記コポリマーの61ないし69重量%を構成する請求項6による樹脂。
【請求項8】
前記非スチレン性ポリマー成分が、以下の構造を持つユニットPをさらに含む請求項1ないし7のいずれか1項による樹脂:
【化3】

(ここでZは1、2または3である)。
【請求項9】
前記ユニットPが、前記コポリマーの15ないし40重量%を構成する請求項8による樹脂。
【請求項10】
前記ユニットPが、前記コポリマーの23ないし29重量%を構成する請求項9による樹脂。
【請求項11】
前記非スチレン性ポリマー成分が、以下の構造を持つユニットSをさらに含む請求項1ないし10のいずれか1項による樹脂:
【化4】

(ここでRaはHまたはC1-C4アルキルであり、Rbは二価の連結基、適切にはアルキレンである)。
【請求項12】
Rbが-CH2-CH2-である請求項11による樹脂。
【請求項13】
前記ユニットSが、前記コポリマーの0.5ないし5重量%を構成する請求項10または12による樹脂。
【請求項14】
前記ポリスチレン性成分が、置換されたポリスチレンである請求項1ないし13のいずれか1項による樹脂。
【請求項15】
前記ポリスチレン性成分が、前記置換されたポリスチレンのベンゼン環上に、アルキルの形態にある1つ以上の置換基を持つ請求項14による樹脂。
【請求項16】
アルキルで置換された前記ポリスチレン性成分が、前記コポリマーの2ないし2.5重量%を構成する請求項15による樹脂。
【請求項17】
前記樹脂が架橋されたコポリマーであり、かつ前記ポリスチレン性成分が、ジビニルベンゼンから誘導されたスチレン性架橋剤をさらに含む請求項1ないし16のいずれか1項による樹脂。
【請求項18】
前記ポリスチレン性架橋剤成分が、前記コポリマーの5重量%未満を構成する請求項17による樹脂。
【請求項19】
前記スチレン性架橋剤成分が、前記コポリマーの3ないし4重量%を構成する請求項17による樹脂。
【請求項20】
以下の構造ユニットを持つコポリマーである樹脂:
【化5】

(ここで、Rbは二価の連結基、適切にはアルキレンである;
Rcはアルキル、適切には-CH2-CH3である;
zは1、2または3である)。
【請求項21】
Rbが-CH2-CH2-である請求項20による樹脂。
【請求項22】
Rcが-CH2-CH3である請求項20または21による樹脂。
【請求項23】
m:n:p:rの重量ベースの比が以下の範囲で変わる請求項20ないし22のいずれか1項による樹脂:
mは3ないし4の範囲にある;
nは61ないし69の範囲にある;
pは23ないし29の範囲にある;
rは2ないし3.5の範囲にある。
【請求項24】
前記m:n:p:rの重量ベースの比が以下の比で現れる請求項20ないし23のいずれか1項による樹脂:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ68.0である;
pはおよそ26.0である;
rはおよそ2.5である。
【請求項25】
以下の構造を持つユニットSをさらに含む請求項1ないし24のいずれか1項による樹脂:
【化6】

(ここでRaはHまたはC1ないしC4アルキルである)。
【請求項26】
前記m:n:p:r:sの重量ベースの比が以下の範囲内で変わる請求項25による樹脂:
mは3ないし4の範囲にある;
nは61ないし67の範囲にある;
pは23ないし28の範囲にある;
rはおよそ2ないし2.5の範囲にある;
sは0.5ないし5の範囲にある。
【請求項27】
前記m:n:p:r:sの重量ベースの比が以下の比で現れる請求項25による樹脂:
mはおよそ3.5である;
nはおよそ64である;
pはおよそ27である;
rはおよそ2.5である;
sはおよそ3である。
【請求項28】
前記樹脂が、前記樹脂の99%が2000ミクロン未満の径である粒径分布を持つ請求項1ないし27のいずれか1項による樹脂。
【請求項29】
前記樹脂が、前記樹脂の50%が1000ないし2000ミクロンの範囲にある径を持つような粒径分布を持つ請求項1ないし28のいずれか1項による樹脂。
【請求項30】
前記樹脂が、ボールミル試験手順に従って試験された場合に600ミクロン超の粒径について95%の機械的安定率を持つ請求項1ないし29のいずれか1項による樹脂。
【請求項31】
有価金属を含有する液相を有するスラリー、パルプまたは溶液から非鉄金属を湿式抽出するための方法であって、前記方法は、前記液相から非鉄金属を請求項1ないし30のいずれか1項による樹脂に吸着させる工程を含む方法。
【請求項32】
前記非鉄金属が、ニッケルおよび/またはコバルト、またはこれらの金属を含有する鉱物である請求項31による方法。
【請求項33】
前記非鉄金属を前記樹脂に吸着させる前記工程が100℃以下の温度で実施される請求項31または32による方法。
【請求項34】
前記吸着工程に先立って、または前記吸着工程の前に、前記液相にアルカリ試薬を添加することによって前記液相のpHを調節することを含む請求項31ないし33のいずれか1項による方法。
【請求項35】
前記液相の前記pHが、1.0ないし5.0の範囲にある請求項34による方法。
【請求項36】
前記液相の前記pHが、3.5ないし4.5の範囲にある請求項35による方法。
【請求項37】
前記アルカリ試薬が、石灰岩、石灰、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ炭酸水素塩、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類炭酸水素塩またはそれらの混合物である請求項34ないし36のいずれか1項による方法。
【請求項38】
ロードされた樹脂を、前記スラリーまたはパルプから分離する工程をさらに含む請求項31ないし37のいずれか1項による方法。
【請求項39】
前記分離工程が、スクリーン分離機を使用して実施される請求項38による方法。
【請求項40】
前記方法が、酸剥離溶液またはアンモニア性剥離溶液のいずれかを使用して、吸着された非鉄金属を前記樹脂から剥離する工程を含む請求項31ないし39のいずれか1項による方法。
【請求項41】
前記酸溶液が、0.5 Mないし5.0 Mの範囲にある濃度を持つ硫酸、塩酸または硝酸のいずれかである請求項40による方法。
【請求項42】
前記アンモニア性溶液が、15ないし25%アンモニアの範囲にある濃度を持つ請求項40による方法。
【請求項43】
一旦前記樹脂が非鉄金属を剥離されると、前記樹脂が前記吸収工程にリサイクルされる請求項31ないし42のいずれか1項による方法。
【請求項44】
前記スラリーまたはパルプが、10ないし60%の固形物を含む請求項31ないし43のいずれか1項による方法。
【請求項45】
前記スラリーまたはパルプが、30ないし60%の固形物を含む請求項31ないし44のいずれか1項による方法。

【公表番号】特表2010−504377(P2010−504377A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528555(P2009−528555)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001409
【国際公開番号】WO2008/034198
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(509081366)クリーン・テキュ・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】