説明

イオン性ビニルモノマーの製造方法及びそれからなる帯電防止剤と帯電防止組成物

【課題】高純度イオン性ビニルモノマーの製造方法を提供する。樹脂、有機溶媒との相溶性が良好であり、耐加水分解性が高く、各種電気化学デバイスにも好適に用いられ、優れた帯電防止効果を有する、ハロゲンフリー、金属塩フリーのイオン性ビニルモノマー、該モノマーからなる帯電防止剤を提供する。
【解決手段】3級アミン化合物とチオシアン酸エステルの4級化反応により、一般式(1)(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基またはベンジル基を表し、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)で示されるイオン性ビニルモノマーを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室温で液体であり、ハロゲンフリー且つ金属イオンフリーのイオン性ビニルモノマーの製法方法、該モノマーからなる帯電防止剤及び該帯電防止剤を含有する帯電防止性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
第4級アンモニウム塩は優れた帯電防止性能を有するため、樹脂用帯電防止剤として従来から知られている(特許文献1、2)。特に近年、樹脂表面にブリードアウトし難く、持続的に帯電防止効果を維持できる高分子型の第4級アンモニウム塩が多く報告された(特許文献3)。
【0003】
アクリレート系とアクリルアミド系カチオン性第4級アンモニウム塩が高分子型帯電防止組成物のベースモノマーとして使用することが公知化されている。しかし、多くの重合性アンモニウム塩は室温で固体であり、極性が高く、吸湿性が高く、また製造上の関係で通常水溶液の状態で流通している。例えば、不飽和第3級アミンであるN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドに4級化剤としてメチルクロライドを加えて、水とアプロティックな有機溶媒からなる混合溶媒存在下で4級化反応を行う方法がよく使われている(特許文献4)。当然ながら、この方法により得られるカチオン性第4級アンモニウム塩モノマーは通常水溶液タイプであるため、塗膜時の乾燥性が悪く、また、汎用樹脂、多官能アクリルモノマー、オリゴマー、有機溶媒などとの相溶性が乏しく、均一に分散できず、有効な帯電防止性が発現できないという問題点があった。仮に第4級アンモニウム塩モノマーを高純度に精製し、極性有機溶媒に溶解させたとしても、これらのモノマー自身の親水性が高く、室温で固体であるために、有機溶媒を除去して使用する際に樹脂中の他成分に対する溶解性が低く、樹脂中で凝縮するか樹脂から析出し、連続した帯電防止膜を形成できず、目標とする帯電防止性能を達成できない場合があった。
【0004】
そこで、樹脂、有機溶媒との相溶性を改良しようとする種々の試みも行われてきた。例えば、アクリレート系第4級アンモニウムモノマーと他の重合可能なビニルモノマーを共重合して使用する方法が報告されている(特許文献5、6)。しかし、これらの方法では、帯電防止組成物中のカチオン性ビニルモノマーの含有量が低下するため、目標とする帯電防止性能を得るためには、この共重合体を多量に添加する必要があり、その結果、樹脂の各種特性が低下するとともに、樹脂組成物の価格が高くなってしまうという問題点があった。
【0005】
また、第4級アンモニウム塩モノマー自身の相溶性向上の目的で、例えば、特許文献7、8、9では、弱配位性アニオンを有する重合性化合物を提案している。しかし、これらの提案のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等のアニオンは一分子に4〜6個のフッ素原子を含有する有機フッ素化合物であり、自然環境において極めて難分解性であるため、環境有害化学物質としてその使用量の削減と全面廃止が環境対策として求められている。
【0006】
一方、透明性及び樹脂、溶剤への溶解性を持たせるため、チオシアナートイオンをアニオンとするアンモ二ウム塩が提案された(特許文献10、11、12)。しかし、これらの提案のアンモニウムチオシアン酸塩は全てアンモニウムのクロリド塩又はブロミド塩を原料とする公知化された金属塩反応法で合成されている。即ち、水溶液中で、第4級アンモニウムのクロリド塩又はブロミド塩とチオシアン酸の金属塩とのアニオン交換反応を行い、目的生成物を酢酸エチルなどの有機溶媒により抽出、分離する方法である。この方法では、アニオンとして塩素又は臭素イオン、同時にカチオンとしてナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンの生成物へ混入は回避できない。ハロゲンイオンの残存による環境負荷が高く、金属へ腐食性が懸念され、特に電子材料として使用される場合、電子製品の機能低下、故障の原因になる可能性がある。一方、金属イオンが残存すると、空気中の二酸化炭素を吸収しやくなり、同様に金属への腐食が促進され、電子材料として使用できない場合がある。また、公知の通り、水溶液から有機溶媒へ抽出できる前提条件として、目的生成物が水に難溶、有機溶媒に可溶又は易溶であることが必須であるが、特許文献11と12に報告された一部のアクリレート系又はアクリルアミド系のアンモニウムカチオンは水溶性であり、それらの水溶性のチオシアン酸アニオンから構成されるアクリレート系又はアクリルアミド系アンモニウムチオシアン酸4級塩、即ち本発明のイオン性ビニルモノマー、も勿論水溶性である。しかも、該イオン性ビニルモノマーは水と任意比例で混合でき、酢酸エチルに対する溶解度は5%未満である。従って、公知化された抽出分離の方法では本発明のイオン性ビニルモノマーを効率よく製造、分離することは明らかに困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−231240号公報
【特許文献2】特開2008−13636号公報
【特許文献3】特開2008−231196号公報
【特許文献4】特開昭63−201151号公報
【特許文献5】特開2007−332181号公報
【特許文献6】特開2000−129245号公報
【特許文献7】特開2007−9042号公報
【特許文献8】特開2005−255843号公報
【特許文献9】特開2006−45425号公報
【特許文献10】特開2009−13295号公報
【特許文献11】特開2009−197074号公報
【特許文献12】特開2009−179671号公報
【0008】
以上述べたように、アンモニウムカチオンとチオシアナートアニオンから構成される、室温で液体であるイオン性ビニルモノマーを高収率、高純度、工業的に製造する方法は従来知られていない。また、汎用アクリルモノマーとの相溶性が良好で、優れた耐加水分解性を有し、UV硬化に応用でき、しかも硬化後長く帯電防止効果が持続できる、帯電防止剤用の安価な、室温で液体であるイオン性ビニルモノマー、該モノマーからなる帯電防止剤、帯電防止組成物は未だに簡便に得られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第一目的は、室温で液体であり、ハロゲンフリー且つ金属イオンフリーの高純度の第4級アンモニウム塩イオン性ビニルモノマーの効率的且つ経済的な製造方法を提供することにある。本発明の第二目的は、該第4級アンモニウム塩イオン性ビニルモノマーを構成成分とする、汎用アクリルモノマーや他の帯電防止剤組成物に均一に分散でき、帯電防止効果が優れ且つ長期持続可能な耐加水分解性を有する帯電防止剤および該帯電防止剤を含有する帯電防止性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者はこれらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で表されるイオン性ビニルモノマーを、下記一般式(2)で表される3級アミン化合物と下記一般式(3)で表されるチオシアン酸エステルとを4級化することにより得ることを見出した。さらに当該イオン性ビニルモノマー及び/又は当該イオン性モノマーからなるオリゴマー、ポリマーで構成した帯電防止剤を見出した。該帯電防止剤を有機溶媒に溶解させてから基材上にコーティング、固定することで帯電防止層を形成させることにより上記課題を解決し、本発明に到達した。
【化1】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基またはベンジル基を表し、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)

【化2】

式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)

【化3】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基を表す。)

【0011】
すなわち本願発明は、1)一般式(1)で表される化合物であるイオン性ビニルモノマーが、一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基またはベンジル基を表し、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)一般式(2)で表される3級アミン化合物、
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)と一般式(3)、
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基を表す。)で表されるチオシアン酸エステルとの4級化反応により合成されることを特徴とする製造方法、
2)3級アミン化合物はN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする前記1)記載の製造方法、
3)前記1)及び前記2)記載の製造方法で合成されるハロゲンフリー(各種ハロゲンイオン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性ビニルモノマー、4)前記3)記載のイオン性ビニルモノマーをラジカル重合させることにより得られるハロゲンフリー各種ハロゲンイオン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性ホモオリゴマーとホモポリマー、
5)前記3)記載のイオン性ビニルモノマーと他の共重合可能のビニル系単量体との共重合で得られるハロゲンフリー(各種ハロゲンイオン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性コオリゴマーとコポリマー、
6)前記3)乃至前記5)記載のイオン性ビニルモノマー及び/又はオリゴマー若しくはポリマーからなるハロゲンフリー各種ハロゲンイオン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)の帯電防止剤、
7)前記6)記載の帯電防止剤又は該帯電防止剤を含有する帯電防止組成物であって、前記3)記載のイオン性ビニルモノマーを構成単位として0.1〜90重量%含有するもの、8)前記6)記載の帯電防止剤を含有する帯電防止組成物であって、さらに多官能(メタ)アクリレート及び/又は多官能(メタ)アクリルアミドを含有する帯電防止組成物、9)基材上に前記6)〜8)いずれか一項に記載の帯電防止剤又は帯電防止組成物を塗布した後、活性エネルギー線又は熱により重合して形成されることを特徴とする帯電防止層、10)少なくとも片面に前記8)記載の帯電防止層を有することを特徴とする帯電防止フィルム、シート、


を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によると、室温で液体であり、ハロゲンフリー且つ金属イオンフリーの高純度のイオン性ビニルモノマーを高収率且つ簡便に製造することができる。また、該イオン性ビニルモノマーを構成成分とする帯電防止剤及び帯電防止剤組成物は、耐加水分解性を有し、汎用アクリルモノマーや有機溶媒への溶解性、親和性に優れるため、他の帯電防止剤組成物に均一に分散でき、帯電防止効果が優れ且つ長期持続できる。帯電防止剤および該帯電防止剤を含有する帯電防止性組成物、帯電防止層、帯電防止膜または帯電防止フィルム、シートが提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のイオン性ビニルモノマーは、一般式(1)で表わされるイオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー、イオン性(メタ)アクリレート系モノマー、及びそれらのモノマーから構成されるオリゴマー若しくはポリマーのうちいずれか1種以上からなるものである。
【0014】
一般式(1)の式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基またはベンジル基を表し、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
【0015】
本発明のイオン性ビニルモノマーとして、具体的には、アクリロイルアミノメチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノメチルトリエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノメチルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルメチルジエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルエチルジメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルメチルジプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルジエチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルメチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルアミノプロピルエチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノメチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノメチルトリエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノメチルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルメチルジエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルエチルジメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルメチルジプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルジエチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルメチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルエチルジベンジルアンモニウムチオシアナートなどの(メタ)アクリルアミド系アンモニウムアルキルチオシアナート4級カチオン性モノマーなどが挙げられ、またはアクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシメチルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルメチルジエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルエチルジメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルメチルジプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルトリエチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルジエチルベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルメチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシプロピルエチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシメチルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルメチルジエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルエチルジメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルメチルジプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルトリエチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルトリプロピルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルジエチルベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルメチルジベンジルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシプロピルエチルジベンジルアンモニウムチオシアナートなどの(メタ)アクリレート系アンモニウムアルキルチオシアナート4級カチオン性モノマーなどが挙げられる。これらの中では、安価な工業的原料を入手しやすい点で、特にアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナートが好ましい。
【0016】
本発明の出発物質である一般式(2)で表わされる3級アミン化合物はN,N−二置換アミノ(メタ)アクリルアミド系モノマーとN,N−二置換アミノ(メタ)アクリレート系モノマーである。
【0017】
一般式(2)の式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
【0018】
上記N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0019】
上記N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−メチルプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
本発明のもう一種の出発物質は一般式(3)で表わされるチオシアン酸エステル塩である。具体的には、チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル、チオシアン酸プロピル、チオシアン酸イソプロピル、チオシアンブチル、チオシアン酸イソブチル、チオシアン酸−t−ブチル、チオシアン酸ペンチル、チオシアン酸ヘキシル、チオシアン酸ヘプチル、チオシアン酸オクチル、チオシアン酸ノニル、チオシアン酸デシルなどのチオシアン酸アルキルエステル、チオシアン酸シクロヘキシルなどのチオシアン酸環状脂肪族エステル、チオシアン酸フェニル、チオシアン酸ベンジル、チオシアン酸トリル、チオシアン酸トリル、チオシアン酸キシリルなどのチオシアン酸アリールエステルが挙げられる。これらの中では、融点と反応性の点で、特にチオシアン酸メチルとチオシアン酸エチルが好ましい。
【0021】
3級アミン化合物とチオシアン酸エステルのモル比は任意であるが、一方を過剰に用いることで反応の完結が促進される。本発明のイオン性ビニルモノマーの重合特性を利用する目的である場合、重合性の3級アミンを過剰に用いる方が微量に残存してもイオン性ビニルモノマーの重合特性及び帯電防止性能に影響を与えないので、3級アミン/チオシアン酸エステルのモル比は0.2〜5モル、好ましくは0.5〜2モルが望ましい。
【0022】
本発明の4級化反応は無溶媒下でも可能である。また、原料3級アミンまたチオシアン酸エステルが常温では固体で溶解性が低いものである場合は、反応を円滑に行なわせるために、有機溶媒を添加することが好ましい。使用する有機溶媒は原料を溶解するために有効であれば、特に制限しない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどの非極性有機溶媒を挙げることができる。また、有機溶媒の使用量が特に制限する必要がないが、原料チオシアン酸エステルの濃度が1〜95%となるような範囲が好ましい。さらに5〜90となるような範囲が特に好ましい。1%未満であれば、反応速度が著しく遅くなり、95%を越えると反応前反応液の粘度が高く、反応液中の重合性化合物が重合してしまう可能性がある。
【0023】
本発明のイオン性ビニルモノマーを合成するときの反応温度は、通常10℃以上、15〜130℃が好ましく、40〜100℃が特に好ましい。反応温度が10℃未満の場合、反応速度が遅くなり、完結する所要反応時間が長くなる。一方、130℃を超えると原料又はと生成物の重合性化合物が重合してしまう可能性がある。使用する原料の沸点が低い場合はオートクレーブなどの密閉型反応器を使用することができる。
【0024】
反応系中の水分は、チオシアン酸エステルの加水分解不純物を副生させる恐れがあり、少ない方が好ましい。持ち込まれる水分は、主として原料由来であるため、反応前に、蒸留脱水又は乾燥剤などを使用して水分を除去することが望ましい。
【0025】
本発明のイオン性ビニルモノマーはハロゲンフリー且つ金属イオンフリーの高品質品を得るためには、勿論のことであるが、前述の原料中に含まれる各種ハロゲンイオンの合計が1ppm以下、各種金属イオンの合計が1ppm以下であることが必要である。ここで、ハロゲンイオンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含有するイオンであり、また、金属イオンはナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオンなどの1価の金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなど2価の金属イオン、アルミニウムイオン、鉄イオンなどの多価金属イオンである。
【0026】
反応終了後、余剰の原料と反応溶媒が生成物であるイオン性ビニルモノマーとの相溶性によるが、蒸留、抽出、薄膜処理により容易に分離、回収し、さらに繰り返し使用することができる。また、イオン性ビニルモノマーの混合物又は溶液として、次の重合工程に用いることもできるし、帯電防止剤組成物として帯電防止膜を作製することもできる。
【0027】
以上の方法により高純度のハロゲンフリー且つ金属イオンフリーのイオン性ビニルモノマーを得ることができる。さらに、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーなどの精製手段により精製してもよい。
【0028】
本発明のイオン性ビニルモノマーは室温で液体であり、高純度のままで帯電防止剤として使用することができる。また、水、有機溶媒に溶解させ、溶液状態での使用も可能である。有機溶媒で薄めて使用する場合、反応溶媒と同様に溶解度パラメーター(SP値)の範囲が8〜16(cal/cm3)0.5であるものがよい。
【0029】
本発明のイオン性ビニルモノマー及び/又は該モノマーを構成成分とするオリゴマー又は/及びポリマーは、プラスチックなどの成形品に塗布した後、乾燥して使用する場合、単独でも帯電防止性、プラスチックへの塗膜性、耐擦傷性、高硬度の効果を十分に示すことができる。また、本発明の本来の帯電防止性、耐加水分解性などの特性を阻害しない範囲で、2個以上のエチレン基を有する多官能(メタ)アクリレートまたは多官能(メタ)アクリルアミドを添加し、イオン性ビニルモノマーと多官能(メタ)アクリレートまたは多官能(メタ)アクリルアミドとの優れた相溶性を利用し、均一な架橋性被膜を基材表面に形成させることができ、さらなる製膜性や耐擦傷性などの塗膜の性能を向上させることができる。
【0030】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等のモノマーとオリゴマーが挙げられる。
【0031】
このような多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、アロニックスM−400、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、TO−1200、TO−1231、TO−595、TO−756(以上、東亞合成製)、KAYARD D−310、D−330、DPHA、DPHA−2C(以上、日本化薬製)、ニカラックMX−302(三和ケミカル社製)等が挙げられる。
【0032】
また、多官能(メタ)アクリルアミドとしては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタアクリルアミド、ジアリルアクリルアミド等のモノマーとウレタンアクリルアミド(特開2002−37849)等のオリゴマーが挙げられる。
【0033】
これらの多官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリルアミドは、1種類でも、複数の多官能モノマー、オリゴマーを組み合わせて使用してもよい。また、このような多官能モノマー、オリゴマーを使用する場合、本発明のイオン性ビニルモノマー構成単位に対して0.001〜25000重量%含有させることが好ましく、また50〜20000重量%含有させることが特に好ましい。含有量が0.1重量%未満ではその添加効果が認められず、25000重量%を越えると、架橋率が高くなるため、塗膜の硬度、耐擦傷性は向上するが、弾力性が失われて割れやすくなる。
【0034】
本発明のイオン性ビニルモノマーはラジカル開始剤存在下、単独重合によりオリゴマー又は/及びポリマーを得ることができる。さらに、帯電防止組成物及び帯電防止層の種々の性能、例えば硬化物性を硬くあるいは、柔らかく調整する際には、他の重合性化合物を混合し、共重合させてもよく、重合性化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、不飽和ニトリルモノマー、不飽和カルボン酸、アミド基含有モノマー、メチロール基含有モノマー、アルコキシメチル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、多官能性モノマー、ビニルエステル、オレフィンなど分子鎖中に反応性二重結合をもつラジカル重合化合物が挙げられる。
【0035】
アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどが挙げられる。
【0036】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
不飽和ニトリルモノマーの例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0038】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート等がある。
【0039】
このような重合性化合物は、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本発明のイオン性ビニルモノマーは重合性化合物と公知の方法によって重合体または共重合体とすることができる。重合方法としては、例えば、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の方法を用いることができる。
【0041】
ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物系触媒や、ベンゾイルパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系触媒、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩系触媒等を用いることができる。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100重量%に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜3重量%である。
【0042】
本発明のイオン性ビニルモノマーの含有量は、使用する多官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリアミドの粘度、他の重合性化合物の配合量、樹脂組成物に要求される物性によるので、特に限定されるものではないが、帯電防止組成物中の固形分比で0.1〜90重量%、好ましくは1〜60重量%である。このイオン性ビニルモノマーの含有量が0.1重量%以下では帯電防止性能が不十分となり、90重量%を超えると透明性に劣るものとなる。
【0043】
本発明のイオン性ビニルモノマー及び/又は該モノマーを構成成分とするオリゴマーもしくはポリマーを含む帯電防止剤、該帯電防止剤に多官能(メタ)アクリレート又は/及び多官能(メタ)アクリルアミドをさらに含有する帯電防止組成物は基材上に塗布して硬化させることによりコーティングすることから、塗布可能な粘度に調整するため、反応性希釈剤や有機溶媒を含有していることが好ましい。
【0044】
反応性希釈剤は25℃の粘度が500mPa・s以下である低粘度ビニルモノマーであれば、特に限定するものではないが、速硬性、低臭気、高引火点、高塗膜硬度が要求される観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどが好ましい。
【0045】
有機溶媒は本発明のイオン性ビニルモノマー、該モノマーを構成成分とするオリゴマー及びポリマーを溶解できるものが好ましい。特に、該イオン性ビニルモノマー及び単独重合で得られるオリゴマーとポリマーに対して、溶解度パラメーターが9〜12(cal/cm3)0.5の有機溶媒が好ましい。
【0046】
本発明のイオン性ビニルモノマーを構成成分として含む帯電防止組成物は、活性エネルギー線又は熱による硬化が可能であるので、プラスチックなどの成形品に塗布し、乾燥後、硬化することによって、帯電防止性ハードコート樹脂組成物として使用することができる。
【0047】
本発明の活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線(UV)、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型である点から、紫外線を使用することが好ましい。
【0048】
本発明のイオン性ビニルモノマーを光硬化させる際は、光開始剤を添加しておく。光開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いる場合には特に必要はないが、紫外線を用いる場合には必要となる。光開始剤はアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから適宜選択すればよい。光開始剤のうち、市販の光開始剤としてはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocure1116、Darocure1173、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE500、IRGACURE651、IRGACURE754、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE1300、IRGACURE1800、IRGACURE1870、IRGACURE2959、IRGACURE4265、IRGACURE TPO、UCB社製、商品名ユベクリルP36、などを用いることができる。
【0049】
本発明のイオン性ビニルモノマーの帯電防止性や相溶性などの特性を阻害しない範囲で、顔料、染料、界面活性剤、ブロッキング防止剤、バインダー、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の他の任意成分を併用してもよい。
【0050】
本発明の帯電防止組成物を調製する際に、これらの組成成分の添加順序としてはイオン性ビニルモノマー及び/又は該モノマーを構成成分とするオリゴマーもしくはポリマー、反応性希釈剤及び/又は有機溶媒、多官能(メタ)アクリレート又は/及び多官能(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤、その他の添加剤の順に行うことが好ましい。

【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
なお、以下の実施例、比較例において、帯電防止組成物の特性評価は、以下の方法により行った。(1)4級塩の定量方法電位差自動滴定装置(装置名:AT−510 京都電子工業株式会社製)を用いて、濃度0.1mol/Lの硝酸銀水溶液(和光純薬工業製)により滴定を行い、滴定量から第4級アンモニウム塩濃度を求める。(2)3級アミンの定量方法 電位差自動滴定装置(装置名:AT−510 京都電子工業株式会社製)を用いて、濃度0.25mol/Lの塩酸水溶液(和光純薬工業製)により滴定を行い、滴定量から3級アミン濃度を求める。(3)塗布及び紫外線硬化厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムをガラス製板(縦200×横200×厚さ5mm)の上に貼り付け、動かないように水平面に固定した。PETフィルムの先方の端に帯電防止ハードコート剤を帯状に滴下して、バーコーター(RDS12)で全体に均等な力がかかるように両端を押さえ、回転させずに同じ速さ(5cm/sec)で手前まで引いて塗布し、熱風乾燥機で100℃、3分の条件で溶媒を除去し、塗膜を得た。塗膜の付着状態を目視によって観察し、塗膜の形成性とべたつき性を評価した。塗膜の形成性◎:ハジキがなく、均一な塗布膜である;○:ハジキが極めて僅にあるが、ほぼ均一な塗布膜である;△:ハジキが幾分あるが、全体としてはほぼ均一な塗布膜である;×:ハジキが多く、不均一な塗布膜である。べたつき性◎:ベタツキが全くない;○:僅かにベタツキがある;△:若干のベタツキがある; ×:明らかなベタツキがある。(4)紫外線硬化塗布面を上向きにして紫外線照射を行って硬化させ、帯電防止ハードコート膜を得た。紫外線硬化条件は、出力300W、単位当たり出力50W/cmの高圧水銀灯1本を設置した紫外線照射装置(オーク製作所 モデルOHD320M)を使用し、1秒当たりに紫外線エネルギーは10mJ/cmであるように試料板とランプの距離を調節した。塗膜の表面がベタつかなくなるまでに必要な照射時間を硬化時間として測定した。硬化後、各PETフィルム上の塗膜の透明性を目視によって観察し、下記方法により表面抵抗率測定、耐擦傷性試験、鉛筆硬度試験を行った。硬化後塗膜の透明性◎:透明で表面が平滑;○:透明だが凹凸がある;△:僅かな曇りや凹凸がある;×:極度な曇りや凹凸がある(5)表面抵抗率測定 型板 (縦110×横110mm) を用い、カッターナイフで帯電防止ハードコート膜を裁断し、温度25℃、相対湿度30%、60%と90%に調整した恒温恒室機に入れ、24時間静置し、表面抵抗率測定用試料を得た。JIS K 6911 に基づき、YOKOGAWA HEWLETT-PACKARD製HIGH RESISTANFE METER 4329Aを用いて測定を行った。(6)耐擦傷性試験 スチールウールを#0000のスチールウールを用いて、200g/cmの荷重をかけながら帯電防止ハードコート膜の上で10往復させ、傷の発生の有無を評価した。耐擦傷性評価◎:膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない;○:膜にわずかな細い傷が認められる;△:膜全面に筋状の傷が認められる;×:膜の剥離が生じる。(7)鉛筆硬度試験ガラス製板(縦200×横200×厚さ5mm)の上に帯電防止ハードコート剤を帯状に滴下して、同様にバーコーター(RDS12)で全体に均等な力がかかるように両端を押さえ、回転させずに同じ速さ(5cm/sec)で手前まで引いて塗布し、熱風乾燥機で100℃、3分の条件で溶媒を除去した。得られた塗膜の塗布面を上向きにして紫外線照射を行って硬化させ、鉛筆硬度測定用試料を得た。JIS K 5400 に基づき、鉛筆硬度試験を行った。
【0053】
イオン性ビニルモノマーの製造実施例である合成例、比較合成例を以下に示す。
【0054】
〈イオン性ビニルモノマーの合成〉合成例1窒素雰囲気下で、1Lの三つ口フラスコにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(興人製:DMAPAA)100g、酢酸エチル300gを加え、内温50℃に調整、撹拌しながらチオシアン酸メチル47.3gを滴下し、4級化反応を実施した。16時間後、二層分離した下層を取り出し、減圧濃縮した結果、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナートを透明液体として143.5g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度(該目的物の純度)、3級アミン濃度を求めたところ、それぞれ99.4%、0.11%であった。また、収率は99.3%であった。元素分析では、実測値(C:52.12%、H:8.21%、N:18.18%)が理論値(C:52.37%、H:8.35%、N:18.32%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0055】
合成例2
窒素雰囲気下で、1Lの三つ口フラスコにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(興人製:DMAPAA)100g、イソプロパノール(IPA)200gを加え、内温50℃に調整、撹拌しながらチオシアン酸メチル47gを滴下し、4級化反応を実施した。12時間後、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナートのIPA溶液を透明液体として338g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、該目的物の濃度は42.6%であり、これより算出される目的物の収率は98.6%であった。3級アミン濃度は0.30%であった。また、元素分析では、元素分析では、実測値(C:52.22%、H:8.13%、N:18.25)が理論値(C:52.37%、H:8.35%、N:18.32%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0056】
合成例3
窒素雰囲気下で、300mLの三つ口フラスコにN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(興人製:DMAPAA)100gを加え、内温50℃に調整、撹拌しながらチオシアン酸メチル47.3gを滴下し、4級化反応を実施した。6時間後、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナートを透明液体として146.8g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度(該目的物の純度)、3級アミン濃度を求めたところ、それぞれ97.8%、0.25%であった。また、収率は97.7%であった。元素分析では、元素分析では、実測値(C:52.27%、H:8.51%、N:18.13%)が理論値(C:52.37%、H:8.35%、N:18.32%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0057】
合成例4
合成例1において、チオシアン酸メチルに替えてチオシアン酸エチル56.3gを用い、合成例1と同様に反応し、目的生成物アクリロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムチオシアナートを透明液体として154.9g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度(該目的物の純度)、3級アミン濃度を求めたところ、それぞれ98.8%、0.31%であった。また、収率は99.4%であった。元素分析では、実測値(C:54.14%、H:8.59%、N:17.02%)が理論値(C:54.29%、H:8.70%、N:17.27%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0058】
合成例5合成例1において、DMAPAAに替えてN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(MRCユニテック社製:DMAPMA)100gを用い、合成例1と同様に反応し、目的生成物メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナートを透明液体として136.3g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度(該目的物の純度)、3級アミン濃度を求めたところ、それぞれ97.5%、0.27%であった。また、収率は96.3%であった。元素分析では、実測値(C:54.12%、H:8.43%、N:17.03%)が理論値(C:54.29%、H:8.70%、N:17.27%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0059】
合成例6合成例2において、DMAPAAに替えてN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(興人製:DMAEA)100gを用い、合成例2と同様に反応し、目的生成物アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナートのIPA溶液を透明液体として348g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、該目的物の濃度は41.1%であり、これより算出される目的物の収率は95.1%であった。3級アミン濃度は0.35%であった。また、元素分析では、元素分析では、実測値(C:50.04%、H:7.53%、N:13.05)が理論値(C:C:49.98%、H:7.46%、N:12.95%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0060】
合成例7合成例3において、DMAPAAに替えてN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(和光純薬工業社製:DMAEMA)100gを用い、合成例3と同様に反応し、目的生成物メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムチオシアナートを透明液体として145.6g得た。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度(該目的物の純度)、3級アミン濃度を求めたところ、それぞれ98.5%、0.17%であった。また、収率は97.9%であった。元素分析では、元素分析では、実測値(C:52.13%、H:8.02%、N:12.21%)が理論値(C:52.15%、H:7.88%、N:12.16%)と一致した。イオンクロマトグラフにより、塩素イオン、臭素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオンを定量し、それぞれの含量は1ppm以下であった。
【0061】
比較合成例11Lの三口フラスコにチオシアン酸ナトリウム81.1gをイオン交換水に165gに溶解させ、チオシアン酸ナトリウム水溶液を得た。この水溶液にアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(興人製:DMAPAA−Q)75%水溶液286gをイオン交換水300gに溶解させて得たDMAPAA−Q37%水溶液を25℃で2時間かけて滴下した。反応液は均一透明であった。続いて、酢酸エチル200gで3回抽出を行い、酢酸エチル層を濃縮した。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、未検出であり、目的生成物は得られなかった。
【0062】
比較合成例21Lの三口フラスコにチオシアン酸カリウム97gをイオン交換水に200gに溶解させ、チオシアン酸カリウム水溶液を得た。この水溶液にアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(興人製:DMAPAA−Q)75%水溶液286gをイオン交換水300gに溶解させて得たDMAPAA−Q37%水溶液を25℃で2時間かけて滴下した。反応液は均一透明であった。続いて、酢酸エチル200gで3回抽出を行い、酢酸エチル層を濃縮した。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、未検出であり、目的生成物は得られなかった。
【0063】
比較合成例33Lの三口フラスコにチオシアン酸ナトリウム81.1gをイオン交換水に1000gに溶解させ、チオシアン酸ナトリウム水溶液を得た。この水溶液にメタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MRCユニテック社製:MAPTAC)261gをイオン交換水1000gに溶解させて得たDMAPMA−Q26%水溶液を25℃で2時間かけて滴下した。反応液は均一透明であった。続いて、酢酸エチル200gで3回抽出を行い、酢酸エチル層を濃縮した。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、未検出であり、目的生成物は得られなかった。
【0064】
比較合成例41Lの三口フラスコにチオシアン酸ナトリウム81.1gをイオン交換水に165gに溶解させ、チオシアン酸ナトリウム水溶液を得た。この水溶液にアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(興人製:DMAEA−Q)79%水溶液250gをイオン交換水280gに溶解させて得たDMAEA−Q37%水溶液を25℃で2時間かけて滴下した。反応液は均一透明であった。続いて、酢酸エチル200gで3回抽出を行い、酢酸エチル層を濃縮した。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、未検出であり、目的生成物は得られなかった。
【0065】
比較合成例51Lの三口フラスコにチオシアン酸カリウム97gをイオン交換水に1000gに溶解させ、チオシアン酸カリウム水溶液を得た。この水溶液にメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(共栄社化学社製:DQ−100)205gをイオン交換水1000gに溶解させて得たDMAPAA−Q20.5%水溶液を25℃で2時間かけて滴下した。反応液は均一透明であった。続いて、酢酸エチル200gで3回抽出を行い、酢酸エチル層を濃縮した。電位差滴定で第4級アンモニウム塩濃度を求めたところ、未検出であり、目的生成物は得られなかった。
【0066】
合成例1〜7の結果から分かるように、本発明の合成方法によると、重合などのトラブルを発生することなく、高純度、高収率で、目的のハロゲンフリー且つ金属イオンフリーのイオン性ビニルモノマーが取得できた。
【0067】
一方、水溶液中で行われたアニオン交換反応にて実施した比較合成例1〜5では、目的のイオン性ビニルモノマー、副生する金属塩共に水に溶解するため、イオン性ビニルモノマーを単離することが困難である。また、有機溶媒で抽出を行っても、有機溶媒層に水溶性である目的のイオン性モノマーを取り出すことができない。
【0068】
本願の製造方法により得られたイオン性ビニルモノマーを組成物とする帯電防止剤とする実施例、比較例を以下に示す。
【0069】
実施例A−1
帯電防止ハードコート剤の作製
合成例1で合成したアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート14重量部をIPA120重量部に溶解してから、ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)社製:ライトアクリレートPE−3A)62重量部、光開始剤として、チバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocure1173 3重量部を加え、均一に混合し、紫外線硬化可能な帯電防止ハードコート剤を得た。その後、得られたハードコート剤を厚さ12μmのPETフィルムに塗装し、紫外線硬化を行い、帯電防止性ハードコートを作製した。
【0070】
実施例A−2〜10、比較例A−11〜18
表1と表2に記載の組成に変えた以外は実施例A−1とで同様に帯電防止ハードコートを作製、評価した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
実施例B−1
〈ホモポリマー溶液の合成〉
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、合成例1で合成したアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート20重量部とアゾイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部をIPA 60重量部に混合溶解し、窒素気流下70℃で8時間重合し、イオン性ホモポリマー溶液(a)を得た。
〈イオン性ポリマー含有の帯電防止ハードコート剤の作製〉
イオン性ホモポリマー溶液(a)5重量部に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製:ライトアクリレートPE−3A)50重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製:ライトアクリレートDPE−6A)50重量部、及び光開始剤として、チバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocure1173 5重量部を、IPAとメチルエチルケトン(MEK)の1:1重量比の混合溶媒120重量部に混合溶解して、紫外線硬化可能な4級塩ポリマー含有の帯電防止ハードコート剤を得た。その後、得られたハードコート剤を厚さ100μmのPETフィルムに塗装し、紫外線硬化を行い、帯電防止性ハードコートを作製した。
【0074】
実施例B−2
〈コポリマー溶液の合成〉
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、合成例1で合成したアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムチオシアナート10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)10重量部とAIBN 0.2重量部をIPA 60重量部に混合溶解し、窒素気流下70℃で8時間重合し、イオン性コポリマー溶液(b)を得た。
コポリマー溶液の合成におけるモノマーの配合比を表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例B−2〜8、比較例B−9〜10
表3に記載の組成に変えた以外は実施例B−1とで同様に帯電防止性ハードコートを作製、評価した。
【表4】

【0077】
実施例と比較例のUV硬化性と塗膜の帯電防止性評価結果から、市販の4級カチオン性ビニルモノマーがアニオンとして塩素イオンを有するため、それから得られた塗膜がべとつき、透明性が悪く、また、それらの原因で均一な塗膜が得られず、耐擦傷性や硬度が低下し、帯電防止効果も低いことが分かった。本発明のイオン性ビニルモノマーは、室温で無色の透明液体であり、ハロゲンフリー且つ金属塩フリーであり、多官能モノマーや有機溶媒との相溶性が高く、特に帯電防止剤組成物中の非極性成分とも相溶するので、均一且つ透明な、着色しない帯電防止性塗膜が得られた。本発明の製造方法で得られた高品質イオン性ビニルモノマーは、UV硬化に要するエネルギーが少なく、透明性がよく、着色せず、高耐擦傷性、高硬度、高耐加水分解性を併せ持ち、優れた帯電防止効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明してきたように、本発明のイオン性ビニルモノマーは、常温、常圧でも十分な速度で高純度且つ高収率で製造することができる。また、ハロゲンフリー且つ金属イオンフリーのため、環境負荷が少なく、電子材料にも適用されると共に、他の多官能モノマーなどの帯電防止組成物及び有機溶媒との相溶性が良好である。このイオン性ビニルモノマーからなる帯電防止組成物を用いて形成される帯電防止層は、帯電防止性、透明性、耐擦傷性、高硬度、着色し難く、さらに耐加水分解性に優れる。本発明のイオン性ビニルモノマーからなる帯電防止層は、紫外線硬化型樹脂組成物、粘着剤組成物等の樹脂にあらかじめ添加して使用する場合などに好適に用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基またはベンジル基を表し、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)で表されるイオン性ビニルモノマーが、一般式(2)
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を、R及びRは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yは酸素原子または−NH−を表し、Zは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)で表される3級アミン化合物と、一般式(3)
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基を表す。)で表されるチオシアン酸塩エステルとの4級化反応により合成されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
3級アミン化合物がN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の製造方法で合成されるハロゲンフリー(各種ハロゲン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性ビニルモノマー。
【請求項4】
請求項3記載のイオン性ビニルモノマーをラジカル重合させることにより得られるハロゲンフリー(各種ハロゲン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性ホモオリゴマーとホモポリマー。
【請求項5】
請求項3記載のイオン性ビニルモノマーと他の共重合可能のビニル系単量体との共重合で得られるハロゲンフリー(各種ハロゲン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)のイオン性コオリゴマーとコポリマー。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5記載のイオン性ビニルモノマー及び/又はオリゴマー若しくはポリマーからなるハロゲンフリー(各種ハロゲン含量は1ppm以下)且つ金属イオンフリー(各種金属イオン含量は1ppm以下)の帯電防止剤。
【請求項7】
請求項6記載の帯電防止剤又は該帯電防止剤を含有する帯電防止組成物であって、請求項3記載のイオン性ビニルモノマーを構成単位として0.1〜90重量%含有するもの。
【請求項8】
請求項6記載の帯電防止剤を含有する帯電防止組成物であって、さらに多官能(メタ)アクリレート及び/又は多官能(メタ)アクリルアミドを含有する帯電防止組成物。
【請求項9】
基材上に請求項6〜8いずれか一項に記載の帯電防止剤又は帯電防止組成物を塗布した後、活性エネルギー線又は熱により重合して形成されることを特徴とする帯電防止層。
【請求項10】
少なくとも片面に請求項8記載の帯電防止層を有することを特徴とする帯電防止フィルム、シート。


【公開番号】特開2011−140448(P2011−140448A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−757(P2010−757)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】