説明

イオン断片化パラメータ選択システムおよび方法

【課題】質量分光分析装置の動作パラメータを最適化する。
【解決手段】ある実施形態において、タンデム(MS/MS)質量分析方法は、所与の親イオン質量対電荷(m/z)比に対して娘イオン断片化プロセスを最適化するように、四重極イオントラップに関する衝突誘発解離(CID)電圧振幅およびqパラメータ値を選択することを含む。q値およびCID電圧値は、ルックアップテーブルに従って、かつ/または、近似分析式を使用して選択することができる。m/z値と(q,CID)値対との間の対応は、予備測定検量によって設定可能である。m/zに基づいて断片化最適化q値を計算し、計算されたq値に基づいてCID電圧値を決定することができる。例えば、所望の娘イオン質量範囲の捕獲を容易にするために、ユーザが、qを他の値に強制設定することもでき、コントローラが、この強制設定されたq値に基づいてCID電圧値を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分光分析法に関し、特に、質量分光分析装置の動作パラメータを最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンデム質量分光分析法(MS/MS)においては、質量分光分析装置を使用して、対象のイオン種を分離し、分離したイオンを選択的に励起、断片化して、断片化の結果生じる娘イオンを検出する。断片化プロセスは、通常、衝突誘発(誘起)解離、すなわちCIDによって達成されるが、四重極イオントラップの端部キャップ(エンドキャップ)に双極正弦波を印加することにより実行することができる。印加CID電圧波形の特性は、CIDプロセス効率に影響を及ぼす。
【0003】
下記特許文献1において、シュウォーツらは、四重極イオントラップ内でプロダクトイオンを生成する方法について記述している。所与の質量対電荷比(m/z)のイオンに対する印加励起電圧の振幅は、質量対電荷比と線形関係にある。
【特許文献1】米国特許第6,124,591号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
質量分光分析装置の動作パラメータを最適化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、質量分光分析方法は、親イオンに関するqパラメータ値に従って、衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択することと、前記CID電圧振幅を有するCID電圧を、前記親イオンを保持するイオントラップに印加することによって、前記親イオンの断片化を誘発することとを含む。
他の態様によれば、質量分光分析方法は、親イオンの断片化効率を最適化するように、前記親イオンの質量対電荷比に従って、qパラメータ値および衝突誘発解離(CID)電圧振幅値を決定することと、前記qパラメータ値および前記CID電圧振幅値に従って、前記親イオンの断片化を誘発することとを含む。
【0006】
他の態様によれば、質量分光分析方法は、親イオンの質量対電荷比およびイオントラップ駆動電圧指標に従って、前記親イオンに対する衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択することと、前記CID電圧振幅および前記イオントラップ駆動電圧指標に従って、前記親イオンの断片化を誘発することとを含む。
他の態様によれば、質量分光分析装置は、中心リング電極と、前記中心リング電極の両側に配置された1対の端部キャップ電極とを含む四重極イオントラップと、前記イオントラップに接続された質量分光分析装置コントローラとを備えている。前記質量分光分析装置コントローラは、親イオンに関するqパラメータ値および前記親イオンの質量対電荷比に従って、衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択し、前記qパラメータ値に応じた駆動電圧を前記中心リング電極に印加することによって、前記親イオンを前記イオントラップに捕捉し、前記親イオンを捕捉する一方で、前記CID電圧振幅を有するCID電圧を前記端部キャップ電極に印加することによって、前記親イオンの断片化を誘発するように構成されている。
【0007】
本発明の前記の態様および効果は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明では、1組の要素は、1以上の要素を含むものとする。要素に対する言及は、1以上の要素を含むものと理解される。別途記載がない限り、言及されている電気的、機械的接続は、直接的な接続、または、介在構造を介した間接的な接続とすることができる。パラメータに対する言及は、全て、パラメータに関する指標に対する言及を含むものと理解される。
【0009】
以下の説明は、本発明の実施形態を示すが、例示であり、必ずしも限定するものではない。
図1は、本発明のある実施形態に係る例示的な質量分光分析装置20および付随する制御/最適化ユニット50の概略図である。分光分析装置20は、複数のチャンバおよび付随するポンプと、案内部材と、図1に示す分析部材とを備えている。イオン化チャンバ(源)と、22で概略的に示す1組のイオン入力ガイドとを使用して、対象イオンを生成し、分析チャンバを形成する四重極イオントラップ24へとイオンを導く。とりわけ電気スプレイイオン化(ESI)または常圧(大気圧)化学イオン化(APCI)などの常圧イオン化方法を使用して、イオンを発生することができる。イオントラップ24は、ヘリウムなどの不活性減衰ガスと、対象イオン44とを保持する。イオン検出装置34は、イオントラップ24を脱出した所与の質量のイオンを検出する。イオントラップ24は、リング電極30と、このリング電極30の両側に位置する1対の端部キャップ電極26a、26bとを備えている。リング電極30は、内側半径rを有する。各端部キャップ電極26a、26bは、トラップ中心から距離zだけ離間している。
【0010】
イオントラップ24の電極は、制御ユニット50に電気接続されている。制御ユニット50は、後述するように1組のRF/DC電圧を印加する電圧発生回路と、印加電圧の大きさ、周波数、および期間を制御するプログラム化汎用コンピュータとを備えている。制御ユニット50は、検出装置34にも接続されており、ユーザに表示するための測定データを受信する。制御ユニット50は、リング電極30にRF駆動(トラップ)電圧Vdriveを印加し、端部キャップ電極26a、26bにRF/CID電圧VCIDを印加する。電圧の周波数および振幅は、計測機器と対象イオンとに左右される。例示的な実施形態においては、駆動電圧Vdriveは、周波数がおよそ数百kHz〜MHz、例えば約1MHzであり、振幅がおよそ数十V〜数千V、例えば50V〜7000Vであり、CID電圧VCIDは、周波数がおよそ数十kHz〜数百kHz、例えば約240kHzであり、振幅がおよそ数V〜数十V、例えば0V〜7Vである。
【0011】
図2は、本発明のある実施形態に係るMS/MSプロセスを示す例示的な簡略化駆動電圧振幅シーケンス100を示す。駆動電圧振幅は、イオン充填(ロード)80の間、比較的低レベルに維持され、検体分離82の際に、高振幅へと増幅される。対象イオンがイオントラップ24内で分離された後、端部キャップ電極26a、26bにCID電圧を印加することによって、イオン断片化86が行われる一方、駆動電圧が、後述するように所望のレベルに設定される。駆動電圧を上昇させて、断片イオン検出88が実行される。
【0012】
検出される断片イオン信号は、イオン断片化プロセスの効率に左右される。イオン断片化プロセスは、端部キャップ電極26a、26bに印加されるCID電圧によって駆動される衝突誘発解離に依存する。CID周波数は、名目上、イオントラップ24内での検体イオンの軸方向運動と共鳴するように選択される。CID電圧は、対象イオンの瞬間的な運動エネルギーを増加させる正味効果を有する。対象イオンは、周囲の減衰ガスと衝突して、結果的に娘イオンに断片化される。断片化プロセスの効率は、娘イオン検体の検出限界を決定する限界要因となり得る。
【0013】
断片化プロセス効率は、減衰ガスの圧力、ならびにCID電圧の振幅および期間を含む多くの要因、そして、検体、イオントラップ、および駆動電圧の特性に依存する。検体、イオントラップ、および駆動電圧の特性の関係は、qパラメータにより定義可能であり、このqパラメータは、下記のように、所与の検体がイオントラップ内に安定的に捕捉されるかどうかを示す無次元パラメータである。

【0014】
式中、mは、検体の質量であり、zは、検体の電荷であり、rおよびzは、図1に示すトラップ寸法であり、VdriveおよびΩは、それぞれ、駆動電圧の振幅および周波数である。パラメータqは、検体イオンに付与されるRF復元力の振幅を反映し、したがって、イオンに付与される瞬間的な運動エネルギーを反映する。パラメータq、および、リング30に印加されるDC電圧Uに依存するパラメータaを使用して、(q,a)平面の安定性領域を定義することができる。すなわち、所与のイオンの対応するq値およびa値が、(q,a)平面における定義境界内にある場合、そのイオンは安定的に捕捉される。典型的な有用なq値は、0.1〜0.9である。
【0015】
ある実施形態において、CID振幅およびqパラメータ値は、以下に詳述されているように、娘イオン信号を最適化するように設定される。特に、所与のm/z比に関して、qパラメータおよびCID振幅値は、所定のテーブル(表)または分析式に従って選択され、イオン断片化は、選択された値に従って実行される。このテーブルまたは分析式は、所与の計測機器に対して予め決定され、制御ユニット50によって実施される。
【0016】
特定の質量対電荷(m/z)比と、CID振幅およびqパラメータの様々な値に対して、検出された娘イオン強度を分析するために、詳細な研究を行った。多数のq値に対する娘イオン強度とCID振幅との関係を調べることによって、データを収集した。
図3−Aは、本発明のある実施形態に係るm/z比74からm/z比59への断片化プロセスに関し、CID電圧振幅およびqパラメータ値の関数としての例示的な娘イオン強度を示す。バリアン社の500−MSイオントラップ質量分光分析装置を使用して、データを記録した。図3−Aのデータは、選択q値0.5、CID電圧振幅0.4Vに対して、最適娘イオン変換効率が29%であったことを示す。図3−Bは、本発明のある実施形態に係るm/z比1822からm/z比1490.1への断片化プロセスに関し、CID電圧振幅およびqパラメータ値の関数としての例示的な娘イオン強度を示す。選択q値0.25およびCID電圧振幅4.8Vに対して、最適娘イオン変換効率は20%であった。図3−Aおよび図3−Bのデータは、最適q値およびCID振幅値が、親イオン質量の関数として顕著に変化することを示す。
【0017】
イオンm/z比と、対応する最適q値およびCID振幅値との間の所定の関係は、初期化/検量プロセスで生成され、制御ユニット50により格納されることが好ましい。ユーザが所与のm/z比を入力した後、制御ユニット50は、格納されたq値およびCID振幅値を読み出して、それに応じてイオン断片化プロセスを制御する。最適値は、後述するように、1以上のルックアップテーブルに格納されるか、あるいは、1組の分析関係式として格納される。
【0018】
例示的なバリアン社の500−MSイオントラップ分光分析装置に関して、下記の関係式によって最適q値を親イオン質量と関連付け可能であることが実験的に分かった。

【0019】
式中、M=m/zは、質量をダルトンで表した質量対電荷比である。他の計測機器、例えば、異なるイオントラップ設計を用いた計測機器に関しても、式(2)と同様の予測関係式を実験的に決定することができる。
ある実施形態においては、式(2)のような予測式を使用して、ユーザが入力する親質量値mから最適q値が生成される。m値とq値との間の対応は、ルックアップテーブルによって設定することも可能である。図4は、本発明のある実施形態に係る、イオン質量に対する最適q値の依存度の実測値と予測値との比較を示す。予測データは、式(2)に従って生成した。図4には、一定のq値0.3に対応する横線も示されている。図示のように、親イオン質量に対する最適q値の依存度は、比較的小さな親イオン質量値の場合に、特に急勾配である。
【0020】
最適CID振幅と、m値およびq値との関係は、分析的に表現するのが困難であるが、べき級数として近似することができる。下記の式(3)は、Mおよびqの関数としてのVcidに関して実験的に決定された式を示す。

【0021】
式(3)中の定数は、例示的なバリアン社の500−MSイオントラップ分光分析装置に関して実験的に決定されたものである。他の計測機器に関しては、別の定数が実験的に決定される。
ある実施形態においては、式(3)のような予測式を使用して、ユーザが入力するm値および上記のように決定されたq値に対するVcid値が生成される。Vcidと、m値およびq値との間の対応は、ルックアップテーブルによって設定することもできる。図5は、本発明のある実施形態に係る、最適CID電圧の測定値と予測値との比較を示す。予測データは、式(3)に従って生成された。図5の線は、予測データと測定データとの完全な一致に対応する。
【0022】
ある実施形態においては、ユーザは、システムにより生成されたq値とは異なるq値を強制設定することができる。そして、式(3)または対応するルックアップテーブルを用い、与えられたm値およびq値を使用して、CID電圧振幅を生成してもよい。確実に特定の質量範囲を捕捉するためには、q値を特定の値に強制設定することが望ましい。例えば、比較的低質量範囲に対して注目したいユーザは、式(2)で提示される値よりも小さなq値の強制設定をしてもよい。
【0023】
CID電圧が質量電荷値の一次関数として選択されるq非依存方法と、上記のようなq依存CID電圧選択方法とを比較した。比較は、親イオン質量74および1822に対して行った。図6−Aおよび図6−Bは、比較の結果を示す。
図6−Aは、2つの印加CID電圧振幅に関して、親イオンm/z74に対する実測娘イオン強度を示し、振幅の一方は、予備設定の質量依存定数qを用いて質量対電荷比のみの関数として演算されたものであり、他方は、上記のような最適化q値に従って演算されたものである。図6−Bは、親イオンm/z1822に対する同様の実測娘イオン強度を示す。図6−A、図6−Bの左側の枠は、CIDに使用される一般値である予備設定q値0.3で採取したデータを示す。図6−A、図6−Bの左側の枠の予備設定qデータに対して、印加CID電圧を下記の関係式に従って計算した。

【0024】
表1−Aおよび表1−Bは、それぞれ図6−Aおよび図6−Bに対応するq、CID、および断片強度改善データを示す。

【0025】

【0026】
表1−Aおよび図6−Aのデータに関して、上記のように最適化q値およびCID値の使用により結果的に得られた検出断片イオン強度の改善は、予備設定q値0.3を用いた方法に対して40倍を上回っていた。表1−Bおよび図6−Bのデータに関しては、改善は約4%であり、これは、一部には、予備設定q値0.3が、最適化q値0.27に比較的近いためである。
【0027】
CID電圧振幅などのCIDパラメータを最適化するために親イオン質量(または質量対電荷比)およびqパラメータ値の双方を使用することは、CIDプロセスが、イオン安定性(親イオン質量に反映)およびイオン励起プロセス(qパラメータにより反映)の影響を受けるという知見を示す。イオン安定性は、親イオンの質量および化学構造に左右される。一般的に、質量が大きな親イオンほど、化学結合の数が多い傾向がある。すなわち、衝突エネルギーが複数の結合に分配される場合、一般的に、結合数が多ければ、所与の結合を切るために必要な衝突エネルギーが大きくなることを意味する。イオンと周囲の中性電荷のガス(例えば、ヘリウム)との間の衝突の結果生じるエネルギーは、トラップ形状および電圧に依存する。衝突エネルギーとトラップ形状および電圧との関係は、比較的複雑で、特徴付けが困難である。実測検量データは、テーブルや1組の分析式として格納されるが、トラップの電気的パラメータに従ってCID電圧を設定するのに特に適している。
【0028】
上記の式(1)は、所与の親イオン質量対電荷比およびトラップ電圧周波数に対するq値とトラップ電圧との関係を示す。ある実施形態においては、トラップ電圧をqパラメータ値の指標として使用してもよい。同様に、qの代用パラメータをqパラメータ値の指標として使用してもよい。
上記の実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなく様々に変更可能である。したがって、本発明の範囲は、下記の請求項およびその法的な均等範囲で決定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のある実施形態に係る例示的な質量分光分析装置の概略図である。
【図2】本発明のある実施形態に係るMS/MSプロセスを示す例示的な簡略化電圧振幅シーケンスを示す。
【図3−A】本発明のある実施形態に係る質量74から質量59への断片化プロセスに関し、CID電圧振幅およびqパラメータ値の関数としての例示的な娘イオン強度値を示す。
【図3−B】本発明のある実施形態に係る質量1822から質量1490への断片化プロセスに関し、CID電圧振幅およびqパラメータ値の関数としての例示的な娘イオン強度値を示す。
【図4】本発明のある実施形態に係る、イオン質量に対する最適q値の依存度の実測値および予測値を示す。
【図5】本発明のある実施形態に係る、最適化CID電圧の測定値と予測値との例示的な関係を示す。
【図6−A】本発明のある実施形態において、2つの印加CID電圧振幅に関し、親イオン質量74に対する実測娘イオン強度を示し、振幅の一方は質量対電荷比のみの関数としての定数qに関して演算されたものであり、他方は最適化q値に従って演算されたものである。
【図6−B】本発明のある実施形態において、2つの印加CID電圧振幅に関し、親イオン質量1822に対する実測娘イオン強度を示し、振幅の一方は質量対電荷比のみの関数としての定数qに関して演算されたものであり、他方は最適化q値に従って演算されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親イオンに関するqパラメータ値に従って、衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択することと、
前記CID電圧振幅を有するCID電圧を、前記親イオンを保持するイオントラップに印加することによって、前記親イオンの断片化を誘発することとを含む質量分光分析方法。
【請求項2】
前記qパラメータ値に従って前記親イオンを捕捉する一方、前記親イオンの断片化を誘発することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親イオンの質量対電荷比に従って、前記CID電圧振幅を選択することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記親イオンの断片化効率を最適化するように、前記親イオンの質量対電荷比に従って、前記qパラメータ値を選択することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ユーザによる前記qパラメータ値の選択を受け付けることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CID電圧振幅を選択することが、親イオン質量対電荷比と、対応する断片化最適化qパラメータ値と、CID電圧振幅との間の対応が設定されたテーブルを使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CID電圧振幅の選択が、前記qパラメータ値および前記親イオンの質量対電荷比に対する前記CID電圧振幅の依存性を設定する分析式を使用することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1組の対応する親イオン質量対電荷比に対する、1組の断片化最適化qパラメータ値およびCID電圧振幅の依存性を設定する一連の検量測定を行うことをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記親イオンの断片化の結果生じた娘イオンを検出することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
親イオンの断片化効率を最適化するように、前記親イオンの質量対電荷比から、qパラメータ値および衝突誘発解離(CID)電圧振幅を決定することと、
前記qパラメータ値および前記CID電圧振幅に従って、前記親イオンの断片化を誘発することとを含む質量分光分析方法。
【請求項11】
親イオンの質量対電荷比およびイオントラップ駆動電圧指標に従って、前記親イオンに対する衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択することと、
前記CID電圧振幅および前記イオントラップ駆動電圧指標に従って、イオントラップにおける前記親イオンの断片化を誘発することとを含む質量分光分析方法。
【請求項12】
前記イオントラップ駆動電圧指標が、qパラメータ値を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオントラップ駆動電圧指標が、駆動電圧振幅を含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
中心リング電極と、前記中心リング電極の両側に配置された1対の端部キャップ電極とを含む四重極イオントラップと、
前記イオントラップに接続された質量分光分析装置コントローラとを備えた質量分光分析装置であって、
前記質量分光分析装置コントローラが、
親イオンに関するqパラメータ値および前記親イオンの質量対電荷比に従って、衝突誘発解離(CID)電圧振幅を選択し、
前記qパラメータ値に応じた駆動電圧を前記中心リング電極に印加することによって、前記親イオンを前記イオントラップに捕捉し、
前記親イオンを捕捉する一方で、前記CID電圧振幅を有するCID電圧を前記端部キャップ電極に印加することによって、前記親イオンの断片化を誘発するように構成されている質量分光分析装置。
【請求項15】
前記コントローラが、前記親イオンの断片化効率を最適化するように、前記親イオン質量対電荷比に従って、前記qパラメータ値を選択するように構成されている請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラが、ユーザによる前記qパラメータ値の選択を受け付けるように構成されている請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラが、親イオン質量対電荷比と、対応する断片化最適化qパラメータ値と、CID電圧振幅との間の対応が設定されたテーブルを使用することによって、前記CID電圧振幅を選択するように構成されている請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラが、前記qパラメータ値および前記親イオンの前記質量対電荷比に対する前記CID電圧振幅の依存性を設定する分析式を使用することによって、前記CID電圧振幅を選択するように構成されている請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラが、1組の対応する親イオン質量対電荷比に対する、1組の断片化最適化qパラメータ値およびCID電圧振幅の依存性を設定する一連の検量測定を行うように構成されている請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記イオントラップに接続され、前記親イオンの断片化の結果生じた娘イオンを検出するように構成された検出装置をさらに備えた請求項14に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−A】
image rotate

【図3−B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−A】
image rotate

【図6−B】
image rotate