説明

イソシアネート官能性ポリマーの精製

【課題】医療用途/外科的用途のために接着剤または封止剤として単独またはその他の成分と組み合わせて有用である成分を単離および生成すること。
【解決手段】溶液を形成するためにイソシアネート基を有するポリマーを溶媒と接触する工程;この溶液に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を添加する工程;およびこの溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程を包含する、プロセスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年11月20日に出願された米国仮特許出願番号第60/989,209号の利益およびそれへの優先権を主張しており、その全体の開示は本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、イソシアネート官能性ポリマーを得ること、および/または精製することにおいて利用され得るプロセスに関する。これらのイソシアネート官能性ポリマーは、実施形態では、外科用接着剤または封止剤の形成において利用され得る。
【背景技術】
【0003】
(関連技術)
縫合糸を接着結合で置換または増強することにおける関心が増加している。この関心の増加の理由は、(1)修復が達成され得る潜在的な速度;(2)完全な閉鎖を行い、それ故、流体の漏出を防ぐ結合物質の能力;および(3)組織の過剰な変形なくして結合を形成する可能性を含む。
【0004】
しかしながら、この領域における研究は、外科用接着剤が外科医によって受容され得るのために、それらは多くの性質を所有しなければならないことを明らかにしている。それらは、高い初期粘着性および生存組織に迅速に結合する能力を示さなければならず;この結合の強度は、結合破損の前に組織破損を引き起こすに十分であるべきであり;この接着剤は、架橋、代表的には透過可能な可撓性架橋を形成すべきであり;そしてこの接着剤架橋および/またはその代謝産物は、局所的な組織毒性または発癌性影響を引き起こすべきではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら接着剤および/または封止剤、ならびにその成分を生成するための方法は、当該分野の範囲内にある。これら成分の合成において、任意の得られる接着剤または封止剤が、残存出発材料、溶媒、副産物などがあったとしても、ほとんど有しないように、残存出発材料、溶媒、副産物がほとんどなく所望の成分を得ることが所望され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
医療用途/外科的用途のために接着剤または封止剤として単独またはその他の成分と組み合わせて有用である成分を単離および生成するための方法が提供される。
【0007】
実施形態では、本開示の方法は、溶液を形成するためにイソシアネート基を有するポリマーを溶媒と接触する工程、この溶液に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を添加する工程、および上記溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程を含む。
【0008】
その他の実施形態では、本開示の方法は、溶媒を、以下の式:
【0009】
【化3】

のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーと接触することにより溶液を形成する工程を含み得、
ここで、Xはトルエン、キシレン、イソホロン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、ヘキサメチレン、テトラメチレン、リジン、エチル化リジン、およびそれらの組み合わせであり、Aは脂肪族二塩基酸に由来する基であり、Rはポリエチレングリコールに由来する基であり、そしてnは約1〜約10である。金属酸化物が、次いで、この溶液に添加される。適切な金属酸化物は、約2%w/v〜約20%w/vの量の酸性酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、中性酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせを含む。イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーが、次いで、上記溶液から単離され得る。
【0010】
また、本発明は、例えば以下の項目を提供する:
(項目1) 溶液を形成するためにイソシアネート基を有するポリマーを溶媒と接触する工程;
該溶液に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を添加する工程;および
該溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程、を包含する、プロセス。
(項目2) 前記イソシアネート基を有するポリマーが、以下の式:
【0011】
【化1】

ここで、Xは脂肪族または芳香族基であり;Aは脂肪族二塩基酸由来の基であり;Rは各出現毎に同じか、または異なり得、そしてジヒドロキシ成分に由来する基であり;そしてnは約1〜約10である、項目1に記載のプロセス。
(項目3) Aがアジピン酸に由来する基であり、そしてRがポリアルキレングリコール由来の基である、項目2に記載のプロセス。
(項目4) Rが、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600およびポリエチレングリコール900からなる群から選択される成分に由来する基である、項目3に記載のプロセス。
(項目5) Xが、トルエン、キシレン、イソホロン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、ヘキサメチレン、テトラメチレン、リジン、エチル化リジン、およびそれらの組み合わせに由来する基である、項目2に記載のプロセス。
(項目6) 前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングルコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エチルアミルケトン、エチルラクテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目7) 前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、エチルアセテート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒を含む、項目1に記載のプロセス。
(項目8) 前記金属酸化物が、酸化アルミニウムを含む、項目1に記載のプロセス。
(項目9) 前記金属酸化物が、酸性酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、中性酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目10) 前記金属酸化物が、約2%w/v〜約20%w/vの量で前記溶液に添加される、項目1に記載のプロセス。
(項目11) 前記金属酸化物が、約5%w/v〜約15%w/vの量で前記溶液に添加される、項目1に記載のプロセス。
(項目12) 前記溶液および前記金属酸化物を、混合、ブレンド、撹拌、音波処理、振とう、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって物理的撹拌に供される工程をさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目13) 前記溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程が、濾過、溶媒蒸発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって起こる、項目1に記載のプロセス。
(項目14) 前記単離されたポリマーを約30℃〜約70℃の温度に加熱する工程をさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目15) 溶媒を、以下の式:
【0012】
【化2】

のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーと接触することにより溶液を形成する工程であって、
ここで、Xはトルエン、キシレン、イソホロン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、ヘキサメチレン、テトラメチレン、リジン、エチル化リジン、およびそれらの組み合わせであり、
Aは脂肪族二塩基酸に由来する基であり、
Rはポリエチレングリコールに由来する基であり、
nは約1〜約10である、工程;
該溶液に、酸性酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、中性酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を、約2%w/v〜約20%w/vの量で添加する工程;および
該溶液からイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーを単離する工程、を包含する、プロセス。
(項目16) Aがアジピン酸に由来する基であり、そしてRがポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600およびポリエチレングリコール900からなる群から選択される成分に由来する基である、項目15に記載のプロセス。
(項目17) 前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、エチルアセテート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒を含む、項目15に記載のプロセス。
(項目18) 前記金属酸化物が、約5%w/v〜約15%w/vの量で前記溶液に添加される、項目15に記載のプロセス。
(項目19) 前記溶液および前記金属酸化物を、混合、ブレンド、撹拌、音波処理、振とう、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって物理的撹拌に供される工程をさらに包含する、項目15に記載のプロセス。
(項目20) 前記溶液からイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーを単離する工程が、濾過、溶媒蒸発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって起こる、項目15に記載のプロセス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(詳細な説明)
本開示は、次に組織接着剤または封止剤として用いられ得る生体吸収性組成物の合成に利用され得る成分を生成および得るためのプロセスに関する。本明細書中で用いられるとき、本開示の「組成物」は、上記の成分を、それら単独で、あるいは必要に応じた添加物および/またはさらなる成分とともに含む。
【0014】
実施形態では、本開示のプロセスは、イソシアネート官能性ポリマーを得ること、および/または精製することにおいて有用であり得る。任意のイソシアネート官能性ポリマーが、本開示の方法を利用するそれらの合成で利用される任意の媒体から得られ得る。いくつかの実施形態では、上記イソシアネート官能性ポリマーは、イソシアネート官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを含み得る。これらマクロマーは、2つのジヒドロキシ成分を連結する脂肪族二塩基酸を含み得る(ときどき、本明細書中では「ポリ(エーテル−エステル)マクロマー」と称される)。10までの繰り返しのポリ(エーテル−エステル)マクロマーが存在し得る。
【0015】
上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを形成することにおいて利用され得る適切な脂肪族二塩基酸は、例えば、約2〜約10の炭素原子を有する脂肪族二塩基酸を含む。適切な二塩基酸は、制限されないで、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、およびそれらの組み合わせを含む。
【0016】
利用され得る適切なジヒドロキシ成分は、例えば、ポリアルキレンオキシドを含むポリオール、ポリビニルアルコールなどを含む。いくつかの実施形態では、これらジヒドロキシ成分は、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリプロピレンオキシド(「PPO」))、ポリエチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(「PPO」)のブロックまたはランダムコポリマー、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0017】
1つの実施形態では、ポリエチレングリコール(「PEG」)がジヒドロキシ化合物として利用され得る。約200g/mol〜約10000g/molの、実施形態では約400g/mol〜約900g/molの分子量のPEGを利用することが所望され得る。適切なPEGは、記号表示PEG200、PEG400、PEG600およびPEG900の下で種々の供給源から市販され入手可能なものを含む。
【0018】
上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを形成するために任意の方法が用いられ得る。いくつかの実施形態では、このポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、塩化アジポイルを、PEG(例えば、PEG600)およびピリジンと、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中で合わせることによって形成され得る。この溶液は、約−70℃〜約25℃までの適切な温度で、約4時間〜約18時間の期間の間保持され得、その後、この反応混合物は、沈殿したピリジン塩酸塩副産物を除去するために濾過され得、そして、得られるポリ(エーテル−エステル)マクロマー、ここではPEG/アジペート成分が、エーテルまたは石油エーテルの添加により上記溶液から得られ得、そして濾過を含み得る適切な手段によって収集される。本発明の化合物を作製するために適切なその他の方法は、当業者の理解の範囲内である。
【0019】
実施形態では、得られるポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、以下の式:
【0020】
【化4】

であり得、ここで、Aは脂肪族二塩基酸由来の基であり;Rは各出現毎に同じか、または異なり得、そしてジヒドロキシ成分に由来する基を含み得;そしてnは約1〜約10であり得る。いくつかの実施形態では、上記A基はアジピン酸に由来し得、そしてRは、約200g/mol〜約1000g/mol、実施形態では約400g/mol〜約800g/mol、実施形態では約600g/molの分子量を有するポリアルキレングリコール由来の基であり得る。これら成分の分子量および粘度は、用いられる特定の二塩基酸、用いられる特定のジヒドロキシ化合物、および存在する繰り返し単位の数のような多くの因子に依存し得る。一般に、これら化合物の粘度は、25℃そして20.25秒−1の剪断速度で約300〜約10,000cPであり得る。
【0021】
これらポリ(エーテル−エステル)成分は、多くの用途に有用であり得る。例えば、それらは、優れた組織接着剤または封止剤として供されるゲルマトリックスを形成するために架橋し得る組成物を生成するために用いられ得る。接着剤または封止剤用途には、上記のポリ(エーテル−エステル)マクロマーを末端キャップし、反応性末端基を提供することが所望され得る。適切な反応性末端基は、アミン反応性末端基、例えば、イソシアネート基、イソチオシアネート、ジイミダゾール、イミドエステル、ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびアルデヒドを含む。
【0022】
実施形態では、上記ポリ(エーテル−エステル)成分は、イソシアネート基で末端キャップされ得る。反応性末端基を提供するために上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを末端キャップするための方法は当業者の理解の範囲内である。
【0023】
例えば、上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、脂肪族または芳香族ジイソシアネートと反応され、ジイソシアネート−官能性成分を生成し得る。上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを末端キャップするために適切なイソシアネートは、芳香族、脂肪族および脂環式イソシアネートを含む。例は、制限されないで、芳香族ジイソシアネート、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、またはテトラメチルキシリレンジイソシアネート;脂肪族ジイソシアネート、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートまたは2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;および脂環式ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチル 1,3−フェニレンジイソシアネート、またはBayer Material ScienceからDESMODURS(登録商標)の下で販売されるものを含む市販され入手可能な材料を含む。
【0024】
上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーをジイソシアネートで末端キャップする方法は、当業者の理解の範囲内にある。例えば、上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、適切なジイソシアネートと、約1:2〜約1:6、実施形態では約1:3〜約1:5、その他の実施形態では約1:4のモル比で合わされ得、そして約55℃〜約75℃、実施形態では約60℃〜約70℃、その他の実施形態では約65℃の適切な温度まで加熱される。当業者の理解の範囲内の手段(撹拌、混合、ブレンド、音波処理、それらの組み合わせなどが挙げられる)を利用してこれら成分を撹拌することが所望され得る。いくつかの実施形態では、末端キャップ反応は、不活性雰囲気下、例えば、窒素ガス下で起こり得る。アルコキシド、ピリジン成分、それらの組み合わせなどを含む触媒が、いくつかの実施形態で利用され得る。
【0025】
実施形態では、上記反応を実施する際に過剰のジイソシアネートを利用することが所望され得る。過剰のジイソシアネートの使用は重合反応を抑制し得、それによって得られるイソシアネート官能性付与されたポリ(エーテル−エステル)マクロマーの得られる分子量を調整することを可能にする。
【0026】
得られるイソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは以下の式であり得:
【0027】
【化5】

ここで、Xは上記に記載されたジイソシアネートに由来する脂肪族または芳香族基であり;Aは脂肪族二塩基酸に由来する基であり;Rは各出現毎に同じであり得るか、または異なり得、そしてジヒドロキシ成分に由来する基であり;そしてnは約1〜約10の数である。いくつかの実施形態では、Xは、トルエン、ヘキサメチレン、4,4’−メチレンビス(フェニル)、テトラメチレン、リジン、エチル化リジンイソホロン、キシレン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、または必要に応じてそれらの混合物もしくはそれらの組み合わせに由来し得る。
【0028】
1つ以上の異なるポリ(エーテル−エステル)マクロマーが単一の反応で末端キャップされ得ることが理解されるべきである。例えば、上記で述べた式でnが3であるポリ(エーテル−エステル)マクロマーが調製され得、そしてnが5である上記で述べた式のポリ(エーテル−エステル)マクロマーと合わされ得る。ポリ(エーテル−エステル)マクロマーのこの混合物は次いで、末端キャップされて単一の反応で反応性基を提供する。得られる産物は、上記に示される式のジイソシアネート官能性成分の混合物である。
【0029】
上記ジイソシアネート−官能性成分のNCO含量は、約3%〜約6%、実施形態では約3.5%〜約5%で変動し得る。これらジイソシアネート−官能性成分の粘度は、用いられる特定のジイソシアネート、用いられる特定の二塩基酸、用いられる特定のジヒドロキシ成分、存在する繰り返し単位の数のような多くの因子に依存し得る。一般に、これら化合物の粘度は、約1,500〜約50,000センチポイズ(「cP」)、実施形態では約3000〜約20000cPであり得る。
【0030】
上記の縮合反応の終了、それによって上記ポリ(エーテル−エステル)マクロマーがジイソシアネートで末端キャップされた後、粗製のイソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、溶媒中に溶解され得る。適切な溶媒は当業者の理解の範囲内であり、そして、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトンのようなケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングルコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エチルアミルケトン、エチルラクテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびそれらの組み合わせなどを含む。実施形態では、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、エチルアセテート、それらの組み合わせなどのような有機溶媒が利用され得る。
【0031】
用いられる溶媒の量は、採用される特定の反応成分および上記組成物の意図される目的使用を含む多くの因子に依存する。一般に、溶媒の量は、約95%〜約50%、実施形態では約90%〜約70%である。
【0032】
一旦、イソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーの溶液が溶媒中に調製されると、金属酸化物がそれに添加され得る。適切な金属酸化物は、制限されないで、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、それらの組み合わせなどを含む。実施形態では、この金属酸化物は、微粉にされること、すなわち約0.05mm〜約0.2mm、実施形態では約0.1mm〜約0.15mmの粒子サイズを有することが所望され得る。
【0033】
実施形態では、酸化アルミニウムが、イソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーを含む溶液に添加され得る。この酸化アルミニウムは、酸性、塩基性、中性、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0034】
上記金属酸化物は、上記イソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーの溶液に、約2%w/v〜約20%w/v、実施形態では約5%w/v〜約15%w/v、実施形態では約10%w/vの量で添加され得る。得られる組成物は、次いで、混合、ブレンド、撹拌、音波処理、振とう、それらの組み合わせなどにより、約20分〜約4時間、実施形態では約1時間〜約3時間、実施形態では約2時間の適切な期間の間、物理的に撹拌され得る。実施形態では、1分間あたり約200の回転(rpm)〜約1000rpm、その他の実施形態では約500rpm〜約700rpmの速度での混合が利用され得る。混合は、任意の適切な温度、実施形態では約20℃〜約24℃で起こり得る。実施形態では、上記金属酸化物は、スカベンジャーとして機能し得、任意の過剰の遊離の未反応ジイソシアネート、任意の低分子量不純物、例えば残余ポリエチレングリコール、触媒の痕跡、例えばアルコキシドおよび/またはピリジン触媒、それらの組み合わせなどの除去を支援する。それ故、上記金属酸化物の添加は、上記に記載のようなイソシアネート−官能性ポリマーを得ること、および/または精製することで有用であり得る。
【0035】
このイソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、次に、濾過、溶媒蒸発、それらの組み合わせなどを含む、当業者の理解の範囲内の任意の手段により単離され得る。実施形態では、このイソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、金属酸化物、および任意の遊離の未反応ジイソシアネート、任意の低分子量不純物、例えば、残余ポリエチレングリコール、アルコキシド触媒の痕跡、それらの組み合わせなどの濾過、および溶媒の蒸発により単離され得る。このように得られた最終の精製産物は、この産物を減圧に供するか、またはこの産物を約30℃〜約70℃、実施形態では約40℃〜約50℃の温度まで加熱することのいずれかによって、乾燥ステップに供され得る。上記に記載される金属酸化物を利用することにより、さらなる汚染物質または所望されない副産物の供給源であり得るさらなる溶媒での沈殿工程および洗浄工程は避けられ得る。
【0036】
上記に記載の官能性付与成分は、単独で用いられ得るか、または組成物に処方され得る。これら組成物を形成するために利用される上記成分の濃度は、用いられる特定の成分のタイプおよび分子量、および生体適合性組成物の所望される最終用途、例えば接着剤または封止剤を含む多くの因子に依存して変動する。一般に、上記組成物は、約0.5%〜約100%の先に記載された官能性付与マクロマー成分を、実施形態では約0.5%〜約100%の先に記載の官能性付与マクロマー成分を含み得る。
【0037】
本開示の成分の粘度が特定の用途には高すぎると判断される場合、上記組成物に加え溶媒を含む溶液またはエマルジョンが処方され得る。利用され得る適切な溶媒は、例えば、水、エタノール、トリエチレングリコール、グリム(例えば、ジグリム、トリグリム、テトラグリムなど)、ポリエチレングリコール、メトキシ−ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ケトン(例えば、メチルエチルケトン)、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エチルアミルケトン、エチルラクテートなど、およびそれらの混合物のような極性溶媒を含む。その他の実施形態では、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、それらの混合物などのような溶媒が利用され得る。
【0038】
用いられる溶媒の利用は、採用される特定の反応成分、および上記組成物の意図される最終用途を含む多くの因子に依存する。一般に、上記溶媒は、全体組成物の約1〜約50重量%、実施形態では全体組成物の約10〜約30重量%であり得る。1つ以上の溶媒の使用は、約100cP〜約1500cP、実施形態では約500cP〜約1000cPの粘度を有するエマルジョンを生成し得る。このようなエマルジョンは、有利には、任意の適切な噴霧デバイスを用いて噴霧され得る。
【0039】
上記官能性付与されたマクロマー成分がイソシアネート官能基を含み、そして上記溶媒がヒドロキシル基を含む場合、この溶媒は、有利には、上記官能性付与マクロマー成分と使用直前に混合され得、所望されない前もったゲル化を回避し得る。その他の実施形態では、上記で注記されたように、イソシアネート官能性を有する成分、すなわち、イソシアネート−官能基ポリ(エーテル−エステル)マクロマーは組織に塗布され得、それによって内因性の水が、このイソシアネート−官能性ポリ(エーテル−エステル)マクロマーの架橋を引き起こし、それによって接着剤または封止剤をインサイチュで形成する。
【0040】
水はまた、硬化時間を低減するために上記組成物に添加され得る。添加されるとき、水は、この組成物の使用の時間に、または使用する時間の近くで導入され、所望されないか、または早すぎる架橋を避けるべきである。一般に、水の量は、全体組成物に基づいて約1〜約50重量%であり得る。
【0041】
本開示に従う組成物は、必要に応じて1つ以上の触媒を含み得る。触媒の添加は、本開示の組成物の硬化時間を減少し得る。利用され得る触媒は、ルイス酸、三級アミン触媒、四級アミン触媒などを含む。
【0042】
添加され得る適切な三級アミン触媒は、制限されないで、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチル−プロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピル−プロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミンおよびジメチル−ベンジルアミンを含む。
【0043】
適切な四級アミン触媒は、例えば、ヒドロキシのような低級アルキルのアンモニウムハライドおよびそれらの誘導体、クロルヒドリンおよび置換プロピルトリメチルアンモニウムクロライドのようなエポキシ置換低級アルキルトリメチルアンモニウムハライドを含む。利用され得る四級アミンは、ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、クロロヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、およびエポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを含む。上記成分の特定の例は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、および2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを含む。
【0044】
その他の実施形態では、架橋反応における使用のための触媒は、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、錫オクタアートなどを含む。
【0045】
採用される触媒の量は、架橋される成分のキログラムあたり約0.5グラム〜約50グラムの範囲であり得る。1つの実施形態では、触媒の量は、架橋される成分のキログラムあたり約0.5グラム〜約10グラムの範囲であり得る。
【0046】
種々の必要に応じた成分がまた、本開示の組成物に添加され得、制限されないで、界面活性剤、抗微生物剤、着色剤、保存剤、造影剤、例えば、ヨウ素または硫酸バリウム、またはフッ素、または薬物を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、必要に応じて1つ以上の生物活性剤を含み得る。本明細書で用いられるとき、用語「生物活性剤」は、その最も広い意味で用いられ、そして臨床使用を有する任意の物質または物質の混合物を含む。結果として、生物活性薬剤は、それ自体、薬理学的活性を有してもよく、または有さなくてもよい(例えば、色素)。あるいは、生物活性剤は、治療および予防効果を提供する任意の薬剤、組織成長、細胞成長、細胞分化を行うかまたはそれらに関与する成分、免疫応答のような生物学的作用を誘起し得るか、または1つ以上の生物学的プロセスにおける任意のその他の役割を演じ得る成分であり得る。
【0047】
本開示に従って利用され得る生物活性剤のクラスの例は、抗微生物剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔薬、抗癲癇薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、心臓血管薬物、診断剤、交感神経作用剤、コリン様作用剤、抗ムスカリン剤、鎮痙薬、ホルモン、成長因子、筋肉弛緩剤、アドレナリン作動性ニューロンブロッカー、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制剤、胃腸管薬物、利尿薬、ステロイド、脂質、リポポリ多糖、多糖、および酵素を含む。生物活性剤の組み合わせが用いられ得ることがまた意図される。
【0048】
本発明の組成物で生物活性剤として含められ得る適切な抗微生物薬剤は、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンおよび硫酸クロルヘキシジンを含む)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質および銀スルファジアジンを含む)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル)、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、およびそれらの組み合わせを含む。さらに、ウシまたはrh−ラクトフェリンおよびラクトフェリシンBのような抗微生物タンパク質およびペプチドが、本発明の組成物中に生物活性剤として含められ得る。
【0049】
本発明の組成物中の生物活性剤として含められ得るその他の生物活性剤は:局所麻酔薬;非ステロイド避妊剤;副交感神経作用剤;精神治療薬;精神安定薬;うっ血除去薬;沈静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗偏頭痛剤;抗パーキンソン剤、例えば(例えば、L−ドパ);抗痙攣剤;抗コリン作用剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張剤;心血管系の薬剤(例えば、冠動脈拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど);サリシレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなどのような非麻薬;オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;抗痙攣剤;抗嘔吐剤;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬物;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固剤;抗痙攣薬;抗鬱薬;抗ヒスタミン薬;および免疫学的因子を含む。
【0050】
本発明の組成物中に含められ得る適切な生物活性剤のその他の例は、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにこれらのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン、抗体)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFN、およびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インシュリン、抗腫瘍剤および腫瘍抑制剤、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インシュリン様成長因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;およびリボザイムを含む。
【0051】
コラーゲンのようなタンパク質およびグリコサミノグリカンのような天然に存在する多糖の誘導体を含む天然に存在するポリマーが、必要に応じて、生物活性剤として本開示の組成物中に取り込まれ得る。
【0052】
単一の生物活性剤が本発明の組成物を形成するために利用され得るか、代替の実施形態では、生物活性剤の任意の組み合わせが本発明の組成物を形成するために利用され得る。
【0053】
上記に記載される官能性付与されたマクロマー成分の存在に起因して、本発明の組成物は架橋し、組織への投与に際し、優れた組織接着剤または封止剤として供されるゲルマトリックスを形成する。通常、架橋反応は、約20℃〜約40℃、実施形態では約25℃〜約37℃の温度で、約15秒〜約20分、実施形態では約30秒〜約10分の時間の期間、行われ得る。本開示の組成物の架橋を達成するための正確な反応条件は、上記成分の官能性、末端キャップの程度、官能性付与の程度、触媒の存在、存在するならば特定の溶媒などを含む種々の因子に依存する。
【0054】
本開示の組成物が、薬物またはタンパク質の送達のために意図される場合、本開示の官能性付与された成分の量は、生体吸収性の組成物中の薬物またはポリマーの初期保持およびそれに続く放出を促進するように調節され得る。このような調節を作製するための方法および手段は、当業者に容易に明らかである。
【0055】
本開示の組成物は、多くの異なるヒトおよび動物の医療適用のために用いられ得、制限されないで、創傷閉鎖(手術切開およびその他の創傷)を含む。接着剤は、縫合糸、ステープル、クランプ、テープ、包帯などの置換物、または補充物としてのいずれかで組織を一緒に結合するために用いられ得る。本発明の組成物の使用は、現行での実施の間に通常必要な縫合糸の数をなくし得るか、または実質的に低減し得、そしてステープルおよび特定のタイプの縫合糸の除去のための引き続く必要性を除外する。本明細書中に記載される組成物は、それ故、縫合糸、クランプまたはその他の従来の組織閉鎖機構がさらなる組織損傷を引き起こし得る繊細な組織との使用のために特に適切であり得る。例えば、本開示の組成物は、機械的ストレスを引き起こし得る従来ツールの代わりに、肺組織のような繊細を一緒に封止または接着するために用いられ得る。本発明の組成物はまた、組織中の空気および/または流体の漏れを封止するため、ならびに手術後の接着を防ぐため、および組織中の間隙および/または欠陥を充填するために用いられ得る。
【0056】
2つの組織エッジの連結を達成するために、これら2つのエッジは接近され得、そして本開示の組成物がこれら2つの接近されたエッジに塗布され得る。この組成物は、ほぼ1分未満で急速に架橋する。本開示の組成物は、それ故、創傷に付与され得、そして硬化され、それによってこの創傷を閉鎖する。
【0057】
科学界では、用語「肉」と「組織」の使用法の間には、特定の区別があり得るが、これら用語は、本明細書中では、それらに対し、当業者が、患者の処置のための医療分野内で利用される本発明の組成物を理解し得る一般的材料を称するとして交換可能に用いられる。本明細書で用いられるとき、「組織」は、制限されないで、皮膚、骨、ニューロン、軸索、軟骨、血管、角膜、筋肉、筋膜、脳、前立腺、胸部、子宮内膜、肺、膵臓、小腸、血液、肝臓、精巣、卵巣、頸部、結腸、胃、食道、脾臓、リンパ節、骨髄、腎臓、末梢血、胎児および/または腹水組織を含み得る。
【0058】
本明細書中に記載される組成物はまた、組織封止剤として利用され得る。封止剤として用いられるとき、本開示の成分は、生体吸収性組成物を形成し、外科的手順の間およびその後の両方で出血または流体の漏れを防ぐか、または阻害するために手術中に用いられ得る。それはまた、肺手術に付随する空気の漏れを防ぐために塗布され得る。本明細書中の組成物および/または成分は、所望の領域に、少なくともこの組織中の任意の欠陥を封止するに十分な量で直接付与され得、そして流体または空気移動を封止する。上記組成物はまた、縫合ラインまたはステープルラインで血液またはその他の流体の漏れを防ぐか、または制御するために用いられ得る。
【0059】
本発明の組成物はまた、再構築手術の間に皮膚移植片を付着し、そして組織フラップを位置決めするために用いられ得る。あるいは、本発明の組成物は、歯周手術において組織フラップを閉鎖するために用いられ得る。
【0060】
本開示の組成物の塗布は、任意の従来手段によってなされ得る。これらは、浸漬、ブラッシングなど、または組織表面上への組成物の任意のその他の直接操作、または上記表面上への組成物の噴霧を含む。開放手術では、手、鉗子などによる塗布が企図される。内視鏡手術では、上記組成物は、トロカールのカニューレを通じて送達され得、そしてその部位で当該技術分野で公知の任意のデバイスによって広げられ得る。
【0061】
その他の実施形態、特に本開示の組成物が、動物身体中の間隙充填剤として、また欠陥を充填するために利用されるべき場合、架橋の条件および程度をより正確に制御することが有利であり得る。例えば、動物組織中の間隙を充填する使用の前に上記組成物を部分的に架橋することが所望され得る。このような場合、本開示の組成物は、間隙または欠陥に付与され得、そして硬化され、それによって間隙または欠陥または欠陥を充填する。
【0062】
別の実施形態では、本開示は、別の実施形態では、本開示は、医療用デバイスを組織に接着するために本開示の組成物を用いるための方法に関する。適切な医療用デバイスはインプラントを含む。その他の医療用デバイスは、制限されないで、ペースメーカー、ステント、シャントなどを含む。一般に、デバイスを動物組織の表面に接着するために、本開示の組成物は、このデバイスに、組織表面に、または両方に付与され得る。これらデバイスおよび組織表面は、次いで、それらの間で本発明の組成物と接触される。一旦、この組成物が架橋し、そして硬化すると、このデバイスと組織表面は、互いに効率的に接着される。
【0063】
本発明の組成物はまた、手術後接着を防ぐために用いられ得る。このような用途では、本開示の組成物は塗布され、そして硬化されて、治癒プロセスの間の手術部位で接着の形成を防ぐために内部組織の表面上で層を形成する。
【0064】
得られる生体吸収性組成物は、多くの有利な性質を有する。本開示の生体吸収性組成物は安全であり、組織への増大された接着を所有し、生分解性であり、増大された止血能力を有し、低コストを有し、そして調製および用いることが容易である。上記生体吸収性組成物を形成するために利用される化合物の選択を変えることにより、上記生体吸収性組成物の強度および弾性は、ゲル化時間であり得るように制御され得る。
【0065】
本明細書中の組成物は、生体吸収性組成物として伸展性のゲルマトリックスを迅速に形成し、これは、組織エッジまたは移植された医療用デバイスの所望の位置における安定な位置決めを保証し、そして全体の必要な手術/付与時間を低下させる。得られた生体吸収性組成物は、ゲルマトリックス形成に際し、膨潤がほとんどないか、またはなく、そしてそれ故、整列された組織エッジの位置一体性および/または医療用デバイスの位置を保持する。上記生体吸収性組成物は、強力な粘着性のある結合を形成する。それは優れた機械的性能および強度を示し、その一方、生存組織を接着するために必要な柔軟性を保持する。この強度および柔軟性は、外科組織エッジをシフトすることなく、組織のある程度の移動を可能にする。
【0066】
当業者が本明細書中に記載される本開示の特徴をより良好に実施し得るために、以下の実施例が、本開示の特徴を制限しないで示すために提供される。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
約45グラムのPEG600(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を、きれいな、オーブン乾燥され、そして窒素で冷却された1リットルの3首フラスコに添加した。次いで、約300ml〜約400mlのテトラヒドロフラン(THF)(JT Baker、Phillipsburg、NJ)を、このフラスコに添加した。約200ml〜約250mlのTHF中に溶解した約9.2グラムの塩化アジポイル(AdCl)(98%、Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を、上記フラスコに添加した。これらの内容物を約10分間撹拌した。次いで、約8.7グラムの無水ピリジン(EMD Sciences、Gibbstown、NJ)を、約60mlのテトラヒドロフラン(THF)(JT Baker、Phillipsburg、NJ)と合わせ、そして上記のフラスコに、3つの別個の20mlの添加物で添加した。
【0068】
この反応は、約2〜約2.5時間で終了した。この混合物を、約16〜約20時間の間一晩、約20℃〜約24℃の室温で放置した。可溶性フラクションを、インサイチュで、REACTIRTM4000分光計(Mettler−Toledo AutoChem、Columbia、MD)を用いる赤外分光学により測定した;ReactIRプローブを上記フラスコ中に挿入した;利用されたバックグラウンドは空気であった。分光計のスキャンにより、約3:2のモル比のPEG/AdClの存在が確かめられた。
【0069】
(実施例2)
PEGアジペートのイソシアネート末端キャップ。乾燥1リットル3首フラスコに、機械的攪拌機アセンブリおよび乾燥コンデンサーを外付けした。この装置を、約2%の相対湿度で乾燥室中に置いた。実施例1からのTHF中に溶解された約40.65グラムのPEG/アジペートをこのフラスコに移した。約8.7グラムのトルエンジイソシアネート(TDI)(テクニカルグレード80%、Sigma Aldrich,St.Louis,MO)をこのフラスコに、TDIとPEG/アジペートとのモル比が約2:1であるように添加した。得られる混合物を、ゆっくりと(PEG/アジペート溶液から)THFを還流しながら撹拌した。約15時間後、この混合物は、わずかに黄色を呈した。約50gの中性アルミナ(Al)(Sigma Aldrichから)を次いで添加し、そして約1時間撹拌した。
【0070】
この溶液を、次いで、直径が約0.45μのポアを有するフィルターを用いる、Millipore濾過システムを通して濾過した;フィルターは、約25mLの溶液が通過した毎に交換した。
【0071】
濾過された溶液を、ROTOVAPOR(登録商標)ロータリーエバポレーター(BUCHI Labortechnik AG、Flawil、Switzerland)上で濃縮し、大部分のTHFを除去した。
【0072】
約100〜約200mLの沸騰石油エーテルを添加し、そして生成物を減圧下に置く前に、添加および混合の後エーテルをデカンテーションした。得られる混合物を減圧下、約65℃の温度で、約90〜96時間の期間乾燥させ、本開示の接着剤組成物を生成した。
【0073】
得られた組成物の重ね剪断は以下のように決定された。室温のブタの胃組織を、パンチを用いてサイズが約15×45mmとなるように切断した。この組織を、生理食塩水ですすぎ、そしてブロットして過剰の湿気を除いた。上記接着剤組成物の約0.1mlのアリコートを、次いで、上記組織片の1つの端部に塗布した。この接着剤は、この組織片の端部で、約15×15mmの領域を覆うように周りに広げた。別の組織片をこの接着剤によって覆われた領域の頂部に配置した。
【0074】
約20グラムの重量を、約30秒の間、この接着された領域の頂部上に置いた。この重量を取り除き、そして接着剤を、約4.5分以上、合計5分の硬化時間の間硬化させた。これら組織片の1つの端部をグラウンディングクランプ中に置き、次いで、他方の端部を、カウンター上に取り付けた第2のクランプ中に配置した。力メーターを、トップクランプに取り付け、そしてこれらの片を引くために必要な力を記録した。この接着剤材料は、約0.366kgの重ね剪断を有していた。
【0075】
NCO含量は、Schott−Gerateによって製造されたTitroLine Alpaha Autotitratorによって決定された。この材料の平均のNCO含量は、約1.4%であった。NCO末端キャップされたPEG/アジペートの存在は、FTIRおよびNMRで確認された。
【0076】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態になされ得ることが理解される。例えば、上記ジイソシアネート官能性付与されたポリ(エーテル−エステル)マクロマーは、ポリウレタンを調製するために用いられ得、そして接着剤または封止剤以外の用途に用いられ得る。従って、上記の記載は、制限的として解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者、本明細書に添付された請求項の範囲および思想内でその他の改変物を想定する。
【0077】
(要約)
医療用途/外科的用途のために接着剤または封止剤として単独またはその他の成分と組み合わせて有用である成分を単離および生成するための方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を形成するためにイソシアネート基を有するポリマーを溶媒と接触する工程;
該溶液に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を添加する工程;および
該溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程、を包含する、プロセス。
【請求項2】
前記イソシアネート基を有するポリマーが、以下の式:
【化1】

ここで、Xは脂肪族または芳香族基であり;Aは脂肪族二塩基酸由来の基であり;Rは各出現毎に同じか、または異なり得、そしてジヒドロキシ成分に由来する基であり;そしてnは約1〜約10である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
Aがアジピン酸に由来する基であり、そしてRがポリアルキレングリコール由来の基である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
Rが、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600およびポリエチレングリコール900からなる群から選択される成分に由来する基である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
Xが、トルエン、キシレン、イソホロン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、ヘキサメチレン、テトラメチレン、リジン、エチル化リジン、およびそれらの組み合わせに由来する基である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングルコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エチルアミルケトン、エチルラクテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、エチルアセテート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記金属酸化物が、酸化アルミニウムを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記金属酸化物が、酸性酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、中性酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記金属酸化物が、約2%w/v〜約20%w/vの量で前記溶液に添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記金属酸化物が、約5%w/v〜約15%w/vの量で前記溶液に添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記溶液および前記金属酸化物を、混合、ブレンド、撹拌、音波処理、振とう、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって物理的撹拌に供される工程をさらに包含する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記溶液からイソシアネート基を有するポリマーを単離する工程が、濾過、溶媒蒸発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって起こる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記単離されたポリマーを約30℃〜約70℃の温度に加熱する工程をさらに包含する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
溶媒を、以下の式:
【化2】

のイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーと接触することにより溶液を形成する工程であって、
ここで、Xはトルエン、キシレン、イソホロン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジベンジルジイソシアネート、オキシビス(フェニルイソシアネート)、テトラメチルキシリレン、ヘキサメチレン、テトラメチレン、リジン、エチル化リジン、およびそれらの組み合わせであり、
Aは脂肪族二塩基酸に由来する基であり、
Rはポリエチレングリコールに由来する基であり、
nは約1〜約10である、工程;
該溶液に、酸性酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、中性酸化アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を、約2%w/v〜約20%w/vの量で添加する工程;および
該溶液からイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーを単離する工程、を包含する、プロセス。
【請求項16】
Aがアジピン酸に由来する基であり、そしてRがポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600およびポリエチレングリコール900からなる群から選択される成分に由来する基である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、エチルアセテート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記金属酸化物が、約5%w/v〜約15%w/vの量で前記溶液に添加される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項19】
前記溶液および前記金属酸化物を、混合、ブレンド、撹拌、音波処理、振とう、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって物理的撹拌に供される工程をさらに包含する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
前記溶液からイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリ(エーテル−エステル)マクロマーを単離する工程が、濾過、溶媒蒸発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって起こる、請求項15に記載のプロセス。

【公開番号】特開2009−127051(P2009−127051A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295662(P2008−295662)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】