説明

イミダゾリル化合物の製造のための新規な方法

本発明は、一般式(I)
【化1】


[式中:
およびRは各々別個に(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシアルキル、場合により置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールであるか;またはRおよびRは一緒になって1個もしくはそれ以上の環を含んでなるさらなる同素環系もしくは複素環系を形成し;Ra’およびRb’は各々水素であるか、または一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し、該炭素−炭素二重結合は、場合により芳香族系の一部であってもよく;Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシアルキルもしくはハロゲンであり;Rは水素もしくは(C−C)アルキルであり;Rは水素もしくは(C−C)アルキルであり;mは1もしくは2であり;そしてRは水素もしくは(C−C)アルキルである]
のイミダゾリル化合物ならびにその酸付加塩の製造方法であって;一般式(II)
【化2】


の化合物を式(III)
【化3】


[式中:Rは水素、場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基もしくは場合により置換されていてもよいアリール基であり、R’、R”、R’”およびR””は各々個々に水素もしくは(C−C)アルキル基である]
の化合物と反応させ;続いて式(IV)
【化4】


[式中、R、RおよびRは上記に定義する意味を有する]
の化合物と反応させ;そして場合により続いて適当な酸と反応させることを特徴とする方法に関する。本発明の方法は、オンダンセトロンおよびシランセトロンの製造のために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾリル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−カルバゾール−4−オン(オンダンセトロン)は、特許文献1および特許文献2から既知である。これらの特許公開において、オンダンセトロンおよび同族化合物を包含する化合物の一般類、それらの製造ならびに「ニューロンの」5−ヒドロキシトリプタミン受容体での強力な選択的アンタゴニストとしてのそれらの使用および片頭痛および精神病性障害の処置におけるそれらの使用が記述されている。
【0003】
(10R)−5,6,9,10−テトラヒドロ−10−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−ピリド[3,2,1−jk]−カルバゾール−11(8H)−オン(シランセトロン)((R)−(−)−4,5,6,8,9,10−ヘキサヒドロ−10−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−11H−ピリド−[3,2,1−jk]−カルバゾール−11−オンとしても知られている)は、特許文献3から、特許文献4からそして特許文献5から既知である。第一の特許公開において、シランセトロンおよび相同化合物を包含する化合物の一般類、それらの製造および5−HTアンタゴニストとしてのそれらの使用が記述されている。第二の特許公開は、ある種の疾患の処置のためのこれらのタイプの化合物の選択したものの使用を、そして第三のものは、鏡像異性的に純粋な化合物およびそれらの塩酸塩1水和物の製造を記述する。
【0004】
上記の化合物が、メチレン架橋でカルバゾール系のケト基に関してα位に結合している置換されたイミダゾリル基を含有することはそれらの共通の特徴である。これらの化合物の合成のいくつかの可能性は、記載の特許公開に記述されている。マンニッヒ反応、続いて脱アミノ化を用いて中間エキソメチレン化合物を生成せしめ、それを置換されたイミダゾリル基と反応させることにより置換されたイミダゾリル基が導入されることは、これらの合成における共通の特徴である(実施例は、スキーム1を参照)。
【0005】
この経路の欠点は、反応段階のこの順序における収率がかなり低いことである。特許文献2において、通常は最も低い収率を与えている第一段階は記述されておらず、そして第二段階(特許文献2の実施例7)は68%の収率を与える。特許文献3において、第一段階(特許文献3の実施例1c)は53%の収率を、そして第二段階(特許文献3の実施例1d)は87%の収率を有する。スケールアップ中に、この経路はかなりの量のタール様副生成物の形成を生じさせるようであった。
【0006】
【化1】

【0007】
イミダゾリル化合物を製造するための代わりの方法を提供することは本発明の目的であり、その方法は経済的に有効であり、そして以下の必要条件:a)比較的高い収率、b)先行技術方法と比較して短い反応時間、c)より少ない副反応、d)最終生成物のより高い品質ならびにe)希釈されない反応条件および環境的に許容しうる溶媒を用いることの1つもしくはそれ以上を満たさなければならない。
【0008】
意外にも、これらのタイプのイミダゾリル化合物は、メチレン架橋の導入に置換されたオキサゾリジン化合物を用いて容易に製造できることが見出された。
【特許文献1】EP191562明細書
【特許文献2】US4,695,578明細書
【特許文献3】EP−B−0297651明細書
【特許文献4】EP−B−0601345明細書
【特許文献5】EP−B−768309明細書
【発明の開示】
【0009】
従って、本発明は一般式
【0010】
【化2】

【0011】
[式中:
およびRは各々別個に(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシアルキル、場合により置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールであるか;
またはRおよびRは一緒になって1個もしくはそれ以上の環を含んでなるさらなる同素環系もしくは複素環系を形成し;
a’およびRb’は各々水素であるか、または一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し、該炭素−炭素二重結合は、場合により芳香族系の一部であってもよく;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシアルキルもしくはハロゲンであり;
は水素もしくは(C−C)アルキルであり;
は水素もしくは(C−C)アルキルであり;
mは1もしくは2であり;そして
は水素もしくは(C−C)アルキルである]
のイミダゾリル化合物ならびにその酸付加塩の製造方法であって;
一般式
【0012】
【化3】

【0013】
の化合物を式
【0014】
【化4】

【0015】
[式中:
Rは水素、場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基もしくは場合により置換されていてもよいアリール基であり、
R’、R”、R’”およびR””は各々個々に水素もしくは(C−C)アルキル基である]
の化合物と反応させ;
続いて式
【0016】
【化5】

【0017】
[式中、R、RおよびRは上記に定義する意味を有する]
の化合物と反応させ;
そして場合により続いて適当な酸と反応させることを特徴とする方法に関する。
【0018】
本発明のアルキル基には、6個までの炭素原子を含有する直鎖状、分枝鎖状および環状アルキル基が包含される。適当なアルキル基は、飽和もしくは不飽和であることができる。さらに、アルキル基はまた、アリール、ハロ、ヒドロキシ、シアノまたはモノ−(one−)もしくはジ−アルキル置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で1回もしくはそれ以上置換されていてもよい。
【0019】
本発明のアリール基には、6個までのヘテロ原子を含有することができるアリール基が包含される。アリール基はまた、場合によりアリール、(C−C)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノまたはモノ−もしくはジ−アルキル置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で1回もしくはそれ以上置換されていてもよく、そしてそれはまたアリール基もしくはシクロアルキル環と縮合していてもよい。適当なアリール基には、例えば、フェニル、ナフチル、トリル、イミダゾリル、ピリジル、ピロリル、チエニル、ピリミジル、チアゾリルおよびフリル基が包含される。
【0020】
同素環系は、炭素原子および水素原子のみを含有する少なくとも1個の飽和もしくは不飽和環式基を含有する系を意味する。
【0021】
複素環系は、N、OもしくはSのような1個もしくはそれ以上のヘテロ原子もまた含有する少なくとも1個の飽和もしくは不飽和環式基を含有する系を意味する。
【0022】
同素環系および複素環系は両方とも、場合によりアルキル、アリール、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはモノ−もしくはジ−アルキル置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0023】
本発明の好ましい態様として、Rは水素もしくは(C−C)アルキルであり;Rは水素もしくは(C−C)アルキルであり;Rは水素もしくは(C−C)アルキルであり;そしてRは水素、メチルもしくはエチルである。
【0024】
本発明の反応は、一般式
【0025】
【化6】

【0026】
[式中:
mは1もしくは2であり;
は水素、メチルもしくはエチルであり;そして
は(C−C)アルキルであり、
は水素もしくは(C−C)アルキルであるか、または
およびRは、中間の原子と一緒になって、場合によりハロゲン、ヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシアルキルおよび(C−C)アルコキシよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよい、5、6もしくは7員環を形成する]
の化合物の製造のために特に有用である。
【0027】
この場合、出発化合物は一般式
【0028】
【化7】

【0029】
の化合物である。この化合物をさらにカルバゾロン化合物と称する。
【0030】
一般式Iaの好ましい化合物は、m=1、そしてRおよびRが中間の原子と一緒になって6員環を形成する化合物およびm=1、RがメチルでありそしてRが水素である化合物である。第一の化合物では、5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オンおよび3−オキサゾリジンエタノールから出発する方法の収率は、EP0297651(実施例IcおよびId)の方法における46%の全収率と比較して77%である(実施例2を参照)。いっそう高い収率を生産規模で得ることができる。
【0031】
置換されたオキサゾリジンにおいて、4,4−ジメチルオキサゾリジンのような、同じ炭素原子上で2基置換されたオキサゾリジンは、反応においていっそう低い収率を与えるので、好ましくは、R’およびR”の一方ならびにR’”およびR””の一方は水素である。好ましいオキサゾリジンは、3−オキサゾリジンエタノールおよび3−エチル−オキサゾリジンである。最も好ましいオキサゾリジンは、3−オキサゾリジンエタノールである。
【0032】
反応は酸性媒質において実施し、そして酸性度の程度は、反応しなければならない系の活性化により決まる。カルバゾロン系の場合、媒質は非常に酸性でなければならない。先の場合に適当な酸の例は、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびアルコール性媒質におけるHClガスである。
【0033】
高い収率を得るために、反応溶液は少量だけの水を含有すべきである。水の量は、好ましくは0.6%(V/V)未満、より好ましくは0.3%(V/V)未満、そして最も好ましくは0.1%(V/V)未満であるべきである。
【0034】
最適反応温度は、出発物質および溶媒により決まり、そして2つの反応段階で異なる。反応の第一段階は、40℃〜110℃の間で行うことができる。カルバゾロン系では、第一段階における好ましい反応温度は50℃〜90℃の間であり、そして最も好ましい温度は約70℃である。第二段階は、一般に、100℃〜140℃の間で行うことができる。カルバゾロン系では、第二段階における好ましい反応温度は110℃〜130℃の間であり、そして最も好ましい温度は約120℃である
反応は、DMFのような双極性非プロトン性溶媒もしくはアルコールのような異なる溶媒において行うことができる。好ましい溶媒はC−Cアルコールであり、そして選択は所望の反応温度により決まる。適当なアルコールの例は、1−ブタノール、1−ヘキサノールおよびイソアミルアルコールである。好ましいアルコールは、1−ブタノールである。また適当であるのは、トルエンとアルコールおよびモノクロロベンゼンとアルコールの混合物のような芳香族炭化水素とアルコールの混合物である。好ましい混合物は、モノクロロベンゼンとメタノールの混合物である。溶媒混合物を用いる場合、第二段階において溶媒系のより高い還流温度に達するために、より低い沸点の溶媒を第二段階の前に蒸留して分離することができる。
【0035】
混合物における溶媒容量:反応物質の量の比率は、比較的広範囲にわたって変えることができ、そして反応物質の溶解度により決まる。一般に、溶媒の量:反応物質の量の比率は、典型的には約1:1〜15:1であることができ、ここで、該比率は溶媒中の反応物質の重量に対する溶媒の容量として表される(ml/g単位)。好ましくは、該比率は約1:1〜約10:1である。カルバゾロン系の場合、溶媒の容量:反応物質の重量の好ましい比率は約4:1である。
【0036】
得られる生成物は、異なる溶媒から結晶化させることができる。遊離塩基の結晶化のための溶媒の例は、トルエンのような芳香族炭化水素である。塩酸塩は、例えば、イソプロパノールもしくは1−ブタノールのようなアルコール性溶媒から結晶化させることができる。
【0037】
以下の実施例は、さらに詳細に、本発明をさらに説明することを目的とするのみであり、従って、これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定すると見なされない。
[実施例1]材料および方法
【0038】
5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オンは、EP0375045に従って製造した。3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノンは、商業的供給源から入手した。1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オンは、Wamer−Lambert CompanyからのUS3,892,766およびElz,S.and Heil,W.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 1995,,667−672に従って製造した。メタンスルホン酸は、商業的供給源から入手した。
【0039】
NMRスペクトルはVarian VXR200上で、そしてMSスペクトルはFinnigan TSQ 7000上で測定した。HPLC分析は、Separations 757検出器(250nm)および35℃のSeparations Marathon XTカラムオーブンを有するHP1050システム上で行った。使用するカラムは、Zorbax XDB C8カラム 15x0.3cmであった。溶離剤は、以下のように調製した:2lの水、2mlのトリエチルアミンおよび5mlの25%アンモニアを混合し、それをギ酸でpH4に調節し、そして0.5lのアセトニトリルを加える。流量は、1ml/分であった。
[実施例1a]オキサゾリジンの製造
【0040】
3−オキサゾリジンエタノールは、以下のように製造した:
1−ブタノール中の等モル量のジエタノールアミンおよびパラホルムアルデヒドを70℃に加熱した。1時間の反応時間の後に、生じた水を1−ブタノールでの共沸蒸留により除いた。
【0041】
3−エチル−オキサゾリジンは、Heany,H.et al.,Tetrahedron 1997,53,14381−96に従って製造した。
【0042】
4,4−ジメチル−オキサゾリジンは市販されており、そして水における75% w/w溶液として購入した。ジクロロメタン/飽和NaCl溶液で洗浄することにより水層から4,4−ジメチル−オキサゾリジンを抽出した。ジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてその後に蒸発させた。
[実施例2]3−オキサゾリジンエタノールと5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オンの反応
【0043】
1−ブタノール(100ml)中の5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン(25.00g≡111.0mmole)およびメタンスルホン酸(17.06g≡177.5mmole)を70℃に加熱した。3分後に1−ブタノール(39ml)中の3−オキサゾリジンエタノール(19.49g≡166.4mmole)の溶液を加えた。
【0044】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(45.55g≡554.8mmole)および1−ブタノール(10ml)を加えた。120℃で1.5時間後に、反応混合物を30mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0045】
70℃で、75mlのトルエンおよび50mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を75mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を100mlの水で3回洗浄した。
【0046】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に125mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に12.5mlの36% m/m塩酸を加えた。室温で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:30.40g(77.0%)の5,6,9,10−テトラヒドロ−10−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン塩酸塩(77.0%)。HPLC:95%。H NMR[200MHz,DMSO−d:CDCl 4:1]δ1.97(1H,m),2.18(3H,m),2.68(3H,s),2.95(2H,t),3.00(1H,dd),3.12(2H,m),4.13(2H,m),4.29(1H,dd),4.66(1H,dd),6.97(1H,d),7.09(1H,t),7.55(1H,d),7.68(1H,d)および7.71(1H,d)。MS[ESI]MH=320。
[実施例3]4,4−ジメチル−オキサゾリジンと5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オンの反応
【0047】
1−ブタノール(60ml)中の5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン(20.00g≡88.8mmole)およびメタンスルホン酸(13.65g≡142.0mmole)を70℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(10ml)中の4,4−ジメチル−オキサゾリジン(13.47g≡133.2mmole)を加えた。
【0048】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(36.45g≡444.0mmole)およびブタノール(10ml)を加えた。120℃で2時間後に、反応混合物を20mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0049】
70℃で、60mlのトルエンおよび40mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を60mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を80mlの水で3回洗浄した。
【0050】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に100mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に10.0mlの36% m/m塩酸を加えた。室温で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:12.38gの5,6,9,10−テトラヒドロ−10−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン塩酸塩(39.2%)。HPLC:95%。H NMRおよびMS:実施例2を参照。母液は、3.45g(10.9%)の生成物を含有した。
[実施例4]3−エチル−オキサゾリジンと5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オンの反応
【0051】
1−ブタノール(60ml)中の5,6,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン(20.00g≡88.8mmole)およびメタンスルホン酸(13.65g≡142.0mmole)を70℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(10ml)中の3−エチル−オキサゾリジン(13.46g≡133.2mmole)を加えた。
【0052】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(36.45g≡444.0mmole)および1−ブタノール(10ml)を加えた。120℃で2時間後に、反応混合物を20mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0053】
70℃で、60mlのトルエンおよび40mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を60mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を80mlの水で3回洗浄した。
【0054】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に100mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に10.0mlの36% m/m塩酸を加えた。室温で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:22.10g(70.0%)の5,6,9,10−テトラヒドロ−10−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−ピリド[3,2,1−jk]カルバゾール−11(8H)−オン塩酸塩(70.0%)。HPLC:95%。H NMRおよびMS:実施例2を参照。
[実施例5]3−オキサゾリジンエタノールと3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノンの反応
【0055】
1−ブタノール(60ml)中の3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(12.98g≡88.8mmole)およびメタンスルホン酸(13.65g≡142.0mmole)を50℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(14ml)中の3−オキサゾリジンエタノール(15.59g≡133.1mmole)の溶液を加えた。
【0056】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(36.45g≡444.0mmole)および1−ブタノール(10ml)を加えた。120℃で2時間後に、反応混合物を20mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0057】
70℃で、60mlのトルエンおよび40mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を60mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を80mlの水で3回洗浄した。
【0058】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に100mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に10.0mlの36% m/m塩酸を加えた。得られる溶液を60mlの最終容量まで蒸発させた。室温で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:15.28g(62.2%)の3,4−ジヒドロ−2−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1(2H)−ナフタレノン塩酸塩。HPLC:95%。H NMR[200MHz,DMSO−d:CDCl 4:1]δ2.00(2H,m),2.73(3H,s),3.20(3H,m),4.27(1H,dd),4.68(1H,dd),7.35(2H,t),7.55(2H,m),7.70(1H,d)および7.90(1H,d)。MS[ESI]MH=241。母液は、3.28g(13.3%)の生成物を含有した。
[実施例6]4,4−ジメチル−オキサゾリジンと3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノンの反応
【0059】
1−ブタノール(60ml)中の3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(12.98g≡88.8mmole)およびメタンスルホン酸(13.65g≡142.0mmole)を70℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(10ml)中の4,4−ジメチル−オキサゾリジン(13.46g≡133.1mmole)を加えた。80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(36.45g≡444.0mmole)および1−ブタノール(10ml)を加えた。120℃で2時間後に、反応混合物を20mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0060】
70℃で、60mlのトルエンおよび40mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を60mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を80mlの水で3回洗浄した。
【0061】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に100mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に10.0mlの36% m/m塩酸を加えた。得られる溶液を50mlの最終容量まで蒸発させた。0℃で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:14.13g(57.5%)の3,4−ジヒドロ−2−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1(2H)−ナフタレノン塩酸塩。HPLC:95%。H NMRおよびMS:実施例5を参照。母液は、2.33g(9.5%)の生成物を含有した。
[実施例7]3−エチル−オキサゾリジンと3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノンの反応
【0062】
1−ブタノール(60ml)中の3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(12.98g≡88.8mmole)およびメタンスルホン酸(13.65g≡142.0mmole)を50℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(10ml)中の3−エチル−オキサゾリジン(13.46g≡133.1mmole)を加えた。80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(36.45g≡444.0mmole)および1−ブタノール(10ml)を加えた。120℃で2時間後に、反応混合物を20mlの1−ブタノールが残されるまで部分的に蒸発させた。
【0063】
70℃で、60mlのトルエンおよび40mlの水を残留物に加えた。層を分離した。水層を60mlのトルエンで抽出した。合わせたトルエン層を80mlの水で3回洗浄した。
【0064】
有機層を蒸発乾固させ、そして次に100mlの1−ブタノールを加えた。得られる溶液に10.0mlの36% m/m塩酸を加えた。得られる溶液を50mlの最終容量まで蒸発させた。0℃で2時間攪拌した後に、生じる固体を濾過して分離し、そして1−ブタノールおよびMTBEで洗浄した。乾燥後の収量:17.30gの3,4−ジヒドロ−2−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1(2H)−ナフタレノン塩酸塩(70.4%)。HPLC:95%。H NMRおよびMS:実施例5を参照。
[実施例8]3−オキサゾリジンエタノールと1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オンの反応
【0065】
1−ブタノール(45ml)中の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オン(13.26g≡66.5mmole)およびメタンスルホン酸(10.23g≡106.4mmole)を90℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(11ml)中11.68g(99.8mmole)の3−オキサゾリジンエタノールを加えた。
【0066】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(27.32g≡332.5mmole)および1−ブタノール(8ml)を加えた。120℃で2時間後に180mlのトルエンおよび120mlの水を80℃で加えた。層を分離した。水層を180mlのトルエンおよび60mlの1−ブタノールで抽出した。合わせた有機層を240mlの水で2回洗浄した。有機層を蒸発乾固させた。150mlの1−ブタノールおよび10mlの36% m/m塩酸を残留物に加えた。0℃で間もなく結晶化が起こった。0℃で1時間後に、生じる結晶を濾過して分離し、1−ブタノールおよびMTBEで洗浄し、そして次に乾燥させた:15.39g(70.1%)の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−カルバゾール−4−オン塩酸塩を単離した。HPLC:95%。H NMR[200MHz,DMSO−d:CDCl 4:1]δ2.00(1H,m),2.20(1H,m),3.69(3H,s),3.09(3H,m),3.75(3H,s),4.30(1H,dd),4.67(1H,dd),7.23(2H,m),7.53(2H,m),7.69(1H,d),8.01(1H,d)。MS[ESI]MH=294。母液は、3.19g(14.5%)の生成物を含有した。
[実施例9]4,4−ジメチル−オキサゾリジンと1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オンの反応
【0067】
1−ブタノール(45ml)中の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オン(13.26g≡66.5mmole)およびメタンスルホン酸(10.23g≡106.4mmole)を90℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(8ml)中の4,4−ジメチル−オキサゾリジン(10.09g≡99.9mmole)を加えた。
【0068】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(27.32g≡332.5mmole)および1−ブタノール(8ml)を加えた。120℃で2時間後に180mlのトルエンおよび120mlの水を80℃で加えた。層を分離した。水層を180mlのトルエンおよび60mlの1−ブタノールで抽出した。合わせた有機層を240mlの水で2回洗浄した。有機層を蒸発乾固させた。150mlの1−ブタノールおよび10mlの36% m/m塩酸を残留物に加えた。0℃で間もなく結晶化が起こった。0℃で1時間後に、生じる結晶を濾過して分離し、1−ブタノールおよびMTBEで洗浄し、そして次に乾燥させた:10.02g(45.7%)の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−カルバゾール−4−オン塩酸塩。母液は、2.70g(12.3%)の生成物を含有した。HPLC:95%。NMRおよびMS:実施例8を参照。
[実施例10]3−エチル−オキサゾリジンと1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オンの反応
【0069】
1−ブタノール(45ml)中の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−4H−カルバゾール−4−オン(13.26g≡66.5mmole)およびメタンスルホン酸(10.23g≡106.4mmole)を90℃に加熱した。2分後に1−ブタノール(8ml)中の3−エチル−オキサゾリジン(10.09g≡99.9mmole)を加えた。
【0070】
80℃で50分後に2−メチルイミダゾール(27.32g≡332.5mmole)および1−ブタノール(8ml)を加えた。120℃で2時間後に180mlのトルエンおよび120mlの水を80℃で加えた。層を分離した。水層を180mlのトルエンおよび60mlの1−ブタノールで抽出した。合わせた有機層を240mlの水で2回洗浄した。有機層を蒸発乾固させた。150mlの1−ブタノールおよび10mlの36% m/m塩酸を残留物に加えた。0℃で間もなく結晶化が起こった。0℃で1時間後に、生じる結晶を濾過して分離し、1−ブタノールおよびMTBEで洗浄し、そして次に乾燥させた:15.67g(71.4%)の1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−カルバゾール−4−オン塩酸塩を単離した。HPLC:95%。NMRおよびMS:実施例8を参照。母液は、2.06g(9.4%)の生成物を含有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

[式中:
およびRは各々別個に(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシアルキル、場合により置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールであるか;
またはRおよびRは一緒になって1個もしくはそれ以上の環を含んでなるさらなる同素環系もしくは複素環系を形成し;
a’およびRb’は各々水素であるか、または一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し、該炭素−炭素二重結合は、場合により芳香族系の一部であってもよく;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシアルキルもしくはハロゲンであり;
は水素もしくは(C−C)アルキルであり;
は水素もしくは(C−C)アルキルであり;
mは1もしくは2であり;そして
は水素もしくは(C−C)アルキルである]
のイミダゾリル化合物ならびにその酸付加塩の製造方法であって、
一般式
【化2】

[式中、R、Ra’、RおよびRb’は上記に定義する意味を有する]
の化合物を式
【化3】


[式中:
Rは水素、場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい(C−C)アルキル基もしくは場合により置換されていてもよいアリール基であり、
R’、R”、R’”およびR””は各々個々に水素もしくは(C−C)アルキル基である]
の化合物と反応させ;
続いて式
【化4】

[式中、R、RおよびRは上記に定義する意味を有する]
の化合物と反応させ;
そして場合により続いて適当な酸と反応させることを特徴とする方法。
【請求項2】
、R、Ra’、Rb’、R、R’、R”、R’”およびR””が請求項1におけるものと同じ意味を有し;
が水素もしくは(C−C)アルキルであり;
が水素もしくは(C−C)アルキルであり;
が水素もしくは(C−C)アルキルであり;
mが1もしくは2であり;そして
が水素、メチルもしくはエチルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式
【化5】

[式中:
mは1もしくは2であり;
は水素、メチルもしくはエチルであり;そして
は(C−C)アルキルであり、
は水素もしくは(C−C)アルキルであるか、または
およびRは、中間の原子と一緒になって、場合によりハロゲン、ヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシアルキルおよび(C−C)アルコキシよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよい、5、6もしくは7員環を形成する]
のイミダゾリル化合物ならびにその製薬学的に許容しうる酸付加塩の製造のための請求項1〜2に記載の方法であって;
一般式
【化6】

[式中、R、Rおよびmは上記に定義する意味を有する]
の化合物を式
【化7】

[式中、R、R’、R”、R’”およびR””は請求項1におけるものと同じ意味を有する]
の化合物と反応させ;
続いて式
【化8】

[式中、Rは請求項1におけるものと同じ意味を有する]
の化合物と反応させることを特徴とする方法。
【請求項4】
式(III)におけるR、R’、R”、R’”およびR””が、それぞれ、2−ヒドロキシエチル、水素、水素、水素および水素であることを特徴とする請求項1〜2に記載の方法。
【請求項5】
m=1、そしてRおよびRが中間の原子と一緒になって6員環を形成することを特徴とする全ての前記の請求項に記載の方法。
【請求項6】
m=1、そしてRがメチルであり、そしてRが水素であることを特徴とする請求項1〜4に記載の方法。
【請求項7】
反応をアルコール性溶媒において行うことを特徴とする前記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルコール性溶媒が1−ブタノールであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
反応をアルコール性溶媒と芳香族炭化水素の混合物において行うことを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
【請求項10】
該混合物がメタノールとクロロベンゼンの混合物であることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−512322(P2006−512322A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552730(P2004−552730)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050841
【国際公開番号】WO2004/046116
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】